JPWO2020059439A1 - 元素検出方法、元素検出装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents

元素検出方法、元素検出装置、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract


試料のごく一部に含まれている元素についても容易に検出することができる元素検出方法、元素検出装置、及びコンピュータプログラムを提供する。
放射線による試料の走査を行い、走査が行われた試料上の走査領域から発生した放射線を検出し、走査領域に含まれる複数の点の夫々から発生した放射線のスペクトルを生成し、試料に含まれる元素の検出を行う元素検出方法において、複数の点の夫々にスペクトルを関連付けたスペクトル分布を生成し、走査領域の広さ以下の広さを有する1以上の数の小領域を走査領域から抽出する抽出処理と、各小領域に含まれる複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する合成処理と、各小領域について生成した合成スペクトルに基づいて、試料に含まれる元素を検出する元素検出処理とを行い、各小領域の広さを変化させて、抽出処理、合成処理及び元素検出処理を繰り返す。

Description

本発明は、試料を放射線で走査し、試料から発生した放射線を検出し、放射線の検出結果に基づいて元素の検出を行う元素検出方法、元素検出装置、及びコンピュータプログラムに関する。
試料へ放射線を照射し、試料から発生した放射線を検出し、試料に含まれる元素を検出することができる。例えば、試料へX線を照射し、試料から発生した蛍光X線を検出し、元素の検出を行う蛍光X線分析がある。電子線等のX線以外の放射線を試料へ照射する方法もあり、試料から発生する可視光又は赤外光等のX線以外の放射線を検出する方法もある。更に、試料を放射線で走査し、試料上の各点から発生した放射線を検出し、放射線のスペクトルに基づいて元素を検出し、試料上の元素の分布を取得することが行われる。特許文献1には、元素検出方法の例が開示されている。
特表2009−544980号公報
従来、試料上の元素の分布を取得する際には、試料上の複数の点から発生した放射線のスペクトルを加算又は平均した合成スペクトルを生成し、合成スペクトルに基づいて元素を検出している。しかしながら、試料のごく一部に含まれている元素に起因するピークは、試料の全体に含まれている元素に起因するピークに比べて、合成スペクトルの中で相対的に小さくなる。このため、試料のごく一部に含まれている元素については、合成スペクトルに基づいて検出することが困難である。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、試料のごく一部に含まれている元素についても容易に検出することができる元素検出方法、元素検出装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
本発明に係る元素検出方法は、放射線による試料の走査を行い、前記走査が行われた前記試料上の走査領域から発生した放射線を検出し、前記走査領域に含まれる複数の点の夫々から発生した放射線のスペクトルを生成し、前記試料に含まれる元素の検出を行う元素検出方法において、前記複数の点の夫々に前記スペクトルを関連付けたスペクトル分布を生成し、前記走査領域の広さ以下の広さを有する1以上の数の小領域を前記走査領域から抽出する抽出処理と、各小領域に含まれる複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する合成処理と、各小領域について生成した前記合成スペクトルに基づいて、前記試料に含まれる元素を検出する元素検出処理とを行い、各小領域の広さを変化させて、前記抽出処理、前記合成処理及び前記元素検出処理を繰り返すことを特徴とする。
本発明においては、放射線で試料を走査し、試料上の走査領域に含まれる複数の点の夫々に放射線のスペクトルを関連付けたスペクトル分布を生成する。走査領域から1以上の小領域を抽出し、各小領域に含まれる点に関連付けられたスペクトルを合成した合成スペクトルを生成し、合成スペクトルに基づいて元素を検出する。各小領域の広さを変化させて、小領域の抽出から元素の検出までの処理を繰り返す。小領域の広さが大きい場合の処理により、試料中に広く分布する元素が検出される。小領域の広さが小さい場合の処理により、試料のごく一部に含まれている元素が検出される。
本発明に係る元素検出方法は、前記元素検出処理では、前記小領域の広さを変化させる前の前記元素検出処理で検出された元素は前記試料に含まれているものとして、各元素の有無を判定することを特徴とする。
本発明においては、各小領域の広さを変化させて処理を繰り返す際に、小領域の広さが変化する前の処理において検出された元素は既に検出されたものとして、新たな元素の検出を行う。これにより、元素の不検出数を減少させ、試料に含まれる元素を確実に検出することができる。
本発明に係る元素検出方法は、前記元素検出処理では、各小領域について生成した前記合成スペクトルに含まれるピークの位置に基づいて、前記試料の各小領域に対応する部分に複数の元素の夫々が含まれる確からしさを表す得点を計算し、前記得点と所定の閾値との比較に基づいて各元素の有無を判定することにより、前記試料に含まれる元素を検出することを特徴とする。
本発明においては、合成スペクトル中のピークの位置に基づいて、夫々の元素が含まれる確からしさを表す得点を計算し、得点と閾値との比較に基づいて元素を検出する。合成スペクトル中のピークの位置と元素に固有のピークの位置との比較により得点が計算され、試料に含まれる確からしさがある程度高い元素が試料に含まれていると判定される。
本発明に係る元素検出方法は、各小領域について前記合成スペクトルを生成するために合成されるスペクトルの数に応じて前記閾値を変更することを特徴とする。
本発明においては、小領域について合成スペクトルを生成するために合成されるスペクトルの数に応じて、元素検出のための閾値を変更する。例えば、合成されるスペクトルの数が小さくなるほど、閾値を小さくする。閾値を固定した場合に比べて、誤って検出される元素の数が抑制される。
本発明に係る元素検出方法は、前記元素検出処理では、前記得点が前記閾値を超過する元素が前記試料に含まれていると判定し、前記合成スペクトルを生成するために合成されるスペクトルの数が小さいほど前記閾値を小さくすることを特徴とする。
本発明においては、元素についての得点が閾値を超過する場合にその元素を検出したとする。また、合成スペクトルを生成するために合成されるスペクトルの数が小さくなるほど、閾値を小さくする。閾値を固定した場合に比べて、誤って検出される元素の数が抑制される。
本発明に係る元素検出方法は、前記元素検出処理により検出した元素の夫々について元素分布を生成することを特徴とする。
本発明においては、検出した元素の分布を生成する。試料のごく一部に含まれている元素についても元素分布が得られる。
本発明に係る元素検出装置は、放射線による試料の走査を行う走査部と、前記走査が行われた前記試料上の走査領域から発生した放射線を検出する放射線検出部と、前記走査領域に含まれる複数の点の夫々から発生した放射線のスペクトルを生成するスペクトル生成部と、前記試料に含まれる元素を検出するための処理を行う分析部とを備える元素検出装置において、前記分析部は、前記複数の点の夫々に前記スペクトルを関連付けたスペクトル分布を生成し、前記走査領域の広さ以下の広さを有する1以上の数の小領域を前記走査領域から抽出する抽出処理と、各小領域に含まれる複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する合成処理と、各小領域について生成した前記合成スペクトルに基づいて、前記試料に含まれる元素を検出する元素検出処理とを行い、各小領域の広さを変化させて、前記抽出処理、前記合成処理及び前記元素検出処理を繰り返すことを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、試料上の複数の点の夫々に各点から発生した放射線のスペクトルが関連付けられたスペクトル分布に基づいて、前記試料に含まれる元素の検出を行わせるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記試料上の前記複数の点が含まれる領域から、該領域の広さ以下の広さを有する1以上の数の小領域を抽出する抽出ステップと、各小領域に含まれる複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する合成ステップと、各小領域について生成した前記合成スペクトルに基づいて、前記試料に含まれる元素を検出する元素検出ステップと、各小領域の広さを変化させて、前記抽出ステップ、前記合成ステップ及び前記元素検出ステップを繰り返すステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
本発明においては、放射線で走査された試料上の複数の点の夫々に各点から発生した放射線のスペクトルを関連付けたスペクトル分布に基づいて、試料に含まれる元素を検出する。試料上の複数の点が含まれる領域から1以上の小領域を抽出し、各小領域に含まれる点に関連付けられたスペクトルを合成した合成スペクトルを生成し、合成スペクトルに基づいて元素を検出する。各小領域の広さを変化させて、小領域の抽出から元素の検出までの処理を繰り返す。小領域の広さが大きい場合の処理により、試料中に広く分布する元素が検出される。小領域の広さが小さい場合の処理により、試料のごく一部に含まれている元素が検出される。
試料中に広く分布する元素を検出するとともに、試料のごく一部に含まれている元素についても容易に検出することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
元素検出装置の構成を示すブロック図である。 分析部の内部構成例を示すブロック図である。 実施形態1に係る元素検出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。 蛍光X線のスペクトルの例を示す特性図である。 小領域に含まれる試料上の点の数が多い場合の合成スペクトルの例を示す特性図である。 小領域に含まれる試料上の点の数が少ない場合の合成スペクトルの例を示す特性図である。 合成スペクトルを用いて元素を検出した一例における不検出数を示すグラフである。 合成スペクトルを用いて元素を検出した一例における誤検出数を示すグラフである。 実施形態1に係る元素検出方法により元素を検出した一例における不検出数を示すグラフである。 実施形態2に係る元素検出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態1及び2に係る元素検出方法により元素を検出した一例における不検出数を示すグラフである。 実施形態1及び2に係る元素検出方法により元素を検出した一例における誤検出数を示すグラフである。 実施形態3に係る元素検出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施形態1)
図1は、元素検出装置10の構成を示すブロック図である。元素検出装置10は、蛍光X線分析装置である。元素検出装置10は、X線を照射する照射部21と、試料4が載置される試料台23と、X線を検出するX線検出器22とを備えている。照射部21は、例えばX線管を用いて構成されている。照射部21は、X線を放射し、放射されたX線は、試料台23に載置された試料4へ照射される。
X線を照射された試料4からは、蛍光X線が発生する。X線検出器22は、試料4から発生した蛍光X線を検出する。X線検出器22は放射線検出部に対応する。図中には、照射部21が試料4へ照射するX線を実線矢印で示し、蛍光X線を破線矢印で示している。X線検出器22は、検出した蛍光X線のエネルギーに比例した信号を出力する。照射部21及びX線検出器22の少なくとも一部は、内部が減圧される容器内に配置されていてもよい。元素検出装置10は、試料台23に載置させる方法以外の方法で試料4を保持する形態であってもよい。
X線検出器22には、出力した信号を処理する信号処理部32が接続されている。信号処理部32は、X線検出器22が出力したパルス信号の波高を検出することにより、X線検出器22が検出した蛍光X線のエネルギーに対応する信号値を検出する。信号処理部32は、分析部1に接続されている。信号処理部32は、検出した信号値を示すデータを分析部1へ出力する。分析部1は、信号処理部32からのデータに基づいて、各値の信号をカウントし、蛍光X線のエネルギーとカウント数との関係、即ち蛍光X線のスペクトルを生成する処理を行う。信号処理部32及び分析部1は、スペクトル生成部に対応する。また、分析部1は、スペクトルに基づいて、試料4に含まれる元素の検出を行う。なお、信号処理部32が蛍光X線のスペクトルを生成してもよい。
試料台23には、試料台23を移動させる駆動部33が連結されている。駆動部33は、例えば、ステッピングモータを用いて構成されている。駆動部33は、試料台23を水平面方向に移動させる。
照射部21、信号処理部32、駆動部33及び分析部1は、制御部31に接続されている。制御部31は、照射部21、信号処理部32、駆動部33及び分析部1の動作を制御する。制御部31は、使用者の操作を受け付け、受け付けた操作に応じて元素検出装置10の各部を制御する構成であってもよい。また、制御部31及び分析部1は同一のコンピュータで構成されていてもよい。
制御部31は、照射部21に試料4へX線を照射させ、駆動部33の動作を制御して、試料台23を水平面方向に移動させる。試料台23の移動によって試料4が移動し、試料4上のX線が照射される位置が順次変更される。このようにして、元素検出装置10は、X線で試料4を走査する。照射部21、駆動部33及び制御部31は、走査部に対応する。X線による走査が行われる試料4上の領域を走査領域とする。
X線で試料4の走査を行うことにより、試料4上の走査領域内の夫々の点にX線が順次照射される。X線による走査に伴い、試料4上でX線を照射された点から発生した蛍光X線がX線検出器22で順次検出される。信号処理部32は、順次信号処理を行い、分析部1は、走査領域内の複数の点の夫々で発生した蛍光X線のスペクトルを順次生成する。
図2は、分析部1の内部構成例を示すブロック図である。分析部1は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成されたデータ処理装置である。分析部1は、演算を行うCPU(Central Processing Unit )11と、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶するRAM(Random Access Memory)12と、光ディスク等の記録媒体100から情報を読み取るドライブ部13と、不揮発性の記憶部14とを備えている。記憶部14は例えばハードディスクである。CPU11は、記録媒体100からコンピュータプログラム141をドライブ部13に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム141を記憶部14に記憶させる。CPU11は、必要に応じてコンピュータプログラム141を記憶部14からRAM12へロードし、ロードしたコンピュータプログラム141に従って分析部1に必要な処理を実行する。
なお、コンピュータプログラム141は、図示しない通信ネットワークを介して分析部1に接続された図示しない外部のサーバ装置から分析部1へダウンロードされて記憶部14に記憶されてもよい。また分析部1は、外部からコンピュータプログラム141を受け付けるのではなく、コンピュータプログラム141を記録したROM等の記録手段を内部に備えた形態であってもよい。
また、分析部1は、使用者が操作することによる各種の処理指示等の情報が入力されるキーボード又はポインティングデバイス等の入力部15と、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部16とを備えている。また、分析部1は、制御部31及び信号処理部32が接続されたインタフェース部17を備えている。分析部1は、信号処理部32から出力されたデータをインタフェース部17で受け付ける。分析部1は、生成した蛍光X線のスペクトルを表すデータを記憶部14に記憶する。また、制御部31は、駆動部33を制御する制御信号に基づいて、試料4上でX線を照射された点の位置を示す情報を生成し、分析部1へ出力する。分析部1は、制御部31から出力された情報をインタフェース部17で受け付け、記憶部14に記憶する。
図3は、実施形態1に係る元素検出装置10が実行する処理の手順を示すフローチャートである。以下、ステップをSと略す。元素検出装置10は、X線で試料4の走査を行う(S101)。このとき、X線検出器22は、試料4上でX線を照射された複数の点の夫々から発生した蛍光X線を順次検出し、信号処理部32は順次信号処理を行い、分析部1は蛍光X線のスペクトルを順次生成する。分析部1は、各点から発生した蛍光X線のスペクトルのデータ、及び試料4上でX線を照射された点の位置を示す情報を記憶部14に記憶する。分析部1のCPU11は、以下の処理をコンピュータプログラム141に従って実行する。CPU11は、記憶部14に記憶した蛍光X線のスペクトルのデータ及びX線を照射された点の位置を示す情報に基づいて、試料4上の走査領域内の夫々の点と、夫々の点で発生した蛍光X線のスペクトルとを関連付けたスペクトル分布を生成する(S102)。CPU11は、スペクトル分布を表すデータを記憶部14に記憶させる。
CPU11は、次に、X線を照射された試料4上の複数の点からなる走査領域から1以上の数の小領域を抽出する(S103)。小領域は、走査領域内に含まれており、走査領域の広さ以下の広さを有する領域である。例えば、CPU11は、小領域がマトリクス状に並ぶように走査領域を分割することにより、複数の小領域を抽出する。走査領域を分割する場合は、小領域は重なることは無く、試料4上の一つの点が複数の小領域に含まれることは無い。S103では、CPU11は、走査領域に含まれる各点の位置を示す情報を小領域別に分類する。スペクトル分布において各点に関連付けられたスペクトルも、点の位置に応じて分類される。また、CPU11は、各小領域に同じ数の点が含まれるように小領域の抽出を行う。例えば、走査領域に256×256の数の点が含まれ、走査領域が四つの小領域に分割される場合は、各小領域には128×128の数の点が含まれ、128×128の数のスペクトルが関連付けられている。S103の処理は、抽出処理及び抽出ステップに対応する。
CPU11は、次に、小領域別に蛍光X線のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する(S104)。S104では、CPU11は、各小領域に含まれた複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを加算又は平均することにより、合成スペクトルを生成する。例えば、走査領域に256×256の数の点が含まれ、走査領域が四つの小領域に分割される場合は、小領域毎に、128×128の数のスペクトルが加算又は平均され、合成スペクトルが生成される。S104の処理は、合成処理及び合成ステップに対応する。
CPU11は、次に、各合成スペクトルに含まれるピークの位置に基づいて、試料4の各小領域に対応する部分に各元素が含まれる確からしさを表す得点を各元素について計算する(S105)。図4は、蛍光X線のスペクトルの例を示す特性図である。図中の横軸は蛍光X線のエネルギーを示し、縦軸は蛍光X線のカウント数を示す。スペクトルに含まれるピークはいずれかの元素に由来しており、ピークのエネルギーは元素に固有である。即ち、ある元素に由来するピークのスペクトルにおける位置は判明しており、スペクトルに含まれるピークの位置に基づいて、試料4に含まれる元素を検出することができる。実際のスペクトルに含まれるピークは、他のピーク又はノイズが重なる等の原因により、本来の位置から位置がずれることがある。
記憶部14は、複数の元素の夫々について、スペクトルに含まれるべきピークの位置を示す情報を記憶している。S105では、CPU11は、合成スペクトルに含まれるピークの位置と、記憶部14に記憶している情報が示す各元素に由来するピークの位置とを比較し、ピークの位置の一致度を数値化した得点を計算する。例えば、CPU11は、特定の元素に由来するピークの本来の位置にスペクトル中のピークの位置が近いほど、得点が大きくなるように計算を行う。また、CPU11は、ピークの大きさが大きいほど得点が大きくなるように計算を行ってもよい。ピークの大きさは、ピークの面積又はピークの高さから得られる。ピークの大きさを用いる場合は、CPU11は、ピークの位置の一致度及びピークの大きさの両方に基づいて得点を計算する。
また、特定の元素に由来するピークは複数存在しており、CPU11は、複数のピークの夫々に重み付けを行った上でピークの位置の一致度から得点を計算してもよい。例えば、ある元素のKαのピークとKβのピークとを用い、Kαのピークの位置の一致度の重みづけを大きくする。具体的には、例えば、CPU11は、(Kαのピークの位置の一致度)×0.8+(Kβのピークの位置の一致度)×0.2の計算により、得点を計算する。
ある元素の得点が大きいほど、その元素が試料4に含まれる確からしさが高くなる。各元素の得点を計算する処理は小領域毎に行われる。CPU11は、得点が0〜100等の所定の範囲内に収まるように計算を行う。S105では、CPU11は、従来のアルゴリズムを用いて計算をおこなってもよい。また、分析部1は、人工知能を利用してS105の処理を実行してもよい。
CPU11は、次に、各小領域について各元素の得点と所定の閾値とを比較し、各元素の有無を判定する(S106)。より詳しくは、CPU11は、ある元素の得点が閾値以上である場合に、その元素が試料4に含まれていると判定する。閾値は、予め記憶部14に記憶されているか、又はコンピュータプログラム141で規定されている。CPU11は、全ての小領域について判定を行う。CPU11は、次に、試料4に含まれていると判定した元素に、試料4に含まれる元素として既に検出されている元素とは別の新たな元素があるか否かを判定する(S107)。新たな元素は、いずれか一つの小領域について試料4に含まれていると判定されていればよい。
新たな元素がある場合に(S107:YES)、CPU11は、試料4に含まれる元素として検出されている元素に、試料4に含まれていると判定した新たな元素を追加する(S108)。このようにして、試料4に含まれている元素が検出される。S105〜S108の処理は、元素検出処理及び元素検出ステップに相当する。なお、CPU11は、ある元素の得点が閾値を超過する場合に、その元素が試料4に含まれていると判定する処理を行ってもよい。また、CPU11は、得点が小さいほど元素が試料4に含まれる確からしさが高くなるような得点を計算し、ある元素の得点が閾値未満である場合にその元素が試料4に含まれていると判定する処理を行ってもよい。
S108が終了した後、又はS107で新たな元素が無い場合(S107:NO)、CPU11は、元素を検出するための処理を終了するか否かを判定する(S109)。S109では、CPU11は、所定の状態になった場合に終了すると判定する。例えば、CPU11は、検出した元素の数が所定数に達した場合、後述するS103〜S110の処理の繰り返し回数が所定回数に達した場合、処理時間が所定の上限以上になった場合、又は各小領域に含まれる点の数が所定の下限以下である場合に、終了すると判定する。
処理を終了すると判定しなかった場合は(S109:NO)、CPU11は、小領域の広さが縮小するように、小領域の広さを設定し(S110)、処理をS103へ戻し、S103〜S110の処理を繰り返す。二回目以降のS103では、CPU11は、小領域の広さを小さくした状態で、走査領域から複数の数の小領域を抽出する。小領域の広さを小さくすることに応じて、走査領域を分割する小領域の数は増加し、小領域に含まれる試料4上の点の数は減少する。即ち、S103〜S110の処理を繰り返す都度、小領域の広さは小さくなり、小領域に含まれる試料4上の点の数は減少し、小領域の数は増加する。
S103〜S110の処理を繰り返す都度、小領域に含まれる試料4上の点の数が減少するので、S104で合成スペクトルを生成するために合成されるスペクトルの数が減少する。S104〜S106の処理は小領域毎に行われるので、S103〜S110の処理を繰り返す都度、S104〜S106の処理に必要な時間は増加する。S107では、CPU11は、それまでのS103〜S110の処理でまだ検出されていない元素が試料4に含まれていると判定された場合に、新たな元素があると判定する。このようにして、CPU11は、あるS105〜S108の処理では、そのS105〜S108の処理で用いる小領域の広さを小さくする前の一回又は複数回のS105〜S108の処理で検出された元素については試料4に含まれているものとして、元素の検出を行う。
S109で処理を終了すると判定した場合は(S109:YES)、CPU11は、検出した夫々の元素について元素分布を生成し(S111)、処理を終了する。S111では、CPU11は、夫々の元素について、走査領域内の各点に関連付けられたスペクトルに含まれるピークの強度に基づいて、各点に存在する元素の量又は濃度を計算し、各点と元素の量又は濃度とを関連付けた元素分布を生成する。CPU11は、元素分布のデータを記憶部14に記憶させる。CPU11は、各元素の元素分布を表す画像を表示部16に表示してもよい。
図5は、小領域に含まれる試料4上の点の数が多い場合の合成スペクトルの例を示す特性図である。図6は、小領域に含まれる試料4上の点の数が少ない場合の合成スペクトルの例を示す特性図である。横軸は蛍光X線のエネルギーを示し、縦軸は蛍光X線のカウント数を示す。図5及び図6に示す合成スペクトルは、図4中の破線で囲まれた部分を拡大したものに相当する。小領域に含まれる試料4上の点の数が多い場合、加算又は平均するスペクトルの数が多いので、図5に示すように、S/N(シグナル/ノイズ)比が大きくなる。このため、元素を確実に検出することができる。
特定の元素が走査領域内のごく一部にのみ存在している場合、特定の元素に起因するピークが含まれるスペクトルよりも、特定の元素に起因するピークが含まれていないスペクトルの方が多い。小領域の広さが大きく、小領域に含まれる試料4上の点の数が多いときは、特定の元素に起因するピークは相対的に小さい。小領域の広さが小さく、小領域に含まれる試料4上の点の数が少ない場合は、合成すべき複数のスペクトルの数が少ない。特定の元素が存在する点が小領域に含まれているとき、複数のスペクトルの中に特定の元素に起因するピークを含むスペクトルの割合が大きい。このため、合成スペクトル中の特定の元素に起因するピークは相対的に大きい。図6中に矢印で指したピークは、走査領域内のごく一部にのみ存在している元素に由来するピークである。図5中には、このピークに相当するピークは確認できない。
特定の元素が走査領域内のごく一部には存在せず、他の部分には存在している場合、小領域に含まれる試料4上の点の数が多いときに特定の元素に起因するピークは相対的に大きい。小領域に含まれる試料4上の点の数が少ないとき、特定の元素を含んでいない部分に対応する小領域の合成スペクトルでは、特定の元素に起因するピークは相対的に小さい。図5中に矢印で指したピークは、走査領域内のごく一部には存在せず他の部分には存在している元素に由来するピークである。図6中には、このピークに相当するピークは確認できない。このように、試料4中に広く分布する元素は、小領域に含まれる試料4上の点の数が多く、合成すべき複数のスペクトルの数が多い場合の合成スペクトルを用いて検出することができる。試料4のごく一部のみに含まれる元素を検出するには、小領域に含まれる試料4上の点の数が少なく、合成すべき複数のスペクトルの数が少ない場合の合成スペクトルを用いる必要がある。
図7は、合成スペクトルを用いて元素を検出した一例における不検出数を示すグラフである。横軸は小領域に含まれる試料4上の点の数を示し、縦軸は元素の不検出数を示す。図7には、含有している元素が判明しているプリント配線基板を試料4として、各元素の得点に基づいて元素の有無を判定した結果を示す。不検出数は、試料4に含まれているにも拘わらず検出できなかった元素の数である。閾値を80とした場合の結果を黒丸印で示し、閾値を60とした場合の結果を三角印で示し、閾値を40とした場合の結果を白丸印で示している。閾値を小さくした場合は、元素があることを判定し易くなるので、不検出数は減少する。小領域に含まれる試料4上の点の数を少なくし過ぎると、S/N比が悪化し、判別できるピークが減少し、不検出数が増加する。
図8は、合成スペクトルを用いて元素を検出した一例における誤検出数を示すグラフである。横軸は小領域に含まれる試料4上の点の数を示し、縦軸は元素の誤検出数を示す。誤検出数は、試料4に含まれていないにも拘わらず試料4に含まれていると判定した元素の数である。図7と同様に、閾値を80とした場合の結果を黒丸印で示し、閾値を60とした場合の結果を三角印で示し、閾値を40とした場合の結果を白丸印で示している。閾値を小さくした場合は、元素があることを判定し易くなるので、誤検出数は増加する。小領域に含まれる試料4上の点の数を少なくすると、誤検出数は減少する。
前述したように、実施形態1では、各小領域に含まれる点の数を減少させながら、S103〜S110の処理を繰り返す。図7に示すように、小領域に含まれる試料4上の点の数が多く、合成すべき複数のスペクトルの数が多い場合の合成スペクトルを用いたときには不検出数が小さくなるので、実施形態1では、まず、小領域に含まれる試料4上の点の数が多い場合の合成スペクトルを用いて元素の検出を行う。
図9は、実施形態1に係る元素検出方法により元素を検出した一例における不検出数を示すグラフである。横軸は、S105〜S108の処理を繰り返す中での夫々の一回のS105〜S108の処理における小領域に含まれる試料4上の点の数を示し、縦軸は元素の不検出数を示す。前述したように、実施形態1では、小領域に含まれる試料4上の点の数が多い場合の合成スペクトルを用いて元素を検出し、小領域に含まれる試料4上の点の数が少ない場合の合成スペクトルを用いて新たな元素があると判定された場合に、検出された元素に新たな元素を追加する。即ち、小領域の広さが大きい場合の合成スペクトルを用いて検出された元素が、小領域の広さが小さい場合の合成スペクトルを用いて検出することができないときでも、既に検出された元素は検出された元素としておく。このため、図9に示すように、S103〜S110の処理を繰り返す都度、検出された元素の数は減少することなく、不検出数は減少する。
以上のように、実施形態1により、試料4に含まれる元素を検出する際の不検出数を減少させることができる。従って、試料4に含まれる元素を確実に検出することができる。実施形態1では、小領域の広さが大きい場合の合成スペクトルを用いて、試料4中に広く分布する元素を検出し、小領域の広さが小さい場合の合成スペクトルを用いて、試料4中に局所的に含まれる元素を検出する。これにより、試料4のごく一部に含まれている元素についても容易に検出することができる。また、実施形態1では、検出した元素について元素分布を生成するので、試料4のごく一部に含まれている元素についても元素分布が得られる。このため、試料4に含まれる異物の分布を調べることが可能となる。
(実施形態2)
実施形態2に係る元素検出装置10は、元素について計算した得点と比較する閾値を変更する処理を行う。元素検出装置10の構成は実施形態1と同様である。図10は、実施形態2に係る元素検出装置10が実行する処理の手順を示すフローチャートである。元素検出装置10は、X線で試料4の走査を行い(S201)、蛍光X線の検出及び蛍光X線のスペクトルの生成を順次行う。分析部1のCPU11は、以下の処理をコンピュータプログラム141に従って実行する。
CPU11は、実施形態1におけるS102〜S110と同様のS202〜S210の処理を実行する。CPU11は、次に、小領域の広さの縮小に応じて、閾値を減少させる(S211)。例えば、CPU11は、小領域の広さが小さくなり、小領域に含まれる試料4上の点の数が小さいほど、閾値を小さくする。具体的に、例えば、CPU11は、小領域内の点の数が256×256、128×128、64×64、32×32、…である場合に、閾値を、夫々に80、75、70、65、…と設定する。小領域の広さ又は小領域に含まれる試料4上の点の数と閾値との関係は記憶部14に予め記憶されていてもよく、小領域の広さの縮小に応じて閾値を変更するためのアルゴリズムがコンピュータプログラム141に含まれていてもよい。小領域に含まれる試料4上の点の数が小さいほど、S204で合成すべきスペクトルの数が減少する。即ち、CPU11は、S204で合成すべきスペクトルの数が減少するほど、閾値を小さくする。
S211の処理が終了した後は、CPU11は、処理をS203へ戻し、S203〜S211の処理を繰り返す。S203〜S211の処理を繰り返す都度、走査領域を分割する小領域の数は増加し、小領域に含まれる試料4上の点の数、S204で合成すべきスペクトルの数、及び閾値は減少する。二回目以降のS206では、CPU11は、各元素の得点と変更した閾値とを比較する。
S209で処理を終了すると判定した場合は(S209:YES)、CPU11は、検出した夫々の元素について元素分布を生成し(S212)、処理を終了する。CPU11は、元素分布のデータを記憶部14に記憶させる。
図11は、実施形態1及び2に係る元素検出方法により元素を検出した一例における不検出数を示すグラフである。横軸は小領域に含まれる試料4上の点の数を示し、縦軸は元素の不検出数を示す。図12は、実施形態1及び2に係る元素検出方法により元素を検出した一例における誤検出数を示すグラフである。横軸は小領域に含まれる試料4上の点の数を示し、縦軸は元素の誤検出数を示す。図11及び図12では、閾値を80に固定した場合の結果を黒丸印で示し、閾値を60に固定した場合の結果を三角印で示し、閾値を40に固定した場合の結果を白丸印で示している。更に、実施形態2に係る元素検出方法による結果を四角印で示している。
図11に示すように、実施形態2では、閾値を固定した場合に比べて、小領域に含まれる試料4上の点の数の減少に応じた不検出数の減少が早い。図12に示すように、実施形態2では、閾値を小さい値に固定した場合に比べて、誤検出数を小さくすることができる。即ち、実施形態2では、合成すべきスペクトルの数に応じて閾値を変更することにより、誤検出をより抑制しながら、試料4に含まれる元素を確実に検出することができる。
以上のように、実施形態2では、誤検出をより抑制しながら、試料4のごく一部に含まれている元素についても容易に検出することができる。また、実施形態2では、小領域に含まれる試料4上の点の数の減少に応じた不検出数の減少が早いので、小領域に含まれる試料4上の点の数を減少させ過ぎずとも、不検出数を十分に小さくすることができる。このため、分析部1は、小領域の広さを小さくさせ過ぎない段階で、S203〜S211の処理を終了させることができる。これにより、元素検出装置10は処理に必要な時間を短縮することができる。また、小領域に含まれる試料4上の点の数を減少させ過ぎないことによって、元素検出装置10は誤検出をより抑制することができる。
なお、以上の実施形態1及び2においては、小領域がマトリクス状に並ぶように走査領域を分割することにより、複数の小領域を抽出する形態を示したが、分析部1は、その他の方法で小領域を抽出してもよい。例えば、小領域は矩形以外の形状を有していてもよい。走査領域から抽出される複数の小領域は、異なる広さを有していてもよく、含まれる試料4上の点の数は異なっていてもよい。例えば、分析部1は、蛍光X線のスペクトルのあるROI(region of interest)に含まれるピークの強度がある強度以上になっている点に隣接する点が含まれる領域を小領域としてもよい。走査領域には、抽出される小領域に含まれない点、又は合成スペクトルを生成するために利用されない点があってもよい。
また、実施形態1及び2においては、小領域の広さを小さくしながら小領域の抽出から元素検出までの処理を繰り返す形態を示したが、分析部1は、小領域の広さを大きくしながら処理を繰り返してもよい。この場合、分析部1は、小領域の広さの拡大、及びS204で合成すべきスペクトルの数の増加に応じて、閾値を増加させることが望ましい。
(実施形態3)
実施形態3に係る元素検出装置10は、試料4の一部に含まれる物質を検出する処理を行う。元素検出装置10の構成は実施形態1と同様である。図13は、実施形態3に係る元素検出装置10が実行する処理の手順を示すフローチャートである。元素検出装置10は、実施形態1に係るS101〜S111の処理、又は実施形態2に係るS201〜S212の処理によって、試料4に含まれている元素を検出する(S31)。分析部1は、元素の検出結果に基づいて、走査領域に含まれる特徴領域を抽出する(S32)。特徴領域は、走査領域に含まれる複数の点の内、他の大部分の点と組成が異なる点からなる領域である。例えば、試料4のごく一部に含まれている元素に由来するピークの強度が所定値以上になるスペクトルが関連付けられている点が特徴点であり、複数の特徴点が集まった領域が特徴領域である。特徴領域は複数存在することがある。
分析部1は、次に、特徴領域の合成スペクトルを生成する(S33)。S33では、分析部1は、特徴領域内の各特徴点に関連付けられたスペクトルを加算又は平均することにより、合成スペクトルを生成する。分析部1は、次に、合成スペクトルのS/N比を計算し、S/N比の大きさは十分であるか否かを判定する(S34)。例えば、S34では、分析部1は、S/N比が所定値以上である場合に、S/N比の大きさが十分であると判定する。S/N比の大きさは十分ではない場合に(S34:NO)、元素検出装置10は、試料4上の特徴領域に再度X線を照射し、蛍光X線を検出し、特徴領域の合成スペクトルを再度生成する再測定の処理を行う(S35)。
S35が終了した後、又はS34でS/N比の大きさが十分である場合(S34:YES)、分析部1は、特徴領域の合成スペクトルを分類する(S36)。例えば、分析部1は、複数の特徴領域の合成スペクトルを比較し、類似度に基づいて合成スペクトルを分類する。類似度は、例えば、スペクトル間の差分の大きさに応じて決定される。合成スペクトルが同じ種類に分類された特徴領域は、同じ物質からなる領域であるとの推測が可能である。また、例えば、分析部1は、予め記憶部14に記憶してある特定のスペクトルと特徴領域の合成スペクトルとを比較し、特定のスペクトルとの類似度に基づいて合成スペクトルを分類する。特定の物質に起因するスペクトルに類似するものに合成スペクトルが分類された特徴領域は、特定の物質からなる領域であるとの推測が可能である。
分析部1は、次に、合成スペクトルに基づいて、特徴領域に存在する元素を検出する(S37)。S37では、分析部1は、特徴領域に存在する元素の存在比を計算してもよい。分析部1は、次に、特徴領域を構成する物質を検出する(S38)。例えば、分析部1は、S36での合成スペクトルの分類結果、又はS37の元素の検出結果に基づいて、特徴領域を構成する物質を検出する。元素検出装置10は、以上で処理を終了する。
以上のように、実施形態3では、元素検出装置10は、走査領域の一部に含まれる物質を検出する。これにより、元素検出装置10は、試料4に含まれる異物を検出することができる。例えば、液体をろ過した後のフィルタを試料4とした場合は、フィルタ上の異物、即ち、ろ過時にフィルタ上に残留した液体中の混合物を検出することが可能となる。
本実施形態においては、実施形態1又は2に係る元素検出方法と同様の方法を利用して特徴領域を抽出する例を示したが、元素検出装置10は、その他の方法を用いて特徴領域を抽出する形態であってもよい。例えば、元素検出装置10は、試料4を透過したX線を検出して透過X線像を生成し、透過X線像に基づいて特徴領域を抽出してもよい。透過X線像に含まれる濃淡の分布に基づいて、特徴領域の抽出が可能である。
また、実施形態1〜3においては、蛍光X線をエネルギー別に分離して検出するエネルギー分散型の形態を示したが、元素検出装置10は、X線を波長別に分離して検出する波長分散型の形態であってもよい。また、実施形態1〜3においては、X線を試料4へ照射し、試料4から発生した蛍光X線を検出する形態を示したが、元素検出装置10は、X線以外の放射線を試料4へ照射し、試料4から発生するX線を検出する形態であってもよい。例えば、元素検出装置10は、電子線を試料4へ照射し、電子線の方向を変更することによって電子線で試料4を走査する形態であってもよい。また、実施形態1〜3においては、試料4から発生するX線を検出する形態を示したが、元素検出装置10は、試料4から発生するX線以外の放射線を検出する形態であってもよい。例えば、元素検出装置10は、電子線又はレーザー光を試料4へ照射し、試料4から発生する二次電子、反射電子、又はカソードルミネッセンス等の可視光線若しくは赤外線を検出する形態であってもよい。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
1 分析部
10 元素検出装置
11 CPU
14 記憶部
141 コンピュータプログラム
21 照射部
22 X線検出器
23 試料台
31 制御部
32 信号処理部
33 駆動部
4 試料

Claims (8)

  1. 放射線による試料の走査を行い、前記走査が行われた前記試料上の走査領域から発生した放射線を検出し、前記走査領域に含まれる複数の点の夫々から発生した放射線のスペクトルを生成し、前記試料に含まれる元素の検出を行う元素検出方法において、
    前記複数の点の夫々に前記スペクトルを関連付けたスペクトル分布を生成し、
    前記走査領域の広さ以下の広さを有する1以上の数の小領域を前記走査領域から抽出する抽出処理と、
    各小領域に含まれる複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する合成処理と、
    各小領域について生成した前記合成スペクトルに基づいて、前記試料に含まれる元素を検出する元素検出処理とを行い、
    各小領域の広さを変化させて、前記抽出処理、前記合成処理及び前記元素検出処理を繰り返すこと
    を特徴とする元素検出方法。
  2. 前記元素検出処理では、前記小領域の広さを変化させる前の前記元素検出処理で検出された元素は前記試料に含まれているものとして、各元素の有無を判定すること
    を特徴とする請求項1に記載の元素検出方法。
  3. 前記元素検出処理では、
    各小領域について生成した前記合成スペクトルに含まれるピークの位置に基づいて、前記試料の各小領域に対応する部分に複数の元素の夫々が含まれる確からしさを表す得点を計算し、
    前記得点と所定の閾値との比較に基づいて各元素の有無を判定することにより、前記試料に含まれる元素を検出すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の元素検出方法。
  4. 各小領域について前記合成スペクトルを生成するために合成されるスペクトルの数に応じて前記閾値を変更すること
    を特徴とする請求項3に記載の元素検出方法。
  5. 前記元素検出処理では、前記得点が前記閾値を超過する元素が前記試料に含まれていると判定し、
    前記合成スペクトルを生成するために合成されるスペクトルの数が小さいほど前記閾値を小さくすること
    を特徴とする請求項4に記載の元素検出方法。
  6. 前記元素検出処理により検出した元素の夫々について元素分布を生成すること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の元素検出方法。
  7. 放射線による試料の走査を行う走査部と、前記走査が行われた前記試料上の走査領域から発生した放射線を検出する放射線検出部と、前記走査領域に含まれる複数の点の夫々から発生した放射線のスペクトルを生成するスペクトル生成部と、前記試料に含まれる元素を検出するための処理を行う分析部とを備える元素検出装置において、
    前記分析部は、
    前記複数の点の夫々に前記スペクトルを関連付けたスペクトル分布を生成し、
    前記走査領域の広さ以下の広さを有する1以上の数の小領域を前記走査領域から抽出する抽出処理と、
    各小領域に含まれる複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する合成処理と、
    各小領域について生成した前記合成スペクトルに基づいて、前記試料に含まれる元素を検出する元素検出処理とを行い、
    各小領域の広さを変化させて、前記抽出処理、前記合成処理及び前記元素検出処理を繰り返すこと
    を特徴とする元素検出装置。
  8. コンピュータに、試料上の複数の点の夫々に各点から発生した放射線のスペクトルが関連付けられたスペクトル分布に基づいて、前記試料に含まれる元素の検出を行わせるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、
    前記試料上の前記複数の点が含まれる領域から、該領域の広さ以下の広さを有する1以上の数の小領域を抽出する抽出ステップと、
    各小領域に含まれる複数の点に関連付けられた複数のスペクトルを合成した合成スペクトルを生成する合成ステップと、
    各小領域について生成した前記合成スペクトルに基づいて、前記試料に含まれる元素を検出する元素検出ステップと、
    各小領域の広さを変化させて、前記抽出ステップ、前記合成ステップ及び前記元素検出ステップを繰り返すステップと
    を含む処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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