JPWO2020045578A1 - 前脳型興奮性神経細胞の製造方法 - Google Patents

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Abstract

前脳型興奮性神経細胞の製造方法であって、多能性幹細胞を、Bone morphogenetic protein(BMP)阻害剤、Transforming growth factor−β(TGF−β)阻害剤及びWnt阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型神経前駆細胞を得る工程と、前記前脳型神経前駆細胞を、Glial−Cell Derived Neurotrophic Factor(GDNF)、Brain derived neurotrophic factor(BDNF)、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型興奮性神経細胞を得る工程と、を含む、製造方法。

Description

本発明は、前脳型興奮性神経細胞の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、前脳型興奮性神経細胞の製造方法、前脳型興奮性神経細胞、前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトの共培養物、神経疾患の治療薬のスクリーニング方法、及び前脳型神経前駆細胞から前脳型興奮性神経細胞への分化誘導用培地に関する。本願は、2018年8月29日に日本に出願された特願2018−160426号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
多能性幹細胞を神経細胞に分化誘導する方法が盛んに検討されている。例えば、特許文献1には、多能性幹細胞を神経細胞に分化誘導する方法が記載されている。また、非特許文献1には、ヒト多能性幹細胞を3次元培養することにより、神経細胞及びアストロサイトが積層された大脳皮質様3次元培養物を作製したことが記載されている。
特開2013−123436号公報
Pasca A. M., et al., Functional cortical neurons and astrocytes from human pluripotent stem cells in 3D culture., Nat. Methods, 12 (7), 671-678, 2015.
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、多能性幹細胞から神経上皮細胞(神経前駆細胞)を分化誘導するものである。このため、特許文献1に記載の方法により、成熟した神経細胞を作製することは困難である。また、非特許文献1に記載された方法により、特定の神経細胞を大量に作製することは困難である。そこで、本発明は、成熟した機能的な神経細胞を製造する技術を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]前脳型興奮性神経細胞の製造方法であって、多能性幹細胞を、Bone morphogenetic protein(BMP)阻害剤、Transforming growth factor−β(TGF−β)阻害剤及びWnt阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型神経前駆細胞を得る工程と、前記前脳型神経前駆細胞を、Glial−Cell Derived Neurotrophic Factor(GDNF)、Brain derived neurotrophic factor(BDNF)、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型興奮性神経細胞を得る工程と、を含む、製造方法。
[2]前記細胞周期阻害剤が、G1期特異的細胞周期阻害剤である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記G1期特異的細胞周期阻害剤がCyclin dependent kinase(CDK)4又はCDK6の阻害剤である、[2]に記載の製造方法。
[4]前記前脳型神経前駆細胞を得る工程は、多能性幹細胞を、BMP阻害剤、TGF−β阻害剤及びWnt阻害剤の存在下で接着培養する第1工程と、前記第1工程の後の前記細胞を、BMP阻害剤及びTGF−β阻害剤の存在下で接着培養する第2工程と、を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記前脳型神経前駆細胞の純度が90%以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記前脳型興奮性神経細胞の純度が90%以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]培養容器に収容され、純度が90%以上であり、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体及びCalcium/calmodulin−dependent protein kinase II α(CAMK2α)が陽性であり、自発発火する、前脳型興奮性神経細胞。
[8][7]に記載の前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトの共培養物。
[9]被験物質の存在下で、請求項7に記載の前脳型興奮性神経細胞を培養する工程と、前記前脳型興奮性神経細胞の、形態、シナプス小胞、電気生理学的パラメータ又はマーカーの発現を評価し、評価結果を得る工程と、前記評価結果が、被験物質の非存在下における評価結果と比較して有意に変化したことが、前記被験物質が神経疾患の治療薬の候補であることを示す、神経疾患の治療薬のスクリーニング方法。
[10]被験物質の存在下で、[7]に記載の前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトを共培養する工程と、前記前脳型興奮性神経細胞の、形態、シナプス小胞、電気生理学的パラメータ又はマーカーの発現を評価し、評価結果を得る工程と、前記評価結果が、被験物質の非存在下における評価結果と比較して有意に変化したことが、前記被験物質が神経疾患の治療薬の候補であることを示す、神経疾患の治療薬のスクリーニング方法。
[11]GDNF、BDNF、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤を含有する、前脳型神経前駆細胞から前脳型興奮性神経細胞への分化誘導用培地。
本発明によれば、成熟した機能的な神経細胞を製造する技術を提供することができる。
(a)〜(f)は、実験例1において、8%KSR含有GMEM培地を用いて分化誘導した細胞におけるSox1及びOct4の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示すグラフである。 (a)〜(f)は、実験例1において、N2B27培地を用いて分化誘導した細胞におけるSox1及びOct4の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示すグラフである。 (a)〜(d)は、それぞれ、実験例2において分化誘導した細胞における、POU5F1遺伝子、NANOG遺伝子、SOX1遺伝子、FOXG1遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。 (a)〜(c)は、実験例2において分化誘導した細胞におけるFORSE−1の発現量をフローサイトメトリーにより解析した結果を示すグラフである。 多能性幹細胞を前脳型興奮性神経細胞に分化誘導するスケジュールを示す模式図である。 実験例3における免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 (a)〜(c)は実験例4において、再播種(Replating)から6日間接着培養後の細胞の顕微鏡写真である。 (a)〜(d)は、それぞれ、実験例4において分化誘導した細胞における、GRIA1遺伝子、GRIA2遺伝子、GRIA3遺伝子及びGRIA4遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。 (a)〜(c)は、それぞれ、実験例4において分化誘導した細胞における、GRIN1遺伝子、GRIN2A遺伝子及びGRIN2B遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。 (a)〜(c)は、それぞれ、実験例4において分化誘導した細胞における、SYN1遺伝子、DLG4遺伝子及びCAMK2A遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。 (a)〜(d)は、それぞれ、実験例4において分化誘導した細胞における、CACNG2遺伝子、CACNG3遺伝子、CACNG4遺伝子及びCACNG8遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。 (a)及び(b)は、それぞれ、実験例4において分化誘導した細胞における、Tau遺伝子及び4R Tau遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。 (a)〜(c)は、実験例6における細胞の免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。(a)はMAP2を免疫染色した写真であり、(b)はFoxg1を免疫染色した写真であり、(c)は(a)及び(b)の写真を重ね合わせたものである。 (a)〜(c)は、実験例6における細胞の免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。(a)はMAP2を免疫染色した写真であり、(b)はNeuNを免疫染色した写真であり、(c)は(a)及び(b)の写真を重ね合わせたものである。 (a)及び(b)は、実験例6における免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。(a)はMAP2の免疫染色画像及びTbr1の免疫染色画像を重ね合わせたものであり、(b)はMAP2の免疫染色画像及びCtip2の免疫染色画像を重ね合わせたものである。 (a)及び(b)は、実験例6における免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。(a)はSyn1の免疫染色画像、vGluT1の免疫染色画像及びMAP2の免疫染色画像を重ね合わせたものであり、(b)はvGluT2の免疫染色画像、Homer1の免疫染色画像及びMAP2の免疫染色画像を重ね合わせたものである。 (a)及び(b)は、実験例6における免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。(a)は4R Tauを免疫染色した写真であり、(b)は(a)と同じ視野においてMAP2を免疫染色した写真である。 (a)及び(b)は、実験例7において、神経細胞へのカルシウムイオンの流入を測定した結果を示すラスタープロットである。(a)は、テトロドトキシンの非存在下で測定した結果であり、(b)は、テトロドトキシンの存在下で測定した結果である。 実験例7において、MEA解析により神経細胞の自発発火を検出した結果を示すラスタープロットである。 (a)〜(c)は、実験例7におけるパッチクランプ解析の結果を示すグラフである。 (a)〜(c)は、実験例8において、前脳型神経細胞のグルタミン酸誘発興奮毒性(還元能)を評価した結果を示すグラフである。(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。 (a)〜(c)は、実験例9において、前脳型神経細胞の神経突起長を測定し、グルタミン酸誘発興奮毒性(神経突起長)を評価した結果を示すグラフである。(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。 (a)〜(c)は、実験例10において、前脳型神経細胞の還元能を評価した結果を示すグラフである。(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。 (a)〜(c)は、実験例11において、前脳型神経細胞の神経突起長を測定した結果を示すグラフである。(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。 (a)は、実験例12におけるAβ40ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。(b)は、実験例12におけるAβ42ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。 (a)は、実験例13におけるAβ40ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。(b)は、実験例13におけるAβ42ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。(c)は、(a)及び(b)に基づいて、Aβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの産生量の比(Aβ42ペプチドの産生量/Aβ40ペプチドの産生量)を算出した結果を示すグラフである。
[遺伝子名及びタンパク質名の表記]
本明細書では、ヒト遺伝子及びヒトタンパク質は、大文字のアルファベットで表すものとする。また、マウス遺伝子は、先頭文字を大文字のアルファベットで、それ以降を小文字のアルファベットで表すものとする。また、マウスタンパク質は大文字のアルファベットで表すものとする。しかしながら、場合により、ヒト遺伝子、マウス遺伝子、その他の種の遺伝子を厳密に区別せずに表す場合がある。また、ヒトタンパク質、マウスタンパク質、その他の種のタンパク質を厳密に区別せずに表す場合がある。
[前脳型興奮性神経細胞の製造方法]
1実施形態において、本発明は、前脳型興奮性神経細胞の製造方法であって、多能性幹細胞を、BMP阻害剤、TGF−β阻害剤及びWnt阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型神経前駆細胞を得る工程と、前記前脳型神経前駆細胞を、GDNF、BDNF、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型興奮性神経細胞を得る工程と、を含む、製造方法を提供する。
実施例において後述するように、発明者らは、本実施形態の製造方法により、ヒトiPS細胞、ヒトES細胞等の複数種類の多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型興奮性神経細胞を製造することができることを明らかにした。
得られた前脳型興奮性神経細胞は、分化誘導の全工程を接着培養による単層培養で行うことができ、純度が90%以上であった。ここで、純度が90%以上であるとは、分化誘導した細胞の90%以上が前脳型興奮性神経細胞になることを意味する。
すなわち、本実施形態の製造方法により得られる前脳型興奮性神経細胞の純度は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることが更に好ましく、100%であることが特に好ましい。
本明細書において、前脳型興奮性神経細胞の純度が高いとは、培養容器中に存在する細胞のうち、前脳型興奮性神経細胞が占める割合が高いことを意味し、前脳型興奮性神経細胞の分化効率が高いといいかえることもできる。
また、本実施形態の製造方法において、前脳型神経前駆細胞を得る工程で得られる前脳型神経前駆細胞の純度も90%以上である。ここで、純度が90%以上であるとは、神経前駆細胞を分化誘導した場合に、細胞の90%以上が前脳型神経細胞になることを意味する。
分化誘導を接着培養による単層培養で行うことにより、必要な培地が比較的少量であり、培養に必要なスペースも少ないため、より低コストに前脳型興奮性神経細胞を製造することができる。なお、細胞の接着培養は、細胞接着用の表面コートがなされた培養容器を用いて細胞を培養することにより行うことができる。
本実施形態の製造方法は、フィーダー細胞の存在下で実施してもよく、フィーダー細胞を使用しない条件で実施してもよいが、フィーダー細胞を使用しない条件で実施することが好ましい。フィーダー細胞を使用しないことにより、不純物の混入が低減された前脳型興奮性神経細胞を製造することができる。
本実施形態の製造方法において、多能性幹細胞は、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)であってもよく、例えばES細胞であってもよい。また、上記の多能性幹細胞はヒト由来の細胞であってもよく、マウス、ラット、ブタ、ヤギ、ヒツジ、サル等の非ヒト動物由来の細胞であってもよい。
また、上記の多能性幹細胞は、健常人由来の人工多能性幹細胞であってもよく、神経疾患患者由来の人工多能性幹細胞であってもよい。神経疾患患者由来の人工多能性幹細胞から前脳型興奮性神経細胞を製造した場合、得られた前脳型興奮性神経細胞を神経疾患のモデルとして用いることができる。このような前脳型興奮性神経細胞は、神経疾患のメカニズムの解明や疾患治療薬のスクリーニング等に有用である。
本実施形態の製造方法において、BMP阻害剤としては、DMH1、Dorsomorphin、LDN−193189等を使用することができる。また、TGF−β阻害剤としては、SB431542、A83−01、RepSox等を使用することができる。また、Wnt阻害剤としては、IWP2、IWP3、IWP4、XAV939、Dkk1等を使用することができる。
また、細胞周期阻害剤は、G1期特異的細胞周期阻害剤であることが好ましい。細胞周期阻害剤を培地に添加することにより、前脳型興奮性神経細胞への分化誘導を促進することができる。また、G1期特異的細胞周期阻害剤は、CDK4又はCDK6の阻害剤であることが好ましい。より具体的なG1期特異的細胞周期阻害剤としては、PD0332991、CINK4、LY2835219、LEE011等が挙げられる。
また、γセクレターゼ阻害剤としては、DAPT(γ−secretase inhibitor IX)、Compound E、γ−secretase inhibitor XI、γ−secretase inhibitor III等が挙げられる。
前脳型神経前駆細胞を接着培養し、前脳型興奮性神経細胞を得る工程においては、培地に更にROCK阻害剤を添加することが好ましい。ROCK阻害剤としては、Y27632等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、前脳型神経前駆細胞を得る工程は、多能性幹細胞を、BMP阻害剤、TGF−β阻害剤及びWnt阻害剤の存在下で接着培養する第1工程と、前記第1工程の後の前記細胞を、BMP阻害剤及びTGF−β阻害剤の存在下で接着培養する第2工程とを含むことが好ましい。すなわち、第1工程の培地にWnt阻害剤を添加し、第2工程の培地にはWnt阻害剤を添加しないことが好ましい。
実施例において後述するように、前脳型神経前駆細胞を得る工程が、培地にWnt阻害剤を添加する第1工程と、培地にWnt阻害剤を添加しない第2工程とを含むことにより、前脳型マーカーを発現する細胞がより多く得られる傾向にある。ここで、第1工程は約1週間行うことが好ましく、第2工程も約1週間行うことが好ましい。
本実施形態の製造方法において、前脳型神経前駆細胞を得る工程の後、前脳型神経前駆細胞を、GDNF、BDNF、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤の存在下で接着培養する工程の前に、細胞を単一細胞に解離させて播種しなおしてもよい。ここで、単一細胞に解離させるとは、培養容器に接着している細胞を1個ずつばらばらに解離させることを意味する。単一細胞への解離は、通常、細胞の解離に用いられる、アキュターゼ、トリプシン、コラゲナーゼ等の酵素処理を行い、ピペッティングすること等により行うことができる。
[前脳型興奮性神経細胞]
1実施形態において、本発明は、培養容器に収容され、純度が90%以上であり、AMPA受容体、NMDA受容体及びCAMK2αが陽性であり、自発発火する、前脳型興奮性神経細胞を提供する。本実施形態の前脳型興奮性神経細胞は、vGlut1陽性又はvGlut2陽性であり、興奮性シナプス伝達を行う細胞であるということもできる。本実施形態の前脳型興奮性神経細胞は、vGlut1陽性かつvGlut2陽性であってもよい。
本実施形態の前脳型興奮性神経細胞は、上述した製造方法により製造することができるものである。従来、このような純度の前脳型興奮性神経細胞を製造することは困難であった。これに対し、上述した製造方法により、このような前脳型興奮性神経細胞を製造することができる。
ここで、AMPA受容体が陽性であること、NMDA受容体が陽性であること、自発発火することは、興奮性の神経細胞であることを示す。
また、従来の方法では、多能性幹細胞からCAMK2αが陽性の神経細胞を製造することは困難であった。これに対し、実施例において後述するように、本実施形態の前脳型興奮性神経細胞はCAMK2αが陽性であり、機能的な神経細胞である。また、従来の方法では、多能性幹細胞から4R Tauが陽性の神経細胞を製造することは困難であった。これに対し、実施例において後述するように、本実施形態の前脳型興奮性神経細胞は4R Tauが陽性であり、機能的な神経細胞である。
[前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトの共培養物]
1実施形態において、本発明は上述した前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトの共培養物を提供する。
ここで、アストロサイトとしては、多能性幹細胞から分化誘導したアストロサイト等が挙げられる。この場合、アストロサイトの分化誘導に用いる多能性幹細胞は、前脳型興奮性神経細胞の分化誘導に用いる多能性幹細胞と同様であってよい。
前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトの共培養物は、前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトが共培養された共培養系といいかえることができる。共培養物とは、すなわち、培養容器内で共培養された前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトであり、これに培地、培養容器を含めてもよい。
本実施形態の共培養物を用いることにより、神経疾患の治療薬のスクリーニング、神経疾患のメカニズムの解明等を行うことができる。
[神経疾患の治療薬のスクリーニング方法]
1実施形態において、本発明は、被験物質の存在下で、上述した前脳型興奮性神経細胞を培養する工程と、前記前脳型興奮性神経細胞の、形態、シナプス小胞、電気生理学的パラメータ又はマーカーの発現を評価し、評価結果を得る工程と、前記評価結果が、被験物質の非存在下における評価結果と比較して有意に変化したことが、前記被験物質が神経疾患の治療薬の候補であることを示す、神経疾患の治療薬のスクリーニング方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、被験物質の存在下で、上述した前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトを共培養する工程と、前記前脳型興奮性神経細胞の、形態、シナプス小胞又は電気生理学的パラメータを評価し、評価結果を得る工程と、前記評価結果が、被験物質の非存在下における評価結果と比較して有意に変化したことが、前記被験物質が神経疾患の治療薬の候補であることを示す、神経疾患の治療薬のスクリーニング方法を提供する。本実施形態のスクリーニング方法は、上述したスクリーニング方法と比較して、前脳型興奮性神経細胞をアストロサイトと共培養する点において主に異なっている。アストロサイトと共培養することにより、前脳型興奮性神経細胞のみを用いたスクリーニングよりも、より生体内に近い環境でスクリーニングを行うことができる。
本実施形態のスクリーニング方法において、被験物質としては特に制限されず、例えば、天然化合物ライブラリ、合成化合物ライブラリ、既存薬ライブラリ、代謝物ライブラリ等が挙げられる。既存薬ライブラリには、例えば核酸医薬品も含まれる。
前脳型興奮性神経細胞の形態の評価としては、例えば、共培養した前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトをパラホルムアルデヒド固定後、免疫染色により神経細胞のマーカーを染色し、顕微鏡観察により神経突起の長さを測定することが挙げられる。神経細胞のマーカーとしては、例えば、MAP2、Tau1、β3Tubulin等が挙げられる。
前脳型興奮性神経細胞のシナプス小胞の評価とは、例えば、パラホルムアルデヒド固定後、免疫染色によりシナプス関連タンパク質を染色し、顕微鏡観察によりその数を計測することが挙げられる。シナプス関連タンパク質として、例えば、Synapsin1、Bassoon、vGluT1、vGluT2、Synapsophysin等が挙げられる。
前脳型興奮性神経細胞の電気生理学的パラメータの評価とは、例えば、Ca2+イメージング、微小電極アレイ(Microelectrode array、MEA)解析、パッチクランプ解析等により、神経細胞の同期発火、自発性活動電位(sAP)、自発的な興奮性シナプス後電流(sEPSC)等を評価すること等が挙げられる。
前脳型興奮性神経細胞のマーカーの発現の評価は、遺伝子レベルで行ってもよいし、タンパク質レベルで行ってもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、FOXG1、SIX3、TBR1、BCL11B、SATB2、POU3F2、TLE4、CUX1、CAMK2A、DLG4、HOMER1、GRIA1、GRIA2、GRIA3、GRIA4、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、PSEN1、PSEN2、APH1A、APH1B、PEN2、NCSTN、BACE1、APP等が挙げられる。マーカー遺伝子の発現は、例えば、マイクロアレイ解析、リアルタイムPCR解析等により評価することができる。
また、マーカータンパク質としては、例えば、アミロイドβ40ペプチド、アミロイドβ42ペプチド、Foxg1、Six3、Tbr1、Ctip2、Satb2、Brn2、Tle4、Cux1、Camk2A、PSD95、Homer1、GluR1、GluR2、GluR3、GluR4、NR1、NR2A、NR2B、PSEN1、PSEN2、APH1A、APH1B、PEN2、Nicastrin、BACE1、APP等が挙げられる。マーカータンパク質の発現は、例えば、免疫染色、ウエスタンブロッティング、ELISA等により評価することができる。
被験物質の存在下における、前脳型興奮性神経細胞の、形態、シナプス小胞、電気生理学的パラメータ又はマーカーの発現の評価結果が、被験物質の非存在下における評価結果と比較して有意に変化した場合、上記の被験物質は神経疾患の治療薬の候補であると判断することができる。
[前脳型興奮性神経細胞への分化誘導用培地]
1実施形態において、本発明は、GDNF、BDNF、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤を含有する、前脳型神経前駆細胞から前脳型興奮性神経細胞への分化誘導用培地を提供する。
実施例において後述するように、本実施形態の培地により、前脳型神経前駆細胞を前脳型興奮性神経細胞に効率よく分化誘導することができる。本実施形態の培地において、細胞周期阻害剤は、上述したものと同様であり、G1期特異的細胞周期阻害剤であることが好ましい。また、G1期特異的細胞周期阻害剤は、CDK4又はCDK6の阻害剤であることが好ましい。より具体的なG1期特異的細胞周期阻害剤としては、PD0332991、CINK4、LY2835219、LEE011等が挙げられる。
また、γセクレターゼ阻害剤としては、DAPT(γ−secretase inhibitor IX)、Compound E、γ−secretase inhibitor XI、γ−secretase inhibitor III等が挙げられる。
本実施形態の分化誘導用培地は、更にROCK阻害剤を含有することが好ましい。ROCK阻害剤としては、Y27632等が挙げられる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
(ヒトiPS細胞の外胚葉への分化誘導条件の検討)
ヒトiPS細胞株である201B7を、BMP阻害剤及びTGF−β阻害剤を添加した培地で12日間培養し、外胚葉への分化誘導条件を検討した。
培地として、8%KSR(型式「10828−028」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)含有GMEM培地(型式「078−05525」、和光純薬工業株式会社)、及びN2B27培地(タカラバイオ株式会社)を検討した。
また、BMP阻害剤として、終濃度2μM又は終濃度5μMのDMH1(型式「041−33881」、和光純薬工業株式会社)を使用した。また、TGF−β阻害剤として、終濃度2μM又は終濃度10μMのSB431542(型式「S4317」、シグマアルドリッチ社)を使用した。
また、培養開始から1日間は、iPS細胞の死滅を抑制するため、ROCK阻害剤であるY27632(型式「253−00513」、和光純薬工業株式会社)を終濃度10μMで培地に添加した。
外胚葉への分化は、Sox1の発現を検出することにより検討した。また、未分化マーカーとしてOct4の発現を検討した。
図1(a)〜(f)は、8%KSR含有GMEM培地を用いた場合におけるSox1及びOct4の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示すグラフである。図1(a)〜(c)はアイソタイプコントロール抗体を用いて各細胞を染色した対照の結果である。また、図1(d)〜(f)は抗Oct4抗体及び抗Sox1抗体を用いて各細胞を染色した結果である。図1(d)〜(f)中、縦軸はOct4の発現量を示し、横軸はSox1の発現強度を示す。また、図1(a)及び(d)はBMP阻害剤及びTGF−β阻害剤を培地に添加しなかった結果である。また、図1(b)及び(e)は終濃度2μMのDMH1及び終濃度2μMのSB431542を培地に添加した結果である。また、図1(c)及び(f)は終濃度5μMのDMH1及び終濃度10μMのSB431542を培地に添加した結果である。
また、図2(a)〜(f)は、N2B27培地を用いた場合におけるSox1及びOct4の発現をフローサイトメトリーにより解析した結果を示すグラフである。図2(a)〜(c)はアイソタイプコントロール抗体を用いて各細胞を染色した対照の結果である。また、図2(d)〜(f)は抗Oct4抗体及び抗Sox1抗体を用いて各細胞を染色した結果である。図2(d)〜(f)中、縦軸はOct4の発現量を示し、横軸はSox1の発現強度を示す。また、図2(a)及び(d)はBMP阻害剤及びTGF−β阻害剤を培地に添加しなかった結果である。また、図2(b)及び(e)は終濃度2μMのDMH1及び終濃度2μMのSB431542を培地に添加した結果である。また、図2(c)及び(f)は終濃度5μMのDMH1及び終濃度10μMのSB431542を培地に添加した結果である。
その結果、8%KSR含有GMEM培地を用いて、2μMのDMH1及び終濃度2μMのSB431542を培地に添加した場合、及び、5μMのDMH1及び終濃度10μMのSB431542を培地に添加した場合において、未分化マーカーであるOct4の発現が減少し、Sox1の発現が増加したことが明らかとなった。
一方、培地にN2B27培地を用いた場合には、未分化マーカーであるOct4の発現が十分に減少せず、Sox1の発現の増加も明確でない傾向が認められた。
以上の結果から、多能性幹細胞を外胚葉に分化させる条件としては、8%KSR含有GMEM培地を用いて、2μMのDMH1及び終濃度2μMのSB431542を培地に添加する条件がよいと考えられた。
[実験例2]
(多能性幹細胞から前脳型神経前駆細胞への分化誘導条件の検討)
実験例1で検討した分化誘導条件に加えて、培地にWnt阻害剤を添加することにより、多能性幹細胞を前脳型神経前駆細胞に分化誘導する条件を検討した。
具体的には、ヒトiPS細胞株である201B7を、BMP阻害剤及びTGF−β阻害剤を添加した培地で12日間培養した。BMP阻害剤として、終濃度2μMのDMH1(型式「041−33881」、和光純薬工業株式会社)を使用した。また、TGF−β阻害剤として、終濃度2μMのSB431542(型式「S4317」、シグマアルドリッチ社)を使用した。また、Wnt阻害剤として、終濃度2μMのIWP2(型式「I0536」、シグマアルドリッチ社)を使用した。また、培養開始から1日間は、iPS細胞の死滅を抑制するため、ROCK阻害剤であるY27632(型式「253−00513」、和光純薬工業株式会社)を終濃度10μMで培地に添加した。
Wnt阻害剤の添加条件として、培養開始後1〜12日間、培養開始後1〜7日間、培養開始後5〜12日間を検討した。
続いて、各細胞における、未分化マーカー遺伝子、外胚葉マーカー遺伝子及び前脳型神経細胞のマーカー遺伝子の発現を定量RT−PCRにより測定し、前脳型神経前駆細胞に分化したか否かを検討した。
図3(a)〜(d)は、未分化マーカーであるPOU5F1遺伝子及びNANOG遺伝子、外胚葉マーカーであるSOX1遺伝子、前脳型神経細胞のマーカーであるFOXG1遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。なお、POU5F1遺伝子はOct4タンパク質をコードする遺伝子であり、SOX1遺伝子は、Sox1タンパク質をコードする遺伝子である。
図3(a)はPOU5F1遺伝子の測定結果を示し、図3(b)はNANOG遺伝子の測定結果を示し、図3(c)はSOX1遺伝子の測定結果を示し、図3(d)はFOXG1遺伝子の測定結果を示す。
図3(a)〜(d)中、各遺伝子の発現量はACTB遺伝子の発現量により標準化した。また、「Undiff」は未分化のiPS細胞を用いた結果を示し、「d1−12」はWnt阻害剤を培養開始後1〜12日間培地に添加した結果を示し、「d1−7」はWnt阻害剤を培養開始後1〜7日間培地に添加した結果を示し、「d5−12」はWnt阻害剤を培養開始後5〜12日間培地に添加した結果を示す。
その結果、図3(a)、(b)に示すように、いずれの条件においても、未分化マーカーの発現量が減少することが明らかとなった。また、図3(c)に示すように、いずれの条件においても、外胚葉マーカーの発現量が上昇することが明らかとなった。また、図3(d)に示すように、Wnt阻害剤を培養開始後1〜12日間培地に添加した場合、又はWnt阻害剤を培養開始後1〜7日間培地に添加した場合に前脳型神経細胞のマーカーの発現量が顕著に増加することが明らかとなった。
続いて、前脳型神経細胞のマーカーであるFORSE−1の発現量をフローサイトメトリーにより解析した。
図4(a)〜(c)は、解析結果を示すグラフである。図4(a)〜(c)中、「d1−12」はWnt阻害剤を培養開始後1〜12日間培地に添加した結果を示し、「d1−7」はWnt阻害剤を培養開始後1〜7日間培地に添加した結果を示し、「d5−12」はWnt阻害剤を培養開始後5〜12日間培地に添加した結果を示す。また、縦軸は細胞数を示し、横軸はFORSE−1の発現強度を示す。
その結果、図4(b)に示すように、Wnt阻害剤を培養開始後1〜7日間培地に添加した場合において、FORSE−1陽性細胞が最も多く得られることが明らかとなった。また、免疫染色による解析によってもフローサイトメトリーと同様の結果が得られた。
以上の結果から、多能性幹細胞から前脳型神経前駆細胞への分化誘導条件としては、Wnt阻害剤を培養開始後1〜7日間培地に添加する条件がよいと考えられた。
[実験例3]
(多能性幹細胞から前脳型興奮性神経細胞への分化誘導)
図5に示すスケジュールで多能性幹細胞を分化誘導し前脳型神経細胞を得た。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7を使用した。なお、後述するように、この神経細胞は前脳型興奮性神経細胞であることが明らかとなった。
図5中、「div」は培養後の日数を示し、「Replating」(再播種)は、細胞を培養容器から剥離させて単一細胞に解離させた後、新しい培養容器に播種したことを示す。また、GMEM、KSR、DMH1、SB431542、Y27632、IWP2は上述したものと同様である。
また、「BrainPhys medium」(型式「#05793」、ステムセルテクノロジーズ社)は培地を示す。また、「DAPT」(型式「D5942−5MG」、シグマアルドリッチ社)はγ−セクレターゼ阻害剤を示し、「AA」(型式「A4403−100MG」、シグマアルドリッチ社)はアスコルビン酸を示し、「dbcAMP」(型式「D0627−1G」、シグマアルドリッチ社)はジブチリルcAMPを示し、「PD0332991」(型式「PZ0199」、シグマアルドリッチ社)は、CDK4/6阻害剤を示す。また、GDNF(型式「450−10」、ペプロテック社)、BDNF(型式「248−BD−025」、R&D社)も使用した。
図6は、図5に示すスケジュールで多能性幹細胞を分化誘導した多能性幹細胞における、Sox1、Oct3/4、Pax6の発現の継時的変化を検討した免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。
再播種(Replating)から3週間後の神経細胞を観察した結果、自発発火することが明らかとなった。詳細については後述する。この結果は、得られた神経細胞が興奮性神経細胞であることを示す。
また、培地として「BrainPhys medium」の代わりに「Neurobasal medium」(型式「21103049」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を使用した点以外は上記と同様にして分化誘導した神経細胞についても自発発火するか否かを検討した。その結果、培地として「BrainPhys medium」を使用して分化誘導した神経細胞のほうが、より良好に自発発火することが明らかとなった。
[実験例4]
(コート剤の検討)
神経細胞の凝集が発生すると、画像処理による測定対象分子の定量等の精度が低下する場合がある。このため、神経細胞を凝集させずに単一の層を形成させることができると好ましい。
そこで、培養容器の表面コートを検討した。具体的には、図5に示すスケジュールにおいて、再播種(Replating)後の培養容器の表面コートを検討した。表面コートとしては、ポリ−L−リジン(型式「P4832」、シグマアルドリッチ社)及びラミニン(型式「23017015」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)の両者によるコート、マトリゲル(コーニング社)コート、及びラミニン(型式「23017015」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)コートを検討した。
図7(a)〜(c)は再播種(Replating)から6日間接着培養後の各細胞の顕微鏡写真である。スケールバーは100μmである。図7(a)はポリ−L−リジン及びラミニンによるコートの結果であり、図7(b)はマトリゲルコートの結果であり、図7(c)はラミニンコートの結果である。
その結果、マトリゲルコート、ラミニンコートでは、神経細胞の凝集が観察された。これに対し、ポリ−L−リジン及びラミニンによるコートでは、神経細胞の凝集が観察されず、神経細胞の単一の層が形成されることが明らかとなった。
[実験例5]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析1)
図5に示すスケジュールで多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7を使用した。
続いて、興奮性神経細胞の指標である、AMPA受容体遺伝子及びNMDA受容体遺伝子の発現を定量RT−PCRにより測定した。また、シナプス関連遺伝子、TARPγファミリー遺伝子、Tau遺伝子の発現についても定量RT−PCRにより測定した。
《AMPA受容体》
図8(a)〜(d)は、AMPA受容体遺伝子である、GRIA1遺伝子、GRIA2遺伝子、GRIA3遺伝子及びGRIA4遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。図8(a)はGRIA1遺伝子の測定結果を示し、図8(b)はGRIA2遺伝子の測定結果を示し、図8(c)はGRIA3遺伝子の測定結果を示し、図8(d)はGRIA4遺伝子の測定結果を示す。
図8(a)〜(d)中、各遺伝子の発現量はACTB遺伝子の発現量により標準化した。また、「iPS」は未分化のiPS細胞の測定結果を示し、「1−2wk(NPC)」は分化誘導開始から1〜2週間の神経前駆細胞の測定結果を示し、「3−4wk」、「5−6wk」、「7−8wk」、「9−10wk」、「15−16wk」は、それぞれ、分化誘導開始から3〜4週間、5〜6週間、7〜8週間、9〜10週間、15〜16週間の神経細胞の測定結果を示し、「Cerebral cortex」は市販のヒト大脳皮質RNA(型式「636561」、クロンテック社)を用いた測定結果を示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞では、AMPA受容体遺伝子の発現の増加が認められた。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導することにより、前脳型興奮性神経細胞が得られることを示す。
《NMDA受容体》
図9(a)〜(c)は、NMDA受容体遺伝子である、GRIN1遺伝子、GRIN2A遺伝子及びGRIN2B遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。図9(a)はGRIN1遺伝子の測定結果を示し、図9(b)はGRIN2A遺伝子の測定結果を示し、図9(c)はGRIN2B遺伝子の測定結果を示す。
図9(a)〜(c)中、各遺伝子の発現量はACTB遺伝子の発現量により標準化した。また、「iPS」は未分化のiPS細胞の測定結果を示し、「1−2wk(NPC)」は分化誘導開始から1〜2週間の神経前駆細胞の測定結果を示し、「3−4wk」、「5−6wk」、「7−8wk」、「9−10wk」、「15−16wk」は、それぞれ、分化誘導開始から3〜4週間、5〜6週間、7〜8週間、9〜10週間、15〜16週間の神経細胞の測定結果を示し、「Cerebral cortex」は市販のヒト大脳皮質RNA(型式「636561」、クロンテック社)を用いた測定結果を示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞では、NMDA受容体遺伝子の発現の増加が認められた。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導することにより、前脳型興奮性神経細胞が得られることを更に支持するものである。
《シナプス関連遺伝子》
図10(a)〜(c)は、シナプス関連遺伝子である、SYN1遺伝子、DLG4遺伝子及びCAMK2A遺伝子のmRNAレベルでの発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。
図10(a)はSYN1遺伝子の測定結果を示し、図10(b)はDLG4遺伝子の測定結果を示し、図10(c)はCAMK2A遺伝子の測定結果を示す。なお、CAMK2A遺伝子はCAMK2αタンパク質をコードする遺伝子である。
図10(a)〜(c)中、各遺伝子の発現量はACTB遺伝子の発現量により標準化した。また、「iPS」は未分化のiPS細胞の測定結果を示し、「1−2wk(NPC)」は分化誘導開始から1〜2週間の神経前駆細胞の測定結果を示し、「3−4wk」、「5−6wk」、「7−8wk」、「9−10wk」、「15−16wk」は、それぞれ、分化誘導開始から3〜4週間、5〜6週間、7〜8週間、9〜10週間、15〜16週間の神経細胞の測定結果を示し、「Cerebral cortex」は市販のヒト大脳皮質RNA(型式「636561」、クロンテック社)を用いた測定結果を示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞では、シナプス関連遺伝子の発現の増加が認められた。また、従来発現させることが困難であったCAM2KA遺伝子の発現も認められた。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導することにより、前脳型興奮性神経細胞が得られることを更に支持するものである。
《TARPγファミリー遺伝子》
図11(a)〜(d)は、AMPA受容体の制御タンパク質である、TARPγファミリー遺伝子の発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。TARPγファミリー遺伝子として、CACNG2遺伝子、CACNG3遺伝子、CACNG4遺伝子、CACNG8遺伝子を検討した。
図11(a)はCACNG2遺伝子の測定結果を示し、図11(b)はCACNG3遺伝子の測定結果を示し、図11(c)はCACNG4遺伝子の測定結果を示し、図11(d)はCACNG8遺伝子の測定結果を示す。
図11(a)〜(d)中、各遺伝子の発現量はACTB遺伝子の発現量により標準化した。また、「iPS」は未分化のiPS細胞の測定結果を示し、「1−2wk(NPC)」は分化誘導開始から1〜2週間の神経前駆細胞の測定結果を示し、「3−4wk」、「5−6wk」、「7−8wk」、「9−10wk」、「15−16wk」は、それぞれ、分化誘導開始から3〜4週間、5〜6週間、7〜8週間、9〜10週間、15〜16週間の神経細胞の測定結果を示し、「Cerebral cortex」は市販のヒト大脳皮質RNA(型式「636561」、クロンテック社)を用いた測定結果を示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞では、TARPγファミリー遺伝子の発現の増加が認められた。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導することにより、前脳型興奮性神経細胞が得られることを更に支持するものである。
《Tau遺伝子》
図12(a)は、Tau遺伝子の発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。図12(b)は、4R Tau遺伝子の発現を定量RT−PCRにより測定した結果を示すグラフである。4R Tauは、Tauタンパク質のアイソフォームの一種である。
図12(a)中、「MAPT」はTau遺伝子を示す。また、図12(b)中、「MAPT_4R」は4R Tau遺伝子を示す。また、図12(a)及び(b)中、各遺伝子の発現量はACTB遺伝子の発現量により標準化した。また、「iPS」は未分化のiPS細胞の測定結果を示し、「1−2wk(NPC)」は分化誘導開始から1〜2週間の神経前駆細胞の測定結果を示し、「3−4wk」、「5−6wk」、「7−8wk」、「9−10wk」、「15−16wk」は、それぞれ、分化誘導開始から3〜4週間、5〜6週間、7〜8週間、9〜10週間、15〜16週間の神経細胞の測定結果を示し、「Cerebral cortex」は市販のヒト大脳皮質RNA(型式「636561」、クロンテック社)を用いた測定結果を示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞では、4R Tau遺伝子の発現の増加が認められた。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導することにより、4R Tau陽性の神経細胞が得られることを示す。従来、多能性幹細胞から分化誘導することにより4R Tau陽性の神経細胞を作製することは困難であった。
[実験例6]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析2)
図5に示すスケジュールで多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7を使用した。
《前脳型神経細胞のマーカーの免疫染色》
iPS細胞から分化誘導し3週間後の細胞をパラホルムアルデヒド固定し、免疫染色により、神経細胞のマーカーであるMAP2及び前脳型神経細胞のマーカーであるFoxg1の発現を検討した。
図13(a)〜(c)は、免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmである。図13(a)はMAP2を免疫染色した写真であり、図13(b)はFoxg1を免疫染色した写真であり、図13(c)は図13(a)及び(b)の写真を重ね合わせたものである。
その結果、ほぼ全ての細胞が、MAP2及びFoxg1を発現していることが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導することにより、ほぼ全ての細胞がFoxg1陽性神経細胞、すなわち前脳型神経細胞に分化したことを示す。
《成熟型神経細胞のマーカーの免疫染色》
続いてiPS細胞から分化誘導し5週間後の細胞をパラホルムアルデヒド固定し、免疫染色により、神経細胞のマーカーであるMAP2及び成熟型神経細胞のマーカーであるNeuNの発現を検討した。
図14(a)〜(c)は、免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは100μmである。図14(a)はMAP2を免疫染色した写真であり、図14(b)はNeuNを免疫染色した写真であり、図14(c)は図14(a)及び(b)の写真を重ね合わせたものである。
その結果、ほぼ全ての細胞が、MAP2及びNeuNを発現していることが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導することにより、ほぼ全ての細胞が成熟型神経細胞に分化したことを示す。
《大脳皮質マーカーの免疫染色》
続いてiPS細胞から分化誘導し3週間後の細胞をパラホルムアルデヒド固定し、免疫染色により、神経細胞のマーカーであるMAP2及び大脳皮質マーカーであるTbr1及びCtip2Nの発現を検討した。
図15(a)及び(b)は、免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmである。図15(a)はMAP2の免疫染色画像及びTbr1の免疫染色画像を重ね合わせたものであり、図15(b)はMAP2の免疫染色画像及びCtip2の免疫染色画像を重ね合わせたものである。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導して得られた神経細胞は、大脳皮質マーカーを発現することが明らかとなった。
《興奮性シナプスマーカーの免疫染色》
続いてiPS細胞から分化誘導し10週間後の細胞をパラホルムアルデヒド固定し、免疫染色により、興奮性シナプスマーカーであるvGluT1及びHomer1の発現を検討した。また、神経細胞のマーカーであるMAP2、シナプス小胞のマーカーであるSyn1、興奮性シナプスのマーカーであるvGluT2の発現も検討した。
図16(a)及び(b)は、免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは50μmである。図16(a)はSyn1の免疫染色画像、vGluT1の免疫染色画像及びMAP2の免疫染色画像を重ね合わせたものであり、図16(b)はvGluT2の免疫染色画像、Homer1の免疫染色画像及びMAP2の免疫染色画像を重ね合わせたものである。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導して得られた神経細胞は、興奮性シナプスを形成することが明らかとなった。
《4R Tauの免疫染色》
続いてiPS細胞から分化誘導し7週間後の細胞をパラホルムアルデヒド固定し、免疫染色により、Tauタンパク質のアイソフォームの一種である4R Tauの発現を検討した。また、神経細胞のマーカーであるMAP2の発現も検討した。
図17(a)及び(b)は、免疫染色の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。図17(a)は4R Tauを免疫染色した写真であり、図17(b)は図17(a)と同じ視野においてMAP2を免疫染色した写真である。図17(a)中、矢印は4R Tau陽性細胞を示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導して得られた神経細胞の中には、4R Tau陽性細胞が存在することが明らかとなった。なお、従来、多能性幹細胞から分化誘導することにより4R Tau陽性の神経細胞を作製することは困難であった。
[実験例7]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析3)
図5に示すスケジュールで多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7を使用した。続いて、作製した前脳型神経細胞の自発発火を検討した。
《カルシウムイオンプローブを用いた検討》
まず、カルシウムイオンプローブを用いた検討を行った。iPS細胞から分化誘導し5週間後の前脳型神経細胞の培地にカルシウムイオンプローブであるFluo−8 AM(5μM、AAT Bioquest社)、Probenecid(1mM、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)及びPluonic F−127(0.02%、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を添加し37℃で30分インキュベートした。
その後、Probenecid含有培地に置換し、蛍光顕微鏡を用いて1.33Hzでタイムラプス画像を取得した。得られたデータはImage J(NIH)及びFluoroSNNAPソフトウェアを用いて解析した。また、電位依存性ナトリウムチャネル阻害薬であるテトロドトキシンを培地に添加した場合においても、同様にしてタイムラプス画像を取得した。
図18(a)及び(b)は、各神経細胞へのカルシウムイオンの流入を測定した結果を示すラスタープロットである。図18(a)は、テトロドトキシンの非存在下で測定した結果であり、図18(b)は、テトロドトキシンの存在下で測定した結果である。図18(a)及び(b)中、縦軸は識別した個々の神経細胞(ニューロンID)を示し、横軸は時間(秒)を示し、プロットはカルシウムイオンの流入が検出されたことを示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞は同期発火を示すことが明らかとなった。また、前脳型神経細胞の自発発火はテトロドトキシンの培地への添加により消失することが明らかとなった。
この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が興奮性の神経伝達を行うことを示す。
《MEA解析》
続いて、iPS細胞から分化誘導し40日後の前脳型神経細胞を用いて微小電極アレイ(Microelectrode array、MEA)解析を行い、作製した前脳型神経細胞の自発発火を検討した。自発発火はMaestro system(Axion Biosystems社)を用いて計測した。ポリ−L−リジン及びラミニンでコートした12ウェルMEAプレートに細胞を播種し、3日毎に培地交換を行なった。データは12.5kHzで取得し、200〜3000HzのButterworthバンドパスフィルターを用いてフィルタリングした。検出の閾値はベースラインに対して+6.0×標準偏差とした。
図19は、各神経細胞の自発発火を検出した結果を示すラスタープロットである。図19中、縦軸は識別した個々の神経細胞(ニューロンID)を示し、横軸は時間(秒)を示し、プロットは自発発火が検出されたことを示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞は同期発火を示すことが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が興奮性の神経伝達を行うことを更に支持するものである。
《パッチクランプ》
続いて、iPS細胞から分化誘導し7週間後の前脳型神経細胞を用いてパッチクランプ解析を行い、作製した前脳型神経細胞の自発発火を検討した。
図20(a)〜(c)は、パッチクランプ解析の結果を示すグラフである。図20(a)及び(b)は神経細胞の自発性活動電位(sAP)を測定した結果である。図20(b)は電位依存性ナトリウムチャネル阻害薬であるテトロドトキシンを培地に添加した以外は図20(a)と同様にして測定した結果である。図20(c)は神経細胞の自発的な興奮性シナプス後電流(sEPSC)を測定した結果である。図20(a)及び(b)中、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。また、図20(c)中、縦軸は電流を示し、横軸は時間を示す。
その結果、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞は自発発火を示すことが明らかとなった。また、前脳型神経細胞の自発発火はテトロドトキシンの培地への添加により消失することが明らかとなった。更に、前脳型神経細胞が興奮性のシナプス伝達を行うことが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が自発的な興奮性の神経伝達を行うことを更に支持するものである。
[実験例8]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析4)
図5に示すスケジュールで多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7及び1210B2、並びにヒトES細胞株であるKhES1を使用した。続いて、作製した各前脳型神経細胞の培地にL−グルタミン酸を添加し、グルタミン酸誘発興奮毒性を検討した。
多能性幹細胞から分化誘導し5週間後の各前脳型神経細胞の培地に終濃度0〜100μMとなるように段階希釈したグルタミン酸を添加し、24時間インキュベートした。また、比較のために、NMDA受容体拮抗薬であるMK801を終濃度1μMでそれぞれ培地に添加した群も用意した。
続いて、Cell Counting Kit−8(同仁化学研究所)を用いたWST−8アッセイにより細胞の還元能を測定し、グルタミン酸誘発興奮毒性を評価した。また、細胞の還元能は、グルタミン酸を添加しなかった場合の測定値を100%とし、細胞に0.1%Triton X−100を添加した場合の測定値を0%として算出した。
図21(a)〜(c)は、グルタミン酸誘発興奮毒性(還元能)を評価した結果を示すグラフである。図21(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図21(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図21(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。
その結果、いずれの多能性幹細胞から分化誘導した場合においても、作製した前脳型神経細胞は、グルタミン酸誘発興奮毒性を示すことが明らかとなった。また、グルタミン酸誘発興奮毒性はNMDA受容体拮抗薬の培地への添加により抑制されることが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が機能的な神経細胞であることを更に支持するものであり、本誘導系により分化誘導した前脳型興奮性神経細胞を用いて興奮毒性を評価可能であることを示すものである。したがって、本誘導系により分化誘導した前脳型興奮性神経細胞は、毒性試験や、毒性を抑制する化合物の評価等に有用である。
[実験例9]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析5)
図5に示すスケジュールで複数の多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7及び1210B2、並びにヒトES細胞株であるKhES1を使用した。続いて、作製した各前脳型神経細胞の培地にL−グルタミン酸を添加し、グルタミン酸誘発興奮毒性を検討した。
多能性幹細胞から分化誘導し5週間後の各前脳型神経細胞の培地に終濃度0〜100μMとなるように段階希釈したグルタミン酸を添加し、24時間インキュベートした。また、比較のために、NMDA受容体拮抗薬であるMK801を終濃度1μMでそれぞれ培地に添加した群も用意した。
続いて、IN Cell Analyzer6000(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いてMAP2陽性細胞1細胞あたりの神経突起長(μm)を計測し、グルタミン酸誘発興奮毒性を評価した。
図22(a)〜(c)は、前脳型神経細胞の神経突起長を測定し、グルタミン酸誘発興奮毒性(神経突起長)を評価した結果を示すグラフである。図22(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図22(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図22(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。
その結果、いずれの多能性幹細胞から分化誘導した場合においても、作製した前脳型神経細胞は、グルタミン酸誘発興奮毒性を示すことが明らかとなった。また、グルタミン酸誘発興奮毒性はNMDA受容体拮抗薬の培地への添加により抑制されることが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が機能的な神経細胞であることを更に支持するものであり、本誘導系により分化誘導した前脳型興奮性神経細胞を用いて興奮毒性を評価可能であり、治療薬スクリーニングにも使用可能であることを示すものである。
[実験例10]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析6)
図5に示すスケジュールで複数の多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7及び1210B2、並びにヒトES細胞株であるKhES1を使用した。
続いて、作製した各前脳型神経細胞の培地にアミロイドβ42ペプチド(以下、「Aβ42ペプチド」という場合がある。)を添加し、神経毒性を評価した。
具体的には、各前脳型神経細胞の培地に、終濃度0〜10μMとなるように段階希釈したヒトAβ42ペプチド(ペプチド研究所)を添加して48時間インキュベートした。続いて、Cell Counting Kit−8(同仁化学研究所)を用いたWST−8アッセイにより細胞の還元能を測定し、神経毒性を評価した。
図23(a)〜(c)は、各前脳型神経細胞の還元能を測定した結果を示すグラフである。図23(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図23(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図23(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。
その結果、いずれの多能性幹細胞から分化誘導した場合においても、作製した前脳型神経細胞は、Aβ42ペプチドにより還元能の低下を示すことが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が機能的な神経細胞であることを更に支持するものであり、本誘導系により分化誘導した前脳型興奮性神経細胞を用いて神経毒性を評価可能であることを示すものである。
[実験例11]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析7)
図5に示すスケジュールで複数の多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7及び1210B2、並びにヒトES細胞株であるKhES1を使用した。
続いて、作製した各前脳型神経細胞の培地にアミロイドβ42ペプチド(以下、「Aβ42ペプチド」という場合がある。)を添加し、神経突起長を測定することにより、神経毒性を評価した。
具体的には、各前脳型神経細胞の培地に、終濃度0〜10μMとなるように段階希釈したヒトAβ42ペプチド(ペプチド研究所)を添加して48時間インキュベートした。続いて、IN Cell Analyzer6000(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いてMAP2陽性細胞の神経突起長を計測し、神経毒性を評価した。
図24(a)〜(c)は、各前脳型神経細胞の神経突起長を測定した結果を示すグラフである。図24(a)はヒトiPS細胞株である201B7から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図24(b)はヒトiPS細胞株である1210B2から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果であり、図24(c)はヒトES細胞株であるKhES1から分化誘導した前脳型神経細胞を用いた結果である。
その結果、いずれの多能性幹細胞から分化誘導した場合においても、作製した前脳型神経細胞は、Aβ42ペプチドによる神経毒性を示すことが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が機能的な神経細胞であることを更に支持するものであり、本誘導系により分化誘導した前脳型興奮性神経細胞を用いて神経毒性を評価可能であることを示すものである。
[実験例12]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析8)
図5に示すスケジュールで複数の多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、ヒトiPS細胞株である201B7を使用した。
5週間分化誘導した後、得られた前脳型神経細胞の培地を、γセクレターゼ阻害剤を添加した培地に全量交換し、2日間インキュベートした。γセクレターゼ阻害剤としてはDAPTを終濃度10μMで使用した。また、対照として、γセクレターゼ阻害剤を添加しない群も用意した。
続いて、各前脳型神経細胞の培養上清を回収し、含まれるアミロイドβ40ペプチド(以下、「Aβ40ペプチド」という場合がある。)及びアミロイドβ42ペプチド(以下、「Aβ42ペプチド」という場合がある。)の濃度を測定した。続いて各前脳型神経細胞を破砕し、全タンパク質を抽出し、タンパク質濃度を測定した。続いて、Aβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの濃度をタンパク質濃度により補正した。Aβ40ペプチドの濃度の測定には、市販のキット(製品名「ヒトβアミロイド(1−40)ELISAキットワコーII」、Cat No.298−64601、富士フィルム和光純薬株式会社製)を使用した。また、Aβ42ペプチドの濃度の測定には、市販のキット(製品名「ヒトβアミロイド(1−42)ELISAキットワコー、高感度品」、Cat No.296−64401、富士フィルム和光純薬株式会社製)を使用した。
図25(a)はAβ40ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。また、図25(b)はAβ42ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。図25(a)及び(b)中、「Ctl」はγセクレターゼ阻害剤を添加しなかった対照の結果であることを示し、「+DAPT」はDAPTを添加した結果であることを示す。また、「**」はp<0.01で有意差が存在することを示し、「***」はp<0.001で有意差が存在することを示す。
その結果、作製した前脳型神経細胞にγセクレターゼ阻害剤を添加することにより、Aβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの産生量が有意に低下することが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が機能的な神経細胞であることを更に支持するものであり、本誘導系により分化誘導した前脳型興奮性神経細胞を用いてAβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの産生量を評価可能であることを示すものである。したがって、本実験系をAβ40ペプチド又はAβ42ペプチドの産生を抑制する化合物のスクリーニング等に利用することができる。
[実験例13]
(多能性幹細胞から分化誘導した前脳型興奮性神経細胞の機能解析9)
図5に示すスケジュールで複数の多能性幹細胞を分化誘導し、前脳型神経細胞を作製した。多能性幹細胞としては、健常人由来のヒトiPS細胞株である201B7、及び、変異型プレセニリン1を発現する家族性アルツハイマー病患者由来のiPS細胞株であるPS1(A246E)を使用した。
5週間分化誘導した後、得られた各前脳型神経細胞の培地を、γセクレターゼ阻害剤を添加した培地に全量交換し、2日間インキュベートした。γセクレターゼ阻害剤としてはDAPTを終濃度10μMで使用した。また、対照として、γセクレターゼ阻害剤を添加しない群も用意した。
続いて、各前脳型神経細胞の培養上清を回収し、含まれるAβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの濃度を測定した。続いて各前脳型神経細胞を破砕し、全タンパク質を抽出し、タンパク質濃度を測定した。続いて、Aβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの濃度をタンパク質濃度により補正した。Aβ40ペプチドの濃度の測定には、市販のキット(製品名「ヒトβアミロイド(1−40)ELISAキットワコーII」、Cat No.298−64601、富士フィルム和光純薬株式会社製)を使用した。また、Aβ42ペプチドの濃度の測定には、市販のキット(製品名「ヒトβアミロイド(1−42)ELISAキットワコー、高感度品」、Cat No.296−64401、富士フィルム和光純薬株式会社製)を使用した。
図26(a)はAβ40ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。また、図26(b)はAβ42ペプチドの産生量の測定結果を示すグラフである。また、図26(c)は、図26(a)及び図26(b)に基づいて、Aβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの産生量の比(Aβ42ペプチドの産生量/Aβ40ペプチドの産生量)を算出した結果を示すグラフである。
図25(a)〜(c)中、「+DAPT」はDAPTを添加した結果であることを示す。また、「**」はp<0.01で有意差が存在することを示し、「***」はp<0.001で有意差が存在することを示す。
その結果、アルツハイマー病患者由来のiPS細胞から作製した前脳型神経細胞は、健常人由来のiPS細胞から作製した前脳型神経細胞と比較して、Aβ40ペプチドの産生量及びAβ42ペプチドの産生量が有意に高いことが明らかとなった。また、アルツハイマー病患者由来のiPS細胞から作製した前脳型神経細胞は、健常人由来のiPS細胞から作製した前脳型神経細胞と比較して、Aβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの産生量の比(Aβ42ペプチドの産生量/Aβ40ペプチドの産生量)が有意に高いことが明らかとなった。
この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が、アルツハイマー病の病態を再現できることを示す。また、各前脳型神経細胞にγセクレターゼ阻害剤を添加することにより、Aβ40ペプチド及びAβ42ペプチドの産生量が有意に低下することが明らかとなった。この結果は、図5に示すスケジュールで分化誘導した前脳型神経細胞が機能的な神経細胞であることを更に支持するものである。
本発明によれば、成熟した機能的な神経細胞を製造する技術を提供することができる。

Claims (11)

  1. 前脳型興奮性神経細胞の製造方法であって、
    多能性幹細胞を、Bone morphogenetic protein(BMP)阻害剤、Transforming growth factor−β(TGF−β)阻害剤及びWnt阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型神経前駆細胞を得る工程と、
    前記前脳型神経前駆細胞を、Glial−Cell Derived Neurotrophic Factor(GDNF)、Brain derived neurotrophic factor(BDNF)、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤の存在下で接着培養し、前脳型興奮性神経細胞を得る工程と、
    を含む、製造方法。
  2. 前記細胞周期阻害剤が、G1期特異的細胞周期阻害剤である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記G1期特異的細胞周期阻害剤がCyclin dependent kinase(CDK)4又はCDK6の阻害剤である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記前脳型神経前駆細胞を得る工程は、
    多能性幹細胞を、BMP阻害剤、TGF−β阻害剤及びWnt阻害剤の存在下で接着培養する第1工程と、
    前記第1工程の後の前記細胞を、BMP阻害剤及びTGF−β阻害剤の存在下で接着培養する第2工程と、
    を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記前脳型神経前駆細胞の純度が90%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記前脳型興奮性神経細胞の純度が90%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 培養容器に収容され、純度が90%以上であり、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体及びCalcium/calmodulin−dependent protein kinase II α(CAMK2α)が陽性であり、自発発火する、前脳型興奮性神経細胞。
  8. 請求項7に記載の前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトの共培養物。
  9. 被験物質の存在下で、請求項7に記載の前脳型興奮性神経細胞を培養する工程と、
    前記前脳型興奮性神経細胞の、形態、シナプス小胞、電気生理学的パラメータ又はマーカーの発現を評価し、評価結果を得る工程と、
    前記評価結果が、被験物質の非存在下における評価結果と比較して有意に変化したことが、前記被験物質が神経疾患の治療薬の候補であることを示す、神経疾患の治療薬のスクリーニング方法。
  10. 被験物質の存在下で、請求項7に記載の前脳型興奮性神経細胞及びアストロサイトを共培養する工程と、
    前記前脳型興奮性神経細胞の、形態、シナプス小胞、電気生理学的パラメータ又はマーカーの発現を評価し、評価結果を得る工程と、
    前記評価結果が、被験物質の非存在下における評価結果と比較して有意に変化したことが、前記被験物質が神経疾患の治療薬の候補であることを示す、神経疾患の治療薬のスクリーニング方法。
  11. GDNF、BDNF、アスコルビン酸、ジブチリルcAMP、細胞周期阻害剤及びγセクレターゼ阻害剤を含有する、前脳型神経前駆細胞から前脳型興奮性神経細胞への分化誘導用培地。
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