JPWO2020044519A1 - 競技用義足及び競技用義足用コネクタ - Google Patents

Abstract

板バネを軽量化しつつ強度を高め、板バネに対するソケットの取り付け位置の調整が可能な義足及び義足用コネクタを提供する。コネクタと板バネとを備えた義足であって、板バネは、地面と接地する接地部と、コネクタと接続する接続部と、接地部と接続部との間で湾曲する湾曲部と、を備え、湾曲部は、一方向にのみ湾曲し、接地部は、湾曲部の一端に形成され、接続部は、湾曲部の他端に、湾曲部に対して湾曲せず略直線状に形成され、コネクタとの接続面を、湾曲部の湾曲内側に形成し、コネクタは、ソケットと接続する取付面を備え、前記取付面は、前記接続面に対して鋭角に形成される。

Description

本発明は、義足及び義足用コネクタに関する。

従来、炭素繊維など繊維強化樹脂で成型された板バネ部材を用いた、主として陸上競技等の競技用として用いられる義足が知られている。このような義足は、板バネと、使用者の大腿部又は下腿部に取り付けられるソケットと、板バネと、板バネに取り付けられソケットを接続するコネクタとから構成される。板バネは、接地部を備えた湾曲部と、その上方に直線部を備える（例えば特許文献１参照。）。直線部は、使用者の身長や大腿部又は下腿部の長さに応じてコネクタの取り付け位置を調整するためのものである。

特開２０１８−６２７号公報

板バネの直線部は、板バネとソケットとを接続するコネクタの取り付け位置を、使用者に合わせて長さ調整をするための機能を有するものの、以下のような課題があった。すなわち、直線部を設けることにより、必然的に板バネの重量が増すことになる。また、直線部に上記のとおりの長さ調整の機能を発揮させるためには、湾曲部に対して縦方向に形成せざるを得ず、その結果、湾曲部の屈曲方向と屈曲部から直線部へ向かう屈曲方向が異なることとなる。そうすると、屈曲部から直線部へ向かう屈曲部分に応力が集中し、この部分において相間剥離を起こす可能性がある。

そこで、本発明は、板バネを軽量化しつつ強度を高め、かつ板バネに対するソケットの取り付け位置の調整が可能な義足及び義足用コネクタを提供することを目的とする。

本発明の一態様に係る義足は、コネクタと板バネとを備えた義足であって、前記板バネは、地面と接地する接地部と、コネクタと接続する接続部と、前記接地部と前記接続部との間で湾曲する湾曲部と、を備え、前記湾曲部は、一方向にのみ湾曲し、前記接地部は、前記湾曲部の一端に形成され、前記接続部は、前記湾曲部の他端に、前記湾曲部に対して湾曲せず略直線状に形成され、前記コネクタとの接続面を、前記湾曲部の湾曲内側に形成し、前記コネクタは、ソケットと接続する取付面を備え、前記取付面は、前記接続面に対して鋭角に形成される。

この態様によれば、湾曲部は一方向にのみ湾曲するように構成し、従来の板バネが有していたような上方に向かう直線部を設けていない。これにより、板バネの軽量化と強度の向上が実現した。また、直線部を設けない代わりに、コネクタの接続面と取付面とを鋭角にし、コネクタの取付面が縦方向（垂直方向）に設けることを可能にした。そして、この取付面においてソケットとの取り付けにおける縦方向の位置調整を行うことで、直線部がない板バネにおいても、ソケットとの取付け位置の調整を容易に行えるようにした。

また、前記取付面は、略垂直に形成されていてもよい。この態様によれば、コネクタの取付面により従来の板バネの直線部と同様の機能を発揮させることが可能になる。

また、前記取付面は、ソケットとの取付位置を複数箇所で調整可能としてもよい。この態様によれば、取付面においてソケットとの取り付けにおける縦方向の位置調整を行うことができるので、従来、板バネの直線部で行っていた長さ調整をコネクタにより行うことが可能になる。

本発明の他の態様に係るコネクタは、義足との接続面と、ソケットと接続する取付面とを備え、前記接続面と前記取付面とは、鋭角に配置される。

この態様によれば、上記同様に、取付面においてソケットとの取り付けにおける縦方向の位置調整を行うことで、直線部がない板バネにおいても、ソケットとの取付け調整を容易に行えるようにした。

また、前記取付面は、ソケットとの取付位置を複数箇所で調整可能としてもよい。この態様によれば、上記同様、取付面においてソケットとの取り付けにおける縦方向の位置調整を行うことができるので、従来、板バネの直線部により行っていた長さ調整をコネクタにより行うことが可能になる。

本発明によれば、板バネを軽量化しつつ強度を高め、板バネに対するソケットの取り付け位置の調整が可能な義足及び義足用コネクタを提供することができる。

本実施形態の義足に用いる板バネの構成を示す斜視図（Ａ）及び側面図（Ｂ）である。 本実施形態の義足の構成を図である。 本実施形態の義足に用いるコネクタの一態様を示す図である。 本実施形態の義足に用いるコネクタの他の一態様を示す図である。 本実施形態の義足に用いるコネクタの他の一態様を示す図である。 本実施形態の義足に用いるコネクタの他の一態様を示す図である。 本実施形態の義足に用いるコネクタの他の一態様を示す図である。 本実施形態の義足に用いるコネクタの他の一態様を示す図である。 本実施形態の義足に用いるコネクタの他の一態様を示す図である。

添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態（以下「本実施形態」という。）について説明する。（なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。）

本実施形態の義足１は、主として陸上競技などの競技用途に用いられることを想定したものであり、図１は、本実施形態の義足１に用いられる板バネ２を示す斜視図（Ａ）及び側面図（Ｂ）であり、図２は、図１に示す板バネ２にコネクタ３を取り付けた義足１の全体構成を示す図である。

図１に示すとおり、板バネ２は、炭素繊維等の繊維強化樹脂を成型して形成されるものであり、地面と接地する接地部２１と、コネクタと接続する接続部２２と、接地部２１と接続部２２との間で湾曲する湾曲部２３を備える。なお、図１（Ｂ）において接地部２１と湾曲部２３及び接続部２２及び湾曲部２３との境界を一点鎖線において表した。

接地部２１は、湾曲部２３の一端、すなわち、板バネ２の使用時に地面に接地する部分である。この接地部２１には、スパイク等を取り付けて用いることができる。

湾曲部２３は、一方向、すなわち、使用時に進行方向となる方向（図１（Ｂ）及び図２でいう左側方向）と反対の方向にのみ湾曲して構成される。従来の板バネでは、湾曲部は、進行方向となる方向と反対の方向に湾曲したのち、さらに、接続部に向かって、進行方向と同じ方向に向かって湾曲し直線部を形成するといったように、Ｓ字カーブ状に構成されていた。この点、湾曲部２３は、接続部２２に向かっては湾曲せず、略直線状に形成されている。

接続部２２は、湾曲部２３の接地部２１と反対の端部に形成されており、コネクタ３との接続面２２Ａが、湾曲部２３の湾曲内側、言い換えれば、接地部２１と対向する側に形成されている。この接続面２２Ａの位置は固定であり、板バネ２の接続部２２上を移動させるようなことはない。

すなわち、板バネ２は、コネクタ３を接続するに当たって、従来の直線部のような長さを調整する構成を有さない。従来の板バネでは、湾曲部がＳ字状に形成したり、コネクタとの接続部に向かって湾曲方向を切り替える切替部分を設けたりすることで、その部分への応力集中が起きていたが、板バネ２では、そのような応力が集中する部分がなく、板バネ２全体としての強度が高い。また、そもそも直線部に当たる部分を有さないため、板バネ２全体としての軽量化でき、他方、従来の板バネと同重量とする場合には、より高密度の繊維強化樹脂で構成することが可能になり高強度・高反発が期待できる。

コネクタ３は、チタン、アルミ、スチールなどの金属材料を成型して作製されるものである。また、図３〜図６は、コネクタ３の詳細な構成及び複数の態様を示す図である。図２及び図３に示すとおり、コネクタ３は、使用者の大腿又は下腿に取り付けられるソケット（図示せず。）と接続する取付面３１と、板バネ２の接続部２２と接続する接続面３２とを備え、この取付面３１と接続面３２とは鋭角に形成される。すなわち、図２に示すとおり、板バネ２において湾曲部２３は一方向にのみ湾曲し、接続部２２の接続面２２Ａが湾曲内側に形成されているところ、ソケットと接続するためには垂直方向に取付面３１を形成する必要がある。そこで、コネクタ３の取付面３１と接続面３２とを鋭角に構成することで、取付面３１が垂直方向に向くように構成している。

コネクタ３は、板バネ２の接続部２２とは、接続面３２に形成されたネジ穴３２Ａ，３２Ｂを介してネジ留めにより接続され、ソケットとは、図示しないアダプタ（市販品）を取付面３１に形成された４つのネジ穴３１Ａ〜３１Ｄを介してネジ留めし、当該アダプタにソケットを取り付けることにより接続される。なお、コネクタ３と板バネ２及びソケットとの取り付け構造自体は本発明に顕著な事項ではなく、本発明の概念を逸脱しない範囲において他の取り付け構造も採用し得る。

コネクタ３は、図３〜図６にコネクタ３，３Ａ〜３Ｃとして示すとおり、固定的に構成される接続面３２に対して、取付面３１の上下位置を調整可能に構成したものである。より具体的には、図３の取付面３１が最も上方に形成されており、図４から図６に向かって、取付面３１は段階的に下方に形成されており、図６の取付面３１の位置が最も低い位置となっている。このように、板バネ２において従来の板バネのような直線部を形成せず、板バネ２の接続部２２へのコネクタ３の取り付け位置の調整を行わずコネクタ３を固定的に取り付ける仕様とした一方で、コネクタ３においてソケットの取り付け位置を上下方向に可変としたことで、板バネ２を共通にしつつ、使用者の身長、大腿又は下腿の長さに合わせた調整が可能になっている。

以上のようなコネクタ３によれば、取付面３１においてソケットとの取り付けにおける縦方向の位置調整を行うことで、直線部がない板バネ２においても、ソケットとの取付け調整を容易に行えるようになる。

なお、コネクタ３の構成については、例えば、図７にコネクタ３Ｄとして示すとおり、取付面３１Ｄを上下方向に長く構成し、この取付面３１Ｄに対してソケットとの取り付け部材をアダプタ的に上下移動可能な構成とし、同一のコネクタにおいて取付面の上下位置を可変にする構成も可能である。しかしながら、本実施形態の義足１が主として競技用途に用いることを想定しており、素材を含めた構成の簡素化及び軽量化が要件となっていることに鑑みると、図３〜図６に示すとおり、サイズに合わせて用意することが好ましい。また、前述の上下移動可能な構成のコネクタを用いて位置確認を行ったうえで、図３〜図６に示すコネクタを選択するような調整方法が好ましい。

図８及び図９に示すコネクタ３Ｅ及び３Ｆは、図３〜図６に示したコネクタ３，３Ａ〜３Ｃにさらに改良を加えたものである。図８に示すコネクタ３Ｅは、取付面３１Ｅの高さを図３に示したコネクタ３よりさらに高く構成したものであり、コネクタ３Ｅを板バネ２に取り付けた場合に、取付面３１Ｅの頭頂３１ＥＡが板バネ２より突出する構成としたものである。また、図８に示すコネクタ３Ｆは、図７に示すコネクタ３Ｅにおいて、取付面３１Ｅの位置は変更せずに薄肉化し強度を保ちながら機能的な構成部分以外を削ぎ落して軽量化を図った態様である。

以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。

１…義足、２…板バネ、２１…接地部、２２…接続部、２２Ａ…接続面、２３…湾曲部、３…コネクタ、３１…取付面、３２…接続面

本発明によれば、板バネを軽量化しつつ強度を高め、板バネに対するソケットの取り付け位置の調整が可能な競技用義足及び競技用義足用コネクタを提供することができる。

Claims (5)

1. コネクタと板バネとを備えた義足であって、
   前記板バネは、地面と接地する接地部と、コネクタと接続する接続部と、前記接地部と前記接続部との間で湾曲する湾曲部と、を備え、
   前記湾曲部は、一方向にのみ湾曲し、
   前記接地部は、前記湾曲部の一端に形成され、
   前記接続部は、前記湾曲部の他端に、前記湾曲部に対して湾曲せず略直線状に形成され、前記コネクタとの接続面を、前記湾曲部の湾曲内側に形成し、
   前記コネクタは、ソケットと接続する取付面を備え、前記取付面は、前記接続面に対して鋭角に形成された、義足。
2. 前記取付面は、略垂直に形成された請求項１に記載の義足。
3. 前記取付面は、ソケットとの取付位置を複数箇所で調整可能である請求項１又は２に記載の義足。
4. 義足に用いるコネクタであって、
   義足との接続面と、ソケットと接続する取付面とを備え、
   前記接続面と前記取付面とは、鋭角に配置された、コネクタ。
5. 前記取付面は、ソケットとの取付位置を複数箇所で調整可能である請求項４に記載のコネクタ。

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