JPWO2020031447A1 - 蛍光指紋分析による試料の評価・推定方法、プログラム、及び装置 - Google Patents

蛍光指紋分析による試料の評価・推定方法、プログラム、及び装置 Download PDF

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Abstract

取得された蛍光指紋情報に対して新規な2次微分処理を施すことにより、精度の高い推定モデル(検量線)を得る。特定成分の含有量が既知の試験試料を準備し(S01),蛍光指紋情報を取得する(S02)。この蛍光指紋情報に対し、新規な2次微分処理を含む前処理を行い(S03)、蛍光指紋情報から試験試料中の特定成分の含有量を推定する推定モデル(検量線)を作成する(S04)。検量線の検証(S05)後、未知の試料に適用して未知試料に含有される特定成分の含有量を推定する(S06)。

Description

本発明は、蛍光指紋分析を利用した試料の評価・推定方法、プログラム、及び装置に関し、特に、試料中の微量成分の評価・推定に好適に利用し得る評価・推定方法、プログラム、及び装置に関する。
図2に示すように、蛍光物質を含む試験試料に、段階的に波長を変化させながら励起光を照射し、試験試料から発せられる光(蛍光)を測定すると、励起波長(λEx)、蛍光波長(測定波長)(λEm)、蛍光強度(IEx,Em)を3直交軸とする3次元空間において、対応するポイントがプロットされる。
これらのポイントの集合を可視化したものを、蛍光指紋、または、励起蛍光マトリクス(Excitation Emission Matrix;EEM)と呼ぶ。
蛍光指紋は、各ポイントの蛍光強度を等高線形状や色分布等で表示することにより、3次元グラフとして表すことができ(図3参照)、また、2次元グラフとして表すこともできる(図4参照)。
このような蛍光指紋は、3次元の膨大な情報を有する試験試料固有のパターンを示しており、各種の鑑別や定量等に使用できる。例えば、非特許文献1には、蛍光指紋を利用した蕎麦粉混合割合の推定手法等が紹介されている。
このような蛍光指紋を用いた分析は、他の分光分析手法と比較して、試験試料に対して蛍光染色などの前処理を行うことなく試験試料のキャラクタリゼーションが可能であること、操作が容易で計測も短時間で行えること、情報量が多く定量も比較的容易に行えること、非破壊・非接触での計測が可能であること、紫外〜可視光を用いていることから装置が比較的安価であること、などの長所を有している。
蛍光指紋を計測するには、励起波長をスキャンして、それぞれの蛍光スペクトルを連続的に計測する機能を有する蛍光分光光度計が必要であるが、このような機能を有する蛍光分光光度計も市販されている(日立ハイテクサイエンス社製F−7000等)。
特開2017−36991号公報 特開2017−51162号公報
杉山純一「光の指紋による食品の鑑別・定量」;「食品と容器」2013 VOL.54 NO.5 P308-315
蛍光指紋分析を利用した既知の試料の評価・推定手法においては、前処理を行っても、精度の高い推定モデル(検量線)の作成が困難な場合があった。特に、化学構造が類似した成分を含む試料中から特定の成分の定量を行う場合に困難性が高かった。
本発明は、このような課題を解決するために提案されたものであり、実施の態様を例示すれば、以下のとおりである。
(態様1)
試験試料について励起波長・蛍光波長・蛍光強度のデータからなる蛍光指紋情報を取得する蛍光指紋情報取得工程と、2次微分処理により前記試験試料に特有な前記蛍光強度のピーク値が現れるように軸を設定し、前記軸に沿った前記蛍光指紋情報の2次微分処理を少なくとも含む前処理工程と、少なくとも前記2次微分処理が実施された蛍光指紋情報を説明変数とし、前記試験試料についての既知の定量値を目標変数として、検量線を取得する推定モデル作成工程と、を含む、蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様2)
前記推定モデル作成工程において、多変量解析によって上記検量線を作成することを特徴とする態様1に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様3)
前記多変量解析は、PLS回帰分析であることを特徴とする態様2に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様4)
前記前処理工程において、前記蛍光指紋情報に対して低感度領域の削除処理を行うことを特徴とする態様1〜3に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様5)
前記試験試料が、クロロゲン酸を含む、態様1〜4に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様6)
前記試験試料が、スコポレチンを含む、態様1〜4に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様7)
前記試験試料が、ルチンを含む、態様1〜4に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様8)
前記励起波長が285nm近傍値であって前記蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440, 450,460nm近傍値のうちの少なくとも1つである波長のいずれかの励起波長/蛍光波長の組み合わせにより、ルチンの検量線を作成することを特徴とする態様7に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様9)
前記励起波長が285nm近傍値であって前記蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440, 450,460nm近傍値の全てである波長の励起波長/蛍光波長の組み合わせの両方により、ルチンの検量線を作成することを特徴とする態様8に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様10)
前記試験試料は、たばこ製品の原料であることを特徴とする態様1〜9に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様11)
前記試験試料は、励起光の照射前に粉末状に粉砕・混合されることを特徴とする態様1〜10に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様12)
前記試験粉砕によって、試料が1mm以下の粒径とされることを特徴とする態様9に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様13)
前記試験材料は、事前に水分量を一定化するために、所定の調和条件で所定時間蔵置されることを特徴とする態様1〜12に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様14)
前記試験材料は、たばこ製品の原料であり、前記調和条件は、温度22℃、湿度60%の室内という条件であり、前記所定時間は24時間以上であることを特徴とする態様13に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
(態様15)
態様1〜14に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法により得られた検量線と未知の試料の蛍光指紋情報とに基づき、前記試料に含有される特定成分の含有量を推定することを特徴とする成分量推定方法。
(態様16)
前記試料に含有される特定成分の含有量を推定する際に、前記蛍光指紋分析による試験試料の評価方法における前処理と同一の処理を行うことを特徴とする態様15に記載の成分量推定方法。
(態様17)
前記未知の試料の蛍光指紋情報を取得するために、励起波長が285nm近傍値であって蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440, 450,460nm近傍値のうち少なくとも1つである波長のいずれかの励起波長/蛍光波長の組み合わせを用いることを特徴とする態様15、16に記載の成分量推定方法。
(態様18)
前記未知の資料の蛍光指紋情報を取得するために、前記励起波長が285nm近傍値であって前記蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440,450,460nm近傍値の全てである波長の励起波長/蛍光波長の組み合わせの両方を用いることを特徴とする態様17に記載の成分量推定方法。
(態様19)
コンピュータに態様1〜18に記載の方法を実行させるためのプログラム。
(態様20)
試料についての励起波長・蛍光波長・蛍光強度のデータからなる蛍光指紋情報を入力し、2次微分処理により前記試料に特有な前記蛍光強度のピーク値が現れるように軸を設定し、前記軸に沿った前記蛍光指紋情報の2次微分処理を少なくとも含む前処理手段と、少なくとも前記2次微分処理が実施された蛍光指紋情報を説明変数とし、前記試験試料についての既知の定量値を目標変数として、検量線を取得する推定モデル作成手段と、前記推定モデル作成手段により取得された前記検量線と未知の試料の蛍光指紋情報とに基づき、前記未知の試料に含有される特定成分の含有量を推定する成分量推定手段と、を具備することを特徴とする装置。
(態様21)
前記未知の試料の蛍光指紋情報は前記前処理手段で処理され、処理後の蛍光指紋情報が前記成分量推定手段に入力されることを特徴とする態様20に記載の装置。
なお、上述の態様において、「近傍値」という語句は、励起波長や蛍光(測定)波長が誤差を必然的に伴うことから、励起波長や蛍光(測定)波長の誤差範囲に存在する波長をも包含することを明確化するために付したものである。因みに、誤差範囲は測定機器や測定条件等により変動し得るものである。
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法に基づき記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問うものではない。また、「プログラム」は単一の形で構成されてもよいが、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されてもよく、また、他の既存のプログラムと協働してその機能を達成するように構成されたものであってもよい。
また、「装置」は、ハードウエアとして構成されてもよいが、コンピュータのソフトウエアによって各種機能を実現する機能実現手段の組合せとして構成されてもよい。機能実現手段には、例えば、プログラムモジュールが含まれ得る。
本発明によれば、精度の高い推定モデル(検量線)の作成が可能になる。また、特に、化学構造が類似した成分を含む試料中から特定の成分の定量を的確に行うことができる。
図1は、本発明の実施の一態様の概要を説明するためのフローチャートである。 図2は、計測対象物に励起光を照射した場合に該計測対象物から発せられた蛍光のスペクトルの概要を示す説明図である。 図3は、蛍光指紋の一例を3次元的に示す等高線形状のグラフである。 図4は、蛍光指紋の一例を2次元的に示す等高線形状のグラフである。 図5は、スコポレチン、クロロゲン酸、ルチンを含む混合サンプルの蛍光指紋の一例を表す図である。 図6Aは、を単体で含むサンプルの蛍光指紋の一例を表す図である。 図6Bは、クロロゲン酸を単体で含むサンプルの蛍光指紋の一例を表す図である。 図6Cは、ルチンを単体で含むサンプルの蛍光指紋の一例を表す図である。 図7Aは、複数のサンプルについて、スコポレチンの既知の含有量と蛍光指紋情報による推定値によって規定される点をプロットしたグラフである。 図7Bは、複数のサンプルについて、クロロゲン酸の既知の含有量と蛍光指紋情報による推定値によって規定される点をプロットしたグラフである。 図7Cは、複数のサンプルについて、ルチンの既知の含有量と蛍光指紋情報による推定値によって規定される点をプロットしたグラフである。 図8Aは、複数のサンプルについて、ルチン含有量の実測値(化学分析値)と前処理を行った蛍光指紋情報による推定値によって規定される点をプロットしたグラフである。 図8Bは、複数のサンプルについて、クロロゲン酸含有量の実測値(化学分析値)と前処理を行った蛍光指紋情報による推定値によって規定される点をプロットしたグラフである。 図9は、複数のサンプルについて、ルチン含有量の実測値(化学分析値)と前処理を省いた蛍光指紋情報による推定値によって規定される点をプロットしたグラフである。 図10は、本発明の実施の別の一態様の概要を説明するためのブロック図である。
以下、本発明の実施の一態様を説明するとともに、試料中に微量成分として含まれるクロロゲン酸、スコポレチン、ルチンの含有量の本発明に基づく評価・推定方法について説明する。また、特に、タバコ原料を試料とした場合について、たばこ原料中のルチン含有量の本発明に基づく評価・推定方法について説明する。
なお、この実施の一態様により、本発明が限定されるものではないことに留意されたい。
<本発明の実施の一態様の概要>
図1は、本発明の実施の一態様の概要を説明するためのフローチャートである。
最初に、成分の種類や含有量が既知の試験試料を準備し(S01)、このような既知の試験試料に対して蛍光指紋を測定し、蛍光指紋情報を取得する(S02)。
次に、取得された蛍光指紋情報に対する前処理を行う(S03)。本発明の実施の一態様は、特に、この前処理に特徴を有しており、前処理の詳細は後述する。
次に、前処理済みの蛍光指紋情報と特定成分の既知の含有量との関係をモデル化し、推定モデル(検量線)を作成する(S04)。このモデル化は、具体的には、前処理済みの蛍光指紋情報を説明変数、既知の含有量を目的変数とする推定式を、様々な多変量解析手法やデータマイニング手法を使用して構築することにより行われ、蛍光指紋情報から試験試料中の特定成分の含有量を推定する検量線(回帰式)が作成される。なお、推定式の構築に用いるアルゴリズムはより汎用的かつ非線形現象にも対応する機械学習アルゴリズム、例えばsupport vector machine (SVM), random forest (RF), neural networkなどでも良い。モデル化の際に用いられる多変量解析手法の例は後述する。
このようにして構築された推定モデル(検量線)を検証し、その有効性を確認する(S05)。
有効性が確認された推定モデル(検量線)を用いて、未知の試料の蛍光指紋情報に基づき、前記未知の試料に含有される特定成分の含有量を推定する(S06)。
<本発明の実施の別の一態様の概要>
図10は、本発明の実施の別の一態様の概要を説明するためのブロック図である。
蛍光指紋分析による試料の評価・推定装置100は、試料についての励起波長・蛍光波長・蛍光強度のデータからなる蛍光指紋情報を入力とし、2次微分処理により前記試料に特有な前記蛍光強度のピーク値が現れるように軸を設定し、前記軸に沿った前記蛍光指紋情報の2次微分処理を少なくとも含む前処理手段110と、前記前処理手段110の出力を入力とし、少なくとも前記2次微分処理が実施された蛍光指紋情報を説明変数とし、前記試験試料についての既知の定量値を目標変数として、検量線を取得する推定モデル作成手段120と、前記推定モデル作成手段120により取得された前記検量線と未知の試料の蛍光指紋情報とに基づき、前記未知の試料に含有される特定成分の含有量を推定する成分量推定手段130とを具備している。
まず、既知の蛍光分光光度計等を用いて、成分の種類や含有量が既知の試験試料の蛍光指紋情報を取得する。
次に、取得された蛍光指紋情報を前記前処理手段110に入力し、入力された蛍光指紋情報に対する前処理を行う。本態様も、前述の本発明の実施の一態様と同様、特に、この前処理に特徴を有しており、前処理の詳細は後述する。
次に、推定モデル作成手段120により、前処理済みの蛍光指紋情報と特定成分の既知の含有量との関係をモデル化し、推定モデル(検量線)を作成する。このモデル化は、前述の本発明の実施の一態様と同様である。そして、このようにして構築された推定モデル(検量線)を検証し、その有効性を確認し、有効性が確認された推定モデル(検量線)を不図示のメモリ等に記憶しておく。
成分量推定手段130は、有効性が確認された推定モデル(検量線)を用いて、未知の試料の蛍光指紋情報に基づき、前記未知の試料に含有される特定成分の含有量を推定する。なお、未知の試料の蛍光指紋情報に対しても、前記前処理手段110による前処理を行うことが望ましい(図10の蛍光指紋分析による試料の評価・推定装置100は、そのような構成を採用している)が、必要に応じてこのような前処理を省略することもできる。
以下、蛍光指紋情報に対する前処理、モデル化の際に用いられる多変量解析手法、試料中に微量成分として含まれるクロロゲン酸、スコポレチン、ルチンの含有量の本発明に基づく評価・推定方法について説明する。なた、特に、タバコ原料を試料とした場合について、たばこ原料中のルチン含有量の本発明に基づく評価・推定方法について説明する。
<蛍光指紋情報に対する前処理>
試験試料の蛍光指紋情報を取得する際には、蛍光指紋の計測値(励起波長毎の蛍光スペクトル)をそのまま用いることもできるが、必要に応じて、各種の前処理を行う必要がある。
本発明の実施の一態様は、特に、前処理において、以下に詳述するような新規な手法(本発明に特有な2次微分処理)を採用することにより、測定精度の向上を図るものである。
3次元空間における、励起波長(λEx)、蛍光波長(測定波長)(λEm)、蛍光強度(IEx,Em)の3直交軸を、それぞれ、y軸、x軸、z軸とし、試験試料の測定で得られたEEM(蛍光指紋)の各ポイントPi(1≦i≦N)の座標を(xi,yi,zi)で表す。また、x軸及びy軸で決定される平面をx−y平面、x軸及びz軸で決定される平面をx−z平面、y軸及びz軸で決定される平面をy−z平面と呼ぶ。
x−y平面上にw軸を取り、w軸と交わりz軸と平行な軸をz’軸とすると、x−y平面と直交するw−z’平面が得られる、このw−z’平面を平行移動させ、前記蛍光指紋を切って得られた各断面は、z’=f(w)という関数で表すことができる。この関数の2次微分値(d2z’/dw2=(d2/dw2)f(w))を求める。求めた2次微分値から、勾配の一番急激な変化点をピークとして求める。
なお、ピークは1つとは限らず、複数存在する可能性があり、この場合には、複数のピークに対応する情報を取得する。
そして、このような処理を行うことにより、1次微分では検出が困難な、埋もれ易い微かなピークであっても有効に抽出することができる。また1次微分処理と異なり、スペクトル取得時に問題となる波長依存のベースラインの補正を容易に行うことができる。
そこで、上述のようなw軸の設定をどのように行うべきかが問題となる。試験試料に最適なw軸(以下、「最適軸」という)を設定するために、以下に例示するような手法が有効である。
(1)w軸の方向を固定し、w−z’平面を平行移動させると、当該w軸について前記蛍光指紋の断面積(∫f(w)dw)の最大値が得られる。w軸の方向を変えて、この断面積の最大値が最大となるw軸(wSmax)を求め、このwSmaxを最適軸とする。
(2)w軸の方向を固定し、w−z’平面を平行移動させると、当該w軸について前記蛍光指紋の断面の底辺(x−y平面に接する辺)近傍の長さの最大値が得られる。w軸の方向を変えて、この長さの最大値が最大となるw軸(wLmax)を求め、このwLmaxを最適軸とする。
(3)蛍光指紋の各ポイントPi(1≦i≦N)からの距離の二乗の総和が最小となるような直線(最小二乗直線)を求めると、当該最小二乗直線を含むw−z’平面が決定される。そこで、これにより決定されるw軸を最適軸とする。
(4)蛍光指紋の各ポイントPi(1≦i≦N)の中、前記蛍光指紋の底面近傍のポイント(x−y平面近傍のポイント)からの距離の二乗の総和が最小となるような直線(最小二乗直線)を求めると、当該最小二乗直線を含むw−z’平面が決定される。そこで、これにより決定されるw軸を最適軸とする。
なお、最適軸の設定は上記手法に限られるものではなく、例えば、上記手法により得られたw軸を暫定的な最適軸として、この暫定的な最適軸をx−y平面上で適宜回転して、前記試験試料に特有な前記蛍光強度のピーク値が現れるようにw軸を設定するようにしてもよい。
また、試験試料によっては、最適軸をx軸、又は、y軸に平行な軸として設定する簡素化した手法を採用することもできる。
なお、特許文献2には、2次元展開された蛍光指紋に対する信号処理演算として2次微分が例示されているが(段落〔0026〕等参照)、本発明の上記最適軸に係る技術思想については、記載も示唆もされていないことに留意されたい。
上記本発明に特有な2次微分処理の外に、計測された蛍光指紋からノイズを除去して有効な蛍光指紋情報を得るために、非蛍光成分の除去処理、散乱光の除去処理、低感度領域の削除処理の中の1つ又は複数の組合せを前処理として採用することができる。また、取得された蛍光指紋情報に対し、中心化、規格化、標準化、ベースライン補正、平滑化、オートスケーリング、対数変換(Log10)等の演算処理の中の1つ又は複数の組合せを前処理として採用することもできる。さらに、従前使用されている2次微分処理を併せて使用することもできる。
なお、上述の本発明に特有な2次微分処理とそれ以外の前処理を併用する場合に、その適用順序は適宜設定可能であるが、処理の効率化の観点から、非蛍光成分の除去処理、散乱光の除去処理、低感度領域の削除処理等の処理を先行させることが望ましい。
<モデル化の際に用いられる多変量解析手法>
モデル化の際に用いられる多変量解析手法として、PLS(Partial Least Squares)回帰分析、重回帰分析、主成分回帰分析、最小二乗法等の各種の解析手法を用いることができる。
PLS回帰分析は、主成分と目的変数との共分散が最大になるように主成分を抽出する手法であり、説明変数の間に強い相関がある場合(多重共線性を生ずる場合)に有効な手法である。
主成分回帰分析は、主成分の分散が最大になるように主成分を抽出する手法であり、説明変数のみを用いて主成分分析を行い、得られた主成分と目的変数との間で最小二乗法による重回帰分析を行うものである。
重回帰分析は、説明変数と目的変数との間で最小二乗法を適用するものであり、主成分回帰分析とは異なる特徴を有するものである。
なお、上述の各解析手法自体は周知であり、本発明のモデル化の際に特殊な処理を要請するものでもないので処理内容の詳細は省略するが、PLSに関しては、検量線の作成との関連で後述する。
<試料中のクロロゲン酸、スコポルチン、ルチンの含有量の推定への適用例>
次に、本発明の手法を試料中の微量成分(クロロゲン酸、スコポルチン、ルチン)の含有量の推定に適用した適用例について詳述する。
これらの微量成分(クロロゲン酸、スコポルチン、ルチン)はポリフェノールの一種であり、蕎麦や果皮に多く含まれる栄養素の1つとして知られており、抗酸化作用等を有することから、食品や化粧品等様々な業界から注目されている。
これらの微量成分の定量方法としては、試料中のこれらの微量成分を抽出液で抽出し、これを高速液体クロマトグラフ(HPLC)で定量する方法が知られているが、この方法では分析結果を得るまでに労力と時間を要するという問題がある。
これらの微量成分は、試料中に化学構造が類似したポリフェノールとして混在して存在する場合が多い(例えば、たばこ原料等)。このような場合、化学構造が類似したポリフェノールは類似した蛍光指紋を有するため、蛍光指紋法を適用しても、特定の微量成分だけを抜き出して正確に定量することには困難性が予想される。
上記のような化学構造が類似した微量成分の定量に関する困難性に係る事情等を、図5、図6A〜図6Cに基づき説明する。
図5は、クロロゲン酸(10ppm)、ルチン(1ppm)、スコポレチン(0.1ppm)を含む混合サンプルの蛍光指紋を表している。他方、図6A、図6B、図6Cは、混合サンプルに含まれる、スコポレチン(1ppm:(A))、クロロゲン酸(1ppm:(B))、ルチン(1ppm:(C))のそれぞれを単独で含む試験試料の蛍光指紋を表している。以下の表1は、前記混合サンプル、並びに、スコポレチン(1ppm)、クロロゲン酸(1ppm)、ルチン(1ppm)の蛍光指紋のピーク位置近傍の波長(励起波長/蛍光波長)、及び、対応する蛍光強度を纏めたものである。
Figure 2020031447
図5及び図6A〜図6C並びに表1から、概略、以下のような知見が得られる。
・混合物の蛍光指紋において、ルチンのピーク位置近傍の波長はスコポレチンと一致している(図5の符号「A」を付した箇所参照)。
・混合物の蛍光指紋において、クロロゲン酸にみられるピーク位置(図5の符号「B」を付した箇所参照)が現れている。
・混合物の蛍光指紋において、ルチンに関する特徴は、一見したところでは視認できない。
・試料中の含有量が1ppmの場合、蛍光強度は、スコポレチンとルチンで3桁相違する。
・但し、蛍光指紋のパターンは、スコポレチン、クロロゲン酸、ルチンでわずかに異なる。
そこで、スコポレチン、クロロゲン酸、ルチン間でわずかに異なる蛍光指紋のパターンに着目して、試料中のそれぞれの含有量を推定することを可能にすることが考えられる。本適用例は、取得された蛍光指紋の前処理において、前述のような新規な手法を採用することにより、簡便かつ迅速に、試料中のスコポレチン、クロロゲン酸、ルチンの含有量を推定することができるものである。
以下、本発明の実施の一態様の各工程について説明する。
〔試験試料の準備〕
<ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンを標品で混合した試料を用いる場合>
ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンの標品を様々な割合で混合した40サンプル(溶媒は50%エタノール/水溶液)を準備した。各サンプルについては、粒径1mm以下に粉砕し十分に混合したものを試験試料として用意した。このような粉砕・混合により、ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンが原料中に一様に分布せず局在しているようなケースであっても、測定の精度を担保するようにした。
また、試験試料は事前に水分量を一定化するために蔵置されたものを用いた。例えばたばこ原料の場合、調和条件(22度60%の室内)で24時間以上蔵置することが好ましい。このように測定前に水分量を一定化させておくことで蛍光のピークシフトが起こりにくくなる。
<ルチン含有量の測定にたばこ原料を試料として用いる場合>
ルチン含有量が既知の各サンプルについては、粒径1mm以下に粉砕し十分に混合したものを試験試料として用意した。
試料がたばこ原料であった場合、ルチンはたばこ原料中に均一に存在するのではなく局在することがわかっていることから、このように、測定前に試料を一定粒径(1mm径)以下に粉砕し、十分に混合してから蛍光指紋を取得することが好ましいものである。なお、各サンプルのルチン含有量については、事前に高速液体クロマトグラフ(HPLC)により定量しておいた。
また、試験試料は事前に水分量を一定化するために蔵置されたものを用いた。たばこ原料の場合は、調和条件(22度60%の室内)で24時間以上蔵置することが好ましい。このように測定前に水分量を一定化させておくことで蛍光のピークシフトが起こりにくくなる。
但し、ルチンに関しては溶かせる溶媒が限られているため、固体のまま測定するのが望ましい場合もあり、たばこ原料中のルチンの含有量を測定(推定)するために固体のままで蛍光指紋情報を取得する場合もある。
〔蛍光指紋情報の取得〕
試験試料の蛍光指紋情報を取得するために、蛍光指紋測定装置として、日立ハイテクサイエンス社製F-7000を用い、反射法(FrontFace)により測定を行った。
測定条件は、励起光200−600nm, 蛍光200−700nm, 分解能5nm, スリット幅5nm,フォトマル感度700Vであった。なお、分解能5nmを考慮すれば、測定波長は少なくとも5nm程度の誤差を許容するものである。
〔蛍光指紋情報に対する前処理〕
<ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンを標品で混合した試料を用いる場合>
ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンの標品を様々な割合で混合した試験試料から取得された蛍光指紋情報に対して前処理を行う。この前処理には、例えば、MatlabやPLS_toolbox等の専用ソフトウエアが使用される。前処理としては、前述の<蛍光指紋情報に対する前処理>において詳述した本発明に特有な2次微分処理の外に、好ましくは、各スペクトルに対する従前使用されている2次微分処理や、成分情報に寄与しない波長を除去する処理が挙げられる。因みに、成分情報に寄与しない波長を除去する処理として、例えば、以下のような手法を採用し得るが、各処理手法自体は既知であり、その詳細についての説明は省く。
(a)Variable important projection(VIP)
(b)interval PLS(iPLS)
(c)Genetic algorithms(GA)
(d)Jack-knife分析
(e)Forward interval PLS
(f)Backward interval PLS(biPLS)
(g)Synergy interval PLS(siPLS)
(h)LASSO type method
本発明に特有な2次微分処理に関しては、前述の<蛍光指紋情報に対する前処理>において詳述した手法を適用するが、本混合試料のケースでみれば、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの蛍光指紋情報に対して、x軸(蛍光波長軸)に平行な軸に沿った2次微分処理を行うことにより、有効な結果を得ることができる。
<ルチン含有量の測定のためにたばこ原料を試料として用いる場合>
基本的に、前述したルチン・クロロゲン酸・スコポレチンを標品で混合した試料を用いる場合と同様の前処理を行えばよい。
〔検量線の作成・検証〕
検量線は、具体的には、取得された蛍光指紋情報を説明変数、既知の成分(ルチン、クロロゲン酸、スコポレチン)の含有量を目的変数とし、PLS回帰分析(以下、単に「PLS」ということもある)を使用して作成する。
PLS回帰分析に関し、その概略を簡潔に説明しておく。
PLSでは、説明変数X(行列)と目的変数y(ベクトル)は、以下の二つの基本式(1)、(2)を満たしている。
X=TPT+E (1)
y=Tq+f (2)
ここで、Tは潜在変数(行列)、Pはローディング(行列)、Eは説明変数Xの残差(行列)、qは係数(ベクトル)、fは目的変数の残差(ベクトル)、PTはPの転置行列である。
因みに、PLSは、説明変数Xの情報を目的変数yのモデリングに直接用いるのではなく、説明変数Xの情報の一部を潜在変数tに変換し、潜在変数tを用いて目的変数yをモデリングするものである。なお、潜在変数の数は、例えば、クロスバリデーションによる予測的説明分散値を指標として決定することができる。また、潜在変数は、主成分と呼ばれることもある。
特に、1成分モデルの場合には、上記の(1)、(2)は、以下の(3)、(4)で表される。
X=t11 T+E (3)
y=t11+f (4)
ここで、t1は潜在変数(ベクトル)、p1はローディング(ベクトル)、q1は係数(スカラー)である。
今、t1がXの線形結合で表されると仮定すると、以下の(5)が成立する。
1=Xw1 (5)
ここで、w1は規格化された重みベクトルである。
PLSは、yとt1との共分散yT1を、w1のノルムが1(|w1|=1)という条件下で最大化するようなt1を求めるものであり、t1の算出には、所謂ラグランジュの未定乗数法を用いればよい。ラグランジュの未定乗数法を用いた計算手法は周知であるから、計算の詳細は省略し、w1、p1、q1に関する計算結果のみ、以下の(6)〜(8)として示す。
1=XTy/|XTy| (6)
1=XT1/t1 T1 (7)
1=yTt1/t1 T1 (8)
なお、(7)、(8)式のt1は、(6)式で求めたw1を(5)式に代入することにより算出されたベクトルである。
多成分モデルについても、同様の手法で計算できるが、計算手法は周知であるから詳細は省略する。
まず、ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンを標品で混合した試料を用いる場合について、検量線の作成・検証の詳細を説明する。
上述のような手法で得られた検量線を、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの各成分について作成・検証するために、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの各成分の含有量が既知の複数のサンプルを、検量線の作成に使用するためのキャリブレーション用サンプル群と、検量線を検証して有効性を確認するためのバリデーション用サンプル群に分けて用意する。
キャリブレーション用サンプル群に対して上述のPLS回帰分析を適用し、取得された蛍光指紋情報から各成分について含有量を推定する検量線を作成する。なお、検量線の作成に当たり、取得された蛍光指紋に対する前処理を省くこともできるが、(1)本発明に特有な2次微分処理、(2)成分情報に寄与しない波長に対する除去処理等の前処理を行うことが望ましい。(2)の前処理に関しては、例えば、以下のような処理を採用することができる。
・非蛍光成分の除去,散乱光の除去,低感度領域の除去
・対数変換(Log10)→従前の二次微分→規格化(normalize)→オートスケーリング(autoscale)
・VIPによる波長限定
因みに、上記(1)、(2)の前処理の順序は、適宜決めることができるが、(2)を先行させることが望ましい。
次に、バリデーション用サンプル群について、取得された蛍光指紋情報から前記検量線を用いて各成分の含有量を推定し、検量線の検証を行う。
表2は、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの各成分について、キャリブレーション用サンプル群の決定係数R2及び検量線作成時の標準誤差SEC、並びに、バリデーション用サンプル群の決定係数R2及び検量線評価(検証)時の標準誤差SEPを纏めたものである。
Figure 2020031447
図7A〜図7Cは、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの各成分について、バリデーション用サンプル群のデータをグラフ化したものであり、図7Aはスコポレチン、図7Bはクロロゲン酸、図7Cはルチンをそれぞれ表している。
上述の表2及び図7A〜図7Cからも明らかなように、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの検量線は、良好な推定精度を有しており、当該検量線の有効性が確認されている。
次に、ルチン含有量の測定のためにたばこ原料を試料として用いる場合について、キャリブレーション及びバリデーションの推定精度について詳述する。
図8Aは、横軸に高速液体クロマトグラフ(HPLC)による実測値(化学分析値)、縦軸に蛍光指紋による推定値を取り、バリデーション用サンプル群に属する各サンプルについて、前記前処理を行った場合の対応する点をプロットしたグラフである。
前述のような、ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンを標品で混合した試料を用いる場合と同様の前処理を行った場合のキャリブレーション用サンプル群において、決定係数R2=0.97(SEC=0.086%)であり、化学分析値と検量線による推定値との間に高い相関を有し、良好な推定精度であることが確認されている。また、図8Aによれば、バリデーション用サンプル群における推定精度は、決定係数R2=0.91(SEP=0.19%)あり、当該検量線の有効性が確認されている。
なお、前述のような前処理を省いた場合には、キャリブレーション用サンプル群における推定精度は、決定係数R2=0.93(SEC=0.16%)、バリデーション用サンプル群における推定精度は、図9に示されるように、決定係数R2=0.87(SEP=0.22%)であり、化学分析値と検量線による推定値との間に高い相関を有してはいるものの、前述のような前処理を行った場合と比較すると、推定精度について若干の低下が認められる。
次に、クロロゲン酸含有量の測定のためにたばこ原料を試料として用いる場合について、キャリブレーション及びバリデーションの推定精度について詳述する。
図8Bは、横軸に高速液体クロマトグラフ(HPLC)による実測値(化学分析値)、縦軸に蛍光指紋による推定値を取り、バリデーション用サンプル群に属する各サンプルについて、前記前処理を行った場合の対応する点をプロットしたグラフである。
前述のような、ルチン・クロロゲン酸・スコポレチンを標品で混合した試料を用いる場合と同様の前処理を行った場合のキャリブレーション用サンプル群において、決定係数R2=0.87(SEC=0.19%)であり、化学分析値と検量線による推定値との間に高い相関を有し、良好な推定精度であることが確認されている。また、図8Bによれば、バリデーション用サンプル群における推定精度は、決定係数R2=0.88(SEP=0.20%)あり、当該検量線の有効性が確認されている。
〔未知試料における各成分の含有量の推定〕
有効性が確認された検量線を用いて、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの各成分の含有量が未知の試料の蛍光指紋情報に基づき、前記試料に含有される各成分の含有量を推定する。
なお、各成分の含有量が未知の試料について、取得された蛍光指紋に対する前処理を省くこともできるが、検量線を取得したときと同様、(1)本発明に特有な2次微分処理、(2)成分情報に寄与しない波長に対する除去処理等の前処理を行い、次に、処理後の蛍光指紋から検量線に基づいて未知試料の各成分の含有量を推定することが望ましい。なお、上記(1)、(2)の前処理の順序は、適宜決めることができるが、(2)を先行させることが望ましい。
各成分以外のポリフェノール成分をノイズとして有効に除去し、各成分に特徴的に強い蛍光を示す特定の励起/蛍光波長(各成分の化学構造に基づいて決まる蛍光強度が最大になる波長条件)を使用することにより、蛍光指紋法による各成分の的確な定量が実現できる。
そして、このように有効性が確認された検量線を用いて、ルチン、クロロゲン酸、スコポレチンの各成分の含有量が未知の試料の蛍光指紋情報に基づき、前記試料に含有される各成分の含有量を有効に推定できる。
なお、たばこ原料等のルチンを含有する未知試料中のルチンの定量に関しては、以下に詳述するような簡便化した手法を有効に利用できる。
<ルチンに関する簡便化した適用例>
これまでの説明においては、基本的に、全ての蛍光指紋情報を使用してルチン含有量を推定する態様を説明してきたが、精度は多少犠牲にしても、安価なハンディタイプのデバイスへの適用や簡素化された測定工程による測定の迅速化等に対する要請が存在する。
そこで、このような簡易測定という要請に応えるための簡便化した態様を以下説明する。
この簡素化した態様は、励起波長/蛍光波長(測定波長)として、285/410,415,420,425,430,435,440,450,460(nm)の9波長のみを用いて蛍光指紋情報を取得し、ルチンの定量を行うものである。定量のための手法は、基本的に、全ての蛍光指紋情報を使用するケースと同様であり、詳細は省略することとするが、このように波長を限定した(概ね10波長未満の)場合には、検量線の作成に際し、PLS回帰以外に、重回帰分析(MLR)も利用可能である。なお、波長を限定しない場合にはPLS回帰を使用することが望ましい。
なお、285/410,415,420,425,430,435,440,450,460(nm)の9波長は、ルチンの化学構造に基づいて蛍光強度が最大値を取る特定の励起/蛍光波長に相当するものである。
このような特定数の波長を使用する簡便化した態様については、キャリブレーション用サンプル群における推定精度は、決定係数R2=0.73(SEC=0.25%)であった。また、バリデーション用サンプル群における推定精度は、決定係数R2=0.82(SEP=0.26%)であり、前述の態様と比較すると、推定精度の低下が認められるものの、簡易測定という要請に十分応え得るレベル範囲にあるものといえる。
また、簡便化した態様はこれに限られるものではなく、励起波長/蛍光波長(測定波長)として、285/410,415,420,425,430,435,440,450,460(nm)のうち少なくとも1つを含むような態様を採用することができる。この場合には、9波長のみを用いるケースと比較して、測定精度の点では劣るものの、迅速性の向上を実現できる。
そして、上述のような簡便化した態様を、ハンディタイプのデバイスや、簡素化された測定工程として実現することにより、安価且つ迅速に測定結果を取得することができる。
なお、上述のような簡便化した適用例に関しては、迅速な定量を行うために、取得された蛍光指紋に対する前処理を省くこともできる。
また、上述のような簡便化した適用例は、たばこ原料中のルチンの含有量の推定のみに有効なものではなく、ルチンを含有する他の材料に対しても有効に適用することができる。
本発明は、上述した実施の態様以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の態様を採用し得ることに留意されたい。
100:蛍光指紋分析による試料の評価・推定装置
110:前処理手段
120:推定モデル作成手段
130:成分量推定手段

Claims (21)

  1. 試験試料について励起波長・蛍光波長・蛍光強度のデータからなる蛍光指紋情報を取得する蛍光指紋情報取得工程と、
    2次微分処理により前記試験試料に特有な前記蛍光強度のピーク値が現れるように軸を設定し、前記軸に沿った前記蛍光指紋情報の2次微分処理を少なくとも含む前処理工程と、
    少なくとも前記2次微分処理が実施された蛍光指紋情報を説明変数とし、前記試験試料についての既知の定量値を目標変数として、検量線を取得する推定モデル作成工程と、
    を含む、蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  2. 前記推定モデル作成工程において、多変量解析によって上記検量線を作成することを特徴とする請求項1に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  3. 前記多変量解析は、PLS回帰分析であることを特徴とする請求項2に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  4. 前記前処理工程において、前記蛍光指紋情報に対して低感度領域の削除処理を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  5. 前記試験試料が、クロロゲン酸を含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  6. 前記試験試料が、スコポレチンを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  7. 前記試験試料が、ルチンを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  8. 前記励起波長が285nm近傍値であって前記蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440, 450,460nm近傍値のうちの少なくとも1つである波長のいずれかの励起波長/蛍光波長の組み合わせにより、ルチンの検量線を作成することを特徴とする請求項7に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  9. 前記励起波長が285nm近傍値であって前記蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440, 450,460nm近傍値の全てである波長の励起波長/蛍光波長の組み合わせの両方により、ルチンの検量線を作成することを特徴とする請求項8に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  10. 前記試験試料は、たばこ製品の原料であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  11. 前記試験試料は、励起光の照射前に粉末状に粉砕・混合されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  12. 前記試験粉砕によって、試料が1mm以下の粒径とされることを特徴とする請求項9に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  13. 前記試験材料は、事前に水分量を一定化するために、所定の調和条件で所定時間蔵置されることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  14. 前記試験材料は、たばこ製品の原料であり、前記調和条件は、温度22℃、湿度60%の室内という条件であり、前記所定時間は24時間以上であることを特徴とする請求項13に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載の蛍光指紋分析による試験試料の評価方法により得られた検量線と未知の試料の蛍光指紋情報とに基づき、前記試料に含有される特定成分の含有量を推定することを特徴とする成分量推定方法。
  16. 前記試料に含有される特定成分の含有量を推定する際に、前記蛍光指紋分析による試験試料の評価方法における前処理と同一の処理を行うことを特徴とする請求項15に記載の成分量推定方法。
  17. 前記未知の試料の蛍光指紋情報を取得するために、励起波長が285nm近傍値であって蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440, 450,460nm近傍値のうち少なくとも1つである波長のいずれかの励起波長/蛍光波長の組み合わせを用いることを特徴とする請求項15又は16に記載の成分量推定方法。
  18. 前記未知の資料の蛍光指紋情報を取得するために、前記励起波長が285nm近傍値であって前記蛍光波長が410,415,420,425,430, 435,440,450,460nm近傍値の全てである波長の励起波長/蛍光波長の組み合わせの両方を用いることを特徴とする請求項17に記載の成分量推定方法。
  19. コンピュータに請求項1〜18の何れか1項に記載の方法を実行させるためのプログラム。
  20. 試料についての励起波長・蛍光波長・蛍光強度のデータからなる蛍光指紋情報を入力し、2次微分処理により前記試料に特有な前記蛍光強度のピーク値が現れるように軸を設定し、前記軸に沿った前記蛍光指紋情報の2次微分処理を少なくとも含む前処理手段と、
    少なくとも前記2次微分処理が実施された蛍光指紋情報を説明変数とし、前記試験試料についての既知の定量値を目標変数として、検量線を取得する推定モデル作成手段と、
    前記推定モデル作成手段により取得された前記検量線と未知の試料の蛍光指紋情報とに基づき、前記未知の試料に含有される特定成分の含有量を推定する成分量推定手段と、
    を具備することを特徴とする装置。
  21. 前記未知の試料の蛍光指紋情報は前記前処理手段で処理され、処理後の蛍光指紋情報が前記成分量推定手段に入力されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
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