JPWO2020026623A1 - 電極、金属空気電池および金属空気電池の製造方法 - Google Patents

電極、金属空気電池および金属空気電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

金属空気電池の充電用正極に使用される充電極は、内部に多数の孔部を有する金属多孔体と、金属多孔体の孔部の内壁面を被覆する親水性ポリマー被膜とを含んで構成される。親水性ポリマー被膜は、金属多孔体における孔部を完全に埋めるのではなく、酸素ガスの通路となる空隙を残しながら孔部の内壁面に被膜を形成する。

Description

本開示は、金属空気電池および金属空気電池の製造方法に関する。
金属空気電池は、空気極(正極)と、金属負極(負極)と、電解質層(電解液または固体電解質)とを備えて構成されている。また、二次電池である金属空気電池には、さらに、充電用正極を備えた三極式のものもある。
図9は、三極式の金属空気電池100の一般的な構造を示す概略断面図である。金属空気電池100は、電池ケース2(筐体)内に、負極活物質となる金属を含む金属負極3と、放電用正極である空気極4と、充電用正極である酸素発生極5と、金属負極3と酸素発生極5との間、および酸素発生極5と空気極4との間に介装されたセパレータ6とを備えている。金属空気電池100では、空気極4、金属負極3、酸素発生極5が電池ケース2内に順に配置されており、さらに電池ケース2内には電解質層として電解液7が満たされている。
空気極4は、空気極集電体41、空気極触媒層42、および空気極撥水層43を備えて構成されている。空気極集電体41は、多孔性でかつ電子伝導性を有する。空気極触媒層42は、例えば、導電性の多孔性担体と、多孔性担体に担持された触媒とを含む構成とされる。これにより、触媒上において、酸素ガスと水と電子とが共存する三相界面を形成することが可能になり、放電反応を進行させることができる。空気極撥水層43は、撥水性樹脂を含有する多孔性材料であり、空気極触媒層42に対して空気極集電体41と反対側(すなわち金属負極3の反対側)に配置される。空気極撥水層43が配設されることにより電解液7の漏洩を抑制することができる。
この空気極4においては、酸素(気相)、水(液相)、電子伝導体(固相)が共存する三相界面で放電反応が進行する。空気極4は、大気に含まれる酸素ガスが拡散できるように設けられる。例えば、空気極4は、少なくとも空気極4の表面の一部が大気に曝されるように設けられている。図9の構成では、電池ケース2に多数の通気口21が設けられており、これらの通気口21を介して大気に含まれる酸素ガスが空気極4中に拡散される。
金属負極3は、負極活物質層31および負極集電体32を備えて構成されている。図9の構成では、負極活物質層31の厚み方向のほぼ中央に負極集電体32が配置されている。負極活物質層31は、金属元素を含む活物質(負極活物質)を含み、放電時には活物質の酸化反応が起こり、充電時には還元反応が起こる。金属元素としては、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄などが用いられる。負極集電体32は、多孔性でかつ電子伝導性を有する。
酸素発生極5は、充電極510および充電極撥水層52を備えて構成されている。また、酸素発生極5は、図示しない充電極集電体を備える場合もある。充電極510は多孔性の電極であり、充電極510においては、酸素(気相)、水(液相)、電子伝導体(固相)が共存する三相界面で充電反応が進行する。充電極510は、表面に充電反応を促進する酸素発生触媒粒子が備えられてもよい。
酸素発生極5では、充電反応の進行により酸素ガスが生成される。このため、酸素発生極5は、この酸素ガスが拡散できるように設けられており、少なくともその一部が外気と連通するように設けられる。図9の構成では、酸素発生極5の配置側でも電池ケース2に多数の通気口21が設けられており、これらの通気口21を介して、充電反応により生成される酸素ガスなどのガスが酸素発生極5から排出される。
また、酸素発生極5に対しても、空気極4における空気極撥水層43と同様に、充電極撥水層52が備えられる。この充電極撥水層52は、撥水性樹脂を含有する多孔性材料であり、充電極510に対して金属負極3と反対側(すなわち電池ケース2側)に配置されている。充電極撥水層52が配設されることにより、酸素発生極5を介した電解液7の漏洩を抑制することができる。また、充電極撥水層52が配設されることにより、充電反応により生成される酸素ガスなどのガスを電解液7と分離し、電池ケース2の外部へ通気口21を介して排出することができる。
セパレータ6は、電子的に絶縁性の材料で形成されて、空気極4と金属負極3、および酸素発生極5と金属負極3の絶縁を確保しつつ、これらの部材間の電荷担体の移動を可能とする。特に、セパレータ6は、電極間で電子伝導経路が形成されることによる短絡を防ぐ。例えば、充電時に金属負極3で還元析出した金属デンドライトが、酸素発生極5に到達し、短絡することを抑制する。
図9に示すような三極式の金属空気電池100では、特に酸素発生極5において以下のような課題が発生する。
(A)充電極510が多孔性であり、その孔部に入り込む電解液7は流動性が高いため、充電極撥水層52のみでは電解液7の漏洩を確実に防止することが困難である。すなわち、酸素発生極5の背面から電解液7の漏洩が生じる。
(B)充電極510の孔部に入り込んだ電解液7により、充電中に発生する酸素ガスの排出が阻害され、充電極510の孔部に気泡が生じる。この気泡によって充電極510における三相界面が小さくなり、充電電圧が大きくなる(充電過電圧上昇)。その結果、不均一充電が生じ、金属空気電池100のサイクル性も低下する。
上記課題に対して、特許文献1には、充電用正極を発泡金属材料と該発泡金属材料の孔部に含まれる親水性粒子状部材とを含んで構成することが開示されている。特許文献1に開示される構成では、発泡金属材料の孔部に親水性粒子状部材を含ませることで、発泡金属材料の孔部の隅々にまで電解液を行き渡らせることができ、発泡金属材料の表面をより有効に使用することができるとされている。また、電解液を含んだ親水性粒子状部材が、電解液が充電用の正極中を透過するのを阻止し、電解液の液漏れを抑制する効果も得られるとされている。
特開2017−168312号公報
上記特許文献1における技術は、上記(A)の課題に対して効果はあると考えられるものの、上記(B)の課題に対して十分な効果があるとは言えない。その理由は以下の通りである。
特許文献1に開示される構成では、図10(a)に示すように、充電用正極は発泡金属材料200により構成され、発泡金属材料200に対して外気側の面に撥水膜210を配置し、電解液側の面にアニオン伝導膜220を配置している。また、発泡金属材料200の孔部に親水性粒子状部材201が含まれる。
特許文献1の充電用正極を用いる金属空気電池では、図10(b)に示すように、親水性粒子状部材201によって発泡金属材料200の孔部の全体に電解液202を行き渡らせることができる。しかしながら、孔部に隙間なく入り込んだ電解液202は、充電中に発生する酸素ガスの排出を阻害することにもなる。このため、発泡金属材料200の内部は、酸素ガスの気泡203が残存する状態となり易い。また、親水性粒子状部材201は、発泡金属材料200の内壁面から気泡203を剥がすような効果は無いため、気泡203は発泡金属材料200の内壁面に付着して三相界面の面積を減少させ、上記(B)の課題を発生させる要因になる。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、三極式の金属空気電池において、充電時における酸素発生極での充電反応を安定して効率よく行うことを目的とする。
上記の課題を解決するために、本開示の第1の態様である電極は、金属空気電池の充電用正極に使用される電極であって、内部に多数の孔部を有する金属多孔体と、親水性ポリマーを含み、少なくとも前記金属多孔体の孔部の内壁面を被覆する親水性ポリマー被膜とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、金属多孔体の孔部の内壁面を被覆する親水性ポリマー被膜は、金属多孔体における孔部を完全に埋めるのではなく、酸素ガスの通路となる空隙を残しながら孔部の内壁面に被膜を形成する。このような電極を金属空気電池の充電用正極(酸素発生極)に用いた場合、電池内の電解液は親水性ポリマー被膜内を拡散し、金属多孔体の内壁面の全体に行き渡る。また、充電反応によって発生する酸素ガスは、親水性ポリマー被膜の作用によって金属多孔体の内壁面から容易に剥がされ、空隙を通って外部に排出される。このため、金属空気電池では、酸素発生極において酸素ガスの気泡により三相界面の面積が減少することを抑制でき、充電時における酸素発生極での充電反応を安定して効率よく行うことができる。
また、上記電極では、前記親水性ポリマーは、水酸基、アミノ基、スルホ基またはカルボキシル基から選択される親水基を有する構成とすることが好ましい。これにより、金属空気電池が漏出しようとする電解液を親水性ポリマー被膜によって保液する効果が高くなる。
また、上記電極では、前記親水性ポリマーは、アニオン交換基を有する構成とすることが好ましい。これにより、酸素発生極での炭酸塩析出を抑制できる。
また、上記電極では、前記親水性ポリマーは、架橋構造を有する構成とすることが好ましい。これにより、親水性ポリマー被膜が強固となり、経時的な形状変化が少なくなるため、親水性ポリマー被膜による効果が長期間維持できる。
また、上記電極では、前記親水性ポリマーは、水酸基、アミノ基、スルホ基およびカルボキシル基から選択される親水基の水素原子が離脱し、金属イオンとイオン結合した金属塩を有する構成とすることができる。
また、上記電極では、前記金属多孔体は、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cu,Ru,Rh,Pd,Ir,Ptからなる群の何れかから構成することができる。
また、上記電極は、第1面と、前記第1面と対向する第2面とを備えており、前記親水性ポリマー被膜は、前記第1面から前記第2面までの前記金属多孔体の厚み方向において、前記第2面側の膜厚が前記第1面側の膜厚よりも小さくされており、当該電極の前記第1面側には、前記金属多孔体の孔部が前記親水性ポリマー被膜によって埋められた充填領域が存在している構成とすることができる。
上記の構成によれば、このような電極を金属空気電池の充電用正極(酸素発生極)に用いた場合、第1面を金属負極と対向させて電解液と接するように配置することで、電解液は親水性ポリマー被膜によって拡散される分だけが充電極に内部に浸透することを許容され、それ以上の浸透は親水性ポリマー被膜の充填領域によって抑制される。一方、第2面側では、親水性ポリマー被膜の膜厚が小さくなるように形成されているため、十分な空隙が形成され、第2面側に充填領域が存在していることでこの空隙に電解液が入り込むことも抑制される。このため、空隙により充電中に発生する酸素ガスの排出が効率よく行える。
また、上記電極では、前記充填領域の厚みは、前記金属多孔体の厚みの1/20〜1/2である構成とすることができる。
また、上記電極では、記金属多孔体の平均孔径は、0.45〜3.2mmである構成とすることができる。
また、上記電極は、第1面と、前記第1面と対向する第2面とを備えており、かつ、前記第1面側に位置する第1層と、前記第2面側に位置する第2層とを有しており、前記第1層における前記金属多孔体の平均孔径は、前記第2層における前記金属多孔体の平均孔径よりも小さい構成とすることができる。
上記の構成によれば、このような電極を金属空気電池の充電用正極(酸素発生極)に用いた場合、第1面を金属負極と対向させて電解液と接するように配置することで、電解液は親水性ポリマー被膜によって拡散される分だけが充電極に内部に浸透することを許容され、それ以上の浸透は第1層の親水性ポリマー被膜によって抑制される。一方、第2層では、親水性ポリマー被膜の膜厚が小さくなるように形成されているため、十分な空隙が形成され、この空隙により充電中に発生する酸素ガスの排出が効率よく行える。
また、上記の課題を解決するために、本開示の第2の態様である金属空気電池は、筐体と、前記筐体の内部に収容された電解液と、前記電解液に一部が浸漬され、負極活物質となる金属を含む金属負極と、前記電解液に一部が浸漬され、前記金属負極に対向して配され、酸素発生能を有する酸素発生極と、前記電解液に一部が浸漬され、前記金属負極に対向して配され、酸素還元能を有する空気極と、を備えた金属空気電池であって、前記酸素発生極に、上記記載の電極を用いたことを特徴としている。
また、上記金属空気電池は、前記酸素発生極における前記金属負極との対向面側に親水性ポリマー層が設けられている構成とすることができる。
上記の構成によれば、電解液は親水性ポリマー層および親水性ポリマー被膜によって拡散される分だけが酸素発生極内部に浸透することを許容され、それ以上の浸透は抑制される。このため、酸素発生極では、空隙に電解液が入り込むことが抑制され、空隙によって充電中に発生する酸素ガスの排出が効率よく行える。
また、上記の課題を解決するために、本開示の第3の態様である電極の製造方法は、金属空気電池の充電用正極に使用される電極の製造方法であって、内部に多数の孔部を有する金属多孔体を、親水性ポリマーを含む溶液中に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬工程で親水性ポリマーを含む溶液に浸漬させた金属多孔体を引き上げて乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成よれば、浸漬工程および乾燥工程によって金属多孔体の孔部の内壁面を被覆する親水性ポリマー被膜を形成することができ、上記記載の電極を得ることができる。
また、上記電極の製造方法では、前記浸漬工程で前記金属多孔体の厚さの1/20〜1/2までのみを前記親水性ポリマーを含む溶液中に浸漬させる構成とすることができる。
本開示の電極、金属空気電池および電極の製造方法では、電極の金属多孔体の孔部の内壁面を被覆する親水性ポリマー被膜が形成される。このような電極を金属空気電池の充電用正極(酸素発生極)に用いた場合、充電反応によって発生する酸素ガスは、金属多孔体の孔部の内壁面を被覆する親水性ポリマー被膜の作用によって金属多孔体の内壁面から容易に剥がされ、空隙を通って外部に排出される。このため、金属空気電池の酸素発生極において酸素ガスの気泡により三相界面の面積が減少することを抑制でき、充電時における酸素発生極での充電反応を安定して効率よく行うことができるといった効果を奏する。
実施の形態1に係る金属空気電池の構造を示す概略断面図である。 実施の形態1に係る充電極の内部構成を示す模式図であり、(a)は充電極の全体を示す図であり、(b)は充電極の一部を拡大して示す図である。 実施の形態1に係る充電極の製造方法を示す工程図である。 評価セルおよび比較用評価セルに対し、充電時の充電電圧の変化を示すグラフである。 (a)は親水性ポリマー被膜の膜厚が大きすぎる場合の充電極の模式図であり、(b)は親水性ポリマー被膜の膜厚が小さすぎる場合の充電極の模式図である。 実施の形態2に係る充電極の内部構成を示す模式図である。 実施の形態3に係る充電極の内部構成を示す模式図である。 実施の形態3に係る金属空気電池の構造を示す概略断面図である。 三極式の金属空気電池の一般的な構造を示す概略断面図である。 従来の充電極の内部構成を示す模式図であり、(a)は充電極の全体を示す図であり、(b)は充電極の一部を拡大して示す図である。
〔実施の形態1〕
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1に係る金属空気電池10の構造を示す概略断面図である。金属空気電池10は、三極式の二次電池であり、図9に示す金属空気電池100と類似した構成を示している。このため、図1の金属空気電池10において、図9の金属空気電池100と同様の構成については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
図1の金属空気電池10は、酸素発生極5の構成のみが図9の金属空気電池100とは異なるものであり、具体的には、図9の充電極510に代えて、充電極51を用いている。このため、本実施の形態1では、充電極51の具体的構成および製造方法について説明する。尚、酸素発生極5以外の構成、例えば金属負極3や空気極4の構成については、金属空気電池100と同様の構成に限定されるものではなく、三極式の金属空気二次電池における他の公知の構成を採用してもよい。
図2は充電極51の内部構成を示す模式図であり、図2の(a)は充電極51の全体を示す図であり、図2の(b)は充電極51の一部を拡大して示す図である。図2(a),(b)に示すように、充電極51は金属多孔体511および親水性ポリマー被膜512によって構成されている。親水性ポリマー被膜512は、金属多孔体511における孔部の内壁面を被覆する。すなわち、親水性ポリマー被膜512は、図2(b)に示すように、金属多孔体511における孔部を完全に埋めるのではなく、酸素ガスの通路となる空隙513を残しながら孔部の内壁面に被膜を形成している。尚、充電極51では、金属多孔体511の表面に充電反応を促進する酸素発生触媒粒子が備えられてもよい。
このような充電極51を用いた金属空気電池10では、電解液7は親水性ポリマー被膜512内を拡散し、金属多孔体511の内壁面の全体に行き渡る。また、充電反応によって発生する酸素ガスは、親水性ポリマー被膜512の作用によって金属多孔体511の内壁面から容易に剥がされ、空隙513を通って外部に排出される。具体的には、充電極51で発生する酸素ガスは、充電極撥水層52および電池ケース2における通気口21から金属空気電池10の外部に排出される。
金属空気電池10では、金属多孔体511における孔部の内壁面に親水性ポリマー被膜512が形成されることで、酸素発生極5において酸素ガスの気泡により三相界面の面積が減少することを抑制できる。その結果、酸素発生極5における充電反応を効率よく行うことができる。
続いて、充電極51の製造方法について図3を参照して説明する。尚、以下の説明では、実際に製造した実施例1の充電極51の製造条件を併せて示す。
まず、充電極51の材料として、金属多孔体511と親水性ポリマー含有水溶液とを準備する(S1およびS2)。金属多孔体511としては、金属発泡体(例えば、住友電工製の「セルメット(登録商標)」)が好適に使用できるが、それ以外にも金属粒子や金属繊維の焼結体なども使用可能である。尚、金属多孔体511は、酸素発生能を有する金属、すなわちNi,Cr,Mn,Fe,Co,Cu,Ru,Rh,Pd,Ir,Ptからなる群の何れから構成することができる。
金属多孔体511の寸法は、例えば、以下の範囲とされる。
・厚み:1.4〜10.0mm
・比表面積:250〜5800m2/m3
・平均孔径:0.45〜3.2mm
尚、金属多孔体511における孔部の平均孔径は、細孔直径分布測定装置(米国PUI社製 パームポロメーター)により算出し、規定することができる。
実施例1においては、金属発泡体である住友電工製の「セルメット」を材料とし、厚さ1.4mm、50mm×50mmのシート状、平均孔径0.45mmの金属多孔体511を用いた。
親水性ポリマー被膜512は少なくとも親水性ポリマーを含む膜である。親水性ポリマー被膜512に用いられる親水性ポリマーの種類としては、水酸基、アミノ基、スルホ基またはカルボキシル基などの親水基を有するハイドロゲルや、アニオン交換基を有するアニオン交換樹脂等が挙げられる。また、親水性ポリマーは、水酸基、アミノ基、スルホ基、カルボキシル基の水素原子が離脱して、金属イオンと塩を形成していてもよい。また、親水性ポリマーは、水酸基またはカルボキシル基と、アニオン交換基との両方を有していてもよい。
親水性ポリマー被膜512に含まれる親水性ポリマーが水酸基、アミノ基、スルホ基またはカルボキシル基を有する場合、漏出しようとする電解液7を保液する効果が高くなる。また、親水性ポリマー被膜512がアニオン交換基を有する場合、酸素発生極5での炭酸塩析出を抑制できる。さらに、親水性ポリマー被膜512は架橋構造を有する(共有結合でモノマーが結合されている)ものとすることが好ましい。親水性ポリマー被膜512が架橋構造を有する場合、親水性ポリマー被膜512が強固となり、経時的な形状変化が少なくなるため、親水性ポリマー被膜512による効果が長期間維持できる。
ハイドロゲルは、OH,COOH基等を有するものであり、多価アルコールまたはアクリル酸またはアクリル酸金属塩を含むことで保水性を向上させたものである。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変成体が挙げられる。多価アルコールは、1種のみであってもよく、複数種の混合物であってもよい。また、アクリル酸としては、ポリアクリル酸などが挙げられ、ポリアクリル酸塩としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムなどが挙げられる。
アニオン交換樹脂(アニオン伝導性固体電解質樹脂)は、4級アンモニウム基を有するものが好適に使用でき、その製造方法は公知の方法(例えば特公平03−12568号公報を参照)が使用可能である。
親水性ポリマー被膜512には、親水性ポリマーの他に、導電助剤や酸素発生能を有する触媒が含まれてもよい。導電助剤および酸素発生能を有する触媒は、当該分野の公知の材料を用いてよい。
酸素発生極5に含まれる親水性ポリマー被膜512の量は、金属多孔体511の1cm3あたり、0.03g〜0.3gであることが好ましい。酸素発生極5に含まれる親水性ポリマー被膜512の量が金属多孔体511の1cm3あたり0.03gよりも少ないと、酸素発生極5内で親水性ポリマー被膜512が薄くなる場合があり、十分な三相界面が形成されない虞がある。親水性ポリマー被膜512が薄い場合、充電過電圧が高くなると共に、電解液漏出抑制の効果が得られない場合がある。酸素発生極5に含まれる親水性ポリマー被膜512の量が金属多孔体511の1cm3あたり、0.3gよりも多い場合は、親水性ポリマー被膜512で空隙513がすべて埋まってしまう虞がある。この場合、空隙513を埋める親水性ポリマー被膜512によって酸素ガス排出が阻害され三相界面が低下してしまう。
実施例1において、親水性ポリマー含有水溶液は、水溶媒(100cm3)に、「架橋型ポリアクリル酸ナトリウム」を1g溶かし、3h撹拌することで準備した。
S3の浸漬工程では、S1で準備した金属多孔体511を、S2で準備した親水性ポリマー含有水溶液に24h浸漬させた。S4の乾燥工程では、S3で親水性ポリマー含有水溶液に浸漬させた金属多孔体511を引き上げ、25℃の環境下で12h乾燥させた。乾燥工程後、金属多孔体511の内壁面に親水性ポリマー被膜512が形成された実施例1の充電極51が得られる。尚、浸漬工程においては、親水性ポリマー含有水溶液をゲル化させ、ゲル化させた親水性ポリマー含有水溶液を金属多孔体511の片面に塗布する、またはゲル化させた親水性ポリマーを金属多孔体511の片面に圧着させるような方法を採用してもよい。親水性ポリマー含有水溶液を塗布または圧着できる程度にゲル化する方法としては、(1) 直鎖型ポリアクリル酸などを混ぜてゲル化させる(増粘化させる)方法や、(2) 親水性ポリマー含有水溶液に、親水性モノマー(例:アクリル酸)、架橋剤(例:N'N−メチレンビスアクリルアミド)、重合開始剤(例:ペルオキソ二硫酸カリウム粉末)を溶かし、30min攪拌、12h静置してゲル化させる方法などが挙げられる。
製造した実施例1の充電極51においては、以下の方法により親水性ポリマー被膜512の形成を確認した。すなわち、充電極51を、重金属カチオンやBrアニオンを含む溶液に含浸・乾燥後、断面TEM−EDX観察を行うことで、金属多孔体511の骨格以外の領域に重金属またはBrを検出し、金属多孔体511の孔部内に親水性ポリマー被膜512が存在することを確認した。
実施例1の充電極51を用いて評価セルとなる金属空気電池を製造し、その充放電特性を評価した。評価セル(実施例1)は、図1に示す金属空気電池10の構造とし、充電極51以外の構成は以下のようにした。また、比較用評価セルとして、実施例1の充電極51に代えて、上記S1で準備した金属多孔体511のみを充電極として用いた金属空気電池を製造した。比較用評価セルにおいても、充電極以外の構成は以下の通りである。
金属負極3:亜鉛および酸化亜鉛粒子を含む金属負極「厚さ2mm、50mm×50mmのシート状」
電解液7:Zn飽和KOH水溶液 10ml (KOH7M、酸化亜鉛0.65M)
空気極4:QSI(Quantum Sphere)社製「厚さ0.3mm、50m
m×50mmのシート状」
セパレータ6:日本触媒社製「厚さ0.3mm、50mm×50mmのシート状」
充電極撥水層52:日東電工社製「厚さ0.2mm、50mm×50mmのシート状」
評価セルおよび比較用評価セルに対し、バッテリーテスター(菊水電子工業社製:SPEC20526−PFX2011S)を用いた充放電試験を、温度25℃の環境下で電池端子間開路電圧が1.0V‐3.0Vの範囲において、0.1Cの定電流で10サイクルの充放電を行った。図4は、2サイクル時の充放電試験における充電時の充電電圧の変化を示すグラフである。
図4に示すように、比較用評価セルでは充電が進むにつれて充電電圧が増加しているのに対し、評価セル(実施例1)では充電が進んでも充電電圧の増加は大幅に抑制されている。また、最大充電容量についても、評価セル(実施例1)は比較用評価セルよりも増加している。
さらに、充電極撥水層52からの液漏れに関しても、目視で確認による確認では、評価セル(実施例1)において液漏れは発生していなかった。一方で、比較用評価セルにおいて液漏れは発生していた。これは、充電極51の内部において、電解液7が親水性ポリマー被膜512内を拡散することでその流動性が抑えられ、その結果、充電極撥水層52からの液漏れが無くなったためと考えられる。
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1では、充電極51を金属多孔体511および親水性ポリマー被膜512によって構成することで、背景技術にて説明した課題(A)および(B)を解決できることを説明した。しかしながら、実際には、図2に示す充電極51の構成にて課題(A)および(B)を解決するためには、親水性ポリマー被膜512が適切な膜厚を有するように形成されることが必要である。
親水性ポリマー被膜512の膜厚は、図3に示す浸漬工程において、親水性ポリマー含有水溶液の親水性ポリマー濃度を調整することで、ある程度は調整可能である。すなわち、親水性ポリマー濃度を高くすれば親水性ポリマー被膜512の膜厚を大きくすることができ、親水性ポリマー濃度を低くすれば親水性ポリマー被膜512の膜厚を小さくすることができる。しかしながら、親水性ポリマー含有水溶液の濃度調整のみで親水性ポリマー被膜512の最適な膜厚を得ることは実際には容易でないと考えられる。
例えば、親水性ポリマー含有水溶液の濃度が高すぎる場合、図5(a)に示すように、親水性ポリマー被膜512の膜厚が大きくなりすぎ、金属多孔体511における孔部が親水性ポリマー被膜512によって完全に埋められて空隙513が形成されないことが起こり得る(尚、金属多孔体511の孔部を完全に埋めるような親水性ポリマー被膜512は、実際には被膜と言えるものではないが、便宜上、親水性ポリマー被膜512との名称を用いている)。あるいは、空隙513が形成されたとしても、空隙513が小さすぎて繋がらず、親水性ポリマー被膜512によって殆どの空隙513が分断されてしまうことも起こり得る。このように親水性ポリマー被膜512の膜厚が大きすぎて空隙513が十分に形成されなければ、充電中に発生する酸素ガスの排出効果が大幅に低下し、課題(B)の防止効果が低下する。
一方、親水性ポリマー含有水溶液の濃度が低すぎる場合、図5(b)に示すように、親水性ポリマー被膜512の膜厚が小さくなり、親水性ポリマー被膜512による保水効果が低下する。この場合、金属多孔体511内の、本来は空隙513となる部分にまで電解液7が入り込んでしまう。そして、金属多孔体511内に入り込んだ電解液7によって、充電中に発生する酸素ガスの排出が阻害されるため、課題(B)の防止効果が低下する。さらには、金属多孔体511内に親水性ポリマー被膜512によって保水されない電解液7が存在すると液漏れの原因ともなり、課題(A)の防止効果も低下する。
本実施の形態2では、上述した課題(A)および(B)をより確実に解決し得る充電極51の構成および製造方法について説明する。
図6は、本実施の形態2に係る充電極51の内部構成を示す模式図である。本実施の形態2に係る充電極51は、実施の形態1と同様に、金属多孔体511および親水性ポリマー被膜512によって構成されている。但し、親水性ポリマー被膜512は、その膜厚が一定ではなく、充電極51の厚さ方向に沿って、一方の面(第1面)から他方の面(第2面)に向かって親水性ポリマー被膜512の膜厚が徐々に小さくなるようなグラデーション構造を有している。この時、親水性ポリマー被膜512の膜厚が大きくなる第1面側では、金属多孔体511の孔部が親水性ポリマー被膜512によって埋まり、空隙513が存在しない充填領域が発生する。
このような親水性ポリマー被膜512のグラデーション構造を有する充電極51は、金属空気電池10への適用時、第2面を充電極撥水層52と接触させ、第1面を金属負極3と対向させて電解液7と接するように配置される。この場合、充電極51の第1面側では、空隙513が生じない充填領域が存在しているため、電解液7は親水性ポリマー被膜512によって拡散される分だけが充電極51に内部に浸透することを許容され、それ以上の浸透は抑制される。
一方、充電極51の第2面側では、親水性ポリマー被膜512の膜厚が小さくなるように形成されているため、十分な空隙513が形成される。また、第2面側に充填領域が存在していることで、空隙513に電解液7が入り込むことも抑制される。このため、空隙513により、充電中に発生する酸素ガスの排出も効率よく行える。
本実施の形態2に係る充電極51は、図3に示す浸漬工程において、金属多孔体511の全体を親水性ポリマー含有水溶液に浸漬させず、金属多孔体511の第1面側のみを一定厚さ分だけ浸漬させることで製造可能である。この場合、金属多孔体511を親水性ポリマー含有水溶液に浸漬させた部分で充填領域を形成することができる。親水性ポリマー含有水溶液に浸漬させていない部分では、毛細管現象によって親水性ポリマー含有水溶液を吸い上げさせて親水性ポリマー被膜512を形成することができるが、その膜厚は小さくなる。また、親水性ポリマー含有水溶液の濃度は、金属多孔体511を浸漬させた部分が空隙513を有さない充填領域となる程度の濃度とされる。
親水性ポリマー含有水溶液に浸漬させる金属多孔体511の厚み(すなわち、充填領域の厚み)は、金属多孔体511の厚み全体の1/20〜1/2の範囲とすることが好ましく、1/10〜1/5の範囲とすることがより好ましい。充填領域の厚みは、第2面側の空隙513内への電解液7の浸透を防止できる程度であればよく、必要以上に厚くないことが好ましい。これは、充填領域が厚くなりすぎると、空隙513の形成領域が少なくなり、酸素ガスの排出効率が低下するためである。
尚、本実施の形態2に係る充電極51は、金属多孔体511の孔部の内壁面の全体に親水性ポリマー被膜512が完全に形成されているものに限定されるものではなく、金属多孔体511の一部に親水性ポリマー被膜512の形成されていない領域があってもよい。すなわち、毛細管現象による親水性ポリマー含有水溶液の吸い上げが第2面にまで完全には到達しておらず、第2面側で親水性ポリマー被膜512の形成されていない領域があってもよい。
また、金属多孔体511の内部に形成される親水性ポリマー被膜512の量および膜厚は、以下のように測定可能である。親水性ポリマー被膜512の量は、親水性ポリマー被膜512が形成された金属多孔体511から金属多孔体511単体の重量を差し引く計算により求めることができる。親水性ポリマー被膜512の膜厚の測定方法は、孔直径分布測定装置(米国PUI社製 パームポロメーター)により、親水性ポリマー被膜512が形成された金属多孔体511の孔直径分布を測定し、親水性ポリマー被膜512が形成されていない金属多孔体の孔直径分布との差分を親水性ポリマー被膜512の膜厚として求めることができる。
〔実施の形態3〕
本実施の形態3では、上述した課題(A)および(B)をより確実に解決し得る充電極51の他の構成および製造方法について説明する。
図7は、本実施の形態3に係る充電極51の内部構成を示す模式図である。本実施の形態3に係る充電極51は、内部に形成される孔部の平均孔径が互いに異なる金属多孔体511Aおよび金属多孔体511Bを用いた2層構造とされている。図7では、金属多孔体511Aからなる第1層の平均孔径が、金属多孔体511Bからなる第2層の平均孔径よりも小さくなっている。親水性ポリマー被膜512は、金属多孔体511Aおよび金属多孔体511Bの両方に形成されるが、孔部の平均孔径が小さい金属多孔体511Aでは孔部が親水性ポリマー被膜512によって埋まり、空隙513が殆ど生じない。一方、孔部の平均孔径が大きい金属多孔体511Bでは孔部が親水性ポリマー被膜512によって被膜され、空隙513が生じる。
本実施の形態3に係る充電極51は、金属多孔体511Aおよび金属多孔体511Bのそれぞれに図3に示す浸漬工程および乾燥工程を施した後、これらを貼り合わせることで製造可能である。
図7に示す充電極51は、金属空気電池10への適用時、金属多孔体511Aからなる第1層が第1面側、金属多孔体511Bからなる第2層が第2面側となるように配置される。この場合、第1層では空隙513が殆ど生じない程度にまで親水性ポリマー被膜512が形成されているため、電解液7は親水性ポリマー被膜512によって拡散される分だけが充電極51に内部に浸透することを許容され、それ以上の浸透は抑制される。
一方、第2層では、十分な空隙513が形成されているが、第1層の親水性ポリマー被膜512によって空隙513に電解液7が入り込むことが抑制されるため、空隙513により、充電中に発生する酸素ガスの排出が効率よく行える。
尚、本実施の形態3に係る充電極51では、第1層の厚みは、実施の形態2における重点領域の厚みと同様に、金属多孔体511の厚み全体の1/20〜1/2の範囲とすることが好ましく、1/10〜1/5の範囲とすることがより好ましい。
〔実施の形態4〕
本実施の形態4では、上述した課題(A)および(B)をより確実に解決し得る酸素発生極5の他の構成および製造方法について説明する。図8は、本実施の形態3に係る酸素発生極5を用いた場合の金属空気電池10の構造を示す概略断面図である。図8に示す金属空気電池10では、酸素発生極5以外の構成は図1に示す金属空気電池10と同じである。
図8に示すように、本実施の形態4に係る酸素発生極5は、充電極51および充電極撥水層52以外に、親水性ポリマー層53を有している。親水性ポリマー層53は、充電極51に対して充電極撥水層52とは反対側、すなわち金属負極3と対向する側に配置されている。また、本実施の形態4に係る酸素発生極5では、充電極51は、図2、図6または図7に示す充電極51の何れが使用されてもよい。
本実施の形態4に係る酸素発生極5は、金属空気電池10への適用時、電解液7は親水性ポリマー層53および親水性ポリマー被膜512によって拡散される分だけが充電極51に内部に浸透することを許容され、それ以上の浸透は抑制される。このため、充電極51では、空隙513に電解液7が入り込むことが抑制され、空隙513によって充電中に発生する酸素ガスの排出が効率よく行える。
親水性ポリマー層53は、親水性ポリマー被膜512と同様に、アニオン交換樹脂やハイドロゲルを材料とすることができる。但し、親水性ポリマー層53と親水性ポリマー被膜512とが同じ材料である必要は無い。例えば、親水性ポリマー層53の材料をアニオン交換樹脂とし、親水性ポリマー被膜512の材料をハイドロゲルとすることが可能である。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
〔援用の記載〕
本国際出願は、2018年7月31日に日本特許庁に出願された日本国特許出願第2018−143944号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2018−143944号の全内容を参照により本国際出願に援用する。
2 電池ケース(筐体)
21 通気口
3 金属負極
31 負極活物質層
32 負極集電体
4 空気極
41 空気極集電体
42 空気極触媒層
43 空気極撥水層
5 酸素発生極
51 充電極
511、511A、511B 金属多孔体
512 親水性ポリマー被膜
513 空隙
52 充電極撥水層
53 親水性ポリマー層
6 セパレータ
7 電解液
10 金属空気電池

Claims (14)

  1. 金属空気電池の充電用正極に使用される電極であって、
    内部に多数の孔部を有する金属多孔体と、
    親水性ポリマーを含み、少なくとも前記金属多孔体の孔部の内壁面を被覆する親水性ポリマー被膜とを含むことを特徴とする電極。
  2. 請求項1に記載の電極であって、
    前記親水性ポリマーは、少なくとも水酸基、アミノ基、スルホ基およびカルボキシル基から選択される親水基を有することを特徴とする電極。
  3. 請求項1または2に記載の電極であって、
    前記親水性ポリマーは、アニオン交換基を有することを特徴とする電極。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載の電極であって、
    前記親水性ポリマーは、架橋構造を有することを特徴とする電極。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載の電極であって、
    前記親水性ポリマーは、水酸基、アミノ基、スルホ基およびカルボキシル基から選択される親水基の水素原子が離脱し、金属イオンとイオン結合した金属塩を有することを特徴とする電極。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載の電極であって、
    前記金属多孔体は、Ni,Cr,Mn,Fe,Co,Cu,Ru,Rh,Pd,Ir,Ptからなる群の何れかから構成されることを特徴とする電極。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の電極であって、
    第1面と、前記第1面と対向する第2面とを備えており、
    前記親水性ポリマー被膜は、前記第1面から前記第2面までの前記金属多孔体の厚み方向において、前記第2面側の膜厚が前記第1面側の膜厚よりも小さくされており、
    当該電極の前記第1面側には、前記金属多孔体の孔部が前記親水性ポリマー被膜によって埋められた充填領域が存在していることを特徴とする電極。
  8. 請求項7に記載の電極であって、
    前記充填領域の厚みは、前記金属多孔体の厚みの1/20〜1/2であることを特徴とする電極。
  9. 請求項1から8の何れか1項に記載の電極であって、
    前記金属多孔体の平均孔径は、0.45〜3.2mmであることを特徴とする電極。
  10. 請求項1から6の何れか1項に記載の電極であって、
    第1面と、前記第1面と対向する第2面とを備えており、かつ、前記第1面側に位置する第1層と、前記第2面側に位置する第2層とを有しており、
    前記第1層における前記金属多孔体の平均孔径は、前記第2層における前記金属多孔体の平均孔径よりも小さいことを特徴とする電極。
  11. 筐体と、
    前記筐体の内部に収容された電解液と、
    前記電解液に一部が浸漬され、負極活物質となる金属を含む金属負極と、
    前記電解液に一部が浸漬され、前記金属負極に対向して配され、酸素発生能を有する酸素発生極と、
    前記電解液に一部が浸漬され、前記金属負極に対向して配され、酸素還元能を有する空気極と、を備えた金属空気電池であって、
    前記酸素発生極に、前記請求項1から10の何れか1項に記載の電極を用いたことを特徴とする金属空気電池。
  12. 請求項11に記載の金属空気電池であって、
    前記酸素発生極における前記金属負極との対向面側に親水性ポリマー層が設けられていることを特徴とする金属空気電池。
  13. 金属空気電池の充電用正極に使用される電極の製造方法であって、
    内部に多数の孔部を有する金属多孔体を、親水性ポリマーを含む溶液中に浸漬する浸漬工程と、
    前記浸漬工程で親水性ポリマーを含む溶液に浸漬させた金属多孔体を引き上げて乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする電極の製造方法。
  14. 請求項13に記載の電極の製造方法であって、
    前記浸漬工程で前記金属多孔体の厚さの1/20〜1/2までのみを前記親水性ポリマーを含む溶液中に浸漬させることを特徴とする電極の製造方法。
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