JPWO2020009232A1 - 脂肪酸含有油脂を分解する新規微生物 - Google Patents
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Abstract
Description
(項目1)
トランス脂肪酸含有油脂を資化する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目2)
トランス脂肪酸を資化する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目3)
トランス脂肪酸を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目4)
トランス脂肪酸含有油脂を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目5)
15℃において油脂を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目6)
前記資化または分解する能力が15℃において保持される、項目1〜4のいずれか一項に記載のブルクホルデリア科細菌。
(項目7)
ブルクホルデリア属の細菌である、項目1〜6のいずれか一項に記載の菌。
(項目8)
ブルクホルデリア アルボリス(Burkholderia arboris)、ブルクホルデリア アンビファリア(Burkholderia ambifaria)、またはBurkholderia cepacia complexに属する微生物である、項目1〜7のいずれか一項に記載の菌。
(項目9)
ブルクホルデリア属細菌KH−1株(受託番号NITE BP−02731で特定される菌株)、KH−1AL1株(受領番号NITE ABP−02977で特定される菌株)、KH−1AL2株(受領番号NITE ABP−02978で特定される菌株)もしくはKH−1AL3株(受領番号NITE ABP−02979で特定される菌株)であるか、またはその誘導株であって該誘導株は、項目1〜7のいずれか一項または複数に記載の細菌の特徴を有する、項目1〜8のいずれか一項に記載の細菌。
(項目10)
項目1〜9のいずれか一項に記載の細菌を含む、油分解剤。
(項目11)
さらなる油処理成分を含む、項目10に記載の油分解剤。
(項目12)
項目1〜9のいずれか一項に記載の細菌もしくは項目10に記載の油分解剤と、さらなる油処理成分とを備える、油分解のためのキット。
(項目13)
項目1〜9のいずれか一項に記載の細菌、または項目10もしくは11に記載の油分解剤を処理対象に作用させることを包含する、油分解除去方法。
(項目14)
前記処理対象はトランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を含む、項目13に記載の方法。
本明細書において「リパーゼ」とは、エステラーゼの一種であり、中性脂肪(グリセロールエステル)を加水分解して、脂肪酸とグリセロールに分解する反応を可逆的に触媒する酵素をいう。例えば、リパーゼとして、酵素番号(EC番号)でEC3.1.1.3に分類される、トリグリセロールリパーゼが挙げられる。
において、R1およびR2またはR3およびR4が水素以外の基であり、残りの2個の置換基が水素原子である場合をシス型とよび、R1およびR4またはR3およびR2が水素以外の基であり、残りの2個の置換基が水素原子である場合をトランス型と呼ぶ。トランス脂肪酸は、天然には共役リノール酸やバクセン酸として微量に存在し、例えば、反芻動物の脂肪分に比較的多く含まれている。トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸を製造するための水素化工程、および不飽和脂肪酸を多く含む植物油の精製の際に生じ得る。そのため、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどには、トランス脂肪酸が比較的多く含まれ得る。
・トランス脂肪酸含有油脂を唯一の炭素源として含む培地で増殖可能であるかどうかを確認する試験。
・トランス脂肪酸含有油脂を唯一の炭素源として含む培地でコロニーを形成するかどうかを確認する試験。
・増殖に伴い培養上清中のノルマルヘキサン値の減少を測定する試験。
・増殖に伴い培養上清中の全脂肪酸(油脂中の脂肪酸と遊離脂肪酸との和)を、メチルエステルに変換後、その総量をガスクロマトグラフィーで測定する試験。
・増殖に伴い培養上清中の油脂および遊離脂肪酸の量を薄層クロマトグラフィーで測定する試験。
個々のより詳細な測定方法は、本明細書に提供されており、また、当業者であれば、任意のその他の機器・条件を使用してこれらの測定を実施することができる。
・トランス脂肪酸含有油脂を資化する能力があるかどうかを確認する試験。
・培養上清中の油脂および遊離脂肪酸の量を薄層クロマトグラフィーで測定する試験。
・トランス脂肪酸含有油脂を炭素源として与えて培養し、培養上清中のノルマルヘキサン値の減少量を測定する試験。
・培養上清中の遊離脂肪酸の濃度をガスクロマトグラフィーで測定する試験。
・培養上清中の遊離脂肪酸の濃度をGC−MSで測定する試験。
・培養上清中の遊離脂肪酸の濃度をHPLCで測定する試験。
・トランス脂肪酸含有油脂を含む寒天培地上で形成されるコロニーの周辺に、クリアゾーンが観察されるかどうかを確認する試験。
・トランス脂肪酸含有油脂を主たる有機物(例えば、全有機物中の70重量%以上)として含む検水を作成し、生化学的酸素要求量(BOD)を測定する試験。
個々のより詳細な測定方法は、本明細書に提供されており、また、当業者であれば、任意のその他の機器・条件を使用してこれらの測定を実施することができる。
・トランス脂肪酸を唯一の炭素源として含む培地で増殖可能であるかどうかを確認する試験。
・トランス脂肪酸を唯一の炭素源として含む培地でコロニーを形成するかどうかを確認する試験。
・増殖に伴い培養上清中のノルマルヘキサン値の減少を測定する試験。
・増殖に伴い培養上清中のトランス脂肪酸の濃度をガスクロマトグラフィーで測定する試験。
・増殖に伴い培養上清中のトランス脂肪酸の濃度をHPLCで測定する試験。
・増殖に伴い培養上清中のトランス脂肪酸の量を薄層クロマトグラフィーで測定する試験。
個々のより詳細な測定方法は、本明細書に提供されており、また、当業者であれば、任意のその他の機器・条件を使用してこれらの測定を実施することができる。
・トランス脂肪酸を資化する能力があるかどうかを確認する試験。
・培養上清中のトランス脂肪酸の量を薄層クロマトグラフィーで測定する試験。
・トランス脂肪酸を炭素源として与えて培養し、上清中のノルマルヘキサン値の減少を測定する試験。
・培養上清中のトランス脂肪酸の濃度をガスクロマトグラフィーで測定する試験。
・培養上清中のトランス脂肪酸の濃度をGC−MSで測定する試験。
・培養上清中のトランス脂肪酸の濃度をHPLCで測定する試験。
・トランス脂肪酸を含む寒天培地上で形成されるコロニーの周辺に、クリアゾーンが観察されるかどうかを確認する試験。
・トランス脂肪酸を主たる有機物(例えば、全有機物中の70重量%以上)として含む検水を作成し、生化学的酸素要求量(BOD)を測定する試験。
個々のより詳細な測定方法は、本明細書に提供されており、また、当業者であれば、任意のその他の機器・条件を使用してこれらの測定を実施することができる。
・15℃で油脂を資化する能力があるかどうかを確認する試験。
・15℃で油脂を含む寒天培地上で形成されるコロニーの周辺に、クリアゾーンが観察されるかどうかを確認する試験。
・油脂を炭素源として与えて15℃で培養し、培養上清中のノルマルヘキサン値の減少量を測定する試験。
・油脂を炭素源として与えて15℃で培養し、培養上清中の油脂および遊離脂肪酸の量の時間変化を薄層クロマトグラフィーで測定する試験。油脂の量が時間の経過とともに減少すれば分解能力がある。あるいは、遊離脂肪酸の量がいったん増えれば、分解する能力があると言える。
・油脂を炭素源として与えて15℃で培養し、培養上清中の遊離脂肪酸の濃度をガスクロマトグラフィー、GC−MS、HPLC等の機器分析により測定する試験。遊離脂肪酸の濃度がいったん増えれば、分解する能力があると言える。
・油脂を主たる有機物(例えば、全有機物中の70重量%以上)として含む検水を作成し、生化学的酸素要求量(BOD)を測定する試験。
個々のより詳細な測定方法は、本明細書に提供されており、また、当業者であれば、任意のその他の機器・条件を使用してこれらの測定を実施することができる。
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
一つの局面において、本開示は、油脂分解能のある新たな微生物を提供する。特に、本開示の微生物は、トランス脂肪酸含有油脂を資化する能力、トランス脂肪酸を資化する能力、トランス脂肪酸を分解する能力、トランス脂肪酸含有油脂を分解する能力、および/または15℃において油脂および/または脂肪酸を資化および/または分解する能力という1つ以上の特徴を有するものである。
一つの局面において、本開示は、本開示の微生物を含む組成物を提供する。一つの局面において、本開示は、本開示の微生物の培養上清を含む組成物を提供する。本開示の微生物は、任意の適当な方法により培養することで製造することができる。一つの実施形態では、組成物は油分解剤である。一つの実施形態では、組成物は脂肪酸分解剤である。本開示の脂肪酸分解剤によって処理することで、脂肪酸に含まれる炭素数よりも少ない炭素を含む化合物が生成され得る。一つの実施形態では、組成物はトランス脂肪酸分解剤である。
一つの実施形態では、本開示の油分解剤を適用する油脂として、例えば、植物性油脂(綿実油、菜種油、大豆油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、米油、ごま油、パーム油、ヤシ油、落花生油等)、動物性油脂(ラード、牛脂、乳脂肪等)、魚油、これらの油脂の加工品(マーガリン、ショートニング、バター等)、絶縁油、潤滑油などが挙げられるが、これらに限定されない。油脂は、エマルジョンの形態で存在していてもよいし、遊離の状態で存在していてもよい。
本開示の微生物または組成物の形態としては、例えば、液体状態、固体状態などが挙げられる。液体状態の微生物または組成物としては、微生物の培養液、培養液から微生物を遠心分離などにより集菌した後、水や緩衝液或いは培養液などに再度分散させたものなどが例示される。固体状態の微生物または組成物としては、遠心分離やプレス圧縮等により脱水したもの、固体と液体の中間のようなペースト状態・マヨネーズ状態のもの、乾燥(例えば、減圧乾燥、凍結乾燥)した乾燥体などが例示される。固体の形状として、例えば、粉末、顆粒、錠剤などが挙げられる。また、組成物は、微生物または培養上清が担体に固定された状態で提供されてもよい。
本開示の微生物または組成物は、任意の好適な環境下で使用できる。
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、0〜100℃、5〜70℃、10〜50℃未満、15〜40℃、20〜35℃、70℃未満、60℃未満、50℃未満、40℃未満、30℃未満、25℃未満、20℃未満、15℃未満、10℃未満、5℃未満、0℃未満、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約30℃、約25℃、約15℃、約10℃、約5℃または約0℃の環境で使用され得る。
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、追加の成分と組み合わされて使用してもよい。一つの実施形態において、追加の成分は、組成物に添加されていてもよいし、微生物または組成物とは別個に使用されてもよく、別個に使用される場合には、キットとして提供されてもよい。
一つの局面において、本開示は、本開示の微生物または組成物を処理対象に作用させることを包含する、油脂および/または脂肪酸分解除去方法を提供する。この処理対象は、トランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を含んでいてもよい。処理対象は、本開示の微生物または組成物を適用することができる任意の本明細書に記載の処理対象であり得る。本開示の油脂および/または脂肪酸分解除去方法は、本開示の微生物または組成物を適用することができる任意の本明細書に記載の環境において実施することができる。本開示の油脂および/または脂肪酸分解除去方法では、本開示の微生物または組成物と組み合わせて使用され得る任意の本明細書に記載の追加成分を使用することができる。
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Savli,H., Karadenizli,A., Kolayli,F., Gundes,S., Ozbek,U., Vahaboglu,H. 2003. Expression stability of six housekeeping genes:A proposal for resistance gene quantification studies of Pseudomonas aeruginosa by real-time quantitative RT-PCR. J.Med.Microbiol. 52:403-408.、Marie-Ange Teste, Manon Duquenne, Jean M Francois and Jean-Luc Parrou 2009. Validation of reference genes for quantitative expression analysis by real-time RT-PCR in Saccharomyces cerevisiae. BMC Molecular Biology 10:99、石井誠治、奥村弘、松原チヨ、二宮扶実、吉岡浩、2004年、「熱感応性ポリマーを用いた水中油分の簡易測定方法」Vol 46、No.12、「用水と排水」などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
油脂含有排水が流出する食品工場近傍の河川から試料を採取し、そこから微生物を分離した。分離した微生物について、低温環境下(15℃)で培養可能かどうかを調べるために、キャノーラ油を唯一の炭素源として含む寒天培地上に各微生物を画線植菌して、15℃で5日間培養した。その結果、油脂を栄養源とする低温で培養可能な微生物が見出された。
KH−1株は良好に増殖したため、KH−1株は油脂存在環境下での生存に適していると考えられる。
トランス脂肪酸分解活性
KH−1がトランス脂肪酸であるエライジン酸(オレイン酸のトランス体)を分解する活性をBioRemove3200(BR3200)(Novozymes、デンマーク)と比較した(図2)。
2.5%Triton X−100(Sigma−Aldrich)溶液に2%エライジン酸を溶解して、ストック溶液を作製した。エライジン酸は常温で固体であるため、4mlのストック溶液を65℃で加熱して、40mlの無機塩培地(Na2HPO4 3.5g/L、KH2PO4 2.0g/L、(NH4)2SO4 4.0g/L、MgCl2・6H2O 0.34g/L、FeSO4・7H2O 2.8mg/L、MnSO4・5H2O 2.4mg/L、CoCl2・6H2O 2.4mg/L、CaCl2・2H2O 1.7mg/L、CuCl2・2H2O 0.2mg/L、ZnSO4・7H2O 0.3mg/L、およびNaMoO4 0.25mg/L)に添加した後、オートクレーブにかけた。Triton X−100及びエライジン酸の終濃度は、それぞれ0.25%と0.2%であった。LB培地にて一晩培養したKH−1をPBS培地で2回洗浄した後、MX−100 微量高速遠心機(トミー精工、東京)を用いて濃縮し、終濃度OD660=0.04(HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京))となるように上記培地に植菌した。BR3200は、基剤と共に1gを計り取り100mlの蒸留水に懸濁した後、30分間攪拌を行い、KH−1と初期接種濃度が同じとなるように植菌した(各菌の終濃度を4x105細胞/mlに統一した)。28℃、130rpmで24時間培養を行った。サンプルはTLC(図2A)および油分測定試薬キット(共立理化学研究所、東京)(ポリニッパム抽出物質測定法による測定試薬キット)(図2B)を使用して解析した。その結果、KH−1は0.2%のエライジン酸を24時間で殆ど完全に分解・資化することが見出された(少なくとも200mg/L(0.02%)以下の濃度に低減した)。他方、BR3200では、エライジン酸が残留した。
微生物のトランス脂肪酸含有油脂分解能
終濃度0.1%となるようにトリエライジンを添加したTBS緩衝液(20mM Tris、150mM NaCl、pH7.0)に、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.04となるようにKH−1株を植菌した。これをファルコンチューブ(130rpm、28℃)で培養し、5日後にサンプルを採取した。サンプルはTLC(シリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン:メタノール(96:4:2)溶液で展開後、モリブトリン酸n水和物(60mlエタノール中2.4g))で可視化した(図3A)。対照として、TBS緩衝液のみを添加した場合のデータも示す。
この結果から、KH−1はトランス脂肪酸含有油脂を分解・資化し、さらにトランス脂肪酸も分解・資化する能力を有することが確認された。
同様に、1.5mLマイクロチューブ(ワトソン、東京)に、上記のKH−1株培養上清(推定リパーゼ濃度;50u/ml)、またはTBS緩衝液(pH7.0)の1mLと、0.05mLのトリエライジンストック溶液(2%トリエライジン、5%トリトンX−100水溶液)とを添加し、トリエライジンの終濃度が0.1%となるように反応溶液を調製した。これを130rpm、28℃で24時間インキュベートすることでサンプルを得た。サンプルを等量のクロロホルムで抽出し、5μlをTLCに供した。サンプルはTLC(シリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン:メタノール(96:4:2)溶液で展開後、モリブトリン酸n水和物(60mlエタノール中2.4g)で可視化した(図3B)。
この結果から、KH−1の上清を使用しても、トランス脂肪酸含有油脂(トリエライジン)をトランス脂肪酸(エライジン酸)に分解することが可能であることが確認された。
水素添加油脂を使用している食品工場からのトランス脂肪酸含有油脂を多く含む廃水サンプルに無機塩培地相当の窒素分(硫酸アンモニウム)とリンを添加して培養した。KH−1はLB培地にて培養し、PBS培地で2回洗浄した後、1×106細胞/mlで植菌し、BR3200はメーカー推奨濃度の10倍である1×108細胞/mlで植菌した。28℃で培養し、24時間および48時間後にサンプルを採取した。サンプルはTLC(シリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン:メタノール(96:4:1)溶液で展開後、モリブトリン酸n水和物で可視化)(図4A)および油分測定試薬キット(ノルマルヘキサン抽出相当、上記)(図4B)を使用して解析した。BR3200は過剰量でも分解の進行が遅かったのに対し、KH−1は優れた分解能力を示した。
Burkholderia arboris KH−1を、10g/Lのキャノーラ油(日清キャノーラ油、日清オイリオ)を含む3Lの無機塩培地(上記組成)に、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.03となるように植菌した。これを5L容積ファーメンター(250rpm、200ml/minの空気還流下、pH7.0、15℃)で培養し、経時的にサンプリングを行った。サンプリングした培養液から、遠心分離により菌体を除去した。この上清におけるノルマルヘキサン値相当の油分を、油分測定試薬キット(ノルマルヘキサン抽出、上記)により測定した(図5A)。
全脂肪酸(トリグリセリド中の脂肪酸と遊離脂肪酸との総量)をガスクロマトグラフィーにより定量した(図5B)。具体的には、培養上清3mlを塩酸により酸性にし、倍量の酢酸エチルを添加した。5分間攪拌後遠心分離し、酢酸エチル層1mlを耐有機溶媒チューブに移し完全に蒸発させた。メタノール:硫酸=17:3で混合したメタノリシス溶液を4ml添加し、100℃で2時間加熱することにより、全脂肪酸をメチルエステル化した。クロロホルム:純水=1:1の割合で混合した溶液を添加して十分攪拌した後、クロロホルム層と0.5%オクタン酸メチル(内部標準)を1:1で混合し、FID検出器を搭載したガスクロマトグラフィー(GC-17A(島津製作所、京都))により解析した。
これらの結果から、KH−1は低温でも高い油脂分解・資化能力を有することが確認された。
エライジン酸またはトリエライジンを唯一の炭素源とする培地においてKH−1株を培養することでKH−1株の資化能を評価した。
エライジン酸またはトリエライジンのストック溶液(2.5%トリトンX−100水溶液)を添加して、エライジン酸またはトリエライジンの終濃度が0.1%となるように調製した無機塩培地(上記組成、pH7)2mLに、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.08となるようにKH−1株を植菌した。
これを15℃で5日間培養し、微生物の増殖を観察した。エライジン酸およびトリエライジン添加培地におけるそれぞれの結果を図5Cに示す。対照として微生物を添加しなかった場合の結果も示す。
KH−1株を植菌した試料では、培地が濁っていることが観察され、このことから、KH−1株は、15℃でもエライジン酸またはトリエライジンを唯一の炭素源とする環境下で増殖可能であり、これらの化合物を資化する能力があることが示された。
上記と同様に、28℃培養におけるKH−1の油脂分解能についても同様に評価した(図6)。
薄層クロマトグラフィー(TLC)によって培養液中の残存油分を解析した(図6A)。具体的には、サンプル上清3mlに等量の酢酸エチルを加えて、5分間攪拌した。酢酸エチル層を分離し完全に溶媒を蒸発させた後、クロロホルム300μLに溶解した。この混合物3μlをシリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン(96:4)溶液で展開した。展開後、4%(w/v)12モリブド(IV)リン酸エタノール溶液を噴霧し、110℃で12分加熱することで油脂と遊離脂肪酸を可視化し、培地中に残存する油脂及びその分解産物である脂肪酸量を比較した。微生物が分泌したリパーゼによりトリグリセリドが分解された結果、加水分解産物である遊離脂肪酸が検出された(24h)。この脂肪酸も、時間が経過するにつれ分解された。KH−1は48hで遊離脂肪酸を完全に消失させた。
KH−1は28℃においても良好な油脂分解能を保持していた。
KH−1がトランス脂肪酸であるパルミテライジン酸(16:1)およびバクセン酸(18:1)を分解する活性をBioRemove3200(BR3200)(Novozymes、デンマーク)と比較した。
KH−1およびBR3200を、それぞれ、パルミテライジン酸またはバクセン酸の終濃度が0.2%かつTriton X100の終濃度が0.25%となるように調製した無機塩培地(上記組成、pH7)5mLに、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.05となるようにKH−1を植菌し、OD660=0.05に相当する約5×106CFU/gとなるようにBR3200を植菌した。これを130rpmで振盪しながら15℃で48時間または72時間、あるいは28℃で24時間培養した後、それぞれの株の培養上清を取得した。微生物を使用しなかった対照試料も用意した。
その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって培養液中の残存油分を解析した。具体的には、サンプルの2分の1の量のクロロホルムで脂肪酸を抽出し、抽出液6μlをシリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン:メタノール(96:4:2)溶液で展開した。展開後、実施例5と同様に12モリブド(IV)リン酸エタノール溶液で脂肪酸を可視化し、培地中に残存する脂肪酸量を比較した(図8、9)。
KH−1は、28℃では24時間以内に、15℃では72時間以内に、パルミテライジン酸およびバクセン酸を完全に分解可能であった。他方、BR3200には、これら脂肪酸の分解能力はなかった。このように、本開示の微生物は、種々のトランス脂肪酸を分解可能であり得る。
油汚れのついた換気扇フィルターを、KH−1の培養上清(培養条件:1%キャノーラオイル添加無機塩培地(上記組成)、初期濃度OD660=0.01になるよう接種、28℃、24時間培養。培養後、遠心分離して菌体を除去した上清を使用した)、油用洗剤(天然酵素洗剤ニコエコ台所用(ニコエコ、長野)説明書に従って143倍に水で希釈)、一般洗剤(ファミリー(登録商標)(花王、東京)、説明書に従い、666倍に希釈)に室温(25℃)で漬け置き洗いした(図7)。一般洗剤と油用洗剤では4時間の浸漬洗浄でも油汚れを完全に落とすことはできなかったが、KH−1は1時間の浸漬洗浄で新品のようにフィルターは真っ白になった。
油脂含有排水が流出する食品工場近傍の河川から試料を採取し、そこから微生物を分離した。分離した微生物について、低温環境下(15℃)でトランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を分解可能か調べた。その結果、低温でトランス脂肪酸およびトランス脂肪酸含有油脂を分解することができる微生物が見出された。これらの微生物株を、それぞれ、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3と命名した。
KH−1AL1は、16rDNAの部分塩基配列がBurkholderia ambifariaに相同率100%で一致したため、Burkholderia ambifariaと同定された。
KH−1AL2は、16rDNAの部分塩基配列がBurkholderia contaminansに相同率99.9%で一致し、分子系統樹上ではB. seminalis、B. territorii、B. cepacia(それぞれ、16rDNAの部分塩基配列における相同性は99.7%、99.7%、99.8%)と同じ群に分類された。その結果、KH−1AL2は、Burkholderia cepacia complexの細菌であると同定された。
KH−1AL3は、16rDNAの部分塩基配列がBurkholderia contaminansに相同率99.9%で一致し、分子系統樹上ではB. seminalis、B. territorii、B. cepacia(それぞれ、16rDNAの部分塩基配列における相同性は99.7%、99.7%、99.8%)と同じ群に分類された。その結果、KH−1AL3は、Burkholderia cepacia complexの細菌であると同定された。
Burkholderia cepacia complexとは、遺伝子的に非常に近いBurkholderia属の微生物の分類であり、ambifaria、anthina、arboris、cenocepacia、cepacia、contaminans、diffusa、dolosa、lata、latens、metallica、multivorans、pseudomultivorans、puraquae、pyrrocinia、seminalis、stabilis、stagnalis、territorii、ubonensis、およびvietnamiensisが含まれる(Martina Pら、Int J Syst Evol Microbiol. 2018 Jan;68(1):14-20.)。
分析の結果、Burkholderia cepacia complexに属する種々の細菌が、高い油脂および/または脂肪酸分解能力を示したため、Burkholderia cepacia complexに属する細菌は、特に有用に利用できると期待される。
KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3を、それぞれ、LB培地で前培養した後、PBS中での25℃、3000g、10分間の遠心分離を2回繰り返し、洗浄して、それぞれの菌株のサンプルを調製した。
これら3種の菌株サンプルを、1%のキャノーラ油(日清キャノーラ油、日清オイリオ)を含むpH7の無機塩培地(上記組成)に、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.02となるように植菌した。これを15℃で96時間培養し、経時的にサンプリングを行った。サンプリングした培養液から、遠心分離により菌体を除去した。これら3種の菌株の各上清について、薄層クロマトグラフィー(TLC)による培養液中の残存油分の解析、全脂肪酸(トリグリセリド中の脂肪酸と遊離脂肪酸との総量)のガスクロマトグラフィーによる定量、およびノルマルヘキサン値相当の油分の油分測定試薬キットによる測定を、上記実施例と同様の手順に従って実施した。
結果を図10〜12に示す。これらの結果から、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3は低温でも油脂を効率よく分解・資化できることが確認された。
KH−1、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3を、それぞれ、トリエライジンの終濃度が0.2%となるように調製した無機塩培地(上記組成、pH7)に、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.08となるように植菌した。これを28℃で6日間培養した後、それぞれの株の培養上清を取得した。微生物を使用しなかった対照試料も用意した。
それぞれの株から取得した培養上清を孔径0.45μmの酢酸セルロースメンブレンフィルター(ADVANTEC、東京)でろ過後、トリエライジンおよびTriton X100を終濃度がそれぞれ0.4%および0.5%となるように添加し、130rpmで振盪しながら37℃で24時間インキュベートした。
その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって培養液中の残存油分を解析した。具体的には、サンプルの2分の1の量のクロロホルムで油脂および遊離脂肪酸を抽出し、抽出液5μlをシリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン:メタノール(96:4:2)溶液で展開した。展開後、実施例5と同様に12モリブド(IV)リン酸エタノール溶液で油脂と遊離脂肪酸を可視化し、培地中に残存する油脂及びその分解産物である脂肪酸量を比較した(図13)。
その結果、KH−1、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3の培養上清は、トランス脂肪酸含有油脂を効率よく分解できることが確認された。この結果は、これらの株によってリパーゼが分泌されたためであると考えることができ、これらの微生物自体であっても、その培養上清であってもトランス脂肪酸含有油脂の分解に有用に使用され得ることが示唆された。
KH−1、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3を、それぞれ、エライジン酸の終濃度が0.2%かつTriton X100の終濃度が0.25%となるように調製した無機塩培地(上記組成、pH7)に、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.04となるように植菌した。これを130rpmで振盪しながら28℃で20時間培養した後、それぞれの株の培養上清を取得した。微生物を使用しなかった対照試料も用意した。
その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって培養液中の残存油分を解析した。具体的には、サンプルの2分の1の量のクロロホルムで脂肪酸を抽出し、抽出液5μlをシリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン:メタノール(96:4:2)溶液で展開した。展開後、実施例5と同様に12モリブド(IV)リン酸エタノール溶液で遊離脂肪酸を可視化し、培地中に残存する脂肪酸量を比較した(図14左)。また、実施例4と同様の手順でノルマルヘキサン値相当の残留油分を、油分測定試薬キットにより測定した(図14右)。
その結果、KH−1、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3は、トランス脂肪酸を効率よく分解できることが確認され、これらの株がいずれもトランス脂肪酸を含む油の除去に有用であることが示唆された。実施例10Aの結果と併せて考えると、これら微生物によってトランス脂肪酸含有油脂(例えば、トリエライジン)が完全に分解され得ると予測される。
KH−1、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3を、それぞれ、エライジン酸の終濃度が0.2%かつTriton X100の終濃度が0.25%となるように調製した無機塩培地(上記組成、pH7)に、HITACHI U-2810分光光度計(日立製作所、東京)を使用して、菌体光学密度による最終濃度がOD660=0.08となるように植菌した。これを130rpmで振盪しながら15℃で72時間培養した後、それぞれの株の培養上清を取得した。微生物を使用しなかった対照試料も用意した。
その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって培養液中の残存油分を解析した。具体的には、サンプルの2分の1の量のクロロホルムで遊離脂肪酸を抽出し、抽出液5μlをシリカゲルプレートにアプライし、クロロホルム:アセトン:メタノール(96:4:2)溶液で展開した。展開後、実施例5と同様に12モリブド(IV)リン酸エタノール溶液で遊離脂肪酸を可視化し、培地中に残存する脂肪酸量を比較した(図15左)。また、実施例4と同様の手順でノルマルヘキサン値相当の残留油分を、油分測定試薬キットにより測定した(図15右)。
その結果、KH−1、KH−1AL1、KH−1AL2、およびKH−1AL3は、トランス脂肪酸を効率よく分解できることが確認され、これらの株がいずれもトランス脂肪酸を含む油の除去に有用であることが示唆された。実施例10Aの結果と併せて考えると、これら微生物によってトランス脂肪酸含有油脂(例えば、トリエライジン)が完全に分解され得ると予測される。
消滅型生ゴミ処理機にKH−1を1.2×107細胞/mLとなるように植菌し、30℃で24時間処理した。生ゴミ処理機から出る排水中のノルマルヘキサン値を測定した。KH−1を投入しない対照例(3.26g/L)と比較して有意差のあるノルマルヘキサン値の低減(2.22g/L)が認められた。ここで、消滅型生ゴミ処理機中の生ゴミは、レストランの厨房から出た生ゴミから骨および貝殻を除いたものであった。消滅型生ゴミ処理機の生ごみ処理能力は20kg/日であり、注水・排水量は38.4L/日であった。
10mL/Lのキャノーラ油を含む無機塩培地でKH−1を2×1010細胞/mLまで培養し、培養原液とする。これを10倍希釈して微生物製剤(2×109細胞/mL)とする。これを自動増幅投入装置の微生物保存タンク中に冷蔵保存し、種菌とする。この種菌を、同装置の培養増幅槽中の無機塩培地中に、毎日1/100量ずつ自動植菌し、微生物数が100倍、すなわち微生物製剤と同じ細胞濃度になるまで培養する。これを油分解処理槽の排水量の1/1000投入することで、油処理水中の分解菌の微生物濃度を2×106細胞/mLとし、24時間、トランス脂肪酸含有油脂を多く含む排水を排出する食品工場からの排水を分解処理する。この時の季節は冬で、処理中の水温は12〜17℃の間で変動する。
その結果、微生物を投入しない対照例と比較して顕著なノルマルヘキサン値の低減が観察される。
グリーストラップに木炭、各種プラスチック、セラミックス片などの担体を投入し、適量(例えば、1×106細胞/mL)のKH−1を毎日、食堂の操業終了後に自動投入する。毎日、操業開始直前に採水し、ノルマルヘキサン値を分析する。1週間後には、KH−1を投入しない対照例と比較して顕著なノルマルヘキサン値の低下が認められる他、グリーストラップ自体の見た目も、油の付着や浮遊が減るなどの効果が認められる。
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
KH−1AL1株(NITE ABP−02977)
KH−1AL2株(NITE ABP−02978)
KH−1AL3株(NITE ABP−02979)
Claims (14)
- トランス脂肪酸含有油脂を資化する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
- トランス脂肪酸を資化する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
- トランス脂肪酸を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
- トランス脂肪酸含有油脂を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
- 15℃において油脂を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
- 前記資化または分解する能力が15℃において保持される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブルクホルデリア科細菌。
- ブルクホルデリア属の細菌である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の菌。
- ブルクホルデリア アルボリス(Burkholderia arboris)、ブルクホルデリア アンビファリア(Burkholderia ambifaria)、またはBurkholderia cepacia complexに属する微生物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の菌。
- ブルクホルデリア属細菌KH−1株(受託番号NITE BP−02731で特定される菌株)、KH−1AL1株(受領番号NITE ABP−02977で特定される菌株)、KH−1AL2株(受領番号NITE ABP−02978で特定される菌株)もしくはKH−1AL3株(受領番号NITE ABP−02979で特定される菌株)であるか、またはその誘導株であって該誘導株は、請求項1〜7のいずれか一項または複数に記載の細菌の特徴を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の細菌。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の細菌を含む、油分解剤。
- さらなる油処理成分を含む、請求項10に記載の油分解剤。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の細菌もしくは請求項10に記載の油分解剤と、さらなる油処理成分とを備える、油分解のためのキット。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の細菌、または請求項10もしくは11に記載の油分解剤を処理対象に作用させることを包含する、油分解除去方法。
- 前記処理対象はトランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を含む、請求項13に記載の方法。
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A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
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C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
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A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
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C211 | Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings |
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C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
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C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
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C13 | Notice of reasons for refusal |
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A761 | Written withdrawal of application |
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