JPWO2019194216A1 - 質量分析方法、質量分析装置、プログラムおよび質量分析用キット - Google Patents

質量分析方法、質量分析装置、プログラムおよび質量分析用キット Download PDF

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Abstract

質量分析方法は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成することと、試料の第2質量分析において、第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得することと、較正データと第2データとに基づいて、試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出することとを備える。

Description

本発明は、質量分析方法、質量分析装置、プログラムおよび質量分析用キットに関する。
クロロビフェニルは、ビフェニルに10個含まれる水素原子の少なくとも一つが塩素原子に置換された分子である。クロロビフェニルは、塩素原子を1個有するモノクロロビフェニルから塩素原子を10個有するデカクロロビフェニルまで、塩素原子の個数により分類されている。同一の個数の塩素原子を有する場合でも、デカクロロビフェニル以外のクロロビフェニルは、分子中の塩素原子の位置により異性体が存在する。
クロロビフェニルは、絶縁性または熱に対する安定性等に優れ、潤滑油または絶縁油等として生産されてきた。しかし、クロロビフェニルは、異性体にもよるが、生体に対する毒性を有する。従って、環境中または製品等に由来する試料におけるクロロビフェニルの分析は、生体へのリスクを把握するために重要である。非特許文献1では、電子捕獲検出器を備えるガスクロマトグラフにより、複数のクロロビフェニルを含む混合物の分析を行う方法が示されている。非特許文献1の方法では、試料に含まれる化合物の種類が増加すると、クロマトグラムに多くのピークが含まれ解析が難しくなる。
米国環境保護庁、"METHOD 608-ORGANOCHLORINE PESTICIDES AND PCBS"、[online]、1984年、米国環境保護庁、[2019年2月28日検索]、インターネット<URL:https://www.epa.gov/sites/production/files/2015-09/documents/method_608_1984.pdf#search=%27EPA608+method+608%27>
質量分析により試料に含まれる複数のクロロビフェニルを分離して検出すると、解析は行いやすくなるが、各クロロビフェニルに対して検量線を作成すると手間がかかってしまう。
本発明の第1の態様は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成することと、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得することと、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出することとを備える質量分析方法に関する。
本発明の第2の態様は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成部と、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得部と、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出する算出部とを備える質量分析装置に関する。
本発明の第3の態様は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成処理と、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得処理と、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出する算出処理とを処理装置に行わせるためのプログラムに関する。
本発明の第4の態様は、第1の態様の質量分析方法に用いられる質量分析用キットに関する。
本発明によれば、クロロビフェニルを含む試料を効率よく質量分析することができる。
図1は、一実施形態の質量分析方法を説明するための概念図である。 図2は、一実施形態の質量分析方法を説明するための概念図である。 図3は、一実施形態の質量分析方法を説明するための概念図である。 図4は、質量分析装置の構成を示す概念図である。 図5は、情報処理部の構成を示す概念図である。 図6は、一実施形態の質量分析方法の流れを示すフローチャートである。 図7は、製品Aと製品BからGまでのいずれかとを所定の割合で混合した際の、混合された製品の組成を示す表である。 図8は、プログラムの提供を説明するための概念図である。 図9は、実施例において、各分析対象試料に加えた製品の濃度と、定量により得られた濃度を示す表である。 図10は、実施例において、各分析対象試料に加えた製品の濃度と、定量により得られた濃度を示す表である。 図11は、実施例において、各薬剤標準試料の較正範囲とRSDとを示す表である。 図12は、実施例において、標準試料1における各標準試料の較正範囲とRSDとを示す表である。 図13は、実施例において、標準試料2における各標準試料の較正範囲とRSDとを示す表である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1実施形態−
本実施形態の質量分析方法では、クロロビフェニルの標準試料の質量分析を行い、較正を行うためのデータ(以下、較正データと呼ぶ)を作成し、この較正データと分析対象の試料の質量分析を行って得られたデータとに基づいてデータ解析を行う。このデータ解析では、クロロビフェニルを含む混合物のうち、どの混合物が試料に含まれるかが同定される。
以下では、クロロビフェニルの標準試料の質量分析を第1質量分析と呼び、分析対象の試料(以下、分析対象試料と呼ぶ)の質量分析を第2質量分析と呼ぶ。以下では、クロロビフェニルを含む上記混合物は、複数の種類のクロロビフェニルについて既知の組成を有する製品として説明する。この製品をクロロビフェニル製品と呼ぶ。分析対象試料に含まれるクロロビフェニル製品を同定することは、分析対象試料の由来となった環境または物についてのリスクの評価を行う点で有用である。実際、国または地域によっては、クロロビフェニルについてのリスクの評価を行う際に、どのクロロビフェニル製品が含まれるかを同定することが義務づけられている。但し、本実施形態の質量分析方法は、複数の種類のクロロビフェニルを含む混合物であれば、製品であるか否かに関わらず、分析対象試料に当該混合物が含まれているかについての情報を得るために適用することができる。
(分析対象試料について)
分析対象試料は、クロロビフェニルが含まれる可能性のある試料であって、質量分析、または他の分析法と組み合わせた質量分析を行うことができる試料であれば、特に限定されない。上述したように、クロロビフェニルは環境中または製品中等に存在し得るため、環境中から採取した標本または製品の少なくとも一部等から分析対象試料を調製することができる。
(質量分析について)
第1質量分析および第2質量分析の方法は、これらの質量分析により所望の精度でクロロビフェニルを分離することができれば特に限定されない。クロロビフェニルと略同一の質量の他の分子を同時並行して検出する必要がある場合には、タンデム質量分析が好ましい。また、分離の回数を多くしてより精度よくクロロビフェニル等を検出するため、他の分離法と組み合わせた質量分析を行うことが好ましく、ガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)または液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)がより好ましい。
(第1質量分析について)
図1は、第1質量分析を説明するための概念図である。塩素原子をn個含むクロロビフェニルを既知の濃度で含む標準試料をSnの符号で示す。塩素原子の個数(以下、適宜塩素数と呼ぶ)nは1から10までである。塩素原子を1、2、3、4、5、6、7、8、9および10個含むクロロビフェニルは、それぞれモノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナおよびデカの接頭辞に「クロロビフェニル」が続く名称となっている。以下の説明では1から9までのそれぞれのnについて較正データを作成する点を説明するが、塩素数nの範囲は特に限定されず、適宜設定することができる。
既知の濃度のモノクロロビフェニルCr1を含む標準試料S1の質量分析が行われ、モノクロロビフェニルCr1に由来するイオンが検出され、該検出されたイオンに対応する質量電荷比(m/z)とそのm/zに対応する検出強度とを示すデータ(以下、標準試料強度データと呼び、標準試料Snについての標準試料強度データを第n標準試料強度データと呼ぶ)が生成される。標準試料強度データは、例えば所定のm/zのイオンの検出強度の経時変化を示すクロマトグラム(マスクロマトグラム)に対応するデータである。第1標準試料強度データから、モノクロロビフェニルCr1に対応する強度が算出される。算出された強度と、標準試料S1におけるモノクロロビフェニルCr1の既知の濃度とから、較正データが生成される(矢印A11)。標準試料S1についての較正データを、第1較正データとする。
較正データは、第2質量分析においてクロロビフェニルの濃度の較正を行うためのデータである。図1では、わかりやすくするため較正データを検量線に対応するデータとして示している。検量線を示すグラフの横軸は標準試料の濃度、縦軸は標準試料を検出した際の強度である。質量分析で得られたクロロビフェニルの強度から、較正データに示された対応関係を用いて分析対象試料におけるクロロビフェニルの濃度を算出することができれば、較正データの態様は特に限定されない。較正データは、例えば、1点または複数の点についての検量線に対応するデータでもよく、基準となる物質(以下、基準物質と呼ぶ)とクロロビフェニルとについての相対応答係数でもよい。
較正データとして相対応答係数を用いる場合、基準物質は特に限定されないが、デカクロロビフェニル等を適宜用いることができる。相対応答係数は基準物質の応答係数に対するクロロビフェニルの応答係数の比率で表される。応答係数は、標準試料または分析対象試料における濃度に対する、当該標準試料または分析対象試料を質量分析して得られた検出強度の比率である。相対応答係数は、製品または個々の装置ごとで比較的一定となる。従って、第2質量分析においてクロロビフェニルに加え、既知の濃度の基準物質を測定すれば、基準物質の濃度および検出強度と、クロロビフェニルの検出強度と、第1質量分析で得られた相対応答係数とから、クロロビフェニルの濃度を算出することができる。
n個の塩素原子を含むクロロビフェニルを含む標準試料Snについての較正データを第n較正データと呼ぶ。図1では、第1標準試料S1の第1質量分析を行いモノクロロビフェニルCr1を検出して、第1較正データを生成する(矢印A11)点が示されている。また、第2標準試料S2の第1質量分析を行いジクロロビフェニルCr2を検出して、第2較正データを作成する(矢印A12)点、および、第9標準試料S9の第1質量分析を行いノナクロロビフェニルCr9を検出して、第9較正データを作成する(矢印A19)点が示されている。3以上8以下のnについても同様に第n標準試料Snの第1質量分析を行い、塩素原子をn個含むクロロビフェニルを検出して、第n較正データを作成する。
なお、異なる個数の塩素原子を有する複数の種類のクロロビフェニルを含む標準試料の第1質量分析を行い、同時並行にこれらのクロロビフェニルを検出し、較正データを作成してもよい。
塩素数nを1から9までとすると、各nについて、塩素原子の位置の異なる複数のクロロビフェニルの異性体が存在する。本実施形態の質量分析方法では、各nについて、全ての異性体に対応する第n較正データを作成する必要はなく、各nについて、少なくとも一つのクロロビフェニルについての第n較正データを作成すればよい。較正データが作成されなかったクロロビフェニルについては、同じ個数の塩素原子を有するクロロビフェニルの較正データを用いて、第2質量分析での較正を行う。従って、第1質量分析で検出されるクロロビフェニルの種類の数は、第2質量分析で検出されるクロロビフェニルの種類の数よりも少ないことが、効率よく質量分析を行う観点から好ましい。
第2質量分析で、クロロビフェニルと同時並行に他の物質を質量分析する場合、当該物質の標準試料の第1質量分析を行い、較正データを取得する。この較正データは、クロロビフェニルの場合と同様、検量線または相対応答係数等とすることができる。
(第2質量分析について)
図2は、第2質量分析を説明するための概念図である。第2質量分析では、分析対象試料Sの質量分析が行われ、同一の個数の塩素原子を有する複数の種類のクロロビフェニルが、m/zについて同一の条件で質量分離される。第2質量分析は、タンデム質量分析により行うことが好ましい。これにより、クロロビフェニルに由来するイオンと略同一のm/zを有する物質を同時並行して検出することができる。例えば、第1段階の質量分離において、塩素原子の個数による質量の違いを利用してクロロビフェニルを質量分離することができる。その後、質量分離されたクロロビフェニルに由来するイオンを解離し、第2段階の質量分離においてクロロビフェニルに特徴的なフラグメントイオンを質量分離し、検出することができる。この場合、上記「m/zについて同一の条件」とは、第1段階で質量分離するイオンのm/zと、第2段階で質量分離するフラグメントイオンのm/zとの組合せからなる条件とすることができ、いわゆるトランジションに相当する。
なお、各nについて、塩素原子をn個有するクロロビフェニルを質量分離し、所望の精度で検出することができれば、質量分析の方法は特に限定されず、例えば3段階以上の質量分析を行ってもよい。
分析対象試料Sの第2質量分析により、m/zとそのm/zに対応する検出強度とを示すデータ(以下、強度データと呼び、塩素原子をn個有するクロロビフェニルについての強度データを第n強度データと呼ぶ)が作成される。強度データは、例えば所定のm/zのイオンの検出強度の経時変化を示すクロマトグラム(マスクロマトグラム)に対応するデータであり、図2の例ではモノクロロビフェニル、ジクロロビフェニルおよびノナクロロビフェニルのそれぞれに由来するイオンのマスクロマトグラムを示している。マスクロマトグラムの横軸はGC/MSまたはLC/MSにおける保持時間であり、縦軸は検出されたクロロビフェニルに由来するイオンの検出強度である。異なる個数の塩素原子を有する各クロロビフェニルは、質量分離により別々に検出される。強度データは、第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数nが同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出強度が含まれる。
モノクロロビフェニルの第2質量分析により、複数の種類のモノクロロビフェニルを検出して得られた第1強度データが作成される(矢印A21)。第1強度データに対応するマスクロマトグラムでは、異なる複数のモノクロロビフェニルに対応するピークP11、P12、P13が示されている。ジクロロビフェニルの第2質量分析により、複数の種類のジクロロビフェニルを検出して得られた第2強度データが作成される(矢印A22)。第2強度データに対応するマスクロマトグラムでは、異なる複数のジクロロビフェニルに対応するピークP21、P22、P23、P24、P25が示されている。ノナクロロビフェニルの第2質量分析により、複数の種類のノナクロロビフェニルを検出して得られた第9強度データが作成される(矢印A29)。第9強度データに対応するマスクロマトグラムでは、異なる複数のノナクロロビフェニルに対応するピークP91、P92、P93が示されている。nが3から8までの場合も同様に第2質量分析から第n強度データが作成される。図2のマスクロマトグラムに示されたピークは、わかりやすくするため、理論的に検出されるピークの個数よりも少ないものもあるが、本発明は図2に示されたマスクロマトグラムの態様に限定されるものではない。
各塩素数nについて、第n強度データが作成されたら、各nに対応するクロロビフェニルの全体に対応する強度が算出される。この強度を全体強度と呼び、第n強度データについての全体強度を第n全体強度と呼ぶ。第n全体強度は、第n強度データがクロマトグラムに対応する場合、当該クロマトグラムにおいて、クロロビフェニルに対応する全てのピークの面積の和により算出される。図2の例だと、第1強度データでは、ピークP11、P12およびP13に対応する面積S1であり、第2強度データでは、ピークP21、P22、P23、P24およびP25に対応する面積S2であり、第9強度データでは、ピークP91、P92およびP93に対応する面積S9である。
なお、各ピークの面積ではなく、各ピークのピーク強度を積算等して第n全体強度を算出してもよい。
各nについて、第n全体強度が算出されたら、第n全体強度と、第n較正データとに基づいて、塩素原子をn個含むクロロビフェニルの定量値が算出される。この定量値とは、分析対象試料Sに含まれる塩素原子をn個含むクロロビフェニルの存在量を示す値であり、典型的には濃度値である。
各nについて定量値が算出されたら、その定量値に基づいて各塩素数nのクロロビフェニルの相対量が算出される。ここで相対量とは、分析対象試料Sにおけるクロロビフェニルの総量、または、他の1若しくは複数のクロロビフェニルに対して、1若しくは複数のクロロビフェニルがどの程度含まれているかを示す量である。
図3は、相対量の算出を説明するための概念図である。第n全体強度と第n較正データとから、塩素原子をn個含むクロロビフェニルの全体の濃度が算出される。分析対象試料Sにおける、塩素原子をx個含むクロロビフェニルの全体の濃度をC(s)CBxとする。この場合、分析対象試料Sにおける、塩素原子をx個含むクロロビフェニルの、クロロビフェニルの総量に対する割合R(s)CBxは、以下の式(1)で示される。式(1)において、シグマはx=1から9までの和をとするものとする。
Figure 2019194216
図3では、全てのn(1から9まで)についての、第n全体強度に対応する面積Snおよび第n較正データから、割合R(s)CBnが算出される点を矢印A31で模式的に示した。算出された割合R(s)CBnの例は、表Aに示した。以下では算出された割合R(s)CBxを、単に割合Rと記載する。
各nについて、分析対象試料Sに含まれる、塩素数nのクロロビフェニルの割合Rが算出されたら、これらの割合と参照データとから、分析対象試料Sにどのクロロビフェニル製品が含まれているかを同定する。参照データは、各クロロビフェニル製品における塩素数nのクロロビフェニルの割合を示すデータである。参照データに示される内容の例を、図3の表Bに示した。表Bでは、製品A、B、C、D、E、FおよびGのそれぞれについて、塩素原子を1から9までのいずれかの個数含むクロロビフェニルが、クロロビフェニルの総量に対してどの程度の割合で含まれているかが示されている。参照データの構成または形式等は、製品中の上記割合が示されていれば特に限定されない。
分析対象試料Sにどのクロロビフェニル製品が含まれているかの同定では、算出されたクロロビフェニルの割合Rと、参照データに示された各クロロビフェニル製品におけるクロロビフェニルの割合とから、類似度SIを算出する(矢印A32)。類似度SIは、分析対象試料Sに含まれるクロロビフェニルの組成が、各クロロビフェニル製品のいずれの組成に類似しているかを示す指標である。類似度SIは、算出された塩素数nのクロロビフェニルの割合Rと、参照データの各クロロビフェニル製品における塩素数nのクロロビフェニルの割合との差に基づいて、以下の式(2)により表される。ここで、R(r)CBxは、参照データにおいて比較対象となるクロロビフェニル製品の、クロロビフェニルの総量に対する塩素原子をx個含むクロロビフェニルの全体の量の割合である。式(2)において、シグマはx=1から9までの和をとするものとする。
Figure 2019194216
算出されたクロロビフェニルの割合Rとの類似度SIが最も高いクロロビフェニル製品が、分析対象試料Sに含まれるものとして同定される。
なお、分析対象試料Sにどのクロロビフェニル製品が含まれているかの同定では、類似度以外の指標を用いてもよい。例えば、分析対象試料Sにおけるクロロビフェニルの割合Rと参照データのクロロビフェニル製品におけるクロロビフェニルの割合がどれだけ異なっているかを示す指標を計算し、この指標が最も小さいクロロビフェニル製品を分析対象試料Sに含まれるものとして同定してもよい。
クロロビフェニル製品に含まれるクロロビフェニルの濃度は、塩素数nが1から9までについて、各nに対応するクロロビフェニルの全体の濃度を足し合わせた和により得られる。
第2質量分析において、クロロビフェニルと、クロロビフェニル以外の物質とを一斉に質量分析することができる。一斉に質量分析するとは、複数の物質を同時並行して質量分析することを意味する。当該物質は、生体に対して毒性を有する物質とすることができ、さらに殺虫効果を有する物質または殺虫剤として使用された物質とすることができる。これにより、クロロビフェニルに加え、これらの生体に毒性のある物質が、分析対象試料Sが由来する環境又は製品等に存在するか否かを、より多く一斉に調べることができる。
(質量分析装置について)
図4は、本実施形態の質量分析装置の構成を示す概念図である。質量分析装置1は、ガスクロマトグラフ−質量分析計(以下、GC−MSと呼ぶ)であり、測定部100と情報処理部40とを備える。測定部100は、ガスクロマトグラフ10と、質量分析部30とを備える。
なお、所望の精度でクロロビフェニルを分離することができれば、質量分析装置の種類は特に限定されず、クロマトグラフを備えない質量分析装置または液体クロマトグラフ−質量分析計(LC−MS)等を適宜用いることができる。
ガスクロマトグラフ10は、キャリアガス流路11と、試料導入部12と、カラム温度調節部13と、分離カラム14と、試料ガス導入管15とを備える。質量分析部30は、真空容器31と、排気口32と、分析対象試料Sおよび標準試料等の試料をイオン化してイオンInを生成するイオン化部33と、イオン調整部34と、質量分離部35と、検出部36とを備える。質量分離部35は、第1質量分離部351と、コリジョンセル352と、第2質量分離部353とを備える。コリジョンセル352は、CIDガス導入口354とイオンガイド355とを備える。
測定部100は、分析対象試料Sまたは標準試料等の試料に含まれる、クロロビフェニル等の各成分(以下、試料成分と呼ぶ)を分離し、分離された各試料成分を検出する。
ガスクロマトグラフ10は、試料成分を物理的または化学的特性に基づいて分離する分離部として機能する。分離カラム14に導入される際に、試料はガスまたはガス状となっているが、これを試料ガスと呼ぶ。
キャリアガス流路11は、その一端である第1端が、不図示のキャリアガス供給源にキャリアガスが流れることができるように接続され、他端である第2端が、試料導入部12にキャリアガスを導入可能に接続されている。キャリアガス供給源からキャリアガス流路11に導入されたヘリウム等のキャリアガスは、キャリアガス流路11の途中に配置された不図示の流量制御部により流量等が調整された後、試料導入部12に導入される(矢印A1)。試料導入部12は、試料気化室等の試料が格納される室を備え、不図示のシリンジまたはオートサンプラー等の注入器により注入された試料を一時的に収容し、試料が液体の場合は気化させて、試料ガスを分離カラム14に導入する(矢印A2)。
分離カラム14は、キャピラリーカラム等のカラムを備える。分離カラム14は、カラムオーブン等を備えるカラム温度調節部13により、例えば数百℃以下に温度制御されている。試料ガスの各成分は、移動相と分離カラム14の固定相との間の分配係数等に基づいて分離され、分離された試料ガスの各成分は異なる時間に分離カラム14から溶出し、試料ガス導入管15を通って質量分析部30のイオン化部33に導入される。
質量分析部30は、質量分析計を備え、イオン化部33に導入された試料ガスをイオン化し、このイオン化で生成されたイオンInを質量分離して検出する。イオン化部33で生成された試料に由来するイオンInの経路を矢印A4で模式的に示した。
なお、イオンInを所望の精度で質量分離し、この質量分離で得られたイオンを検出することができれば、質量分析部30を構成する質量分析計の種類は特に限定されず、任意の種類の質量分析器を含むものを用いることができる。
質量分析部30の真空容器31は、排気口32を備える。排気口32は、不図示の真空排気系と排気可能に接続されている。この真空排気系は、ターボ分子ポンプ等の、10−2Pa以下等の高真空が実現可能なポンプおよびその補助ポンプを含む。図4では、真空容器31の内部のガスが排出される点を矢印A5で模式的に示した。
質量分析部30のイオン化部33は、イオン源を備え、イオン化部33に導入された試料ガスを電子イオン化または化学イオン化等によりイオン化し、イオンInを生成する。イオン化部33で生成されたイオンInはイオン調整部34に導入される。
なお、イオン化部33によるイオン化の方法は、所望の効率でイオン化を行うことができれば特に限定されない。LC/MSの場合、エレクトロスプレー法等を適宜用いることができる。
質量分析部30のイオン調整部34は、レンズ電極またはイオンガイド等のイオン輸送系を備え、電磁気学的作用により、イオンInの流束を収束させる等して調整する。イオン調整部34から出射されたイオンInは質量分離部35の第1質量分離部351に導入される。
第1質量分離部351は、四重極に印加される電圧に基づく電磁気学的作用により設定されたm/zを有するイオンInをプリカーサイオンとして選択的に通過させてコリジョンセル352に向けて出射する。
コリジョンセル352は、イオンガイド355によりイオンInの移動を制御しながら、衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation;CID)によりイオンInを解離させ、フラグメントイオンを生成する。CIDの際にイオンが衝突させられるアルゴンや窒素等を含むガス(以下、CIDガスと呼ぶ)は、コリジョンセル内で所定の圧力になるようにCIDガス導入口241から導入される(矢印A3)。生成されたフラグメントイオンを含む、試料に由来するイオンInは、第2質量分離部353に向けて出射される。
なお、解離の方法は、試料に由来するイオンInを所望の精度で質量分離して検出することができれば特に限定されず、赤外多光子解離、光誘起解離、およびラジカルを用いた解離法等を適宜用いることができる。
第2質量分離部353は、四重極に印加される電圧に基づく電磁気学的作用により設定されたm/zを有するイオンInを選択的に通過させて検出部36に向けて出射する。
質量分析部30の検出部36は、二次電子増倍管または光電子増倍管等のイオン検出器を備え、入射したイオンInを検出する。検出部36は、入射したイオンInの検出により得られた検出信号を、不図示のA/D変換器によりA/D変換し、デジタル化された検出信号を測定データとして情報処理部40に出力する(矢印A6)。
図5は、情報処理部40の構成を示す概念図である。情報処理部40は、入力部41と、通信部42と、記憶部43と、出力部44と、制御部50とを備える。制御部50は、装置制御部51と、データ処理部52と、出力制御部53とを備える。データ処理部52は、強度データ取得部521と、較正データ作成部522と、算出部523と、参照データ取得部524と、情報生成部525とを備える。
情報処理部40は、電子計算機等の情報処理装置を備え、質量分析装置1のユーザー(以下、単に「ユーザー」と呼ぶ)とのインターフェースとなる他、様々なデータに関する通信、記憶、演算等の処理を行う。
なお、測定部100と情報処理部40とが一体の装置として構成してもよい。
入力部41は、マウス、キーボード、各種ボタンまたはタッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部41は、測定部100の制御または制御部50の処理に必要な情報等を、ユーザーから受け付ける。通信部42は、インターネット等の無線または有線接続による通信を行うことができる通信装置を含んで構成され、測定部100の制御または制御部50の処理に関するデータ等を適宜送受信する。
記憶部43は、不揮発性の記憶媒体で構成され、制御部50が処理を実行するためのプログラムおよびデータ、ならびに検出部36の検出により得られた測定データ等を記憶する。出力部44は、液晶モニタ等の表示装置またはプリンター等を含んで構成される。出力部44は、制御部50の処理に関する情報等を、表示装置に表示したり、プリンターにより印刷したりして出力する。
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置を備え、当該処理装置は、測定部100を制御したり、測定データを処理する等、質量分析装置1の動作の主体となる。
制御部50の装置制御部51は、測定部100の各部の動作を制御する。装置制御部51は、例えば、入力部41からの入力等に基づいて設定されたm/zを有するイオンInが第1質量分離部351および第2質量分離部353を選択的に通過するように、第1質量分離部351および第2質量分離部353における四重極の電圧を変化させる。
制御部50のデータ処理部52は、測定データを処理し、データ解析を行う。このデータ解析では、分析対象試料Sに含まれる複数の種類のクロロビフェニルの相対量を算出したり、分析対象試料Sに含まれるクロロビフェニル製品を同定する。
データ処理部52の強度データ取得部521は、測定データから、標準試料強度データまたは強度データを作成し取得する。強度データ取得部521は、取得した標準試料強度データおよび強度データを、記憶部43または制御部50のCPUと通信可能に接続された不図示のメモリに参照可能に記憶させる(以下、「質量分析装置1に記憶させる」と記載する)。
強度データ取得部521は、第1質量分析で得られた測定データから、標準試料強度データとしてクロマトグラムに対応するデータ(以下、クロマトグラムデータと呼ぶ)を作成し取得する。
強度データ取得部521は、第2質量分析で得られた測定データから、強度データとしてクロマトグラムデータを作成し取得する。強度データ取得部521は、第2質量分析において、各n(nは1から9まで)について、分析対象試料Sに含まれる、塩素原子をn個含む複数の種類のクロロビフェニルの検出により得られた第n強度データを取得する。
データ処理部52の較正データ作成部522は、各n(nは1から9まで)について、第n標準試料Snの第1質量分析において、塩素原子をn個有するクロロビフェニルを検出して得られた第n標準試料強度データに基づいて、第n較正データを作成する。較正データ作成部522は、作成した較正データを質量分析装置1に記憶させる。
較正データ作成部522は、標準試料強度データから、クロマトグラムにおける標準試料に対応するピークの面積またはピーク強度を当該標準試料の検出強度として算出する。較正データ作成部522は、入力部41からの入力等により取得した第n標準試料の既知の濃度と、算出された検出強度から、較正データとして検量線に対応するデータを作成する。
なお、上述の通り、較正データ作成部522は、相対応答係数を利用して較正データを作成してもよい。その場合、較正データ作成部522は、測定データから基準物質についての検出強度を算出し、基準物質の既知の濃度を入力部等から取得して相対応答係数の算出に用いればよい。
データ処理部52の算出部523は、較正データと、強度データとに基づいて、塩素原子をn個含む複数の種類のクロロビフェニルの、クロロビフェニルの総量に対する割合Rを算出する。算出部523は、各nについて、塩素原子をn個含むクロロビフェニルの濃度を、第n強度データおよび第n較正データから算出する。算出部523は、算出された濃度から、式(1)により割合Rを算出する。算出部523は、算出した上記濃度および割合Rを質量分析装置1に記憶させる。
データ処理部52の参照データ取得部524は、入力部41、通信部42または記憶部43等からクロロビフェニル製品におけるクロロビフェニルの割合を含む参照データを取得する。参照データでは、塩素原子をn個含む複数の種類のクロロビフェニルの全体の量の、クロロビフェニルの総量に対する割合が示されている。参照データ取得部524は、クロロビフェニル製品におけるクロロビフェニルの組成を示すデータから上記割合を算出して取得してもよい。参照データ取得部524は、取得された参照データを質量分析装置1に記憶させる。
情報生成部525は、参照データと、算出部523が算出した塩素原子をn個含む複数の種類のクロロビフェニルの割合Rとに基づいて、分析対象試料Sに、複数のクロロビフェニル製品のうちどの製品が含まれているかを示す情報を生成する。情報生成部525は、式(2)により、分析対象試料Sに含まれるクロロビフェニルの組成と、各クロロビフェニル製品の組成との間の類似度SIを算出する。情報生成部525は、類似度SIの最も高いクロロビフェニル製品を、分析対象試料Sに含まれるクロロビフェニル製品として同定する。
情報生成部525は、同定されたクロロビフェニル製品を示す情報を生成する。生成された情報には、クロロビフェニル製品を示す製品番号または名称等の他、類似度SIまたはクロマトグラム等の第1質量分析または第2質量分析により得られた情報を含むことができる。情報生成部525は、生成した情報を記憶部43等に記憶させる。
出力制御部53は、情報生成部525が生成した情報を含む出力画像を生成する。出力制御部53は、出力部44を制御して当該出力画像を出力させる。
(質量分析方法について)
図6は、本実施形態に係る質量分析方法の流れを示すフローチャートである。ステップS101において、クロロビフェニルの標準試料Snと分析対象試料Sとが用意される。ステップS101が終了したら、ステップS103が開始される。ステップS103において、質量分析装置1は、クロロビフェニルの標準試料Snを質量分析し、強度データ取得部521は、標準試料強度データを取得する。ステップS103が終了したらステップS105が開始される。
ステップS105において、較正データ作成部522は、較正データを作成する。ステップS105が終了したら、ステップS107が開始される。ステップS107において、質量分析装置1は、分析対象試料Sを質量分析し、強度データを取得する。ステップS107が終了したら、ステップS109が開始される。
ステップS109において、算出部523は、同一の個数の塩素原子を有する複数の種類のクロロビフェニルの全体の強度を算出し、当該強度に対応する濃度を算出する。このステップS109では、分析対象試料Sが異なる個数の塩素原子を有するクロロビフェニルを含む場合、その異なる塩素数のクロロビフェニルのそれぞれに対して全体の強度を算出し、各全体の強度に対応する各塩素数のクロロビフェニルの濃度が算出される。ステップS109が終了したら、ステップS111が開始される。ステップS111において、算出部523は、同一の個数の塩素原子を有する各群のクロロビフェニルについて、クロロビフェニルの総量に対する割合Rを算出する。ステップS111が終了したら、ステップS113が開始される。
ステップS113において、情報生成部52は、分析対象試料Sに含まれるクロロビフェニル製品を同定する。ステップS113が終了したら、ステップS114が開始される。ステップS114では、ステップS109において算出された各クロロビフェニルの濃度を合算し、分析対象試料Sに含まれるクロロビフェニルの濃度を算出する。このステップS114において合算するクロロビフェニルの濃度は、典型的には測定した全ての塩素数のクロロビフェニルの濃度であるが、任意の種類のクロロビフェニルまたは任意の組合せのクロロビフェニルの濃度であってもよい。ステップS114が終了したら、ステップS115が開始される。ステップS115において、出力制御部53は、分析により得られた情報を出力部44に出力させる。ステップS115が終了したら、処理が終了される。
次のような変形も本発明の範囲内であり、上述の実施形態と組み合わせることが可能である。以下の変形例において、上述の実施形態と同様の構造、機能を示す部位等に関しては、同一の符号で参照し、適宜説明を省略する。
(変形例1)
上述の実施形態において、算出部523は、分析対象試料Sに含まれる、塩素原子をn個有する複数の種類のクロロビフェニルの、クロロビフェニルの総量に対する割合Rを算出した。しかし、算出部523は、塩素原子をn個有する複数の種類のクロロビフェニルの量と、任意の種類の1または複数のクロロビフェニルおよび任意の組合せの1または複数のクロロビフェニルの量との比を上記相対量として算出してもよい。例えば、塩素原子をn個有するクロロビフェニルの全体の量と、塩素原子をm個有するクロロビフェニルの全体の量との比を算出し、両群のクロロビフェニルの量を比較することができる。
(変形例2)
上述の実施形態において、分析対象試料Sに複数のクロロビフェニル製品が含まれている場合、以下のようにして当該複数のクロロビフェニル製品を同定することができる。
参照データ取得部524は、参照データに含まれる複数のクロロビフェニル製品を所定の割合で混合した混合製品における、クロロビフェニルの組成を算出する。
図7は、図3における製品Aと、製品B〜Gのそれぞれとを1:1の比で含む混合製品「A+B」、「A+C」、「A+D」、「A+E」、「A+F」および「A+G」における、クロロビフェニルの総量に対する、同一の個数の塩素原子を含むクロロビフェニルの全体の量の割合を示す表Cである。参照データ取得部524は、表Cの各数値を、製品Aにおける対応する数値と製品B〜Gにおける対応する数値との算術平均により算出する。参照データ取得部524は、複数の製品を様々な割合で混合した混合製品について、同様にクロロビフェニルの組成を算出し、参照データとして質量分析装置1に記憶させる。3以上のクロロビフェニル製品を混合した混合製品について組成を算出してもよい。
情報生成部525は、算出部523が算出した塩素原子をn個含む複数の種類のクロロビフェニルの割合Rと、参照データに示されたクロロビフェニル製品およびその混合製品との類似度SIを算出する。情報生成部525は、式(2)におけるR(r)CBxを、参照データのクロロビフェニル製品または混合製品の、クロロビフェニルの総量に対する塩素原子をx個含むクロロビフェニルの全体の量の割合として、式(2)により類似度SIを算出する。情報生成部525は、最も類似度SIが高い製品が混合製品の場合、当該混合製品に含まれる全てのクロロビフェニル製品を、分析対象試料Sに含まれているクロロビフェニル製品とする。情報生成部525は、最も類似度SIが高い製品がクロロビフェニル製品の場合、当該クロロビフェニル製品を、分析対象試料Sに含まれているものとする。
(変形例3)
上述の実施形態において、上述の実施形態の質量分析方法に用いるための質量分析用キットを用いて試料の調製または分析における操作を行ってもよい。このような質量分析用キットは、試料の調製または分析における操作に必要な消耗品等を含んで構成される。
(変形例4)
質量分析装置1の情報処理機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された、上述したデータ処理部52の処理およびそれに関連する処理の制御に関するプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行させてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
また、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載)等に適用する場合、上述した制御に関するプログラムは、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体やインターネット等のデータ信号を通じて提供することができる。図8はその様子を示す図である。PC950は、CD−ROM953を介してプログラムの提供を受ける。また、PC950は通信回線951との接続機能を有する。コンピュータ952は上記プログラムを提供するサーバーコンピュータであり、ハードディスク等の記録媒体にプログラムを格納する。通信回線951は、インターネット、パソコン通信などの通信回線、あるいは専用通信回線などである。コンピュータ952はハードディスクを使用してプログラムを読み出し、通信回線951を介してプログラムをPC950に送信する。すなわち、プログラムをデータ信号として搬送波により搬送して、通信回線951を介して送信する。このように、プログラムは、記録媒体や搬送波などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給できる。
(態様)
上述した複数の例示的な実施形態または変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る質量分析方法は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成することと、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得することと、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出することとを備える。これにより、クロロビフェニルを含む試料を効率よく質量分析することができる。
(第2項)他の一態様に係る質量分析方法では、第1項に記載の質量分析方法において、前記第1質量分析で得られる第1データが、塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルの検出により得られたデータを含み、前記第2質量分析で得られる第2データが、前記試料に含まれる塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルの検出により得られたデータを含む。これにより、塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルについて、効率よくデータ解析を行うことができる。
(第3項)他の一態様に係る質量分析方法では、第1項または第2項に記載の質量分析方法において、前記第2質量分析で得られる第2データが、同一塩素数のクロロビフェニルに対して複数の種類のクロロビフェニルの検出により得られたデータを含む。これにより、複数の種類のクロロビフェニルを、対応する較正データを用いて効率的に較正することができる。
(第4項)他の一態様に係る質量分析方法では、第3項に記載の質量分析方法において、前記第2質量分析における検出は、前記第1質量分析で検出された当該塩素数のクロロビフェニルの種類よりも多い種類のクロロビフェニルの検出を含む。これにより、検量線等を作成する手間を軽減でき、複数の種類のクロロビフェニルを含む試料を効率的に質量分析することができる。
(第5項)他の一態様に係る質量分析方法では、第3項または第4項に記載の質量分析方法において、前記第2質量分析の際に、前記複数の種類のクロロビフェニルが、質量分離される分子が有するm/zの範囲について同一の条件で質量分離される。これにより、複数の種類のクロロビフェニルを、さらに正確に較正することができる。
(第6項)他の一態様に係る質量分析方法では、第3項から第5項までのいずれかに記載の質量分析方法において、前記第2データに基づいて、前記試料に含まれる前記同一塩素数の複数の種類のクロロビフェニルの全体に対応する強度を算出し、算出された前記強度と前記較正データとに基づいて、前記定量値が算出される。これにより、複数のクロロビフェニルを含む試料を、まとめて効率よく質量分析することができる。
(第7項)他の一態様に係る質量分析方法では、第6項に記載の質量分析方法において、クロロビフェニルに含まれる塩素原子の数をnとすると、異なる複数のnのそれぞれについて、塩素原子をn個含むクロロビフェニルの全体に対応する定量値が算出される。これにより、異なる塩素数のクロロビフェニルを含む試料を、まとめて効率よく質量分析することができる。
(第8項)他の一態様に係る質量分析方法では、第1項から第7項までのいずれかに記載の質量分析方法において、前記較正データが、前記クロロビフェニルの標準試料の濃度に対するクロロビフェニルの検出強度の対応関係を含む較正データであり、前記定量値が、前記第2質量分析において検出したクロロビフェニルの濃度値である。これにより、質量分析を用いて試料におけるクロロビフェニルの濃度を効率よく得ることができる。
(第9項)他の一態様に係る質量分析方法では、第1項から第8項までのいずれかに記載の質量分析方法において、前記定量値を算出することは、前記第2質量分析により検出された塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルのそれぞれに対する定量値を算出することを含み、該クロロビフェニルの定量値に基づいて、前記第2質量分析において検出したある塩素数のクロロビフェニルが、他の塩素数の少なくとも1種類のクロロビフェニル、またはクロロビフェニルの総量に対してどの程度の割合で含まれているかを示す相対量を算出することを含む。これにより、質量分析を用いて、各クロロビフェニルの割合に基づく試料の特徴についての情報を効率よく得ることができる。
(第10項)他の一態様に係る質量分析方法では、第9項に記載の質量分析方法において、塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルを含む混合物について、前記混合物における各塩素数のクロロビフェニルの割合を含む参照データを取得することと、前記参照データと、前記相対量とに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルの混合物を同定することとを備える。これにより、分析対象試料に含まれる混合物についての情報を提供することができ、分析対象試料が由来する環境または製品等のクロロビフェニルによるリスクの評価等を行うことができる。
(第11項)他の一態様に係る質量分析方法では、第1項から第10項までのいずれかに記載の質量分析方法において、前記定量値を算出することが、前記第2質量分析により検出された塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルのそれぞれに対する定量値を算出することを含み、算出された塩素数が異なる複数の種類の各クロロビフェニルの定量値を足し合わせた合算値を、クロロビフェニルの混合物に対する定量値として算出する。これにより、試料におけるクロロビフェニル全体の量についての情報を提供することができ、上記リスクの評価等を行うことができる。
(第12項)一態様に係る質量分析装置は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成部と、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得部(強度データ取得部521)と、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルの定量値を算出する算出部とを備える。これにより、クロロビフェニルを含む試料を効率よく質量分析することができる。
(第13項)一態様に係るプログラムは、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成処理(図6のフローチャートのそれぞれステップS105に対応)と、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得処理(図6のフローチャートのそれぞれステップS107に対応)と、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルの定量値を算出する算出処理(図6のフローチャートのそれぞれステップS109、S111、およびS114に対応)とを処理装置に行わせるためのものである。これにより、クロロビフェニルを含む試料を効率よく質量分析することができる。
(第14項)一態様に係る質量分析用キットは、第1項から第11項までのいずれかに記載の質量分析方法に用いられる。これにより、クロロビフェニルを含む試料をさらに効率よく質量分析することができる。
本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
以下に、上述の実施形態に係る実施例を示すが、本発明は下記の実施例における具体的な装置等に限定されるものではない。
(実施例1)
クロロビフェニルを所定の割合で混合した潤滑油および絶縁油等の製品であるアロクロールを所定の濃度で加えた試料を調製した。nを1から9までとして、各塩素原子の個数nについて、それぞれ1種類のクロロビフェニルを標準試料として用いた。第1質量分析および第2質量分析を行い、試料のアロクロールの濃度を定量した。
アロクロール1016、アロクロール1221、アロクロール1232、アロクロール1242、アロクロール1248、アロクロール1254およびアロクロール1260のそれぞれを含む試料を調製した。各アロクロールについて、10ppbおよび100ppbの2種類の濃度の試料を調製した。標準試料として用いるクロロビフェニルを変え、3回上記定量を行った。各回で用いた標準試料をMix1、Mix2およびMix3とする。Mix1、Mix2およびMix3は、各塩素数のクロロビフェニルの種類が異なるものが混合されている。たとえばMix1において、アロクロール1016、アロクロール1221、アロクロール1232、アロクロール1242、アロクロール1248、アロクロール1254およびアロクロール1260の既知の組成は、表B(図3)の製品A、B、C、D、E、FおよびGに対応する。Mix2およびMix3についても、同様に各アロクロールの組成を予め取得しておき、既知の組成として設定した。
図9は、本実施例により得られたアロクロールの濃度の定量結果を示す表Dを示す図である。各アロクロールは、製品名に含まれる番号で示し、以下の各実施例でも同様である。調製により定められた各アロクロールの濃度から大きく外れていない濃度を実験により得ることができた。
(実施例2)
実施例1と略同様に、アロクロールの定量を行った。実施例2では、実施例1で調製した各試料に以下の27種類の薬剤を加えた試料を調製した。以下の薬剤は、殺虫剤の成分として用いられるまたは用いられたものである。第1質量分析および第2質量分析を行い、試料のアロクロールと、これらの薬剤とを一斉に質量分析した。
上記27種類の薬剤は、α-BHC(ベンゼンヘキサクロリド(benzene hexachloride))、γ-BHC、β-BHC、δ-BHC、へプタクロル(Heptachlor)、へプタクロルエポキシド(Heptachlor epoxide)、アルドリン(Aldrin)、ディルドリン(Dieldrin)、エンドリン(Endrin)、エンドリンアルデヒド(Endrin aldehyde)、エンドリンケトン(Endrin ketone)、trans-クロルデン(trans-Chlordane)、cis-クロルデン(cis-Chlordane)、エンドスルファン I(Endosulfan I)、エンドスルファン II(Endosulfan II)、エンドスルファン スルフェート(Endosulfan sulfate)、4,4'-DDE(2,2-ビス(4-クロロフェニル)-1,1-ジクロロエチレン(2,2-Bis(4-chlorophenyl)-1,1-dichloroethylene))4,4'-DDD(4,4'-(2-クロロビニリデン)ビス(クロロベンゼン)(1,1-Dichloro-2,2-bis(4-chlorophenyl)ethane))、4,4'-DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン(dichlorodiphenyltrichloroethane))、メトキシクロル(Methoxychlor)、Hx-Sed、Hep-Sed、Parlar-26(パーラー26)、Parlar-40, 41(パーラー40,41)、Parlar-44(パーラー44)、Parlar-50(パーラー50)、および、Parlar-62(パーラー62)である。
図10は、本実施例により得られたアロクロールの濃度の定量結果を示す表Eを示す図である。アロクロールと、上記27種類の薬剤とを一斉に分析を行っても、調製により定められた各アロクロールの濃度から大きく外れていない濃度を実験により得ることができた。
(実施例3)
排水および河川から採取した水に、所定の濃度のアロクロール1232と、上記27種類の薬剤とを加えて試料を調製した。nを1から9までとして、各塩素原子の個数nについて、1種類のクロロビフェニルを標準試料として用いた。第1質量分析および第2質量分析を行い、試料のアロクロールの濃度を定量した。さらに、試料に含まれる各塩素数nを有するクロロビフェニルの割合から、各アロクロールとの類似度を算出した。
<方法>
内部標準としては、クロルピリホス(Chlorpyrifos)のd10安定同位体、4,4’−ジブロモビフェニル、ピレン(Pyrene)のd10安定同位体、およびデカクロロビフェニルを用いた。サロゲート物質としては、2,4,5,6−テトラクロロ−m−キシレン、2,2’,5,5−テトラクロロビフェニルの13C12安定同位体、2,2’,4,5,5−ペンタクロロビフェニルの13C12安定同位体、および、メトキシクロルのd14安定同位体を用いた。
(試料の調製)
排水1Lおよび河川から採取した水1Lのそれぞれに、0.01μg/mLまたは0.1μg/mL アロクロール1232を1mL、および上記27種類の薬剤を加え、さらに各サロゲート物質を1μg/mL含む溶液を0.1mL加え、分析対象試料を調製した。また、上記薬剤についての較正データを作成するための標準試料として、上記27種類の各薬剤とピレンのd10安定同位体とを既知の濃度で含む試料(以下、薬剤標準試料と呼ぶ)を調製した。さらに、クロロビフェニルについての較正データを作成するための標準試料として、標準試料1と標準試料2の2つの異なる標準試料を調製した。クロロビフェニルは塩素の個数と位置に基づき、209種類の分子が存在し、IUPACにより各分子を示す番号が設定されている。塩素原子を1、2、3、4、5、6、7、8および9個含むクロロビフェニルを較正するための標準物質として、それぞれ、標準試料1は1、4、18、52、101、149、187、199および208の番号のクロロビフェニルを含み、標準試料2は2、6、31、44、110、153、183、203および207の番号のクロロビフェニルを含むように調製した。さらに、標準試料1および標準試料2は、既知の濃度のデカクロロビフェニルを含むように調製した。
(抽出および濃縮)
以下の(1)〜(9)の番号順に作業を行った。
(1)分液漏斗に1Lの水を注いだ。(2)分液漏斗内の液体のpHを2未満に調整した。(3)分液漏斗にジクロロメタン60mLを加え、2分間振とうし、10分間静置した。(4)無水硫酸ナトリウムを使用してジクロロメタンの層を取り出した。(5)(3)および(4)を2回繰り返した。(6)分液漏斗内の液体のpHを11−13に調整した。(7)(3)および(4)を3回繰り返した。(8)抽出した溶液を1mLまで濃縮させた。(9)濃縮された溶液に10μg/mLの各内部標準溶液を10μL加えた。
(GC/MS)
調製された試料のガスクロマトグラフィ/タンデム質量分析(GC/MS/MS)を行った。サンプラーおよびインジェクターとしてガスクロマトグラフ用自動液体試料導入システムAOC−20i/S(島津製作所)、ガスクロマトグラフとしてGC−2010Plus(島津製作所)を用いたトリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計GCMS−TQ8040(島津製作所)によりGC/MS/MSを行った。
ガスクロマトグラフィの条件
試料を、以下の条件でガスクロマトグラフィで分離した。
分析カラム: SH−Rxi−5MS(島津ジーエルシー)
注入モード: スプリットレス(250kPaで1分間、高圧注入法により行った)
注入量: 2μL
注入温度: 275℃
線速度: 一定(43.5cm/秒)
オーブン温度: 60℃で0.5分保持した後、40℃/分の割合で180℃まで上昇させ、4℃/分の割合で280℃まで上昇させ、20℃/分の割合で330℃まで上昇させ、330℃で1分保持した。
質量分析の条件
上記ガスクロマトグラフィにおいて溶出された試料ガスを、タンデム質量分析により検出した。
イオン化の方法: 電子イオン化
測定モード: 多重反応モニタリング(MRM)
イオン源温度: 230℃
インターフェイス温度: 290℃
(較正データの作成)
上記27種類の薬剤については、ピレンのd10安定同位体を基準物質として、基準物質に対する各薬剤の相対応答係数を較正データとして算出した。クロロビフェニルについては、デカクロロビフェニルを基準物質として、基準物質に対する標準試料1および2に含まれる各クロロビフェニルの相対応答係数を較正データとして算出した。算出された相対応答係数の複数回の測定の算術平均と標準偏差とを算出し、当該標準偏差を当該算術平均で割って得られた値に100を掛けたものをRSD(%)として算出した。RSDは、相対応答係数の有効性の指標である。
(クロロビフェニルおよび薬剤の定量およびアロクロールの同定)
得られた較正データを用いて、分析対象試料における各薬剤の濃度およびアロクロールの濃度を算出した。さらに、クロロビフェニルの総量に対する、塩素原子をn個含むクロロビフェニルの全体の量の割合を各nについて算出した。得られた割合に基づいて、分析対象試料におけるクロロビフェニルの組成と、アロクロール1016、アロクロール1221、アロクロール1232、アロクロール1242、アロクロール1248、アロクロール1254およびアロクロール1260について予め得られた既知の組成との類似度を上述の式(2)により算出した。
<結果>
図11には、薬剤標準試料に含まれる各薬剤の較正範囲とRSDとが記載された表Fを示す。図12には、標準試料1に含まれるクロロビフェニルの較正範囲とRSDとが記載された表Gを示す。図13には、標準試料2に含まれるクロロビフェニルの較正範囲とRSDとが記載された表Hを示す。表Fに示すように、各薬剤について、RSDは30未満と分析可能な範囲に留まっている。表Gおよび表Hに示すように、各クロロビフェニルについては、RSDが20未満となっており、精度よく較正を行うことが可能な値が得られた。
以下の表1に、分析対象試料における各薬剤のリカバリーを示した。リカバリーは、分析対象試料に加えた濃度に対する、定量により得られた濃度の割合(%)で示した。表中、「LCB」は、超純水からなるブランク試料であり、「LCS」は、排水および河川の水の代わりに超純水を用いた分析対象試料であり、以下の表2および表3でも同様である。「LLOQ」は、較正データにおける最も濃度の小さい点よりも小さい値となったため、数値を算出しなかったことを示す。
Figure 2019194216
以下の表2に、分析対象試料におけるアロクロールのリカバリーを示した。リカバリーは、分析対象試料に加えた濃度に対する、定量により得られた濃度の割合(%)で示した。
Figure 2019194216
以下の表3に、分析対象試料と、各アロクロールとのクロロビフェニルの組成についての類似度を示した。
Figure 2019194216
表1〜表3から、排水および河川から採取された水を用いた試料による薬剤およびクロロビフェニルの一斉分析が可能であることが確認された。また、表3に示されたように、分析対象試料に加えたアロクロール1232について最も類似度が高くなっており、分析対象試料に含まれるアロクロールを正しく同定することができた。
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
米国特許仮出願第62/653014号(2018年4月5日出願)
1…質量分析装置、10…ガスクロマトグラフ、11…キャリアガス流路、12…試料導入部、14…分離カラム、30…質量分析部、31…真空容器、33…イオン化部、35…質量分離部、36…検出部、40…情報処理部、44…出力部、50…制御部、51…装置制御部、52…データ処理部、100…測定部、521…強度データ取得部、522…較正データ作成部、523…算出部、524…参照データ取得部、525…情報生成部、53…出力制御部、Cr1…モノクロロビフェニル、Cr2…ジクロロビフェニル、Cr9…ノナクロロビフェニル、In…イオン、S…分析対象試料、S1,S2,S9…標準試料。
本発明の第1の態様は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成することと、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得することと、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれる、前記第2質量分析により検出された塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルのそれぞれに対する定量値を算出することとを備え、前記定量値の算出では、該クロロビフェニルの定量値に基づいて、前記第2質量分析において検出したある塩素数のクロロビフェニルが、他の塩素数の少なくとも1種類のクロロビフェニル、またはクロロビフェニルの総量に対してどの程度の割合で含まれているかを示す相対量が算出される質量分析方法に関する。
本発明の第2の態様は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成部と、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得部と、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれる、前記第2質量分析により検出された塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルのそれぞれに対する定量値を算出する算出部とを備え、前記算出部は、該クロロビフェニルの定量値に基づいて、前記第2質量分析において検出したある塩素数のクロロビフェニルが、他の塩素数の少なくとも1種類のクロロビフェニル、またはクロロビフェニルの総量に対してどの程度の割合で含まれているかを示す相対量を算出する質量分析装置に関する。
本発明の第3の態様は、クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成処理と、試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得処理と、前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれる、前記第2質量分析により検出された塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルのそれぞれに対する定量値を算出する算出処理とを処理装置に行わせるためのプログラムであって、前記算出処理では、該クロロビフェニルの定量値に基づいて、前記第2質量分析において検出したある塩素数のクロロビフェニルが、他の塩素数の少なくとも1種類のクロロビフェニル、またはクロロビフェニルの総量に対してどの程度の割合で含まれているかを示す相対量を算出される、プログラムに関する。
本発明の第4の態様は、第1の態様の質量分析方法に用いられる質量分析用キットに関する。

Claims (14)

  1. クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成することと、
    試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得することと、
    前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出することとを備える質量分析方法。
  2. 請求項1に記載の質量分析方法において、
    前記第1質量分析で得られる第1データが、塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルの検出により得られたデータを含み、
    前記第2質量分析で得られる第2データが、前記試料に含まれる塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルの検出により得られたデータを含む質量分析方法。
  3. 請求項1に記載の質量分析方法において、
    前記第2質量分析で得られる第2データが、同一塩素数のクロロビフェニルに対して複数の種類のクロロビフェニルの検出により得られたデータを含む質量分析方法。
  4. 請求項3に記載の質量分析方法において、
    前記第2質量分析における検出は、前記第1質量分析で検出された当該塩素数のクロロビフェニルの種類よりも多い種類のクロロビフェニルの検出を含む質量分析方法。
  5. 請求項3に記載の質量分析方法において、
    前記第2質量分析の際に、前記複数の種類のクロロビフェニルが、質量分離される分子が有するm/zの範囲について同一の条件で質量分離される質量分析方法。
  6. 請求項3に記載の質量分析方法において、
    前記第2データに基づいて、前記試料に含まれる前記同一塩素数の複数の種類のクロロビフェニルの全体に対応する強度を算出し、算出された前記強度と前記較正データとに基づいて、前記定量値が算出される質量分析方法。
  7. 請求項6に記載の質量分析方法において、
    クロロビフェニルに含まれる塩素原子の数をnとすると、
    異なる複数のnのそれぞれについて、塩素原子をn個含むクロロビフェニルの全体に対応する定量値が算出される質量分析方法。
  8. 請求項1に記載の質量分析方法において、
    前記較正データが、前記クロロビフェニルの標準試料の濃度に対するクロロビフェニルの検出強度の対応関係を含む較正データであり、
    前記定量値が、前記第2質量分析において検出したクロロビフェニルの濃度値である質量分析方法。
  9. 請求項1から8までのいずれか一項に記載の質量分析方法において、
    前記定量値を算出することは、前記第2質量分析により検出された塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルのそれぞれに対する定量値を算出することを含み、
    該クロロビフェニルの定量値に基づいて、前記第2質量分析において検出したある塩素数のクロロビフェニルが、他の塩素数の少なくとも1種類のクロロビフェニル、またはクロロビフェニルの総量に対してどの程度の割合で含まれているかを示す相対量を算出することを含む質量分析方法。
  10. 請求項9に記載の質量分析方法において、
    塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルを含む混合物について、前記混合物における各塩素数のクロロビフェニルの割合を含む参照データを取得することと、
    前記参照データと、前記相対量とに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルの混合物を同定することとを備える質量分析方法。
  11. 請求項1から8までのいずれか一項に記載の質量分析方法において、
    前記定量値を算出することが、前記第2質量分析により検出された塩素数が異なる複数の種類のクロロビフェニルのそれぞれに対する定量値を算出することを含み、
    算出された塩素数が異なる複数の種類の各クロロビフェニルの定量値を足し合わせた合算値を、クロロビフェニルの混合物に対する定量値として算出する質量分析方法。
  12. クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成部と、
    試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得部と、
    前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出する算出部とを備える質量分析装置。
  13. クロロビフェニルの標準試料の第1質量分析においてクロロビフェニルを検出して得られた第1データに基づいて、較正を行うための較正データを作成する較正データ作成処理と、
    試料の第2質量分析において、前記第1質量分析で検出されたクロロビフェニルと塩素数が同一で種類が異なる少なくとも一つのクロロビフェニルの検出により得られた第2データを取得するデータ取得処理と、
    前記較正データと前記第2データとに基づいて、前記試料に含まれるクロロビフェニルに対する定量値を算出する算出処理とを処理装置に行わせるためのプログラム。
  14. 請求項1から11までの質量分析方法に用いられる質量分析用キット。
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