以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.撮像素子の較正
2.第1の実施の形態(撮像素子)
3.第2の実施の形態(撮像装置)
4.第3の実施の形態(撮像装置)
5.第4の実施の形態(較正システム)
6.付記
<1.撮像素子の較正>
<撮像素子の較正>
従来、撮像素子は、撮像素子に集光する撮像レンズと組み合わせて用いることが一般的である。撮像レンズによって、被写体面からの光を、被写体面の光強度分布を再現するように、撮像素子の各画素に導くことにより、撮像素子は、各画素においてその光強度分布に応じたレベルの検出信号を得ることができ、全体として被写体の撮像画像を得ることができる。しかしながら、この場合、物理的なサイズが大きくなってしまう。
そこで、例えば特許文献1、特許文献2、および非特許文献1に記載のような、撮像レンズを用いない撮像素子(撮像レンズフリーの撮像素子とも称する)が考えられた。このような撮像レンズフリーの撮像素子においては検出画像が生成される。その検出画像と、その撮像素子の特性に応じた復元行列とを用いて、多元1次連立方程式を解く(行列演算を行う)ことにより復元画像が復元される。この復元行列は、例えば撮像素子の設計値等に基づいて生成される。理想的には、正しい復元行列を用いることにより、正しい復元画像を復元することができる。
しかしながら、実際には、撮像素子の特性(入射角指向性等)は、製造の際に個体差が生じ、設計値とずれるおそれがある。つまり実際の特性に対応しない(ずれた)復元行列を用いて復元画像を復元することにより、正しい復元画像を得ることができないおそれがあった。
そこで、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、その複数の画素出力単位は、行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、その行列の行方向及び列方向の双方に入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、その行列の行方向にのみまたはその行列の列方向にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位とを含む撮像素子を用いるようにする。
このようにすることにより、より正確かつより容易にその復元行列の特性を較正することができる。つまり、実際の撮像素子の特性と復元行列が対応する特性との差が低減するように較正を行うことができる。換言するに、実際の撮像素子の特性により対応する復元行列を生成し、その復元行列を用いて復元画像を生成することができる。したがって、より正確な復元画像を生成することができる。
<2.第1の実施の形態>
<撮像素子>
図1は、以上のような本技術を適用した撮像素子の主な構成例を示すブロック図である。図1に示される撮像素子121は、被写体の撮像に関する処理を行うように構成される。例えば、撮像素子121は、被写体を撮像し、その撮像画像に関するデータ(電子データ)を得る。その際、撮像素子121は、撮像レンズ、回折格子等の光学フィルタ等やピンホール等を介さずに被写体を撮像し、その撮像画像に関するデータを得ることができる。例えば、撮像素子121は、被写体を撮像し、所定の演算によりその撮像画像のデータを得ることができるデータ(検出信号等)を得る。
なお、本明細書において、撮像画像は、被写体の像が結像された画素値により構成される、ユーザが目視して画像として認識できる画像のことである。これに対して撮像素子121の画素単位出力における入射光の検出結果である検出信号により構成される画像(検出画像と称する)は、被写体の像が結像されていないことにより、ユーザが目視しても画像として認識することができない(つまり、被写体を視認不可能な)画像である。つまり、検出画像は撮像画像とは異なる画像である。ただし、上述のように、この検出画像のデータに対して所定の演算を行うことにより、撮像画像、すなわち、被写体の像が結像された、ユーザが目視して画像として認識できる(つまり、被写体を視認可能な)画像を復元することができる。この復元された撮像画像を復元画像と称する。つまり、検出画像は復元画像とは異なる画像である。
また、本明細書において、この復元画像を構成する画像であって、同時化処理や色分離処理等(例えば、デモザイク処理等)の前の画像をRaw画像とも称する。このRaw画像も、撮像画像と同様に、ユーザが目視して画像として認識することができる(つまり、被写体を視認可能な)画像である。換言するに、検出画像は、色フィルタの配列に従った画像ではあるが、Raw画像とは異なる画像である。
ただし、撮像素子121が、例えば赤外光や紫外光等のような不可視光のみに感度を有する場合、復元画像(Raw画像や撮像画像)も、ユーザが目視して画像として認識することはできない(被写体を視認することができない)画像となる場合もある。ただし、これは検出した光の波長域によるものであるので、復元画像は、波長域を可視光域に変換することにより被写体を視認可能な画像とすることができる。これに対して検出画像は、被写体の像が結像されていないので、波長域を変換するだけでは被写体を視認可能な画像とすることはできない。したがって、撮像素子121が不可視光のみに感度を有する場合であっても、上述したように検出画像に対して所定の演算を行うことにより得られる画像を復元画像と称する。なお、以下において、特に言及しない限り、基本的に撮像素子121が可視光を受光する場合を例に用いて本技術を説明する。
つまり、撮像素子121は、被写体を撮像し、検出画像に関するデータを得ることができる。
このような撮像素子121において、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、その複数の画素出力単位は、行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、その行列の行方向及び列方向の双方に入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、その行列の行方向にのみまたはその行列の列方向にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位とを含むようにする。
このような撮像素子121を用いることにより、復元行列の較正が可能になり、より正確な復元画像を生成することができる。
図1に示されるように、この撮像素子121は、受光部111およびその他の処理部112を有する。受光部111とその他の処理部112は、同一の半導体基板に形成されるようにしてもよいし、互いに異なる半導体基板に形成されるようにしてもよい。例えば、受光部111が形成される半導体基板と、その他の処理部112が形成される半導体基板とが積層されるようにしてもよい。
受光部111は、複数の画素(画素出力単位)からなる画素行列を有し、各画素において、被写体からの光を受光して光電変換し、その入射光に応じた電荷を蓄積し、所定のタイミングにおいてその電荷を検出信号として出力する(アナログ信号の検出画像を出力する)。
図1に示されるように、その他の処理部112は、A/D変換部101、復元行列生成部102、復元行列記憶部103、復元部104、関連付け部105、および出力部106を有する。
A/D変換部101は、信号のA/D変換に関する処理を行うように構成される。例えば、A/D変換部101は、受光部111から出力されたアナログ信号の検出信号(検出画像)をA/D変換し、デジタルデータの検出信号(検出画像)として復元部104および関連付け部105に供給する。
なお、このA/D変換部101の構成は任意である。例えばA/D変換部101が1つのA/D変換部により構成され、受光部111の全画素の検出信号をその1つのA/D変換部によりA/D変換するようにしてもよい。また、例えばA/D変換部101が、受光部111の画素行列の列毎または行毎にA/D変換部を有し、各列または各行の画素から読み出される検出信号をその列または行のA/D変換部を用いてA/D変換するようにしてもよい。また、例えばA/D変換部101が、受光部111の画素行列のエリア毎にA/D変換部を有し、各エリアの画素から読み出される検出信号をそのエリアのA/D変換部を用いてA/D変換するようにしてもよい。また、例えばA/D変換部101が、受光部111の画素毎にA/D変換部を有し、各画素から読み出される検出信号をその画素のA/D変換部を用いてA/D変換するようにしてもよい。
復元行列生成部102は、復元行列の生成(較正)に関する処理を行うように構成される。例えば、復元行列生成部102は、撮像素子121の各画素の入射角指向性の較正に関する情報(以下、較正情報とも称する)を用いて、復元行列の生成(較正)を行う。復元行列生成部102は、生成した復元行列を復元行列記憶部103に供給する。
なお、この較正情報は、例えば撮像素子121の外部から供給される。また、この較正情報には、例えば、撮像素子121の実際の入射角指向性とその設計値との間のずれを直接的または間接的に示す情報が含まれる。
さらに、復元行列の生成方法は任意である。例えば、復元行列生成部102は、撮像素子121の各画素の実際の入射角指向性(入射光の入射角に応じた検出信号レベル)を示す較正情報を取得し、その較正情報に基づいて、撮像素子121の実際の入射角指向性に対応する復元行列を生成するようにしてもよい。また、例えば、復元行列生成部102は、撮像素子121の各画素の実際の入射角指向性(入射光の入射角に応じた検出信号レベル)と設計値との間のずれを示す較正情報を取得し、その較正情報に基づいて、設計値に対応する復元行列を較正することにより、撮像素子121の実際の入射角指向性に対応する復元行列を生成するようにしてもよい。
また、復元行列生成部102は、復元行列記憶部103に記憶されている復元行列を読み出し、較正情報に基づいて、読み出した復元行列で較正(更新)するようにしてもよい。その場合、復元行列生成部102は、更新した復元行列を復元行列記憶部103に供給する。
復元行列記憶部103は、記憶媒体(図示せず)を有し、復元行列の記憶に関する処理を行う。この記憶媒体は任意であり、例えば、ハードディスクや半導体メモリ等であってもよい。復元行列記憶部103は、復元行列生成部102から供給される復元行列を取得し、それをその記憶媒体に記憶(保持)する。なお、復元行列記憶部103は、既に復元行列を記憶媒体に記憶している場合、復元行列生成部102から供給される復元行列でその記憶している復元行列を上書き(更新)するようにしてもよい。また、復元行列記憶部103は、必要に応じて(例えば、所定のタイミングにおいてまたは要求に応じて)、その記憶媒体に記憶されている復元行列を読み出し、復元部104若しくは関連付け部105、またはその両方に供給する。
復元部104は、復元画像の生成に関する処理を行うように構成される。例えば、復元部104は、復元行列記憶部103から供給される復元行列を取得し、A/D変換部101から供給される検出画像(検出信号)に対して、その復元行列を用いて所定の演算を行うことにより、復元画像を生成する。つまり、復元部104は、実際の入射角指向性に対応するように較正された復元行列を用いて、復元画像を生成する。復元部104は、生成した復元画像(正しく復元された復元画像)を出力データとして出力部106に供給する。なお、復元部104が、復元画像に対して、例えばガンマ補正(γ補正)やホワイトバランス制御等の任意の画像処理を施すようにしてもよい。また、復元部104が、復元画像のデータのフォーマットを変換したり、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)等の所定の圧縮方式で圧縮したりするようにしてもよい。
関連付け部105は、データの関連付けに関する処理を行うように構成される。例えば、関連付け部105は、A/D変換部101から供給される検出画像(検出信号)を取得する。また関連付け部105は、復元行列記憶部103から供給される復元行列を取得する。さらに関連付け部105は、その検出画像と復元行列とを関連付ける。関連付け部105は、関連付けたデータ(検出画像および復元行列)を、出力データとして出力部106に供給する。
ここで、「関連付ける」という用語は、例えば、一方の情報(データ、コマンド、プログラム等)を処理する際に他方の情報を利用し得る(リンクさせ得る)ようにすることを意味する。つまり、互いに関連付けられた情報は、1つのファイル等としてまとめられてもよいし、それぞれ個別の情報としてもよい。例えば、情報Aに関連付けられた情報Bは、その情報Aとは別の伝送路上で伝送されるようにしてもよい。また、例えば、情報Aに関連付けられた情報Bは、その情報Aとは別の記録媒体(または同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されるようにしてもよい。なお、この「関連付け」は、情報全体でなく、情報の一部であってもよい。例えば、画像とその画像に対応する情報とが、複数フレーム、1フレーム、またはフレーム内の一部分などの任意の単位で互いに関連付けられるようにしてもよい。
より具体的には、例えば、複数の情報に同一のID(識別情報)を付与すること、複数の情報を同一の記録媒体に記録すること、複数の情報を同一のフォルダに格納すること、複数の情報を同一のファイルに格納すること(一方を他方にメタデータとして付与すること)、複数の情報を同一のストリームに埋め込むこと、例えば電子透かしのように画像にメタを埋め込むこと等の行為が、「関連付ける」に含まれる。
出力部106は、復元部104から供給される出力データ(復元画像)、または、関連付け部105から供給される出力データ(検出画像および復元行列)を撮像素子121の外部に出力する。
なお、復元部104および関連付け部105の内、いずれか一方を省略するようにしてもよい。つまり、復元部104および関連付け部105の内の一方のみが、撮像素子121に形成されるようにしてもよい。
<撮像素子について>
次に、撮像素子121について図2乃至図20を参照して説明する。
<画素と画素出力単位>
本明細書においては、「画素」(または「画素出力単位」)という用語を用いて、本技術を説明する。本明細書において「画素」(または「画素出力単位」)とは、撮像素子121の入射光を受光するための物理構成が形成される領域(画素領域とも称する)の、他の画素とは独立して受光することができる物理構成を少なくとも1つ含む分割単位を指すものとする。受光することができる物理構成とは、例えば光電変換素子であり、例えばフォトダイオード(PD(Photo Diode))である。1画素に形成されるこの物理構成(例えばフォトダイオード)の数は任意であり、単数であってもよいし、複数であってもよい。その種類、大きさ、形状等も任意である。
また、この「画素」単位の物理構成には、上述の「受光することができる物理構成」だけでなく、例えば、オンチップレンズ、遮光膜、カラーフィルタ、平坦化膜、反射防止膜等、入射光の受光に関する全ての物理構成を含む。さらに、読み出し回路等の構成も含まれる場合もある。つまり、この画素単位の物理構成はどのような構成であってもよい。
また、「画素」(つまり画素単位の物理構成)から読み出された検出信号を「画素単位(または画素出力単位)の検出信号」等と称する場合もある。さらに、この画素単位(または画素出力単位)の検出信号は、「画素単位検出信号(または画素出力単位検出信号)」とも称する。また、この画素単位検出信号は「画素出力」とも称する。さらに、その値を「出力画素値」とも称する。
撮像素子121は、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光を受光し、その入射光の入射角によって変調された出力画素値を示す検出信号をそれぞれ1つ出力する複数の画素出力単位を備える。したがって、この撮像素子121の画素単位の検出信号の値(出力画素値)は、他と独立して被写体からの入射光の入射角に対する指向性を示す入射角指向性を有することができる。例えば、撮像素子121の各画素単位(画素出力単位)は、その出力画素値の、被写体からの入射光の入射角に対する指向性を示す入射角指向性を独立に設定可能な構成を有するようにしてもよい。換言するに、撮像素子121において、少なくとも2つの画素単位の出力画素値の入射角指向性が互いに異なるようにすることができる。
なお、上述したように「画素(または画素出力単位)」が有する「受光することができる物理構成」の数は任意であるので、画素単位検出信号は、単数の「受光することができる物理構成」により得られた検出信号であってもよいし、複数の「受光することができる物理構成」により得られた検出信号であってもよい。
また、この画素単位検出信号(出力画素値)は、任意の段階で複数をまとめて1つにすることもできる。例えば、複数の画素の出力画素値を、アナログ信号の状態において加算するようにしてもよいし、デジタル信号に変換してから加算するようにしてもよい。
また、この検出信号は、撮像素子121から読み出された後、すなわち、検出画像において、複数の検出信号をまとめて単数化したり、単数の検出信号を複数化したりすることもできる。つまり、検出画像の解像度(データ数)は可変である。例えば、感度向上のために、同一の入射角指向性を有する複数画素の検出信号同士を加算することができる。
ところで、以下においては説明の便宜上、特に言及しない限り、撮像素子121が複数の画素が行列状に配置される(画素アレイが形成される)画素領域を有するものとして説明する。なお、撮像素子121の画素(または画素出力単位)の配列パタンは任意であり、この例に限定されない。例えば、画素(または画素出力単位)がハニカム構造状に配置されるようにしてもよい。また、例えば、画素(または画素出力単位)が1行(または1列)状に配置されるようにしてもよい。つまり、撮像素子121がラインセンサであってもよい。
なお、撮像素子121(の画素)が感度を有する波長域は任意である。例えば、撮像素子121(の画素)が、可視光に対して感度を有するようにしてもよいし、赤外光や紫外光のような不可視光に対して感度を有するようにしてもよいし、可視光と不可視光の両方に対して感度を有するようにしてもよい。例えば、撮像素子が不可視光である遠赤外光を検出する場合、その撮像素子において得られる撮像画像を用いてサーモグラフ(熱分布を表す画像)を生成することができる。ただし、撮像レンズを伴う撮像素子の場合、ガラスは遠赤外光を透過することが困難であるため、高価な特殊素材の撮像レンズが必要になり、製造コストが増大するおそれがある。撮像素子121は、撮像レンズ等を介さずに被写体を撮像し、その撮像画像に関するデータを得ることができるので、その画素が遠赤外光を検出可能とすることにより、製造コストの増大を抑制することができる。つまり、より安価に遠赤外光の撮像を行うことができる(より安価にサーモグラフを得ることができる)。換言するに、復元画像は、可視光の画像であってもよいし、不可視光(例えば、(遠)赤外光や紫外光等)の画像であってもよい。
<入射角指向性>
上述のように、撮像素子121は、複数画素出力単位分の検出信号(複数の画素出力単位検出信号)を得ることができる。そして、その内の少なくとも2つの画素出力単位検出信号の入射角指向性が互いに異なるようにすることもできる。
ここで「入射角指向性」とは、入射光の入射角度に応じた受光感度特性、すなわち、入射光の入射角度に対する検出感度を指す。例えば、同じ光強度の入射光であってもその入射角度によって検出感度が変化する場合がある。このような検出感度の偏り(偏りがない場合も含む)を「入射角指向性」と称する。
例えば、互いに同一の光強度の入射光が、互いに同一の入射角でその2つの画素出力単位の物理構成に入射すると、各画素出力単位の検出信号の信号レベル(検出信号レベル)は、それぞれの入射角指向性によって、互いに異なる値となり得る。撮像素子121(の各画素出力単位)は、このような特徴を持つ物理構成を有する。
この入射角指向性は、どのような方法により実現されるようにしてもよい。例えば、一般の、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子からなるものと同様の基本的な構造を有する撮像素子の光電変換素子(フォトダイオード等)の手前(光入射側)に遮光膜を設ける等して入射角指向性を実現するようにしてもよい。
一般的な入射角指向性が互いに同一の画素よりなる撮像素子のみで撮像を行うと、撮像素子の全画素に略同一の光強度の光が入射することになり、結像された被写体の画像を得ることができない。そこで、一般的には、撮像素子の前(光入射側)に撮像レンズやピンホールを設ける。例えば撮像レンズを設けることにより、被写体面からの光を撮像素子の撮像面に結像させることができる。したがって、撮像素子は、各画素においてその結像された被写体の画像に応じたレベルの検出信号を得ることができる(つまり、結像された被写体の撮像画像を得ることができる)。しかしながら、この場合、物理的にサイズが大きくなり、装置の小型化が困難になるおそれがあった。また、ピンホールを設ける場合、撮像レンズを設ける場合よりも小型化が可能になるが、撮像素子に入射する光量が低減するため、露光時間を長くする、または、ゲインを上げる等の対策が必須となり、高速な被写体の撮像においてはボケが生じ易くなる、または、自然な色表現ではなくなるおそれがあった。
これに対して撮像素子121は、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光を受光し、その入射光の入射角によって変調された出力画素値を示す検出信号をそれぞれ1つ出力する複数の画素出力単位を備える。なお、各画素出力単位の入射角指向性が互いに異なる(入射光の入射角度に応じた受光感度特性が画素出力単位毎に異なる)ようにしてもよいし、一部の画素に同一の受光感度特性を持つものが含まれているようにしてもよいし、一部の画素が異なる受光感度特性を持つようにしてもよい。
例えば、図2において、被写体面131を構成する光源が点光源であることを前提とした場合、撮像素子121においては、同一の点光源より発せられた同一の光強度の光線が、全ての画素に入射されることになるが、画素毎にそれぞれ異なる入射角度で入射される。そして、撮像素子121の各画素は、互いに異なる入射角指向性を有しているので、その同一の光強度の光線を互いに異なる感度で検出する。つまり、画素毎に異なる信号レベルの検出信号が検出される。
より詳細には、撮像素子121の各画素において受光される入射光の入射角度に応じた感度特性、すなわち、各画素における入射角度に応じた入射角指向性は、入射角度に応じた受光感度を表す係数で表現するものとし、各画素における入射光に応じた検出信号の信号レベル(検出信号レベルとも称する)は、入射光の入射角度に応じた受光感度に対応して設定される係数を乗じることで求められるものとなる。
より具体的には、図2の上段左部で示されるように、位置Pa,Pb,Pcにおける検出信号レベルDA,DB,DCは、それぞれ以下の式(1)乃至式(3)で表される。
ここで、α1は、撮像素子121上の位置Paにおける復元する被写体面131上の点光源PAからの光線の入射角度に応じて設定される係数である。また、β1は、撮像素子121上の位置Paにおける復元する被写体面131上の点光源PBからの光線の入射角度に応じて設定される係数である。さらに、γ1は、撮像素子121上の位置Paにおける復元する被写体面131上の点光源PCからの光線の入射角度に応じて設定される係数である。
式(1)に示されるように、位置Paにおける検出信号レベルDAは、位置Paにおける点光源PAからの光線の光強度”a”と係数α1との積と、位置Paにおける点光源PBからの光線の光強度”b”と係数β1との積と、位置Paにおける点光源PCからの光線の光強度”c”と係数γ1との積との和(合成値)により表現される。以下において、係数αx、βx、γx(xは自然数)を合わせて係数セットと称する。
同様に、式(2)の係数セットα2,β2,γ2は、撮像素子121上の位置Pbにおける復元する被写体面131上の点光源PA,PB,PCからの光線の入射角度に応じて設定される係数セットである。つまり、位置Pbにおける検出信号レベルDBは、上述の式(2)のように、位置Pbにおける点光源PAからの光線の光強度”a”と係数α2との積と、位置Pbにおける点光源PBからの光線の光強度”b”と係数β2との積と、位置Pbにおける点光源PCからの光線の光強度”c”と係数γ2との積との和(合成値)により表現される。また、式(3)の係数α3,β3,γ3は、撮像素子121上の位置Pcにおける復元する被写体面131上の点光源PA,PB,PCからの光線の入射角度に応じて設定される係数セットである。つまり、位置Pcにおける検出信号レベルDCは、上述の式(3)のように、位置Pcにおける点光源PAからの光線の光強度”a”と係数α3との積と、位置Pcにおける点光源PBからの光線の光強度”b”と係数β3との積と、位置Pcにおける点光源PCからの光線の光強度”c”と係数γ3との積との和(合成値)により表現される。
以上のように、これらの検出信号レベルは、点光源PA,PB,PCのそれぞれより発せられた光線の光強度が入り交じったものとなるので、被写体の像が結像されたものとは異なるものである。つまり、図2の上段右部で示される検出信号レベルは、被写体の像が結像された画像(撮像画像)に対応する検出信号レベルではないので、図2の下部右部に示される画素値とは異なるものである(一般的に両者は一致しない)。
ただし、この係数セットα1,β1,γ1、係数セットα2,β2,γ2、係数セットα3,β3,γ3と、検出信号レベルDA,DB,DCを用いた連立方程式を構成し、a,b,cを変数として上述の式(1)乃至式(3)の連立方程式を解くことにより、図2の下段右部で示されるような各位置Pa,Pb,Pcの画素値を求めることができる。これにより画素値の集合である復元画像(被写体の像が結像された画像)が復元される。
撮像素子121は、このような構成により、撮像レンズ、回折格子等からなる光学フィルタや、ピンホール等を必要とせずに、各画素において、入射光の入射角によって変調された出力画素値を示す検出信号をそれぞれ1つ出力することができる。結果として、撮像レンズ、回折格子等からなる光学フィルタや、ピンホール等が必須構成とならないので、撮像装置の低背化、すなわち、撮像機能を実現する構成における光の入射方向に対する厚さを薄くすることが可能になる。
<入射角指向性の形成>
図3の左部は、一般的な撮像素子の画素アレイ部の一部の正面図を示しており、図3の右部は、撮像素子121の画素アレイ部の一部の正面図を示している。なお、図3においては、画素アレイ部が水平方向×垂直方向のそれぞれの画素数が6画素×6画素の構成である場合の例を示しているが、画素数の構成は、これに限るものではない。
入射角指向性は、例えば遮光膜により形成することができる。一般的な撮像素子121は、図3の左部の例のように、入射角指向性が同一の画素121aがアレイ状に配置されていることが示されている。これに対して図3の右部の例の撮像素子121は、画素121a毎に、そのフォトダイオードの受光領域の一部を覆うように変調素子の1つである遮光膜121bが設けられており、各画素121aに入射する入射光が、入射角度に応じて光学的に変調される。そして、例えば、画素121a毎に異なる範囲に遮光膜121bを設けることにより、画素121a毎に入射光の入射角度に対する受光感度が異なるものとなり、各画素121aが異なる入射角指向性を有するようになる。
例えば、画素121a−1と画素121a−2とでは、設けられている遮光膜121b−1と遮光膜121b−2とにより画素を遮光する範囲が異なる(遮光する領域(位置)、および遮光する面積の少なくともいずれかが異なる)。すなわち、画素121a−1においては、フォトダイオードの受光領域における左側の一部を所定の幅だけ遮光するように遮光膜121b−1が設けられており、画素121a−2においては、受光領域における右側の一部を、遮光膜121b−1よりも水平方向に広い幅だけ遮光するように遮光膜121b−2が設けられている。その他の画素121aにおいても、同様に、遮光膜121bが、画素毎に受光領域における異なる範囲が遮光されるように設けられており、画素アレイ内でランダムに配置されている。
なお、遮光膜121bの範囲は、各画素の受光領域を覆い隠す割合が大きくなるほど、受光できる光量が少ない状態となるため、所望の光量が確保できる程度の面積とすることが望ましく、遮光膜121bの面積を、例えば、最大で受光可能な範囲の全体の3/4程度までといった制限を加えて構成するようにしてもよい。このようにすることで、所望量以上の光量を確保することが可能となる。ただし、各画素について、受光する光の波長に相当する幅の遮光されていない範囲が設けられていれば、最小限の光量を受光することは可能である。すなわち、例えば、B画素(青色画素)の場合、波長は500nm程度となるが、この波長に相当する幅以上に遮光されていなければ、最小限の光量を受光することは可能である。
<撮像素子の構成例>
図4を参照して、この場合の撮像素子121の構成例について説明する。図4の上段は、撮像素子121の側面断面図であり、図4の中段は、撮像素子121の上面図である。また、図4の上段の側面断面図は、図4の中段におけるAB断面となる。さらに、図4の下段は、撮像素子121の回路構成例である。
図4に示される構成の撮像素子121は、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光を受光し、その入射光の入射角によって変調された出力画素値を示す検出信号をそれぞれ1つ出力する複数の画素出力単位を備える。例えば、この撮像素子121は、その複数の画素出力単位のうちの少なくとも2つの画素出力単位の出力画素値の、被写体からの入射光の入射角に対する指向性を示す入射角指向性が、互いに異なる特性となるようにするための構成を有する。また、この場合の撮像素子121は、その複数の画素出力単位が、被写体からの入射光の入射角に対する指向性を示す入射角指向性を画素出力単位毎に独立に設定可能な構成を有する。
図4の上段の撮像素子121においては、図中の上方から下方に向けて入射光が入射する。隣接する画素121a−15,121a−16は、それぞれ図中の最下層に配線層Z12が設けられており、その上に光電変換層Z11が設けられている、いわゆる、裏面照射型である。
なお、画素121a−15,121a−16を区別する必要がない場合、単に、画素121aと称し、他の構成についても、同様に称する。また、図4においては、撮像素子121の画素アレイを構成する2画素分の側面図および上面図となっているが、いうまでもなく、これ以上の数の画素121aが配置されているが図示が省略されている。
さらに、画素121a−15,121a−16は、それぞれ光電変換層Z11にフォトダイオード121e−15,121e−16を備えている。また、フォトダイオード121e−15,121e−16の上には、それぞれ上からオンチップレンズ121c−15,121c−16、およびカラーフィルタ121d−15,121d−16が構成されている。
オンチップレンズ121c−15,121c−16は、入射光をフォトダイオード121e―15,121e―16上に集光させる。
カラーフィルタ121d−15,121d−16は、例えば、赤色、緑色、青色、赤外および白色等の特定の波長の光を透過させる光学フィルタである。なお、白色の場合、カラーフィルタ121d−15,121d−16は、透明のフィルタでもよいし、無くてもよい。
画素121a−15,121a−16の光電変換層Z11における、それぞれ画素間の境界には、遮光膜121p−15乃至121p−17が形成されており、隣接する画素間のクロストークを抑制する。なお、遮光膜121p−15乃至121p−17は省略してもよい。
また、変調素子の1つである遮光膜121b−15,121b−16は、図4の上段および中段で示されるように、受光面Sの一部を遮光している。遮光膜121bにより受光面Sの一部が遮光されることにより、画素121aに入射する入射光が入射角度に応じて光学的に変調される。画素121aは、その光学的に変調された入射光を検出するので、入射角指向性を有するようになる。画素121a−15,121a−16におけるフォトダイオード121e−15,121e−16の受光面Sにおいては、遮光膜121b−15,121b−16により、それぞれ異なる範囲が遮光されており、これにより画素ごとに異なる入射角指向性が設定される。ただし、遮光される範囲は、撮像素子121の全画素121aのそれぞれにおいて異なることが場合に限らず、一部で同一の範囲が遮光される画素121aが存在していてもよい。
図4の上段で示されるような構成により、遮光膜121p−15の右端部と、遮光膜121b−15の上方端部とが接続されるとともに、遮光膜121b−16の左端部と遮光膜121p−16の上方端部とが接続され、側面からみてL字型に構成されている。
さらに、遮光膜121b−15乃至121b−17、および遮光膜121p−15乃至121p−17は、金属により構成されており、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、またはAlと銅(Cu)との合金より構成される。また、遮光膜121b−15乃至121b−17、および遮光膜121p−15乃至121p−17は、半導体プロセスにおける配線が形成されるプロセスと同一のプロセスで、配線と同一の金属により同時に形成されるようにしてもよい。なお、遮光膜121b−15乃至121b−17、および遮光膜121p−15乃至121p−17の膜厚は、位置に応じて同一の厚さにしなくてもよい。
また、図4の下段で示されるように、画素121aは、フォトダイオード161(フォトダイオード121eに対応する)、転送トランジスタ162、FD(Floating Diffusion:フローティングディフュージョン)部163、選択トランジスタ164、増幅トランジスタ165、およびリセットトランジスタ166を備えて構成され、垂直信号線167を介して電流源168に接続されている。
フォトダイオード161は、アノード電極がそれぞれ接地され、カソード電極が、転送トランジスタ162を介して増幅トランジスタ165のゲート電極にそれぞれ接続される構成となっている。
転送トランジスタ162は、転送信号TGに従ってそれぞれ駆動する。例えば、転送トランジスタ162のゲート電極に供給される転送信号TGがハイレベルになると、転送トランジスタ162はオンとなる。これにより、フォトダイオード161に蓄積されている電荷が転送トランジスタ162を介してFD部163に転送される。
増幅トランジスタ165は、フォトダイオード161での光電変換によって得られる信号を読み出す読出し回路であるソースフォロワの入力部となり、FD部163に蓄積されている電荷に応じたレベルの画素信号を垂直信号線23に出力する。すなわち、増幅トランジスタ165は、ドレイン端子が電源電圧VDDに接続され、ソース端子が選択トランジスタ164を介して垂直信号線167に接続されることで、垂直信号線167の一端に接続される電流源168とソースフォロワを構成する。
FD(Floating Diffusion:フローティングディフュージョン)部163は、転送トランジスタ162と増幅トランジスタ165との間に設けられる電荷容量C1を有する浮遊拡散領域であり、転送トランジスタ162を介してフォトダイオード161から転送される電荷を一時的に蓄積する。FD部163は、電荷を電圧に変換する電荷検出部であって、FD部163に蓄積されている電荷が増幅トランジスタ165において電圧に変換される。
選択トランジスタ164は、選択信号SELに従って駆動し、ゲート電極に供給される選択信号SELがハイレベルになるとオンとなって、増幅トランジスタ165と垂直信号線167とを接続する。
リセットトランジスタ166は、リセット信号RSTに従って駆動する。例えば、リセットトランジスタ166は、ゲート電極に供給されるリセット信号RSTがハイレベルになるとオンとなり、FD部163に蓄積されている電荷を電源電圧VDDに排出して、FD部163をリセットする。
以上のような回路構成により、図4の下段で示される画素回路は以下のように動作する。
すなわち、第1動作として、リセットトランジスタ166および転送トランジスタ162がオンにされ、FD部163に蓄積されている電荷を電源電圧VDDに排出して、FD部163をリセットする。
第2動作として、リセットトランジスタ166および転送トランジスタ162がオフにされ、露光期間となり、フォトダイオード161により、入射光の光量に応じた電荷が蓄積される。
第3動作として、リセットトランジスタ166がオンにされて、FD部163がリセットされた後、リセットトランジスタ166がオフにされる。この動作により、FD部163がリセットされて、基準電位に設定される。
第4動作として、リセットされた状態のFD部163の電位が、基準電位として増幅トランジスタ165より出力される。
第5動作として、転送トランジスタ162がオンにされて、フォトダイオード161に蓄積された電荷がFD部163に転送される。
第6動作として、フォトダイオードの電荷が転送されたFD部163の電位が、信号電位として増幅トランジスタ165より出力される。
以上の処理により、信号電位から基準電位が減算されて、CDS(相関二重サンプリング)により検出信号として出力される。この検出信号の値(出力画素値)は、被写体からの入射光の入射角に応じて変調されており、入射角により特性(指向性)が異なる(入射角指向性を有する)。
このように、図4の場合の画素121aは、1個についてフォトダイオード121eが1個設けられており、画素121a毎に異なる範囲が遮光膜121bにより遮光されており、遮光膜121bを用いた光学的な変調により、1個の画素121aで入射角指向性を備えた検出画像の1画素分の検出信号を表現することができる。
<撮像素子の他の構成例>
また、入射角指向性は、例えば受光素子(例えばフォトダイオード)の画素内における位置、大きさ、形状等により形成することができる。これらのパラメータが異なる画素同士では、同一方向からの同一の光強度の入射光に対する感度が異なる。つまり、これらのパラメータを画素毎に設定することにより、画素毎に入射角指向性を設定することができる。
例えば、画素内に複数の受光素子(例えばフォトダイオード)を設け、それらが選択的に用いられるようにしてもよい。このようにすることにより、その受光素子の選択によって画素毎に入射角指向性を設定することができるようになる。
図5は、撮像素子121の他の構成例を示す図である。図5の上段には、撮像素子121の画素121aの側面断面図が示されており、図5の中段には、撮像素子121の上面図が示されている。また、図5の上段の側面断面図は、図5の中段におけるAB断面となる。さらに、図5の下段は、撮像素子121の回路構成例である。
図5に示される構成の撮像素子121は、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光を受光し、その入射光の入射角によって変調された出力画素値を示す検出信号をそれぞれ1つ出力する複数の画素出力単位を備える。例えば、この撮像素子121は、その複数の画素出力単位のうちの少なくとも2つの画素出力単位の出力画素値の、被写体からの入射光の入射角に対する指向性を示す入射角指向性が、互いに異なる特性となるようにするための構成を有する。また、この場合の撮像素子121は、その複数の画素出力単位が、出力に寄与するPD(Photo Diode)を互いに異ならせることで、その出力画素値の、被写体からの入射光の入射角に対する指向性を示す入射角指向性を画素出力単位毎に独立に設定し得る。
図5に示されるように、撮像素子121は、画素121aにおいて、4つのフォトダイオード121f−1乃至121f−4が形成され、遮光膜121pが、フォトダイオード121f−1乃至121f−4同士を分離する領域に形成されている点で、図5の撮像素子121と異なる構成となっている。即ち、図5の撮像素子121では、遮光膜121pは、上面から見て「+」形状に形成されている。なお、それらの共通の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5のように構成された撮像素子121では、遮光膜121pによりフォトダイオード121f−1乃至121f−4に分離することによって、フォトダイオード121f−1乃至121f−4間の電気的および光学的なクロストークを防止することができる。即ち、図5の遮光膜121pは、図4の撮像素子121の遮光膜121pと同様にクロストークを防止するためのものであって、入射角指向性を与えるためのものではない。
詳細については後述するが、フォトダイオード121f−1乃至121f−4は、受光感度特性が高くなる入射角が互いに異なる。つまり、フォトダイオード121f−1乃至121f−4のいずれから電荷を読み出すかによって、画素121aの出力画素値に所望の入射角指向性を持たせることができる。つまり、画素121aの出力画素値の入射角指向性を制御することができる。
図5の撮像素子121の構成例においては、1個のFD部163を4個のフォトダイオード121f−1乃至121f−4で共有する。図5の下段は、1個のFD部163を4個のフォトダイオード121f−1乃至121f−4で共有するようにした回路構成例を示している。なお、図5の下段において、図4の下段と同一の構成については、その説明を省略する。
図5の下段において、図4の下段の回路構成と異なる点は、フォトダイオード161および転送トランジスタ162に代えて、フォトダイオード161−1乃至161−4(図5の上段におけるフォトダイオード121f−1乃至121f−4に対応する)および転送トランジスタ162−1乃至162−4を設け、FD部163を共有する構成としている点である。
図5の下段に示される回路において、フォトダイオード161−1乃至161−4を互いに区別して説明する必要がない場合、フォトダイオード161と称する。また、転送トランジスタ162−1乃至162−4を互いに区別して説明する必要がない場合、転送トランジスタ162と称する。
図5の下段に示される回路において、いずれかの転送トランジスタ162がオンされると、その転送トランジスタ162に対応するフォトダイオード161の電荷が読み出され、共通のFD部163に転送される。そして、FD部163に保持されている電荷のレベルに応じた信号が画素出力単位の検出信号として読み出される。つまり、各フォトダイオード161の電荷は互いに独立に読み出すことができ、どの転送トランジスタ162をオンにするかによって、どのフォトダイオード161から電荷を読み出すかを制御することができる。換言するに、どの転送トランジスタ162をオンにするかによって、各フォトダイオード161による出力画素値への寄与の度合いを制御することができる。例えば、少なくとも2つの画素間において、電荷を読み出すフォトダイオード161を互いに異なるものとすることにより、出力画素値に寄与するフォトダイオード161を互いに異ならせることができる。つまり、電荷を読み出すフォトダイオード161の選択により、画素121aの出力画素値に所望の入射角指向性を持たせることができる。つまり、各画素121aから出力される検出信号を、被写体からの入射光の入射角に応じて変調された値(出力画素値)とすることができる。
例えば、図5において、フォトダイオード121f−1およびフォトダイオード121f−3の電荷をFD部163に転送し、それぞれを読み出して得られる信号を加算するようにすることにより、画素121aの出力画素値に図中左右方向の入射角指向性を持たせることができる。同様に、フォトダイオード121f−1およびフォトダイオード121f−2の電荷をFD部163に転送し、それぞれを読み出して得られる信号を加算するようにすることにより、画素121aの出力画素値に図中上下方向の入射角指向性を持たせることができる。
なお、図5の画素121aの各フォトダイオード121fのそれぞれの電荷に基づいて得られる信号は、画素から読み出された後に加算するようにしてもよいし、画素内(例えばFD部163)において加算するようにしてもよい。
また、電荷(またはその電荷に対応する信号)を加算するフォトダイオード121fの組み合わせは任意であり、上述の例に限定されない。例えば、3つ以上のフォトダイオード121fの電荷(またはその電荷に対応する信号)を加算するようにしてもよい。また、例えば、加算を行わずに、1つのフォトダイオード121fの電荷を読み出すようにしてもよい。
なお、電子シャッタ機能を用いて電荷のFD部163への読み出しの前にフォトダイオード161(フォトダイオード121f)に蓄積された検出値(電荷)をリセットすること等で、画素121a(の検出感度)に所望の入射角指向性を持たせるようにしてもよい。
例えば、電子シャッタ機能を用いる場合、フォトダイオード121fの電荷のFD部163への読み出しの直前にリセットをすれば、そのフォトダイオード121fは画素121aの検出信号レベルへの寄与が無い状態とすることができ、リセットとFD部163への読み出しの間の時間を持たせれば、部分的に寄与をさせることもできる。
以上のように、図5の画素121aは、1個について4個のフォトダイオード121fが設けられており、受光面に対して遮光膜121bが形成されていないが、遮光膜121pにより、複数の領域に分割され、4個のフォトダイオード121f−1乃至121f−4が形成されており、入射角指向性を備えた検出画像の1画素分の検出信号を表現している。換言するに、例えば、フォトダイオード121f−1乃至121f−4のうち出力に寄与しない範囲が遮光された領域と同様に機能して、入射角指向性を備えた、検出画像の1画素分の検出信号を表現している。なお、フォトダイオード121f−1乃至121f−4を用いて、1画素分の検出信号を表現する場合、遮光膜121bは用いられていないので、検出信号は、光学的な変調により得られる信号ではない。
以上においては画素内に4個のフォトダイオードを配置する例について説明したが、画素内に配置するフォトダイオードの数は任意であり、上述の例に限定されない。つまり、画素内におけるフォトダイオードを配置する部分領域の数も任意である。
また、以上においては、画素内を4等分した4つの部分領域にフォトダイオードを配置するように説明したが、この部分領域は等分割されたものでなくてもよい。つまり、各部分領域の大きさや形状が全て統一されていなくてもよい(大きさや形状が他と異なる部分領域が含まれていてもよい)。または、各部分領域内に配置されるフォトダイオードの位置(部分領域内における位置)、大きさ、形状等が、フォトダイオード毎(部分領域毎)に異なるようにしてもよい。その際、各部分領域の大きさや形状は、全て統一されていてもよいし、統一されていなくてもよい。
さらに、撮像素子121の全画素において、これらのパラメータが統一されていなくてもよい。つまり、撮像素子121の1画素以上において、これらのパラメータの内の1つ以上のパラメータが、他の画素と異なっていてもよい。
例えば、画素内におけるフォトダイオードを配置する部分領域を形成するための分割位置が他の画素と異なる画素が、撮像素子121の画素群に含まれるようにしてもよい。つまり、撮像素子121が、部分領域の大きさや形状が他の画素と異なる画素を1画素以上有するようにしてもよい。例えば、画素毎にこの分割位置を異ならせるようにすることにより、複数の画素で左上のフォトダイオードのみを用いるようにしたとしても、その複数の画素のそれぞれにおいて検出される検出信号の入射角指向性を互いに異なるものとすることができる。
また例えば、画素内に配置される複数のフォトダイオードの位置、大きさ、形状等が他の画素と異なる画素が、撮像素子121の画素群に含まれるようにしてもよい。つまり、撮像素子121が、配置される複数のフォトダイオードの位置、大きさ、形状の内の少なくともいずれか1つが他の画素と異なる画素を1画素以上有するようにしてもよい。例えば、画素毎にフォトダイオードの位置、大きさ、形状等を異ならせるようにすることにより、複数の画素で左上のフォトダイオードのみを用いるようにしたとしても、その複数の画素のそれぞれにおいて検出される検出信号の入射角指向性を互いに異なるものとすることができる。
さらに例えば、部分領域のパラメータ(大きさ、形状)と、フォトダイオードのパラメータ(位置、大きさ、形状)との両方が他の画素と異なる画素を1画素以上有するようにしてもよい。
また例えば、画素内におけるフォトダイオードを配置する部分領域を形成するための分割数が他の画素と異なる画素が、撮像素子121の画素群に含まれるようにしてもよい。つまり、撮像素子121が、配置されるフォトダイオードの数が他の画素と異なる画素を1画素以上有するようにしてもよい。例えば、画素毎に分割数(フォトダイオードの数)を異ならせるようにすることにより、より自由に入射角指向性を設定することができる。
なお、図4の例のような、遮光膜を用いて入射角指向性を形成する画素と、図5の例のような、複数の受光素子を用いて入射角指向性を形成する画素とを、1つの撮像素子内に混在させてもよい。
<入射角指向性を生じさせる原理について>
撮像素子121における各画素の入射角指向性は、例えば、図6で示されるような原理により発生する。なお、図6の左上部および右上部は、図4の撮像素子121における入射角指向性の発生原理を説明する図であり、図6の左下部および右下部は、図5の撮像素子121における入射角指向性の発生原理を説明する図である。
また、図6の左上部および右上部における1画素は、いずれも1個のフォトダイオード121eにより構成される。これに対して、図6の左下部および右下部における1画素は、いずれも2個のフォトダイオード121fにより構成される。なお、ここでは、1画素が2個のフォトダイオード121fにより構成される例について説明しているが、これは説明の便宜上であり、1画素を構成するフォトダイオード121fの数は、その他の個数であってもよい。
図6の左上部においては、図中の上方から下方に向けて入射光が入射するとき、フォトダイオード121e−11の受光面の右半分を遮光するように遮光膜121b−11が形成されている。また、図6の右上部においては、フォトダイオード121e−12の受光面の左半分を遮光するように遮光膜121b−12が形成されている。なお、図中の一点鎖線は、フォトダイオード121eの受光面の図中の水平方向の中心位置であって、受光面に対して垂直方向であることを表している。
例えば、図6の左上部のような構成の場合、図中の一点鎖線に対して入射角θ1を成す矢印で示される、図中の右上方向からの入射光は、フォトダイオード121e−11の遮光膜121b−11により遮光されていない左半分の範囲では受光し易いが、図中の一点鎖線に対して入射角θ2を成す矢印で示される、図中の左上方向からの入射光は、フォトダイオード121e−11の遮光膜121b−11により遮光されていない左半分の範囲では受光し難い。したがって、図6の左上部のような構成の場合、図中の右上方からの入射光に対して受光感度特性が高く、左上方からの入射光に対して受光感度特性が低いといった入射角指向性を備えることになる。
これに対して、例えば、図6の右上部のような構成の場合、図中の一点鎖線に対して入射角θ11を成す矢印で示される、図中の右上方向からの入射光は、フォトダイオード121e−12の遮光膜121b−12により遮光されている左半分の範囲では受光し難いが、図中の一点鎖線に対して入射角θ12を成す矢印で示される、図中の左上方向からの入射光は、フォトダイオード121e−12の遮光膜121b−12により遮光されていない右半分の範囲で受光し易い。したがって、図6の右上部のような構成の場合、図中の右上方からの入射光に対して受光感度特性が低く、左上方からの入射光に対して受光感度特性が高いといった入射角指向性を備えることになる。
また、図6の左下部の場合、図中の左右にフォトダイオード121f−1,121f−2が設けられており、いずれかの一方の検出信号を読み出すようにすることで、遮光膜121bを設けることなく入射角指向性を有する構成とされている。
すなわち、図6の左下部で示されるように、画素121aに2個のフォトダイオード121f−1,121f−2が形成されている場合、図中の左側に設けられたフォトダイオード121f−1の検出信号がこの画素121aの検出信号レベルに寄与するようにすることで、図6の左上部における構成と同様の入射角指向性を備えるようにすることができる。すなわち、図中の一点鎖線に対して入射角θ21を成す矢印で示される、図中の右上方向からの入射光は、フォトダイオード121f−1に入射して受光され、その検出信号が読み出され、この画素121aの検出信号レベルに寄与する。これに対して、図中の一点鎖線に対して入射角θ22を成す矢印で示される、図中の左上方向からの入射光は、フォトダイオード121f−2に入射するが、その検出信号は読み出されず、この画素121aの検出信号レベルに寄与しない。
同様に、図6の右下部で示されるように、画素121aに2個のフォトダイオード121f−11,121f−12が形成されている場合、図中の左側に設けられたフォトダイオード121f−12の検出信号がこの画素121aの検出信号レベルに寄与するようにすることで、図6の右上部における構成と同様の入射角指向性を備えるようにすることができる。すなわち、図中の一点鎖線に対して入射角θ31を成す矢印で示される、図中の右上方向からの入射光は、フォトダイオード121f−11に入射するが、その検出信号は読み出されず、この画素121aの検出信号レベルに寄与しない。これに対して、図中の一点鎖線に対して入射角θ32を成す矢印で示される、図中の左上方向からの入射光は、フォトダイオード121f−12に入射して受光され、その検出信号が読み出され、この画素121aの検出信号レベルに寄与する。
なお、図6においては、垂直方向の一点鎖線が、フォトダイオード121eの受光面の図中の水平方向の中心位置である例について説明してきたが、説明の便宜上であり、その他の位置であってもよい。垂直方向の一点鎖線で示される遮光膜121bの水平方向の位置が異なることにより、異なる入射角指向性を生じさせることができる。
<オンチップレンズを含む構成における入射角指向性について>
以上においては、入射角指向性の発生原理について説明してきたが、ここでは、オンチップレンズ121cを含めた構成における入射角指向性について説明する。
すなわち、撮像素子121における各画素の入射角指向性は、上述した遮光膜121bによるものに加えて、オンチップレンズ121cを用いることにより、例えば、図7で示されるように設定される。すなわち、図7の中段左部においては、図中上方の入射方向より入射光を集光するオンチップレンズ121c−11、所定の波長の光を透過させるカラーフィルタ121d−11、および光電変換により画素信号を生成するフォトダイオード121e−11の順に積層され、図7の中段右部においては、図中上方の入射方向よりオンチップレンズ121c−12、カラーフィルタ121d−12、およびフォトダイオード121e−12の順に構成されている。
なお、オンチップレンズ121c−11,121c−12、カラーフィルタ121d−11,121d−12、およびフォトダイオード121e−11,121e−12の、それぞれを区別する必要がない場合、単に、オンチップレンズ121c、カラーフィルタ121d、およびフォトダイオード121eと称する。
撮像素子121においては、さらに、図7の中段左部、および中段右部のそれぞれに示されるように、入射光を受光する領域の一部を遮光する遮光膜121b−11,121b−12が設けられている。
図7の中段左部で示されるように、図中のフォトダイオード121e−11の右側半分を遮光するような遮光膜121b−11が設けられている場合、図7の上段の実線の波形で示されるように、入射光の入射角度θに応じてフォトダイオード121e−11の検出信号レベルが変化する。
すなわち、フォトダイオード121eおよびオンチップレンズ121cの中心位置であって、それぞれに対して垂直となる一点鎖線に対して、入射光のなす角である入射角度θが大きくなると(入射角度θが正の方向に大きくなると(図中の右方向に傾くと))、遮光膜121b−11が設けられていない範囲に光が集光されることで、フォトダイオード121e−11の検出信号レベルが大きくなる。逆に、入射角度θが小さいほど(入射角度θが負の方向に大きいほど(図中の左方向に傾くと))、遮光膜121b−11が設けられている範囲に光が集光されることで、フォトダイオード121e−11の検出信号レベルが小さくなる。
なお、ここでいう入射角度θは、入射光の方向が一点鎖線と一致する場合を0度とし、図中の右上方からの入射光が入射する、図7の中段左側の入射角度θ21側の入射角度θを正の値とし、図7の中段右側の入射角度θ22側の入射角度θを負の値とする。したがって、図7においては、オンチップレンズ121cに対して、右上方より入射する入射光については、左上方より入射する入射光よりも入射角度が大きくなる。すなわち入射角度θは、図7において、入射光の進行方向が右に傾くほど大きくなり(正の方向に大きくなり)、左に傾くほど小さくなる(負の方向に大きくなる)ものとする。
また、図7の中段右部で示されるように、図中のフォトダイオード121e−12の左側半分を遮光するような遮光膜121b−12が設けられている場合、図7の上段の点線の波形で示されるように、入射光の入射角度θに応じてフォトダイオード121e−12の検出信号レベルが変化する。
すなわち、図7の上段における点線の波形で示されるように、フォトダイオード121eおよびオンチップレンズ121cの中心位置であって、それぞれに対して垂直となる一点鎖線に対して、入射光のなす角である入射角度θが大きいほど(入射角度θが正の方向に大きいほど)、遮光膜121b−12が設けられている範囲に光が集光されることで、フォトダイオード121e−12の検出信号レベルが小さくなる。逆に、入射角度θが小さいほど(入射角度θが負の方向に大きいほど)、遮光膜121b−12が設けられていない範囲に光が入射することで、フォトダイオード121e−12の検出信号レベルが大きくなる。
なお、図7の上段においては、横軸が入射角度θであり、縦軸がフォトダイオード121eにおける検出信号レベルを示している。
この図7の上段で示される入射角度θに応じた検出信号レベルを示す実線および点線で示される波形は、遮光膜121bの範囲に応じて変化させることができるので、これにより画素単位で相互に異なる入射角指向性を持たせる(設定する)ことが可能となる。なお、図7の上段における実線の波形は、図7の中段左部、および下段左部における入射光が、入射角度θを変化させて集光される様子を示す実線の矢印に対応している。また、図7の上段における点線の波形は、図7の中段右部、および下段右部における入射光が、入射角度θを変化させて集光される様子を示す点線の矢印に対応している。
ここでいう入射角指向性とは、入射角度θに応じた各画素の検出信号レベルの特性(受光感度特性)であるが、図7の中段の例の場合、これは入射角度θに応じた遮光値の特性であるともいえる。すなわち、遮光膜121bは、特定の方向の入射光は高いレベルで遮光するが、特定の方向以外の方向からの入射光は十分に遮光できない。この遮光できるレベルの変化が、図7の上段で示されるような入射角度θに応じた異なる検出信号レベルを生じさせる。したがって、各画素において最も高いレベルで遮光可能な方向を各画素の遮光方向と定義すると、画素単位で相互に異なる入射角指向性を持つということは、換言すれば、画素単位で相互に異なる遮光方向を持つということになる。
さらに、図7の下段左部で示されるように、1個のオンチップレンズ121c−11に対して2個のフォトダイオード121f−1,121f−2が設けられる構成とする(画素出力単位が2個のフォトダイオード121f−1,121f−2から構成される)ことにより、図中左部のフォトダイオード121f−1のみの検出信号を用いるようにすることで、図7の中段左部におけるフォトダイオード121e−11の右側を遮光した状態と同じ検出信号レベルを求めるようにすることができる。
すなわち、オンチップレンズ121cの中心位置であって、それぞれに対して垂直となる一点鎖線に対して、入射光のなす角である入射角度θが大きくなると(入射角度θが正の方向に大きくなると)、検出信号が読み出されるフォトダイオード121f−1の範囲に光が集光されることで、検出信号レベルが大きくなる。逆に、入射角度θが小さいほど(入射角度θが負の方向に大きいほど)、検出値が読み出されないフォトダイオード121f−2の範囲に光が集光されることで、検出信号レベルが小さくなる。
また、同様に、図7の下段右部で示されるように、1個のオンチップレンズ121c−12に対して2個のフォトダイオード121f−11,121f−12が設けられる構成とすることにより、図中右部のフォトダイオード121f−12のみの検出信号を用いるようにすることで、図7の中段右部におけるフォトダイオード121e−12の左側を遮光した状態と同じ検出信号レベルの出力画素単位の検出信号を得るようにすることができる。
すなわち、オンチップレンズ121cの中心位置であって、それぞれに対して垂直となる一点鎖線に対して、入射光のなす角である入射角度θが大きくなると(入射角度θが正の方向に大きくなると)、検出信号が出力画素単位の検出信号に寄与しないフォトダイオード121f−11の範囲に光が集光されることで、出力画素単位の検出信号の検出信号レベルが小さくなる。逆に、入射角度θが小さいほど(入射角度θが負の方向に大きいほど)、検出信号が出力画素単位の検出信号に寄与するフォトダイオード121f−12の範囲に光が集光されることで、出力画素単位の検出信号の検出信号レベルが大きくなる。
なお、入射角指向性については、ランダム性が高い方が望ましい。例えば、隣り合う画素間で同一の入射角指向性を持つと、上述した式(1)乃至式(3)または、後述する式(4)乃至式(6)が相互に同一の式となる恐れがあり、連立方程式の解となる未知数と式の数の関係が満たせなくなり、復元画像を構成する画素値を求められなくなる恐れがあるためである。また、図7の中段で示される構成においては、画素121aに、1個のフォトダイオード121e−11およびフォトダイオード121e−12が形成されている。これに対して、図7の下段で示される構成においては、画素121aに、2個のフォトダイオード121f−1および121f−2、並びに、フォトダイオード121f−11および121f−12が形成されている。したがって、例えば、図7の下段においては、フォトダイオード121fの単体では、1画素は構成されない。
また、図7の下段で示されるように、複数のフォトダイオード121fから1画素出力単位が構成される場合、入射角度に応じて、画素出力単位の出力画素値が変調されているとみなすことができる。したがって、出力画素値の特性(入射角指向性)を画素出力単位で異ならせることが可能となり、1画素出力単位での入射角指向性が設定される。さらに、複数のフォトダイオード121fから1画素出力単位が構成される場合、1画素出力単位での入射角指向性を生じさせる上で、1画素出力単位に対して1個のオンチップレンズ121cが必須構成となる。
また、図7の上段で示されるように、1個のフォトダイオード121e−11またはフォトダイオード121e−12のそれぞれが1画素出力単位を構成する場合、入射角度に応じて、1画素出力単位を構成する1個のフォトダイオード121e−11またはフォトダイオード121e−12への入射光が変調されることにより、結果として出力画素値が変調される。したがって、出力画素値の特性(入射角指向性)が異ならせることが可能となり、1画素出力単位での入射角指向性が設定される。さらに、1個のフォトダイオード121e−11またはフォトダイオード121e−12のそれぞれが1画素出力単位を構成する場合、入射角指向性は、1画素出力単位毎に設けられる遮光膜121bにより独立して製造時に設定される。
また、図7の下段で示されるように、複数のフォトダイオード121fから1画素出力単位が構成される場合、1画素出力単位毎の入射角指向性を設定するための複数のフォトダイオード121fの数(1画素出力単位を構成するフォトダイオード121fの分割数)や位置については、1画素出力単位で独立して製造時に設定され、さらに、このうち、どのフォトダイオード121fを用いて入射角指向性を設定するかについては、撮像時に切り替えるようにすることができる。
<入射角指向性の設定>
例えば、図8の上段で示されるように、遮光膜121bの設定範囲が、画素121aにおける水平方向について、左端部から位置Aまでの範囲とし、垂直方向について、上端部から位置Bまでの範囲とする。
この場合、各画素の水平方向の中心位置からの入射角度θx(deg)に応じた、入射角指向性の指標となる水平方向の0乃至1の重みWxを設定する。より詳細には、位置Aに対応する入射角度θx=θaにおいて、重みWxが0.5になると仮定した場合、入射角度θx<θa−αにおいて重みWxが1となり、θa−α≦入射角度θx≦θa+αにおいて、重みWxが(−(θx−θa)/2α+1/2)となり、入射角度θx>θa+αにおいて重みWxが0となるように重みWhを設定する。なお、ここでは、重みWhが0,0.5,1である例について説明するが、重みWhが0,0.5,1となるのは、理想的な条件が満たされるときとなる。
同様に、各画素の垂直方向の中心位置からの入射角度θy(deg)に応じた、入射角指向性の指標となる垂直方向の0乃至1の重みWyを設定する。より詳細には、位置Bに対応する入射角度θy=θbにおいて、重みWvが0.5になると仮定した場合、入射角度θy<θb−αにおいて重みWyが0となり、θb−α≦入射角度θy≦θb+αにおいて、重みWyが((θy−θb)/2α+1/2)となり、入射角度θy>θb+αにおいて重みWyが1となるように重みWyを設定する。
そして、このようにして求められた重みWx,Wyを用いることにより、それぞれの画素121aの入射角指向性、すなわち、受光感度特性に対応する係数(係数セット)を求めることができる。
また、このとき、水平方向の重みWxおよび垂直方向の重みWyが0.5の前後となる範囲における重みの変化を示す傾き(1/2α)は、焦点距離の異なるオンチップレンズ121cを用いることで設定することができる。
すなわち、曲率の異なるオンチップレンズ121cを用いることで異なる焦点距離とすることができる。
例えば、曲率の異なるオンチップレンズ121cを用いることで、図8の下段における実線で示されるように、焦点距離が、遮光膜121b上になるように集光されるとき、傾き(1/2α)は、急峻になる。すなわち、図8の上段における、水平方向の重みWxおよび垂直方向の重みWyは、0.5付近となる水平方向の入射角度θx=θa、および、垂直方向の入射角度θy=θbの境界付近において、急激に0または1に変化する。
また、例えば、曲率の異なるオンチップレンズ121cを用いることで、図8の下段における点線で示されるように、焦点距離が、フォトダイオード121e上に集光されるとき、傾き(1/2α)は、緩くなる。すなわち、図8の上部における、水平方向の重みWxおよび垂直方向の重みWyが0.5付近となる水平方向の入射角度θx=θa、および、垂直方向の入射角度θy=θbの境界付近において、緩やかに0または1に変化する。
以上のように、曲率の異なるオンチップレンズ121cを用いて、異なる焦点距離にすることで異なる入射角指向性、すなわち、異なる受光感度特性を得ることができる。
したがって、画素121aの入射角指向性は、遮光膜121bによりフォトダイオード121eが遮光される範囲と、オンチップレンズ121cの曲率とが異なるようにすることで異なる値に設定することができる。なお、オンチップレンズの曲率は、撮像素子121における全ての画素で同一でもよいし、一部の画素において異なる曲率であってもよい。
<オンチップレンズと撮像レンズとの違い>
上述のように、撮像素子121は撮像レンズを必要としない。ただし、オンチップレンズ121cは、少なくとも、図5を参照して説明したような画素内の複数のフォトダイオードを用いて入射角指向性を実現する場合には必要である。オンチップレンズ121cと撮像レンズとは、物理的作用が異なるものである。
撮像レンズは、同じ方向から入射した入射光を、互いに隣接する複数の画素へ入射させるための集光機能を持つ。これに対して、オンチップレンズ121cを通る光は、対応する1画素を構成するフォトダイオード121eまたは121fの受光面のみに入射される。換言するに、オンチップレンズ121cは、画素出力単位毎に設けられ、自身に入射する被写体光を対応する画素出力単位のみに集光する。すなわち、オンチップレンズ121cは、仮想点光源から出射した拡散光を、互いに隣接する複数の画素へ入射させるための集光機能を持たない。
<被写体面と撮像素子との距離の関係>
次に、図9を参照して、被写体面と撮像素子121との距離の関係について説明する。
図9の上段左部で示されるように、撮像素子121と被写体面131までの被写体距離が距離d1である場合、例えば、被写体面131上の点光源PA,PB,PCを設定するとき、対応する撮像素子121上の位置Pa,Pb,Pcにおける検出信号レベルDA,DB,DCが、上述した式(1)乃至式(3)と同一の式で表現できるものとする。
DA=α1×a+β1×b+γ1×c
・・・(1)
DB=α2×a+β2×b+γ2×c
・・・(2)
DC=α3×a+β3×b+γ3×c
・・・(3)
これに対して、図9の下段左部で示されるように、撮像素子121との被写体距離が距離d1よりもdだけ大きな距離d2である被写体面131'である場合、すなわち、撮像素子121から見て、被写体面131よりも奥の被写体面131'の場合、検出信号レベルは、図9の上段中央部、および下段中央部で示されるように、検出信号レベルDA,DB,DCいずれも同様である。
しかしながら、この場合被写体面131'上の点光源PA',PB',PC'からの光強度がa',b',c'の光線が撮像素子121の各画素において受光される。この際、撮像素子121上で受光される、光強度がa',b',c'の光線の入射角度は異なる(変化する)ので、それぞれ異なる係数セットが必要となり、各位置Pa,Pb,Pcにおける検出信号レベルDA,DB,DCは、例えば、以下の式(4)乃至式(6)で示されるように表現されることになる。
ここで、係数セットα11,β11,γ11、係数セットα12,β12,γ12、係数セットα13,β13,γ13からなる係数セット群は、それぞれ被写体面131における係数セットα1,β1,γ1、係数セットα2,β2,γ2、係数セットα3,β3,γ3に対応する被写体面131'の係数セット群である。
したがって、式(4)乃至式(6)を、予め設定された係数セット群α11,β11,γ11,α12,β12,γ12,α13,β13,γ13を用いて解くことで、図9の上段右部で示される被写体面131における場合の点光源PA,PB,PCにおける光線の光強度(a,b,c)を求めた手法と同様の手法で、図9の下段右部で示されるように、点光源PA',PB',PC'からの光線の光強度(a',b',c')として求めることが可能となり、結果として、被写体面131'の被写体の復元画像を求めることが可能となる。
すなわち、図1の撮像装置100においては、撮像素子121からの被写体面までの距離毎の係数セット群を予め記憶しておき、係数セット群を切り替えて連立方程式を構成し、構成した連立方程式を解くことで、1個の検出画像に基づいて、様々な被写体距離の被写体面の復元画像を得ることが可能となる。
つまり、検出画像を1回撮像するだけで、その後の処理で、被写体面までの距離に応じて係数セット群を切り替えて、復元画像を求めるようにすることで、任意の距離の復元画像を生成することも可能である。
また、画像認識や可視画像や可視画像以外の被写体の特性を得たい場合は、復元画像を得てから復元画像を基に画像認識などを行わなくとも、撮像素子の検出信号に対し、ディープラーニング等の機械学習を適用し、検出信号自体を用いて画像認識などを行うことも可能である。
また、被写体距離や画角が特定できるような場合については、全ての画素を用いずに、特定された被写体距離や画角に対応した被写体面の撮像に適した入射角指向性を有する画素の検出信号からなる検出画像を用いて、復元画像を生成するようにしてもよい。このようにすることで、特定された被写体距離や画角に対応した被写体面の撮像に適した画素の検出信号を用いて復元画像を求めることができる。
例えば、図10の上段で示されるように、4辺のそれぞれの端部から幅d1だけ遮光膜121bにより遮光されている画素121aと、図10の下段で示されるように、4辺のそれぞれの端部から幅d2(>d1)だけ遮光膜121bにより遮光されている画素121a'とを考える。
画素121aは、例えば、図11の上段で示されるような、被写体となる人物H101の全体を含む画角SQ1に対応する、図10の画像I1を復元するために用いられる。これに対して、画素121a'は、例えば、図11の上段で示されるような、被写体となる人物H101の顔の周辺がズームアップされた画角SQ2に対応する、図10の画像I2を復元するために用いられる。
これは、図10の画素121aが、図12の左部で示されるように、撮像素子121に対して入射光の入射可能角度範囲Aとなるため、被写体面131上において、水平方向に被写体幅W1分の入射光を受光することができるからである。
これに対して、図10の画素121a'は、図10の画素121aよりも遮光される範囲が広いため、図12の左部で示されるように、撮像素子121に対して入射光の入射可能角度範囲B(<A)となるため、被写体面131上において、水平方向に被写体幅W2(<W1)分の入射光を受光するからである。
つまり、遮光範囲が狭い図10の画素121aは、被写体面131上の広い範囲を撮像するのに適した広画角画素であるのに対して、遮光範囲が広い図10の画素121a'は、被写体面131上の狭い範囲を撮像するのに適した狭画角画素である。なお、ここでいう広画角画素および狭画角画素は、図10の画素121a,121a'の両者を比較する表現であって、その他の画角の画素を比較する上ではこの限りではない。
なお、図12は、撮像素子121の中心位置C1に対する、被写体面131上の位置と、それぞれの位置からの入射光の入射角度との関係を示している。また、図12においては、被写体面131上の位置と、被写体面131上のそれぞれの位置からの入射光の入射角度との水平方向に対する関係が示されているが、垂直方向についても同様の関係となる。さらに、図12の右部には、図10における画素121a,121a'が示されている。
このような構成により、図11の下段で示されるように、撮像素子121における、点線で囲まれた範囲ZAに図10の画素121aを、一点鎖線で囲まれた範囲ZBに図10の画素121a'を、それぞれ所定画素数ずつ集めて構成する場合、被写体幅W1に対応する画角SQ1の画像を復元しようとするときには、画角SQ1を撮像する図10の画素121aを用いるようにすることで、適切に被写体面131の被写体幅W1の画像を復元することができる。
同様に、被写体幅W2に対応する画角SQ2の画像を復元しようとするときには、画角SQ2を撮像する図10の画素121a'の検出信号レベルを用いるようにすることで、適切に被写体幅W2の画像を復元することができる。
なお、図11の下段においては、図中の左側に画素121a'が所定画素数だけ設けられ、右側に画素121aが所定画素数だけ設けられた構成として示されているが、これは説明を簡単にするための例として示されたものであり、画素121aと画素121a'とは、ランダムに混在して配置されることが望ましい。
このように、画角SQ2は、画角SQ1よりも画角が狭いので、画角SQ2と画角SQ1の画像を同一の所定画素数で復元する場合、画角SQ1の画像よりも、より狭い画角となる画角SQ2の画像を復元する方が、より高画質な復元画像を得ることができる。
つまり、同一画素数を用いて復元画像を得ることを考えた場合、より画角の狭い画像を復元する方が、より高画質な復元画像を得ることができる。
なお、画角の広い画像を復元画像として得る場合、広画角画素の全画素を用いるようにしてもよいし、広画角画素の一部を用いるようにしてもよい。また、画角の狭い画像を復元画像として得る場合、狭画角画素の全画素を用いるようにしてもよいし、狭画角画素の一部を用いるようにしてもよい。
以上のような撮像素子121を用いることにより、結果として、撮像レンズ、回折格子等からなる光学素子や、ピンホールなどが不要となるため(撮像レンズフリーとなるので)、装置の設計の自由度を高めることが可能になるとともに、入射光の入射方向に対する装置の小型化を実現することが可能となり、製造コストを低減することが可能となる。また、フォーカスレンズなどのような、光学像を結像させるための撮像レンズに相当するレンズも不要となる。
さらに、撮像素子121を用いることにより、検出画像を取得するのみで、その後において、被写体距離や画角に応じた係数セット群を選択的に用いて構成した連立方程式を解いて復元画像を求めることで、様々な被写体距離や画角の復元画像を生成することが可能となる。
さらに、撮像素子121は、画素単位で入射角指向性を持つことができるので、回折格子からなる光学フィルタと従来の撮像素子等と比較して、多画素化を実現することができ、また、高解像度で、かつ、高角度分解能の復元画像を得ることができる。一方、光学フィルタと従来の撮像素子とからなる撮像装置では、画素を微細化しても、光学フィルタの微細化による光回折の影響を受けるため、復元画像の高解像度化等の実現が難しい。
また、撮像素子121は、回折格子からなる光学フィルタ等を必要としないので、使用環境が高温になって光学フィルタが熱で歪むといったことがない。したがって、このような撮像素子121を用いることにより、環境耐性の高い装置を実現することが可能となる。
<第1の変形例>
図3の右部においては、撮像素子121の各画素121aにおける遮光膜121bの構成として、垂直方向に対しては全体を遮光し、かつ、水平方向に対しての遮光幅や位置を変化させることにより、水平方向の入射角指向性の違いを持たせる例を示したが、遮光膜121bの構成はこの例に限定されない。例えば、水平方向に対して全体として遮光し、垂直方向の幅(高さ)や位置を変化させるようにして、垂直方向の入射角指向性の違いを持たせるようにしてもよい。
なお、図3の右部で示される例のように、垂直方向に対しては画素121a全体を遮光し、かつ、水平方向に対して所定の幅で画素121aを遮光する遮光膜121bは、横帯タイプの遮光膜121bと称する。これに対して、水平方向に対しては画素121a全体を遮光し、かつ、垂直方向に対して所定の高さで画素121aを遮光する遮光膜121bは、縦帯タイプの遮光膜121bと称する。
また、図13の左部に示される例のように、縦帯タイプと横帯タイプの遮光膜121bを組み合わせて、画素121aをL字型の遮光膜121bを設けるようにしてもよい。図13の左部において、黒色で示される部分が遮光膜121bである。つまり、遮光膜121b−21乃至遮光膜121b−24は、それぞれ、画素121a−21乃至画素121a−24の遮光膜である。
これらの各画素(画素121a−21乃至画素121a−24)は、図13の右部に示されるような入射角指向性を有することになる。図13の右部に示されるグラフは、各画素における受光感度を示している。横軸が入射光の水平方向(x方向)の入射角度θxを表し、縦軸が入射光の垂直方向(y方向)の入射角度θyを表している。そして、範囲C4内の受光感度が、範囲C4の外よりも高く、範囲C3内の受光感度が、範囲C3の外よりも高く、範囲C2内の受光感度が、範囲C2の外よりも高く、範囲C1内の受光感度が、範囲C1の外よりも高い。
したがって、各画素について、範囲C1内となる、水平方向(x方向)の入射角度θxと、垂直方向(y方向)の入射角度θyとの条件を満たす入射光の検出信号レベルが最も高くなり、範囲C2内,範囲C3内,範囲C4内、および、範囲C4以外の範囲の条件の順に検出信号レベルが低くなることが示されている。このような受光感度の強度は、遮光膜121bにより遮光される範囲により決定される。
また、図13の左部において、各画素121a内のアルファベットは、カラーフィルタの色を示している(説明の便宜上記載したものであり、実際に表記されているものではない)。画素121a−21は緑色のカラーフィルタが配置されるG画素であり、画素121a−22は赤色のカラーフィルタが配置されるR画素であり、画素121a−23は青色のカラーフィルタが配置されるB画素であり、画素121a−24は緑色のカラーフィルタが配置されるG画素である。つまり、これらの画素は、ベイヤ配列を形成している。もちろん、これは一例であり、カラーフィルタの配列パタンは任意である。遮光膜121bの配置とカラーフィルタとは無関係である。例えば、一部または全部の画素において、カラーフィルタ以外のフィルタが設けられるようにしてもよいし、フィルタが設けられないようにしてもよい。
図13の左部においては、「L字型」の遮光膜121bが、画素121aの図中左辺と下辺の側を遮光する例が示されているが、この「L字型」の遮光膜121bの向きは任意であり、図13の例に限定されない。例えば、「L字型」の遮光膜121bが、画素121aの図中下辺と右辺の側を遮光するようにしてもよいし、画素121aの図中右辺と上辺の側を遮光するようにしてもよいし、画素121aの図中上辺と左辺の側を遮光するようにしてもよい。もちろん、この遮光膜121bの向きは、画素毎に独立に設定することができる。なお、この「L字型」の遮光膜121bを「L字タイプの遮光膜121b」とも総称する。
以上においては遮光膜について説明したが、この例の説明は、画素内に配置した複数のフォトダイオードを選択的に用いることにより入射角指向性を持たせる場合にも適用することができる。つまり、例えば、分割位置(各部分領域の大きさや形状)や、各フォトダイオードの位置、大きさ、形状等を適切に設定したり、フォトダイオードを適切に選択したりすることにより、上述のL字タイプの遮光膜121bによる入射角指向性と同等の入射角指向性を実現することができる。
<第2の変形例>
以上においては、横帯タイプ、縦帯タイプ、およびL字タイプの遮光膜について、遮光されている範囲がランダムに変化するように各画素に配置される例について説明してきたが、例えば、図14の撮像素子121'で示されるように、矩形開口を設けた場合に、個々の画素において光線が受光する位置の近傍の範囲以外を遮光する遮光膜121b(図中、黒色で示された範囲)を構成するようにしてもよい。
すなわち、各画素について、矩形開口を設けた場合に、所定の被写体距離の被写体面を構成する点光源より出射される光線のうち、矩形開口を透過して受光される光線のみを受光するような入射角指向性を有するように遮光膜121bを設けるようにしてもよい。
なお、図14においては、例えば、水平方向の画素配列に対して、遮光膜121bの水平方向の幅が幅dx1,dx2,・・・dxnと変化しており、これが、dx1<dx2<・・・<dxnの関係となる。同様に、垂直方向の画素配列に対して、遮光膜121bの垂直方向の高さが高さdy1,dy2,・・・dymと変化しており、これが、dy1<dy2<・・・<dxmの関係となる。また、遮光膜121bの水平方向の幅、および垂直方向の幅の、それぞれの変化の間隔は、復元する被写体分解能(角度分解能)に依るものである。
換言すれば、図14の撮像素子121'における各画素121aの構成は、水平方向および垂直方向に対して撮像素子121'内の画素配置に対応するように、遮光する範囲を変化させるような入射角指向性を持たせているといえる。
より詳細には、図14の各画素121aの遮光範囲は、例えば、図15の左部で示される画素121aを用いて説明される規則に従って決定される。
なお、図15の右部は、図14と同一の撮像素子121'の構成を示している。また、図15の左部は、図15(図14と同一)の右部における撮像素子121'の画素121aの構成を示している。
図15の左部で示されるように、画素121aの上辺および下辺の端部から画素121a内に向かって、それぞれ幅dx1だけ遮光膜121bにより遮光し、左辺および右辺の端部から画素121a内に向かって、それぞれ高さdy1だけ遮光膜121bにより遮光する。なお、図15,図16において、遮光膜121bは黒色で示された範囲である。
図15の左部において、遮光膜121bが、このように形成されることで遮光される範囲を、以降において、画素121aの主遮光部Z101(図15左部の黒色部)と称し、それ以外の方形状の範囲を範囲Z102と称する。
画素121aにおける、範囲Z102内に、遮光膜121bにより遮光されない矩形開口部Z111が設けられるものとする。したがって、範囲Z102において、矩形開口部Z111以外の範囲は、遮光膜121bにより遮光される。
図14の撮像素子121'内の画素配列は、図15の右部(図14と同一)で示されるように、左端部で、かつ、上端部の画素121a−1は、矩形開口部Z111を、その左辺が画素121aの左辺から幅dx1であって、その上辺が画素121aの上辺からdy1の距離に配置する構成とする。
同様に、画素121a−1の右隣の画素121a−2は、矩形開口部Z111を、その左辺が画素121aの左辺から幅dx2であって、その上辺が画素121aの上辺から高さdy1の距離に配置して、矩形開口部Z111以外の範囲を遮光膜121bにより遮光する構成とする。
以下同様に、水平方向に隣接する画素121aは、配置が図中の右側に進むに従って、矩形開口部Z111の右辺が、画素121aの右辺から幅dx1,dx2・・・dxnと移動する。なお、図15の範囲Z102における右上部の点線の方形部分が、矩形開口部Z111を、その左辺が画素121aの左辺から幅dxnであって、その上辺が画素121aの上辺から高さdy1の距離に配置したときの状態を示している。また、幅dx1,dx2・・・dxnのそれぞれの間隔は、範囲Z102の水平方向の幅から矩形開口部Z111の幅を引いた幅を水平方向の画素数nで割った値となる。すなわち、水平方向の画素数nで割ることにより水平方向の変化の間隔が決定される。
また、撮像素子121'における画素121a内の矩形開口部Z111の水平方向の位置は、撮像素子121'内における水平方向の位置が同一の画素121a(同一の列の画素121a)内において同一になる。
さらに、画素121a−1の直下に隣接する画素121a−3は、矩形開口部Z111を、その左辺が画素121aの左辺から幅dx1であって、その上辺が画素121aの上辺から高さdy2の距離に配置して、矩形開口部Z111以外の範囲を遮光膜121bにより遮光する構成とする。
以下同様に、垂直方向に隣接する画素121aは、配置が図中の下側に進むに従って、矩形開口部Z111の上辺が、画素121aの上辺から高さdy1,dy2・・・dynと移動する。なお、図15の範囲Z102における左下部の点線の方形部分が、矩形開口部Z111を、その左辺が画素121aの左辺から幅dx1であって、その上辺が画素121aの上辺から高さdymの距離に配置したときの状態を示している。また、高さdy1,dy2・・・dymのそれぞれの間隔は、範囲Z102の垂直方向の高さから矩形開口部Z111の高さを引いた高さを垂直方向の画素数mで割った値となる。すなわち、垂直方向の画素数mで割ることにより垂直方向の変化の間隔が決定される。
また、撮像素子121'における画素121a内の矩形開口部Z111の垂直方向の位置は、撮像素子121'内における垂直方向の位置が同一の画素121a(同一の行の画素121a)内において同一になる。
さらに、図15(図14)で示される撮像素子121'を構成する各画素121aの主遮光部Z101、および矩形開口部Z111を変化させることで、画角を変化させることができる。
図16の右部は、図15(図14)の撮像素子121'に対して画角を広くする場合の撮像素子121'の構成を示している。また、図16の左部は、図16の右部における撮像素子121'の画素121aの構成を示している。
すなわち、図16の左部で示されるように、例えば、画素121a内に、図15における主遮光部Z101よりも遮光範囲が狭い主遮光部Z151(図16左部の黒色部)を設定し、それ以外の範囲を範囲Z152に設定する。さらに、範囲Z152内に、矩形開口部Z111よりも開口面積が広い矩形開口部Z161を設定する。
より詳細には、図16の左部で示されるように、画素121aの上辺および下辺の端部から画素121a内に向かって、それぞれ幅dx1'(<dx1)だけ遮光膜121bにより遮光され、左辺および右辺の端部から画素121a内に向かって、それぞれ高さdy1'(<dy1)だけ遮光膜121bにより遮光されることで、矩形開口部Z161が形成される。
ここで、図16の右部で示されるように、左端部で、かつ、上端部の画素121a−1は、矩形開口部Z161を、その左辺が画素121aの左辺から幅dx1'であって、その上辺が画素121aの上辺から高さdy1'の距離に配置して、矩形開口部Z161以外の範囲を遮光膜121bにより遮光する構成とする。
同様に、画素121a−1の右隣の画素121a−2は、矩形開口部Z161を、その左辺が画素121aの左辺から幅dx2'であって、その上辺が画素121aの上辺から高さdy1'に配置して、矩形開口部Z161以外の範囲を遮光膜121bにより遮光する構成とする。
以下同様に、水平方向に隣接する画素121aは、配置が図中の右側に進むに従って、矩形開口部Z161の右辺が、画素121aの右辺から幅dx1'、dx2'・・・dxn'と移動する。ここで、幅dx1'、dx2'・・・dxn'のそれぞれの間隔は、範囲Z152の水平方向の幅から矩形開口部Z161の水平方向の幅を引いた幅を、水平方向の画素数nで割った値となる。すなわち、水平方向の画素数nで割ることにより垂直方向の変化の間隔が決定される。したがって、幅dx1'、dx2'・・・dxn'の変化の間隔は、幅dx1、dx2・・・dxnの変化の間隔より大きくなる。
また、図16の撮像素子121'における画素121a内の矩形開口部Z161の水平方向の位置は、撮像素子121'内における水平方向の位置が同一の画素121a(同一の列の画素121a)内において同一になる。
さらに、画素121a−1の直下に隣接する画素121a−3は、矩形開口部Z161を、その左辺が画素121aの左辺から幅dx1'であって、その上辺が画素121aの上辺から高さdy2'に配置して、矩形開口部Z161以外の範囲を遮光膜121bにより遮光する構成とする。
以下同様に、垂直方向に隣接する画素121aは、配置が図中の下側に進むに従って、矩形開口部Z161の上辺が、画素121aの上辺から高さdy1'、dy2'・・・dym'と変化する。ここで、高さdy1'、dy2'・・・dym'の変化の間隔は、範囲Z152の垂直方向の高さから矩形開口部Z161の高さを引いた高さを垂直方向の画素数mで割った値となる。すなわち、垂直方向の画素数mで割ることにより垂直方向の変化の間隔が決定される。したがって、高さdy1'、dy2'・・・dym'の変化の間隔は、幅高さdy1、dy2・・・dymの変化の間隔より大きくなる。
また、図16の撮像素子121'における画素121a内の矩形開口部Z161の垂直方向の位置は、撮像素子121'内における垂直方向の位置が同一の画素121a(同一の行の画素121a)内において同一になる。
このように、主遮光部の遮光範囲と開口部の開口範囲との組み合わせを変化させることで、様々な画角の(様々な入射角指向性を持った)画素121aからなる撮像素子121'を実現することが可能となる。
さらに、同一の画角の画素121aのみならず、様々な画角の画素121aを組み合わせて撮像素子121を実現させるようにしてもよい。
例えば、図17で示されるように、点線で示される2画素×2画素からなる4画素を1個の単位Uとして、それぞれの単位Uが、広画角の画素121a−W、中画角の画素121a−M、狭画角の画素121a−N、極狭画角の画素121a−ANの4画素から構成されるようにする。
この場合、例えば、全画素121aの画素数がXである場合、4種類の画角ごとにX/4画素ずつの検出画像を用いて復元画像を復元することが可能となる。この際、画角毎に異なる4種類の係数セットが使用されて、4種類の異なる連立方程式により、それぞれ異なる画角の復元画像が復元される。
このため、復元する画角の復元画像を、復元する画角の撮像に適した画素から得られる検出画像を用いて復元することで、4種類の画角に応じた適切な復元画像を復元することが可能となる。
また、4種類の画角の中間の画角や、その前後の画角の画像を、4種類の画角の画像から補間生成するようにしてもよく、様々な画角の画像をシームレスに生成することで、疑似的な光学ズームを実現するようにしてもよい。
以上においては遮光膜について説明したが、この例の説明は、画素内に配置した複数のフォトダイオードを選択的に用いることにより入射角指向性を持たせる場合にも適用することができる。つまり、例えば、分割位置(各部分領域の大きさや形状)や、各フォトダイオードの位置、大きさ、形状等を適切に設定したり、フォトダイオードを適切に選択したりすることにより、上述した矩形開口を有する遮光膜121bによる入射角指向性と同等の入射角指向性を実現することができる。勿論、この場合も、様々な画角の画素121aを組み合わせて撮像素子121を実現させることもできる。また、中間の画角や、その前後の画角の画像を、複数種類の画角の画像から補間生成するようにしてもよく、様々な画角の画像をシームレスに生成することで、疑似的な光学ズームを実現するようにしてもよい。
<第3の変形例>
ところで、撮像素子121における画素121aの遮光膜121bの遮光している範囲にランダム性を持たせている場合、遮光膜121bの遮光している範囲の違いの乱雑さが大きいほど、復元部124等による処理の負荷は大きなものとなる。そこで、画素121aの遮光膜121bの遮光している範囲の違いの一部を規則的なものとして、この違いの乱雑さを低減させることで、処理負荷を低減させるようにしてもよい。
例えば、縦帯タイプと横帯タイプとを組み合わせたL字タイプの遮光膜121bを構成するようにして、所定の列方向に対しては、同一幅の横帯タイプの遮光膜121bを組み合わせ、所定の行方向に対しては、同一の高さの縦帯タイプの遮光膜121bを組み合わせるようにする。このようにすることにより、各画素121aの遮光膜121bの遮光範囲が、列方向および行方向で規則性を持たせつつ、画素単位ではランダムに異なる値に設定されるようになる。その結果、各画素121aの遮光膜121bの遮光範囲の違い、すなわち、各画素の入射角指向性の違いの乱雑さを低減させ、復元部124等の撮像素子121の外部の処理負荷を低減させることができる。
例えば、図18の撮像素子121''の場合、範囲Z130で示される同一列の画素については、いずれも同一の幅X0の横帯タイプの遮光膜121bが用いられ、範囲Z150で示される同一行の画素については、同一の高さY0の縦帯タイプの遮光膜121bが用いられ、各行列で特定される画素121aについては、これらが組み合わされたL字タイプの遮光膜121bが設定されている。
同様に、範囲Z130に隣接する範囲Z131で示される同一列の画素については、いずれも同一の幅X1の横帯タイプの遮光膜121bが用いられ、範囲Z150に隣接する範囲Z151で示される同一行の画素については、同一の高さY1の縦帯タイプの遮光膜121bが用いられ、各行列で特定される画素121aについては、これらが組み合わされたL字タイプの遮光膜121bが設定されている。
さらに、範囲Z131に隣接する範囲Z132で示される同一列の画素については、いずれも同一の幅X2の横帯タイプの遮光膜が用いられ、範囲Z151に隣接する範囲Z152で示される同一行の画素については、同一の高さY2の縦帯タイプの遮光膜が用いられ、各行列で特定される画素121aについては、これらが組み合わされたL字タイプの遮光膜121bが設定されている。
このようにすることで、遮光膜121bの水平方向の幅および位置、並びに、垂直方向の高さおよび位置に規則性を持たせつつ、画素単位で遮光膜の範囲を異なる値に設定することができるので、入射角指向性の違いの乱雑さを抑え込むことができる。結果として、係数セットのパタンを低減させることが可能となり、後段(例えば、復元部124等)における演算処理の処理負荷を低減させることが可能となる。
<第4の変形例>
画素単位の遮光膜121bの形状のバリエーションは、任意であり、上述した各例に限定されない。例えば、遮光膜121bを三角形に設定し、その範囲を異なるものとすることで異なる入射角指向性を持たせる(設定する)ようにしてもよいし、遮光膜121bを円形に設定し、その範囲を異なるものとすることで異なる入射角指向性を持たせるようにしてもよい。また、例えば、斜め方向の線状の遮光膜などでも良い。
また、所定数の複数の画素からなるパターンユニットを構成する複数の画素単位で遮光膜121bのバリエーション(パターン)を設定するようにしてもよい。この1パターンユニットはどのような画素により構成されるようにしてもよい。例えば、撮像素子121がカラーフィルタを備えるものとし、そのカラーフィルタの色配列の単位を構成する画素により構成されるようにしてもよい。また、露光時間の異なる画素を組み合わせた画素グループをパターンユニットとするようにしてもよい。なお、パターンユニットを構成する各画素における遮光膜121bが遮光する範囲のパタンのランダム性が高い方が、すなわち、パターンユニットを構成する画素がそれぞれに異なる入射角指向性を備えている方が望ましい。
また、パターンユニット間で遮光膜121bの配置パタンを設定するようにしてもよい。例えば、パターンユニット毎に、遮光膜の幅や位置を変えるようにしてもよい。さらに、異なるカテゴリで分類される複数の画素からなるパターンユニット内やパターンユニット間で遮光膜121bが遮光する範囲のパタンを設定するようにしてもよい。
以上においては遮光膜について説明したが、この例の説明は、画素内に配置した複数のフォトダイオードを選択的に用いることにより入射角指向性を持たせる場合にも適用することができる。つまり、例えば、分割位置(各部分領域の大きさや形状)や、各フォトダイオードの位置、大きさ、形状等を適切に設定したり、フォトダイオードを適切に選択したりすることにより、上述した画素121aの遮光膜121bの遮光している範囲の変化の一部を規則的なものとした場合の入射角指向性と同等の入射角指向性を実現することができる。このようにすることにより、各画素の入射角指向性における乱雑さを低減させ、復元部124等の撮像素子121の外部の処理負荷を低減させることができる。
以上においては遮光膜について説明したが、この例の説明は、画素内に配置した複数のフォトダイオードを選択的に用いることにより入射角指向性を持たせる場合にも適用することができる。つまり、分割位置(各部分領域の大きさや形状)や、各フォトダイオードの位置、大きさ、形状等を適切に設定したり、フォトダイオードを適切に選択したりすることにより、例えば、三角形、円形、斜め方向の線状等の、任意の形状の遮光膜による入射角指向性と同等の入射角指向性を実現することができる。
また、例えば、分割位置(各部分領域の大きさや形状)の設定、各フォトダイオードの位置、大きさ、形状等の設定、およびフォトダイオードの選択等を、上述した遮光膜121bの場合と同様に、パターンユニット毎に設定するようにしてもよい。
<フォトダイオードの制御>
図5を参照して上述したような画素内に配置した複数のフォトダイオードを選択的に用いる場合、複数のフォトダイオード121fのそれぞれの画素出力単位の出力画素値への寄与の有無や程度を切り替えることにより画素出力単位の出力画素値の入射角指向性を様々に変化させることができるようにしてもよい。
例えば、図19に示されるように、画素121aに、フォトダイオード121f−111乃至121f−119の9個(縦3個×横3個)のフォトダイオード121fが配置されているとする。この場合、この画素121aを、フォトダイオード121f−111乃至121f−119を有する画素121a−bとして用いるようにしてもよいし、フォトダイオード121f−111、121f−112、121f−114、および121f−115を有する画素121a−sとして用いるようにしてもよい。
例えば、画素121aを画素121a−bとする場合、フォトダイオード121f−111乃至121f−119の当該画素121aの出力画素値への寄与の有無や度合いを制御することによって出力画素値の入射角指向性が制御される。これに対して、画素121aを画素121a−sとする場合、フォトダイオード121f−111、121f−112、121f−114、および121f−115の当該画素121aの出力画素値への寄与の有無や度合を制御することによって出力画素値の入射角指向性が制御される。この場合、その他のフォトダイオード121f(フォトダイオード121f−113、121f−116、121f−117乃至121f−119)は、出力画素値に寄与しないように制御される。
つまり、例えば複数の画素121a−b間で出力画素値の入射角指向性が互いに異なる場合、フォトダイオード121f−111乃至121f−119の内の少なくともいずれか1つの出力画素値への寄与の有無や度合いが異なる。これに対して、例えば複数の画素121a−s間で出力画素値の入射角指向性が互いに異なる場合、フォトダイオード121f−111、121f−112、121f−114、および121f−115の内の少なくともいずれか1つの出力画素値への寄与の有無や度合いが異なり、その他のフォトダイオード121f−113、121f−116、121f−117乃至121f−119は、これらの画素間で共通して、出力画素値に寄与しない。
なお、画素121aを画素121a−bとするか画素121a−sとするかは、画素毎に設定することができる。また、この設定をパターンユニット(複数画素)毎に行うことができるようにしてもよい。
また、上述したように撮像素子121の各画素(各画素出力単位)にはオンチップレンズが1つ形成される。つまり、画素121aが図19に示される例のような構成の場合、図20に示されるように、そのフォトダイオード121f−111乃至121f−119に対して1つのオンチップレンズ121cが設けられる。したがって、図19を参照して説明したように画素121aを画素121a−bとする場合も、画素121a−sとする場合も、1画素(1画素出力単位)と1つのオンチップレンズ121cとが1対1に対応する。
<入射角指向性のずれ>
図8を参照して説明したように、遮光膜を用いて画素の入射角指向性を設定する場合、遮光膜の位置(設定範囲)によって、重み(Wx,Wy)が半値(0.5)となる角度(θx,θy)が決まる。
例えば、図21のAに示されるように、画素に入射する入射光301は、オンチップレンズ121cにより集光され、遮光膜121bに照射される部分はその遮光膜121bにより遮光され、それ以外の部分はフォトダイオード121eにより受光される。
この入射光301の入射角度(θxまたはθy)が変化すると、遮光膜121b付近における、集光された入射光301(スポット光)の位置(フォトダイオード121eと平行な平面方向の位置)が変化する。つまり、フォトダイオード121eに受光される光量が変化するので、図8の重み(WxまたはWy)がグラフのように変化する。
例えば、設計値では、図21のAのように、遮光膜121bがフォトダイオード121eの半分を覆っているものとする。この場合、入射光301の入射角度(θxまたはθy)が垂直のときに、フォトダイオード121eが受光する光量がオンチップレンズ121cに入射した時の2分の1となる。つまり、重み(WxまたはWy)が半値(0.5)となる。
例えば製造時において、図21のBの矢印311のように遮光膜121bの位置がずれると、この重み(WxまたはWy)が半値(0.5)となる入射角度(θxまたはθy)が垂直から変化し、図21のBの例のように図中斜め方向となる。つまり、図8に示される重み(Wx,Wy)のグラフが、角度(θx,θy)方向にシフトする。
また、オンチップレンズ121cの高さ(フォトダイオード121eからの距離)によって、図8に示される重み(Wx,Wy)のグラフの傾きが決まる。
例えば、図22のAに示されるように、オンチップレンズ121cとフォトダイオード121e(遮光膜121b)との距離が遠くなる程、遮光膜121b上のスポット光の半径sがより小さくなる。逆に、例えば、図22のBに示されるように、オンチップレンズ121cとフォトダイオード121e(遮光膜121b)との距離が近づく程(両矢印321)、遮光膜121b上のスポット光の半径sが大きくなる。
図23において、画素330の白地の領域は遮光膜121bにより遮光されていない開口部331であり、グレー地の領域は遮光膜121bにより遮光されている遮光部332であるとする。例えば、図23のAのスポット光341(または図23のBのスポット光342)が図中両矢印の方向に移動すると、入射光301の全部がフォトダイオード121eに届くようになったり、一部が届くようになったり、全く届かなくなったりする。
その際、スポット光341は、その半径sがスポット光342に比べて小さいので、スポット光342の場合に比べて僅かの移動量により、スポット光341の全体が開口部331から遮光部332まで移動する。つまり、同一の移動量に対するフォトダイオード121eに届く光量の変化が大きい。つまり、入射光301の入射角度(θxまたはθy)の変化に対するフォトダイオード121eの感度の変化が大きい。つまり、図8に示される重み(Wx,Wy)のグラフの傾きが大きい。
これに対して、スポット光342は、スポット光341に比べてスポット径が大きいので、スポット光342の全体が開口部331から遮光部332に移るまでの移動量が、スポット光341の場合よりも大きい。
つまり、図8に示される重み(Wx,Wy)のグラフの傾きがオンチップレンズ121cの高さに依存する。
したがって、例えば、設計値では図22のAのような高さであったオンチップレンズ121cが、製造時において、図22のBの高さにずれると、その高さの変化(両矢印321)の分、重み(Wx,Wy)のグラフの傾きが変化する(緩やかになる)。
以上のように、遮光膜121bの位置やオンチップレンズ121cの高さが設計値から変化することにより入射角指向性が変化すると、同一の光量および入射角度の入射光に対して、その画素で検出される検出信号の値が変化する。すなわち、検出信号(検出画像)に誤差(個体差)が生じる。
復元画像は、検出信号に対して復元行列を用いて所定の演算が行うことにより復元される。この復元行列は、例えば撮像素子121の設計値等の既知の情報に基づいて設定され、撮像素子121の特性(設計値)に適した係数を有する。つまり、実際の撮像素子121の特性がその設計値通りであるならば、その撮像素子121において得られる検出信号の特性と復元行列の特性とが一致し、正確な復元画像を復元することができる。
しかしながら、製造時等において上述のように入射角指向性が変化することにより検出信号に誤差が生じると、復元行列が対応する撮像素子121の特性(例えば設計値)と、検出信号が対応する撮像素子121の特性(実際の値)とが一致せず、生成される復元画像が不正確なものとなるおそれがあった。
そこでこの入射角指向性の較正を行うことが考えられる。より具体的には、復元行列の特性を、撮像素子121の実際の特性に合わせる(または、より近似させる)ように較正することが考えられる。なお、撮像素子121の実際の特性(すなわち検出信号(検出画像))を、復元行列の特性に合わせる(または、より近似させる)ように較正してもよい。
検出信号を生成する画素の遮光は、図8の例のようにX方向とY方向の両方向に行われるので、図8に示される重み(Wx,Wy)のグラフもX方向とY方向の両方向に形成される。なお、このX方向およびY方向は、受光面と平行な面の互いに直角な2方向を示す。つまり、検出信号を生成する画素出力単位である画像復元用画素出力単位は、少なくともその1部の画素出力単位が、受光面に沿った互いに直角なX方向とY方向の両方向(例えば画素出力単位の行列の行方向および列方向の双方)に入射角指向性を有する。換言するに、画像復元用画素出力単位は、受光面に沿って複数方向(平面方向または多方向とも称する)に入射角指向性を有する。したがって、このような画像復元用画素出力単位(平面方向指向性画素出力単位、複数方向指向性画素出力単位、または多方向指向性画素出力単位とも称する)の入射角指向性の較正は、このようなX方向とY方向のそれぞれについて行う必要がある。
ただし、このような画像復元用画素出力単位の検出信号は、画素の重み、すなわち、X方向の重みとY方向の重みとの乗算結果に対応するものとなる。そのため、そのような検出信号からでは、X方向の重みとY方向の重みとをそれぞれ求めることが困難であり、入射角指向性の較正を行うことが困難であった。
<較正用画素の利用>
そこで、撮像素子121において、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、その複数の画素出力単位は、行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、その行列の行方向及び列方向の双方に入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位(複数方向指向性画素出力単位)と、その行列の行方向にのみまたはその行列の列方向にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位(単一方向指向性画素出力単位)とを含むようにする。
このように撮像素子121を用いることにより、復元行列の較正を、より容易に行うことができる。つまり、復元行列の特性を、撮像素子121の各画素の実際の入射角指向性に合わせる(または、より近似させる)ように較正することができる。したがって、より正確な復元画像を生成することができる。
<受光部>
<構成>
図24は、その場合の、撮像素子121の受光部111の主な構成例を示す図である。図24において、受光部111の白地の有効画素領域401は、検出信号が生成される有効画素(画像復元用画素出力単位)が配置される領域である。画素121aは、受光部111に形成される画素行列の内の有効画素領域401内に形成される画素(画像復元用画素出力単位)である。なお、図24においては、1つの画素121aについてのみ符号を付し、その他については省略しているが、有効画素領域401内の画素は全て画素121aである。
この画素121aは、有効画素領域401内に行列状に配置される。また、画素121aは、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光を受光する。さらに、画素121aは、入射角指向性を有し、入射光の入射角によって変調された出力画素値を示す検出信号を1つ出力する。また、画素121aは、被写体からの入射光に対する入射角指向性を画素出力単位毎に独立に設定可能な構成を有する。図24の例の場合、画素121aは、その入射角指向性を画素出力単位毎に独立に設定可能な構成として、遮光膜を有する。
遮光膜121bは、その画素121aに形成される遮光膜を示す。図24に示されるように、遮光膜121bは、受光面に沿った互いに直角なX方向(画素行列の行方向(すなわち、図中横方向))とY方向(画素行列の列方向(すなわち、図中縦方向))との両方に一部を遮光するL字型である。つまり、画素121a(画像復元用画素出力単位)は、このX方向とY方向の両方向(画素行列の行方向および列方向)に入射角指向性を有する(平面方向指向性画素出力単位である)。
また、受光部111のグレー地の較正用画素領域402は、較正のために用いられる較正用画素が配置される領域である。
較正用画素411−1は、受光部111に形成される画素行列の内の較正用画素領域402内に形成される画素であり、画素121a群のY方向(画素行列の列方向(すなわち、図中上側と下側))に形成される画素である。なお、図24においては、1つの較正用画素411−1についてのみ符号を付し、その他については省略しているが、較正用画素領域402の、画素121a群のY方向に形成される画素は全て較正用画素411−1である。
較正用画素411−2は、受光部111に形成される画素行列の内の較正用画素領域402内に形成される画素であり、画素121a群のX方向(画素行列の行方向(すなわち、図中右側と左側))に形成される画素である。なお、図24においては、1つの較正用画素411−2についてのみ符号を付し、その他については省略しているが、較正用画素領域402の、画素121a群のX方向に形成される画素は全て較正用画素411−2である。
較正用画素411−1および較正用画素411−2を互いに区別して説明する必要がない場合、較正用画素411と称する。
較正用画素411−1は、横帯タイプの遮光膜412−1を有する。すなわち、較正用画素411−1は、X方向(画素行列の行方向)にのみ入射角指向性を有する(一方向指向性画素出力単位である)。また、較正用画素411−2は、縦帯タイプの遮光膜412−2を有する。すなわち、較正用画素411−2は、Y方向(画素行列の列方向)にのみ入射角指向性を有する(一方向指向性画素出力単位である)。つまり、較正用画素411は、画素行列の行方向にのみ、または、列方向にのみ、入射角指向性を有する。
遮光膜412−1および遮光膜412−2を互いに区別して説明する必要がない場合、遮光膜412と称する。
以上のように、受光部111には、受光面に平行な複数方向に入射角指向性を有する画素121a(画像復元用画素出力単位)と、受光面に平行な単一方向にのみ入射角指向性を有する較正用画素411(一方向指向性画素出力単位)とが設けられている。このような較正用画素411を用いて較正を行うようにすることにより、画素121aのX方向の入射角指向性とY方向の入射角指向性とをそれぞれ独立に求めることができる。したがって、撮像素子121の各画素121aの入射角指向性の較正をより容易に行うことができる。
図1の例において、復元行列生成部102は、このように較正用画素411(一方向指向性画素出力単位)を用いて導出される画素121aのX方向の入射角指向性とY方向の入射角指向性とを用いて(これらの情報を含む較正情報を用いて)、画素121a(画像復元用画素出力単位)の実際の特性に合わせるように(より近似させるように)、復元行列の生成(較正)を行う。したがって、復元行列生成部102は、画素121aの実際の特性に合った(より近似させた)復元行列を生成することができる。復元行列記憶部103は、その生成された復元行列を記憶する。
また、復元部104は、その復元行列を復元行列記憶部103から読み出して用い、復元画像を生成する。したがって、復元部104は、より正確な復元画像を生成することができる。
また、関連付け部105は、その復元行列を復元行列記憶部103から読み出して検出画像に関連付ける。これにより、後段の処理部や他の装置に、その復元行列を用いて復元画像を生成させることができる。したがって、その後段の処理部や他の装置は、より正確な復元画像を生成することができる。
なお、このような較正用画素411の位置(または較正用画素領域402の位置)は任意である。例えば、有効画素領域401内に較正用画素411を形成することも可能である。しかしながら、較正用画素411は、一方向にしか入射角指向性を有していないため、検出画像を構成する検出信号の生成を行う画素として利用することは困難である。したがって、そのような較正用画素411を有効画素領域401内に形成すると、その較正用画素411で生成される検出信号を除去して検出画像を生成するか、復元画像を復元するための演算にその検出信号を利用しないようにしなければならず、検出画像や復元画像を矩形とするために工夫が必要になる。
また、被写体の撮像に使用されない較正用画素411を、画素行列の周縁部よりも入射光の光量が大きくなりやすい画素行列の中央側に設けるのは、非効率である。
上述のように較正用画素411(一方向指向性画素出力単位)を、画像復元用画素出力単位が形成される有効画素領域401以外の領域に形成することにより、より容易に矩形の検出画像や復元画像を得ることができる。また、有効画素領域401をより効率よく利用することができる。すなわち、撮像素子121の設計や開発をより容易化することができる。
また、図24に示される例のように、その較正用画素411を形成する較正用画素領域402を、有効画素領域401の外側にある外部領域とすることにより、画素行列の周縁部よりも入射光の光量が大きくなりやすい画素行列の中央側を有効画素領域とすることができ、有効画素領域401の入射光の光量の低減を抑制することができる。
もちろん、有効画素領域401および較正用画素領域402の位置、大きさ、形状等は、任意であり、上述の例に限定されない。例えば、較正用画素領域402を有効画素領域401の内側に設ける(有効画素領域401を、較正用画素領域402の外側にある外部領域とする)ようにしてもよいし、有効画素領域401および較正用画素領域402を画素行列のX方向またはY方向に並べるようにしてもよい。
また、図24に示される例のように、較正用画素411−2が、画素121a群のX方向(有効画素領域401の図中右側若しくは左側、またはその両方)に形成されるようにしてもよい。すなわち、有効画素領域401のX方向の外側にある外部領域(画素行列の行方向の外側にある外部領域)に、Y方向(画素行列の列方向)にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位(つまり較正用画素411−2)が形成されるようにしてもよい。
また、図24に示される例のように、較正用画素411−1が、画素121a群のY方向(有効画素領域401の図中上側若しくは下側、またはその両方)に形成されるようにしてもよい。すなわち、有効画素領域401のY方向の外側にある外部領域(画素行列の列方向の外側にある外部領域)に、X方向(画素行列の行方向)にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位(つまり較正用画素411−1)が形成されるようにしてもよい。
<入射角指向性>
有効画素領域に形成される複数の画素121a(画像復元用画素出力単位)の少なくとも1つが、画素行列の行方向および列方向のそれぞれについて、外部領域に形成される複数の較正用画素411(一方向指向性画素出力単位)の少なくとも1つと同一の入射角指向性を有するようにしてもよい。例えば、X方向(画素行列の行方向)の入射角指向性について、画素121aの少なくとも1つと同一の入射角指向性を有する較正用画素411−1が少なくとも1つ存在するようにしてもよい。つまり、遮光膜121bのX方向の幅が画素121aの少なくとも1つと同一の、較正用画素411−1が少なくとも1つ存在するようにしてもよい。また、例えば、Y方向(画素行列の列方向)の入射角指向性について、画素121aの少なくとも1つと同一の入射角指向性を有する較正用画素411−2が少なくとも1つ存在するようにしてもよい。つまり、遮光膜121bのY方向の幅が画素121aの少なくとも1つと同一の、較正用画素411−2が少なくとも1つ存在するようにしてもよい。
このようにすることにより、較正用画素411において求めた実際の入射角指向性を、容易に画素121a(画像復元用画素出力単位)の入射角指向性に適用することができる。つまり、平面方向指向性画素出力単位である画素121aの実際の入射角指向性をより容易に求めることができる。したがって、より正確な(実際の撮像素子121の特性により対応した)復元行列をより容易に生成することができる。つまり、より正確な復元行列を用いて復元画像を生成することができる。したがって、より正確な復元画像を生成することができる。
例えば、図24に示される例のように、画素行列の同一の行の画素は、Y方向の入射角指向性が互いに同一であるようにしてもよい。図24の例の場合、画素行列の、互いに同一の行に属する画素121aおよび較正用画素411−2は、Y方向について互いに同一の入射角指向性(例えば、dy11,dy12,dy13)を有する。
つまり、画素行列の各行の少なくとも1つの画素121a(画像復元用画素出力単位)は、外部領域の、その行と同一の行に設けられた少なくとも1つの較正用画素411−2(一方向指向性画素出力単位)と同一の、画素行列の列方向の入射角指向性を有するようにしてもよい。このようにすることにより、較正用画素411−2において求めた実際のY方向の入射角指向性を、容易にその較正用画素411−2と同一の行の画素121aのY方向の入射角指向性に適用することができる。つまり、画素121aの実際のY方向の入射角指向性をより容易に求めることができる。
例えば、図24に示される例のように、画素行列の同一の列の画素は、X方向の入射角指向性が互いに同一であるようにしてもよい。図24の例の場合、画素行列の、互いに同一の列に属する画素121aおよび較正用画素411−1は、X方向について互いに同一の入射角指向性(例えば、dx11,dx21,dx31)を有する。
つまり、画素行列の各列の少なくとも1つの画素121a(画像復元用画素出力単位)は、外部領域の、その列と同一の列に設けられた少なくとも1つの較正用画素411−1(一方向指向性画素出力単位)と同一の、画素行列の行方向の入射角指向性を有するようにしてもよい。このようにすることにより、較正用画素411−1において求めた実際のX方向の入射角指向性を、容易にその較正用画素411−1と同一の列の画素121aのX方向の入射角指向性に適用することができる。つまり、画素121aの実際のX方向の入射角指向性をより容易に求めることができる。
付言するに、図24に示される例の場合、複数の画素出力単位の行列における互いに同一の行の画像復元用画素出力単位および一方向指向性画素出力単位がその列方向の入射角指向性が互いに同一であり、かつ、その行列における互いに同一の列の画像復元用画素出力単位および一方向指向性画素出力単位がその行方向の入射角指向性が互いに同一である。したがって、この場合、画素121aのX方向の入射角指向性は、同一の列の較正用画素411−1において求めた実際のX方向の入射角指向性を適用し、画素121aのY方向の入射角指向性は、同一の列の較正用画素411−2において求めた実際のX方向の入射角指向性を適用することができる。つまり、画素121aの実際の各方向の入射角指向性を容易に求めることができる。
例えば、図24に示される例のように、画素121a群が有するX方向の入射角指向性の全パタン、並びに、Y方向の入射角指向性の全パタンを、較正用画素411群が有するようにしてもよい。つまり、有効画素領域401に形成される全ての画素121a(画像復元用画素出力単位)が、画素行列の行方向および列方向のそれぞれについて、較正用画素領域402に形成される複数の較正用画素411(一方向指向性画素出力単位)の少なくとも1つと同一の入射角指向性を有するようにしてもよい。このようにすることにより、全画素121aが有する実際のX方向およびY方向の入射角指向性を、いずれかの較正用画素411により求めることができる。つまり、画素121aの実際の各方向の入射角指向性を容易に求めることができる。
もちろん、較正用画素411群により求めることができる入射角指向性が、全画素121aが有する各方向の入射角指向性の一部のみであってもよい。つまり、有効画素領域401に形成される複数の画素121a(画像復元用画素出力単位)の内の一部の画素121a(画像復元用画素出力単位)は、画素行列の行方向および列方向のそれぞれについて、較正用画素領域402に形成される複数の較正用画素411(一方向指向性画素出力単位)の少なくとも1つと同一の入射角指向性を有するようにしてもよい。
その場合、較正用画素411群により直接求めることができない入射角指向性は、較正用画素411群が有する入射角指向性を用いて補間することにより求めるようにしてもよい。つまり、有効画素領域401に形成される、上述した一部の画素121a(画像復元用画素出力単位)以外の他の画素121a(画像復元用画素出力単位)の、画素行列の行方向および列方向のそれぞれの入射角指向性は、較正用画素領域402に形成される較正用画素411(一方向指向性画素出力単位)の入射角指向性に基づいて推定し得るようにしてもよい。このようにすることにより、較正用画素411群が有していない入射角指向性パタンも求めることができる。
もちろん、較正用画素411や画素121aの配置パタンは、図24の例に限定されない。例えば、較正用画素411−1(一方向指向性画素出力単位)のX方向の入射角指向性が、同列の画素121a(画像復元用画素出力単位)のX方向の入射角指向性と異なる(遮光膜412−1のX方向の幅が同列の遮光膜121bのX方向の幅と異なる)ようにしてもよい。例えば、画素行列の各列の少なくとも1つの画素121a(画像復元用画素出力単位)は、較正用画素領域402の、その列と異なる他の列に設けられた少なくとも1つの較正用画素411−1(一方向指向性画素出力単位)と同一の、画素行列の行方向の入射角指向性を有する(遮光膜412−1のX方向の幅が他の列の遮光膜121bのX方向の幅と同一である)ようにしてもよい。
また例えば、較正用画素411−2(一方向指向性画素出力単位)のY方向の入射角指向性が、同行の画素121a(画像復元用画素出力単位)のY方向の入射角指向性と異なる(遮光膜412−2のY方向の幅が同行の遮光膜121bのY方向の幅と異なる)ようにしてもよい。例えば、画素行列の各行の少なくとも1つの画素121a(画像復元用画素出力単位)は、較正用画素領域402の、その行と異なる他の行に設けられた少なくとも1つの較正用画素411−1(一方向指向性画素出力単位)と同一の、画素行列の列方向の入射角指向性を有する(遮光膜412−2のY方向の幅が他の行の遮光膜121bのY方向の幅と同一である)ようにしてもよい。
また、互いに同列の画素121a(画像復元用画素出力単位)のX方向入射角指向性が互いに異なる(互いに同列の遮光膜121bのX方向の幅が異なる)ようにしてもよい。同様に、互いに同行の画素121a(画像復元用画素出力単位)のY方向入射角指向性が互いに異なる(互いに同行の遮光膜121bのY方向の幅が異なる)ようにしてもよい。
さらに、較正用画素411−1が、画素121a群のX方向(例えば、有効画素領域401の図中右側若しくは左側、またはその両方)に形成されるようにしてもよい。同様に、較正用画素411−1が、画素121a群のY方向(例えば、有効画素領域401の図中上側若しくは下側、またはその両方)に形成されるようにしてもよい。また、画素121a群のX方向若しくはY方向、またはその両方において、較正用画素411−1と較正用画素411−2とが混在するようにしてもよい。
また、較正用画素411および画素121aの内少なくともいずれか一方は、それらが有する入射角指向性のパタン(つまり遮光膜の幅の大きさ)に基づいて所定の規則性を有するような並び順に配置されるようにしてもよい。つまり、一方向指向性画素出力単位および画像復元用画素出力単位の少なくともいずれか一方は、その入射角指向性の所定の規則性に基づく並び順で配置されるようにしてもよい。例えば、X方向(例えば右から左に向かって)またはY方向(例えば上から下に向かって)、遮光膜の幅が徐々に広くなるような順に、較正用画素411および画素121aが配置されるようにしてもよい。このように入射角指向性のパタンについて規則性を持つように各画素を配置することにより、例えば入射角指向性の補間等の演算をより容易に行うことができる。
また、検出信号の較正は、一部の画素121aに対してのみ行われるようにしてもよい。
<生成処理の流れ>
以上のような構成の受光部111を有する撮像素子121(図1)は、生成処理を実行することにより、入射角指向性の較正、すなわち、撮像素子121の実際の特性に合わせた(または、より近似させた)復元行列の生成を行う。この生成処理の流れの例を、図25のフローチャートを参照して説明する。
生成処理が開始されると、撮像素子121の復元行列生成部102は、ステップS101において、撮像素子121の一方向指向性画素出力単位からの出力を用いて生成される情報であって、撮像素子121(受光部111)の各画素(画像復元用画素出力単位)の入射角指向性の較正に関する情報であって、撮像素子121(受光部111)の実際の入射角指向性とその設計値との間のずれを直接的または間接的に示す情報が含まれる較正情報を取得する。この較正情報は例えば撮像素子121の外部から供給される。
ステップS102において、復元行列生成部102は、ステップS101において取得した較正情報を用いて、撮像素子121(受光部111)の実際の入射角指向性に対応する復元行列を生成する。
ステップS103において、復元行列生成部102は、ステップS102の処理により生成した復元行列を、復元行列記憶部103に供給し、記憶させる。
ステップS103の処理が終了すると、生成処理が終了する。このように生成処理を行うことにより、撮像素子121は、撮像素子121(受光部111)の実際の入射角指向性に対応する復元行列を、より容易に生成することができる。
<撮像処理の流れ>
また、撮像素子121(図1)は、撮像処理を実行することにより、上述した生成処理により生成された復元行列を用いて検出画像から復元画像を生成する。この撮像処理の流れの例を、図26のフローチャートを参照して説明する。
撮像処理が開始されると、撮像素子121は、ステップS121において、被写体を撮像し、検出画像を生成する。例えば、受光部111は、被写体からの光を受光し、その受光量を表す電荷を検出信号(検出画像)として出力する。A/D変換部101は、その出力されたアナログ信号の検出信号(検出画像)をA/D変換する。
ステップS122において、復元部104は、復元行列記憶部103から復元行列を読み出し、取得する。この復元行列は例えば生成処理により生成された、撮像素子121(受光部111)の実際の入射角指向性に対応する復元行列である。また、復元部104は、ステップS121において生成されたデジタルデータの検出信号(検出画像)を取得する。復元部104は、取得したその復元行列および検出画像を用いて、復元画像を生成する。
ステップS123において、出力部106は、ステップS122において生成された復元画像を、撮像素子121の外部に出力する。
ステップS124において、関連付け部105は、復元行列記憶部103から復元行列を読み出し、取得する。また、関連付け部105は、ステップS121において生成された検出画像に、その復元行列を関連付ける。
ステップS125において、出力部106は、ステップS124において関連付けたデータ(検出画像および復元行列)を、撮像素子121の外部に出力する。
ステップS125の処理が終了すると撮像処理が終了する。このように撮像処理を行うことにより、撮像素子121は、より正確な復元画像を生成することができる。
なお、ステップS122およびステップS123の各処理、または、ステップS124およびステップS125の各処理のいずれか一方を省略するようにしてもよい。また、ステップS122およびステップS123の各処理と、ステップS124およびステップS125の各処理との処理順は任意である。例えば、ステップS124およびステップS125の各処理を行ってから、ステップS122およびステップS123の各処理を行うようにしてもよいし、ステップS122およびステップS123の各処理と、ステップS124およびステップS125の各処理とを、並行して実行するようにしてもよい。
<較正装置>
次に、以上のような撮像素子121の較正について説明する。この較正においては、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、その複数の画素出力単位は、行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、その行列の行方向及び列方向の双方に入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、その行列の行方向にのみまたはその行列の列方向にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位とを含む撮像素子の、その一方向指向性画素出力単位からの出力を用いて生成される較正情報を用いて、その複数の画像復元用画素出力単位の出力である検出画像から復元画像を生成する際に用いられる復元行列を生成するようにしてもよい。
例えば、情報処理装置において、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、その複数の画素出力単位は、行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、その行列の行方向及び列方向の双方に入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、その行列の行方向にのみまたはその行列の列方向にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位とを含む撮像素子と、その一方向指向性画素出力単位からの出力を用いて生成される較正情報を用いて、その複数の画像復元用画素出力単位の出力である検出画像から復元画像を生成する際に用いられる復元行列を生成する生成部とを備えるようにしてもよい。
図27は、本開示の技術を適用した情報処理装置の一実施の形態である較正装置の主な構成例を示す図である。図27に示される較正装置500は、所定の位置に設置された撮像素子121の較正を行う装置である。
図27に示されるように、較正装置500は、光照射部501、較正部502、および較正情報書き込み部503を有する。
光照射部501は、所定の位置に設置された撮像素子121に対して光を照射し、その光を撮像素子121に検出させる(点線矢印)。光照射部501と撮像素子121とは十分な距離が離れており、光照射部501から照射され、撮像素子121に届く光は、図28のAに示されるように平行光となる(みなせる)。
また、光照射部501は、図28のAに示されるように、互いに異なる位置に複数の光源511(図中光源511−1乃至光源511−3)を有している。より具体的には、例えば図28のBに示されるように、複数の光源511が撮像素子121に対して光照射部501の光照射面に沿って互いに直角な2方向(X方向およびY方向)に所定の間隔で並べて配置されている。
各光源511が点灯することにより撮像素子121に届く光は上述のように平行光となるので、それらは互いに異なる入射角となる。つまり、光照射部501は、各光源511を順次点灯させることにより、互いに異なる入射角で撮像素子121に光を照射することができる。つまり、図28のBにおいて、図中横方向(X方向)に並ぶ複数の光源511は、そのX方向の角度(x角度)の調整用の光源群である。このX方向は図8のX方向(すなわち図24における画素行列の行方向)に対応する。光照射部501は、図8のX方向についての重みのグラフを生成する際に(図8のX方向についての重みのグラフの生成のために)、このX方向に並ぶ複数の光源511のそれぞれを順次点灯させる。また、図28のBにおいて、図中縦方向(Y方向)に並ぶ複数の光源511は、そのY方向の角度(y角度)の調整用の光源群である。このY方向は図8のY方向(すなわち図24における画素行列の列方向)に対応する。光照射部501は、図8のY方向についての重みのグラフを生成する際に(図8のY方向についての重みのグラフの生成のために)、このY方向に並ぶ複数の光源511のそれぞれを順次点灯させる。
なお、光照射部501が、可動式の光源を備え、その可動式の光源を移動させながら点灯させる(発光させる)ことにより、平行光の撮像素子121への入射角を可変とするようにしてもよい。例えば、光照射部501が、この可動式の光源を、図28のB中の横方向(X方向)に移動させ、図28のBに示されるx角度の調整用の各光源の位置において点灯させることにより、上述の例と同様に、撮像素子121への、図8のX方向についての重みのグラフの生成のための平行光照射を行うことができる。また、例えば、光照射部501が、この可動式の光源を、図28のB中の縦方向(Y方向)に移動させ、図28のBに示されるy角度の調整用の各光源の位置において点灯させることにより、上述の例と同様に、撮像素子121への、図8のY方向についての重みのグラフの生成のための平行光照射を行うことができる。
撮像素子121は、このように各光源511から照射された光を検出し、較正用画素411において検出信号を生成し、それを較正部502に供給する。例えば、図8のX方向についての重みのグラフを生成する際に(図8のX方向についての重みのグラフの生成のために)、撮像素子121の各画素(少なくとも較正用画素411−1)は、順次点灯されるX方向に並ぶ各光源511からの実際の入射光をそれぞれ検出して検出信号を生成する。同様に、図8のY方向についての重みのグラフを生成する際に(図8のY方向についての重みのグラフの生成のために)、撮像素子121の各画素(少なくとも較正用画素411−2)は、順次点灯されるY方向に並ぶ各光源511からの実際の入射光をそれぞれ検出して検出信号を生成する。
較正部502は、その較正用画素411において生成された検出信号に基づいて撮像素子121の較正情報を生成する。つまり、撮像素子121からは多様な入射角の入射光に対する検出信号が供給されるので、較正部502は、X方向およびY方向のそれぞれについて、入射角に応じて信号値をプロットすることにより、図8の重みのグラフを生成することができる。例えば、較正部502は、撮像素子121の較正用画素411−1において生成された、X方向に並ぶ各光源511からの入射光の検出信号(実測値)に基づいて、図8のX方向についての重みのグラフを生成する。同様に、較正部502は、撮像素子121の較正用画素411−2において生成された、Y方向に並ぶ各光源511からの入射光の検出信号(実測値)に基づいて、図8のY方向についての重みのグラフを生成する。つまり、較正部502は、図8のX方向の重みのグラフ(実測値)と図8のY方向の重みのグラフ(実測値)とを、互いに独立に生成することができる。したがって、較正部502は、較正用画素411の実際の入射角指向性を求めることができる。
較正部502は、そのように求めた較正用画素411の実際の入射角指向性を用いて、撮像素子121の有効画素領域401内の各画素121aの(画像復元用画素出力単位の)入射角指向性の較正に関する情報である較正情報を生成する。
例えば、較正部502は、較正用画素411の実際の入射角指向性を用いて、画素121aの実際の入射角指向性を導出し、その画素121aの実際の入射角指向性を含む較正情報を生成する。
また、例えば、較正部502は、較正用画素411の実際の入射角指向性を用いて、画素121aの実際の入射角指向性を導出し、その導出した画素121aの実際の入射角指向性と、予め記憶している画素121aの入射角指向性の設計値とのずれを求め、そのずれを示す情報を含む較正情報を生成してもよい。その場合、例えば、較正部502は、画素121aの遮光膜121bの位置ずれを求め、その位置ずれを表す情報を含む較正情報を生成する。また、例えば、較正部502は、撮像素子121のオンチップレンズ121cの高さのずれを求め、その高さのずれを表す情報を含む較正情報を生成する。なお、設計値とのずれを用いた較正の仕方は、特許文献3に記載されている(図21やその説明等)。較正部502は、例えばこの方法を用いて較正情報を生成すればよい。
なお、一般的に、撮像素子121のマスク(遮光膜)は、ステッパーにて一括露光を行うため、ずれ方にはパタンがあり、受光部111全体において一様にずれることが多く、画素毎に独立してずれる可能性は低い。
つまり、遮光膜のずれ方は図29に示されるように、主に以下のパタンとなる。
1:受光部111に形成される画素行列の全画素の遮光膜がX方向にずれる(矢印521)。
2:受光部111に形成される画素行列の全画素の遮光膜がY方向にずれる(矢印522)。
3:受光部111に形成される画素行列の全画素の遮光膜が全体的に回転方向にずれる(矢印523)。
4:オンチップレンズ121cの高さがずれる(画面全体)。
したがって、較正部502は、上述のように各較正用画素411の実際の入射角指向性から各画素121aについての較正情報を個別に求めるようにしてもよいが、各較正用画素411の実際の入射角指向性を用いて、このような受光部111全体のずれを検出し、それを基に較正情報を生成するようにしてもよい。
例えば、図30に示されるように、有効画素領域401のX方向(画素行列の行方向、図30の例においては図中横方向)若しくはY方向(画素行列の列方向、図30の例においては図中縦方向)、またはその両方の外側領域である較正用画素領域402に較正用画素411を設けることにより、較正部502は、このような受光部111全体のずれを容易に検出することができる。
例えば、有効画素領域401のY方向(図中縦方向)の外側領域である較正用画素領域402−1および較正用画素領域402−3のそれぞれに設けられた較正用画素411−1について、実際の検出信号から導出された図8の重みのグラフ(有効画素領域401のX方向(図中横方向)の入射角指向性)の、設計値に対するずれの向きが互いに同一である場合、較正部502は、受光部111の全体において、各画素の遮光膜がそのX方向にずれていると判断することができる。また、両領域の較正用画素411−1について、実際の検出信号から導出された図8の重みのグラフ(有効画素領域401のX方向(図中横方向)の入射角指向性)の、設計値に対するずれの向きが互いに異なる場合、較正部502は、受光部111の全体において、各画素の遮光膜が受光面に沿って回転方向にずれていると判断することができる。
また、例えば、有効画素領域401のX方向(図中横方向)の外側領域である較正用画素領域402−2および較正用画素領域402−4のそれぞれに設けられた較正用画素411−2について、実際の検出信号から導出された図8の重みのグラフ(有効画素領域401のY方向(図中縦方向)の入射角指向性)の、設計値に対するずれ方が互いに同一である場合、較正部502は、受光部111の全体において各画素の遮光膜がそのY方向(図中縦方向)にずれていると判断することができる。また、両領域の較正用画素411−2について、実際の検出信号から導出された図8の重みのグラフ(有効画素領域401のY方向(図中縦方向)の入射角指向性)の、設計値に対するずれの向きが互いに異なる場合、較正部502は、受光部111の全体において、各画素の遮光膜が受光面に沿って回転方向にずれていると判断することができる。
さらに、例えば、有効画素領域401を囲む較正用画素領域402−1乃至較正用画素領域402−4のそれぞれに設けられた較正用画素411について、実際の検出信号から導出された図8の重みのグラフ(有効画素領域401のX方向(図中横方向)またはY方向(図中縦方向)の入射角指向性)の傾きが設計値に対して全てずれている場合、較正部502は、オンチップレンズ121cの高さがずれていると判断することができる。
較正部502は、このようにして生成した較正情報を較正情報書き込み部503に供給する。
較正情報書き込み部503は、供給された較正情報を撮像素子121(の復元行列生成部102)に書き込む。つまり、撮像素子121の復元行列生成部102は、このように較正装置500から供給された較正情報を用いて復元行列を生成する(または較正する)。したがって、撮像素子121は、より正確な復元画像を生成することができる。
<較正方法例1>
較正方法のより具体的な例について説明する。例えば、光照射部501が、撮像素子121への入射角を変えながら複数回光(平行光)を照射し、較正部502が、その検出結果(各回の検出信号の信号レベル)に基づいて、図8の重みのグラフ(すなわち入射角指向性)を導出し、その情報を含む較正情報を生成するようにしてもよい。
図28を参照して説明したように、光照射部501は、複数の光源511を順次点灯させることにより、互いに異なる入射角で撮像素子121に光を照射する。較正部502は、各入射角の光に対応する較正用画素411の検出信号の信号レベルと、その入射角との関係をグラフ化する(図31のA)。このようにすることにより、図8の重みのグラフが導出される。
例えば、光照射部501は、図8のX方向(図24における画素行列の行方向)に対応する図28のBの横方向に並ぶ複数の光源511のそれぞれを順次点灯させる。これに対して較正部502は、各光に対応する較正用画素411−1の検出信号の信号レベルを検出し、その検出結果と入射角との関係をグラフ化することにより、図8のX方向についての重みのグラフ(すなわち、画素121a(画像復元用画素出力単位)の、図24における画素行列の行方向の入射角指向性)を導出する。
同様に、光照射部501は、図8のY方向(図24における画素行列の列方向)に対応する図28のBの縦方向に並ぶ複数の光源511のそれぞれを順次点灯させる。これに対して較正部502は、各光に対応する較正用画素411−2の検出信号の信号レベルを検出し、その検出結果と入射角との関係をグラフ化することにより、図8のY方向についての重みのグラフ(すなわち、画素121a(画像復元用画素出力単位)の、図24における画素行列の列方向の入射角指向性)を導出する。
較正部502は、以上のように導出された画素121a(画像復元用画素出力単位)の、図24における画素行列の行方向の入射角指向性と、列方向の入射角指向性とを含む較正情報を生成し、それを較正情報書き込み部503に供給する。較正情報書き込み部503は、その較正情報を撮像素子121に供給する。
このようにすることにより、較正部502は、画素121a(画像復元用画素出力単位)の、図24における画素行列の行方向の入射角指向性と、列方向の入射角指向性とをそれぞれ導出し、それら含む較正情報を生成することができる。
例えば、図24において、互いに同一の列の、有効画素領域401の画素121aと較正用画素領域402の較正用画素411−1とが、互いに同一の、画素行列の行方向の入射角指向性を有するとする。同様に、互いに同一の行の、有効画素領域401の画素121aと較正用画素領域402の較正用画素411−2とが、互いに同一の、画素行列の列方向の入射角指向性を有するとする。
この場合、較正用画素411−1の画素行列の行方向の入射角指向性を求めることにより、有効画素領域401の、その較正用画素411−1と同一の列の画素121aの、画素行列の行方向の入射角指向性を求めることができる。同様に、較正用画素411−2の画素行列の列方向の入射角指向性を求めることにより、有効画素領域401の、その較正用画素411−2と同一の行の画素121aの、画素行列の列方向の入射角指向性を求めることができる。
なお、図24の例の場合、較正用画素411−1は、有効画素領域401の図中上側と下側に存在する。したがって、有効画素領域401の図中上側の較正用画素411−1と、有効画素領域401の図中下側の較正用画素411−1とで、画素行列の行方向の入射角指向性の平均を導出し、その平均値をその較正用画素411−1と同一の列の画素121aの、画素行列の行方向の入射角指向性としてもよい。つまり、1つの画素121aに対して複数の較正用画素411−1が対応する場合、それらの較正用画素411−1の画素行列の行方向の入射角指向性の統計値(例えば平均値や中央値等)を、その画素121aの画素行列の行方向の入射角指向性としてもよい。
同様に、較正用画素411−2は、有効画素領域401の図中右側と左側に存在する。したがって、有効画素領域401の図中右側の較正用画素411−2と、有効画素領域401の図中左側の較正用画素411−2とで、画素行列の列方向の入射角指向性の平均を導出し、その平均値をその較正用画素411−2と同一の行の画素121aの、画素行列の列方向の入射角指向性としてもよい。つまり、1つの画素121aに対して複数の較正用画素411−2が対応する場合、それらの較正用画素411−2の画素行列の列方向の入射角指向性の統計値(例えば平均値や中央値等)を、その画素121aの画素行列の列方向の入射角指向性としてもよい。
このようなケースにおいて、較正用画素411の入射角指向性を導出する際に、上述したように、光照射部501が、撮像素子121への入射角を変えながら複数回光を照射し、較正部502がその検出結果(各回の検出信号の信号レベル)に基づいて、実際の入射角指向性(画素121aの実際の図8の重みのグラフ)を導出するようにしてもよい。
<較正方法例2>
また例えば、光照射部501が、撮像素子121に所定の入射角で光(平行光)を1回照射し、較正部502が、その検出結果(検出信号の信号レベル)と、撮像素子121の設計値から導出される図8の重みのグラフ(すなわち入射角指向性)とに基づいて、実際の入射角指向性(画素121aの実際の図8の重みのグラフ)を導出し、その情報を含む較正情報を生成するようにしてもよい(図31のB)。
例えば、光照射部501は、撮像素子121に対して所定の入射角で光を照射するように、所定の光源511を点灯させる。例えば、光照射部501は、撮像素子121に対して垂直に光を照射するように、図28のBの中央の光源511(X方向に並ぶ光源511群とY方向に並ぶ光源511群との両方に属する光源511)を点灯させる。
これに対して較正部502は、その光に対応する較正用画素411−1の検出信号の信号レベルを検出する。そして、較正部502は、その信号レベルと、撮像素子121の設計値から導出される図8のX方向の重みのグラフとのずれ(差)を導出し、そのずれに基づいて、画素121a(画像復元用画素出力単位)の実際の、図24における画素行列の行方向の入射角指向性を導出する。
同様に、較正部502は、その光に対応する較正用画素411−2の検出信号の信号レベルを検出する。そして、較正部502は、その信号レベルと、撮像素子121の設計値から導出される図8のY方向の重みのグラフとのずれ(差)を導出し、そのずれに基づいて、画素121a(画像復元用画素出力単位)の実際の、図24における画素行列の列方向の入射角指向性を導出する。
較正部502は、以上のように導出された画素121a(画像復元用画素出力単位)の、図24における画素行列の行方向の入射角指向性と、列方向の入射角指向性とを含む較正情報を生成し、それを較正情報書き込み部503に供給する。較正情報書き込み部503は、その較正情報を撮像素子121に供給する。
このようにすることにより、光の照射回数を<較正方法例1>の場合よりも低減させることができる。すなわち、較正部502は、より容易に(より高速に)、画素121a(画像復元用画素出力単位)の、図24における画素行列の行方向の入射角指向性と、列方向の入射角指向性とをそれぞれ導出し、それら含む較正情報を生成することができる。
<較正方法例1>において説明したケースに適用する場合について説明する。例えば、図24において、互いに同一の列の、有効画素領域401の画素121aと較正用画素領域402の較正用画素411−1とが、互いに同一の、画素行列の行方向の入射角指向性を有するとする。同様に、互いに同一の行の、有効画素領域401の画素121aと較正用画素領域402の較正用画素411−2とが、互いに同一の、画素行列の列方向の入射角指向性を有するとする。
この場合、較正用画素411−1の画素行列の行方向の入射角指向性を求めることにより、有効画素領域401の、その較正用画素411−1と同一の列の画素121aの、画素行列の行方向の入射角指向性を求めることができる。同様に、較正用画素411−2の画素行列の列方向の入射角指向性を求めることにより、有効画素領域401の、その較正用画素411−2と同一の行の画素121aの、画素行列の列方向の入射角指向性を求めることができる。
なお、1つの画素121aに対して複数の較正用画素411−1が対応する場合、それらの較正用画素411−1の画素行列の行方向の入射角指向性の統計値(例えば平均値や中央値等)を、その画素121aの画素行列の行方向の入射角指向性としてもよい。同様に、1つの画素121aに対して複数の較正用画素411−2が対応する場合、それらの較正用画素411−2の画素行列の列方向の入射角指向性の統計値(例えば平均値や中央値等)を、その画素121aの画素行列の列方向の入射角指向性としてもよい。
このようなケースにおいて、較正用画素411の入射角指向性を導出する際に、上述したように、光照射部501が撮像素子121に所定の入射角で光を1回照射し、較正部502がその検出結果(検出信号の信号レベル)に基づいて、実際の入射角指向性(画素121aの実際の図8の重みのグラフ)を導出するようにしてもよい。
<較正方法例3>
また例えば、較正部502が、複数の較正用画素411の平行光検出結果(検出信号の信号レベル)の統計値を用いて、画素121aの実際の入射角指向性(画素121aの実際の図8の重みのグラフ)を導出し、その情報を含む較正情報を生成するようにしてもよい。
例えば、図32の例のように、較正部502が、較正用画素領域402(較正用画素領域402−1乃至較正用画素領域402−4)を分割する所定の小領域毎に、較正用画素411の平行光検出結果の統計値を導出し、その統計値を用いて画素121aの実際の入射角指向性を導出するようにしてもよい。
図32の例の場合、較正用画素領域402−1は、小領域451−1乃至小領域451−3に分割され、較正用画素領域402−2は、小領域452−1乃至小領域452−3に分割され、較正用画素領域402−3は、小領域453−1乃至小領域453−3に分割され、較正用画素領域402−4は、小領域454−1乃至小領域454−3に分割されている。この較正用画素領域402の分割数、すなわち、小領域の数は任意であり、図32の例に限定されない。
較正部502は、この小領域毎に較正用画素411の平行光検出結果の統計値を導出する。各小領域に含まれる較正用画素411の数は任意である。各小領域に含まれる較正用画素411の数は統一されていてもよいし、統一されていなくてもよい。また、導出する統計値は任意である。例えば、平均値であってもよいし、中央値であってもよいし、それ以外であってもよい。
較正部502は、導出した小領域毎の平行光検出結果の統計値を用いて、受光部111全体について、画素121aの実際の入射角指向性と設計値とのずれ方、すなわち遮光膜のずれ方(ずれの大きさや向き等)を特定する。図29を参照して説明したように、一般的に、遮光膜は、受光部111全体において一様にずれる場合が多い。つまり、遮光膜のずれ方は図29に示されるように、主に以下のパタンとなる。
1:受光部111に形成される画素行列の全画素の遮光膜がX方向にずれる(矢印521)。
2:受光部111に形成される画素行列の全画素の遮光膜がY方向にずれる(矢印522)。
3:受光部111に形成される画素行列の全画素の遮光膜が全体的に回転方向にずれる(矢印523)。
4:オンチップレンズ121cの高さがずれる(画面全体)。
較正部502は、導出した小領域毎の平行光検出結果の統計値を用いて、遮光膜のずれ方が、これらのいずれのパタンであるかを特定する。
例えば、各小領域の統計値に基づく入射角指向性が、その設計値に対して全て同一の方向にずれている場合、較正部502は、全画素121aの遮光膜がその方向にずれていると推定する(つまり、上述のパタン1または2であることを特定する)。また、例えば、較正用画素領域402−1の各小領域の統計値に基づく入射角指向性が図中右方向にずれ、較正用画素領域402−2の各小領域の統計値に基づく入射角指向性が図中下方向にずれ、較正用画素領域402−3の各小領域の統計値に基づく入射角指向性が図中左方向にずれ、較正用画素領域402−4の各小領域の統計値に基づく入射角指向性が図中上方向にずれている場合、較正部502は、全画素121aの遮光膜が回転方向にずれていると推定する(つまり、上述のパタン3であることを特定する)。さらに、例えば、各小領域の統計値に基づく入射角指向性の傾きが、その設計値に対して全て同様にずれている場合、較正部502は、オンチップレンズの高さがずれていると推定する(つまり、上述のパタン4であることを特定する)。
そして、較正部502は、それらのずれ量(ΔθxやΔθy)に基づいて、全体のずれ量や回転角等を導出する。
このように統計値を利用することにより、較正部502は、一部の較正用画素411において発生した平行光検出結果の異常値等の影響を抑制することができる。したがって、較正部502は、より正確に、画素121aの実際の入射角指向性を導出することができる。
<較正処理の流れ>
次に、較正装置500により実行される較正処理の流れの例を、図33のフローチャートを参照して説明する。
較正処理が開始されると、較正装置500のお光照射部501は、ステップS501において、処理対象の光源511から光を照射する。
ステップS502において、撮像素子121は、その光が(光源511の位置に対応する所定の入射角で)照射された状態で撮像し、較正用画素411において検出信号を生成する。
ステップS503において、較正部502は、ステップS501において生成された較正用画素411の検出信号を記憶する。
ステップS504において、較正部502は、全ての光源について処理を行ったか否かを判定する。未処理の光源511が存在すると判定された場合、処理はステップS501に戻る。
つまり、各光源511について、ステップS501乃至ステップS504が実行される。そしてステップS504において、全ての光源511について、較正用画素411の検出信号が得られたと判定された場合、処理はステップS505に進む。
ステップS505において、較正部502は、それらの検出信号に基づいて、較正用画素411の実際の入射角指向性を求める。
ステップS506において、較正部502は、較正用画素411の実際の入射角指向性に基づいて、有効画素領域401の各画素121aの実際の入射角指向性を求める。
ステップS507において、較正部502は、ステップS506において求めた画素121aの実際の入射角指向性に基づいて較正情報を生成する。例えば、較正部502は、その画素121aの実際の入射角指向性を含む較正情報を生成する。また、例えば、較正部502は、その画素121aの実際の入射角指向性と、予め記憶している画素121aの入射角指向性の設計値とのずれを求め、そのずれを示す情報を含む較正情報を生成する。
ステップS508において、較正情報書き込み部503は、その較正情報を撮像素子121の復元行列生成部102に書き込み、記憶させる。
ステップS508の処理が終了すると較正処理が終了する。
このように較正処理を行うことにより、較正装置500は、撮像素子121の較正をより容易に行うことができる。また、これにより、撮像素子121は、より正確な復元画像を生成することができる。
<3.第2の実施の形態>
<撮像装置>
本技術は、撮像素子以外にも適用することができる。例えば、本技術は、撮像装置にも適用することができる。
例えば、撮像装置において、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、その複数の画素出力単位は、行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、その行列の行方向及び列方向の双方に入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、その行列の行方向にのみまたはその行列の列方向にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位とを含む撮像素子と、その一方向指向性画素出力単位の出力を用いて、その複数の画像復元用画素出力単位の出力である検出画像から復元画像を生成する際に用いられる復元行列を生成する生成部とを備えるようにしてもよい。
つまり、撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、その複数の画素出力単位は、行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、その行列の行方向及び列方向の双方に入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、その行列の行方向にのみまたはその行列の列方向にのみ入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位とを含む撮像素子の、その一方向指向性画素出力単位の出力を用いて、その複数の画像復元用画素出力単位の出力である検出画像から復元画像を生成する際に用いられる復元行列を生成するようにしてもよい。
このようにすることにより、この撮像装置は、より正確な復元画像を生成することができる。
図30は、本技術を適用した撮像装置の一実施の形態の主な構成例を示す図である。図30に示される撮像装置600は、被写体を撮像し、その撮像画像に関する電子データを得る装置である。
図30に示されるように、撮像装置600は、制御部601、入力部611、出力部612、記憶部613、通信部614、および記録再生部615を有する。また撮像装置600は、撮像素子621、復元行列生成部622、復元行列記憶部623、復元部624、関連付け部625、およびセンサ部626を有する。各処理部等は、バス610を介して互いに接続され、互いに情報や命令等を授受することができる。
なお、撮像素子621、復元行列生成部622、復元行列記憶部623、復元部624、および関連付け部625は、一体化して撮像部620としてもよい。撮像部620は、どのような物理的構成により実現されるようにしてもよい。例えば、撮像部620が、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサとして実現されるようにしてもよい。また、撮像部620が、例えば複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるデバイスユニット、または、デバイスユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実現されるようにしてもよい。また、撮像部620を装置として実現するようにしてもよい。
制御部601は、撮像装置600内の各処理部等の制御に関する処理を行うように構成される。例えば、制御部601は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有し、そのCPU等を用いてプログラムを実行することにより、上述の処理を行う。
入力部611は、情報の入力に関する処理を行うように構成される。例えば、入力部611は、操作ボタン、ダイヤル、スイッチ、タッチパネル、リモートコントローラ、センサ等の入力デバイスや外部入力端子を有する。例えば、入力部611は、それらの入力デバイスによってユーザ等の外部からの指示(入力された操作に対応する情報)を受け付ける。また、例えば、入力部611は、外部入力端子を介して、外部の装置から供給される任意の情報(プログラム、コマンド、データ等)を取得する。また、例えば、入力部611は、その受け付けた情報(取得した情報)を、バス610を介して他の処理部等に供給する。
なお、入力部611が有するセンサは、例えば加速度センサ等、ユーザ等の外部からの指示を受け付けることができるものであれば、どのようなものであってもよい。また、入力部611が有する入力デバイスは任意であり、その数も任意である。入力部611が複数種類の入力デバイスを有するようにしてもよい。例えば、入力部611が、上述した例の一部を有するようにしてもよいし、全部を有するようにしてもよい。また、入力部611が、上述した例以外の入力デバイスを有するようにしてもよい。さらに、例えば、入力部611が、バス610を介して供給される自身(入力デバイス等)の制御情報を取得し、その制御情報に基づいて駆動するようにしてもよい。
出力部612は、情報の出力に関する処理を行うように構成される。例えば、出力部612は、モニタ等の画像表示デバイス、プロジェクタ等の画像投影デバイス、スピーカ等の音声出力デバイス、外部出力端子等を有する。例えば、出力部612は、それらの出力デバイス等を用いて、バス610を介して他の処理部等から供給される情報を出力する。例えば、出力部612は、撮像画像(復元画像)をモニタに表示したり、撮像画像(復元画像)をプロジェクタから投影したり、音声(例えば入力操作や処理結果等に対応する音声)を出力したり、任意の情報(プログラム、コマンド、データ等)を外部(他の機器)に出力したりする。
なお、出力部612が有する出力デバイス等は任意であり、その数も任意である。出力部612が複数種類の出力デバイス等を有するようにしてもよい。例えば、出力部612が、上述した例の一部を有するようにしてもよいし、全部を有するようにしてもよい。また、出力部612が、上述した例以外の出力デバイス等を有するようにしてもよい。さらに、例えば、出力部612が、バス610を介して供給される自身(出力デバイス等)の制御情報を取得し、その制御情報に基づいて駆動するようにしてもよい。
記憶部613は、情報の記憶に関する処理を行うように構成される。例えば、記憶部613は、ハードディスクや半導体メモリ等のような、任意の記憶媒体を有する。例えば、記憶部613は、バス610を介して他の処理部等から供給される情報(プログラム、コマンド、データ等)をその記憶媒体に記憶する。また、記憶部613は、出荷時において任意の情報(プログラム、コマンド、データ等)を記憶しているようにしてもよい。また、記憶部613は、任意のタイミングにおいて、または、他の処理部等からの要求に応じて、その記憶媒体に記憶されている情報を読み出し、読み出した情報を、バス610を介して他の処理部等に供給する。
なお、記憶部613が有する記憶媒体は任意であり、その数も任意である。記憶部613が複数種類の記憶媒体を有するようにしてもよい。例えば、記憶部613が、上述した記憶媒体の例の一部を有するようにしてもよいし、全部を有するようにしてもよい。また、記憶部613が、上述した例以外の記憶媒体等を有するようにしてもよい。また、例えば、記憶部613が、バス610を介して供給される自身の制御情報を取得し、その制御情報に基づいて駆動するようにしてもよい。
通信部614は、他の装置との通信に関する処理を行うように構成される。例えば、通信部614は、所定の通信媒体(例えばインターネット等の任意のネットワーク)を介して外部の装置とプログラムやデータ等の情報を授受する通信を行う通信デバイスを有する。例えば、通信部614は、他の装置と通信を行い、バス610を介して他の処理部等より供給される情報(プログラム、コマンド、データ等)を、その通信相手である他の装置に供給する。また、例えば、通信部614は、他の装置と通信を行い、その通信相手である他の装置から供給される情報を取得し、その情報を、バス610を介して他の処理部等に供給する。
通信部614が有する通信デバイスはどのようなものであってもよい。例えば、ネットワークインタフェースであってもよい。通信方法や通信規格は任意である。例えば、通信部614が、有線通信を行うことができるようにしてもよいし、無線通信を行うことができるようにしてもよいし、その両方を行うことができるようにしてもよい。また、例えば、通信部614が、バス610を介して供給される自身(通信デバイス等)の制御情報を取得し、その制御情報に基づいて駆動するようにしてもよい。
記録再生部615は、自身に装着された記録媒体616を利用した情報の記録や再生に関する処理を行うように構成される。例えば、記録再生部615は、自身に装着された記録媒体616に記録されている情報(プログラム、コマンド、データ等)を読み出し、その情報を、バス610を介して他の処理部等に供給する。また、例えば、記録再生部615は、バス610を介して他の処理部等から供給される情報を取得し、その情報を、自身に装着された記録媒体616に書き込む(記録する)。なお、例えば、記録再生部615が、バス610を介して供給される自身の制御情報を取得し、その制御情報に基づいて駆動するようにしてもよい。
なお、記録媒体616は、どのようなものであってもよい。例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどであってもよい。また、記録媒体616は、記録再生部615に着脱可能な(リムーバブルな)記録媒体であってもよいし、撮像装置600に内蔵される、記録再生部615と固定的に接続される記録媒体であってもよい。
撮像素子621は、被写体を撮像し、各画素において検出信号を生成し、その検出信号からなる検出画像を出力し、復元部624および関連付け部625に供給する。
復元行列生成部622は、上述した復元行列生成部102と同様の処理部であり、同様の構成を有し、同様の処理を行う。例えば、復元行列生成部622は、例えば撮像装置600の外部から供給される、一方向指向性画素出力単位の出力を用いて生成される情報であって、撮像素子621の各画素(画像復元用画素出力単位)の入射角指向性の較正に関する較正情報を用いて、画素121aの実際の入射角指向性に対応する復元行列を生成する。復元行列生成部622は、生成した復元行列を復元行列記憶部623に供給する。
復元行列記憶部623は、上述した復元行列記憶部103と同様の処理部であり、同様の構成を有し、同様の処理を行う。例えば、復元行列記憶部623は、復元行列生成部622から供給される復元行列を取得し、それを記憶媒体に記憶(保持)する。復元行列記憶部623は、必要に応じて(例えば、所定のタイミングにおいてまたは要求に応じて)、その記憶媒体に記憶されている復元行列を読み出し、復元部624若しくは関連付け部625、またはその両方に供給する。
復元部624は、上述した復元部104と同様の処理部であり、同様の較正を有し、同様の処理を行う。例えば、復元部624は、撮像素子621から供給された検出画像(検出信号)に対して、復元行列記憶部623から供給される復元行列(画素121aの実際の入射角指向性に対応する復元行列)を用いて所定の演算を行うことにより、復元画像を生成する。復元部624は、生成した出力データ(復元画像等)を、出力部612乃至記録再生部615のいずれか1つ以上に供給する。なお、復元部624が、復元画像に対して、例えばガンマ補正(γ補正)やホワイトバランス制御等の任意の画像処理を施すようにしてもよい。また、復元部624が、復元画像のデータのフォーマットを変換したり、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)等の所定の圧縮方式で圧縮したりするようにしてもよい。
関連付け部625は、上述した関連付け部105と同様の処理部であり、同様の構成を有し、同様の処理を行う。例えば、関連付け部625は、撮像素子621から供給される検出画像(検出信号)に、復元行列記憶部623から供給される復元行列(画素121aの実際の入射角指向性に対応する復元行列)を関連付ける。関連付け部625は、関連付けたデータを、出力データとして、出力部612乃至記録再生部615のいずれか1つ以上に供給する。なお、この検出画像と復元行列との関連付けは、記録再生部615等の他の処理部において行うようにしてもよい。その場合、記録再生部615等を関連付け部とみなすことができ、関連付け部625は省略することができる。
センサ部626は、検出に関する処理を行うように構成される。例えば、センサ部626は、任意のセンサを有し、所定のパラメータについての検出を行う。例えば、センサ部626は、撮像装置600の周辺の状態に関するパラメータや、撮像装置600の状態に関するパラメータ等についての検出を行う。例えば、センサ部626は、撮像素子121の状態に関するパラメータについての検出を行う。また、例えば、センサ部626は、検出した情報を、バス610を介して他の処理部等に供給する。
以上のように、撮像装置600は、撮像素子621の較正情報を用いて復元行列を生成し、その復元行列(画素121aの実際の入射角指向性に対応する復元行列)を用いて復元画像を生成することができるので、より正確な復元画像を生成することができる。また、撮像装置600は、その復元行列(画素121aの実際の入射角指向性に対応する復元行列)を検出画像に関連付けて他の装置に供給することができるので、その他の装置は、より正確な復元画像を生成することができる。なお、撮像素子121、復元行列生成部622乃至センサ部626は、バス610を介して供給される自身の制御情報を取得し、その制御情報に基づいて駆動するようにしてもよい。
また、以上のように、撮像素子621は、復元行列の生成等の処理を、撮像素子621の外部において行う。つまり、本技術を適用した復元行列の生成等の処理は、撮像素子の内部または外部(いずれか一方)において行うことができる。
<撮像素子>
図35は、撮像素子621の主な構成例を示すブロック図である。図35に示されるように、撮像素子621は、受光部111およびその他の処理部112(A/D変換部101および出力部106)を有する。すなわち、撮像素子621は、撮像素子121(図1)と比較して、復元行列生成部102乃至関連付け部105を省略することができる。
<4.第3の実施の形態>
<撮像装置における撮像素子の較正>
また、撮像装置600において、撮像素子621の較正を行うことができるようにしてもよい。例えば、図36に示されるように、撮像装置600にアタッチメント650を装着し、そのアタッチメント650に設けられた光源651から光を照射させ、撮像装置600(撮像素子121)がそれを撮像し、その検出画像を用いて撮像素子621の較正を行うようにしてもよい。
この場合、アタッチメント650の光源651は、較正装置500の光照射部501の光源511と同様の構成を有し、同様に点灯させることができる。つまり、各光源651からの光は平行光としてその光源651の位置に応じた入射角で撮像素子121に入射する。
<撮像装置>
この場合の撮像装置600の主な構成例を図37に示す。図37に示されるように、この場合も撮像装置600は、基本的に図34の場合と同様の構成を有するが、その構成に加えて、さらに較正部661を有する。
較正部661は、基本的に、較正装置500の較正部502と同様の構成を有し、同様の処理を行う。例えば、較正部661は、上述のようにアタッチメント650から光が照射された状態で撮像素子621が撮像して生成した較正用画素411の検出信号を取得し、その検出信号に基づいて較正情報を生成する。この較正情報の生成方法は、較正部502の場合と同様である。較正部661は、生成した較正情報を復元行列生成部622供給する。
復元行列生成部622は、このように供給された較正情報を用いて復元行列(つまり、撮像素子621の画素121aの実際の入射角指向性に対応した復元行列)を生成する。
したがって、この場合も撮像装置600は、より正確な復元画像を生成することができる。
<5.第4の実施の形態>
<較正システム>
なお、予め複数のパタンの較正情報を用意し、各較正情報を用いて復元行列を生成し、より正確な(S/N比が少ない)復元画像が得られる較正情報を選択するようにしてもよい。さらにその較正情報の選択を、撮像装置や撮像素子の外部(例えばサーバ等)において行うようにしてもよい。
図38は、本技術を適用した情報処理システムの一実施の形態である較正システムの主な構成例を示す図である。図38に示される較正システム700は、上述のように、撮像装置(または撮像素子)等において復元行列の生成に用いられる較正情報の選択を行うシステムである。
図38に示されるように、較正システム700は、サーバ701、較正情報データベース702、ネットワーク710、並びに複数の撮像装置600(例えば、撮像装置600−1および撮像装置600−2)を有する。
サーバ701は、ネットワーク710を介して撮像装置600と接続されており、各撮像装置600において使用される較正情報の選択に関する処理を行う。較正情報データベース702には、複数の較正情報が予め格納されている。
撮像装置600は、較正情報を用いて復元行列を生成し、その復元行列を用いて復元画像を生成し、それを、ネットワーク710を介してサーバ701に供給する。
サーバ701は、その復元画像の画質を判定し、その画像判定結果を撮像装置600に返す。その際、サーバ701は、画質が十分でない(例えばS/N比が低い)と判定した場合、較正情報データベース702から新たな較正情報を取得し、画像判定結果とともにその新たな較正情報を撮像装置600に供給する。
撮像装置600は、供給された較正情報を用いて復元行列を生成し、再度撮像を行い、その復元行列を用いて復元画像を生成する。撮像装置600は、再度その復元画像をサーバ701に供給する。
サーバ701が、復元画像の画質が十分であると判定するまで、または、画質が最もよくなるまで、以上のような処理を繰り返す。
このようにすることにより、撮像装置600は、より正確な復元画像を生成することができる。つまり、撮像装置600は、復元画像の画質の低減を抑制することができる。
<6.付記>
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
図39は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図39に示されるコンピュータ900において、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903は、バス904を介して相互に接続されている。
バス904にはまた、入出力インタフェース910も接続されている。入出力インタフェース910には、入力部911、出力部912、記憶部913、通信部914、およびドライブ915が接続されている。
入力部911は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部912は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部913は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部914は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ915は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体921を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU901が、例えば、記憶部913に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース910およびバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM903にはまた、CPU901が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
コンピュータ(CPU901)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体921に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブル記録媒体921をドライブ915に装着することにより、入出力インタフェース910を介して、記憶部913にインストールすることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部914で受信し、記憶部913にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、ROM902や記憶部913に、あらかじめインストールしておくこともできる。
<本技術の適用対象>
なお、本技術を適用したシステム、装置、処理部等は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野に利用することができる。また、その用途も任意である。
例えば、本技術は、観賞用コンテンツ等の提供の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。また、例えば、本技術は、交通状況の監理や自動運転制御等、交通の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、セキュリティの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、例えば、本技術は、機械等の自動制御の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。さらに、例えば、本技術は、農業や畜産業の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態や野生生物等を監視するシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、スポーツの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。
<その他>
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるデバイスユニット、デバイスユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
また、上述した各処理部は、任意の構成により実現することができる。例えば、回路、LSI、システムLSI、プロセッサ、モジュール、デバイスユニット、セット、デバイス、装置、またはシステム等により構成されるようにしてもよい。また、それらを複数組み合わせるようにしてもよい。その際、例えば、複数の回路、複数のプロセッサ等のように同じ種類の構成を組み合わせるようにしてもよいし、回路とLSI等のように異なる種類の構成を組み合わせるようにしてもよい。
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、および、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。例えば、コンピュータ、AV(Audio Visual)機器、携帯型情報処理端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の任意の端末に対して、撮像画像(動画像)に関するサービスを提供するクラウドサービスに適用することもできる。
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、
前記複数の画素出力単位は、
行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、前記行列の行方向及び列方向の双方に前記入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、
前記行列の行方向にのみまたは前記行列の列方向にのみ前記入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位と
を含む撮像素子。
(2) 前記一方向指向性画素出力単位は、前記画像復元用画素出力単位が形成される領域である有効画素領域以外の領域に形成される
(1)に記載の撮像素子。
(3) 前記一方向指向性画素出力単位は、前記有効画素領域の外側にある外部領域に形成される
(2)に記載の撮像素子。
(4) 長方形状の前記有効画素領域の前記行列の行方向の外側にある前記外部領域に、前記行列の列方向にのみ前記入射角指向性を有する前記一方向指向性画素出力単位が形成される
(3)に記載の撮像素子。
(5) 長方形状の前記有効画素領域の前記行列の列方向の外側にある前記外部領域に、前記行列の行方向にのみ前記入射角指向性を有する前記一方向指向性画素出力単位が形成される
(3)または(4)に記載の撮像素子。
(6) 前記有効画素領域に形成される複数の前記画像復元用画素出力単位の少なくとも1つは、前記行列の行方向および列方向のそれぞれについて、前記外部領域に形成される複数の前記一方向指向性画素出力単位の少なくとも1つと同一の前記入射角指向性を有する
(3)乃至(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7) 前記行列の各行の少なくとも1つの前記画像復元用画素出力単位は、前記外部領域の、その行と同一の行に設けられた少なくとも1つの前記一方向指向性画素出力単位と同一の、前記行列の列方向の前記入射角指向性を有する
(6)に記載の撮像素子。
(8) 前記行列の各列の少なくとも1つの前記画像復元用画素出力単位は、前記外部領域の、その列と同一の列に設けられた少なくとも1つの前記一方向指向性画素出力単位と同一の、前記行列の行方向の前記入射角指向性を有する
(6)または(7)に記載の撮像素子。
(9) 前記行列の各行の少なくとも1つの前記画像復元用画素出力単位は、前記外部領域の、その行と異なる他の行に設けられた少なくとも1つの前記一方向指向性画素出力単位と同一の、前記行列の列方向の前記入射角指向性を有する
(6)乃至(8)のいずれかに記載の撮像素子。
(10) 前記行列の各列の少なくとも1つの前記画像復元用画素出力単位は、前記外部領域の、その列と異なる他の列に設けられた少なくとも1つの前記一方向指向性画素出力単位と同一の、前記行列の行方向の前記入射角指向性を有する
(6)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(11) 前記有効画素領域に形成される全ての前記画像復元用画素出力単位は、前記行列の行方向および列方向のそれぞれについて、前記外部領域に形成される複数の前記一方向指向性画素出力単位の少なくとも1つと同一の前記入射角指向性を有する
(6)乃至(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(12) 前記有効画素領域に形成される複数の前記画像復元用画素出力単位の内の一部の前記画像復元用画素出力単位は、前記行列の行方向および列方向のそれぞれについて、前記外部領域に形成される複数の前記一方向指向性画素出力単位の少なくとも1つと同一の前記入射角指向性を有する
(6)乃至(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(13) 前記有効画素領域に形成される前記一部の画像復元用画素出力単位以外の他の画像復元用画素出力単位の、前記行列の行方向および列方向のそれぞれの前記入射角指向性は、前記外部領域に形成される前記一方向指向性画素出力単位の入射角指向性に基づいて推定し得る
(12)に記載の撮像素子。
(14) 前記一方向指向性画素出力単位および前記画像復元用画素出力単位の少なくともいずれか一方は、前記入射角指向性の所定の規則性に基づく並び順で配置される
(3)乃至(13)のいずれかに記載の撮像素子。
(15) 前記入射角指向性を前記画素出力単位毎に独立に設定可能な構成は、遮光膜によって構成される
(1)乃至(14)のいずれかに記載の撮像素子。
(16) 前記一方向指向性画素出力単位を用いて生成される前記画像復元用画素出力単位の前記入射角指向性の較正に関する情報である較正情報を用いて、前記画像復元用画素出力単位において得られる検出画像から復元画像を生成する際に用いられる復元行列を生成する生成部をさらに備える
(1)乃至(15)のいずれかに記載の撮像素子。
(17) 前記生成部により生成された前記復元行列を記憶する復元行列記憶部をさらに備える
(16)に記載の撮像素子。
(18) 撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、
前記複数の画素出力単位は、
行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、前記行列の行方向及び列方向の双方に前記入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、
前記行列の行方向にのみまたは前記行列の列方向にのみ前記入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位と
を含む撮像素子と、
前記一方向指向性画素出力単位の出力を用いて、前記複数の画像復元用画素出力単位の出力である検出画像から復元画像を生成する際に用いられる復元行列を生成する生成部と
を備える撮像装置。
(19) 前記生成部は、前記一方向指向性画素出力単位の出力を用いて生成される情報であって、前記画像復元用画素出力単位の前記入射角指向性の較正に関する情報である較正情報を用いて、前記復元行列を生成する
(18)に記載の撮像装置。
(20) 撮像レンズおよびピンホールのいずれも介さずに入射する入射光に対する入射角指向性を独立に設定可能な構成を有する複数の画素出力単位を備え、
前記複数の画素出力単位は、
行列状に配置され、少なくとも1部の画素出力単位が、前記行列の行方向及び列方向の双方に前記入射角指向性を有する複数の画像復元用画素出力単位と、
前記行列の行方向にのみまたは前記行列の列方向にのみ前記入射角指向性を有する一方向指向性画素出力単位と
を含む撮像素子の、
前記一方向指向性画素出力単位からの出力を用いて、前記複数の画像復元用画素出力単位の出力である検出画像から復元画像を生成する際に用いられる復元行列を生成する
情報処理方法。
(21) 前記復元行列を生成する工程では、前記一方向指向性画素出力単位からの出力を用いて生成される較正情報を用いて、前記復元行列を生成する
(20)に記載の情報処理方法。
(22) 前記撮像素子の前記入射角指向性を前記画素出力単位毎に独立に設定可能な構成である遮光膜の位置ずれを計測し、前記遮光膜の位置ずれに関する情報を含む前記較正情報を生成する
(21)に記載の情報処理方法。
(23) 前記撮像素子のオンチップレンズの高さのずれを計測し、前記オンチップレンズの高さのずれに関する情報を含む前記較正情報を生成する
(21)または(22)に記載の情報処理方法。
(24) 前記一方向指向性画素出力単位において、前記入射光の互いに異なる複数の入射角のそれぞれについて検出信号値を計測し、各計測結果を用いて前記較正情報を生成する
(21)乃至(23)のいずれかに記載の情報処理方法。
(25) 前記一方向指向性画素出力単位において、前記入射光の所定の入射角について検出信号値を計測し、その計測の結果と基準値とを用いて前記較正情報を生成する
(21)乃至(24)のいずれかに記載の情報処理方法。
(26) 複数の前記一方向指向性画素出力単位のそれぞれの検出信号値を計測し、その計測の結果の統計値を用いて前記較正情報を生成する
(21)乃至(25)のいずれかに記載の情報処理方法。