JPWO2019188901A1 - 半導体基板の製造方法および研磨用組成物セット等のセット - Google Patents

半導体基板の製造方法および研磨用組成物セット等のセット Download PDF

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Abstract

製造後の基板形状を高度に制御し得る半導体基板の製造方法を提供する。本発明により提供される半導体基板の製造方法は、ウェーハ状の加工対象物の裏面を加工する裏面加工工程を含む。上記裏面加工工程を経た上記裏面には加工歪層が存在している。そして、上記裏面に存在する加工歪層の深さは上記半導体基板のおもて面の加工歪層の深さよりも大きいか、あるいは上記おもて面には加工歪層が存在しない。

Description

本発明は、半導体基板の製造方法、およびその製造方法に好ましく用いられる研磨用組成物セットその他のセットに関する。本出願は、2018年3月30日に出願された日本国特許出願2018−68524号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
シリコンや窒化ガリウム、炭化ケイ素等から構成された半導体基板材料は、通常、インゴットから切り出された後、ラッピング工程やポリシング工程を経て、平滑面を有する薄層の半導体基板(半導体ウェーハ)に成形される。例えば、炭化ケイ素半導体基板の製造においては、ダイヤモンド砥粒を用いたラッピングの後に、あるいは当該ラッピングに代えて、研磨パッドを用いて当該研磨パッドと加工対象物との間に研磨スラリーを供給して行う研磨(ポリシング)が実施される。製造された半導体基板は、そのおもて面にエピタキシャル成長膜(エピタキシャル膜)等が形成された後、半導体デバイスとして利用される。この種の従来技術を開示する文献として、特許文献1〜5が挙げられる。
日本国特許出願公開2013−27960号公報 日本国特許第6011340号公報 日本国特許出願公開2015−205819号公報 日本国特許出願公開2016−64980号公報 日本国特許出願公開2017−81813号公報
近年、炭化ケイ素等の半導体基板について、より高品質な形状制御が要求されるようになってきている。例えば、特許文献1では、加工ダメージ層が形成された炭化ケイ素単結晶基板のおもて面に対して研磨を実施して、その裏面に対してはエッチングを実施して各面の表面粗さを調節しつつ、基板の反りを抑制することが提案されている。また、特許文献2〜5では、直径110mm以上の炭化ケイ素単結晶基板の表裏各面の表面粗さの平均値および標準偏差を調節することにより、良好なエピタキシャル膜が形成可能であり、かつ反りが抑制された基板を製造することが記載されている。しかし、上記先行技術文献に記載されるように基板両面の表面品質を向上させて内的要因に基づく反りを低減すると、その後、基板のおもて面にエピタキシャル膜等を形成したときに、かかる形成膜等の外的要因による基板変形応力の影響が顕在化しやすくなる。このような外的要因による変形応力が、基板製造後や半導体デバイスにおける基板形状の高レベル制御の制限因子になり得ることが明らかになった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造後の基板形状を高度に制御し得る半導体基板の製造方法を提供することである。関連する他の目的は、上記製造方法に用いられる研磨用組成物セット、組成物セットおよび半導体基板製造用セットを提供することである。関連するさらに他の目的は、製造後における形状が高度に制御された半導体基板を提供することである。
本明細書によると、ウェーハ状の加工対象物の裏面を加工する裏面加工工程を含む半導体基板の製造方法が提供される。前記裏面加工工程を経た前記裏面には加工歪層が存在している。そして、前記裏面に存在する加工歪層の深さは前記半導体基板のおもて面の加工歪層の深さよりも大きいか、あるいは前記おもて面には加工歪層が存在しない。半導体基板となる加工物は、加工歪層深さに対応して圧縮応力が生じる。この作用を定量的に利用して裏面加工歪層の深さを設定することで、製造後や半導体デバイスにおける半導体基板形状を高度に制御することができる。例えば、エピタキシャル膜等をおもて面に形成した半導体基板を、おもて面の形成膜による圧縮応力と裏面加工歪層の圧縮応力とを相殺することで、より平坦なものにすることができる。これにより、例えば、上記形成膜の転位等の欠陥密度が低減し、膜品質を向上させ得る。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記裏面加工工程は、前記裏面の算術平均表面粗さRaを10nm以下とする工程(表面粗さ低減工程)である。おもて面をより高品質な表面としたり、より高レベルの形状制御を行うためには、裏面の表面粗さが制限されていることが望ましい。そのような観点から、上記構成では、基板裏面のRaを10nm以下に制限しつつ、そのなかであえて加工歪層の深さが所定値以上となるように加工を実施する。これによって、製造後や半導体デバイスにおける半導体基板形状をより高度に制御することができ、より高品質な半導体基板が得られる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記裏面に存在する加工歪層の深さは0.1μm以上である。加工歪層の深さを0.1μm以上とすることで、所定厚さのエピタキシャル膜がおもて面に形成されるような典型的な半導体デバイスにおいて、半導体基板形状の高レベル制御を好ましく実現することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記裏面加工工程は化学的機械研磨工程を含む。他の好ましい一態様では、前記裏面加工工程はラッピング工程を含む。さらに他の一態様では、前記裏面加工工程は研削工程を含む。裏面加工工程として、化学的機械研磨(CMP)、ラッピングおよび研削から選択されるいずれかの工程を採用することによって、ここに開示される技術による効果が好ましく発揮される。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記加工対象物のおもて面を加工するおもて面加工工程を含む。また、前記おもて面加工工程および前記裏面加工工程はともに砥粒を用いる工程を含む。そのなかの一態様において、前記裏面加工工程で用いられる砥粒は、前記おもて面加工工程で用いられる砥粒よりも高硬度である。また他の一態様において、前記裏面加工工程で用いられる砥粒は、前記おもて面加工工程で用いられる砥粒よりも粒子径が大きい。上述のような方法を採用することにより、裏面側の加工歪層の深さがおもて面側よりも大きい基板を好ましく製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記半導体基板は、炭化ケイ素から構成された半導体基板である。ここに開示される技術による効果は、炭化ケイ素から構成された半導体基板において好ましく発揮される。
また、本明細書によると、ここに開示されるいずれかの製造方法に用いられる研磨用組成物セットが提供される。この研磨用組成物セットは、前記裏面加工工程に用いられる裏面研磨用組成物としての組成物Q1と、前記おもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物としての組成物Q2とを含む。前記組成物Q1と前記組成物Q2とは互いに分けて保管されている。このような構成の研磨用組成物セットを用いて裏面加工工程およびおもて面加工工程を実施することにより、製造後における形状が高度に制御された半導体基板を好適に製造することができる。上記半導体基板はまた、高い面品質を有するものであり得る。
好ましい一態様に係る研磨用組成物セットにおいて、前記裏面研磨用組成物は砥粒ABFを含有する。また、前記おもて面研磨用組成物は砥粒AFFを含有する。前記砥粒ABFはアルミナ粒子または緑色炭化ケイ素粒子であり、前記砥粒AFFはシリカ粒子またはアルミナ粒子である。上記構成によると、ここに開示される技術による効果が好ましく実現される。
好ましい一態様に係る研磨用組成物セットにおいて、前記裏面研磨用組成物は研磨助剤CBFを含有する。また、前記おもて面研磨用組成物は研磨助剤CFFを含有する。前記研磨助剤CBFは過マンガン酸またはその塩であり、前記研磨助剤CFFは過酸化水素およびバナジン酸類である。上記構成によると、研磨対象物おもて面および裏面の各面の研磨において、研磨レートと面品質とを好ましく両立することができる。
また、本明細書によると、ここに開示されるいずれかの製造方法に用いられる組成物セットが提供される。この組成物セットは、前記裏面加工工程に用いられるラッピング用組成物としての組成物Q3と、前記おもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物としての組成物Q4とを含む。前記組成物Q3と前記組成物Q4とは互いに分けて保管されている。このような構成の組成物セットを用いて裏面加工工程およびおもて面加工工程を実施することにより、製造後における形状が高度に制御された半導体基板を高い加工能率で製造することができる。上記半導体基板はまた、高い面品質を有するものであり得る。
好ましい一態様に係る組成物セットにおいて、前記ラッピング用組成物は砥粒ABFを含有する。また、前記おもて面研磨用組成物は砥粒AFFを含有する。前記砥粒ABFはダイヤモンド粒子であり、前記砥粒AFFはシリカ粒子またはアルミナ粒子である。上記構成によると、ここに開示される技術による効果が好ましく実現される。
好ましい一態様に係る組成物セットにおいて、前記おもて面研磨用組成物は研磨助剤CFFを含有する。また、前記研磨助剤CFFは過マンガン酸、過マンガン酸塩、過酸化水素およびバナジン酸類からなる群から選択される少なくとも1種である。上記構成によると、研磨対象物おもて面の研磨において、研磨レートと面品質とを好ましく両立することができる。
また、本明細書によると、ここに開示されるいずれかの製造方法に用いられる半導体基板製造用セットが提供される。このセットは、前記裏面加工工程に用いられる研削用砥粒と、前記おもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物としての組成物Q5とを含む。前記研削用砥粒と前記組成物Q5とは互いに分けて保管されている。このような構成のセットを用いて裏面加工工程およびおもて面加工工程を実施することにより、製造後における形状が高度に制御された半導体基板を高い加工能率で製造することができる。また、上記半導体基板おもて面は、高い面品質を有するものであり得る。
好ましい一態様に係るセットにおいて、前記研削用砥粒はダイヤモンド粒子であり、前記砥粒AFFはシリカ粒子またはアルミナ粒子である。上記構成によると、ここに開示される技術による効果が好ましく実現される。
好ましい一態様に係るセットにおいて、前記おもて面研磨用組成物は研磨助剤CFFを含有する。前記研磨助剤CFFは過マンガン酸、過マンガン酸塩、過酸化水素およびバナジン酸類からなる群から選択される少なくとも1種である。上記構成によると、研磨対象物おもて面の研磨において、研磨レートと面品質とを好ましく両立することができる。
また、本明細書によると、半導体基板が提供される。この半導体基板はおもて面と裏面とを有する。前記裏面には加工歪層が存在する。また、前記裏面に存在する加工歪層の深さは前記おもて面の加工歪層の深さよりも大きいか、あるいは前記おもて面には加工歪層が存在しない。このような構成の半導体基板は、製造後や半導体デバイスにおける形状が高度に制御されたものとなり得る。例えば、上記半導体基板のおもて面にエピタキシャル膜を形成したものは、当該形成膜後において平坦性に優れた基板となり得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪半導体基板≫
ここに開示される半導体基板は、おもて面と裏面とを有しており、その裏面には加工歪層が存在する。また、当該裏面に存在する加工歪層の深さはおもて面の加工歪層の深さよりも大きいか、あるいは半導体基板のおもて面には加工歪層が存在しない。ここで、半導体基板のおもて面とは、通常、エピタキシャル膜、半導体素子等が形成される面であり、半導体基板の裏面とは、おもて面とは反対側に位置する面である。なお、半導体基板の形状は、特に限定されず、通常は、円盤状(上面からみて円形状)を有する。半導体基板は、上面からみたとき四角形等の多角形状を有するものであってもよい。
半導体基板の構成材料としては、公知の半導体基板材料を特に制限なく用いることができる。半導体基板の構成材料は、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の単元素半導体;テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、硫化カドミウム、テルル化カドミウム水銀、テルル化亜鉛カドミウム等のII−VI族化合物半導体基板材料;窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化ガリウムインジウム、ヒ化窒素インジウムガリウム、リン化アルミニウムガリウムインジウム等のIII−V族化合物半導体基板材料;炭化ケイ素、ケイ化ゲルマニウム等のIV−IV族化合物半導体基板材料;等であり得る。これらのうち複数の材料により構成されたものであってもよい。なかでも、半導体基板は炭化ケイ素から構成されていることが好ましい。炭化ケイ素は、電力損失が少なく耐熱性等に優れる半導体基板材料として期待されており、その基板形状を高度に制御することの実用上の利点は特に大きい。好ましい一態様に係る半導体基板は、そのおもて面が炭化ケイ素の単結晶からなる。
一態様に係る半導体基板は、500Hv以上のビッカース硬度を有する材料から構成されている。このような高硬度の材料から構成された半導体基板の裏面に加工歪層を設けることにより、高硬度基板の形状を高度に制御することができる。半導体基板の構成材料のビッカース硬度は、好ましくは700Hv以上(例えば1000Hv以上、典型的には1500Hv以上)である。1500Hv以上のビッカース硬度を有する材料としては、ダイヤモンド、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ガリウム等が挙げられる。ここに開示される基板は、機械的かつ化学的に安定な上記材料の単結晶表面を有するものであり得る。なかでも、半導体基板表面は、ダイヤモンド、炭化ケイ素および窒化ガリウムのうちのいずれかから構成されていることが好ましく、炭化ケイ素から構成されていることがより好ましい。ビッカース硬度の上限は特に限定されないが、凡そ7000Hv以下(例えば5000Hv以下、典型的には3000Hv以下)であってもよい。なお、本明細書において、ビッカース硬度は、JIS R 1610:2003に基づいて測定することができる。上記JIS規格に対応する国際規格はISO 14705:2000である。
ここに開示される半導体基板は、少なくとも裏面に加工歪層が存在する。本明細書において「加工歪層」とは、半導体基板表面に対する加工によって形成される加工歪(具体的には加工傷)の深さを層厚とみなして画定される層状領域のことをいい、半導体基板表面に存在する層(表面層)である。加工歪層の深さは、微分干渉顕微鏡による観察およびポリシングから測定することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
半導体基板の裏面に存在する加工歪層の深さは、特定の範囲に制限されず、おもて面の性状との関係で相対的に決定される。例えば、おもて面の加工歪層深さDFF[μm]と裏面の加工歪層深さDBF[μm]との差(DBF−DFF)は、加工歪層深さの違いに基づく変形応力を得る観点から凡そ0.1μm以上であることが適当である。好ましい一態様では、差(DBF−DFF)は凡そ0.2μm以上であり、より好ましくは凡そ0.3μm以上であり、例えば凡そ0.5μm以上(典型的には凡そ0.7μm以上)であってもよく、凡そ1μm以上(例えば凡そ1.3μm以上)であってもよい。上記差(DBF−DFF)は、所定厚さ(例えば凡そ5〜50μm厚、典型的には凡そ10〜30μm厚)のエピタキシャル膜がおもて面に形成されるような典型的な半導体デバイスにおいて好適である。他の一態様では、上記差(DBF−DFF)は、凡そ2μm以上であり、例えば凡そ3μm以上であってもよく、凡そ3.5μm以上(例えば凡そ3.8μm以上)であってもよい。このような差は、製造後におもて面が凸となる変形応力が比較的大きくなるような半導体基板に対して好ましく採用される。
また、上記差(DBF−DFF)は、例えば凡そ10μm以下であることが適当である。好ましい一態様では、差(DBF−DFF)は凡そ5μm以下であり、より好ましくは凡そ2.5μm以下(例えば凡そ2μm以下)であり、例えば凡そ1.2μm以下(典型的には凡そ1μm以下)であってもよく、凡そ0.7μm以下(例えば凡そ0.5μm以下)であってもよい。上記差(DBF−DFF)は、所定厚さ(例えば凡そ5〜50μm厚、典型的には凡そ10〜30μm厚)のエピタキシャル膜がおもて面に形成されるような典型的な半導体デバイスにおいて好適である。他の一態様では、上記差(DBF−DFF)は凡そ4.5μm以下であり、例えば凡そ4μm以下であってもよく、凡そ3.5μm以下であってもよい。なお、上記おもて面に加工歪層が存在しない場合、加工歪層深さDFFを0μmとして、差(DBF−DFF)は求められる。
半導体基板裏面の加工歪層深さは、おもて面に加工歪層が存在する場合におもて面側よりも大きい他は特に制限はない。例えば、裏面の加工歪層深さDBFは、凡そ0.1μm以上であることが適当であり、好ましくは凡そ0.2μm以上、より好ましくは凡そ0.3μm以上であり、例えば凡そ0.5μm以上(典型的には凡そ0.7μm以上)であってもよく、凡そ1μm以上(例えば凡そ1.3μm以上)であってもよい。加工歪層深さDBFは、所定厚さ(例えば凡そ5〜50μm厚、典型的には凡そ10〜30μm厚)のエピタキシャル膜がおもて面に形成されるような典型的な半導体デバイスにおいて好適である。他の一態様では、加工歪層深さDBFは凡そ2μm以上であり、例えば凡そ3μm以上であってもよく、凡そ3.5μm以上(例えば凡そ3.8μm以上)であってもよい。上記加工歪層深さDBFは、製造後におもて面が凸となる変形応力が比較的大きくなるような半導体基板に対して好ましく採用される。
また、裏面の加工歪層深さDBFは、例えば凡そ10μm以下であることが適当である。好ましい一態様では、加工歪層深さDBFは凡そ5μm以下であり、より好ましくは凡そ2.5μm以下(例えば凡そ2μm以下)であり、例えば凡そ1.2μm以下(典型的には凡そ1μm以下)であってもよく、凡そ0.7μm以下(例えば凡そ0.5μm以下)であってもよい。上記範囲の加工歪層深さDBFは、所定厚さ(例えば凡そ5〜50μm厚、典型的には凡そ10〜30μm厚)のエピタキシャル膜がおもて面に形成されるような典型的な半導体デバイスにおいて好適である。他の一態様では、加工歪層深さDBFは凡そ4.5μm以下であり、例えば凡そ4μm以下であってもよく、凡そ3.5μm以下であってもよい。
半導体基板のおもて面に加工歪層が存在する場合、おもて面の加工歪層深さDFFは、裏面の加工歪層深さDBFよりも小さい限りにおいて特に制限はない。例えば、おもて面の加工歪層深さDFFは10μm未満であることが適当であり、好ましくは5μm未満、より好ましくは1μm未満、さらに好ましくは0.3μm未満(例えば0.1μm未満)である。おもて面の加工歪層深さDFFの下限は0μm以上(例えば0μm超)であり、凡そ0.1μm以上であってもよい。このようなおもて面は高品質な表面としやすく、また、所定厚さのエピタキシャル膜がおもて面に形成されるような典型的な半導体デバイスにおいて好適である。
ここに開示される半導体基板のおもて面の算術平均表面粗さRaは、要求される表面品質に応じて設定され、特定の範囲に限定されない。例えば、上記Raは凡そ10nm以下とすることが適当であり、より高品質な表面が要求される用途においては、好ましくは5nm未満、より好ましくは1nm未満、さらに好ましくは凡そ0.3nm未満、特に好ましくは0.1nm未満(例えば0.07nm未満、典型的には0.05nm程度)である。おもて面のRaの下限は例えば0.01nm以上であり得る。
ここに開示される半導体基板の裏面の算術平均表面粗さRaは特に限定されず、通常、20nm以下程度とすることが適当である。好ましい一態様に係る裏面のRaは凡そ10nm以下(典型的には10nm未満)であり、より好ましくは5nm未満であり、例えば3nm未満であってもよく、2nm未満であってもよく、1nm未満(例えば0.3nm未満、典型的には0.1nm程度)であってもよい。裏面のRaの下限は、生産性等の観点から、例えば凡そ0.05nm以上であってもよく、凡そ0.5nm以上であってもよく、凡そ1nm以上であってもよい。
半導体基板のおもて面および裏面のRaは、市販の原子間力顕微鏡を用いて、測定領域10μm×10μmの条件で測定することができる。より具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
半導体基板は、基板の長さが大きく、また基板の厚さが小さいほど、その後の半導体デバイス製造のための処理(エピタキシャル膜、半導体素子等の形成)において、反り等の変形の影響が大きくなりやすい。そのような半導体基板に対して、ここに開示される技術を適用する効果は好ましく発揮される。そのような観点から、基板厚さT[mm]に対する基板長さ(最長長さ。円盤状の場合は直径)L[mm]の比(L/T)は、凡そ50以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ100以上、より好ましくは凡そ150以上、さらに好ましくは凡そ200以上であり、例えば凡そ250以上であってもよい。また、比(L/T)の上限は、基板強度や取扱い性等の観点から、例えば凡そ600以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ400以下、より好ましくは凡そ300以下、例えば凡そ250以下であってもよい。
ここに開示される半導体基板の長さ(最長長さ。円盤状の場合は直径)は特定の範囲に限定されない。ここに開示される技術による効果を好ましく得る観点から、上記基板の長さは、例えば凡そ20mm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ45mm以上、より好ましくは凡そ70mm以上であり、例えば凡そ100mm以上であってもよく、凡そ200mm以上であってもよく、凡そ300mm以上であってもよく、凡そ450mm以上であってもよい。上記大径の半導体基板は生産効率にも優れる。また、半導体基板の長さの上限は、例えば凡そ500mm以下とすることが適当であり、基板強度や取扱い性等の観点から、好ましくは凡そ300mm以下、より好ましくは凡そ220mm以下、さらに好ましくは凡そ120mm以下(例えば110mm未満)であり、例えば凡そ100mm以下であってもよく、凡そ80mm以下であってもよい。
半導体基板の厚さは、サイズ(直径等)等に応じて適切に設定される。上記基板の厚さは、通常は凡そ100μm以上であり、凡そ300μm以上(例えば凡そ350μm以上)とすることが適当であり、例えば凡そ500μm以上であってもよい。また、上記厚さは、通常は凡そ1500μm以下であり、凡そ1000μm以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ800μm以下であり、例えば凡そ500μm以下(典型的には500μm未満)であってもよく、凡そ400μm以下であってもよい。
ここに開示される半導体基板は、加工歪層に起因する圧縮応力により、おもて面側が凹となるように面全体が弧状に反るものとなり得る。このような変形応力が内在する半導体基板のおもて面にエピタキシャル膜等の膜形成を行うことで、上記おもて面の形成膜の圧縮応力に起因する変形と、意図的に設けた裏面加工歪層の圧縮応力とが相殺し、半導体基板は、半導体デバイスにおける形状が高度に制御されたものとなり得る。例えば、エピタキシャル膜等をおもて面に形成した半導体基板をより平坦なものにすることができ、形成膜の転位等の欠陥密度が低減して膜品質が向上し得る。
上記おもて面が凹となる反りは、例えば凹の深さが凡そ0.5μm以上であることが適当であり、好ましくは凡そ1μm以上、より好ましくは凡そ3μm以上、さらに好ましくは凡そ5μm以上であり、例えば凡そ6μm以上であってもよく、凡そ8μm以上であってもよい。また、上記凹の深さの上限は、通常は50μm未満であり、凡そ20μm以下(例えば20μm未満)であることが適当であり、好ましくは凡そ15μm以下、より好ましくは凡そ12μm以下であり、例えば凡そ10μm以下であってもよく、凡そ8μm以下であってもよく、凡そ6μm以下であってもよい。このような反りを有する半導体基板は、所定厚さ(例えば凡そ5〜50μm厚、典型的には凡そ10〜30μm厚)のエピタキシャル膜がおもて面に形成されるような典型的な半導体デバイスにおいて好適である。
半導体基板のおもて面の反りは、例えば、SEMI(Semiconductor equipment and materials international)規格におけるGBIR(Global backside ideal range)として評価され得る。GBIRは、ウェーハの裏面を平坦なチャック面に全面吸着させ、該裏面を基準面として、ウェーハの全面について上記基準面からの高さを測定し、最高高さから最低高さまでの距離を表したものである。GBIRは、公知の表面形状測定器を用いて測定することができる。例えば、東京精密社製の表面形状測定機「SURFCOM 1500DX」を用いることができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
≪半導体基板の製造方法≫
<加工対象物>
次に、ここに開示される半導体基板の製造方法について説明する。この製造方法では、まず加工対象物を用意する。特に限定するものではないが、加工対象物としては、半導体材料のインゴットをスライス等の手法により切り出し、ウェーハ状としたものが用いられる。加工対象物の構成材料としては、上述の半導体基板材料として例示したものを特に制限なく用いることができ、半導体基板材料の好適例が加工対象物の構成材料においても好適例となる。加工対象物の形状やサイズ(上面から見たときの形状やサイズ)は、製造される半導体基板と同様である。加工対象物の厚さは、製造される半導体基板の厚さが得られるよう適切に設定されるので、特定の範囲に限定されない。
<裏面加工工程>
ここに開示される半導体基板の製造方法は、ウェーハ状の加工対象物の裏面を加工する裏面加工工程を含むことによって特徴づけられる。ここで、上記加工対象物の裏面は、製造される半導体基板の裏面となる面である。ここに開示される裏面加工工程は、特定の工程に限定されず、公知の表面加工処理技術を適宜選択し、製造される半導体基板の裏面に加工歪層が存在するように実施される。また、上記半導体基板のおもて面に加工歪層が存在する場合には、半導体基板おもて面の加工歪層の深さよりも大きい深さを有する加工歪層が存在するように裏面加工工程は実施される。具体的には、裏面加工工程は、製造された半導体基板のおもて面に設けられるエピタキシャル膜等の形成膜の材質、構造、厚さ等を考慮して実施される。また、裏面加工工程後に裏面に存在する加工歪層の深さは、製造された半導体基板のおもて面に生じ得る圧縮応力に基づいて決定されることが好ましい。そのような圧縮応力は、例えば、おもて面に設けられるエピタキシャル膜等の形成膜の材質、構造、厚さ等によって決定され得る。
裏面加工工程は、特に限定されず、研削工程、ラッピング工程、CMP工程等の研削または研磨工程であり得る。研削工程、ラッピング工程、CMP工程等は1工程を単独で実施してもよく、2以上の工程を組み合わせて実施することもできる。
(裏面加工用砥粒)
裏面加工工程は、典型的には砥粒を用いる工程(例えば研削工程やラッピング工程、CMP工程)を含む。裏面加工工程で用いられる砥粒ABFの材質や性状は、特に制限されない。例えば、砥粒ABFは無機粒子、有機粒子および有機無機複合粒子のいずれかであり得る。例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、緑色炭化ケイ素(GC)粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;等のいずれかから実質的に構成される砥粒が挙げられる。砥粒ABFは1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、加工歪層形成性の点でダイヤモンド粒子が好ましい。
なお、本明細書において、砥粒の組成について「実質的にXからなる」または「実質的にXから構成される」とは、当該砥粒に占めるXの割合(Xの純度)が、重量基準で90%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、例えば99%以上)であることをいう。
後述するおもて面加工工程が砥粒AFFを用いる態様において、裏面加工工程で用いられる砥粒ABFは、上記おもて面加工工程で用いられる砥粒AFFよりも高硬度であることが好ましい。これにより、裏面側の加工歪層の深さがおもて面側よりも大きい基板を好ましく製造することができる。砥粒ABFのビッカース硬度HBF(Hv)と砥粒AFFのビッカース硬度HFF(Hv)との差(HBF−HFF)は、特に限定されないが、例えば凡そ100Hv以上(例えば凡そ500Hv以上、典型的には凡そ700Hv以上)とすることが適当である。他の好ましい一態様では、上記差(HBF−HFF)は凡そ1000Hv以上(例えば凡そ1200Hv以上、典型的には凡そ1800Hv以上)であり、より好ましくは凡そ3000Hv以上(例えば凡そ3500Hv以上、典型的には凡そ4000Hv以上)である。上記差(HBF−HFF)の上限は特に限定されず、例えば凡そ10000Hv以下(例えば凡そ9000Hv以下)とすることが適当であり、裏面の表面平滑性等の観点から、好ましくは凡そ5000Hv以下(例えば凡そ4000Hv以下、典型的には凡そ3500Hv以下)、より好ましくは凡そ2000Hv以下(例えば凡そ1500Hv以下、典型的には凡そ1000Hv以下)である。
砥粒ABFの硬度は特に限定されない。裏面側の加工歪層の深さを好適な範囲に調節する観点から、砥粒ABFのビッカース硬度HBF(Hv)は、例えば凡そ1000Hv以上(例えば凡そ1200Hv以上、典型的には凡そ1500Hv以上)とすることが適当であり、好ましくは凡そ2000Hv以上(例えば凡そ2200Hv以上、典型的には凡そ2400Hv以上)、より好ましくは凡そ4000Hv以上である。また、上記ビッカース硬度HBF(Hv)は、例えば凡そ12000Hv以下(例えば凡そ10000Hv以下)とすることが適当であり、裏面の表面平滑性等の観点から、好ましくは凡そ5000Hv以下(例えば凡そ4000Hv以下、典型的には凡そ3000Hv以下)、より好ましくは凡そ2500Hv以下(例えば凡そ2000Hv以下、典型的には凡そ1700Hv以下)である。
なお、砥粒のビッカース硬度は、砥粒として用いられる材料につき、上記JIS R 1610:2003に基づいて測定した値とする。
後述するおもて面加工工程が砥粒AFFを用いる態様において、裏面加工工程で用いられる砥粒ABFは、おもて面加工工程で用いられる砥粒AFFよりも粒子径が大きい。これにより、裏面側の加工歪層の深さがおもて面側よりも大きい基板を好ましく製造することができる。このような態様において、砥粒AFFの粒子径PFFに対する砥粒ABFの粒子径PBFの比(PBF/PFF)は1よりも大きいことが適当である。好ましい一態様では、比(PBF/PFF)は凡そ2以上であり、凡そ3以上(例えば凡そ4以上)であってもよく、凡そ5以上であってもよく、凡そ8以上(例えば凡そ9以上)であってもよく、凡そ20以上(例えば25以上)であってもよい。上記比(PBF/PFF)の上限は特に限定されず、凡そ100以下(例えば50以下)であってもよく、凡そ30以下であってもよく、凡そ15以下であってもよく、凡そ10以下(例えば凡そ5以下)であってもよい。
砥粒ABFの粒子径PBFは特に限定されない。裏面側の加工歪層の深さを好適な範囲に調節する観点から、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.05μm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ0.2μm以上、より好ましくは凡そ0.3μm以上であり、例えば凡そ0.4μm以上であってもよい。他の好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.8μm以上であり、より好ましくは凡そ2μm以上、さらに好ましくは凡そ2.5μm以上である。また、砥粒ABFの粒子径PBFの上限は特に限定されず、凡そ10μm以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ5μm以下である。他の好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ2μm以下であり、より好ましくは凡そ1.5μm以下、さらに好ましくは凡そ1.2μm以下である。さらに他の好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.7μm以下であり、より好ましくは凡そ0.5μm以下、さらに好ましくは凡そ0.3μm以下である。
なお、ここでいう砥粒ABFの粒子径PBFは、後述する各方法で測定することができる。砥粒ABFが一次および二次粒子径を有する場合は二次粒子径の値を粒子径PBFとする。
(研削工程)
好ましい一態様に係る裏面加工工程は研削工程を含む。本明細書において「研削工程」とは、定盤に固定砥粒を配置し、該固定砥粒を加工対象物表面に押し当てて行う工程をいう。固定砥粒は、通常、砥粒粒子がビトリファイドやレジノイド等の結合材で固められた凝集体であり、研削用砥石とも称される。砥粒は通常、結合材中に分散固定されている。また、本工程で使用される定盤としては、公知ないし慣用のものを用いることができる。研削工程は、必要に応じて水溶液からなる加工液を供給しながら実施される。
研削工程に用いられる砥粒ABFとしては、上記で例示した裏面加工用砥粒種の1種または2種以上が挙げられる。研削工程に用いられる砥粒ABFの好適例としてはダイヤモンド粒子が挙げられる。また、固定砥粒中の砥粒ABFの含有率は特に限定されず、技術常識に基づき適当な範囲が採用される。なお、ダイヤモンドホイール等の研削用砥石を用いる研削をホイール研削ということがある。
研削工程で用いられる砥粒ABFの粒子径PBFは特に限定されない。裏面側の加工歪層の深さを好適な範囲に調節する観点から、この工程で用いられる砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.1μm以上とすることが適当である。好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.2μm以上であり、例えば凡そ0.3μm以上であってもよい。他の好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.8μm以上であり、例えば凡そ2μm以上であってもよく、凡そ2.5μm以上であってもよい。また、砥粒ABFの粒子径PBFの上限は特に限定されず、凡そ10μm以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ5μm以下である。他の好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ2μm以下であり、より好ましくは凡そ1μm以下、さらに好ましくは凡そ0.7μm以下である。
研削工程で用いられる砥粒の粒子径は、電気抵抗試験法(JIS R6002)に基づく平均粒子径である。上記平均粒子径は、例えばベックマンコールター社製の「マルチサイザーIII」を用いて求めることができる。
なお、裏面加工工程が、研削工程を含む複数の加工工程から構成される場合、研削工程は裏面加工工程の最終工程であり得る。その場合、裏面加工工程において上記研削工程よりも後に加工工程は存在しない。
(ラッピング工程)
好ましい一態様に係る裏面加工工程はラッピング工程を含む。本明細書において「ラッピング工程」とは、対向する研磨定盤間に研磨対象物を保持したキャリア(キャリアプレートともいう。)を配し、上記研磨定盤およびキャリアの少なくとも一方を回転させて行う加工工程をいう。上記研磨定盤および/またはキャリアの回転は、両者が相対的に回転移動するように行われる。ラッピング工程は、典型的には、研磨定盤と加工対象物との間に遊離砥粒(例えばダイヤモンド粒子)を供給して行われる。遊離砥粒は、通常、研磨スラリーと称される水等の溶媒を含む液状の組成物の形態で加工対象物に供給される。ラッピング工程では研磨パッドは使用しない。
ここに開示されるラッピング工程で用いられる研磨定盤は、通常は金属製である。ラッピングに使用される研磨定盤には、定盤面(加工対象物に対向する表面)の精度維持のため、加工がされやすい性質が求められる。このため、少なくとも上記定盤面が例えば鋳鉄、錫、錫合金、銅または銅合金等の金属からなる研磨定盤が好適に使用される。研磨定盤としては、研磨用組成物の安定供給や加工圧の調整を目的に、定盤面に溝が付けられたものが用いられることがある。溝の形状や深さは任意であり、例えば格子状や放射状に溝が刻まれたものを使用し得る。
ラッピング工程に用いられる砥粒ABFとしては、上記で例示した裏面加工用砥粒種の1種または2種以上が挙げられる。この工程に用いられる砥粒ABFの好適例としてはダイヤモンド粒子が挙げられる。ラッピング用組成物における砥粒ABFの含有量は特に限定されず、技術常識に基づき適当な範囲が採用される。例えば、ラッピング用組成物における砥粒ABFの含有量は、凡そ1重量%以上が適当であり、好ましくは凡そ5重量%以上であり、また凡そ50重量%以下が適当であり、好ましくは凡そ30重量%以下である。
ラッピング工程で用いられる砥粒ABFの粒子径PBFは特に限定されない。裏面側の加工歪層の深さを好適な範囲に調節する観点から、この工程で用いられる砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.1μm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ0.2μm以上である。他の好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ0.8μm以上であり、例えば凡そ2μm以上であってもよく、凡そ2.5μm以上であってもよい。また、砥粒ABFの粒子径PBFの上限は特に限定されず、凡そ10μm以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ5μm以下、より好ましくは凡そ2μm以下、さらに好ましくは凡そ1.2μm以下である。他の好ましい一態様では、砥粒ABFの粒子径PBFは凡そ2μm以下であり、より好ましくは凡そ0.3μm以下である。ラッピング工程で用いられる砥粒の粒子径は、上記研削工程で用いられる砥粒の粒子径と同様の方法で測定することができる。後述の実施例についても同様である。
なお、裏面加工工程が、ラッピング工程を含む複数の加工工程(例えば研削工程を含む複数の加工工程)から構成される場合、ラッピング工程は裏面加工工程の最終工程であり得る。その場合、裏面加工工程において上記ラッピング工程よりも後に加工工程は存在しない。
(CMP工程)
好ましい一態様に係る裏面加工工程はCMP工程を含む。本明細書において「化学的機械研磨(CMP)工程」とは、研磨パッドを用いて当該研磨パッドと加工対象物との間に研磨スラリーを供給して行う研磨(ポリシング)工程をいう。CMP工程を採用することにより、高品質な裏面が得られやすい。
上記CMP工程は、好ましくは、後述するような研磨用組成物から構成される研磨スラリー(研磨液ともいう。)を加工対象物表面に供給して実施される。具体的には、上記研磨液を加工対象物表面に供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置に加工対象物をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて該加工対象物の表面(研磨対象面)に上記研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、加工対象物の裏面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。
(裏面研磨用組成物)
ここに開示される裏面研磨用組成物は、特定の組成に限定されず、裏面研磨用組成物を用いて実施する裏面加工工程を経た裏面に加工歪層を存在させ得る組成、あるいは、おもて面に加工歪層が存在する場合には、おもて面の加工歪層深さよりも大きい深さを有する加工歪層を裏面に存在させ得る組成が採用される。そのような裏面研磨用組成物は、例えば、砥粒ABFと、水等の溶媒と、を含み、さらに酸化剤等の研磨助剤CBFを含み得る。
裏面のCMP工程用の砥粒ABFとしては、上記で例示した裏面加工用砥粒種の1種または2種以上を用いることができる。この工程に用いられる砥粒ABFの好適例としてはアルミナ粒子が挙げられる。アルミナ粒子は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。加工性の観点から、アルミナ粒子はα−アルミナを含むことが好ましく、α−アルミナを主成分(構成成分中、最も多く含まれる成分)として含むことがより好ましい。他の好ましい一態様では、砥粒ABFとしてGCが用いられる。
裏面研磨用組成物に含まれる砥粒ABFとしては、その平均二次粒子径が0.01μmよりも大きいものを好ましく採用することができる。研磨効率等の観点から、砥粒ABFの平均二次粒子径は、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上である。上記平均二次粒子径を有する砥粒ABFを用いることによって、裏面の加工歪層深さを好適な範囲に調節しやすい。砥粒ABFの平均二次粒子径の上限は特に限定されず、概ね5μm以下にすることが適当である。例えば、研磨効率および表面品質の観点から、平均二次粒子径が0.05μm以上5μm以下の砥粒ABFが好ましく、0.1μm以上3μm以下の砥粒ABFが好ましく、0.3μm以上1μm以下の砥粒ABFが特に好ましい。例えば、平均二次粒子径が0.4μm以上0.8μm以下の砥粒ABFであってもよい。
なお、CMP工程に用いられる砥粒ABFの平均二次粒子径は、特記しない限り、レーザー回析散乱法に基づき測定される。測定は、堀場製作所製のレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(商品名「LA‐950」)を用いて行うことができる。
裏面研磨用組成物における砥粒ABFの含有量(複数種類の砥粒を含む場合には、それらの合計含有量)は、特に制限はないが、典型的には0.1重量%以上であり、加工時間短縮の観点から、0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、3重量%以上であることがさらに好ましい。所定量以上の砥粒ABFを含むことによって、裏面の加工歪層深さを好適な範囲に調節しやすい。研磨の安定性およびコスト低減等の観点から、通常、砥粒ABFの含有量は、20重量%以下が適当であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。ここに開示される技術は、例えば裏面研磨用組成物における砥粒ABFの含有量が0.1重量%以上20重量%以下(好ましくは3重量%以上8重量%以下)である態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される裏面研磨用組成物は研磨助剤(典型的には酸化剤)CBFを含むことが好ましい。研磨助剤CBFは、ポリシングによる効果を増進する成分であり、典型的には水溶性のものが用いられる。研磨助剤CBFは、特に限定的に解釈されるものではないが、ポリシングにおいて加工対象物表面を変質(例えば酸化変質)する作用を示し、加工対象物表面の脆弱化をもたらすことで、砥粒ABFによる研磨に寄与していると考えられる。
研磨助剤CBFとしては、過酸化水素等の過酸化物;硝酸、その塩である硝酸鉄、硝酸銀、硝酸アルミニウム、その錯体である硝酸セリウムアンモニウム等の硝酸化合物;ペルオキソ一硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸等の過硫酸、その塩である過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸化合物;塩素酸やその塩、過塩素酸、その塩である過塩素酸カリウム等の塩素化合物;臭素酸、その塩である臭素酸カリウム等の臭素化合物;ヨウ素酸、その塩であるヨウ素酸アンモニウム、過ヨウ素酸、その塩である過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム等のヨウ素化合物;鉄酸、その塩である鉄酸カリウム等の鉄酸類;過マンガン酸、その塩である過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸類;クロム酸、その塩であるクロム酸カリウム、ニクロム酸カリウム等のクロム酸類;バナジン酸、その塩であるバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム等のバナジン酸類;過ルテニウム酸またはその塩等のルテニウム酸類;モリブデン酸、その塩であるモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸二ナトリウム等のモリブデン酸類;過レニウムまたはその塩等のレニウム酸類;タングステン酸、その塩であるタングステン酸二ナトリウム等のタングステン酸類;が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。なかでも、研磨効率等の観点から、過マンガン酸またはその塩、過酸化物、バナジン酸またはその塩、過ヨウ素酸またはその塩が好ましく、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
好ましい一態様では、裏面研磨用組成物は、研磨助剤CBFとして複合金属酸化物を含む。上記複合金属酸化物としては、硝酸金属塩、鉄酸類、過マンガン酸類、クロム酸類、バナジン酸類、ルテニウム酸類、モリブデン酸類、レニウム酸類、タングステン酸類が挙げられる。なかでも、鉄酸類、過マンガン酸類、クロム酸類がより好ましく、過マンガン酸類がさらに好ましい。
さらに好ましい一態様では、上記複合金属酸化物として、1価または2価の金属元素(ただし、遷移金属元素を除く。)と、周期表の第4周期遷移金属元素と、を有する複合金属酸化物CMOが用いられる。上記1価または2価の金属元素(ただし、遷移金属元素を除く。)の好適例としては、Na、K、Mg、Caが挙げられる。なかでも、Na、Kがより好ましい。周期表の第4周期遷移金属元素の好適例としては、Fe、Mn、Cr、V、Tiが挙げられる。なかでも、Fe、Mn、Crがより好ましく、Mnがさらに好ましい。
ここに開示される裏面研磨用組成物が、研磨助剤CBFとして複合金属酸化物(好ましくは複合金属酸化物CMO)を含む場合、複合金属酸化物以外の研磨助剤CBFをさらに含んでもよく、含まなくてもよい。ここに開示される技術は、裏面研磨用組成物が研磨助剤CBFとして複合金属酸化物(好ましくは複合金属酸化物CMO)以外の研磨助剤(例えば過酸化水素)CBFを実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。
裏面研磨用組成物における研磨助剤CBFの濃度(含有量)は、通常は0.1重量%以上とすることが適当である。研磨レートと平坦性とを高度にかつ効率的に両立する観点から、上記濃度は0.3重量%以上が好ましく、0.5重量%以上(例えば0.8重量%以上)がより好ましい。また、平滑性向上の観点から、上記研磨助剤CBFの濃度は、通常は10重量%以下とすることが適当であり、8重量%以下とすることが好ましく、6重量%以下(例えば5重量%以下、あるいは3重量%以下)とすることがより好ましい。
ここに開示される裏面研磨用組成物は、ここに開示される技術による効果を損なわない範囲で、キレート剤、増粘剤、分散剤、表面保護剤、濡れ剤、pH調整剤、界面活性剤、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防錆剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(典型的には半導体基板研磨用組成物、例えば炭化ケイ素基板ポリシング用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
裏面研磨用組成物のpHは、通常は8.0〜12程度とすることが適当である。裏面研磨用組成物のpHが上記範囲内であると、実用的な研磨レートが達成されやすく、取扱いも容易である。裏面研磨用組成物のpHは、好ましくは8.0〜11、より好ましくは8.0〜10、特に好ましくは8.5〜9.5(例えば9.0程度)である。
なお、裏面加工工程が、CMP工程を含む複数の加工工程(例えば研削工程やラッピング工程を含む複数の加工工程)から構成される場合、CMP工程は裏面加工工程の最終工程であり得る。その場合、裏面加工工程において上記CMP工程よりも後に加工工程は存在しない。
上記裏面加工工程を経た加工物(半導体基板であり得る。)の裏面には加工歪層が存在している。また、上記加工物のおもて面に加工歪層が存在する場合には、当該おもて面の加工歪層の深さよりも大きい深さを有する加工歪層が上記裏面に存在する。これによって、製造後や半導体デバイスにおける半導体基板形状を高度に制御することができる。また、裏面加工工程を経た加工物は、所定の表面粗さRaを有し得る。裏面加工工程を経た裏面に存在する加工歪層の深さ、当該裏面とおもて面との加工歪層深さの差、裏面のRaは、上述の半導体基板裏面の加工歪層の深さDBF、差(DBF−DFF)、裏面のRaと同様の値をとり得るので、重複する説明は省略する。
<おもて面加工工程>
ここに開示される半導体基板の製造方法は、典型的には、おもて面加工工程を含む。上記おもて面加工工程では、上記加工対象物のおもて面を加工する。ここで、加工対象物のおもて面は、製造される半導体基板のおもて面となる面である。おもて面加工工程は、典型的には、加工対象物のおもて面を平滑面とする工程であり、より具体的には、鏡面となるような高品質表面に仕上げる工程である。
ここに開示されるおもて面加工工程は、特定の構成に限定されず、公知の表面加工処理技術を、上述の裏面加工工程を考慮して適宜選択し、おもて面に加工歪層が存在しないように、あるいは裏面の加工歪層深さよりも小さい深さを有する加工歪層を有するように実施される。おもて面加工工程としては、特に限定するものではないが、研削工程、ラッピング工程、CMP工程等のうち1または2以上の工程が採用され得る。おもて面加工工程において実施され得る研削工程およびラッピング工程の詳細は裏面加工工程にて説明したとおりであり、ここに開示される技術の効果が好ましく得られるよう、砥粒種、砥粒の硬度や粒子径等の条件や事項を裏面加工工程における条件等と異ならせて、おもて面加工工程における研削工程およびラッピング工程は実施され得る。
(おもて面加工用砥粒)
おもて面加工工程は、通常、砥粒AFFを用いる工程を含む。砥粒AFFとしては、上記で例示した裏面加工用砥粒種の1種または2種以上が挙げられる。なかでも、シリカ粒子、アルミナ粒子が好ましい。
好ましい一態様では、砥粒AFFはシリカ砥粒(シリカ粒子)を含有する。シリカ砥粒は、公知の各種シリカ粒子のなかから適宜選択して使用することができる。そのような公知のシリカ粒子としては、コロイダルシリカ、乾式法シリカ等が挙げられる。なかでも、コロイダルシリカの使用が好ましい。コロイダルシリカを含むシリカ砥粒によると、高い研磨レートと良好な面精度とが好適に達成され得る。
砥粒AFF(例えばシリカ砥粒)の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。例えば、非球形をなすシリカ砥粒の具体例としては、ピーナッツ形状(すなわち、落花生の殻の形状)、繭型形状、金平糖形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。ここに開示される技術において、砥粒AFF(例えばシリカ砥粒)は、一次粒子の形態であってもよく、複数の一次粒子が会合した二次粒子の形態であってもよい。また、一次粒子の形態の砥粒(例えばシリカ砥粒)と二次粒子の形態の砥粒(例えばシリカ砥粒)とが混在していてもよい。好ましい一態様では、少なくとも一部の砥粒AFF(例えばシリカ砥粒)が二次粒子の形態で研磨用組成物中に含まれている。
おもて面加工工程で用いられる砥粒AFFの硬度は特に限定されない。砥粒AFFのビッカース硬度HFF(Hv)は、例えば凡そ200Hv以上(例えば凡そ400Hv以上、典型的には凡そ600Hv以上)とすることが好ましい。他の一態様では、砥粒AFFのビッカース硬度HFF(Hv)は、例えば凡そ1000Hv以上(例えば凡そ1200Hv以上、典型的には凡そ1500Hv以上)である。また一態様において、上記ビッカース硬度HFF(Hv)は、加工歪層の深さを所定値以下とする観点から、例えば凡そ2500Hv以下(例えば凡そ2000Hv以下、典型的には凡そ1700Hv以下)であることが好ましい。他の一態様では、上記ビッカース硬度HFF(Hv)は、例えば凡そ1500Hv以下(例えば凡そ1000Hv以下、典型的には凡そ800Hv以下)とすることが好ましい。加工対象物のおもて面よりも硬度の低い砥粒を用いることによって、より高品質な表面を得ることができる。
砥粒AFF(例えばシリカ砥粒)としては、その平均一次粒子径(以下、単に「D1」と表記することがある。)が5nmよりも大きいものを好ましく採用することができる。研磨効率等の観点から、D1は、好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは25nm以上、特に好ましくは30nm以上である。D1の上限は特に限定されないが、概ね120nm以下にすることが適当であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは85nm以下である。例えば、研磨効率および面品質をより高いレベルで両立させる観点から、D1が12nm以上80nm以下の砥粒AFF(典型的にはシリカ砥粒)が好ましく、15nm以上60nm以下の砥粒AFF(典型的にはシリカ砥粒)が好ましい。
なお、ここに開示される技術において、砥粒AFFの平均一次粒子径とは、BET法により測定される比表面積(BET値)から、平均一次粒子径(nm)=6000/(真密度(g/cm)×BET値(m/g))の式により算出される粒子径をいう。例えば、シリカ砥粒の場合、平均一次粒子径(nm)=2727/BET値(m/g)により平均一次粒子径を算出することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
砥粒AFF(例えばシリカ砥粒)の平均二次粒子径(以下、単に「D2」と表記することがある。)は特に限定されないが、研磨効率等の観点から、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは70nm以上である。また、より高品位の表面を得るという観点から、砥粒AFF(例えばシリカ砥粒)の平均二次粒子径D2は、500nm以下が適当であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは130nm以下、特に好ましくは110nm以下(例えば100nm以下)である。
なお、ここに開示される技術において、砥粒AFFの平均二次粒子径は、例えば、日機装社製の型式「UPA−UT151」を用いた動的光散乱法により、体積平均粒子径(体積基準の算術平均径;Mv)として測定することができる。
好ましい一態様では、おもて面加工工程はCMP工程を含む。CMP工程を採用することにより、ここに開示される半導体基板が得られやすく、また高品質な表面が得られやすい。好ましい一態様に係るCMP工程は、後述する研磨用組成物から構成された研磨スラリー(研磨液ともいう。)を加工対象物表面に供給して実施される。具体的には、上記研磨液を加工対象物表面に供給し、裏面研磨用組成物におけるCMP工程の場合と同様に、常法により研磨する工程であり得る。
(おもて面研磨用組成物)
ここに開示されるおもて面研磨用組成物は、特定の組成に限定されず、おもて面に加工歪層が存在しないように、あるいは裏面の加工歪層深さよりも小さい深さを有する加工歪層とし得る組成が採用される。そのような研磨用組成物は、例えば、砥粒と、水等の溶媒と、を含み、さらに酸化剤等の研磨助剤CFFを含み得る。
おもて面のCMP工程に用いられる砥粒AFFとしては、上記で例示した裏面加工用砥粒種の1種または2種以上が挙げられる。なかでも、シリカ粒子、アルミナ粒子が好ましく、シリカ粒子がより好ましく、コロイダルシリカがさらに好ましい。好ましく使用される砥粒AFF(例えばシリカ砥粒)の平均一次粒子径および平均二次粒子径は上述のとおりであり、重複する説明は繰り返さない。
おもて面研磨用組成物における砥粒AFFの含有量は、例えばシリカ砥粒の場合、概ね12重量%以上である。研磨効率等の観点から、上記含有量は、好ましくは15重量%以上である。いくつかの態様において、上記含有量は、例えば20重量%以上であってもよい。また、研磨レートと面品質とを高いレベルで両立する等の観点から、砥粒AFFの含有量は、例えばシリカ砥粒の場合、概ね50重量%以下である。上記含有量は、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。いくつかの態様において、上記含有量は、例えば42重量%以下であってもよく、典型的には38重量%以下(例えば35重量%以下)であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、おもて面研磨用組成物におけるシリカ砥粒の含有量が12重量%以上35重量%以下(さらには15重量%以上30重量%以下)である態様で好ましく実施され得る。
おもて面研磨用組成物における砥粒AFFの含有量は、例えばアルミナ砥粒の場合、概ね0.1重量%以上である。研磨効率等の観点から、上記含有量は、好ましくは0.5重量%以上である。いくつかの態様において、上記含有量は、例えば1重量%以上であってもよい。また、研磨レートと面品質とを高いレベルで両立する等の観点から、砥粒AFFの含有量は、例えばアルミナ砥粒の場合、概ね20重量%以下である。上記含有量は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下である。いくつかの態様において、上記含有量は、例えば13重量%以下であってもよく、典型的には10重量%以下(例えば8重量%以下)であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、おもて面研磨用組成物におけるアルミナ砥粒の含有量が0.1重量%以上20重量%以下(さらには3重量%以上8重量%以下)である態様で好ましく実施され得る。
ここに開示されるおもて面研磨用組成物は研磨助剤(例えば酸化剤)CFFを含むことが好ましい。研磨助剤CFFとしては、裏面研磨用組成物にて例示した研磨助剤CFFの1種または2種以上を特に制限なく用いることができる。研磨レートと面品質とを高レベルで両立する観点から、過酸化水素、バナジン酸類が好ましく、過酸化水素とバナジン酸類(例えばメタバナジン酸ナトリウム)とを併用することが特に好ましい。
特に好ましい一態様において併用される過酸化水素とバナジン酸類(例えばメタバナジン酸ナトリウム)の含有量の比、すなわちバナジン酸類の含有量C1に対する過酸化水素の含有量C2の比(C2/C1)は、特に限定されず、重量基準で0.5以上2以下であることが適当であり、0.6以上1.9以下であることが好ましく、0.6以上1.5以下であることがより好ましい。上記化合物を特定の含有量比となるように組み合わせて用いることにより、研磨レートと面品質との両立がより高いレベルで実現され得る。いくつかの態様において、上記比(C2/C1)は、例えば0.6以上1.2以下であってもよく、典型的には0.6以上0.9以下であってもよい。
おもて面研磨用組成物における研磨助剤CFFの濃度(含有量)は、通常は0.1重量%以上とすることが適当である。研磨レートと面品質とを高度にかつ効率的に両立する観点から、好ましい一態様における上記濃度は1重量%以上であり、より好ましくは1.5重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上、特に好ましくは2.5重量%以上(例えば2.8重量%以上)である。また、平滑性向上の観点から、上記研磨助剤CFFの濃度は、通常は10重量%以下とすることが適当であり、8重量%以下とすることが好ましく、6.5重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましく、5.5重量%以下であることが特に好ましい。いくつかの態様において、上記濃度は、例えば4.5重量%以下であってもよく、典型的には4重量%以下であってもよい。
ここに開示されるおもて面研磨用組成物は、ここに開示される技術の効果を損なわない範囲で、キレート剤、増粘剤、分散剤、表面保護剤、濡れ剤、pH調整剤、界面活性剤、有機酸、無機酸、防錆剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(例えば炭化ケイ素基板ポリシング用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
おもて面研磨用組成物のpHは、通常は2〜12程度とすることが適当である。おもて面研磨用組成物のpHが上記範囲内であると、実用的な研磨レートが達成されやすい。おもて面研磨用組成物のpHは、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5.5以上である。pHの上限は特に限定されないが、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9.5以下である。上記pHは、好ましくは3〜11、より好ましくは4〜10、さらに好ましくは5.5〜9.5である。おもて面研磨用組成物のpHは、例えば9以下、典型的には7.5以下であってもよい。
なお、おもて面加工工程が、CMP工程を含む複数の加工工程から構成される場合、CMP工程はおもて面加工工程の最終工程であり得る。その場合、おもて面加工工程において上記CMP工程よりも後に加工工程は存在しない。また、おもて面加工工程において、砥粒を用いないエッチング工程を実施する場合には、かかるエッチング工程は、上記CMP工程の前後で実施され得る。
一態様において、おもて面加工工程は、予備ポリシングを行う工程(予備ポリシング工程)と、仕上げポリシングを行う工程(仕上げポリシング工程)と、を含み得る。ここでいう予備ポリシング工程とは、加工対象物に対して、予備ポリシングを行う工程である。典型的な一態様では、予備ポリシング工程は、仕上げポリシング工程の直前に配置されるポリシング工程である。予備ポリシング工程は、1段のポリシング工程であってもよく、2段以上の複数段のポリシング工程であってもよい。また、ここでいう仕上げポリシング工程は、予備ポリシングが行われた加工対象物に対して仕上げポリシングを行う工程であって、ポリシング用組成物を用いて行われるポリシング工程のうち最後に(すなわち、最も下流側に)配置される研磨工程のことをいう。このように予備ポリシング工程と仕上げポリシング工程とを含む方法において、上述のおもて面研磨用組成物は、典型的には仕上げポリシング工程で用いられる。予備ポリシング工程および仕上げポリシング工程の両方で用いられてもよい。
さらに、ここに開示されるおもて面加工工程は、上記予備ポリシング工程および仕上げポリシング工程に加えて任意の他の工程を含み得る。そのような工程としては、予備ポリシング工程の前に行われる研削工程、ラッピング工程が挙げられる。また、ここに開示されるおもて面加工工程は、予備ポリシング工程の前や、予備ポリシング工程と仕上げポリシング工程との間に追加の工程(洗浄工程やポリシング工程)を含んでもよい。
上記おもて面加工工程を経た加工物(半導体基板であり得る。)のおもて面には加工歪層が存在しない。あるいは、上記加工物のおもて面に加工歪層が存在する場合には、当該おもて面の加工歪層の深さは、裏面に存在する加工歪層の深さよりも小さい。これによって、製造後や半導体デバイスにおける半導体基板形状を高度に制御することができる。また、おもて面加工工程を経た加工物は、所定の表面粗さRaを有し得る。おもて面加工工程を経たおもて面に存在する加工歪層の深さおよびRaは、上述の半導体基板おもて面の加工歪層の深さDFFおよびRaと同様の値をとり得るので、重複する説明は省略する。
なお、ラッピング用組成物や研磨用組成物(裏面研磨用組成物およびおもて面研磨用組成物を包含する。特に断りがないかぎり以下同じ。)に用いられる溶媒は、砥粒や任意成分である研磨助剤を分散させることができるものであればよく、特に制限されない。溶媒としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。ここに開示されるラッピング用組成物や研磨用組成物は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。通常は、上記組成物に含まれる溶媒の90体積%以上が水であることが好ましく、95体積%以上(典型的には99〜100体積%)が水であることがより好ましい。
また、ここに開示されるラッピング用組成物や研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、溶媒以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。また、ここに開示されるラッピング用組成物や研磨用組成物は、加工対象物に供給される前には濃縮された形態(すなわち、ラッピング液や研磨液の濃縮液の形態)であってもよい。このように濃縮された形態のラッピング用組成物や研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば、体積換算で2倍〜5倍程度とすることができる。
なお、ラッピング用組成物や研磨用組成物の調製には、濃度調整(例えば希釈)、pH調整等の操作を加えてラッピング液や研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、上記ラッピング用組成物をそのままラッピング液として使用してもよく、上記研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。また、多剤型の研磨用組成物の場合、上記研磨液を調製することには、それらの剤を混合すること、該混合の前に1または複数の剤を希釈すること、該混合の後にその混合物を希釈すること、等が含まれ得る。
また、ここに開示される加工工程では、片面研削装置や片面研磨装置が用いられ得る。片面研削装置では、例えばキャリアと呼ばれる保持具を用いて加工対象物を保持し、当該加工対象物の片面に、定盤に固定した固定砥粒(研削用砥石)を押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させることにより加工対象物の片面を研削する。研削中においては、通常、加工対象物表面に水溶液からなる加工液が供給される。また、片面研磨装置では、セラミックプレートにワックスで加工対象物を貼りつけたり、キャリアと呼ばれる保持具を用いて加工対象物を保持し、砥粒(ポリシングの場合にはポリシング用組成物)を供給しながら加工対象物の片面に、定盤または研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させることにより加工対象物の片面を研磨する。
また、ここに開示される加工工程は、両面研削装置や両面研磨装置を用いることもできる。両面研削装置では、キャリアと呼ばれる保持具を用いて加工対象物を保持し、当該加工対象物の対向面に、定盤に固定した固定砥粒(研削用砥石)を押しつけてそれらを相対方向に回転させることにより加工対象物の両面を同時に研削する。研削中においては、通常、加工対象物表面に水溶液からなる加工液が供給される。また、両面研磨装置では、キャリアと呼ばれる保持具を用いて加工対象物を保持し、上方より砥粒(ポリシングの場合にはポリシング用組成物)を供給しながら、加工対象物の対向面に研磨パッドを押しつけ、それらを相対方向に回転させることにより加工対象物の両面を同時に研磨する。
ここに開示されるCMP工程で使用される研磨パッドは、特に限定されない。例えば、不織布タイプ、スウェードタイプ、硬質発泡ポリウレタンタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもの等のいずれを用いてもよい。
ここに開示される方法により加工された加工物は、典型的にはポリシング後に洗浄される。この洗浄は、適当な洗浄液を用いて行うことができる。使用する洗浄液は特に限定されず、公知、慣用のものを適宜選択して用いることができる。
<研磨用組成物セット>
ここに開示される技術には、例えば、以下のような研磨用組成物セットの提供が含まれ得る。すなわち、ここに開示される技術によると、互いに分けて保管される組成物Q1および組成物Q2を含む研磨用組成物セットが提供される。上記組成物Q1は、ここに開示される裏面加工工程に用いられる裏面研磨用組成物(濃縮液を包含する。)であり得る。上記組成物Q2は、ここに開示されるおもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物(濃縮液を包含する。)であり得る。このような構成の研磨用組成物セットを用いて裏面加工工程およびおもて面加工工程を含む多段加工プロセスを実施すると、製造後における形状が高度に制御された半導体基板が好適に製造され得る。また、得られる半導体基板は、高い面品質を有するものであり得る。
<組成物セット>
ここに開示される技術には、例えば、以下のような組成物セットの提供が含まれ得る。すなわち、ここに開示される技術によると、互いに分けて保管される組成物Q3および組成物Q4を含む組成物セットが提供される。上記組成物Q3は、ここに開示される裏面加工工程に用いられるラッピング用組成物(濃縮液を包含する。)であり得る。上記組成物Q4は、ここに開示されるおもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物(濃縮液を包含する。)であり得る。このような構成の組成物セットを用いて裏面加工工程およびおもて面加工工程を含む多段加工プロセスを実施すると、製造後における形状が高度に制御された半導体基板が高い加工能率で製造され得る。また、得られる半導体基板は、高い面品質を有するものであり得る。
<半導体基板製造用セット>
ここに開示される技術には、例えば、以下のような半導体基板製造用セットの提供が含まれ得る。すなわち、ここに開示される技術によると、互いに分けて保管される研削用砥粒および組成物Q5を含む半導体基板製造用セットが提供される。上記研削用砥粒は、ここに開示される裏面加工工程に用いられる研削用砥粒であり得る。上記組成物Q5は、ここに開示されるおもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物(濃縮液を包含する。)であり得る。このような構成のセットを用いて裏面加工工程およびおもて面加工工程を含む多段加工プロセスを実施すると、製造後における形状が高度に制御された半導体基板が高い加工能率で製造され得る。また、得られる半導体基板は、高い面品質を有するものであり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<研磨用組成物の調製>
(調製例1)
コロイダルシリカとメタバナジン酸ナトリウムと過酸化水素と脱イオン水とを混合して研磨用組成物Aを調製した。コロイダルシリカの含有量は23%、メタバナジン酸ナトリウムの含有量は1.9%、過酸化水素の含有量は1.2%とした。研磨用組成物のpHは、水酸化カリウム(KOH)を用いて6.5に調整した。なお、コロイダルシリカは、平均二次粒子径が97nmの球状のものを使用した。
(調製例2)
アルミナ砥粒(α−アルミナ、平均二次粒子径:0.5μm)と研磨助剤としての過マンガン酸カリウム(KMnO)と脱イオン水とを混合して研磨用組成物Bを調製した。アルミナ砥粒の含有量は6%、KMnOの含有量は1.2%とした。研磨用組成物のpHは、KOHを用いて9.0に調整した。
<例1〜例10>
表1に示す内容で加工対象物のおもて面および裏面に対して加工を実施した。加工条件は下記のとおりである。CMP工程では、研磨用組成物A、BをそれぞれスラリーA,Bとして用いた。GCは緑色炭化ケイ素粒子を砥粒として含むスラリーである。加工対象物としては、3インチのSiCウェーハ(伝導型:n型、結晶型4H 4°off)を使用した。
[CMP条件]
研磨装置:不二越機械工業社製の製品名「SPM−11」
研磨パッド:フジミインコーポレーテッド社製の「SURFIN 019‐3」
研磨圧力:300g/cm
定盤回転数:60回転/分
ヘッド回転数:40回転/分(強制駆動)
研磨液の供給レート:≧20mL/分(掛け流し)
研磨液の温度:25℃
研磨時間:Raが一定になるまで
[ラッピング条件]
研磨装置:日本エンギス社製の片面研磨装置、型式「EJ−380IN」
研磨定盤:銅製
研磨圧力:300g/cm
定盤回転数:70回転/分
ヘッド回転数:40回転/分(強制駆動)
研磨液中の砥粒濃度:10%
研磨液の供給レート:10mL/分(掛け流し)
研磨液の温度:25℃
研磨時間:Raが一定になるまで
[研削条件]
研削装置:秀和工業社製の製品名「MHG−2000」
研削用砥石:ダイヤモンドホイール(結合材:ビドリファイド)
砥石回転数:2000回転/分
ワーク回転数:200回転/分
研削時間:Raが一定になるまで
<加工歪層深さの測定>
加工物のおもて面および裏面における加工歪層の深さは、微分干渉顕微鏡(ニコン社製の商品名「OPTIPHOTO300」)による観察(観察倍率:10〜200倍)およびポリシングから測定した。具体的には、微分干渉顕微鏡によって加工傷を特定し、当該特定された加工傷をポリシングによって除去し、その除去までに要する研磨取り代に相当する深さを加工歪層の深さ[μm]とした。ポリシング条件および研磨取り代の算出方法を以下に示す。
[ポリシング条件]
研磨装置:日本エンギス社製の片面研磨装置、型式「EJ−380IN」
研磨パッド:ニッタ・ハース社製「SUBA800」
研磨圧力:300g/cm
定盤回転数:80回転/分
研磨時間:加工傷が消えるまで
ヘッド回転数:40回転/分
研磨液の供給レート:20mL/分(掛け流し)
研磨液の温度:25℃
研磨液:コロイダルシリカ+バナジン酸塩+過酸化水素(pH8)
[研磨取り代]
研磨取り代[cm]=研磨前後のSiCウェーハの重量の差[g]/SiCの密度[g/cm](=3.21g/cm)/研磨対象面積[cm](=19.62cm
測定結果を表1に示す。
<表面粗さRa>
各例に係る加工後の加工物表面につき、原子間力顕微鏡(AFM;商品名「D3100 Nano Scope V」、Veeco社製)を用いて、測定領域10μm×10μmの条件で表面粗さRa[nm]を測定した。結果を表1に示す。
<基板形状の評価>
各例に係る加工方法で製造した半導体基板の反り方(おもて面を基準としたときの凹凸)およびその程度[μm]をGBIRにて測定した。測定は、東京精密社製の表面形状測定機「SURFCOM 1500DX」を用いた。おもて面側が凸となる反りについては「+Xμm」と記載し、おもて面側が凹となる反りについては「−Xμm」と記載した。結果を表1に示す。
<膜形成後基板形状の評価>
各例に係る加工方法で製造した半導体基板のおもて面にエピタキシャル膜を形成し、エピタキシャル膜形成後の半導体基板の形状をGBIRにて測定した。エピタキシャル膜として厚さ30μmのn-型SiC層を形成した。得られたGBIRの測定結果に基づき下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
◎:GBIR3μm以下
○:GBIR3μm超10μm以下
△:GBIR10μm超14μm以下
×:GBIR14μm超
Figure 2019188901
表1に示されるように、おもて面に加工歪層が存在せず、裏面に加工歪層が存在した例1〜3,例5〜8では、膜形成後の半導体基板形状の評価結果が優良または実用上許容し得る範囲であった。また、おもて面に加工歪層が存在する基板においても、裏面の加工歪層の深さがおもて面のものよりも大きかった例4では、膜形成後の半導体基板形状の評価結果が良好であった。この効果は、裏面加工工程の方法および条件を適切に設定することにより得られる。特に、研削工程およびラッピング工程において、相対的に小さい粒子径の砥粒を用いた例5、例7および例8では、膜形成後の半導体基板形状の評価結果が優れていた。一方、裏面に加工歪層が存在しない例9,10では、膜形成後の半導体基板形状の評価結果が不良であった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (19)

  1. ウェーハ状の加工対象物の裏面を加工する裏面加工工程を含む半導体基板の製造方法であって、
    前記裏面加工工程を経た前記裏面には加工歪層が存在しており、
    前記裏面に存在する加工歪層の深さは前記半導体基板のおもて面の加工歪層の深さよりも大きいか、あるいは前記おもて面には加工歪層が存在しない、半導体基板の製造方法。
  2. 前記裏面加工工程は、前記裏面の算術平均表面粗さRaを10nm以下とする工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記裏面に存在する加工歪層の深さは0.1μm以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記裏面加工工程は化学的機械研磨工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記裏面加工工程はラッピング工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記裏面加工工程は研削工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記加工対象物のおもて面を加工するおもて面加工工程を含み、
    前記おもて面加工工程および前記裏面加工工程はともに砥粒を用いる工程を含み、
    前記裏面加工工程で用いられる砥粒は、前記おもて面加工工程で用いられる砥粒よりも高硬度である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記加工対象物のおもて面を加工するおもて面加工工程を含み、
    前記おもて面加工工程および前記裏面加工工程はともに砥粒を用いる工程を含み、
    前記裏面加工工程で用いられる砥粒は、前記おもて面加工工程で用いられる砥粒よりも粒子径が大きい、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記半導体基板は、炭化ケイ素から構成された半導体基板である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法に用いられる研磨用組成物セットであって、
    前記裏面加工工程に用いられる裏面研磨用組成物としての組成物Q1と、
    前記おもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物としての組成物Q2と
    を含み、
    前記組成物Q1と前記組成物Q2とは互いに分けて保管されている、研磨用組成物セット。
  11. 前記裏面研磨用組成物は砥粒ABFを含有し、
    前記おもて面研磨用組成物は砥粒AFFを含有し、
    前記砥粒ABFはアルミナ粒子または緑色炭化ケイ素粒子であり、前記砥粒AFFはシリカ粒子またはアルミナ粒子である、請求項10に記載の研磨用組成物セット。
  12. 前記裏面研磨用組成物は研磨助剤CBFを含有し、
    前記おもて面研磨用組成物は研磨助剤CFFを含有し、
    前記研磨助剤CBFは過マンガン酸またはその塩であり、前記研磨助剤CFFは過酸化水素およびバナジン酸類である、請求項11に記載の研磨用組成物セット。
  13. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法に用いられる組成物セットであって、
    前記裏面加工工程に用いられるラッピング用組成物としての組成物Q3と、
    前記おもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物としての組成物Q4と
    を含み、
    前記組成物Q3と前記組成物Q4とは互いに分けて保管されている、組成物セット。
  14. 前記ラッピング用組成物は砥粒ABFを含有し、
    前記おもて面研磨用組成物は砥粒AFFを含有し、
    前記砥粒ABFはダイヤモンド粒子であり、前記砥粒AFFはシリカ粒子またはアルミナ粒子である、請求項13に記載の組成物セット。
  15. 前記おもて面研磨用組成物は研磨助剤CFFを含有し、
    前記研磨助剤CFFは過マンガン酸、過マンガン酸塩、過酸化水素およびバナジン酸類からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項14に記載の組成物セット。
  16. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法に用いられる半導体基板製造用セットであって、
    前記裏面加工工程に用いられる研削用砥粒と、
    前記おもて面加工工程に用いられるおもて面研磨用組成物としての組成物Q5と
    を含み、
    前記研削用砥粒と前記組成物Q5とは互いに分けて保管されている、半導体基板製造用セット。
  17. 前記研削用砥粒はダイヤモンド粒子であり、前記砥粒AFFはシリカ粒子またはアルミナ粒子である、請求項16に記載の半導体基板製造用セット。
  18. 前記おもて面研磨用組成物は研磨助剤CFFを含有し、
    前記研磨助剤CFFは過マンガン酸、過マンガン酸塩、過酸化水素およびバナジン酸類からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項17に記載の半導体基板製造用セット。
  19. おもて面と裏面とを有する半導体基板であって、
    前記裏面には加工歪層が存在しており、
    前記裏面に存在する加工歪層の深さは前記おもて面の加工歪層の深さよりも大きいか、あるいは前記おもて面には加工歪層が存在しない、半導体基板。
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