以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.はじめに
1.1.送信処理の概略
1.2.従来のMIMO送信
1.3.技術的課題
1.4.提案技術の概要
2.構成例
2.1.システム構成例
2.2.送信装置の構成例
2.3.受信装置の構成例
3.技術的特徴
3.1.プリコーディング行列を用いた変調方式
3.1.1.プリコーディング行列を用いた変調方式の詳細
3.1.2.プリコーディング行列の集合
3.2.新たな空間変調方式
3.2.1.第1の空間変調方式
3.2.2.第2の空間変調方式
3.3.受信処理
3.4.変形例
3.4.1.第1の変形例
3.4.2.第2の変形例
4.応用例
5.まとめ
<<1.はじめに>>
<1.1.送信処理の概略>
図1は、本開示の一実施形態に係る送信装置による信号処理の一例を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る送信装置による信号処理は、FEC(Forward Error Correction)符号化及びレートマッチングブロック11、スクランブリング及びインタリービングブロック12、コンスタレーションマッピングブロック13、リソースエレメントマッピングブロック14、波形変調ブロック15、並びに、アナログ/RF処理ブロック16を含む。図1を参照すると、上位レイヤからの入力情報系列(例えば、ビット系列)が処理されて、RF(radio frequency)信号が出力される。
FEC符号化及びレートマッチングブロック11は、入力情報系列に対し、FEC符号化(畳み込み符号、ブロック符号、ターボ符号、LDPC符号、及び/又はポーラー符号等の適用)、及びレートマッチング(ビット繰り返し、及び/又はビットパンクチャリング等)を適用する。スクランブリング及びインタリービングブロック12は、FEC符号化及びレートマッチングブロック11から出力された入力情報系列に対し、スクランブリング及びインタリービングを適用する。コンスタレーションマッピングブロック13は、所定のコンスタレーション(複素信号点集合)に基づいて、スクランブリング及びインタリービングブロック12から出力された入力情報系列を複素信号点系列に変換する。ビット列から複素信号点(複素シンボル又は複素信号シンボルとも称され得る)へのマッピングでは、2^m FSK(Frequency Shift Keying)、2^m ASK(Amplitude Shift Keying)、2^m PSK(Phase Shift Keying)、2^m QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の多様なコンスタレーションが用いられ得る。リソースエレメントマッピングブロック14は、コンスタレーションマッピングブロック13から出力された複素信号点系列に含まれる複素信号点の各々をリソースエレメントにマッピングする。波形変調ブロック15は、リソースエレメントマッピングブロック14によりリソースエレメントに配置された各々の複素信号点に対し、波形変調を実施する。アナログ/RF処理ブロック16は、アナログ処理及びRF処理を実施する。
ここで、リソースエレメントとは、周波数リソース(サブキャリア、サブチャネル、リソースブロックなど)、時間リソース(シンボル、スロット、フレームなど)、空間リソース(アンテナ、アンテナポート、空間レイヤ、空間ストリームなど)又は符号パターン(拡散符号パターン、インタリーブパターン、スクランブルパターンなど)の少なくともいずれかにより特定されるリソースの1つの単位(即ち、単位リソース)である。
<1.2.従来のMIMO送信>
・従来の典型的なMIMO送信
図2は、従来の典型的なMIMO送信における信号処理の一例を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、従来の典型的なMIMO送信における信号処理は、FEC符号化及びレートマッチングブロック11、スクランブリング及びインタリービングブロック12、コンスタレーションマッピングブロック13、空間マッピングブロック91、プリコーディングブロック92、並びに、アナログ/RF処理ブロック16を含む。図2を参照すると、上位レイヤからの入力情報系列(例えば、ビット系列)が処理されて、アンテナ数(又はアンテナポート数)のRF信号が出力される。
空間マッピングブロック91は、コンスタレーションマッピングブロック13から出力された複素信号点系列に含まれる各々の複素信号点を、1以上の空間ストリーム又は空間レイヤ(以下、空間レイヤと総称する)に直並列変換する。プリコーディングブロック92は、空間マッピングブロック91から出力された空間ストリームの複素信号点に対し、複素数要素で定義されるプリコーディングを実施する。プリコーディング後の複素信号点は、アナログ/RF処理ブロック16により処理され、アンテナから送信される。その他の処理ブロックについては、図1を参照して上記説明した通りである。
・従来の空間変調方式
MIMOの変形として、複数ある送信アンテナのうちどのアンテナを使用するかに、情報を乗せる変調方式が、上記特許文献1で提案されている。このような、空間領域での変調に情報を乗せる変調方式は、空間変調(Spatial Modulation)方式とも称される。
図3は、従来の典型的な空間変調方式に係る信号処理の一例を概略的に示すブロック図である。図3に示すように、従来の典型的な空間変調を含む信号処理は、FEC符号化及びレートマッチングブロック11、スクランブリング及びインタリービングブロック12、コンスタレーションマッピングブロック13、アンテナマッピングブロック93、並びに、アナログ/RF処理ブロック16を含む。図3を参照すると、上位レイヤからの入力情報系列(例えば、ビット系列)が処理されて、RF信号が出力される。
アンテナマッピングブロック93は、複数ある送信アンテナのうち使用するアンテナを選択する。従来の空間変調方式では、アンテナマッピングブロック93によりどのアンテナが使用するアンテナとして選択されたかに、情報が乗せられる。そのため、信号の送信に使用されるアンテナは、頻繁に切り替えられ得る。
<1.3.技術的課題>
従来のMIMO送信では、送信データレートを上げるために、空間ストリーム数を増やすことが行われる。その一方で、従来のMIMO送信では、送信ストリーム数は基本的に受信装置側の受信アンテナ数によって制約を受ける。具体的には、送信ストリーム数<=受信アンテナ数の条件が課される。そのため、通信装置の小型化を考えると、MIMOの性能・データレートの向上には物理的な限界があった。
また、従来の空間変調方式の場合、すべての送信アンテナを使わない代わりに、変調シンボル時間の単位で、信号の送信に使うアンテナの切り替えが発生することとなる。これは、アナログ・RF回路に対して信号のON/OFFが発生することとなり、PAPR(Peak−to−Average Power Ratio)の観点で、非常に大きな問題があると言える。
<1.4.提案技術の概要>
提案技術では、上述した従来の空間変調方式及び従来の典型的なMIMO送信と比較して、より適切に空間領域での変調に情報が乗せることができる。提案技術は、プリコーディング行列を用いた変調方式と、新たな空間変調方式とに分類される。
プリコーディング行列を用いた変調方式では、複数のプリコーディング行列のうちどのプリコーディング行列が複素信号点系列に適用されるかに、情報が乗せられる。従来のMIMOでは、プリコーディング行列に情報が乗せられることはなかった。よって、プリコーディング行列を用いた変調により、MIMOのリソース効率(即ち、周波数利用効率)の向上及び送受信特性の改善を図ることが可能である。
新たな空間変調方式では、空間レイヤに複素信号点系列をマッピングする際の、空間レイヤへの複素信号点系列のマッピングパターンに、情報が乗せられる。これにより、プリコーディング行列を用いた変調方式と同様に、MIMOのリソース効率の向上及び送受信特性の改善を図ることが可能である。
<<2.構成例>>
<2.1.システム構成例>
図4は、本実施形態に係るシステム1の全体構成の一例を概略的に示す図である。図4に示したように、システム1は、基地局2及び端末装置3(3A、3B及び3C)を含む。
基地局2は、セル4を運用し、セル4の内部に位置する1つ以上の端末装置へ無線サービスを提供する。例えば、基地局2は、端末装置3A〜3Cに無線サービスを提供する。セル4は、例えばLTE又はNR(New Radio)等の任意の無線通信方式に従って運用され得る。基地局2は、図示しないコアネットワークに接続される。コアネットワークは、さらにPDN(Packet Data Network)に接続される。
端末装置3は、基地局2による制御に基づいて無線通信する。例えば、端末装置3Aは、基地局2にアップリンク信号を送信して、基地局2からダウンリンク信号を受信する。また、端末装置3B及び3Cは、基地局2に設定された使用可能な無線リソースを用いて、サイドリンク信号を送受信する。端末装置3は、いわゆるユーザ端末(User Equipment:UE)であってもよい。端末装置3は、ユーザとも称され得る。
本実施形態において、基地局2及び端末装置3は、送信装置100又は受信装置200として機能し得る。例えば、端末装置3Aは、アップリンク信号の送信に関しては送信装置100として機能し、ダウンリンク信号の受信に関しては受信装置200として機能する。一方で、基地局2は、ダウンリンク信号の送信に関しては送信装置100として機能し、アップリンク信号の受信に関しては受信装置200として機能する。また、端末装置3B及び3Cは、サイドリンク信号の送信に関しては送信装置100として機能し、サイドリンク信号の受信に関しては受信装置200として機能する。
<2.2.送信装置の構成例>
図5は、本実施形態に係る送信装置100の構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、送信装置100は、アンテナ部110、無線通信部120、記憶部130及び制御部140を備える。
(1)アンテナ部110
アンテナ部110は、無線通信部120により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部110は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部120へ出力する。
(2)無線通信部120
無線通信部120は、信号を送信する。例えば、無線通信部120は、受信装置200へのアップリンク信号、ダウンリンク信号又はサイドリンク信号を送信する。
(3)記憶部130
記憶部130は、送信装置100の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
(4)制御部140
制御部140は、送信装置100の様々な機能を提供する。制御部140は、情報共有部141及び送信信号処理部143を含む。情報共有部141は、送信装置100による送信処理において用いられるパラメータを受信装置200との間で共有する機能を有する。送信信号処理部143は、受信装置200に送信する信号のための信号処理を行う機能を有する。信号処理の内容は、例えば図1を参照して概略的に説明した通りである。詳細な信号処理の内容については、後に説明する。なお、制御部140は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、制御部140は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
<2.3.受信装置の構成例>
図6は、本実施形態に係る受信装置200の構成の一例を示すブロック図である。図6を参照すると、受信装置200は、アンテナ部210、無線通信部220、記憶部230及び制御部240を備える。
(1)アンテナ部210
アンテナ部210は、無線通信部220により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部210は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部220へ出力する。
(2)無線通信部220
無線通信部220は、信号を受信する。例えば、無線通信部220は、送信装置100からのアップリンク信号、ダウンリンク信号又はサイドリンク信号を受信する。
(3)記憶部230
記憶部230は、受信装置200の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
(4)制御部240
制御部240は、受信装置200の様々な機能を提供する。制御部240は、情報共有部241及び受信信号処理部243を含む。情報共有部241は、送信装置100による送信処理において用いられるパラメータを送信装置100との間で共有する機能を有する。受信信号処理部243は、送信装置100から受信した信号のための信号処理を行う機能を有する。信号処理の内容は、後に説明する。なお、制御部240は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、制御部240は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
<<3.技術的特徴>>
本実施形態では、プリコーディング行列を用いた変調及び/又は新たな空間変調が行われる。いずれの変調方式においても、空間領域での変調に情報を乗せることができる。送信装置100は、第1のビット系列及び第2のビット系列に基づいて、複素信号点系列を生成し、プリコーディング行列を用いた変調及び/又は新たな空間変調を行う。第1のビット系列は、プリコーディング行列を用いた変調及び/又は新たな空間変調により乗せられる情報である。第2のビット系列は、複素信号点に乗せられる情報である。
以下、図7を参照して本実施形態に係る信号処理の一例を説明する。
図7は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の一例を詳細に示すブロック図である。図7に示すように、本実施形態に係る送信装置100による信号処理は、図1を参照して説明した信号処理の、コンスタレーションマッピングブロック13とリソースエレメントマッピングブロック14との間に、空間マッピングブロック31及びプリコーディングブロック32を含む。さらに、送信装置100による信号処理は、物理コントローラ17を含む。
物理コントローラ17は、入力された物理制御情報に基づいて、各処理ブロックの処理を制御する。
コンスタレーションマッピングブロック13の機能は、上記説明した通りである。即ち、コンスタレーションマッピングブロック13は、所定のコンスタレーション(複素信号点集合)に基づいて、スクランブリング及びインタリービングブロック12から出力されたビット系列を複素信号点系列に変換する。後述する第2の空間変調方式を除き、典型的には、コンスタレーションマッピングブロック13に入力されるビット系列が、第2のビット系列に相当する。コンスタレーションマッピングブロック13において、第2のビット系列は複素信号点系列に変換される。
空間マッピングブロック31は、上述した空間マッピングブロック91と同様の機能を有する。新たな空間変調が採用される場合、空間マッピングブロック31において、第1のビット系列に応じた空間レイヤマッピングが行われる。
プリコーディングブロック32は、上述したプリコーディングブロック92と同様の機能を有する。プリコーディング行列を用いた変調方式が採用される場合、プリコーディングブロック32において、第1のビット系列に応じたプリコーディング行列が適用される。
以下、各々の変調方式について詳しく説明する。
<3.1.プリコーディング行列を用いた変調方式>
<3.1.1.プリコーディング行列を用いた変調方式の詳細>
プリコーディング行列を用いた変調方式は、複素信号点系列に適用されるプリコーディング行列に情報を乗せる変調方式である。
送信装置100は、第1のビット系列及び第2のビット系列に基づいて、複素信号点系列を生成し、生成した複素信号点系列にプリコーディング行列を適用する。詳しくは、送信装置100は、第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列にプリコーディング行列を適用する。第2のビット系列は、複素信号点に乗せる情報である。第1のビット系列は、プリコーディング行列に乗せる情報である。
送信に使用可能な最大空間レイヤ数をNSL,maxとし、実際に送信に使用する空間レイヤ数をNSLとし、送信に使用するアンテナ数(又はアンテナポート数)をNTXとする。所定の単位シンボル時間ごとのプリコーディングの処理は、サイズNSL×1又はNSL,max×1の複素数又は実数ベクトル入力に対して、サイズNTX×NSL又はNTX×NSL,maxのプリコーディング行列(複素数行列又は実数行列)を乗算して、サイズNTX×1の複素数又は実数ベクトルを出力する処理と考えることができる。つまり、入力ベクトルをsとし、プリコーディング行列をPとすると、出力ベクトルは次式で表される。
本実施形態に係る送信装置100は、複素信号点系列に対し、第1のビット系列に対応するプリコーディング行列を適用する。詳しくは、複素信号系列に適用されるプリコーディング行列は、第1のビット系列の候補とプリコーディング行列の集合の各要素(即ち、プリコーディング行列)との予め定められた組み合わせにおける、第1のビット系列に対応する。これにより、プリコーディング行列の集合に含まれる複数のプリコーディング行列のうち、どのプリコーディング行列が適用されるかという点に、情報(即ち、第1のビット系列)が乗せられる。
プリコーディング行列数をNPとすると、プリコーディング行列に乗せることができるビット系列のビット数(情報ビット数又は符号化ビット数)NB,Pは、次式で表される。
例えば、NP=4の場合、プリコーディング行列に乗せることができるビット数は2ビットである。NP=8の場合、プリコーディング行列に乗せることができるビット数は3ビットである。NP=16の場合、プリコーディング行列に乗せることができるビット数は4ビットである。行列数の無駄を無くすためには、NP=2kとすることが望ましい。ここで、kは任意の正整数である。なお、プリコーディング行列に乗せることができるビット系列のビット数は、第1のビット系列のビット数に相当する。
第1のビット系列の候補とプリコーディング行列の集合の各要素との組み合わせは、例えば、ルックアップテーブルとして送信装置100及び受信装置200に保持されることが望ましい。ルックアップテーブルの一例を、表1及び表2に示す。表中のPiは、NP個のプリコーディング行列を含むプリコーディング行列の集合のうち、第i番目のプリコーディング行列である。ルックアップテーブルは、プリコーディング行列のサイズごとに定義されることが望ましい。即ち、ルックアップテーブルは、NTXとNSL(又はNTXとNSL,max)の組み合わせごとに定義されることが望ましい。
<3.1.2.プリコーディング行列の集合>
以下では、本実施形態に係るプリコーディングに使用されるプリコーディング行列の集合が満たすべき条件について、詳しく説明する。
(1)互いに直交すること
プリコーディング行列の集合に含まれるプリコーディング行列は、互いに直交することが望ましい。互いに直交するとは、プリコーディング行列の集合から任意の2つのプリコーディング行列Pk及びPlを選んだとき(ただし、l≠k)、PkPl Tの各行及び各列の非ゼロ要素が高々ひとつとなることを指す。なお、Pl Tは、Plの転置行列である。
さらに、プリコーディング行列の集合に含まれる複数のプリコーディング行列の特定の位置の要素は、互いに同一であることが望ましい。詳しくは、プリコーディング行列の集合に含まれるプリコーディング行列に共通して、少なくともひとつの特定の位置の要素(例えば、第k行第l列)が同一の値であることが望ましい。これにより、異なる入力sm及びsn(だたし、n≠m)に、異なるプリコーディング行列Pa及びPb(ただし、b≠a)を適用した場合に、出力が同一になることを避ける効果が期待される。つまり、次式の関係が成立することを避ける効果が期待される。
以下、プリコーディング行列の具体的な生成例を説明する。
・プリコーディング行列の第1の生成例
送信装置100は、NSL=NTX又はNSL,max=NTXの場合に、サイズNTX×NTXのフーリエ変換行列又は逆フーリエ変換行列(以下、ベース行列とも総称する)をベースとした行列を、プリコーディング行列として用いてもよい。サイズNTX×NTXのベース行列をP(NTX)とし、ベース行列の第k行第l列の要素をWklとする。ただし、k及びlは、0≦k,l<NTXを満たす整数である。
Wklは、フーリエ変換行列がベースとされる場合、次式で表される。
Wklは、逆フーリエ変換行列がベースとされる場合、次式で表される。
プリコーディング行列は、ベース行列の特定の列又は特定の行を置換した行列であってもよい。例えば、フーリエ変換行列の列を置換することでプリコーディング行列が生成される場合、生成可能なプリコーディング行列の数NPは、次式で表される。
フーリエ変換行列の行を置換することでプリコーディング行列が生成される場合、生成可能なプリコーディング行列の数NPは、同じく次式で表される。
・プリコーディング行列の第2の生成例
送信装置100は、NSL=NTX又はNSL,max=NTXの場合に、サイズNTX×NTXのアダマール行列(Hadamard Matrix)をベースとした行列を、プリコーディング行列として用いてもよい。この場合、NTXは、2のべき乗の値(即ち、NTX=2k)であることが望ましい。サイズNTX×NTXのアダマール行列をP(NTX)とする。アダマール行列は、例えば次式のような操作により生成され得る。
また、アダマール行列は、正規化まで考慮して、次式のような操作により生成されてもよい。
プリコーディング行列は、アダマール行列の特定の列又は特定の行を置換した行列であってもよい。例えば、アダマール行列の列を置換することでプリコーディング行列が生成される場合、生成可能なプリコーディング行列の数NPは、次式で表される。
アダマール行列の行を置換することでプリコーディング行列が生成される場合、生成可能なプリコーディング行列の数NPは、次式で表される。
・プリコーディング行列の第3の生成例
送信装置100は、NSL=1及びNSL,max=1の場合に、サイズNTX×NTXのフーリエ変換行列、逆フーリエ変換行列、又はアダマール行列の各列又は各行を、プリコーディング行列として用いてもよい。この場合、生成可能なプリコーディング行列(プリコーディングベクトル)の数NPは、次式で表される。
(2)その他の所定の条件を満たすこと
プリコーディング行列の集合に含まれるプリコーディング行列は、互いに直交していなくてもよい。その場合に、プリコーディング行列が満たすべき条件について、以下に説明する。
・第1の条件
プリコーディング行列の集合に含まれる複数のプリコーディング行列の特定の位置の要素は、互いに同一であることが望ましい。詳しくは、プリコーディング行列の集合に含まれるプリコーディング行列に共通して、少なくともひとつの特定の位置の要素(例えば、第k行第l列)が同一の値であることが望ましい。これにより、異なる入力sm及びsn(だたし、n≠m)に、異なるプリコーディング行列Pa及びPb(ただし、b≠a)を適用した場合に、出力が同一になることを避ける効果が期待される。つまり、次式の関係が成立することを避ける効果が期待される。
なお、本条件は、特に、プリコーディング行列の要素がPSKの信号点のいずれかに相当する場合、若しくは、プリコーディング行列の要素の振幅が互いに同じである場合に、満たされることが望ましい。これは、上記のような、プリコーディング出力が同一になってしまう問題は、プリコーディング行列の要素がPSKの信号点のいずれかに相当する場合、若しくは、プリコーディング行列の要素の振幅が互いに同じである場合に、発生するためである。そのため、例えば、プリコーディング行列の要素がQAMの信号点のいずれかに相当する場合、若しくは、プリコーディング行列が振幅の異なる要素を含む場合には、本条件は満たされなくてもよい。
・第2の条件
プリコーディング行列の集合に含まれるプリコーディング行列の要素は、PSK又はQAMに相当することが望ましい。より詳しくは、PSKをベースにする場合、出現する値は所定の間隔の位相量の変化で表現できることが望ましい。また、QAMをベースにする場合、所定の間隔の位相量の変化、及び所定の間隔の振幅の変化で表現できることが望ましい。換言すると、プリコーディング行列の集合に含まれるプリコーディング行列における異なる2つの要素は、少なくとも位相差が第1の値の整数倍であるか、又は振幅比が第2の値の整数倍若しくは整数分の1であることが望ましい。第1の値及び第2の値は任意の値である。
本条件が満たされる場合、送信装置100がどのプリコーディング行列が使用されたかの検出が受信装置200側で行われる際の、誤り確率を低減することが可能となる。
表3は、本上限が満たされたプリコーディング行列の集合の一例である。表3を参照すると、プリコーディング行列の第1番目および第2番目の要素の値が共通している。また、各要素は、π/4の位相量の変化で定義されている(即ち、QPSKに相当する)。なお、表3における各プリコーディング行列に対し、さらに正規化項が適用(乗算又は除算)されてもよい。
・第3の条件
プリコーディング行列の集合が複数定義される場合、要素数(即ち、プリコーディング行列の数)が少ないプリコーディング行列の集合は、要素数が多いプリコーディング行列の集合の部分集合であることが望ましい。ある送信アンテナ数及び空間レイヤ数について、要素数が異なる複数のプリコーディング行列の集合が定義され得る。例えば、プリコーディング行列の数がNP,1である第1のプリコーディング行列の集合、及びプリコーディング行列の数がNP,2(ただし、NP,2>NP,1)である第2のプリコーディング行列の集合が定義され得る。この場合、第2のプリコーディング行列は、第1のプリコーディング行列を含んでいることが望ましい。つまり、第1のプリコーディング行列は、第2のプリコーディング行列の部分集合であることが望ましい。
本条件が満たされる場合、ルックアップテーブルの実効的なサイズを削減することが可能となり、送信装置100及び受信装置200のメモリ使用量を削減することが可能となる。
・第4の条件
プリコーディング行列の要素は、非ゼロであることが望ましい。本条件が満たされる場合、送信信号は、使用可能なNTX個のアンテナ(又はアンテナポート)に分散される。従って、従来の空間変調のように、特定のアンテナだけに信号が集中し、その他のアンテナがOFFになることが防止される。これにより、本実施形態では、アンテナごとの電力レベルの変動を抑制することができ、結果的にPAPRの改善を実現することが可能となる。つまり、送信装置100のアナログ・RF回路(例えば増幅器)の効率を高めることが可能となる。
<3.2.新たな空間変調方式>
新たな空間変調方式は、空間レイヤに複素信号点系列をマッピングする際の、空間レイヤへの複素信号点系列のマッピングパターン(以下、空間マッピングパターンとも称する)に情報を乗せる変調方式である。
まず、前提知識として、新たな空間変調方式による変調が行われない場合、即ち空間レイヤへのマッピングパターンに情報が乗せられない場合の、空間マッピングついて説明する。
新たな空間変調方式による変調が行われない場合、送信装置100は、複素信号点系列をNSL個の空間レイヤに直並列変換する。例えば、送信装置100は、複素信号点系列のうち第nNSL+i−1番目(ただし、nは整数であり、iは1≦i≦NSLの整数である)の複素信号点を第i番目の空間レイヤへとマッピングすることで、直並列変換を行う。直並列変換の仕組みを、図8を参照して説明する。
図8は、新たな空間変調方式による変調が行われない場合の信号処理の一例を示す図である。図8に示すように、空間マッピングブロック31において、コンスタレーションマッピングブロック13から出力された複素信号点系列が、NSL又はNSL,max個の空間レイヤのいずれかひとつにマッピングされて、プリコーディングブロック32に出力される。
このように、新たな空間変調が行われない場合、複素信号点系列が複数の空間レイヤに直並列変換される一方で、空間レイヤへのマッピングパターンに情報は乗らない。一方で、新たな空間変調では、空間レイヤへのマッピングパターンに情報が乗せられる。
新たな空間変調方式による変調が行われる場合、送信装置100は、第1のビット系列及び第2のビット系列に基づいて、複素信号点系列を生成し生成した複素信号点系列を空間レイヤにマッピングする。詳しくは、送信装置100は、第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列を複数の空間レイヤのうち少なくともいずれかにマッピングする、空間レイヤマッピングを行う。第2のビット系列は、複素信号点に乗せる情報である。第1のビット系列は、複素信号点系列の空間レイヤへのマッピングパターンに乗せる情報である。
新たな空間変調方式では、空間レイヤへのマッピングパターンは、第1のビット系列の候補とマッピングパターンとの予め定められた複数の組み合わせにおける第1のビット系列に対応する。新たな空間変調方式は、空間レイヤへのマッピングパターンに情報を乗せる方法が異なる第1の空間変調方式と第2の空間変調方式とに分類される。以下ではそれぞれ詳しく説明する。なお、以下では、特に言及しない限り、空間変調とは提案技術に係る新たな空間変調方式による変調を指すものとする。
<3.2.1.第1の空間変調方式>
第1の空間変調方式では、空間レイヤへのマッピングパターンは、複数の空間レイヤのうちどの空間レイヤに非ゼロの複素信号点がマッピングされるかのパターンである。第1の空間変調方式では、複数の空間レイヤのうち1以上の空間レイヤに非ゼロの複素信号点がマッピングされる。そして、複数の空間レイヤのうちどの空間レイヤに非ゼロの複素信号点がマッピングされるかに、情報(即ち、第1のビット系列)が乗せられる。
第1の空間変調方式では、NSL<NSL,maxとなる。使用される可能性があるNSL,max個の空間レイヤのうち、どのNSL個の空間レイヤが実際に使用されるかに、情報が乗せられる。この場合、空間レイヤの使い方の組み合わせ数は、次式で表される。
空間レイヤの使い方に乗せられるビット数は、次式で表される。
第1の空間変調方式は、空間レイヤのON/OFFに情報が乗せられる変調方式である、とも捉えることができる。
(1)第1の空間変調方式の具体例
・第1の具体例
以下、図9を参照しながら、第1の空間変調方式の第1の具体例を説明する。
図9は、第1の空間変調方式における第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図9に示した例では、2つの空間レイヤのうち1つに複素信号点系列に含まれる各々の複素信号点がマッピングされる(即ち、NSL,max=2、NSL=1)。この場合、空間マッピングパターンに乗せられる情報は1ビットである。詳しくは、複素信号点が空間レイヤ#1にマッピングされることにより、「0」が表される。複素信号点が空間レイヤ#2にマッピングされることにより、「1」が表される。即ち、第1のビット系列として「0」が入力されると、第2のビット系列から変調された複素信号点は空間レイヤ#1にマッピングされる。第1のビット系列として「1」が入力されると、第2のビット系列から変調された複素信号点は空間レイヤ#2にマッピングされる。
ここで、複素信号点のタイミングごとに空間マッピングブロック31に1ビットが入力され、複素信号点のタイミングごとに空間マッピングパターンの選択が実施される。即ち、複素信号点ごとに、1ビットの第1のビット系列に応じてマッピングされる空間レイヤが切り替えられる。
・第2の具体例
以下、図10を参照しながら、第1の空間変調方式の第2の具体例を説明する。
図10は、第1の空間変調方式における第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図10に示した例では、4つの空間レイヤのうち1つに複素信号点系列に含まれる各々の複素信号点がマッピングされる(即ち、NSL,max=4、NSL=1)。この場合、空間マッピングパターンに乗せられる情報は2ビットである。詳しくは、複素信号点が空間レイヤ#1にマッピングされることにより、「00」が表される。複素信号点が空間レイヤ#2にマッピングされることにより、「01」が表される。複素信号点が空間レイヤ#3にマッピングされることにより、「10」が表される。複素信号点が空間レイヤ#4にマッピングされることにより、「11」が表される。即ち、第1のビット系列として「00」が入力されると、第2のビット系列から変調された複素信号点は空間レイヤ#1にマッピングされる。第1のビット系列として「01」が入力されると、第2のビット系列から変調された複素信号点は空間レイヤ#2にマッピングされる。第1のビット系列として「10」が入力されると、第2のビット系列から変調された複素信号点は空間レイヤ#3にマッピングされる。第1のビット系列として「11」が入力されると、第2のビット系列から変調された複素信号点は空間レイヤ#4にマッピングされる。
ここで、複素信号点のタイミングごとに空間マッピングブロック31に2ビットが入力され、複素信号点のタイミングごとに空間マッピングパターンの選択が実施される。即ち、複素信号点ごとに、2ビットの第1のビット系列に応じてマッピングされる空間レイヤが切り替えられる。
・第3の具体例
以下、図11を参照しながら、第1の空間変調方式の第3の具体例を説明する。
図11は、第1の空間変調方式における第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図11に示した例では、4つの空間レイヤのうち1つに複素信号点系列に含まれる各々の複素信号点がマッピングされる(即ち、NSL,max=4、NSL=1)。この場合、空間マッピングパターンに乗せられる情報は2ビットである。詳しくは、第1の複素信号点が空間レイヤ#1にマッピングされ、第2の複素信号点が空間レイヤ#2にマッピングされることにより、「00」が表される。第1の複素信号点が空間レイヤ#1にマッピングされ、第2の複素信号点が空間レイヤ#3にマッピングされることにより、「01」が表される。第1の複素信号点が空間レイヤ#1にマッピングされ、第2の複素信号点が空間レイヤ#4にマッピングされることにより、「10」が表される。第1の複素信号点が空間レイヤ#2にマッピングされ、第2の複素信号点が空間レイヤ#4にマッピングされることにより、「11」が表される。即ち、第1のビット系列として「00」が入力されると、第2のビット系列から変調された2つの複素信号点は、それぞれ空間レイヤ#1又は#2にマッピングされる。第1のビット系列として「01」が入力されると、第2のビット系列から変調された2つの複素信号点は、それぞれ空間レイヤ#1又は#3にマッピングされる。第1のビット系列として「10」が入力されると、第2のビット系列から変調された2つの複素信号点は、それぞれ空間レイヤ#1又は#4にマッピングされる。第1のビット系列として「11」が入力されると、第2のビット系列から変調された2つの複素信号点は、それぞれ空間レイヤ#2又は#4にマッピングされる。
ここで、複素信号点のタイミングごとに空間マッピングブロック31に2ビットが入力され、複素信号点のタイミングごとに空間マッピングパターンの選択が実施される。即ち、複素信号点ごとに、2ビットの第1のビット系列に応じてマッピングされる空間レイヤが切り替えられる。
なお、図11の下段の2つの空間マッピングパターンは、第1のビット系列の候補と対応付けられておらず、使用されない。空間マッピングパターンのうちいずれを使用しいずれを不使用とするかは、予め決められていることが望ましい。それにより、受信装置200側の演算負荷を下げるとともに、不使用の空間マッピングパターンを排除することによる誤り率の改善の効果が得られる。
(2)考察
第1の空間変調方式において複素信号点がマッピングされない空間レイヤ(図9〜図11における「NOT SELECTED」)には、値としてゼロが出力されてもよい。ゼロが出力される場合、後段のプリコーディングブロック32において適用されるプリコーディング行列のサイズを、NSLによらず、NSL,maxに基づいて決めることが可能となる。
複素変調及び空間変調により、単位複素信号点時間当たりに運ぶことができるビット数は、次式で表される。
なお、空間変調が行われない場合(即ち、即ち空間マッピングパターンに情報が乗せられない場合)の、単位複素信号点時間当たりに運ぶことができるビット数は、次式で表される。これは、上記数式(16)においてNSL,max=NSLとすることに相当する。
第2のビット系列から複素信号点への変調、並びに上記説明したプリコーディング行列を用いた変調、及び空間変調を考慮すると、本実施形態において単位複素信号点時間当たりに運ぶことができるビット数NB,TTLは、次式で表される。
OFDMA、DFT−Spread−OFDMA、及びSC−FDMAなどの波形変調まで考慮すると、本実施形態において単位複素信号点時間当たりに運ぶことができるビット数NB,TTLは、例えばサブキャリア数等に応じてさらに変化することとなる。具体的には、サブキャリア数をNSCとすると、本実施形態において単位複素信号点時間当たりに運ぶことができるビット数NB,TTLは、次式で表される。
<3.2.2.第2の空間変調方式>
<3.2.2.1.第2の空間変調方式の詳細>
(1)概要
第2の空間変調方式では、空間レイヤへのマッピングパターンは、複数の空間レイヤのうち2以上の空間レイヤにマッピングされる複素信号点の各々が、複数の複素信号点集合のうちどの複素信号点集合の要素であるかのパターンである。第2の空間変調方式では、複数の空間レイヤのうち2以上の空間レイヤに複素信号点がマッピングされる。そして、複数の空間レイヤのうちどの空間レイヤに、どの複素信号点集合に属する複素信号点がマッピングされるかにより、第1のビット系列が表される。換言すると、複数の空間レイヤのうちどの空間レイヤにどの複素信号点集合がマッピングされるかに、情報(即ち、第1のビット系列)が乗せられる。
第1の空間変調方式では、少なくともひとつ以上の空間レイヤに、複素信号点がマッピングされない(換言すると、ひとつ以上の空間レイヤにゼロがマッピングされる)。複素信号点がマッピングされない空間レイヤは、複素信号点を運ばないので、空間レイヤのリソース効率は低下し得る。
これに対し、第2の空間変調方式では、第1の空間変調方式ではゼロがマッピングされていた空間レイヤにも、複素信号点がマッピングされる。従って、第2の空間変調方式は、第1の空間変調方式と比較して、リソース効率を向上させることが可能である。
第2の空間変調方式による信号処理について、図12を参照して詳しく説明する。
図12は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の一例を詳細に示すブロック図である。図12に示すように、本実施形態に係る送信装置100による信号処理は、図1を参照して説明した信号処理の、スクランブリング及びインタリービングブロック12とリソースエレメントマッピングブロック14との間に、ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33及びプリコーディングブロック32を含む。さらに、送信装置100による信号処理は、物理コントローラ17を含む。
物理コントローラ17は、入力された物理制御情報に基づいて、各処理ブロックの処理を制御する。
ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33は、上述したコンスタレーションマッピングブロック13及び空間マッピングブロック91と同様の機能を有する。さらに、ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33は、第2のビット系列を、第1のビット系列に応じた複数の複素信号点集合を用いて複素信号点系列に変換し、第1のビット系列に応じた空間レイヤマッピングを行う。
変調に使用される複素信号点集合の数をGとする。G個の複素信号点集合のうち任意の複素信号点集合をgとする。第2の空間変調方式では、G個の複素信号点集合のうち、どの複素信号点集合gをどの空間レイヤにマッピングするかに、情報が乗せられる。複素信号点集合gがマッピングされる空間レイヤの数をNSL,gとする。G=2とした場合、複素信号点集合#1がマッピングされる空間レイヤの数をNSL,1とすると、複素信号点集合#2がマッピングされる空間レイヤの数NSL,2は、次式を満たすことが望ましい。
また、次式に関係が満たされることが望ましい。
(2)第2のビット系列の複素信号点への変調
第2のビット系列(情報ビット又は符号化ビット)は、mビットごとに区切られて、mビットの部分系列毎に複素信号点(実数又は複素数の信号点)に変換(変調)される。このような変換は、コンスタレーションマッピングとも称される。mは、複素信号点の変調レベルである。mは、複素信号点が運ぶことができる複素信号点あたりのビット数、又は複素信号点で表現されるビット数と捉えられてもよい。
変換対象のビット系列は、所定の複素信号点集合に含まれる複数の複素信号点のうち、変換対象のビット系列に対応する複素信号点に変換される。変換には、2^m FSK、2^m ASK、2^m PSK、又は2^m QAM等の任意の複素信号点集合が用いられ得る。具体的な変換テーブルは、後述する表7〜表11に示される。
(3)第2の空間変調方式の具体例
・第1の具体例
以下、図13を参照しながら、第2の空間変調方式の第1の具体例を説明する。
図13は、第2の空間変調方式における第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図13に示した例では、2つの空間レイヤのうち一方に複素信号点集合#1に属する複素信号点がマッピングされ、他方に複素信号点集合#2に属する複素信号点がマッピングされる(即ち、NSL,max=2、NSL,1=1、NSL,2=1、G=2)。この場合、空間マッピングパターンに乗せられる情報は1ビットである。詳しくは、複素信号点集合#1が空間レイヤ#1にマッピングされ、複素信号点集合#2が空間レイヤ#2にマッピングされることにより、「0」が表される。複素信号点集合#1が空間レイヤ#2にマッピングされ、複素信号点集合#2が空間レイヤ#1にマッピングされることにより、「1」が表される。
即ち、第1のビット系列として「0」が入力されると、第2のビット系列の第1の部分系列が複素信号点集合#1を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#1にマッピングされ、第2のビット系列の第2の部分系列が複素信号点集合#2を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#2にマッピングされる。第1のビット系列として「1」が入力されると、第2のビット系列の第1の部分系列が複素信号点集合#2を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#2にマッピングされ、第2のビット系列の第2の部分系列が複素信号点集合#1を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#1にマッピングされる。
・第2の具体例
以下、図14を参照しながら、第2の空間変調方式の第2の具体例を説明する。
図14は、第2の空間変調方式における第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図14に示した例では、4つの空間レイヤのうち1つに複素信号点集合#1に属する複素信号点がマッピングされ、他の3つに複素信号点集合#2に属する複素信号点がマッピングされる(即ち、NSL,max=4、NSL,1=1、NSL,2=3、G=2)。この場合、空間マッピングパターンに乗せられる情報は2ビットである。詳しくは、複素信号点集合#1が空間レイヤ#1にマッピングされ、複素信号点集合#2が他の空間レイヤにマッピングされることにより、「00」が表される。複素信号点集合#1が空間レイヤ#2にマッピングされ、複素信号点集合#2が他の空間レイヤにマッピングされることにより、「01」が表される。複素信号点集合#1が空間レイヤ#3にマッピングされ、複素信号点集合#2が他の空間レイヤにマッピングされることにより、「10」が表される。複素信号点集合#1が空間レイヤ#4にマッピングされ、複素信号点集合#2が他の空間レイヤにマッピングされることにより、「11」が表される。
即ち、第1のビット系列として「00」が入力されると、第2のビット系列の第1の部分系列が複素信号点集合#1を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#1にマッピングされ、第2のビット系列の残りの部分系列が順に複素信号点集合#2を用いて複素信号点に変換されて残りの空間レイヤにマッピングされる。第1のビット系列として「01」が入力されると、第2のビット系列の第1の部分系列が複素信号点集合#1を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#2にマッピングされ、第2のビット系列の残りの部分系列が順に複素信号点集合#2を用いて複素信号点に変換されて残りの空間レイヤにマッピングされる。第1のビット系列として「10」が入力されると、第2のビット系列の第1の部分系列が複素信号点集合#1を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#3にマッピングされ、第2のビット系列の残りの部分系列が順に複素信号点集合#2を用いて複素信号点に変換されて残りの空間レイヤにマッピングされる。第1のビット系列として「11」が入力されると、第2のビット系列の第1の部分系列が複素信号点集合#1を用いて複素信号点に変換されて空間レイヤ#4にマッピングされ、第2のビット系列の残りの部分系列が順に複素信号点集合#2を用いて複素信号点に変換されて残りの空間レイヤにマッピングされる。
なお、異なる複素信号点集合がマッピングされる空間レイヤは、所定の複素信号点シンボル時間内では、互いに重複しないようにすることが望ましい。
<3.2.2.2.複素信号点集合>
(1)複数の複素信号点集合の特徴
以下、第2の空間変調方式に用いられる複数の複素信号点集合について詳細に説明する。
変調に使用される複数の複素信号集合のうち少なくとも1つは、2^m FSK、2^m ASK、2^m PSK、又は2^m QAMのうち少なくともいずれかで表現される複素信号点を要素として含み、mはゼロ以上の整数である。変調に使用される複数の前記複素信号点集合のうち少なくとも1つの複素信号点集合は、要素数が2^m、又は1+2^mであることが望ましい。ただし、複素信号点集合の要素数が1+2^mである場合、当該複素信号点集合は要素としてゼロ(0+0j)を含む。変調に使用される複数の複素信号点集合のうち少なくとも1つの複素信号点集合は、要素数が1であってもよい。ただし、複素信号点集合の要素数が1である場合、当該複素信号点集合は要素としてゼロ(0+0j)を含む。
変調に使用される複数の複素信号点集合は、互いに異なる特徴を有する。この特徴に基づいて、受信装置200は、受信した複素信号点系列に含まれる複素信号点の各々が、複数の複素信号点集合うちどの複素信号点集合に属するかを識別することが可能となる。以下、変調に使用される複数の複素信号点集合の特徴について説明する。
・重複する要素がない
変調に使用される複数の複素信号点集合は、互いに重複する要素がないことが望ましい。例えば、変調に複素信号点集合g1及び複素信号点集合g2が使用される場合、複素信号点集合g1に属する任意の複素信号点sg1,aと、複素信号点集合g2に属する任意の複素信号点sg2,bとは、重複しないことが望ましい。即ち、次式の関係が成立することが望ましい。
ただし、複素信号点集合が複素信号点としてゼロ(s=0+j0)を含む場合、そのゼロについては異なる複素信号点集合の間で重複があってもよい。
・演算で表現可能
複素信号点系列に使用される複数の複素信号点集合に含まれる任意の2つの複素信号点集合の、一方の要素は、他方の要素に所定の演算を適用することで表現されることが望ましい。さらに、複素信号点系列に使用される複数の複素信号点集合に含まれる任意の2つの複素信号点集合の、一方に含まれるすべての要素は、他方の要素に対し共通の所定の演算を適用することで表現されることが望ましい。具体的には、複素信号点系列に使用される複数の複素信号点集合の各々は、互いに線形の関係にあることが望ましい。即ち、複素信号点系列に使用される複数の複素信号点集合に含まれる任意の2つの複素信号点集合の、一方の要素は、他方の要素の線形操作により表現されることが望ましい。所定の演算としては、振幅変化、位相回転、線形シフト又は置換の少なくともいずれかが挙げられる。
・ビット数が同じ
複素信号点系列に使用される複数の複素信号点集合の各々は、互いに要素数が同一である又は要素数の差が高々1であることが望ましい。
(2)複数の複素信号点集合の特徴付けの例
・第1の例
図15は、第2の空間変調方式に使用される複数の複素信号点集合の一例を示す図である。図15では、BPSK(Binary Phase Shift Keying)をベースに異なる位相回転量が与えられた複素信号点集合g1〜g4が図示されている。BPSKがベースであるから、m=1である。複素信号点集合g1〜g4の任意の2つの複素信号点集合の、一方の要素は、他方の要素に位相回転を適用することで表現される。例えば、複素信号点集合g1及びg2に着目すると、複素信号点集合g1の要素sg1,aは、複素信号点集合g2の要素sg2,bを用いて、次式のように定義される。
ここで、θg1,g2は、実数であり、複素信号点集合g1及びg2の各々に適用された位相回転量の差分である。換言すると、θg1,g2は、複素信号点sg1,a及びsg2,bの位相差である。θg1,g2の値は、複素信号点集合g1及びg2に含まれる全ての要素で共通であってもよい。
ベースとしたBPSKからの位相差θによりG個の複素信号点集合を特徴付けるためには、ベースとしたBPSKからの各々の複素信号点集合gの位相差θの値に関し、θ=π*(g−1)/Gの関係が成立することが望ましい。ただし、g=1,…,Gである。なお、図15では、この関係が成立している。
・第2の例
図16は、第2の空間変調方式に使用される複数の複素信号点集合の特徴付けの一例を示す図である。図16では、BPSK(Binary Phase Shift Keying)をベースに異なる位相回転量又は異なる振幅変化量の少なくともいずれかが与えられた複素信号点集合g1〜g4が図示されている。BPSKがベースであるから、m=1である。複素信号点集合g1〜g4の任意の2つの複素信号点集合の、一方の要素は、他方の要素に位相回転又は振幅変化の少なくともいずれかを適用することで表現される。例えば、複素信号点集合g1及びg2に着目すると、複素信号点集合g1の要素sg1,aは、複素信号点集合g2の要素sg2,bを用いて、次式のように定義される。
ここで、θg1,g2は、実数であり、複素信号点集合g1及びg2の各々に適用された位相回転量の差分である。換言すると、θg1,g2は、複素信号点sg1,a及びsg2,bの位相差である。Zg1,g2は、複素数、実数又は純虚数であり、複素信号点集合g1及びg2の各々に適用された振幅変化量の差である。換言すると、Zg1,g2は、複素信号点sg1,a及びsg2,bの振幅差である。θg1,g2及びZg1,g2の値は、複素信号点集合g1及びg2に含まれる全ての要素で共通であってもよい。
ベースとしたBPSKからの位相差及び振幅差によりG個の複素信号点集合を特徴付けるためには、位相差でGp個、振幅差でGa個の特徴が付けられる場合、G=Gp*Gaの関係が成立することが望ましい。なお、図16では、Gp=2であり、Ga=2である。また、ベースとしたBPSKからの各々の複素信号点集合gの位相差θの値に関し、θ=π*(g−1)/Gpの関係が成立することが望ましい。ただし、g=1,…,Gpである。なお、図16では、この関係が成立している。
・第3の例
図17は、第2の空間変調方式に使用される複数の複素信号点集合の特徴付けの一例を示す図である。図17では、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)をベースに異なる位相回転量又は異なる振幅変化量の少なくともいずれかが与えられた複素信号点集合g1〜g4が図示されている。QPSKがベースであるから、m=2である。複素信号点集合g1〜g4の任意の2つの複素信号点集合の、一方の要素は、他方の要素に位相回転又は振幅変化の少なくともいずれかを適用することで表現される。
ベースとしたQPSKからの位相差及び振幅差によりG個の複素信号点集合を特徴付けるためには、位相差でGp個、振幅差でGa個の特徴が付けられる場合、G=Gp*Gaの関係が成立することが望ましい。なお、図17では、Gp=2であり、Ga=2である。また、ベースとしたQPSKからの各々の複素信号点集合gの位相差θの値に関し、θ=π*(g−1)/2Gpの関係が成立することが望ましい。ただし、g=1,…,Gpである。なお、図17では、この関係が成立している。
・第4の例
図18は、第2の空間変調方式に使用される複数の複素信号点集合の特徴付けの一例を示す図である。図18は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)をベースに異なる線形シフトが与えられた複素信号点集合g1〜g4が図示されている。16QAMがベースであるから、m=4である。複素信号点集合g1〜g4の任意の2つの複素信号点集合の、一方の要素は、他方の要素に線形シフトを適用することで表現される。例えば、複素信号点集合g1及びg2に着目すると、複素信号点集合g1の要素sg1,aは、複素信号点集合g2の要素sg2,bを用いて、次式のように定義される。
ここで、Cg1,g2は、複素数、実数又は純虚数であり、複素信号点集合g1及びg2の各々に適用された線形シフトの差である。Cg1,g2の値は、複素信号点集合g1及びg2に含まれる全ての要素で共通であってもよい。
・一般化
上記説明した複数の複素信号点集合の特徴付けについて、以下に一般化する。変調に使用される複数の複素信号点集合のうち、ある複素信号点集合の要素は、別の複素信号点集合の要素に対する振幅変化、位相回転、及び/又は線形シフトを適用することで定義可能であることが望ましい。例えば、変調に使用される複数の複素信号点集合のうち任意の2つの複素信号点集合g1及びg2に着目すると、複素信号点集合g1の要素sg1,aは、複素信号点集合g2の要素sg2,bを用いて、次式のように定義される。
また、適用される振幅変化、位相回転、及び線形シフトの各々の値は、変調に使用される複数の複素信号点集合のうち任意の2つの複素信号点集合g1及びg2に関し、次式の関係が成立することが望ましい。
(3)複数の複素信号点集合の特徴付けの別の例
変調に使用される複数の複素信号点集合を生成する方法は、上記説明した方法に限定されない。例えば、FSK/ASK/PSK/QAMをベースとし、その中から任意の2点以上の複素信号点を抽出することにより、変調に使用される複数の複素信号点集合が生成されてもよい。その具体例を、図19〜図22を参照して説明する。
図19〜図22は、第2の空間変調方式に使用される複数の複素信号点集合の特徴付けの他の一例を示す図である。図19〜図21では、QPSKをベースとして、QPSKの4つの複素信号点から、2つを複素信号点集合g1の要素として抽出し、残り2つを複素信号点集合g2の要素として抽出する場合の例が示されている。図22では、16QAMをベースとして、16QAMの16個の複素信号点から、複素信号点集合g1〜g4の要素として4個ずつ抽出する場合の例が示されている。
このようにして、変調に使用される複数の複素信号点集合が生成される場合であっても、ある複素信号点集合の要素は、別の複素信号点集合の要素に対する振幅変化、位相回転、及び/又は線形シフトを適用することで定義可能であることが望ましい。即ち、上記数式(26)〜(27)の関係が成立することが望ましい。
<3.2.2.3.具体的な信号処理>
以下では、ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33による信号処理の具体例を詳しく説明する。
ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33には、上述した第1のビット系列及び第2のビット系列が入力される。
<3.2.2.3.1.第1の例>
本例は、所定の複素信号点集合を用いて第2のビット系列を一時的な複素信号点系列に変換した後、第1のビット系列に対応する演算処理を一時的な複素信号点系列に適用することで、空間レイヤに複素信号点集合をマッピングする例である。
(1)構成例
図23は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の第1の例を説明するためのブロック図である。図23では、図12に示した信号処理のうち、ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33による信号処理の具体例が詳しく図示されている。図23に示した信号処理は、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301、ビットセレクションブロック302、空間レイヤセレクションブロック303、コンスタレーションマッピングブロック304、空間レイヤ処理ブロック305、及び空間マッピングブロック306を含む。図23を参照すると、FEC符号化、レートマッチング、スクランブリング及び/又はインタリービングが適用された後のビット系列が入力され、図23に示した信号処理が適用された後、プリコーディング等が適用される。
・物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301
物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301は、物理レイヤ、上位レイヤ、送信装置100が接続する基地局又は受信装置200等から通知される制御情報、及び規格等により予め決められた情報に従って、各ブロックの動作を制御する。通知される制御情報としては、制御情報シグナリング及びRRC(Radio Resource Control)シグナリング等が挙げられる。規格等により予め定められる情報としては、プリコンフィギュレーション又は標準規格により予め定められる情報が挙げられる。
・ビットセレクションブロック302
ビットセレクションブロック302は、入力されたビット系列を第1のビット系列と第2のビット系列とに分ける。ビットセレクションブロック302は、第1のビット系列を空間レイヤセレクションブロック303に出力し、第2のビット系列をコンスタレーションマッピングブロック304に出力する。
例えば、ビットセレクションブロック302は、入力されたビット系列から第1のビット系列を選択し、残りを第2のビット系列とする。第1のビット系列として選択されるビット数をNB,SMとすると、NB,SMは次式で表される。
ここで、G≦2且つ数式(29)の関係が満たされる場合、NB,SMは数式(30)で表される。
また、NB,SMは、次のいずれかの数式により表されてもよい。
ここで、G≦2且つ数式(29)の関係が満たされる場合、数式(30)と数式(31)の各々とは同じ数式となる。なお、上記数式において、NSL,0=0とする。
・空間レイヤセレクションブロック303
空間レイヤセレクションブロック303は、ビットセレクションブロック302により選択された第1のビット系列に応じて、NSL個(又はNSL,max個)の空間レイヤのうち、どの空間レイヤにマッピングされる複素信号点にどのような演算処理を適用するかを決定する。これは、NSL個(又はNSL,max個)の空間レイヤのどの空間レイヤにどの複素信号点集合をマッピングするかを選択することに相当する。なお、演算処理は、複素信号点に対する振幅変化、位相回転、線形シフト又は置換の少なくともいずれかである。
例えば、NSL=4、G=2、NSL,1=1、NSL,2=3、適用される演算処理としてG=2に対応する2種類の位相回転量(θ1、θ2)が定義される場合、第1のビット系列に対応する演算処理は、例えば下記の表4に示す演算処理定義テーブルにより定義される。この演算処理定義テーブルは、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301により指定され得る。
別の例として、NSL=4、G=2、NSL,1=2、NSL,2=2、適用される演算処理としてG=2に対応する2種類の位相回転量(θ1、θ2)を考えた場合、第1のビット系列に対応する演算処理は、例えば下記の表5に示す演算処理定義テーブルにより定義される。この演算処理定義テーブルは、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301により指定され得る。
別の例として、NSL=4、G=2、NSL,1=2、NSL,2=1、適用される演算処理としてG=2に対応する2種類の位相回転量(θ1、θ2)を考えた場合、第1のビット系列に対応する演算処理は、例えば下記の表6に示す演算処理定義テーブルにより定義される。ここで、OFFの空間レイヤに対しては、ゼロの乗算(*(0+j0))が適用される。この演算処理定義テーブルは、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301により指定され得る。
なお、表4〜表6では位相回転を例に説明したが、振幅変化及び線形シフトに関しても、上述した演算処理定義テーブルが用いられ得る。かかる演算処理定義テーブルは、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301により指定され得る。
・コンスタレーションマッピングブロック304
コンスタレーションマッピングブロック304は、ベースとなる所定の複素信号点集合に基づいて第2のビット系列を一時的な複素信号点系列に変換する。ベースとなる所定の複素信号点集合は、2^m FSK、2^m ASK、2^m PSK、又は2^m QAMのうち少なくともいずれかで表現される複素信号点を要素として含み、mはゼロ以上の整数である。この場合、第2のビット系列はmビットごとに区切られて、mビットの部分系列毎に複素信号点に変換される。換言すると、リソースエレメントの位置毎に、複素信号点に変換される。図23に示した信号処理の結果、最終的にN個の複素信号点から成る複素信号点系列が生成される。コンスタレーションマッピングブロック304から出力される複素信号点の個数は、次式で表される。
複素信号点に乗せる情報のビット数NB,CMは、次式で表される。
以下に、BPSK(m=1)、QPSK(m=2)、16QAM(m=4)、64QAM(m=6)、及び256QAM(m=8)における、第2のビット系列と複素信号点(I軸及びQ軸)との対応関係を示す変換テーブルの一例を示す。
・空間レイヤ処理ブロック305
空間レイヤ処理ブロック305は、第2のビットに基づき生成された一時的な複素信号点系列に含まれる複数の複素信号点の各々に、第1のビット系列に基づく演算処理を適用することで、最終的な複素信号点系列を生成する。詳しくは、空間レイヤ処理ブロック305は、コンスタレーションマッピングブロック304から出力された複素信号点系列に含まれる各々の複素信号点に対し、空間レイヤセレクションブロック303により選択された演算処理を適用する。空間レイヤ処理ブロック305による演算処理が適用された後の、空間レイヤnにマッピングされる複素信号点をsnは、次式で表される。
ここで、s´nは、コンスタレーションマッピングブロック304から出力された複素信号点であり、OFFの空間レイヤにマッピングされる複素信号点も含む。Zn、θn、及びCnは、空間レイヤセレクションブロック303により選択された、空間レイヤnにおいて適用される演算処理において用いられる係数である。
空間レイヤ処理ブロック305では、空間レイヤセレクションブロック303により選択された演算処理以外の処理を実施してもよい。
−電力割り当て
例えば、空間レイヤ処理ブロック305は、次式に示すように、空間レイヤに対する電力割当てを実施してもよい。
ここで、pnは、空間レイヤnに対する電力割り当てである。一例として、ON/OFFの空間レイヤの比率を考慮した電力割り当てが実施される場合、pnは次式で表され得る。
上記数式(36)に基づく電力割り当てが実施される場合、NSL個又はNSL,max個の空間レイヤ全体における総電力及び平均電力を等しくすることができる。その結果、空間レイヤあたりの誤り率を改善することが可能となる。つまり、OFFの空間レイヤがある場合には、次式の関係が成り立つpnが採用されてもよい。
反対に、OFFの空間レイヤの分だけ電力を節約すべきである場合、次式で表されるpnが採用されてもよい。
あるいは、次式で表されるpnが採用されてもよい。
ここで、Pは、NSL、NSL,max、及びNSL,gによらない定数である。
−他の処理
空間レイヤ処理ブロック305による上記処理が実施された後、上述したプリコーディング行列を用いた変調、MIMOチャネル特性に起因するプリコーディング処理、ビームフォーミング処理、電波伝搬特性に起因する送信側チャネル等化処理、及び/又は送信側電力割当て処理等が、さらに実施されてもよい。
・空間マッピングブロック306
空間マッピングブロック306は、空間レイヤ処理ブロック305から出力された複素信号点系列を、空間レイヤにマッピングする。
(2)考察
以上説明した信号処理により、NSL個又はNSL,max個の空間レイヤにマッピングされる1つの複素信号点系列で運ぶことができるビット数NBは、次式で表される。
なお、このビット数NBは、ビットセレクションブロック302に入力されるビット系列のビット数に相当する。
ここで、複素信号点集合gに属する複素信号点が運ぶことができる複素信号点あたりのビット数mgの値は、G個の複素信号点集合間で共通であってもよいし、異なっていてもよい。mgの値は、上述のNB,CMの値に影響を与えることとなる。
例えば、制御情報のシグナリングオーバーヘッドを考慮する場合には、mgの値は、G個の複数の複素信号点集合間で共通であることが望ましい。一方、電波伝搬環境なども考慮に入れた上で、最終的にマッピングされる物理リソースに応じてビット数mg(及び変調レベル)を制御すべき状況では、mgの値は、G個の複素信号点集合間で異なることが許容されることが望ましい。後者は、リンクアダプテーションによるMCS(Modulation and Coding Set)の設定・通知の一部として実現されることも可能である。
(3)処理の流れ
上記説明した本例に係る信号処理の流れの一例を、図24を参照して説明する。
図24は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の第1の例の流れの一例を示すフローチャートである。図24に示すように、まず、送信装置100は、送信機会があるか否かを判定する(ステップS102)。送信機会があると判定された場合(S102/YES)、処理はステップS104に進む。送信機会がないと判定された場合(S102/NO)、処理はステップS124に進む。
ステップS104では、送信装置100は、制御チャネルを送信するか否かを判定する。制御チャネルを送信すると判定された場合(S104/YES)、処理はステップS106に進む。データチャネルを送信すると判定された場合(S104/NO)、処理はステップS108に進む。
ステップS106では、送信装置100は、制御チャネル用の、空間変調に使用される空間レイヤの数NSL、複素信号点の変調レベルm、複素信号点集合の数G、各複素信号点集合に属する複素信号点がマッピングされる空間レイヤの数NSL,gを取得する。その後、処理はステップS110に進む。
ステップS108では、送信装置100は、データチャネル用の、空間変調に使用される空間レイヤの数NSL、複素信号点の変調レベルm、複素信号点集合の数G、各複素信号点集合に属する複素信号点がマッピングされる空間レイヤの数NSL,gを取得する。その後、処理はステップS110に進む。
ステップS110では、送信装置100は、mに対応する複素信号点集合の変換テーブルを選択する。次いで、送信装置100は、NSL、G、NSL,gに対応する、演算処理定義テーブルを選択する(ステップS112)。次に、送信装置100は、入力情報系列のうち第2のビット系列を、ステップS110において選択した変換テーブルに従って複素信号点に変換する(ステップS114)。次いで、送信装置100は、変換された複素信号点の各々に対し、ステップS112において選択した演算処理定義テーブルにおいて入力情報系列のうち第1のビット系列に対応する演算処理を適用する(ステップS116)。なお、演算処理前又は後に、複素信号点系列は空間レイヤにマッピングされる。次に、送信装置100は、プリコーディング処理を実施する(ステップS118)。
その後、送信装置100は、所定の変調処理及びRF処理を実施する(ステップS120)。そして、送信装置100は、RF信号を送信する(ステップS122)。その後、送信装置100は、次の送信機会を待つ(ステップS124)。
<3.2.2.3.2.第2の例>
本例は、第1のビット系列に対応する複素信号点集合を用いて、第2のビット系列を複素信号点に変換し、空間レイヤにマッピングする例である。
(1)構成例
図25は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の第2の例を説明するためのブロック図である。図25では、図12に示した信号処理のうち、ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33による信号処理の具体例が詳しく図示されている。図25に示した信号処理は、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック311、ビットセレクションブロック312、空間レイヤセレクションブロック313、コンスタレーションマッピングブロック314、空間レイヤ処理ブロック315、空間マッピングブロック316及びコンスタレーショングループ選択ブロック317を含む。図25を参照すると、FEC符号化、レートマッチング、スクランブリング及び/又はインタリービングが適用された後のビット系列が入力され、図25に示した信号処理が適用された後、プリコーディング等が適用される。
・物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック311
物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック311は、第1の例において説明した、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301と同様の機能を有する。
・ビットセレクションブロック312
ビットセレクションブロック312は、第1の例において説明した、ビットセレクションブロック302と同様の機能を有する。
・空間レイヤセレクションブロック313
空間レイヤセレクションブロック313は、ビットセレクションブロック312により選択された第1のビット系列に応じて、複数の複素信号点集合の空間レイヤへのマッピングパターンを選択する。これは、第2のビット系列からNSL個(又はNSL,max個)個の空間レイヤにマッピングされる各々の複素信号点への変換に用いられる、各々の複素信号点集合を指定することに相当する。なお、実際に変換に用いられる複素信号点集合は、後述するコンスタレーショングループ選択ブロック317により選択(生成)される。
例えば、NSL=4、G=2、NSL,1=1、NSL,2=3の場合、第1のビット系列と第2のビット系列に対し適用される複素信号点集合との関係は、例えば下記の表12に示す複素信号点集合指定テーブルにより定義される。この複素信号点集合指定テーブルは、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック311により指定され得る。
別の例として、NSL=4、G=2、NSL,1=2、NSL,2=2の場合、第1のビット系列と第2のビット系列に対し適用される複素信号点集合との関係は、例えば下記の表13に示す複素信号点集合指定テーブルにより定義される。この複素信号点集合指定テーブルは、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック311により指定され得る。
別の例として、NSL=4、G=2、NSL,1=2、NSL,2=1の場合、第1のビット系列と第2のビット系列に対し適用される複素信号点集合との関係は、例えば下記の表14に示す複素信号点集合指定テーブルにより定義される。ここで、OFFのリソースエレメントは、ゼロ(0+j0)のみを要素とする複素信号点集合(例えばg0、m=0に相当)を適用することにより実現されてもよい。この複素信号点集合指定テーブルは、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック311により指定され得る。
・コンスタレーショングループ選択ブロック317
コンスタレーショングループ選択ブロック317は、空間レイヤセレクションブロック313により選択された複数の複素信号点集合を生成、あるいは選択し、コンスタレーションマッピングブロック314に出力する。
コンスタレーショングループ選択ブロック317は、複素信号点集合を生成する場合、ベースとなる複素信号点集合の要素の各々に共通の演算処理を適用することで、複数の複素信号点集合を生成し得る。適用される演算処理としては、第1の例において説明した振幅変化、位相回転及び/又は線形シフト等が挙げられる。コンスタレーショングループ選択ブロック317により生成される複素信号点集合gの要素sg,aは、ベースとなる複素信号点の要素sb,aを用いて、次式で表される。
Z、θ及びCの値、ベースとなる複素信号点集合の要素からの振幅、位相及び線形シフトの変換量である。これらの値は、例えば下記表15示すような変化量指定テーブルとして定義され、コンスタレーショングループ選択ブロック317に利用されてもよい。変化量指定テーブルは、変調に使用される複素信号点集合の数Gの値及びベースとなる複素信号点集合のタイプ(例えば、FSK/ASK/PSK/QAMおよびmの値等により定義される)ごとに、定義されてもよい。ベースとなる複素信号点集合としては、例えば、表7〜表11で示した変調方式の複素信号点集合、あるいはその部分集合が、用いられてもよい。
ここで、位相変化量による特徴付けを与えることでG個(G>1)の複素信号点集合を生成しようとする場合、変化量指定テーブルにおける任意の異なる2つのθの値の差は、π/Gラジアンの整数倍であることが望ましい。例えば、G=2であれば、θの値の差は、π/2ラジアンの整数倍であることが望ましく、G=4であれば、θの値の差はπ/4ラジアンの整数倍であることが望ましい。
また、線形シフト量による特徴付けを与えることでG個(G>1)の複素信号点集合を生成しようとする場合、且つGが偶数の値の場合、変化量指定テーブルにおいて、Cに関する所定の条件が満たされることが望ましい。具体的には、変化量指定テーブルにおいて、実数部の正負の符号のみが異なる関係性である2つのC、虚数部の正負の符号のみが異なる関係性(即ち、共役の関係性)にある2つのC、実数部及び虚数部の正負の符号が異なる関係性(即ち、−1倍の関係性)にある2つのC、の少なくともいずれかがあることが望ましい。
・コンスタレーションマッピングブロック314
コンスタレーションマッピングブロック314は、第1のビット系列に基づいて選択された複数の複素信号点集合の空間マッピングパターンに基づいて、第2のビット系列を複数の複素信号点集合の各々から選択した複素信号点から成る複素信号点系列に変換する。具体的には、コンスタレーションマッピングブロック314は、コンスタレーショングループ選択ブロック317により生成又は選択された複数の複素信号点集合に基づいて、第2のビット系列を複素信号点に変換して、複素信号点系列を生成する。第2のビット系列は、mビットの部分系列毎に、即ちリソースエレメントの位置毎に、複素信号点に変換される。その際、コンスタレーションマッピングブロック314は、mビットの部分系列毎に、コンスタレーショングループ選択ブロック317により生成又は選択された複数の複素信号点集合のうち空間レイヤセレクションブロック313により指定された複素信号点集合を用いて、複素信号点への変換を行う。
・空間レイヤ処理ブロック315
空間レイヤ処理ブロック315は、第1の例における空間レイヤ処理ブロック305と異なり、複数の複素信号点集合の特徴付けのための演算処理を行わない。コンスタレーションマッピングブロック314による変調において、すでに特徴付けが済んでいるためである。
一方で、空間レイヤ処理ブロック315による上記処理が実施された後、上述したプリコーディング行列を用いた変調、MIMOチャネル特性に起因するプリコーディング処理、ビームフォーミング処理、電波伝搬特性に起因する送信側チャネル等化処理、及び/又は送信側電力割当て処理等が、さらに実施されてもよい。
・空間マッピングブロック316
空間マッピングブロック316は、空間レイヤ処理ブロック315から出力された複素信号点系列を、空間レイヤにマッピングする。
(2)考察
以上説明した信号処理により、NSL個又はNSL,max個の空間レイヤにマッピングされる複素信号点系列に乗せることができるビット数NBは、次式で表される。
なお、このビット数NBは、ビットセレクションブロック312に入力されるビット系列のビット数に相当する。
ここで、複素信号点集合gに属する複素信号点が運ぶことができる複素信号点あたりのビット数mgの値は、変調に使用される複数の複素信号点集合間で共通であってもよいし、異なっていてもよい。mgの値は、上述のNB,CMの値に影響を与えることとなる。
例えば、制御情報のシグナリングオーバーヘッドを考慮する場合には、mgの値は、変調に使用される複数の複素信号点集合間で共通であることが望ましい。一方、電波伝搬環境なども考慮に入れた上で、最終的にマッピングされる物理リソースに応じてビット数mg(及び変調レベル)を制御すべき状況では、mgの値は、変調に使用される複数の複素信号点集合間で異なることが許容されることが望ましい。後者は、リンクアダプテーションによるMCS(Modulation and Coding Set)の設定・通知の一部として実現されることも可能である。
(3)処理の流れ
上記説明した本例に係る信号処理の流れの一例を、図26を参照して説明する。
図26は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の第2の例の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS202〜S208に係る処理は、図24のステップS102〜S108に係る処理と同様である。
ステップS210では、送信装置100は、入力情報系列のうち第2のビット系列に含まれる各空間レイヤにマッピングされる部分ビット系列の各々に対し適用される複素信号点集合を、NSL、G、NSL,g及び第1のビット系列に基づいて選択する。次いで、送信装置100は、入力情報系列のうち第2のビット系列を、ステップS210において選択した複素信号点集合の変換テーブルに従って複素信号点に変換する(ステップS212)。次に、送信装置100は、空間レイヤ処理を適用する(ステップS214)。次いで、送信装置100は、空間レイヤ処理後の複素信号点の各々を、空間レイヤにマッピングする(ステップS216)。次に、送信装置100は、プリコーディング処理を実施する(ステップS218)。
その後、送信装置100は、所定の変調処理及びRF処理を実施する(ステップS220)。そして、送信装置100は、RF信号を送信する(ステップS222)。その後、送信装置100は、次の送信機会を待つ(ステップS224)。
<3.2.2.3.3.第3の例>
本例は、入力情報系列(第1のビット系列及び第2のビット系列)の候補と複素信号点系列との対応関係を予め定義しておき、当該対応関係を参照して入力情報系列を複素信号点系列に変換する例である。本例では、複素信号点集合の特徴付け、複素信号点への変換、及び空間レイヤへのマッピングが、まとめて実施される。
(1)構成例
図27は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の第3の例を説明するためのブロック図である。図27では、図12に示した信号処理のうち、ジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33による信号処理の具体例が詳しく図示されている。図27に示した信号処理は、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック321、及び複合コンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック328を含む。図27を参照すると、FEC符号化、レートマッチング、スクランブリング及び/又はインタリービングが適用された後のビット系列が入力され、図27に示した信号処理が適用された後、プリコーディング等が適用される。
・物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック321
物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック321は、第1の例において説明した、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック301と同様の機能を有する。
とりわけ、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック321は、NSL、NSL,max、G、NSL,g、m及びmg等のパラメータに対応する、入力情報系列の候補と複素信号系列の候補との対応関係を定義した変換テーブルを、複合コンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック328に出力する。例えば、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック321は、予め記憶された複数の変換テーブルから、NSL、G、NSL,g、m及びmg等のパラメータに対応する変換テーブルを選択し、出力する。変換テーブルは、複合コンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック328に入力される入力情報系列と出力される複素信号点系列との関係を定義したテーブルである。
変換テーブルの内容は、第1の例及び第2の例において説明してきた、複素信号点集合の特徴付け等の特徴を同様に有していることが望ましい。さらに、変換テーブルが、次に説明する3つの特徴を有していることが望ましい。第1の特徴は、変換テーブルを行ごとにみた場合に、変換テーブルにおける複素信号系列の候補がゼロ要素を含まない、又ゼロ要素の数が非ゼロ要素の数以下であることである。第2の特徴は、変換テーブルを行ごと(即ち、入力情報系列に対する出力ごと)にみた場合に、変換テーブルにおける複素信号系列の候補が、少なくとも2種類以上の異なる値、あるいは少なくとも2種類以上の異なる非ゼロの値の組み合わせを含むことである。第3の特徴は、変換テーブルを列ごと(即ち、空間レイヤごと)にみた場合に、各々の複素信号点の発生確率が不等である、又は非ゼロ要素の発生確率が不等であることである。
以下、表16〜表18を参照しながら、変換テーブルの一例を説明する。
まず、表16に、6ビットの入力情報系列を4つの空間レイヤにマッピングされる4つの複素信号点s1〜s4を含む複素信号点系列に変換するための変換テーブルの一例を示す。表16においては、複素信号点集合g1は{+1,−1}を要素とし、複素信号点集合g2は{+j,−j}を要素とする。
ここで、表16における「(Group Index)」の列は、複素信号点集合のインデックス(g1又はg2)を参考までに示したものであり、変換テーブルはかかる列を含んでいなくてもよい。また、表16における複素信号点の値の列(「Complex Value s1」等の列)は、実部(I軸)と虚部(Q軸)とで分けて表記されてもよい。例えば、+1がI=+1及びQ=0として表記されてもよく、−jがI=0及びQ=−1として表記されてもよい。
表16を参照すると、入力情報系列の最初の2ビット(「Input Bits」の「1」「2」の列)は、第1のビットである。そのため、入力情報系列の最初の2ビットは、変調に使用される複数の複素信号点集合の空間レイヤへのマッピングパターンに対応している。詳しくは、入力情報系列の最初の2ビットが「00」であれば、マッピングパターンはg1、g2、g2、g2である。入力情報系列の最初の2ビットが「01」であれば、マッピングパターンはg2、g1、g2、g2である。入力情報系列の最初の2ビットが「10」であれば、マッピングパターンはg2、g2、g1、g2である。入力情報系列の最初の2ビットが「11」であれば、マッピングパターンはg2、g2、g2、g1である。
表16を参照すると、入力情報系列の残りの4ビット(「Input Bits」の「3」「4」「5」「6」の列)は、第2のビットである。詳しくは、入力情報系列の3ビット目は、複素信号点系列の1番目の複素信号点に変換される。入力情報系列の4ビット目は、複素信号点系列の2番目の複素信号点に変換される。入力情報系列の5ビット目は、複素信号点系列の3番目の複素信号点に変換される。入力情報系列の6ビット目は、複素信号点系列の4番目の複素信号点に変換される。
表16に示した変換テーブルは、どの行においてもゼロ要素が含まれないので、上記第1の特徴を有している。表16に示した変換テーブルは、どの行においても{+1,+j}、{+1,−j}、{−1,+j}又は{−1,−j}といった、2種類の異なる値の組み合わせが含まれるので、上記第2の特徴を有している。表16に示した変換テーブルは、どの列においても{+1,−1}の発生確率が{+j,−j}の発生確率より低いので、上記第3の特徴を有している。
次いで、表17に、6ビットの入力情報系列を4つの空間レイヤにマッピングされる4つの複素信号点s1〜s4を含む複素信号点系列に変換するための変換テーブルの他の一例を示す。表17においても、複素信号点集合g1は{+1,−1}を要素とし、複素信号点集合g2は{+j,−j}を要素とする。
次に、表18に、5ビットの入力情報系列を4つの空間レイヤにマッピングされる4つの複素信号点s1〜s4を含む複素信号点系列に変換するための変換テーブルの一例を示す。表18においては、複素信号点集合g1は{+1,−1}を要素とし、複素信号点集合g2は{+j,−j}を要素とし、複素信号点集合g3は{0}を要素とする。
表18に示した変換テーブルは、どの行においても非ゼロ要素の数が2でありゼロ要素の数が2であるので、上記第1の特徴を有している。表18に示した変換テーブルは、どの行においても{+1,+j}、{+1,−j}、{−1,+j}、又は{−1,−j}といった、2種類の異なる値の組み合わせが含まれるので、上記第2の特徴を有している。表18に示した変換テーブルは、どの列においても各々の値の発生確率が不等であるので、上記第3の特徴を有している。
・複合コンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック328
複合コンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック328は、物理レイヤコンフィギュレーション制御ブロック321から取得した変換テーブルに基づいて、入力情報系列を複素信号系列に変換する。
そして、複合コンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック328は、生成した複素信号点系列を、空間レイヤにマッピングする。
(2)処理の流れ
上記説明した本例に係る信号処理の流れの一例を、図28を参照して説明する。
図28は、本実施形態に係る送信装置100による信号処理の第3の例の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS302〜S308に係る処理は、図24のステップS102〜S108に係る処理と同様である。
ステップS310では、送信装置100は、NSL、m、G、及びNSL,gに対応する変換テーブルを選択する。次いで、送信装置100は、ステップS310において選択した変換テーブルを用いて、入力情報系列を複素信号系列に変換する(ステップS312)。次に、送信装置100は、複素信号点の各々を、空間レイヤにマッピングする(ステップS314)。次いで、送信装置100は、プリコーディング処理を実施する(ステップS316)。
その後、送信装置100は、所定の変調処理及びRF処理を実施する(ステップS318)。そして、送信装置100は、RF信号を送信する(ステップS320)。その後、送信装置100は、次の送信機会を待つ(ステップS322)。
なお、NSL、NSL,max、G、NSL,g、m及びmgなどのパラメータが同じだとしても、信号を送信する物理チャネルの種類が異なれば参照される変換テーブルが異なってもよい。例えば、制御チャネル系の物理チャネルとデータチャネル(共有チャネル)系の物理チャネルとで、参照される変換テーブルが異なってもよい。制御チャネル系の物理チャネルとしては、Physical Downlink Control Channel、Physical Uplink Control Channel、Physical Sidelink Control Channel、パケット内のPreamble Field、パケット内のSIGNAL Field、Physical Broadcast Channel、及びPhysical Random Access Channel等が挙げられる。データチャネル系の物理チャネルとしては、Physical Downlink Data Channel、Physical Uplink Data Channel、Physical Sidelink Data Channel、Physical Downlink Shared Channel、Physical Uplink Shared Channel、Physical Sidelink Channel、及びパケット内のPayload Field等が挙げられる。
なお、制御チャネル系は、必要なデータレートはさほど高くないが、送受信品質の信頼性が高いことが望ましい。従って、制御チャネル系は、データチャネル系に比べてG及びmの値が相対的に小さいことが望ましい。また、制御チャネル系では、次式のようにして、ゼロ要素の割合をデータチャネル系よりも大きくしてもよい。
若しくは、制御チャネル系では、次式のようにして、ゼロ要素の割合をデータチャネル系よりも大きくしてもよい。
<3.2.2.4.各種波形との組み合わせ>
(1)概要
提案技術は、マルチキャリア変調又はシングルキャリア変調等の、任意の波形と組み合わせることが可能である。その場合、図1における波形変調ブロック15において実行される処理の内容が、波形の違いによって異なることとなる。なお、マルチキャリア変調としては、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、GFDM(Generalized Frequency Division Multiplexing)、F−OFDM(Filtered OFDM)、UF−OFDM(Universal Filtered OFDM)、及びFBMC(Filter Bank Multi-Carrier)等が挙げられる。シングルキャリア変調としては、SC−FDE(Single-Carrier Modulation with Frequency Domain Equalization)、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)、及びDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread OFDM)等が挙げられる。
NSL又はNSL,maxの値は、波形の物理パラメータに応じて適切に設定されることが望ましい。NSL又はNSL,maxの設定は、例えば空間マッピングブロック(図7における空間マッピングブロック31、及び図12におけるジョイントコンスタレーションマッピング&空間マッピングブロック33等)により行われ得る。
NSL又はNSL,maxの値の適切な設定の第1の例としては、NSL又はNSL,maxの値が、リソースブロックなどの、周波数方向の単位リソース割り当てあたりで、送信に使用可能なサブキャリア数(リソースエレメント数に相当)を割り切れることが挙げられる。NSL又はNSL,maxの値の適切な設定の第2の例としては、NSL又はNSL,maxの値が、サブフレーム又はスロットなどの、時間方向の単位リソース割り当てあたりで、送信に使用可能なシンボル数(リソースエレメント数に相当)を割り切れることが挙げられる。NSL又はNSL,maxの値の適切な設定の第3の例としては、NSL又はNSL,maxの値が、対象となる通信装置(例えばユーザ端末)に割り当てられ、情報ビット系列の送信又は受信に実際に利用できる周波数及び時間を含めたリソースエレメントの数を割り切れることが挙げられる。
ここで、送信に使用可能なリソースエレメント数には、参照信号のような、情報(上位レイヤのデータ、制御情報、及びシステム情報等)を運ぶことを主な目的としていない信号、及び別のユーザ端末が送信又は受信に利用するリソースエレメントの数は含まないものとする。
(2)例外処理
送信対象の入力情報系列のビット数は、NSL個又はNSL,max個の空間レイヤにマッピングされる1つの複素信号点系列で運ぶことができるビット数NBで割り切れることが望ましい。例えば、トランスポートブロックサイズNB,TBSは、NBの整数倍であることが望ましい。
もちろん、NB,TBSは、NBの整数倍でないことも許容される。その場合、例外処理が実施されることが望ましい。例えば、送信装置100は、ダミービットを挿入してビット系列長を調整してもよい(即ち、ビットパディング)。また、送信装置100は、実効的な符号化率を調整して、FEC符号化及びレートマッチング後のビット系列長を調整してもよい。前者については、第1の例外処理として後述し、後者については、第2の例外処理として後述する。
ダミーのビットを挿入する場合のダミービット数NB,DUMMYは、次式のように計算され得る。
実効的な符号化率を調整する場合、符号化率Rは、次式のように計算される。
なお、実効的な符号化率の調整は、後述するサーキュラーバッファを用いたレートマッチングにより実現され得る。
(2.1)第1の例外処理
第1の例外処理は、入力情報系列にダミービットを挿入する処理である。
図29は、本実施形態に係る第1の例外処理のための信号処理の一例を説明するためのブロック図である。図29に示す信号処理は、図1を参照して上記説明した信号処理に加えて、ダミービット挿入ブロック22を含む。ダミービット挿入ブロック22は、入力情報系列にダミービットを挿入する。
本例外処理では、どのリソースエレメントにマッピングされた複素信号点がダミーであるかは、1対1に定めなくてもよい。送信に使用可能な空間レイヤ全体で運ぶことができる上位レイヤの情報(入力情報系列)のビット数NB,TOTは、次式により表される。
ここで、NRE,SLは、空間レイヤあたり実際に送信又は受信に利用可能なリソースエレメント数である。NBは、NSL個又はNSL,max個の空間レイヤから成る1つの複素信号点系列出力に乗せることができるビット数である。Rは、誤り訂正符号の符号化率(レートマッチングによる符号化率を含んでもよい)であり、0<R≦1である。
実際に上位レイヤの情報ビットを送信する単位(例えば、パケットサイズ(Packet Data Unit Size)又はトランスポートブロックサイズ(Transport Block Size))NB,TBSは、このNB,TOTの値以下であることが望ましい。即ち、0<NB,TBS≦NB,TOTであることが望ましい。特に、NB,TBS=NB,TOTであることが望ましい。この場合、ダミービットは不要である。
一方で、NB,TBS<NB,TOTである場合、NB,TBSにダミービット数NB,DUMMYを加えたビット数に対して送信処理が行われる。挿入すべきダミービット数NB,DUMMYは、次式により表される。
なお、NB,TBSには、実際の上位レイヤの情報ビット数に加えて、CRC(Cyclic Redundancy Check)ビット数が含まれていてもよい。また、ダミービットは、FEC符号化処理よりも前に挿入されることが望ましい。
以下、図30を参照して、第1の例外処理の流れの一例を説明する。
図30は、本実施形態に係る送信装置100において実行される第1の例外処理の流れの一例を示すフローチャートである。図30に示すように、まず、送信装置100は、トランスポートブロック及びCRCビットを用意する(ステップS502)。次いで、送信装置100は、NB,TBSはNB,TOTと等しいか否かを判定する(ステップS504)。等しいと判定された場合(S504/YES)、処理はステップS514に進む。等しくないと判定された場合(S504/NO)、処理はステップS506に進む。
ステップS506では、送信装置100は、ダミーの複素信号点の変調レベル、あるいはダミーの複素信号点のための複素信号点集合を選択する(ステップS506)。次いで、送信装置100は、ダミーのビット数を計算する(ステップS508)。次に、送信装置100は、計算したビット数のダミービットを生成する(ステップS510)。次いで、送信装置100は、トランスポートブロック及びCRCビットの系列にダミービットを挿入する(ステップS512)。その後、処理はステップS514に進む。
ステップS514では、送信装置100は、FEC符号化からコンスタレーションマッピングまでの処理を実施する。次いで、送信装置100は、ダミー用の処理を実施する(ステップS516)。その後、送信装置100は、残りの送信処理を継続する(ステップS518)。
(2.2)第2の例外処理
第2の例外処理は、レートマッチングで調整する処理である。
送信装置100は、レートマッチングにおいて、ビット数を調整する。換言すると、送信装置100は、FEC符号化及びレートマッチングを含めた符号化率Rを調整する。
実際に上位レイヤの情報ビットを送信する単位(例えば、パケットサイズ(Packet Data Unit Size)又はトランスポートブロックサイズ(Transport Block Size))NB,TBSに対する符号化ビット数を、NB,ENCとする。NB,ENCは、次式のように表される。
FEC符号化及びレートマッチングを含めた符号化率Rは、次式のように表される。
ここで、符号化率Rについては、FECの原符号の符号化率RFECと、レートマッチングにおける調整RRMと、に分けて考えることも可能である。つまり、R=RFECRRMとなる。FECの原符号の符号化率RFECについては、0<RFEC≦1となることが一般的である。他方、第2の例外処理に係るレートマッチングにおいては、R<RFECの場合にはパンクチャリング(Puncturing)処理(この場合、RRM<1となる)、R>RFECの場合にはビット繰り返し(Repetition)処理(この場合、RRM>1となる)が、それぞれ実施される。
このような符号化率Rの調整は、サーキュラーバッファ(Circular Buffer)を用いて実現され得る。なお、R=RFECの場合には、レートマッチングでは特別な処理は実施されなくてもよい(つまり、RRM=1でよい)。
以下、図31を参照して、第2の例外処理の流れの一例を説明する。
図31は、本実施形態に係る送信装置100において実行される第2の例外処理の流れの一例を示すフローチャートである。図31に示すように、まず、送信装置100は、トランスポートブロック及びCRCビットを用意する(ステップS702)。次に、送信装置100は、FEC符号化を実施する(ステップS704)。次いで、送信装置100は、RはRFECと等しいか否かを判定する(ステップS706)。等しいと判定された場合(S706/YES)、処理はステップS714に進む。等しくないと判定された場合(S706/NO)、処理はステップS708に進む。
ステップS708では、送信装置100は、ダミーの複素信号点の変調レベル、あるいはダミーの複素信号点のための複素信号点集合を選択する。次いで、送信装置100は、FEC符号化及びレートマッチングを含めた実効的な符号化率を計算する(ステップS710)。次に、送信装置100は、レートマッチングのサーキュラーバッファにおいて実施する処理を選択する(ステップS712)。その後、処理はステップS714へ進む。
ステップS714では、送信装置100は、レートマッチングからコンスタレーションマッピングまでの処理を実施する。次いで、送信装置100は、ダミー用の処理を実施する(ステップS716)。その後、送信装置100は、残りの送信処理を継続する(ステップS718)。
<3.3.受信処理>
受信装置200は、受信した複素信号点系列を空間領域で復調することにより、第1のビット系列を取得する。具体的には、送信装置100によりプリコーディング行列を用いた変調が行われた場合、受信装置200は、複素信号点系列に適用されたプリコーディング行列を識別することで、第1のビット系列を取得する。また、送信装置100により第1の空間変調方式又は第2の空間変調方式による変調が行われた場合、受信装置200は、空間レイヤへのマッピングパターンを識別することで、第1のビット系列を取得する。他方、受信装置200は、受信した複素信号点系列に含まれる複素信号点の各々を復調することで、第2のビット系列を取得する。このようにして、受信装置200は、第1のビット系列及び第2のビット系列を取得する。
以下、図32及び図33を参照しながら、受信装置200による具体的な信号処理の一例を説明する。
(1)第1の例
図32は、本開示の一実施形態に係る受信装置200による信号処理の一例を概略的に示すブロック図である。図32に示すように、本実施形態に係る受信装置による信号処理は、アナログ/RF処理ブロック41、波形復調ブロック42、リソースエレメントデマッピングブロック43、プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44、空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45、デインタリービング&デスクランブリングブロック46、レートデマッチング&FEC復号化ブロック47、及び反復的なデマッピングのためのソフトビット情報生成ブロック48を含む。図32を参照すると、アンテナからのRF信号が処理されて、上位レイヤの情報系列(例えば、ビット系列)が出力される。
・アナログ/RF処理ブロック41
アナログ/RF処理ブロック41は、RF信号に対しアナログ処理、周波数変換処理、アナログ−デジタル変換処理等を実施して、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
・波形復調ブロック42
波形復調ブロック42は、利用されている波形に応じた復調処理を実施する。例えば、波形復調ブロック42は、入力信号に対し離散フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)等を適用する。
・リソースエレメントデマッピングブロック43
リソースエレメントデマッピングブロック43は、物理チャネル構成、参照信号構成、ユーザごとのリソースエレメントの割り当てなどに応じて、復調/復号の対象となる信号のリソースエレメントを取り出す処理を実施する。
・プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44
プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44は、送信装置100側でプリコーディング行列を用いた変調が行われた場合に、対応する復調処理を実施して第1のビット系列を取得する。例えば、プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44は、参照信号に相当する部分の信号点を取り出し、それらから参照信号に乗算されているプリコーディング行列を推定する。そして、プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44は、推定したプリコーディング行列に対応する情報ビット系列を取得する。この情報ビット系列は、後続のデインタリービング&デスクランブリングブロック46に出力される。
なお、この情報ビット系列の出力は、プリコーディング行列の選択と一対一で対応する硬判定値(Hard Decision)、又は、軟判定値(Soft Decision、Soft Information、LLR(Log Likelihood Ratio、対数尤度比)情報)のいずれかとなる。硬判定値は、{0,1}あるいは{-1,1}の2値の離散値を取る系列である。軟判定値は、連続的な値の系列である。後続の誤り訂正復号処理を考慮すると、軟判定値が出力されることが望ましい。
また、プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44により推定されたプリコーディング行列は、後続する空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45においても利用される。よって、プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44により推定されたプリコーディング行列は、空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45に出力される。
・空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45
空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45は、送信装置100側で第1の空間変調方式又は第2の空間変調方式による変調が行われた場合に、対応する復調処理を実施して第1のビット系列を取得する。例えば、送信装置100により第1の空間変調方式による変調が行われた場合、空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45は、空間レイヤへの非ゼロの複素信号点のマッピングパターンを識別することで、第1のビット系列を取得する。また、送信装置100により第2の空間変調方式による変調が行われた場合、空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45は、空間レイヤへの複素信号点集合のマッピングパターンを識別することで、第1のビット系列を取得する。
さらに、空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45は、コンスタレーションデマッピングを行うことで、第2のビット系列を取得する。詳しくは、空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45は、複素信号点系列に含まれる複素信号点の各々が、識別されたマッピングパターンが示す複素信号点集合のどの要素に相当するかを検出することで、複素信号点をビット系列に変換する。
このように、空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45では、空間レイヤデマッピング及びコンスタレーションデマッピングを含む復調処理が、行われる。空間レイヤデマッピング及びコンスタレーションデマッピングのアルゴリズムとしては、ZF(Zero Forcing)及びMMSE(Minimum Mean Square Error)等の線形フィルタリング、又はML(Maximum Likelihood、最尤)検出及びML推定などの非線形アルゴリズムが利用され得る。
・デインタリービング&デスクランブリングブロック46
デインタリービング&デスクランブリングブロック46は、送信側で実施されたインタリービング処理及び/又はスクランブリング処理に対応した、デインタリービング処理及び/又はデスクランブリング処理を実施する。
・レートデマッチング&FEC復号化ブロック47
レートデマッチング&FEC復号化ブロック47は、送信装置100側の処理に対応した、レートデマッチング及びFEC復号化を実施して、上位レイヤの情報系列を復号する。
・反復的なデマッピングのためのソフトビット情報生成ブロック48
反復的なデマッピングのためのソフトビット情報生成ブロック48は、一旦復号した上位レイヤの情報系列から、送信信号レプリカ(例えばSoft Replica、又はSoft Interference Replica等)を再生成する。そして、反復的なデマッピングのためのソフトビット情報生成ブロック48は、再生成した送信信号レプリカを、プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44、及び空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45にフィードバックする。プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44、及び空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45は、フィードバックされた情報に基づき、繰り返し復号(Iterative/Turbo De-Mapping、Iterative/Turbo Equalization、Iterative/Turbo Decoding、又はIterative/Turbo Cancellation等)を実施する。このような繰り返し処理によって、受信性能を向上させることが期待される。
(2)第2の例
図33は、本開示の一実施形態に係る受信装置200による信号処理の一例を概略的に示すブロック図である。図33に示した信号処理は、図32に示した処理ブロックのうち、プリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44及び空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45に代えて、ジョイントプリコーディング行列ディテクション&空間レイヤデマッピング処理ブロック51及びソフトビット情報生成ブロック52を含む。図33を参照すると、アンテナからのRF信号が処理されて、上位レイヤの情報系列(例えば、ビット系列)が出力される。
図32に示した信号処理では、プリコーディング行列を用いた変調及び空間変調に関し、個別に復調(選択、判定、及び推定など)が実施されていた。これに対し、図33に示した信号処理では、プリコーディング行列を用いた変調及び空間変調に関する復調がまとめて(例えば、同時に)実施される。詳しくは、ジョイントプリコーディング行列ディテクション&空間レイヤデマッピング処理ブロック51は、上述した空間レイヤデマッピング&ソフトビット情報生成ブロック45及びプリコーディング行列ディテクション&ソフトビット情報生成ブロック44のうち、ソフトビット情報の生成機能以外の機能を含む。他方、ソフトビット情報生成ブロック52は、ソフトビット情報を生成する。
プリコーディング行列を用いた変調及び空間変調に関する復調がまとめて実施されることにより、例えば、プリコーディング行列の復号の誤りが空間レイヤの復号に誤り伝搬するような事態を回避又は軽減することが可能となる。図33に示した例の場合、プリコーディング行列と空間レイヤの同時復調には、ML検出及びML推定などの非線形アルゴリズムを利用することが望ましい。
(3)パラメータの共有
送信装置100による送信処理において用いられるパラメータは、送信装置100と受信装置200との間で共有されることが望ましい。
共有されるべきパラメータとしては、NSL、NSL,max、G、NSL,g、m、mgが挙げられる。他にも、変調に使用される複素信号点集合を示す情報が共有されてもよい。
パラメータは、送信装置100と受信装置200との間で行われる通信により通知されてもよい。例えば、パラメータは、システム情報(System Information)、RRCシグナリング(RRC Signaling)、又は制御情報(Control Information)として通知される。
・上りリンク通信又は下りリンク通信のためのパラメータの共有
以下、図34を参照して、上りリンク通信又は下りリンク通信におけるパラメータの共有処理について説明する。図34は、本実施形態に係るシステム1において実行される情報共有処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、図4に示した基地局2及び端末装置3Aが関与する。
図34に示すように、まず、端末装置3Aは、ケイパビリティ情報を基地局2に通知する(ステップS902)。かかるケイパビリティ情報は、提案技術による送信処理及び/又は受信処理に対応しているか否かを示す情報を含む。
次いで、基地局2は、準静的(Semi-static)及び/又はセル特有な制御情報を端末装置3Aに通知する(ステップS904)。次に、基地局2は、動的(Dynamic)及び/又は端末特有(UE-specific and/or UE-group-specific)な制御情報を端末装置3Aに通知する(ステップS906)。上述したパラメータは、これらの制御情報の少なくともいずれかに含まれる。
ここで、提案技術が物理制御チャネル(PDCCH(Physical Downlink Control Channel)及びPUCCH(Physical Uplink Control Channel)等)で実施される場合、パラメータは、準静的及び/又はセル特有な制御情報に含まれることが望ましい。例えば、パラメータは、システム情報、RRCシグナリングとして、物理報知チャネル(PBCH(Physical Broadcast Channel))又は下りリンク共通チャネル(PDSCH(Physical Downlink Shared Channel))を用いて通知されることが望ましい。
一方で、提案技術が物理共通チャネル(PDSCH、及びPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)等)で実施される場合、パラメータは、動的及び/又は端末特有な制御情報に含まれることが望ましい。例えば、パラメータは、下りリンク制御情報(DCI(Downlink Control Information))として、物理制御チャネル(PDCCH)を用いて通知されることが望ましい。
動的及び/又は端末特有な制御情報は、さらに、端末装置3Aが利用すべき無線リソース(周波数(リソースブロック、コンポーネントキャリア等)、時間(サブフレーム、スロット、ミニスロット等)、空間(MIMOレイヤ(Spatial Layers、Spatial Streams)数)等)を示す情報を含んでいてもよい。
シーケンスの説明に戻る。ステップS906の後、基地局2及び端末装置3Aは、上りリンク通信及び/又は下りリンク通信を行う(ステップS908)。例えば、上りリンク通信においては、端末装置3Aは、ステップS904又はS906で通知されたパラメータを用いて提案技術による送信処理を行う。そして、基地局2は、提案技術による受信処理を行う。一方で、下りリンク通信においては、基地局2は、提案技術による送信処理を行う。そして、端末装置3Aは、ステップS904又はS906で通知されたパラメータを用いて提案技術による受信処理を行う。なお、基地局2又は端末装置3Aが、提案技術による送信処理又は受信処理に対応していない場合、ステップS908における通信は、従来の典型的な通信方式(例えば、OFDMA方式又はDFT−Spread−OFDMA方式等)を利用して行われる。
その後、ステップS908における上りリンク通信及び/又は下りリンク通信に対するACK/NACKが返信される(ステップS910)。
・サイドリンク通信のためのパラメータの共有
続いて、図35を参照して、サイドリンク通信におけるパラメータの共有処理について説明する。図35は、本実施形態に係るシステム1において実行される情報共有処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本シーケンスには、図4に示した基地局2、端末装置3B及び3Cが関与する。
図35に示すように、まず、端末装置3B及び3Cは、ケイパビリティ情報を基地局2に通知する(ステップS1002)。かかるケイパビリティ情報は、提案技術による送信処理及び/又は受信処理に対応しているか否かを示す情報を含む。
次いで、基地局2は、準静的(Semi-static)及び/又はセル特有な制御情報を端末装置3B及び3Cに通知する(ステップS1004)。準静的及び/又はセル特有な制御情報は、サイドリンク通信のために利用してよい無線リソース(例えば、時間及び周波数で指定された無線リソソースプール(Radio Resource Pool))を示す情報を含む。さらに、準静的及び/又はセル特有な制御情報は、当該無線リソース内で提案技術による送受信処理を行う場合に使用すべきパラメータを含んでいてもよい。
次に、端末装置3B及び3Cは、互いに又は一方から他方へ、ケイパビリティ情報を通知する(ステップS1006)。かかるケイパビリティ情報は、基地局2から指定された無線リソースにおける、提案技術による送信処理及び/又は受信処理に対応しているか否かを示す情報を含む。
次いで、端末装置3B及び3Cは、互いに又は一方から他方へ、動的(Dynamic)及び/又は端末特有(UE-specific and/or UE-group-specific)な制御情報を通知する(ステップS1008)。かかる制御情報は、端末装置3B及び3Cが提案技術による送信処理及び受信処理を行う際に使用されるパラメータを含んでいてもよい。例えば、パラメータは、サイドリンク制御チャネル(Physical Sidelink Control Channel(PSCCH)等)を用いて、サイドリンク制御情報(Sidelink Control Information (SCI))として通知され得る。
そして、端末装置3B及び3Cは、サイドリンクリンク通信を行う(ステップS1010)。例えば、サイドリンク制御チャネル(Physical Sidelink Control Channel(PSCCH)等)では、端末装置3B及び3Cは、ステップS1004で通知されたパラメータを用いて提案技術による送信処理及び受信処理を行う。また、例えば、サイドリンク共通チャネル(Physical Sidelink Shared Channel(PSSCH)等)では、端末装置3B及び3Cは、ステップS1008で共有されたパラメータを用いて提案技術による送信処理及び受信処理を行う。なお、端末装置3B又は3Cが、提案技術による送信処理又は受信処理に対応していない場合、ステップS1010における通信は、従来の典型的な通信方式を利用して行われる。
その後、ステップS1010におけるサイドリンク通信に対するACK/NACKが返信される(ステップS1012)。
・パラメータの固定的な共有
送信装置100及び受信装置200は、パラメータを固定的に設定し、共有してもよい。例えば、所定のパラメータが、送信装置100及び受信装置200に予め記憶されていてもよい。
例えば、基地局2から端末装置3への最初のシステム情報の送信に利用される報知チャネル(PBCH)において、提案技術による送信処理及び受信処理が実施される場合、当該所定のパラメータが利用される。当該報知チャネルの送受信よりも前にパラメータを送受信することが困難なためである。
<3.4.変形例>
<3.4.1.第1の変形例>
上記の「3.2.2.3.1.第1の例」において、空間レイヤ処理ブロック305は、演算処理として、数式(34)に示した線形変換を行うものとして説明したが、本技術は係る例に限定されない。空間レイヤ処理ブロック305は、演算処理として、非線形変換を行ってもよい。非線形変換の例としては、差動変換(Differential Conversion)及び再帰変換(Recursive Conversion)等が挙げられる。以下、差動変換に基づく演算処理(差動演算処理とも称する)及び再帰変換に基づく演算処理(再帰演算処理)について、詳しく説明する。
・差動演算処理
差動演算処理では、ある空間レイヤnへの演算が、他の空間レイヤn´への演算又は他の空間レイヤn´の複素信号点の値によって決まる。差動演算処理は、次式で表され得る。
ここで、fDは、差動演算処理の関数である。snは、空間レイヤnの演算後の複素信号点である。s´nは、空間レイヤnの演算前の複素信号点である。sn´は、他の空間レイヤn´の演算後の複素信号点である。s´n´は、他の空間レイヤn´の演算前の複素信号点である。関数fDは、s´n、sn´、s´n´、n、n´の少なくともいずれかを引数とすればよい。
差動演算処理は、さらなる具体例として、次式で表され得る。
上記数式(52)は、処理自体は線形演算と似ているが、振幅、位相、及び線形シフトの量が、他の空間レイヤn´の振幅、位相、及び線形シフトの量に依存する形で決定されていることを意味している。
他の空間レイヤn´は、空間レイヤnから所定の間隔NNLだけ離れていることが望ましい。つまり、n´=n+NNL又はn´=n−NNLであることが望ましい。特に、NNL=1であることが望ましい。
差動演算処理の場合、演算に使用されるパラメータの初期値が設定される。例えば、空間レイヤn=0に対して初期値が設定される場合、次式のように演算される。
・再帰演算処理
再帰演算処理では、ある空間レイヤnへの演算が、複数回(例えばNR,n回)の繰り返しの処理によって実現される。つまり、再帰演算処理は、次式で表され得る。
再帰演算処理は、さらなる具体例として、次式で表され得る。
ここで、再帰演算処理の繰り返し回数NR,nは、空間レイヤによらず固定値(即ち、NR,n=NR)でもよいし、空間レイヤnによって異なる値でもよい。
・その他
非線形の演算処理の別の例として、モジュロ演算(除算の余りを求める演算)が用いられてもよい。
<3.4.2.第2の変形例>
図9〜図11、図13、及び図14に示した、第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの例では、空間マッピングパターンにおけるゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤの数は、第1のビット系列の全ての候補に関し一定であった。例えば、図9〜図11に示した例では、空間マッピングパターンにおけるゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤの数は、それぞれ1、3、2である。図13及び図14に示した例では、空間マッピングパターンにおけるゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤの数は、第1のビット系列の全ての候補に関しゼロである。
これに対し、空間マッピングパターンにおけるゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤの数は、第1のビット系列の全ての候補に関し一定でなくてもよい。例えば、第1のビット系列の第1の候補に対応する空間マッピングパターンと、第1のビット系列の第2の候補に対応する空間マッピングパターンとで、ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤの数が異なっていてもよい。以下、この点について詳しく説明する。
なお、以下では、図12〜図14を参照しながら説明した、第2の空間変調方式の変形例を説明するが、同様の方法が、第1の空間変調方式においても実現され得る。
・第1の方式
第1の方式は、2つの空間レイヤの使い方に2ビットの情報が乗せられる方式である。以下、図36を参照しながら、本方式について詳しく説明する。
図36は、第2の変形例に係る第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図36に示した例では、2つの空間レイヤ#1〜#2に、複素信号点集合g1又はg2に属する複素信号点、又はゼロ(0+0j)がマッピングされる。各空間レイヤへの矢印の線種の相違は、空間レイヤに配置される複素信号点が属する複素信号点集合の相違を意味している。本例では、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあるか否か、及び空間レイヤにマッピングされる所定の2つの複素信号点が同一であるか否かに、情報が乗せられる。本例では、かかる空間マッピングパターンに乗せられる情報は2ビットである。具体的には、空間レイヤ#1に複素信号点集合g1に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2にゼロ(0+0j)が配置されることにより、情報「00」が表される。空間レイヤ#1にゼロ(0+0j)が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g1に属する複素信号点が配置されることにより、情報「01」が表される。空間レイヤ#1及び#2に複素信号点集合g2に属する同一の複素信号点が配置されることにより、情報「10」が表される。空間レイヤ#1及び#2に複素信号点集合g2に属する異なる複素信号点が配置されることにより、情報「11」が表される。ここで、空間レイヤ#2に配置される、空間レイヤ#1に配置される複素信号点と同一の複素信号点集合に属する異なる複素信号点とは、空間レイヤ#1に配置される複素信号点にπラジアンの位相回転が適用された信号点である。
下記の表19に、図36に示した例における入力情報系列と各空間レイヤに配置される複素信号点との対応関係の一例を示す。表19では、4ビットの入力情報系列が2つの空間レイヤ#1及び#2に配置される2つの複素信号点s1及びs2に変調される例が示されている。なお、空間レイヤ#1に複素信号点s1が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点s2が配置される。ビット#1及び#2は第1のビット系列に相当し、ビット#3及び#4は第2のビット系列に相当する。なお、本例では、第2のビット系列は2ビットであるから、変調にはQPSKをベースとした複素信号点集合が使用される。なお、表中の「sqrt( )」は、平方根を意味している。
第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあるか否かを示す第1のビットを含む。表19における第1のビットは、ビット#1である。ビット#1が0である場合はゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあり、ビット#1が1である場合はゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがない。
ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがある場合、第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤを示す第2のビットを含む。換言すると、ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがある場合、第1のビット系列は、空間レイヤのうち非ゼロの複素信号点がマッピングされる空間レイヤを示す第2のビットを含む。表19における第2のビットは、ビット#2である。ビット#1が0の場合であって、ビット#2が0である場合、空間レイヤ#2に配置される複素信号点s2はゼロ(0+0j)である。他方、ビット#1が0の場合であって、ビット#2が1である場合、空間レイヤ#1に配置される複素信号点s1はゼロ(0+0j)である。
ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがない場合、第1のビット系列は、複数の空間レイヤに同一の複素信号点がマッピングされるか否かを示す第3のビットを含む。表19における第3のビットは、ビット#2である。ビット#1が1の場合であって、ビット#2が0である場合、複素信号点s1及びs2は同一である。他方、ビット#1が1の場合であって、ビット#2が1である場合、複素信号点s1及びs2は異なる。複素信号点s1及びs2が異なる場合、これらの複素信号点は所定の関係性を有することが望ましい。所定の関係性は、線形変換で表現できることが望ましい。所定の関係性としては、所定の位相差、所定の振幅差、又はこれらの組み合わせが考えられる。例えば、表19に示した例における所定の関係性は、πラジアン(即ち、180度)の位相差である。具体的には、表19におけるビット#1が1でビット#2が1である行を参照すると、複素信号点s1にπラジアンの位相回転を与えると、複素信号点s2と等しくなる。
第1のビット系列は、第2のビット系列の変調に使用される複素信号点集合の種別を示す第4のビットを含む。表19における第4のビットは、ビット#1である。ビット#1が0の場合、ビット#3及び#4の変調に、下記の表20に示される複素信号点集合g1が使用される。ビット#1が1の場合、ビット#3及び#4の変調に、下記の表21に示される複素信号点集合g2が使用される。ここで、複素信号点集合g0及びg1は、所定の関係性を有することが望ましい。所定の関係性は、線形変換で表現できることが望ましい。所定の関係性としては、所定の位相差、所定の振幅差、又はこれらの組み合わせが考えられる。例えば、表20に示される複素信号点集合g1と表21に示される複素信号点集合g2との所定の関係性は、π/4ラジアン(即ち、45度)の位相差である。
・第2の方式
第2の方式は、2つの空間レイヤの使い方に3ビットの情報が乗せられる方式である。本方式では、複数の非ゼロの複素信号点の変調に使用される複素信号点集合が同一である。以下、図37A及び図37Bを参照しながら、本方式について詳しく説明する。
図37A及び図37Bは、第2の変形例に係る第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図37A及び図37Bに示した例では、2つの空間レイヤ#1〜#2に、複素信号点集合g1〜g4のいずれかに属する複素信号点、又はゼロ(0+0j)が配置される。各空間レイヤへの矢印の線種の相違は、空間レイヤにマッピングされる複素信号点が属する複素信号点集合の相違を意味している。本例では、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあるか否か、空間レイヤにマッピングされる所定の2つの複素信号点が同一であるか否か、及び変調に使用される複素信号点集合に、情報が乗せられる。本例では、かかる空間マッピングパターンに乗せられる情報は3ビットである。具体的には、空間レイヤ#1に複素信号点集合g1に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2にゼロ(0+0j)が配置されることにより、情報「000」が表される。空間レイヤ#1にゼロ(0+0j)が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g1に属する複素信号点が配置されることにより、情報「001」が表される。空間レイヤ#1に複素信号点集合g2に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2にゼロ(0+0j)が配置されることにより、情報「010」が表される。空間レイヤ#1にゼロ(0+0j)が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g2に属する複素信号点が配置されることにより、情報「011」が表される。空間レイヤ#1及び#2に複素信号点集合g3に属する同一の複素信号点が配置されることにより、情報「100」が表される。空間レイヤ#1及び#2に複素信号点集合g3に属する異なる複素信号点が配置されることにより、情報「101」が表される。空間レイヤ#1及び#2に複素信号点集合g4に属する同一の複素信号点が配置されることにより、情報「110」が表される。空間レイヤ#1及び#2に複素信号点集合g4に属する異なる複素信号点が配置されることにより、情報「111」が表される。ここで、空間レイヤ#2に配置される、空間レイヤ#1に配置される複素信号点と同一の複素信号点集合に属する異なる複素信号点とは、空間レイヤ#1に配置される複素信号点にπラジアンの位相回転が適用された信号点である。
下記の表22に、図37A及び図37Bに示した例における入力情報系列と各空間レイヤに配置される複素信号点との対応関係の一例を示す。表22では、5ビットの入力情報系列が2つの空間レイヤ#1及び#2に配置される2つの複素信号点s1及びs2に変調される例が示されている。なお、空間レイヤ#1に複素信号点s1が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点s2が配置される。ビット#1〜#3は第1のビット系列に相当し、ビット#4及び#5は第2のビット系列に相当する。なお、本例では、第2のビット系列は2ビットであるから、変調にはQPSKをベースとした複素信号点集合が使用される。
第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあるか否かを示す第1のビットを含む。表22における第1のビットは、ビット#1である。ビット#1が0である場合はゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあり、ビット#1が1である場合はゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがない。
ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがある場合、第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤを示す第2のビットを含む。換言すると、ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがある場合、第1のビット系列は、空間レイヤのうち非ゼロの複素信号点がマッピングされる空間レイヤを示す第2のビットを含む。表22における第2のビットは、ビット#3である。ビット#1が0の場合であって、ビット#3が0である場合、空間レイヤ#2に配置される複素信号点s2はゼロ(0+0j)である。他方、ビット#1が0の場合であって、ビット#3が1である場合、空間レイヤ#1に配置される複素信号点s1はゼロ(0+0j)である。
ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがない場合、第1のビット系列は、複数の空間レイヤに同一の複素信号点がマッピングされるか否かを示す第3のビットを含む。表22における第3のビットは、ビット#3である。ビット#1が1の場合であって、ビット#3が0である場合、複素信号点s1及びs2は同一である。他方、ビット#1が1の場合であって、ビット#3が1である場合、複素信号点s1及びs2は異なる。複素信号点s1及びs2が異なる場合、これらの複素信号点は所定の関係性を有することが望ましい。所定の関係性は、線形変換で表現できることが望ましい。所定の関係性としては、所定の位相差、所定の振幅差、又はこれらの組み合わせが考えられる。例えば、表22に示した例における所定の関係性は、πラジアン(即ち、180度)の位相差である。具体的には、表22におけるビット#1が1でビット#3が1である行を参照すると、複素信号点s1にπラジアンの位相回転を与えると、複素信号点s2と等しくなる。
第1のビット系列は、第2のビット系列の変調に使用される複素信号点集合の種別を示す第4のビットを含む。表22における第4のビットは、ビット#1及び#2である。ビット#1が0でありビット#2が0である場合、ビット#3及び#4の変調に、下記の表23に示される複素信号点集合g1が使用される。ビット#1が0でありビット#2が1である場合、ビット#3及び#4の変調に、下記の表24に示される複素信号点集合g2が使用される。ビット#1が1でありビット#2が0である場合、ビット#3及び#4の変調に、下記の表25に示される複素信号点集合g3が使用される。ビット#1が1でありビット#2が1である場合、ビット#3及び#4の変調に、下記の表26に示される複素信号点集合g4が使用される。ここで、複素信号点集合g0〜g4は、所定の関係性を有することが望ましい。所定の関係性は、線形変換で表現できることが望ましい。所定の関係性としては、所定の位相差、所定の振幅差、又はこれらの組み合わせが考えられる。
・第3の方式
第3の方式は、2つの空間レイヤの使い方に3ビットの情報が乗せられる方式である。本方式では、複数の非ゼロの複素信号点の変調に使用される複素信号点集合が互いに異なる。以下、図38A及び図38Bを参照しながら、本例について詳しく説明する。
図38A及び図38Bは、第2の変形例に係る第1のビット系列の候補と空間マッピングパターンとの組み合わせの一例を示す図である。図38A及び図38Bに示した例では、2つの空間レイヤ#1〜#2に、複素信号点集合g1〜g4のいずれかに属する複素信号点、又はゼロ(0+0j)が配置される。各空間レイヤへの矢印の線種の相違は、空間レイヤにマッピングされる複素信号点が属する複素信号点集合の相違を意味している。本例では、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあるか否か、空間レイヤにマッピングされる複素信号点に所定の線形変換が適用されるか否か、及び変調に使用される複素信号点集合に、情報が乗せられる。本例では、かかる空間マッピングパターンに乗せられる情報は3ビットである。具体的には、空間レイヤ#1に複素信号点集合g1に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2にゼロ(0+0j)が配置されることにより、情報「000」が表される。空間レイヤ#1にゼロ(0+0j)が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g1に属する複素信号点が配置されることにより、情報「001」が表される。空間レイヤ#1に複素信号点集合g2に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2にゼロ(0+0j)が配置されることにより、情報「010」が表される。空間レイヤ#1にゼロ(0+0j)が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g2に属する複素信号点が配置されることにより、情報「011」が表される。空間レイヤ#1に複素信号点集合g3に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g4に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に配置される複素信号点に所定の線形変換が適用されないことにより、情報「100」が表される。空間レイヤ#1に複素信号点集合g3に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g4に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に配置される複素信号点に所定の線形変換が適用されることにより、情報「101」が表される。空間レイヤ#1に複素信号点集合g4に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g3に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に配置される複素信号点に所定の線形変換が適用されないことにより、情報「110」が表される。空間レイヤ#1に複素信号点集合g4に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点集合g3に属する複素信号点が配置され、空間レイヤ#2に配置される複素信号点に所定の線形変換が適用されることにより、情報「111」が表される。ここで、図38A及び図38Bに示した例における所定の線形変換とは、πラジアンの位相回転である。
下記の表27に、図38A及び図38Bに示した例における入力情報系列と各空間レイヤに配置される複素信号点との対応関係の一例を示す。表27では、5ビットの入力情報系列が2つの空間レイヤ#1及び#2に配置される2つの複素信号点s1及びs2に変調される例が示されている。なお、空間レイヤ#1に複素信号点s1が配置され、空間レイヤ#2に複素信号点s2が配置される。ビット#1〜#3は第1のビット系列に相当し、ビット#4及び#5は第2のビット系列に相当する。なお、本例では、第2のビット系列は2ビットであるから、変調にはQPSKをベースとした複素信号点集合が使用される。
第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあるか否かを示す第1のビットを含む。表27における第1のビットは、ビット#1である。ビット#1が0である場合はゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあり、ビット#1が1である場合はゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがない。
ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがある場合、第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤを示す第2のビットを含む。換言すると、ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがある場合、第1のビット系列は、空間レイヤのうち非ゼロの複素信号点がマッピングされる空間レイヤを示す第2のビットを含む。表27における第2のビットは、ビット#3である。ビット#1が0の場合であって、ビット#3が0である場合、空間レイヤ#2に配置される複素信号点s2はゼロ(0+0j)である。他方、ビット#1が0の場合であって、ビット#3が1である場合、空間レイヤ#1に配置される複素信号点s1はゼロ(0+0j)である。
第1のビット系列は、第2のビット系列の変調に使用される複素信号点集合の種別を示す第4のビットを含む。表27における第4のビットは、ビット#1及び#2である。ビット#1が0でありビット#2が0である場合、ビット#3及び#4の変調に、上記の表23に示される複素信号点集合g1が使用される。ビット#1が0でありビット#2が1である場合、ビット#3及び#4の変調に、上記の表24に示される複素信号点集合g2が使用される。ビット#1が1でありビット#2が0である場合、ビット#3及び#4の変調に、上記の表25に示される複素信号点集合g3が使用される。ビット#1が1でありビット#2が1である場合、ビット#3及び#4の変調に、上記の表26に示される複素信号点集合g4が使用される。ここで、複素信号点集合g0〜g4は、所定の関係性を有することが望ましい。所定の関係性は、線形変換で表現できることが望ましい。所定の関係性としては、所定の位相差、所定の振幅差、又はこれらの組み合わせが考えられる。
ゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがない場合、第1のビット系列は、複素信号点への所定の線形変換の適用有無を示す第5のビットを含む。表27における第5のビットは、ビット#3である。ビット#1が1の場合であって、ビット#3が0である場合、複素信号点s2には所定の線形変換が適用されない。他方、ビット#1が1の場合であって、ビット#3が1である場合、複素信号点s2には所定の線形変換が適用される。所定の線形変換としては、所定の位相回転、所定の振幅増減、又はこれらの組み合わせが考えられる。例えば、表27に示した例における所定の線形変換は、πラジアン(即ち、180度)の位相回転である。例えば、入力情報系列が(1,0,0,0,0)である場合の複素信号点s2と入力情報系列が(1,0,1,0,0)である場合の複素信号点s2との位相差は、πラジアンである。このようにすることで、複素信号点s1及びs2を総合した信号点のユークリッド距離を広げる効果が期待できる。
・補足
上記第1〜第3の方式において、複素信号点集合間の所定の関係性は、線形変換で表現できることが望ましいと説明したが、別の捉え方がされてもよい。一例として、複素信号点集合間の所定の関係性は、複素信号点集合における実部成分及び虚部成分の割り振り方が異なる関係であるとも捉えられてもよい。例えば、上記表20で示される複素信号点集合g1では実部成分及び虚部成分のそれぞれに信号成分が割り振られているのに対して、上記表21で示される複素信号点集合g2では実部成分又は虚部成分のいずれかにのみ信号成分が割り振られている。
・複素信号点系列間のユークリッド距離について
上記表19、表22及び表27において、各方式における入力情報系列と各空間レイヤに配置される複素信号点との対応関係の一例を示した。いずれの方式においても、各空間レイヤに配置される複素信号点から成る複素信号点系列に関し、複数の複素信号点系列間のユークリッド距離又は最小ユークリッド距離が、所定の閾値以上であることが望ましい。これは、従来の変調方式(例えば、QPSK等)において、ある単一の複素信号点(即ち、複素スカラ)と別の単一の複素信号点との間の最小ユークリッド距離が考慮(即ち、重要視)されていたためである。
要素数Lの複素ベクトル(即ち、複素信号点系列)がD通り定義されているとする。例えば、表19の場合、L=2、D=16であり、表22及び表27の場合、L=2、D=32である。そのうちの異なる2つの複素ベクトルsmとsnとの間のユークリッド距離Em,nは、次式で定義される。
ここで、sm,l及びsn,lは、それぞれ複素ベクトルsm及びsnのl番目の要素である。このユークリッド距離Em,nが、すべての複素ベクトルの組において、所定の閾値Eth以上であることが望ましい。即ち、次式が成り立つことが望ましい。
または、このユークリッド距離Em,nの、すべての複素ベクトルの組における最小ユークリッド距離Eminが、所定の閾値Eth以上であることが望ましい。即ち、次式が成り立つことが望ましい。
ここで、所定の閾値Ethとして、例えば、対象の複素ベクトルを定義する際に使用される複素信号点集合のうち、ある1つの複素信号点集合g内の複素信号点(即ち、複素スカラ)間の最小ユークリッド距離Emin,gが用いられてもよい。若しくは、最小ユークリッド距離Emin,gに係数δ(≧0)を適用した値δEmin,gが、所定の閾値Ethとして用いられてもよい。
・本変形例の効果
図14と図36とを比較すると、両者ともに空間レイヤの使い方に乗せる情報が2ビットである一方で、使用される空間レイヤの数は、図14では4であり、図36では2である。また、図14と、図37A及び図37B並びに図38A及び図38Bと、を比較すると、両者ともに使用される空間レイヤの数が4である一方で、空間レイヤの使い方に乗せる情報は、図14では2ビットであり、図37A及び図37B並びに図38A及び図38Bでは3ビットである。つまり、本変形例は、図12〜図14を参照して上記説明した変調方式と比較して、空間レイヤの数あたり乗せることのできる情報量を増加させることができる。
<<4.応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。送信装置100又は受信装置200は、マクロeNB又はスモールeNBなどのいずれかの種類のeNB(evolved Node B)として実現されてもよい。スモールeNBは、ピコeNB、マイクロeNB又はホーム(フェムト)eNBなどの、マクロセルよりも小さいセルをカバーするeNBであってよい。その代わりに、送信装置100又は受信装置200は、NodeB又はBTS(Base Transceiver Station)などの他の種類の基地局として実現されてもよい。送信装置100又は受信装置200は、無線通信を制御する本体(基地局装置ともいう)と、本体とは別の場所に配置される1つ以上のRRH(Remote Radio Head)とを含んでもよい。また、後述する様々な種類の端末が一時的に又は半永続的に基地局機能を実行することにより、送信装置100又は受信装置200として動作してもよい。
また、例えば、送信装置100又は受信装置200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末、携帯型/ドングル型のモバイルルータ若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、送信装置100又は受信装置200は、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、送信装置100又は受信装置200は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
<4.1.基地局に関する応用例>
(第1の応用例)
図39は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。eNB800は、1つ以上のアンテナ810、及び基地局装置820を有する。各アンテナ810及び基地局装置820は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。
アンテナ810の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、基地局装置820による無線信号の送受信のために使用される。eNB800は、図39に示したように複数のアンテナ810を有し、複数のアンテナ810は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図39にはeNB800が複数のアンテナ810を有する例を示したが、eNB800は単一のアンテナ810を有してもよい。
基地局装置820は、コントローラ821、メモリ822、ネットワークインタフェース823及び無線通信インタフェース825を備える。
コントローラ821は、例えばCPU又はDSPであってよく、基地局装置820の上位レイヤの様々な機能を動作させる。例えば、コントローラ821は、無線通信インタフェース825により処理された信号内のデータからデータパケットを生成し、生成したパケットをネットワークインタフェース823を介して転送する。コントローラ821は、複数のベースバンドプロセッサからのデータをバンドリングすることによりバンドルドパケットを生成し、生成したバンドルドパケットを転送してもよい。また、コントローラ821は、無線リソース管理(Radio Resource Control)、無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、移動性管理(Mobility Management)、流入制御(Admission Control)又はスケジューリング(Scheduling)などの制御を実行する論理的な機能を有してもよい。また、当該制御は、周辺のeNB又はコアネットワークノードと連携して実行されてもよい。メモリ822は、RAM及びROMを含み、コントローラ821により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、送信電力データ及びスケジューリングデータなど)を記憶する。
ネットワークインタフェース823は、基地局装置820をコアネットワーク824に接続するための通信インタフェースである。コントローラ821は、ネットワークインタフェース823を介して、コアネットワークノード又は他のeNBと通信してもよい。その場合に、eNB800と、コアネットワークノード又は他のeNBとは、論理的なインタフェース(例えば、S1インタフェース又はX2インタフェース)により互いに接続されてもよい。ネットワークインタフェース823は、有線通信インタフェースであってもよく、又は無線バックホールのための無線通信インタフェースであってもよい。ネットワークインタフェース823が無線通信インタフェースである場合、ネットワークインタフェース823は、無線通信インタフェース825により使用される周波数帯域よりもより高い周波数帯域を無線通信に使用してもよい。
無線通信インタフェース825は、LTE(Long Term Evolution)又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、アンテナ810を介して、eNB800のセル内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース825は、典型的には、ベースバンド(BB)プロセッサ826及びRF回路827などを含み得る。BBプロセッサ826は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、各レイヤ(例えば、L1、MAC(Medium Access Control)、RLC(Radio Link Control)及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol))の様々な信号処理を実行する。BBプロセッサ826は、コントローラ821の代わりに、上述した論理的な機能の一部又は全部を有してもよい。BBプロセッサ826は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を含むモジュールであってもよく、BBプロセッサ826の機能は、上記プログラムのアップデートにより変更可能であってもよい。また、上記モジュールは、基地局装置820のスロットに挿入されるカード若しくはブレードであってもよく、又は上記カード若しくは上記ブレードに搭載されるチップであってもよい。一方、RF回路827は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ810を介して無線信号を送受信する。
無線通信インタフェース825は、図39に示したように複数のBBプロセッサ826を含み、複数のBBプロセッサ826は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。また、無線通信インタフェース825は、図39に示したように複数のRF回路827を含み、複数のRF回路827は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図39には無線通信インタフェース825が複数のBBプロセッサ826及び複数のRF回路827を含む例を示したが、無線通信インタフェース825は単一のBBプロセッサ826又は単一のRF回路827を含んでもよい。
図39に示したeNB800において、図5を参照して説明した制御部140に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部141及び/又は送信信号処理部143)及び/又は図6を参照して説明した制御部240に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部241及び/又は受信信号処理部243)は、無線通信インタフェース825において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、コントローラ821において実装されてもよい。一例として、eNB800は、無線通信インタフェース825の一部(例えば、BBプロセッサ826)若しくは全部、及び/又はコントローラ821を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがeNB800にインストールされ、無線通信インタフェース825(例えば、BBプロセッサ826)及び/又はコントローラ821が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてeNB800、基地局装置820又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図39に示したeNB800において、図5を参照して説明した無線通信部120及び/又は図6を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース825(例えば、RF回路827)において実装されてもよい。また、アンテナ部110及び/又はアンテナ部210は、アンテナ810において実装されてもよい。また、記憶部130及び/又は記憶部230は、メモリ822において実装されてもよい。
(第2の応用例)
図40は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。eNB830は、1つ以上のアンテナ840、基地局装置850、及びRRH860を有する。各アンテナ840及びRRH860は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。また、基地局装置850及びRRH860は、光ファイバケーブルなどの高速回線で互いに接続され得る。
アンテナ840の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、RRH860による無線信号の送受信のために使用される。eNB830は、図40に示したように複数のアンテナ840を有し、複数のアンテナ840は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図40にはeNB830が複数のアンテナ840を有する例を示したが、eNB830は単一のアンテナ840を有してもよい。
基地局装置850は、コントローラ851、メモリ852、ネットワークインタフェース853、無線通信インタフェース855及び接続インタフェース857を備える。コントローラ851、メモリ852及びネットワークインタフェース853は、図39を参照して説明したコントローラ821、メモリ822及びネットワークインタフェース823と同様のものである。
無線通信インタフェース855は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、RRH860及びアンテナ840を介して、RRH860に対応するセクタ内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース855は、典型的には、BBプロセッサ856などを含み得る。BBプロセッサ856は、接続インタフェース857を介してRRH860のRF回路864と接続されることを除き、図39を参照して説明したBBプロセッサ826と同様のものである。無線通信インタフェース855は、図40に示したように複数のBBプロセッサ856を含み、複数のBBプロセッサ856は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図40には無線通信インタフェース855が複数のBBプロセッサ856を含む例を示したが、無線通信インタフェース855は単一のBBプロセッサ856を含んでもよい。
接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)をRRH860と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)とRRH860とを接続する上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
また、RRH860は、接続インタフェース861及び無線通信インタフェース863を備える。
接続インタフェース861は、RRH860(無線通信インタフェース863)を基地局装置850と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース861は、上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
無線通信インタフェース863は、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、典型的には、RF回路864などを含み得る。RF回路864は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、図40に示したように複数のRF回路864を含み、複数のRF回路864は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図40には無線通信インタフェース863が複数のRF回路864を含む例を示したが、無線通信インタフェース863は単一のRF回路864を含んでもよい。
図40に示したeNB830において、図5を参照して説明した制御部140に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部141及び/又は送信信号処理部143)及び/又は図6を参照して説明した制御部240に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部241及び/又は受信信号処理部243)は、無線通信インタフェース855及び/又は無線通信インタフェース863において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、コントローラ851において実装されてもよい。一例として、eNB830は、無線通信インタフェース855の一部(例えば、BBプロセッサ856)若しくは全部、及び/又はコントローラ851を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがeNB830にインストールされ、無線通信インタフェース855(例えば、BBプロセッサ856)及び/又はコントローラ851が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてeNB830、基地局装置850又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図40に示したeNB830において、例えば、図5を参照して説明した無線通信部120及び/又は図6を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース863(例えば、RF回路864)において実装されてもよい。また、アンテナ部110及び/又はアンテナ部210は、アンテナ840において実装されてもよい。また、記憶部130及び/又は記憶部230は、メモリ852において実装されてもよい。
<4.2.端末装置に関する応用例>
(第1の応用例)
図41は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912、1つ以上のアンテナスイッチ915、1つ以上のアンテナ916、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM及びROMを含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース912は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース912は、典型的には、BBプロセッサ913及びRF回路914などを含み得る。BBプロセッサ913は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路914は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ916を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース912は、BBプロセッサ913及びRF回路914を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース912は、図41に示したように複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含んでもよい。なお、図41には無線通信インタフェース912が複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含む例を示したが、無線通信インタフェース912は単一のBBプロセッサ913又は単一のRF回路914を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース912は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN(Local Area Network)方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ913及びRF回路914を含んでもよい。
アンテナスイッチ915の各々は、無線通信インタフェース912に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ916の接続先を切り替える。
アンテナ916の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース912による無線信号の送受信のために使用される。スマートフォン900は、図41に示したように複数のアンテナ916を有してもよい。なお、図41にはスマートフォン900が複数のアンテナ916を有する例を示したが、スマートフォン900は単一のアンテナ916を有してもよい。
さらに、スマートフォン900は、無線通信方式ごとにアンテナ916を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ915は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図41に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図41に示したスマートフォン900において、図5を参照して説明した制御部140に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部141及び/又は送信信号処理部143)及び/又は図6を参照して説明した制御部240に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部241及び/又は受信信号処理部243)は、無線通信インタフェース912において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。一例として、スマートフォン900は、無線通信インタフェース912の一部(例えば、BBプロセッサ913)若しくは全部、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがスマートフォン900にインストールされ、無線通信インタフェース912(例えば、BBプロセッサ913)、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてスマートフォン900又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図41に示したスマートフォン900において、例えば、図5を参照して説明した無線通信部120及び/又は図6を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース912(例えば、RF回路914)において実装されてもよい。また、アンテナ部110及び/又はアンテナ部210は、アンテナ916において実装されてもよい。また、記憶部130及び/又は記憶部230は、メモリ902において実装されてもよい。
(第2の応用例)
図42は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、1つ以上のアンテナスイッチ936、1つ以上のアンテナ937及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、LTE又はLTE−Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、典型的には、BBプロセッサ934及びRF回路935などを含み得る。BBプロセッサ934は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路935は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ937を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース933は、BBプロセッサ934及びRF回路935を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、図42に示したように複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含んでもよい。なお、図42には無線通信インタフェース933が複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含む例を示したが、無線通信インタフェース933は単一のBBプロセッサ934又は単一のRF回路935を含んでもよい。
さらに、無線通信インタフェース933は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ934及びRF回路935を含んでもよい。
アンテナスイッチ936の各々は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ937の接続先を切り替える。
アンテナ937の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送受信のために使用される。カーナビゲーション装置920は、図42に示したように複数のアンテナ937を有してもよい。なお、図42にはカーナビゲーション装置920が複数のアンテナ937を有する例を示したが、カーナビゲーション装置920は単一のアンテナ937を有してもよい。
さらに、カーナビゲーション装置920は、無線通信方式ごとにアンテナ937を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ936は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図42に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図42に示したカーナビゲーション装置920において、図5を参照して説明した制御部140に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部141及び/又は送信信号処理部143)及び/又は図6を参照して説明した制御部240に含まれる1つ以上の構成要素(情報共有部241及び/又は受信信号処理部243)は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。一例として、カーナビゲーション装置920は、無線通信インタフェース933の一部(例えば、BBプロセッサ934)若しくは全部及び/又はプロセッサ921を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがカーナビゲーション装置920にインストールされ、無線通信インタフェース933(例えば、BBプロセッサ934)及び/又はプロセッサ921が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてカーナビゲーション装置920又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
また、図42に示したカーナビゲーション装置920において、例えば、図5を参照して説明した無線通信部120及び/又は図6を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース933(例えば、RF回路935)において実装されてもよい。また、アンテナ部110及び/又はアンテナ部210は、アンテナ937において実装されてもよい。また、記憶部130及び/又は記憶部230は、メモリ922において実装されてもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
<<5.まとめ>>
以上、図1〜図42を参照して、本開示の一実施形態について詳細に説明した。上記説明したように、本実施形態に係る送信装置100は、プリコーディング行列を用いた変調を行い得る。具体的には、送信装置100は、第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列にプリコーディング行列を適用する。ここで、複素信号点系列に適用されるプリコーディング行列は、第1のビット系列の候補とプリコーディング行列の集合の各要素との予め定められた組み合わせにおける第1のビット系列に対応する。これにより、プリコーディング行列に、第1のビット系列を乗せることが可能となる。
また、本実施形態に係る送信装置100は、新たな空間変調を行い得る。具体的には、送信装置100は、第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列を複数の空間レイヤのうち少なくともいずれかにマッピングする空間レイヤマッピングを行う。ここで、空間レイヤへのマッピングパターンは、第1のビット系列の候補とマッピングパターンとの予め定められた複数の組み合わせにおける第1のビット系列に対応する。これにより、空間レイヤのマッピングパターンに、第1のビット系列を乗せることが可能となる。
本実施形態によれば、従来のMIMOでは情報が乗せられていなかったプリコーディング行列及び空間レイヤへのマッピングパターンに情報が乗せられる。従って、MIMOのリソース効率の向上及び送受信特性の改善を図ることが可能である。さらに、従来の空間変調で課題となっていた、アンテナの切り替えに伴うPAPRの増加やアナログ・RF回路への負担を回避又は軽減することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列にプリコーディング行列を適用する信号処理部を備え、
前記複素信号点系列に適用される前記プリコーディング行列は、前記第1のビット系列の候補と前記プリコーディング行列の集合の各要素との予め定められた組み合わせにおける前記第1のビット系列に対応する、送信装置。
(2)
前記集合に含まれる複数の前記プリコーディング行列の特定の位置の要素は互いに同一である、前記(1)に記載の送信装置。
(3)
前記プリコーディング行列の異なる2つの要素は、少なくとも位相差が第1の値の整数倍であるか、振幅比が第2の値の整数倍若しくは整数分の1である、前記(1)又は(2)に記載の送信装置。
(4)
前記集合は、アンテナ数と空間レイヤ数の組み合わせごとに定義され、
要素数が少ない前記集合は、要素数が多い前記集合の部分集合である、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の送信装置。
(5)
第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列を複数の空間レイヤのうち少なくともいずれかにマッピングする空間レイヤマッピングを行う信号処理部を備え、
空間レイヤへのマッピングパターンは、前記第1のビット系列の候補と前記マッピングパターンとの予め定められた複数の組み合わせにおける前記第1のビット系列に対応する、送信装置。
(6)
前記マッピングパターンは、複数の空間レイヤのうち2以上の空間レイヤにマッピングされる複素信号点の各々が、複数の複素信号点集合のうちどの複素信号点集合の要素であるかのパターンである、前記(5)に記載の送信装置。
(7)
前記信号処理部は、
前記第1のビット系列に基づいて、前記マッピングパターンを選択し、
前記マッピングパターンに基づいて、前記第2のビット系列を前記複数の前記複素信号点集合の各々から選択した複素信号点から成る前記複素信号点系列に変換する、前記(6)に記載の送信装置。
(8)
前記信号処理部は、所定の複素信号点集合に基づいて前記第2のビット系列を一時的な複素信号点系列に変換し、前記一時的な複素信号点系列に含まれる複数の複素信号点の各々に、前記第1のビット系列に基づく演算処理を適用することで、前記複素信号点系列を生成する、前記(6)に記載の送信装置。
(9)
前記複数の前記複素信号点集合の各々は、互いに線形の関係にある、前記(6)〜(8)のいずれか一項に記載の送信装置。
(10)
前記複数の前記複素信号点集合の各々は、互いに要素数が同一である又は要素数の差が1である、前記(6)〜(9)のいずれか一項に記載の送信装置。
(11)
前記複数の前記複素信号点集合は、2^m FSK(Frequency Shift Keying)、2^m ASK(Amplitude Shift Keying)、2^m PSK(Phase Shift Keying)、又は2^m QAM(Quadrature Amplitude Modulation)のうち少なくともいずれかで表現される複素信号点を要素として含み、mはゼロ以上の整数である、前記(6)〜(10)のいずれか一項に記載の送信装置。
(12)
前記複数の前記複素信号点集合のうち1つの前記複素信号点集合は、要素数が2^m、又は1+2^mであり、mはゼロ以上の整数である、前記(6)〜(11)のいずれか一項に記載の送信装置。
(13)
前記複素信号点集合の要素数が1+2^mである場合、当該複素信号点集合は要素としてゼロ(0+0j)を含む、前記(12)に記載の送信装置。
(14)
前記複数の前記複素信号点集合のうち1つの前記複素信号点集合は、要素数が1である、前記(6)〜(12)のいずれか一項に記載の送信装置。
(15)
前記マッピングパターンは、複数の空間レイヤのうちどの空間レイヤに非ゼロの複素信号点がマッピングされるかのパターンである、前記(5)に記載の送信装置。
(16)
前記第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤがあるか否かを示すビットを含む、前記(5)に記載の送信装置。
(17)
前記第1のビット系列は、複数の空間レイヤのうちゼロ(0+0j)がマッピングされる空間レイヤを示すビットを含む、前記(16)に記載の送信装置。
(18)
前記第1のビット系列は、複数の空間レイヤに同一の複素信号点がマッピングされるか否か、又は複素信号点への所定の線形変換の適用有無を示すビットを含む、前記(16)又は(17)に記載の送信装置。
(19)
第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列にプリコーディング行列を適用すること、を含み、
前記複素信号点系列に適用される前記プリコーディング行列は、前記第1のビット系列の候補と前記プリコーディング行列の集合の各要素との予め定められた組み合わせにおける前記第1のビット系列に対応する、プロセッサにより実行される方法。
(20)
第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列を複数の空間レイヤのうち少なくともいずれかにマッピングする空間レイヤマッピングを行うこと、を含み、
空間レイヤへのマッピングパターンは、前記第1のビット系列の候補と前記マッピングパターンとの予め定められた複数の組み合わせにおける前記第1のビット系列に対応する、プロセッサにより実行される方法。
(21)
コンピュータを、
第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列にプリコーディング行列を適用する信号処理部、
として機能させ、
前記複素信号点系列に適用される前記プリコーディング行列は、前記第1のビット系列の候補と前記プリコーディング行列の集合の各要素との予め定められた組み合わせにおける前記第1のビット系列に対応する、プログラムが記録された記録媒体。
(22)
コンピュータを、
第1のビット系列に基づいて、第2のビット系列から変換された複素信号点系列を複数の空間レイヤのうち少なくともいずれかにマッピングする空間レイヤマッピングを行う信号処理部、
として機能させ、
空間レイヤへのマッピングパターンは、前記第1のビット系列の候補と前記マッピングパターンとの予め定められた複数の組み合わせにおける前記第1のビット系列に対応する、プログラムが記録された記録媒体。