JPWO2019180956A1 - ナノカーボン分散液の保管方法 - Google Patents

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Abstract

界面活性剤を含むナノカーボン分散液を、長期間安定に保管する方法を提供する。本発明の一態様は、ナノカーボン分散液を10℃以下で保管する低温保管工程、および/またはナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を、臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上となるように調整する界面活性剤の濃度調整工程を含む、ナノカーボン分散液の保管方法に関する。

Description

本発明は、ナノカーボン分散液の保管方法に関する。
近年、ナノメートル領域における炭素材料、いわゆるナノカーボン材料が、それらの機械的特性、電気的特性、化学的特性により様々な分野への適用が期待されている。ナノカーボン材料の1つとしては、カーボンナノチューブが挙げられる。カーボンナノチューブは、炭素原子からなる円筒状の物質である。カーボンナノチューブのなかでも、円筒形の層が1層のものは単層カーボンナノチューブと呼ばれる。
単層カーボンナノチューブは、優れた電気的特性を有する材料であり、次世代の電子材料として期待されている。この単層カーボンナノチューブは、チューブの直径、巻き具合によって金属型と半導体型という2つの異なる性質に分類されることが知られている。公知の製造方法を用いて単層カーボンナノチューブを合成すると、金属的な性質を有する単層カーボンナノチューブ(以下、「金属型単層カーボンナノチューブ」という。)と半導体的な性質を有するカーボンナノチューブ(以下、「半導体型単層カーボンナノチューブ」という。)が統計的におよそ1:2の割合で含まれる単層カーボンナノチューブの混合物が得られる。
一方、半導体装置の分野では、半導体膜としてアモルファスまたは多結晶のシリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が知られている。TFTは、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ等のスイッチング素子として実用化されている。
近年、TFT用の半導体膜として、単層カーボンナノチューブを含む薄膜が検討されている。単層カーボンナノチューブを用いたTFTは、アモルファスまたは多結晶のシリコンを用いたTFTに比べて、低温で製造することができるという利点を有する。そのため、単層カーボンナノチューブを用いた場合、プラスチック基板上への回路の形成が可能となり、半導体装置を軽量化したり、半導体装置の製造コストを低減したりすることができる等、多くの効果が期待されている。
また、近年、電子材料を印刷法によりプラスチック等の基板上に塗布することにより、半導体装置等の電子部品を構築する手法(いわゆる、印刷エレクトロニクス)が用いられており、低コストで大面積の電子部品の製造が行われている。この印刷には、金属や半導体性材料を均質に分散した印刷インクを用いる。そのような印刷インクとして、単層カーボンナノチューブ等のナノカーボン材料を溶液に均一に分散したナノカーボン分散液が検討されている。
しかしながら、上述したように、公知の製造方法により製造された単層カーボンナノチューブは、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブをおよそ1:2の比率で含む。そのため、単層カーボンナノチューブの混合物を半導体チャネル材料として用いた場合、電気的な特性の低下等の問題が生じることがある。例えば、TFT用のチャネル材料として、単層カーボンナノチューブを用いた場合、金属型単層カーボンナノチューブによって、短絡、On/Off性能の低下等の性能の低下が生じる。
このような性能の低下の問題に対し、金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブの分離方法が提案されてきた。分離方法の1つとして、例えば、非イオン性界面活性剤を含む溶液に単層カーボンナノチューブを分散させ、その分散液中にて、鉛直方向に直流電圧を印加して、2群以上の異なる性質を有する単層カーボンナノチューブ分散液層を形成する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、TFTの作製時に、その性質を劣化させる可能性があるナトリウム等のイオン種を含まない、良質な半導体性の単層カーボンナノチューブ分散液が得られる。このような分散液は印刷エレクトロニクスにおいて印刷インクとして用いることができる。
特許第5717233号公報
しかしながら、このようにナノカーボンを均一に溶液内へと分散して調製したナノカーボン分散液(金属型および半導体型の単層カーボンナノチューブに分離した後の分散液も包含する)を長期間室温で保管した場合、溶液内においてナノカーボン材料および界面活性剤が凝集して白濁し、溶液内で不均一になるといった問題があった。
本発明は、界面活性剤を含むナノカーボン分散液を、長期間安定に保管する方法を提供することを目的とする。
本実施形態の一態様は、
ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、
ナノカーボン分散液を10℃以下で保管する低温保管工程を含む、ナノカーボン分散液の保管方法に関する。
本実施形態の別の一態様は、
ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、
ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を、臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上となるように調整する界面活性剤の濃度調整工程を含む、ナノカーボン分散液の保管方法に関する。
本実施形態の別の一態様は、
ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、
ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を、臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上となるように調整する界面活性剤の濃度調整工程と、
前記界面活性剤の濃度調整工程後のナノカーボン分散液を10℃以下で保管する低温保管工程と、
を含む、ナノカーボン分散液の保管方法に関する。
本発明によれば、長期間安定にナノカーボン分散液を保管する方法を提供することができる。
実施例で用いた分離装置の構成を示す概略図である。 実施例で保管実験を行ったナノカーボン分散液の一例を示す写真である。
本実施形態の一態様は、ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、ナノカーボン分散液を低温(好ましくは10℃以下)で保管する工程、および/または、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を好ましくは臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上に調整する工程を含む。本実施形態のナノカーボン分散液の保管方法によると、ナノカーボン分散液の保管期間が長期であっても白濁しにくく安定した状態を保持できる。また、半導体型のナノカーボン材料の分散液の導電率の上昇も抑制することができる。本実施形態の保管方法によると、保管期間は特に限定されないが、例えば、好ましくは3ヶ月以上、より好ましくは6ヶ月以上保管する場合であってもナノカーボン分散液が白濁せずに安定した状態を保持できる。
また、本実施形態の「保管」は静置状態での保管に限らず、輸送も含むものとする。ここで、「輸送」とはナノカーボン分散液の入った容器を移動することを意味し、輸送手段を用いてもよい。輸送手段としては、自動車、バイク、鉄道車両等の車両、飛行機、船等が挙げられる。以下、本実施形態について詳述する。
本実施形態において、「ナノカーボン分散液」は、ナノカーボン材料と界面活性剤とを含む。ナノカーボン分散液に含まれるナノカーボン材料は、1種類であっても2種以上であってもよい。
本実施形態において、ナノカーボン材料とは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイスト、グラフェン、フラーレンなどを含めた主に炭素により構成されている炭素材料を意味する。以下、ナノカーボン材料の一例として、単層カーボンナノチューブを例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<単層カーボンナノチューブ>
単層カーボンナノチューブは、一重の壁を有する筒状の炭素材料である。上述したように、単層カーボンナノチューブは、チューブの直径、巻き方によって金属型と半導体型という2つの異なる性質に分かれることが知られている。現在知られている製造方法を用いて単層カーボンナノチューブを合成すると、金属的な性質を有する単層カーボンナノチューブ(「金属型の単層カーボンナノチューブ」とも記す。)と半導体的な性質を有する単層カーボンナノチューブ(「半導体型の単層カーボンナノチューブ」とも記す。)が統計的に1:2の割合で含まれる単層カーボンナノチューブの混合材料が得られる。
本明細書においては、金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブとが混合した単層カーボンナノチューブを、「単層カーボンナノチューブ混合物」と記す。本実施形態における単層カーボンナノチューブは、純炭素から構成されているものであってもよいし、単層カーボンナノチューブを水系の溶媒に対する可溶性を発現させる等のために任意の適切な官能基で置換されたものであってもよい。
単層カーボンナノチューブ混合物は、後述する電界誘起層形成法等を用いた分離工程により、金属型の単層カーボンナノチューブを多く含む分散液(「金属型の単層カーボンナノチューブの分散液」とも記載する)と半導体型の単層カーボンナノチューブを多く含む分散液(「半導体型の単層カーボンナノチューブの分散液」とも記載する)とに分離することができる。金属型の単層カーボンナノチューブを多く含む分散液は、例えば、単層カーボンナノチューブの総重量中、金属型の単層カーボンナノチューブを50質量%超、好ましくは66質量%以上を含む分散液のことを言う。また、半導体型の単層カーボンナノチューブを多く含む分散液とは、例えば、単層カーボンナノチューブの総重量中、半導体型の単層カーボンナノチューブを50質量%超、好ましくは66質量%以上、より好ましくは83質量%以上を含む分散液のことを言う。金属型および半導体型の単層カーボンナノチューブの分離傾向については、顕微Ramanスペクトル分析法と紫外可視近赤外吸光光度分析法により分析することができる。
本実施形態において、「ナノカーボン分散液」は、分離工程前の単層カーボンナノチューブ混合物の分散液であってもよいし、分離された後の、金属型の単層カーボンナノチューブの分散液または半導体型の単層カーボンナノチューブの分散液であってもよい。「単層カーボンナノチューブ分散液」の記載は、明示的に記載しない限り、これらすべての態様の単層カーボンナノチューブの分散液を包含するものとする。
<単層カーボンナノチューブ混合物の分散液>
本実施形態における単層カーボンナノチューブ混合物の分散液は、単層カーボンナノチューブ混合物が界面活性剤を含む分散媒に分散した液体である。単層カーボンナノチューブ混合物は、金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型の単層カーボンナノチューブを含むものであれば特に限定されない。すなわち、単層カーボンナノチューブ混合物は、公知の単層カーボンナノチューブの合成方法により合成されたものであってもよく、市販のものであってもよい。
分散媒は、単層カーボンナノチューブ混合物を分散させることができるものであれば特に限定されない。分散媒としては、例えば、水、重水、有機溶媒、イオン液体等が挙げられる。これらの分散媒の中でも、単層カーボンナノチューブ試料が変質しないことから、水または重水が好適に用いられる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤等が挙げられる。単層カーボンナノチューブにナトリウムイオン等のイオン性の不純物が混入することを防ぐためには、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系に代表されるポリエチレングリコール構造を有する非イオン性界面活性剤や、アルキルグルコシド系非イオン性界面活性剤等のイオン化しない親水性部位とアルキル鎖等の疎水性部位で構成されている非イオン性界面活性剤を、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような非イオン性界面活性剤としては、下記式(1)で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適に用いられる。
2n(OCHCHOH (1)
(但し、n=12〜18、m=10〜100、好ましく20〜100である。)
上記式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(商品名:Brij L23、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(商品名:Brij C20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(商品名:Brij S20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(商品名:Brij O10、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(商品名:Brij C10、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(商品名:Brij S10、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(商品名:Brij O20、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(分子式:C6412626、商品名:Tween 60、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(分子式:C2444、商品名:Tween 85、シグマアルドリッチ社製)、オクチルフェノールエトキシレート(分子式:C1422O(CO)n、n=1〜10、商品名:Triton X−100、シグマアルドリッチ社製)、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル(分子式:C1740(CHCH2040H、商品名:Triton X−405、シグマアルドリッチ社製)、ポロキサマー(分子式:C10、商品名:Pluronic、シグマアルドリッチ社製)、ポリビニルピロリドン(分子式:(CNO)、n=5〜100、シグマアルドリッチ社製)等を用いることもできる。
これら界面活性剤は1種であっても2種以上であってもよい。
単層カーボンナノチューブ混合物を分散媒に分散させる際の界面活性剤の含有量は、単層カーボンナノチューブ混合物を分散媒に分散できる範囲であれば特に限定されない。単層カーボンナノチューブ混合物の分散液における界面活性剤の含有量は、例えば、臨界ミセル濃度以上であり、臨界ミセル濃度の、好ましくは50倍以上であり、より好ましくは80倍以上であり、上限は、例えば、10質量%以下であり、臨界ミセル濃度の、好ましくは1000倍以下、より好ましくは500倍以下であり、さらに好ましくは200倍以下である。なお、本明細書において、臨界ミセル濃度(critical micelle concentration:「CMC」とも略記する)とは、例えば一定温度下、Wilhelmy式表面張力計等の表面張力計を用い、界面活性剤水溶液の濃度を変えて表面張力を測定し、その変極点となる濃度のことをいう。本明細書において、「臨界ミセル濃度」は、大気圧下、25℃での値とする。
分散させるときの単層カーボンナノチューブ混合物の濃度は、例えば、100μg/mL以上10mg/mL以下となるように分散媒に投入するのが好ましい。また、後述するように、単層カーボンナノチューブ混合物の分散液の調製工程においては、分散しなかった単層カーボンナノチューブを超遠心分離等により分離して除去する(精製する)場合があるが、精製後の単層カーボンナノチューブ混合物の分散媒中の濃度は、例えば、5μg/mL以上1mg/mL以下が好ましい。
<単層カーボンナノチューブ混合物の分散液を調製する工程>
単層カーボンナノチューブ混合物を界面活性剤および分散媒を含む溶液に分散させることにより、単層カーボンナノチューブ混合物の分散液を調製するのが好ましい。単層カーボンナノチューブ混合物の分散液を調製する方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いられる。例えば、単層カーボンナノチューブ混合物と界面活性剤を含む分散媒の混合液を超音波処理して、分散媒に、単層カーボンナノチューブ混合物を分散させる方法が挙げられる。超音波処理の代わりに、機械的な剪断力により、分散媒に単層カーボンナノチューブ混合物を分散させる方法を用いてもよい。単層カーボンナノチューブ混合物を分散する際の界面活性剤の濃度および単層カーボンナノチューブ混合物の濃度は上述のとおりである。
単層カーボンナノチューブ分散液において、単層カーボンナノチューブ混合物に含まれる金属型単層カーボンナノチューブおよび半導体型単層カーボンナノチューブは凝集することなく、独立して分散していることが好ましい。そのため、超音波処理等により分散しなかった金属型単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブは、超遠心分離により分離、除去することが好ましい。
<分離工程>
本実施形態において、ナノカーボン分散液は、半導体型または金属型の単層カーボンナノチューブの分散液であってもよい。半導体型または金属型の単層カーボンナノチューブの分散液は、単層カーボンナノチューブ混合物の分散液が分離工程により分離されることで得ることができる。分散液中の単層カーボンナノチューブ混合物を金属型の単層カーボンナノチューブと半導体型単層カーボンナノチューブとに分離する分離工程の一例として、電界誘起層形成法による分離方法について以下説明する。
(電界誘起層形成法による半導体型および金属型の単層カーボンナノチューブの分離)
電界誘起層形成法は、単層カーボンナノチューブ混合物が界面活性剤により単分散した分散液を容器(分離槽)内へと導入し、容器内の上面及び下面に溶液に接するように設置された一対の電極間へ直流の電圧を印加し、無担体電気泳動法により金属型および半導体型の単層カーボンナノチューブに分離する方法である。印加する電界は直流電界または直流のパルス状電界を用いる。印加する電圧は、分散媒の組成及び単層カーボンナノチューブ混合物の電荷量により最適な値を決定する。水及び重水などを分散媒として用いた場合、電極間に加える印加電圧は0Vより大きく、1000V以下が好ましく、特に水・重水では電気分解の効果を抑えるため、0Vより大きく、300V以下の範囲において電圧を印加することが好ましい。
分散液が非イオン性界面活性剤を含む場合、金属型の単層カーボンナノチューブ含有ミセルは溶液中においてミセル全体として弱い正電荷を帯び、半導体型の単層カーボンナノチューブ含有ミセルはミセル全体として負電荷を持つ。また、電圧印加後には、半導体型の単層カーボンナノチューブ含有ミセルは金属型の単層カーボンナノチューブ含有ミセルに比べ比重が大きくなる傾向にある。その結果、容器の上層に金属型の単層カーボンナノチューブの分散液層、及び、下層に半導体型の単層カーボンナノチューブの分散液層がそれぞれ形成される。これらの層を取り出すことにより、金属型の単層カーボンナノチューブの分散液及び半導体型の単層カーボンナノチューブの分散液を得ることができる。
分離装置としては、例えば、後述の実施例で用いた装置(図1にその概略図を示す)を用いることができる。分離装置中の分離槽は単層カーボンナノチューブ含有ミセル分散溶液が充填される部分であり、分離流路を含む。当該分離流路は、比重と電荷の双方を用いて効率的に分離を行うために縦方向(上下方向又は鉛直方向ともいう)に形成されている流路を含むことが望ましい。なお、本明細書における上下の定義を、下とは比重の大きな粒子が移動する方向である重力または慣性力に対して下方のことを言い、上とは比重の小さな粒子が移動する方向である重力または慣性力方向に対して上方のことを言うこととする。電界の方向は上方向に向かっていることが好ましいが、逆の方向に設定してもよい。また分離装置は、バッチ式であっても連続式であってもよい。
分離工程において、分離槽に導入するナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度は、特に限定されないが、例えば、臨界ミセル濃度以上であり、臨界ミセル濃度の、好ましくは80倍以上、より好ましくは100倍以上であり、上限は、例えば10質量%以下であり、好ましくは臨界ミセル濃度の1000倍以下、より好ましくは500倍以下、さらに好ましくは300倍以下である。界面活性剤の濃度が低すぎると、分離工程中において単層カーボンナノチューブを溶液中に安定的に分散することが困難となる場合がある。界面活性剤の濃度が高すぎると、効率的な分離が妨げられる場合がある。この原因としては分散液が高粘度化してしまうこと、また、金属型の単層カーボンナノチューブを含むミセルと、半導体型の単層カーボンナノチューブを含むミセルとで移動力に優位な差がなくなってしまうことが考えられる。
上記範囲に界面活性剤濃度を調整する方法としては、分散液の調製時に調整してもよいし、あらかじめ単層カーボンナノチューブ混合物の分散に適する任意の界面活性剤濃度で分散操作を行った後で界面活性剤のみを溶解した溶液(以下、調整溶液ともいう)と混合することによって上記範囲に界面活性剤濃度を調整してもよい。超遠心分離精製を行う場合には界面活性剤濃度が精製前後でわずかに変化するため、後者の方法で界面活性剤濃度調整を行うことが好ましい場合があるが、特に制限されない。
分離槽に導入する単層カーボンナノチューブ混合物の分散液中の単層カーボンナノチューブ混合物の濃度は、特に限定されないが、例えば、1mg/mL以下であるのが好ましく、1μg/mL以上100μg/mL以下であることがより好ましく、5μg/mL以上40μg/mL以下であることがさらに好ましい。単層カーボンナノチューブ混合物の濃度が上記範囲内であると、無担体電気泳動法等による分離工程において金属型と半導体型のカーボンナノチューブとに分離することができる。
単層カーボンナノチューブの電界誘起層形成法による分離方法は、例えば特許文献1を参照できる。
<保管方法>
本実施形態は、上述のナノカーボン分散液(分離工程前の単層カーボンナノチューブ混合物の分散液、または、分離工程後の、金属型もしくは半導体型の単層カーボンナノチューブの分散液等)を保管する方法において、低温保管工程、および/または、界面活性剤の濃度調整工程を含む。これにより、長期間保管しても分散液が白濁することなく、安定した状態で保管することができる。また、単層カーボンナノチューブを含む分散液は、室温で長期間保管すると導電率が上昇しやすいという問題があったが、本実施形態の保管方法によるとこの導電率の上昇を抑制することができる。以下、詳細に説明する。
(低温保管工程)
本実施形態のナノカーボン分散液の保管方法の一態様として、ナノカーボン分散液を10℃以下で保管する工程(「低温保管工程」とも記載する)を含むのが好ましい。保管工程においては、保管容器内の気体が外部と交換されないように密閉されていることが望ましい。保管容器内の気体は、窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性雰囲気により密閉してもよい。ナノカーボン分散液は10℃超えの条件において特に顕著に白濁を生じやすくなるため、10℃以下の温度で保管するのが好ましく、10℃未満がより好ましく、8℃以下がさらに好ましく、7℃以下がよりさらに好ましく、5℃以下が特に好ましい。保管温度の下限は、ナノカーボン分散液が氷結する温度より高いのが好ましく、例えば、−5℃以上が好ましく、0℃以上であることがより好ましい。また、低温保管工程においては、10℃以下の温度条件下で、ナノカーボン分散液を静置してもよいし、輸送等を行ってもよい。低温保管工程は、連続的であってもよいし、複数回繰り返してもよい。
(界面活性剤の濃度調整工程)
本実施形態のナノカーボン分散液の保管方法の一態様として、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を調整する工程(「界面活性剤の濃度調整工程」とも記載する)を含むのが好ましい。ナノカーボン分散液に含まれる界面活性剤の濃度の調整方法としては、例えば、透析法を用いるのが好ましい。透析法を用いることにより、界面活性剤を除去し、界面活性剤の含有量を低下させることができる。使用する透析膜の分画分子量は、例えば、30kD〜2000kDであるのが好ましく、500kD〜1000kDであるのがより好ましい。また、中空糸型の透析モジュールを使用することもできる。界面活性剤の濃度調整工程においては、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度が、臨界ミセル濃度の、好ましくは100倍未満、より好ましくは80倍以下、さらに好ましくは70倍以下、よりさらに好ましくは50倍以下であり、下限は、好ましくは臨界ミセル濃度以上、より好ましくは臨界ミセル濃度の8倍以上、さらに好ましくは10倍以上となるように調整する。ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度が上記範囲内に調整されることにより、長期間保管しても白濁が生じにくくなる。
本実施形態のナノカーボン分散液の保管方法は、界面活性剤の濃度調整工程後のナノカーボン分散液を輸送する工程を含んでもよい。輸送時の温度は特に限定されないが、0℃〜30℃が好ましく、0℃〜20℃がより好ましく、後述する低温輸送工程のように、0℃〜10℃の温度環境下で輸送するのがさらに好ましい。
ナノカーボン分散液を、界面活性剤の濃度調整をせずに室温で長期保管すると白濁しやすくなる原因は定かではないが、以下の理由が考えられる。ナノカーボン分散液中の界面活性剤は微小な電荷をもつミセルとして存在している。しかしながら、通常は臨界ミセル濃度よりも高い濃度で分散を行っているため、室温(約15〜30℃)で溶液中においてミセルの結合などが生じる。また、上記分離工程において電界誘起層形成法を用いたナノカーボン分散液中には切断された界面活性剤分子が存在し、それらが溶液中において、界面活性剤の析出源となり、白濁しやすくなると推察される。
本実施形態のナノカーボン分散液の保管方法の一態様として、界面活性剤の濃度調整工程と、低温保管工程との両方を含むのが好ましい。これら工程の順序は特に限定されないが、界面活性剤の濃度調整工程の後に低温保管工程を行うのが好ましい。
本実施形態のナノカーボン分散液の保管方法において、保管温度と界面活性剤の濃度の好ましい態様の一例を以下記載する。
ナノカーボン分散液を0℃〜10℃の温度条件下で保管する場合、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度が、
好ましくは、臨界ミセル濃度の10倍以上100倍未満とすると約6か月以上安定に保管することができ、
より好ましくは、臨界ミセル濃度の10倍以上80倍以下とすると約9か月以上安定に保管することができ、
さらに好ましくは、臨界ミセル濃度の10倍以上50倍以下とすると約1年以上安定に保管することができる。
ナノカーボン分散液を0℃〜8℃の温度条件下で保管する場合、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは臨界ミセル濃度の10倍以上80倍以下であると約1年以上安定に保管することができる。
ナノカーボン分散液を0℃〜5℃の温度条件下で保管する場合、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは臨界ミセル濃度の10倍以上100倍以下であると約1年以上安定に保管することができる。
本実施形態のナノカーボン分散液の保管方法における低温保管工程は、ナノカーボン分散液を輸送する低温輸送工程を含んでもよい。低温輸送工程に供されるナノカーボン分散液は、特に限定されないが、上述の界面活性剤の濃度調整工程後のナノカーボン分散液であるのが好ましい。輸送工程においては、ナノカーボン分散液を、好ましくは0℃〜10℃、より好ましく0℃〜8℃の温度環境下で輸送する。低温輸送工程は輸送手段を用いるのが好ましい。輸送手段としては、例えば、自動車、バイク、鉄道車両等の車両、飛行機、船等が挙げられ、好ましくはこれら輸送手段が冷蔵装置を備える。また、低温輸送工程は、保冷剤、クーラーボックス等を用いて行ってもよい。低温輸送工程においては、必要に応じて、輸送手段等による輸送を中断して冷蔵倉庫等の冷蔵保管場所で保管する工程を含んでもよい。冷蔵保管場所においては、ナノカーボン分散液を、好ましくは0℃〜10℃、より好ましくは0℃〜8℃の温度環境下で保管するのが好ましい。輸送工程は、ナノカーボン分散液を輸送手段により輸送する工程を複数回含んでもよいし、ナノカーボン分散液を冷蔵保管場所で保管する工程を複数回含んでもよい。また、輸送工程において、ナノカーボン分散液は、密閉容器内に保管するのが好ましく、該密閉容器がさらに段ボール等の包装容器に収容されていてもよい。このような輸送工程として、例えば、ヤマト運輸(株)のクール宅急便(登録商標)、佐川急便(株)の飛脚クール便(登録商標)、日本郵便のチルドゆうパック(登録商標)等を利用して配送する方法が挙げられる。
また、本実施形態の保管方法は、単層カーボンナノチューブ以外のナノカーボン材料を含む分散液についても、長期間安定した状態で保管することができる方法として適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[分散液A](分離工程なし・界面活性剤調整なし)
(単層カーボンナノチューブ混合物の分散液の調製)
平均直径1nmの単層カーボンナノチューブ混合物を、真空中で、800℃にて2時間加熱した。
分散媒として、水に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(商品名:Brij S100、シグマアルドリッチ社製)を1.0質量%溶解した溶液A(臨界ミセル濃度の約100倍)を調製した。上記加熱した単層カーボンナノチューブ混合物を、単層カーボンナノチューブ混合物分散液における含有量が0.3μg/mLとなるように秤量して、これを溶液Aに投入した。
単層カーボンナノチューブの混合物を分散させた溶液Aに対して、ホーン型超音波破砕機(商品名:Digital Sonifier 450、ブランソン社製)により、出力25Wで120分間、超音波分散処理を行った。その後、超遠心機(商品名:CS100GX、日立工機社製)により、250000×g、10℃にて50分間、超遠心分離操作を行った。そして、上澄み80%を、単層カーボンナノチューブ混合物が単分散した分散液(分散液A)として得た。
得られた分散液Aを、0℃、5℃、10℃、20℃の各温度条件において6カ月間保管を行った。結果を表1に示す。表1中、ナノカーボン分散液を目視して、白濁が観察されなかったものを〇、白濁が観察されたものを×と記載した。各温度で保管した分散液Aは、20℃保管の試料においては3カ月目以降、10℃保管の試料においては6か月目には白濁が生じた。
[分散液A’](分離なし・界面活性剤調整あり)
次いで、透析法を用いて、分散液Aの単層カーボンナノチューブ混合物の分散液に含まれる非イオン性界面活性剤を除去し、非イオン性界面活性剤の含有量(質量)を1/10(0.1質量%、臨界ミセル濃度の約10倍)まで低下させて分散液A’を得た。透析法に使用した透析膜は、スペクトラムラボ製中空糸フィルター(透過分子サイズ;750kD)である。
得られた分散液A’を、0℃、5℃、10℃、20℃の各温度条件において6カ月間保管を行ったところ、白濁は見られなかった(表1)。
[分散液B・C](分離工程あり・界面活性剤調整なし)
(単層カーボンナノチューブ混合物の分散液の分離)
上記分散液A 35mLを、1質量%ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル水溶液35mLにより単層カーボンナノチューブ混合物を希釈し、総量を70mLとし、単層カーボンナノチューブ混合物の分散液を調製した。
続いて、調製した単層カーボンナノチューブ混合物の分散液を用いて、電界誘起層形成法による分離工程を行った。図1に用いた分離装置の概略図を示す。図1に示す分離装置300の電気泳動槽(「分離槽」とも記載する)301内に、下部の注入口から順に、静かに、水7mL、上記で調製した単層カーボンナノチューブ分散液70mL、2質量%ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル水溶液15mLを注入し、注入順に上から並ぶようにそれぞれの液体層を形成した。
水層(a層)304の上端と2質量%ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル水溶液層(b層)306の下端に、白金電極を配置した。a層の上端に配置した白金電極を陰極302、b層の下端に配置した白金電極を陽極303とした。陰極302と陽極303の電極間距離を約20cmとした。
次に、陰極302と陽極303の間に、200Vの電圧を72時間継続して印加した。電圧印加72時間後には、分離層内の溶液は3層(上から順に、金属型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる層、透明な層、半導体型の単層カーボンナノチューブが多く含まれる層)に分離していることが分かった。72時間後の電気泳動槽301の下部から液を約7mLずつ分画し、最下層(1番目の分画)と最下層から11番目の層(11番目の分画)から単層カーボンナノチューブ分散液を回収し、分光評価によりその含有率を評価した。その結果、最下層(1番目の分画)を半導体型単層カーボンナノチューブ分散液(分散液B)とし、最下層から11番目の層(11番目の分画)を金属型の単層カーボンナノチューブ分散液(分散液C)とした。分散液B中の界面活性剤の濃度は2質量%であり、分散液C中の界面活性剤の濃度は0.8質量%であった。なお、単層カーボンナノチューブ混合物の分離は、室温(約21℃)で行った。
得られた分散液Bを、0℃、5℃、10℃、20℃の各温度条件において保管を行ったところ、3か月目、6か月目には10℃及び20℃で保管した試料において白濁が見られた(表1)。
得られた分散液Cを0℃、5℃、10℃、20℃の各温度条件にそれぞれおいて保管を行ったところ、3カ月目には20℃において、6カ月目には10℃及び20℃において保管した試料において白濁が見られた(表1)。
[分散液B’および分散液C’](分離工程あり・界面活性剤調整あり)
上記分散液Bおよび分散液Cを、それぞれ、透析法を用いて、単層カーボンナノチューブ分散液に含まれる非イオン性界面活性剤を除去し、非イオン性界面活性剤の含有量を分散液Aの1/10(0.1質量%、臨界ミセル濃度の約10倍)まで低下させたものを調製し、分散液B’および分散液C’とした。透析法に使用した透析膜は、スペクトラムラボ製中空糸フィルター(透過分子サイズ;750kD)である。
分散液B’およびC’を、0℃、5℃、10℃、20℃の各温度条件において6カ月間保管を行った。分散液B’では、20℃において3カ月目に白濁が見られた。一方、分散液C’は6カ月目まで白濁が見られなかった(表1)。
上記各分散液を、0℃、5℃、10℃、20℃の各温度条件においたときの白濁の状況を表1に示す。また、図2は、左から、分散液Bを20℃で6か月保管後、分散液Bを5℃で6か月保管後、分散液Cを5℃で6か月保管後の、各分散液の写真である。分散液Bを20℃で6か月保管した試料は、他の試料に比べて白濁しているのが観察された。
上記各分散液の保管実験の結果から、界面活性剤の濃度を小さくする工程および/または低温で保管する工程を含むことにより、ナノカーボン分散液を長期間保管しても白濁が生じることなく安定した状態を保つことができることが示された。
また、上記各分散液A、B、C、A’、B’およびC’において、白濁を生じていない分散液の導電率は、10μS/cm以上、200μS/cm以下であり、白濁を生じた分散液の導電率は、200μS/cm超であった。なお、導電率は堀場製作所製導電率計ES−71により測定した。
本実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
(付記1)ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、
ナノカーボン分散液を10℃以下で保管する低温保管工程を含む、ナノカーボン分散液の保管方法。
(付記2)ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、
ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を、臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上となるように調整する界面活性剤の濃度調整工程を含む、ナノカーボン分散液の保管方法。
(付記3)さらに、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を、臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上となるように調整する界面活性剤の濃度調整工程を含む、付記1に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記4)前記低温保管工程において、ナノカーボン分散液を8℃以下で保管することを特徴とする、付記1または3に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記5)前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、付記1〜4のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記6)さらに、ナノカーボン分散液が、ナノカーボンが分散した界面活性剤溶液に対して直流電圧を印加する工程を含む方法により製造されたことを特徴とする、付記1〜5のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記7)ナノカーボン分散液が、単層カーボンナノチューブの分散液である、付記1〜6のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記8)前記低温保管工程が、ナノカーボン分散液を輸送する低温輸送工程を含む、付記1〜7のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記9)前記低温輸送工程が、冷蔵装置を備えた輸送手段を用いてナノカーボン分散液を輸送する工程を含む、付記8に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記10)前記低温輸送工程が、冷蔵保管場所でナノカーボン分散液を保管する工程を含む、付記8または9に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
(付記11)ナノカーボン材料と界面活性剤とを含む第1のナノカーボン分散液を10℃以下で保管する低温保管工程を含む、ナノカーボン分散液の製造方法。ここで「第1のナノカーボン分散液」とは、該低温保管工程に供される前のナノカーボン分散液のことをいう。第1のナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度は、特に限定されないが、臨界ミセル濃度以上、かつ臨界ミセル濃度の100倍未満であるのが好ましい。
本発明のナノカーボン分散液の保管方法は、ナノカーボン材料の機械的特性、電気的特性、化学的特性を利用した様々な産業分野において利用できる。例えば、半導体装置の分野における半導体膜の製造に用いるナノカーボン分散液の保管、電子部品の製造におけるナノカーボン分散液の印刷インクの保管等に利用することができる。

Claims (11)

  1. ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、
    ナノカーボン分散液を10℃以下で保管する低温保管工程を含む、ナノカーボン分散液の保管方法。
  2. ナノカーボン材料と界面活性剤とを含むナノカーボン分散液の保管方法であって、
    ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を、臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上となるように調整する界面活性剤の濃度調整工程を含む、ナノカーボン分散液の保管方法。
  3. さらに、ナノカーボン分散液中の界面活性剤の濃度を、臨界ミセル濃度の100倍未満、かつ、臨界ミセル濃度以上となるように調整する界面活性剤の濃度調整工程を含む、請求項1に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  4. 前記低温保管工程において、ナノカーボン分散液を8℃以下で保管することを特徴とする、請求項1または3に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  5. 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  6. さらに、ナノカーボン分散液が、ナノカーボンが分散した界面活性剤溶液に対して直流電圧を印加する工程を含む方法により製造されたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  7. ナノカーボン分散液が、単層カーボンナノチューブの分散液である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  8. 前記低温保管工程が、ナノカーボン分散液を輸送する低温輸送工程を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  9. 前記低温輸送工程が、冷蔵装置を備えた輸送手段を用いてナノカーボン分散液を輸送する工程を含む、請求項8に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  10. 前記低温輸送工程が、冷蔵保管場所でナノカーボン分散液を保管する工程を含む、請求項8または9に記載のナノカーボン分散液の保管方法。
  11. ナノカーボン材料と界面活性剤とを含む第1のナノカーボン分散液を10℃以下で保管する低温保管工程を含む、ナノカーボン分散液の製造方法。
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