実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る空気調和機について説明する。図1は、本実施の形態1に係る空気調和機100の構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、空気調和機100は、室外機1、複数の室内機2a〜2cおよび中継装置3で構成されている。室外機1と中継装置3とが冷媒配管10で接続されることにより、冷媒回路が形成される。複数の室内機2a〜2cと中継装置3とが熱媒体配管20で接続されることにより、熱媒体回路が形成される。また、複数の室内機2a〜2cは、直列に接続されている。
[空気調和機100の構成]
(室外機1)
室外機1は、圧縮機11、冷媒流路切替装置12、熱源側熱交換器13およびアキュムレータ14を備えている。圧縮機11は、低温低圧の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機11は、例えば、運転周波数を変化させることにより、単位時間あたりの送出量である容量が制御されるインバータ圧縮機等からなる。圧縮機11の運転周波数は、後述する中継装置3に設けられる制御装置4によって制御される。
冷媒流路切替装置12は、例えば四方弁であり、冷媒の流れる方向を切り替えることにより、冷房運転および暖房運転の切り替えを行う。冷媒流路切替装置12は、冷房運転時に、図1の実線で示すように、圧縮機11の吐出側と熱源側熱交換器13とが接続されるように切り替わる。また、冷媒流路切替装置12は、暖房運転時に、図1の破線で示すように、圧縮機11の吐出側と中継装置3側とが接続されるように切り替わる。冷媒流路切替装置12における流路の切替は、制御装置4によって制御される。
熱源側熱交換器13は、図示しないファン等によって供給される室外空気と冷媒との間で熱交換を行う。熱源側熱交換器13は、冷房運転の際に、冷媒の熱を室外空気に放熱して冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。また、熱源側熱交換器13は、暖房運転の際に、冷媒を蒸発させ、その際の気化熱により室外空気を冷却する蒸発器として機能する。
アキュムレータ14は、圧縮機11の吸入側である低圧側に設けられている。アキュムレータ14は、冷房運転と暖房運転との運転状態の違いによって生じる余剰冷媒または過渡的な運転の変化で生じる余剰冷媒等をガス冷媒と液冷媒とに分離し、液冷媒を貯留する。
(室内機2a〜2c)
図2は、図1の室内機2a〜2cの構成の一例を示す概略図である。図2に示すように、複数の室内機2a〜2cのそれぞれは、ファンコイルユニット(以下、「FCU(Fan Coil Unit)」と称する)21および熱媒体流量調整弁22を備えている。
FCU21は、利用側熱交換器121およびファン122を有している。利用側熱交換器121は、ファン122によって供給される室内空気と水との間で熱交換を行う。これにより、室内空間に供給される調和空気である冷房用空気または暖房用空気が生成される。ファン122は、利用側熱交換器121に対して空気を供給する。ファン122の回転数は、制御装置4によって制御される。回転数が制御されることにより、利用側熱交換器121に対する送風量が調整される。
熱媒体流量調整弁22は、例えば、流入口22a、第1の流出口22bおよび第2の流出口22cを有する電動式の三方弁であり、FCU21の水の流入側に設けられている。熱媒体流量調整弁22は、流入する水を分岐するために設けられている。熱媒体流量調整弁22において、第1の流出口22bは、FCU21の水の流入側に接続されている。第2の流出口22cは、室内側バイパス配管23を介してFCU21の水の流出側に接続されている。これにより、熱媒体流量調整弁22の第2の流出口22cとFCU21の水の流出側とが接続される。
なお、この例では、室内側バイパス配管23が室内機2a〜2cの内部に設けられているが、これに限られず、室内側バイパス配管23は、室内機2a〜2cの外部に設けられており、連結金具等を介して室内機2a〜2cに接続されてもよい。これにより、室内側バイパス配管23の配管長が内部に設けた場合よりも短くなるため、水が配管内を流れる際の放熱等による損失を抑制することができる。また、室内側バイパス配管23は、すべての室内機2a〜2cのそれぞれに対して必ずしも設けられている必要はない。例えば、水をバイパスする必要がないFCU21には、室内側バイパス配管23を設けなくてもよい。
熱媒体流量調整弁22は、流入口22a、第1の流出口22bおよび第2の流出口22cを少なくとも有していれば、四方弁等の多方弁であってもよい。具体的には、例えば、熱媒体流量調整弁22として四方弁を用い、第1の流出口22bおよび第2の流出口22c以外の流出口を他の用途で使用したり、使用しないように封じることで、四方弁が擬似的な三方弁として用いられてもよい。なお、本実施の形態1のように、熱媒体流量調整弁22は、流入する水の流量を調整しながら分岐するとともに、分岐されたそれぞれの水を遮断することができるような、開度調整による流量調整機能および遮断機能を備えた三方弁が最適である。ただし、熱媒体流量調整弁22に代えて、例えば流量を調整する三方弁と、流れる水を遮断する絞り装置とを組み合わせてもよい。また、例えば、FCU21の流入出側に設けられた配管の分岐点と合流点との間と、室内側バイパス配管23とにそれぞれ絞り装置が設けられてもよい。
また、複数の室内機2a〜2cのそれぞれは、入口温度センサ24、出口温度センサ25および吸込温度センサ26を備えている。入口温度センサ24は、FCU21における水の流入側に設けられ、FCU21に流入する水の温度を検出する。出口温度センサ25は、FCU21における水の流出側に設けられ、FCU21から流出する水の温度を検出する。吸込温度センサ26は、FCU21における空気の吸入側に設けられ、FCU21に吸い込まれる空気の吸込空気温度を検出する。
(中継装置3)
図1の中継装置3は、膨張弁31、中間熱交換器32、ポンプ33および制御装置4を備えている。膨張弁31は、冷媒を膨張させる。膨張弁31は、例えば、電子式膨張弁等の開度の制御が可能な弁で構成される。膨張弁31の開度は、制御装置4によって制御される。
中間熱交換器32は、凝縮器または蒸発器として機能し、冷媒側流路に接続された冷媒回路を流れる冷媒と、熱媒体側流路に接続された熱媒体回路を流れる熱媒体との間で熱交換を行う。中間熱交換器32は、冷房運転の際に、冷媒を蒸発させ、冷媒が蒸発した際の気化熱により熱媒体を冷却する蒸発器として機能する。また、中間熱交換器32は、暖房運転の際に、冷媒の熱を熱媒体に放熱して冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。
ポンプ33は、図示しないモータによって駆動され、熱媒体配管20を流れる熱媒体としての水を循環させる。ポンプ33は、例えば、容量制御が可能なポンプ等で構成され、室内機2a〜2cにおける負荷の大きさによってその流量を調整することができる。ポンプ33の駆動は、制御装置4によって制御される。具体的には、ポンプ33は、負荷が大きいほど水の流量が多くなり、負荷が小さいほど水の流量が少なくなるように、制御装置4によって制御される。
(制御装置4)
制御装置4は、空気調和機100における各利用側熱交換器121前後の温度およびポンプ33前後の熱媒体の圧力等の各部から受け取る各種情報に基づき、室外機1、室内機2a〜2cおよび中継装置3を含む空気調和機100全体の動作を制御する。具体的には、制御装置4は、圧縮機11の運転周波数、ポンプ33の駆動、熱媒体流量調整弁22の開度および膨張弁31の開度等を制御する。特に、本実施の形態1において、制御装置4は、各FCU21の能力に基づき、ポンプ33の駆動および熱媒体流量調整弁22の開度を制御する。
制御装置4は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。なお、この例において、制御装置4は、中継装置3の内部に設けられているが、これに限られず、室外機1および室内機2a〜2cのいずれかに設けられてもよいし、別体で設けられてもよい。
図3は、図1の制御装置4の構成の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置4は、FCU能力算出部41、弁開度決定部42、弁制御部43、熱媒体流量決定部44、ポンプ制御部45および記憶部46を備える。
FCU能力算出部41は、それぞれのFCU21で現在発揮すべきFCU能力(以下、単に「FCU能力」と称する)を算出する。FCU能力は、設定温度に空気調和するために必要なFCU21の運転能力[kW]を示す。FCU能力は、入口温度センサ24、出口温度センサ25および吸込温度センサ26のそれぞれで検出された各種温度と、記憶部46に記憶されたFCU設定能力、設定出入口温度差および設定水空気温度差とに基づき算出される。
FCU設定能力は、それぞれのFCU21に予め設定されたFCU能力を示す。設定出入口温度差は、FCU21から流出する水の出口水温と、流入する水の入口水温との設定温度差を示す。設定水空気温度差は、FCU21に吸い込まれる空気の吸込空気温度と、FCU21に流入する水の入口水温との設定温度差を示す。
弁開度決定部42は、算出されたそれぞれのFCU21におけるFCU能力に基づき、対応する熱媒体流量調整弁22の開度を決定する。弁制御部43は、弁開度決定部42で決定された開度に基づき、それぞれの熱媒体流量調整弁22の開度を制御するための制御信号を生成し、それぞれの熱媒体流量調整弁22に供給する。
熱媒体流量決定部44は、算出されたそれぞれのFCU21におけるFCU能力に基づき、それぞれのFCU21に流れる水の流量を決定する。具体的には、熱媒体流量決定部44は、FCU能力が大きいほど対応するFCU21に流す水量を大きくし、FCU能力が小さいほど水量を小さくするように、水の流量を決定する。ポンプ制御部45は、熱媒体流量決定部44で決定された水の流量に基づき、ポンプ33の駆動を制御するための制御信号を生成し、ポンプ33に供給する。
記憶部46は、FCU能力算出部41で用いられるFCU設定能力、設定出入口温度差および設定水空気温度差が予め記憶されている。
[熱媒体流量調整弁22の構造]
図4は、図1の熱媒体流量調整弁22の構造の一例を示す上面断面図である。図4に示すように、熱媒体流量調整弁22は、中空円柱状の本体22dを有し、本体22dの上面または底面の中心部に、熱媒体が流入する流入口22aが形成されている。また、熱媒体流量調整弁22の本体22dの側面には、熱媒体が流出する第1の流出口22bおよび第2の流出口22cが形成されている。
第1の流出口22bはFCU21に接続され、第2の流出口22cは室内側バイパス配管23に接続される。本体22dの上面または底面の法線となる中心軸を中心として本体22dの側面を120°間隔で分割した場合、本体22dの側面は、0°〜120°の第1の領域、120°〜240°の第2の領域および240°〜360°の第3の領域に3分割される。第1の流出口22bは、3分割された側面領域のうち、第1の領域に形成されている。また、第2の流出口22cは、3分割された側面領域のうち、第2の領域に形成されている。
本体22dの内部空間には、円筒状の開度調整弁22eが設けられている。開度調整弁22eは、横断面の円弧の一部が開口する開口部22hが形成され、横断面がC字状に形成されている。このときの開口部22hは、中心軸を中心として120°の範囲に形成されている。
熱媒体流量調整弁22において、3分割された側面領域のうち、第1の領域および第2の領域と異なる第3の領域における側面の内周には、第1の領域および第2の領域の側面よりも厚みが大きい側壁22fが形成されている。側壁22fは、開度調整弁22eの外周に接するようにして設けられている。また、第1の領域と第2の領域との境界部分における側面の内周には、開度調整弁22eと接するようにして隔壁22gが形成されている。隔壁22gは、流入口22aから流入した水の水量を第1の流出口22bおよび第2の流出口22cからそれぞれ流出する水量に分配する。
開度調整弁22eは、側壁22fおよび隔壁22gに沿うようにして、中心軸を中心として回転する。このようにして熱媒体流量調整弁22が形成されることにより、流入口22aと第1の流出口22bおよび第2の流出口22cとの間には、開度調整弁22eの回転状態に応じて、水が流れる流路が形成される。
図5〜図10は、図4の熱媒体流量調整弁22の開度調整弁22eを回転させた状態を概略的に示す上面断面図である。以下の説明では、流入口22aと第1の流出口22bとが連通して水が流れる際の開度調整弁22eの開度をFCU開度と称する。また、流入口22aと第2の流出口22cとが連通して水が流れる際の開度調整弁22eの開度をバイパス開度と称する。
図5は、図4の熱媒体流量調整弁22における第1の状態を概略的に示す上面断面図である。第1の状態において、開度調整弁22eの開口部22hは、側壁22fの一方の端部と隔壁22gとの間に一致している。この場合、熱媒体流量調整弁22の開度は、FCU開度が100%となり、バイパス開度が0%となる。すなわち、第1の流出口22bから流出する水の流量は、流入口22aに流入する水の流量の100%となる。
図6は、図4の熱媒体流量調整弁22における第2の状態を概略的に示す上面断面図である。第2の状態において、開度調整弁22eが第1の状態から時計回りに回転し、開度調整弁22eの開口部22hは、隔壁22gを跨いでいる。この場合、熱媒体流量調整弁22の開度は、FCU開度がX%となり、バイパス開度が(100−X)%となる。すなわち、第1の流出口22bから流出する水の流量は、流入口22aに流入する水の流量のX%となる。また、第2の流出口22cから流出する水流量は、流入口22aに流入する水の流量の(100−X)%となる。
図7は、図4の熱媒体流量調整弁22における第3の状態を概略的に示す上面断面図である。第3の状態において、開度調整弁22eが第2の状態から時計回りに回転し、開度調整弁22eの開口部22hは、隔壁22gと側壁22fの他方の端部との間に一致している。この場合、熱媒体流量調整弁22の開度は、FCU開度が0%となり、バイパス開度がX%となる。すなわち、第2の流出口22cから流出する水の流量は、流入口22aに流入する水の流量の100%となる。
図8は、図4の熱媒体流量調整弁22における第4の状態を概略的に示す上面断面図である。第4の状態において、開度調整弁22eが第3の状態から時計回りに回転し、開度調整弁22eの開口部22hは、側壁22fの他方の端部を跨いでいる。この場合、熱媒体流量調整弁22の開度は、FCU開度が0%となり、バイパス開度がX%となる。すなわち、第2の流出口22cから流出する水の流量は、流入口22aに流入する水の流量のX%となる。
図9は、図4の熱媒体流量調整弁22における第5の状態を概略的に示す上面断面図である。第5の状態は、開度調整弁22eが第4の状態から時計回りに回転し、開度調整弁22eの開口部22hは、側壁22fの一方の端部と他方の端部との間に一致している。この場合、熱媒体流量調整弁22の開度は、FCU開度が0%となり、バイパス開度が0%となる。すなわち、流入口22aに流入するすべての水が遮断される。例えば、対応するFCU21を有する室内機2が設置された空間において空調が不要である場合に、熱媒体流量調整弁22の開度を図9に示すように設定することにより、当該室内機2に対する水の流れが遮断される。そのため、ポンプ33の負担を低減することができる。
図10は、図4の熱媒体流量調整弁22における第6の状態を概略的に示す上面断面図である。第6の状態は、開度調整弁22eが第5の状態から時計回りに回転し、開度調整弁22eの開口部22hは、側壁22fの一方の端部を跨いでいる。この場合、熱媒体流量調整弁22の開度は、FCU開度がX%となり、バイパス開度が0%となる。すなわち、第1の流出口22bから流出する水の流量は、流入口22aに流入する水の流量のX%となる。
このように、熱媒体流量調整弁22は、開度が制御されることにより、流入口22aに流入した水を、第1の流出口22bおよび第2の流出口22cの両方から流量が調整された状態で水を流出させることができる。
[空気調和機100の動作]
次に、上記構成を有する空気調和機100の動作について説明する。ここでは、熱媒体回路を循環する熱媒体としての水の流れと、室内機2a〜2cにおける流量調整処理について説明する。
(熱媒体の流れ)
図11は、熱媒体の流れについて説明するための概略図である。図11において、空気調和機100は、3つの室内機2が直列接続されている。なお、以下の説明では、直列に接続された複数の室内機2のグループを「系統」と称する。すなわち、図11に示す空気調和機100は、直列に接続された複数の室内機2a〜2cからなる系統#1が中継装置3に対して並列に接続されて構成されている。
中継装置3において、中間熱交換器32から流出した水は、熱媒体配管20を介して中継装置3から流出する。中継装置3から流出した水は、系統#1内の最前段の室内機2aに流入する。
系統#1の室内機2aに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21aまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21aに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21aから流出する。FCU21aから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21aの下流側で合流し、後段の室内機2bに流入する。
室内機2bに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21bまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21bに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21bから流出する。FCU21bから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21bの下流側で合流し、後段の室内機2cに流入する。
室内機2cに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21cまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21cに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21cから流出する。FCU21cから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21cの下流側で合流し、室内機2cから流出する。
室内機2cから流出した水は、熱媒体配管20を介して中継装置3に流入する。中継装置3に流入した水は、ポンプ33を介して中間熱交換器32に流入する。以下、上述した循環が繰り返される。
(流量調整処理)
各室内機2a〜2cのFCU21に流入する水の流量を調整する流量調整処理について説明する。FCU21に対して必要なFCU能力以上の空調能力となる水量の水を流した場合、水が有する熱を利用しきれず、FCU21を通過した後の水に熱が残存する。そのため、搬送動力に対する熱の利用効率が低下する。
そこで、本実施の形態1では、系統#1内のそれぞれのFCU21に対して必要な流量の水が流れるように、空気調和機100は、それぞれのFCU21に対する水の流量を調整する流量調整処理を行う。流量調整処理では、それぞれのFCU21に対する水の流量を調整するために、それぞれのFCU21に対応する熱媒体流量調整弁22の開度が制御される。
ここで、FCU21を流れる水の流量は、熱媒体流量調整弁22の通過前後における水の差圧と、熱媒体流量調整弁22の弁の特徴を表すCv値とに基づき算出することができる。Cv値は、熱媒体流量調整弁22の弁の種類とポート径とによって決定される値であり、弁が有する容量係数である。Cv値は、ある差圧で弁を通過する流体の流量を数値で表したものである。Cv値が大きいほど水の流量が大きくなり、Cv値が小さいほど水の流量が小さくなる。
FCU能力算出部41は、系統#1内のそれぞれのFCU21において現在発揮すべきFCU能力を算出する。各FCU21のFCU能力は、それぞれのFCU21に予め設定されたFCU設定能力と、FCU21に流入出する水の入口水温および出口水温と、ファン122によって吸い込まれる室内空気の吸込空気温度とを用いて、式(1)に基づき算出される。
FCU能力=FCU設定能力×(出入口温度差/設定出入口温度差)
×(水空気温度差/設定水空気温度差)
・・・(1)
なお、式(1)において、出入口温度差は、FCU21から流出する水の現在の出口水温と、流入する水の現在の入口水温との温度差を示す。水空気温度差は、FCU21に吸い込まれる空気の現在の吸込空気温度と、FCU21に流入する水の現在の入口水温との温度差を示す。
次に、弁開度決定部42は、算出された系統#1内のそれぞれのFCU21のうち、FCU能力が最も高いFCU21を、当該系統の代表FCUとして決定する。そして、弁開度決定部42は、代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22の開度を、FCU21側に全開となるように決定する。また、弁開度決定部42は、代表FCU以外のFCU21に対応する熱媒体流量調整弁22の開度を、代表FCUとの能力比率によって決定する。
図12は、図11の系統#1の各FCU21a〜21cに対応する熱媒体流量調整弁22の開度を示す概略図である。図12において、FCU番号は、系統#1内のそれぞれのFCU21に固有の番号である。ここでは、系統#1内のそれぞれのFCU21に付された参照符号を示す。FCU能力は、各FCU21のFCU能力を示す。熱媒体流量調整弁開度は、各FCU21に対応する熱媒体流量調整弁22の開度を示し、FCU21側および室内側バイパス配管23側の開度を示す。
図12に示すように、系統#1内のFCU21a〜21cにおいて、FCU21cのFCU能力は、5kWであり、系統#1内で最も高い。したがって、弁開度決定部42は、FCU21cを系統#1の代表FCUとして決定する。そして、弁開度決定部42は、FCU21cに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を100%、すなわちFCU21c側に全開とする。
一方、FCU21aおよび21bのFCU能力は、それぞれ1kWであり、FCU21cのFCU能力の1/5である。したがって、弁開度決定部42は、FCU21cとの能力比率により、FCU21aおよび21bに対応するそれぞれの熱媒体流量調整弁22のFCU開度を20%(=100%×1/5)に決定し、バイパス開度を80%に決定する。
ここで、系統#1内のFCU21のいずれかがサーモOFFした場合、あるいは、FCU21のFCU能力が変動した場合について説明する。「サーモOFFした場合」とは、FCU21のファン122が停止した場合を示す。具体的には、例えば、暖房運転時に室内温度が設定温度を超えた場合、あるいは冷房運転時に室内温度が設定温度を下回った場合に、FCU21がサーモOFFとなる。FCU21のサーモOFFまたはFCU能力の変動が生じた場合、制御装置4は、サーモOFFまたはFCU能力の変動に応じて熱媒体流量調整弁22の開度を調整する。
図13は、FCU21bがサーモOFFした場合の熱媒体流量調整弁22の開度を示す概略図である。図14は、代表FCUであるFCU21cのFCU能力が変動した場合の熱媒体流量調整弁22の開度を示す概略図である。
FCU21bがサーモOFFした場合、FCU21bに水を流す必要がない。そのため、弁開度決定部42は、図13に示すように、FCU21bに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を0%に決定し、バイパス開度を100%に決定する。この場合は、代表FCUであるFCU21cのFCU能力が変動していないため、サーモOFFとなったFCU21bに対応する熱媒体流量調整弁22の開度のみが変更される。
一方、代表FCUであるFCU21cのFCU能力が変動した場合、FCU21cのFCU能力に対するFCU21aおよび21bのFCU能力の能力比率が変化する。図14に示す例では、代表FCUであるFCU21cのFCU能力が5kWから3kWに変動し、FCU21aおよび21bのFCU能力は、FCU21cのFCU能力の1/3となる。
そのため、弁開度決定部42は、FCU21aおよび21bに対応するそれぞれの熱媒体流量調整弁22のFCU開度を33%(≒100%×1/3)に決定し、バイパス開度を67%に決定する。このように、代表FCUであるFCU21cのFCU能力が変動した場合には、代表FCU以外のFCU21aおよび21bに対応する熱媒体流量調整弁22の開度が変更される。
なお、この例では、熱媒体流量調整弁22の開度を制御するためのFCU能力として、現在発揮すべきFCU能力を用いたが、これに限られず、例えば、FCU21毎に予め決められたFCU設定能力をそのまま使用してもよい。これにより、各FCU21における現在発揮すべきFCU能力の算出が不要となり、熱媒体流量調整弁22の開度制御に係る構成を簡略化することができる。
このように、本実施の形態1では、系統内の代表FCUを決定し、代表FCUのFCU能力と、それ以外のFCU21のFCU能力との能力比率に応じて、それぞれのFCUに対応する熱媒体流量調整弁22の開度を決定する。これにより、それぞれのFCU21に対して必要な分だけの流量の水が流れるため、水が有する熱を効率的に利用することができる。
なお、この例では、各FCU21のFCU能力に基づき、各系統の代表FCUが決定されたが、これに限られず、例えば、各系統の代表FCUは、予め決定されるようにしてもよい。また、代表FCUが予め決定されている場合には、上述したように、代表FCUに対応する室内機2の室内側バイパス配管23を省略することができる。さらに、室内側バイパス配管23が省略された室内機2では、熱媒体流量調整弁22は、複数の流出口が設けられている必要はなく、流入する水の流量を調整して流出させる機能を有していればよい。
以上のように、本実施の形態1に係る空気調和機100において、室内側バイパス配管23をそれぞれ有する複数の室内機2が直列に接続される。室内空気と熱交換した後の熱媒体を直列に接続された熱交換器に流入させることにより、熱媒体が有する熱を複数の室内機2で利用するため、熱媒体が有する熱の残存を低減させることができる。熱媒体が水である場合、熱媒体回路内での相変化が小さく、冷媒に比べて熱媒体の温度変化が小さいため、複数の室内機2を直列接続することができる。
また、室内機2a〜2cは、流量を調整できる熱媒体流量調整弁22と、熱媒体流量調整弁22の第1の流出口22bに接続された利用側熱交換器121と、熱媒体流量調整弁22の第2の流出口22cに接続された室内側バイパス配管23とを備える。また、空気調和機100では、複数の室内機2が直列に接続されている。これにより、必要な分の流量の水がFCU21に流れるため、水が有する熱を効率的に利用することができる。
また、空気調和機100は、複数の室内機2a〜2cそれぞれのFCU21の能力に応じて熱媒体流量調整弁22の開度を制御する制御装置4を備えている。制御装置4は、複数の室内機2それぞれのFCU21のFCU能力のうち、最も高いFCU能力を有する代表FCUのFCU能力と他のFCU21のFCU能力との能力比率に応じて、複数の熱媒体流量調整弁22の開度を調整する弁開度決定部42を有している。これにより、それぞれのFCU21に対して必要な分の流量の水を供給することができる。
さらに、制御装置4は、FCU21の入口温度、出口温度および吸込空気温度に基づき、複数のFCU21それぞれのFCU能力を算出するFCU能力算出部41をさらに有している。これにより、それぞれのFCU21において現在発揮すべきFCU能力を算出することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る空気調和機について説明する。本実施の形態2では、直列に接続された室内機2a〜2cからなる系統#1と、直列に接続された複数の室内機2d〜2fからなる系統#2とが並列に接続される点で、実施の形態1と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[空気調和機200の構成]
図15は、本実施の形態2に係る空気調和機200の構成の一例を示す概略図である。図15に示すように、空気調和機200は、室外機1、複数の室内機2a〜2fおよび中継装置3で構成されている。室外機1と中継装置3とが冷媒配管10で接続されることにより、冷媒回路が形成される。複数の室内機2a〜2fと中継装置3とが熱媒体配管20で接続されることにより、熱媒体回路が形成される。また、室内機2a〜2cが直列に接続されて系統#1が構成されるとともに、室内機2d〜2fが直列に接続されて系統#2が構成されている。そして、系統#1の室内機2a〜2cと系統#2の室内機2d〜2fとが並列に接続されている。
[空気調和機200の動作]
次に、上記構成を有する空気調和機200の動作について説明する。ここでは、熱媒体回路を循環する熱媒体としての水の流れについて説明する。なお、室内機2a〜2fにおける流量調整処理については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
(熱媒体の流れ)
図15において、空気調和機200は、室内機2a〜2cが直列接続された系統#1と、室内機2d〜2fが直列接続された系統#2とが中継装置3に対して並列に接続されている。
中継装置3において、中間熱交換器32から流出した水は、熱媒体配管20を介して中継装置3から流出する。中継装置3から流出した水は、2つの系統#1および#2に分岐し、各系統#1および#2内の最前段の室内機2aおよび2dのそれぞれに流入する。系統#1における水の流れについては、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
系統#2の室内機2dに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21dまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21dに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21dから流出する。FCU21dから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21dの下流側で合流し、後段の室内機2eに流入する。
室内機2eに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21eまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21eに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21eから流出する。FCU21eから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21eの下流側で合流し、後段の室内機2fに流入する。
室内機2fに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21fまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21fに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21fから流出する。FCU21fから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21fの下流側で合流し、室内機2fから流出する。
各系統#1および#2における最後段の室内機2cおよび2fから流出した水は、合流した後、熱媒体配管20を介して中継装置3に流入する。中継装置3に流入した水は、ポンプ33を介して中間熱交換器32に流入する。以下、上述した循環が繰り返される。
以上のように、本実施の形態2に係る空気調和機200は、複数の室内機2が直列に接続された系統を複数有し、複数の系統が並列に接続されている。このように、直列に接続された複数の室内機2で構成される系統が複数設けられている場合でも、実施の形態1と同様に、必要な分の流量の水がFCU21に流れるため、水が有する熱を効率的に利用することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る空気調和機について説明する。本実施の形態3では、直列に接続された室内機2a〜2cの系統#1と、直列に接続された複数の室内機2d〜2fの系統#2と、直列に接続された複数の室内機2g〜2iの系統#3とが並列に接続される点で、実施の形態1および2と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1および2と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[空気調和機300の構成]
図16は、本実施の形態3に係る空気調和機300の構成の一例を示す概略図である。図16に示すように、空気調和機300は、室外機1、複数の室内機2a〜2iおよび中継装置3で構成されている。室外機1と中継装置3とが冷媒配管10で接続されることにより、冷媒回路が形成される。複数の室内機2a〜2iと中継装置3とが熱媒体配管20で接続されることにより、熱媒体回路が形成される。また、室内機2a〜2cが直列に接続されて系統#1が構成されるとともに、室内機2d〜2fが直列に接続されて系統#2が構成され、室内機2g〜2iが直列に接続されて系統#3が構成されている。そして、系統#1の室内機2a〜2cと系統#2の室内機2d〜2fと系統#3の室内機2g〜2iとが並列に接続されている。
[空気調和機300の動作]
次に、上記構成を有する空気調和機300の動作について説明する。ここでは、熱媒体回路を循環する熱媒体としての水の流れと、各系統#1〜#3に対する水の流量制御について説明する。
(熱媒体の流れ)
図16において、空気調和機300は、室内機2a〜2cが直列接続された系統#1と、室内機2d〜2fが直列接続された系統#2と、室内機2g〜2iが直列接続された系統#3とが中継装置3に対して並列に接続されている。
中継装置3において、中間熱交換器32から流出した水は、熱媒体配管20を介して中継装置3から流出する。中継装置3から流出した水は、3つの系統#1〜#3に分岐し、各系統#1〜#3内の最前段の室内機2a、2dおよび2gのそれぞれに流入する。系統#1および系統#2における水の流れについては、実施の形態2と同様であるため、ここでは説明を省略する。
系統#3の室内機2gに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21gまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21gに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21gから流出する。FCU21gから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21gの下流側で合流し、後段の室内機2hに流入する。
室内機2hに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21hまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21hに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21hから流出する。FCU21hから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21hの下流側で合流し、後段の室内機2iに流入する。
室内機2iに流入した水は、熱媒体流量調整弁22の開度設定に応じた流量で、FCU21iまたは室内側バイパス配管23を流れる。FCU21iに流入した水は、室内空気と熱交換して吸熱または放熱して室内空気を冷却または加熱し、FCU21iから流出する。FCU21iから流出した水と、室内側バイパス配管23を流れる水とは、FCU21iの下流側で合流し、室内機2iから流出する。
各系統#1〜#3における最後段の室内機2c、2fおよび2iから流出した水は、合流した後、熱媒体配管20を介して中継装置3に流入する。中継装置3に流入した水は、ポンプ33を介して中間熱交換器32に流入する。以下、上述した循環が繰り返される。
(各系統#1〜#3に対する水の流量制御)
次に、各系統#1〜#3に対する水の流量制御について説明する。ここでは、各系統#1〜#3における代表FCUのFCU能力が異なる場合の水の流量制御について説明する。図17〜図20は、系統#1〜#3毎に代表FCUのFCU能力が異なる場合の熱媒体流量調整弁22の開度を示す概略図である。図17〜図20において、太線で示すFCU21が各系統#1〜#3における代表FCUである。
図17は、系統#1〜#3毎に代表FCUのFCU能力が異なる場合の、熱媒体流量調整弁の開度の第1の例を示す概略図である。図17に示す第1の例は、代表FCUのFCU能力の大きさによらず、すべての系統#1〜#3における代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を100%とする例である。
第1の例において、系統#1〜#3の代表FCUは、それぞれFCU21c、21eおよび21gである。そのため、これらのFCU21c、21eおよび21gに対応する熱媒体流量調整弁22は、図5に示すように設定される。この場合、各系統#1〜#3には、水が均等に流れるとともに、各系統#1〜#3の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度が100%である。そのため、代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22の制御を単純化することができる。
なお、この例においては、系統#2の代表FCUのFCU能力が最も高く、系統#1および系統#3には系統#2と同等の水が流れる。そのため、系統#1および系統#3が過大能力となり、室内空間の冷え過ぎまたは暖め過ぎが生じることがある。そこで、この場合には、系統#1内および系統#3内でサーモOFFを行うなどして、冷え過ぎまたは暖め過ぎを防止するとよい。
具体的には、弁開度決定部42は、系統#1におけるFCU21aに対応する熱媒体流量調整弁22のバイパス開度を100%としてFCU21aをサーモOFFさせる。また、弁開度決定部42は、系統#3におけるFCU21iに対応する熱媒体流量調整弁22のバイパス開度を100%としてFCU21iをサーモOFFさせる。
図18は、系統#1〜#3毎に代表FCUのFCU能力が異なる場合の、熱媒体流量調整弁の開度の第2の例を示す概略図である。図18に示す第2の例は、第1の例における過大能力を解消するため、熱媒体配管の各系統#1〜#3の分岐直後の位置、すなわち各系統#1〜#3の最前段に流量調整用の絞り装置がそれぞれ設けられた例である。これにより、各系統#1〜#3には、それぞれの系統で必要な量の水が供給される。
第2の例では、系統#2の代表FCUであるFCU21eのFCU能力が7kWであり、FCU能力が最も高い。そこで、制御装置4は、系統#2の絞り装置の開度を全開とし、系統#2の代表FCUのFCU能力を基準として、系統#1および#3の絞り装置の開度を決定する。この場合、系統#1の代表FCUであるFCU21cのFCU能力が5kWであるため、系統#1の絞り装置の開度は、71%(≒5kW/7kW×100%)に決定される。また、系統#3の代表FCUであるFCU21gのFCU能力が4kWであるため、系統#3の絞り装置の開度は、57%(≒4kW/7kW×100%)に決定される。
なお、系統内にサーモOFFするFCU21が存在する場合には、当該FCU21に対応する熱媒体流量調整弁22を図8に示すように設定してもよい。すなわち、熱媒体流量調整弁22のFCU開度が0%とされるとともに、バイパス開度が設定開度とされる。図8に示すように熱媒体流量調整弁22の開度が設定されることにより、熱媒体流量調整弁22が絞り装置の役割を担うことになり、対応するFCU21の次段以降のFCU21に流れる水量が調整される。そのため、上述した絞り装置を設けることなく、各系統#1〜#3への水量を調整することができる。
図19は、系統#1〜#3毎に代表FCUのFCU能力が異なる場合の、熱媒体流量調整弁の開度の第3の例を示す概略図である。図19に示す第3の例は、代表FCUのFCU能力の大きさに応じて各系統#1〜#3における代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を異ならせる例である。
第3の例では、各系統#1〜#3における代表FCUのFCU能力のうち、最も高いFCU能力を有する代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度が100%に決定される。そして、それ以外の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度は、能力比率に応じて決定される。
具体的には、系統#2の代表FCUであるFCU21eのFCU能力が7kWであり、FCU能力が最も高い。そこで、制御装置4は、系統#2の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を100%とする。そして、制御装置4は、この熱媒体流量調整弁22のFCU開度を基準とし、代表FCUのFCU能力の比率に応じて、系統#1および#3の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を決定する。
この場合、系統#1の代表FCUであるFCU21cのFCU能力が5kWである。したがって、系統#2における代表FCUのFCU能力との能力比率により、系統#1の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度は、71%(≒5kW/7kW×100%)に決定される。また、系統#3の代表FCUであるFCU21gのFCU能力が4kWである。したがって、系統#2における代表FCUのFCU能力との能力比率により、系統#3の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度は、57%(≒4kW/7kW×100%)に決定される。
このように、系統#1〜#3毎の代表FCUのFCU能力に応じて、熱媒体流量調整弁22の開度を異ならせることにより、各系統#1〜#3の室内機2が設置される空調空間毎に空調能力を制御するといったきめ細やかな制御を行うことができる。また、必要以上の流量の水がFCU21に流れるのが抑制されるため、熱の利用効率をより向上させることができる。
なお、第3の例では、それぞれのFCU21において必要なFCU能力を発揮することができるが、各系統#1〜#3に対して同様の流量の水が流れる。そのため、系統#1および#3に対して過大な流量の水が流れる。
図20は、系統#1〜#3毎に代表FCUのFCU能力が異なる場合の、熱媒体流量調整弁の開度の第4の例を示す概略図である。図20に示す第4の例は、第3の例において過大な流量の水が流れるのを抑制するように、能力が最も高い代表FCUを含む系統以外の系統の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22の開度を調整する例である。
第4の例では、第3の例と同様に、弁開度決定部42は、系統#2の代表FCUであるFCU21eに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を100%に設定する。また、弁開度決定部42は、系統#2以外の系統#1および#3の代表FCUである21cおよび21gにそれぞれ対応する熱媒体流量調整弁22の開度を図10に示すように設定する。図10に示すように熱媒体流量調整弁22の開度が設定されることにより、対応するFCU21の次段以降のFCU21に流れる水量が調整される。
すなわち、系統#1および#3の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度は、系統#2の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のFCU開度を基準とし、代表FCUのFCU能力の比率に応じて設定される。また、このときの熱媒体流量調整弁22のバイパス開度は、0%に設定される。
具体的には、系統#1の代表FCUであるFCU21cに対応する熱媒体流量調整弁22は、FCU開度が71%となり、バイパス開度が0%となるように設定される。また、系統#3の代表FCUであるFCU21gに対応する熱媒体流量調整弁22は、FCU開度が57%となり、バイパス開度が0%となるように設定される。
このように、能力が最も高い代表FCUを含む系統以外の系統の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22のバイパス開度が0%となるように、熱媒体流量調整弁22の開度が設定されることにより、各系統#1〜#3に対する水量を調整することができる。
以上のように、本実施の形態3に係る空気調和機300において、弁開度決定部42は、各系統の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22の開度を全開とする。また、弁開度決定部42は、他のFCUに対応する熱媒体流量調整弁22の開度を、能力比率に基づき決定する。これにより、各系統における熱媒体流量調整弁22の開度制御を単純化することができる。
また、各系統の最前段に絞り装置がそれぞれ設けられ、制御装置4は、各系統の代表FCUの能力比率に応じて、各系統の絞り装置の開度を決定する。これにより、各系統に必要な水量を供給することができる。
さらに、弁開度決定部42は、各系統の代表FCUのうち、最も高いFCU能力を有する代表FCUに接続された熱媒体流量調整弁22の開度を全開とする。また、弁開度決定部42は、他の代表FCUに接続された熱媒体流量調整弁22の開度を、最も高い能力を有する代表FCUのFCU能力との能力比率に基づき決定する。そして、弁開度決定部42は、第2の流出口22cと他の代表FCUの熱媒体の流出側とが連通するように、他の代表FCUに対応する熱媒体流量調整弁22の開度を決定する。これにより、各系統に対する水の流量が適切に設定されるため、不要な搬送動力を抑制することができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に係る空気調和機について説明する。本実施の形態4では、各室内機2a〜2iに対して室内側制御装置を設ける点で、実施の形態1〜3と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1〜3と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[空気調和機400の構成]
図21は、本実施の形態4に係る空気調和機400の構成の一例を示す概略図である。図21に示すように、空気調和機400は、室外機1、複数の室内機2a〜2iおよび中継装置3で構成されている。室外機1と中継装置3とが冷媒配管10で接続されることにより、冷媒回路が形成される。複数の室内機2a〜2iと中継装置3とが熱媒体配管20で接続されることにより、熱媒体回路が形成される。また、室内機2a〜2cが直列に接続されて系統#1が構成されるとともに、室内機2d〜2fが直列に接続されて系統#2が構成され、室内機2g〜2iが直列に接続されて系統#3が構成されている。そして、系統#1の室内機2a〜2cと系統#2の室内機2d〜2fと系統#3の室内機2g〜2iとが並列に接続されている。
本実施の形態4において、室内機2a〜2iは、図21に示すように、図2に示す構成に加えて、室内側制御装置27を備えている。室内側制御装置27は、自装置が設けられた室内機2の機器を制御する。室内側制御装置27は、実施の形態1〜3における制御装置4で行う各種制御のうち、自装置である室内機2に関する制御を行う。具体的には、室内側制御装置27は、FCU21のFCU能力の算出、および算出したFCU能力に基づく熱媒体流量調整弁22の開度等を制御する。
室内側制御装置27は、他の室内機2に設けられた室内側制御装置27および中継装置3に設けられた制御装置4と通信を行う。例えば、室内側制御装置27は、入口温度センサ24、出口温度センサ25および吸込温度センサ26等のセンサ情報、ならびに、熱媒体流量調整弁22の開度制御に関する情報等のやりとりを行う。
このように、各室内機2a〜2iに対して室内側制御装置27が設けられることにより、室外機1、室内機2および中継装置3との間で連動制御を行うことができる。また、室内機2単体での交換を容易に行うことができる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に係る空気調和機について説明する。本実施の形態5では、空気調和機に冷却用装置および加熱用装置を設ける点で、実施の形態1〜4と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1〜4と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[空気調和機500の構成]
図22は、本実施の形態5に係る空気調和機500の構成の一例を示す概略図である。図22に示すように、空気調和機500は、室外機1、複数の室内機2a〜2c、中継装置3、冷却用装置5および加熱用装置6で構成されている。ここでは、室内機2が系統#1のみで構成されている場合を例にとって説明するが、これに限られず、室内機2は、複数の系統で構成されてもよい。また、室内機2が設けられなくてもよい。
室外機1と中継装置3とが冷媒配管10で接続されることにより、冷媒回路が形成される。複数の室内機2a〜2cと、冷却用装置5と、加熱用装置6と、中継装置3とが熱媒体配管20で接続されることにより、熱媒体回路が形成される。また、複数の室内機2a〜2cが直列に接続されて系統#1が構成されるとともに、冷却用装置5および加熱用装置6が直列に接続されて系統#4が構成されている。そして、系統#1の室内機2a〜2cと系統#4の冷却用装置5および加熱用装置6とが並列に接続されている。
(冷却用装置5)
冷却用装置5は、冷熱を生成するものであって、例えば冷蔵室、冷凍室、ならびに電算機室などの熱が常時発生する部屋等に設けられ、室内を冷却するために設けられている。冷却用装置5は、冷却側中間熱交換器51、冷却側熱媒体流量調整弁52、圧縮機53、膨張弁54および利用側熱交換器55を備えている。
冷却側中間熱交換器51は、熱媒体側流路に接続された熱媒体回路を流れる熱媒体と、冷媒側流路に接続された冷却用冷媒回路を流れる冷却用冷媒との間で熱交換を行う。冷却側中間熱交換器51は、冷却用冷媒の熱を熱媒体に放熱して冷却用冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。
冷却側熱媒体流量調整弁52は、流入口52a、第1の流出口52bおよび第2の流出口52cとを有する電動式の三方弁であり、冷却側中間熱交換器51の水の流入側に設けられている。冷却側熱媒体流量調整弁52は、流入する水を分岐するために設けられている。冷却側熱媒体流量調整弁52において、第1の流出口52bは、冷却側中間熱交換器51の水の流入側に接続されている。第2の流出口52cは、冷却側バイパス配管50を介して冷却側中間熱交換器51の水の流出側に接続されている。これにより、冷却側熱媒体流量調整弁52の第2の流出口52cと冷却側中間熱交換器51の水の流出側とが接続される。
なお、冷却側熱媒体流量調整弁52は、熱媒体流量調整弁22と同様の構造を有している。すなわち、冷却側熱媒体流量調整弁52は、制御装置4によって開度が制御されることにより、流入口52aに流入した水を、第1の流出口52bおよび第2の流出口52cの両方から流量が調整された状態で水を流出させることができる。
なお、この例では、冷却側バイパス配管50が冷却用装置5の内部に設けられているが、これに限られず、冷却側バイパス配管50は、冷却用装置5の外部に設けられており、連結金具等を介して冷却用装置5に接続されてもよい。これにより、冷却側バイパス配管50の配管長が短くなるため、水が配管内を流れる際の放熱等による損失を抑制することができる。
圧縮機53は、低温低圧の冷却用冷媒を吸入し、吸入した冷却用冷媒を圧縮し、高温高圧の冷却用冷媒を吐出する。圧縮機53は、例えばインバータ圧縮機等からなる。圧縮機53の運転周波数は、制御装置4によって制御される。
膨張弁54は、冷却用冷媒を膨張させる。膨張弁54は、例えば、電子式膨張弁等の開度の制御が可能な弁で構成される。膨張弁54の開度は、図示しない冷却用装置5の制御装置によって制御される。利用側熱交換器55は、図示しないファンによって供給される室内空気と冷却用冷媒との間で熱交換を行う。これにより、室内空間に供給される調和空気である冷房用空気が生成される。
また、冷却用装置5は、入口温度センサ56、出口温度センサ57および吸込温度センサ58を備えている。入口温度センサ56は、冷却側中間熱交換器51における水の流入側に設けられ、冷却側中間熱交換器51に流入する水の温度を検出する。また、入口温度センサ56は、系統#4における水の入口温度の検出も兼ねる。出口温度センサ57は、冷却側中間熱交換器51における水の流出側に設けられ、冷却側中間熱交換器51から流出する水の温度を検出する。吸込温度センサ58は、冷却側中間熱交換器51における空気の吸入側に設けられ、冷却側中間熱交換器51に吸い込まれる空気の吸込空気温度を検出する。
(加熱用装置6)
加熱用装置6は、温熱を生成するものであって、例えば床暖房などの輻射式暖房を用いる部屋、熱帯植物などの栽培用の温室、ならびに給湯室などの温水を用いる部屋等に設けられ、温水を生成して蓄えるために設けられている。加熱用装置6は、加熱側中間熱交換器61、加熱側熱媒体流量調整弁62、圧縮機63、膨張弁64、水熱交換器65、貯湯タンク71および送水ポンプ72を備えている。
加熱側中間熱交換器61は、熱媒体側流路に接続された熱媒体回路を流れる熱媒体と、冷媒側流路に接続された加熱用冷媒回路を流れる加熱用冷媒との間で熱交換を行う。加熱側中間熱交換器61は、加熱用冷媒を蒸発させ、加熱用冷媒が蒸発した際の気化熱により熱媒体を冷却する蒸発器として機能する。
加熱側熱媒体流量調整弁62は、流入口62a、第1の流出口62bおよび第2の流出口62cとを有する電動式の三方弁であり、加熱側中間熱交換器61の水の流入側に設けられている。加熱側熱媒体流量調整弁62は、流入する水を分岐するために設けられている。加熱側熱媒体流量調整弁62において、第1の流出口62bは、加熱側中間熱交換器61の水の流入側に接続されている。第2の流出口62cは、加熱側バイパス配管60を介して加熱側中間熱交換器61の水の流出側に接続されている。これにより、加熱側熱媒体流量調整弁62の第2の流出口62cと加熱側中間熱交換器61の水の流出側とが接続される。
加熱側熱媒体流量調整弁62は、熱媒体流量調整弁22および冷却側熱媒体流量調整弁52と同様の構造を有している。すなわち、加熱側熱媒体流量調整弁62は、制御装置4によって開度が制御されることにより、流入口62aに流入した水を、第1の流出口62bおよび第2の流出口62cの両方から流量が調整された状態で水を流出させることができる。
なお、この例では、加熱側バイパス配管60が加熱用装置6の内部に設けられているが、これに限られず、加熱側バイパス配管60は、加熱用装置6の外部設けられており、連結金具等を介して加熱用装置6に接続されてもよい。これにより、加熱側バイパス配管60の配管長が短くなるため、水が配管内を流れる際の放熱等による損失を抑制することができる。
圧縮機63は、低温低圧の加熱用冷媒を吸入し、吸入した加熱用冷媒を圧縮し、高温高圧の加熱用冷媒を吐出する。圧縮機63は、例えばインバータ圧縮機等からなる。圧縮機63の運転周波数は、制御装置4によって制御される。
膨張弁64は、加熱用冷媒を膨張させる。膨張弁64は、例えば、電子式膨張弁等の開度の制御が可能な弁で構成される。膨張弁64の開度は、図示しない加熱用装置6の制御装置によって制御される。水熱交換器65は、貯湯タンク71に蓄えられた水等の加熱媒体と加熱用冷媒との間で熱交換を行う。
貯湯タンク71は、外部から供給された水を蓄える。貯湯タンク71には、給水口および流出口が下部に設けられるとともに、流入口が上部に設けられている。貯湯タンク71は、給水口を介して外部から水が供給され、供給された加熱されていない未加熱水を蓄える。貯湯タンク71に蓄えられた未加熱水は、流出口を介して流出し、水熱交換器65に供給される。
また、貯湯タンク71は、水熱交換器65で加熱された加熱水が流入口を介して供給され、供給された加熱水を貯める。貯湯タンク71に貯められた加熱水は、外部に放出され、例えばシャワー等の温水として利用される。
送水ポンプ72は、図示しないモータによって駆動され、貯湯タンク71から流出した水を水熱交換器65に供給する。送水ポンプ72の駆動は、図示しない加熱用装置6の制御装置によって制御される。
また、加熱用装置6は、入口温度センサ66、出口温度センサ67および加熱媒体温度センサ68を備えている。入口温度センサ66は、加熱側中間熱交換器61における水の流入側に設けられ、加熱側中間熱交換器61に流入する水の温度を検出する。出口温度センサ67は、加熱側中間熱交換器61における水の流出側に設けられ、加熱側中間熱交換器61から流出する水の温度を検出する。また、出口温度センサ67は、系統#4における水の出口温度の検出も兼ねる。加熱媒体温度センサ68は、加熱側中間熱交換器61の周囲に設けられ、加熱側中間熱交換器61の周囲の加熱媒体の温度を検出する。
[空気調和機500の動作]
次に、上記構成を有する空気調和機500の動作について説明する。ここでは、熱媒体回路を循環する熱媒体としての水の流れについて説明する。図22において、空気調和機200は、室内機2a〜2cが直列接続された系統#1と、冷却用装置5および加熱用装置6が直列接続された系統#4とが中継装置3に対して並列に接続されている。
中継装置3において、中間熱交換器32から流出した水は、熱媒体配管20を介して中継装置3から流出する。中継装置3から流出した水は、2つの系統#1および#4に分岐し、系統#1の最前段の室内機2aと、系統#4の冷却用装置5とにそれぞれ流入する。系統#1における水の流れについては、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
系統#4の冷却用装置5に流入した水は、冷却側熱媒体流量調整弁52の開度設定に応じた流量で、冷却側中間熱交換器51または冷却側バイパス配管50を流れる。冷却側中間熱交換器51に流入した水は、冷却用冷媒と熱交換して冷却用冷媒を冷却し、冷却側中間熱交換器51から流出する。冷却側中間熱交換器51から流出した水と、冷却側バイパス配管50を流れる水とは、冷却側中間熱交換器51の下流側で合流し、後段の加熱用装置6に流入する。
加熱用装置6に流入した水は、加熱側熱媒体流量調整弁62の開度設定に応じた流量で、加熱側中間熱交換器61または加熱側バイパス配管60を流れる。加熱側中間熱交換器61に流入した水は、加熱用冷媒と熱交換して加熱用冷媒を加熱し、加熱側中間熱交換器61から流出する。加熱側中間熱交換器61から流出した水と、加熱側バイパス配管60を流れる水とは、加熱側中間熱交換器61の下流側で合流し、加熱用装置6から流出する。
そして、系統#1の最後段の室内機2cから流出した水と、系統#4の加熱用装置6から流出した水とは、合流した後、熱媒体配管20を介して中継装置3に流入する。中継装置3に流入した水は、ポンプ33を介して中間熱交換器32に流入する。以下、上述した循環が繰り返される。
一方、冷却用装置5において、冷却用冷媒回路を流れる冷却用冷媒は、圧縮機53によって圧縮されて吐出される。圧縮機53から吐出された冷却用冷媒は、冷却側中間熱交換器51に流入する。冷却側中間熱交換器51に流入した冷却用冷媒は、熱媒体回路を流れる水と熱交換して放熱しながら凝縮することによって水を加熱し、冷却側中間熱交換器51から流出する。
冷却側中間熱交換器51から流出した冷却用冷媒は、膨張弁54によって減圧および膨張され、膨張弁54から流出する。膨張弁54から流出した冷却用冷媒は、利用側熱交換器55に流入する。利用側熱交換器55に流入した冷却用冷媒は、室内空気と熱交換して吸熱および蒸発し、利用側熱交換器55から流出する。利用側熱交換器55から流出した冷却用冷媒は、圧縮機53へ吸入される。そして、以下、冷却用冷媒は上述した循環を繰り返す。
また、加熱用装置6において、加熱用冷媒回路を流れる加熱用冷媒は、圧縮機63によって圧縮されて吐出される。圧縮機63から吐出された加熱用冷媒は、水熱交換器65に流入する。水熱交換器65に流入した加熱用冷媒は、貯湯タンク71から流出した未加熱水と熱交換して放熱しながら凝縮することによって未加熱水を加熱し、水熱交換器65から流出する。
水熱交換器65から流出した加熱用冷媒は、膨張弁64によって減圧および膨張され、膨張弁64から流出する。膨張弁64から流出した加熱用冷媒は、加熱側中間熱交換器61に流入する。加熱側中間熱交換器61に流入した加熱用冷媒は、熱媒体回路を流れる水と熱交換して吸熱および蒸発し、加熱側中間熱交換器61から流出する。加熱側中間熱交換器61から流出した加熱用冷媒は、圧縮機63へ吸入される。そして、以下、加熱用冷媒は上述した循環を繰り返す。
また、送水ポンプ72の駆動により、貯湯タンク71の下部に設けられた流出口から未加熱水が流出する。貯湯タンク71から流出した未加熱水は、水熱交換器65に流入する。水熱交換器65に流入した未加熱水は、加熱用冷媒と熱交換して加熱され、水熱交換器65から流出する。水熱交換器65から流出した加熱水は、貯湯タンク71の上部に設けられた流入口から貯湯タンク71に流入し、貯湯タンク71に蓄えられる。そして、以下、貯湯タンク71内の未加熱水は、上述した循環を繰り返す。
なお、系統#4において、冷却用装置5および加熱用装置6のいずれか一方が停止している場合、制御装置4は、停止している装置に対応する冷却側熱媒体流量調整弁52または加熱側熱媒体流量調整弁62の開度を制御する。これにより、停止している装置に対応する冷却側中間熱交換器51または加熱側中間熱交換器61がバイパスされる。また、系統#4において、冷却用装置5および加熱用装置6の両方が停止している場合、制御装置4は、冷却側熱媒体流量調整弁52および加熱側熱媒体流量調整弁62の少なくとも一方を遮断するように制御し、系統#4への水の供給を遮断する。
(排熱の利用)
ここで、本実施の形態5では、冷却された水が冷却用装置5の冷却側中間熱交換器51に流入すると、流入した水は、冷却用装置5からの排熱を回収して加熱され、冷却側中間熱交換器51から流出する。そして、冷却側中間熱交換器51から流出した水は、加熱された状態で加熱用装置6の加熱側中間熱交換器61に流入する。
また、冷却側中間熱交換器51から流出した水が加熱側中間熱交換器61に流入すると、流入した水は、加熱用装置6からの排熱を回収して冷却され、加熱側中間熱交換器61から流出する。そして、加熱側中間熱交換器61から流出した水は、冷却された状態で、戻り水として中継装置3に流入する。
このように、冷却用装置5と加熱用装置6とが直列に接続された系統#4では、冷却用装置5からの排熱が加熱用装置6で利用される。これにより、加熱用装置6の熱交換効率が向上する。また、加熱用装置6からの排熱により、中継装置3への戻り水が冷却されるため、中継装置3での水の冷却を補助し、システム全体としての省エネルギー性が向上する。
なお、冷却用装置5において、冷却側中間熱交換器51による熱交換だけでは必要な運転能力を発揮できない場合には、冷却用冷媒回路上の冷却側中間熱交換器51の上流側または下流側に、冷却側補助熱交換器が直列に設けられてもよい。これにより、冷却側中間熱交換器51のみでは不足する熱交換量が冷却側補助熱交換器によって補われるため、冷却用装置5が必要とする運転能力を発揮することができる。
ただし、冷却側補助熱交換器が冷却側中間熱交換器51の上流側に設けられたときで、冷却側中間熱交換器51のみを用いて冷却用装置5が必要な運転能力を発揮できる場合、冷却側補助熱交換器をバイパスする冷却側補助バイパス配管が設けられると好ましい。これは、冷却側補助熱交換器による熱交換を行わないようにすることで、冷却側中間熱交換器51での熱交換による水への熱の排出量が増大し、後段の加熱用装置6での排熱利用を向上させることができるためである。
一方、冷却側補助熱交換器が冷却側中間熱交換器51の下流側に設けられた場合、冷却側補助バイパス配管は不要である。すなわち、冷却側中間熱交換器51での熱交換の不足分を冷却側補助熱交換器による熱交換で補う場合には、冷却側補助熱交換器を用いてもよい。
また、加熱用装置6において、加熱側中間熱交換器61による熱交換だけでは必要な運転能力を発揮できない場合には、加熱用冷媒回路上の加熱側中間熱交換器61の上流側または下流側に、加熱側補助熱交換器が直列に設けられてもよい。これにより、加熱側中間熱交換器61のみでは不足する熱交換量が加熱側補助熱交換器によって補われるため、加熱用装置6が必要とする運転能力を発揮することができる。
ただし、加熱側補助熱交換器が加熱側中間熱交換器61の上流側に設けられたときで、加熱側中間熱交換器61のみを用いて加熱用装置6が必要な運転能力を発揮できる場合、加熱側補助熱交換器をバイパスする加熱側補助バイパス配管が設けられると好ましい。これは、加熱側補助熱交換器による熱交換を行わないようにすることで、加熱側中間熱交換器61での熱交換による水への熱の排出量が増大し、戻り水に対する排熱利用を向上させることができるためである。
一方、加熱側補助熱交換器が加熱側中間熱交換器61の下流側に設けられた場合、加熱側補助バイパス配管は不要である。すなわち、加熱側中間熱交換器61での熱交換の不足分を加熱側補助熱交換器による熱交換で補う場合には、加熱側補助熱交換器を用いてもよい。
(熱回収のバランスがとれている場合)
ここで、冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61での熱回収のバランスについて説明する。系統#1に水が流入しないよう制御される等により、中継装置3に対して水の循環経路として系統#4のみが接続された場合で、冷却側中間熱交換器51で回収された熱と、加熱側中間熱交換器61で回収された熱とのバランスがとれているときには、室外機1の運転を停止させることができる。すなわち、熱媒体回路のポンプ33を駆動して系統#4に水を循環させる運転のみで、冷却用装置5と加熱用装置6との熱交換ができるため、省エネルギー運転を行うことができる。なお、「熱回収のバランスがとれている」とは、冷却用装置5と加熱用装置6とが直列接続された系統における水の入口温度と出口温度とが一致する場合に限らない。例えば、系統#4に流入する水の温度と、系統#4から流出する水の温度との差が大きくなく、熱媒体回路全体では温度変化の影響が少ない場合など、ほぼバランスがとれている状態も含む。また、熱媒体回路の何れかで水の温度変化が発生する場合、例えば水が熱媒体配管20で循環する際に、外気等と熱交換して水に温度変化が生じる場合、その水の温度変化も考慮して熱回収のバランスがとれている状態も含む。
(熱回収のバランスがとれていない場合)
例えば、系統#1の室内機2が暖房運転を行うときで、冷却側中間熱交換器51での水に対する排熱が加熱側中間熱交換器61での水からの吸熱よりも大きい場合、系統#4から流出する水は、温度が高い状態で流出する。すなわち、系統#4に流入する水の温度よりも系統#4から流出する水の温度が高い場合には、中継装置3への戻り水は温度が高い状態となるため、圧縮機11の運転周波数または熱源側熱交換器13に風を送るファンの回転数を低減して、室外機1側では負荷を低下させてもよいことになる。
一方、系統#1の室内機2が冷房運転を行うときで、系統#4に流入する水の温度よりも系統#4から流出する水の温度が高い場合には、中継装置3への戻り水の温度が高いため、室外機1側では負荷を増大させる必要がある。このように、系統#1での運転状態を維持するためには、系統#1の室内機2の運転状態と、系統#4に流入出する水の温度状態とに応じて、室外機1側での負荷を制御する必要がある。
そこで、本実施の形態5では、冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61での熱回収のバランスがとれていない場合に、系統#1の室内機2の運転状態と、系統#4に流入出する水の温度状態とに応じて、室外機1側の負荷を調整する。
図23は、本実施の形態5における冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61での熱回収のバランスがとれていない場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、制御装置4は、系統#1の室内機2が暖房運転であるか否かを判断する。
室内機2が暖房運転である場合(ステップS1;Yes)、制御装置4は、ステップS2において、入口温度センサ56で検出された系統#4の水の入口温度と、出口温度センサ67で検出された系統#4の水の出口温度とを比較する。比較の結果、系統#4の入口温度が出口温度よりも高い場合(ステップS2;Yes)、制御装置4は、ステップS3において、中間熱交換器32での熱交換量を増やすべく、室外機1の負荷を上げるように圧縮機11等の室外機1および中継装置3の各部を制御する。一方、系統#4の入口温度が出口温度以下である場合(ステップS2;No)、系統#4から流出する戻り水には蓄熱された状態であるため、制御装置4は、ステップS4において、中間熱交換器32での熱交換量を減らすべく、室外機1の負荷を下げるように室外機1および中継装置3の各部を制御する。
また、ステップS1において、室内機2が冷房運転である場合(ステップS1;No)、制御装置4は、ステップS5において、系統#4の水の入口温度と出口温度とを比較する。比較の結果、系統#4の入口温度が出口温度以下である場合(ステップS5;No)、制御装置4は、ステップS6において、中間熱交換器32での熱交換量を増やすべく、室外機1の負荷を上げるように室外機1および中継装置3の各部を制御する。一方、系統#4の入口温度が出口温度よりも高い場合(ステップS5;Yes)、系統#4から流出する戻り水には蓄熱された状態であるため、制御装置4は、ステップS7において、中間熱交換器32での熱交換量を減らすべく、室外機1の負荷を下げるように室外機1および中継装置3の各部を制御する。
次に、制御装置4は、ステップS3またはステップS6で室外機1の負荷を上げた場合、ステップS8において、負荷を上げることで増加した室外機1側の電力増加量と、系統#4で排熱利用することで減少する熱媒体回路側、すなわち冷却用装置5および加熱用装置6での電力減少量とを比較する。比較の結果、室外機1側の電力増加量が熱媒体回路側の電力減少量よりも大きい場合(ステップS8;Yes)、制御装置4は、ステップS9において、ステップS3またはステップS6で上げた室外機1の負荷を元に戻す。そして、制御装置4は、ステップS10において、系統#4における冷却側中間熱交換器51または加熱側中間熱交換器61をバイパスするように冷却側熱媒体流量調整弁52または加熱側熱媒体流量調整弁62の開度を制御する。
具体的には、室内機2が暖房運転であり、系統#4の水の入口温度が出口温度よりも高いために室外機1の負荷を上げた場合(ステップS3)、制御装置4は、加熱側熱媒体流量調整弁62の開度を制御して、加熱側中間熱交換器61をバイパスする。このように、暖房運転時に出口温度が低くなっているときは、排熱を維持したまま吸熱を減らすべく、加熱側中間熱交換器61をバイパスする。また、室内機2が冷房運転であり、系統#4の水の入口温度が出口温度以下であるために室外機1の負荷を上げた場合(ステップS6)、制御装置4は、冷却側熱媒体流量調整弁52の開度を制御して、冷却側中間熱交換器51をバイパスする。
一方、室外機1側の電力増加量が熱媒体回路側の電力減少量以下である場合(ステップS8;No)、制御装置4は、ステップS11において、ステップS3またはステップS6で上げた室外機1の負荷を維持する。
このように、本実施の形態5では、室内機2の運転状態と、系統#4に流入出する水の温度状態に応じて、室外機1の負荷を調整する。これにより、冷却用装置5および加熱用装置6の運転能力を十分に発揮させたり、空気調和機500全体としての運転に必要な電力を低減させることができる。この場合、ステップS8〜ステップS11は必須ではない。なお、図23では、系統#4での入口温度と出口温度との比較のみで室外機負荷を制御させているが、他の系統の水の温度差や、配管での水の温度変化なども考慮して、室外機負荷を制御してもよい。
なお、この例では、室外機1側の電力増加量が熱媒体回路側の電力減少量よりも大きい場合に、ステップS10において冷却側中間熱交換器51または加熱側中間熱交換器61がバイパスされるように説明したが、これに限られず、例えばバイパスされなくてもよい。
冷却側中間熱交換器51または加熱側中間熱交換器61をバイパスした場合には、空気調和機500全体として電力増加が低減されるため、電力的な観点で有効である。一方、冷却側中間熱交換器51または加熱側中間熱交換器61をバイパスしない場合には、冷却用装置5での排熱を加熱用装置6で利用できるため、熱的な観点で有効である。したがって、冷却側中間熱交換器51または加熱側中間熱交換器61をバイパスするか否かについては、実施の際に所望する効果を考慮して適宜選択するとよい。また、一部の水をバイパスさせるようにしてもよい。すなわち、系統#4の水の入口温度と出口温度の温度差を小さくするよう、冷却側熱媒体流量調整弁52または加熱側熱媒体流量調整弁62により、中間熱交換器とバイパス路への水の配分を調整してもよい。この場合、室外機1側の電力増加を抑制しつつ、排熱回収を行うことができる。
ここで、冷却側中間熱交換器51をバイパスする場合、冷却用装置5の冷却用冷媒が凝縮不足となるため、上述したように、冷却側中間熱交換器51に対して直列に冷却側補助熱交換器を設ける必要がある。また、加熱側中間熱交換器61をバイパスする場合、加熱用装置6の加熱用冷媒が蒸発不足となるため、上述したように、加熱側中間熱交換器61に対して直列に加熱側補助熱交換器を設ける必要がある。
また、この例では、室外機1側の電力増加量と熱媒体回路側の電力減少量とを比較して、変更した室外機1の負荷を戻すか否かを判断しているが、これに加えて、冷却用装置5および加熱用装置6における電力の変化量を考慮してもよい。
なお、ここでは説明を省略したが、空気調和機500では、実施の形態1〜4と同様に、FCU21a〜21cと、冷却用装置5および加熱用装置6とに対して必要な流量の水が流れるように、流量調整処理が行われる。すなわち、空気調和機500では、FCU21a〜21c、冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61のそれぞれに対応する熱媒体流量調整弁22、冷却側熱媒体流量調整弁52および加熱側熱媒体流量調整弁62の開度が制御される。これにより、FCU21a〜21c、冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61のそれぞれに対する水の流量が、FCU21a〜21c、冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61のそれぞれに要求される能力に応じて調整される。
本実施の形態5において、系統#4における冷却用装置5および加熱用装置6の順序は逆であってもよく、具体的には、系統#4の水の上流側に加熱用装置6が設けられ、下流側に冷却用装置5が設けられてもよい。また、系統#4に直列接続される冷却用装置5および加熱用装置6の数は、この例に限られず、それぞれ複数であってもよい。
さらに、冷却用装置5の冷却側バイパス配管50および加熱用装置6の加熱側バイパス配管60は、省略することができる。この場合、冷却用装置5を停止させた状態で冷却側中間熱交換器51に水を流すことで、冷却側中間熱交換器51内を水が熱交換することなく流れるため、冷却側中間熱交換器51をバイパスする場合と同様の効果を得ることができる。また、加熱用装置6を停止させた状態で加熱側中間熱交換器61に水を流すことで、加熱側中間熱交換器61内を水が熱交換することなく流れるため、加熱側中間熱交換器61をバイパスする場合と同様の効果を得ることができる。
ただし、冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61内を水が通過する際には、冷却側中間熱交換器51および加熱側中間熱交換器61によって多少の放熱による損失および圧損が生じる。そのため、冷却側バイパス配管50および加熱側バイパス配管60が設けられる方が好ましい。
このとき、冷却側バイパス配管50が省略された冷却用装置5では、冷却側熱媒体流量調整弁52は、複数の流出口が設けられている必要はなく、流入する水の流量を調整して流出させる機能を有していればよい。同様に、加熱側バイパス配管60が省略された加熱用装置6では、加熱側熱媒体流量調整弁62は、複数の流出口が設けられている必要はなく、流入する水の流量を調整して流出させる機能を有していればよい。
また、この例では、冷却用装置5と加熱用装置6とを直列に接続したものが系統#4として系統#1と並列に接続されているが、これに限られず、例えば、冷却用装置5のみを系統#4としてもよい。この場合は、系統#1の運転状態に応じて、室外機1の負荷および系統#4の水の流れが制御される。
系統#1の室内機2が暖房運転を行う場合、系統#4の冷却用装置5から流出する水の温度が流入する水の温度よりも高い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が高い状態となる。そのため、室外機1側では、負荷を低下させてもよいことになる。したがって、制御装置4は、室外機1の負荷を下げる制御を行う。これにより、空気調和機500全体として電力を低減させることができる。
一方、系統#1の室内機2が冷房運転を行う場合、系統#4の冷却用装置5から流出する水の温度が流入する水の温度よりも高い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が高い状態となる。そのため、室外機1側では、負荷を増大させる必要がある。しかしながら、負荷を増大させる制御を行うと、空気調和機500全体としての電力が増大してしまう。そこで、この場合には、冷却用装置5への水の流入を遮断する。これにより、ポンプ33の負荷が下がり、省エネルギー性を向上させることができる。
なお、この場合の冷却用装置5では、冷却側中間熱交換器51によって冷却用冷媒を凝縮させることができない。そのため、上述したように、冷却側中間熱交換器51に対して直列に冷却側補助熱交換器を設け、冷却側補助熱交換器によって冷却用冷媒を凝縮させる。
なお、上述した冷却側補助熱交換器の有無に合わせた制御が行われるようにしてもよい。すなわち、図23において、室内機2が暖房運転である場合(ステップS1;Yes)、制御装置4において、冷却用装置5の入口温度センサ56により検知された水の温度と圧縮機に設けた吐出温度センサにより検知された冷媒の温度とが比較される。冷却用装置5が冷却側補助凝縮器を有する場合、水の温度が冷媒の温度より大きいときに、制御装置4が冷却側バイパス配管50に水をバイパスするように制御し、冷却用装置5が実質的に冷却側補助凝縮器のみで運転されるようにしてもよい。一方、冷却用装置5が冷却側補助凝縮器を持っていない場合、冷却用装置5は冷媒を凝縮できないため、水の温度が冷媒の温度より大きいときには制御装置4が室外機1を停止させるようにしてもよい。これにより、暖房運転時において、冷媒の温度よりも水の温度が高くなった場合に、冷却側中間熱交換器51において冷媒から水に排熱することができないといった不具合を防止することができる。
さらに、本実施の形態5では、加熱用装置6のみを系統#4として系統#1に並列に接続してもよい。この場合も、系統#1の運転状態に応じて、室外機1の負荷および系統#4の水の流れが制御される。
系統#1の室内機2が暖房運転を行う場合、系統#4の加熱用装置6から流出する水の温度が流入する水の温度よりも低い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が低い状態となる。そのため、室外機1側では、負荷を増大させる必要がある。しかしながら、負荷を増大させる制御を行うと、空気調和機500全体としての電力が増大してしまう。そこで、この場合には、加熱用装置6への水の流入を遮断する。これにより、ポンプ33の負荷が下がり、省エネルギー性を向上させることができる。
一方、系統#1の室内機2が冷房運転を行う場合、系統#4の加熱用装置6から流出する水の温度が流入する水の温度よりも低い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が低い状態となる。そのため、室外機1側では、負荷を低下させてもよいことになる。したがって、制御装置4は、室外機1の負荷を下げる制御を行う。これにより、空気調和機500全体として電力を低減させることができる。
なお、この場合の加熱用装置6では、加熱側中間熱交換器61によって加熱用冷媒を蒸発させることができない。そのため、上述したように、加熱用装置6に加熱側中間熱交換器61に対して直列に加熱側補助熱交換器が設けられ、加熱側補助熱交換器が加熱用冷媒を蒸発させる。
この際、上述した冷房運転時に加熱側補助熱交換器の有無に合わせた制御が行われるようにしてもよい。すなわち、室内機2が冷房運転である場合(ステップS1;No)、制御装置4において、加熱用装置6の入口温度センサ66により検知された水の温度と圧縮機に設けた吸入温度センサにより検知された冷媒の温度とが比較される。加熱用装置6が加熱補助凝縮器を有する場合、水の温度が冷媒の温度より低いときに、制御装置4が加熱側バイパス配管60に水をバイパスするように制御し、加熱用装置6が実質的に加熱側補助凝縮器のみで運転されるようにしてもよい。一方、加熱用装置6が加熱側補助凝縮器を持っていない場合、加熱用装置6は冷媒を蒸発できないため、水の温度が冷媒の温度より小さいときには制御装置4が室外機1を停止させるようにしてもよい。これにより、冷房運転時において、水の温度が冷媒の温度よりも低くなった場合に、冷却側中間熱交換器51において冷媒から水に排熱することができないといった不具合を防止することができる。
さらに、本実施の形態5では、冷却用装置5および加熱用装置6をそれぞれ異なる系統として、系統#1に並列に接続してもよい。この場合も、系統#1の運転状態に応じて、室外機1の負荷および各系統の水の流れが制御される。
系統#1の室内機2が暖房運転を行う場合、冷却用装置5の系統から流出する水の温度は、流入する水の温度よりも高い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が高い状態となる。また、加熱用装置6の系統から流出する水の温度は、流入する水の温度よりも低い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が低い状態となる。したがって、制御装置4は、室外機1の負荷を下げるとともに、加熱用装置6の系統への水の流入を遮断あるいはバイパスするように制御する。
一方、系統#1の室内機2が冷房運転を行う場合、冷却用装置5の系統から流出する水の温度は、流入する水の温度よりも高い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が高い状態となる。また、加熱用装置6の系統から流出する水の温度は、流入する水の温度よりも低い状態となることから、中継装置3への戻り水は温度が低い状態となる。したがって、制御装置4は、室外機1の負荷を下げるとともに、冷却用装置5の系統への水の流入を遮断あるいはバイパスするように制御する。
このように、系統#1の室内機2の運転状態に応じて、室外機1の負荷および各系統の水の流れが制御されることにより、空気調和機500全体として電力を低減させることができるとともに、ポンプ33の負荷が下がり、省エネルギー性を向上させることができる。なお、この例の場合についても、冷却用装置5は、冷却側補助熱交換器によって冷却用冷媒を凝縮させ、加熱用装置6は、加熱用補助熱交換器によって加熱用冷媒を蒸発させる。
以上のように、本実施の形態5に係る空気調和機500は、冷却用装置5と加熱用装置6とが直列に接続される。これにより、冷却用装置5からの排熱が加熱用装置6で利用されるため、加熱用装置6の熱交換効率を向上させることができる。また、加熱用装置6からの排熱により、戻り水が冷却されるため、システム全体としての省エネルギー性を向上させることができる。
また、冷却用装置5は、冷却側中間熱交換器51をバイパスする冷却側バイパス配管50をさらに有している。これにより、冷却側中間熱交換器51によって水と冷却用冷媒との熱交換を行わない場合に、水が冷却側バイパス配管50を通過するため、冷却側中間熱交換器51内を水が通過する場合と比較して、放熱による損失および圧損を抑制することができる。
さらに、冷却側バイパス配管50は、冷却用装置5の外部を経由して形成されている。これにより、冷却側バイパス配管50の配管長が短くなるため、水が配管内を流れる際の放熱等による損失を抑制することができる。
さらにまた、加熱用装置6は、加熱側中間熱交換器61をバイパスする加熱側バイパス配管60をさらに有している。これにより、加熱側中間熱交換器61によって水と加熱用冷媒との熱交換を行わない場合に、水が加熱側バイパス配管60を通過するため、加熱側中間熱交換器61内を水が通過する場合と比較して、放熱による損失および圧損を抑制することができる。
また、加熱側バイパス配管60は、加熱用装置6の外部を経由して形成されている。これにより、加熱側バイパス配管60の配管長が短くなるため、水が配管内を流れる際の放熱等による損失を抑制することができる。
冷却用装置5は、冷却用冷媒回路上の冷却側中間熱交換器51の上流側または下流側に、直列に接続された冷却側補助熱交換器をさらに有している。これにより、冷却側中間熱交換器51のみでは不足する熱交換量が補われるため、冷却用冷媒を十分に凝縮させることができる。
また、冷却用装置5は、冷却側中間熱交換器51の上流側に設けられた冷却側補助熱交換器をバイパスする冷却側補助バイパス配管をさらに有している。これにより、冷却側中間熱交換器51のみを用いて冷却用装置5が必要な運転能力を発揮できる場合に、冷却側補助熱交換器をバイパスさせることができる。
加熱用装置6は、加熱用冷媒回路上の加熱側中間熱交換器61の上流側または下流側に、直列に接続された加熱側補助熱交換器をさらに有している。これにより、加熱側中間熱交換器61のみでは不足する熱交換量が補われるため、加熱用冷媒を十分に蒸発させることができる。
また、加熱用装置6は、加熱側中間熱交換器61の上流側に設けられた加熱側補助熱交換器をバイパスする加熱側補助バイパス配管をさらに有している。これにより、加熱側中間熱交換器61のみを用いて加熱用装置6が必要な運転能力を発揮できる場合に、加熱側補助熱交換器をバイパスさせることができる。
さらに、空気調和機500は、系統#1の室内機2の運転状態と、冷却用装置5および加熱用装置6が接続された系統#4に流入出する水の温度状態とに応じて、室外機1の負荷を調整する制御装置4をさらに備えている。そして、制御装置4は、室内機2が暖房運転であり系統#4に流入する水の入口温度が系統#4から流出する水の出口温度よりも高い場合、または、室内機2が冷房運転であり系統#4の出口温度が入口温度以上である場合に、室外機1の負荷を上げる。また、制御装置4は、室内機2が暖房運転であり系統#4の出口温度が入口温度以上である場合、または、室内機2が冷房運転であり系統#4の入口温度が出口温度よりも高い場合に、室外機1の負荷を下げる。これにより、冷却用装置5および加熱用装置6の運転能力を十分に発揮させたり、空気調和機500全体としての運転に必要な電力を低減させることができる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6に係る空気調和機について説明する。本実施の形態6では、室内機2a〜2iが停止状態から運転を開始した際の立ち上がりの能力不足を抑制するように、熱媒体流量調整弁22の開度が制御される。なお、以下の説明において、実施の形態1と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態6において、弁開度決定部42は、すべての室内機2a〜2iが停止している場合に、熱媒体回路を循環する水が室内側バイパス配管23を流れるように、それぞれの室内機2a〜2iにおける熱媒体流量調整弁22の開度を決定する。具体的には、弁開度決定部42は、すべての熱媒体流量調整弁22の開度を、バイパス開度が100%となるようにし、第2の流出口22cとFCU21の水の流出側とを連通させる。
このように、熱媒体回路を循環する水が室内側バイパス配管23を流れるように、熱媒体流量調整弁22の開度を制御することにより、熱媒体である水に熱が蓄えられる。そのため、熱媒体回路を循環する水の温度が空調に適した温度となるように予冷または予熱することができ、室内機2a〜2iが停止状態から運転を開始した際の立ち上がりの能力不足を抑制することができる。
以上のように、本実施の形態6に係る空気調和機100において、弁開度決定部42は、室内機2a〜2iが停止している場合に、第2の流出口22cとFCU21の水の流出側とが連通するように、すべての熱媒体流量調整弁22の開度を決定する。これにより、熱媒体である水に熱が蓄えられるため、室内機2a〜2iが停止状態から運転を開始した際の能力不足を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態1〜6について説明したが、本発明は、上述した本発明の実施の形態1〜6に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、室外機1および中継装置3は、別体で構成されているように説明したが、これに限られず、室外機1および中継装置3は一体化されてもよい。また、実施の形態1〜6の発明を組み合わせることも可能である。
また、熱媒体流量調整弁22の開度は、各種温度情報に基づき得られるFCU能力に基づき決定されるように説明したが、これはこの例に限られない。例えば、熱媒体流量調整弁22の開度は、室内機2のサーモONおよびサーモOFFの情報に基づいて決定されてもよい。
さらに、負荷側ユニットとして、輻射パネルが用いられてもよい。輻射パネルは、その配管に熱媒体が流れただけで熱交換が行われるため、サーモOFFの場合に、輻射パネルの配管に熱媒体が流れないようにバイパス配管に熱媒体を流す。
さらにまた、ポンプ33は、中継装置3に設けられているように説明したが、これに限られず、ポンプ33は、例えばポンプユニットとして中継装置3と別体で構成されてもよい。