JPWO2019131552A1 - 膵がん等のがんの判定用バイオマーカー - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)の有無又は発症リスクを精度よく判定できる判定方法や、判定用バイオマーカー等を提供することにある。本発明は、以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質を、早期膵がんを含む膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん、胆管がんの有無又は発症リスクを精度よく判定できるバイオマーカーとして用いる。[Aグループ]APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD[Bグループ]ITIH3の部分ペプチド、ITIH3

Description

本発明は、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(以下、「本発明におけるがん」とも表示する。)の有無又は発症リスクの判定方法であって、被検者から採取された判定用血液試料中の特定の物質群から選択される1又は2種以上の物質の濃度を測定する工程(a)を含む判定方法や、前述の特定の物質群からなる前述のがんの有無の判定用バイオマーカー等に関する。
がんは死亡原因の高い割合を占めており、その状況は長らく続いている。様々な抗がん剤の開発がこれまでに進められており、免疫チェックポイント阻害剤など、以前より効果の高い抗がん剤も実用化されているものの、得られる抗がん作用の程度には個人差やがんの種類による差も大きく、がんは依然として人類にとっての脅威であり続けている。ただ、がんは早期に発見することができれば、早期に治療を開始することで、がんによる死亡率を大きく低下させることができる。そのため、より精度の高い又はより多様な、がんの判定・診断方法、特に、早期のがんの判定・診断方法の開発が進められている。
ところで、がんの中でも、膵がんは難治性がんの一つであり、外科的手術以外の有効な治療法は確立されてない。膵がんが難治性がんであることの主な要因の一つとして、膵臓が胃の裏側、すなわち、体の深部に位置しており、がんが発生しても症状が現れにくく、早期発見が非常に難しいこということが挙げられる。実際、膵がんの5年生存率は約9%と極めて予後が悪いものの、早期の膵がん(ステージI)の5年生Z存率は41%と比較的予後がよい。このように、膵がんにおいては早期発見、早期治療が特に重要であり、膵がんを現在よりも早期に発見することができれば、膵がん患者の5年生存率を大幅にあるいは劇的に向上させることが可能になると期待できる。
膵がんの診断手法としては、血清腫瘍マーカーであるCA19−9を用いられることが知られている。また、最近では、膵がんの診断において、ヘリカルCT、磁気共鳴装置(MRI)、内視鏡的超音波検査法(EUS)などが用いられている。しかしながら、これらのいずれの診断手法も、膵がんの診断手法として十分とは言えず、特に、早期の膵がんの診断手法としては全く不十分であった。
早期の膵がんの診断に関して、特許文献1には、放射性核種で標識されたc(RGDfK)ペプチドを、哺乳動物に投与する工程、及び、投与後の哺乳動物の膵臓における前記放射性核種を検出する工程を含む、早期膵がんの検出方法が開示されている。しかし、この方法は、放射性核種で標識されたペプチドの取り扱いに注意が必要であり、実用性は高くない。一方、本発明者らはこれまでに、血漿中に存在するバイオマーカーであるinsulin-like growth factor-binding protein(IGFBP)2及びIGFBP3が、膵がんの早期発見に有用であることを見いだしている(非特許文献1)。しかし、本発明の特定の物質群から選択される1又は2種以上の物質が、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクを判定できるバイオマーカーであること、特に、早期の膵がんの有無又は発症リスクを判定できるバイオマーカーであることについては、これまで知られていなかった。
特開2012−042215号公報
PLoS One. 2016 Aug 31;11(8):e0161009
本発明の課題は、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)の有無又は発症リスクを精度よく判定できる判定方法や、判定用バイオマーカー等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、早期膵がんの患者(早期膵がん群)と、胃がんの患者と、大腸がんの患者と、十二指腸がんの患者と、胆管がんの患者と、健常者(健常群)のそれぞれについて採取した血清をトリプシンで処理し、得られたペプチド試料について質量分析を行ったところ、後述の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群(以下、「本件物質群」とも表示する。)から選択される1又は2種以上の物質が、早期膵がんを含む膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん、胆管がんの有無や発症リスクを精度よく判定できるバイオマーカーであることを見いだし、本発明を完成するに至った。また、本発明者らは、早期膵がん群と健常群における本件物質群の各濃度を変数とする多重ロジスティック回帰分析を行ったところ、本発明におけるがんの有無や発症リスクをより高精度で判定できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
[Aグループ]
APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
[Bグループ]
ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
また、本発明者らは、APOA4ペプチドの部分ペプチドが、膵がんと、他のがん(すなわち、胆管がん、結腸がん、十二指腸がん、及び胃がん)を判別するバイオマーカーであり、中でも、膵がんと、胃がん、肝細胞癌、食道がんとをより高精度で判別することができるバイオマーカーであることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定方法であって、
前記判定方法が以下の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする、前記判定方法。
(a)被検者から採取された判定用血液試料中の、以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質の濃度を測定する工程;
[Aグループ]
APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
[Bグループ]
ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
(b)工程(a)で測定した物質の濃度を、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較する工程;
(c)工程(a)で測定した物質が[Aグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価し、及び/又は、工程(a)で測定した物質が[Bグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程;
(2)工程(b)が、工程(a)で測定した2種以上の物質の各濃度と、対照となる健常血液試料中の2種以上の物質の各濃度とを、2種以上の物質の各濃度を変数とする多変量解析における予測式に代入して得た予測値を比較する工程であり、
前記予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合に予測値が高くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも高いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程であり、
前記予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合に予測値が低くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも低いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程であることを特徴とする上記(1)に記載の判定方法や、
(3)物質が、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、ITIH3の部分ペプチド、APOA4、APOA1及びITIH3からなる群から選択される1種又は2種以上である上記(1)又は(2)に記載の判定方法。
(4)部分ペプチドがプロテアーゼで消化されたペプチドであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の判定方法。
(5)多変量解析が、ロジスティック回帰分析又は重回帰分析であることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載の判定方法。
(6)[Bグループ]がさらにCA19−9抗原を含んでおり、
工程(a)で濃度を測定する物質が、[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される2種以上の物質であって、少なくともCA19−9抗原を含んでいることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の判定方法。
(7)工程(a)における物質の濃度の測定を質量分析法により行うことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の判定方法。
(8)物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
判定方法が、工程(a)で測定したAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いと評価する工程(d)をさらに含むことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の判定方法。
(9)がん又は膵がんが、早期膵がんであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の判定方法。
(10)以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質からなることを特徴とする、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定用バイオマーカーであって、
物質が[Aグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示され、
物質が[Bグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示される、前記判定用バイオマーカー。
[Aグループ]
APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
[Bグループ]
ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
(11)物質が、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、ITIH3の部分ペプチド、APOA4、APOA1及びITIH3からなる群から選択される1種又は2種以上である上記(10)に記載の判定用バイオマーカー。
(12)物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
被検者から採取された判定用血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いことが示される上記(10)又は(11)に記載の判定用バイオマーカー。
(13)
がん又は膵がんが、早期膵がんであることを特徴とする上記(10)〜(12)のいずれかに記載の判定用バイオマーカー。
また本発明の実施の他の形態として、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん)の有無又は発症リスクの診断方法であって、
前記診断方法が上記工程(a)〜(c)(好ましくは上記工程(a)〜(d))を含むことを特徴とする、前記診断方法;や、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん)の有無又は発症リスクの診断方法であって、
上記工程(a)〜(c)(好ましくは上記工程(a)〜(d))を含み、さらに、工程(c)において、がんを有している可能性が高いと評価(診断)された被検者に対して、がんの治療剤を投与する工程(p)、又は、工程(d)において、膵がんを有している可能性が高いと評価(診断)された被検者に対して、膵がんの治療剤を投与する工程(q)を任意で含む、前記診断方法;や、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん)の有無又は発症リスクを診断するためのデータを収集する方法であって、
前記方法が上記工程(a)〜(c)(好ましくは上記工程(a)〜(d))を含むことを特徴とする、前記方法;や、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん)の有無又は発症リスクの判定(診断)方法におけるバイオマーカーとして使用するための、本件物質群から選択される1又は2種以上の物質であって、
物質が[Aグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示され、
物質が[Bグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示され、
被検者から採取された判定用血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いことが示される、前記物質;
を挙げることができる。
本発明によると、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)の有無又は発症リスクを精度よく判定できる判定方法や、判定用バイオマーカー等を提供することができる。本発明によって膵がんを早期に発見することができれば、早期の段階での治療が可能となり、進行してから発見する場合に比べて5年生存率の大幅な向上が期待できる。
健常群(66例)及び早期膵がん群(59例)における血漿中のITIH3ペプチド(EHLVQATPENLQEAR[配列番号2])(図1A)、APOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5])(図1B)、及びAPOA4ペプチド(LLPHANEVSQK[配列番号12])(図1C)の濃度を、質量分析法により定量した結果を示す図である。図中の黒丸は、個々の測定対象者の結果を示す。図中の一番長い横棒線は、中央値を示し、その上下にある横棒線は四分位値(25%,75%)を示す。 図2Aは、3種類の群(健常群(66例)、早期膵がん群(59例)、及び前膵がん病変・慢性膵炎群(30例))における血漿中の上記3種類のペプチドの定量結果を基に、多重ロジスティック回帰分析を用いて予測式(式(1))を設定し、早期膵がん又は前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率(図中の縦軸参照)を予測した結果を示す図である。図2Bは、上記3種類の群における血漿中の上記3種類のペプチドの定量結果に加えて、CA19−9濃度の測定値も組み合わせた多重ロジスティック回帰分析を用いて予測式(式(2))を設定し、早期膵がん又は前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率(図中の縦軸参照)を予測した結果を示す図である。図中の黒丸又は灰色丸は、個々の測定対象者の結果を示す。図中の一番長い横棒線は、中央値を示し、その上下にある横棒線は四分位値(25%,75%)を示す。 図3Aは、5種類の群(健常群(44例)、ステージI膵がん群(4例)、ステージII膵がん群(19例)、ステージIII膵がん群(26例)、及びステージIV膵がん群(51例))における血漿中の上記3種類のペプチドの定量結果を基に、図2Aにおいて多重ロジスティック回帰分析によって設定した式(1)を用いて、各ステージの膵がんの発生確率(図中の縦軸参照)を予測した結果を示す図である。図3Bは、図2Bの式(2)を用いて血漿中の上記3種類のペプチドの定量結果に加えて、CA19−9濃度の測定値も組み合わせて算出し、各ステージの膵がんの発生確率(図中の縦軸参照)を予測した結果を示す図である。図中の黒丸は、個々の測定対象者の結果を示す。図中の一番長い横棒線は、中央値を示し、その上下にある横棒線は四分位値(25%,75%)を示す。 図4Aは、11種類の群(健常群[n=43]、膵がん群[n=80]、前膵がん病変・慢性膵炎群[n=29]、良性腫瘍群[n=43]、肝外胆管がん群[n=16]、結腸がん群[n=126]、十二指腸がん群[n=8]、食道がん群[n=10]、肝細胞がん群[n=12]、肝内胆管がん群[n=9]、及び胃がん群[n=119])における血漿中の上記3種類のペプチドの定量結果を基に、式(1)を用いて、各種がん、良性腫瘍、又は前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率(図中の縦軸参照)を予測した結果を示す図である。図4Bは、上記11種類の群における血漿中の上記3種類のペプチドの定量結果に加えて、CA19−9濃度の測定値も組み合わせた式(2)を用いて、各種がん、良性腫瘍、又は前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率(図中の縦軸参照)を予測した結果を示す図である。図中の黒丸又は灰色丸は、個々の測定対象者の結果を示す。図中の一番長い横棒線は、中央値を示し、その上下にある横棒線は四分位値(25%,75%)を示す。 図5は、健常群n=109、早期膵がん群n=139、前膵がん病変群n=56、膵炎群n=5、良性腫瘍群n=41、結腸がん群n=126、食道がん群n=10、肝細胞がん群n=12、胃がん群n=119における血漿中のAPOA4ペプチド(LLPHANEVSQK[配列番号12])の濃度を、質量分析法により定量した結果を示す図である。図中の黒丸は、個々の測定対象者の結果を示す。図中の一番長い横棒線は、中央値を示し、その上下にある横棒線は四分位値(25%,75%)を示す。 図6は、2種類の群(健常群(45例)、並びにステージIII及びIVの膵がん群(43例))における血漿中の上記3種類のペプチドの定量結果を基に、式(1)を用いて、ステージIII又はIVの膵がんの発生確率(図中の縦軸参照)を予測した結果を示す図である。図中の黒丸は、個々の測定対象者の結果を示す。図中の一番長い横棒線は、その群の中央値を示し、その上下にある横棒線は四分位値(25%,75%)を示す。 図7は、図6の結果を基に作成したROC曲線を表す。図7のグラフの横軸は、「100%−特異度(%)」(偽陽性率(%))を表し、縦軸は、「感度(%)」(真陽性率(%))を表す。
本発明におけるがんの有無又は発症リスクの判定方法としては、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定方法であって、
以下の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする判定方法(以下、「本件判定方法」とも表示する。)である限り特に制限されない。
(a)被検者から採取された判定用血液試料中の、以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質の濃度(以下、「被検者における物質濃度」とも表示する。)を測定する工程;
[Aグループ]
APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
[Bグループ]
ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
(b)工程(a)で測定した物質の濃度を、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度(以下、「対照試料における物質濃度」とも表示する。)と比較する工程;
(c)工程(a)で測定した物質が[Aグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価し、及び/又は、
工程(a)で測定した物質が[Bグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程;
本件判定方法は、本発明におけるがんの有無又は発症リスクの高低の、医師による診断を補助する方法であって、医師による診断行為を含まない。
また、本発明におけるがんの有無の判定用バイオマーカーとしては、
以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質からなることを特徴とする、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定用バイオマーカーであって、
物質が[Aグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示され、
物質が[Bグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示される、
前記判定用バイオマーカー(以下、「本件判定用バイオマーカー」とも表示する。)である限り特に制限されない。
本発明における工程(a)としては、被検者から採取された判定用血液試料中の、以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質の濃度を測定する工程である限り特に制限されない。
APOA4はアポリポプロテインA−4を表す。ヒトのAPOA4のアミノ酸配列は配列番号25(UniProtのアクセッションナンバー P06727)に示される。APOA1はアポリポプロテインA−1を表す。ヒトのAPOA1のアミノ酸配列は配列番号26(UniProtのアクセッションナンバー P02647)に示される。TTHYはトランスサイレチンを表す。ヒトのTTHYのアミノ酸配列は配列番号27(UniProtのアクセッションナンバー P02766)に示される。Q5VY30はレチノール結合タンパク質4を表す。ヒトのレチノール結合タンパク質4のアミノ酸配列は配列番号28(UniProtのアクセッションナンバー P02753)に示されるほか、UniProtアクセッションナンバー Q5VY30(ヒトのレチノール結合タンパク質4のアイソフォーム)にも示される。H0YAC1は血漿カリクレイン重鎖1を表す。ヒトの血漿カリクレイン重鎖1のアミノ酸配列は配列番号29(UniProtのアクセッションナンバー P03952)に示されるほか、UniProtアクセッションナンバー H0YAC1にも示され、また、ヒトの血漿カリクレイン重鎖1の一部のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列がUniProtアクセッションナンバーE9PBC5、B4DMX2、A8K9A9にも示される。BTDはビオチダーゼを表す。ヒトビオチダーゼのアミノ酸配列は配列番号30(UniProtのアクセッションナンバーP43251)に示される。ITIH3はインターαトリプシンインヒビター重鎖3を表す。ヒトのインターαトリプシンインヒビター重鎖3のアミノ酸配列は配列番号31(UniProtのアクセッションナンバーQ06033)に示される。
本発明における「部分ペプチド」とは、一般的に「部分タンパク質」と呼ばれるものをも含む。本発明において、あるタンパク質の「部分ペプチド」とは、そのタンパク質のアミノ酸配列中の任意の連続する5個以上(好ましくは7個以上、より好ましくは9個以上、さらに好ましくは11個以上)のアミノ酸からなるペプチドを意味する。本発明における「部分ペプチド」としては、対応する特定のタンパク質の全長のアミノ酸配列(以下、「対応する全長アミノ酸配列」とも表示する。)のうち、一部のアミノ酸配列からなる限り、アミノ酸数の上限に特に制限はなく、対応する全長アミノ酸配列のアミノ酸数よりも1個又は2個以上少ないアミノ酸数であればよいが、対応する全長アミノ酸配列のアミノ酸数に対して90%以下、70%以下、50%以下、30%以下、20%以下、10%以下のアミノ酸数が挙げられる。なお、対応する全長アミノ酸配列のアミノ酸数に対して特定の割合(%)のアミノ酸数を算出する場合、小数点以下の数値は切り捨てることとする。本発明における「部分ペプチド」のアミノ酸数の上限の具体例としては、100個以下、50個以下、30個以下、20個以下、18個以下、15個以下が挙げられる。本発明における「部分ペプチド」のアミノ酸数の好適な範囲の具体例として、5〜100個、5〜50個、7〜30個、7〜20個、9〜18個、11〜15個が好ましく挙げられる。
本発明における「部分ペプチド」のアミノ酸配列は、対応する全長アミノ酸配列に基づいて適宜設定することができる。例えば、APOA4の部分ペプチドは、APOA4の全長アミノ酸配列(配列番号25)中の任意の連続する5個以上(好ましくは7個以上、より好ましくは9個以上、さらに好ましくは11個以上)のアミノ酸を選択することにより適宜設定することができる。
本発明における「部分ペプチド」としては、プロテアーゼで消化されたペプチド(本明細書において「プロテアーゼ消化ペプチド」とも表示する。)が好ましく挙げられ、かかるペプチドは、物質の濃度を質量分析法で測定する場合に特に好ましく挙げられる。上記プロテアーゼとしては、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、ブロメライン、エラスターゼ、クロストリパイン、V8プロテアーゼ、サーモリシン、リシルエンドペプチダーゼ、アルギニンエンドペプチダーゼ、プロリルエンドペプチダーゼ、アスパラギン酸−Nプロテアーゼ等が挙げられ、中でも、トリプシンが特に好ましく挙げられる。
本発明における「部分ペプチド」として、具体的には、以下の表1〜7に記載のトリプシン消化ペプチドが特に好ましく挙げられる。
Figure 2019131552
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本発明において、物質としては、本件物質群から選択される1又は2種以上(例えば3種以上、4種以上又は5種以上)の物質であればよいが、より高い判定精度を得る観点から、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、ITIH3の部分ペプチド、APOA4、APOA1及びITIH3からなる群から選択される1種又は2種以上(例えば3種以上、4種以上又は5種以上)や、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド及びITIH3の部分ペプチドからなる群から選択される1種又は2種以上(例えば3種以上、4種以上又は5種)が好ましく挙げられ、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド及びITIH3の部分ペプチドからなる群から選択される1種、好ましくは2種、より好ましくは3種がより好ましく挙げられ、APOA4のプロテアーゼ消化ペプチド、APOA1のプロテアーゼ消化ペプチド及びITIH3プロテアーゼ消化ペプチドからなる群から選択される1種、好ましくは2種、より好ましくは3種がさらに好ましく挙げられ、APOA4のトリプシン消化ペプチド、APOA1のトリプシン消化ペプチド及びITIH3トリプシン消化ペプチドからなる群から選択される1種、好ましくは2種、より好ましくは3種がさらにより好ましく挙げられる。
APOA4のトリプシン消化ペプチドとして、具体的には、配列番号5〜14に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられ、より高い判定精度を得る観点から、配列番号6〜14に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが好ましく、配列番号9〜14に示されるアミノ酸配列からなるペプチドがより好ましく、配列番号10、12〜14に示されるアミノ酸配列からなるペプチドがさらに好ましく、配列番号12又は14に示されるアミノ酸配列からなるペプチドがさらにより好ましく、配列番号12に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが最も好ましく挙げられる。また、膵がんと、他のがん(胆管がん、結腸がん、十二指腸がん、及び胃がん)を判別する観点からは、配列番号9、10、12に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが好ましい。ITIH3のトリプシン消化ペプチドとして、具体的には、配列番号1〜3に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられ、より高い判定精度を得る観点から、配列番号2又は3に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが好ましく挙げられ、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるペプチドがより好ましく挙げられる。TTHYのトリプシン消化ペプチドとして、具体的には、配列番号23又は24に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられ、より高い判定精度を得る観点から、配列番号23に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが好ましく挙げられる。
本発明において判定や診断の対象となる本発明におけるがんとしては、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上(例えば3種以上、4種以上又は5種)のがんである限り特に制限されないが、中でも、膵がん、又は膵がんを含む2種以上(例えば3種以上、4種以上又は5種)のがんであることが好ましく、中でも、膵がんがより好ましく、中でも、早期膵がんが特に好ましい。早期膵がんとは、ステージ0、ステージI又はステージIIの膵がんを意味する。
上記被検者としては、ヒトである限り特に制限されないが、本発明におけるがんのうち、少なくとも1種のがん(好ましくは膵がん)の有無又は発症リスクが不明であるヒトであることが好ましく、本発明におけるがんのうち、好ましくは2種以上(好ましくは、膵がんを含む2種以上のがん)、より好ましくは3種以上(好ましくは、膵がんを含む3種以上のがん)、さらに好ましくは4種以上(好ましくは、膵がんを含む4種以上のがん)、より好ましくは5種のがんの有無又は発症リスクが不明であるヒトが好ましく挙げられる。
本発明において測定の対象とする判定用血液試料としては、被検者から採取された血清、血漿、全血などが挙げられ、中でも血清が好ましく挙げられる。
本発明における工程(b)としては、工程(a)で測定した物質の濃度を、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較する工程である限り特に制限されない。
本発明において、判定用血液試料中の本件物質群の濃度は、採取された判定用血液試料中の本件物質群を特異的に検出できる公知の方法、例えば、質量分析法を用いて測定することができる。かかる質量分析法とは、判定用血液試料中に含まれる本件物質群を、イオン源を用いて気体状のイオンとし(イオン化)、分析部において、真空中で運動させ電磁気力を用いて、或いは飛行時間差によりイオン化した血液試料を質量電荷比に応じて分離し、検出できる質量分析計を用いた測定方法のことをいう。上記のイオン源を用いてイオン化する方法としては、例えば、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、電界脱離イオン化(FD)法、高速原子衝撃(FAB)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法を挙げることができる。また、分析部において、各種イオン化法によりイオン化した本件物質群は、アナライザーで質量に応じて分離される。かかるアナライザーとしては、例えば、磁場型質量分離装置(Sector MS)、四重極型質量分離装置(QMS)、飛行時間型質量分離装置(TOFMS)、フーリエ変換イオンサイクロトロン型質量分離装置(FT−ICRMS)を挙げることができ、さらにこれらを組み合わせたものでもよい。また、2以上の質量分析法を組み合わせたタンデム型質量分析(MS/MS)を利用することができる。また、ガスクロマトグラフ(GC)、液体クロマトグラフ(LC)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)により、判定用血液試料中に含まれる本件物質群を、夾雑物から分離・精製して分析することができる。かかるLC、HPLC、及びUHPLCとしては、陽イオン又は陰イオン交換クロマトグラフや、順相又は逆相クロマトグラフを挙げることができ、これらを組み合わせたものであってもよい。
本発明において、判定用血液試料中の本件物質群の濃度は、絶対値であっても、相対値であってもよく、相対値とする場合、例えば、濃度が既知の本件物質群(内部標準)を基準とした相対値を挙げることができる。
本発明において、「対照となる健常血液試料中のその物質の濃度」(「対照試料における物質濃度」)は、比較対象である「被検者における物質濃度」に対応するものを用いる。このため、「被検者における物質濃度」が絶対値である場合は、「対照試料における物質濃度」も絶対値を用い、「被検者における物質濃度」が相対値である場合は、「対照試料における物質濃度」も相対値を用いる。上記「対照となる健常血液試料中のその物質の濃度」は、本件判定方法等を実施する際、健常者(対照者)から採取された血液試料(すなわち「健常血液試料」)を用いてその都度測定してもよいが、予め測定したものを用いてもよい。また、上記健常血液試料は、被検者由来の判定用血液試料と同種の血液試料を用いることが好ましく、例えば、被検者由来の判定用血液試料が血清、血漿又は全血である場合は、健常血液試料もそれと同種の血液試料を用いることが好ましい。また、健常血液試料は、健常者から採取された後に、被検者由来の判定用血液試料と同様の処理が施されたものが好ましい。
本発明における工程(b)の好ましい態様としては、工程(a)で測定した2種以上の物質の各濃度と、対照となる健常血液試料中の2種以上の物質の各濃度とを、2種以上の物質の各濃度を変数とする多変量解析における予測式(以下、「多変量解析方程式」とも表示する。)に代入して得た予測値を比較する工程が好ましく挙げられる。
上記の「多変量解析」としては、多変量解析が、多重ロジスティック回帰分析又は重回帰分析が好ましく挙げられ、中でも、多重ロジスティック回帰分析がより好ましく挙げられ、ステップワイズ法の多重ロジスティック回帰分析がさらに好ましく挙げられる。これらの多変量解析により、上記の予測式を算出することや、その予測式に物質の各濃度を代入して予測値を得ること等は、市販のデータ解析ソフトウェアを用いて行うことができる。早期膵がん群と健常群における、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA4のトリプシン消化ペプチド)、配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA1のトリプシン消化ペプチド)、及び、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、ITIH3トリプシン消化ペプチド)の3種の濃度(ピーク強度)を、多重ロジスティック回帰分析して算出した予測式(式(1))を以下に示す。
Figure 2019131552
なお、式(1)中、「SEQ.2」は、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、ITIH3トリプシン消化ペプチド)のピーク強度を示し、「SEQ.5」は、配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA1のトリプシン消化ペプチド)のピーク強度を示し、「SEQ.12」は、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA4のトリプシン消化ペプチド)のピーク強度を示す。被検者における上記3種のペプチドのピーク強度をこの予測式に代入した場合、その被検者が本発明におけるがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)である確率が高いほど、又は、かかるがんの発症リスクが高いほど、予測式により得られる予測値の値が高くなる。
本発明における工程(c)において、
工程(a)で測定した物質が上記[Aグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した「被検者における物質濃度」が、「対照試料における物質濃度」よりも低いとき、前記被検者が本発明におけるがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価(判定)し、及び/又は、
工程(a)で測定した物質が上記[Bグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した「被検者における物質濃度」が、「対照試料における物質濃度」よりも高いとき、前記被検者が本発明におけるがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価(判定)する。
「被検者における物質濃度」が、「対照試料における物質濃度」よりも低いか否か、或いは高いか否かを判定するための閾値(カットオフ値)は、当業者であれば、物質の種類等に応じて適宜設定することができる。かかる閾値としては、例えば、「対照試料における物質濃度」の平均値(以下、単に「平均値」とも表示する。)、「平均値+標準偏差(SD)」、「平均値+2SD」、「平均値+3SD」、「対照試料における物質濃度」の中央値(以下、単に「中央値」とも表示する。)、「中央値+SD」、「中央値+2SD」、「中央値+3SD」、「対照試料における物質濃度」の四分位値(25%値又は75%値)等を挙げることができる。また、その他の閾値として、対照試料群(例えば10〜20名の健常者からなる健常者群)における物質の濃度の平均値と、本発明におけるがんのいずれか1種の患者群(例えば10〜20名の患者からなる患者群)におけるその物質の濃度の平均値とを平均した値;や、対照試料群(例えば10〜20名の健常者からなる健常者群)における物質の濃度の中央値と、本発明におけるがんのいずれか1種の患者群(例えば10〜20名の患者からなる患者群)におけるその物質の濃度の中央値とを平均した値;も挙げることができる。また、閾値は、「感度」(本発明におけるがんを有している者を、陽性(がんを有している可能性が高い)と正しく判定できる割合)と、「特異度」(本発明におけるがんを有していない者を、陰性(がんを有している可能性が低い)と正しく判定できる割合)とが高くなるように、「被検者における物質濃度」のデータと、「対照試料における物質濃度」のデータを基に、統計解析ソフトウェアを用いたROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を用いて算出することもできる。ROC曲線を用いて閾値を算出する具体的な方法は例えば以下のとおりである。
統計解析ソフトウェア等を用いてROC曲線を描く際に、感度と特異度が変化する全ての測定値(ペプチド濃度の測定値)を提示することができる。その全ての測定値における感度、特異度について、ROC曲線のグラフの左上の端の点(感度=1、1−特異度=0)からの距離を以下の式で算出し、その距離が最も小さい測定値を閾値として採用することができる。
(ROC曲線のグラフの左上の端の点からの距離)=(1−感度)+(1−特異度)
また、感度と特異度の和が最大となる値(Youden's index)を閾値として採用することもできる。
本発明において、本発明におけるがんの判定精度(診断制度)としては、本発明におけるがんのうち、少なくともいずれか1種のがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)の感度及び特異度が共に、0.6以上、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.85以上、より好ましくは0.9以上であることが好適に挙げられる
本発明において、物質が上記[Aグループ]の物質である場合、被検者におけるその物質の濃度が、「対照試料における物質濃度」よりもどの程度低下したときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価することができるかは、本発明におけるがんの種類やその者の個人的な特徴等により異なるため、一概に特定することはできないが、好ましくは10%以上の減少、より好ましくは15%以上の減少、さらに好ましくは20%以上の減少、さらにより好ましくは30%以上の減少が挙げられ、これらの数値は本発明におけるがんが膵がん(好ましくは、早期膵がん)である場合に好適に適用できる。より具体的には、[Aグループ]の物質がAPOA1の部分ペプチド、又は、APOA1である場合の、上記の低下する程度としては、好ましくは10%以上の減少、より好ましくは15%以上の減少、さらに好ましくは20%以上の減少、さらにより好ましくは30%以上の減少、より好ましくは35%以上の減少が挙げられ、これらの数値は本発明におけるがんが膵がん(好ましくは、早期膵がん)である場合に好適に適用できる。また、[Aグループ]の物質がAPOA4の部分ペプチド、又は、APOA4である場合の、上記の低下する程度としては、好ましくは10%以上の減少、より好ましくは15%以上の減少、さらに好ましくは20%以上の減少、さらにより好ましくは30%以上の減少、より好ましくは35%以上の減少が挙げられ、これらの数値は本発明におけるがんが膵がん(好ましくは、早期膵がん)である場合に好適に適用できる。
本発明において、物質が上記[Bグループ]の物質である場合、被検者におけるその物質の濃度が、「対照試料における物質濃度」よりもどの程度上昇したときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価することができるかは、本発明におけるがんの種類やその者の個人的な特徴等により異なるため、一概に特定することはできないが、好ましくは10%以上の上昇、より好ましくは15%以上の上昇、さらに好ましくは20%以上の上昇、さらにより好ましくは30%以上の上昇、より好ましくは35%以上の上昇が挙げられ、これらの数値は本発明におけるがんが膵がん(好ましくは、早期膵がん)である場合に好適に適用できる。より具体的には、[Bグループ]の物質がITIH3の部分ペプチド、又は、ITIH3である場合の、上記の上昇する程度としては、好ましくは10%以上の上昇、より好ましくは15%以上の上昇、さらに好ましくは20%以上の上昇、さらにより好ましくは30%以上の上昇、より好ましくは35%以上の上昇が挙げられ、これらの数値は本発明におけるがんが膵がん(好ましくは、早期膵がん)である場合に好適に適用できる。
本発明において、工程(b)が、工程(a)で測定した2種以上の物質の各濃度と、対照となる健常血液試料中の2種以上の物質の各濃度とを、2種以上の物質の各濃度を変数とする多変量解析における予測式に代入して得た予測値を比較する工程である場合は、工程(c)として以下の工程が好ましく挙げられる。
工程(b)における予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合又は前記がんの発症リスクが高い場合に予測値が高くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも高いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程であり、
工程(b)における予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合又は前記がんの発症リスクが高い場合に予測値が低くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも低いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程;
本発明のより好適な態様として、
[Bグループ]がさらにCA19−9抗原を含んでおり、
工程(a)で濃度を測定する物質が、[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される2種以上の物質であって、少なくともCA19−9抗原を含んでいることが挙げられる。判定にさらにCA19−9抗原の濃度を用いると、膵がんの判定精度をより高めることができる場合がある。
早期膵がん群と健常群における、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA4のトリプシン消化ペプチド)、配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA1のトリプシン消化ペプチド)、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、ITIH3トリプシン消化ペプチド)、及び、CA19−9抗原の4種の濃度(ピーク強度)を、多重ロジスティック回帰分析して算出した予測式(式(2))を以下に示す。
Figure 2019131552
なお、式(2)中、「SEQ.2」は、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、ITIH3トリプシン消化ペプチド)のピーク強度を示し、「SEQ.5」は、配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA1のトリプシン消化ペプチド)のピーク強度を示し、「SEQ.12」は、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(すなわち、APOA4のトリプシン消化ペプチド)のピーク強度を示し、「CA19.9」は、CA19−9のピーク強度を示す。被検者における上記4種のピーク強度をこの予測式に代入した場合、その被検者が本発明におけるがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)である確率が高いほど、又は、かかるがんの発症リスクが高いほど、予測式により得られる予測値の値が高くなる。また、式(2)の予測式は、前述の式(1)の予測式よりも本発明におけるがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)の判定精度が高い点で好ましく挙げられる。
工程(b)における予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合又は前記がんの発症リスクが高い場合に予測値が高くなる予測式である場合には、工程(c)において、本発明におけるがんのいずれか1種を有する者におけるその予測値が、対照試料におけるその予測値よりも上昇する程度としては、本発明におけるがんの種類や、その者の個人的な特徴や、予測式の内容等により異なるため、一概に特定することはできないが、好ましくは10%以上の上昇、より好ましくは30%以上の上昇、さらに好ましくは50%以上の上昇、さらにより好ましくは80%以上の上昇、より好ましくは100%以上の上昇、さらに好ましくは150%以上の上昇、さらにより好ましくは200%以上の上昇、より好ましくは300%以上の上昇が挙げられ、これらの数値は本発明におけるがんが膵がん(好ましくは、早期膵がん)である場合に好適に適用できる。
工程(b)における予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合又は前記がんの発症リスクが高い場合に予測値が低くなる予測式である場合には、工程(c)において、本発明におけるがんのいずれか1種を有する者におけるその予測値が、対照試料におけるその予測値よりも減少する程度としては、本発明におけるがんの種類や、その者の個人的な特徴や、予測式の内容等により異なるため、一概に特定することはできないが、好ましくは10%以上の減少、より好ましくは30%以上の減少、さらに好ましくは50%以上の減少、さらにより好ましくは80%以上の減少、より好ましくは100%以上の減少、さらに好ましくは150%以上の減少、さらにより好ましくは200%以上の減少、より好ましくは300%以上の減少が挙げられ、これらの数値は本発明におけるがんが膵がん(好ましくは、早期膵がん)である場合に好適に適用できる。
本発明における判定方法等のより好適な態様として、物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
判定方法等が、工程(a)で測定したAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いと評価する(好ましくは、被検者が、胃がん、肝細胞癌、食道がん、結腸がんではなく、膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いと評価する、より好ましくは、被検者が、胃がん、肝細胞癌、食道がんではなく、膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いと評価する)工程(d)をさらに含む判定方法等が挙げられる。また、本発明における判定用バイオマーカーのより好適な態様として、物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
被検者から採取された判定用血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いことが示される(好ましくは、被検者が、胃がん、肝細胞癌、食道がん、結腸がんではなく、膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いことが示される、より好ましくは、被検者が、胃がん、肝細胞癌、食道がんではなく、膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いことが示される)判定用バイオマーカーが挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.ヒト血清からのペプチド試料の調製
以下の方法で、ヒト血清からペプチド試料を調製した。
1−1 方法
ヒトから血清を採取し、尿素溶液中でタンパク質変性処理を行った後、ペプチダーゼによる消化処理を行い、ペプチド試料を調製した。より具体的には、ヒトから採取した血清を10分の1に希釈した希釈血清10μLに、8M尿素溶液15μLを添加して、タンパク質変性処理を行った後、還元アルキル化を行い、次いで、リジルエンドペプチダーゼ及びトリプシンで処理して、ペプチド試料を調製した。
2.早期膵がんの判定用バイオマーカーの候補のスクリーニング
早期膵がんの判定用バイオマーカーの候補をスクリーニングするために、早期膵がん患者由来の血清試料を用いたSWATH−MS測定法を行った。
2−1 方法
早期膵がん群(ステージI[6名]及びステージII[24名]の早期膵がん患者30名
[男性18名、女性12名])と、比較対照として健常群(健常者30名[男性13名、女性17名])から血清を採取し、上記実施例1の「方法」の項目に記載の方法に従ってペプチド試料を調製した。ナノLCシステム(Ultimate 3000 RSLCnano;DIONEX社製)を、正イオン化モードで作動させたナノESI−質量分析計(TripleTOF 5600; SCIEX社製)に接続し、IDA測定法及びSWATH−MS測定法を用いて、調製したペプチド試料を分析した。
2−2 結果
早期膵がん群と、健常群との間で発現が変動するペプチドとして、11種類のタンパク質(ITIH3、Q5VY30、APOA1、APOA4、BTD、H0YAC1、KNG1、APOB、FETUA、APOE、及びTTHY)を構成する、以下の24種類のペプチドが同定された。
3種類のITIH3ペプチド(EVSFDVELPK[配列番号1]、EHLVQATPENLQEAR[配列番号2]、及びDYIFGNYIER[配列番号3]);
1種類のQ5VY30ペプチド(YWGVASFLQK[配列番号4]);
1種類のAPOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5]);
9種類のAPOA4ペプチド(SELTQQLNALFQDK[配列番号6]、LGEVNTYAGDLQK[配列番号7]、EAVEHLQK[配列番号8]、SLAPYAQDTQEK[配列番号9]、SLAELGGHLDQQVEEFR[配列番号10]、ISASAEELR[配列番号11]、LLPHANEVSQK[配列番号12]、LAPLAEDVR[配列番号13]、及びIDQTVEELR[配列番号14]);
1種類のBTDペプチド(LSSGLVTAALYGR[配列番号15]);
1種類のH0YAC1ペプチド(IAYGTQGSSGYSLR[配列番号16]);
1種類のKNG1ペプチド(YFIDFVAR[配列番号17]);
3種類のAPOBペプチド(ALVDTLK[配列番号18]、LSLPDFK[配列番号19]、及びITLPDFR[配列番号20]);
1種類のFETUAペプチド(AHYDLR[配列番号21]);
1種類のAPOEペプチド(LAVYQAGAR[配列番号22]);
2種類のTTHYペプチド(AADDTWEPFASGK[配列番号23]、及びGSPAINVAVHVFR[配列番号24];
3.早期膵がんの判定用バイオマーカーの同定
実施例2のスクリーニングにより得られた24種類のペプチドの中から、早期膵がんの判定用バイオマーカーを同定するために、MRM測定法による定量解析を行った。その際、測定対象の早期膵がん患者と、比較対照の健常者の人数も増やして解析を行った。
3−1 方法
早期膵がん群(ステージI[8名]及びステージII[51名]の早期膵がん患者59名
[男性37名、女性22名])と、比較対照として健常群(健常者66名[男性31名、女性35名])から血漿を採取し、上記実施例1の「方法」の項目に記載の方法に従ってペプチド試料を調製し、マイクロLCシステム(microLC200;eksigent社製)を、正イオン化モードで作動させたナノESI−三連四重極型質量分析計(QTRAP6500;SCIEX社製)に接続し、MRM測定法を用いて、調製したペプチド試料中の上記24種類のペプチドのピーク強度(すなわちピーク面積)を測定し、既知の濃度のペプチド(測定対象のペプチドと同じアミノ酸配列からなる、安定同位体標識ペプチド)のピーク強度(すなわちピーク面積)に対する相対値(例えば、図1の縦軸の「ピーク強度」に相当)を算出した。また、算出した定量値を基に、OriginPro(Light Stone株式会社製)を用いてROC曲線を作成し、早期膵がん群と健常群の間で、AUC値が0.7超を示すペプチドを、早期膵がんの判定用バイオマーカーとして同定した。また、早期膵がんの判定用バイオマーカーとして同定した各ペプチドのそれぞれについて閾値を設定し、早期膵がんの感度と特異度を算出した。
3−2 結果
実施例2のスクリーニングにより得られた24種類のペプチドのうち、7種類のタンパク質(ITIH3、Q5VY30、APOA1、APOA4、BTD、H0YAC1、及びTTHY)を構成する、以下の17種類のペプチドが、早期膵がんの判定用バイオマーカーとして同定された(表8参照)。
2種類のITIH3ペプチド(EHLVQATPENLQEAR[配列番号2]、及びDYIFGNYIER[配列番号3]);
1種類のQ5VY30ペプチド(YWGVASFLQK[配列番号4]);
1種類のAPOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5]);
9種類のAPOA4ペプチド(SELTQQLNALFQDK[配列番号6]、LGEVNTYAGDLQK[配列番号7]、EAVEHLQK[配列番号8]、SLAPYAQDTQEK[配列番号9]、SLAELGGHLDQQVEEFR[配列番号10]、ISASAEELR[配列番号11]、LLPHANEVSQK[配列番号12]、LAPLAEDVR[配列番号13]、及びIDQTVEELR[配列番号14]);
1種類のBTDペプチド(LSSGLVTAALYGR[配列番号15]);
1種類のH0YAC1ペプチド(IAYGTQGSSGYSLR[配列番号16]);
2種類のTTHYペプチド(AADDTWEPFASGK[配列番号23]、及びGSPAINVAVHVFR[配列番号24]);
かかる7種類のバイオマーカータンパク質のうち、ITIH3は、健常者と比べ早期膵がん患者において増加するのに対して、残りの6種類のタンパク質(Q5VY30、APOA1、APOA4、BTD、H0YAC1、及びTTHY)は、健常者と比べ早期膵がん患者において減少するバイオマーカーである(表8参照)。早期膵がんの判定用バイオマーカーとして同定した各ペプチドのうち、血漿中のITIH3ペプチド(EHLVQATPENLQEAR[配列番号2])(図1A)、APOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5])(図1B)、及びAPOA4ペプチド(LLPHANEVSQK[配列番号12])(図1C)の濃度を、質量分析法により定量した結果をそれぞれ、図1A、図1B及び図1Cに示す。また、早期膵がんの判定用バイオマーカーとして同定した各ペプチドのそれぞれについて閾値を設定し、早期膵がんの判定における感度と特異度を算出した結果も表8に示す。早期膵がんの判定用バイオマーカーとして同定した各ペプチドは、早期膵がんの判定において、好適な感度と特異度を示した。なお、上記の閾値は以下のように算出した。OriginPro(Light Stone株式会社製)を用いてROC曲線を描く際に、感度と特異度が変化する全ての測定値(ペプチド濃度の測定値)が提示される。その全ての測定値における感度、特異度について、ROC曲線のグラフの左上の端の点(感度=1、1−特異度=0)からの距離を以下の式で算出し、その距離が最も小さい測定値を表8における閾値として採用した。
(ROC曲線のグラフの左上の端の点からの距離)=(1−感度)+(1−特異度)
Figure 2019131552
表8中の「比率」は、各ペプチドについて、健常群に対する早期膵がん群の定量値の比率を示す。
4.バイオマーカーペプチドの組合せによる早期膵がんの判定
早期膵がん群及び健常群から採取した血漿を用いて、腫瘍マーカー(CA19−9)測定ELISAキットによりCA19−9濃度を測定し、両群を判別すると、AUC値は0.8619であり、また、閾値を24.9に設定した場合の感度及び特異度は、それぞれ77.97%及び81.54%であった。すなわち、本実施例で同定された17種類のペプチド(表8参照)単独では、既存のがんマーカー(CA19−9)よりも、早期膵がんの精度を上回るものはなかった。そこで、CA19−9よりも精度よく早期膵がんを判定できるペプチドの組合せの探索を試みた。なお、感度や特異度の数値から、CA19−9が早期膵がんの判定マーカーとして十分な精度を持っているようにも見えるがそれは正しくない。CA19−9は消化器系のがんのマーカーとして人間ドック等の検診などでも用いられており、血液中のCA19−9濃度が高い被検者がその後精密検査を受けて、消化器のいずれかにがんがあるかを調べる。すなわち、現状では、数少ない早期膵がん患者の多くは、CA19−9濃度が高いことをきっかけに早期膵がんを発見した者であるため、早期膵がんとCA19−9濃度の相関関係が見かけ上、高くなっていると考えられる。しかし、実際は、膵がんは早期ではほとんどが見過ごされており、CA19−9は早期膵がんのマーカーとしての実用性は低いと考えられる。
4−1 方法
表8に示す17種類のペプチドについて、実施例3で得られた早期膵がん群及び健常群における定量結果を基に、或いは、かかる定量結果に加えて、血漿中のCA19−9濃度の測定値を基に、統計解析ソフト(「EZR on R commander」、Version 1.33)を用いた多重ロジスティック回帰分析を行い、早期膵がんの発生確率(P)を予測した。
4−2 結果
ITIH3ペプチド(EHLVQATPENLQEAR[配列番号2])、APOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5])、及びAPOA4ペプチド(LLPHANEVSQK[配列番号12])の3種類のペプチドを組み合わせて、早期膵がん群及び健常群を判別すると、AUC値は0.9007であり、また、閾値を0.6128に設定した場合の感度及び特異度は、それぞれ74.58%及び93.85%であり、CA19−9よりも精度よく早期膵がんを判定できることが示された(図2A参照)。なお、上記3種類のペプチドの組合せを用いた早期膵がんの発生確率は、以下の式(1)に示す多重ロジスティック回帰方程式を用いて算出した。
Figure 2019131552
[式(1)中、「SEQ.2」は、ITIH3ペプチド(EHLVQATPENLQEAR[配列番号2])のピーク強度(図1A参照)を示し、「SEQ.5」は、APOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5])のピーク強度(図1B参照)を示し、「SEQ.12」は、APOA4ペプチド(LLPHANEVSQK[配列番号12])のピーク強度(図1C参照)を示す。]
また、上記3種類のペプチドと、CA19−9とを組み合わせて、早期膵がん群及び健常群を判別すると、AUC値は0.9343であり、また、閾値を0.4767に設定した場合の感度及び特異度は、それぞれ84.75%及び93.85%であり、上記3種類のペプチドの組合せよりも精度よく早期膵がんを判定できることが示された(図2B参照)。なお、上記3種類のペプチドと、CA19−9との組合せを用いた早期膵がんの発生確率は、以下の式(2)に示す多重ロジスティック回帰方程式を用いて算出した。
Figure 2019131552
[式(2)中、「SEQ.2」は、ITIH3ペプチド(EHLVQATPENLQEAR[配列番号2])のピーク強度(図1A参照)を示し、「SEQ.5」は、APOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5])のピーク強度(図1B参照)を示し、「SEQ.12」は、APOA4ペプチド(LLPHANEVSQK[配列番号12])のピーク強度(図1C参照)を示し、「CA19.9」は、CA19−9濃度の測定値を示す。]
なお、同じタンパク質由来のペプチドであれば、別のアミノ酸配列のペプチドであっても、ある程度類似した診断性能を持つかを調べるために、同じタンパク質由来のペプチド間のシグナル強度の相関係数を算出した。その結果を表9〜12に示す。
Figure 2019131552
Figure 2019131552
Figure 2019131552
Figure 2019131552
表9〜12から分かるように、同じタンパク質由来のペプチド間ではシグナル強度の相関性が比較的高いことが示された。したがって、同じタンパク質由来のペプチドであれば、別のアミノ酸配列のペプチドであっても、おおむね類似した診断性能を有する傾向が示された。ただし、表8に示されているように、同じタンパク質由来のペプチドであっても、診断性能が優れている程度には差もあった。
5.バイオマーカーペプチドの組合せによる膵がん発症リスクの判定
本実施例で同定した早期膵がんの判定用バイオマーカーが、(早期)膵がん発症リスクの判定にも有効であるか否かを検証した。
5−1 方法
慢性膵炎患者や前膵がん病変患者は、膵がんを発症するリスクが健常人よりも高いと一般的にされている。慢性膵炎患者(3名)及び前膵がん病変患者(27名)を、前膵がん病変・慢性膵炎群とした。かかる前膵がん病変・慢性膵炎群から血漿を採取し、実施例1の「方法」の項目に記載の方法に従って、ペプチド試料を調製し、上記3種類のペプチド、すなわち、ITIH3ペプチド(EHLVQATPENLQEAR[配列番号2])、APOA1ペプチド(THLAPYSDELR[配列番号5])、及びAPOA4ペプチド(LLPHANEVSQK[配列番号12])の濃度を定量した。得られた定量結果を基に、あるいは、かかる定量結果に加えて、血漿中のCA19−9濃度の測定値を基に、実施例4の「方法」の項目に記載の多重ロジスティック回帰分析を行い、前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率を予測した。なお、上記3種類のペプチドの組合せを用いた前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率は、上記式(1)に示す多重ロジスティック回帰方程式を用いて算出し、上記3種類のペプチドと、CA19−9との組合せを用いた前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率は、上記式(2)に示す多重ロジスティック回帰方程式を用いて算出した。
上記3種類のペプチドを組み合わせて、前膵がん病変・慢性膵炎群及び健常群を判別すると、前膵がん病変・慢性膵炎群における前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率は、0.6029であり、健常群における前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率(0.2338)と比べ高かった(図2A参照)。また、上記3種類のペプチドと、CA19−9とを組み合わせて前膵がん病変・慢性膵炎群及び健常群を判別した場合も同様に、前膵がん病変・慢性膵炎群における前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率(0.4953)は、健常群における前膵がん病変・慢性膵炎の発生確率(0.1704)と比べ高かった(図2B参照)。
これらの結果は、膵がんを将来発症するリスクが健常人よりも高い者から採取された血漿中の上記3種類のペプチド濃度は、健常人における上記3種類のペプチド濃度と比べ、変動することを示している。
また、前膵がん病変・慢性膵炎群及び健常群の血漿中の上記3種類のペプチド濃度を基に、ROC曲線を作成したところ、AUC値は、0.8116と高い値を示した。また、前膵がん病変・慢性膵炎群と、健常群とを区別するためのカットオフ値として、0.4481を設定したところ、前膵がん病変・慢性膵炎患者の感度(前膵がん病変・慢性膵炎群の中で検査陽性者の割合)及び特異度(健常群の中で検査陰性の割合)は、それぞれ0.7667及び0.8030であった。
これらの結果は、膵がん発症前の対象者から採取された血漿中の上記3種類のペプチド濃度を測定し、適切なカットオフ値を設定すると、上記3種類のペプチド濃度を指標として、前膵がん病変・慢性膵炎を判定できる、すなわち、膵がんを発症するリスクの高低を判定できることを示している。前膵がん病変・慢性膵炎である可能性が高い場合は、膵がんを発症するリスクが高いと判定することができ、膵がん病変・慢性膵炎である可能性が低い場合は、膵がんを発症するリスクが低いと判定することができる。
6.異なるステージの膵がんの判定
本実施例で同定した早期膵がんの判定用バイオマーカーが、中期〜末期(ステージIII〜IV)の膵がんの判定にも有効か否かを検討した。
6−1 方法
ステージI膵がん群(ステージIの膵がん患者4名[男性1名、女性3名])、ステージII膵がん群(ステージIIの膵がん患者19名[男性13名、女性6名])、ステージIII膵がん群(ステージIIIの膵がん患者26名[男性13名、女性13名])、及びステージIV膵がん群(ステージIVの膵がん患者51名[男性32名、女性19名])と、比較対照として健常群(健常者44名[男性29名、女性15名]から血漿を採取し、実施例5の「方法」の項目に記載の方法に従って、上記3種類のペプチド(ITIH3ペプチド、APOA1ペプチド、及びAPOA4ペプチド)の濃度の定量と、得られた定量結果を基にした多重ロジスティック回帰分析を行い、各ステージの膵がんの発生確率を予測した。
6−2 結果
上記3種類のペプチドを組み合わせて、ステージI〜IV膵がん群及び健常群を判別すると、いずれのステージの膵がんについても、CA19−9よりも精度よく判定できることが示された(図3及び表13参照)。
Figure 2019131552
表13中の数値は、上記3種類のペプチド(表13中の「3種類のペプチド」)、上記3種類のペプチド、及びCA19−9(表13中の「3種類のペプチド+CA19−9」)、並びにCA19−9(表中の「CA19−9」)の定量結果をもとに、各ステージの膵がん群と健常群とを判別したときのAUC値を示す。
7.膵がん以外のがんの判定
本実施例で同定した早期膵がんの判定用バイオマーカーが、膵がん以外のがんの判定にも有効であるか否かを検証した。
7−1 方法
7種類のがん群、すなわち、肝外胆管がん群(胆管がん患者16名[男性10名、女性6名])、結腸がん群(結腸がん患者126名[男性76名、女性50名])、十二指腸がん群(十二指腸がん患者8名[男性3名、女性5名])、食道がん群(食道がん患者10名[男性9名、女性1名])、肝細胞がん群(肝細胞がん患者12名[男性10名、女性2名])、肝内胆管がん群(肝内胆管がん患者9名[男性5名、女性4名])、及び胃がん群(胃がん患者119名[男性84名、女性35名])と、比較対照として健常群(健常者44名[男性29名、女性15名])、膵がん群(膵がん患者101名[男性60名、女性41名])、前膵がん病変・慢性膵炎群(前がん病変の状態の慢性膵炎患者49名[男性24名、女性25名])、及び良性腫瘍群(良性腫瘍患者44名[男性22名、女性22名])とから血漿を採取し、実施例5の「方法」の項目に記載の方法に従って、上記3種類のペプチド(ITIH3ペプチド、APOA1ペプチド、及びAPOA4ペプチド)の濃度の定量と、得られた定量結果を基にした多重ロジスティック回帰分析を行い、上記7種類のがんの発生確率を予測した。
7−2 結果
上記3種類のペプチドを組み合わせて、各種がん群及び健常群を判別すると、7種類のがん群のうち、4種類のがん群(胆管がん群、結腸がん群、十二指腸がん群、及び胃がん群)における各がんの発生確率は、それぞれ、0.7248、0.6937、0.8532及び0.6108であり、非がん群である健常群及び良性腫瘍群における各がんの発生確率(0.0949及び0.4249)と比べ高かった(図4A参照)。また、上記3種類のペプチドと、CA19−9とを組み合わせて各種がん群及び健常群を判別した場合も同様に、上記4種類のがん群における各がんの発生確率は、それぞれ、0.6891、0.5840、0.8293、及び0.5134であり、非がん群である健常群及び良性腫瘍群における各がんの発生確率(0.07918及び0.3393)と比べ高かった(図4B参照)。
これらの結果は、胆管がん、結腸がん、十二指腸がん、及び胃がんを発症している者から採取された血漿中の上記3種類のペプチド濃度は、かかるがんを発症しない者における上記3種類のペプチド濃度と比べ、変動することを示している。
また、各群の血漿中の上記3種類のペプチド濃度を基に、健常群を判別するためのROC曲線を作成したところ、上記4種類のがん群におけるAUC値は、CA19−9を用いた場合と比べ、高い値を示した(表14参照)。
これらの結果は、上記3種類のペプチドを組み合わせると、膵がんに加えて、4種類のがん(胆管がん、結腸がん、十二指腸がん、及び胃がん)を精度よく判定できることを示している。
Figure 2019131552
表14中の数値は、上記3種類のペプチド(表中の「3種類のペプチド」)、上記3種類のペプチド、及びCA19−9(表14中の「3種類のペプチド+CA19−9」)、並びにCA19−9(表14中の「CA19−9」)の定量結果をもとに、各がん群と健常群とを判別したときのAUC値を示す。
8.膵がんと、他のがんとの判別
膵がんと、他のがん(胃がん、肝細胞癌、食道がん、結腸がん)とを判別可能なバイオマーカーの候補をスクリーニングするために、実施例7で用いた、膵がん以外の各がんの検体(各がんにつき10検体)と、実施例6で用いた膵がん(10検体)について、実施例3と同様の方法による定量プロテオーム解析により網羅的な探索を行った。その結果、膵がんと、他のがん(胃がん、肝細胞癌、食道がん、結腸がん)との判別能が最も高い分子として、APOA4が同定された。この解析にはAPOA4ペプチドとして、配列番号9、10、12を用いた。
各がん群における血漿中の各APOA4ペプチド(配列番号9、10又は12)の濃度を定量した。APOA4ペプチド濃度は、膵がんで最も低下し、他のがん(胃がん、肝細胞癌、食道がん、結腸がん)では膵がんほどは低下しないため、膵がんと他のがんとを判別することができることが示された。さらに、他のがんの中でも、特に、胃がん、肝細胞癌、食道がんでは、APOA4ペプチド濃度があまり低下しないため、APOA4ペプチド濃度により、膵がんとこれらの3種のがんとを、より精度よく判別することができる。
また、各がん群におけるAPOA4ペプチド濃度のデータを基に、膵がんと他のいずれかのがんとを判別するROC曲線をそれぞれ作成し、各AUCを算出した。その結果を表15に示す。なお、APOA4配列番号9、APOA4配列番号10、APOA4配列番号12の上段においては、膵がん群として、実施例6の膵がん群(n=100)を用い、APOA4配列番号12の下段においては、膵がん群として実施例3の早期膵がん群のうち38名(n=38)と、実施例6の膵がん群(n=100)を合わせた膵がん群を用い、胃がん群についてはいずれも実施例7の胃がん群(n=119)を用い、肝細胞がん群についてはいずれも実施例7の肝細胞がん群(n=12)を用い、食道がん群についてはいずれも実施例7の食道がん群(n=10)を用い、大腸がん群としてはいずれも実施例7の結腸がん群(n=126)を用いた。
Figure 2019131552
表15の結果から、APOA4ペプチド(好ましくは配列番号9、10、12)を利用すると、膵がんと、他のがん(胃がん、肝細胞癌、食道がん、結腸がん)とを判別することができ、中でも、膵がんと、胃がん、肝細胞癌、食道がんとをより高精度で判別することができることが示された。
なお、各がん群(健常群n=109、早期膵がん群n=139、前膵がん病変群n=56、膵炎群n=5、良性腫瘍群n=41、結腸がん群n=126、食道がん群n=10、肝細胞がん群n=12、胃がん群n=119)における血漿中のAPOA4ペプチド(配列番号12)の濃度を定量した結果を図5に示す。図5から、APOA4ペプチド濃度は、膵がんで最も低下し、他のがん(胃がん、肝細胞癌、食道がん、結腸がん)では膵がんほど低下しないため、膵がんと他のがんとを判別することができることが示された。さらに、他のがんの中でも、特に、胃がん、肝細胞癌、食道がんでは、APOA4ペプチド濃度があまり低下しないため、APOA4ペプチド濃度により、膵がんとこれらの3種のがんとを、より精度よく判別することができることが示された。
9.単一施設の症例における中期〜末期の膵がんの判定
本実施例で同定した早期膵がんの判定用バイオマーカーが、中期〜末期(ステージIII〜IV)の膵がんの判定にも有効であることは上記の実施例6においてすでに示した。ただし、この実験では複数の医療施設の患者の検体を使用していた。本実施例で同定した早期膵がんの判定用バイオマーカーが単一の医療施設の症例における中期〜末期(ステージIII〜IV)の膵がんの判定にも有効であることを念のため確認した。なお、単一の医療施設として、神戸大学医学部附属病院の膵がん患者の検体を使用した。
9−1 方法
ステージIII及びIVの膵がん群(ステージIII及びIVの膵がん患者43名と、比較対照として健常群(健常者45名から血漿を採取し、実施例5の「方法」の項目に記載の方法に従って、上記3種類のペプチド(ITIH3ペプチド、APOA1ペプチド、及びAPOA4ペプチド)の濃度の定量と、得られた定量結果を基にした多重ロジスティック回帰分析を行い、ステージIII又はIVの膵がんの発生確率を予測した。
9−2 結果
このような方法で予測したステージIII又はIVの膵がんの発生確率を図6に示す。また、図6の結果を基に作成したROC曲線を図7に示す。このように、上記3種類のペプチドを組み合わせて、ステージIII及びIVの膵がん群と健常群とを判別すると、AUC値は0.851と高い値を示した。また、ステージIII又はIVの膵がん群と、健常群とを区別するためのカットオフ値として、Youden's index(感度と特異度の和が最大となる値)である0.426を設定した場合の感度及び特異度は、それぞれ69.8%及び93.3%であった。これらの結果から、上記3種類のペプチド(ITIH3ペプチド、APOA1ペプチド、及びAPOA4ペプチド)を組み合わせると、ステージIII及びIVの膵がんについても、精度よく判定できることが示された(図6、図7)。
本発明によれば、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)の有無や発症リスクを精度よく判定できる判定方法や、判定用バイオマーカー等を提供することができる。本発明によって膵がんを早期に発見することができれば、早期の段階での治療が可能となり、進行してから発見する場合に比べて5年生存率の大幅な向上が期待できる。

Claims (13)

  1. 膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定方法であって、
    前記判定方法が以下の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする、前記判定方法。
    (a)被検者から採取された判定用血液試料中の、以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質の濃度を測定する工程;
    [Aグループ]
    APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
    [Bグループ]
    ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
    (b)工程(a)で測定した物質の濃度を、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較する工程;
    (c)工程(a)で測定した物質が[Aグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価し、及び/又は、
    工程(a)で測定した物質が[Bグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程;
  2. 工程(b)が、工程(a)で測定した2種以上の物質の各濃度と、対照となる健常血液試料中の2種以上の物質の各濃度とを、2種以上の物質の各濃度を変数とする多変量解析における予測式に代入して得た予測値を比較する工程であり、
    前記予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合に予測値が高くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも高いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程であり、
    前記予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合に予測値が低くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも低いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程であることを特徴とする請求項1に記載の判定方法。
  3. 物質が、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、ITIH3の部分ペプチド、APOA4、APOA1及びITIH3からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の判定方法。
  4. 部分ペプチドがプロテアーゼで消化されたペプチドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の判定方法。
  5. 多変量解析が、ロジスティック回帰分析又は重回帰分析であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の判定方法。
  6. [Bグループ]がさらにCA19−9抗原を含んでおり、
    工程(a)で濃度を測定する物質が、[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される2種以上の物質であって、少なくともCA19−9抗原を含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の判定方法。
  7. 工程(a)における物質の濃度の測定を質量分析法により行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の判定方法。
  8. 物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
    判定方法が、工程(a)で測定したAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いと評価する工程(d)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の判定方法。
  9. がんが、早期膵がんであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の判定方法。
  10. 以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質からなることを特徴とする、
    膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定用バイオマーカーであって、
    物質が[Aグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示され、
    物質が[Bグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示される、
    前記判定用バイオマーカー。
    [Aグループ]
    APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
    [Bグループ]
    ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
  11. 物質が、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、ITIH3の部分ペプチド、APOA4、APOA1及びITIH3からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項10に記載の判定用バイオマーカー。
  12. 物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
    被検者から採取された判定用血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いことが示される請求項10又は11に記載の判定用バイオマーカー。
  13. がんが、早期膵がんであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の判定用バイオマーカー。
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