以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るショベルについて説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係るショベルPSを例示する側面図である。ショベルPSの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。下部走行体1は走行用油圧モータにより駆動され、上部旋回体3は旋回用油圧モータにより駆動される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられている。アーム5の先端には、クイックカプラ6cを介してエンドアタッチメント(アタッチメントの作業部位)としてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成している。ブーム4はブームシリンダ7により駆動され、アーム5はアームシリンダ8により駆動され、バケット6はバケットシリンダ9により駆動される。以下では、走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9は、集合的に「油圧アクチュエータ」と称される。
クイックカプラ6cは、工具等を用いずにアタッチメントの操作だけでエンドアタッチメントの付け替えを可能にする機構である。本実施形態では、付け替え可能なエンドアタッチメントは、バケット6及び地中物検出器E1を含む。図1は、クイックカプラ6cを介してアーム5の先端に取り付けられたバケット6と、クイックカプラ6cから取り外された状態の地中物検出器E1を示している。図2は、クイックカプラ6cを介してアーム5の先端に取り付けられた地中物検出器E1を示している。
地中物検出器E1は、地中物を検出するための装置であり、例えば、地中レーダである。本実施形態では、地中物検出器E1は、図2に示すように、クイックカプラ6cを介してアーム5の先端に取り付けられる。
地中レーダとしての地中物検出器E1は、地面に向けて電磁波を発射し、地中からの反射波を利用して地下構造を可視化する。具体的には、地中物検出器E1は、地面に沿って移動させられる。地面に沿った地中物検出器E1の移動は、ショベルPSの操作者による油圧アクチュエータの手動操作によって行われてもよく、油圧アクチュエータを自動的に動作させることによって行われてもよい。また、地中物検出器E1を対向させる地面は、傾斜面であってもよく、鉛直面であってもよい。例えば、鉛直面に地中物検出器E1の輻射面を対向させながらその鉛直面に沿って地中物検出器E1を移動させてもよい。
地中物検出器E1は、移動中に電磁波を繰り返し発信し、地中物で反射した電磁波を繰り返し受信することで、地中物検出器E1と地中物U1との間の距離を繰り返し取得する。そして、地中物検出器E1は、例えば、電磁波を送受信したときの地中物検出器E1の位置、及び、地中物検出器E1と地中物U1との間の距離の複数の組み合わせに基づいて地中物U1の位置及び大きさを導き出す。
地中物検出器E1は、図3に示すように、手押し車TRに搭載されていてもよい。この場合、手押し車TRは、測位装置P0及び通信装置T0を搭載していてもよい。測位装置P0は、例えばGNSSコンパスであり、手押し車TRの位置及び姿勢を検出する。通信装置T0は、手押し車TRと手押し車TRの外部にある機器との間の通信を制御する。この構成により、手押し車TRは、地中物検出器E1の位置、及び、地中物検出器E1と地中物U1との間の距離に関する情報を外部に送信できる。
地中物検出器E1は、上部旋回体3に取り付けられる単眼カメラ、ステレオカメラ、距離画像センサ、赤外線センサ、超音波センサ、金属探知機及びLIDAR等の少なくとも1つであってもよい。掘削作業の途中で地中から一部が露出した地中物を検出できるためである。この場合、地中物検出器E1は、キャビン10の内部又は外部の上部に、ショベル前方を検出範囲に含めることができるように配置されていてもよい。
本実施形態では、ブーム4にはブーム状態検出器としてのブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム状態検出器としてのアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット状態検出器としてのバケット角度センサS3が取り付けられている。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3は「姿勢センサ」とも称される。
ブーム角度センサS1は、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出するように構成されている。アーム角度センサS2は、ブーム4に対するアーム5の回動角度を検出するように構成されている。バケット角度センサS3は、アーム5に対するバケット6の回動角度を検出するように構成されている。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3は、例えば、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成される。
ブーム状態検出器、アーム状態検出器及びバケット状態検出器は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、又は、連結軸回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等で構成されていてもよい。
上部旋回体3は、エンジン11、カウンタウエイト3w及び機体傾斜センサS4等を搭載している。エンジン11、カウンタウエイト3w及び機体傾斜センサS4等は、カバー3aにより覆われている。機体傾斜センサS4は、上部旋回体3の水平面に対する傾斜角度を検出する加速度センサである。機体傾斜センサS4は、カバー3aの外側に取り付けられていてもよい。
上部旋回体3のカバー3aの上には撮像装置80が設けられている。撮像装置80は、ショベルPSの左方の空間を撮像する左カメラ80L、ショベルPSの右方の空間を撮像する右カメラ80R、及び、ショベルPSの後方の空間を撮像するバックカメラ80Bを含む。左カメラ80L、右カメラ80R及びバックカメラ80Bは、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を有するデジタルカメラであり、撮影した画像をキャビン10内に設けられている表示装置40に送る。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられている。キャビン10には、測位装置P1及び通信装置T1が設けられている。測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、ショベルPSの位置を検出し、その位置に関するデータをコントローラ30に供給する。通信装置T1は、ショベルPSとショベルPSの外部にある機器との間の通信を制御する。また、キャビン10内には、コントローラ30、表示装置40、入力装置42、音声出力装置43、記憶装置47及びゲートロックレバー49が設けられている。
コントローラ30は、ショベルPSの駆動制御を行う制御装置として機能する。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、CPUが内部メモリに格納されているプログラムを実行することで実現される。各種機能は、例えば、操作者によるショベルPSの手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能を含む。コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50は、マシンガイダンス機能を実行する。
表示装置40は、各種情報を表示する装置である。表示装置40は、例えば、コントローラ30に接続される車載液晶ディスプレイである。本実施形態では、表示装置40は、コントローラ30からの指令に応じて各種の作業情報を含む画像を表示する。
入力装置42は、ショベルPSの操作者がコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。入力装置42は、例えば、スイッチパネル及びタッチパネル等の少なくとも1つで構成される。
音声出力装置43は、音声を出力する装置である。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声で出力する。
記憶装置47は、各種情報を記憶するための装置である。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベルPSの動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベルPSの動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。
ゲートロックレバー49は、キャビン10のドアと運転席との間に設けられ、ショベルPSが誤って操作されるのを防止する機構である。ゲートロックレバー49が引き上げられると、操作装置26は操作可能な状態になる。ゲートロックレバー49が押し下げられると、操作装置26は操作不能な状態になる。
次に、図4を参照し、ショベルPSの基本システムの構成例について説明する。図4は、ショベルPSの基本システムの構成例を示す図である。
表示装置40は、キャビン10内に設けられ、作業情報等を表示する。表示装置40は、例えば、CAN又はLIN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されている。
表示装置40は、画像表示部41に表示する画像を生成する処理部40aを有する。処理部40aは、例えば、撮像装置80から得られる画像データに基づいて画像表示部41上に表示する画像を生成する。撮像装置80から得られる画像データは、左カメラ80L、右カメラ80R及びバックカメラ80Bのそれぞれから得られる画像データを含む。
処理部40aは、コントローラ30から表示装置40に入力される各種データを画像データに変換してもよい。コントローラ30から表示装置40に入力されるデータは、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、尿素水の残量を示すデータ、及び、燃料の残量を示すデータ等を含む。そして、処理部40aは、撮像装置80から得られる画像データと同様に、変換した画像データに基づいて画像表示部41上に表示する画像を生成する。
そして、処理部40aは、各種画像データに基づいて生成した画像を画像表示部41に表示させる。なお、処理部40aは、表示装置40ではなく、例えばコントローラ30に設けられていてもよい。この場合、撮像装置80は、コントローラ30に接続される。
表示装置40は、入力装置42としてのスイッチパネルを有する。スイッチパネルは、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。本実施形態では、スイッチパネルは、ライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b及びウィンドウォッシャスイッチ42cを有する。
ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り替えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り替えるためのスイッチである。ウィンドウォッシャスイッチ42cは、ウィンドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
表示装置40は、蓄電池90から電力の供給を受けて動作する。蓄電池90は、エンジン11のオルタネータ11aで発電した電力で充電される。蓄電池90の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベルPSの電装品92等にも供給される。エンジン11のスタータ11bは、蓄電池90からの電力で駆動されてエンジン11を始動させる。
エンジン11は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15に接続され、エンジン制御装置(ECU74)により制御される。ECU74は、エンジン11の状態を示す各種データをコントローラ30に送信する。各種データは、例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温を示すデータを含む。コントローラ30は、内部メモリ30aに各種データを蓄積し、必要に応じて表示装置40に送信する。
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための油圧ポンプである。メインポンプ14は、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプである。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、コントロールバルブ17に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後で操作装置26等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
コントロールバルブ17は、ショベルPSに搭載されている油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、メインポンプ14が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに選択的に供給できるように構成されている。本実施形態では、コントロールバルブ17は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁を含んでいる。
操作装置26は、キャビン10内に設けられ、操作者によって油圧アクチュエータの操作に用いられる。操作装置26が操作されると、パイロットポンプ15から油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに作動油が供給される。各パイロットポートには、対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じたパイロット圧が適用される。
操作圧センサ29は、操作装置26が操作された際に生成されるパイロット圧を検出し、検出したパイロット圧を示すデータをコントローラ30に送る。操作装置26には、スイッチボタン27が設けられている。操作者は、例えば、操作装置26を手で操作しながらスイッチボタン27を指で操作することで、コントローラ30に指令信号を送ることができる。
コントローラ30は、ゲートロックレバー49が押し下げられている状態では、ゲートロック弁49aを閉状態とし、ゲートロックレバー49が引き上げられている状態では、ゲートロック弁49aを開状態とする。本実施形態では、ゲートロック弁49aは、コントロールバルブ17と操作装置26との間の油路に設けられている電磁弁である。ゲートロック弁49aは、コントローラ30からの指令に応じて開閉する。但し、ゲートロック弁49aは、ゲートロックレバー49に機械的に接続され、ゲートロックレバー49の動作に応じて開閉する構成であってもよい。
ゲートロック弁49aは、閉状態において、コントロールバルブ17と操作装置26との間の油路を遮断して操作装置26の操作を無効にする。また、ゲートロック弁49aは、開状態において、コントロールバルブ17と操作装置26との間の油路を開通させて操作装置26の操作を有効にする。
コントローラ30は、ゲートロック弁49aが開状態となり、操作装置26の操作が有効になった状態で、操作圧センサ29によって検出されるパイロット圧から、操作装置26の操作方向及び操作量を検出する。
また、コントローラ30は、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ13から、斜板角度を示すデータを取得する。また、コントローラ30は、吐出圧センサ28から、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータを取得する。更に、コントローラ30は、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の油路に設けられている油温センサ14cから、油路を流れる作動油の温度を表すデータを取得する。そして、コントローラ30は、これらのデータを内部メモリ30aに格納する。
ショベルPSのキャビン10内には、エンジン回転数調整ダイヤル75が設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジンの回転数を調整するためのダイヤルである。ショベルPSの操作者は、例えば、エンジン回転数調整ダイヤル75を操作することで、エンジン回転数を段階的に切り替えることができる。本実施形態では、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード及びIDLEモードの4段階に操作者がエンジン回転数を切り替えることができるように設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数の設定状態を示すデータをコントローラ30に送る。なお、図4は、エンジン回転数調整ダイヤル75によりHモードが選択された状態を示している。
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、2番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルPSを稼動させたい場合に選択される回転数モードであり、3番目に高いエンジン回転数を利用する。IDLEモードは、エンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードに対応するエンジン回転数で一定となるように制御される。
コントローラ30は、ショベルPS全体の動作の制御に加えて、マシンガイダンス装置50によるガイダンスを行うか否かを制御する。具体的には、コントローラ30は、ショベルPSが休止中であると判定したときには、マシンガイダンス装置50によるガイダンスを中止させるように、マシンガイダンス装置50にガイダンス中止指令を送る。
また、コントローラ30は、自動アイドルストップ指令をECU74に対して出力する際に、ガイダンス中止指令をマシンガイダンス装置50に出力してもよい。或いは、コントローラ30は、ゲートロックレバー49が押し下げられた状態にあると判定した場合に、ガイダンス中止指令をマシンガイダンス装置50に出力してもよい。
マシンガイダンス装置50は、マシンガイダンス機能を実行できるように構成されている。本実施形態では、マシンガイダンス装置50は、例えば、操作者が設定した目標地形の表面である目標施工面とアタッチメントの作業部位との間の距離等の作業情報を操作者に伝える。目標施工面に関するデータは、例えば、記憶装置47に予め記憶されている。また、目標施工面に関するデータは、例えば、基準座標系で表現されている。基準座標系は、例えば、世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そしてZ軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。操作者は、施工現場の任意の点を基準点として定め、目標施工面と基準点との相対的な位置関係により目標施工面を設定してもよい。アタッチメントの作業部位は、例えば、バケット6の爪先、バケット6の背面、又は、地中物検出器E1の輻射面中心等である。マシンガイダンス装置50は、表示装置40及び音声出力装置43等の少なくとも1つを介して作業情報を操作者に伝えることでショベルPSの操作をガイドする。
マシンガイダンス装置50は、操作者によるショベルの手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能を実行してもよい。例えば、マシンガイダンス装置50は、操作者が手動で掘削操作を行っているときに、目標施工面とバケット6の先端位置とが一致するようにブーム4、アーム5及びバケット6の少なくとも1つを自動的に動作させてもよい。
本実施形態では、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30に組み込まれているが、コントローラ30とは別に設けられた制御装置であってもよい。この場合、マシンガイダンス装置50は、例えば、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含むコンピュータで構成される。そして、マシンガイダンス装置50の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。また、マシンガイダンス装置50とコントローラ30とはCAN等の通信ネットワークを通じて互いに通信可能に接続される。
次に、図5を参照し、ショベルPSのマシンガイダンス装置50が有する各種機能について説明する。図5は、コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50の構成例を示すブロック図である。
マシンガイダンス装置50は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、地中物検出器E1、測位装置P1、通信装置T1及び入力装置42等から情報を取得する。
本実施形態では、地中物検出器E1は、無線通信機能を有し、地中物に関する情報(以下、「地中物情報」とする。)をショベルPSの通信装置T1に向けて無線で送信する。すなわち、コントローラ30は、通信装置T1を介して地中物情報を取得する。但し、地中物検出器E1は、コントローラ30に有線で接続されていてもよい。
コントローラ30は、掘削作業が行われるときに実行されるマシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能で地中物情報を利用できるよう、事前に取得した地中物情報を記憶装置47に記憶している。コントローラ30は、例えば、地中物情報を利用してマシンガイダンス機能を実行した場合、バケット6の爪先が地中物に接近したときに警報を出力できる。或いは、コントローラ30は、地中物情報を利用してマシンコントロール機能を実行した場合、バケット6の爪先が地中物と接触しないようにアタッチメントの動きを自動的に支援できる。
コントローラ30は、記憶装置47に予め記憶されている埋設物に関する情報(以下、「埋設物データ」とする。)を利用してマシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を実行する場合、事前に取得した地中物情報に基づいて埋設物データを補正してもよい。埋設物データは、電力線、電話線、ガス管又は水道管等の物体が埋設されたときに作成される、埋設物としての物体の位置に関する情報を含むデータである。
マシンガイダンス装置50は、例えば、取得した情報に基づいてバケット6と目標施工面又は埋設物との間の距離を算出する。そして、音声及び画像表示により、バケット6と目標施工面又は埋設物との間の距離の大きさをショベルの操作者に伝えるようにする。
具体的には、マシンガイダンス装置50は、位置算出部51、距離算出部52、情報伝達部53及び自動制御部54を有する。
位置算出部51は、測位対象の位置を算出するように構成されている。本実施形態では、位置算出部51は、アタッチメントの作業部位の基準座標系における座標点を算出する。具体的には、位置算出部51は、ブーム4、アーム5及びバケット6のそれぞれの回動角度からバケット6の爪先の座標点を算出する。
また、位置算出部51は、クイックカプラ6cを介してアーム5に地中物検出器E1が取り付けられている場合には、バケット6の爪先の座標点を算出する場合と同様に、地中物検出器E1の座標点を算出する。地中物検出器E1の座標点は、例えば、輻射面の中心点の座標点である。この構成により、位置算出部51は、地中物検出器E1の座標点の時間的推移、及び、地中物検出器E1と地中物との間の距離の時間的推移に基づいて地中物の位置及び大きさを算出できる。地中物の位置及び大きさは、例えば、地中物を構成する座標点群で表される。
地中物検出器E1が図3に示すように手押し車TRに搭載されている場合には、位置算出部51は、上部旋回体3に取り付けられた位置検出器(図示せず。)を用いて地中物検出器E1の座標点を算出してもよい。位置検出器は、例えば、ステレオカメラ、距離画像センサ、レーザレーダ、超音波センサ及びLIDAR等の少なくとも1つである。
或いは、位置算出部51は、手押し車TRに搭載されている測位装置P0の検出値に基づいて地中物検出器E1の座標点を算出してもよい。なお、測位装置P0の検出値は、地中物検出器E1の検出値と共に、手押し車TRに搭載されている通信装置T0とショベルPSに搭載されている通信装置T1を介してコントローラ30に供給される。
距離算出部52は、2つの測位対象間の距離を算出するように構成されている。本実施形態では、距離算出部52は、バケット6の爪先と目標施工面との間の鉛直距離を算出する。また、距離算出部52は、地中物が存在する場合には、バケット6の爪先と地中物との間の最短距離を算出してもよい。
情報伝達部53は、各種情報をショベルの操作者に伝えるように構成されている。本実施形態では、情報伝達部53は、距離算出部52が算出した各種距離の大きさをショベルPSの操作者に伝える。具体的には、視覚情報及び聴覚情報の少なくとも1つを用いて、バケット6の爪先と目標施工面との間の鉛直距離の大きさ、及び、バケット6の爪先と地中物との間の最短距離の大きさ等をショベルの操作者に伝える。
例えば、情報伝達部53は、音声出力装置43による断続音を用いて、バケット6の爪先と目標施工面との間の鉛直距離の大きさを操作者に伝えてもよい。この場合、情報伝達部53は、鉛直距離が小さくなるほど、断続音の間隔を短くしてもよい。また、情報伝達部53は、バケット6の爪先が目標施工面よりも低い位置になった場合には、音声出力装置43を介して操作者に警報を発してもよい。警報は、例えば、断続音より顕著に大きい音である。
或いは、情報伝達部53は、鉛直距離に関する断続音とは異なる別の断続音を用いて、バケット6の爪先と地中物との間の最短距離の大きさを操作者に伝えてもよい。この場合、最短距離が小さくなるほど、断続音の間隔を短くしてもよい。
情報伝達部53は、連続音を用いてもよく、音の高低及び強弱等の少なくとも1つを変化させて各種距離の大きさの違いを表すようにしてもよい。
また、情報伝達部53は、バケット6の爪先と目標施工面との間の鉛直距離の大きさ、及び、バケット6の爪先と地中物との間の最短距離の大きさ等の少なくとも1つを作業情報として表示装置40に表示させてもよい。表示装置40は、例えば、撮像装置80から受信した画像データと共に、情報伝達部53から受信した作業情報を画面に表示する。
自動制御部54は、油圧アクチュエータを自動的に動作させることで操作者によるショベルの手動操作を自動的に支援するように構成されている。
例えば、自動制御部54は、操作者が手動でアーム閉じ操作を行っているときに、目標施工面とバケット6の爪先の位置とが一致するようにブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9の少なくとも1つを自動的に伸縮させる。この場合、操作者は、アーム操作レバーを閉じ方向に操作するだけで、バケット6の爪先を目標施工面に一致させながら、アーム5を閉じることができる。
或いは、自動制御部54は、操作者が手動でアーム閉じ操作を行っているときに、バケット6の爪先が埋設物と接触しないようにブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9の少なくとも1つを自動的に伸縮させてもよい。この場合、操作者は、アーム操作レバーを閉じ方向に操作するだけで、バケット6の爪先と埋設物との接触を回避しながら、アーム5を閉じることができる。
本実施形態では、自動制御部54は、各油圧アクチュエータに対応する流量制御弁に作用するパイロット圧を個別に且つ自動的に調整することで各油圧アクチュエータを自動的に動作させることができる。
次に、図6を参照して、ガイダンスモードの際に表示される出力画像の一例について説明する。ガイダンスモードは、マシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を実行する際に選択される動作モードである。本実施形態では、ガイダンスモードは、ガイダンスモードボタン(図示せず。)が押下された場合に開始する。
図6に示すように、表示装置40の画像表示部41に表示される出力画像Gxは、時刻表示部411、回転数モード表示部412、走行モード表示部413、エンジン制御状態表示部415、尿素水残量表示部416、燃料残量表示部417、冷却水温表示部418、エンジン稼動時間表示部419、カメラ画像表示部420及び作業ガイダンス表示部430を有する。回転数モード表示部412、走行モード表示部413及びエンジン制御状態表示部415は、ショベルPSの設定状態に関する情報を表示する表示部である。尿素水残量表示部416、燃料残量表示部417、冷却水温表示部418及びエンジン稼動時間表示部419は、ショベルPSの運転状態に関する情報を表示する表示部である。各部に表示される画像は、表示装置40の処理部40aによって、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50から送信される各種データ及び撮像装置80から送信される画像データを用いて生成される。
時刻表示部411は、現在の時刻を表示する。図6の例では、デジタル表示が採用され、現在時刻(10時5分)が示されている。
回転数モード表示部412は、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定されている回転数モードをショベルPSの稼動情報として表示する。回転数モードは、例えば、上記したSPモード、Hモード、Aモード及びIDLEモードの4つを含む。図6の例では、SPモードを表す記号「SP」が表示されている。
走行モード表示部413は、現在設定されている走行モードをショベルPSの稼動情報として表示する。走行モードは、可変容量モータとしての走行用油圧モータの設定状態を表す。例えば、走行モードは、低速モード及び高速モードを含み、低速モードでは「亀」を象ったマークが表示され、高速モードでは「兎」を象ったマークが表示される。図6の例では、「亀」を象ったマークが表示されており、操作者は低速モードが設定されていることを認識できる。
エンジン制御状態表示部415は、エンジン11の制御状態をショベルPSの稼動情報として表示する。図6の例では、エンジン11の制御状態として「自動減速・自動停止モード」が選択されている。「自動減速・自動停止モード」は、非操作状態の継続時間に応じて、エンジン回転数を自動的に低減し、さらにはエンジン11を自動的に停止させる制御状態を意味する。その他、エンジン11の制御状態には、「自動減速モード」、「自動停止モード」及び「手動減速モード」等がある。
尿素水残量表示部416は、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態をショベルPSの稼動情報として表示する。図6の例では、現在の尿素水の残量状態を表すバーゲージが表示されている。尿素水の残量は、尿素水タンクに設けられている尿素水残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
燃料残量表示部417は、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態をショベルPSの稼動情報として表示する。図6の例では、現在の燃料の残量状態を表すバーゲージが表示されている。燃料の残量は、燃料タンクに設けられている燃料残量センサが出力するデータに基づいて表示される。
冷却水温表示部418は、エンジン冷却水の温度状態をショベルPSの稼動情報として表示する。図6の例では、エンジン冷却水の温度状態を表すバーゲージが表示されている。エンジン冷却水の温度は、エンジン11に設けられている水温センサ11cが出力するデータに基づいて表示される。
エンジン稼動時間表示部419は、エンジン11の累積稼動時間をショベルPSの稼動情報として表示する。図6の例では、運転者によりカウントがリセットされてからの区間稼動時間が、単位「hr(時間)」と共に表示されている。エンジン稼動時間表示部419には、ショベル製造後の全期間の生涯稼動時間が表示されてもよい。
カメラ画像表示部420は、撮像装置80によって撮影された画像を表示する。図6の例では、上部旋回体3の上面後端に取り付けられたバックカメラ80Bによって撮影された画像がカメラ画像表示部420に表示されている。カメラ画像表示部420には、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラ80L又は上面右端に取り付けられた右カメラ80Rによって撮像されたカメラ画像が表示されてもよい。また、カメラ画像表示部420には、左カメラ80L、右カメラ80R及びバックカメラ80Bのうちの複数のカメラによって撮影された画像が並ぶように表示されてもよい。また、カメラ画像表示部420には、左カメラ80L、右カメラ80R及びバックカメラ80Bの少なくとも2つによって撮像された複数のカメラ画像の合成画像が表示されてもよい。合成画像は、例えば、俯瞰画像であってもよい。
各カメラは上部旋回体3の一部が撮像範囲に含まれるように設置されている。表示される画像に上部旋回体3の一部の画像が含まれることで、操作者は、カメラ画像表示部420に表示される物体とショベルPSとの間の距離を把握し易くなる。
カメラ画像表示部420には、表示中のカメラ画像を撮影した撮像装置80の向きを表す図形421が表示されている。図形421は、ショベルPSの形状を表すショベル図形421aと、表示中のカメラ画像を撮像した撮像装置80の撮影方向を表す帯状の方向表示図形421bとで構成されている。図形421を含むカメラ画像表示部420は、ショベルPSの設定状態に関する情報を表示する表示部である。
図6の例では、ショベル図形421aの下側(アタッチメントの図形がある側の反対側)に方向表示図形421bが表示されている。これは、バックカメラ80Bによって撮影されたショベルPSの後方の画像がカメラ画像表示部420に表示されていることを表す。例えば、カメラ画像表示部420に右カメラ80Rによって撮影された画像が表示されている場合には、方向表示図形421bは、ショベル図形421aの右側に表示される。また、例えばカメラ画像表示部420に左カメラ80Lによって撮影された画像が表示されている場合には、方向表示図形421bは、ショベル図形421aの左側に表示される。
操作者は、例えば、キャビン10内に設けられている画像切替スイッチ(図示せず。)を押下することで、カメラ画像表示部420に表示されている画像を他のカメラにより撮影された画像等に切り替えることができる。
ショベルPSに撮像装置80が設けられていない場合には、カメラ画像表示部420は、別の情報を表示する別の表示部で置き換えられてもよい。
作業ガイダンス表示部430は、各種作業のためのガイダンス情報を表示する。図6の例では、作業ガイダンス表示部430は、位置表示画像431及び目標施工面表示画像432を含み、作業部位ガイダンス情報の一例である爪先ガイダンス情報を表示している。
位置表示画像431は、目標施工面の位置を表す図形の表示位置に対するバケット6の作業部位(先端)の位置を表す図形の表示位置の変化により、バケット6の作業部位(先端)から目標施工面までの相対距離の大きさの変化を表す。図6の例では、位置表示画像431は、複数の図形(セグメント)が縦方向に配列されたバーゲージである。位置表示画像431は、目標セグメントG1と、複数のセグメントG2とを有する。
目標セグメントG1は、目標施工面の位置を表す図形である。本実施形態では、目標セグメントG1は、バケット6の作業部位(先端)から目標施工面までの相対距離が所定範囲内であることを示す図形(直線)である。所定範囲は、適切な相対距離の範囲として予め設定された範囲である。相対距離が所定範囲内であることは、バケット6の作業部位が適切な位置にあることを意味する。
セグメントG2は、それぞれ所定の相対距離に対応する図形である。対応する相対距離が小さいセグメントG2ほど、目標セグメントG1の近くに配置され、対応する相対距離が大きいセグメントG2ほど、目標セグメントG1から遠くに配置される。各セグメントG2は、相対距離と共に、バケット6の推奨移動方向を示す。バケット6の推奨移動方向は、例えば、バケット6の作業部位を目標施工面に近づける方向である。本実施形態では、セグメントG2Dは、バケット6を下方に移動させればバケット6が目標施工面に近づくことを表し、セグメントG2Uは、バケット6を上方に移動させればバケット6が目標施工面に近づくことを表す。
位置表示画像431は、バケット6の作業部位(先端)から目標施工面までの実際の相対距離に対応するセグメントG2を、他のセグメントG2とは異なる所定の色で表示する。図6は、他のセグメントG2と異なる色で表示されるセグメントG2をセグメントG2Aとして示している。位置表示画像431は、セグメントG2Aを所定の色で表示することにより、相対距離及び推奨移動方向を示す。バケット6の作業部位(先端)から目標施工面までの相対距離が大きいほど、目標セグメントG1から遠いセグメントG2がセグメントG2Aとして所定の色で表示される。また、バケット6の作業部位(先端)から目標施工面までの相対距離が小さいほど、目標セグメントG1に近いセグメントG2がセグメントG2Aとして所定の色で表示される。このように、セグメントG2Aは、相対距離の変化に応じて、上下方向に位置が変化するように表示される。
また、位置表示画像431は、目標施工面に関するバケット6の実際の相対距離が所定範囲内である場合、目標セグメントG1を、他のセグメントと異なる所定の色で表示する。すなわち、位置表示画像431は、目標セグメントG1を所定の色で表示することにより、相対距離が所定範囲内であることを示す。
なお、セグメントG2A及び目標セグメントG1が所定の色で表示されている間、他のセグメントG2は、比較的目立たない色(例えば背景色と同一又は類似する色等)で表示されてもよいし、表示されていなくてもよい。
目標施工面表示画像432は、バケット6と目標施工面との関係を模式的に表示する。目標施工面表示画像432には、側方から見たときのバケット6と目標施工面とが、第1図形としてのバケット図形G3及び目標施工面画像G4で模式的に表示される。バケット図形G3は、バケット6を表す図形であり、バケット6を側方から見たときの形で表されている。目標施工面画像G4は、目標施工面としての地面を表す図形であり、バケット図形G3と同様、側方から見たときの形で表されている。バケット図形G3と目標施工面画像G4との縦間隔は、実際のバケット6の先端と目標施工面との間の距離の変化に応じて変化するように表示される。バケット図形G3(例えばバケット6の背面を表す線分)と目標施工面画像G4(例えば目標施工面の表面を表す線分)との間の相対傾斜角も同様に、実際のバケット6(背面)と目標施工面との間の相対傾斜角の変化に応じて変化するように表示される。本実施形態では、目標施工面表示画像432は、バケット図形G3の表示高さ及び表示角度が固定された状態で、目標施工面画像G4の表示高さ及び表示角度が変化するように構成されている。但し、目標施工面表示画像432は、目標施工面画像G4の表示高さ及び表示角度が固定された状態で、バケット図形G3の表示高さ及び表示角度が変化するように構成されてもよく、バケット図形G3及び目標施工面画像G4のそれぞれの表示高さ及び表示角度が変化するように構成されてもよい。
このような構成により、情報伝達部53は、視覚情報及び聴覚情報の少なくとも1つを用いて、バケット6の爪先と目標施工面との間の鉛直距離の大きさをショベルの操作者に伝えることができる。
上述の実施形態において、マシンガイダンス装置50は、埋設物の位置に関する情報を含む施工情報から埋設物の位置情報を取得している。ここで、マシンガイダンス装置50は、地中物検出器E1の検出値に基づいて補正された埋設物データを施工情報に反映させてもよいし、図7に示すように、地中物検出器E1の検出値に基づいて補正された埋設物データを管理装置300に送信してもよい。この場合、管理装置300は、マシンガイダンス装置50から送信された埋設物データを施工情報に反映させてもよい。これは、補正された埋設物データを含む施工情報をショベルPSの操作者と他のショベルの操作者又は管理者等とが共有できるようにするためである。
図7は、ショベルの管理システムSYSの構成例を示す概略図である。管理システムSYSは、ショベルPSを管理するシステムである。本実施形態では、管理システムSYSは、主に、ショベルPS、支援装置200及び管理装置300で構成される。管理システムSYSを構成するショベルPS、支援装置200及び管理装置300はそれぞれ1台であってもよく、複数台であってもよい。本実施形態では、管理システムSYSは、1台のショベルPSと、1台の支援装置200と、1台の管理装置300を含む。
支援装置200は、携帯端末装置であり、例えば、作業現場にいる作業者等が携帯するノートPC、タブレットPC又はスマートフォン等のコンピュータである。支援装置200は、ショベル100の操作者が携帯するコンピュータであってもよい。
管理装置300は、固定端末装置であり、例えば、作業現場外の管理センタ等に設置されるコンピュータである。管理装置300は、可搬性のコンピュータ(例えば、ノートPC、タブレットPC又はスマートフォン等の携帯端末装置)であってもよい。
管理システムSYSでは、ショベルPSは、地中物検出器E1の検出値に基づいて埋設物データを補正した場合、補正した埋設物データを管理装置300に送信してもよい。そして、補正後の埋設物データを受信した管理装置300は、その補正後の埋設物データを施工情報に反映させてもよい。なお、埋設物データは、例えば、埋設物の位置、種類又はサイズ等を含む。
ショベルPSは、地中物検出器E1の一例である金属探知機の検出値のような、地中に埋まっているために不可視である埋設物に関する情報ばかりでなく、地中物検出器E1の別の一例であるカメラ又はLIDAR等(例えば、キャビン10の上面前端に取り付けられたカメラ又はLIDAR等)が取得した画像のような、地面から露出した状態にある目に見える埋設物に関する情報に基づいて埋設物データを補正してもよい。すなわち、埋設物データの補正は、不可視状態の埋設物に関する推定値ばかりでなく、可視状態の埋設物に関する確定値に基づいて行われてもよい。
埋設物データの補正は、支援装置200又は管理装置300で行われてもよい。管理装置300で埋設物データの補正が行われる場合、ショベルPSは、その補正に必要な情報を管理装置300に送信する。支援装置200で埋設物データの補正が行われる場合についても同様である。
また、地面から露出した状態にある目に見える埋設物に関する情報は、カメラ又はLIDAR等が取得する情報ばかりでなく、支援装置200等を通じて作業者が入力する情報であってもよい。この場合、支援装置200を通じて入力された情報は、無線通信を介してショベルPS又は管理装置300に送信されてもよい。そして、ショベルPS又は管理装置300は、受信した情報に基づいて埋設物データを補正してもよい。
ショベルPSは、補正前の埋設物データと補正後の埋設物データとの間のズレの大きさを表示するように構成されていてもよい。また、ショベルPSは、不可視状態の埋設物に関する推定値と、可視状態の埋設物に関する確定値との間のズレの大きさを表示するように構成されていてもよい。操作者は、このような表示を見ることで、近くに埋まっている他の埋設物のズレを推測できる。また、操作者は、将来的に起こり得る埋設物のズレを予測できる。
ショベルPSは、埋設物データを含む施工情報ばかりでなく、地質に関する情報を、ショベルPSの操作者と他のショベルの操作者又は管理者等とが共有できるように構成されていてもよい。
地質に関する情報は、被掘削物である土砂等の硬さ及び密度等の少なくとも1つに関する情報であり、典型的には、ショベルPSに搭載されている各種センサの出力から導き出される。但し、地質に関する情報は、作業者が土壌硬度計等の各種機器を用いて測定する情報であってもよい。この場合、作業者が測定した情報は、例えば、支援装置200に入力され、且つ、ショベルPS又は管理装置300に送信されてもよい。
次に、図8A〜図8Cを参照し、ガイダンスモードの際に表示される出力画像の別の例について説明する。図8A〜図8Cは、バケット6と埋設物との関係を模式的に表示している。地中にある水道管等の埋設物は不可視の状態にある。そのため、マシンガイダンス装置50は、施工情報から埋設物の位置情報を取得している。施工情報は、例えば、記憶装置47等に記憶されている。そして、施工情報は、埋設物の位置情報の他に、丁張りに関する情報、及び、2次元若しくは3次元の施工図面データを含んでいてもよい。
具体的には、図8A及び図8Bは、側方から見たときのアタッチメントと埋設物の関係をバケット図形G11、アーム図形G12、埋設物図形G13及び接近制限ラインG14で模式的に示している。図8Bに示す出力画像は、補助的な情報が追加されている点で、図8Aに示す出力画像と異なる。図8Cは、上方から見たときのアタッチメントと埋設物の関係をバケット図形G11、アーム図形G12、埋設物図形G13及び接近制限ラインG14で模式的に示している。なお、図8A〜図8Cの出力画像は何れも作業ガイダンス表示部430(図6参照。)に表示されているが、画像表示部41で全画面表示されてもよい。
埋設物図形G13は、埋設物の位置及び大きさを表す図形である。図8A〜図8Cの例では、埋設物図形G13は、地中物検出器E1の検出値に応じて補正された後の埋設物データに基づく埋設物図形G13Aと、補正前の埋設物データに基づく埋設物図形G13Bとを含む。
接近制限ラインG14は、埋設物の周囲に設定される接近制限領域の位置及び大きさを表す図形である。図8A〜図8Cの例では、接近制限ラインG14は、埋設物図形G13と同様に、補正後の埋設物データに基づく埋設物図形G13Aに対応する接近制限ラインG14Aと、補正前の埋設物データに基づく埋設物図形G13Bに対向する接近制限ラインG14Bとを含む。
施工情報を利用できない場合(例えば施工情報が記憶装置47に記憶されていない場合)であっても、マシンガイダンス装置50は、ステレオカメラ、距離画像センサ、レーザレーダ、超音波センサ及びLIDAR等の少なくとも1つである地中物検出器E1の検出値に基づき、埋設物図形G13Aと、埋設物図形G13Aに対応する接近制限ラインG14Aとを表示してもよい。
接近制限領域は、アタッチメントの作業部位の侵入が制限される領域である。マシンガイダンス装置50は、例えば、アタッチメントの作業部位が接近制限領域に侵入しないように、操作者の注意を喚起する。具体的には、情報伝達部53は、例えば、音声出力装置43による断続音を用いて、バケット6の爪先と地中物との間の最短距離の大きさを操作者に伝えてもよい。この場合、情報伝達部53は、最短距離が小さくなるほど、断続音の間隔を短くしてもよい。また、情報伝達部53は、バケット6の爪先が接近制限領域に侵入した場合には、音声出力装置43を介して操作者に警報を発してもよい。警報は、例えば、断続音より顕著に大きい音である。また、情報伝達部53は、バケット6の爪先と目標施工面との間の鉛直距離の大きさを操作者に提示する場合と同様に、位置表示画像431のようなバーゲージを用いてバケット6の爪先と地中物との間の最短距離の大きさを操作者に提示してもよい。
なお、図6に示す位置表示画像431では、バケット6と目標施工面との間の実際の距離が所定範囲内である場合、目標セグメントG1が他のセグメントと異なる所定の色で表示されている。そのため、埋設物データの提示のためにバーゲージが採用された場合には、バケット6と埋設物との間の実際の距離が所定範囲内であるときに、目標セグメントG1は、他のセグメントと異なる所定の色で表示されてもよい。この場合、目標セグメントG1は、例えば、埋設物の位置を表してもよいし、埋設物の接近制限ラインの位置を表してもよい。また、目標セグメントG1は、埋設物の上端の位置を示してもよい。更に、位置表示画像431には、埋設物の位置を表す目標セグメントG1に加え、埋設物の接近制限ラインの位置を表す別の目標セグメントが同時に表示されていてもよい。
また、マシンガイダンス装置50は、アタッチメントの作業部位が接近制限領域に侵入しないように、アタッチメントの動きを自動的に支援してもよい。具体的には、自動制御部54は、例えば、操作者が手動でアーム閉じ操作を行った場合、そのままではバケット6の爪先が接近制限領域に侵入してしまうと判断したときには、アーム操作レバーの操作を無効にする。或いは、自動制御部54は、ブームシリンダ7を自動的に伸張させてブーム4を上昇させることでバケット6の爪先が接近制限領域に侵入しないようにしてもよい。
補正後の埋設物図形G13Aと補正前の埋設物図形G13Bとを同時に表示することで、マシンガイダンス装置50は、埋設物が当初の位置からどの程度ずれているか、或いは、埋設物がどのように変形しているかを操作者に分かり易く提示できる。操作者は、このような画像を見ることで、近くに埋まっている他の埋設物のズレを推測できる。また、操作者は、将来的に起こり得る埋設物のズレを予測できる。但し、マシンガイダンス装置50は、補正前の埋設物図形G13B及びそれに対応する接近制限ラインG14Bの表示を省略してもよい。出力画像の視認性を向上させるためである。
また、マシンガイダンス装置50は、図8Bに示すように、一点鎖線及び両矢印等で表される補助的な情報を表示してもよい。補助的な情報は、例えば、埋設物データの詳細を表示するサブウィンドウG20、及び、バケット6内に取り込まれた被掘削物に関する情報を表示する吹き出し画像G21等を含む。図8Bの例では、サブウィンドウG20は、埋設物が埋設された時期、埋設物の種類、埋設物の素材、及び、埋設物のサイズを表示している。吹き出し画像G21は、バケット6内に取り込まれている土砂の重量が0kgであることを表示することで、バケット6内に土砂が取り込まれていないことを表している。
また、補助的な情報は、接近制限領域とその上にある地面との間の鉛直距離d1、埋設物とその上にある地面との間の鉛直距離d2、バケット6の爪先と埋設物との間の鉛直距離d3、埋設物とそのショベル側にある地面(壁面)との間の水平距離d4、バケット6の爪先との埋設物と間の水平距離d5、及び、バケット背面角度α等を含む。バケット背面角度αは、バケット6の背面を含む仮想平面と仮想水平面との間に形成される角度である。
なお、補助的な情報は、補正前の埋設物データに基づく埋設物の位置と補正後の埋設物データに基づく埋設物の位置との間の水平方向のズレ及び鉛直方向のズレを含んでいてもよい。
また、マシンガイダンス装置50は、上部旋回体3に取り付けられたプロジェクタを用い、図8Cに示すような出力画像を地面に投影させてもよい。この場合、出力画像は、望ましくは、バケット図形G11及びアーム図形G12の表示を省略した上で、実際の埋設物の位置と埋設物図形G13の表示位置とが一致するように投影される。
このように、本発明の実施形態に係るショベルPSは、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に取り付けられる上部旋回体3と、ブーム4、アーム5及びエンドアタッチメントとしてのバケット6を含み、且つ、上部旋回体3に取り付けられるアタッチメントと、ブーム4の状態を検出するブーム状態検出器としてのブーム角度センサS1と、アーム5の状態を検出するアーム状態検出器としてのアーム角度センサS2と、エンドアタッチメントの状態を検出するエンドアタッチメント状態検出器としてのバケット角度センサS3と、制御装置としてのマシンガイダンス装置50とを有する。
マシンガイダンス装置50の位置算出部51は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3のそれぞれの出力に基づいてバケット6の位置に関する情報を取得する。
また、マシンガイダンス装置50の位置算出部51は、例えば、バケット6の位置に関する情報と、地中物検出器E1の出力に基づいて取得される地中物U1の位置に関する情報とを対応付ける。地中物検出器E1は、例えば、手押し車に搭載されていてもよい。この対応付けは、例えば、バケット6の位置に関する第1座標系と地中物U1の位置に関する第2座標系とを一致させるための処理を含む。典型的には、第2座標系における地中物U1に関する座標群を、第1座標系における座標群に変換する処理を含む。この座標変換処理は、典型的には、ショベルPSの内部(例えばマシンガイダンス装置50)で行われるが、ショベルPSの外部(例えば管理センタに設置された管理装置)で行われてもよい。管理装置で座標変換処理が行われる場合、マシンガイダンス装置50は、第1座標系に関する情報を管理装置に送信し、地中物検出器E1は、地中物U1の位置に関する情報を管理装置に送信する。そして、マシンガイダンス装置50は、管理装置から地中物U1の位置に関する情報を受信する。
そして、マシンガイダンス装置50の距離算出部52は、バケット6の位置に関する情報と地中物U1の位置に関する情報とに基づいてバケット6と地中物U1との間の距離を算出する。
また、マシンガイダンス装置50は、上記距離が所定値を下回らないようにショベルPSを制御する。マシンガイダンス装置50は、例えば、音声出力装置43による断続音を用いて、バケット6と地中物U1との間の最短距離の大きさを操作者に伝えてもよい。或いは、マシンガイダンス装置50は、上記距離が所定値を下回らないようにブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9の少なくとも1つを自動的に伸縮させてもよい。
この構成により、マシンガイダンス装置50は、掘削作業の際の地中物の損傷をより確実に防止できる。そのため、マシンガイダンス装置50は、埋設物の損傷による工事の遅延が発生するのを未然に防止できる。その結果、マシンガイダンス装置50は、工期の短縮を実現できる。また、マシンガイダンス装置50は、埋設物の位置を分かり易く操作者に伝えることができ、埋設物を誤って損傷してしまうかもしれないという心配を操作者に抱かせることがないため、操作者の精神的ストレスを軽減できる。
地中物検出器E1は、ショベルPSに搭載され、且つ、地中物U1の位置に関する情報をマシンガイダンス装置50に対して出力するように構成されていてもよい。例えば、地中物検出器E1は、クイックカプラ6cを介してアーム5の先端に取り付けられていてもよい。この構成により、マシンガイダンス装置50は、管理センタ等を介さずに、地中物U1の位置に関する情報を地中物検出器E1から直接的に取得できる。また、マシンガイダンス装置50は、バケット6の爪先の座標を導き出す場合と同じ処理で地中物U1に関する座標群を導き出すことができるため、バケット6の位置に関する情報と地中物U1の位置に関する情報とを容易に対応付けることができる。
マシンガイダンス装置50は、図8A〜図8Cに示すように、地中物の画像を表示するように構成されていてもよい。この構成により、マシンガイダンス装置50は、地中物の有無、地中物の位置及び大きさ、並びに、バケット6と地中物との間の距離の大きさ等をショベルPSの操作者に視覚的に伝えることができる、そのため、マシンガイダンス装置50は、掘削作業の際の地中物の損傷をより確実に防止できる。
マシンガイダンス装置50は、バケット6又は地中物検出器E1と地中物との間の距離の値、地表面に対する地中物の深さの値、ショベルPSの接地面に対する地中物の深さの値、及び、任意に設定される基準面に対する地中物の深さの値の少なくとも1つを表示するように構成されていてもよい。
マシンガイダンス装置50は、埋設物に関する情報を事前に利用できる場合には、埋設物の種類、大きさ及び埋設時期(例えば埋設年月日)等に関する情報を表示するように構成されていてもよい。
マシンガイダンス装置50は、水道管と電力線とが交差する位置等、過去の工事の際に登録されている情報のうち、作業者に対して注意を喚起すべき情報が存在する場合には、その情報を表示するように構成されていてもよい。
マシンガイダンス装置50は、埋設物の埋設年月日から現在までに地震又は洪水等の災害が発生している場合には、震度又は災害発生日時等のその災害に関する情報を表示するように構成されていてもよい。操作者は、このような表示を見ることで、近くに埋まっている他の埋設物のズレを推測できる。また、操作者は、将来的に起こり得る埋設物のズレを予測できる。更には、操作者は、埋設物が破損している可能性があると予測することができる。
マシンガイダンス装置50は、地中物検出器E1の出力に基づき、記憶装置47に記憶されている埋設物の位置に関する情報を補正するように構成されていてもよい。この構成により、マシンガイダンス装置50は、例えば、記憶装置47に予め記憶されている埋設物データの確度を高めることができる。そのため、マシンガイダンス装置50は、埋設物データを利用してマシンガイダンス機能又はマシンコントロール機能を実行する場合に地中物の損傷をより確実に防止できる。
上述のような埋設物の位置に関する情報の補正は、外部の管理装置で行われてもよい。埋設物の位置に関する情報の補正が管理装置で行われる場合、管理装置の記憶部には、その埋設物の位置に関する情報が記録されていてもよい。そして、管理装置は、ショベルから受信した地中物検出器E1の出力に基づき、埋設物の位置に関する情報を補正してもよい。そして、この補正された埋設物の位置に関する情報をマシンガイダンス装置50に送信してもよい。
マシンガイダンス装置50は、記憶装置47に記憶されている埋設物の位置に関する情報と地中物検出器E1が検出した埋設物の位置に関する情報との間の違いをショベルPSの操作者が認識できる態様で埋設物の画像を表示するように構成されていてもよい。この構成により、マシンガイダンス装置50は、埋設物が当初の位置からどの程度ずれているか、或いは、埋設物がどのように変形しているかをショベルPSの操作者に分かり易く提示できる。操作者は、このような画像を見ることで、近くに埋まっている他の埋設物のズレを推測できる。また、操作者は、将来的に起こり得る埋設物のズレを予測できる。
ショベルPSは、表示装置40を有していてもよい。そして、表示装置40にはエンドアタッチメントとしてのバケット6と地中物との相対的な関係を図示する画面が表示されてもよい。また、その画面内にはバケット6の動きに対応して移動する図形が表示されてもよい。
ショベルPSは、音声出力装置43を有していてもよい。そして、ショベルPSは、エンドアタッチメントとしてのバケット6と地中物との相対的な関係に応じて音声出力装置43から出力される音声が変化するように構成されていてもよい。
本発明の実施形態に係るショベルPSの管理システムSYSは、上述のようなショベルPSを管理するように構成されている。具体的には、管理システムSYSは、管理装置を有する。管理装置は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3のそれぞれの出力に基づいてバケット6の位置に関する情報を取得する。そして、管理装置は、バケット6の位置に関する情報と地中物検出器E1の出力に基づいて取得される地中物の位置に関する情報とを対応付けてバケット6と地中物との間の距離を算出する。ショベルPSに搭載されている制御装置としてのマシンガイダンス装置50は、その距離が所定値を下回らないようにショベルPSを制御するように構成されている。マシンガイダンス装置50は、例えば、通信装置T1を介し、管理装置が算出した距離を取得するように構成されている。この構成により、管理システムSYSは、ショベルPSによる掘削作業の際の地中物の損傷をより確実に防止できる。
管理システムSYSにおける管理装置は記憶部を有していてもよい。そして、地中物は埋設物を含んでいてもよい。この場合、埋設物の位置に関する情報は記憶部に記憶されていてもよい。そして、管理装置は、地中物検出器E1の出力に基づいて埋設物の位置に関する情報を補正するように構成されていてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、マシンガイダンス装置50は、図9に示すような埋設標識シートTPに関する情報を作業ガイダンス表示部430に表示できるように構成されていてもよい。
埋設標識シートTPは、ショベルPSによる掘削事故を防止するために、水道管等の埋設物B1が埋設される際に、埋設物B1が埋設される位置よりも高い(浅い)位置に埋設される可撓性の部材であり、埋設物テープとも称される。掘削事故は、例えば、バケット6と埋設物B1との接触により埋設物B1が損傷されてしまう事故を含む。埋設標識シートTPは、典型的には、図9に示すように、埋設物B1が埋設されている位置よりも所定距離D1(例えば数十cm)だけ高い(浅い)真上の位置に埋設される。図9は、埋設標識シートTPと埋設物B1との関係を示す図であり、ドットハッチングは地表面を表し、斜線領域は地中を表している。図9の例では、埋設標識シートTPは、地中物検出器E1による電磁的な検出が可能なように、ラミネート加工によりアルミ箔等の金属箔をポリエチレンクロス等の合成樹脂材で包み込んだ構造を有する。但し、埋設標識シートTPは、金属を含有する部材で構成されていてもよい。また、埋設標識シートTPは、金属を含有しない部材、すなわち、地中物検出器E1による電磁的な検出が不可能な部材で構成されていてもよい。
マシンガイダンス装置50は、地中物検出器E1の出力に基づき、地中に埋まっている状態の(アルミ箔を含む)埋設標識シートTPを検出した場合、埋設標識シートTPに関する情報を含む出力画像を作業ガイダンス表示部430に表示させる。
マシンガイダンス装置50は、単眼カメラ、ステレオカメラ、距離画像センサ、赤外線センサ、超音波センサ、金属探知機及びLIDAR等の少なくとも1つの出力に基づき、掘り出された埋設標識シートTPを検出した場合に、埋設標識シートTPに関する情報を含む出力画像を作業ガイダンス表示部430に表示させてもよい。この場合、埋設標識シートTPは、金属を含有しない部材で構成されていてもよい。
埋設標識シートTPに関する情報を含む出力画像は、例えば、埋設標識シートTPと埋設物B1との関係を模式的に表す出力画像であり、図10A〜図10Cに示すような出力画像を含む。図10A〜図10Cは、ガイダンスモードの際に表示される出力画像の更に別の例であり、図8Aに対応している。
具体的には、図10Aは、地中物検出器E1により電磁的に検出された埋設標識シートTPの位置と、記憶装置47に予め記憶されている埋設物データに基づく埋設物B1の位置との関係を示している。より具体的には、図10Aは、掘削アタッチメントと埋設物B1と埋設標識シートTPとの関係を、バケット図形G11、アーム図形G12、埋設物図形G13、接近制限ラインG14及びシート図形G15で模式的に示している。シート図形G15は、埋設標識シートTPを表す図形である。
マシンガイダンス装置50は、図10Aに示す出力画像を作業ガイダンス表示部430に表示させることで、埋設物データで示された通りに埋設標識シートTPの真下に埋設物B1が埋まっていることをショベルPSの操作者に認識させることができる。
図10Bは、施工情報に埋設物データが含まれていないにもかかわらず、掘削作業の途中で地中から露出した埋設標識シートTPがLIDAR等によって検出された場合に表示される出力画像の一例を示している。具体的には、図10Bは、掘削アタッチメントと埋設標識シートTPと埋設標識シートTPの真下に存在している可能性が高い埋設物B1との関係を、バケット図形G11、アーム図形G12、シート図形G15及び破線枠G16で模式的に示している。破線枠G16は、埋設物B1が埋まっている可能性が高い範囲を表す図形である。図10Bの例では、破線枠G16は、埋設標識シートTPの幅よりも大きい幅を有する空間に対応するように表示されている。
マシンガイダンス装置50は、図10Bに示す出力画像を作業ガイダンス表示部430に表示させることで、施工情報には含まれていない埋設物B1が埋設標識シートTPの真下に埋まっている可能性が高いことをショベルPSの操作者に認識させることができる。
図10Cは、施工情報に埋設物データが含まれていないにもかかわらず、掘削作業の途中で地中から露出した埋設標識シートTPがLIDAR等によって検出された場合に表示される出力画像の別の一例を示している。具体的には、図10Cは、掘削アタッチメントと埋設標識シートTPと埋設標識シートTPの真下に存在している可能性が高い埋設物B1との関係を、バケット図形G11、アーム図形G12、シート図形G15、破線枠G16及び両矢印G17で模式的に示している。両矢印G17は、埋設標識シートTPと埋設物B1との間の距離を表す図形である。両矢印G17は、距離を表す数値と共に表示されてもよい。両矢印G17によって表される距離は、典型的には数十cmであり、ショベルPSの操作者が事前に且つ任意に設定できるように構成されていてもよい。
マシンガイダンス装置50は、図10Cに示す出力画像を作業ガイダンス表示部430に表示させることで、埋設標識シートTPの真下に埋まっている可能性が高い(施工情報には含まれていない)埋設物B1の推定位置をショベルPSの操作者に提示できる。
マシンガイダンス装置50は、埋設標識シートTPの位置に関する情報に基づき、埋設物データを補正するように構成されていてもよい。図11A〜図11Cは、ガイダンスモードの際に表示される出力画像の更に別の例であり、図8Aに対応している。図11A〜図11Cは、マシンガイダンス装置50が埋設標識シートTPの位置に関する情報に基づいて埋設物データを補正する際に作業ガイダンス表示部430に表示される出力画像の推移を示している。
図11Aは、地中物検出器E1により埋設標識シートTPが電磁的に検出される前に表示される出力画像を示している。具体的には、図11Aは、記憶装置47に予め記憶されている埋設物データに基づく埋設物B1の位置を示している。より具体的には、図11Aは、掘削アタッチメントと埋設物B1との関係をバケット図形G11、アーム図形G12、補正前の埋設物データに基づく埋設物図形G13B、及び、補正前の埋設物データに基づく接近制限ラインG14Bで模式的に示している。
図11Bは、地中物検出器E1により埋設標識シートTPが電磁的に検出された後に表示される出力画像を示している。具体的には、図11Bは、地中物検出器E1により電磁的に検出された埋設標識シートTPの位置と、記憶装置47に予め記憶されている埋設物データに基づく埋設物B1の位置との関係を示している。より具体的には、図11Bは、掘削アタッチメントと埋設標識シートTPと埋設物B1との関係を、バケット図形G11、アーム図形G12、補正前の埋設物データに基づく埋設物図形G13B、補正前の埋設物データに基づく接近制限ラインG14B、及び、シート図形G15で模式的に示している。
図11Cは、マシンガイダンス装置50が地中物検出器E1の検出値に基づいて埋設物データを補正した後に表示される出力画像を示している。マシンガイダンス装置50は、地中物検出器E1により電磁的に検出された埋設標識シートTPの位置と、記憶装置47に予め記憶されている埋設物データに基づく埋設物B1の位置とに基づき、埋設標識シートTPと埋設物B1とが対応しているか否かを判定する。すなわち、マシンガイダンス装置50は、埋設標識シートTPと共に埋設されたものが埋設物B1であるか或いは別の埋設物であるかを判定する。具体的には、マシンガイダンス装置50は、例えば、埋設標識シートTPの中心点の水平位置と埋設物B1の中心点の水平位置との間の距離が所定距離以下の場合に、埋設標識シートTPと埋設物B1とが対応していると判定する。
埋設標識シートTPと埋設物B1とが対応していると判定した場合、マシンガイダンス装置50は、埋設物B1の位置が、地中物検出器E1により検出された埋設標識シートTPの真下となるように、埋設物データを補正する。
図11Cは、掘削アタッチメントと埋設標識シートTPと埋設物B1との関係をバケット図形G11、アーム図形G12、補正後の埋設物データに基づく埋設物図形G13A、補正後の埋設物データに基づく接近制限ラインG14A、及び、シート図形G15で模式的に示している。
マシンガイダンス装置50は、図11A〜図11Cに示す一連の出力画像を作業ガイダンス表示部430に表示させることで、補正前の埋設物データに基づく埋設物B1の位置と、地中物検出器E1により検出された埋設標識シートTPの位置から推定される実際の埋設物B1の位置との間にズレが生じていたことをショベルPSの操作者に認識させることができる。操作者は、このような出力画像を見ることで、近くに埋まっている他の埋設物のズレを推測できる。また、操作者は、将来的に起こり得る埋設物のズレを予測できる。
ショベルPSは、図12〜図16に示すように、操作者による手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能を実行できるように構成されていてもよい。また、ショベルPSは、ショベルPSの周囲に存在する物体を検知できるように構成されていてもよい。図12は、本発明の別の実施形態に係るショベルPSの側面図である。図13は、図12のショベルPSの上面図である。図14は、図12のショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す図である。図15A〜図15Dは、図12のショベルに搭載される油圧システムの一部を抜き出した図である。図16は、図12のショベルに搭載されるコントローラ30の機能ブロック図である。
具体的には、ショベルPSは、マシンコントロール機能としての速度制限機能、停止機能及び自動回避機能を実行できるように構成されている。速度制限機能は、施工情報に含まれる埋設物データで特定される埋設物に掘削アタッチメントの作業部位が接近したときに作業部位の移動速度が低減するように掘削アタッチメントの動きを制限する機能である。停止機能は、埋設物に作業部位が接近したときに掘削アタッチメントの動きを停止させる機能である。自動回避機能は、作業部位が埋設物と接触しないように、埋設物を回避するように掘削アタッチメントを自動的に動作させる機能である。
また、ショベルPSは、例えば、ショベルPSから所定の距離の範囲内で、埋設物の近くで作業する補助作業者又は障害物等を検知した場合に、ショベルPSの操作者及び補助作業者の少なくとも一方に対して警報を出力するように構成されていてもよい。この場合、ショベルPSは、上部旋回体3の動き、及び、掘削アタッチメントの動きを自動的に停止させるように構成されていてもよい。
また、ショベルPSは、埋設物に関するマシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能の少なくとも一方を実行するとともに、ショベルPSの周囲で補助作業者等の物体を検知した場合には、その物体に関して速度制限機能、停止機能及び自動回避機能の少なくとも1つを実行できるように構成されていてもよい。
図12に示す例では、ショベルPSの下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行アクチュエータとしての走行油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。左クローラ1CLは左走行油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行油圧モータ2MRによって駆動される。
下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。旋回機構2は、上部旋回体3に搭載されている旋回アクチュエータとしての旋回油圧モータ2Aによって駆動される。但し、旋回アクチュエータは、電動アクチュエータとしての旋回電動発電機であってもよい。
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成する。ブーム4はブームシリンダ7で駆動され、アーム5はアームシリンダ8で駆動され、バケット6はバケットシリンダ9で駆動される。ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9は、アタッチメントアクチュエータを構成している。
ブーム4は、上部旋回体3に対して上下に回動可能に支持されている。そして、ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられている。ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度であるブーム角度θ1を検出できる。ブーム角度θ1は、例えば、ブーム4を最も下降させた状態からの上昇角度である。そのため、ブーム角度θ1は、ブーム4を最も上昇させたときに最大となる。
アーム5は、ブーム4に対して回動可能に支持されている。そして、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられている。アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度であるアーム角度θ2を検出できる。アーム角度θ2は、例えば、アーム5を最も閉じた状態からの開き角度である。そのため、アーム角度θ2は、アーム5を最も開いたときに最大となる。
バケット6は、アーム5に対して回動可能に支持されている。そして、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度であるバケット角度θ3を検出できる。バケット角度θ3は、バケット6を最も閉じた状態からの開き角度である。そのため、バケット角度θ3は、バケット6を最も開いたときに最大となる。
図12の実施形態では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3のそれぞれは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されている。但し、加速度センサのみで構成されていてもよい。また、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7に取り付けられたストロークセンサであってもよく、ロータリエンコーダ、ポテンショメータ、慣性計測装置等であってもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、空間認識装置70、向き検出装置71、撮像装置80、測位装置P1、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5等が取り付けられている。キャビン10の内部には、操作装置26、コントローラ30、情報入力装置72、表示装置40、音声出力装置43等が設けられている。なお、本書では、便宜上、上部旋回体3における、掘削アタッチメントが取り付けられている側を前方とし、カウンタウエイトが取り付けられている側を後方とする。
空間認識装置70は、ショベルPSの周囲の三次元空間に存在する物体を認識するように構成されている。また、空間認識装置70は、空間認識装置70又はショベルPSから認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。空間認識装置70は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ、赤外線センサ等を含む。図12及び図13に示す例では、空間認識装置70は、キャビン10の上面前端に取り付けられた前方センサ70F、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方センサ70B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左方センサ70L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右方センサ70Rを含む。上部旋回体3の上方の空間に存在する物体を認識する上方センサがショベルPSに取り付けられていてもよい。
向き検出装置71は、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの相対的な関係に関する情報を検出するように構成されている。向き検出装置71は、例えば、下部走行体1に取り付けられた地磁気センサと上部旋回体3に取り付けられた地磁気センサの組み合わせで構成されていてもよい。或いは、向き検出装置71は、下部走行体1に取り付けられたGNSS受信機と上部旋回体3に取り付けられたGNSS受信機の組み合わせで構成されていてもよい。向き検出装置71は、ロータリエンコーダ、ロータリポジションセンサ等であってもよい。旋回電動発電機で上部旋回体3が旋回駆動される構成では、向き検出装置71は、レゾルバで構成されていてもよい。向き検出装置71は、例えば、下部走行体1と上部旋回体3との間の相対回転を実現する旋回機構2に関連して設けられるセンタージョイントに取り付けられていてもよい。
向き検出装置71は、上部旋回体3に取り付けられたカメラで構成されていてもよい。この場合、向き検出装置71は、上部旋回体3に取り付けられているカメラが撮像した画像(入力画像)に既知の画像処理を施して入力画像に含まれる下部走行体1の画像を検出する。そして、向き検出装置71は、既知の画像認識技術を用いて下部走行体1の画像を検出することで、下部走行体1の長手方向を特定する。そして、上部旋回体3の前後軸の方向と下部走行体1の長手方向との間に形成される角度を導き出す。上部旋回体3の前後軸の方向は、カメラの取り付け位置から導き出される。特に、クローラ1Cは上部旋回体3から突出しているため、向き検出装置71は、クローラ1Cの画像を検出することで下部走行体1の長手方向を特定できる。この場合、向き検出装置71は、コントローラ30に統合されていてもよい。
情報入力装置72は、ショベルの操作者がコントローラ30に対して情報を入力できるように構成されている。図12及び図13に示す例では、情報入力装置72は、表示装置40の画像表示部41に近接して設置されるスイッチパネルである。但し、情報入力装置72は、表示装置40の画像表示部41の上に配置されるタッチパネルであってもよく、キャビン10内に配置されているマイクロフォン等の音声入力装置であってもよい。
撮像装置80は、ショベルPSの周囲を撮像する。図12及び図13に示す例では、上部旋回体3の上面後端に取り付けられたバックカメラ80B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラ80L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右カメラ80Rを含む。前方カメラを含んでいてもよい。
バックカメラ80Bは後方センサ70Bに隣接して配置され、左カメラ80Lは左方センサ70Lに隣接して配置され、且つ、右カメラ80Rは右方センサ70Rに隣接して配置されている。前方カメラは、前方センサ70Fに隣接して配置されていてもよい。
撮像装置80が撮像した画像は、キャビン10内に設置されている表示装置40に表示される。撮像装置80は、俯瞰画像等の視点変換画像を表示装置40に表示できるように構成されていてもよい。俯瞰画像は、例えば、バックカメラ80B、左カメラ80L及び右カメラ80Rのそれぞれが出力する画像を合成して生成される。
この構成により、ショベルPSは、空間認識装置70が検知した物体の画像を表示装置40に表示できる。そのため、ショベルPSの操作者は、掘削アタッチメント等の被駆動体の動作が制限或いは停止された場合、表示装置40に表示されている画像を見ることで、その原因となった物体が何であるかをすぐに確認できる。
測位装置P1は、上部旋回体3の位置を測定するように構成されている。図12に示す例では、測位装置P1は、GNSS受信機であり、上部旋回体3の位置を検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。測位装置P1は、GNSSコンパスであってもよい。この場合、測位装置P1は、上部旋回体3の位置及び向きを検出できる。
機体傾斜センサS4は、所定の平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出する。図12に示す例では、機体傾斜センサS4は、水平面に関する上部旋回体3の前後軸回りの傾斜角及び左右軸回りの傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベルPSの旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出する。図12に示す例では、ジャイロセンサである。レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。旋回角速度センサS5は、旋回速度を検出してもよい。旋回速度は、旋回角速度から算出されてもよい。
以下では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4及び旋回角速度センサS5の少なくとも1つは、姿勢検出装置とも称される。掘削アタッチメントの姿勢は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3のそれぞれの出力に基づいて検出される。
表示装置40は、情報を表示する装置である。図12に示す例では、表示装置40は、キャビン10内に設置された液晶ディスプレイである。但し、表示装置40は、スマートフォン等の携帯端末のディスプレイであってもよい。
音声出力装置43は、音声を出力する装置である。音声出力装置43は、キャビン10内の操作者に向けて音声を出力する装置、及び、キャビン10外の作業者に向けて音声を出力する装置の少なくとも1つを含む。携帯端末のスピーカであってもよい。
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。
コントローラ30は、ショベルPSを制御するための制御装置である。図12に示す例では、コントローラ30は、CPU、揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置等を備えたコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30は、各機能に対応するプログラムを不揮発性記憶装置から読み出して揮発性記憶装置にロードし、対応する処理をCPUに実行させる。各機能は、例えば、操作者によるショベルPSの手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、操作者によるショベルPSの手動操作を支援したり或いはショベルPSを自動的或いは自律的に動作させたりするマシンコントロール機能を含む。
次に、図14を参照し、ショベルPSに搭載される油圧システムの構成例について説明する。図14は、ショベルPSに搭載される油圧システムの構成例を示す図である。図14は、機械的動力伝達系、作動油ライン、パイロットライン及び電気制御系を、それぞれ二重線、実線、破線及び点線で示している。
ショベルPSの油圧システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作圧センサ29、コントローラ30等を含む。
図14において、油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、センターバイパス管路60又はパラレル管路62を経て作動油タンクまで作動油を循環させることができるように構成されている。
エンジン11は、ショベルPSの駆動源である。図14に示す例では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に連結されている。
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給できるように構成されている。図14に示す例では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御できるように構成されている。図14に示す例では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26を含む油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。図14に示す例では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、ショベルPSにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。図14に示す例では、コントロールバルブ17は、制御弁171〜176を含む。制御弁175は制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は制御弁176L及び制御弁1756を含む。コントロールバルブ17は、制御弁171〜176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171〜176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行油圧モータ2ML、右走行油圧モータ2MR及び旋回油圧モータ2Aを含む。
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、例えば、操作レバー及び操作ペダルを含む。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも1つを含む。図14に示す例では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。但し、操作装置26は、上述のようなパイロット圧式ではなく、電気制御式であってもよい。この場合、コントロールバルブ17内の制御弁は、電磁ソレノイド式スプール弁であってもよい。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出できるように構成されている。図14に示す例では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
操作圧センサ29は、操作者による操作装置26の操作の内容を検出できるように構成されている。図14に示す例では、操作圧センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を圧力(操作圧)の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作装置26の操作の内容は、操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。そして、左メインポンプ14Lは、左センターバイパス管路60L又は左パラレル管路62Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させ、右メインポンプ14Rは、右センターバイパス管路60R又は右パラレル管路62Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
左センターバイパス管路60Lは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lを通る作動油ラインである。右センターバイパス管路60Rは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rを通る作動油ラインである。
制御弁171は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行油圧モータ2MLへ供給し、且つ、左走行油圧モータ2MLが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁172は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行油圧モータ2MRへ供給し、且つ、右走行油圧モータ2MRが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁173は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
左パラレル管路62Lは、左センターバイパス管路60Lに並行する作動油ラインである。左パラレル管路62Lは、制御弁171、173、175Lの何れかによって左センターバイパス管路60Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。右パラレル管路62Rは、右センターバイパス管路60Rに並行する作動油ラインである。右パラレル管路62Rは、制御弁172、174、175Rの何れかによって右センターバイパス管路60Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
レギュレータ13は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む。左レギュレータ13Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。具体的には、左レギュレータ13Lは、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。右レギュレータ13Rについても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないようにするためである。
操作装置26は、左操作レバー26L、右操作レバー26R及び走行レバー26Dを含む。走行レバー26Dは、左走行レバー26DL及び右走行レバー26DRを含む。
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。左操作レバー26Lは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁173のパイロットポートに導入させる。
具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、左旋回方向に操作された場合に、制御弁173の左側パイロットポートに作動油を導入させ、右旋回方向に操作された場合に、制御弁173の右側パイロットポートに作動油を導入させる。
右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作に用いられる。右操作レバー26Rは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁174のパイロットポートに導入させる。
具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向に操作された場合に、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向に操作された場合に、制御弁174の右側パイロットポートに作動油を導入させ、バケット開き方向に操作された場合に、制御弁174の左側パイロットポートに作動油を導入させる。
走行レバー26Dは、クローラ1Cの操作に用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLの操作に用いられる。左走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。左走行レバー26DLは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁171のパイロットポートに導入させる。右走行レバー26DRは、右クローラ1CRの操作に用いられる。右走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。右走行レバー26DRは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁172のパイロットポートに導入させる。
吐出圧センサ28は、吐出圧センサ28L及び吐出圧センサ28Rを含む。吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28Rについても同様である。
操作圧センサ29は、操作圧センサ29LA、29LB、29RA、29RB、29DL、29DRを含む。操作圧センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作の内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
同様に、操作圧センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作圧センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
コントローラ30は、操作圧センサ29の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。また、コントローラ30は、絞り18の上流に設けられた制御圧センサ19の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。絞り18は左絞り18L及び右絞り18Rを含み、制御圧センサ19は左制御圧センサ19L及び右制御圧センサ19Rを含む。
左センターバイパス管路60Lには、最も下流にある制御弁176Lと作動油タンクとの間に左絞り18Lが配置されている。そのため、左メインポンプ14Lが吐出した作動油の流れは、左絞り18Lで制限される。そして、左絞り18Lは、左レギュレータ13Lを制御するための制御圧を発生させる。左制御圧センサ19Lは、この制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、この制御圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。コントローラ30は、この制御圧が大きいほど左メインポンプ14Lの吐出量を減少させ、この制御圧が小さいほど左メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御される。
具体的には、図14で示されるようにショベルPSにおける油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左センターバイパス管路60Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油が左センターバイパス管路60Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。なお、コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。
上述のような構成により、図14の油圧システムは、待機状態においては、メインポンプ14における無駄なエネルギ消費を抑制できる。無駄なエネルギ消費は、メインポンプ14が吐出する作動油がセンターバイパス管路60で発生させるポンピングロスを含む。また、図14の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14から必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。
次に、図15A〜図15Dを参照し、コントローラ30がマシンコントロール機能によってアクチュエータを動作させるための構成について説明する。図15A〜図15Dは、油圧システムの一部を抜き出した図である。具体的には、図15Aは、アームシリンダ8の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、図15Bは、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。図15Cは、バケットシリンダ9の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、図15Dは、旋回油圧モータ2Aの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
図15A〜図15Dに示すように、油圧システムは、比例弁31及びシャトル弁32を含む。比例弁31は、比例弁31AL〜31DL及び31AR〜31DRを含み、シャトル弁32は、シャトル弁32AL〜32DL及び32AR〜32DRを含む。
比例弁31は、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁31は、パイロットポンプ15とシャトル弁32とを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。図15A〜図15Dに示す例では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31及びシャトル弁32を介し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。
シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有する。2つの入口ポートのうちの1つは操作装置26に接続され、他方は比例弁31に接続されている。出口ポートは、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに接続されている。そのため、シャトル弁32は、操作装置26が生成するパイロット圧と比例弁31が生成するパイロット圧のうちの高い方を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。
例えば、図15Aに示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
左操作レバー26LにはスイッチNSが設けられている。図15Aに示す例では、スイッチNSは、左操作レバー26Lの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチNSを押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチNSは、右操作レバー26Rに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。
操作圧センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31ALは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31AL及びシャトル弁32ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ARは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31AR及びシャトル弁32ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31AL、31ARは、制御弁176L、176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31AL及びシャトル弁32ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、アーム5を閉じることができる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31AR及びシャトル弁32ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、アーム5を開くことができる。
また、図15Bに示すように、右操作レバー26Rは、ブーム4を操作するために用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
操作圧センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31BLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BL及びシャトル弁32BLを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BR及びシャトル弁32BRを介して制御弁175Lの左側パイロットポート及び制御弁175Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BL、31BRは、制御弁175L、175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BL及びシャトル弁32BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、ブーム4を上げることができる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BR及びシャトル弁32BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、ブーム4を下げることができる。
また、図15Cに示すように、右操作レバー26Rは、バケット6を操作するためにも用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁174のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、バケット開き方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の右側パイロットポートに作用させる。
操作圧センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31CLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CL及びシャトル弁32CLを介して制御弁174の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CR及びシャトル弁32CRを介して制御弁174の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CL、31CRは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CL及びシャトル弁32CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、バケット6を閉じることができる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CR及びシャトル弁32CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、バケット6を開くことができる。
また、図15Dに示すように、左操作レバー26Lは、旋回機構2を操作するためにも用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁173のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、左旋回方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、右旋回方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の右側パイロットポートに作用させる。
操作圧センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
比例弁31DLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DL及びシャトル弁32DLを介して制御弁173の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DR及びシャトル弁32DRを介して制御弁173の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DL、31DRは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
この構成により、コントローラ30は、操作者による左旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DL及びシャトル弁32DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、旋回機構2を左旋回させることができる。また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DR及びシャトル弁32DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、旋回機構2を右旋回させることができる。
ショベルPSは、下部走行体1を自動的に前進・後進させる構成を備えていてもよい。この場合、左走行油圧モータ2MLの操作に関する油圧システム部分、及び、右走行油圧モータ2MRの操作に関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
また、操作装置26の形態として油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作レバーに関する説明を記載したが、油圧式操作レバーではなく電気式パイロット回路を備えた電気式操作レバーが採用されてもよい。この場合、電気式操作レバーのレバー操作量は、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、電気式操作レバーを用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、レバー操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。なお、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
次に、図16を参照し、コントローラ30の機能について説明する。図16は、コントローラ30の機能ブロック図である。図16の例では、コントローラ30は、姿勢検出装置、操作装置26、空間認識装置70、向き検出装置71、情報入力装置72、測位装置P1及びスイッチNS等の少なくとも1つが出力する信号を受け、様々な演算を実行し、比例弁31、表示装置40及び音声出力装置43等の少なくとも1つに制御指令を出力できるように構成されている。姿勢検出装置は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4及び旋回角速度センサS5を含む。コントローラ30は、位置算出部30A、軌道取得部30B及び自律制御部30Cを機能要素として有する。各機能要素は、ハードウェアで構成されていてもよく、ソフトウェアで構成されていてもよい。
位置算出部30Aは、測位対象の位置を算出するように構成されている。図16に示す例では、位置算出部30Aは、アタッチメントの所定部位の基準座標系における座標点を算出する。所定部位は、例えば、バケット6の爪先である。基準座標系の原点は、例えば、旋回軸とショベルPSの接地面との交点である。位置算出部30Aは、例えば、ブーム4、アーム5及びバケット6のそれぞれの回動角度からバケット6の爪先の座標点を算出する。位置算出部30Aは、バケット6の爪先の中央の座標点だけでなく、バケット6の爪先の左端の座標点、及び、バケット6の爪先の右端の座標点を算出してもよい。この場合、位置算出部30Aは、機体傾斜センサS4の出力を利用してもよい。
軌道取得部30Bは、ショベルPSを自律的に動作させるときにアタッチメントの所定部位が辿る軌道である目標軌道を取得するように構成されている。図16に示す例では、軌道取得部30Bは、自律制御部30CがショベルPSを自律的に動作させるときに利用する目標軌道を取得する。具体的には、軌道取得部30Bは、不揮発性記憶装置に記憶されている目標施工面に関するデータに基づいて目標軌道を導き出す。軌道取得部30Bは、空間認識装置70が認識したショベルPSの周囲の地形に関する情報に基づいて目標軌道を導き出してもよい。或いは、軌道取得部30Bは、揮発性記憶装置に記憶されている姿勢検出装置の過去の出力からバケット6の爪先の過去の軌跡に関する情報を導き出し、その情報に基づいて目標軌道を導き出してもよい。或いは、軌道取得部30Bは、アタッチメントの所定部位の現在位置と目標施工面に関するデータとに基づいて目標軌道を導き出してもよい。
自律制御部30Cは、ショベルPSを自律的に動作させるように構成されている。図16に示す例では、所定の開始条件が満たされた場合に、軌道取得部30Bが取得した目標軌道に沿ってアタッチメントの所定部位を移動させるように構成されている。具体的には、スイッチNSが押されている状態で操作装置26が操作されたときに、所定部位が目標軌道に沿って移動するように、ショベルPSを自律的に動作させる。
図16に示す例では、自律制御部30Cは、アクチュエータを自律的に動作させることで操作者によるショベルの手動操作を支援するように構成されている。例えば、自律制御部30Cは、操作者がスイッチNSを押しながら手動でアーム閉じ操作を行っている場合に、目標軌道とバケット6の爪先の位置とが一致するようにブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9の少なくとも1つを自律的に伸縮させてもよい。この場合、操作者は、例えば、左操作レバー26Lをアーム閉じ方向に操作するだけで、バケット6の爪先を目標軌道に一致させながら、アーム5を閉じることができる。この例では、主な操作対象であるアームシリンダ8は「主要アクチュエータ」と称される。また、主要アクチュエータの動きに応じて動く従動的な操作対象であるブームシリンダ7及びバケットシリンダ9は「従属アクチュエータ」と称される。
図16に示す例では、自律制御部30Cは、比例弁31に電流指令を与えて各アクチュエータに対応する制御弁に作用するパイロット圧を個別に調整することで各アクチュエータを自律的に動作させることができる。例えば、右操作レバー26Rが傾倒されたか否かにかかわらず、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9の少なくとも1つを動作させることができる。
本願は、2017年12月21日に出願した日本国特許出願2017−245454号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。