JPWO2019124423A1 - がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤 - Google Patents

がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、(A)メトホルミンと、(B)(i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種とを含む、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤を提供する。

Description

本発明は、主にがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤に関する。
昨今、免疫チェックポイント阻害剤が注目されている。
特許文献1には、免疫チェックポイント阻害剤における有効成分の一つとして知られている抗PD-1抗体とともにメトホルミンを併用することでがんの進行をより効果的に抑制でき、これが治療、予防及び/又は再発予防剤として利用できることが開示されている。
国際公開WO2016/027764号公報
本発明は、より効果の高いがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、よりいっそうの効果的ながんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予の方法を検討したところ、腫瘍微小環境は、(1)低グルコース、(2)低酸素、(3)低pH、という正常組織とは全く異なる環境として存在しており、このことが腫瘍に浸潤したT細胞の機能を著しく低下させていることに着目した。そして、腫瘍内の低グルコース、低酸素及び低pHを改善することで、優れたがん免疫療法を確立できることに思い至った。本願発明は、係る着想に基づき、さらに検討を重ねて完成したものである。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1](A)メトホルミンと、
(B)(i)グルコース、
(ii)酸素、及び
(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種と
を含む、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[2](i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムの3種を含む、[1]に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[3]抗PD-1抗体をさらに含む、[1]又は[2]に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[4][1]〜[3]のいずれか1項に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤であって、
頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、胆嚢癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、膣癌、外陰部癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、胸腺癌、胸腺腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫及び膠芽腫及び胸膜中皮腫から選択されるいずれか1種以上のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[5]絶食状態の患者に投与するための、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[6]免疫疲弊状態のがん患者に用いるための、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[7]がん患者に対する(A)メトホルミンと、(B)(i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種とを含む、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤の効果を予測するために、がん患者が免疫疲弊状態を有するか否かを検査する方法であって、
がん患者が免疫疲弊状態を有する場合、前記がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は治療効果を有すると予測できる、方法。
本発明は、以下の態様をさらに包含する。
[A]メトホルミンとグルコースを有効成分とするがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[B]抗PD-1抗体を有効成分として含むがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤であって、メトホルミンとグルコースを含むことを特徴とするがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[C]抗PD-1抗体を有効成分として含み、メトホルミンとグルコースを組み合わせて投与されるがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
[D][A]〜[C]のいずれか1項に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤であって、
頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、膣癌、外陰部癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫及び膠芽腫及び胸膜中皮腫から選択されるいずれか1種以上のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
本発明によれば、より効果的ながんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤を提供できる。
実施例1における平均腫瘍径のグラフ(上図)と、生存率のグラフ(下部)である。 実施例2における平均腫瘍径のグラフ(上図)と、生存率のグラフ(下部)である。 実施例2における血糖値推移のグラフである。 実施例3における平均腫瘍径のグラフ(上図)と、生存率のグラフ(下部)である。 実施例3における血糖値推移のグラフである。 実施例4における平均腫瘍径(Average tumor diameter(mm))のグラフ(左図)と、平均腫瘍体積(Average tumor volume(mm3))のグラフ(右図)である。横軸は、腫瘍の移植後の日数(Days after tumor inoculation)を示す。 実施例5における平均腫瘍径(Average tumor diameter(mm))のグラフ(左図)と、平均腫瘍体積(Average tumor volume(mm3))のグラフ(右図)である。横軸は、腫瘍の移植後の日数(Days after tumor inoculation)を示す。 実施例6における平均腫瘍径(Average tumor diameter(mm))のグラフ(左図)と、平均腫瘍体積(Average tumor volume(mm3))のグラフ(右図)である。横軸は、腫瘍の移植後の日数(Days after tumor inoculation)を示す。 実施例7における平均腫瘍径(Average tumor diameter(mm))のグラフ(左図)と、平均腫瘍体積(Average tumor volume(mm3))のグラフ(右図)である。横軸は、腫瘍の移植後の日数(Days after tumor inoculation)を示す。 実施例8における平均腫瘍径(Average tumor diameter(mm))のグラフ(左図)と、平均腫瘍体積(Average tumor volume(mm3))のグラフ(右図)である。横軸は、腫瘍の移植後の日数(Days after tumor inoculation)を示す。 実施例9における平均腫瘍径(Average tumor diameter(mm))のグラフ(左図)と、平均腫瘍体積(Average tumor volume(mm3))のグラフ(右図)である。横軸は、腫瘍の移植後の日数(Days after tumor inoculation)を示す。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は
(A)メトホルミンと、
(B)(i)グルコース、
(ii)酸素、及び
(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種とを含む。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、メトホルミンを必須の有効成分として含む。メトホルミンは、ビグアニド系抗糖尿病薬として知られる公知の医薬である。メトホルミンをはじめとするビグアニド系抗糖尿病薬は、糖尿病治療薬としての効果に加えて、がん罹患率、がん死亡率が低下することが知られている。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、上記メトホルミンと組み合わせて、有効成分として(i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む。(i)、(ii)及び(iii)のいずれか1種を含むこと、(i)、(ii)及び(iii)のいずれか2種((i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(ii)及び(iii)のいずれかの組み合わせ)を含むこと、(i)、(ii)及び(iii)の3種すべてを含むことができる。
グルコース(ブドウ糖ともいう)は、単糖の一種であり、ヘキソース(六炭糖)およびアルドースに分類される。グルコースは好ましくはD−グルコースである。
酸素は、酸素分子を含む若しくは生成可能な固形化合物(例えば、酸素分子及びナトリウム塩を含む化合物)として経口投与、酸素分子を水などの溶媒に溶解させた溶液(好ましくは、濃縮水溶液)として経口投与、ガス吸入による投与などの方法により投与することができる。
本発明の好ましい態様において、酸素はミネラル分でコーティングされた濃縮酸素水の形態で投与することができる。このような形態の市販品として、オーツーサプリ、オーツーサプリアスリートモデル(株式会社タイムワールド製)などが例示される。
また、本発明の酸素として、「Stabilized Oxygen」、「Liquid Oxygen」として販売される製品(例えば、酸素サプリメントとして販売される製品)を使用することができる。
有効成分であるメトホルミンは、成人1日当たり250〜3000 mg、好ましくは500〜2500 mg、より好ましくは750〜2500 mg程度、特に750〜1500 mg程度を投与することができる。
有効成分であるグルコースは、成人1日当たり2g〜12g、好ましくは3g〜9g、より好ましくは4g〜9g程度、特に4g〜6g程度を投与することができる。
有効成分である酸素は、成人1日当たり200mg〜1200mg、好ましくは400mg〜1000mg、より好ましくは500mg〜900mg程度、特に600mg〜800mg程度を投与することができる。
有効成分である炭酸水素ナトリウムは、成人1日当たり0.1g〜8g、好ましくは0.5g〜6g、より好ましくは1〜5g程度、特に2g〜4g程度を投与することができる。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、さらに他の有効成分を含むことができる。他の有効成分としては、例えば抗PD−1抗体などの免疫チェックポイント阻害薬、アスピリン、スタチン類、クルクミン、ベルベリン、ロイヤルゼリー、プロポリス、グルコーストランスポーターが上昇する抗がん剤、がんワクチンなどが挙げられ、抗PD−1抗体、アスピリンがより好ましい。
上記の有効成分は1日1回でもよく、2〜4回に分けて投与してもよい。さらに、必要に応じて数日間にわたり投与することができ、投与間隔、投与回数は適宜決定することができる。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、各有効成分を別々に投与してもよく、一部の有効成分又はすべての有効成分を組み合わせて投与してもよい。別々に投与する場合は、その投与の順番は限定されない。また、上記投与において、一定期間、両薬剤が同時に投与される期間があってもよい。また、各々の薬剤の投与方法は同じでも異なっていてもよい。本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、複数の製剤のキットとして提供することもできる。
本発明の免疫能異常に伴う疾患の治療及び/又は予防剤は、製剤として提供することができる。製剤は経口剤でも非経口剤でもよく、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、吸入剤、液剤、ドリンク剤、注射剤、坐剤などが挙げられる。このような製剤にはさらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定剤のような補助剤を加えてもよい。また懸濁剤として投与することも可能である。
また錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、細粒剤等の固形製剤を調製するには、例えばデンプン、ショ糖、マンニトール、カルボキシメチルセルロース等の担体、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリン等の添加剤を加えて常法により行うことができる。またセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアルコールフタレート、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等の腸溶性物質の有機溶媒あるいは水中溶液を吹き付けて、腸溶性被膜を施して、腸溶性製剤として製剤化することもできる。薬学上許容しうる担体には、その他通常、必要により用いられる補助剤、芳香剤、安定剤又は防腐剤を含むことができる。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤が対象とするがんは、特に限定されず、例えば、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、胆嚢癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、膣癌、外陰部癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、胸腺癌、胸腺腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫及び膠芽腫及び胸膜中皮腫から選択されるいずれか1種以上が挙げられる。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、絶食状態の患者に投与すると特に効果が高い。ここで、絶食状態とは、1週間のうち継続して2日間の絶食をいう。2日間の絶食期間中、水分の摂取は行うことができるが、水分以外の摂取は行わない。これを毎週繰り返す。
或いは絶食状態の別の態様として、1日カロリー摂取量を標準摂取量の1/2〜1/3程度に減らし、これを数日〜1週間継続することもできる。これを、毎週、或いは隔週で繰り返す。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、効果が高いとの観点から、免疫疲弊状態のがん患者を対象とすることができる。がん患者が免疫疲弊状態にあることは、公知の手法により評価することができる。
免疫疲弊状態は、例えばCD8+T細胞におけるProgram cell death protein 1(PD-1)、T cell membrane protein 3 (Tim-3)等の疲弊マーカーの発現の有無により評価することができる。具体的には、疲弊マーカーの発現がある場合、免疫疲弊状態にあると評価することができる(例えば、日本国特開2014-214093号参照)。
また、CD8+T細胞におけるTNFα、IFNγ、IL−2などのサイトカインの産生量が、健常者に比して低下していることを免疫疲弊状態の指標とすることができる(例えば、特許文献1参照)。
また、採取した免疫細胞(例えば、末梢血に含まれる単核球(PBMC)、特にCD8+T細胞)をメトホルミンなどのビグアニド系抗糖尿病薬を有効成分として含む薬剤で、in vitroで処理し、当該処理した細胞についてIL-2、TNFα及びIFNγの3種類のサイトカインの産生能を測定し、当該3種類のサイトカイン産生能がいずれも陽性である細胞の陽性率を指標とすることができる。
本発明のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は、がん患者が免疫疲弊状態を有するかを評価し、免疫疲弊状態を有する患者が治療効果を有すると予測した上で、当該がん患者に投与することができる。
本発明は、以下の態様も包含する。
−がん患者に、有効量の(A)メトホルミンと、(B)(i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種と
を含む、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤を含む、がんの治療方法。
−がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防に使用するための、(A)メトホルミンと、(B)(i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせ。
−がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤を製造するための、(A)メトホルミンと、(B)(i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせ。
以下において、実施例を示しながら、本発明を詳説する。
[実施例1]
8週齢のメスのマウス(C57BL/6)を用いて実験を行った。マウスの背部皮内に卵白アルブミン発現B16メラノーマを移植腫瘍として約2.2×106個移植し、移植後7日目から適宜の薬剤投与を開始した。
実施例1として、メトホルミンを投与した群と、グルコースを投与した群と、メトホルミンとグルコースを併用投与した群と、コントロールとしての未投与群として、実験を行った。ここで、メトホルミンの投与は、メトホルミンの濃度を5mg/mlとした水の自由飲水として投与した。また、グルコースの投与は、グルコースの濃度を2mg/mlとした水の自由飲水として投与した。また、メトホルミンとグルコースを併用投与は、メトホルミンの濃度を5mg/mlとし、グルコースの濃度を2mg/mlとした水の自由飲水として投与した。実験結果を図1に示す。
図1上図に示すように、メトホルミンあるいはグルコースを投与することで、腫瘍の成長を抑制することができ、さらにはメトホルミンとグルコースを併用投与することで、腫瘍の成長をさらに抑制することができた。その結果として、図1下図に示すように、生存率を向上させることができた。
すなわち、メトホルミンとグルコースの併用投与によりがんの進行を効果的に抑制でき、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤として用いることができることを確認した。
[実施例2]
実施例2として、抗PD-1抗体を投与した群と、グルコースを投与した群と、抗PD-1抗体とグルコースを併用投与した群と、コントロールとしての未投与群として、実験を行った。ここでも、グルコースの投与は、グルコースの濃度を2mg/mlとした水の自由飲水として投与した。抗PD-1抗体は、10mg/kgで腹腔内投与しており、6日ごとに計4回として投与した。実験結果を図2に示す。
図2上図に示すように、抗PD-1抗体あるいはグルコースを投与することで、腫瘍の成長を抑制することができたが、抗PD-1抗体とグルコースをを併用投与しても併用効果は得られなかった。また、図2下図に示すように、第1実施例の場合と同程度の生存率の向上効果は得られなかった。
本実施例では、グルコースを投与しているが、このグルコースの投与による血糖値の影響を確認した結果を図3に示す。図3に示すように、グルコースの投与によって血糖値に異常が生じることはなかった。
以上のことから、抗PD-1抗体とグルコースの併用投与では、がんの進行を抑制できないことが確認された。
[実施例3]
実施例3として、抗PD-1抗体とメトホルミンを併用投与した群と、グルコースを投与した群と、抗PD-1抗体とメトホルミンとグルコースを併用投与した群と、コントロールとしての未投与群として、実験を行った。ここでも、抗PD-1抗体とメトホルミンを併用投与する際には、抗PD-1抗体を10mg/kgで腹腔内投与とし、6日ごとに計4回として投与し、メトホルミンを、メトホルミンの濃度を5mg/mlとした水の自由飲水として投与した。また、グルコースの投与は、グルコースの濃度を2mg/mlとした水の自由飲水として投与した。また、抗PD-1抗体とメトホルミンとグルコースの併用投与は、抗PD-1抗体を10mg/kgで腹腔内投与とし、6日ごとに計4回として投与し、メトホルミンとグルコースを、メトホルミンの濃度を5mg/mlとし、グルコースの濃度を2mg/mlとした水の自由飲水として投与した。実験結果を図4に示す。
図4上図に示すように、グルコースを投与することで、腫瘍の成長を抑制することができ、抗PD-1抗体とメトホルミンを併用投与することで、腫瘍の成長をさらに抑制することができ、抗PD-1抗体とメトホルミンとグルコースを併用投与することで、腫瘍の成長をほぼ確実に抑制することができた。その結果として、図4下図に示すように、生存率を向上させることができた。
また、グルコースの投与による血糖値の影響を確認した結果を図5に示す。図5に示すように、グルコースの投与によって血糖値に異常が生じることはなかった。
すなわち、抗PD-1抗体とともにメトホルミンとグルコースを併用投与することで、がんの進行を効果的に抑制でき、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤として用いることができることを確認した。
なお、メトホルミンとグルコースは、抗PD-1抗体と併用するのではなく、抗PD-1抗体と、メトホルミンと、グルコースとを含有する合剤として服用あるいは投与してもよい。
[実施例4]
Meth A 繊維肉腫(fibrosarcoma)細胞を2.2 x 105 個、BALB/cマウスの背部皮内に移植し、その7日後にO2サプリを自由飲水にて投与した。O2サプリは株式会社タイムワールド(アスリートモデル)を使用し、マウス用の給水ボトル(200mL水)に5 プッシュ入れたものを用いた(最終濃度は約200ppm)。
結果を図6に示す。O2サプリを与えなかったコントロール群に比べ、O2サプリを与えた群では軽微な腫瘍増殖抑制効果が認められた。
[実施例5]
Meth A 繊維肉腫(fibrosarcoma)細胞を2.2 x 105 個、BALB/cマウスの背部皮内に移植し、その7日後にメトホルミン(給水瓶中5 mg/mL濃度)単独、或いはメトホルミンとO2サプリ(最終濃度は約200ppm)を自由飲水にて開始した。メトホルミンとO2サプリは同一の給水瓶に入れた。
結果を図7に示す。メトホルミンはO2サプリとの併用により、単独治療の場合よりもさらに強い腫瘍抑制効果をもたらした。
[実施例6]
Meth A 繊維肉腫(fibrosarcoma)細胞を2.2 x 105 個、BALB/cマウスの背部皮内に移植し、その7日後に抗PD-1抗体(10 mg/kg, 腹腔内投与)単独、或いは抗PD-1抗体とO2サプリ(約200ppm, 自由飲水)を開始した。抗PD-1抗体は6日間隔で計4回投与した。
結果を図8に示す。抗PD-1抗体単独治療の場合と比較し、抗PD-1抗体とO2サプリとの併用は有意な相乗効果を示さなかった。
[実施例7]
Meth A 繊維肉腫(fibrosarcoma)細胞を2.2 x 105 個、BALB/cマウスの背部皮内に移植した。その7日後にメトホルミン(給水瓶中5 mg/mL濃度)単独、またはメトホルミンとO2サプリ(最終濃度は約200ppm)とグルコース(Glc)(給水瓶中2 mg/mL濃度)を自由飲水にて開始した。
メトホルミン、O2サプリとグルコースは同一の給水瓶に入れた。
結果を図9に示す。メトホルミンはO2サプリとグルコースの併用により、単独治療の場合よりも明らかに強い腫瘍抑制効果をもたらした。
[実施例8]
Meth A 繊維肉腫(fibrosarcoma)細胞を2.2 x 105 個、BALB/cマウスの背部皮内に移植し、その7日後にメトホルミン(給水瓶中5 mg/mL濃度)単独、炭酸水素ナトリウム単独(NaHCO3最終濃度は200mM)、或いはメトホルミンと炭酸水素ナトリウムを自由飲水にて開始した。メトホルミンと炭酸水素ナトリウムは同一の給水瓶に入れた。
結果を図9に示す。メトホルミンは炭酸水素ナトリウムとの併用により、それぞれの単独治療の場合よりもさらに強い腫瘍抑制効果をもたらした。
[実施例9]
3LL (肺腺癌)細胞を2.2 x 105 個、C57BL/6 (B6)マウスの背部皮内に移植した。その7日後にメトホルミン+グルコース+O2サプリ(G-MO)、メトホルミン+グルコース+O2サプリ+炭酸水素ナトリウム(G-MOC)、または、G-MOC+抗PD-1抗体の投与を開始した。
メトホルミンとO2サプリとグルコースは同一の給水瓶に入れた。炭酸水素ナトリウムは2ミリモルを連日腹腔内に投与した(炭酸水素ナトリウムによるpH上昇効果は、胃酸によるpH低下に伴うO2サプリからの酸素ガス発生を抑制すると考えられるため、本実験では腹腔内投与を行った)。
結果を図10に示す。G-MOCはG-MOよりも明らかに強い腫瘍抑制効果をもたらした。G-MOC+抗PD-1抗体は、G-MOCよりも有意な抗腫瘍抑制効果を示した。
[実施例10]
4T1 (乳癌)細胞を2.2 x 105 個、C57BL/6 (B6)マウスの背部皮内に移植した。その7日後に絶食48時間(Fasting)、G-MOC、さらには、G-MOC+Fastingの治療を開始した。Fasting は軽微の腫瘍増殖抑制効果を示した。
メトホルミンとO2サプリとグルコースは同一の給水瓶に入れてある。炭酸水素ナトリウムは2ミリモルを連日腹腔内に投与した。Fastingはday7-9(48時間), day14-16(48時間)の2度行った。
結果を図11に示す。G-MOCは有意な腫瘍抑制効果をもたらした。Fastingとの併用(G-MOC+Fasting)により格段に優れた腫瘍増殖抑制効果をもたらした。

Claims (7)

  1. (A)メトホルミンと、
    (B)(i)グルコース、
    (ii)酸素、及び
    (iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種と
    を含む、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
  2. (i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムの3種を含む、請求項1に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
  3. 抗PD-1抗体をさらに含む、請求項1又は2に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤であって、
    頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、胆嚢癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、膣癌、外陰部癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、胸腺癌、胸腺腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、悪性黒色腫及び膠芽腫及び胸膜中皮腫から選択されるいずれか1種以上のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
  5. 絶食状態の患者に投与するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
  6. 免疫疲弊状態のがん患者に用いるための、請求項1〜5のいずれか1項に記載のがんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤。
  7. がん患者に対する(A)メトホルミンと、(B)(i)グルコース、(ii)酸素、及び(iii)炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種とを含む、がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤の効果を予測するために、がん患者が免疫疲弊状態を有するか否かを検査する方法であって、
    がん患者が免疫疲弊状態を有する場合、前記がんの進行抑制、治療、予防及び/又は再発予防剤は治療効果を有すると予測できる、方法。
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