JPWO2019098291A1 - ポジトロン放出核種標識タンパク質の合成方法 - Google Patents

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Abstract

ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体を用いて、無細胞タンパク質合成系により、ポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法であって、該無細胞タンパク質合成系が、タンパク質合成に関与する因子によって再構成された系であり、該方法は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体として、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を用い、該方法は、さらに、終止コドンが導入されたテンプレート核酸、該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA、及び該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用いる、方法。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年11月15日に出願された、日本国特許出願第2017−219798号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
本発明はポジトロン放出核種によるタンパク質標識方法に関する。
ポジトロン放出核種は、分子イメージングに極めて有用な因子であり、Positron Emission Tomography(PET)を用いた診断、薬物導体への利用について研究が進められている。ここで、ポジトロン放出核種で標識する対象として、ペプチド、タンパク質等が注目されている。かかる状況の下、本発明者らは、ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体を用い、細胞から抽出精製されたタンパク質合成に関与する因子によって再構成された無細胞タンパク質合成系により、ポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法を開発しており、当該方法については特許も取得されている(特許文献1)。特許文献1にかかる方法は、20種類の天然アミノ酸から1種類の天然アミノ酸を除き、その代わりにポジ卜ロン標識アミノ酸を加え、無細胞タンパク質合成系によってポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法に関する(図1)。しかし、この方法は目的のタンパク質のアミノ酸配列中に含まれる特定のアミノ酸を置換するため、ポジトロン放出核種標識アミノ酸の種類によっては、これを導入できるタンパク置のアミノ酸配列の種類が限定され得ること、天然のアミノアシル合成酵素/tRNAペアを用いて18F標識アミノ酸1等の標識アミノ酸を導入しているため導入効率が必ずしも高くない等の問題点がある。
一方、ポジトロン放出核種標識アミノ酸をタンパク質の無細胞標識合成の原料として使用するためには、当該ポジトロン放出核種標識アミノ酸は、微量の水溶液(緩衝液)に溶解した状態で得る必要がある。非特許文献4には、サイクロトロンを用いて製造される18F−フッ素イオンを標識反応に用いるために、18F−フッ素イオンをKryptofix 2.2.2(K.222)(登録商標)とカリウムイオン(K+)のコンプレックス(クリプタンド、K.222/K+)と一緒に無水の有機溶媒に溶かして活性化し、これをそのまま20μL以下に濃縮する方法が開示されている。この方法ではK.222/K+の濃度が必要以上に高くなり標識反応が阻害される。また従来の方法では、水溶液で得られた18F−フッ素イオンをアセトニトリルとの共沸乾固操作を繰り返して無水化する時間と手間がかかる。
日本国特許5590540号公報
Young DD et al., Biochemistry (2011) 50, 1894-1900 Young TS et al., J. Mol. Biol. (2010) 395, 361-374 Tolmachev V et al., Bioconjugate Chem (2010), 21, 2013-2022 Iwata R, et al., Appl. Radiat. Isot. (2017) 125, 113-118 Shimizu Y et al., Nature Biotechnology (2001) 19, 751-755
本発明は、20種類の天然アミノ酸のうち1種類を、対応するポジ卜ロン標識アミノ酸に入れ替える方法等の従来法とは異なる、新たなポジトロン放出核種標識タンパク質合成方法を提供することを課題とする。
本発明は、こうしたポジトロン放出核種標識タンパク質合成の原料であるポジトロン放出核種標識アミノ酸の合成における問題点を解決する新たな方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意研究した結果、20種類の天然アミノ酸のうち1種類に代えて、対応するポジ卜ロン標識アミノ酸を用いるのではなく、目的とするタンパク質をコードする標的テンプレート核酸に終止コドンを挿入し、当該終止コドンの位置にポジトロン放出核種標識アミノ酸を導入することによって、ポジトロン放出核種標識タンパク質を合成できることを見出した。また本発明は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸の合成において、サイクロトロンで得られたポジトロン放出核種イオン水溶液を陰イオン交換カラムで吸着し、クリプタンドを含む溶液で脱着した後陽イオン交換カラムで大部分のクリプタンドを除去して、ポジトロン放出核種イオンと微量のクリプタンドの溶液として回収し、非天然アミノ酸を含む反応前駆体と混合することにより、クリプタンドの必要以上の濃縮による標識反応阻害を回避し、時間や工程数を削減して合成できることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。従って、本発明は以下の項にかかる発明を提供する:
項1.ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体を用いて、無細胞タンパク質合成系により、ポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法であって、
該無細胞タンパク質合成系が、タンパク質合成に関与する因子によって再構成された系であり、
該方法は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体として、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を用い、
該方法は、さらに、終止コドンが導入されたテンプレート核酸、
該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA、及び
該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用いる、方法。
項2.標識に用いるポジトロン放出核種が11C、18F、又は124Iである、項1に記載の方法。
項3.ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸がO−[(18F)フルオロメチル]チロシン、O−[(18F)フルオロエチル]チロシン、又は4−ボロノ−2−(18F)フルオロフェニルアラニンである、項1又は2に記載の方法。
項4.テンプレート核酸が、天然のタンパク質をコードする核酸配列のオープンリーディングフレームのフレームシフトを起こさない任意の位置へ終止コドンが挿入されている、又はオープンリーディングフレーム上のチロシン残基またはフェニルアラニン残基を指定するコドンと終止コドンとが置換されている核酸配列を含む、項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
項5.終止コドンが、アンバーコドンである項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
項6.以下の構成要素を含む、ポジトロン放出核種標識タンパク質を無細胞タンパク質合成系で合成するためのキット:
1)ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸
2)終止コドンが導入されたテンプレート核酸
3)該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA
4)該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素。
項7.ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸、終止コドンが導入されたテンプレートDNA、該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA及び該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用い、無細胞タンパク質合成系によりポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する手段を有する、ポジトロン放出核種標識タンパク質合成装置。
項8.標識に用いるポジトロン放出核種が11C、18F、又は124Iである、項6に記載のキット又は項7に記載の装置。
項9.ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸がO−[(18F)フルオロメチル]チロシン、O−[(18F)フルオロエチル]チロシン、又は4−ボロノ−2−(18F)フルオロフェニルアラニンである、項6に記載のキット、項7に記載の装置又は項8に記載のキットもしくは装置。
項10.項1〜5のいずれか1項に記載の方法を利用したPET診断用薬剤あるいは試験用薬剤の製造方法。
項11.ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を1以上含む、ポジトロン放出核種標識タンパク質。
項12.ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸が、天然のタンパク質のアミノ酸配列における任意の位置への挿入、または天然のタンパク質のアミノ酸配列におけるチロシン残基又はフェニルアラニン残基の位置での置換によって導入されている、項11に記載のポジトロン放出核種標識タンパク質。
項13.ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸が、O−[(18F)フルオロメチル]チロシン、O−[(18F)フルオロエチル]チロシン、又は4−ボロノ−2−(18F)フルオロフェニルアラニンである項11又は12に記載のポジトロン放出核種標識タンパク質。
項14.ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸の製造方法であって、
以下の工程により、ポジトロン放出核種イオンとアミノ酸由来の反応前駆体との標識反応を行うための混合物を得ることを特徴とする方法:
(1)ポジトロン放出核種イオンを含む水溶液を陰イオン交換カラムに供し、ポジトロン放出核種イオンを該陰イオン交換カラムに吸着させる工程、
(2)クリプタンドを含む溶液を該陰イオン交換カラムに供しポジトロン放出核種イオンを脱着させ、ポジトロン放出核種イオン及びクリプタンドを含む混合溶液を回収する工程、
(3)該混合溶液を陽イオン交換カラムに供してクリプタンドを該陽イオン交換カラムに吸着させ、ポジトロン放出核種イオンが濃縮された濃縮混合溶液を回収する工程、
(4)上記濃縮混合溶液またはその留去後の残渣に反応前駆体を添加し、ポジトロン放出核種イオン、クリプタンド及び反応前駆体を含む混合物を得る工程。
項15.前記(3)の工程で回収した濃縮混合液に、該濃縮混合溶液の溶媒より沸点の高い溶媒を高沸点溶媒として添加し、該高沸点溶媒を添加した濃縮混合溶液の留去後の残渣を前記工程(4)に記載の留去後の残渣とする、項14に記載の方法。
項16.標識に用いるポジトロン放出核種が11C、18F、又は124Iである、項14又は15に記載の方法。
項17.クリプタンドがカリウムイオンと錯形成している項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
本発明によれば、20種類の天然アミノ酸のうち1種類を、対応するポジ卜ロン標識アミノ酸に入れ替える方法等の従来法とは異なる、新たなポジトロン放出核種標識タンパク質合成方法を提供することができる。また本発明によれば、従来のポジトロン放出核種標識アミノ酸の合成法に比べ時間や工程数を減らし、回収率を向上できる新たな合成法を提供することができる。
図1は、従来の無細胞タンパク質合成試薬とポジトロン放出核種標識アミノ酸を用いてポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法を示す(日本国特許第5590540号)。A:19種類の天然アミノ酸。B:通常のtRNAとその合成酵素(プロリン)。C:通常の無細胞タンパク質試薬及びリボソーム。D:ポジトロン標識タンパク質。1.18F標識アミノ酸(18F-フルオロプロリン) 本発明の方法を示す。A:20種類の天然アミノ酸。B:通常の無細胞タンパク質試薬及びリボソーム。C:ポジトロン標識タンパク質。1.18F標識アミノ酸(18F-フルオロメチルチロシン)。2.フルオロチロシン-tRNA合成酵素。フルオロチロシンをtRNAに導入することが可能な改良型アミノアシルtRNA合成酵素。3.tRNA。フルオロチロシンtRNA合成酵素によりフルオロチオシンと結合するtRNA。4.終止コドンを導入した遺伝子(ATG-TAG-・・・)。非天然アミノ酸を導入したい位置に終止コドンを導入したDNA。 18F−FETを含むヒトIL−8のアミノ酸配列を示す。 ゲルオートラジオグラフィーにおいて、18F−FET−IL−8の合成結果を示す。 ゲルオートラジオグラフィーにおいて、変異型pCNF RS、tRNA CUAoptの異なる濃度による18F−FET−IL−8の合成結果を示す。 18F−FETを含むHE−tag−ZHER2:342のアミノ酸配列を示す。 ゲルオートラジオグラフィーにおいて、18F−FET−HE−tag−ZHER2:342の合成結果を示す。18F−FETを(A)8.9 MBq使用した場合と(B)492 MBq使用した場合 ゲルオートラジオグラフィーにおいて、18F−FET− HE−tag−ZHER2:342の放射化学純度を示す。 HE−tag−ZHER2:342の細胞結合実験の結果を示す。 HER2陽性SKOV−3移植ヌードマウスにおける18F−FET−HE−tag−ZHER2:342 PET画像を示す。右側は非標識ZHER2:342投与によるBlocking画像を示す。 18F−FETのマイクロスケール標識合成操作の1例を示す。 18F−FETの合成収率と反応溶媒量の関係を示す。((A)反応溶媒量と等量の18F−フッ素イオンを含むメタノールを留去した後に前駆体溶液を添加して反応した場合。(B)300μLの18F−フッ素イオンを含むメタノールを留去した後に前駆体溶液を添加して反応した場合。(C)300μLの18F−フッ素イオンを含むメタノールにDMSOを添加して留去した後に前駆体溶液を添加して反応した場合(方法1)。(D)300μLの18F−フッ素イオンを含むメタノールに前駆体溶液を添加して留去後反応して合成した場合(方法2)。 分析HPLCカラムによる18F−FETの迅速精製の例を示す。 実施例7における結合性試験の結果を示す。 18F−FETを含むZPD-L1のアミノ酸配列を示す。 実施例8において合成したO-[18F]フルオロエチル-L-チロシン標識Affibody (HE-tag-ZPD−L1_1)のゲルオートラジオグラフィーの結果を示す。 実施例9における結合性試験の結果を示す。 実施例10におけるPETイメージングの結果を示す。
ポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法
本発明は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体を用いて、無細胞タンパク質合成系により、ポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法であって、
該無細胞タンパク質合成系が、タンパク質合成に関与する因子によって再構成された系であり、
該方法は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体として、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を用い、
該方法は、さらに、終止コドンが導入されたテンプレート核酸、
該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA、及び
該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用いる、方法を提供する。
本明細書中において、「核酸」は、DNAおよびRNAの両方を含む。「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」はいずれも「核酸」に包含される。また、これらは2本鎖であっても1本鎖であってもよく、ある配列を有する「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」)といった場合、特に言及しない限り、これに相補的な配列を有する「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」)も包括的に意味するものとする。さらに、「ヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」)がRNAである場合、配列表に示される塩基記号「T」は「U」と読み替えられるものとする。
本発明において、「タンパク質」及び「ペプチド」は、オリゴペプチド及びポリペプチドを含む意味で用いられる。また、本明細書において、「タンパク質」及び「ペプチド」は、特に言及しない限り、糖鎖などによって修飾されているタンパク質及び非修飾のタンパク質の両方を包含するものとする。このことは、タンパク質であることが明記されていないタンパク質についても同様である。
本発明の方法は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体として、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を原料として用いる。本発明において、「非天然アミノ酸」とは、アミノ酸又はその誘導体であって、20種類の天然アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン)以外のものを意味し、典型的には、20種類の天然アミノ酸に対応するtRNAに結合しないものを示す。本明細書において、ポジトロン放出核種で標識した非天然アミノ酸を、単に酸を単にポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸と示すことがある。ここで、ポジトロン(陽電子)とは、正の電荷を有する電子を示す。また、ポジトロン放出核種とは、ポジトロンを放出する能力を有する元素(放射性同位元素)を意味する。ポジトロン放出核種としては、11C、13N、15O、18F、62Cu、68Ga、82Rb、124I等が挙げられ、11C、18F、124I等が好ましい。
ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸としては、特に限定されないが、例えば、ポジトロン放出核種標識された、メチルチロシン、エチルチロシン、フェニルアラニン等が挙げられる。より具体的には、例えば、O−[(18F)フルオロメチル]チロシン、O−[(18F)フルオロエチル]チロシン、又は4−ボロノ−2−(18F)フルオロフェニルアラニンが挙げられる。
これらのポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸は、例えば、下記実施例に記載の方法に従い、製造することができる。また、下記実施例に具体的に示したもの以外のポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸についても、下記実施例の記載に基づき、同様の方法により製造することができる。ポジトロン放出核種の半減期が短いため、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸は使用現場で用事調製することが望ましい。
本発明の方法は、さらに、終止コドンが導入されたテンプレート核酸を用いる。テンプレート核酸に終止コドンを導入する方法としては、この分野において公知の方法(例えば、文献非特許文献5に記載の方法)に準じて適宜行うことができる。テンプレート核酸への終止コドンの導入の位置は特に限定されないが、典型的には、例えば、天然のタンパク質をコードする核酸配列のオープンリーディングフレームのフレームシフトを起こさない任意の位置へ終止コドンを挿入することができる。また、オープンリーディングフレーム上のチロシン残基を指定するコドンと終止コドンとを置換することもできる。かかる方法は、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸として、ポジトロン放出核種標識された、メチルチロシン、エチルチロシン等を用いる場合に好ましい。また、オープンリーディングフレーム上のフェニルアラニン残基を指定するコドンと終止コドンとを置換することもできる。かかる方法は、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸として、ポジトロン放出核種標識されたフェニルアラニン等を用いる場合に好ましい。終止コドンとしては、特に限定されないが、アンバー(amber)コドン(UAG)、オパール(opal)コドン(UGA)、オーカー(ochre)コドン(UAA)が挙げられ、アンバーコドン等が好ましい。テンプレート核酸に導入する終止コドンの数は特に限定されないが、例えば、テンプレート核酸の核酸配列1つに対し、1〜4個、好ましくは3個の終止コドンを導入することが好ましい。本発明の方法により得られる当該標識タンパク質は、タンパク質1分子に対し導入されるポジトロン放出核種標識アミノ酸の数が比較的少なくてもPET等で検出できるため有用である。
本発明の方法は、さらに、前記テンプレート核酸に導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA、及び該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用いる。テンプレート核酸に導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNAとしては、前述した終止コドン(アンバー(amber)コドン(UAG)、オパール(opal)コドン(UGA)、オーカー(ochre)コドン(UAA)等、好ましくはアンバーコドン)を認識するものが挙げられる。
当該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素は、この分野において公知の方法、例えば、非特許文献1に記載の方法に基づき製造することができる。また、前記テンプレート核酸に導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNAもこの分野において公知の方法、例えば、非特許文献2に記載の方法に基づき製造することができる。本発明の方法は、テンプレート核酸に導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNAとこれに対応するアミノアシル−tRNA合成酵素を用いることによって、目的とするタンパク質のうち所望の位置に、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を挿入することができる。本発明の方法における、テンプレート核酸に導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNAの使用量は特に限定されないが、例えば、該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル-tRNA合成酵素(11〜33 μM)に対し、該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNAは5 μM〜15 μMとなるよう配合することが好ましく、アミノアシル-tRNA合成酵素(22 μM)に対して、tRNAを5 μMとなるよう配合することがより好ましい。
本発明においては、上記tRNA及びアミノアシル−tRNA合成酵素は、直交系tRNA及び直交系アミノアシル−tRNA合成酵素であることが好ましい。本発明において、あるtRNA及びアミノアシル−tRNA合成酵素について「直交系」とは、当該tRNAが、当該アミノアシル−tRNA合成酵素以外の酵素からはアミノ酸を受け取らないことを意味する。
本発明の方法によれば、上記原料を用い、無細胞タンパク質合成系によりタンパク質を合成することによって、所望の位置でポジトロン放出核種標識されたタンパク質を得ることができる。
無細胞タンパク質合成系とは、大腸菌等の細胞を直接用いずに、試験管内で転写、翻訳という一連のタンパク質合成の流れを行う合成系である。無細胞タンパク質合成系は、細胞にとって毒性となるタンパク質を生産できるという利点を有する。
無細胞タンパク質合成系としては、この分野において公知のものを適宜使用することができる。より具体的には、無細胞タンパク質合成系としては、例えば、細胞大腸菌、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球等の細胞を破砕し、膜成分を遠心分離で除いた細胞抽出液を使用したものが挙げられる。細胞抽出液を使用した無細胞タンパク質合成系としては、RTS 100 E.coli HY Kit (biotechrabbit)、RYTS Kit (Protein Express)、無細胞くん(太陽日酸)等が挙げられる。
無細胞タンパク質合成系は、当該系を構成する因子として、タンパク質合成に必要な、標識されていないアミノ酸(典型的には、天然アミノ酸等)を含む。また、無細胞タンパク質合成系を構成する因子としては、例えば、転写/翻訳のための因子、酵素、反応系においてエネルギーを再生するための酵素、転写、翻訳で生じる無機ピロリン酸の分解のための酵素等のタンパク質成分が挙げられる。これらの因子は、それぞれタグを付けて(ラベルして)別々に調製されることが好ましい。そして、これらのタンパク質成分は、相互に付着し合う関係にある物質の一方でラベルされていることが好ましい。かかる実施形態においては、相互に付着し合う関係にある物質のうち他方の物質を吸着体として用いることにより、翻訳終了後に当該タンパク質成分を捕捉できるため好ましい。これにより、目的とするポジトロン放出核種標識タンパク質合成後、無細胞タンパク質合成系を構成する因子であるタンパク質成分をアフィニティークロマトグラフィー等により除去することができる(日本国特開2003−102495参照)。
相互に付着し合う関係にある物質としては、例えば、タンパク質と金属イオンとの組合せ、抗原と抗体との組合せ、タンパク質又はペプチド断片との組合せ、タンパク質と特定のアミノ酸、DNA、色素、ビタミン、レクチン等の低分子化合物との組合せ、タンパク質と糖との組合せ、タンパク質とイオン交換樹脂との組合せを挙げることができる。タンパク質と金属イオンとの組合せとしては、例えば、ヒスチジンタグとニッケル錯体又はコバルト錯体を挙げることができる。また、相互に付着し合う関係にある物質は、磁力により付着し合う物質であってもよい。
転写/翻訳のための因子、酵素としては、開始因子、延長因子、終結因子、アミノアシルtRNAシンテターゼ、メチオニルtRNAトランスフォルミラーゼ及びRNAポリメラーゼ等を挙げることができる。また、反応系においてエネルギーを再生するための酵素としては、例えば、クレアチニンキナーゼ、ミヨキナーゼ及びヌクレオシドジフォスフェートキナーゼを挙げることができる。転写、翻訳で生じる無機ピロリン酸の分解のための酵素としては、例えば、無機ピロフォスファターゼを挙げることができる。
本発明において、無細胞タンパク質合成系は、リボソーム、ATP、GTP、非天然アミノ酸等、緩衝液を構成する酸及び塩基等、タンパク質合成の分野において公知の試薬等をさらに含んでいてもよい。
本発明においては、無細胞タンパク質合成系としては、タンパク質合成に関与する因子(細胞等が有する酵素を生成したもの等)によって再構築された系を用いてもよい。
「再構成された無細胞タンパク質合成系」としては、例えば、PURESYSTEM(登録商標)を挙げることができる。PURESYSTEM(登録商標)は大腸菌の抽出精製されたリボソーム、アミノ酸、NTP、転写/翻訳のための因子、酵素から再構成されている。PURESYSTEM(登録商標)では、リボソームタンパク質以外のすべてのタンパク質成分がヒスチジンタグで別々にタグ付けされている。合成終了後、リボソームタンパク質は限外濾過により除去され、他のタンパク質成分はヒスチジンタグ付加因子を利用して、アフィニティークロマトグラフィーにより除去される。 再構成された無細胞タンパク質合成系は、大腸菌以外のこの分野において公知の細胞(例えば、昆虫細胞、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球)を原料として、PURESYSTEM(登録商標)と同様にして構成してものであってもよい。
本発明の方法は、上記無細胞タンパク質合成系において、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸、終止コドンが導入されたテンプレート核酸、該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA、及び該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を混合することにより行うことができる。
本発明におけるタンパク質合成の反応における温度は特に限定されないが、好ましくは30℃である。本発明におけるタンパク質合成の反応時間は、特に限定されないが、好ましくは30分〜120分である。ポジトロンは半減期が比較的短いため、短時間で合成時間が短くて済む本発明の方法は、ポジトロン放出核種標識されたタンパク質の合成方法として非常に有用である。
本発明によれば、反応系に、前記テンプレート核酸に予め終止コドンを認識するtRNAが存在するため、当該導入した終止コドンの位置でタンパク質合成反応は終了せず、当該位置に、当該tRNAに結合したポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸が導入され、タンパク質合成がさらに進行する。そのため、所望の位置にポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸が導入された目的タンパク質を得ることができる。図2に、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸としてフルオロチロシンを用いた、本発明の典型的な実施形態の概略を示す。
本発明の方法を用いることによって種々のタンパク質を合成することができる。目的とするタンパク質の分子量は特に限定されないが、例えば、分子量が10 kDa〜100 kDaのタンパク質を製造することができる。本発明においては、比較的低分子のペプチド(例えば、分子量が7kDa〜10 kDa)を製造することもできる。
本発明は、目的とするタンパク質をコードする標的テンプレート核酸に終止コドンを挿入し、当該終止コドンの位置にポジトロン放出核種標識アミノ酸を導入するため、目的のタンパク質のアミノ酸配列に依存せず、任意のアミノ酸配列のタンパク質に対しポジトロン放出核種標識アミノ酸を導入することができる。また、本発明によれば、ポジトロン核種放出標識アミノ酸をごく微量しか用いなくても、ポジトロン放出核種標識アミノ酸を導入し、得られたポジトロン放出核種標識タンパク質を検出できるため有用である。本発明においては、前述した無細胞タンパク質合成系中の、ポジトロン核種放出標識アミノ酸の濃度は、0.5〜7ナノモル/Lであることが好ましく、1〜5ナノモル/Lであることがより好ましい。
ポジトロン放出核種標識タンパク質合成キット
本発明は、以下の構成要素を含む、ポジトロン放出核種標識タンパク質を無細胞タンパク質合成系で合成するためのキット:
1)ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸
2)終止コドンが導入されたテンプレート核酸
3)該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA
4)該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を提供する。
当該キットに含まれる、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸;終止コドンが導入されたテンプレートDNA;該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA;及び該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素としては、前述の通りである。
本発明のキットは、リポソーム、ATP、GTP、非天然アミノ酸等、緩衝液を構成する酸及び塩基等、タンパク質合成の分野において公知の試薬等をさらに含んでいてもよい。また、本発明のキットは、上記タンパク質合成方法を行うための手順を書き記した書面を含んでいてもよい。
ポジトロン放出核種標識タンパク質合成装置
本発明は、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸、終止コドンが導入されたテンプレートDNA、該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA及び該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用い、無細胞タンパク質合成系によりポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する手段を有する、ポジトロン放出核種標識タンパク質合成装置を提供する。また、本発明の装置も、上記タンパク質合成方法を行うための手順を書き記した書面を含んでいてもよい。
また、本発明は、上記本発明の方法を利用したPET診断用薬剤あるいは試験用薬剤の製造方法も提供する。また、本発明は、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を1以上含む、ポジトロン放出核種標識タンパク質を提供する。かかるポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を含むポジトロン放出核種標識タンパク質は、前述した本発明の方法によりはじめて得ることができる。
ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸の製造方法
また、本発明は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸の新たな合成方法も提供する。より具体的には、本発明は、非限定的な好ましい実施形態として、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸の製造方法であって、
以下の工程により、ポジトロン放出核種イオンと非天然アミノ酸由来の反応前駆体との標識反応を行うための混合物を得ることを特徴とする方法を提供する:
(1)ポジトロン放出核種イオンを含む水溶液を陰イオン交換カラムに供し、ポジトロン放出核種イオンを該陰イオン交換カラムに吸着させる工程、
(2)クリプタンドを含む溶液を該陰イオン交換カラムに供しポジトロン放出核種イオンを脱着させ、ポジトロン放出核種イオン及びクリプタンドを含む混合溶液を回収する工程、
(3)該混合溶液を陽イオン交換カラムに供してクリプタンドを該陰イオン交換カラムに吸着させ、ポジトロン放出核種イオンが濃縮された濃縮混合溶液を回収する工程、
(4)上記濃縮混合溶液またはその留去後の残渣に反応前駆体を添加し、ポジトロン放出核種イオン、クリプタンド及び反応前駆体を溶解する無水有機溶媒を、前記標識反応を行うための混合物として得る工程。
本発明の方法によれば、ポジトロン放出核種標識タンパク質の合成の原料となるポジトロン放出核種標識アミノ酸を合成する標識反応を20μL以下といった微量な溶液で行うことができる。また本発明では、クリプタンドの必要以上の濃縮とその結果としての標識反応阻害を回避することができ、標識効率(標識体の取得率や量)を向上することができる。本発明は、特に留去の繰り返しとその結果としての標識効率(標識体の取得率や量)の低下に対し、留去工程数を少なくすることができ、標識効率の向上のほか、合成に要する時間を短くすることができる。
好ましい実施形態において、本発明の方法は、まず、ポジトロン放出核種イオンの水溶液を陰イオン交換カラムに供する工程を含む。当該カラムへの吸着と後の工程における脱着とによって、ポジトロン放出核種イオンを濃縮でき、それにより当該イオンを含む水溶液(緩衝液)の容量を少量に抑えることが可能である。
本発明の好ましい実施形態においては、次に、クリプタンドを含む溶液を該陰イオン交換カラムに供して、ポジトロン放出核種イオンを脱着させ、ポジトロン放出核種イオン及びクリプタンドを含む混合溶液を回収する工程を行ってもよい。本発明においては、「クリプタンド」とは、特に明記しない限り、2つ以上の環からなる多座配位子と、多座配位子とイオンとが錯体形成したものとの総称を示す。クリプタンドとしては、例えば、クリプトフィックス2.2.2(登録商標)とカリウムイオンとが錯形成したものが使用例として挙げられる。陰イオン交換カラムに吸着されたポジトロン放出核種イオンの脱着に、クリプタンドを含む溶液を同カラムに供することで行うことから、クリプタンドの必要以上の濃度上昇を抑えることができる。
本発明の好ましい実施形態においては、さらに、該混合溶液を陽イオン交換カラムに供してクリプタンドを該陽イオン交換カラムに吸着させ、ポジトロン放出核種イオンが濃縮された濃縮混合溶液を回収する工程を行ってもよい。当該濃縮混合溶液には、ポジトロン放出核種イオン、及び上記工程で該陽イオン交換カラムに吸着されなかったクリプタンドが含まれる。ポジトロン放出核種イオンとクリプタンドを含む画分としての陰イオン交換カラムからの回収物を、さらに陽イオン交換カラムに供して大部分のクリプタンドを除去し、ポジトロン放出核種が濃縮されたクリプタンドとの混合溶液を得ることで、過剰なクリプタンドの存在による様式反応阻害を防ぐことができる。また、本発明は、該混合溶液を陽イオン交換カラムに供する工程の後、当該工程で得られた濃縮混合溶液に反応前駆体を添加する工程の前に、当該濃縮混合溶液に、溶媒及び/又はクリプタンドを添加する工程を含んでいてもよい。本発明においては、適宜溶媒及び/またはクリプタンドを追添加することで、クリプタンドの濃度を標識反応に適したものに調整することができる。
本発明は、上記濃縮混合溶液またはその留去後の残渣に反応前駆体を添加する工程を含む。本発明においては、イオン交換カラムを使用して、ポジトロン放出核種イオンとクリプタンドとを含む画分が回収される。これに非天然アミノ酸由来の反応前駆体の添加を経て無水有機溶媒に溶解された状態とすることで、標識反応に供する混合物となる。反応前駆体はアセトニトリルに代表される無水の有機溶媒に溶けた溶液として調製することが好ましい。反応前駆体としては、メチルチロシン、エチルチロシン、フェニルアラニン等のアミノ酸(好ましくはエチルチロシン等)に対し、トシル基、トリチル基、tert−ブチル基からなる群より選択される少なくとも一種(好ましくはこれらの全て)が置換した化合物等が挙げられる。反応前駆体は、ポジトロン放出核種イオンとクリプタンドを含む画分、またはその溶媒を留去して得られる残渣のいずれに添加してもよい。本発明によれば、上記濃縮混合溶液またはその留去後の残渣に反応前駆体を添加することによって、無水有機溶媒中に、ポジトロン放出核種イオン、クリプタンド及び反応前駆体を含む混合物を、標識反応を行うための原料として得ることができる。上記工程で得られるポジトロン放出核種イオン、クリプタンド及び反応前駆体を含む混合物において、クリプタンドの含有量は、10〜80ミリモル/Lであることが好ましく、20〜40ミリモル/Lであることがより好ましい。上記工程で得られる当該混合物におけるクリプタンドと反応前駆体との含有量比は特に限定されないが、例えば、クリプタンド1モルに対し、反応前駆体が0.1〜1.5モルであることが好ましく、0.2〜1モルであることがより好ましい。
本発明では、反応前駆体を添加する前に、ポジトロン放出核種イオンとクリプタンドを含む画分に対し、同画分の溶媒の沸点よりも高い沸点を有する溶媒(これを本発明では高沸点溶媒と呼ぶ)を添加し、高沸点溶媒を添加した画分を留去して残渣を得、該残渣に反応前駆体を添加しても良い。高沸点溶媒を添加した留去工程を加えることで、高収量のポジトロン放出核種標識アミノ酸を得ることができる。本発明において、高沸点溶媒の添加量は当該画分と等量であることが好ましい。また本発明において高沸点溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N、Nジメチルホルムアミド(DMF)に代表される非プロトン性極性溶媒から選択することが好ましい。
本発明においては、前述の工程において得られるポジトロン放出核種イオン、クリプタンド及び反応前駆体を含む混合物を原料として、クリプタンドの存在下で、ポジトロン放出核種イオンと反応前駆体とを反応させることにより、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を製造することができる。本発明により、標識反応を行うための混合物として、ポジトロン放出核種イオン、クリプタンド及び反応前駆体を溶解する無水有機溶媒を得て以降の工程は、非特許文献2に記載の内容を例に、同標識反応として当業者が通常行う処理を行って、最終的にポジトロン放出核種標識アミノ酸を得ればよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:O−[ 18 F−フルオロエチル]−L−チロシン標識IL−8の合成
本実施例で合成したタンパク質はヒトIL−8である。大腸菌由来の無細胞タンパク質合成試薬で合成するため、シグナル配列を除き開始コドンのメチオニンを追加した。これは、ポジトロン放出核種標識タンパク質の合成方法(日本国特許第5590540号)で使用されている。このオリジナルのDNAテンプレートであるpET−28a IL−8(Met+28−99)の開始コドン(ATG)の後ろにアンバーコドン(TAG)を導入したDNAを作成し、本実施例のテンプレートDNA(pET−28a IL−8 TAG)として用いた。合成されるアミノ酸配列を図3に示す。したがって、O−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン(18F−FET)はこのアンバーコドンでのみ組み込まれることによりIL−8は選択的に標識される。
1. O−[ 18 F−フルオロエチル]−L−チロシン標識IL−8の合成
方法及び材料
無細胞タンパク質合成試薬にはRTS 100 E.coli HY Kit (biotechrabbit)を使用した。テンプレートDNAは前述したアンバーコドンを含むpET−28a IL−8 TAGを使用した。古細菌M.Jannaschii由来の変異型アミノアシルtRNA合成酵素(N−His−pCNF RS)は大腸菌により発現させ、His−tag精製により調製した(非特許文献1)。直交系ペアのtRNA CUAoptはGeneDesign Inc.による委託RNA合成により入手した(非特許文献2)。本実施例では、1.5 mLチューブに以下の表1のように上記の試薬を混合し、30℃で30〜120分間反応させた。ネガティブコントロールとして、pCNF RS, tRNA CUAopt, pET−28a IL−8 TAGを含まない試料を同様に調製した。反応液10μLをNuPAGETM LDS sample buffer (NuPAGETM Reducing Agentを含む)と混合し、NuPAGETM 12% Bis−Tris Protein gelを用いて電気泳動を行い(200 V, 30分)、ゲルをイメージングプレート(BAS−IP MS, GE Healthcare)に一晩コンタクトし、FLA−9500にてオートラジオグラフィー像を得ることで18F−FET標識IL−8の合成を確認した。
Figure 2019098291
結果
1. O−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン標識IL−8の合成
図4に示されるように、レーン1、2、3、4で、時間依存的なO−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン標識IL−8のバンドの増加が認められた。一方、ネガティブコントロールのレーン5 (pCNF RS, tRNA CUAoptを除き、pET−28a IL−8 TAGの代わりにpET−28a IL−8を加えた反応液)、レーン6 (pCNF RSを除いた反応液)、レーン7 (tRNA CUAoptを除いた反応液)、レーン8(pCNF RS, tRNA CUAoptを除いた反応液)では同位置にバンドは確認されなかった。以上のことから、pCNF RS、tRNA CUAoopt、TAG(アンバーコドン)を含むテンプレートDNAを用いることで18F−FETを選択的に導入した蛋白質が合成可能であることが示された。
2. 変異型pCNF RS、tRNA CUAoptの最適濃度の検討
方法及び材料
pCNF RS を0−30μM、tRNA CUAoptを0−15μMの濃度で表1の試薬を混合し、30℃で120分間反応させた。反応液10μLをNuPAGETM LDS sample buffer (NuPAGETM Reducing Agentを含む)と混ぜ、NuPAGETM 4−12% Bis−Tris Protein gelを用いて電気泳動を行い(200 V, 30分)、ゲルをイメージングプレートに一晩コンタクトし、FLA−9500にてオートラジオグラフィー像を得た。
結果
図5に示されるように、pCNF RSの濃度が22μM(0.8 mg/mL)でtRNA CUAoptが5μMで反応させた場合、合成量が最大になることが示された。
実施例2:O−[ 18 F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−Z HER2:342 )の合成
Affibodyは分子量6 −7kDaでProtein Gを母核として作成された小分子タンパク質リガンドであり、ZHER2:342は乳癌に高発現しているHER2を標的として作成されたAffibodyであり(図6)、小動物PETイメージングが報告されている(非特許文献3)。精製を簡略化するために、肝臓への集積を低減化させたHE−tagを導入したHE−tag−ZHER2:342を本実施例で合成した。
方法及び材料
Genescriptによる委託DNA合成により、pET−21a HE−tag−ZHER2:342を得た。このテンプレートDNAの開始コドン(ATG)の後ろにアンバーコドンTAGを導入した、pET−21a HE−tag−ZHER2:342 TAGを実施例2のテンプレートDNAとして使用した。実施例1で最適化した濃度で、以下の表2あるいは表3の組成に試薬を混合し、30℃で30〜120分間反応させ、ゲルオートラジオグラフィーを実施した。
Figure 2019098291
Figure 2019098291
結果
1. O−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−ZHER2:342)の合成
図7に示されるように、レーン1、2、3、4において時間依存的な18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342のバンドの増加が認められた。また、高放射能(492 MBq)の18F−FETをReconstitution Buffer (RTS kit)に溶解させ、それを用いて固体の試料(E.coli Lysate, Reaction mix, Amino acids(RTS kit))を溶解させ、反応させたところ30分でも高い収率で18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342を得ることに成功した。
実施例3:O−[ 18 F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−Z HER2:342 )の精製
ポジトロン放出各種は半減期が短い短半減期各種であるため、迅速な精製法が求められる。18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342は、HE−tagが含まれているため市販のHis−tag精製の原理でスピンカラムやカートリッジカラムなどを利用し、精製することができる。また、pCNF RSがHis−tagを有しているが、低濃度のイミダゾールを用いることで18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342と分離することが可能である。最終的に、溶媒を動物などに投与可能な注射液にする必要があるため、リン酸生理食塩水(PBS)で平衡化されたNAP−5 (GE Healthcare)を用いて脱塩することで高純度な18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342得ることができる。
方法及び材料
反応液を60℃で5分間反応させ、遠心分離(20,000 g, 10分)を行い、上清を回収した。その上清をBinding buffer (PBS, pH 7.4)で0.6 mLに希釈し、あらかじめ平衡しておいたHis SpinTrap カラム(GE Healthcare)に加え溶出し、Binding bufferでカラムを洗浄後、Elution buffer (50 mM imidazoleを含むBinding buffer)で溶出した。溶出した試料をあらかじめPBSであらかじめ平衡化しておいたNAP−5により脱塩を行い、1 mLの18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342を得た。得られた試料の放射能量をキュリーメーターで測定し、放射化学収率を計算した。また、得られた試料をNuPAGE(GE Healthcare)−オートラジオグラフィー(ARG)で分析することにより放射化学純度を算出した。
結果
NuPAGE−ARGの結果、シングルバンドで放射能のバンドが検出され、放射化学純度が>99%と算出された(図8)。
実施例4:O−[ 18 F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−Z HER2:342 )のHER2陽性細胞(SKOV−3)への結合性試験
本発明により合成された18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342の結合性を評価した。
方法及び材料
12ウェルプレートで培養したSKOV−3細胞に0.296 MBq/mLの濃度に調製した18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342を加え、37℃で1時間反応させた。非特異的結合量は、非標識HE−tag−ZHER2:342(15μg/mL)存在下で結合量を測定することで算出した。反応後、薬液を取り除き、培地で2回洗浄した。最後に、0.1M NaOHを1 mL加え、細胞を溶解させ、エッペンチューブに回収し、その放射能量をγカウンター(Aloka)で測定することで結合量を求めた。コントロール細胞としてHEK293を使用した。
結果
図9に示されるように、コントロールのHEK293細胞と比べて、HER2陽性細胞のSKOV−3で高い結合が認められ、非標識体でその結合が完全にブロッキングされたことから、この結合は特異的結合であることが示された。
実施例5
O−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−ZHER2:342)のHER2陽性細胞株(SKOV−3)を移植したヌードマウスにおけるPETイメージングにより、本発明により合成された18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342のIn vivoでの結合性を評価した。
方法及び材料
HER2陽性細胞株(SKOV−3)細胞を1.1×10個/0.2 mLをヌードマウス(BALB/cAJc1−nu/nu, 日本クレア, 8週齢)の左腋窩に移植し、1〜2ヶ月後に使用した。PBSで製剤化した18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342を3.3±0.2 MBq静脈投与し、小動物PET(Clarvivo PET/CT, 島津株式会社)を用いて120分間のダイナミック撮影を行った。また、In vivoにおける特異的結合を評価するために、非標識HE−tag−ZHER2:342(250μg)を先に静脈投与し、その後18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342を投与し、2時間後に30分間のスタッティック撮影を行った。18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342の腫瘍への集積は、AMIDEを用いて解析した。
結果
図10に示されるように、HER2陽性細胞株(SKOV−3)を移植した部位に顕著な18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342の集積を認めた。また、非標識HE−tag−ZHER2:34218F−FET標識HE−tag−ZHER2:342投与前に処置することで18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342の集積は有意に減少した。したがって、In vivoにおけるトレーサーの集積は特異的結合であることが示され、本発明で合成したO−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−ZHER2:342) In vivoで機能することが示された。
実施例6:O-[18F]フルオロエチル-L-チロシン(18F-FET)の標識合成方法(1)
図11に示すように、サイクロトロンで製造された18F−フッ素イオン水溶液(1.5〜2mL)を用いて以下に示す20μLスケールの手順にて18F−FETを合成した。
1.18F−フッ素イオン水(1.5〜2mL)を連結したOasis MAX+MCXカートリッジに通し、その後MeOH(2mL)でカートリッジを洗った。
2.K.222/KHCO−MeOH(20mM、200μL)およびMeOH(100μL)で18F−フッ素イオンを反応バイアル(300μL)に回収した。
3.回収したMeOH溶液にK.222/KHCO−MeOH(20mM、5、10、20μL)と等容量のDMSOを添加し、85℃のブロックヒータに入れてHe(200mL/min)を10分間流してMeOHを留去した。
4.等容量の前駆体(L−tyrosine,O−(2−tosyl−oxyethyl)−N−trityl,tert−butyl ester、ABX)のアセトニトリル溶液(12mg/mL、18mM)を反応バイアルに添加し、約2分間Heを流してMeCNを留去した。
5.次にキャップで完全に封をして加熱した(85℃、5分)。
6.反応液にHCl(2M、30μL)を加え、キャップで封をして脱保護反応を行った(120℃、10分)。
7.バイアルを氷水に浸け冷却後、反応液にKF(1M、30μL)およびメイロン(40μL)を添加した。
8.反応液をHPLC分析用ODSカラムに注入し、18F−FETを含むフラクションを集めた(例えばInertSustain、150x4.6mm、溶離液:エタノール/50mM酢酸、2.0mL/min)。
ロータリエバポレータで溶離液を留去し、適当な溶媒に精製した18F−FETを溶解して無細胞合成に供した。
方法(2)
上記方法(1)の操作3において、等量のDMSOに代わり等量の前駆体溶液を、操作4で前駆体溶液に代わり等量のアセトニトリルを用いる。その他の操作は方法(1)と同じである。
1. 18F−フッ素イオンのメタノール溶液の調製
K.222/Kを捕捉する陽イオン交換カートリッジには入手が容易な市販のものを用いた。ポリマー系の容量の違う2つのOasis MAXカートリッジ(10 mg、30 mg)とシリカ系のSep−Pak CM Light(130 mg)をK.222/Kの漏出率と18F−フッ素イオンの回収率の点から比較検討した。表4に示す結果から明らかなように、Oasis MAX(10 mg)とMCX(30 mg)の組合せが最適であった。
Figure 2019098291
2.18F−FETのマイクロスケール標識合成
図12に示すように、通常のメタノール留去で得られた収率((B)ので示される収率)に比べ、新たに開発した方法(1)と(2)のいずれにおいても18F−FETの合成収率は改善され、2つの方法で得られた合成収率には実質的な差はほとんど見られなかった。この結果から10μLスケールまでは十分な収量を与える実用的な方法であることが示された。これらのマイクロスケール合成法は18F−FETに限らず、他の多くの18F−標識プローブ合成に応用可能である。表5は代表的な18F−プローブの合成を20μLスケールで実施した例である。方法(2)は前駆体が不安定でメタノール留去中に分解する場合は収率が大幅に低下し適さないが、方法(1)は前駆体の安定性に左右されず高い収率を与え汎用的な方法である。
Figure 2019098291
3.分析カラムによる迅速精製
図13に示すように、10μLスケールで合成された18F−FETは分析用のカラムでも十分に高い化学的、放射化学的純度で分離精製され、溶出に要した時間は6分以内であった。また、分取した液量は約1mLと少なく、その後のロータリエバポレータによる乾固操作も迅速であった。出発した18F−フッ素イオンに基づく18F−FETの放射化学的収率は40〜50%(減衰補正した値)であり、HPLC精製を含めた合成に要した時間は40分であり、マイクロスケール合成の実用性を示すものであった。
実施例7:[ 18 F]SFB標識Z HER2:342 との比較結合試験
18Fの蛋白質標識法としてよく利用されている[18F]SFBを用いてZHER2:342を標識し、HER2に対する結合性を本発明の方法で合成した18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342と比較した。
方法及び材料
HER2:342 (2 mg/mL)0.1mL、 [18F]SFB(348MBq)エタノール溶液0.1mL、40mMホウ酸バッファー(pH8.5)0.5mLを混合させ、50℃で10分間反応させた。反応後、実施例3と同様にHisSpinTrapで精製し、溶出した試料をあらかじめPBSであらかじめ平衡化しておいたNAP−5により脱塩を行い、1mLの18F−FSB標識HE−tag−ZHER2:342を(3MBq)得た。既存のSFB標識したZHER2:342と本発明の標識法で標識したZHER2:342を比較するために、実施例4と同様にHER2陽性細胞(SKOV−3)への結合性試験を行った。
結果
標識されていないZHER2:342と標識されたZHER2:342の区別が困難なため正確な比放射能は算出不可だが、出発原料と回収された放射能量から比放射能を計算すると>0.259 GBq/μmolと推定された。本発明はこれと比較すると>18.5 GBq/μmolと極めて高い比放射能が実現できることを示唆している。また細胞結合試験の結果、図14に示すように18F−FSB標識HE−tag−ZHER2:342の特異的結合量と比較して、18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342の結合量は極めて高いことが示されている。
実施例8:O-[ 18 F]フルオロエチル-L-チロシン標識Affibody (HE-tag-Z PD−L1_1 )の合成
Affibodyは分子量6 -7kDaでProtein Gを母核として作成された小分子タンパク質リガンドであり、現在様々な標的に対して作成されている。本実施例では、免疫チェックポイントのProgrammed cell Death ligand 1(PD-L1)を標的としたZPD-L1(WO2017072280A1)について合成した。また、N末端側のメチオニンの次にFETを導入したもの(M1_H3insFET)と、Y12をFETに置換したもの(Y12FET)を設計し、標識部位の異なる2つの[18F]FET- ZPD-L1について検討した(図15)。
方法及び材料
Genescriptによる委託DNA合成により鋳型DNAを得た。異なる部位にTAGを導入したpET-21a HE-tag-ZPD-L1を使用し、実施例2で最適化した濃度で試薬を混合し、30℃で30分間反応させた。精製は実施例2と同様に実施し、ゲルオートラジオグラフィーにより分析した。
結果
NuPAGE−ARGの結果、精製後にいずれのFET導入部位においても[18F]FET-ZPD-L1のバンドが検出され(図16)、任意の部位に[18F]FETを導入することが可能であることが示された。
実施例9:O−[ 18 F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−Z HER2:342 )のPD-L1陽性細胞(MDA−MB−231)への結合性試験
本発明により合成された18F−FET標識HE−tag−ZHER2:342の結合性を評価した。
方法及び材料
24ウェルプレートで培養したMDA−MB−231細胞に0.250 MBq/mLの濃度に調製した18F−FET標識HE−tag−ZPD-L1_1M1_H3InsFETあるいは18F−FET標識HE−tag−ZPD-L1_1Y12YETを加え、37℃で1時間反応させた。非特異的結合量は、非標識HE−tag−ZHER2:342(20μg/mL)存在下で結合量を測定することで算出した。反応後、薬液を取り除き、培地で2回洗浄した。最後に、0.1M NaOHを1 mL加え、細胞を溶解させ、エッペンチューブに回収し、その放射能量をγカウンター(Aloka)で測定することで結合量を求めた。
結果
図17に示されるように、いずれの部位にFETを導入した18F−FET標識HE−tag−ZPD-L1_1もMDA−MB−231細胞に対して特異的結合が認められ、その差はなかった。
実施例10
O−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−ZPD−L1_1)のMDA−MB−231細胞を移植したヌードマウスにおけるPETイメージングにより、本発明により合成された18F−FET標識HE−tag−ZPD−L1_1のIn vivoでの結合性を評価した。
方法及び材料
MDA−MB−231細胞を1.0×106個/0.2 mLをヌードマウス(BALB/cAJc1−nu/nu, 日本クレア, 8週齢)の左腋窩に移植し、1ヶ月後に使用した。PBSで製剤化した18F−FET標識HE−tag−ZPD−L1_1を1.8 MBq静脈投与し、小動物PET(Clarvivo PET/CT, 島津株式会社)を用いて120分間のダイナミック撮影を行った。18F−FET標識HE−tag−ZPD−L1_1の腫瘍への集積は、AMIDEを用いて解析した。
結果
図18に示されるように、MDA−MB−231を移植した部位に顕著な18F−FET標識HE−tag−ZPD−L1_1の集積を認めた。したがって、本発明で合成したO−[18F−フルオロエチル]−L−チロシン標識Affibody (HE−tag−ZPD−L1_1) もHE−tag−ZHER2:342同様In vivoで機能することが示された。

Claims (17)

  1. ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体を用いて、無細胞タンパク質合成系により、ポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する方法であって、
    該無細胞タンパク質合成系が、タンパク質合成に関与する因子によって再構成された系であり、
    該方法は、ポジトロン放出核種標識アミノ酸又はその誘導体として、ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を用い、
    該方法は、さらに、終止コドンが導入されたテンプレート核酸、
    該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA、及び
    該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用いる、方法。
  2. 標識に用いるポジトロン放出核種が11C、18F、又は124Iである、請求項1に記載の方法。
  3. ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸がO−[(18F)フルオロメチル]チロシン、O−[(18F)フルオロエチル]チロシン、又は4−ボロノ−2−(18F)フルオロフェニルアラニンである、請求項1に記載の方法。
  4. テンプレート核酸が、天然のタンパク質をコードする核酸配列のオープンリーディングフレームのフレームシフトを起こさない任意の位置へ終止コドンが挿入されている、又はオープンリーディングフレーム上のチロシン残基またはフェニルアラニン残基を指定するコドンと終止コドンとが置換されている核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 終止コドンが、アンバーコドンである請求項1に記載の方法。
  6. 以下の構成要素を含む、ポジトロン放出核種標識タンパク質を無細胞タンパク質合成系で合成するためのキット:
    1)ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸
    2)終止コドンが導入されたテンプレート核酸
    3)該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA
    4)該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素。
  7. ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸、終止コドンが導入されたテンプレートDNA、該導入された終止コドンを認識しかつ該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸に結合するtRNA及び該tRNAと該ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸とを結合させるアミノアシル−tRNA合成酵素を用い、無細胞タンパク質合成系によりポジトロン放出核種標識タンパク質を合成する手段を有する、ポジトロン放出核種標識タンパク質合成装置。
  8. 標識に用いるポジトロン放出核種が11C、18F、又は124Iである、請求項6に記載のキット、請求項6に記載のキット又は請求項7に記載の装置。
  9. ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸がO−[(18F)フルオロメチル]チロシン、O−[(18F)フルオロエチル]チロシン、又は4−ボロノ−2−(18F)フルオロフェニルアラニンである、請求項6に記載のキット、請求項7に記載の装置又は請求項8に記載のキットもしくは装置。
  10. 請求項1に記載の方法を利用したPET診断用薬剤あるいは試験用薬剤の製造方法。
  11. ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸を1以上含む、ポジトロン放出核種標識タンパク質。
  12. ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸が、天然のタンパク質のアミノ酸配列における任意の位置への挿入、または天然のタンパク質のアミノ酸配列におけるチロシン残基又はフェニルアラニン残基の位置での置換によって導入されている、請求項11に記載のポジトロン放出核種標識タンパク質。
  13. ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸が、O−[(18F)フルオロメチル]チロシン、O−[(18F)フルオロエチル]チロシン、又は4−ボロノ−2−(18F)フルオロフェニルアラニンである請求項11に記載のポジトロン放出核種標識タンパク質。
  14. ポジトロン放出核種標識非天然アミノ酸の製造方法であって、
    以下の工程により、ポジトロン放出核種イオンとアミノ酸由来の反応前駆体との標識反応を行うための混合物を得ることを特徴とする方法:
    (1)ポジトロン放出核種イオンを含む水溶液を陰イオン交換カラムに供し、ポジトロン放出核種イオンを該陰イオン交換カラムに吸着させる工程、
    (2)クリプタンドを含む溶液を該陰イオン交換カラムに供しポジトロン放出核種イオンを脱着させ、ポジトロン放出核種イオン及びクリプタンドを含む混合溶液を回収する工程、
    (3)該混合溶液を陽イオン交換カラムに供してクリプタンドを該陽イオン交換カラムに吸着させ、ポジトロン放出核種イオンが濃縮された濃縮混合溶液を回収する工程、
    (4)上記濃縮混合溶液またはその留去後の残渣に反応前駆体を添加し、ポジトロン放出核種イオン、クリプタンド及び反応前駆体を含む混合物を得る工程。
  15. 前記(3)の工程で回収した濃縮混合液に、該濃縮混合溶液の溶媒より沸点の高い溶媒を高沸点溶媒として添加し、該高沸点溶媒を添加した濃縮混合溶液の留去後の残渣を前記工程(4)に記載の留去後の残渣とする、請求項14に記載の方法。
  16. 標識に用いるポジトロン放出核種が11C、18F、又は124Iである、請求項14に記載の方法。
  17. クリプタンドがカリウムイオンと錯形成している請求項14に記載の方法。
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