JPWO2019073605A1 - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2019073605A1
JPWO2019073605A1 JP2019547540A JP2019547540A JPWO2019073605A1 JP WO2019073605 A1 JPWO2019073605 A1 JP WO2019073605A1 JP 2019547540 A JP2019547540 A JP 2019547540A JP 2019547540 A JP2019547540 A JP 2019547540A JP WO2019073605 A1 JPWO2019073605 A1 JP WO2019073605A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
balancer
slider
main shaft
scroll compressor
centrifugal force
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019547540A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6632784B2 (ja
Inventor
昌之 角田
将吾 諸江
貴也 木本
英人 中尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Publication of JPWO2019073605A1 publication Critical patent/JPWO2019073605A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6632784B2 publication Critical patent/JP6632784B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/02Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

スクロール圧縮機は、固定スクロールと、固定スクロールに対して揺動する揺動スクロールとを有する圧縮機構部と、回転する主軸と、主軸の回転する力を、主軸中心からの距離が可変の移動部材を介して、揺動スクロールが揺動する力として伝える可変半径クランク機構と、主軸の回転によって揺動部品に生じる遠心力に対して逆向きの遠心力を発生させるバランサと、を有するスクロール圧縮機において、主軸につながるストッパ部と、主軸の回転速度の変化によりバランサが変位する機構と、を有し、主軸の回転速度の変化によって、バランサの遠心力をストッパ部と可変半径クランク機構の移動部材とで支持する割合が変化するものである。

Description

本発明は、冷凍もしくは空調用途に用いられるスクロール型の圧縮機に関するものである。
スクロール型の圧縮機においては、漏れ損失を低減するために、揺動スクロールの渦巻体と固定スクロールの渦巻体との側面同士を接触させることにより渦巻体間の側面のすきまを極小化する、いわゆる可変半径クランク機構が知られている。この可変半径クランク機構には、圧縮により揺動スクロールに作用するガス荷重の分力を渦巻体の側面の押付力として利用し、揺動運動する部品に作用する遠心力が渦巻側面で支持されないようにするものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1の圧縮機は、クランク半径を可変とする機構部品(例えば、ブッシュ又はスライダ)に、揺動運動部品(揺動スクロール、ブッシュ、又はスライダ等)の遠心力をキャンセルする(打ち消す)バランスウェイトを一体とする構成を設けたものである。
また、揺動運動部品の遠心力をキャンセルするバランスウェイトが一体となった可変半径クランク機構の場合、渦巻体の側面押付力として、ガス荷重の分力を利用する方式の他に、押付力を発生させるためにばね等の弾性体を用いるものがある。また、可変半径クランク機構と一体のバランスウェイトを設け、揺動運動部品群よりも大きなキャンセル(遠心)力を発生させるようにした、いわゆるオーバーキャンセル型の可変半径クランク機構も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ここで特許文献1又は2の可変半径クランク機構に設けられたバランスウェイトに発生するキャンセル(遠心)力の、揺動運動部品群(以下、揺動部品とする)の遠心力に対する比率(いわゆるキャンセル率)と、スクロール圧縮機の動作とについて説明する。キャンセル率が100%を超えるスクロール圧縮機は、低速運転時にガス荷重の分力或いはばね力により渦巻体の側面の押付けが行われる。一方、高速運転時にキャンセル率100%を超える分による遠心力が、ガス力或いはばね力による側面押付力よりも大きくなると、渦巻体の側面押付はされなくなる。この時、渦巻体間の側面すきまが際限なく開いてしまうのを避けるために、バランスウェイトが設けられた可変半径クランク機構部品(ブッシュまたはスライダ等)のキャンセル方向への移動を規制するストッパ構造が設けられるのが一般的である(特許文献2参照)。
このように可変半径クランク機構において、遠心力をキャンセルする部材(バランスウェイト)を備える場合、揺動部品に作用する遠心力の、渦巻側面と揺動軸受とでの支持比率はキャンセル率に依存する。例えば、キャンセル率0%の(バランスウェイトを備えない)場合は、渦巻側面による支持が100%となる。一方、キャンセル率が100%の場合は、或いは、キャンセル率が100%を超える場合で可変半径クランク機構にキャンセル方向のストッパを備えている場合は揺動軸受による支持が100%となる。0%〜100%の中間的なキャンセル率の場合は、渦巻側面と揺動軸受とで揺動部品に作用する遠心力がキャンセル率に応じて按分支持されることになる。例えば、キャンセル率70%の場合は渦巻側面の支持比率が30%となり、揺動軸受の支持比率が70%となる。この支持比率は回転数によらず一定である。
特開昭56−129791号公報 特開平01−262393号公報
渦巻体同士の側面の接触を確実にして低速域での漏れ損失の増大を抑えるため、0%に近い比較的低いキャンセル率を選択すると、渦巻側面での遠心力の支持比率が高いため、高速運転時の遠心力に起因する負荷が渦巻体の側面と主軸受とに集中する。また、高速運転時の渦巻体側面に対する押付荷重を軽減し、或いは、中〜高速運転時に渦巻体の側面同士を接触させず低騒音化するためにキャンセル率を100%前後の高い値に設定すると、高速運転時の遠心力に起因する負荷が揺動軸受に集中することになる。さらに、高速運転時における遠心力による負荷の支持比率が揺動軸受と渦巻側面のどちらにも偏らないように中間的なキャンセル比率を設定すると、上述のような低速運転域での渦巻側面のシール性を確保すること、及び、中〜高速運転時の低騒音化等の特性が充分には得られない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高速運転時の遠心力の分散支持と低速運転時の側面シール性及び中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることが可能なスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係るスクロール圧縮機は、固定スクロールと、固定スクロールに対して揺動する揺動スクロールとを有する圧縮機構部と、回転する主軸と、主軸の回転する力を、主軸の中心からの距離が可変の移動部材を介して、揺動スクロールが揺動する力として伝える可変半径クランク機構と、主軸の回転によって揺動部品に生じる遠心力に対して逆向きの遠心力を発生させるバランサと、を有するスクロール圧縮機において、主軸につながるストッパ部と、主軸の回転速度の変化によりバランサが変位する機構と、を有し、主軸の回転速度の変化によって、バランサの遠心力をストッパ部と可変半径クランク機構の移動部材とで支持する割合が変化するものである。
本発明に係るスクロール圧縮機によれば、主軸につながるストッパ部と、主軸の回転速度の変化によりバランサが変位する機構と、を有し、主軸の回転速度の変化によって、バランサの遠心力をストッパ部と可変半径クランク機構の移動部材とで支持する割合が変化するものである。そのため、スクロール圧縮機は、揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。このため、揺動部品に作用する遠心力を、低速回転では揺動軸受または渦巻側面で100%支持し、上限回転数に近い高速回転域では、各々、揺動軸受の負荷容量と渦巻側面の摺動特性を考慮した比率で支持することができる。その結果、スクロール圧縮機は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。
本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の構造を示す概略縦断面図である。 スライダを用いた一般的な可変半径クランク機構を有するスクロール圧縮機の概略縦断面図である。 図2の可変半径クランク機構を示す縦断面図である。 図2の可変半径クランク機構を示す模式平面図である。 本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のスライダバランサ部の分解斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のスライダバランサ部の縦断面を示す模式図である。 図6におけるスライダバランサ部のA−A線断面模式図である。 図6におけるスライダバランサ部のB−B線断面模式図である。 本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機における各軸受荷重及び渦巻側面の押付力F[kgf]の回転数[rps]に対する変化のパターンを示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機における揺動部品の遠心力の揺動軸受と渦巻側面との支持割合の回転数[rps]に対する変化パターンを示すグラフである。 従来のスライダバランサを用いたスクロール圧縮機における各軸受荷重及び渦巻側面の押付力F[kgf]の回転数[rps]に対する変化のパターンを示すグラフである。 従来のスライダバランサと用いたスクロール圧縮機における揺動部品の遠心力の揺動軸受と渦巻側面との支持割合の回転数[rps]に対する変化パターンを示すグラフである。 本発明の実施の形態2のスクロール圧縮機のスライダバランサ部の縦断面を示す模式図である。 図13のスライダバランサ部のC−C線断面図である。 本発明の実施の形態2のスクロール圧縮機の低速運転時(a)〜高速運転時(e)までの回転数毎にスライダバランサ部に作用する遠心力と反力の変化を示した動作説明用の平面図である。 本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機における各軸受荷重及び渦巻側面の押付力F[kgf]の回転数[rps]に対する変化のパターンを示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機における揺動部品の遠心力の揺動軸受と渦巻側面との支持割合の回転数[rps]に対する変化パターンを示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機について図面等を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置或いは部品の配置及び向きを限定するものではない。
実施の形態1.
[スクロール圧縮機1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1の構造を示す概略縦断面図である。スクロール圧縮機1は、冷媒等の流体を吸入して圧縮し、高温高圧の状態にして吐出するものである。図1に示すように、スクロール圧縮機1は、冷媒を圧縮する圧縮機構部2と、圧縮機構部2を駆動する電動機3と、圧縮機構部2及び電動機3を収容する密閉容器21と、を有している。
(密閉容器21)
密閉容器21は、スクロール圧縮機1の外郭を構成するものである。密閉容器21内には、圧縮機構部2、電動機3、及び、主軸15が収容されている。また、密閉容器21の側面には、密閉容器21内と連通する吸入管23が接続されている。また、密閉容器21の上部には、圧縮機構部2によって圧縮された冷媒が吐出される吐出管24が接続されている。さらに、密閉容器21の底部には、潤滑油22が貯留されている。
(圧縮機構部2)
圧縮機構部2は、吸入管23から密閉容器21内に吸入される流体(例えば冷媒)を圧縮するものである。圧縮機構部2は、密閉容器21に取り付けられたフレーム14に固定された固定スクロール11と、固定スクロール11に対して揺動(すなわち、公転運動)する揺動スクロール12と、を有している。なお、固定スクロール11がフレーム14と固定された例について説明したが、固定スクロール11は、フレーム14とは固定されずに密閉容器21と固定された構成とすることができる。固定スクロール11及び揺動スクロール12は、それぞれの渦巻歯114と、渦巻歯126とが噛み合うように組み合わされている。渦巻歯114と渦巻歯126との間には、冷媒が圧縮される圧縮室が形成される。揺動スクロール12とフレーム14との間には、固定スクロール11に対する揺動スクロール12の自転を規正するオルダムリング13が設けられている。オルダムリング13は、揺動スクロール12の台板部122の下側に配設され、揺動スクロール12の揺動運動中における自転運動を阻止するのに利用される。
(固定スクロール11)
固定スクロール11は、揺動スクロール12とともに冷媒を圧縮するものである。固定スクロール11は、揺動スクロール12に対して対向配置されている。固定スクロール11は、平板形状の台板部113と、台板部113から揺動スクロール12側に突出して形成された渦巻歯114と、を有している。なお、渦巻歯114は、本発明の「第1渦巻体」に相当する。
台板部113は、渦巻歯114、揺動スクロール12及びフレーム14とともに、圧縮室を構成する。台板部113は、その外周面が密閉容器21の内周面に対向するとともに、台板部113の下端面のうちの外側がフレーム14の上部と対向するように、密閉容器21内で固定されている。台板部113の中心部には、圧縮された冷媒を圧縮室から吐出する吐出ポート111が台板部113を貫通して形成されている。吐出ポート111の出口側には、リード弁構造の吐出弁25が設けられている。吐出弁25は、予め設定された圧力より小さいと吐出ポート111を閉塞し、圧縮室側から吐出管24側に冷媒が流れることを規制するが、予め設定された圧力以上となると吐出ポート111を開放する。
渦巻歯114は、揺動スクロール12の渦巻歯126とともに、冷媒を圧縮するものである。また、渦巻歯114は、台板部113及び揺動スクロール12とともに、揺動スクロール12の揺動により容積が変化する圧縮室を形成するものである。この渦巻歯114は、水平断面が渦巻形状に形成されている。
(揺動スクロール12)
揺動スクロール12は、固定スクロール11とともに冷媒を圧縮するものである。渦巻歯114とともに冷媒を圧縮する渦巻歯126が形成され、固定スクロール11との間に圧縮室を形成する。揺動スクロール12は、固定スクロール11に対して対向配置されている。揺動スクロール12は、平板形状の台板部122と、台板部122から固定スクロール11側に突出して形成された渦巻歯126とを有している。なお、渦巻歯126は、本発明の「第2渦巻体」に相当する。
台板部122は、渦巻歯126、固定スクロール11及びフレーム14とともに、圧縮室を構成するものである。台板部122は、円板形状の部材であり、主軸15の回転によってフレーム14内で揺動運動する。揺動スクロール12は、フレーム14とは別部材として設置された張出し部141において軸方向のスラスト荷重が支持されている。台板部122は、渦巻歯126が形成された面とは反対側の面(図1では下面)の中心部に、円筒形状のボス部121が形成されている。
渦巻歯126は、固定スクロール11の渦巻歯114とともに冷媒を圧縮するものである。また、渦巻歯126は、台板部122及び固定スクロール11とともに圧縮室を構成するものである。この渦巻歯126は、水平断面が渦巻形状に形成されている。
ボス部121は、揺動軸受としての機能を有するものである。ボス部121には、主軸15の端部が接続される。本実施の形態1では、移動部材30を用いた可変半径クランク機構5を採用しており、移動部材30はボス部121の内周側に回転自在に設けられている。
(電動機3)
電動機3は、主軸15を回転させるものである。電動機3は、密閉容器21の内周壁に固定されたステータ19と、ステータ19の内周側に配置されたロータ18と、を有している。ステータ19は、積層鉄心に複数相の巻線を装着して構成されている。ロータ18は、内部に図示省略の永久磁石を有する。また、ロータ18には、揺動スクロール12に電動機3の回転駆動力を伝達する主軸15が固定されている。つまり、ステータ19に通電されると、ロータ18は、主軸15と一体となって回転するように構成されている。電動機3は、例えば、インバータ制御等により、ロータ18の回転数を変更することができる。ロータ18の下部には、第2バランサ17が設けられている。
(主軸15)
主軸15は、揺動スクロール12に回転駆動力を伝達するものである。主軸15の上部は、フレーム14に設けられた主軸受143に回転自在に支持されており、主軸15の下部は、副軸受20に回転自在に支持されている。この副軸受20は、サブフレーム28に設けられており、例えばボールベアリング等により構成されている。主軸15の上端部には、偏心軸部151が設けられている。偏心軸部151は、主軸15の中心軸に対して所定の偏心方向に偏心して配置されている。偏心軸部151は、移動部材30の溝部31に摺動自在に挿入されている。さらに、主軸15には、偏心軸部151よりも下側であって、電動機3のロータ18よりも上側に揺動運動のバランスをとる第1バランサ16が設けられている。第1バランサ16及び第2バランサ17は、揺動スクロール12、移動部材30、及び、オルダムリング13による偏心に伴うアンバランスを相殺させ、回転系全体としてのバランスを釣り合わせるために設けられている。また、主軸15の下端には、油溜めの潤滑油22を吸い上げる図示せぬオイルポンプが設けられている。また、主軸15の内部には、主軸15の中心軸方向に沿って図示せぬ油穴が形成されている。主軸15の下端に設けられたオイルポンプによって吸い上げられた潤滑油22は、主軸15に形成された油穴を通って、各摺動部に供給される。なお、可変半径クランク機構5及びスライダバランサ部301との関係については後述する。
[スクロール圧縮機1の動作説明]
ここで、スクロール圧縮機1の動作について説明する。このように構成されたスクロール圧縮機1は、ステータ19に電力が供給されると、ロータ18がトルクを発生し、フレーム14の主軸受143と副軸受20とで支持された主軸15が回転する。主軸15の偏心軸部151によりボス部121が駆動される揺動スクロール12は、オルダムリング13により自転を規制されて揺動運動する。これにより、スクロール圧縮機1は、固定スクロール11の渦巻歯114と揺動スクロール12の渦巻歯126との間で形成された圧縮室の容積を変化させる。揺動スクロール12の揺動運動に伴い吸入管23から密閉容器21内に吸入されたガス冷媒が、固定スクロール11と揺動スクロール12の両渦巻歯間の圧縮室に取り込まれ、圧縮される。その後、圧縮された冷媒は、固定スクロール11に設けられた吐出ポート111から吐出弁25に抗して吐出され、吐出管24から回路へ排出される。
[比較例:揺動スクロール12tなどに作用する力]
図2は、スライダを用いた一般的な可変半径クランク機構を有するスクロール圧縮機1tの概略縦断面図である。図3は、図2の可変半径クランク機構を示す縦断面図である。図4は、図2の可変半径クランク機構を示す模式平面図である。図1のスクロール圧縮機1と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。ここで、図2及び図3に示すように、可変半径クランク機構5tは、揺動スクロール12tのボス部121t内に配置されている移動部材30t及び主軸15tに設けられている偏心軸部151tなどから構成されるものである。可変半径クランク機構5tは、主軸15tの回転により揺動スクロール12tを揺動運動させるときにその揺動半径を可変とするものである。また、以下の説明において、揺動部品とは、揺動スクロール12及び移動部材30などから構成されるものである。また、渦巻側面の押付力とは、渦巻歯114と渦巻歯126とが押し付け合う力を指し、渦巻側面押付反力とは、渦巻歯114と渦巻歯126とが押し付け合った結果、それぞれに作用する反力を指す。なお、比較例の説明にあたり、実施の形態1のスクロール圧縮機1で説明した各種構成に対応する構成の符号に加えて記号tを付している。これは、実施の形態1に係るスクロール圧縮機1と比較例のスクロール圧縮機1tとを区別するために便宜的に付したものである。
比較例であるスクロール圧縮機1tは、移動部材30tを用いた可変半径クランク機構5tを採用している。この移動部材30tは、円筒形状の外周面を備え、ボス部121tの内周側に回転摺動自在に配置されている。また、移動部材30tには、偏心軸部151tが一方向に往復摺動自在に挿入される長穴形状の溝部301tが形成されている。図4において、偏心軸部151tは主軸15tに対して、紙面右側に偏心している。溝部301tは、平面視(主軸15t及び偏心軸部151tの中心軸と垂直な断面)において、この偏心方向に対して角度γ傾くように形成されている。また、溝部301t内を摺動する偏心軸部151tには、平面視においてこの偏心方向に対して角度γ傾く斜面Pが形成されている。
スクロール圧縮機1tは、主軸15tの偏心軸部151tの偏心方向に対して角度γなる偏心軸部151tの斜面Pが移動部材30tを介して揺動スクロール12tのボス部121を駆動することにより、可変半径クランク機構5tを構成する。移動部材30t及び揺動スクロール12tが駆動されてガスを圧縮すると、図4に示すように、揺動スクロール12t及び移動部材30tにはガス圧縮の反力として、半径方向のガス荷重Fgr、周方向のガス荷重Fgθ、揺動物品の遠心力Fcが作用する。このうち、周方向のガス荷重Fgθは、角度γの斜面Pで支持されるので、半径方向の分力が発生し、揺動運動部品群に作用する半径方向の荷重は、−Fgr+Fc+Fgθ×tanγとなる。揺動スクロール12t及び移動部材30tに関する力の釣り合いから、これと等しい渦巻側面への押付力Fsが発生し、揺動スクロール12tの渦巻歯126tが固定スクロール11tの渦巻歯114tに渦巻側面への押付力Fsで押しつけられる。これにより、渦巻歯114tと渦巻歯126tとの間に隙間が発生することを抑制することができる。
渦巻側面の押付力Fsは、主軸15tの回転数に依存する力(遠心力Fc)と回転数に依存しない力(ガス荷重Fgr、Fgθ、或いは、ばね力等)で決まり、回転数の2乗で増大する遠心力Fcは、高速運転時には渦巻側面の押付力Fsが過大になる原因となる。こうした弊害への対策として、前述の先行技術に挙げた遠心力をキャンセルする、可変半径クランク機構が知られている。この遠心力キャンセル型の可変半径クランク機構は、クランク機構部品と一体となり揺動部品の遠心力をキャンセル(逆向きの遠心力を発生)するバランサ部(所謂スライダバランサ部)を備えている。遠心力キャンセル型の可変半径クランク機構は、このような構成を備えることで、高速運転時に、渦巻側面に過大な押付力がかからない。
このような遠心力キャンセル型の可変半径クランク機構は、遠心力が発生する揺動スクロールとキャンセル力(逆向きの遠心力)を発生させるスライダとの間の揺動軸受に遠心力の負荷がかかることになる。すなわち、揺動スクロールに発生した遠心力は渦巻側面又は揺動軸受で支持され、その支持比率は、遠心力に対するキャンセル力の比であるキャンセル率に依存する。なお、キャンセル力とは、遠心力を打ち消す力である。従来技術では、低キャンセル率又はキャンセル率0%で、高速運転時に渦巻側面への押付力(及び主軸受荷重)が過大となるのを避けるため、キャンセル率100%又はキャンセル率100%を超える場合、揺動軸受に対する荷重の増大を招くことになる。
図5は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1のスライダバランサ部301の分解斜視図である。図6は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1のスライダバランサ部301の縦断面を示す模式図である。図7は、図6におけるスライダバランサ部301のA−A線断面模式図である。図8は、図6におけるスライダバランサ部301のB−B線断面模式図である。図1、図5〜図8を用いて、高速運転時の渦巻側面への押付力及び高速運転時の揺動軸受荷重が過大となるのを適切に回避するスクロール圧縮機1の可変半径クランク機構5とスライダバランサ部301とを説明する。
[可変半径クランク機構5]
可変半径クランク機構5は、主軸15の回転する力を、主軸の中心からの距離が可変の移動部材30を介して、揺動スクロール12が揺動する力として伝えるものである。可変半径クランク機構5は、主軸15の回転により揺動スクロール12を揺動運動させるときにその揺動半径を定める。可変半径クランク機構5は、主軸15の一端に設けられている。可変半径クランク機構5は、主軸15の中心軸に対して偏心した偏心軸部151と、偏心軸部151が挿入され、揺動スクロール12に設けられた円筒状のボス部121の内周側に回転摺動自在に設けられた移動部材30とから構成されている。
(主軸15の詳細)
主軸15は、圧縮機構部2側の上端部において、図1及び図5に示すように、円柱形状の基軸部150と、基軸部150の端部から径方向に突出した円盤部155と、円盤部155から基軸部150と反対方向に突出した偏心軸部151と、を有する。偏心軸部151は、図6に示すように、主軸15の一端に設けられ、偏心軸部151の中心軸C2は、主軸15の中心軸C1に対して偏心している。図5〜図8において、偏心軸部151の中心軸C2は、主軸15の中心軸C1に対して、紙面右側に偏心している。また、主軸15は、図5に示すように、円盤部155の周縁部から偏心軸部151と同じ方向に突出した周壁部156を有する。周壁部156は、主軸15の一端に設けられ、主軸15と同一の中心軸C1を有し、図6に示すように、ボス部121の外周面と対向する内周壁を形成する。周壁部156の内部には可変半径クランク機構5が配置されている。また、周壁部156は、円筒形状に形成されており、偏心軸部151が偏心している側とは反対側の壁部の一部に切り欠き部154が形成されている。切り欠き部154は、周方向かつ軸方向に形成されおり、周壁部156の円盤部155側の端部から、円盤部155とは反対側の端部まで切り欠かれている。周壁部156は、主軸15の軸方向の平面視において偏心軸部151が偏心している側の半円部分の壁部を相殺バランス部152と称し、偏心軸部151が偏心している側とは反対側の半円部分の壁部をストッパ部153と称する。換言すれば、主軸15は、図5に示すように、偏心軸部151が偏心している側の半円部分の壁部を構成する相殺バランス部152と、周方向において相殺バランス部152の両端から延設された壁部を構成する一対のストッパ部153と、を有する。ストッパ部153は、主軸15につながっている。ストッパ部153は、主軸15の一端に形成され、可変半径クランク機構5を内部に配置する円筒状の周壁部である。相殺バランス部152は、主軸15の端部に設けられ、後述するスライダバランサ部301に生じる遠心力と逆方向の遠心力を生じる。相殺バランス部152の肉厚は、一対のストッパ部153の肉厚よりも厚く形成されており、ストッパ部153と、相殺バランス部152とは一体に形成されている。そのため、周壁部156は、ストッパ部153の内周壁が、相殺バランス部152の内周壁と比較して凹んでおり、周壁部156の内周壁は、ストッパ部153から相殺バランス部152にかけて段差158が形成されている。相殺バランス部152の両端に位置するストッパ部153のそれぞれの周方向の長さは、等しいことが望ましいが、異なる長さであっても良い。周壁部156は、一対のストッパ部153の間に、切り欠き部154が形成されている。なお、ストッパ部153の外周壁と、相殺バランス部152の外周壁とは面一状に形成されている。
(移動部材30)
移動部材30は、主軸15の中心からの距離が変化する部材であり、ボス部121と偏心軸部151との間に介在し、揺動スクロール12の揺動半径を定めるものである。移動部材30は、例えばスライダである。移動部材30は、円筒形状の外周面を備え、ボス部121の内周側に回転摺動自在に設けられている。また、移動部材30には、偏心軸部151が一方向に往復摺動自在に挿入される長穴形状の溝部31が形成されている。移動部材30は、平板形状の基板部35上に設けられている。なお、図5では、移動部材30と基板部35とは一体に形成されているが、例えば、移動部材30と基板部35とは別体で形成され、基板部35に形成された円形の開口に移動部材30を挿入してもよい。基板部35は、偏心軸部151の主軸15に対する偏心方向とは反対方向に延設されており、延設方向の端部には非支持スライダバランサ部301aが設けられている。移動部材30内には主軸15の偏心軸部151が挿入され、基板部35は、円盤部155上に配置される。移動部材30、基板部35、非支持スライダバランサ部301aは、主軸15の周壁部156で囲まれた空間に収容される。
(非支持スライダバランサ部301a)
非支持スライダバランサ部301aは、錘であり揺動スクロール12及びその他の揺動部品に発生する遠心力をキャンセルするものである。非支持スライダバランサ部301aは、基板部35を介して移動部材30と連結されている。非支持スライダバランサ部301aは、外周壁が円弧形状に形成されていると共に、移動部材30と対向する内壁面部301a1は、平面状に形成されている。非支持スライダバランサ部301aは、主軸15の軸方向の長さが、主軸15の周壁部156の長さよりも短く、周方向の長さが、主軸15の切り欠き部154の長さよりも短い。非支持スライダバランサ部301aが、主軸15の周壁部156で囲まれた空間に収容されると、運転停止時及び低速運転時には、非支持スライダバランサ部301aとストッパ部153との間には間隙が形成されている。なお、非支持スライダバランサ部301a及び基板部35は、本発明の「第1バランスウェイト」に相当する。また、非支持スライダバランサ部301aは、本発明の「ウェイト本体部」に相当する。
(半支持スライダバランサ部301b)
半支持スライダバランサ部301bは、錘であり揺動スクロール12及びその他の揺動部品に発生する遠心力をキャンセルするものである。半支持スライダバランサ部301bは、半円弧形状に形成されている。半支持スライダバランサ部301bは、基板部35上に配置される。半支持スライダバランサ部301bは、非支持スライダバランサ部301aと対向する部分の壁部に、水平断面で弓形に切り欠かれた切り欠き部36が形成されている。この弓形の切り欠き部36に、非支持スライダバランサ部301aと弾性部材26とが配置される。切り欠き部36を構成する半支持スライダバランサ部301bの周方向のそれぞれの側面部37は、仮想の同一平面を構成する。主軸15の軸方向において、半支持スライダバランサ部301bの軸方向の長さは、基板部35上に配置された状態で、周壁部156の長さと等しいことが望ましい。半支持スライダバランサ部301bは、ボス部121と非支持スライダバランサ部301aとの間に摺動自在に配置されている。なお、半支持スライダバランサ部301bは、本発明の「第2バランスウェイト」に相当する。
[スライダバランサ部301]
スライダバランサ部301は、周壁部156の内部に配置され、相互の位置が可変である非支持スライダバランサ部301a及び半支持スライダバランサ部301bの2つのバランスウェイトを含む。すなわち、非支持スライダバランサ部301aと、半支持スライダバランサ部301bとはスライダバランサ部301を構成する。スライダバランサ部301は、主軸15の回転によって揺動部品に生じる遠心力に対して逆向きの遠心力を発生させる。また、スライダバランサ部301は、揺動部品に生じる遠心力を上回る遠心力を生じさせる。なお、非支持スライダバランサ部301a及び半支持スライダバランサ部301bは、本発明の「2つのバランスウェイト」に相当し、周壁部156内において、切り欠き部154の方向の、ボス部121の外周側に配置されている。すなわち、非支持スライダバランサ部301a及び半支持スライダバランサ部301bは、周壁部156の内部に配置され、可変半径クランク機構5と対向する位置に配置されている。この2つのバランスウェイトは、揺動スクロール12及びその他の揺動部品に発生する遠心力をキャンセルするものである。そのため、スライダバランサ部301は、渦巻歯114が渦巻歯126に押し付けられるのを抑制するとともに、移動部材30及び偏心軸部151との摩耗を抑制することができる。また、スライダバランサ部301は、主軸受143及び副軸受20の摩耗を抑制することができる。さらに、スライダバランサ部301は、第1バランサ16及び第2バランサ17と比較すると、揺動部品のアンバランス重心に、より近くに位置している。これにより、第1バランサ16及び第2バランサ17の重量を低減することができる。非支持スライダバランサ部301aと半支持スライダバランサ部301bのキャンセル方向のアンバランス量は、揺動部品のアンバランス量を上回る、所謂オーバーキャンセルとなっている。周壁部156の相殺バランス部152は、オーバー分のキャンセル量と釣り合う荷重を発生させる。なお、非支持スライダバランサ部301aと、半支持スライダバランサ部301bとの間には、スライダバランサ部301が変位する機構として、弾性部材26が配置されている。なお、スライダバランサ部301は、本発明の「バランサ」に相当する。
(弾性部材26)
弾性部材26は、主軸15の回転により半支持スライダバランサ部301bに作用する遠心力により生じる荷重を支持する。弾性部材26は、主軸15の回転速度の変化によりスライダバランサ部301が変位する機構である。弾性部材26は、平板形状に形成され、半支持スライダバランサ部301bの側面部37と、非支持スライダバランサ部301aの内壁面部301a1との間に配置される。弾性部材26は、両端側がそれぞれ側面部37と対向し、側面部37と対向する側と反対側において、中央が内壁面部301a1と対向する。弾性部材26は、一般的なばね材の縦弾性係数を前提に、比較的狭い変位量の範囲で作動するように断面二次モーメント、支持スパンが設定された構造となっている。また、弾性部材26の変位量が変動するのは、主軸15の回転数が変化することにより支持キャンセル力が変化する時なので、弾性部材26は、通常の使用では疲労に至るようなことはない。そのため、弾性部材26は、疲労を想定した応力抑制のために特殊な素材を用いるという必要はないが、細部形状を変形時の支持位置の微小移動及びそれに伴うフレッティング等に配慮した形状としておく必要がある。
[スライダバランサ部301の動作]
スクロール圧縮機1は、主軸15の回転速度の変化によって、スライダバランサ部301の遠心力をストッパ部153と可変半径クランク機構5の移動部材30とで支持する割合が変化するものである。スクロール圧縮機1の当該構成について、以下に説明する。図7及び図8は、運転停止時及び低速運転時の半支持スライダバランサ部301b及び弾性部材26を示している。半支持スライダバランサ部301bは、運転停止時及び低速運転時には、弾性部材26によってキャンセル方向に移動することを規制されている。すなわち、主軸15の回転数が閾値未満(例えば、90rpm未満)である場合に、半支持スライダバランサ部301bは、弾性部材26と接している。半支持スライダバランサ部301bに作用するキャンセル方向の遠心力は、弾性部材26を介して非支持スライダバランサ部301aに作用する。このため、主軸15の回転数が閾値未満の低速運転の場合には、半支持スライダバランサ部301bと非支持スライダバランサ部301aは、一体に構成されたオーバーキャンセルスライダと同等の構成となり、揺動部品の遠心力が相殺される。そして、ガス荷重のスライダ角に応じた分力により渦巻側面の押付が行われる。
主軸15の回転数の増大に伴い、半支持スライダバランサ部301bから弾性部材26を介して非支持スライダバランサ部301aに作用するキャンセル方向の遠心力が増大する。半支持スライダバランサ部301bの遠心力が増大すると、弾性部材26の変形により半支持スライダバランサ部301bの反偏心(キャンセル)方向への移動量が増大する。そして、主軸15の回転数が、設計選択された支持開始回転数として規定した閾値以上(例えば、90rpm)になると、ストッパ部153の内周壁と半支持スライダバランサ部301bの外周壁とが接触する。そして、半支持スライダバランサ部301bは、ストッパ部153に支持されるようになる。半支持スライダバランサ部301bが非支持スライダバランサ部301aとストッパ部153とに接触して支持されると、半支持スライダバランサ部301bの移動は、ストッパ部153に規制される。そのため、更に主軸15の回転数が増大して半支持スライダバランサ部301bのキャンセル力が増大しても、弾性部材26の変形量は一定のため、半支持スライダバランサ部301bから弾性部材26を介して非支持スライダバランサ部301aに伝えられるキャンセル力も一定となる。したがって、半支持スライダバランサ部301bのキャンセル力増大分はストッパ部153に支持されて揺動部品の遠心力のキャンセルには寄与しなくなる。このようにして半支持スライダバランサ部301bとストッパ部153との接触開始以降は、主軸15の回転数の増大に伴い、キャンセル率が低下していくことになる。なお、キャンセル率とは、スライダバランサ部301が揺動部品の遠心力を相殺する比率である。以上のように、スクロール圧縮機1は、主軸15の回転が低速時はスライダバランサ部301の遠心力をストッパ部153または移動部材30のいずれかのみが支持する。そして、スクロール圧縮機1は、主軸15の回転速度が上昇するとスライダバランサ部301の遠心力をストッパ部153と移動部材30とが支持するように変化する。
図9は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1における各軸受荷重及び渦巻側面の押付力F[kgf]の回転数[rps]に対する変化のパターンを示すグラフである。図10は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1における揺動部品の遠心力の揺動軸受と渦巻側面との支持割合の回転数[rps]に対する変化パターンを示すグラフである。図9及び図10を用いて、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1のキャンセル特性の一例を示す。なお、図9は、横軸を主軸15の回転数とし、回転数に対する渦巻側面の押付力Fs、揺動軸受荷重Fbo、主軸受荷重Fbm、副軸受荷重Fbsの変化を表すものである。また、図10は、横軸を主軸15の回転数とし、回転数に対する揺動軸受と渦巻側面の遠心力支持比率の変化を表すものである。
この図9及び図10の実験例では、揺動部品のアンバランス量に対する、半支持スライダバランサ部301bのアンバランス量の比が70%、非支持スライダバランサ部301aのアンバランス量の比が50%としている。そして、半支持スライダバランサ部301bと非支持スライダバランサ部301aによる合計のアンバランス量が120%のオーバーキャンセルで、かつ、90rps以上の回転数で半支持スライダバランサ部301bがストッパ部153と接触する、という設定になっている。
図10に示すように、半支持スライダバランサ部301bがストッパ部153と接触し始める90rpsまでは、遠心力の支持比率が揺動軸受100%、渦巻側面0%で推移する。そして、半支持スライダバランサ部301bがストッパ部153と接触し始める90rps以降は、揺動軸受側の支持比率が低下し、その分渦巻側面の支持比率が増大している。このとき、図9に示すように、渦巻側面の押付力Fsは、90rpsまではスライダ角に応じたガス荷重の分力に依るものであるが、20%のオーバーキャンセル分の増大に伴い漸減し、90rpsで一旦押付力が0となる。しかし、渦巻側面の押付力Fsは、90rps以降では、揺動軸受での遠心力支持比率低下に伴い、遠心力由来分で増大し、揺動軸受荷重Fboの増大が抑制されるとともに、主軸受荷重Fbm、副軸受荷重Fbsが緩やかに増大する特性を示している。
図11は、従来のスライダバランサを用いたスクロール圧縮機における各軸受荷重及び渦巻側面の押付力F[kgf]の回転数[rps]に対する変化のパターンを示すグラフである。図12は、従来のスライダバランサと用いたスクロール圧縮機における揺動部品の遠心力の揺動軸受と渦巻側面との支持割合の回転数[rps]に対する変化パターンを示すグラフである。本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1との比較のために、図11及び図12を用いて、従来のスライダバランサを用いたスクロール圧縮機の特性を示す。図11及び図12は、キャンセル率120%のスライダバランサのときの従来のスクロール圧縮機の特性を示すものである。図11及び図12の従来のスクロール圧縮機もまた、図9及び図10と同様に、20%のオーバーキャンセル分のキャンセル力と、ガス荷重のスライダ分力とが釣り合う90rps以降は側面押付力が0(非接触)となる設定である。従来のスクロール圧縮機は、高速時にスライダバランサ部が軸側とスライダ側にまたがって支持されるような“半支持”構造が無い。そのため、従来のスクロール圧縮機は、図12に示すように、“非接触”となる90rps以降も遠心力支持比率は揺動軸受が100%で、渦巻側面は0%のままである。このため、従来のスクロール圧縮機は、図11に示すように揺動軸受荷重Fboが急激に増大している。
以上のように、スクロール圧縮機1は、主軸15につながるストッパ部153と、主軸15の回転速度の変化によりスライダバランサ部301が変位する機構と、を有し、主軸15の回転速度の変化によって、スライダバランサ部301の遠心力をストッパ部153と可変半径クランク機構の移動部材30とで支持する割合が変化するものである。そのため、スクロール圧縮機1は、揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。このため、揺動部品に作用する遠心力を、閾値未満の低速回転では揺動軸受または渦巻側面で100%支持し、上限回転数に近い閾値以上の高速回転域では、各々、揺動軸受の負荷容量と渦巻側面の摺動特性を考慮した比率で支持することができる。その結果、スクロール圧縮機1は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。そのため、スクロール圧縮機1は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
また、スクロール圧縮機1は、主軸15の回転が低速時はスライダバランサ部301の遠心力をストッパ部153または移動部材30のいずれかのみが支持して、主軸15の回転速度が上昇するとスライダバランサ部301の遠心力をストッパ部153と移動部材30とが支持するように変化する。そのため、スクロール圧縮機1は、揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。このため、揺動部品に作用する遠心力を、閾値未満の低速回転では揺動軸受または渦巻側面で100%支持し、上限回転数に近い閾値以上の高速回転域では、各々、揺動軸受の負荷容量と渦巻側面の摺動特性を考慮した比率で支持することができる。その結果、スクロール圧縮機1は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。そのため、スクロール圧縮機1は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
また、スクロール圧縮機1は、スライダバランサ部301は、揺動部品に生じる遠心力を上回る遠心力を生じ、主軸15は、端部にスライダバランサ部301に生じる遠心力と逆方向の遠心力を生じる相殺バランス部152を有している。そのため、スクロール圧縮機1は、相殺バランス部152が、オーバー分のキャンセル量と釣り合う荷重を発生させることができる。
また、スクロール圧縮機1は、ストッパ部153が、前記主軸の一端に形成され、前記可変半径クランク機構を内部に配置する円筒状の周壁部である。そのため、ストッパ部153は、スライダバランサ部301の径方向の移動を規制することができる。
また、スクロール圧縮機1は、スライダバランサ部301が、周壁部156の内部に配置され、相互の位置が可変である2つのバランスウェイトを含む。スクロール圧縮機1は、周壁部156の内部で2つのバランスウェイトが移動することによって、揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。
また、スクロール圧縮機1は、移動部材30と連結された非支持スライダバランサ部301aと、ボス部121と非支持スライダバランサ部301aとの間に摺動自在に配置された半支持スライダバランサ部301bと、を有する。そして、スクロール圧縮機1は、非支持スライダバランサ部301aと、半支持スライダバランサ部301bとの間に弾性部材26が配置されている。そのため、スクロール圧縮機1は、閾値未満の回転数の低速運転時には、遠心力の反力がすべてクランク機構側で支持されるので、揺動部品に作用する遠心力が渦巻側面の押付けに寄与せず、ガス荷重の分力或いはばね力等によりシール性が確保される。スクロール圧縮機1は、回転数の増大により100%を超える遠心力の反力が、ガス力或いはばね力を上回ることで、中速域での渦巻側面の非接触による静粛性が得られる。更に、スクロール圧縮機1は、閾値以上の回転数の高速時には、ストッパ部153を有する主軸15側での遠心力の反力を支持する割合が増大し、揺動部品に作用する遠心力の渦巻側面での支持割合が増大するので揺動軸受荷重が過大となるのを避けることができる。以上のように、スクロール圧縮機1は、渦巻側面と揺動軸受とで、揺動部品の遠心力の支持割合を主軸15の回転数に依存させて自動的に変化させることができる。そのため、スクロール圧縮機1は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。その結果、スクロール圧縮機1は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
また、非支持スライダバランサ部301aは、外周壁が円弧形状に形成されていると共に、移動部材30と対向する内壁面部301a1は平面状に形成されている。また、半支持スライダバランサ部301bは、半円弧形状に形成されていると共に、弓形の切り欠き部36が形成されている。そして、弓形の切り欠き部36には、非支持スライダバランサ部301aと弾性部材26とが配置される。そのため、スクロール圧縮機1は、閾値未満の回転数の低速運転時には、遠心力の反力がすべてクランク機構側で支持されるので、揺動部品に作用する遠心力が渦巻側面の押付けに寄与せず、ガス荷重の分力或いはばね力等によりシール性が確保される。スクロール圧縮機1は、回転数の増大により100%を超える遠心力の反力が、ガス力或いはばね力を上回ることで、中速域での渦巻側面の非接触による静粛性が得られる。更に、スクロール圧縮機1は、閾値以上の回転数の高速時には、ストッパ部153を有する主軸15側での遠心力の反力を支持する割合が増大し、揺動部品に作用する遠心力の渦巻側面での支持割合が増大するので揺動軸受荷重が過大となるのを避けることができる。以上のように、スクロール圧縮機1は、渦巻側面と揺動軸受とで、揺動部品の遠心力の支持割合を主軸15の回転数に依存させて自動的に変化させることができる。そのため、スクロール圧縮機1は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。その結果、スクロール圧縮機1は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
また、スクロール圧縮機1は、主軸15の回転数が閾値未満である場合に、半支持スライダバランサ部301bは、弾性部材26と接し、主軸15の回転数が閾値以上である場合に、半支持スライダバランサ部301bは、ストッパ部153と接する。そのため、スクロール圧縮機1は、閾値未満の回転数の低速運転時には、遠心力の反力がすべてクランク機構側で支持されるので、揺動部品に作用する遠心力が渦巻側面の押付けに寄与せず、ガス荷重の分力或いはばね力等によりシール性が確保される。スクロール圧縮機1は、回転数の増大により100%を超える遠心力の反力が、ガス力或いはばね力を上回ることで、中速域での渦巻側面の非接触による静粛性が得られる。更に、スクロール圧縮機1は、閾値以上の回転数の高速時には、ストッパ部153を有する主軸15側での遠心力の反力を支持する割合が増大し、揺動部品に作用する遠心力の渦巻側面での支持割合が増大するので揺動軸受荷重が過大となるのを避けることができる。以上のように、スクロール圧縮機1は、渦巻側面と揺動軸受とで、揺動部品の遠心力の支持割合を主軸15の回転数に依存させて自動的に変化させることができる。そのため、スクロール圧縮機1は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。その結果、スクロール圧縮機1は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2のスクロール圧縮機10のスライダバランサ部302の縦断面を示す模式図である。図14は、図13のスライダバランサ部302のC−C線断面図である。なお、図14では、スライダバランサ部302を説明するために、ボス部121を省略している。図1〜図12のスクロール圧縮機1と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。本発明の実施の形態2のスクロール圧縮機10は、スライダバランサ部302の構造が、実施の形態1のスライダバランサ部301の構造と異なるものである。なお、本発明の実施の形態2のスクロール圧縮機10の主軸15の構造は、実施の形態1のスクロール圧縮機1の構造と同じである。主軸15は、圧縮機構部2側の上端部において円柱形状の基軸部150と、基軸部150の端部から径方向に突出した円盤部155と、円盤部155から基軸部150と反対方向に突出した偏心軸部151と、を有する。偏心軸部151は、図13に示すように、主軸15の一端に設けられ、偏心軸部151の中心軸C2は、主軸15の中心軸C1に対して偏心している。周壁部156は、主軸15の一端に設けられ、主軸15と同一の中心軸C1を有し、図13に示すように、ボス部121の外周面と対向する内周壁を形成する。周壁部156の内部には可変半径クランク機構5が配置されている。また、周壁部156は、円筒形状に形成されており、偏心軸部151が偏心している側とは反対側の壁部の一部に切り欠き部154が形成されている。主軸15の周壁部156は、図5に示すように、偏心軸部151が偏心している側の半円部分の壁部を構成する相殺バランス部152と、周方向において相殺バランス部152の両端から延設された壁部を構成する一対のストッパ部153と、を有する。ストッパ部153は、主軸15につながっている。ストッパ部153は、主軸15の一端に形成され、可変半径クランク機構5を内部に配置する円筒状の周壁部である。相殺バランス部152は、主軸15の端部に設けられ、後述するスライダバランサ部302に生じる遠心力と逆方向の遠心力を生じる。相殺バランス部152の肉厚は、一対のストッパ部153の肉厚よりも厚く形成されており、ストッパ部153と、相殺バランス部152とは一体に形成されている。なお、図13において、線分L1は、主軸15の中心軸と、偏心軸部151の中心軸とを通る仮想の線分である。周壁部156は、仮想の線分L1を境に周壁部156の一方の側をU側と称し、他方の側をD側と称する。なお、図13において紙面上側が、U側の周壁部156であり、紙面下側がD側の周壁部156である。U側の周壁部156と、D側の周壁部156とは、偏心軸部151の中心を通る仮想の線分L1を境に対称の形状である。
(移動部材30A)
移動部材30Aは、主軸15の中心からの距離が変化する部材であり、ボス部121と偏心軸部151との間に介在し、揺動スクロール12の揺動半径を定めるものである。移動部材30Aは、円筒形状の外周面を備え、ボス部121の内周側に回転摺動自在に設けられている。移動部材30Aは、例えば、スライダである。また、移動部材30Aには、偏心軸部151が一方向に往復摺動自在に挿入される長穴形状の溝部31が形成されている。移動部材30Aは、偏心軸部151と組み合わされて可変半径クランク機構5を構成する。移動部材30Aは、スライダバランサ部302と一体化しておらず、一般的なブッシュ様形状の部品である。
[スライダバランサ部302]
図14は、主軸15の回転数が閾値未満である場合のスライダバランサ部302を示している。スライダバランサ部302は、主軸15の回転によって揺動部品に生じる遠心力に対して逆向きの遠心力を発生させる。また、スライダバランサ部302は、揺動部品に生じる遠心力を上回る遠心力を生じさせる。スライダバランサ部302は、移動部材30Aと周壁部156との間の、円盤部155上に配置されている。スライダバランサ部302は、主軸15の中心軸と、偏心軸部151の中心軸とを通る仮想の線分L1の両側おいて対称の形に形成されたスライダバランサ部302cとスライダバランサ部302dとから構成されている。スライダバランサ部302は2つに分割された構造であり、周壁部156のU側に配置されるスライダバランサ部302cと、周壁部156のD側に配置されるスライダバランサ部302dとを有する。スライダバランサ部302は、周壁部156の内部に配置され、相互の位置が可変であるスライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dの2つのバランスウェイトを含む。スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dは、移動部材30Aを挟んで平面視で対称構造に形成されている。なお、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dは、本発明の「2つのバランスウェイト」に相当する。スライダバランサ部302cと、スライダバランサ部302dとは、移動部材30Aと接触せず、移動部材30Aを挟み込むように配置されている。スライダバランサ部302は、平面視で、環状に形成された平板の基板部302aを有し、基板部302a内周側は、移動部材30Aの外周側と対向するように配置されている。基板部302aは、内周縁が移動部材30Aの外径よりも大きく形成されており、基板部302aと移動部材30Aとの間に間隙が形成されている。基板部302aは、偏心軸部151の偏心方向の一部に切り欠き部S3が形成されている。換言すると、スライダバランサ部302cは、内周縁が移動部材30Aの外径よりも大きく形成され、内周側に移動部材30Aが配置される平板かつ円弧状に形成された基板部302a1を有する。また、スライダバランサ部302dは、内周縁が移動部材30Aの外径よりも大きく形成され、内周側に移動部材30Aが配置される平板かつ円弧状に形成された基板部302a2を有する。切り欠き部S3は、スライダバランサ部302cの端部303cと、スライダバランサ部302dの端部303dとの間隙である。スライダバランサ部302cの端部303cと、スライダバランサ部302dの端部303dとの間には、スライダバランサ部302が変位する機構として、弾性部材26Aが配置されている。すなわち、基板部302aは、偏心軸部151の偏心方向の一部に形成された切り欠き部S3に弾性部材26Aを配置している。なお、スライダバランサ部302は、本発明の「バランサ」に相当する。
スライダバランサ部302は、偏心軸部151の偏心方向とは反対側の、基板部302aの外周側にウェイト本体部302bを有している。ウェイト本体部302bは基板部302aと一体に形成されており、基板部302aと比較して、主軸15の軸方向に厚みを有している。また、ウェイト本体部302bは、ストッパ部153に形成された切り欠き部154に膨出している。ウェイト本体部302bは、スライダバランサ部302cのウェイト本体部302b1と、スライダバランサ部302dのウェイト本体部302b2とにより構成される。スライダバランサ部302cのウェイト本体部302b1と、スライダバランサ部302dのウェイト本体部302b2とは対向している。ウェイト本体部302b1及びウェイト本体部302b2は、錘であり揺動スクロール12及びその他の揺動部品に発生する遠心力をキャンセルするものである。
(弾性部材26A)
弾性部材26Aは、主軸15の回転によりウェイト本体部302b1及びウェイト本体部302b2に作用する遠心力により生じる荷重を支持する。弾性部材26Aは、主軸15の回転速度の変化によりスライダバランサ部302が変位する機構である。弾性部材26Aは、ウェイト本体部302b1とは反対側に位置する基板部302a1の端部303cと、ウェイト本体部302b2とは反対側に位置する基板部302a2の端部303dとの間に配置されている。図13及び図14には、弾性部材26Aの具体的な形状を示していないが、弾性部材26Aは圧縮されものであり、弾性部材26Aの変位量は小さく、弾性部材26Aには高い荷重が作用する条件で用いられる。図13及び図14では、弾性部材26Aは、実施の形態1のスクロール圧縮機1に用いられる弾性部材26Aと同様に、変形時の支持反力の位置を明確にしている。弾性部材26Aは、さらばねのような機械要素を所定のばね定数となるように設計して用いればよく、所定の条件を満たす物性値を持つような特定の素材を用いる必要性はない。
[スライダバランサ部302の動作]
スクロール圧縮機10は、主軸15の回転速度の変化によって、スライダバランサ部302の遠心力をストッパ部153と可変半径クランク機構5の移動部材30とで支持する割合が変化するものである。スクロール圧縮機1の当該構成について、以下に説明する。スライダバランサ部302は、主軸15の回転数が、閾値未満の回転数である停止時又は低速運転時、周壁部156の内周壁と接している。このとき、スライダバランサ部302cの外縁部の一点は、周壁部156のU側のストッパ部153と、接点U1で接し、スライダバランサ部302dの外縁部の一点は、周壁部156のD側のストッパ部153と、接点D1で接する。スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dが、接点U1及び接点D1においてストッパ部153と接することで、スライダバランサ部302の平面位置及び姿勢が決定する。そして、平面視で、基板部302a1と、移動部材30Aとの間には間隙が形成されており、スライダバランサ部302cとストッパ部153との間には、接点U1から切り欠き部154にかけて拡大する間隙S1が形成されている。また、平面視で、平面視で、基板部302a2と、移動部材30Aとの間には間隙が形成されており、スライダバランサ部302dとストッパ部153との間には、接点D1から切り欠き部154にかけて拡大する間隙S2が形成されている。また、スライダバランサ部302cのウェイト本体部302b1と、スライダバランサ部302dのウェイト本体部302b2とは接している。なお、接点U1及び接点D1は、周壁部156の切り欠き部154と相殺バランス部152との間のストッパ部153に位置している。
スライダバランサ部302は、主軸15の回転数が、閾値以上の回転数である場合も周壁部156の内周壁と接している。このとき、スライダバランサ部302cの外縁部の一点は、周壁部156のU側のストッパ部153と、接点U1で接し、スライダバランサ部302dの外縁部の一点は、周壁部156のD側のストッパ部153と、接点D1と接する。スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dが、接点U1及び接点D1においてストッパ部153と接することで、スライダバランサ部302の平面位置及び姿勢が決定する。また、基板部302aは、弾性部材26Aを圧縮して、移動部材30Aと接している。スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dには、遠心力に対してストッパ部153及び弾性部材26Aからの反力が作用する。そして、2つのバランスウェイト同士のウェイト本体部302bの間、すなわち、スライダバランサ部302cのウェイト本体部302b1と、スライダバランサ部302dのウェイト本体部302b2との間に間隙が形成されている(後述する図15参照)。このとき、基板部302aは、弾性部材26Aが配置された側と反対側において、内周側から外周側にかけて拡大する間隙S4が形成されている。
図15は、本発明の実施の形態2のスクロール圧縮機10の低速運転時(a)〜高速運転時(e)までの回転数毎にスライダバランサ部302cに作用する遠心力と反力の変化を示した動作説明用の平面図である。図15に示すように、スライダバランサ部302cの重心に作用する遠心力Fcsbuに対し、反力F3uが作用するストッパ部153との接点U1が遠心力Fcsbuの線上に無い。そのため、スライダバランサ部302cは、モーメントを解消するために点U1を支点として間隙S1を狭めるように回転し、端部303cが弾性部材26Aの方向に移動する。このとき、端部303cと端部303dとに挟まれた弾性部材26Aが弾性変形するので、スライダバランサ部302cは点U1を支点に微小に回転し、基板部302aは移動部材30Aと接し、端部303cには弾性部材26Aからの反力Fduが生じる。スライダバランサ部302dについてもスライダバランサ部302cと対称の動作となり、すなわち、図15の紙面上では上下対称の動作となり、スライダバランサ部302dに作用する遠心力及び反力が決定し、スライダバランサ部302dの姿勢が決定する。
図15の(a)→(b)→(c)→(d)→(e)のように、主軸15の回転数が増大するにしたがい、遠心力Fcsbuが増大し、反力F3u及び反力Fduも増大し、また、弾性部材26Aの変形量も増大する。そのため、スライダバランサ部302の姿勢も微小に変化する。主軸15が閾値以上の回転数を超えると、図15の(d)〜(e)に示すように、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dの姿勢変化に伴い、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dの内径側と移動部材30Aの外周とが接する。そのため、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dには、移動部材30Aからの反力Fsuが生じるようになる。
図15の(a)〜(c)に示すように、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dが移動部材30Aと接触するまではスライダバランサ部302に作用する遠心力は、主軸15(ストッパ部153)側に支持される。このとき、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dのそれぞれに作用する遠心力は、可変半径クランク機構5(移動部材30A)側には作用しないので、キャンセル率としては0%である。
図15の(d)〜(e)に示すように、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dが移動部材30Aと接触すると、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dのそれぞれが、移動部材30Aからの反力Fsuを受ける。このとき、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dに作用する遠心力Fcsbuにおける反力Fsu分の力は、可変半径クランク機構5(移動部材30A)側にキャンセル力として働くことになる。すなわち、移動部材30Aとの接触開始前では、スライダバランサ部302に作用する遠心力は、ストッパ部153に全て支持されるためにキャンセル率が0%となる。移動部材30Aとの接触開始後では、スライダバランサ部302に作用する遠心力は、ストッパ部153と移動部材30Aとにまたがって支持されるためにキャンセル率が0%以上となる。このように、スライダバランサ部302に作用する遠心力は、移動部材30Aとの接触開始前と、移動部材30Aとの接触開始後とではキャンセル率が変化する。スライダバランサ部302に作用する遠心力のキャンセル率は、スライダバランサ部302に作用する遠心力の大きさと、スライダバランサ部302の重心、スライダバランサ部302とストッパ部153との接点の位置によって決定される。さらに、スライダバランサ部302に作用する遠心力のキャンセル率は、弾性部材26Aの反力が生じる位置、スライダバランサ部302と移動部材30との接触開始時の弾性部材26Aの反力により決定される。本発明の実施の形態2のスクロール圧縮機10は、これらの設計パラメータを調整することで、スライダバランサ部302と移動部材30とが接触を開始する回転数と、接触開始後のキャンセル率の大きさを設定することができる。以上のように、スクロール圧縮機10は、主軸15の回転が低速時はスライダバランサ部302の遠心力をストッパ部153または移動部材30のいずれかのみが支持する。そして、スクロール圧縮機10は、主軸15の回転速度が上昇するとスライダバランサ部302の遠心力をストッパ部153と移動部材30とが支持するように変化する。
図16は、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機10における各軸受荷重及び渦巻側面の押付力F[kgf]の回転数[rps]に対する変化のパターンを示すグラフである。図17は、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機10における揺動部品の遠心力の揺動軸受と渦巻側面との支持割合の回転数[rps]に対する変化パターンを示すグラフである。
図16及び図17を用いて、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機10のキャンセル特性の一例を示す。なお、図16は、横軸を主軸15の回転数とし、回転数に対する渦巻側面の押付力Fs、揺動軸受荷重Fbo、主軸受荷重Fbm、副軸受荷重Fbsの変化を表すものである。また、図17は、横軸を主軸15の回転数とし、回転数に対する揺動軸受と渦巻側面の遠心力支持比率の変化を表すものである。
この図16及び図17の実験例では、図13の平面図の位置関係で、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dのそれぞれのキャンセルアンバランス量を60%(合計で120%のキャンセル)としている。そして、主軸15の回転数が、90rps以上で、スライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dが移動部材30Aと接触するという設定になっている。
実施の形態1のスクロール圧縮機1は、図10に示すように、半支持スライダバランサ部301bがストッパ部153と接触し始める90rpsまでは、遠心力の支持比率が揺動軸受100%、渦巻側面0%で推移する。これに対し、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機10は、実施の形態1のスクロール圧縮機1とは逆に、スライダバランサ部302が移動部材30Aと接触し始める90rpsまでは、遠心力の支持比率が揺動軸受0%、渦巻側面100%で推移する。そして、スライダバランサ部302が移動部材30Aと接触し始める90rps以降は、揺動軸受側の支持比率が増大し、その分渦巻側面の支持比率が減少している。すなわち、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機10は、閾値以上の回転数となる高速域で、スライダバランサ部301が、渦巻側面による支持から、揺動軸受と渦巻側面との両方による支持に移行する。
以上のように、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機10は、主軸15につながるストッパ部153と、主軸15の回転速度の変化によりスライダバランサ部302が変位する機構と、を有し、主軸15の回転速度の変化によって、スライダバランサ部302の遠心力をストッパ部153と可変半径クランク機構の移動部材30とで支持する割合が変化するものである。そのため、スクロール圧縮機10は、揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。このため、揺動部品に作用する遠心力を、閾値未満の低速回転では揺動軸受または渦巻側面で100%支持し、上限回転数に近い閾値以上の高速回転域では、各々、揺動軸受の負荷容量と渦巻側面の摺動特性を考慮した比率で支持することができる。その結果、スクロール圧縮機10は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。そのため、スクロール圧縮機10は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
また、スクロール圧縮機10は、主軸15の回転が低速時はスライダバランサ部302の遠心力をストッパ部153または移動部材30のいずれかのみが支持して、主軸15の回転速度が上昇するとスライダバランサ部302の遠心力をストッパ部153と移動部材30とが支持するように変化する。そのため、スクロール圧縮機10は、揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。このため、揺動部品に作用する遠心力を、閾値未満の低速回転では揺動軸受または渦巻側面で100%支持し、上限回転数に近い閾値以上の高速回転域では、各々、揺動軸受の負荷容量と渦巻側面の摺動特性を考慮した比率で支持することができる。その結果、スクロール圧縮機10は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。そのため、スクロール圧縮機10は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
また、スクロール圧縮機10は、ストッパ部153が、前記主軸の一端に形成され、前記可変半径クランク機構を内部に配置する円筒状の周壁部である。そのため、ストッパ部153は、スライダバランサ部302の径方向の移動を規制することができる。
また、スクロール圧縮機10は、スライダバランサ部302が、周壁部156の内部に配置され、相互の位置が可変である2つのバランスウェイトを含む。スクロール圧縮機10は、周壁部156の内部で2つのバランスウェイトが移動することによって、揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。
また、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機10は、移動部材30Aと周壁部156との間に2つのスライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dを備える。2つのスライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dは、内周縁が移動部材30Aの外径よりも大きく形成され、内周側に移動部材30Aが配置される平板かつ円弧状に形成された基板部302a1及び基板部302a1を有する。また、2つのスライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dは、偏心軸部151の偏心方向とは反対側の基板部302a1及び基板部302a1の外周縁に設けられたウェイト本体部302b1及びウェイト本体部302b1を有する。そして、2つのスライダバランサ部302c及びスライダバランサ部302dは、移動部材30Aを挟んで平面視で対称構造に形成されている。スクロール圧縮機10は、これらの構成を備えることにより揺動部品の遠心力の渦巻側面と揺動軸受との指示割合を回転数に依存させて自動的に変化させることができる。このため、揺動部品に作用する遠心力を、閾値未満の低速回転では揺動軸受または渦巻側面で100%支持し、上限回転数に近い閾値以上の高速回転域では、各々、揺動軸受の負荷容量と渦巻側面の摺動特性を考慮した比率で支持することができる。その結果、スクロール圧縮機10は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。また、スクロール圧縮機10は、高回転数域まで信頼性を確保することができ、容量範囲の広い圧縮機とすることができる。
また、スクロール圧縮機10は、スライダバランサ部302cとスライダバランサ部302dの外縁部の一点が、それぞれストッパ部153と接するものである。スクロール圧縮機10は、主軸15の回転数が閾値未満である場合に、基板部302aと、移動部材30Aとの間には間隙が形成されている。また、スクロール圧縮機10は、主軸15の回転数が閾値以上である場合に、基板部302aが、弾性部材26Aを圧縮し、移動部材30Aと接しているものである。スクロール圧縮機10は、これらの構成を備えることで、低速運転時には遠心力の反力が全てストッパ部153を有する主軸15側で支持されるので、揺動部品に作用する遠心力が渦巻側面の押付けに寄与することでシール性が確保される。そして、スクロール圧縮機10は、閾値以上の回転数よる高速運転時には、基板部302aが移動部材30Aと接触し、クランク機構側での遠心力の反力を支持する割合が増大することにより、渦巻側面への押付力が過大となるのを避けることができる。その結果、スクロール圧縮機10は、渦巻側面と揺動軸受とで、揺動部品の遠心力の支持割合を主軸15の回転数に依存させて自動的に変化させることができる。そのため、スクロール圧縮機10は、高速運転時の遠心力分散支持、低速運転時の側面シール性、中〜高速運転時の静粛性といった特性を両立させることができる。
1 スクロール圧縮機、1t スクロール圧縮機、2 圧縮機構部、3 電動機、5 可変半径クランク機構、5t 可変半径クランク機構、10 スクロール圧縮機、11 固定スクロール、11t 固定スクロール、12 揺動スクロール、12t 揺動スクロール、13 オルダムリング、14 フレーム、15 主軸、15t 主軸、16 第1バランサ、17 第2バランサ、18 ロータ、19 ステータ、20 副軸受、21 密閉容器、22 潤滑油、23 吸入管、24 吐出管、25 吐出弁、26 弾性部材、26A 弾性部材、28 サブフレーム、30 移動部材、30A 移動部材、30t スライダ、31 溝部、35 基板部、36 切り欠き部、37 側面部、111 吐出ポート、113 台板部、114 渦巻歯、114t 渦巻歯、121 ボス部、121t ボス部、122 台板部、126 渦巻歯、126t 渦巻歯、141 張出し部、143 主軸受、150 基軸部、151 偏心軸部、151t 偏心軸部、152 相殺バランス部、153 ストッパ部、154 切り欠き部、155 円盤部、156 周壁部、158 段差、301 スライダバランサ部、301a 非支持スライダバランサ部、301a1 内壁面部、301b 半支持スライダバランサ部、301t 溝部、302 スライダバランサ部、302a 基板部、302a1 基板部、302a2 基板部、302b ウェイト本体部、302b1 ウェイト本体部、302b2 ウェイト本体部、302c スライダバランサ部、302d スライダバランサ部、303c 端部、303d 端部。

Claims (11)

  1. 固定スクロールと、前記固定スクロールに対して揺動する揺動スクロールとを有する圧縮機構部と、
    回転する主軸と、
    前記主軸の回転する力を、前記主軸の中心からの距離が可変の移動部材を介して、前記揺動スクロールが揺動する力として伝える可変半径クランク機構と、
    前記主軸の回転によって揺動部品に生じる遠心力に対して逆向きの遠心力を発生させるバランサと、
    を有するスクロール圧縮機において、
    前記主軸につながるストッパ部と、
    前記主軸の回転速度の変化により前記バランサが変位する機構と、
    を有し、
    前記主軸の回転速度の変化によって、前記バランサの遠心力を前記ストッパ部と前記可変半径クランク機構の前記移動部材とで支持する割合が変化する、
    スクロール圧縮機。
  2. 前記主軸の回転が低速時は前記バランサの遠心力を前記ストッパ部または前記移動部材のいずれかのみが支持して、前記主軸の回転速度が上昇すると前記バランサの遠心力を前記ストッパ部と前記移動部材とが支持するように変化する、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記バランサは、揺動部品に生じる遠心力を上回る遠心力を生じ、前記主軸は、端部に前記バランサに生じる遠心力と逆方向の遠心力を生じる相殺バランス部を有している請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記可変半径クランク機構は、
    前記主軸の一端に形成され、前記主軸の中心に対して偏心した偏心軸部と、
    前記偏心軸部が挿入され、前記揺動スクロールに設けられた円筒状のボス部の内周側に回転摺動自在に設けられたスライダと、
    から構成され、
    前記移動部材がスライダである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記ストッパ部は、前記主軸の一端に形成され、前記可変半径クランク機構を内部に配置する円筒状の周壁部である請求項4に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記バランサは、前記周壁部の内部に配置され、相互の位置が可変である2つのバランスウェイトを含む請求項5に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記2つのバランスウェイトは、
    前記移動部材と連結された第1バランスウェイトと、
    前記ボス部と前記第1バランスウェイトとの間に摺動自在に配置された第2バランスウェイトと、を有し、
    前記第1バランスウェイトと、前記第2バランスウェイトとの間に、前記バランサが変位する機構として、弾性部材が配置されている請求項6に記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記第1バランスウェイトは、外周壁が円弧形状に形成されていると共に、前記移動部材と対向する内壁面部は平面状に形成されたウェイト本体部を有し、
    前記第2バランスウェイトは、半円弧形状に形成されていると共に、前記ウェイト本体部と対向する部分に弓形の切り欠き部が形成されており、
    前記弓形の切り欠き部に、前記ウェイト本体部と前記弾性部材とが配置されている請求項7に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記主軸の回転数が閾値未満である場合に、前記第2バランスウェイトは、前記弾性部材と接し、
    前記主軸の回転数が閾値以上である場合に、前記第2バランスウェイトは、前記ストッパ部と接する請求項8に記載のスクロール圧縮機。
  10. 前記移動部材と前記周壁部との間に前記2つのバランスウェイトを配置し、
    前記2つのバランスウェイトは、
    内周縁が前記移動部材の外径よりも大きく形成され、内周側に前記移動部材が配置される平板かつ円弧状の基板部と、
    前記偏心軸部の偏心方向とは反対側の前記基板部の外周縁に設けられたウェイト本体部と、を有し、前記移動部材を挟んで平面視で対称構造に形成されており、
    前記ウェイト本体部とは反対側の前記基板部の端部の間に弾性部材が配置されている請求項6に記載のスクロール圧縮機。
  11. 前記主軸の回転数が閾値未満である場合に、
    前記2つのバランスウェイトの外縁部の一点が、それぞれ前記ストッパ部と接し、
    前記基板部と、前記移動部材との間には間隙が形成されており、
    前記主軸の回転数が閾値以上である場合に、
    前記2つのバランスウェイトの外縁部の一点が、それぞれ前記ストッパ部と接し、
    前記基板部が、前記弾性部材を圧縮して、前記移動部材と接している請求項10に記載のスクロール圧縮機。
JP2019547540A 2017-10-13 2017-10-13 スクロール圧縮機 Active JP6632784B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2017/037229 WO2019073605A1 (ja) 2017-10-13 2017-10-13 スクロール圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019073605A1 true JPWO2019073605A1 (ja) 2019-11-21
JP6632784B2 JP6632784B2 (ja) 2020-01-22

Family

ID=66100549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019547540A Active JP6632784B2 (ja) 2017-10-13 2017-10-13 スクロール圧縮機

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6632784B2 (ja)
WO (1) WO2019073605A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11193490B2 (en) 2018-03-30 2021-12-07 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki Scroll compressor including bushing mounted on eccentric shaft containing cylindrical and auxiliary weight portions and balancer disposed above annular rotor remote from back pressure chamber
CN110005607B (zh) * 2019-04-30 2020-12-04 浙江颐顿机电有限公司 一种涡旋压缩机背压装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63159689A (ja) * 1986-12-23 1988-07-02 Sanyo Electric Co Ltd スクロ−ル圧縮機
JP2617603B2 (ja) * 1990-03-23 1997-06-04 三菱重工業株式会社 スクロール型流体機械
JPH09195957A (ja) * 1996-01-17 1997-07-29 Nippon Soken Inc スクロール型圧縮機

Also Published As

Publication number Publication date
JP6632784B2 (ja) 2020-01-22
WO2019073605A1 (ja) 2019-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5580229A (en) Scroll compressor drive having a brake
JP3874469B2 (ja) スクロール圧縮機
US5538408A (en) Scroll machine sound attenuation
JPH06346863A (ja) スクロール圧縮機の旋回スクロール駆動装置
JP6632784B2 (ja) スクロール圧縮機
JP6903826B2 (ja) スクロール圧縮機における動的半径方向コンプライアンス
CN113994098B (zh) 涡旋式压缩机
WO2010073612A1 (ja) スクロール型圧縮機
JPH0765580B2 (ja) スクロール気体圧縮機
JP6037936B2 (ja) スクロール圧縮機
KR20180093692A (ko) 터보 압축기
JP4330563B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2009257340A (ja) スクロール圧縮機
JP4585984B2 (ja) スクロール圧縮機
CN219344963U (zh) 涡旋压缩机构及涡旋压缩机
CN112384699B (zh) 涡旋式压缩机
JP4262701B2 (ja) スクロール圧縮機
JP4262700B2 (ja) スクロール圧縮機
JPH0330684B2 (ja)
JP4320005B2 (ja) スクロール圧縮機
KR20240026663A (ko) 스크롤 압축기
JPH0343476B2 (ja)
JP2023142633A (ja) スクロール型圧縮機
JPS59103981A (ja) スクロ−ル圧縮機
KR20200057454A (ko) 전동 압축기

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190830

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190830

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20191031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6632784

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250