以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電磁波発生器の要部を側方から見た状態を示す断面図である。図2Aは、図1に示す矩形A−B−C−Dで囲まれた領域の拡大図であり、かつ、図2Bに示すA−A’線に沿う断面図である。図2Bは、実施の形態1に係る電磁波発生器における導体板の一部を拡大した状態を示す背面図である。図3は、図2Bに示す矩形E−F−G−Hで囲まれた領域の拡大図である。図1〜図3を参照して、実施の形態1の電磁波発生器100について説明する。
図中、1は導体板である。導体板1は電源2の正極と電気的に接続されており、電源2の負極は電子放出器3と電気的に接続されている。電子放出器3は、例えば銅などの金属板により構成されており、間隙4を介して導体板1の片面と対向配置されている。電子放出器3は、電源2がオンされた状態にて導体板1に対して電子eを放出するものである。
導体板1及び電子放出器3は、封止用の容器5に収容されている。容器5は、誘電体などの電磁波透過性を有する材料により構成されている。ただし、電磁波発生器100が可視光の発生に用いられるものである場合、容器5はガラス若しくはセラミック又は透明樹脂などの光透過性を有する材料により構成されている。
容器5の内部が真空状態であるか、又は容器5の内部にネオン若しくはアルゴンなどのガスが封入されている。これらのガスを容器5の内部に封入することにより、電子放出器3から電子eが放出され易くなるため、電子eの放出に必要な電源2の出力電圧を低くすることができる。
導体板1、電子放出器3及び容器5により発振器6が構成されている。なお、容器5の内部を真空状態にした場合、発振器6は二極真空管と同様の構造を有するものとなり、かつ、真空管ダイオードと同様の特性を有するものとなる。したがって、仮に理想的な特性を有するダイオードがあれば、このダイオードを発振器6の電子放出器3に代替することができる。
磁界印加器7は、例えば、発振器6の外部において導体板1の片面側に配置された永久磁石により構成されている。磁界印加器7は、導体板1の板面と完全に直交する方向又は略直交する方向(以下、総称して「直交方向」という。)の磁界B、より具体的には電子放出器3から導体板1に向かう方向の略一様な磁界Bを導体板1に印加するものである。発振器6及び磁界印加器7により、電磁波発生器100の要部が構成されている。
ここで、導体板1は複数個の空洞共振部11を有している。個々の空洞共振部11は、導体板1に穿たれた貫通孔12と、貫通孔12の全周に亘り配列された複数個の貫通孔(以下「共振空洞」という。)13とにより構成されている。個々の共振空洞13は貫通孔12に対する開口部14を有しており、互いに隣接する開口部14間の導体により電極15が構成されている。より具体的には、貫通孔12の全周に亘り第1電極15Aと第2電極15Bとが交互に配置されている。
個々の共振空洞13の大きさは、当該個々の共振空洞13にて発生させる電磁波Wの波長λに応じた大きさに設定されている。より具体的には、個々の共振空洞13における内壁部16の沿面長L1が波長λに対する1/2の値に設定されている。
電磁波発生器100は、1〜1000テラヘルツ(THz)の周波数領域(以下「テラヘルツ領域」という。)内の所定の周波数fを有する電磁波Wの発生に用いられるものである。テラヘルツ領域内の周波数を有する電磁波は、生体分子の同定、電子材料の物性評価、非破壊計測又は医療機器などの種々の技術分野に対する応用が進められている。
例えば、電磁波Wの周波数fが1テラヘルツ(THz)である場合、波長λは300マイクロメートル(μm)であり、沿面長L1は150マイクロメートル(μm)に設定されている。または、電磁波Wの周波数fが1000テラヘルツ(THz)である場合、波長λは0.3マイクロメートル(μm)であり、沿面長L1は0.15マイクロメートル(μm)に設定されている。
なお、テラヘルツ領域には、遠赤外線又は可視光などの光に対応する周波数が含まれている。電磁波Wが遠赤外線である場合、波長λは5〜25μm程度の値であり、沿面長L1は2.5〜12.5μm程度の値に設定されている。電磁波Wが可視光である場合、波長λは0.4〜0.8μm程度の値であり、沿面長L1は0.2〜0.4μm程度の値に設定されている。ちなみに、電磁波Wが黄色の可視光である場合、波長λは約600ナノメートル(nm)であり、沿面長L1は約300nmに設定されている。
個々の空洞共振部11における共振空洞13の個数は、当該個々の空洞共振部11にて発生させる電磁波Wの大きさに応じた個数に設定されている。すなわち、共振空洞13の個数が増加するにつれて次第に電磁波Wの出力が大きくなり、共振空洞13の個数が減少するにつれて次第に電磁波Wの出力が小さくなる。
したがって、個々の空洞共振部11における貫通孔12の大きさは、電磁波Wの出力と、周波数fによる当該個々の空洞共振部11における共振空洞13の個数及び個々の共振空洞13の大きさに応じて設定されている。すなわち、貫通孔12の大きさは、貫通孔12の周囲に設ける共振空洞13の大きさと、その個数によって設定されている。
このような空洞共振部11を有する導体板1は、例えば、3Dプリンタを用いて造形されたものである。または、例えば、IC(Integrated Circuit)における導体パターン形成用のメッキ、蒸着、折出又はエッチングなどの微細加工技術を用いて造形されたものである。または、例えば、いわゆる「メタマテリアル」における導電材料用の微細加工技術を用いて造形されたものである。
導体板1の造形に微細加工技術を用いた場合、造形可能な肉厚の最大値は波長λと同程度の値である。このため、導体板1の肉厚は波長λよりも小さい値に設定されている。具体的には、例えば、導体板1の肉厚は波長λに対する1/4以下の値又は1/8以下の値に設定されている。
これに対して、導体板1の板面積は個々の空洞共振部11の面積に対して十分に大きい値に設定されている。具体的には、例えば、導体板1の板面積は個々の空洞共振部11の面積に対する2倍以上の値又は4倍以上の値に設定されている。これにより、導体板1は略板状の外形となっている。
次に、図4〜図7を参照して、電磁波発生器100の動作について説明する。
個々の共振空洞13における内壁部16は略環状の形状を有するものであるが、高周波においては表皮効果により電流が導体の表面近傍にしか流れず、内壁部16は電極15間(第1電極15Aと第2電極15Bの間)を接続する薄い帯状の導体と同等であるために、電気的なコイルを形成している。また、個々の共振空洞13における開口部14を形成する第1電極15Aと第2電極15Bは、空間を挟んで対向して空間容量を有するために、電気的なキャパシタを形成している。したがって、個々の共振空洞13は電気的な共振回路、より具体的にはLC共振回路を形成し備えている。
このため、仮に磁界Bが印加されていない場合でも、電源2がオンされた状態にて、振動電流が流れたときには、個々の共振空洞13において内壁部16に沿うように振動電流が流れる。より具体的には、ある時点に流れる第1電極15Aから第2電極15Bに向かう電流IABと、当該時点とは異なる時点に流れる第2電極15Bから第1電極15Aに向かう電流IBAとが交互に流れる。図4Aに示す如く、ある時点における電流IABは図中時計回り方向(以下「第1回転方向」という。)の電流と図中反時計回り方向(以下「第2回転方向」という。)の電流とを含むものである。同様に、図4Bに示す如く、当該時点とは異なる時点における電流IBAは第1回転方向の電流と第2回転方向の電流とを含むものである。すなわち、磁界Bが印加されていない場合には、共振回路の振動電流(電流IABと電流IBA)は共振空洞13の内壁部16の表面近傍を往復して(第1回転方向と第2回転方向の両方向に)流れることとなる。
しかしながら、実施の形態1の電磁波発生器100においては導体板1に磁界Bが印加されている。このため、図5Aに示す如く、電流IABを形成するために導体板1内を移動する電子に対して第1回転方向の力Fが加わる。この結果、当該電子の軌道Oが第1回転方向に曲げられて、電流IABのうちの第2回転方向の電流のみが流れるようになる。同様に、図5Bに示す如く、電流IBAを形成するために導体板1内を移動する電子に対して第1回転方向の力Fが加わる。この結果、当該電子の軌道Oが第1回転方向に曲げられて、電流IBAのうちの第2回転方向の電流のみが流れるようになる。
以上のように、磁界印加器7が発生する磁界Bの印加により、図6に示す如く、個々の共振空洞13の内壁部16の表面近傍を流れる振動電流(電流IABと電流IBA)は、電流IABのうちの第2回転方向の電流と、電流IBAのうちの第2回転方向の電流とが交互に流れる状態となる。すなわち、電流IABと電流IBAとが異なる共振空洞13の内壁部16を両者ともに一方向(第2回転方向)に流れ、個々の電極15において流入する電流の経路と流出する電流の経路とが異なるものとなる。
このように電流IABと電流IBAとが交互に流れて、個々の電極15における電位が正負に振動する。図7Aは、経過時間に対する第1電極15Aの電位VA及び第1電極15Aにおける電流値IAを示している。図7Bは、経過時間に対する第2電極15Bの電位VB及び第2電極15Bにおける電流値IBを示している。なお、各時刻において、第1電極15Aの電位VAと第2電極15Bの電位VBとは互いに逆極性であり、当該逆極性の電極を交互に配列するために、貫通孔12の周囲に設ける電極15(共振空洞13)の数は偶数である。
ここで、各時刻において、電子放出器3から放出された電子eと負電位の電極15との間には斥力が生じ、電子放出器3から放出された電子eと正電位の電極15との間には引力が生ずる。このため、図7A及び図7Bに示す如く、電子eは各時刻における正電位の電極15に引き寄せられて着地する。
正電位となっている電極15(第1電極15A又は第2電極15B)に着地した電子eによる電流が当該電極に流れる電流に加算されることで、電流IAB,IBAの各々が次第に増幅される。図7Cは、経過時間に対する電流IABの大きさを示している。図7Dは、経過時間に対する電流IBAの大きさを示している。以上のように、個々の電極15の電位VA,VBが正負に振動しつつ、貫通孔12の周囲に配列された複数個の共振空洞13の内壁部16を第2回転方向に流れる電流IAB,IBAが次第に増幅されることにより、発振状態となり電磁波Wが発生する。
このとき、共振空洞13における内壁部16の沿面長L1が可視光の波長λに対する1/2の値に設定されている場合、個々の共振空洞13にて可視光が発生する。すなわち、個々の共振空洞13が発光する。これにより、電磁波発生器100を光源に用いることができる。
なお、従来のマグネトロンが略筒状の陽極を用いるものであるのに対して、実施の形態1の電磁波発生器100は略板状の陽極、すなわち導体板1を用いるものである。また、導体板1の肉厚は波長λよりも小さい値に設定されている。このため、導体板1の肉厚方向に対する電子eの着地位置が増幅動作に与える影響は小さい。したがって、導体板1の片面と対向配置された陰極、すなわち電子放出器3を用いても、略筒状の陽極内に挿通された陰極を用いる従来のマグネトロンと同様に、電磁波Wを発生させるのに十分な発振を実現することができる。
また、略板状の陽極(導体板1)を用いることにより、略筒状の陽極を用いる従来のマグネトロンに比して、略筒状の陽極の軸方向、すなわち略板状の陽極(導体板1)の肉厚方向に対する薄型化が可能となる。また、個々の空洞共振部11における貫通孔12に対する陰極の挿通が不要であるため、略筒状の陽極内に陰極を挿通してなる従来のマグネトロンに比して、略筒状の陽極の径方向、すなわち略板状の陽極(導体板1)の面方向に対する小面積化が可能となる。したがって、発振器6を小型にすることができる。この結果、従来のマグネトロンよりも小型の電磁波発生器100を実現することができる。
また、従来のマグネトロンは、略筒状の陽極の両端部にそれぞれ磁石を配置することにより、陰極と陽極間の空間及び陽極内の共振空洞に対して一様な磁界を印加するものであった。これに対して、実施の形態1の電磁波発生器100は、上記のように発振器6が薄型であるため、発振器6を磁石(磁界印加器7)に接近させて、導体板1を磁石近傍の磁界Bがより強力な位置に配置することができる。また、発振器6が小面積であるため、導体板1の片面側にのみ磁石(磁界印加器7)を配置したとしても、発振器6内を通る磁界B、すなわち導体板1に印加される磁界Bを略一様にすることができる。この結果、従来のマグネトロンに比して使用する磁石の個数を低減し、小さくすることができるため、電磁波発生器100の更なる小型化を実現することができる。
なお、電磁波発生器100は、テラヘルツ領域内の最低周波数(すなわち1THz)よりも低い周波数fを有する電磁波Wの発生にも用いることができる。このときは、周波数fが低いほど波長λが長くなるため、波長λに応じて個々の共振空洞13を大きくすれば良い。
また、個々の共振空洞13の形状は上記説明に用いた略円形に限定されるものではなく、楕円形又は多角形などであっても良い。
また、個々の空洞共振部11における共振空洞13の個数は、当該個々の空洞共振部11にて発生させる電磁波Wの大きさに応じた個数であれば良く、図3に示す例(すなわち6個)に限定されるものではない。例えば、図8に示す如く、個々の空洞共振部11が図3に示す例よりも多い個数の共振空洞13を有するものであっても良い。
また、個々の空洞共振部11ごとに異なる個数の共振空洞13を有するものであっても良い。例えば、導体板1に設けられた複数個の空洞共振部11が第1の空洞共振部11と第2の空洞共振部11とを含み、第1の空洞共振部11が図3に示すものであり、かつ、第2の空洞共振部11が図8に示すものであっても良い。
また、個々の空洞共振部11ごとに異なる大きさの共振空洞13を有するものであっても良い。これにより、複数の波長λによる電磁波Wを同時に発生させることができる。
例えば、導体板1に設けられた複数個の空洞共振部11が第1の空洞共振部11と第2の空洞共振部11とを含み、第1の空洞共振部11における共振空洞13の大きさが第1の可視光の波長λに対応する大きさに設定されており、第2の空洞共振部11における共振空洞13の大きさが第2の可視光の波長λに対応する大きさに設定されており、第1の可視光の色と第2の可視光の色とが互いに異なるものであっても良い。これにより、複数色の可視光を同時に発生させることができる。
または、例えば、赤色の可視光の波長λに対応する大きさの共振空洞13を有する第1の空洞共振部11と、緑色の可視光の波長λに対応する大きさの共振空洞13を有する第2の空洞共振部11と、青色の可視光の波長λに対応する大きさの共振空洞13を有する第3の空洞共振部11とが導体板1に設けられたものであっても良い。または、例えば、青色の可視光の波長λに対応する大きさの共振空洞13を有する第1の空洞共振部11と、黄色の可視光の波長λに対応する大きさの共振空洞13を有する第2の空洞共振部11とが導体板1に設けられたものであっても良い。これらの色の可視光を同時に発生させることにより、電磁波発生器100全体として白色光を発生させることができる。また、更に多くの色の可視光を同時に発生させることにより、電磁波発生器100全体として太陽光(すべての色を含む)に近い自然な白色光を発生させるものであっても良い。
また、個々の空洞共振部11において、個々の共振空洞13ごとに異なる大きさを有するものであっても良い。例えば、図9に示す如く、個々の空洞共振部11における複数個の共振空洞13が第1の共振空洞131と第2の共振空洞132とを含み、第1の共振空洞131の大きさと第2の共振空洞132の大きさとが互いに異なるものであっても良い。これにより、複数の波長λによる電磁波Wを同時に発生させることができる。
この場合、各波長λの電磁波Wに対応する電流IAB,IBAの増幅を可能ならしめる観点から、各波長λに対応する大きさの共振空洞13を2個以上連続して配置するのが好適である。図9に示す例において、第1の共振空洞131は8個連続して配置されており、第2の共振空洞132は16個連続して配置されている。連続する共振空洞13の個数を増やすことにより、各波長λの電磁波Wの出力を十分な大きさにすることができる。また、連続するそれぞれの共振空洞13の個数を調整することにより、各波長λの電磁波Wの出力の大きさや比率を設定することもできる。
もちろん、導体板1は、1個の空洞共振部11を有するものであっても良い。当該1個の空洞共振部11は、例えば、図3に示すものであっても良く、図8に示すものであっても良く、又は図9に示すものであっても良い。
ちなみに、個々の空洞共振部11においては、複数個の共振空洞13にて発生する電磁波Wが互いに同位相である。したがって、出力する電磁波Wが光である場合、個々の空洞共振部11においてはコヒーレントな光が発生する。このため、導体板1が1個の空洞共振部11を有するものである場合、電磁波発生器100はコヒーレントな光を発生させるものとなる。他方、導体板1が複数個の空洞共振部11を有するものである場合、個々の空洞共振部11ごとに発生する電磁波Wの位相が異なるものとなり得る。このときは、出力する電磁波Wが光である場合、電磁波発生器100はインコヒーレントな光を発生させるものとなる。
また、電子放出器3は、電子eの放出を補助する部材(以下「補助部材」という。)を有するものであっても良い。これにより、電子放出器3から電子eが放出され易くなるため、電子eの放出に必要な電源2の出力電圧を低くすることができる。
例えば、図10に示す如く、電子放出器3が金属板により構成されており、当該金属板のうちの導体板1に対する対向面に設けられた針状の突起8により補助部材が構成されたものであっても良い。個々の突起8は、例えば、当該対向面に垂直状態に接着されたカーボンナノファイバーにより構成されている。個々の突起8の先端部に電界が集中することで、先端部周囲の空間の電位勾配が急峻になって先端部では空間の絶縁破壊が発生しやすくなるため、個々の突起8の先端部から電子eが放出され易くなる。
または、例えば、電子放出器3が金属板により構成されており、当該金属板のうちの導体板1に対する対向面に塗布されたバリウム又はストロンチウムなどの酸化物により構成された補助部材を備えたものであっても良い。これらの酸化物は仕事関数が小さいため、電子eが放出され易くなる。
また、電子放出器3は、フィラメントなどの発熱する部材(以下「発熱部材」という。)により構成されたものであっても良い。すなわち、電子放出器3から放出される電子eは熱電子であっても良い。これにより、電子放出器3から電子eが放出され易くなるため、電子eの放出に必要な電源2の出力電圧を低くすることができる。例えば、図11に示す如く、電子放出器3が複数本のフィラメントにより構成されており、これらのフィラメントを加熱するための電源9が設けられたものであっても良い。なお、フィラメント加熱用の電源9は、図1に示す電源2と別個に設けられたものである。
また、図12に示す如く、電子放出器3が発熱部材により構成され、かつ、補助部材を有するものであっても良い。これにより、電子放出器3から電子eが更に放出され易くなるため、電子eの放出に必要な電源2の出力電圧を更に低くすることができる。
以上のように、実施の形態1の電磁波発生器100は、空洞共振部11を有する導体板1と、導体板1の片面と対向配置されており、導体板1に対して電子eを放出する電子放出器3と、を含む発振器6と、導体板1の板面に対する直交方向の磁界Bを導体板1に印加する磁界印加器7と、を備え、空洞共振部11は、導体板1に穿たれた貫通孔12と、貫通孔12に対して開口した状態にて貫通孔12の全周に亘り配列された複数個の共振空洞13とにより構成されている。これにより、略筒状かつ太径の陽極を用いる従来のマグネトロンに比して、発振器6を小型にすることができる。この結果、従来のマグネトロンよりも小型の電磁波発生器100を得ることができる。また、従来のマグネトロンよりも高周波の周波数fを有する電磁波Wを発生させることができる。
また、電子放出器3は、熱電子を放出する発熱部材により構成されている。これにより、電子放出器3から電子eが放出され易くなるため、電子eの放出に必要な電源2の出力電圧を低くすることができる。この結果、電磁波発生器100の取扱いを容易にすることができ、簡単に電磁波Wを発生することができる。
また、電子放出器3は、電子放出器3による電子eの放出を補助する補助部材を有する。これにより、電子放出器3から電子eが放出され易くなるため、電子eの放出に必要な電源2の出力電圧を低くすることができる。この結果、電磁波発生器100の取扱いを容易にすることができ、簡単に電磁波Wを発生することができる。
また、共振空洞13の大きさは、テラヘルツ領域内の周波数fを有する電磁波Wの波長λに対応する大きさに設定されている。これにより、小型の電磁波発生器100を用いて、テラヘルツ領域内の周波数fを有する電磁波Wを発生させることができる。
また、共振空洞13の大きさは、光の波長λに対応する大きさに設定されている。これにより、小型の電磁波発生器100を用いて、赤外線又は可視光などの光を発生させることができる。
また、共振空洞13は第1の共振空洞131と第2の共振空洞132とを含み、第1の共振空洞131の大きさと第2の共振空洞132の大きさとが互いに異なる構成にする。これにより、複数の波長λによる電磁波Wを同時に発生させることができる。
また、導体板1に複数個の空洞共振部11が設けられている。空洞共振部11の個数を増やすことにより、導体板1における共振空洞13の総数を増やすことができる。この結果、個々の共振空洞13による電磁波Wの出力が小さい場合であっても、電磁波発生器100全体による電磁波Wの出力を十分な大きさにすることができる。
また、空洞共振部11は第1の空洞共振部11と第2の空洞共振部11とを含み、第1の空洞共振部11における共振空洞13の大きさと第2の空洞共振部11における共振空洞13の大きさとが互いに異なる構成にする。これにより、複数の波長λによる電磁波Wを同時に発生させることができる。
また、第1の空洞共振部11における共振空洞13の大きさは第1の可視光の波長λに対応する大きさに設定されており、第2の空洞共振部11における共振空洞13の大きさは第2の可視光の波長λに対応する大きさに設定されており、第1の可視光の色と第2の可視光の色とが互いに異なる構成にする。これにより、複数色の可視光を同時に発生させることができる。
また、導体板1及び電子放出器3は容器5に収容されており、容器5の内部が真空状態であるか又は容器5の内部にガスが封入されている。容器5の内部を真空状態にすることは、発振器6が二極真空管すなわち真空管ダイオードと同様の構造となるため、発振器6の電子放出器3を相応のダイオードに代替することも可能である。他方、容器5の内部にネオン又はアルゴンなどのガスを封入することにより、電子放出器3から電子eが放出され易くなるため、電子eの放出に必要な電源2の出力電圧を低くすることができる。この結果、電磁波発生器100の取扱いを容易にすることができ、簡単に電磁波Wを発生することができる。
また、磁界印加器7は、発振器6の外部において導体板1の片面側に配置されている。発振器6の薄型化により、導体板1を磁界印加器7の磁界Bがより強力な位置に接近配置することができる。また、発振器6の小面積化により、導体板1の片面側にのみ配置された磁界印加器7を用いても、導体板1に略一様な磁界Bを印加することができる。これにより、電磁波発生器100の更なる小型化を実現することができる。
実施の形態2.
空洞共振部の内部においては、実施の形態1にて図4〜図7を参照して説明したとおり、電流IABと電流IBAとが交互に流れることにより、個々の電極15(第1電極15Aと第2電極15B)における電位が正負に振動してる。なお、上記のように、各時刻において、第1電極15Aの電位VAと第2電極15Bの電位VBとは互いに逆極性であり、電気的に相補している。
しかしながら、個々の開口部14の開口幅、すなわち互いに隣接する第1電極15Aと第2電極15B間の離間距離は微小である。このため、互いに隣接する第1電極15Aと第2電極15B間の電気的な相補性及び電気的な干渉により、巨視的には全ての電極15が同電位であるかのように、より具体的には基準電位であるかのように観測される。すなわち、複数の共振空洞13を整然と配列した空洞共振部11においては、内部で発生した電磁波Wが当該個々の空洞共振部11の外部に出力され難い状態にある。
そこで、実施の形態2の電磁波発生器100は、個々の空洞共振部11にて発生した電磁波Wを当該個々の空洞共振部11の外部に出力する部位(以下「出力部」という。)を設けたものである。以下、図13〜図19の各々を参照して、出力部の具体例について説明する。なお、実施の形態1に係る電磁波発生器100の構成部材等と同様の構成部材等には同一符号を付して説明を省略する。
図13に示す例においては、導体板1に形成された突起21により出力部が構成されている。より具体的には、個々の空洞共振部11における複数個の電極15のうちのいずれか1個の電極15に突起21が設けられている。突起21の長さL2は波長λに対する1/4の値に設定されており、突起21は棒状アンテナ(ロッドアンテナ)の機能を果たすものである。
すなわち、巨視的には基準電位の空洞共振部11に対して、突出した突起21の先端部においては電位が正負に振動する。これにより、突起21から電磁波Wを空間中に放出することができる。
なお、突起21の長さL2は、L2=(n/4)×λの条件を満たすことにより(nは1以上の整数)、電極15から突起21に伝わる高周波電流の反射が抑制され、電磁波Wを効率よく空間に出力できるため、アンテナとしての機能を発揮できる。同時に、突起21から反射されて電極15に戻る高周波電流が抑制されるので、突起21の存在が実施の形態1にて説明した増幅動作を阻害するのを回避することができ、発振状態を継続することができる。
また、図14に示す如く、個々の空洞共振部11において、複数個の電極15のうちのいずれか2個以上の電極15の各々に突起21が設けられたものであっても良い。ここで、上記のとおり、突起21の長さL2は波長λに応じたものである。したがって、個々の空洞共振部11が複数の波長λによる電磁波Wを同時に発生させるものである場合、個々の空洞共振部11において長さL2が互いに異なる突起21が設けられたものであっても良い。
例えば、図15に示す如く、第1の共振空洞131にて発生する電磁波Wの波長λに対する1/4の長さL2を有する第1の突起211と、第2の共振空洞132にて発生する電磁波Wの波長λに対する1/4の長さL2を有する第2の突起212とが設けられたものであっても良い。
なお、図13〜図15の各々に示す例において、突起21はその長手方向が導体板1の板面に沿う向きに設けられている。これに対して、図16に示す如く、突起21はその長手方向が導体板1の板面に対する直交方向に沿う向きに設けられたものであり、突起21は、導体板1の表面側に突出したものであっても良く、導体板1の裏面側に突出したものであっても良く、又は図16に示す如くこれらを組み合わせたものであっても良い。
ちなみに、棒状アンテナは、当該棒の長手方向に対する直交方向に電磁波Wを強く出力する指向性を有している。したがって、図13〜図15の各々に示すような出力部を設けた場合、電磁波発生器100は導体板1の板面に対する直交方向に電磁波Wを出力する指向性を有するものとなる。他方、図16に示すような出力部を設けた場合、電磁波発生器100は導体板1の板面に沿う方向に電磁波Wを出力する指向性を有するものとなる。
また、棒状アンテナから出力される電磁波の偏波方向は、当該棒の長手方向に沿う方向となる。このため、導体板1全体における突起21の個数が1個である場合、又は、導体板1全体における突起21の個数が複数個であり、かつ、これらの突起21の長手方向の向きが全て同一である場合、電磁波発生器100は単一偏波の電磁波Wを発生させるものとなる。
他方、導体板1全体における突起21の個数が複数個であり、かつ、これらの突起21の長手方向の向きが互いに異なる突起21が含まれている場合、電磁波発生器100は偏波方向が互いに異なる複数の電磁波Wを同時に発生させるものとなる。これにより、出力する電磁波Wが光であれば、複数の偏光方向の光が混合された自然光に近い光を実現することができる。
図17に示す例においては、導体板1に形成された溝22における拡幅部23により出力部が構成されている。より具体的には、個々の空洞共振部11における複数個の共振空洞13のうちのいずれか1個の共振空洞13に代えて、貫通孔12と連通した溝22が設けられている。溝22は拡幅部23を有しており、この拡幅部23における溝22の幅L3の長さは波長λに対する1/2の値に設定されている。これにより、拡幅部23がスロットアンテナの機能を果たすものである。
見方を変えれば、拡幅部23の対向する幅の方向に対応する両端部24A,24Bの電位は、それぞれ正負に振動し、各時刻において、第1端部24Aの電位と第2端部24Bの電位とは互いに逆極性となるため、拡幅部23は両端部24A,24Bを両先端とする1/2波長のダイポールアンテナに相当すると考えることもできる。すなわち、そこにダイポールアンテナがあるかのように、拡幅部23の両端部24A,24Bの電位が正負に振動する。これにより、拡幅部23から電磁波Wが空間中に放出される。
なお、溝22の内壁部の沿面長L4、すなわち互いに隣接する第1電極15Aと第2電極15B間の沿面長L4は、波長λに対するn+1/2の値に設定されている(nは1以上の整数)。第1電極15Aと第1端部24A間の沿面長L5Aは、波長λに対するn/2の値に設定されている。第2電極15Bと第2端部24B間の沿面長L5Bは、波長λに対するn/2の値に設定されている。これにより、流通する高周波電流の乱れを抑制できるので、溝22の存在が実施の形態1にて説明した増幅動作を阻害するのを回避することができ、発振状態を継続することができる。
図18に示す如く、個々の空洞共振部11において、複数個の共振空洞13のうちのいずれか2個以上の共振空洞13の各々に代えて溝22が設けられたものであっても良い。ここで、上記のとおり、溝22の寸法(幅L3及び沿面長L4,L5A,L5B)は波長λに応じたものである。したがって、個々の空洞共振部11が複数の波長λによる電磁波Wを同時に発生させるものである場合、個々の空洞共振部11において寸法が互いに異なる溝22が設けられたものであっても良い。
ちなみに、スロットアンテナは、当該スロットの対向する幅の方向に対する直交方向に電磁波Wを強く出力する指向性を有している。したがって、図17又は図18に示す出力部を設けた場合、電磁波発生器100は導体板1の板面に対する直交方向に電磁波Wを出力する指向性を有するものとなる。
また、スロットアンテナから出力される電磁波の偏波方向は、当該スロットの対向する幅の方向に沿う方向となる。このため、導体板1全体における溝22の個数が1個である場合、又は、導体板1全体における溝22の個数が複数個であり、かつ、これらの溝22に設けられた拡幅部23の対向する幅の方向が全て同一である場合、電磁波発生器100は単一偏波の電磁波Wを発生させるものとなる。
他方、導体板1全体における溝22の個数が複数個であり、かつ、これらの溝22に拡幅部23の対向する幅の方向が互いに異なる溝22が含まれている場合、電磁波発生器100は偏波方向が互いに異なる複数の電磁波Wを同時に発生させるものとなる。これにより、出力する電磁波Wが光であれば、複数の偏光方向の光が混合された自然光に近い光を実現することができる。
図19に示す例においては、個々の空洞共振部11における複数個の電極15のうちのいずれか1個の電極15が出力電線25の一端部と電気的に接続されており、この電気的接続により出力部が構成されている。出力電線25の他端部には、図示しない導波管又はホーンアンテナなどが電気的に接続されている。図19に示す出力部は、従来のマグネトロンにおける出力部と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
ただし、電磁波発生器100がテラヘルツ領域内の周波数fを有する電磁波Wを発生させるものである場合、波長λが短く、各構成部が微細になるため、図19に示す出力部を用いるのは困難なことがある。したがって、図19に示す出力部は、これよりも長い波長λの電磁波Wを発生させる場合、すなわちテラヘルツ領域内の最低周波数よりも低い周波数fを有する電磁波Wを発生させる場合に用いるのが好適である。
以上のように、実施の形態2の電磁波発生器100において、空洞共振部11は、空洞共振部11にて発生した電磁波Wを空洞共振部11の外部に出力する出力部を有する。これにより、電源2から供給された電力を用いて、個々の空洞共振部11にて発生した電磁波Wを当該個々の空洞共振部11の外部に効率良く出力することができる。
また、出力部は、導体板1に形成された突起21により構成されている。これにより、図13〜図16の各々に例示する突起21にて出力部を実現することができる。
また、出力部は、導体板1に形成された溝22における拡幅部23により構成されている。これにより、図17又は図18に例示する溝22にて出力部を実現することができる。
また、空洞共振部11に複数個の出力部が設けられている。これにより、図14〜図16又は図18の各々に例示する如く、個々の空洞共振部11に設けられた複数個の突起21又は複数個の溝22にて出力部を実現することができる。
実施の形態3.
図20は、実施の形態3に係る電磁波発生器の要部を側方から見た状態を示す断面図である。図21Aは、図20に示す矩形A−B−C−Dで囲まれた領域の拡大図であり、かつ、図21Bに示すA−A’線に沿う断面図である。図21Bは、実施の形態3に係る電磁波発生器における導体板及び誘導部材の一部を拡大した状態を示す背面図である。図20及び図21を参照して、実施の形態3の電磁波発生器100について説明する。なお、実施の形態1に係る電磁波発生器100の構成部材等と同様の構成部材等には同一符号を付して説明を省略する。
電子放出器3と導体板1間に、電子放出器3から放出された電子eを導体板1のうちの空洞共振部11、好ましくは電極15の先端に誘導する部材(以下「誘導部材」という。)が設けられている。具体的には、例えば、誘導部材は、導体板1のうちの電子放出器3に対する対向面に設けられた絶縁体層31により構成されている。絶縁体層31は、図21に示す如く、当該対向面のうちの空洞共振部11を除く部位(少なくとも電極15の先端を除く部位)に設けられている。
次に、図22を参照して、絶縁体層31の作用効果について説明する。
電源2がオンされた直後においては、電子放出器3から放出された電子eのうちの一部の電子eが絶縁体層31に着地する。これにより、絶縁体層31が負に帯電する。
絶縁体層31の帯電後においては、電子放出器3から放出された電子eと絶縁体層31との間に斥力が生ずる。このため、図22に示す如く、電子eは導体板1のうちの絶縁体層31が設けられていない部位、すなわち空洞共振部11に誘導される。空洞共振部11に誘導された電子eは、実施の形態1にて図7を参照して説明したとおり、空洞共振部11における正電位の電極15(第1電極15A又は第2電極15B)に引き寄せられて着地する。
これにより、電子放出器3から放出された電子eが、導体板1のうちの空洞共振部11と異なる部位に着地するのを抑制することができる。換言すれば、電子放出器3から放出された電子eが、導体板1のうちの発振に寄与しない部位に着地するのを抑制することができる。この結果、発振に寄与しない無駄な電流が導体板1内に流れるのを抑制することができるため、電源2から供給された電力を効率良く電磁波Wに変換することができる。
なお、絶縁体層31などの誘導部材を設けることに代えて、電子放出器3のうちの電極15、又は、電極15が囲む空間部と対向した部位から集中的に電子eが放出されるようにすることで、上記の例と同様に電源2の電力から電磁波Wへの変換効率を向上することができる。
例えば、図23に示す如く、電子放出器3のうちの電極15と対向した部位に、カーボンナノファイバーなどによる針状の突起8を集中的に配置する。これらの突起8は、実施の形態1にて図10を参照して説明した補助部材における突起8と同様のものである。また、突起8の先端部からは電子eが放出され、かつ、電子放出器3のうちの突起8が設けられていない面部からは電子eが放出されないような値に電源2の出力電圧を設定、又は、突起8が設けられていない面部に上記導体板1に設けた絶縁体層31と同様の絶縁体層31aを形成する。これにより、図23に示す如く、電子放出器3のうちの電極15、又は、電極15が囲む空間部と対向した部位から、電極15に向けて集中的に電子eを放出することができる。
以上のように、実施の形態3の電磁波発生器100は、電子放出器3と導体板1間に、電子放出器3から放出された電子eを導体板1のうちの空洞共振部11、好ましくは電極15の先端に誘導する誘導部材が設けられている。これにより、発振に寄与しない無駄な電流が導体板1内に流れるのを抑制することができるため、電源2から供給された電力を効率良く電磁波Wに変換することができる。
実施の形態4.
図24〜図27の各々を参照して、電磁波発生器の種々の変形例について説明する。なお、実施の形態1に係る電磁波発生器100の構成部材等と同様の構成部材等には同一符号を付して説明を省略する。また、図24〜図26の各々において、電源2は図示を省略している。
図24に示す如く、磁界印加器7が2個の永久磁石により構成されており、当該2個の永久磁石間に発振器6が配置されたものであっても良い。これにより、発振器6の大きさにかかわらず、発振器6内を通る磁界B、すなわち導体板1に印加される磁界Bを一様な磁界とすることができる。これらの永久磁石は、磁気回路を形成するヨーク41により支持されたものであっても良い。
図25又は図26に示す如く、磁界印加器7は、発振器6の外部において導体板1の片面側に配置された永久磁石と、この永久磁石により発生した磁界を発振器6に対して集中させる部材(以下「集中部材」という。)とにより構成されたものであっても良い。集中部材には、例えば、円錐台形状のヨークにより構成された磁気レンズ42を用いることができる。集中部材を設けることにより、磁界印加器7に用いた磁石の磁力が弱い場合であっても、電磁波Wを発生させるのに十分な磁界Bを導体板1に印加することができる。
図24〜図26の各々に示す如く、電磁波発生器100は、発振器6により発生した電磁波Wの出力方向を制御する部材(以下「制御部材」という。)を有するものであっても良い。図24は制御部材にプリズム43を用いた例を示し、図25は制御部材に反射板44を用いた例を示し、図26は制御部材にレンズ45を用いた例を示している。
ここで、プリズム43は誘電体により構成された電磁波用のプリズムである。ただし、電磁波発生器100が可視光を発生させるものである場合、プリズム43にはガラス又は透明樹脂などにより構成された光学用のプリズムを用いるのが好適である。
同様に、反射板44は電磁波用の反射板である。ただし、電磁波発生器100が可視光を発生させるものである場合、反射板44には光学用の反射板を用いるのが好適である。
同様に、レンズ45は誘電体により構成された電磁波用のレンズである。ただし、電磁波発生器100が可視光を発生させるものである場合、レンズ45にはガラス又は透明樹脂などにより構成された光学用のレンズを用いるのが好適である。
図27に示す如く、磁界印加器7は、永久磁石に代えて電磁石を用いたものであっても良い。この電磁石は、例えば、磁気レンズ42と一体に構成された略棒状のコア46と、コア46に巻回された電線により構成されたコイル47とを有するものである。この場合、図27に示す如く、電源2が発振器6に対する電力供給とコイル47に対する通電とに共用されるものであっても良い。すなわち、発振器6とコイル47が直列に接続されるものであっても良い。なお、コア46には、永久磁石の特性を備え、永久磁石の発する磁界にコイル47が発する磁界を加算する構成であっても良い。
以上のように、実施の形態4の電磁波発生器100は、発振器6により発生した電磁波Wの出力方向を制御する制御部材を備える。プリズム43、反射板44又はレンズ45などの制御部材を設けることにより、電磁波Wの出力方向を制御することができる。この結果、任意の方向に向けて電磁波Wを出力することができる。
また、磁界印加器7は、発振器6に対して磁界を集中させる集中部材を有する。磁気レンズ42などの集中部材を設けることにより、磁界印加器7に用いた磁石の磁力が弱い場合であっても、電磁波Wを発生させるのに十分な磁界Bを導体板1に印加することができる。
また、磁界印加器7には、発振器6に直列に接続したコイル47を使用する。コイル47の動作により発振器6に通電する電流を制限することで、通電電流が過剰になることが抑制されて好ましい大きさの電磁波Wを出力することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。