JPWO2019021959A1 - 核融合炉、温熱機器、外燃機関、発電装置、及び移動体 - Google Patents

核融合炉、温熱機器、外燃機関、発電装置、及び移動体 Download PDF

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Abstract

本発明は、簡易で安全な核融合炉を実現することを目的とする。核融合炉は、炉体としての容器と、容器内に収容された重水素を固溶する金属発熱体と、容器内に収容され、かつ、金属発熱体に原子数比で0.005%から5%の重水素を固溶させることができる量の重水素ガスと、金属発熱体にイオンビームを照射する機構とを備える。これにより、金属発熱体の金属結晶において、イオンビームを格子間原子の原子核に導くチャネリング現象と、連星核モデルで説明される金属内核融合確率増大現象が生じる。その結果、γ線や中性子線が生じない「穏やかな核融合」を生起され、金属内核融合連鎖反応により、核エネルギーを効率的に熱に変換することができる。

Description

本発明は、核融合炉に関し、特に、金属の結晶構造によるチャネリング現象と核融合確率増大現象を利用した核融合炉、及びそれを用いた技術に関する。
従来、核融合炉としては、トカマク型のプラズマ磁場閉じ込め方式の炉が計画されている。また、核分裂を利用した原子炉は、冷却材として水を使用し、蒸気タービンの熱源として用いられ、主に発電に使われている。将来的に、より高温の核分裂炉が実現できた場合には、冷却剤としてヘリウム等の反応性の低いガスを用いて閉回路のガスタービンを運転し、かつ、排熱で蒸気タービンを運転するといったコンバインサイクルの使用が計画されている。これらの蒸気タービンや閉回路のガスタービンは外燃機関であり、スターリングエンジンもその一つである。また、熱源から直接発電する熱電素子を多数組み合わせた熱電モジュール等も知られている。
核融合炉の開発に関して言えば、プラズマ磁場閉じ込め方式の核融合炉は、得られる熱量に比べてプラズマ保持のために投入する電力が大きく、電力収支をプラスにすることは極めて困難である。また、超高温のプラズマを閉じ込める超電導磁石やプラズマと接する内壁材料等、困難な課題が多くあり、未だ実用化の目途は立っていない。
また、核分裂を利用した原子炉に関して言えば、ウランの臨界量が決まっているので、原子炉の小型化には限度がある。しかも、制御棒の出し入れで出力の調整を行うので、制御棒の抜け落ちや作動不良が生じた場合には、制御不能になる虞があるし、冷却水の供給が停止して冷却能が喪失した場合にも制御不能となり、最終的に炉心がメルトダウンに陥る虞がある。また、ウランのような放射性の重原子を燃料としており、核反応によって貫通力の高い中性子線やγ線が大量に放出されるので、厚い防曝壁が必要であり、さらに、処分方法が確立されていない放射性廃棄物が多く発生するという課題もある。
これらに対し、核融合や核分裂の利用に代わる手法の一つとして、いわゆる低温核融合を利用する手法が検討されている。低温核融合に関しては、重水素(H)を固溶したパラジウム(Pd)が発熱する現象が報告されており、例えば特許文献1等の特許出願も多くなされている。また、重水素を固溶したパラジウムを使用した核変換現象も報告されており、その現象を利用したものとして、例えば特許文献2に記載された核種変換装置が提案されている。
特開平2−297093号公報 特開2010−159994号公報
しかし、低温核融合における上記の現象は、再現性が悪く、低温核融合をエネルギー源として用いる方法や装置は、未だ実用化に至っていない。そこで、本発明者は、簡易で安全な核融合炉を実現することを目的として鋭意研究を行った結果、これらの現象が、金属の結晶構造の核融合確率増大現象による核融合連鎖反応に起因すること、及び、特許文献1で引用されている電解実験における電解液(水酸化リチウム溶液)に含まれるリチウムが発熱現象に寄与していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、H同士の核融合(以下、D−D核融合)が生じると、通常、以下の式(A)〜(C)で表される反応が、コロンの後に記載された確率(%)で進行する。
(A)H+H→H(1MeV)+H(3MeV) :50%
(B)H+H→He(0.8MeV)+n(2.5MeV) :50%
(C)H+H→He+γ(23.8MeV) :10−5
ここで、式(A)〜(C)において、Hは軽水素を表し、Hはトリチウムを表し、Heは質量数3のヘリウムの原子核を表し、これらは高エネルギーのイオンビームとして生成される。また、nは中性子を表し、γはγ線を表す。通常のD−D核融合が生じると、貫通力の高い中性子が多く放出されることになる筈であるが、実際のところ、上記のようなパラジウムを使った電解実験において、発熱に対して微量の中性子が観測された例がある程度である。
これらの現象が核融合連鎖反応によるものと主張する場合の最大の課題は、反応核断面積が最大でも0.1b程度と小さいことである。しかも、原子核がイオンビームとなって物質内を進む際には、原子核は電荷を有するので、物質側の電子や原子核の影響による阻止能を受けて減速されてしまい、10μmオーダーの距離しか進むことができない。従って、これらの理由により、これまでのところ、核融合連鎖反応が生じる可能性は、理論的な検討段階で排除されてきた。
ところが、結晶構造の特性の一つとして、イオンビームの進行方向を、物質の結晶面の間や結晶軸方向の疎の部分に拘束するチャネリング現象が知られている。例えば、特開平5−343344号公報には、半導体製造におけるイオン注入時にイオンが深く入りすぎないように、チャネリング現象を防止する方法が記載されている。このように金属を含む結晶固体内では、チャネリング現象によりイオンビームが格子間原子の原子核が存在する部分に集中する性質がある。
これとは別に、結晶構造を有しない液体金属を含む金属にイオンビームを照射すると、通常より核融合確率が増加する金属内核融合率拡大現象が確認されている。この現象は、本発明者が提唱する連星核モデルで説明することができる。
すなわち、イオンビーム核と格子間原子の原子核は、互いにプラスの電荷を有するのでクーロン斥力が働くが、140fm程度まで近づくと、核力がクーロン斥力よりも優位となって両者が引き合うので、互いに旋回し合うことがある。ところが、真空中や非金属中では、両者が核力で引き合って旋回し始めたとしても、エネルギーが保存されるので、両者は必ず離脱してしまう。一方、金属内では、荷電粒子である原子核が旋回することによって放出される磁力線を自由電子が吸収するので、両者が離脱できずに連星核が形成され得る。一旦連星核が形成されると、荷電粒子の旋回により電磁波を放出し続けるので、旋回の運動エネルギーは徐々に失われ、両原子核の距離が更に徐々に近づき、最終的には核融合が生起される。
このように、連星核モデルによれば、反応断面積の大きさを核力圏の大きさに近づけることができるので、チャネリング現象と合わせて、反応核断面積が小さすぎることに起因していた問題を解決することができる。また、連星核の形成から核融合に至るまでの過程で、核融合エネルギーの大半が熱に変換されるので、中性子や強力なγ線が放出されない「穏やかな核融合」を実現することができる。
ここで、水素を固溶しやすい性質を有する金属としては、Li,Sc,Y,La,Ce,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Pd等が知られている。これらの金属は、温度が高くなるほど平衡重水素圧が高くなるので、同じ圧力下では温度が上がると重水素をガスとして吐出する。
これらの金属のうち、Pdは、298℃以下で水素固溶濃度の低いα相と水素固溶濃度の高いα’相に分かれることがPd−H状態図等で知られている。また、Pdは、大気圧の重水素ガス中では、160℃以下で上記2相に別れ、このときのα相の水素濃度は原子数比で5% 以下であり、α’相の水素濃度は原子数比で50% 以上である。
なお、常温では水素を固溶し難いものの、温度が高くなるほど平衡重水素圧が低くなる性質を有し、温度が上がればある程度重水素を固溶する金属としては、Mg,Al,Cr,Mo,W,Fe,Ru,Co,Rh,Ni,Pt,Cu,Au等が知られている。
また、一般に、イオンビームを照射するには、イオン加速器を用いるか、粒子ビームを放射する放射性同位体を使用する方法が挙げられる。粒子ビームとしては、α粒子、電子、中性子や陽子等の粒子ビームが挙げられ、これらのうち、陽電子を除くプラスの電荷を有する粒子ビームは、水素やヘリウム等の軽い原子核が高エネルギーを得たものである。例えば、陽子線、重陽子線、及びα線は、それぞれ、水素、重水素、及びヘリウムの各原子核(以下、それぞれH、H、及びHeと表記する。)がイオンビーム化されたものである。
そこで、本開示に係る核融合炉の一例は、炉体としての容器と、容器内に収容された重水素を固溶する金属発熱体と、容器内に収容され、かつ、金属発熱体に原子数比で0.005%から5%の重水素を固溶させることができる量の重水素ガスと、金属発熱体にイオンビームを照射する機構とを備える。なお、金属発熱体の金属には、結晶構造を有しないアモルファスや液体金属は含まれない。かかる構成を有する核融合炉は、重水素を固溶した金属発熱体が何等かの形でイオンビームの照射を受けることにより起動し発熱する。
イオンビームを照射するもの(機構)としては、特に制限されず、イオン加速器が代表的なものとして挙げられ、それ以外にも粒子ビームを放射する放射性同位体や、α崩壊により強いαイオンビームを放射するものとして210Po等が挙げられる。また、さほど大きな線量を必要としない場合には、比較的安価な劣化ウランを含む合金やアメリシウム(241Am)等の金属を薄板にして金属発熱体に隣接させることは、安全性が高く再利用が可能で合理的である。さらに、別のイオンビームを照射するものとして、α線量が微量になるが、一般に流通しているものとしては、ウランガラスや溶接用トリウム入りタングステン電極棒等が挙げられる。
また、金属発熱体の一部を容器の表面に露出させたイオンビーム導入口も、「前記金属発熱体にイオンビームを照射する機構」に該当する。すなわち、このイオンビーム導入口にイオンビームを照射することにより、金属発熱体にイオンビームを照射することができる。この場合、当該イオンビーム導入口に開閉式の蓋を設けると好適である。これにより、重水素がイオンビーム導入口から拡散してガスとして大気に放出されてしまうことを抑止することができる。さらに、イオンビーム導入口にイオンビームが透過する程度の厚さの重水素不透過層(重水素拡散防止層)を設けるようにしても、同様の効果が奏されるので好適である。重水素不透過層を構成する物質としては、Fe,Cu,W,Cr,Mo,Al等の金属や粘土結晶等の無機材料等が挙げられる。
また、上記構成において、前記金属発熱体は、前記イオンビームの供給を受ける部分又は全体に原子数比で0.0005%から1%のリチウムを固溶させたものであってもよい。
また、上記構成において、前記金属発熱体は、前記リチウムを固溶させた部分が前記重水素ガスに対面しており、前記重水素ガスに、前記イオンビームを放射する物質が混入されていてもよい。イオンビームを放射する気体としては、例えばα線を発する反応性の低いガスが挙げられ、より具体的にはラドンガスを例示することができる。なお、ラドンガスは大気や新しい建築物に含まれているので、ラドンガスを意識的に重水素ガスに混入させなくても、例えば大きい炉を製作することは、「重水素ガスにイオンビームを放射する物質を混入」することに含まれる。
また、上記構成において、前記イオンビームを放射する物質が取り付けられた設置台を備え、前記金属発熱体が載置された場合に、前記イオンビームを放射する物質が前記リチウムを固溶させた部分に隣接するように構成してもよい。
また、上記構成において、前記リチウムがリチウムの同位体であるLiを主として含む(Liを主体とする)リチウムであってもよい。
また、上記構成において、前記金属発熱体隣接され、かつ、核変換が施される物質を含む(例えば植え込んだ)金属を備えてもよい。
また、上記構成において、前記金属発熱体における重水素の固溶量を調整する装置を備えてもよい。重水素の固溶量を調整する装置としては、例えば、重水素ガスの圧力調整装置やマスフローコントローラ等が挙げられる。
また、上記構成において、前記金属発熱体は、温度が高くなるほど平衡重水素圧が高くなる金属であり、前記重水素の固溶量を調整する装置は、前記金属発熱体が最も活発に核融合を生起する固溶量よりも少ない固溶量に調整するようにしてもよい。
また、逆に、前記金属発熱体は、温度が高くなるほど平衡重水素圧が低くなる金属であり、前記重水素の固溶量を調整する装置は、前記金属発熱体が最も活発に核融合を生起する固溶量よりも多い固溶量に調整するようにしてもよい。
また、上記構成において、前記金属発熱体は、当該金属発熱体の内部に形成された連通気孔を有してもよい。連通気孔は金属発熱体の内部にほぼ均一に分布することが好ましく、また、連通気孔の端部は金属発熱体の表面に開放されている必要がある。
また、上記構成において、前記重水素ガスに、前記金属発熱体の冷媒としてのヘリウムガスが混入されていてもよい。
また、上記構成において、前記重水素ガスからヘリウムを除去する装置を備えてもよい。
また、本開示に係る核融合炉の他の一例は、一の冷却媒体の流れ方向に上記各構成の核融合炉が直列に複数配置される。
また、本開示に係る温熱機器の一例は、上記各構成の核融合炉が熱源として用いられる。この場合、加熱対象物が収容又は流通され、かつ、前記核融合炉において発生した熱が前記加熱対象物に伝達されるように設けられた空間を有してもよい。
また、本開示に係る外燃機関の一例は、上記各構成の核融合炉が熱源として用いられる。この場合、作動媒体を含む高温部を備え、前記高温部における作動媒体が前記核融合炉において発生した熱によって加熱されることにより動力を生じるように構成してもよい。
また、本開示に係る発電装置の一例は、上記各構成の核融合炉が熱源として用いられる。この場合、当該核融合炉において発生した熱を電力へ変換する熱電変換部を備え、前記核融合炉において発生した熱によって前記電力を生じるように構成してもよい。また、前記核融合炉において発生した熱を動力に変換する外燃機関を備え、当該外燃機関の動力を電力へ変換する発電機を備え、前記核融合炉において発生した熱によって前記電力を生じるように構成してもよい。
また、本開示に係る移動体の一例は、上記各構成の核融合炉を熱源として用いた外燃機関が動力源として用いられる。
また、本開示に係る移動体の他の一例は、上記各構成の核融合炉を熱源として用いた発電装置が電力源として用いられる。
本発明による核融合炉の作動及び効果について、以下、金属発熱体がαイオンビームの照射を受けた場合を一例として説明する。
金属発熱体は、結晶構造を有しているのでチャネリング現象が生じ、これにより、αイオンビームは、金属発熱体の結晶面の間に偏向し、金属発熱体に固溶している格子間原子である重水素の原子核に正確に導かれる。αイオンビームのエネルギーは大きいので、格子間原子として固溶している重水素の原子核のクーロン障壁を超えてその原子核に近づき、これらの原子核を核力で引き回して、金属発熱体の内部でイオンビーム化する。生成されたHイオンビームは、同様にチャネリング現象により、格子間原子である重水素の原子核に導かれるので、エネルギー量が適当であれば、2つのH核が互い連星のように旋回し合う連星核を形成する。なお、生成されるHイオンビームのエネルギーが小さすぎる場合には、重水素の原子核のクーロン障壁を超えることができず、逆に生成されるHイオンビームのエネルギーが大きすぎる場合には、Hの核力で捕らえることができずに連星核は形成されない可能性が高い。
こうして形成された連星核は、その連星核を形成する以前のHイオンビームが有する運動量と同じ運動量を有するので、同じチャネリング路を通るイオンビームになる。その一方で、連星核はプラスの電荷を有するH核が同一方向に回転しているので、磁力線を放出する。そのため、連星核が金属中を進む場合、渦電流が生じて強い阻止能が働く。その結果、金属発熱体中のH濃度が低ければ、連星核はH核に衝突することなく停止し、連星核のまま周囲の電子を取り込んで疑似原子として金属発熱体の結晶構造における格子間に収まる。連星核を構成する荷電粒子である重水素の2つの原子核は、互いに核力による加速を受け続けることになるので、制動輻射により徐々にエネルギーを失って徐々に接近し、最終的に、それらの2つの重水素の原子核が衝突して核融合を生じる。
このときの核融合は、重水素の原子核が制動輻射等により既にエネルギーの一部を失っているので、上記式(A)や式(B)の反応は生起されず、式(C)に相当する反応が優先的に生起され、その結果、Heが生成される。この場合、残るエネルギーもほとんど旋回するための運動エネルギーに変換されており、また、核融合を生じたときに、この運動エネルギーはフォノンとして放出されるので、式(C)の反応によって放出されるγ線のエネルギーは低い。このとおり、金属発熱体は、連星核形成から核融合までの間に、渦電流、制動輻射、及びフォノンを受けて加熱される。つまり、重水素の原子核同士の反応が連星核形成を経由することにより、透過力の高い中性子線や高エネルギーのγ線が放出されることなく、熱エネルギーを効率良く取り出すことができる下記式(1)で表される「穏やかな核融合」を実現することができる。
H+H→He …(1)
それから、かかる核融合で生成されたHeがそのまま格子間原子となり金属発熱体における結晶構造中に蓄積され、そのHe原子核にHイオンビームが導かれると、前述した連星核の形成メカニズムと同様にして、重水素の原子核とヘリウムの原子核による連星核が形成され、下記式(2)で表される「穏やかな核融合」が生じてLiが生成される。
H+He→Li …(2)
さらに、かかる核融合で生成されたLiがそのまま格子間原子となり金属発熱体における結晶構造中に蓄積され、そのLi原子核にHイオンビームが導かれると、前述した連星核の形成メカニズムと同様にして、重水素の原子核とリチウムの原子核による連星核が形成される。こうして形成された連星核が核融合を生じると、不安定核であるBe核は形成されず、核融合が生じると同時に下記式(3)で表される反応により、2つのα核に分かれる。このとき、連星核が有していた旋回の運動エネルギーは、生成されたαイオンビームの運動エネルギーになる。
H+Li→He(6.2MeV)+He(6.2MeV) …(3)
なお、上記式(3)の反応においては、質量変化から計算すると、各αイオンビームのエネルギーは11.2MeVとなるが、核融合を起こすまでに制動輻射により連星核のエネルギーの一部が失われているので、各αイオンビームのエネルギーは、計算値よりも低い6.2MeV程度のエネルギーになる。
こうして新たに生成されたαイオンビームは、再びチャネリング現象により格子間原子の原子核に導かれ、多数のイオンビームが発生するので、上記式(1)から(3)の連鎖反応が生じる。このように、式(1)から、(3)で表される金属結晶内核融合連鎖反応では、強いγ線や中性子線が発生せずに、金属発熱体の発熱として核融合エネルギーを効率的に取り出すことができる。
そして、本発明による核融合炉は、上述のとおりチャネリング現象を利用しているので、何らかの異常で温度制御が不能となり温度が過度に上昇した場合でも、金属発熱体の金属の溶解前に結晶格子が崩れることにより、チャネリング現象による核融合が生じなくなる。よって、金属発熱体のメルトダウンは原理的に生じ得ないし、結晶構造を失って液体金属化した金属が更に加熱されることもない。また、照射されたイオンビームや金属発熱体の内部で発生したイオンビームを、金属発熱体の結晶構造により保持するので、磁場を保持する電力や装置が不要になり、さらに、強いγ線や中性子線が発生しないので防曝壁が簡易なもので済むとともに、放射性廃棄物の発生もないといった利点がある。
本発明による核融合炉においては、上記式(1)から(3)で表される連鎖反応が継続して進行するために、金属発熱体がチャネリング現象を生じやすいものであると好適である。この観点より、金属発熱体としては、原子密度が高く比重が大きいものが有利であり、同じ金属であれば格子欠陥の少ないものの方が有利である。また、金属発熱体としては、チャネリング現象を受けたイオンビームが通過するチャネリング路に格子間原子が存在するfccかbccの結晶構造を有する金属が望ましい。さらに、金属発熱体におけるチャネリング現象は、格子間原子の重水素原子数が少ない方ほど生じ易いものの、その原子数が過度に少なすぎると、イオンビームは格子間の原子核に到達する前に運動エネルギーを失い、核融合が生じなくなってしまう傾向にある。従って、上記式(1)から(3)で表される連鎖反応が継続するためには、金属発熱体の固溶重水素量を適切に調整する必要がある。
上記式(1)から(3)で表される反応により連鎖反応が生じるためには、式(3)の反応で生成された2つの6.2MeVのHeイオンビームが、金属発熱体(例えばPd)内を移動する間に出会ったH核をイオンビーム化し、さらに、そのHイオンビームが金属移動体内を移動する間に、連星核を形成することができるエネルギーを有した状態でH、He、及びLi核に出会わなければならない。そうすると、H核をイオンビーム化するためのエネルギーは不明であるが、6.2MeVのHeイオンビームが金属発熱体としての例えばPd内を移動することができる距離は17μm程度であるので、1つのチャネリング路の約5.5μmあたりに1つのH核が存在することが必要とされる。
ここで、Pdの結晶格子に重水素が入り込むことができるOサイト間の距離は2.75Åであるので、金属発熱体中には原子数比で0.005%以上のHが存在しなければならないことになる。また、重水素濃度が原子数比で5%を超えてしまうと、Pdは、大気圧の重水素ガスの中では160℃以下で2相に別れてしまい、結晶が不連続になる上、内部応力の発生により結晶構造が歪むため、チャネリング現象が生起しなくなる傾向にある。従って、本発明による核融合炉においては、金属発熱体の重水素濃度は原子数比で0.005%から5%の範囲である必要がある。
このような濃度で重水素を固溶した金属発熱体がイオンビームの供給を受け続けると、やがてHeとLiが蓄積され、金属発熱体におけるイオンビーム供給を受けた部分から発熱が始まり、金属発熱体全体が徐々に発熱するようになる。
また、金属発熱体のイオンビームの照射を受ける部分に原子数比で0.0005%から1%のリチウムを固溶させると、簡易なイオンビーム供給装置で速やかに連鎖反応を生じさせることができるので好適である。
ここで、上記式(3)の反応で生成された6.2MeVのエネルギーを有するHeのイオンビームがHイオンビームを生成し、そのうちの1つの重水素原子核がリチウム原子核と連星核を形成する確率が50%以上であれば、連鎖反応を生起させることができる。よって、リチウムとしては、重水素の必要下限濃度(前述した0.005%)の半分である0.0025%以上の濃度で金属発熱体に含まれることが好ましい。ただし、リチウムは、連鎖反応の起動に必須なものではないことを考慮すると、イオンビームの照射を受ける部分に最低限0.0005%のリチウムを固溶させることにより、連鎖反応の起動を早める効果が奏され得る。また、リチウムの原子核の電荷はH核の3倍であり、金属発熱体に固溶した場合の結晶格子の歪が大きいことを考慮すると、リチウムがチャネリング現象を妨げる効果は重水素の5倍程度になる。そのため、連鎖反応を生じせしめるには、リチウムの濃度としては、重水素の必要上限濃度(前述した5%)の1/5程度であることが好ましい。以上に鑑みると、リチウム濃度が原子数比で0.0005%から1%の範囲であると好適である。
さらに、自然界のリチウムにはLiとLiの2つの同位体存在し、Liの存在比は7.5%であり、残りはLiである。かかる天然の同位体存在比を有するLiを固溶させた部分にイオンビームを照射し、金属発熱体内部においてHイオンビームが発生すると、Liに対しては上記式(3)の反応が生起され、Liに対しては下記式(4)で表される反応が生起される。この式(4)の反応で生成されたHeは速やかに崩壊し、下記式(5)で表される反応のとおり中性子を放出してHeに壊変する。
H+Li→He(7.9MeV以下)+He(6.3MeV以下) …(4)
He→He(0.18MeV)+n(0.71MeV) …(5)
Heの崩壊は非常に短時間で起きるので、当該崩壊により生成されたHeは、式(4)の反応でHeが得た6.3MeV以下のエネルギーをほぼそのまま受け継ぐ。このように、Liの反応においても中性子が放出されるが、Liの反応と同様に2つのαイオンビームが生成されるので、Liも連鎖反応の継続へ寄与し、その寄与の程度はLiと同等である。
こうしてLiが関与する反応で生じたこれらのαイオンビームは、重水素の原子核にクーロン障壁を超えて近づき、H原子核を核力で引き回して、金属発熱体の内部でイオンビーム化する。生成されたHイオンビームは式(1)の反応を生じさせ、αイオンビームの方は、エネルギーを失って停止することにより、格子間原子のHeとして金属発熱体内に蓄積される。Heが蓄積されれば、上記式(2)の反応も活発化してLiが生成される。
つまり、本発明による核融合炉において、金属発熱体にリチウムが固溶した構成では、金属発熱体のLiが固溶した部分にイオンビームを照射することにより、速やかに上記式(1)から(3)による連鎖反応が起動する。そして、イオンビームの照射を受けた部分から順次HeとLiが蓄積していくことにより、金属発熱体全体が発熱を開始することになる。
ここで、金属発熱体にリチウムを固溶させる方法としては、金属発熱体にリチウムをイオンビームとしてドープする方法や、リチウムイオンの入った溶液を電解し陰極側の金属のその表面からリチウムを含侵させる方法が挙げられる。また、他の方法として、金属発熱体の表面に真空中で固体リチウムをこすりつけたり、液体リチウムを流したりして、リチウムを金属発熱体に付着させ、その後熱処理を施して内部に拡散させる方法を適用することもできる。
また、本発明による核融合炉において、金属発熱体のリチウムを固溶させた部分を重水素ガスに面するようにし、その重水素ガスにイオンビームを放射する物質を混入するようにしても、上記式(1)から(3)による連鎖反応を起動させることができる。
また、「重水素ガスにイオンビームを放射する物質」としては、例えば、大気や新しい建築物に含まれるラドンガスが挙げられ、大きい炉ほど重水素ガスにラドンガスが混入する可能性が高い。また、宇宙線には陽子線等の超高エネルギーを有する粒子が時折混じり、かかる粒子が大気圏に突入すると、大気中の原子と衝突して高エネルギーの粒子ビームが生成されることがある。この場合、特にラドンガス等を重水素ガスに混入しなくても、粒子ビームが、金属発熱体におけるリチウムを固溶させた部分に供給されるので、核融合炉は、金属発熱体における重水素濃度等の条件を満たせば自然に発熱を開始する。
また、後述のとおり、金属発熱体は核変換機能を備えるので、生成されたLiが更に重い核子に変換されたり、格子間原子として入り込んだ金属原子が核変換されたりして不純物原子が蓄積されるので、金属発熱体の交換がいずれは必要になる。
そこで、本発明による核融合炉が、前記金属発熱体を置いた場合に、当該金属発熱体におけるリチウムを固溶させた部分に隣接する位置にイオンビームを放射する物質が取り付けられるように設けられた設置台を備えると、金属発熱体の交換が容易になり、また、金属発熱体が複数の場合にも全て同時に起動させ易くなるので好適である。
上記のように、金属発熱体の一部に固溶させるリチウムとして自然界のリチウムを用いても核融合炉の始動は可能である。しかし、自然界のリチウムはLiが主体で、微量とはいえ、上記式(5)に示すように貫通力の高い中性子線が放出されるので、取り扱い上の注意が必要になる。そこで、本発明による核融合炉で用いるリチウムが、Liを主として含むリチウムであると、中性子線の発生を極力低減して取扱いが容易になる。この場合、本発明による核融合炉は、特に防曝壁の厚みを確保し難い小型の炉として有利である。
また、本発明による核融合炉が、前記金属発熱体に核変換が施される物質を含む(例えば植え込んだ)金属(以下「母材金属」と言う。)を隣接させたものであると、核変換機能を発現することができる。すなわち、金属発熱体に母材金属を隣接させることにより、上記連鎖反応で生成されるαイオンビームのヘリウム原子核と、核変換が施される物質の原子核が核融合して核変換が生起される。核変換が施される物質(被核変換物質)を金属発熱体自体に含めて(植え込んで)しまうと、連鎖反応が抑制されてしまうおそれがあるので、母材金属を金属発熱体に隣接されることが有用である。
ここで、母材となる金属は、金属発熱体と同じ金属でもよいし異なる金属でもよい。また、核変換が施される物質は、αイオンビームが2MeV程度しかエネルギーを失わずに通過する距離(連鎖反応が生じる部分から数μm以下)に存在する必要があるので、母材金属の厚さは、その距離よりも薄くすることが好ましい。さらに、母材金属において核変換が施される物質を「植え込む」形態とした場合、核変換が施される物質を、イオンビームが当たり易いように原子単位で分散させ、母材金属の格子間原子とすることができるので好適である。核変換が施される物質が母材金属と化合物を形成したり、集積したりする性質を有する場合には、核変換が施される物質を母材金属にイオンビームとして注入することができる。
また、核変換が施される物質としては、例えば、長期間放射線を放出し続ける核種で、融点が核融合炉内の温度より高い99Tcや93Zrが挙げられる。これらは、下記式(6)及び(7)で表される反応により、103Rhや97Moといった安定核種に核変換される。
He+99 43Tc→103 45Rh …(6)
He+93 40Zr→97 42Mo …(7)
また、本発明による核融合炉が、前記金属発熱体の重水素の固溶量を調整する装置を備えると、金属発熱体の重水素固溶量を制御することができるので、出力制御が可能な核融合炉を実現することができる。この場合、金属発熱体として、温度に対して平衡重水素圧が変化する性質を有する金属を使用することができる。このとき、格子間原子であるHの数が少なくなると反応が抑制される特性であれば、重水素の固溶量を減らすことにより出力を抑制することができ、逆に、格子間原子であるHの数が増えると反応が抑制される特性であれば、重水素の固溶量を増やすことにより出力を抑制することができる。
また、金属発熱体のイオンビームの供給を受ける部分又は全体に少量のリチウムを固溶させた場合、始動時にはHeの蓄積がないので、格子間原子の量が少なく反応が活発になり易い。そこで、始動時には金属発熱体の重水素固溶量を調整して反応を抑制する一方、Heの蓄積が増えるにつれて、金属発熱体の重水素固溶量を反応が活発になるように調整することにより、安定した出力を得ることができる。
より具体的には、温度が高くなるほど平衡重水素圧が高くなる金属を前記金属発熱体として使用し、重水素の固溶量を調整する装置により、金属発熱体が最も活発に核融合を生起する固溶量よりも少ない固溶量に調整することで、温度が上がると重水素を吐出する反応が抑制されるので、自己調整機能が発現する。また、例えば重水素の固溶量を調整する装置が重水素ガスの圧力調整装置の場合、同じ圧力下での金属発熱体の温度が高い場所ほど反応が抑制されるので、金属発熱体の温度を好適に均一化することができる効果が奏される。
逆に、温度が高くなるほど平衡重水素圧が低くなる金属を前記金属発熱体として使用し、重水素の固溶量を調整する装置により、金属発熱体が最も活発に核融合を生起する固溶量よりも多い固溶量に調整することで、温度が上がると重水素を吸収し、チャネリング現象が生じ難くなって反応が抑制されるので、自己調整機能が発現する。その結果、上記と同様に、金属発熱体の温度を好適に均一化することができる。
また、本発明による核融合炉において、前記金属発熱体の内部に連通気孔が形成されていると、金属発熱体の表面積が増大し、拡散によりHeガスの排出を促すことができるので好ましい。上記の核融合連鎖反応によりHeが生成されるが、反応が進んで過剰になったHeが格子欠陥としてチャネリング現象を妨げ得るので、核融合連鎖反応が抑制されてしまう。また、HeはHに比べると拡散速度が遅く、金属発熱体内に滞留し易い。従って、金属発熱体の内部に連通気孔が形成されることにより、金属発熱体内の連鎖反応を活発化させ、発熱量を高く保つことができる。
また、本発明による核融合炉において、前記容器の中に入れる重水素ガスにヘリウムガスを混入し、そのヘリウムガスを前記金属発熱体の冷媒として用いると、金属発熱体が重水素ガスの供給を受けると同時に冷却される混合ガス炉を実現することができるので好適である。この場合、上記のように、金属発熱体においては重水素ガスが消費されて生成されたヘリウムガスが放出されるので、容器内の重水素ガスにヘリウムガスが混合され、その結果、重水素ガスの分圧は減少する。
また、本発明による核融合炉において、前記容器内の重水素ガスからヘリウムを除去する装置を備えると、重水素ガスから過剰なヘリウムガスを除去することができ、発熱量を高く保ち続けることができる核融合炉が実現するので好適であり、上記混合ガス炉に適用しても有効である。
また、本発明による核融合炉が、一の冷媒に対して、重水素の圧力を調整する装置を備えた核融合炉を流れ方向に直列に複数配置した核融合炉であると、個々の核融合炉のそれぞれの重水素固溶量を個別に制御することができるので好ましい。この場合、冷媒が核融合炉と順に熱交換を行うことで、冷媒の温度が上昇して行くので、個々の核融合炉の温度を段階的に高くなるように調整することにより、負荷が均等化され、核融合炉全体としての出力を高めかつ長寿命化を達成することができる利点がある。
本発明による核融合炉を熱源として用いた温熱装置は、中性子やγ線のような貫通力の高い放射線の発生量が極めて少なく遮蔽が簡易で済み、操作が容易であり、メルトダウンの危険がなく、残留放射性物質を低減することもできる。これにより、従来の原子炉と異なり、簡易化及び小型化が容易であり、工業プラントの熱源、発電用熱源、動力用熱源や家庭用の熱源等の各種温熱装置として利用することができる。
本発明による核融合炉を熱源として用いた外燃機関は、炉体の小型化が可能であり、スターリングエンジン等の小型の外燃機関の熱源として利用することができる。また、耐熱性の高い材料を使用することにより、高温の熱源とすることができ、気水分離器のない貫流ボイラーを使用した蒸気タービンや、ヘリウムガスを冷媒としたコンバインサイクル等、これまでの沸騰水型を中心とした原子炉よりも熱効率が高い外燃機関として利用することができる。
本発明による核融合炉を熱源として用いた発電装置は、金属発熱体が例えばコインサイズでも発熱するので、熱電モジュール等と組み合わせることにより、超小型の発電装置として利用することができる。
また、本発明による核融合炉は、上述のとおり、小型化が可能であり、負荷変動にも対応が容易なので、負荷変動のある移動体の動力用熱源としても適している。従って、本発明による外燃機関を動力源として用いた移動体は、一般船舶、一般車両やロボット等、大型から小型のものまで含めた移動体として利用可能である。
さらに、本発明による発電装置を電力源として用いた移動体は、簡易化及び小型化が容易なので、一般船舶、一般車両やロボット等の小型の移動体にも利用可能である。従って、従来の原子炉を熱源とした発電機を搭載した移動体が実質的に軍用の船舶に利用されているだけであるのに比べ、本発明による発電装置を電力源として用いた移動体はその利用範囲が広いと言える。
温熱マグカップの部分断面図(実施例1) 発電装置の正面図(実施例2) 発電装置の側面図(実施例2) ロボットの正面図(実施例2) 貫流ボイラーの正面図(実施例3) 貫流ボイラーの側断面図(実施例3) 貫流ボイラーの正面拡大部分断面図(実施例3) 貫流ボイラーの核融合炉における重水素圧制御システム図(実施例3) 貫流ボイラーを用いた発電装置のシステム図(実施例3) 貫流ボイラーを搭載した船舶の駆動システム図(実施例3) 高温ガス炉の正面図(実施例4) 高温ガス炉の左側面図(実施例4) 高温ガス炉の底面図(実施例4) 高温ガス炉のイオンビーム導入口の周辺部分の拡大断面図(実施例4) 高温ガス炉の重水素圧制御システム図(実施例4) 高温ガス炉を用いた発電装置のシステム図(実施例4) 高温ガス炉を用いた発電装置を搭載した船舶の駆動システム図(実施例4) 混合ガス炉の正面断面図(実施例5) 混合ガス炉の平面断面図(実施例5) 混合ガス炉における金属発熱体の平面図(実施例5) 混合ガス炉における金属発熱体の部分拡大断面図(実施例5) 混合ガス炉を用いた発電装置のシステム図(実施例5) 混合ガス炉における金属発熱体の他の一例の部分拡大図(実施例6) 混合ガス炉における金属発熱体の更に他の一例の部分拡大断面図(実施例7) 発電装置の側面図(実施例8) 発電装置の正面断面図(実施例8) 発電装置における核融合炉の平面断面図(実施例8) 発電装置における熱電モジュールの斜視図(実施例8) 発電装置の部分開放平面図(実施例8)
以下、本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」という。)について実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る核融合炉を熱源として用いた温熱機器の一例の部分断面図である。温熱機器としての温熱マグカップ100は、断熱層110が設けられた保温型のマグカップの底に取り付けられた核融合炉1を備える。核融合炉1においては、温熱マグカップ100の内側槽と外側層の間に設けられた炉体としての容器4の内面に、金属発熱体としてのパラジウム板2が貼り付けられている。これにより、温熱マグカップ100に収容された温飲料130に熱が伝わり易くされている。また、パラジウム板2の下面側には微量のLiが固溶されている。
かかる構成を有する温熱マグカップ100においては、核融合炉1内に重水素と微量のラドンの混合ガス3Rが大気圧よりも低い圧力で封入されることにより、核融合炉1が発熱を開始する。よって、出荷時に核融合炉1内に混合ガス3Rを入れておく場合には、マグカップ100全体を断熱材で包んだ状態で出荷することが望ましい。また、パラジウム板2は、温度が下がるほど重水素ガスを取り込む傾向にあるので、温度が下がって核融合連鎖反応が活発化して発熱量が増えることにより、温飲料130を安定した温度に保つことができる。なお、核融合炉1は熱源であって、それ自体、「温熱機器」の一例に相当するといえる。
図2及び図3は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る核融合炉を熱源として用いた外燃機関及び発電装置の一例の正面図及び側面図である。なお、図3における断面部分は、図2のZ−Z断面を示し、図2における断面部分は、図3のY−Y断面を示す。発電装置60Aは、核融合炉1を備えた外燃機関としてのγ型スターリングエンジン200を用いたものである。また、発電装置60Aは、核融合炉1を熱源として用いる点において、「温熱機器」の一例に相当するともいえる。
本実施例において、核融合炉1は、スターリングエンジン200の高温室を構成しており、容器4の中で熱交換ピストン242が上下動することにより、高温室の内容積が変化する構造を有している。また、スターリングエンジン200の作動ガスとして、ヘリウムと重水素の混合ガス3Cが高温室内に入れられる。本実施例の核融合炉1は、混合ガス3Cが核融合炉1における金属発熱体としてのタンタル板2に重水素を供給するとともに冷却も行うことにより、混合ガス炉600として機能する。さらに、タンタル板2は、容器4の一部4Bに一体化された4つの支持アーム4aにより、4つのイオンビーム放射物質であるウランガラス20を介して、容器4の蓋4C側に弾性的に押し付けられて(付勢されて)いる。タンタル板2の上面側には、微量のLiが固溶されており、ウランガラス20は、意図的に下面側にウランが重力偏析するように製造されている。このとおり、容器4は「高温部」の一例にも相当し、混合ガス3Cは「作動媒体」の一例にも相当する。
また、核融合炉1の上部と側面は断熱材202で覆われている。熱交換ピストン242は、その下部に設けられたガス通路201を通して低温室222に連通している。低温室222は、パワーピストン221により容積が変化するように構成されており、冷却フィン241により冷却される。
さらに、容器4と一体にクランクホルダー250が設けられており、クランクホルダー250に支持されたクランクシャフト210が、図2において図示左回りに回転する。パワーピストン221と熱交換ピストン242は、それぞれ連接棒233,243により、クランクシャフト210に付設されたクランクピン211と連結されており、互いに90度異なる位相で往復動する。図3に示す状態では、熱交換ピストン242が上死点に位置しているので、高温室における熱交換ピストン242の下側の低温側の容積が大きくなる。このとき、作動ガスとしての混合ガス3Cの平均温度は最も低いので、その圧力も低いことから、図2に示す状態のパワーピストン221は軽い力で図示左向きに移動することができる。そして、クランクシャフト210が180度回転すると、熱交換ピストン242は下死点に位置するので、高温室における熱交換ピストン242の上側の高温側の容積が大きくなる。そうすると、混合ガス3Cの平均温度は高くなり、その圧力も高くなるので、パワーピストン221は強い力で図示右向きに駆動される。
このようにしてスターリングエンジン200が駆動力を得て、例えば200rpmから2000rpm程度で回転すると、1回転毎に混合ガス3Cの圧力は3倍程度変化する。これに合わせて重水素分圧も変化するが、タンタル板2中の重水素の拡散速度は、その重水素圧力の変動に追随し得るほど速くないので、タンタル板2における重水素濃度は平均重水素分圧にほぼ等しくなる。
また、クランクシャフト210とフライホイール215の間には1対のテーパーリング214が設けられており、ナット218を締め付けることによりクランクシャフト210とフライホイール215が一体的に固定される。フライホイール215には磁石216が取り付けられており、磁石216に対向配置された発電機60により、スターリングエンジン200の出力が電力に変換される。
スターリングエンジン200の短時間での出力制御は、発電機60が自らの回転数を制御することにより行うことができる。スターリングエンジン200は、停止していれば出力は0であり、発電機60がフライホイール215の回転方向に応じた磁石になることにより起動する。核融合炉1の温度が安定していれば、回転を始めたスターリングエンジン200はほぼ一定のトルクを発生するので、発電装置60Aは回転数にほぼ比例する電力を発生する。
図4は、本発明に係る発電装置を電力源として用いた移動体の一例の正面図である。移動体としての2足歩行ロボット80は、その胴体部の内部に搭載された発電装置60Aを備える。ロボット80においては、発電装置60Aにおけるスターリングエンジン200の冷却フィン241を冷却するために、左脇腹部に冷却空気取入口81が設けられており、また、口に相当する位置に排熱用の排気口82が設けられている。
図5、図6、及び図7は、それぞれ、本発明に係る核融合炉を直列に複数配置した核融合炉を備える貫流ボイラーの一例の正面図、側断面図、及び、正面拡大部分断面図である。なお、図6は、図5におけるX−X断面の拡大図であり、図7は、図6におけるW−W断面図である。
貫流ボイラー400は、全部で5個の核融合炉1a〜1eを直列に配置した核融合炉1Aを備える。貫流ボイラー400の運転時において、これらの核融合炉1a〜1eは、その順に温度が高くなるので、互いに異なる5つの圧力の重水素ガス3が、それぞれの核融合炉1a〜1eへ供給される。また、核融合炉1a〜1eは、それぞれ、互いに異なる圧力の重水素ガス3が供給されるガス入口31a〜31eと、核融合反応の生成物であるヘリウムガスを含んだ重水素ガス3が排出されるガス出口33a〜33eを有する。なお、貫流ボイラー400は、核融合炉1a〜1eを直列に配置した核融合炉1Aを熱源として用いる点において、「温熱機器」の一例に相当するともいえる。
核融合炉1Aの内部には、核融合炉1a〜1e内を貫通する壁4と一体に構成された水管4dが設けられており、その内側には、らせん溝を有する水路40が形成されている。核融合炉1a〜1e内における水管4dの外径部は、らせん状を成すフィン状に形成されたニッケル管2で包れている。ニッケル管2には微量のリチウムが含まれており、炉体としての容器4とニッケル管2の端部は、図7の右上円内の拡大図に示すように、ステンレスワッシャー20を介して接触するように構成されている。ステンレスワッシャー20は、イオンビーム放射物質のウラン合金がステンレスで挟持されたものが薄く延伸されたものであり、その表面はCaOでコーティングされており、これにより溶着が防止されている。このように構成された貫流ボイラー400においては、核融合炉1a〜1e内に重水素ガス3が供給されると、重水素がニッケル管2に固溶し、これにより発熱が始まり、給水口41から流入した水が水路40内で加熱され、発生した蒸気が蒸気出口42から排出される。このとおり、水路40が「高温部」の一例に相当し、水路40を流通する水が「冷却媒体」及び「作動媒体」の一例に相当する。
図8は、貫流ボイラー400の核融合炉1Aにおける重水素圧制御システム図である。各核融合炉1a〜1eへの重水素ガスの供給は、重水素ボンベ30から減圧弁34を通して行われ、或いは、リザーブタンク39から行われる。本実施例の場合、各核融合炉1a〜1eへの重水素ガス3の供給圧は、リザーブタンクの内圧よりも高くされており、各核融合炉1a〜1eのガス入口31側に圧縮ポンプ36a〜36eが設けられており、ガス出口33側に重水素の固溶量を調整する装置としての調圧機35a〜35eが設けられている。かかる構成により、各核融合炉1a〜1eに供給される重水素ガス3の圧力は、各核融合炉1a〜1eの温度に対してそれぞれ適切に調整されている。また、各調圧機35a〜35eから排出されるヘリウムを含む重水素ガス3は、圧縮ポンプ37によりまとめて重水素透過装置38へ送られ、重水素とヘリウムに分離される。重水素透過装置38を透過した重水素ガス3は、リザーブタンク39に戻入され、分離濃縮されたヘリウムガスは、ポンプ471で圧送されてヘリウムガスボンベ470に蓄積される。
図9は、貫流ボイラー400を用いた発電装置60Aのシステム図である。蒸気出口42から排出される蒸気は、蒸気導管47を通って蒸気タービン45を駆動し、蒸気タービン45の出力は、発電機61で電力に変換される。蒸気タービン45を通過した蒸気は、冷却器48に導入されて液化される。冷却器48で液体になった水は、高圧ポンプ49で加圧され、再度貫流ボイラー400へ給水口41から供給される。
図10は、貫流ボイラー400を搭載した船舶90の駆動システム図である。移動体としての船舶90は、貫流ボイラー400に接続された蒸気タービン45の駆動力を減速機91で減速してスクリュー92を回動させることにより推進力を得る。
図11、図12、及び図13は、それぞれ、本発明に係る核融合炉を直列に複数配置した核融合炉の正面図、左側面図、及び底面図である。なお、図12における断面部分は、図11のV−V断面を示し、図11における断面部分は、図12のT−T断面を示す。核融合炉1Aは、図11の正面図において左右対称であり、Rのついた部材とLのついた部材は互いに対称の位置にあるので一部符号を省略している。例えば、ガス入口31eLと導管32gRに対して、それぞれガス入口31eRと導管32gLは対象の位置にあり、左側面図の図12では重なって見える。
本実施例において、核融合炉1Aは、高温ガス炉500を構成しており、全部で23個の核融合炉を備える。これらの核融合炉は、上方に設けられたものほど温度が高くなるので、互いに異なる5つの圧力の重水素ガス3が、それぞれ5個又は4個の核融合炉へ供給される。例えば、ガス入口31aL,31aRから流入する重水素ガス3が導管32aL,32aR,32bL,32bRを通して、核融合炉1aL、1aR、1b、1cL、1cRに供給される。これにより、これらの5個の核融合炉には、共通の圧力を有する重水素ガス3が供給される。また、核融合反応の生成物であるヘリウムガスを含んだ重水素ガス3は、ガス出口33aL,33aRから排出される。なお、高温ガス炉500は、核融合炉1Aを熱源として用いる点において、「温熱機器」の一例に相当するともいえる。
各核融合炉は、圧縮された状態でガス入口521から流入してガス路50内を流通するガスによって冷却され、高温になったガスがガス出口522から流出する。各核融合炉のガス路50は壁4によって画成されており、重水素ガスの流路には壁4に沿って金属発熱体2が設けられており、かかる構成により、金属発熱体の発熱がガス路50内のガスに伝達される。核融合炉1Aにおいては、その最上部に配置された核融合炉1aL,1aR,1b,1cL,1cRの温度が最も高くなるので、これらの核融合炉の金属発熱体2には例えば金が使用され、それら以外の核融合炉の金属発熱体2には例えばパラジウムが使用される。このとおり、ガス路50が「高温部」の一例に相当し、ガス路50を流通するガスが「冷却媒体」及び「作動媒体」の一例に相当する。
図14は、図11のU−U部におけるイオンビーム導入口10の周辺部分の拡大断面図である。各核融合炉の容器4の背面には、1つずつイオンビーム導入口10が設けられている。イオンビーム導入口10と金属発熱体2は、薄い重水素拡散防止層12によって隔離されており、また、イオンビーム導入口10は蓋14によって封止されており、これらにより、金属発熱体2から重水素が外部へ放出されてしまうことが抑止されている。この蓋14を開放し、イオンビーム導入口10にイオン加速器を挿入し、イオンビーム導入口10の内部を真空にしてイオンビームを供給することにより、核融合炉を起動することができる。その際、イオンビームとしてH、He、及びLiを使用すると効率がよいので好ましい。また、イオン加速器の代わりに、強いαイオンビームを放射する物質、例えば210Poをイオンビーム導入口10に挿入してもよい。
さらに、金属発熱体2の全体に微量のリチウムを固溶させてもよく、この場合には、取扱の容易な241Am等のイオンビーム放射物質をイオンビーム導入口10に挿入して重水素拡散防止層12に近接させることにより、各核融合炉を起動して発熱を開始させることができる。
図15は、高温ガス炉500を構成する核融合炉1Aの重水素圧制御システム図である。各核融合炉への重水素ガス3の供給は、重水素ボンベ30から減圧弁34を通して行われ、或いは、リザーブタンク39から行われる。パラジウム製の金属発熱体2が使用されている各核融合炉への重水素ガス3の供給圧は、リザーブタンクの内圧よりも低くされており、各ガス入口31側に重水素の固溶量を調整する装置としての調圧機35b〜35eが設けられており、かつ、各ガス出口33側に圧縮ポンプ36b〜36eが設けられている。かかる構成により、各核融合炉に供給される重水素ガス3の圧力は、各核融合炉の温度に対してそれぞれ適切に調整されている。
一方、金製の金属発熱体2に必要とされる重水素ガス3の圧力はリザーブタンクの内圧よりも高いので、ガス入口31側に圧縮ポンプ36aが設けられており、かつ、ガス出口33側に調圧機35aが設けられ、これらにより、供給される重水素ガス3の圧力が適切に調整されている。調圧機35a及び各圧縮ポンプ36b〜36eから排出されるヘリウムを含む重水素ガス3は、重水素透過装置38に送られ、重水素とヘリウムに分離される。重水素透過装置38を透過した重水素ガス3は、リザーブタンク39に戻入され、分離濃縮されたヘリウムガスは、ポンプ471で圧送されてヘリウムガスボンベ470に蓄積される。
図16は、高温ガス炉500を用いた発電装置60Aのシステム図である。ガス出口522から排出される高温のガスは、ガス路50を通ってガスタービン55を駆動し、熱交換器58に導入される。熱交換器58で冷却されたガスは、圧縮機56で加圧されてガス入口521から高温ガス炉500に戻入される。熱交換器58で加熱された水は、蒸気となり、蒸気導管47を通って蒸気タービン45を駆動した後、冷却器48に導入されて液化される。冷却器48で液体になった水は、高圧ポンプ49で加圧され、再度熱交換器58へ供給される。ガスタービン55の出力と蒸気タービン45の出力は、それぞれの発電機60,61で電力に変換される。なお、発電装置60Aは、核融合炉1Aを熱源として用いる点において、「温熱機器」の一例に相当するともいえる。
図17は、高温ガス炉500を用いた発電装置60Aを搭載した船舶90の駆動システム図である。移動体としての船舶90は、発電機60,61からの電力を、送電線96を通して制御装置94に送り、電気モーター93を駆動してスクリュー92を回動させることにより、推進力を得る。余剰電力は、バッテリー95に蓄えられ、船舶90内の電力消費を賄うとともに、船舶90の移動時に加速するときの電力として補完的に使用される。
図18及び図19は、それぞれ、本発明の他の実施形態に係る核融合炉の一例の正面断面図及び平面断面図である。なお、図18は、図19におけるR−R断面図であり、図19は、図18におけるS−S断面図である。
本実施例において、核融合炉1は、重水素とヘリウムの混合ガス3Cを用いた混合ガス炉600を構成しており、炉体としての容器4とその蓋4Cで画定された空間内に複数段の設置台630が収容されている。設置台630には、その1段あたり6枚ずつ(全12段で計72枚)の円板状を成す金属発熱体2が簡単に取り外せるように設置されている。また、設置台630には、各金属発熱体2に隣接するように、イオンビーム放射物質である劣化ウラン合金20が同数固定されている。なお、図示において、劣化ウラン合金20は半円形で描かれているが、実際は薄板状を成しており、その片面が金属発熱体2に密接するように設けられている。なお、混合ガス炉600は、核融合炉1を熱源として用いる点において、「温熱機器」の一例に相当するともいえる。
本実施例の核融合炉1では、ガス入口521から流入する低温の冷媒ガスは、低温ガス室610から各分配口611に分配されて6か所の分配路612に導入され、各分配路612において図示縦方向に各13個設置されたノズル613からガス室520に送り込まれる。この核融合炉1においては、各金属発熱体2の温度を均等にするべく、各ノズル613は、各金属発熱体2の上下面側の冷媒ガスが滞留しないように、かつ、ガス室520に右回りの旋回流を形成するように、その方向と位置が定められている。例えば、図18において、核融合炉1の右側部分に位置するノズル613は、冷媒ガスの噴き出し部が描かれており、核融合炉1の左側部分に位置するノズル613は、分配路612の断面形状が描かれている。高温になった冷媒ガスは、設置台630の中央に位置する円筒状の支柱に開口された高温ガス排出口621から高温ガス室620に流入し、ガス出口522から排出される。このとおり、ガス室520及び高温ガス室620が「高温部」の一例に相当し、冷媒ガスが「作動媒体」の一例に相当する。
図20は、混合ガス炉600における金属発熱体2単体の平面図であり、図21は、図20におけるP部分のQ−Q拡大断面図である。本実施例の金属発熱体2は、微量のリチウムを含むタンタル製であり、0.5mm前後のサイズを有する球状の粒を低密度に焼結したものである。かかる金属発熱体2は、空孔が多く、また、空孔が連続した連通気孔640が形成されるので、金属発熱体2の内部で生成されたヘリウムを外部へ排出させ易い利点がある。
図22は、混合ガス炉600を用いた発電装置60Aのシステム図である。混合ガス炉600から排出される高温の混合ガス3Cは、ガス路50を通って熱交換器58で冷却され、送風機57で再び混合ガス炉600に戻入される。熱交換器58で加熱された水は蒸気となり、蒸気導管47を通って蒸気タービン45を駆動した後、冷却器48に導入されて液化される。冷却器48で液体になった水は、高圧ポンプ49で加圧され、再度熱交換器58へ供給される。蒸気タービン45の出力は、発電機61で電力に変換される。なお、発電装置60Aは、核融合炉1を熱源として用いる点において、「温熱機器」の一例に相当するともいえる。
また、本実施例の発電装置60Aにおいては、混合ガス3Cに含まれる重水素の分圧を、低温側のガス路50に取り付けられた重水素分圧計51で計測する。その計測結果に基づいて、混合ガス3Cにおける重水素の分圧が不足している場合には、重水素ボンベ30から減圧弁34を通して減圧した重水素ガスの量を、重水素の固溶量を調整する装置としてのマスフローコントローラ661で調整し、その重水素ガスをポンプ36で圧縮してガス路50に供給する。一方、生成されたヘリウムが増加し、混合ガス3Cの圧力が高まった場合には、その混合ガス3Cの一部が定圧制御弁650を通して重水素透過装置38に送られ、重水素とヘリウムに分離される。重水素透過装置38を透過した重水素は、導管32を通して、マスフローコントローラ661からの重水素ガスと合わせて、ポンプ36で圧縮され、ガス路50に戻入される。重水素透過装置38で分離濃縮されたヘリウムは、ポンプ471で圧送されてヘリウムガスボンベ470に蓄積される。
図23は、混合ガス炉600における金属発熱体2の他の一例の図20におけるP部分に相当する部分拡大図である。本実施例の金属発熱体2は、微量のリチウムを含む一定の長さのタンタル製線材を平面的に束ねて圧縮して焼結したものである。かかる金属発熱体2では、線材間の隙間がそのまま直線状の連通気孔640として形成される。
図24は、混合ガス炉600における金属発熱体2の更に他の一例の図21に相当する部分拡大断面図である。本実施例の金属発熱体2は、タンタル製の球状粒の表面にメッキにより1.5μmのパラジウムの層が形成され、その層に被核変換物質が植え込まれた母材金属2bを有すること以外は、図21に示す実施例5の金属発熱体2と同様の構造を有する。本実施例の金属発熱体2によれば、混合ガス炉600で数週間反応させた後、母材金属2bを溶融し、核変換が施された物質と残存する被核変換物質を回収することができる。
図25及び図26は、それぞれ、本発明に係る核融合炉を熱源として用いた発電装置の他の一例の側面図及び正面断面図である。なお、図26における一点鎖線の右側部分は、図25におけるN−N断面を示し、同一点鎖線の左側部分は、図25におけるN−N2断面を示す。
本実施例において、発電装置60Bは、核融合炉1と熱電モジュール750を組み合わせたものである。発電装置60Bの最上部には、電動ファン740が設けられており、取入口745から吸入される空気が、冷却フィン731を冷却し、電動ファン740の上部742に設けられた吐出口746から排気される。また、発電装置60Bの下部には、核融合炉1を囲むように断熱容器770が設けられている。その断熱容器770の蓋771の上方前面と上方後面には、それぞれ4つ並設されたヒートパイプ730(合計8つ)が設けられており、それらに隣接してガイド板771sが配置されている。これにより、空気の回り込みが防止され、空気が冷却フィン731を通過するように構成されている。なお、発電装置60Bは、核融合炉1を熱源として用いる点において、「温熱機器」に相当するともいえる。また、熱電モジュール750が「熱電変換部」の一例に相当する。
断熱容器770の下方には、重水素吸蔵材781が収容された重水素吸蔵箱780が設置されている。核融合炉1と重水素吸蔵箱780は、重水素ガス導管32で接続されており、重水素が消費されると重水素吸蔵材781が重水素ガスを吐出すことにより、核融合炉1内の重水素ガスの分圧が安定に保持される。
また、熱電モジュール750は、核融合炉1と電動ファン740の間に配置されており、絶縁膜760を介して、核融合炉1における容器4の上面に設置されている。また、熱電モジュール750の上面には、絶縁膜760を介して、計8つのヒートパイプ730が貼付されている。なお、図26における一点鎖線の右側部分にはヒートパイプ730の側面が描かれており、同左側部分にはヒートパイプ730が断面で描かれている。これらのヒートパイプ730の底面には、金属細線を交差させて積層したウィック733が設けられており、ウィック733は、作動液に浸漬されている。かかるウィック733が存在することにより、装置が多少傾いたとしても、ヒートパイプ730の底面全体に作動液が接触し、作動液がここで気化される。また、電動ファン740のモーター741によりファン747が回動されると、空気が取入口745から吸入されて冷却フィン731の間を通り、これにより、ヒートパイプ730の上部が冷却される。気化していた作動液は、この部位で冷却されて液化し、ヒートパイプ730の内壁735に付着し、さらに、ウィック733の中央付近から立設された糸状の部分を伝ってヒートパイプ730底面に落下する。
図27は、発電装置60Bにおける核融合炉1単体の平面断面図であり、図26におけるM−M断面を示す。核融合炉1における炉体としての容器4には、重水素ガス3が入っており、容器4の内側上面には金属発熱体としてのニッケル板2が貼付されている。ニッケル板2の下面には、9個のイオンビーム放射物質であるアメリシウム20が金箔にくるまれた状態で貼付されている。また、ニッケル板2の下面側には、Liが固溶されており、核融合炉1に重水素ガス3を注入することにより、発熱が開始される。
図28は、発電装置60Bにおける熱電モジュール750の斜視図である。熱電モジュール750は、8対のp型熱電素子751とn型熱電素子752から成り、それぞれの素子は、導体753,754によって直列に接続されている。そうして接続された素子の両端は、電力を外部へ取り出すための導体755,756に接続されている。
図29は、発電装置60Bの部分開放平面図である。同図における一点鎖線の下側部分では、電動ファン740が省略されており、その下の4つのヒートパイプ730が開放されて描かれている。同図のとおり、ヒートパイプ730の上部においては、冷却フィン731が大半の容積を占めており、内壁735内の空間が狭められている。
以上説明した実施形態及び実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態及び実施例が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態及び実施例で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることも可能である。さらに、本発明は、以下のとおり表現することもできる。
本発明による核融合炉によれば、プラズマ磁場閉じ込め装置が不要であり、γ線や中性子線が放出されることがなく、また、従来の核分裂を利用した原子炉とは異なり、資源枯渇のおそれがなく、しかも、放射能が少なく制御もし易く安全であり、小型から大型の炉まで安価な核融合炉を実現することができる。従って、本発明は、エネルギー源、熱源、動力源、及び電力源、並びに、それらを用いた装置、システム、及び方法等に関する産業上の種々の分野に広く利用可能である。
1,1a,1aL,1aR,1b,1c,1cL,1cR,1d,1e…核融合炉(温熱機器)、1A…核融合炉を直列に複数配置した核融合炉(温熱機器)、2…パラジウム板,ニッケル管,ニッケル板,タンタル板(金属発熱体)、2b…核変換を施される物質を植え込んだ金属(母材金属)、3…重水素ガス、3C…ヘリウムと重水素の混合ガス(作動媒体)、3R…ラドンと重水素の混合ガス、4…炉体としての容器(高温部)、4a…支持アーム、4B…容器の一部、4C…容器としての蓋、4d…水管、10…イオンビーム導入口、12…重水素拡散防止層、14…蓋、20…劣化ウラン合金,ステンレスワッシャー,ウランガラス,アメリシウム(イオンビーム放射物質)、30…重水素ボンベ 31,31aL,31aR…ガス入口、32…重水素ガス導管、32aL,32aR,32bL,32bR…導管、33,33a,33aL,33aR,33b,33c,33d,33e…ガス出口、34…減圧弁、35,35a,35b,35c,35d,35e…調圧機(重水素の固溶量を調整する装置)、36…ポンプ、36a,36b,36c,36d,36e,37…圧縮ポンプ、38…重水素透過装置、39…リザーブタンク、40…水路(高温部)、41…給水口、42…蒸気出口、45…蒸気タービン、47…蒸気導管、48…冷却器、49…高圧ポンプ、50…ガス路(高温部)、51…重水素分圧計、55…ガスタービン、56…圧縮機、57…送風機、58…熱交換器、60,61…発電機、60A,60B…発電装置(温熱機器)、80…2足歩行ロボット(移動体)、81…冷却空気取入口、82…排気口、90…船舶(移動体)、91…減速機、92…スクリュー、93…電気モーター、94…制御装置、95…バッテリー、96…送電線、100…温熱マグカップ(温熱機器)、110…断熱層、130…温飲料、200…スターリングエンジン、201…ガス通路、202…断熱材、210…クランクシャフト、211…クランクピン、214…テーパーリング、215…フライホイール、216…磁石、218…ナット、221…パワーピストン、222…低温室、233,243…連接棒、241…冷却フィン、242…熱交換ピストン、250…クランクホルダー、400…貫流ボイラー(温熱機器)、470…ヘリウムガスボンベ、471…ポンプ、500…高温ガス炉(温熱機器)、520…ガス室(高温部)、521…ガス入口、522…ガス出口、600…混合ガス炉(温熱機器)、610…低温ガス室、611…分配口、612…分配路、613…ノズル、620…高温ガス室(高温部)、621…高温ガス排出口、630…設置台、640…連通気孔、650…定圧制御弁、661…マスフローコントローラ(重水素の固溶量を調整する装置)、730…ヒートパイプ、731…冷却フィン、733…ウィック、735…内壁、740…電動ファン、741…モーター、742…電動ファンの上部、745…取入口、746…吐出口、747…ファン、750熱電モジュール(熱電変換部)、751…p型熱電素子、752…n型熱電素子、753,754,755,756…導体、760…絶縁膜、770…断熱容器、771…蓋、771s…ガイド板、780…重水素吸蔵箱、781…重水素吸蔵材。

Claims (18)

  1. 炉体としての容器と、
    前記容器内に収容された重水素を固溶する金属発熱体と、
    前記容器内に収容され、かつ、前記金属発熱体に原子数比で0.005%から5%の重水素を固溶させることができる量の重水素ガスと、
    前記金属発熱体にイオンビームを照射する機構と、を備える核融合炉。
  2. 前記金属発熱体は、前記イオンビームの供給を受ける部分又は全体に原子数比で0.0005%から1%のリチウムを固溶させたものである、請求項1の核融合炉。
  3. 前記金属発熱体は、前記リチウムを固溶させた部分が前記重水素ガスに対面しており、
    前記重水素ガスに、前記イオンビームを放射する物質が混入されている、請求項2の核融合炉。
  4. 前記イオンビームを放射する物質が取り付けられた設置台を備え、
    前記金属発熱体が載置された場合に、前記イオンビームを放射する物質が前記リチウムを固溶させた部分に隣接する、請求項2の核融合炉。
  5. 前記リチウムがLiを主として含む、請求項2から4のいずれかの核融合炉。
  6. 前記金属発熱体に隣接され、かつ、核変換が施される物質を含む金属を備える、請求項1から5のいずれかの核融合炉。
  7. 前記金属発熱体における重水素の固溶量を調整する装置を備える、請求項1から6のいずれかの核融合炉。
  8. 前記金属発熱体は、温度が高くなるほど平衡重水素圧が高くなる金属であり、
    前記重水素の固溶量を調整する装置は、前記金属発熱体が最も活発に核融合を生起する固溶量よりも少ない固溶量に調整する、請求項7の核融合炉。
  9. 前記金属発熱体は、温度が高くなるほど平衡重水素圧が低くなる金属であり、
    前記重水素の固溶量を調整する装置は、前記金属発熱体が最も活発に核融合を起こす固溶量よりも多い固溶量に調整する、請求項7の核融合炉。
  10. 前記金属発熱体は、当該金属発熱体の内部に形成された連通気孔を有する、請求項1から9のいずれかの核融合炉。
  11. 前記重水素ガスに、前記金属発熱体の冷媒としてのヘリウムガスが混入されている、請求項1から10のいずれかの核融合炉。
  12. 前記重水素ガスからヘリウムを除去する装置を備える、請求項1から11のいずれかの核融合炉。
  13. 一の冷却媒体の流れ方向に請求項7の核融合炉が直列に複数配置される核融合炉。
  14. 請求項1から13のいずれかの核融合炉が熱源として用いられる温熱機器。
  15. 請求項1から13のいずれかの核融合炉が熱源として用いられる外燃機関。
  16. 請求項1から13のいずれかの核融合炉が熱源として用いられる発電装置。
  17. 請求項15の外燃機関が動力源として用いられる移動体。
  18. 請求項16の発電装置が電力源として用いられる移動体。
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