JPWO2019009362A1 - 成形体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

ベント式成形機を用いた成形体の製造方法であって、成形中のベントアップを抑制しつつ、表面性に優れた成形体を製造する。成形体を製造する方法であって、上流から順に、可塑化ゾーンと、流動速度調整ゾーンと、飢餓ゾーンとを有し、前記飢餓ゾーンにベントが形成された可塑化シリンダを用い、前記可塑化ゾーンにおいて、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とすることと、前記流動速度調整ゾーンにおいて前記溶融樹脂の流動速度を調整することと、前記飢餓ゾーンにおいて、前記溶融樹脂を飢餓状態とすることと、前記溶融樹脂から揮発成分を分離し、前記ベントから前記揮発成分を排出することと、前記揮発成分を分離した前記溶融樹脂を成形体に成形することとを含む。

Description

本発明は、成形体の製造方法及び製造装置に関する。
従来から、樹脂材料の成形機として、可塑化シリンダ内で発生した揮発成分を可塑化シリンダの外へ排出するベント(ベント孔)が設けられた成形機、所謂、ベント式成形機が存在している(例えば、特許文献1〜3)。排出される揮発成分は、主に樹脂材料に含まれている水分、未反応モノマー等である。ベント式成形機を用いると、成形中に樹脂材料から揮発成分を除去できるため、成形前に行う樹脂材料の予備乾燥を省略できる。樹脂材料に含まれる揮発成分は成形体の表面性に悪影響を与え、金型汚れの原因になる。したがって、樹脂材料から揮発成分を取り除くことで、成形体の表面性が向上し、金型のメンテナンス回数を減らすことができる。
今日、成形に使用される樹脂材料は、種類、内容ともに従来と比較して大きく変化し、各種フィラー入りの複合原料やポリマーアロイが増加している。最近の複合原料等からは成形中に多様な揮発成分が発生し、成形前の予備乾燥でこれらの揮発成分を十分に除去することは難しい。ペレット状の樹脂材料に対して行われる予備乾燥では、樹脂材料の表面水分のみの乾燥に止まることも多い。一方、ベント式成形機は溶融状態の樹脂材料から揮発成分を効率的に除去できる。この点からも、近年、ベント式成形機が見直されている。
特開2016‐215475号公報 特開平6‐134826号公報 特開2003‐145572号公報
しかし、ベント式成形機は、ベントより溶融樹脂が噴出するベントアップという現象が問題となっていた。特許文献1〜3にはベントアップを抑制する機構についても開示されているが、十分ではなかった。また、近年、成形体の表面性の更なる向上のため、樹脂材料中の揮発成分をより効率的に除去できるベント式成形機が求められている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、ベント式成形機を用いた成形体の製造方法であって、成形中のベントアップを抑制しつつ、より効率的に樹脂材料中の揮発成分を除去し、表面性に優れた成形体を製造する方法を提供する。
本発明の第1の態様に従えば、成形体を製造する方法であって、上流から順に、熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂の流動速度を調整する流動速度調整ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとを有し、前記飢餓ゾーンに揮発成分を排出するベントが形成された可塑化シリンダを用い、前記可塑化ゾーンにおいて、前記熱可塑性樹脂を可塑化溶融して前記溶融樹脂とすることと、前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記溶融樹脂の流動速度を調整することと、前記飢餓ゾーンにおいて、前記溶融樹脂を飢餓状態とすることと、前記溶融樹脂から前記揮発成分を分離し、前記ベントから前記揮発成分を排出することと、前記揮発成分を分離した前記溶融樹脂を成形体に成形することとを含む成形体の製造方法が提供される。
前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記溶融樹脂の減圧及び圧縮をそれぞれ1回以上行ってもよい。また、前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記溶融樹脂の流動方向に沿って、前記溶融樹脂の流動速度を徐々に上昇させてもよい。
本態様において、前記熱可塑性樹脂がスーパーエンジニアリングプラスチックを含んでもよいし、スーパーエンジニアリングプラスチックであってもよい。また、前記可塑化シリンダの前記ベントには更に、内部に前記揮発成分の排出路が形成された脱気促進機構が設けられ、前記脱気促進機構の排出路の内径の最大値が、前記ベントの内径より大きくてもよい。
本発明の第2の態様に従えば、熱可塑性樹脂を成形体に製造する製造装置であって、可塑化シリンダと、前記可塑化シリンダの内部に回転自在に設けられた可塑化スクリュとを備え、前記可塑化シリンダ内に、前記熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂を圧縮する圧縮ゾーンと、前記溶融樹脂の流動速度を調整する流動速度調整ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとが上流からこの順に形成されており、前記飢餓ゾーンに前記溶融樹脂から分離した揮発成分を排出するベントが形成されていることを特徴とする成形体の製造装置が提供される。
本態様において、前記可塑化スクリュは、前記流動速度調整ゾーンに位置する部分に減圧部及び圧縮部をそれぞれ1つ以上有し、前記減圧部のスクリュの軸の直径は、前記圧縮ゾーンに位置する部分のスクリュの軸の直径の最大値よりも小さく、前記圧縮部のスクリュの軸の直径は、前記減圧部のスクリュの軸の直径の最小値よりも大きくてもよい。また、前記減圧部のスクリュの軸の直径が一定であってもよいし、又は上流から下流に向って連続的に小さくなってもよい。前記圧縮部のスクリュフライトの巻方向が、前記減圧部のスクリュフライトの巻方向と逆であってもよい。前記可塑化スクリュにおいて、前記流動速度調整ゾーンに位置する部分のスクリュフライトのピッチが、前記飢餓ゾーンに位置する部分のスクリュフライトのピッチと比較して小さくてもよい。また、前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記可塑化スクリュの軸の直径が上流から下流に向って連続的に小さくなってもよい。前記可塑化スクリュは、前記流動速度調整ゾーンに位置する部分に切欠きが形成されたスクリュフライトを有してもよい。
前記ベントには更に、内部に前記揮発成分の排出路が形成された脱気促進機構が設けられ、前記脱気促進機構の前記排出路の内径の最大値が、前記ベントの内径より大きくてもよい。前記脱気促進機構は、前記ベントから離れるに従って前記排出路の内径が大きくなるテーパー部を有してもよい。前記脱気促進機構は、前記排出路の内径が変化しない筒状のストレート部を更に有し、前記ストレート部が前記ベントに接続し、前記ストレート部に隣接して、前記テーパー部が配置されてもよい。更に、筒状の前記ストレート部の延在方向における長さは、前記可塑化シリンダの側壁の厚みの2倍以下であってもよい。また、前記ベントの内径に対する前記排出路の内径の最大値の比率が20以下であってもよい。また、前記排出路を区画する、前記脱気促進機構の内壁に、テフロン(登録商標)含有メッキ膜が形成されていてもよい。
前記ベントの内径が、前記可塑化シリンダの内径の20%〜100%であってもよい。
本発明の成形体の製造方法は、ベント式成形機を用いた成形体の製造方法であって、成形中のベントアップを抑制できる。また、表面性に優れた成形体を製造できる。
実施形態の成形体の製造方法を示すフローチャートである。 実施形態で用いる成形体の製造装置を示す概略図である。 実施形態で用いる可塑化シリンダ内に設けられる可塑化スクリュの概略図である。 図4(a)〜(e)は、実施形態で用いる可塑化シリンダ内に設けられる可塑化スクリュの他の例の概略図である。 実施形態で用いる脱気促進機構の概略図である。 従来の成形体の製造装置で用いられる可塑化スクリュの概略図である。
図1に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の成形体の製造方法について説明する。
[成形体の製造装置]
まず、本実施形態で用いる成形体を製造する製造装置について説明する。本実施形態では、図2に示す製造装置(射出成形装置)1000を用いて成形体を製造する。製造装置1000は、主に、スクリュ(可塑化スクリュ)20が回転自在に内設された可塑化シリンダ210と、金型251が設けられた型締めユニット250と、可塑化シリンダ210及び型締めユニット250を動作制御するための制御装置(不図示)を備える。可塑化シリンダ210内において可塑化溶融された溶融樹脂は、図2における右手から左手に向かって流動する。したがって本実施形態の可塑化シリンダ210内部においては、図2における右手を「上流」または「後方」、左手を「下流」または「前方」と定義する。
可塑化シリンダ210には、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化ゾーン21、溶融樹脂を圧縮する圧縮ゾーン22、溶融樹脂の流動速度を調整する流動速度調整ゾーン25及び溶融樹脂を飢餓状態とする飢餓ゾーン23とが形成される。「飢餓状態」とは、溶融樹脂が飢餓ゾーン23内に充満せずに未充満となる状態である。したがって、飢餓ゾーン23内には、溶融樹脂の占有部分以外の空間が存在する。
可塑化シリンダ210の上部側面には、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給するための樹脂供給口201及び溶融樹脂から分離された揮発成分を可塑化シリンダ210の外へ排出するためのベント(ベント孔)202が形成され、大気圧に解放されている。樹脂供給口201には樹脂供給用ホッパ211及びフィーダースクリュ212が配設され、ベント202には脱気促進機構300が配設される。
大気圧に解放されているベント202は飢餓ゾーン23に形成されている。したがって、飢餓ゾーン23も同様に大気圧に維持されている。熱可塑性樹脂の揮発成分は、ベント202から脱気促進機構300を介して可塑化シリンダ210の外へ排出される。ここで、溶融樹脂から分離される「揮発成分」とは、主に、原料である熱可塑性樹脂に不純物として含まれている水分及び未反応モノマー、又は成形機内で発生した熱可塑性樹脂の分解成分であり、成形中に気体(ガス)として溶融樹脂から分離する。
尚、製造装置1000は、流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23を1つしか有していないが、本実施形態に用いられる製造装置は、これに限定されない。例えば、揮発成分の排出を促進するために、流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23、更に飢餓ゾーン23に形成されるベント202を複数有し、複数のベント202から揮発成分を排出する構造であってもよい。また、製造装置1000は射出成形装置であるが、本実施形態に用いられる製造装置は、これに限定されず、例えば、押出成形装置であってもよい。
[成形体の製造方法]
(1)熱可塑性樹脂の可塑化溶融
まず、可塑化シリンダ210の可塑化ゾーン21において、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする(図1のステップS1)。熱可塑性樹脂としては、目的とする成形体の種類に応じて、例えば、所謂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック等の樹脂を使用できる。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート(PC)、アモルファスポリオレフィン(APO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリ乳酸等である。
中でも、スーパーエンジニアリングプラスチック(以下、適宜「スーパーエンプラ」と記載する)の成形には、本実施形態の製造方法が適している。一般に、連続使用温度が150℃以上のプラスチックがスーパーエンプラに分類されるため、本明細書においても、スーパーエンプラの定義はこれに従う。スーパーエンプラは溶融温度が高いため、溶融樹脂からより多くの揮発成分が発生する傾向がある。また、近年、スーパーエンプラを含むポリマーアロイが多く開発されている。溶融温度の異なる樹脂同士のポリマーアロイの場合、溶融温度の低い方の樹脂の一部が分解ガスとして溶融樹脂から分離する虞がある。本実施形態の製造方法では、これらの揮発成分を効率よく除去できる。
スーパーエンプラは、非晶性(透明)樹脂と結晶性樹脂に大別される。非晶性(透明)樹脂としては、例えば、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)が挙げられ、結晶性樹脂としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が挙げられ、中でも、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)がより好ましい。
以上説明した熱可塑性樹脂は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。また、これらの熱可塑性樹脂を含むポリマーアロイや複合材料を用いいてもよい。また、これらの熱可塑性樹脂にガラス繊維、タルク、カーボン繊維、セルロースナノファイバーなどの各種有機又は無機フィラーを混練したものを用いてもよい。更に、本実施形態の熱可塑性樹脂は、必要に応じてその他の汎用の各種添加剤を含んでもよい。
本実施形態では、図2に示す樹脂供給口201に設けられた樹脂供給用ホッパ211から、熱可塑性樹脂(樹脂ペレット)を可塑化シリンダ210内に供給し、可塑化ゾーン21において可塑化溶融する。可塑化シリンダ210の外壁面にはバンドヒータ(図示せず)が配設されており、これにより可塑化シリンダ210が加熱され、更にスクリュ20の回転による剪断発熱も加わり、熱可塑性樹脂が可塑化溶融され、溶融樹脂となる。
本実施形態では、フィーダースクリュ212を用いて、可塑化シリンダ210へ供給する熱可塑性樹脂の供給量を適量に制御することが好ましい。例えば、フィーダースクリュ212の回転数を熱可塑性樹脂(樹脂ペレット)が飢餓供給される回転数に制御する。ここで、樹脂ペレットの飢餓供給とは、可塑化ゾーン21において、樹脂ペレットの供給中、可塑化シリンダ内に樹脂ペレット又はその溶融樹脂が充満しない状態が維持され、供給した樹脂ペレット又はその溶融樹脂からスクリュ20のスクリュフライトが露出している状態を意味する。樹脂ペレットの飢餓供給の確認方法としては、例えば、赤外線センサ又は可視化カメラにてスクリュ20上の樹脂ペレット又は溶融樹脂の有無を確認する方法が挙げられる。樹脂ペレットを飢餓供給することにより、熱可塑性樹脂の供給量が制限され、後述する飢餓ゾーン23における溶融樹脂の飢餓状態を安定化でき、ベントアップを更に抑制でき、揮発成分の排出も更に促進される。また、溶融樹脂からの揮発成分の分離は主に後述する流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23において生じるが、そこより上流の圧縮ゾーン22及び可塑化ゾーン21においてもわずかに生じる場合がある。フィーダースクリュ212を用いて樹脂ペレットを飢餓供給しておくと、揮発成分を樹脂供給口201から可塑化シリンダ210の外へ排出できる。これにより、成形体の表面性を更に向上させることができる。
本実施形態の製造方法では、成形中に溶融樹脂から揮発成分を分離するので、可塑化シリンダ210へ投入する前の熱可塑性樹脂の予備乾燥は特に必要ないが、予備乾燥を行ってもよい。例えば、予備乾燥により熱可塑性樹脂に含まれる水分を主に除去し、成形中には主に未反応モノマーや分解ガス等の水分以外の揮発成分を除去してもよい。
(2)溶融樹脂の流動速度調整及び飢餓状態、並びに揮発成分の排出
次に、溶融樹脂を可塑化ゾーン21から、圧縮ゾーン22、流動速度調整ゾーン25を経て、飢餓ゾーン23へ流動させる。溶融樹脂は、圧縮ゾーン22において圧縮された後、流動速度調整ゾーン25において流動速度が調整され(図1のステップS2)、飢餓ゾーン23において飢餓状態となる(図1のステップS3)。そして、溶融樹脂から揮発成分が分離され、分離された揮発成分は飢餓ゾーン23に形成されたベント202から排出される(図1のステップS4)。以下に、圧縮ゾーン22、流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23のそれぞれゾーンについて、各ゾーンで行う本実施形態の製造方法の各工程と共に説明する。
<圧縮ゾーン>
まず、圧縮ゾーン22について説明する。本実施形態では、圧縮ゾーン22を飢餓ゾーン23の上流に設けることにより、飢餓ゾーン23において溶融樹脂を飢餓状態とする。飢餓状態は、飢餓ゾーン23の上流から飢餓ゾーン23への溶融樹脂の送り量と、飢餓ゾーン23からその下流への溶融樹脂の送り量とのバランスで決定され、前者の方が少ないと飢餓状態となる。本実施形態では、圧縮ゾーン22を飢餓ゾーン23の上流に設けることにより、この状態を実現する。
圧縮ゾーン22には、上流側に位置する可塑化ゾーン21よりもスクリュ20の軸の直径(スクリュ径)を大きく(太く)し、スクリュフライトを浅くした大径部分20Aを設ける。スクリュの軸の直径を大きくすると、可塑化シリンダ210の内壁とスクリュ20のクリアランスが縮小し、下流に送る樹脂供給量を低減できるため、溶融樹脂の流動抵抗を高められる。したがって、本実施形態において、大径部分20Aは、溶融樹脂の流動抵抗を高める機構である。
圧縮ゾーン22に設けられる溶融樹脂の流動抵抗を高める機構は、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ供給される樹脂流量を制限するために一時的に溶融樹脂が通過する流路面積を縮小させる機構であれば、特に制限されない。流動抵抗を高める機構として、例えば、飢餓ゾーン23と比較して、スクリュフライトのピッチを狭めた部分、フライトの数を増やした部分、スクリュフライトの巻方向を逆にした部分等をスクリュ20に設けてもよい。
<流動速度調整ゾーン>
次に、流動速度調整ゾーン25について説明する。本実施形態では、圧縮ゾーン22と飢餓ゾーン23の間に、流動速度調整ゾーン25を設ける。流動速度調整ゾーン25の上流の圧縮ゾーン22における溶融樹脂の流動速度と、下流の飢餓ゾーン23における溶融樹脂の流動速度とを比較すると、飢餓ゾーン23における溶融樹脂の流動速度の方が早い。例えば、図6に示すスクリュ90を用いた従来の可塑化シリンダでは、圧縮ゾーン22と飢餓ゾーン23とが隣接して配置される。スクリュ90を用いた可塑化シリンダにおいても、飢餓ゾーン23において溶融樹脂を飢餓状態とすることは可能であるが、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ溶融樹脂が流動するとき、流動速度は急激に上昇する。発明者らは、圧縮ゾーン22と飢餓ゾーン23の間に、緩衝ゾーンとなる流動速度調整ゾーン25を設け、この急激な溶融樹脂の流動速度の変化(上昇)を抑制することにより、製造される成形体の表面性が向上すると共に、飢餓ゾーン23に形成されたベント202からのベントアップが抑制されることを見出した。
溶融樹脂の流動速度は、例えば、可塑化スクリュ20の流動速度調整ゾーン25に位置する部分に溶融樹脂の流動速度を調整する機構を設けることにより、調整できる。本実施形態では、図3に示す可塑化スクリュ20を用いる。可塑化スクリュ20は、上流から順に、大径部分20Aと、減圧部20Cと、圧縮部20Dと、小径部分20Bとを有する。大径部分20Aは圧縮ゾーン22に位置し、減圧部20C及び圧縮部20Dは流動速度調整ゾーン25に位置し、小径部分20Bは飢餓ゾーン23に位置する。減圧部20C及び圧縮部20Dが、溶融樹脂の流動速度を調整する機構に相当する。減圧部20Cは、上流の大径部分20Aと比較してスクリュ径(スクリュの軸の直径)が小さく(細く)、スクリュフライトの深さが深い。圧縮部20Dは、その上流部分(減圧部20C)及び下流部分(小径部分20B)と比較して、スクリュ径が大きく、スクリュフライトの深さが浅い。即ち、本実施形態では、減圧部20Cのスクリュ20の軸の直径は、圧縮ゾーン22に位置する部分のスクリュ20の軸の直径の最大値(大径部分20A)よりも小さい。そして、圧縮部20Dのスクリュ20の軸の直径は、減圧部20Cのスクリュ20の軸の直径の最小値よりも大きい。圧縮ゾーン22から流動速度調整ゾーン25に流動してきた溶融樹脂は、スクリュフライトの深さが深い減圧部20Cにおいて減圧された後、スクリュフライトの深さが浅い圧縮部20Dにより再圧縮され、その後、飢餓ゾーン23へ流動する。流動速度調整ゾーン25において、溶融樹脂を減圧及び圧縮(加圧)することで、流動速度調整ゾーン25における溶融樹脂の滞留時間が確保できる。これにより、流動速度調整ゾーン25は緩衝ゾーン又は溶融樹脂滞留ゾーンとして働き、溶融樹脂の流動速度を調整し(図1のステップS2)、この結果、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ流動する溶融樹脂の急激な流動速度の上昇を抑制できる。
また、圧縮ゾーン22と飢餓ゾーン23とでは、樹脂圧力にも差ができる。圧縮ゾーン22は樹脂圧力が高く、飢餓ゾーン23は樹脂圧力が低い。例えば、図6に示すスクリュ90を用いる従来の可塑化シリンダでは、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ溶融樹脂が流動するとき、樹脂圧力が急激に低下する。これに対して、本実施形態の図3に示すスクリュ20を用いた可塑化シリンダ210では、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ流動する溶融樹脂は、流動速度調整ゾーン25を通過することで、急激な樹脂圧力の変化無しに下流の飢餓ゾーン23へ送られる。この観点からは、流動速度調整ゾーン25は、溶融樹脂圧力の徐減圧ゾーンでもある。
圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23の間に緩衝ゾーンとなる流動速度調整ゾーン25を設けることで、成形体の表面性が向上し、更にベント202からのベントアップが抑制される理由の詳細は不明であるが、以下のように推察される。図6に示すスクリュ90を用いた従来の可塑化シリンダでは、飢餓ゾーン23において溶融樹脂が急減圧され、これにより飢餓ゾーン23において溶融樹脂から揮発成分が分離される。これに対して本実施形態では、溶融樹脂は流動速度調整ゾーン25において徐減圧された後、飢餓ゾーン23へ流動する。溶融樹脂が流動速度調整ゾーン25から飢餓ゾーン23へ流動するのに伴い、揮発成分が徐々に溶融樹脂から分離される。即ち、本実施形態の製造方法では、従来の製造方法と比較して、穏やかに且つ長時間に亘って溶融樹脂から揮発成分が分離される。これにより、溶融樹脂からより多くの揮発成分を分離、除去でき、成形体の表面性が向上すると推測される。また、本実施形態では、飢餓ゾーン23において溶融樹脂が急減圧されないため、飢餓ゾーン23に設けられたベント202からのベントアップも抑制される。更に、本実施形態では、流動速度調整ゾーン25に減圧部20C及び圧縮部20D設け、溶融樹脂の減圧及び圧縮を短いサイクルで行う。この溶融樹脂の短いサイクルでの減圧及び圧縮が溶融樹脂と揮発成分との分離を促進し、この結果、成形体の表面性が更に向上すると推測される。尚、以上説明したメカニズムは推測であり、本発明の解釈に何ら影響を与えない。
本実施形態では、図3に示すスクリュ20により流動速度調整ゾーン25において溶融樹脂の流動速度を調整するが、本実施形態はこれに限定されない。流動速度調整ゾーン25において溶融樹脂の流動速度を調整できる構成であれば、スクリュ20に代えて、任意の構成のスクリュを用いることができる。例えば、以下に説明する図4(a)〜(e)に示すスクリュ20a〜20eを用いてもよい。
図3に示すスクリュ20は、減圧部20C及び圧縮部20Dをそれぞれ1つしか有さないが、図4(a)に示すスクリュ20aのように、減圧部20C及び圧縮部20Dをそれぞれ複数有してもよい。即ち、本実施形態のスクリュは減圧部20C及び圧縮部20Dをそれぞれ1つ以上有してもよい。減圧部20C及び圧縮部20Dを複数有することで、溶融樹脂の減圧及び圧縮を複数回繰り返し、溶融樹脂と揮発成分との分離を更に促進できる。但し、減圧部20C及び圧縮部20Dの数が多すぎると可塑化シリンダ210が長くなり過ぎ、製造効率が低下する虞もある。したがって、スクリュ20には、減圧部20C及び圧縮部20Dを、それぞれ、1〜4個設けることが好ましく、1〜2個設けることがより好ましい。
また、図3に示すスクリュ20は、減圧部20Cのスクリュ径(スクリュの軸の直径)及びスクリュフライトの深さが一定であるが、図4(b)に示すスクリュ20bのように、上流から下流に向って減圧部20Cのスクリュ径(スクリュの軸の直径)が連続的に小さく(細く)なり、それに伴いスクリュフライトの深さが連続的に深くなっていてもよい。
また、図3に示すスクリュ20では、可塑化スクリュ20の流動速度調整ゾーン25に位置する部分に減圧部20C及び圧縮部20Dを設けることによって溶融樹脂の流動速度を調整するが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図4(c)に示すスクリュ20cのように、流動速度調整ゾーン25に位置する部分に複数の切欠きnが形成されたスクリュフライトFを有してもよい。スクリュ20cでは、複数の切欠きnが形成されたスクリュフライトFが、溶融樹脂の流動速度を調整する機構に相当する。スクリュフライトに切欠きが設けられていると溶融樹脂は流動し難い。スクリュフライトFにより、溶融樹脂は、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ向かって、流動速度を徐々に上げながら流動速度調整ゾーン25を通過する。これにより、流動速度調整ゾーン25は、急激な流動速度の変化無しに、上流の圧縮ゾーン22から下流の飢餓ゾーン23へ溶融樹脂を送ることができる。また、このとき、溶融樹脂は、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ向かって、溶融樹脂の圧力を徐々に下げながら流動速度調整ゾーン25を通過する。これにより、流動速度調整ゾーン25は、急激な溶融樹脂の圧力変化無しに、上流の圧縮ゾーン22から下流の飢餓ゾーン23へ溶融樹脂を送ることができる。更に、スクリュ20cには、複数の切欠きnが形成されたスクリュフライトにより、所謂、ラビリンス構造が形成されてもよい。この場合、ラビリンス構造が、溶融樹脂の流動速度を調整する機構に相当する。
また、図4(d)に示すスクリュ20dのように、スクリュの流動速度調整ゾーン25に位置する部分は、複数の切欠きnが形成されたスクリュフライトFを有し、更に、スクリュ径が上流から下流に向って連続的に小さくなっていてもよい。
また、流動速度調整ゾーン25において、2条以上の多条フライトを用いる、スクリュフライトのピッチを狭める、フライトの数を増やす、スクリュフライトの巻方向を逆にする等によって、溶融樹脂の流動速度を調整してもよい。図3に示すスクリュ20の減圧部20C及び圧縮部20Dに、更にスクリュフライトの切欠きやフライトピッチの短縮等の複数の構成を組み合わせると、更により多くの揮発成分を溶融樹脂から分離できる。例えば、図4(e)に示すスクリュ20eは、流動速度調整ゾーン25に位置する部分に減圧部20C及び圧縮部20Dを設け、スクリュのフライトピッチを飢餓ゾーン23のフライトピッチより縮め(小さくし)、更に、圧縮部20Dのフライトの巻方向を減圧部20Cの巻方向と逆にした例である。
本実施形態において、溶融樹脂の流動方向における流動速度調整ゾーン25の長さは、可塑化シリンダ210の内径の2倍〜6倍が好ましく、2倍〜4倍がより好ましい。流動速度調整ゾーン25の長さがこの範囲であれば、十分に揮発成分を溶融樹脂から分離できる。ここで、流動速度調整ゾーン25の長さとは、可塑化シリンダ210内において、圧縮ゾーン22と比較して溶融樹脂の流動速度が速く、飢餓ゾーン23と比較して溶融樹脂の流動速度が遅いゾーンの長さである。流動速度調整ゾーン25の長さは、当業者であれば、例えば、可塑化スクリュ20の形状等から判断できる。例えば、図3、図4(a)、(b)及び(e)に示すスクリュ20、20a、20b及び20eにおいては、流動速度調整ゾーン25の長さは、溶融樹脂の流動方向における減圧部20C及び圧縮部20Dの長さの合計である。図4(c)及び(d)に示すスクリュ20c及び20dにおいては、溶融樹脂の流動方向における、複数の切欠きnが形成されたスクリュフライトFを有する部分の長さである。
<飢餓ゾーン>
次に、飢餓ゾーン23について説明する。上述したように、圧縮ゾーン22から流動速度調整ゾーン25を経て飢餓ゾーン23に供給される樹脂流量が低下し、飢餓ゾーン23においては、溶融樹脂が未充満(飢餓状態)となる(図1のステップS3)。飢餓ゾーン23では、溶融樹脂が未充満となり、更に、流動速度調整ゾーン25の存在により、溶融樹脂の急減圧が生じない。これにより、ベント202からのベントアップを抑制できる。
溶融樹脂の飢餓状態を促進するために、スクリュ20は、圧縮ゾーン22に位置する部分(大径部分20A)と比較して、飢餓ゾーン23に位置する部分の軸の直径が小さく(細く)、且つスクリュフライトが深い構造(小径部分20B)を有する。また、本実施形態において、溶融樹脂の流動方向における飢餓ゾーン23の長さは、溶融樹脂からの揮発成分排出を促進するためには長いほうが好ましいが、長すぎると成形サイクルやスクリュ長さが長くなる弊害生じる。このため、飢餓ゾーン23の長さは、可塑化シリンダ210の内径の2倍〜12倍が好ましく、4倍〜10倍がより好ましい。また、飢餓ゾーン23の長さは、射出成形における計量ストーロークの全範囲を賄うことが好ましい。即ち、溶融樹脂の流動方向における飢餓ゾーン23の長さは、射出成形における計量ストーロークの長さ以上であることが好ましい。溶融樹脂の可塑化計量及び射出に伴ってスクリュ20は前方及び後方に移動するが、飢餓ゾーン23の長さを計量ストーロークの長さ以上とすることで、成形体の製造中、常に、ベント202を飢餓ゾーン23内に配置できる(形成できる)。換言すれば、成形体の製造中にスクリュ20が前方及び後方に動いても、飢餓ゾーン23以外のゾーンが、ベント202の位置に来ることはない。本実施形態においては、飢餓ゾーン23の長さは、図3に示すように、スクリュ20において、スクリュ20の軸の直径及びスクリュフライトの深さが一定である部分(小径部分20B)の長さと略同一である。
飢餓ゾーン23の圧力は、大気圧以下であることが好ましい。溶融樹脂の急減圧を避ける観点からは、飢餓ゾーン23の圧力は大気圧であることが好ましい。一方で、効率的に揮発成分を排出する観点から、真空ポンプ等を用いて飢餓ゾーン23の圧力を大気圧未満に減圧して揮発成分をベント202から吸引排気してもよい。
流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23において溶融樹脂から分離された揮発成分は、ベント(ベント孔)202から排出される(図1のステップS4)。ベント202は、従来の製造装置のベントと比較して内径D1(図5参照)が大きい。内径D1が大きいため、溶融樹脂の一部がベント202に接触して固化した場合であっても、ベント202は完全に塞がることなく揮発成分の排出孔として機能できる。一方、ベント202の内径D1が大き過ぎると、溶融樹脂の滞留が発生して成形不良の原因となり、また、ベント202に接続する脱気促進機構300が大型化して装置全体のコストが上昇する。したがって、ベント202の内径D1は、可塑化シリンダ210の内径の20%〜100%が好ましく、25%〜80%がより好ましい。または、可塑化シリンダ210の内径に依存せず、ベント202の内径D1は、3mm〜150mmが好ましく、5mm〜100mmがより好ましい。ここで、ベント202の内径D1とは、図5に示す、可塑化シリンダ210の内壁210a上における開口部の内径を意味する。また、ベント202の形状、即ち、可塑化シリンダ210の内壁210a上における開口部の形状は、真円に限られず、楕円や多角形であってもよい。ベント202の形状が楕円や多角形である場合には、ベント202の面積と同じ面積の真円におけるその直径を「ベント202の内径D1」と定義する。
本実施形態では、ベント202からの揮発成分の排出を促進するために、ベント202に脱気促進機構300設けることが好ましい。以下、脱気促進機構300について説明する。
<脱気促進機構>
本実施形態で用いる脱気促進機構300は、図5に示すように、筒状の本体310と、本体310を可塑化シリンダ210に連結する連結部材320とから主に構成され、その内部に溶融樹脂から分離された揮発成分の排出路312が形成される。筒状の本体310の一方の端部は、連結部材320を介してベント202に接続し、ベント202を介して、可塑化シリンダ210の飢餓ゾーン23と排出路312とが連通する。
また、脱気促進機構300の排出路312の形状に着目した場合、脱気促進機構300は、ベント202に接続し、その内径が変化しない筒状の第1ストレート部31と、第1ストレート部31に隣接して設けられ、ベント202から離れるに従って、その内径が大きくなるテーパー部32と、テーパー部32に隣接して設けられ、その内径が変化しない筒状の第2ストレート部33とを有する。即ち、脱気促進機構300は、図5に示すように、小さい内径D1を有する円筒である第1ストレート部31と、大きい内径D2を有する円筒である第2ストレート部33とを、それぞれの中心軸が同一の直線m上に並ぶように配置し、第1ストレート部31と第2ストレート部33とをテーパー部32のテーパー面で結合した構造を有する。第1ストレート部31及び第2ストレート部33の中心軸と一致する直線mの延在方向を脱気促進機構300の延在方向と定義する。本実施形態においては、第1ストレート部31は連結部材320によって構成され、テーパー部32及び第2ストレート部33は、本体310によって構成される。
脱気促進機構300の内径(排出路312の内径)の最大値D2は、ベント202の内径D1より大きい(D2>D1)。ここで、脱気促進機構300の内径の最大値D2とは、脱気促進機構300の延在方向(直線m)と直交する排出路312の断面において最大の面積を有する断面(以下、「最大断面」と記載する)の内径を意味する。また、最大断面の形状は、真円に限られず、楕円や多角形であってもよい。この場合には、最大断面と同じ面積の真円におけるその直径を「脱気促進機構300の内径の最大値D2」と定義する。本実施形態では、ベントの内径D1は、第1ストレート部31の内径、即ち連結部材320の内径に等しく、脱気促進機構300の内径の最大値D2は、本体310の第2ストレート部33の内径に等しい。この特徴(D2>D1)を有する脱気促進機構300は、以下に説明するように、揮発成分の流通路を確保し易く、揮発成分の排出を促進する。
飢餓ゾーン23は、スクリュ20のフライトが深く、堆積する樹脂量が少ないため、ベント202の内径が大きくとも溶融樹脂がベント202から膨出することは少ない。しかし、それでも、溶融樹脂がベント202から脱気促進機構300内部へ侵入又は膨出する場合がある。この場合、脱気促進機構300は溶融樹脂の熱を奪って流動性を低下させ、更に固化させることができる。溶融樹脂の固化により、それ以上の溶融樹脂の脱気促進機構300内部へ侵入が阻止される。しかし、固化した溶融樹脂によって揮発成分の流通路が完全に塞がれると、揮発成分を飢餓ゾーン23から排出できないという問題が生じる。そこで、本実施形態の脱気促進機構300では、ベント202から離れるにつれて内径がD1から次第に大きくなってD2となる構成を有する。ベント202から離れるほど、侵入した溶融樹脂は熱を奪われ固化し易くなるが、本実施形態の脱気促進機構300は、ベント202から離れるにつれて排出路312が広くなる。このため、排出路312の壁面に接触した溶融樹脂が固化したとしても、排出路312が完全に固化した溶融樹脂によって塞がれることを抑制できる。例えば、壁面に接触した溶融樹脂が固化しても、壁面から離れた排出路312の中心近傍では、溶融樹脂は流動性を有する溶融状態を維持できる。これにより、脱気促進機構300の揮発成分の流通路を確保できる。尚、第1ストレート部31の末端にテーパー部32が接続されていることは必ずしも必要でなく、第1ストレート部31の末端から内径が拡大するように構成されていれば、揮発成分の流通路は確保される。
本実施形態では、図5に示すように、直線mを含む脱気促進機構300の断面において、脱気促進機構300の延在方向(直線m)に対するテーパー部32の内壁の角度が45度であるが、20度以上90度以下が上述した効果を奏する上で好ましく、25度以上65度以下がより好ましい。尚、ここでテーパー部32の内壁の角度が90度の場合とは、第1ストレート部31と第2ストレート部33が、直線mに垂直な平面によって接続される場合をいう。
脱気促進機構300の内径の最大値D2は、ベント202の内径D1より大きいため(D2>D1)、ベントの内径(D1)に対する、脱気促進機構の内径の最大値(D2)の比率(D2/D1)は、1より大きい。上述の効果を更に促進する観点からは、上記比率(D2/D1)は、2以上が好ましい。一方、装置コスト抑制の観点からは、脱気促進機構300は小さい方が好ましく、上記比率(D2/D1)は、例えば、20以下であり、10以下が好ましい。
ベント202の内径D1が比較的大きい場合、例えば、ベント202の内径D1が60mm以上、好ましくは80mm以上である場合には、上述した溶融樹脂の膨出によりベント202が塞がれる虞が低下するため、上述の比率(D2/D1)は、比較的小さくてもよい。この場合、ベントの内径(D1)に対する、脱気促進機構の内径の最大値(D2)の比率(D2/D1)は、例えば、1を超えて3以下であり、好ましくは、1を超えて2以下である。
脱気促進機構300において、筒状の第1ストレート部31の延在方向(図5中の直線m)における長さ(高さ)hは、可塑化シリンダ210の側壁の厚みdの2倍以下が好ましく、1倍以下がより好ましい。第1ストレート部31の長さhが上記範囲内であれば、固化した溶融樹脂により、脱気促進機構300内の揮発成分の流通路が塞がれる虞が更に低下する。筒状の第1ストレート部31の長さ(高さ)hの下限値は、特に限定されず、実質的には、例えば、可塑化シリンダ210の側壁の厚みdの0.1倍以上であり、好ましくは、0.3倍以上である。
脱気促進機構300を構成する材料は、壁面での溶融樹脂の固化を促進して内部への溶融樹脂の侵入を抑制する観点から、熱容量が大きく、温度が上昇しにくく、付着した樹脂から熱を奪いやすい材料が好ましい。これらの観点から、脱気促進機構300は、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属で構成されることが好ましい。連結部材320も同様である。
脱気促進機構300の内壁、即ち、排出路312を区画する内壁には、テフロン(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)含有メッキ膜が形成されていることが好ましい。テフロン含有メッキ膜は、脱気促進機構300の内壁全面に形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。特に、溶融樹脂との接触の虞のある、脱気促進機構300内の下部、例えば、第1ストレート部31及び/又はテーパー部32の内壁に形成されることが好ましい。成形体の成形中に、樹脂が内壁に付着した状態で長時間経過すると、樹脂は炭化して固着し、後に剥離して、成形不良の原因となる。脱気促進機構300の内壁にテフロン含有メッキ膜を形成することで、この溶融樹脂の固着を抑制できる。テフロン含有メッキ膜、中でも、テフロン含有無電解ニッケルリンメッキ膜は、高い耐熱性及び耐擦傷性を有し、高硬度であり、更に、複雑形状の被メッキ体への被覆性にも優れる。また、脱気促進機構300の内壁に撥水性又は発油性を付与でき、且つ耐熱性にも優れる他の表面処理方法としては、エキシマレーザーを使った表面処理が挙げられる。しかし、脱気促進機構300の内壁に対して、エキシマレーザーを使った表面処理を行うことは非常に困難であるため、テフロン含有メッキ膜を形成する方が好ましい。無電解メッキ膜中のテフロンの含有量は、メッキ膜の安定性と、付着する溶融樹脂の剥離性との兼ね合いから、10〜50重量%が好ましい。
以上、本実施形態で用いる脱気促進機構300について説明したが、本実施形態で用いる脱気促進機構は、この構成に限定されない。例えば、第1の変形例としては、脱気促進機構が、テーパー部32を有さない構成が挙げられる。即ち、第1ストレート部31と、第2ストレート部33とが、テーパー面の代わりに、脱気促進機構300の延在方向(直線m)と直交する面により連結されてもよい。また、第2の変形例としては、脱気促進機構が、第1ストレート部31を有さない構成が挙げられる。この場合、可塑化シリンダ210の内壁210a上における開口部であるベント202に、テーパー部32が連結する。即ち、可塑化シリンダ210の側壁内において、内壁210aから離れるにしたがって、脱気促進機構300の内径が広がる構造となる。尚、脱気促進機構300は、可塑化シリンダ210と別個体であってもよいし、可塑化シリンダ210と一体に形成され、可塑化シリンダ210の一部を構成してもよい。
(3)成形体の成形
次に、揮発成分を分離した溶融樹脂を成形体に成形する(図1のステップS5)。本実施形態で用いる可塑化シリンダ210は、飢餓ゾーン23の下流に、飢餓ゾーン23に隣接して配置され、溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まる再圧縮ゾーン24を有する。まず、可塑化スクリュ20の回転により、飢餓ゾーン23の溶融樹脂を再圧縮ゾーン24に流動させる。溶融樹脂は、再圧縮ゾーン24において圧力調整され、可塑化スクリュ20の前方に押し出されて計量される。このとき、可塑化スクリュ20の前方に押し出された溶融樹脂の内圧は、可塑化スクリュ20の後方に接続する油圧モータ又は電動モータ(不図示)により、スクリュ背圧として制御される。
成形体の成形方法は、特に限定されず、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形等により成形体を成形できる。本実施形態では、図2に示す可塑化シリンダ210から、金型251内のキャビティ253に計量した溶融樹脂を射出充填して射出成形を行い、成形体を得る。
本実施形態において成形前に溶融樹脂から分離、除去する揮発成分は、例えば、シルバーストリークによる成形体表面の曇り及び平滑性低下の原因となる。本実施形態の製造方法では、溶融樹脂から揮発成分を十分に分離、除去することにより、表面性に優れた成形体、より具体的には、シルバーストリークが抑制された平滑な表面を有する成形体が得られる。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて更に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例及び比較例に限定されない。
[実施例1]
本実施例では、熱可塑性樹脂としてポリフェニレンサルファイド(PPS)とエラストマーのポリマーアロイ(DIC製、Z−230)を用いた。熱可塑性樹脂(樹脂ペレット)は、予め120℃で4時間、予備乾燥を行った。
(1)製造装置
本実施例では、上述した実施形態で用いた図2に示す製造装置1000を用いた。上述のように、製造装置1000は射出成形装置であり、スクリュ(可塑化スクリュ)20が回転自在に内設された可塑化シリンダ210と、金型251が設けられた型締めユニット250、可塑化シリンダ210及び型締めユニット250を動作制御するための制御装置(不図示)を備える。可塑化シリンダ210内部には、可塑化ゾーン21と、圧縮ゾーン22と、流動速度調整ゾーン25と、飢餓ゾーン23と、再圧縮ゾーン24とが上流からこの順に形成されている。飢餓ゾーン23には、揮発成分を排出するベント202が形成され、ベント202には脱気促進機構300が設けられている。可塑化シリンダ210のノズル先端29には金型251が密着し、金型251が形成するキャビティ253内にノズル先端29から溶融樹脂が射出充填される。
図5に示す脱気促進機構300の本体310及び連結部材320の内壁には、テフロン含有無電解ニッケルリンメッキ膜を形成した。メッキ膜の膜厚は20μm、メッキ膜中のテフロンの含有量は約30重量%とした。
製造装置1000において、可塑化シリンダ210の内径は22mmであり、ベント202の内径は6mmであった。したがって、ベント202の内径D1は、可塑化シリンダ210の内径の約27%であった。また、溶融樹脂の流動方向における流動速度調整ゾーン25の長さ(減圧部20C及び圧縮部20Dの長さの合計)は44mmであった。したがって、流動速度調整ゾーン25の長さは、可塑化シリンダ210の内径(22mm)の2倍であった。また、溶融樹脂の流動方向における飢餓ゾーン23の長さ(小径部分20Bの長さ)は210mmであった。したがって、飢餓ゾーン23の長さは、可塑化シリンダ210の内径の約9.5倍であった。
また、脱気促進機構300の内径の最大値D2は60mmであった。したがって、脱気促進機構300の内径の最大値D2は、ベントの内径D1(6mm)より大きく(D2>D1)、比率(D2/D1)は、10であった。また、脱気促進機構300の第1ストレート部31の長さhは12mmであり、可塑化シリンダ210の側壁の厚みdは、40mmであった。したがって、第1ストレート部31の長さhは、可塑化シリンダ210の側壁の厚みdの0.3倍であった。
また、本実施例では、キャビティ253の大きさが50mm×50mm×2mmである金型を用いた。
(2)成形体の製造
可塑化シリンダ210において、バンドヒータ(不図示)により、可塑化ゾーン21を300〜320℃、圧縮ゾーン22を320℃、流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23を300℃、再圧縮ゾーン24を320℃に調整した。そして、樹脂供給用ホッパ211から、フィーダースクリュ212を30rpmの回転数で回転させながら、熱可塑性樹脂の樹脂ペレットを可塑化シリンダ210に供給し、スクリュ20を正回転させた。これにより、可塑化ゾーン21において、熱可塑性樹脂を加熱、混練し、溶融樹脂とした。
フィーダースクリュ212の回転数は、事前に成形条件の設定(条件出し)を行い、樹脂ペレットが飢餓供給される回転数に決定した。本実施例では、用いたフィーダースクリュ212に透明窓が設けられており、透明窓を介して樹脂供給口201直下の可塑化ゾーン21の状態を視認して飢餓供給を確認した。
スクリュ20を背圧6MPa、回転数100rpmにて正回転することにより、溶融樹脂を可塑化ゾーン21から圧縮ゾーン22に流動させ、更に、流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23に流動させた。
溶融樹脂は、スクリュ大径部分20Aと、可塑化シリンダ210の内壁との隙間から、流動速度調整ゾーン25及び飢餓ゾーン23へ流動するため、飢餓ゾーン23への溶融樹脂の供給量が制限された。これにより、圧縮ゾーン22においては溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まり、下流側の飢餓ゾーン23においては、溶融樹脂が未充満(飢餓状態)となった。また、溶融樹脂は、飢餓ゾーン23に流動する手前(上流側)の流動速度調整ゾーン25において、減圧及び圧縮されることで流動速度が調整され、その後、飢餓ゾーン23へ流動した。
更に、溶融樹脂は再圧縮ゾーン24に送られて再圧縮され、可塑化シリンダ210の先端部において1ショット分の溶融樹脂が計量された。溶融樹脂の可塑化計量中、脱気促進機構300から白煙が上がっていた。これから、溶融樹脂から揮発成分が分離され、ベント202から脱気促進機構300を介して揮発成分が排出されたことを確認できた。本実施例では、ベントアップは抑制され、溶融樹脂によりベント202が完全に塞がれることはなかった。
その後、キャビティ253内に溶融樹脂を射出充填して平板形状の成形体を成形した。金型温度は150℃とした。成形後、成形体が冷却するのを待って、金型内から成形体を取り出した。冷却時間は10秒とした。
以上説明した成形体の射出成形を連続して1000ショット行い、1000個の成形体を得た。10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の目視観察を行った。2つの成形体の表面状態に差は無かった。どちらも成形体表面にも曇りはなく、表面性は良好であった。次に、10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)をレーザー顕微鏡(キーエンス製)を用いて測定した。その結果、どちらの成形体の表面粗さ(Ra)も3〜5μmと小さく、成形体表面は滑らかであった。
1000ショット連続成形後、脱気促進機構300を観察した。脱気促進機構300下部の第1ストレート部31付近に堆積した樹脂はわずかであり、ピンセットで完全に取り出すことができた。即ち、脱気促進機構300の内壁に固着した樹脂は確認されなかった。ベント202より取り出した樹脂は、内壁面に接する部分は固化していたが、内壁面から離れた部分は固化していなかった。これにより、第1ストレート部31に滞留樹脂は存在していたが、飢餓ゾーン23からの揮発成分の排出は可能であったことが確認できた。
本実施例に用いた脱気促進機構300に代えて、内壁にテフロン含有メッキ膜が形成されていない脱気促進機構を用い、ポリアミドのような金属と相性が良い樹脂材料の成形を行った場合には、ベントアップはしないものの、脱気促進機構の内壁に樹脂が固着して残存することが分かっている。この残存樹脂は、例えば、樹脂材料を替えて成形を行う際に、コンタミとなる虞がある。本実施例において、脱気促進機構300の内壁に固着した樹脂が確認されなかったことから、テフロン含有メッキ膜の有効性が確認された。
[実施例2]
本実施例では、図3に示すスクリュ20に代えて、図4(a)に示すスクリュ20aを用いた以外は、実施例1と同様の方法により成形体を製造した。スクリュ20aは減圧部20C及び圧縮部20Dをそれぞれ2個有する。これにより、本実施例では、流動速度調整ゾーン25において、溶融樹脂の減圧及び圧縮が2回づつ行われた。また、溶融樹脂の流動方向における流動速度調整ゾーン25の長さ(減圧部20C及び圧縮部20Dの長さの合計)は88mmであった。したがって、流動速度調整ゾーン25の長さは、可塑化シリンダ210の内径(22mm)の4倍であった。
成形体の射出成形を連続して1000ショット行い、1000個の成形体を得た。溶融樹脂の可塑化計量中、脱気促進機構300から白煙が上がっていた。これから、溶融樹脂から揮発成分が分離され、ベント202から脱気促進機構300を介して揮発成分が排出されたことを確認できた。本実施例においても、実施例1と同様、ベントアップは抑制され、溶融樹脂によりベント202が完全に塞がれることはなかった。
10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の目視観察を行った。2つの成形体の表面状態に差は無かった。どちらも成形体表面に曇りはなく、表面性は良好であった。次に、10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)を実施例1と同様の方法により測定した。その結果、どちらの成形体の表面粗さ(Ra)も1〜2μmと小さく、成形体表面は滑らかであった。本実施例の成形体の表面粗さ(Ra)は、実施例1の成形体の表面粗さ(Ra=3〜5μm)よりも、更に小さかった。本実施例では、流動速度調整ゾーン25での溶融樹脂の減圧及び圧縮を複数回行うことにより、実施例1と比較して、溶融樹脂からより多くの揮発成分を分離、除去できたと推測される。
[実施例3]
本実施例では、熱可塑性樹脂として、予備乾燥していない非強化ポリアミド6(PA6)(東洋紡製、グラマイドT−802)を用いた。用いた熱可塑性樹脂(樹脂ペレット)は、開封後に一週間放置し、吸水しているものである。また、実施例2と同様に、可塑化スクリュとして、図4(a)に示すスクリュ20aを用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法により成形体を製造した。但し、熱可塑性樹脂をPPS含有ポリマーアロイからPA6に変更したことに伴い、成形条件は以下とした。可塑化シリンダ210内の各ゾーンの温度:210〜230℃、金型温度:60℃。
成形体の射出成形を連続して1000ショット行い、1000個の成形体を得た。溶融樹脂の可塑化計量中、脱気促進機構300から白煙が上がっていた。これから、溶融樹脂から揮発成分が分離され、ベント202から脱気促進機構300を介して揮発成分が排出されたことを確認できた。本実施例においても、実施例1と同様、ベントアップは抑制され、溶融樹脂によりベント202が完全に塞がれることはなかった。
10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の目視観察を行った。2つの成形体の表面状態に差は無かった。どちらも成形体表面に曇りはなく、表面性は良好であった。本実施例では、予備乾燥を行わず、吸水している熱可塑性樹脂を用いたが、水分に起因するシルバーストリークは確認されなかった。次に、10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)を実施例1と同様の方法により測定した。その結果、どちらの成形体の表面粗さ(Ra)も0.3μm程度と小さく、成形体表面は滑らかであった。
[比較例1]
本比較例では、図3に示すスクリュ20に代えて、図6に示すスクリュ90aを用いた以外は、実施例1と同様の方法により成形体を製造した。即ち、本比較例では、流動速度調整ゾーン25を有さない可塑化シリンダを用いて成形体を製造した。
成形体の射出成形を連続して1000ショット行い、1000個の成形体を得た。本比較例では、ベントアップは確認されなかった。
10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の目視観察を行った。その結果、1000ショット目の成形体の表面のみに曇りが確認された。次に、10ショット目の成形体と1000ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)を実施例1と同様の方法により測定した。その結果、10ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)は5μm程度であったが、1000ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)は50μmであった。この結果から、本比較例においては、溶融樹脂からの揮発成分の除去が十分ではなく、このため、連続成形においてショット数が増加するほど、成形体表面に曇りが発生し、平滑性が低下したと推測される。また、本比較例では、ベント付近への溶融樹脂の付着により、ベントからの揮発成分の排出も不十分だったと推測される。本比較例では、実施例1と同様に予備乾燥を行った熱可塑性樹脂(樹脂ペレット)を用いたが、予備乾燥では十分に揮発成分を除去できないことがわかった。
[比較例2]
本比較例では、熱可塑性樹脂として、実施例3と同様の予備乾燥していない非強化ポリアミド6を用いた。また、比較例1と同様に図6に示すスクリュ90aを用い、更に、ベント202に脱気促進機構300を設けなった。それ以外は、実施例1と同様の方法により成形体を製造した。即ち、本比較例では、流動速度調整ゾーン25及び脱気促進機構300を有さない可塑化シリンダを用いた以外は、実施例3と同様の方法により成形体を製造した。
本比較例では、成形体の射出成形を連続して300ショット行ったところでベントアップが発生した。そのため、それ以上の連続成形を中止した。
10ショット目の成形体の目視観察を行った。この結果、成形体表面に水分に起因すると思われるシルバーストリークが確認され雲っていた。次に、10ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)を実施例1と同様の方法により測定した。その結果、成形体の表面粗さ(Ra)は80μm程度と大きく、成形体表面の平滑性は低かった。この結果から、本比較例では、溶融樹脂からの揮発成分の除去、特に水分の除去が十分ではなく、このため、シルバーストリークが出現し、成形体表面の平滑性も低下したと推測される。
[比較例3]
本比較例では、熱可塑性樹脂として、実施例3と同様の予備乾燥していない非強化ポリアミド6を用いた。また、比較例1と同様に図6に示すスクリュ90aを用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法により成形体を製造した。即ち、本比較例では、流動速度調整ゾーン25を有さない可塑化シリンダを用いた以外は、実施例3と同様の方法により成形体を製造した。また、本比較例で用いた製造装置は、脱気促進機構300を有すること以外は、比較例2で用いた製造装置と同様である。
本比較例では、成形体の射出成形を連続して700ショット行ったところでベントアップが発生した。そのため、それ以上の連続成形を中止した。
10ショット目の成形体の目視観察を行った。この結果、成形体表面に水分に起因すると思われるシルバーストリークが確認され雲っていた。次に、10ショット目の成形体の表面粗さ(Ra)を実施例1と同様の方法により測定した。その結果、成形体の表面粗さ(Ra)は50μm程度と大きく、成形体表面の平滑性は低かった。この結果から、本比較例では、溶融樹脂からの揮発成分の除去、特に水分の除去が十分ではなく、このため、シルバーストリークが出現し、成形体表面の平滑性も低下したと推測される。
本比較例では、比較例2と比較して、ベントアップせずに連続成形が可能なショット数が多く(比較例3:300ショット、本比較例:700ショット)、成形体の平滑性もやや高かった(比較例3のRa:80μm、本比較例のRa:50μm)。このことから、本比較例で用いた脱気促進機構300には、ベントアップ抑制効果及び揮発成分の排出促進効果があると推測される。
本発明の製造方法は、ベント式成形機を用いた成形体の製造方法において、成形中のベントアップを抑制できる。また、表面性に優れた成形体を製造できる。
20 スクリュ
21 可塑化ゾーン
22 圧縮ゾーン
23 飢餓ゾーン
24 再圧縮ゾーン
25 流動速度調整ゾーン
210 可塑化シリンダ
300 脱気促進機構
1000 製造装置

Claims (19)

  1. 成形体を製造する方法であって、
    上流から順に、熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂の流動速度を調整する流動速度調整ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとを有し、前記飢餓ゾーンに揮発成分を排出するベントが形成された可塑化シリンダを用い、
    前記可塑化ゾーンにおいて、前記熱可塑性樹脂を可塑化溶融して前記溶融樹脂とすることと、
    前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記溶融樹脂の流動速度を調整することと、
    前記飢餓ゾーンにおいて、前記溶融樹脂を飢餓状態とすることと、
    前記溶融樹脂から前記揮発成分を分離し、前記ベントから前記揮発成分を排出することと、
    前記揮発成分を分離した前記溶融樹脂を成形体に成形することとを含む成形体の製造方法。
  2. 前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記溶融樹脂の減圧及び圧縮をそれぞれ1回以上行うことを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記溶融樹脂の流動方向に沿って、前記溶融樹脂の流動速度を徐々に上昇させることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂がスーパーエンジニアリングプラスチックを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体の製造方法。
  5. 前記可塑化シリンダの前記ベントには更に、内部に前記揮発成分の排出路が形成された脱気促進機構が設けられ、
    前記脱気促進機構の排出路の内径の最大値が、前記ベントの内径より大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形体の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂を成形体に製造する製造装置であって
    可塑化シリンダと、
    前記可塑化シリンダの内部に回転自在に設けられた可塑化スクリュとを備え、
    前記可塑化シリンダ内に、前記熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂を圧縮する圧縮ゾーンと、前記溶融樹脂の流動速度を調整する流動速度調整ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとが上流からこの順に形成されており、前記飢餓ゾーンに前記溶融樹脂から分離した揮発成分を排出するベントが形成されていることを特徴とする成形体の製造装置。
  7. 前記可塑化スクリュは、前記流動速度調整ゾーンに位置する部分に減圧部及び圧縮部をそれぞれ1つ以上有し、
    前記減圧部のスクリュの軸の直径は、前記圧縮ゾーンに位置する部分のスクリュの軸の直径の最大値よりも小さく、前記圧縮部のスクリュの軸の直径は、前記減圧部のスクリュの軸の直径の最小値よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造装置。
  8. 前記減圧部のスクリュの軸の直径が一定であるか、又は上流から下流に向って連続的に小さくなることを特徴とする請求項7に記載の成形体の製造装置。
  9. 前記圧縮部のスクリュフライトの巻方向が、前記減圧部のスクリュフライトの巻方向と逆であることを特徴とする請求項7又は8に記載の成形体の製造装置。
  10. 前記可塑化スクリュにおいて、前記流動速度調整ゾーンに位置する部分のスクリュフライトのピッチが、前記飢餓ゾーンに位置する部分のスクリュフライトのピッチと比較して小さいことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の成形体の製造装置。
  11. 前記流動速度調整ゾーンにおいて、前記可塑化スクリュの軸の直径が上流から下流に向って連続的に小さくなることを特徴とする請求項6に記載の成形体の製造装置。
  12. 前記可塑化スクリュは、前記流動速度調整ゾーンに位置する部分に切欠きが形成されたスクリュフライトを有することを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載の成形体の製造装置。
  13. 前記ベントには更に、内部に前記揮発成分の排出路が形成された脱気促進機構が設けられ、
    前記脱気促進機構の前記排出路の内径の最大値が、前記ベントの内径より大きいことを特徴とする請求項6〜12のいずれか一項に成形体の製造装置。
  14. 前記脱気促進機構は、前記ベントから離れるに従って前記排出路の内径が大きくなるテーパー部を有することを特徴とする請求項13に記載の成形体の製造装置。
  15. 前記脱気促進機構は、前記排出路の内径が変化しない筒状のストレート部を更に有し、
    前記ストレート部が前記ベントに接続し、前記ストレート部に隣接して、前記テーパー部が配置されることを特徴とする請求項14に記載の成形体の製造装置。
  16. 筒状の前記ストレート部の延在方向における長さは、前記可塑化シリンダの側壁の厚みの2倍以下であることを特徴とする請求項15に記載の成形体の製造装置。
  17. 前記ベントの内径に対する前記排出路の内径の最大値の比率が20以下であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載の成形体の製造装置。
  18. 前記排出路を区画する前記脱気促進機構の内壁に、テフロン含有メッキ膜が形成されていることを特徴とする請求項13〜17のいずれか一項に記載の成形体の製造装置。
  19. 前記ベントの内径が、前記可塑化シリンダの内径の20%〜100%であることを特徴とする請求項6〜18のいずれか一項に記載の成形体の製造装置。
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