JPWO2019003894A1 - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

液晶組成物に添加された配向制御層形成モノマーを重合させる際に、液晶分子を均一に水平配向させるのに効果的な配向制御層を形成させる方法を提供する。第1の基板と;前記第1の基板に形成された複数の画素電極と;第2の基板と;前記第2の基板に形成された、前記画素電極に対向する対向電極と;前記画素電極と前記対向電極の間に挟持された液晶層と;を有する液晶表示素子において、前記液晶層に含まれる配向制御層形成モノマーを、第一段階では加熱偏光しながら特定の波長および照度で紫外線を照射し、第二段階では非加熱で特定の波長および照度の非偏光紫外線を照射する。

Description

本発明は、水平配向型液晶表示素子の製造方法に関する。特に、光照射により光フリース転位を生じる芳香族エステルを有する配向制御層形成モノマーを含有し、この化合物の作用によって液晶分子の水平配向がポリイミドのような配向膜を用いないで達成可能である、誘電率異方性が正または負である液晶組成物を利用した液晶表示素子の製造方法に関する。
液晶表示素子において、液晶分子の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(fringe field switching)、FPA(field-induced photo-reactive alignment)などのモードである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMは、スタティック(static)、マルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMは、TFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
液晶表示素子はネマチック相を有する液晶組成物を含有する。この組成物は適切な特性を有する。この組成物の特性を向上させることによって、良好な特性を有するAM素子を得ることができる。2つの特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は約70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は約−10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。

Figure 2019003894
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。素子のモードに応じて、大きな光学異方性または小さな光学異方性、すなわち適切な光学異方性が必要である。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn×d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。適切な積の値は動作モードの種類に依存する。この値は、TNのようなモードの素子では約0.45μmである。この値は、VAモードの素子では約0.30μmから約0.40μmの範囲であり、IPSモードまたはFFSモードの素子では約0.20μmから約0.30μmの範囲である。これらの場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は、素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、正または負に大きな誘電率異方性が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比とに寄与する。したがって、初期段階において大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線および熱に対する組成物の安定性は、素子の寿命に関連する。この安定性が高いとき、素子の寿命は長い。このような特性は、液晶モニター、液晶テレビなどに用いるAM素子に好ましい。
TNモードを有するAM素子においては正の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。VAモードを有するAM素子においては負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。高分子支持配向(PSA;polymer sustained alignment)型のAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。高分子支持配向(PSA;polymer sustained alignment)型の液晶表示素子では、重合体を含有する液晶組成物が用いられる。まず、少量の重合性化合物を添加した組成物を素子に注入する。次に、この素子の基板のあいだに電圧を印加しながら、組成物に紫外線を照射する。重合性化合物は重合して、組成物中に重合体の網目構造を生成する。この組成物では、重合体によって液晶分子の配向を制御することが可能になるので、素子の応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善される。重合体のこのような効果は、TN、ECB、OCB、IPS、VA、FFS、FPAのようなモードを有する素子に期待できる。
IPSモード、FFSモード、ECBモードにおいては液晶分子を電圧無印加時に基板の主面に対して略水平な方向に配向させる必要がある。このような液晶分子の配向制御を実現させるために、ポリイミドのような配向膜が用いられてきた。近年、液晶パネルの狭額縁化が進み、配向膜とシール剤の接着幅が狭くなることで接着強度が弱まり、配向膜とシール剤の界面から剥離が進行することがあった。このような問題を防止するために、従来のポリイミドのような配向膜を用いない方法が提案されている。(特許文献1〜4) 一方、VAモードにおいても配向膜を事前に形成しないPSA型の液晶表示素子が提案されている。この技術は、従来のポリイミドのような配向膜を用いていないため均一な垂直配向を得ることが容易ではない。このような問題を解決するために、液晶組成物中に含まれる重合性化合物への紫外線露光を複数回、強度や波長を変えて行う方法が提案されている。(特許文献5〜6)
国際公開第2015/146369号 国際公開第2017/057162号 特開2015−64465号公報 特開2015−125151号公報 特開2005−181582号公報 米国特許公開2010/053527号公報
本発明の課題は、ポリイミドのような配向膜を事前に形成していない水平配向型液晶表示素子の製造において、水平配向制御剤を含む液晶組成物への紫外線露光工程に、更に紫外線照射工程を追加することで、液晶分子の水平配向の均一性を上げる方法を提供することである。
ポリイミドのような配向膜の代わりに、シンナメート基を有する低分子化合物やポリビニルシンナメート、カルコン構造を有する低分子化合物や重合性化合物、アゾベンゼン構造を有する低分子化合物やデンドリマーを用いて液晶の配向を制御する方法が報告されている(特許文献1および2)。特許文献1および2の方法では、まず、この低分子化合物、重合性化合物やポリマーを添加物として液晶組成物に溶解させる。次に、この添加物を相分離させることによってこの添加物からなる薄膜を基板上に生成させる。最後に、液晶組成物の上限温度より高い温度で基板に直線偏光を照射する。この直線偏光によって低分子化合物やポリマーが、二量化または異性化するとき、その分子が一定方向に配列される。この方法では、添加物の種類を選択することにより、IPSやFFSのような水平配向モードの素子とVAのような垂直配向モードの素子とを製造することができる。この方法においては、添加物が液晶組成物の上限温度より高い温度で容易に溶解し、室温に戻したとき、この化合物が液晶組成物から容易に相分離することが重要である。ただし、添加物と液晶組成物との相溶性を確保するのが困難であった。
特許文献3および4の方法では、アゾベンゼンを部分構造として有するデンドリマーを添加物として液晶組成物に溶解させる。次に、この化合物を相分離させることによってこの化合物の薄膜を基板上に生成させる。このとき液晶組成物は基板に対して垂直に配向する。次に、基板を加熱しないで直線偏光を照射する。この直線偏光によってデンドリマーが二量化または異性化するとき、その分子が基板に対して水平な方向に配列される。IPSやFFSのような水平配向モードの素子を製造することができる。この方法においてもデンドリマーが溶解と相分離とが容易に進行するように、デンドリマーと液晶組成物とを適切に組み合せなければならない。アゾベンゼンを部分構造として有するデンドリマーを用いる場合、アゾベンゼン由来の着色があるという問題があった。
特許文献5では非液晶性の重合性化合物を有する液晶組成物を含む液晶表示素子に、重合速度が互いに異なる紫外線露光を3回行う方法が開示されている。ここで適用される液晶配向は垂直配向で、垂直配向型液晶表示素子に関するものであり、本願の水平配向型液晶表示素子への適用に関する示唆や記載がない。特許文献6では紫外線吸収ピーク波長が互いに異なる複数の重合性化合物を有する液晶組成物を含む液晶表示素子に、波長域が互いに異なる紫外線露光を2回行う方法が開示されている。ここで適用される液晶配向は垂直配向で、垂直配向型液晶表示素子に関するものであり、本願の水平配向型液晶表示素子への適用に関する示唆や記載がない。
本発明は、紫外線照射により光フリース転位を生じる芳香族エステルを有する配向制御層形成モノマーを含有し、そして正または負の誘電率異方性を有する液晶組成物を利用し、特定の条件で紫外線露光により重合させることで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記の態様などを含む。
[1]対向して配置され、シール剤を介して貼りあわせた一対の基板間に液晶層が挟持され、前記一対の基板と前記液晶層との間に、液晶分子を配向制御する配向制御層を有し、
前記液晶層は液晶組成物からなる、水平配向型液晶表示素子の製造方法であって;
前記液晶組成物は、液晶性化合物を含有し、正または負の誘電率異方性を有し、ネマチック相から等方相への転移温度TNIを有し、第一添加物として、光照射により光フリース転位、光異性化、光二量化、光分解のいずれかを生じる配向制御層形成モノマーを少なくとも1つを含有し;
液晶層をTNI以上の温度範囲に保持し、液晶層に、
280nmから340nmにピークを有する第一紫外線を、照度が2mW/cmから200mW/cmの範囲で、1J/cmから15J/cmの露光量となる範囲で偏光照射し;
次に、液晶層を室温(25℃)からTNIの温度範囲に保持し、330nmから400nmにピークを有する第二紫外線を照度が1mW/cmから200mW/cmの範囲で、1J/cmから15J/cmの露光量となる範囲で照射し;
前記配向制御層形成モノマーを重合させることによって前記配向制御層を形成させる、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
[2] [1]に記載の第一添加物が、光照射により光フリース転位を生じる芳香族エステルを有する式(A)で表される配向制御層形成モノマーであり、

Figure 2019003894

Figure 2019003894

Figure 2019003894

式(A)において、
10およびP20は独立して、重合性基を表し;
Sp10およびSp20は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または式(Q−1)で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
式(Q−1)において、M10、M20、およびM30は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;Sp11は、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
10、Z20およびZ30は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−CHCH−または−CFCF−であり;
10およびA30は独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、またはP10−Sp10−Z10−で置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく;
20は、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、
式(A20−1)に示す1,4−フェニレンにおいて、Y10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイルにおいて、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18およびY19はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y14とY19の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y20とY27の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルにおいて、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は水素であり;
10は独立して0から3の整数であり;
紫外線照射において、液晶層をTNI以上からTNI+5℃以下の温度範囲に保持して、280nmから340nmにピークを有する第一紫外線を、照度が2mW/cmから100mW/cmの範囲で、1J/cmから13J/cmの露光量となる範囲で偏光照射し;
次に、液晶層を室温(25℃)からTNI未満の温度範囲に保持し、330nmから400nmにピークを有する第二紫外線を照度が1mW/cmから100mW/cmの範囲で、1J/cmから14J/cmの露光量となる範囲で照射する、[1]に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
[3][1]に記載の紫外線照射において、液晶層をTNI以上からTNI+5℃以下の温度範囲に保持して、280nmから340nmにピークを有する第一紫外線を、照度が2mW/cmから100mW/cmの範囲で、1J/cmから11J/cmの露光量となる範囲で偏光照射し;
次に、液晶層を室温(25℃)から45℃以下の温度範囲に保持し、330nmから400nmにピークを有する第二紫外線を照度が1mW/cmから50mW/cmの範囲で、1J/cmから14J/cmの露光量となる範囲で照射する、[1]に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
[4][2]に記載の式(A)において、
10およびP20は独立して、アクリロイルオキシ、メタアクリロイルオキシ、α−フルオロアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、ビニル、ビニルオキシ、エポキシを表し;
Sp10およびSp20は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
10、Z20、およびZ30は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−CHCH−、または−CFCF−であり;
10およびA30は独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、シアノ、ヒドロキシ、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、またはP10−Sp10−Z10−で置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく;
20は、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイル、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、
式(A20−1)に示す1,4−フェニレンにおいて、Y10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y10とY13の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイルにおいて、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18およびY19はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y14とY19の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y20とY27の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルにおいて、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は水素であり;
10は独立して0から3の整数である、[2]に記載の水平配向型液晶表示素子の製造方法。
[5]前記配向制御層形成モノマーが式(A−1)から式(A−3)のいずれかで表される[1]から[4]のいずれかに記載の水平配向型液晶表示素子の製造方法。

Figure 2019003894

式(A−1)から式(A−3)において、
10は独立して、水素、フッ素、メチル、またはトリフルオロメチルであり;
31は独立して、水素またはメチルであり;
Sp10およびSp20は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
10、Z20、およびZ30は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−CHCH−、または−CFCF−であり;
20は独立して、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、
式(A20−1)に示す1,4−フェニレンにおいて、Y10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ヒドロキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y10とY13の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y20とY27の少なくとも一方は水素であり、
式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルにおいて、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は水素であり;
30は独立して、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、ヒドロキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく;
10は独立して水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシまたはP10−Sp10−Z10−であり;
11は独立して0から4の整数である。
[6]前記配向制御層形成モノマーの割合が、液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.1重量部から10.0重量部の範囲である、[1]から[5]のいずれか1項に記載の水平配向型液晶表示素子の製造方法。
[7]前記液晶組成物が、式(2)から式(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、[1]から[6]のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

Figure 2019003894


式(2)から式(4)において、
11およびR12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環B、環B、環B、および環Bは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
11、Z12、およびZ13は独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
[8]前記液晶組成物が、式(5)から式(7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[1]から[7]のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。


Figure 2019003894


式(5)から式(7)において、
13は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
11は、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;
環C、環C、および環Cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
14、Z15、およびZ16は独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−CH=CF−CFO−、−CF=CF−CFO−または−(CH−であり;
11およびL12は独立して、水素またはフッ素である。
[9]前記液晶組成物が、式(8)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[1]から[8]のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

Figure 2019003894

式(8)において、
14は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環Dは、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
17は、単結合、−(CH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または−CHO−であり;
13およびL14は独立して、水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
[10]前記液晶組成物が、式(9)から式(15)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[1]から[9]のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。


Figure 2019003894

式(9)から式(15)において、
15およびR16は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環E、環E、環E、および環Eは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
環Eおよび環Eは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
18、Z19、Z20、およびZ21は独立して、単結合、−(CH−、−COO−、−CHO−、−OCF−、または−OCFCHCH−であり;
15およびL16は独立して、フッ素または塩素であり;
11は、水素またはメチルであり;
Xは独立して、−CHF−または−CF−であり;
j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、r、およびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
[11]前記液晶組成物が、第二添加物として式(16α)で表される重合性化合物をさらに含有し、これらの化合物を重合させることによって生成した共重合体からなる配向制御層を形成させる、[1]から[10]のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

Figure 2019003894
式(16α)において、
環Fおよび環Iは独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
環Gは、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
22およびZ23は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−、−C(CH)=CH−、−CH=C(CH)−、または−C(CH)=C(CH)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
11、P12、およびP13は独立して、重合性基であり;
Sp11、Sp12、およびSp13は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
uは、0、1、または2であり;
f、g、およびhは独立して、0、1、2、3、または4であり、そしてf、g、およびhの和は2以上である。
[12][11]に記載の式(16α)において、P11、P12、およびP13が独立して式(P−1)から式(P−5)で表される重合性基の群から選択される基である、[11]に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

Figure 2019003894

式(P−1)から式(P−5)において、
11、M12、およびM13は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
[13]液晶組成物中の第二添加物の割合が、液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.03重量部から10重量部の範囲である、[11]から[12]のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
[14][1]から[13]のいずれか1項に記載の製造方法により得られる水平配向型液晶表示素子と;バックライトと;を備える、表示装置。
本例示は、次の項も含む。(a)重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤のような添加物の少なくとも2つをさらに含有する上記の液晶組成物。(b)上記の液晶組成物に化合物(A)または化合物(16α)とは異なる重合性化合物を添加することによって調製した重合性組成物。(c)上記の液晶組成物に化合物(A)と化合物(16α)とを添加することによって調製した重合性組成物。(d)重合性組成物を重合させることによって調製した液晶複合体。(e)この液晶複合体を含有する高分子支持配向型の素子。(f)上記の液晶組成物に化合物(A)と化合物(16α)と、化合物(A)または化合物(16α)とは異なる重合性化合物とを添加することによって調製した重合性組成物を使用することによって作製した高分子支持配向型の素子。
本発明によれば、配向制御層形成モノマーを含む液晶組成物を含む液晶表示素子へ、互いに異なる条件の紫外線露光を行うことで、透過率特性やコントラスト比に優れる水平配向型の液晶表示素子を実現することができる。
さらに、水平配向型の液晶表示素子の製造において配向膜の形成工程が不要となり、液晶表示素子の製造コストを削減できる。
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。「液晶組成物」および「液晶表示素子」の用語をそれぞれ「組成物」および「素子」と略すことがある。「液晶表示素子」は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが、ネマチック相の温度範囲、粘度、誘電率異方性のような特性を調節する目的で組成物に混合される化合物の総称である。この化合物は、例えば1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。「重合性化合物」は、組成物中に重合体を生成させる目的で添加する化合物である。
液晶組成物は、複数の液晶性化合物を混合することによって調製される。この液晶組成物に、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物のような添加物が必要に応じて添加される。液晶性化合物の割合は、添加物を添加した場合であっても、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。添加物の割合は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量部)で表される。すなわち、液晶性化合物や添加物の割合は、液晶性化合物の全重量に基づいて算出される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。重合開始剤の割合は、例外的に重合性化合物の重量に基づいて表される。
式(A)で表される化合物を「化合物(A)」と略すことがある。化合物(A)は、式(A)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。このルールは、式(2)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物などにも適用される。六角形で囲んだB、C、D、Eなどの記号はそれぞれ環B、環C、環Fなどに対応する。六角形は、シクロヘキサン環やベンゼン環のような六員環またはナフタレン環のような縮合環を表す。式(A−1)、式(A−2)、式(A−3)、式(16α)において、六角形の一辺を横切る直線は、環上の任意の水素が、−(L10)n11−や−Sp−Pなどの基で置き換えられてもよいことを表す。‘f’などの添え字は、置き換えられた基の数を示す。添え字が0のとき、そのような置き換えはない。添え字‘f’が2以上のとき、環F上には複数の−Sp−Pが存在する。−Sp−Pが表す複数の基は、同一であってもよく、または異なってもよい。これらのルールは、他の式においても適用される。「環Fおよび環Gは独立して、X、Y、またはZである」の表現では、主語が複数であるから、「独立して」を用いる。主語が「環F」であるときは、主語が単数であるから「独立して」を用いない。
末端基R11の記号を複数の成分化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのR11が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がエチルであるケースがある。化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基、環、結合基などの記号にも適用される。式(8)において、iが2のとき、2つの環Dが存在する。この化合物において、2つの環Dが表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、iが2より大きいときの任意の2つの環Dにも適用される。このルールは、他の環、結合基などの記号にも適用される。
「少なくとも1つの‘A’」の表現は、‘A’の数は任意であることを意味する。「少なくとも1つの‘A’は、‘B’で置き換えられてもよい」の表現は、‘A’の数が1つのとき、‘A’の位置は任意であり、‘A’の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できる。このルールは、「少なくとも1つの‘A’が、‘B’で置き換えられた」の表現にも適用される。「少なくとも1つのAが、B、C、またはDで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも1つのAがBで置き換えられた場合、少なくとも1つのAがCで置き換えられた場合、および少なくとも1つのAがDで置き換えられた場合、さらに複数のAがB、C、Dの少なくとも2つで置き換えられた場合を含むことを意味する。例えば、少なくとも1つの−CH−(または、−(CH−)が−O−(または、−CH=CH−)で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルが含まれる。なお、連続する2つの−CH−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。アルキルなどにおいて、メチル部分(−CH−H)の−CH−が−O−で置き換えられて−O−Hになることも好ましくない。
液晶性化合物において、アルキルは、直鎖状または分岐状であり、環状アルキルを含まない。直鎖状アルキルは、一般的に分岐状アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルなどの末端基についても同様である。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、ネマチック相の上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような、環から水素を2つ除くことによって生成した非対称な二価基にも適用される。

Figure 2019003894
本発明の水平配向型液晶表示素子の製造方法では、液晶組成物中に、光照射により光フリース転位、光異性化、光二量化、光分解のいずれかを生じる配向制御層形成モノマーを添加した液晶組成物を素子に封入する。
配向制御層形成モノマーは、偏光照射により構造が方向性をもって変化するため、液晶分子の配向制御に寄与する。また、重合性基を有するため、配向制御層形成モノマーからなる重合体は配向制御膜としての役割を有する。
光フリース転位を生じる芳香族エステルを有する化合物について説明する。光フリース転位を生じる芳香族エステルを有する化合物は、紫外光を吸収し、芳香族エステル部位がラジカル開裂しヒドロキシケトンへの転位を生じる化合物を意味し、本発明では、式(A)および式(A−1)から式(A−3)で表される化合物である。好ましくは、式(A−1)、式(A−2)および式(A−3)で表される化合物であり、より好ましくは式(A−1)で表される化合物である。
芳香族エステルを有し、重合性基を有する化合物は、紫外光が照射されることにより芳香族エステル部位が光分解することでラジカルが形成されて、光フリース転位を生じる。
光フリース転位において、芳香族エステル部位の光分解は偏光紫外光の偏光方向と芳香族エステル部位の長軸方向が同一方向であった場合に生じる。光分解後は再結合し、互変異性化により水酸基が分子内に生じる。この水酸基により、基板界面の相互作用が生じ、配向制御層形成モノマーが基板界面側に異方性を持って吸着しやすくなると考えられる。また、重合性基を有しているため重合により固定化される。この性質を利用して液晶分子を配向させることが可能な薄膜を調製することができる。この薄膜を調製するために、照射する紫外線は直線偏光が適している。まず、液晶組成物に配向制御層形成モノマーを液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに0.1重量部から10重量部の範囲で添加し、配向制御層形成モノマーを溶解させるために組成物を加温する。この組成物を、配向膜を有しない素子に注入する。次に、素子を加温しながら直線偏光を照射することによって、配向制御層形成モノマーを光フリース転位させ、重合させる。
光フリース転位した配向制御層形成モノマーは一定方向に配列され、重合後に形成される薄膜は液晶配向膜としての機能を有する。
配向制御層形成モノマーは、本明細書においては化合物(A)と称される。さらに、構造の詳細に言及する場合など必要に応じて、化合物(A−1)、化合物(A−2)、化合物(A−3)と分けて称される。以下に、1.化合物(A)、2.化合物(A)の合成、化合物(A)を含む組成物として3.液晶組成物、当該組成物を含有する素子として4.液晶表示素子を順に説明する。
1.化合物(A)
1−1.化合物(A)、それを用いた液晶組成物の例示
式(A)で表される化合物。

Figure 2019003894


Figure 2019003894

Figure 2019003894
式(A)、式(A−1)から式(A−3)において、
10およびP20は独立して、重合性基であり、好ましくは、アクリロイルオキシ、メタアクリロイルオキシ、α−フルオロアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、ビニル、ビニルオキシ、エポキシである。
Sp10およびSp20は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または式(Q−1)で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
式(Q−1)において、M10、M20、およびM30は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり、Sp11は、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
10、Z20、およびZ30は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−CHCH−または−CFCF−であり、好ましくは、
単結合、−COO−、−OCO−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、または−CHCH−である。
10およびA30は独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、またはP10−Sp10−Z10−で置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく、好ましくは、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、シアノ、ヒドロキシ、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよい。
20は独立して、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、好ましくは、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイル、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、より好ましくは式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルである。
式(A20−1)に示す1,4−フェニレンにおいて、Y10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は水素である。好ましいY10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は水素である。より好ましいY10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ヒドロキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は水素である。
式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイルにおいて、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18およびY19はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y14とY19の少なくとも一方は水素である。
式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y20とY27の少なくとも一方は水素である。
式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルにおいて、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は水素である。
10は独立して0から3の整数である。
式(A−1)から式(A−3)において、
10は水素、フッ素、またはメチルであり、好ましくは、水素またはメチルである。
31は水素またはメチルであり、好ましくは、水素である。
10は独立して水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであり、好ましくは水素、フッ素、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシである。
11は独立して0から4の整数であり、好ましくは0から2の整数であり、より好ましくは0または1である。
1−2.化合物(A)の態様
化合物(A)は、光フリース転位を生じる芳香族エステル部位と、重合性基とを有することを特徴とする。化合物(A)は、紫外線照射により光フリース転位を生じると、極性基が基板表面と非共有結合的に相互作用するので有用である。用途の一つは、液晶表示素子に使われる液晶組成物用の添加物である。化合物(A)は液晶分子の配向を制御する目的で添加される。このような添加物は、液晶組成物への高い溶解度を有し、素子に密閉された条件下では化学的に安定であり、そして液晶表示素子に用いた場合の電圧保持率が大きいことが好ましい。化合物(A)は、このような特性をかなりの程度で充足する。
化合物(A)の好ましい例について説明をする。好ましい配向制御層形成モノマーは、下記のように、化合物(A−1−1)から化合物(A−1−10)、化合物(A−2−1)、化合物(A−2−2)および化合物(A−3−1)である。下記化合物におけるnおよびmは独立して、2から6であり、R10は独立して水素、メチル、フッ素またはトリフルオロメチルである。Y10は水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシである。Y20は水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシである。

Figure 2019003894
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式(2)から(15)において、液晶組成物の成分化合物が示されている。化合物(2)から(4)は小さな誘電率異方性を有する。化合物(5)から(7)は、正に大きな誘電率異方性を有する。化合物(8)はシアノ基を有するので正により大きな誘電率異方性を有する。化合物(9)から(15)は、負に大きな誘電率異方性を有する。これらの化合物の具体的な例は、あとで述べる。
2.化合物(A)の合成
化合物(A)の合成法について説明する。化合物(A)は、国際公開第1995/22586号、特開2005−206579号公報、国際公開第2006/049111号、Macromolecules, 26, 1244-1247 (1993)、特開2003−238491号公報、国際公開第2010/133278号、特開2000−178233号公報、特開2012−1623号公報、特開2011−227187号公報に記載された方法に準拠して合成する。
α−フルオロアクリレート基を有する配向制御モノマーは特開2005−112850号公報に記載の方法に準拠して合成する。α−トリフルオロメチルアクリレート基を有する配向制御モノマーは特開2004−175728号公報に記載の方法に準拠して合成する。トラン構造を有する化合物(A)は、国際公開第2001/053248号に準拠して合成する。合成法を記載しなかった化合物は、公知の有機合成化学の方法を適切に組み合わせることにより合成できる。「オーガニック・シンセシス」(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、「オーガニック・リアクションズ」(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、「コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス」(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、「新実験化学講座」(丸善)などの成書を参照してもよい。
3.液晶組成物
液晶組成物は、配向制御層形成モノマーとして化合物(A)を含有する。化合物(A)は、少なくとも光照射により光フリース転位を生じる芳香族エステルを有する。化合物(A)の例は、化合物(A−1)、化合物(A−2)、または化合物(A−3)である。化合物(A)は、偏光照射により生じる光フリース転位による方向性を有する異性化と、素子の基板との非共有結合的な相互作用とによって、液晶分子の配向を制御する。この組成物は、化合物(A)を成分Aとして含み、下に示す成分B、C、D、およびEから選択された液晶性化合物をさらに含む。
化合物(A)の好ましい割合は、紫外線に対して高い反応性を得るために液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、約0.1重量部以上であり、液晶組成物へ溶解させるために約7重量部以下である。さらに好ましい割合は約0.3重量部から約7重量部の範囲である。最も好ましい割合は、約0.3重量部から約5重量部の範囲である。化合物(16α)をさらに添加する場合、好ましい割合は、約0.3重量部から約7重量部の範囲である。
3−1.成分Bから成分E
液晶性化合物である成分Bは、化合物(2)から(4)である。成分Cは化合物(5)から(7)である。成分Dは、化合物(8)である。成分Eは、化合物(9)から(15)である。この組成物は、化合物(2)から(15)とは異なる、その他の液晶性化合物を含んでもよい。この組成物を調製するときには、正または負の誘電率異方性の大きさなどを考慮して成分B、C、D、およびEを選択することが好ましい。成分を適切に選択した組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性(すなわち、大きな光学異方性または小さな光学異方性)、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、熱または紫外線に対する安定性、および適切な弾性定数(すなわち、大きな弾性定数または小さな弾性定数)を有する。
成分Bは、2つの末端基がアルキルなどである化合物である。成分Bの好ましい例として、化合物(2−1)から(2−11)、化合物(3−1)から(3−19)、および化合物(4−1)から(4−7)を挙げることができる。成分Bの化合物において、R11およびR12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。

Figure 2019003894
成分Bは、誘電率異方性の絶対値が小さいので、中性に近い化合物である。化合物(2)は、主として粘度の減少または光学異方性の調整に効果がある。化合物(3)および(4)は、上限温度を高くすることによってネマチック相の温度範囲を広げる効果、または光学異方性の調整に効果がある。
成分Bの含有量を増加させるにつれて組成物の誘電率異方性が小さくなるが粘度は小さくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は多いほうが好ましい。IPS、VAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Bの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
液晶性化合物である成分Cは、右末端にフッ素、塩素、またはフッ素含有基を有する化合物である。成分Cの好ましい例として、化合物(5−1)から(5−16)、化合物(6−1)から(6−113)、化合物(7−1)から(7−61)を挙げることができる。成分Cの化合物において、R13は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;X11は、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFである。

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成分Cは、誘電率異方性が正であり、熱、光などに対する安定性が非常に優れているので、IPS、FFS、OCBなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Cの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%から97重量%の範囲、さらに好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。成分Cを誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分Cの含有量は液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Cを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
液晶性化合物である成分Dは、右末端基が−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである化合物(8)である。成分Dの好ましい例として、化合物(8−1)から(8−64)を挙げることができる。成分Dの化合物において、R14は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;−X12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである。

Figure 2019003894

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成分Dは、誘電率異方性が正であり、その値が大きいので、TNなどのモード用の組成物を調製する場合に主として用いられる。この成分Dを添加することにより、組成物の誘電率異方性を大きくすることができる。成分Dは、液晶相の温度範囲を広げる、粘度を調整する、または光学異方性を調整する、という効果がある。成分Dは、素子の電圧−透過率曲線の調整にも有用である。
TNなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Dの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%から97重量%の範囲、さらに好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。成分Dを誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分Dの含有量は液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Dを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
液晶性化合物である成分Eは、化合物(9)から(15)である。これらの化合物は、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンのように、ラテラル位が2つのフッ素または塩素で置換されたフェニレンを有する。成分Eの好ましい例として、化合物(9−1)から(9−8)、化合物(10−1)から(10−17)、化合物(11−1)、化合物(12−1)から(12−3)、化合物(13−1)から(13−11)、化合物(14−1)から(14−3)、および化合物(15−1)から(15−3)を挙げることができる。成分Eの化合物おいて、R15およびR16は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;R17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。

Figure 2019003894

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成分Eは、誘電率異方性が負に大きい。成分Eは、IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Eの含有量を増加させるにつれて組成物の誘電率異方性が負に大きくなるが、粘度が大きくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は少ないほうが好ましい。誘電率異方性が−5程度であることを考慮すると、充分な電圧駆動をさせるには、含有量が40重量%以上であることが好ましい。
成分Eのうち、化合物(9)は二環化合物であるので、主として、粘度の減少、光学異方性の調整、または誘電率異方性の増加に効果がある。化合物(10)および(11)は三環化合物であるので、上限温度を高くする、光学異方性を大きくする、または誘電率異方性を大きくするという効果がある。化合物(12)から(15)は、誘電率異方性を大きくするという効果がある。
IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Eの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%から95重量%の範囲である。成分Eを誘電率異方性が正である組成物に添加する場合は、成分Eの含有量が液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Eを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
以上に述べた成分B、C、D、およびEを適切に組み合わせることによって、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を調製することができる。必要に応じて、成分B、C、D、およびEとは異なる液晶性化合物を添加してもよい。
3−2.第二添加物
この組成物には、反応性(重合性)を上げる目的で、反応性モノマーとしての役割を有する前記の第二添加物である重合性化合物(16α)を添加してもよい。
式(16α)において、P11、P12、およびP13は独立して、重合性基である。好ましいP11、P12、またはP13は、式(P−1)から式(P−5)で表される基の群から選択される重合性基である。さらに好ましいP11、P12、またはP13は、基(P−1)、基(P−2)、または基(P−3)である。特に好ましい基(P−1)は、−OCO−CH=CHまたは−OCO−C(CH)=CHである。基(P−1)から基(P−5)の波線は、結合する部位を示す。

Figure 2019003894
基(P−1)から基(P−5)において、M11、M12、およびM13は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。好ましいM11、M12、またはM13は、反応性を上げるために水素またはメチルである。さらに好ましいM11はメチルであり、さらに好ましいM12、またはM13は水素である。
式(16α)において、Sp11、Sp12、およびSp13は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。好ましいSp11、Sp12、またはSp13は、単結合である。
式(16α)において、環Fおよび環Iは独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい。好ましい環Fまたは環Iは、フェニルである。環Gは、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい。特に好ましい環Gは、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンである。
式(16α)において、Z22およびZ23は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−、−C(CH)=CH−、−CH=C(CH)−、または−C(CH)=C(CH)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。好ましいZまたはZは、単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、または−OCO−である。さらに好ましいZ22またはZ23は、単結合である。
式(16α)において、uは、0、1、または2である。好ましいuは、0または1である。f、g、およびhは独立して、0、1、2、3、または4であり、そして、f、g、およびhの和は、1以上である。好ましいf、g、またはhは、1または2である。
好ましい第二添加物は、式(16α−1)から式(16α−27)で表される化合物である。

Figure 2019003894

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式(16α−1)から式(16α−27)において、
11、P12、およびP13は独立して、式(P−1)から式(P−3)で表される重合性基の群から選択される基であり、ここでM11、M12、およびM13は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり:

Figure 2019003894
Sp11、Sp12、およびSp13は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
本件液晶組成物に用いられる第一添加物や第二添加物のような重合性化合物は、液晶組成物中に重合体を生成させる目的で添加される。化合物(A)は、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いてもよい。化合物(A)と化合物(16α)とから共重合体を生成させてもよい。化合物(A)は、極性基が基板表面と非共有結合的に相互作用した状態で固定化される。これにより、液晶分子の配向する能力がさらに向上すると同時に、化合物(A)が液晶組成物中に拡散するのを防ぐ。化合物(A)は重合によって重合体を与える。この重合体は配列されているので、基板表面においては、液晶分子に適切なプレチルト角を付与できる。この重合体は, 液晶分子の配向を安定化するので、素子の応答時間を短縮し、そして画像の焼き付きを改善する。化合物(16α)の好ましい例は、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル化合物、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、およびビニルケトン化合物である。さらに好ましい例は、少なくとも1つのアクリロイルオキシを有する化合物および少なくとも1つのメタクリロイルオキシを有する化合物である。さらに好ましい例には、アクリロイルオキシとメタクリロイルオキシの両方を有する化合物も含まれる。
3−3.添加物
液晶組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。用途に応じて、この組成物に添加物を添加してよい。添加物の例は、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤などである。このような添加物は当業者によく知られており、文献に記載されている。
重合開始剤を添加することによって、重合性化合物を速やかに重合させることができる。反応温度を最適化することによって、残存する重合性化合物の量を減少させることができる。光ラジカル重合開始剤の例は、IGM Resins社のOmniradシリーズからTPO、1173、4265、184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959である。
光ラジカル重合開始剤の追加例は、4−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物である。
液晶組成物に光ラジカル重合開始剤を添加したあと、紫外線を照射することによって重合を行うことができる。しかし、未反応の重合開始剤または重合開始剤の分解生成物は、素子に画像の焼き付きなどの表示不良を引き起こすかもしれない。これを防ぐために重合開始剤を添加しないまま光重合を行ってもよい。照射する光の好ましい波長は、後述する。
重合性化合物を保管するとき、重合を防止するために重合禁止剤を添加してもよい。重合性化合物は、通常は重合禁止剤を除去しないまま組成物に添加される。重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4−t−ブチルカテコール、4−メトキシフェノ−ル、フェノチアジンなどである。
光学活性化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐ、という効果を有する。光学活性化合物を添加することによって、らせんピッチを調整することができる。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性化合物を添加してもよい。光学活性化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op−1)から(Op−18)を挙げることができる。化合物(Op−18)において、環Jは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、R28は炭素数1から10のアルキルである。

Figure 2019003894
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−1)および(AO−2);IRGANOX 415、IRGANOX 565、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114、およびIRGANOX 1098(商品名:BASF社)を挙げることができる。紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。具体例として下記の化合物(AO−3)および(AO−4);TINUVIN 329、TINUVIN P、TINUVIN 326、TINUVIN 234、TINUVIN 213、TINUVIN 400、TINUVIN 328、およびTINUVIN 99−2(商品名:BASF社);および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。
立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−5)および(AO−6);TINUVIN 144、TINUVIN 765、およびTINUVIN 770DF(商品名:BASF社)を挙げることができる。熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIRGAFOS 168(商品名:BASF社)を挙げることができる。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどである。

Figure 2019003894
化合物(AO−1)において、R40は炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアルコキシ、−COOR41、または−CHCHCOOR41であり、ここでR41は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−2)および(AO−5)において、R42は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−5)において、R43は水素、メチル、またはO(酸素ラジカル)であり、環Kは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、zは1、2、または3である。
4.液晶表示素子
上記の液晶組成物は、PC、TN、STN、OCB、PSAなどの動作モードを有し、アクティブマトリックス方式で駆動する液晶表示素子に使用できる。この組成物は、PC、TN、STN、OCB、VA、IPSなどの動作モードを有し、パッシブマトリクス方式で駆動する液晶表示素子にも使用することができる。これらの素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
この組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子、液晶中に三次元網目状高分子を形成して作製したポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)、そしてポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)にも使用できる。重合性化合物の添加量が液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、約10重量部以下であるとき、PSAモードの液晶表示素子が作製される。PSAモードの素子は、アクティブマトリックス、パッシブマトリクスのような駆動方式で駆動させることができる。このような素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。重合性化合物の添加量を増やすことによって、高分子分散(polymer dispersed)モードの素子も作製することができる。
配向膜は、液晶分子を一定方向に配列させるための膜である。一般にはポリイミドの薄膜が用いられる。このような配向膜を有しない液晶表示素子では、配向制御層形成モノマーとして化合物(A)を含有する組成物が用いられる。化合物(A)が重合によって重合体を与える。この重合体は、配向膜の機能を有するので、配向膜の代わりに用いることができる。このような素子を製造する方法の一例は、次のとおりである。アレイ基板とカラーフィルター基板と呼ばれる2つの基板を有する素子を用意する。この基板は配向膜を有しない。この基板の少なくとも1つは、電極層を有する。液晶性化合物を混合して液晶組成物を調製する。この組成物に化合物(A)を添加する。必要に応じて添加物をさらに添加してもよい。この組成物を素子に注入する。この素子を、液晶組成物のネマチック相から等方相への転移温度(TNI)以上に加熱し、液晶組成物を等方相状態に変化させてから第一段階の偏光紫外線照射を行う。ここで照射する偏光は、波長280nmから波長340nmの範囲にピークを有する紫外線である。次に液晶組成物を加熱しないで、室温(25℃)からTNI温度未満の状態で、第二段階の光照射を行う。ここでは、非偏光の紫外線が好ましい。より好ましい非偏光の紫外線は、波長330nmから波長400nmの範囲にピークを有しているとよい。紫外線照射によって重合性化合物を反応させる。このような二段階の反応によって、液晶分子に均一な水平配向を誘起する配向制御層が生成し、目的の素子が作製される。
この手順において、液晶層を液晶組成物の等方相への転移温度(TNI)以上の温度範囲に保持し、波長280nmから波長340nmの範囲にピークを有する第一段階の偏光紫外線で照射すると、化合物(A)の芳香族エステル部位が光分解し、ラジカルが形成されて、光フリース転位する。光フリース転位において、芳香族エステル部位の光分解は偏光紫外線の偏光方向と芳香族エステル部位の長軸方向が同一方向であった場合に生じる。光分解後は再結合し、互変異性化により水酸基が分子内に生じる。この水酸基により、基板界面の相互作用が生じ、配向制御層形成モノマーが基板界面側に異方性を持って吸着しやすくなると考えられる。また、重合性基を有しているため重合により固定化される。この重合体が、液晶分子を均一に配向させる配向制御層となる。次に、液晶層を室温(25℃)からTNI未満の温度範囲に保持し、波長330nmから波長400nmにピークを有する第二紫外線を非偏光状態で照射すると、配向制御層中に残存している芳香族エステル部位が光フリース転位する、あるいは、未反応の配向制御層形成モノマーが配向制御層に沿って重合すると考えられる。ここでの光フリース転位は、第一紫外線で方向付けられた重合体の内部で生じるため、配向制御層の異方性が高まる方向に転位反応が進行する傾向にあると考えられる。未反応の配向制御層形成モノマーの追加重合も配向制御層の異方性付与に寄与すると考えられる。このような配向制御層の異方性の上昇は、液晶分子に作用する配向規制力が大きくなることを意味する。このような重合体の効果によって、液晶分子の配向が追加的に安定化するので、素子のコントラストが向上する。応答時間が短縮される。画像の焼き付きは、液晶分子の動作不良であるから、この重合体の効果によって焼き付きも同時に改善されることになる。このような二段階で重合を行うので、未反応物は極めて少ない。したがって、電圧保持率の大きな素子が得られる。
基板への紫外線照射について説明する。本発明では、少なくとも二段階で紫外線を照射する。第一段階の紫外線の好ましい照度は約2mW/cmから約200mW/cmの範囲であり、好ましい露光量(照度(単位:mW/cm)と照射時間(単位:秒)の積)は、1J/cmから15J/cmの範囲である。280nmから340nmの範囲にピークを有し、313nm付近および335nm付近にピークを有する紫外線が好ましい。この紫外線を「第一紫外線」ということがある。この紫外線によって大部分の重合性化合物が重合する。第一紫外線において、さらに好ましい照度は、約2mW/cmから約100mW/cmの範囲であり、さらに好ましい露光量は1J/cmから13J/cmの範囲である。より好ましい照度は、約2mW/cmから約100mW/cmの範囲であり、より好ましい露光量は1J/cmから11J/cmの範囲である。
第二段階の好ましい紫外線の照度は約1mW/cmから約200mW/cmの範囲であり、好ましい露光量は1J/cmから15J/cmの範囲である。より好ましい照度は、約1mW/cmから約100mW/cmの範囲であり、より好ましい露光量は1J/cmから14J/cmの範囲である。さらに好ましい照度は、約1mW/cmから約50mW/cmの範囲であり、さらに好ましい露光量は1J/cmから14J/cmの範囲である。330nmから400nmの範囲にピークを有し、335nm付近および365nm付近にピークを有する紫外線が好ましい。この紫外線を「第二紫外線」ということがある。この紫外線によって、追加のフリース転位を生じさせることができる。また、未反応の配向制御層形成モノマー(A)を重合体に変換することができる。
配向制御層は、走査型電子顕微鏡による観察によれば、小さな凹凸を含む薄膜である。重合性化合物の重合体が基板面から堆積して形成された層のように観察される。この薄膜の断面の高さを配向制御層の膜厚と定義する。膜厚は、平均で約1nmから約100nmであり、好ましくは約5nmから約70nmである。膜厚が約5nm以上であるとき、水平配向特性を維持できるため好ましい。膜厚が100nm以下であるとき、駆動電圧を適切に下げることができるため好ましい。
水平配向型素子において、電圧無印加時に液晶分子は基板面に対して略水平配向する。通常、液晶分子を水平配向させるためには、カラーフィルター基板と液晶層との間や、アレイ基板と液晶層との間に、ポリイミドのような水平配向膜が配置される。一方、本発明の水平配向型素子では、少なくとも1つの基板側には、このような配向膜を必要としない。この素子では、配向制御層の作用によって、液晶分子が基板に対して水平配向される。液晶分子と基板との角度(すなわちプレチルト角)は、0°以上5°以下である。好ましくは0°以上3°以下である。このような水平配向を、櫛型電極と組み合わせることにより広視野角を達成できる。
実施例(合成例、使用例を含む)により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によっては制限されない。本発明は、使用例の組成物の少なくとも2つを混合することによって調製した混合物をも含む。
特に記載のないかぎり、反応は窒素雰囲気下で行った。化合物(A)は、合成例などに示した手順により合成した。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。特性は、下記の方法により測定した。
NMR分析:測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。H−NMRの測定では、試料をCDClなどの重水素化溶媒に溶解させ、測定は、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で行った。テトラメチルシランを内部標準として用いた。19F−NMRの測定では、CFClを内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
ガスクロマト分析:測定には、島津製作所製のGC−2010型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウム(1ml/分)を用いた。試料気化室の温度を300℃、検出器(FID)部分の温度を300℃に設定した。試料はアセトンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μlを試料気化室に注入した。記録計には島津製作所製のGCSolutionシステムなどを用いた。
HPLC分析:測定には、島津製作所製のProminence(LC−20AD;SPD−20A)を用いた。カラムはワイエムシー製のYMC−Pack ODS−A(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm)を用いた。溶出液はアセトニトリルと水を適宜混合して用いた。検出器としてはUV検出器、RI検出器、CORONA検出器などを適宜用いた。UV検出器を用いた場合、検出波長は254nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.1重量%の溶液となるように調製し、この溶液1μLを試料室に導入した。記録計としては島津製作所製のC−R7Aplusを用いた。
紫外可視分光分析:測定には、島津製作所製のPharmaSpec UV−1700用いた。検出波長は190nmから700nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.01mmol/Lの溶液となるように調製し、石英セル(光路長1cm)に入れて測定した。
測定試料:相構造および転移温度(透明点、融点、重合開始温度など)を測定するときには、化合物そのものを試料として用いた。
測定方法:特性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA;Japan Electronics and Information Technology Industries Association)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
(1)相構造
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に試料を置いた。この試料を、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
(2)転移温度(℃)
測定には、パーキンエルマー社製の走査熱量計、Diamond DSCシステムまたはエスエスアイ・ナノテクノロジー社製の高感度示差走査熱量計、X−DSC7000を用いた。試料は、3℃/分の速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピークまたは発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物の融点、重合開始温度もこの装置を使って測定した。化合物が固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が液晶相から液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
結晶はCと表した。結晶の種類の区別がつく場合は、それぞれをC、Cのように表した。スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、またはスメクチックF相の区別がつく場合は、それぞれS、S、S、またはSと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
(3)ネマチック相の上限温度(TNIまたはNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。試料が液晶性化合物と母液晶との混合物であるときは、TNIの記号で示した。試料が液晶性化合物と成分B、C、Dのような化合物との混合物であるときは、NIの記号で示した。
(4)ネマチック相の下限温度(T;℃)
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
(5)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s)
測定には、東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
(6)光学異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn)
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
(7)比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm)
電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
誘電率異方性が正の試料と負の試料とでは、特性の測定法が異なることがある。誘電率異方性が正であるときの測定法は、項(8a)から(12a)に記載した。誘電率異方性が負の場合は、項(8b)から(12b)に記載した。
(8a)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
正の誘電率異方性:測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0度であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
(8b)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
負の誘電率異方性:測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に39ボルトから50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、下記の誘電率異方性の項で測定した値を用いた。
(9a)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
正の誘電率異方性:2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
(9b)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
負の誘電率異方性:誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
(10a)弾性定数(K;25℃で測定;pN)
正の誘電率異方性:測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0ボルトから20ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.99)からK11およびK33の値を得た。次に171頁にある式(3.18)に、先ほど求めたK11およびK33の値を用いてK22を算出した。弾性定数Kは、このようにして求めたK11、K22およびK33の平均値で表した。
(10b)弾性定数(K11およびK33;25℃で測定;pN)
負の誘電率異方性:測定には株式会社東陽テクニカ製のEC−1型弾性定数測定器を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである垂直配向素子に試料を入れた。この素子に20ボルトから0ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。静電容量(C)と印加電圧(V)の値を、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.100)から弾性定数の値を得た。
(11a)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
正の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
(11b)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
負の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧で表した。
(12a)応答時間(τ;25℃で測定;ms)
正の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。立ち上がり時間(τr:rise time;ミリ秒)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time;ミリ秒)は透過率が10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和で表した。
(12b)応答時間(τ;25℃で測定;ms)
負の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のPVA素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子にしきい値電圧を若干超える程度の電圧を1分間印加し、次に5.6Vの電圧を印加しながら23.5mW/cmの紫外線を8分間照射した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。応答時間は透過率が90%から10%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;ミリ秒)で表した。
(13)電圧保持率
重合性化合物を重合させた素子に60℃でパルス電圧(1Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で1.67秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
(14)照度
紫外線照度の測定には、ウシオ電機株式会社製の紫外線照度計、UIT−250型(センサー:UVD−S313およびUVD−S365)を用いた。
(15)水平配向性
得られた素子を偏光顕微鏡にセットし、下から素子に光を照射し、光漏れの有無を観察した。液晶分子が充分に配向し、光が素子を通過しない場合は、水平配向性が「良好」と判断した。素子を通過した光が観察された場合は、「配向欠陥あり」と表した。
(16)プレチルト角(度)
プレチルト角の測定には、シンテック株式会社製のOpti−Proを使用した。
(17)膜厚
配向制御層の膜厚測定はSEM(走査型電子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジー製SU−70)を用いて行った。
第一添加物は、以下に示した化合物から選ばれる。
Figure 2019003894
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組成物中の化合物は、下記の表2の1)〜5)の定義に基づいて記号により表した。表2において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、液晶組成物の特性値をまとめた。特性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を(外挿することなく)そのまま記載した。
表2 記号を用いた化合物の表記法
R−(A)−Z−・・・・・Z−(A)−R’

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[組成物(M1)]
2−HH−3 (2−1) 21%
3−HH−4 (2−1) 5%
3−HB−O2 (2−5) 2.5%
1−BB−3 (2−8) 4%
3−HHB−1 (3−1) 1.5%
3−HBB−2 (3−4) 9.5%
2−H1OB(2F,3F)−O2 (9−5) 7%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (9−5) 11%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (10−3) 3.5%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 8%
2−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 9%
5−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 7%
V−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 8%
NI=80.8℃;Tc<−20℃;Δn=0.108;Δε=−3.8;Vth=2.02V;η=19.8mPa・s.
[組成物(M2)]
3−HH−V (2−1) 18%
3−HH−4 (2−1) 11%
5−HB−O2 (2−5) 2%
3−HHB−1 (3−1) 5%
3−HHB−3 (3−1) 5%
3−HHB−O1 (3−1) 6%
3−HHB(F,F)−F (6−3) 10%
3−BB(F)B(F,F)−F (6−69) 7%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−97) 14%
3−HHXB(F,F)−F (6−100) 2%
3−GHB(F,F)−F (6−109) 4%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F(7−47) 10%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F(7−47) 6%
NI=78.4℃;Tc<−20℃;Δn=0.108;Δε=10.4;Vth=1.35V;η=17.8mPa・s;γ1=79.9mPa・s.
[組成物(M3)]
2−HH−3 (2−1) 9%
3−HH−4 (2−1) 3%
3−HH−V (2−1) 15%
3−HH−V1 (2−1) 6%
1V2−HH−3 (2−1) 3%
V−HB(2F,3F)−O2 (9−1) 7%
V2−BB(2F,3F)−O2 (9−3) 10%
V−HHB(2F,3F)−O1 (10−1) 7%
V−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 9%
V2−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 8%
3−HH2B(2F,3F)−O2 (10−4) 9%
V−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 7%
V−HBB(2F,3F)−O4 (10−7) 7%
NI=87.5℃;Tc<−20℃;Δn=0.100;Δε=−3.4;Vth=2.25V
[実施例1]
上記の組成物(M1)100重量部に配向制御層形成モノマーとして化合物(A−1−3−1)を0.5重量部の割合で添加した。酸化防止剤として、R40がヘプチル基(C15−)である化合物(AO−1)を150ppmの割合で添加した。この組成物を2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmである配向膜を有しない櫛歯電極を有する液晶素子(以下ではIPS素子または単に素子ということがある)に90℃(ネマチック相の上限温度以上)で注入した。液晶層を90℃に保持しながら、第一紫外線として、波長313nm、波長335nmおよび波長365nmにピークを有する偏光紫外線を素子に対して法線方向から10J/cm照射した(波長313nmにおける照度は3mW/cm。ウシオ電機社製UIT−150およびUVD−S313を用いて測定した。)。紫外線の照射ランプは、ウシオ電機株式会社製のUSH−250BYを用いた。露光機ユニットはウシオ電機株式会社製ML−251A/Bを用いた。偏光紫外線は、ワイヤーグリッド偏光子((株)ポラテクノ社製のProFlux UVT260A)を用いて形成した。
IPS素子を室温(25℃)に冷却し、液晶層を室温(25℃)に保持しながら、第二紫外線として、アイグラフィックス株式会社製のブラックライト、F40T10(ピーク波長335nmおよび365nm)を用い、非偏光状態(ワイヤーグリッド偏光子を用いない)で、素子に対して法線方向から5.4J/cm照射し(波長365nmにおける照度は3mW/cm。ウシオ電機社製UIT−150およびUVD−S365を用いて測定した。)、素子の水平配向処理を行った。
次に配向制御層が形成された素子を偏光顕微鏡にセットして液晶の配向状態を観察した。偏光顕微鏡の偏光子と検光子は各々の透過軸が直交するように配置した。まず、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸が平行となるように、すなわち、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸がなす角度が0度となるように、素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上に設置した。素子の下側、すなわち、偏光子側から光を照射し、検光子を透過する光の有無を観察した。検光子を透過する光は、ほとんど観察されなかったことから、配向は「良好」であると判定した。なお、同様の観察において検光子を透過する光が観察された場合は、配向は「不良」であると判定した。次に、素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上で回転させ、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度を0度から変化させた。検光子を透過する光の強度は、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度が大きくなるにしたがい増大し、その角度が45度である時に、ほぼ最大となることを確認した。以上により得られた素子では液晶分子が素子の基板の主面に対して略水平な方向に配向しており、「水平配向」であると判定した。
水平配向の均一度を評価するために、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸がなす角度が0度となるときの輝度と、45度となるときの輝度の比((光透過状態での光透過強度)/(黒状態での光透過強度))を横河電機株式会社製のマルチメディアディスプレイテスタ・3298を用いてとったところ、約1300と良好であった。
走査型電子顕微鏡で素子基板上にある配向制御層を観察したところ、膜厚は約8nmであり、配向制御層形成モノマーはほとんど消費されていた。
[比較例1]
実施例1で用いた組成物を、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmである配向膜を有しないIPS素子に90℃(ネマチック相の上限温度以上)で注入した。
液晶層を90℃に保持しながら、第一紫外線として、波長313nm、波長335nmおよび波長365nmにピークを有する偏光紫外線を素子に対して法線方向から10J/cm照射(波長313nmにおける照度は3mW/cm)したのみで、素子の水平配向処理を行った。
次に配向制御層が形成された素子を偏光顕微鏡にセットして液晶の配向状態を、実施例1と同様に観察した。素子の下側、すなわち、偏光子側から光を照射し、検光子を透過する光の有無を観察した。検光子を透過する光がわずかに観察されたことから、配向は「やや不良」であると判定した。次に、素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上で回転させ、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度を0度から変化させたところ、実施例1と同様な傾向であり、「水平配向」であると判定した。
水平配向の均一度を評価するために、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸がなす角度が0度となるときの輝度と、45度となるときの輝度の比を実施例1と同様な方法でとったところ、約860と実施例1より劣っていた。
走査型電子顕微鏡で素子基板上にある配向制御層を観察したところ、膜厚は約8nmであり、配向制御層形成モノマーはほとんど消費されていた。
[比較例2]
実施例1で用いた組成物を、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmである配向膜を有しないIPS素子に90℃(ネマチック相の上限温度以上)で注入した。
液晶層を90℃に保持しながら、第一紫外線として、波長313nm、波長335nmおよび波長365nmにピークを有する偏光紫外線を素子に対して法線方向から10J/cm照射(波長313nmにおける照度は3mW/cm)した。
IPS素子を室温(25℃)に冷却し、第二段階の露光を、第一紫外線と同一の光源を用いて、素子に対して法線方向から5.4J/cm非偏光で照射し(波長313nmにおける照度は8mW/cm)、素子の水平配向処理を行った。
次に配向制御層が形成された素子を偏光顕微鏡にセットして液晶の配向状態を、実施例1と同様に観察した。素子の下側、すなわち、偏光子側から光を照射し、検光子を透過する光の有無を観察した。検光子を透過する光がわずかに観察されたことから、配向は「やや不良」であると判定した。次に、素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上で回転させ、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度を0度から変化させたところ、実施例1と同様な傾向であり、「水平配向」であると判定した。
水平配向の均一度を評価するために、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸がなす角度が0度となるときの輝度と、45度となるときの輝度の比を実施例1と同様な方法でとったところ、約720と実施例1より劣っていた。
走査型電子顕微鏡で素子基板上にある配向制御層を観察したところ、膜厚は約8nmであり、配向制御層形成モノマーはほとんど消費されていた。
[比較例3]
実施例1で用いた組成物を、2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmである配向膜を有しないIPS素子に90℃(ネマチック相の上限温度以上)で注入した。液晶層を90℃に保持しながら、第一紫外線として、波長313nm、波長335nmおよび波長365nmにピークを有する非偏光の紫外線を素子に対して法線方向から10J/cm照射(波長313nmにおける照度は8mW/cm)した。
液晶層を90℃に保持しながら、第二段階の露光を、第一紫外線と同一の光源を用いて、素子に対して法線方向から5.4J/cm偏光照射し(波長313nmにおける照度は3mW/cm)、素子の水平配向処理を行った。
次に配向制御層が形成された素子を偏光顕微鏡にセットして液晶の配向状態を、実施例1と同様に観察した。素子の下側、すなわち、偏光子側から光を照射し、検光子を透過する光の有無を観察した。検光子を透過する光がわずかに観察されたことから、配向は「やや不良」であると判定した。次に、素子を偏光顕微鏡の水平回転ステージ上で回転させ、偏光顕微鏡の偏光子の透過軸と液晶分子の配向方向がなす角度を0度から変化させたところ、実施例1と同様な傾向であり、「水平配向」であると判定した。
水平配向の均一度を評価するために、液晶分子の配向方向と偏光顕微鏡の偏光子の透過軸がなす角度が0度となるときの輝度と、45度となるときの輝度の比を実施例1と同様な方法でとったところ、約800と実施例1より劣っていた。
走査型電子顕微鏡で素子基板上にある配向制御層を観察したところ、膜厚は約8nmであり、配向制御層形成モノマーはほとんど消費されていた。
[実施例2]
配向制御層形成モノマーとして化合物(A−1−3−4)を3重量部とすること以外は、実施例1と同様な方法でIPS素子を作成した。また、第一紫外線および第二紫外線を実施例1と同様な方法で照射し、水平配向処理した。得られた素子の配向の均一性は実施例1と同様に「良好」であり、「水平配向」であった。水平配向の均一度を実施例1と同様な方法でとったところ、輝度の比は約1000と良好であった。走査型電子顕微鏡で素子基板上にある配向制御層を観察したところ、膜厚は約48nmであり、配向制御層形成モノマーはほとんど消費されていた。
[実施例3]
配向制御層形成モノマーとして化合物(A−1−3−14)を3重量部とすること以外は、実施例1と同様な方法でIPS素子を作成した。また、第一紫外線および第二紫外線を実施例1と同様な方法で照射し、水平配向処理した。得られた素子の配向の均一性は実施例1と同様に「良好」であり、「水平配向」であった。水平配向の均一度を実施例1と同様な方法でとったところ、輝度の比は約1040と良好であった。走査型電子顕微鏡で素子基板上にある配向制御層を観察したところ、膜厚は約48nmであり、配向制御層形成モノマーはほとんど消費されていた。
[実施例4]
配向制御層形成モノマーとして化合物(A−2−2−2)を0.5重量部とすること以外は、実施例1と同様な方法でIPS素子を作成した。また、第一紫外線の露光量を0.9J/cmとしたこと以外は第二紫外線を実施例1と同様な方法で照射し、水平配向処理した。得られた素子の配向の均一性は実施例1と同様に「良好」であり、「水平配向」であった。水平配向の均一度を実施例1と同様な方法でとったところ、輝度の比は約1100と良好であった。走査型電子顕微鏡で素子基板上にある配向制御層を観察したところ、膜厚は約8nmであり、配向制御層形成モノマーはほとんど消費されていた。
[実施例5]
配向制御層形成モノマーとして化合物(A−2−2−2)を10重量部とすること以外は、実施例4と同様な方法でIPS素子を作成する。また、第一紫外線および第二紫外線を実施例1と同様な方法で照射し、水平配向処理する。得られる素子の水平配向の均一性は実施例1と同様な傾向となる。
実施例1の素子は、光漏れがほとんどなかった。一方、比較例1から3では、わずかに光漏れが観察された。光漏れは、配向制御層の配向規制力が不足していることにより生じたと考えられる。実施例および比較例における配向制御層形成モノマーは、配向制御層の厚み観察から、ほぼ全量が重合体に転化されていると考えられる。実施例と比較例における輝度の比の違いは、第二紫外線照射により、配向制御層中に残存している芳香族エステル部位が光フリース転位した、あるいは、未反応の配向制御層形成モノマーが配向制御層に沿って重合したため、配向制御層の異方性(配向規制力)が高くなったためと推測される。本発明の第二紫外線照射工程は、水平配向の均一性向上に寄与していると考えられる。同様な効果は、液晶組成物の誘電率異方性が正の場合でも得られる。よって、本発明の方法によって製造された液晶表示素子は、均一な水平配向を有すると結論できる。この素子では、光漏れが防止されるので、コントラスト等の特性に優れているといえる。
本発明の方法で製造された液晶表示素子は、液晶モニター、液晶テレビなどに用いることができる。

Claims (14)

  1. 対向して配置され、シール剤を介して貼りあわせた一対の基板間に液晶層が挟持され、
    前記一対の基板と前記液晶層との間に、液晶分子を配向制御する配向制御層を有し、
    前記液晶層は液晶組成物からなる、水平配向型液晶表示素子の製造方法であって;
    前記液晶組成物は、液晶性化合物を含有し、正または負の誘電率異方性を有し、ネマチック相から等方相への転移温度TNIを有し、第一添加物として、光照射により光フリース転位、光異性化、光二量化、光分解のいずれかを生じる配向制御層形成モノマーを少なくとも1つを含有し;
    液晶層をTNI以上の温度範囲に保持し、液晶層に、
    280nmから340nmにピークを有する第一紫外線を、照度が2mW/cmから200mW/cmの範囲で、1J/cmから15J/cmの露光量となる範囲で偏光照射し;
    次に、液晶層を室温(25℃)からTNIの温度範囲に保持し、330nmから400nmにピークを有する第二紫外線を照度が1mW/cmから200mW/cmの範囲で、1J/cmから15J/cmの露光量となる範囲で照射し;
    前記配向制御層形成モノマーを重合させることによって前記配向制御層を形成させる、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の第一添加物が、光照射により光フリース転位を生じる芳香族エステルを有する式(A)で表される配向制御層形成モノマーであり、

    Figure 2019003894

    Figure 2019003894

    Figure 2019003894
    式(A)において、
    10およびP20は独立して、重合性基を表し;
    Sp10およびSp20は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または式(Q−1)で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
    式(Q−1)において、M10、M20、およびM30は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;Sp11は、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
    10、Z20およびZ30は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−CHCH−または−CFCF−であり;
    10およびA30は独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、またはP10−Sp10−Z10−で置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく;
    20は、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、
    式(A20−1)に示す1,4−フェニレンにおいて、Y10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y10とY13の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイルにおいて、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18およびY19はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y14とY19の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシであるが、Y20とY27の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルにおいて、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は水素であり;
    10は独立して0から3の整数であり;
    紫外線照射において、液晶層をTNI以上からTNI+5℃以下の温度範囲に保持して、280nmから340nmにピークを有する第一紫外線を、照度が2mW/cmから100mW/cmの範囲で、1J/cmから13J/cmの露光量となる範囲で偏光照射し;
    次に、液晶層を室温(25℃)からTNI未満の温度範囲に保持し、330nmから400nmにピークを有する第二紫外線を照度が1mW/cmから100mW/cmの範囲で、1J/cmから14J/cmの露光量となる範囲で照射する、請求項1に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
  3. 請求項1に記載の紫外線照射において、液晶層をTNI以上からTNI+5℃以下の温度範囲に保持して、280nmから340nmにピークを有する第一紫外線を、照度が2mW/cmから100mW/cmの範囲で、1J/cmから11J/cmの露光量となる範囲で偏光照射し;
    次に、液晶層を室温(25℃)から45℃以下の温度範囲に保持し、330nmから400nmにピークを有する第二紫外線を照度が1mW/cmから50mW/cmの範囲で、1J/cmから14J/cmの露光量となる範囲で照射する、請求項1に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
  4. 請求項2に記載の式(A)において、
    10およびP20は独立して、アクリロイルオキシ、メタアクリロイルオキシ、α−フルオロアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、ビニル、ビニルオキシ、エポキシを表し;
    Sp10およびSp20は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
    10、Z20、およびZ30は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−CHCH−、または−CFCF−であり;
    10およびA30は独立して、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、シアノ、ヒドロキシ、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、またはP10−Sp10−Z10−で置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく;
    20は、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイル、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、
    式(A20−1)に示す1,4−フェニレンにおいて、Y10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y10とY13の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−2)に示すナフタレン−2,6−ジイルにおいて、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18およびY19はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y14とY19の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y20とY27の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルにおいて、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は水素であり;
    10は独立して0から3の整数である、請求項2に記載の水平配向型液晶表示素子の製造方法。
  5. 前記配向制御層形成モノマーが式(A−1)から式(A−3)のいずれかで表される請求項1から4のいずれかに記載の水平配向型液晶表示素子の製造方法。

    Figure 2019003894

    式(A−1)から式(A−3)において、
    10は独立して、水素、フッ素、メチル、またはトリフルオロメチルであり;
    31は独立して、水素またはメチルであり;
    Sp10およびSp20は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、このアルキレンの少なくとも1つの水素はフッ素またはヒドロキシで置き換えられていてもよく、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
    10、Z20、およびZ30は独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−(CH−、−CHCH−、または−CFCF−であり;
    20は独立して、式(A20−1)に示す1,4−フェニレン、式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルまたは式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルであり、
    式(A20−1)に示す1,4−フェニレンにおいて、Y10、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ヒドロキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y10とY13の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−3)に示すビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて、Y20、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26およびY27はそれぞれ独立して、水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよいが、Y20とY27の少なくとも一方は水素であり、
    式(A20−4)に示すフルオレン−2,7−ジイルにおいて、Y28、Y29、Y30、Y31、Y32およびY33はそれぞれ独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキルであるが、Y28とY31の少なくとも一方は水素であり;
    30は独立して、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイルであり、この1,4−フェニレンにおいて、任意の水素はフッ素、ヒドロキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく、このフルオレン−2,7−ジイルにおいて、任意の水素はフッ素、炭素数1から5のアルキルで置き換えられていてもよく、このビフェニレン−4,4’−ジイルにおいて任意の水素はフッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルコキシで置き換えられていてもよく;
    10は独立して水素、フッ素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシまたはP10−Sp10−Z10−であり;
    11は独立して0から4の整数である。
  6. 前記配向制御層形成モノマーの割合が、液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.1重量部から10.0重量部の範囲である、請求項1から5のいずれか1項に記載の水平配向型液晶表示素子の製造方法。
  7. 前記液晶組成物が、式(2)から式(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

    Figure 2019003894

    式(2)から式(4)において、
    11およびR12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
    環B、環B、環B、および環Bは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
    11、Z12、およびZ13は独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
  8. 前記液晶組成物が、式(5)から式(7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。


    Figure 2019003894


    式(5)から式(7)において、
    13は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
    11は、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;
    環C、環C、および環Cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
    14、Z15、およびZ16は独立して、単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−CH=CF−CFO−、−CF=CF−CFO−または−(CH−であり;
    11およびL12は独立して、水素またはフッ素である。
  9. 前記液晶組成物が、式(8)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

    Figure 2019003894

    式(8)において、
    14は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
    12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
    環Dは、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
    17は、単結合、−(CH−、−C≡C−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または−CHO−であり;
    13およびL14は独立して、水素またはフッ素であり;
    iは、1、2、3、または4である。
  10. 前記液晶組成物が、式(9)から式(15)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。


    Figure 2019003894

    式(9)から式(15)において、
    15およびR16は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
    17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
    環E、環E、環E、および環Eは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
    環Eおよび環Eは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
    18、Z19、Z20、およびZ21は独立して、単結合、−(CH−、−COO−、−CHO−、−OCF−、または−OCFCHCH−であり;
    15およびL16は独立して、フッ素または塩素であり;
    11は、水素またはメチルであり;
    Xは独立して、−CHF−または−CF−であり;
    j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、r、およびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
  11. 前記液晶組成物が、第二添加物として式(16α)で表される重合性化合物をさらに含有し、これらの化合物を重合させることによって生成した共重合体からなる配向制御層を形成させる、請求項1から10のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

    Figure 2019003894

    式(16α)において、
    環Fおよび環Iは独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
    環Gは、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;
    22およびZ23は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−、−C(CH)=CH−、−CH=C(CH)−、または−C(CH)=C(CH)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    11、P12、およびP13は独立して、重合性基であり;
    Sp11、Sp12、およびSp13は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−(CH−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
    uは、0、1、または2であり;
    f、g、およびhは独立して、0、1、2、3、または4であり、そしてf、g、およびhの和は2以上である。
  12. 請求項11に記載の式(16α)において、P11、P12、およびP13が独立して式(P−1)から式(P−5)で表される重合性基の群から選択される基である、請求項11に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。

    Figure 2019003894

    式(P−1)から式(P−5)において、
    11、M12、およびM13は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
  13. 液晶組成物中の第二添加物の割合が、液晶性化合物の合計量を100重量部としたときに、0.03重量部から10重量部の範囲である、請求項11から12のいずれか1項に記載の、水平配向型液晶表示素子の製造方法。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の製造方法により得られる水平配向型液晶表示素子と;バックライトと;を備える、表示装置。
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