JPWO2019003642A1 - 熱電変換モジュール - Google Patents

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Abstract

折り曲げた形状を維持することができ、連続駆動しても発電量の変化が少なく、接続電極と熱電変換層との剥離を抑制できる熱電変換モジュールを提供する。熱電変換モジュールは、長尺な支持体と、支持体の一方の面に、支持体の長手方向に間隔を有して形成される複数の第1の金属層と、支持体の長手方向に間隔を有して形成される複数の熱電変換層と、支持体の長手方向に隣接する熱電変換層を接続する接続電極と、支持体の他方の面に形成される第2の金属層とを有し、第1の金属層および第2の金属層は、剛性が他の領域よりも低く、支持体の幅方向に延在する低剛性部を有し、支持体の長手方向において、第2の金属層の低剛性部は、複数の第1の金属層の各低剛性部と同じ位置に形成されており、複数の第1の金属層の低剛性部、および、第2の金属層の低剛性部において、長手方向に山折りおよび谷折りに交互に折れ曲がっている。

Description

本発明は、熱電変換モジュールに関する。
熱エネルギーと電気エネルギーとを相互に変換することができる熱電変換材料が、熱によって発電する発電素子、ペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。
熱電変換素子は、熱エネルギーを直接電力に変換することができ、可動部を必要としない等の利点を有する。そのため、複数の熱電変換素子を接続してなる熱電変換モジュール(発電装置)を、例えば、焼却炉、工場の各種の設備など、排熱される部位に設けることで、動作コストを掛ける必要なく、簡易に電力を得ることができる。
熱電変換素子としては、Bi−Te等の熱電変換材料等を用いた、いわゆるπ型の熱電変換素子が知られている。
π型の熱電変換素子は、互いに離間して設けられた一対の電極を有し、一方の電極の上にn型熱電変換材料により形成されるn型熱電変換層、他方の電極の上にp型熱電変換材料により形成されるp型熱電変換層が、同じく互いに離間して設けられており、両熱電変換層の上面が電極によって接続されている構成を有する。
また、n型熱電変換層とp型熱電変換層とが交互に配置されるように、複数の熱電変換素子を配列して、熱電変換層の下部の電極を直列に接続することで、多数の熱電変換素子から構成される熱電変換モジュールが形成される。
従来の熱電変換モジュールの問題点は、多数の熱電変換層を直列に接続する製造の際に、非常に手間がかかることである。また、熱膨張係数の違いによる熱歪みの影響、熱歪みの変化が繰返し発生することで、界面の疲労現象も発生しやすくなる。
このような問題点を解決する方法として、樹脂フィルムなどの可撓性を有する支持体を用いる熱電変換モジュールが提案されている。
この熱電変換モジュールは、可撓性および絶縁性を有する長尺な支持体の表面に、支持体の幅方向に長尺なp型熱電変換層とn型熱電変換層とを、支持体の長手方向に交互に配列し、さらに、各熱電変換層を直列で接続するように、支持体の表面に電極を形成したものである。
これらの熱電変換モジュールは、例えば、支持体を折り曲げ、または、円柱状に巻回したのち、上部および下部に熱伝導板を配置して、熱源に接触させる。また、支持体上に熱電変換材料を成膜し、支持体を断熱性板の間に挟みながら折り曲げることで熱電変換モジュールを形成する場合もある。
このような熱電変換モジュールは、可撓性を有する支持体の表面に、多数の熱電変換層が電極によって直列に接続された構造を、例えば成膜技術や膜のパターニング技術を利用して形成できる。
そのため、多数の熱電変換層を接続する際の、多数の接続部分を作製する手間は、先に述べた従来のπ型の熱電変換モジュールに比して、はるかに少ない。また、支持体が可撓性を有することから、熱電変換層や電極等を形成した後であっても、支持体そのものを変形することにより、比較的自由度の高い形状にすることが可能である。
具体的な一例として、特許文献1には、可撓性を有する長尺な支持体の表面にn型熱電変換層とp型熱電変換層とを交互に配列して形成し、隣接するn型熱電変換層とp型熱電変換層とを接続電極により接続し、接続電極の位置で山折りおよび谷折りに交互に折り曲げて蛇腹状にした熱電変換モジュールが記載されている。
国際公開第2017/038773号
このように熱電変換モジュールを折り曲げて蛇腹状に形成する場合には、折り曲げた後の熱電変換モジュールの形状(高さ)が不揃いになると、熱源と接触させる場合に、熱の利用効率が低下してしまう。そのため、所定の折り曲げ位置で確実に折り曲げる必要があるが、製造プロセスが複雑になってしまうおそれがある。
これに対して、特許文献1に記載される熱電変換モジュールは、接続電極(金属層)に、剛性が他の領域よりも低く支持体の幅方向に延在する低剛性部を設けた構成を有する。このような構成とすることで、低剛性部の位置で確実に山折りまたは谷折りすることができるため、製造プロセスを複雑にすることなく、所定の位置で折り曲げて高さの均一な熱電変換モジュールとすることができる。
ここで、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載される構成の熱電変換モジュールは、経時および/または熱により折り曲げた形状が変化しうることがわかった。その際、山折り部はその折り曲げた形状を維持するものの、谷折り部は折り曲げた形状を維持できず伸びてしまうため、蛇腹状に形成した熱電変換モジュール全体の形状が、熱電変換層および接続電極を形成していない裏面側にカールしてしまうことがわかった。熱電変換モジュールを熱源に接触させている際に、熱電変換モジュールがカールしてしまうと、一部が熱源から離間して熱源との接触が維持できなくなり熱の利用効率が低下してしまう。
また、形状が変化すると、接続電極と熱電変換層とが剥離してしまうおそれがあることがわかった。
そこで、本発明は、折り曲げた形状を維持することができ、連続駆動しても発電量の変化が少なく、接続電極と熱電変換層との剥離を抑制できる熱電変換モジュールを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、熱電変換モジュールが、可撓性を有する絶縁性の長尺な支持体と、支持体の一方の面に、支持体の長手方向に間隔を有して形成される、複数の第1の金属層と、支持体の第1の金属層と同じ面に、支持体の長手方向に間隔を有して形成される複数の熱電変換層と、支持体の第1の金属層と同じ面に、支持体の長手方向に隣接する熱電変換層を接続する接続電極と、支持体の第1の金属層が形成される面の反対側の面に形成される第2の金属層と、を有し、第1の金属層は、剛性が他の領域よりも低く、支持体の幅方向に延在する第1の低剛性部を有し、第2の金属層は、剛性が他の領域よりも低く、支持体の幅方向に延在する第2の低剛性部を有し、支持体の長手方向において、第2の金属層の第2の低剛性部は、複数の第1の金属層の各第1の低剛性部と同じ位置に形成されており、複数の第1の金属層の第1の低剛性部、および、第2の金属層の第2の低剛性部において、支持体が長手方向に山折りおよび谷折りに交互に折れ曲がっていることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を解決することができることを見出した。
(1) 可撓性を有する絶縁性の長尺な支持体と、
支持体の一方の面に、支持体の長手方向に間隔を有して形成される、複数の第1の金属層と、
支持体の第1の金属層と同じ面に、支持体の長手方向に間隔を有して形成される複数の熱電変換層と、
支持体の第1の金属層と同じ面に、支持体の長手方向に隣接する熱電変換層を接続する接続電極と、
支持体の第1の金属層が形成される面の反対側の面に形成される第2の金属層と、を有し、
第1の金属層は、剛性が他の領域よりも低く、支持体の幅方向に延在する第1の低剛性部を有し、
第2の金属層は、剛性が他の領域よりも低く、支持体の幅方向に延在する第2の低剛性部を有し、
支持体の長手方向において、第2の金属層の第2の低剛性部は、複数の第1の金属層の各第1の低剛性部と同じ位置に形成されており、
複数の第1の金属層の第1の低剛性部、および、第2の金属層の第2の低剛性部において、支持体が長手方向に山折りおよび谷折りに交互に折れ曲がっている熱電変換モジュール。
(2) 接続電極が第1の金属層を兼ねる(1)に記載の熱電変換モジュール。
(3) 複数の第1の低剛性部が支持体の長手方向に一定間隔で形成されている(1)または(2)に記載の熱電変換モジュール。
(4) 第1の金属層の形成材料と、第2の金属層の形成材料とが同じである(1)〜(3)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(5) 第1の金属層の厚みと、第2の金属層の厚みとが同じである(1)〜(4)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(6) 第2の金属層は、支持体の長手方向に間隔を有して複数形成されている(1)〜(5)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(7) 第2の金属層の形状および寸法が、第1の金属層と同じである(1)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(8) 熱電変換層および接続電極に接する補助電極を有する(1)〜(7)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(9) 補助電極の一部が支持体の一部を被覆している(8)に記載の熱電変換モジュール。
(10) 第1の低剛性部および第2の低剛性部が、支持体の幅方向と平行な1つ以上のスリット、および、支持体の幅方向と平行な破線状部の少なくとも一方である(1)〜(9)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(11) 熱電変換層として、支持体の長手方向に交互に形成されるp型熱電変換層とn型熱電変換層とを有する(1)〜(10)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
以下に説明するように、本発明によれば、折り曲げた形状を維持することができ、連続駆動しても発電量の変化が少なく、接続電極と熱電変換層との剥離を抑制できる熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の熱電変換モジュールの一例を概念的に示す正面図である。 図1に示す熱電変換モジュールの表面側を部分拡大した平面図である。 図1に示す熱電変換モジュールの裏面側を部分拡大した平面図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の一例を概念的に示す正面図である。 図4に示す熱電変換モジュールの裏面側を部分拡大した平面図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の一例の表面側を部分拡大した平面図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の一例の表面側を部分拡大した平面図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を説明するための概念図である。
以下、本発明の熱電変換モジュールについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同じ」、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
図1に、本発明の熱電変換モジュールの一例を概念的に示す。なお、図1は、正面図であり、本発明の熱電変換モジュールを支持体の面方向に見た図である。
図1に示すように、熱電変換モジュール10は、支持体12と、p型熱電変換層14pと、n型熱電変換層16nと、接続電極18と、第2の金属層22とを有する。
なお、図示例の熱電変換モジュール10は、好ましい態様として、接続電極18が本発明における第1の金属層を兼ねている。
なお、本明細書において、接続電極が第1の金属層を兼ねるとは、接続電極が第1の金属層である場合をいい、第1の金属層が熱電変換層を接続する場合をいう。この場合、第1の金属層と接続電極とがそれぞれ設けられていてもよく、あるいは、図示例のように接続電極または第1の金属層の一方のみが設けられ、他方が設けられていなくてもよい。
図1に示すように、熱電変換モジュール10は、長尺な支持体12の一方の面に、支持体12の長手方向に一定間隔で一定長さの接続電極18を有し、支持体12の同じ面に、支持体12の長手方向に一定間隔で一定長さのp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを、交互に有している。また、熱電変換モジュール10は、長尺な支持体12の他方の面に、すなわち、接続電極18(第1の金属層)が形成される面とは反対側の面に、支持体12の長手方向に一定間隔で一定長さの第2の金属層22を有している。
なお、本発明において、長手方向の長さ、および、長手方向の間隔とは、熱電変換モジュール10を平面状に延ばした状態における、長さおよび間隔である。
また、本明細書において、支持体12の、接続電極18(第1の金属層)、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nが形成される面側を表面といい、第2の金属層22が形成される面側を裏面という。
以下の説明では、「支持体12の長手方向」』を「長手方向」とも言う。図1より明らかなように、長手方向は、図1の横方向(左右方向)である。支持体12の幅方向とは、支持体12の長手方向と直交する方向である。
また、以下の説明では、「熱電変換モジュール10」を「モジュール10」とも言う。
また、モジュール10は、接続電極18および第2の金属層22において、支持体12の幅方向に平行な折れ線によって、山折りおよび谷折りに、交互に折れ曲がって、蛇腹状になっている。従って、モジュール10は、蛇腹状の折り返しによって、長手方向に頂部(山部)と底部(谷部)とを交互に有する。
この折れ線、すなわち後述する接続電極18(第1の金属層)の第1の低剛性部18a、および、第2の金属層22の第2の低剛性部22aは、長手方向に一定間隔で形成される。
なお、本明細書において、表面(接続電極18が形成されている面)側から見て凸に折れ曲がっている折曲げ部を、頂部(山部、山折り部)といい、表面側から見て凹に折れ曲がっている折曲げ部を、底部(谷部、谷折り部)という。
モジュール10は、支持体12の表面の長手方向に、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを交互に配列し、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの間に、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを電気的に接続する接続電極18を配置した構成を有する。したがって、1つの接続電極18は、長手方向の一方の端部でp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nのいずれかと接続されており、他方の端部でもう一方の熱電変換層と接続された構成を有する。
モジュール10は、裏面(図1の下側)に高温熱源を、表面(図1の上側)に低温熱源(放熱フィンなどの放熱手段)を設け、表面および裏面(図1における上下方向)に温度差を生じさせることで、発電する。言い換えれば、接続電極18で挟まれた熱電変換層の面内方向(導電方向)に温度差を生じさせることで、発電する。
ここで、本発明のモジュール10は、図2に示すように、支持体12の表面側に形成された接続電極18が支持体12の幅方向に平行に、接続電極18の他の領域よりも剛性の低い第1の低剛性部18aを有する。また、図3に示すように、支持体の裏面側に形成された第2の金属層22が支持体12の幅方向に平行に、第2の金属層22の他の領域よりも剛性の低い第2の低剛性部22aを有する。また、支持体12の長手方向において、接続電極18の第1の低剛性部18aと、第2の金属層22の第2の低剛性部22aとは、同じ位置に形成されている。
本発明のモジュール10は、同じ位置に形成された第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aの位置で、山折りおよび谷折りに交互に折り曲げることで、図1に示すような、蛇腹状に折り曲げた形状とする。
前述のとおり、接続電極に、剛性が他の領域よりも低く支持体の幅方向に延在する低剛性部を設けた構成とすることで、低剛性部の位置で確実に山折りまたは谷折りすることができる。しかしながら、このような構成のみでは、経時および/または熱により折り曲げた形状が変化してしまうおそれがあることがわかった。
本発明者らの検討によれば、支持体の表面側のみに低剛性部を有する金属層(接続電極)を設ける構成の場合、山折りの頂部では、金属層には伸びる方向に力が加わり、支持体には縮む方向に力が加わる。一方、谷折りの底部では、金属層には縮む方向に力が加わり、支持体には伸びる方向に力が加わる。支持体は可撓性および絶縁性を有するものであるため基本的に樹脂により形成されている。従って、支持体と金属層とでは塑性変形の特性が異なるため、金属層が伸びる方向の山折りの頂部では折り曲げた形状を維持しやすいが、支持体が伸びる方向の谷折りの底部では折り曲げた形状を維持しにくくなる。そのため、経時および/または熱により底部の折り曲げ状態が維持できずに、蛇腹状に形成した熱電変換モジュール全体の形状が、熱電変換層および接続電極を形成していない裏面側にカールしてしまうことがわかった。
これに対して、本発明の熱電変換モジュール10は、支持体12の表面側に第1の低剛性部18aを有する第1の金属層18を有し、支持体12の裏面側にも第2の低剛性部22aを有する第2の金属層22を有し、第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aが長手方向の同じ位置に形成され、第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aにおいて、山折りおよび谷折りに交互に折れ曲がった構成を有する。
このような構成を有することにより、山折りの頂部では、第1の金属層(接続電極18)には伸びる方向に力が加わり、第2の金属層22には縮む方向に力が加わる。一方、谷折りの底部では、第1の金属層(接続電極18)には縮む方向に力が加わり、第2の金属層22には伸びる方向に力が加わる。第1の金属層および第2の金属層22は共に金属からなり塑性変形しやすいため、頂部および底部ともに、折り曲げた形状を維持することができる。そのため、経時および/または熱が加わった場合でも頂部および底部の折り曲げ状態を維持することができ、蛇腹状に形成した熱電変換モジュール全体の形状を維持することができる。これにより、連続駆動しても熱源から離間することを抑制でき、熱源との接触を維持できるので熱の利用効率の低下を防止でき、発電量の変化を少なくすることができる。
また、形状の変化が少ないので、接続電極と熱電変換層との剥離を抑制することができる。
モジュール10の折り曲げは、接続電極18を長手方向に折り曲げることで行う。幅方向に平行に他の領域よりも剛性の低い第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22a(以下、区別する必要が無い場合には、まとめて低剛性部ともいう)を有することにより、接続電極18を低剛性部の位置で選択的に折り曲げることができる。これにより、製造プロセスを複雑にすることなく、所定の折り曲げ位置で確実に折り曲げることができる。
ここで、第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aの形成間隔は長手方向に等間隔とすることが好ましい。これにより、全ての接続電極18において、山折り部の頂部および谷折り部の底部の位置を、揃えることができる。
前述のように、本発明のモジュール10は、図1における上下方向すなわち蛇腹状に折り返された山折り部(頂部、山部)と谷折り部(底部、谷部)との間に温度差を生じさせることで、発熱する。従って、全ての山折り部の頂部および谷折り部の底部の位置を、揃えることにより、高温側および低温側の接続電極18を、効率よく高温熱源および低温熱源に接触させることができ、熱の利用効率を向上して、効率の良い発電を行うことができる。
さらに、後に詳述するが、本発明のモジュール10の製造において、第1の低剛性部18aを有する接続電極18の形成、第2の低剛性部22aを有する第2の金属層22の形成、熱電変換層の形成、折り曲げ加工等は、全て、いわゆるロール・トゥ・ロールにより行うことができる。従って、モジュール10は、高い生産性で、かつ、良好な取り扱い性で製造できる熱電変換モジュールである。
長手方向における第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aの間隔は、蛇腹折り状のモジュール10に要求される高さ等に応じて、適宜、設定すればよい。逆に、モジュール10の高さに制限がある場合には、高さの制限に応じて長手方向における第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aの間隔を設定し、この第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aの間隔に応じて、長手方向の接続電極18、第2の金属層22、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの大きさを設定すればよい。
なお、モジュール10の高さとは、図1における図中上下方向のモジュール10の大きさであり、すなわち、高温熱源および低温熱源の配置方向のモジュール10の大きさである。
本発明のモジュール10において、第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aは、図示例のような破線状部に限定はされず、他の領域に比して剛性が低く、平面状の接続電極18および第2の金属層22を長手方向に折り曲げた際に、接続電極18内および第2の金属層22内において、その部分が選択的に折り曲がるものであれば、各種の構成が利用可能である。
一例として、幅方向に長尺なスリットを、幅方向に1個あるいは複数個配列して形成した低剛性部、他の領域よりも厚さが薄い肉薄部を幅方向と平行の溝状に形成した低剛性部等が挙げられる。
なお、幅方向の端部近傍には破線状部を有し、幅方向の中央部にはスリットを有する構成など、低剛性部は、複数の低剛性化方法を併用して形成されるものであってもよい。
ここで、低剛性部は、低剛性部となる領域に金属層(接続電極(第1の金属層)または第2の金属層)が存在するように形成する必要がある。すなわち、金属層を長手方向に見た際に、幅方向の少なくとも一部に、長手方向の全域に金属層が存在する領域を有するように、低剛性部を形成する必要がある。
幅方向に貫通するように、金属層が無い領域を形成すると、支持体12を折り曲げた後に、支持体12が有する弾性や剛性によって、支持体12が元の平面状に戻ってしまう可能性が有る。
これに対し、図示例のような破線状など、低剛性部において金属層が残った状態とすることで、支持体12を折り曲げた後でも、金属層の塑性変形によって支持体12が折れ曲がった状態を維持できる。また、図示例のモジュール10のように、第1の金属層が接続電極18を兼ねる場合でも、熱電変換層を電気的に接続できる。
なお、低剛性部における金属層の残存量は、金属層の厚さや剛性等に応じて、金属層の塑性変形により支持体12を折り曲げた状態が維持できる量を、適宜、設定すればよい。
また、折り曲げた頂部と底部の状態を均一にするために、第1の金属層(接続電極18)の材料の種類と第2の金属層22の材料の種類とは同じであることが好ましい。
同様に、第1の金属層(接続電極18)の厚みと第2の金属層22の厚みは同じであることが好ましい。
同様に、第1の金属層(接続電極18)の平面形状および寸法と第2の金属層22の平面形状および寸法は同じであることが好ましい。
また、折り曲げた頂部と底部の状態を均一にするために、第1の低剛性部18aの形状と第2の低剛性部22aの形状は同じであることが好ましい。
ここで、図1に示す例では、第2の金属層22は、長手方向に間隔を有して複数形成されており、各第2の金属層22が1つの第2の低剛性部22aを有する構成としたが、これに限定はされず、図4に示すように、第2の金属層22Bが支持体12の裏面側の全面に形成される構成とし、図5に示すように、全面に形成された第2の金属層22Bに長手方向に所定の間隔で複数の第2の低剛性部22aが形成された構成としてもよい。
また、図1に示す例では、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nは、支持体12の幅方向の全域に形成される構成としたが、これに限定はされず、図6に示す例のように、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの幅を支持体12の幅の半分以下とし、幅方向におけるp型熱電変換層14pの位置とn型熱電変換層16nの位置とを重複しないようにずらした構成としてもよい。このような構成とすることで、折り曲げた際に、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとの接触を防止できる。
また、本発明の熱電変換モジュールは、熱電変換層(p型熱電変換層14pまたはn型熱電変換層16n)および接続電極18に接する補助電極を有する構成とすることが好ましい。
図6に示す例は、p型熱電変換層14pと接続電極18との接続位置、ならびに、n型熱電変換層16nと接続電極18との接続位置のそれぞれに、熱電変換層(p型熱電変換層14pまたはn型熱電変換層16n)と接続電極18とに接する補助電極19を有する構成である。図6に示す例では、接続電極18の表面上に熱電変換層の端部が形成されており、熱電変換層の端部と接続電極18の表面の一部を覆うように補助電極19が形成される。このような補助電極を有することによって、熱電変換層と接続電極18との電気的な接続をより確実にすることができる。また、熱電変換層と接続電極18とが剥離することを抑制することができる。
補助電極19の大きさおよび形状は、モジュール10の大きさ、支持体12の幅、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの大きさ、電極間距離等に応じて、適宜、設定すればよい。
図6に示す例では、補助電極19は、幅方向の長さが、熱電変換層の長手方向の端辺を覆うことができる長さであり、長手方向の長さが接続電極18の長さよりも短い長方形状である。図6に示す例では、補助電極19は熱電変換層と接続電極18とのみ接触している。
また、補助電極19は、一部が支持体の一部を被覆する構成としてもよい。例えば、図7に示すように、補助電極19が略C形状であり、熱電変換層の長手方向の端辺を覆うと共に、熱電変換層の幅方向の端辺の一部を覆う構成としてもよい。図7に示す例では、補助電極19は熱電変換層と接続電極18と支持体12と接触している。
補助電極19の材料は、接続電極18の材料と同様の導電性材料が利用可能である。
また、図8に示す例のように、蛇腹状に折り曲げられた支持体12の幅方向の両端部に、折り返しごとに貫通孔23aが形成されて、複数の貫通孔23aを挿通する2つのワイヤー70を有する構成としてもよい。
図8に示す例では、p型熱電変換層14p、n型熱電変換層16nおよび接続電極18が、支持体12の幅方向の中央部に配置されている。これらが配置されていない支持体12の両端部側それぞれに、複数の貫通孔23aが形成されている。複数の貫通孔23aは折り返しごとに形成されており、蛇腹を閉じた状態とした際に、互いに重複する位置に形成されている。
また、貫通孔23aの形成位置の周縁部には、貫通孔の形成による支持体12の強度低下を防止するための補強部材23が配置されている。
蛇腹状のモジュール10にワイヤー70を挿通可能にすることで、ワイヤー70の両端部を結ぶなどして固定することができ、蛇腹状のモジュール10の形状を熱源表面の湾曲形状に沿った形状に保持することができる。
以下、本発明の熱電変換モジュール10の各部について詳細に説明する。
支持体12は、長尺であり、可撓性を有し、かつ、絶縁性を有するものである。
本発明のモジュール10において、支持体12は、可撓性および絶縁性を有するものであれば、可撓性支持体を用いる公知の熱電変換モジュールで利用されている長尺なシート状物(フィルム)が、各種、利用可能である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、トリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂、ガラスエポキシ、液晶性ポリエステル等により形成されるシート状物が例示される。
中でも、熱伝導率、耐熱性、耐溶剤性、入手の容易性、経済性等の点で、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等により形成されるシート状物は、好適に利用される。
支持体12の厚さは、支持体12の形成材料等に応じて、十分な可撓性を得られ、また、支持体12として機能する厚さを、適宜、設定すればよい。
本発明者らの検討によれば、支持体12の厚さは、25μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、13μm以下がさらに好ましい。
本発明のモジュール10は、山折りおよび谷折りに、交互に折れ曲がった状態を維持できる必要がある。モジュール10においては、接続電極18すなわち第1の金属層、および、第2の金属層22の塑性変形によって、この折れ曲がりを維持する。ここで、支持体12が厚いと、接続電極18および第2の金属層22が、支持体12の折れ曲がりを維持できなくなってしまう可能性が有る。これに対して、支持体12の厚さを25μm以下、好ましくは15μm以下にすることにより、接続電極18および第2の金属層22によるモジュール10の折れ曲がりの維持を、より好適にできる。
また、支持体12の厚さを25μm以下、好ましくは15μm以下にすることは、熱の利用効率を向上できる等の点でも好ましい。
なお、支持体12の長さおよび幅は、モジュール10の大きさや用途等に応じて、適宜、設定すればよい。
支持体12の一方の面には、長手方向に、一定間隔で、一定長さのp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを、交互に有している。
なお、本発明のモジュール10は、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの両者を有するものに限定はされない。すなわち、本発明のモジュールは、p型熱電変換層14pのみを間隔を有して長手方向に配列したものであってもよく、あるいは、n型熱電変換層16nのみを間隔を有して長手方向に配列したものであってもよい。
発電効率等の点からは、図示例のように、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの両者を有することが好ましい。
以下の説明では、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとを区別する必要がない場合には、両者をまとめて「熱電変換層」とも言う。
本発明のモジュール10において、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nは、公知の熱電変換材料により形成されるものが、各種、利用可能である。
p型熱電変換層14pやn型熱電変換層16nを構成する熱電変換材料としては、例えば、ニッケルまたはニッケル合金がある。
ニッケル合金は、温度差を生じることで発電するニッケル合金が、各種、利用可能である。具体的には、バナジウム、クロム、シリコン、アルミニウム、チタン、モリブデン、マンガン、亜鉛、錫、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、ジルコニウムなどの1成分、または2成分以上と混合したニッケル合金等が例示される。
p型熱電変換層14pおよび/またはn型熱電変換層16nに、ニッケルまたはニッケル合金を用いる場合、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nは、ニッケルの含有量が90原子%以上であることが好ましく、ニッケルの含有量が95原子%以上であることがより好ましく、ニッケルからなることが特に好ましい。ニッケルからなるp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nは、不可避的不純物を有するものも含む。
p型熱電変換層14pの熱電変換材料としてニッケル合金を用いる場合には、ニッケルおよびクロムを主成分とするクロメルが典型的なものである。また、n型熱電変換層16nの熱電材料としてニッケル合金を用いる場合には、銅およびニッケルを主成分とするコンスタンタンが典型的なものである。
p型熱電変換層14pおよび/またはn型熱電変換層16nとしてニッケルまたはニッケル合金を用いる場合に、接続電極18もニッケルまたはニッケル合金を用いる場合には、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nと接続電極18とを一体的に形成してもよい。
p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nに利用可能な熱電変換材料としては、ニッケルおよびニッケル合金以外にも、以下の材料が例示される。なお、括弧内は材料組成を示す。
BiTe系(BiTe、SbTe、BiSe及びこれらの化合物)、PbTe系(PbTe、SnTe、AgSbTe、GeTe及びこれらの化合物)、Si−Ge系(Si、Ge、SiGe)、シリサイド系(FeSi、MnSi、CrSi)、スクッテルダイト系(MX3、若しくはRM412と記載される化合物、ここでMはCo、Rh、Irを表し、XはAs、P、Sbを表し、RはLa、Yb、Ceを表す)、遷移金属酸化物系(NaCoO、CaCoO、ZnInO、SrTiO、BiSrCoO、PbSrCoO、CaBiCoO、BaBiCoO)、亜鉛アンチモン系(ZnSb)、ホウ素化合物(CeB、BaB、SrB、CaB、MgB、VB、NiB、CuB、LiB)、クラスター固体(Bクラスター、Siクラスター、Cクラスター、AlRe、AlReSi)、酸化亜鉛系(ZnO)などが挙げられる。
p型熱電変換層14pおよび/またはn型熱電変換層16nに用いられる熱電変換材料には、塗布または印刷により膜形成可能なペースト化可能な材料も利用可能である。
このような熱電変換材料としては、具体的には、導電性高分子または導電性ナノ炭素材料等の有機系熱電変換材料が例示される。
導電性高分子としては、共役系の分子構造を有する高分子化合物(共役系高分子)が例示される。具体的には、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフルオレン、アセチレン、ポリフェニレン等の公知のπ共役高分子等が例示される。特に、ポリジオキシチオフェンは、好適に使用できる。
導電性ナノ炭素材料としては、具体的には、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、熱電特性がより良好となる理由から、カーボンナノチューブが好ましく利用される。以下の説明では、「カーボンナノチューブ」を「CNT」とも言う。
CNTには、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、および複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。本発明においては、単層CNT、2層CNT、多層CNTを各々単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。特に、導電性および半導体特性において優れた性質を持つ単層CNTおよび2層CNTを用いることが好ましく、単層CNTを用いることがより好ましい。
単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。半導体性CNTと金属性CNTとを両方を用いる場合、両者の含有比率は、適宜調整することができる。また、CNTには金属等が内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたものを用いてもよい。
CNTの平均長さは特に限定されず、適宜選択することができる。具体的には、電極間距離にもよるが、製造容易性、成膜性、導電性等の観点から、CNTの平均長さは0.01〜2000μmが好ましく、0.1〜1000μmがより好ましく、1〜1000μmが特に好ましい。
また、CNTの直径は特に限定されないが、耐久性、透明性、成膜性、導電性等の観点から、0.4〜100nmが好ましく、50nm以下がより好ましく、15nm以下が特に好ましい。特に、単層CNTを用いる場合には、CNTの直径は、0.5〜2.2nmが好ましく、1.0〜2.2nmがより好ましく、1.5〜2.0nmが特に好ましい。
CNTには、欠陥のあるCNTが含まれていることがある。このようなCNTの欠陥は、熱電変換層の導電性を低下させるため、低減化することが好ましい。CNTの欠陥の量は、ラマンスペクトルのG−バンドとD−バンドとの比率G/Dにより見積もることができる。G/D比が高いほど、欠陥の量が少ないCNT材料であると推定できる。CNTは、G/D比が10以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましい。
本発明においては、CNTを修飾または処理したCNTも利用可能である。修飾方法および処理方法としては、フェロセン誘導体または窒素置換フラーレン(アザフラーレン)を内包する方法、イオンドーピング法によりアルカリ金属(カリウム等)または金属元素(インジウム等)をCNTにドープする方法、真空中でCNTを加熱する方法等が例示される。
また、p型熱電変換層14pおよび/またはn型熱電変換層16nにCNTを利用する場合には、単層CNTおよび多層CNTの他に、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノビーズ、グラファイト、グラフェン、アモルファスカーボン等のナノカーボンが含まれてもよい。
p型熱電変換層14pおよび/またはn型熱電変換層16nにCNTを利用する場合、熱電変換層にはp型ドーパントまたはn型ドーパントを含むことが好ましい。
(p型ドーパント)
p型ドーパントとしては、ハロゲン(ヨウ素、臭素等)、ルイス酸(PF5、AsF5等)、プロトン酸(塩酸、硫酸等)、遷移金属ハロゲン化物(FeCl3、SnCl4等)、金属酸化物(酸化モリブデン、酸化バナジウム等)、有機の電子受容性物質等が例示される。有機の電子受容性物質としては、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジメチル−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2−フルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,5−ジフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン等のテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、テトラフルオロ−1,4−ベンゾキノン等のベンゾキノン誘導体等、5,8H−5,8−ビス(ジシアノメチレン)キノキサリン、ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル等が好適に例示される。
また、p型ドーパントとして下記に示す、アミンの強酸塩(例えば、塩化アンモニウム、塩化トリメチルアンモニウムなど)、窒素原子含有の複素環式化合物の強酸塩(例えば、ピリジン塩酸塩、イミダゾール塩酸塩など)、も好適に用いることができる。
上記p型ドーパントの中でも、材料の安定性、CNTとの相溶性等の点で、アミンの強酸塩、窒素原子含有の複素環式化合物の強酸塩、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)誘導体またはベンゾキノン誘導体等の有機の電子受容性物質は好適に例示される。
p型ドーパントは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(n型ドーパント)
n型ドーパントとしては、(1)ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、(2)トリフェニルホスフィン、エチレンビス(ジフェニルホスフィン)等のホスフィン類、(3)ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のポリマー類等の公知の材料を用いることができる。
また、例えば、ポリアルキレングリコール型の高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、フェノールまたはナフトール等のアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、油脂のアルキレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−アルキレンオキサイドブロックコポリマー、および、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等挙げられる。また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシアルキレン付加物も同様に使用することができる。
また、n型ドーパントとして、下記に示す、アンモニウム塩も好適に用いることができる。

上記n型ドーパントの中でも、大気中での安定なn型特性維持等の点で、上記のポリアルキレンオキサイド系の化合物及びアンモニウム塩は好適に例示される。
n型ドーパントは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nとしては、樹脂材料(バインダ)に、熱電変換材料を分散してなる熱電変換層も好適に利用される。
中でも、樹脂材料に導電性ナノ炭素材料を分散してなる熱電変換層は、より好適に例示される。その中でも、高い導電性が得られる等の点で、樹脂材料にCNTを分散してなる熱電変換層は、特に好適に例示される。
樹脂材料は、公知の各種の非導電性の樹脂材料(高分子材料)が利用可能である。
具体的には、ビニル化合物、(メタ)アクリレート化合物、カーボネート化合物、エステル化合物、エポキシ化合物、シロキサン化合物、ゼラチン等が例示される。
より具体的には、ビニル化合物としては、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルフェノール、ポリビニルブチラール等が例示される。(メタ)アクリレート化合物としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリフェノキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリベンジル(メタ)アクリレート等が例示される。カーボネート化合物としては、ビスフェノールZ型ポリカーボネート、および、ビスフェノールC型ポリカーボネート等が例示される。エステル化合物としては、非晶性ポリエステルが例示される。
好ましくは、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、(メタ)アクリレート化合物、カーボネート化合物、エステル化合物が例示され、より好ましくは、ポリビニルブチラール、ポリフェノキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリベンジル(メタ)アクリレート、および、非晶性ポリエステルが例示される。
樹脂材料に熱電変換材料を分散してなる熱電変換層において、樹脂材料と熱電変換材料との量比は、用いる材料、要求される熱電変換効率、印刷に影響する溶液の粘度または固形分濃度等に応じて、適宜設定すればよい。
また、p型熱電変換層14pおよび/またはn型熱電変換層16nにCNTを利用する場合には、CNTと界面活性剤とを含む熱電変換層も好適に利用される。
熱電変換層をCNTと界面活性剤とを用いて構成することにより、熱電変換層を界面活性剤を添加した塗布組成物により形成できる。そのため、熱電変換層の形成を、CNTを無理なく分散した塗布組成物により行うことができる。その結果、長くて欠陥が少ないCNTを多く含む熱電変換層によって、良好な熱電変換性能が得られる。
界面活性剤は、CNTを分散させる機能を有するものであれば、公知の界面活性剤を使用することができる。より具体的には、界面活性剤は、水、極性溶媒、水と極性溶媒との混合物に溶解し、CNTを吸着する基を有するものであれば、各種の界面活性剤が利用可能である。
従って、界面活性剤は、イオン性でも非イオン性でもよい。また、イオン性の界面活性剤は、カチオン性、アニオン性および両性のいずれでもよい。
アニオン性界面活性剤の一例として、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸系界面活性剤、モノソープ系アニオン性界面活性剤、エーテルサルフェート系界面活性剤、フォスフェート系界面活性剤およびデオキシコール酸ナトリウムまたはコール酸ナトリウム等のカルボン酸系界面活性剤、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、および、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等の水溶性ポリマー等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等が例示される。両性界面活性剤としては、アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤等が例示される。
さらに、非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル等の糖エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステルどの脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤等が例示される。
中でも、イオン性の界面活性剤は好適に利用され、その中でも、コール酸塩またはデオキシコール酸塩は好適に利用される。
CNTと界面活性剤とを有する熱電変換層においては、界面活性剤/CNTの質量比が5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
界面活性剤/CNTの質量比を5以下とすることにより、より高い熱電変換性能が得られる等の点で好ましい。
なお、有機系熱電変換材料により形成される熱電変換層は、必要に応じて、SiO2、TiO2、Al23、ZrO2等の無機材料を有してもよい。
なお、熱電変換層が、無機材料を含有する場合には、その含有量は20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
このようなp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nは、公知の方法で形成すればよい。一例として、以下の方法が挙げられる。
まず、熱電変換材料と、界面活性剤などの必要な成分とを含有する、熱電変換層を形成するための塗布組成物を調製する。
次いで、調製した熱電変換層を形成するための塗布組成物を、形成する熱電変換層に応じてパターンニングしながら塗布する。この塗布組成物の塗布は、マスクを使う方法、印刷法等、公知の方法で行えばよい。
塗布組成物を塗布した後、樹脂材料に応じた方法で塗布組成物を乾燥して、熱電変換層を形成する。なお、必要に応じて、塗布組成物を乾燥した後に、紫外線照射等による塗布組成物(樹脂材料)の硬化を行ってもよい。
また、絶縁性基板表面全面に、熱電変換層を形成するための塗布組成物を塗布し、乾燥した後、エッチング等によって、熱電変換層をパターン形成してもよい。
なお、CNTと界面活性剤とを含む熱電変換層を形成する場合には、塗布組成物によって熱電変換層を形成した後、熱電変換層を界面活性剤を溶解する溶剤に浸漬するか、または、熱電変換層を界面活性剤を溶解する溶剤により洗浄し、その後、乾燥することで、熱電変換層を形成することが好ましい。
これにより、熱電変換層から界面活性剤を除去して、界面活性剤/CNTの質量比が極めて小さい、より好ましくは界面活性剤が存在しない、熱電変換層を形成できる。
熱電変換層は、印刷によってパターン形成することが好ましい。
印刷方法は、スクリーン印刷、メタルマスク印刷、インクジェット等の公知の各種の印刷法が利用可能である。なお、CNTを含有する塗布組成物を用いて熱電変換層をパターン形成する場合は、メタルマスク印刷を用いることがより好ましい。
印刷条件は、用いる塗布組成物の物性(固形分濃度、粘度、粘弾性物性)、印刷版の開口サイズ、開口数、開口形状、印刷面積等により、適宜設定すればよい。
なお、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを、前述のニッケル、ニッケル合金、BiTe系材料等の無機材料を用いて形成する場合には、このような塗布組成物を用いる形成方法以外にも、スパッタリング法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、メッキ法またはエアロゾルデポジッション法等の成膜方法を用いて、熱電変換層を形成することも可能である。
あるいは、熱電変換層を別に形成して、接続電極18に接合して作製することもできる。例えば、膜状のCNTであるバッキーペーパーを接合電極18の配置間隔に合わせて裁断し、接続電極18に接合して作製してもよい。
p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの大きさは、モジュール10の大きさ、支持体12の幅、接続電極18の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。なお、本発明において、各構成の大きさは、支持体12の面方向の大きさを意味する。
なお、前述のように、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nは、長手方向には同じ長さである。また、熱電変換層は、一定間隔で形成されるので、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nは、同一の間隔で交互に形成される。
p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの厚さは、熱電変換層の形成材料等に応じて、適宜、設定すればよいが、1〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましく、3〜15μmが特に好ましい。
p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの厚さを上記範囲とすることにより、良好な電気伝導性が得られる、良好な印刷適性が得られる等の点で好ましい。
なお、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとは、厚さが同じでも異なってもよいが、同程度の厚さであることが好ましい。
また、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの厚さは、第1の金属層を兼ねる接続電極18よりも薄いことが好ましい。第1の金属層と接続電極とが別々の場合には、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの厚さは、第1の金属層よりも薄いことが好ましい。
このような構成により、後述するように蛇腹状のモジュール10を長手方向に圧縮した際において、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとの接触を生じ難くすることができる。
モジュール10において、支持体12のp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの形成面には、接続電極18が形成される。
接続電極18は、長手方向に交互に形成されたp型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとを直列で電気的に接続するものである。前述のように、図1に示す例において、熱電変換層は、長手方向に一定長さのものが一定間隔で形成される。従って、接続電極18も、一定長さのものが一定間隔で形成される。
なお、本発明のモジュール10において、後述する接続電極18(第1の金属層)に形成される第1の低剛性部18aの間隔が長手方向に一定間隔であれば、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16n、接続電極18は、長手方向の長さおよび間隔は、必ずしも一定である必要は無い。接続電極と第1の金属層とを別々に形成する場合には、第1の金属層の長手方向の長さおよび間隔も、同様である。
また、モジュール10においては、熱電変換層同士や接続電極18同士で、長さ、形成間隔等が、互いに異なるものが存在してもよい。
接続電極18の形成材料は、必要な導電率を有するものであれば、各種の導電性材料により形成可能である。
具体的には、銅、銀、金、白金、ニッケル、アルミニウム、コンスタンタン、クロム、インジウム、鉄、銅合金などの金属材料、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)等の各種のデバイスで透明電極として利用されている材料等が例示される。中でも、銅、金、銀、白金、ニッケル、銅合金、アルミニウム、コンスタンタン等が好ましく、銅、金、銀、白金、ニッケルがより好ましく、銅、銀が最も好ましい。銅の公知材料としては、ACP-100、ACP-2100AX(いずれも株式会社アサヒ化学研究所製)、銀の公知材料としては、FA-333、FA-353N、FA-451A、FA-705BN(いずれも藤倉化成株式会社製)が例示できる。
また、接続電極18は、例えば、クロム層の上に銅層を形成してなる構成等、積層電極であってもよい。
なお、接続電極と第1の金属層とを、別々に形成する場合には、第1の金属層の形成材料としては、ステンレス鋼などを含む公知の金属材料が全て利用可能であり、上述した金属材料は好適に例示される。
前述のように、図1に示すモジュール10において、接続電極18は、第1の金属層も兼ねるものである。従って、接続電極18には、幅方向に平行な第1の低剛性部18aが形成される。
第1の低剛性部18aは、長手方向に一定間隔で形成される。
第1の低剛性部18aは、接続電極18において他の部分よりも剛性が低い部分であり、すなわち、他の部分よりも折り曲げ易い部分である。
図2に、モジュール10を部分拡大した平面図を概念的に示す。図2の平面図は、モジュール10を支持体12の表面(最大面)と直交する方向から見た図であり、モジュール10を図1の図中上方から見た図である。
図1に示すモジュール10においては、接続電極18によって幅方向に平行な破線状部を形成することで、幅方向と平行な第1の低剛性部18aを形成している。言い換えれば、接続電極18に、電極(金属)が有る部分と無い部分とを、幅方向に交互に形成することで、第1の低剛性部18aを形成している。
接続電極18の大きさは、モジュール10の大きさ、支持体12の幅、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
接続電極18の厚さは、形成材料に応じて、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとを十分な導電性を確保できる厚さを、適宜、設定すればよい。
ここで、接続電極18が第1の金属層を兼ねるモジュール10においては、接続電極18の厚さは、3μm以上であることが好ましく、6μm以上であることがより好ましい。さらに、接続電極18の厚さは、支持体12の厚さよりも厚いことが好ましい。
接続電極18の厚さが、上記条件を満たすことにより、電極として十分な導電性を確保できるのみならず、接続電極18の塑性変形によって、モジュール10を蛇腹状に折り曲げた状態を好適に維持できる。
図示例のモジュール10は、構成が簡易であり、かつ、製造も容易に行える観点から、接続電極18が、低剛性部を有する第1の金属層を兼ねている。言い換えれば、図示例のモジュール10は、低剛性部を有する第1の金属層が接続電極を兼ねている。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、接続電極と第1の金属層とを、別々に形成してもよい。例えば、隣接するp型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとの間に、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとは電気的に離間して低剛性部を有する第1の金属層を形成し、幅方向の端部近傍など、幅方向の第1の金属層よりも外側に、第1の金属層とは電気的に離間して、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとを接続する接続電極を設けてもよい。
この場合において、第1の金属層の厚さは、前述の第1の金属層を兼ねる接続電極18の厚さに準じて設定すればよい。また、接続電極の厚さは、接続電極の形成材料や面方向の大きさ等に応じて、十分な導電性が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
モジュール10において、支持体12の裏面には、第2の金属層22が形成される。
第2の金属層22は、支持体12の長手方向において、接続電極18(第1の金属層)に形成される第1の低剛性部18aと同じ位置に第2の低剛性部22aを形成することができる位置に配置されていればよい。前述のように、図1に示す例においては、接続電極18と同じ長さの第2の金属層22が同じ配置間隔で配置されている。
なお、本発明のモジュール10において、第2の低剛性部22aの間隔が長手方向に一定間隔であれば、第2の金属層22は、長手方向の長さおよび間隔は、必ずしも一定である必要は無い。また、前述のように、第2の金属層22は、支持体12の裏面の全面に形成される構成としてもよい。
また、モジュール10においては、第2の金属層22同士で、長さ、形成間隔等が、互いに異なるものが存在してもよい。
第2の金属層22の形成材料は、公知の金属材料が全て利用可能であり、上述した接続電極18に用いられる金属材料は好適に例示される。また、第2の金属層22は、接続電極18(第1の金属層)と同じ種類の材料により形成されることが好ましい。
前述のとおり、第2の金属層22には、第2の低剛性部22aが長手方向に一定間隔で形成される。
第2の低剛性部22aは、第2の金属層22において他の部分よりも剛性が低い部分であり、すなわち、他の部分よりも折り曲げ易い部分である。
図3に、モジュール10を部分拡大した平面図を概念的に示す。図3の平面図は、モジュール10を支持体12の裏面(最大面)と直交する方向から見た図であり、モジュール10を図1の図中下方から見た図である。
図1に示すモジュール10においては、第2の金属層22によって幅方向に平行な破線状部を形成することで、幅方向と平行な第2の低剛性部22aを形成している。言い換えれば、第2の金属層22に、金属が有る部分と無い部分とを、幅方向に交互に形成することで、第2の低剛性部22aを形成している。
第2の金属層22の大きさは、モジュール10の大きさ、支持体12の幅、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの大きさ、接続電極18の大きさ、第1の金属層の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
第2の金属層22の厚さは、3μm以上であることが好ましく、6μm以上であることがより好ましい。さらに、第2の金属層22の厚さは、支持体12の厚さよりも厚いことが好ましい。
第2の金属層22の厚さが、上記条件を満たすことにより、第2の金属層22の塑性変形によって、モジュール10を蛇腹状に折り曲げた状態を好適に維持できる。
以下、図9〜図17の概念図を参照して、本発明のモジュール10の製造方法の一例を説明する。
なお、接続電極と第1の金属層とが、別々である構成の熱電変換モジュールも、基本的に、同様に製造できる。
以下の製造方法は、いわゆるロール・トゥ・ロールを利用する方法である。以下の説明では、「ロール・トゥ・ロール」を「RtoR」とも言う。
周知のようにRtoRとは、長尺な被処理体を巻回してなるロールから、被処理体を引き出して、被処理体を長手方向に搬送しつつ、成膜、表面処理等の各種の処理を行い、処理済の被処理体を、ロール状に巻回する方法である。
本発明のモジュール10は、このようなRtoRによる製造が可能である。すなわち、モジュール10は、生産性が良好であり、さらに、25μm以下、好ましくは15μm以下という薄い支持体12を利用した場合でも、製造途中の工程における中間の構造体の取り扱い性も良好である。
なお、以下に説明する製造方法おいて、ロールからの支持体12の繰り出し、支持体12の搬送、処理済の支持体12の巻取り等の各種の操作は、RtoRを行う装置で採用される公知の方法で行えばよい。
まず、図9に示すような、支持体12の表面および裏面の全面に銅箔などの金属膜12Mが形成された積層体12Aを巻回してなるロール12ARを用意する。
次いで、図10に示すように、ロール12ARから積層体12Aを引き出して、長手方向に搬送しつつ、エッチング装置20Aおよび20Bによって、金属膜12Mのエッチングを行う。この金属膜12Mのエッチングによって、不要な金属膜12Mを除去して、支持体の表面に長手方向に一定間隔で一定長さの接続電極18を形成し、かつ、接続電極18に、幅方向に平行な第1の低剛性部18aを長手方向に一定間隔で形成する。同時に、支持体の裏面に長手方向に一定間隔で一定長さの第2の金属層22を形成し、かつ、第2の金属層22に、幅方向に平行な第2の低剛性部22aを長手方向に一定間隔で形成する。
図11に、図10における領域Cの表面の平面図を示す。また、図12に、図10における領域Cの裏面の平面図を示す。図10〜図14においては、構成を分かりやすくするために、接続電極18および第2の金属層22にハッチングを付している。
図9および図10では図示は省略するが、接続電極18、第1の低剛性部18a、第2の金属層22および第2の低剛性部22aを形成した支持体12Bは、ロール状に巻回して、支持体ロール12BRとする。
金属膜12Mのエッチングによる接続電極18、第1の低剛性部18a、第2の金属層22および第2の低剛性部22aの形成は、公知の方法で行えばよい。一例として、レーザビームによるアブレーションによって金属膜12Mを除去する方法、フォトリソグラフィによってエッチングする方法等が例示される。
次いで、図13に示すように、支持体ロール12BRから支持体12Bを引き出し、長手方向に搬送しつつ、エッチングによって露出した支持体12の表面に、成膜装置24によって、p型熱電変換層14pとn型熱電変換層16nとを交互に形成する。図14に、図13における領域Bの表面の平面図を示す。
図示は省略するが、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを形成した支持体12Cは、ロール状に巻回して、支持体ロール12CRとする。
なお、成膜装置24によるp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nの形成は、前述のように、スクリーン印刷、メタルマスク印刷等の印刷法で行えばよい。
また、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nが無機材料により形成される場合には、スパッタリング、真空蒸着等の成膜方法によって形成してもよいのは、前述のとおりである。
さらに、図15に示すように、支持体ロール12CRから支持体12Cを引き出し、長手方向に搬送しつつ、低剛性部の長手方向の間隔よりも狭いピッチを有し、互いに歯合する歯車26aと歯車26bとの間を通すことにより、支持体12Cを折り曲げ加工して、本発明のモジュール10を作製する。
前述のように、支持体12Cには長手方向に一定間隔で幅方向に平行な第1の低剛性部18aおよび第2の低剛性部22aが形成されている。また、歯車26aおよび26bは、低剛性部の間隔よりも狭いピッチを有する。従って、支持体12Cは、低剛性部において山折りまたは谷折りに折り曲げられ、全ての山折り部の頂部および谷折り部の底部の位置が揃った、蛇腹状のモジュール10が製造できる。
さらに、必要に応じて、図16に示すように、長手方向の低剛性部の間隔に応じた間隔を有する上板28と下板30との間にモジュール10を挿入し、図17に示すように、押圧部材32によって付当て部34に押圧して、折り曲げたモジュール10を長手方向に圧縮することにより、図18に示すように、モジュール10の折り曲げの状態を調節してもよい。
以上のように、本発明のモジュール10は、RtoRを利用して、高い生産性で製造することができる。
また、RtoRを利用できるため、例えば、接続電極18および第2の金属層22を形成した支持体12B、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを形成した支持体12Cなど、モジュール10の製造における中間の構造体をロール状に巻回した状態で取り扱うことができる。そのため、支持体12が25μm以下、好ましくは15μm以下の薄膜であっても、良好な取り扱い性を確保できる。
本発明の熱電変換モジュールの製造方法は、以上の例に限定はされない。
例えば、以上の例は、接続電極18と第2の金属層22とを同時に形成したが、これに限定はされず、接続電極18と第2の金属層22とを別々に形成してもよく、接続電極18を先に形成しても、第2の金属層22を先に形成してもよい。例えば、接続電極18を形成した後に、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを形成し、その後、第2の金属層22を形成してもよい。
また、接続電極18と第1の低剛性部18aとを同時に形成したが、本発明はこれに限定はされず、別々に形成してもよい。例えば、接続電極18を形成した後に、p型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを形成し、その後、第1の低剛性部18aを形成してもよい。
また、第2の金属層22と第2の低剛性部22aとを同時に形成したが、本発明はこれに限定はされず、別々に形成してもよい。
あるいは、支持体12の表面および裏面の全面に銅箔が形成された積層体12Aを用いるのではなく、通常の樹脂フィルムなどを支持体12として用い、支持体12の表面に印刷等によってp型熱電変換層14pおよびn型熱電変換層16nを形成して、その後、スパッタリングあるいは真空蒸着によって接続電極18を形成し、さらに、スパッタリングあるいは真空蒸着によって第2の金属層22を形成し、その後、接続電極18に第1の低剛性部18aを形成し、第2の金属層に第2の低剛性部22aを形成してもよい。
また、折り曲げ加工は、互いに歯合する歯車を用いる方法以外にも、例えば、長手方向の低剛性部の間隔よりも狭い凹凸を有するプレス板等によって、押圧する方法等も利用可能である。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔実施例1〕
<金属層の作製>
支持体として厚み25μmのポリイミドフィルムを用い、この支持体の表面に厚さ6μmの銅箔を接着し、裏面に厚さ50μmのSUS304箔を接着した、両面が異なる金属により形成される積層体(宇部エクシモ株式会社製)を作製した。
この積層体をカット加工により、外形113mm×65mmにカットした。
さらに、積層体にエッチング処理を行い、表面側には接続電極として銅箔の短冊形状部(支持体の長手方向5mm×幅方向47mm)を支持体の長手方向に10mmピッチで11本形成し、裏面側には第2の金属層としてSUS箔の短冊形状部(支持体の長手方向3mm×幅方向47mm)を長手方向に10mmピッチで11本を形成した。このとき、接続電極(銅箔)と第2の金属層(SUS箔)の短冊形状部の中心を合わせるように設置し、かつ、その長手方向中央部には幅0.12mm×長さ1mmで3mmピッチのスリット部を形成することで低剛性部を形成した。
<熱電変換層の作製>
(p型熱電変換層用CNT分散液の調製)
デオキシコール酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)112.5mgと、単層CNTであるEC1.5(株式会社名城ナノカーボン製)37.5mgとに、水15mlを添加し、ホモジナイザーHF93(株式会社エスエムテー製)にて18000rpmで5分間分散した。その後、フィルミックス40−40型(プライミクス株式会社製)にて高せん断力を用いた分散処理(周速40m/s、2.5分間攪拌)を2回行い、p型熱電変換層用のCNT分散液を得た。
なお、上記により得られたp型熱電変換層用のCNT分散液をポリイミド基板に印刷し、熱電特性測定装置MODEL RZ2001i(オザワ科学株式会社製)を用いて評価したところ、温度100℃で導電率650S/cm、ゼーベック係数50μV/Kの値を得た。
(n型熱電変換層用CNT分散液の調製)
デオキシコール酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)112.5mgとエマルゲン350(ポリオキシエチレンステアリルエーテル:花王株式会社製)37.5mgと、単層CNTであるEC1.5(株式会社名城ナノカーボン製)37.5mとに、水15mlを添加し、ホモジナイザーHF93(株式会社エスエムテー製)にて18000rpmで5分間分散した。その後、フィルミックス40−40型(プライミクス株式会社製)にて高せん断力を用いた分散処理(周速40m/s、2.5分間攪拌)を2回行い、n型熱電変換層用のCNT分散液を得た。
なお、上記により得られたn型熱電変換層用のCNT分散液をポリイミド基板に印刷し、熱電特性測定装置MODEL RZ2001i(オザワ科学株式会社製)を用いて評価したところ、温度100℃で導電率920S/cm、ゼーベック係数−46μV/Kの値を得た。
(熱電変換層の形成)
p型熱電変換層用CNT分散液を、支持体の表面側の銅箔の短冊形状部の間に、1つおきに、支持体の長手方向8mm、幅方向22mmで5か所に印刷した。
次に、n型熱電変換層用CNT分散液を、支持体の表面側の、p型熱電変換層用CNT分散液が印刷されていない銅箔の短冊形状部の間に、支持体の長手方向8mm、幅方向22mmで5か所に印刷した。
さらに、エタノールに30分間浸漬したのち、24時間室温で乾燥させて熱電変換層を形成した。なお、熱電変換層は、支持体の長手方向の両端部で隣接する接続電極と接するように形成されている。
(折り曲げ加工)
熱電変換層を形成した支持体を、低剛性部の位置で山折りおよび谷折りに交互に折り曲げて蛇腹状に加工した。
さらに、5枚の蛇腹状のモジュールを銀ペーストFA-705BN(藤倉化成株式会社製)を用いて直列に接続し、下記の評価を行なった。
<評価>
作製した蛇腹状のモジュールの初期性能(抵抗、発電量)とサイクル試験後の性能(発電量)を評価した。
(初期性能:抵抗)
ソースメーター2450(ケースレー社製)を用い、0〜20mVの範囲を1mVステップで電圧を掃引し、得られたV−I特性の傾きから抵抗値を算出した。
(初期性能:発電量)
φ80mmのパイプ型ヒーター上に熱伝導シートTC−100TXS2(信越化学工業株式会社製)を用いて蛇腹状モジュールを接着、固定した。ヒーターを120℃に加熱し、ソースメーター2450を用い、0〜20mVの範囲において1mVステップで電圧を掃引した。得られたV−I特性の傾きから抵抗値を、切片から開放電圧を算出した。
得られた抵抗値と開放電圧を用い、下記式より発電量を算出した。
(発電量)=0.25×(開放電圧)2/(抵抗)
(サイクル試験:発電量の変化率)
120℃のパイプ型ヒーター上で3時間連続駆動させたのち、ヒーターを切り室温まで冷却し、再度120℃で3時間連続駆動させた。この動作を10回行い、前述の測定法により発電量を求め、初期発電量からの変化率を求めた。
〔実施例2〕
第2の金属層であるSUS304箔の短冊形状部の支持体の長手方向の長さを5mm、すなわち、接続電極の長さと同じにした以外は実施例1と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
〔実施例3〕
第2の金属層を厚み12.5μmの銅箔に変更した以外は実施例1と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
〔実施例4〕
第2の金属層を厚み6μmの銅箔に変更した以外は実施例1と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
〔実施例5〕
第2の金属層を厚み6μmの銅箔に変更した以外は実施例2と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
〔実施例6〕
以下のようにして、熱電変換層と接続電極との接続位置に補助電極を形成した以外は実施例5と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
補助電極の材料として銀ペーストFA−333(藤倉化成株式会社製)を用い、支持体の長手方向の両端部の熱電変換層と接続電極との接続位置で、熱電変換層の1mmと接続電極の1mmとを覆い、かつ、支持体の幅方向の長さが熱電変換層の長さと一致した長さとなるようにスクリーン印刷法で印刷した。印刷後、120℃のホットプレートで10分乾燥して補助電極を形成した。
〔実施例7〕
支持体の幅方向の長さが熱電変換層の長さよりも1mm長くなるように補助電極を形成した以外は実施例6と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
〔実施例8〕
さらに、熱電変換層と接続電極との接続位置の支持体の幅方向の両端部を支持体の長手方向2mm×幅方向1mmで熱電変換層と支持体を覆うように略C形状の補助電極を形成した以外は実施例7と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
このとき、支持体の幅方向の熱電変換層と補助電極の重なり幅は0.5mmとした。
〔比較例1〕
第2の金属層を有さない以外は実施例5と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
〔比較例2〕
第2の金属層を、蛇腹状に折り曲げた際に底部(谷部)となる位置のみに形成し、頂部(山部)に形成しなかった以外は実施例5と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
〔実施例9〕
熱電変換層を下記のようにして形成した以外は、実施例7と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
(CNTバッキーペーパーの調製)
単層CNTであるEC1.5(株式会社名城ナノカーボン製)800mgに、アセトン(和光純薬株式会社製)400mlを添加し、ホモジナイザーHF93(株式会社エスエムテー製)にて18000rpmで5分間分散し、CNT分散液を得た。次に、これをφ125mmの定性濾紙No.2(アドバンテック東洋株式会社製)を用いてろ過した後、ホットプレート上で50℃、30分間、次に120℃、30分間乾燥することで、CNTバッキーペーパーを調製した。
(p型CNTバッキーペーパーの調製)
ピリジン塩酸塩(東京化成工業株式会社製)670mgをメタノール620ml(和光純薬株式会社製)に溶解した液に、上記で調製したバッキーペーパー1枚を2時間浸漬した。次に温度30℃に設定した真空検体乾燥機HD−200(株式会社石井理化機器製作所製)を用い、ゲージ圧−0.1MPaの条件下で、浸漬後のバッキーペーパーを4時間、真空乾燥処理した。
次にロールプレスSA−602(テスター産業株式会社製)を用い、ロール回転速度1.0m/min、荷重20kNの条件でプレスすることで、厚み33μmのp型CNTバッキーペーパーを得た。p型CNTバッキーペーパーにおいて、ピリジン塩酸塩がドーパントである。
なお、このp型CNTバッキーペーパーを、熱電特性測定装置MODEL RZ2001i(オザワ科学株式会社製)を用いて評価したところ、温度100℃で導電率1700S/cm、ゼーベック係数65μV/Kの値を得た。
(n型CNTバッキーペーパーの調製)
メチルトリ‐n‐オクチルアンモニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)2.17gをメタノール520ml(和光純薬株式会社製)に溶解した液に、上記で調製したバッキーペーパー1枚を2時間浸漬した。次に温度30℃に設定した真空検体乾燥機HD−200(株式会社石井理化機器製作所製)を用い、ゲージ圧−0.1MPaの条件下で、浸漬後のバッキーペーパーを4時間、真空乾燥処理した。
次にロールプレスSA−602(テスター産業株式会社製)を用い、ロール回転速度1.0m/min、荷重20kNの条件でプレスすることで、厚み34μmのn型CNTバッキーペーパーを得た。n型CNTバッキーペーパーにおいて、メチルトリ‐n‐オクチルアンモニウムクロリドがドーパントである。
なお、このn型CNTバッキーペーパーを、熱電特性測定装置MODEL RZ2001i(オザワ科学株式会社製)を用いて評価したところ、温度100℃で導電率2100S/cm、ゼーベック係数−61μV/Kの値を得た。
(熱電変換層の形成)
上記で調製したp型CNTバッキーペーパー、および、n型CNTバッキーペーパーそれぞれを、8mm×22mmのサイズにカットし、p型熱電変換素子およびn型熱電変換素子を形成した。
次に、実施例5と同様の方法で作製した支持体の銅箔(接続電極)上の、熱電変換素子を実装する複数の箇所にそれぞれ銀ペーストFA−333(藤倉化成株式会社製)を支持体の長手方向2mm、幅方向22mmで印刷した。銀ペーストを印刷した銅箔の所定の位置に、n型CNT熱電変換素子およびp型CNT熱電変換素子を貼着したのち、120℃のホットプレートで10分乾燥させた。
(補助電極の形成)
実施例7と同様の方法により、熱電変換層と接続電極との接続位置に補助電極を形成した。
〔実施例10〕
熱電変換層を下記のようにして形成した以外は、実施例7と同様にして蛇腹状のモジュールを作製し、評価を行なった。
(CNTバッキーペーパーの調製)
単層CNTであるEC1.5(株式会社名城ナノカーボン製)200mgに、アセトン(和光純薬株式会社製)400mlを添加し、ホモジナイザーHF93(株式会社エスエムテー製)にて18000rpmで5分間分散し、CNT分散液を得た。次に、これをφ125mmの定性濾紙No.2(アドバンテック東洋株式会社製)を用いてろ過した後、ホットプレート上で50℃、30分間、次に120℃、30分間乾燥することで、CNTバッキーペーパーを調製した。
(p型CNTバッキーペーパーの調製)
ピリジン塩酸塩(東京化成工業株式会社製)170mgをメタノール620ml(和光純薬株式会社製)に溶解した液に、上記で調製したバッキーペーパー1枚を2時間浸漬した。次に温度30℃に設定した真空検体乾燥機HD−200(株式会社石井理化機器製作所製)を用い、ゲージ圧−0.1MPaの条件下で、浸漬後のバッキーペーパーを4時間、真空乾燥処理した。
次にロールプレスSA−602(テスター産業株式会社製)を用い、ロール回転速度1.0m/min、荷重20kNの条件でプレスすることで、厚み5.2μmのp型CNTバッキーペーパーを得た。
なお、このp型CNTバッキーペーパーを、熱電特性測定装置MODEL RZ2001i(オザワ科学株式会社製)を用いて評価したところ、温度100℃で導電率3800S/cm、ゼーベック係数68μV/Kの値を得た。
(n型CNTバッキーペーパーの調製)
メチルトリ‐n‐オクチルアンモニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)543mgをメタノール520ml(和光純薬株式会社製)に溶解した液に、上記で調製したバッキーペーパー1枚を2時間浸漬した。次に温度30℃に設定した真空検体乾燥機HD−200(石井理化機器製作所株式会社製)を用い、ゲージ圧−0.1MPaの条件下で、浸漬後のバッキーペーパーを4時間、真空乾燥処理した。
次にロールプレスSA−602(テスター産業株式会社製)を用い、ロール回転速度1.0m/min、荷重20kNの条件でプレスすることで、厚み9.1μmのn型CNTバッキーペーパーを得た。
なお、このn型CNTバッキーペーパーを、熱電特性測定装置MODEL RZ2001i(オザワ科学株式会社製)を用いて評価したところ、温度100℃で導電率3290S/cm、ゼーベック係数−57μV/Kの値を得た。
(熱電変換層の形成)
上記で調製したp型CNTバッキーペーパー、および、n型CNTバッキーペーパーそれぞれを、8mm×22mmのサイズにカットし、p型熱電変換素子およびn型熱電変換素子を形成した。
次に、実施例5と同様の方法で作製した支持体の銅箔(接続電極)上の、熱電変換素子を実装する複数の箇所にそれぞれ銀ペーストFA−333(藤倉化成株式会社製)を支持体の長手方向2mm、幅方向22mmで印刷した。銀ペーストを印刷した銅箔の所定の位置に、n型CNT熱電変換素子およびp型CNT熱電変換素子を貼着したのち、120℃のホットプレートで10分乾燥させた。
(補助電極の形成)
実施例7と同様の方法により、熱電変換層と接続電極との接続位置に補助電極を形成した。
結果を表1に示す。
表1から、実施例は比較例に比べて初期の発電量が高く、また、サイクル試験後の発電量の変化率が低いことがわかる。これは、本発明のモジュールは蛇腹状の形状を維持することができるので熱源と確実に接触でき、また、経時や熱が加わっても折り曲げた形状が変化しないので、熱源との接触状態を維持できるためと考えられる。
また、実施例1〜5の対比から、第2の金属層は、接続電極と同じ種類の金属により形成されることが好ましく、また、同じ形状、寸法であることが好ましいことがわかる。
また、実施例5〜8の対比から、熱電変換層と接続電極の接続位置に補助電極を設けることが好ましいことがわかる。
また、実施例7、9および10から、熱電変換層としてバッキーペーパーを用いることで、より高い効果を得られることがわかる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
以上、本発明の熱電変換モジュールについて説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行っても良いのは、もちろんである。
発電装置等に、好適に利用可能である。
10 (熱電変換)モジュール
12,12B,12C 支持体
12A 積層体
12AR ロール
12BR,12CR 支持体ロール
12M 金属膜
14p p型熱電変換層
16n n型熱電変換層
18 接続電極
18a 第1の低剛性部
19 補助電極
20A、20B エッチング装置
22、22B 第2の金属層
22a 第2の低剛性部
23 補強部材
23a 貫通孔
24 成膜装置
26a,26b 歯車
28 上板
30 下板
32 押圧部材
34 付当て部
70 ワイヤー

Claims (11)

  1. 可撓性を有する絶縁性の長尺な支持体と、
    前記支持体の一方の面に、前記支持体の長手方向に間隔を有して形成される、複数の第1の金属層と、
    前記支持体の前記第1の金属層と同じ面に、前記支持体の長手方向に間隔を有して形成される複数の熱電変換層と、
    前記支持体の前記第1の金属層と同じ面に、前記支持体の長手方向に隣接する前記熱電変換層を接続する接続電極と、
    前記支持体の前記第1の金属層が形成される面の反対側の面に形成される第2の金属層と、を有し、
    前記第1の金属層は、剛性が他の領域よりも低く、前記支持体の幅方向に延在する第1の低剛性部を有し、
    前記第2の金属層は、剛性が他の領域よりも低く、前記支持体の幅方向に延在する第2の低剛性部を有し、
    前記支持体の長手方向において、前記第2の金属層の前記第2の低剛性部は、複数の前記第1の金属層の各前記第1の低剛性部と同じ位置に形成されており、
    複数の前記第1の金属層の前記第1の低剛性部、および、前記第2の金属層の前記第2の低剛性部において、前記支持体が長手方向に山折りおよび谷折りに交互に折れ曲がっている熱電変換モジュール。
  2. 前記接続電極が前記第1の金属層を兼ねる請求項1に記載の熱電変換モジュール。
  3. 複数の前記第1の低剛性部が前記支持体の長手方向に一定間隔で形成されている請求項1または2に記載の熱電変換モジュール。
  4. 前記第1の金属層の形成材料と、前記第2の金属層の形成材料とが同じである請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
  5. 前記第1の金属層の厚みと、前記第2の金属層の厚みとが同じである請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
  6. 前記第2の金属層は、前記支持体の長手方向に間隔を有して複数形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
  7. 前記第2の金属層の形状および寸法が、前記第1の金属層と同じである請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
  8. 前記熱電変換層および前記接続電極に接する補助電極を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
  9. 前記補助電極の一部が前記支持体の一部を被覆している請求項8に記載の熱電変換モジュール。
  10. 前記第1の低剛性部および前記第2の低剛性部が、前記支持体の幅方向と平行な1つ以上のスリット、および、前記支持体の幅方向と平行な破線状部の少なくとも一方である請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
  11. 前記熱電変換層として、前記支持体の長手方向に交互に形成されるp型熱電変換層とn型熱電変換層とを有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱電変換モジュール。
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