JPWO2018199049A1 - 固形がん治療薬としての新規dnmt阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】高リスクな骨髄異形成症候群の治療薬として臨床使用されている注射剤(「ビダーザ(登録商標)」や「ダコジェン(登録商標)」)に代わり、加水分解的代謝酵素シチジンデアミナーゼに対して高い安定性を有し、且つ、経口投与でも体内に吸収され、核酸生合成ルートに取り込まれてDNAメチル基転移酵素DNMTを阻害する作用を有する薬剤を様々な進行性固形がんの治療薬もしくは予防薬として提供すること。【解決手段】式(I):(式中、Rは水酸基又は水素原子であり、R1、R2はそれぞれ置換基を有していてもよいベンジル基)で表される新規化合物が上記課題を解決した。【選択図】なし

Description

本発明は、加水分解的代謝酵素シチジンデアミナーゼに対する高い安定性を有し、且つ、5−アザシチジンや其の2’−デオキシ体に代わり得る経口投与可能な新規DNMT阻害剤の用途に関する。
DNMTsとは、DNAメチル基転移酵素群(DNA-methyltransferases)の略称であり、DNA鎖中のアデニン環6位アミノ基のメチル化(Adenine N6-specific DNA-methyltransferase: EC 2.1.1.72)またはシトシン環4位アミノ基のメチル化(Cytosine N4-specific DNA-methyltransferase: EC 2.1.1.113)、シトシン環5位へのメチル化(Cytosine C5-specific DNA-methyltransferase: EC 2.1.1.37)を触媒する酵素群である。特に、発現遺伝子のプロモーター領域によく認められるCpG アイランドと称される配列部分においてシトシン環5位へのメチル化を触媒する酵素群(維持メチル基転移酵素:DNMT1やde novo メチル基転移酵素:DNMT3 family)は、高等生物の正常な発生と細胞の分化を調節する際に極めて重要な役割を果たしている(非特許文献1と非特許文献2)。
また、DNMTは、がんの発達においても深く関係している。即ち、全てのCpGアイランドの60−90%はシトシン環5位がメチル化されていると考えられているが、異常なレベルのDNAメチル化は発現遺伝子のサイレンシングと深く関連しており、プロモーター領域(CpGアイランド)が高レベルにシトシン環5位メチル化されている遺伝子は、その転写・発現がサイレンシングしていることが明らかにされている。なお、この異常DNAメチル化様式は、正常組織と比較して過剰メチル化と低メチル化の2つの異なる形があり、過剰メチル化は、がん抑制遺伝子のサイレンシングと深く関連している一方、広範囲な低メチル化もまた、異なる機構でがんの発達及び悪性化と関連している。このような発現遺伝子のサイレンシングは、例えば、がん抑制遺伝子p53の場合は大腸がんや乳がん等非組織的に見られ、がん抑制遺伝子Rbの場合は網膜芽細胞腫や骨肉腫等で、がん抑制遺伝子BRCA1の場合は家族性乳がんや子宮がん等で認められている(非特許文献3〜非特許文献5)。
一方、細胞には、新しく作られるDNA鎖においても同じ位置のシトシン環5位へメチル基を導入するしくみが備わっており、この「DNAメチル化の複製」を可能にしているのもDNMTである。それ故、がん化した細胞では、がん抑制遺伝子の多くが転写・発現抑制されてサイレンシング状態になり、増殖しやすい状態になっている。
なお、このシトシン環5位のメチル化に関しては、DNMTの触媒活性中心にあるシステイン残基のSH基がDNA配列中のシトシン環6位を攻撃することによりシトシン環5位が活性化され、メチル基供与体S−アデノシル−L−メチオニンからのメチル基転移を促すという反応機構が提案されている。
このような背景を持つDNMTに対する選択的な酵素阻害剤として、5−アザシチジンや其の2’−デオキシ体(デシタビン)が見いだされ、「ビダーザ(登録商標)」や「ダコジェン(登録商標)」という薬剤名で、高リスクな骨髄異形成症候群や急性骨髄白血病治療薬として臨床使用されている。なお、これらの薬剤はシトシンヌクレオシド類と化学構造(シトシン環5位炭素原子が窒素原子に置換された構造)が酷似しており、核酸生合成ルートを経て、2’−デオキシシチジンの代わりにDNA中へ入り込むことにより、がん抑制遺伝子プロモーター領域(CpGアイランド)におけるDNMTによるシトシン環5位のメチル化反応を自殺的に阻害し、がん抑制遺伝子の正常な発現を可能にして治療効果を現わすとされている。
このような作用機序を有する薬剤は、本来ならば広範囲な抗がん剤としての利用が可能であるが、いずれの化合物も血中もしくは肝臓内に存在する代謝酵素シチジンデアミナーゼにより容易に加水分解されるという欠点があるために、高リスクな骨髄異形成症候群や急性骨髄白血病治療薬としての臨床使用に留まり、また、化学的な不安定性を有するが故に、注射剤としての剤形に留まっている。それ故、シチジンデアミナーゼに対して高い安定性を有し、且つ、5−アザシチジンや其の2’−デオキシ体に代わり得る経口投与可能な薬剤の出現が望まれている。
なお、最近、加水分解的代謝酵素シチジンデアミナーゼに対して高い安定性を有する化合物SGI-110(グアデシタビン)(特許文献1〜2)が見出され、5−アザ−2’−デオキシシチジンのプロドラッグとして臨床開発が進められているが、この化合物はジヌクレオチド構造を有するために非常に極性が高く細胞膜の透過が容易でなく、経口投与剤としては不向きである(非特許文献6〜7)。
米国公開2007072796号公報(日本特許5030958号明細書). 国際公開2013033176号公報(日本特許6038921号明細書).
ケミカル レビューズ(Chemical Reviews),2015年,第115巻, 第6号, p.2240−2254. バイオモレキュールス(Biomolecules),2017年, 第7巻,第1号,3. 単行本「エピジェネティックス:ア レファレンス マヌアル」(Epigenetics: A Reference Manual),2011年,クレイグJM,ワングNC著,カイスターアカデミックプレス. セル アンド バイオサイエンス(Cell & Bioscience),2014年 , 第4巻, 46. モレキュラー キャンサー(Molecular Cancer),2017年,第16巻,29. オンコターゲット(Oncotarget),2017年, 第8巻, 第2号,p.2949−2959. エピジェネティックス(Epigenetics), 2016年, 第11巻,第10号,p.709−720.
本発明の課題は、加水分解的代謝酵素シチジンデアミナーゼに対して高い安定性を有し、且つ、5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体に代わり得る経口投与可能な化合物を創製し、高リスクな骨髄異形成症候群や急性骨髄白血病の治療薬としてのみならず、様々な固形癌(例えば、大腸がんや乳がん、子宮がん、胃がん、肺がん等)の治療薬もしくは予防薬として提供することにある。
本発明者らは、高リスクな骨髄異形成症候群を含む様々な骨髄腫瘍の治療薬として5−アザシチジン(「ビダーザ(登録商標)」)や其の2’−デオキシ体(「ダコジェン(登録商標)」)よりも有用な医薬品を提供するため、加水分解的代謝酵素シチジンデアミナーゼに対する高い安定性を有し、且つ、生体内で核酸生合成ルートへ容易に入り込むことができる優れた薬理作用と物理化学的性質を兼ね備えた新たな化合物を見出すべく鋭意研究を行ってきた。その中で、5−アザシチジンや其の2’−デオキシ体の様々な5’位モノ燐酸ジアルキルエステル誘導体を合成し、それらの化学的反応性と生物活性を調べた結果、対応する5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体が、シチジンデアミナーゼに対する優れた安定性を有し、且つ、抗骨髄腫瘍活性を示すことを見出し、これらの知見を下に、更に詳細な検討を重ね、本発明を完成するに到った。
すなわち、最近、開発した簡便なDNMT阻害活性スクリーニング評価系(Epigenetics, 2016, Dec 9:0: Establishment of a high-throughput detection system for DNA demethylating agents, E. Okochi-Takada, N. Hattori et al.)を用いて、5−アザシチジンや其の2’−デオキシ体の様々な5’位モノ燐酸ジアルキルエステル誘導体につき評価したところ、5−アザ−2’−デオキシシチジンの5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体はいずれも非常に高いDNMT阻害活性を有していることが確認できた。このDNMT阻害活性は、これらの化合物が、ターゲットとする細胞内で酵素的もしくは非酵素的に活性化され、核酸生合成ルートを経てDNA中に取り込まれた結果であると解釈された。加えて、これら5−アザ−2’−デオキシシチジンの5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体は脂溶性が高く、経口投与が可能な物理化学的性質を有していることから、これらの化合物はいずれも、DNMTが関連している様々な固形がんの経口投与可能な治療薬として利用できると推測された。加えて、その作用機序の考察(DNMT阻害によるがん抑制遺伝子の復活)から、DNMTが関連している様々な固形がんの予防薬としての利用も可能であると推測された(Gastric Cancer, 2017, 20, 136-145 や Cancer Prevention Research, 2013, 6(4), 263-270 を参照)。
これらの知見を踏まえて、本発明は、下記記載の発明を提供することにより上記課題を解決したものである。
〔1〕
式(I):
(式中、Rは水酸基又は水素原子であり、R及びRはそれぞれ同一又は異なって、置換基を有していてもよいベンジル基である。)で表される化合物又は其の塩を含有する固形がんの予防・治療剤。
〔2〕
及びRがそれぞれ置換基としてアルキル又はハロゲン原子を有していてもよいベンジル基である、〔1〕に記載の固形がんの予防・治療剤。
〔3〕
アルキルがC1〜C6アルキル基である、〔2〕に記載の固形がんの予防・治療剤。
〔4〕
アルキルがメチル基又はエチル基である、〔2〕に記載の固形がんの予防・治療剤。
〔5〕
ハロゲン原子がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である、〔2〕に記載の固形がんの予防・治療剤。
〔6〕
及びRがベンジル基である、〔1〕に記載の固形がんの予防・治療剤。
〔7〕
固形がんが、DNMTによって惹起される進行性固形がんである、〔1〕ないし〔6〕のいずれか1項に記載の固形がんの予防・治療剤。
本発明によれば、5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体は、対応する5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体よりも脂溶性が高くなるので、経口投与が可能となり、腸部で吸収された後、血中もしくは肝臓内で加水分解的代謝酵素シチジンデアミナーゼの影響を受けることなく、固形がん細胞の細胞膜を通過して、細胞膜内又は細胞内で非酵素的・酵素的に加水分解されて活性化され、核酸生合成ルートを経てDNAに組み込まれることによりDNMT阻害活性を示すと推測されることから、様々な固形癌、特に、DNMTによって惹起される進行性固形がんの治療薬もしくは予防薬として機能することが期待できる。
特に言及しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いた用語は以下に述べる意味を有する。
本発明の化合物又は其の塩
本発明の化合物は、下記の式(I)で表される化合物である。
(式中、Rは水酸基又は水素原子であり、R、Rはそれぞれ置換基を有していてもよいベンジル基である。R、Rは同一であってもよく、異なってもよい。)
式(I)の具体的な例としては、下記の式(Ia)及び式(Ib)が挙げられる。
「置換基を有していてもよいベンジル基」とは、置換基を有していてもよく、また有していなくてもよい。置換基は、ベンジル基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1〜3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基が同一又は異なっていてもよい。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられるが、好ましい置換基の例は、アルキル基及びハロゲン原子である。
「アルキル基」とは、特に限定しない限り、飽和脂肪族炭化水素基、例えば炭素数が1〜20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基あるいは環状のアルキル基を示す。直鎖または分岐鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のC〜Cアルキル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,3,3−トリメチルブチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、2,3,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、ノニル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、6,6−ジメチルヘプチル基、デシル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、6−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘプチル基、n−ノニル基、n−デシル等の置換基を挙げることができるが、C〜Cアルキルの基が好ましい。C〜Cアルキルの基の好ましい例は、メチル基及びエチル基である。環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の基を挙げることができる。また、環状のアルキル基の好ましい例は、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基である。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を示し、好ましい例は、フッ素原子及び塩素原子及び臭素原子である。
本発明の式(I)で表わす化合物の塩は、薬理学的に許容される塩であれば如何なる塩であってもよい。其の塩としては、例えば、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、蓚酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等)等の酸付加塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の式(I)で表わす化合物は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても、複数の結晶形の混合物であってもよい。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
また、本発明の式(I)で表わす化合物は、溶媒和物(例えば、水和物など)であってもよく、溶媒和物及び無溶媒和物(例えば、非水和物など)のいずれも式(I)で表わす化合物に包含される。
本発明の5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体は、5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体のプロドラッグもしくは5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸エステルのプロドラッグとなり得る。
5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体は、シチジンデアミナーゼに対して非常に安定であることから、消化管より吸収されたこれらの誘導体は血中や肝臓にある酵素シチジンデアミナーゼによる加水分解的代謝を受けにくい性質を有していることが期待される。
上記の加水分解的代謝酵素に対する高い安定性が期待され、本発明に係る5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体は、DNMTによって惹起される疾病の治療薬もしくは予防薬となり得る。
5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体のために用いたDNMT阻害活性評価スクリーニング系とは、最近、我々が開発した評価系(Epigenetics, 2016, Dec 9:0: Establishment of a high-throughput detection system for DNA demethylating agents, E. Okochi-Takada, N. Hattori et al.)であり、DNAメチル基転移酵素(DNMT)を阻害することにより発現遺伝子プロモーター領域のシトシン環5位メチル化が抑制されると蛍光発光性蛋白質ルシフェラーゼが発現できるように遺伝子改変した大腸がん細胞を用いる簡便なDNMT阻害活性評価スクリーニング系である。
本発明の式(I)で表わす化合物の製造法
本発明の化合物は、例えば、以下に示す方法又はこれに準じた方法などによって製造することができる。
A法
式(I)で表わす化合物又は其の塩は、自体公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造することができる(Bulletin of the Chemical Society, 1969, 42(12), 3505-8、Nucleic Acids Research, 1984, 12, 5025-36、Chemical & Pharmaceutical Bulletin,1995, 43(2), 210-215、WO-2011113173などを参照)。例えば、市販の5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体を適切な溶媒中、オキシ塩化リンにより活性化した後、置換基を有していてもよいベンジルアルコールと脱ハロゲン化水素剤存在下で反応させることにより、目的とする5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル(式(I)を参照)を得ることができる。
B法
式(I)で表わす化合物又は其の塩は、例えば、市販の5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体を適切な溶媒中、脱ハロゲン化水素剤の存在下、クロロ燐酸ジベンジルエステル誘導体と反応させることにより、目的とする5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジル燐酸エステル(式(I)を参照)を得ることができる。
(脱ハロゲン化水素剤) 使用する脱ハロゲン化水素剤としては、有機塩基及び無機塩基が挙げられ、有機塩基としては、これらに限られないが、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、n-ブチルリチウム、カリウム-tert-ブトキシドが挙げられ、無機塩基としては、これらに限られないが、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸セシウムが挙げられる。塩基の使用量としては、原料化合物の2当量以上が好ましい。更には、原料化合物1モルに対して通常2.0〜50.0当量の範囲を例示できるが、好ましくは5.0〜20.0当量の範囲が良く、より好ましくは5.0〜10.0当量の範囲であることが良い。
(溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、本発明の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。本発明の反応における溶媒は、反応が進行する限りは、いずれの溶媒でもよい。
溶媒としては、例えば、製造法Aの場合は、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル等のリン酸エステルが挙げられ、製造法Bの場合はピリジンが挙げられる。溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。本発明の反応における溶媒の使用量は当業者により適切に調整されることができる。
(反応温度)
本発明の反応温度は、特に制限されない。一つの態様においては、収率の向上、副生成物の抑制、及び経済効率等の観点から、−20℃〜50℃(すなわち、マイナス20℃〜プラス50℃)、好ましくは−10℃〜30℃(すなわち、マイナス10℃〜プラス30℃)、より好ましくは−10℃〜20℃(すなわち、マイナス10℃〜プラス20℃)、さらに好ましくは−5℃〜15℃(すなわち、マイナス5℃〜プラス15℃)、
特に好ましくは−5℃〜10℃(すなわち、マイナス5℃〜プラス10℃)の範囲を例示できる。
(反応時間)
本発明の反応時間は、特に制限されない。一つの態様においては、収率の向上、副生成物の抑制、及び経済効率等の観点から、0.5時間〜120時間、好ましくは1時間〜72時間、より好ましくは1時間〜48時間、さらに好ましくは1時間〜24時間の範囲を例示できる。しかしながら、本発明の反応時間は、当業者により適切に調整されることができる。
本発明の医薬組成物
本発明の式(I)で表わす化合物は、そのまま、あるいは自体公知の方法により薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物とすることにより、哺乳動物(例、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギなど)に対して安全な医薬として用いることができる。
ここにおいて、薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤などが挙げられ、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤及び緩衝剤などが挙げられる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
医薬組成物の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、徐放剤などの経口剤などが挙げられ、これらは経口的に安全に投与できる。但し、液剤投与も可能であるので、この限りではない。
医薬組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法などにより製造することができる。
本発明の式(I)で表わす化合物の用途
本発明の式(I)で表わす化合物は多くの治療的及び予防的用途を有する。好ましい実施態様では、本発明の化合物は、シチジン類(例えば、デシタビン又はアザシチジン)による治療に感受性を有する極めて多様な疾患の治療に用いられる。本発明の化合物を用いて治療することができる好ましい適応症には、望ましくない又は無制御の細胞分裂を伴うものが含まれる。そのような適応症には様々な固形癌が含まれるが、より好ましくは、DNMTによって惹起される進行性固形がんが適応対象である。
前記がんが、乳がん、皮膚がん、骨がん、前立腺がん、肝がん、肺がん、脳がん、喉頭がん、胆嚢がん、膵臓がん、直腸がん、傍甲状腺がん、腺組織がん、神経組織がん、頭部及び頸部のがん、結腸がん、胃がん、気管支がん、腎臓がん、基底細胞がん、扁平上皮がん(潰瘍型及び乳頭状型の両型)、転移性皮膚がん、骨肉腫、ユーイング肉腫、ベンティキュラム細胞肉腫、ミエローマ、巨細胞腫瘍、小細胞肺がん、胆がん、小島細胞腫瘍、原発性脳腫瘍、急性及び慢性リンパ球性及び顆粒球性腫瘍、毛様細胞腫瘍、アデノーマ、クロム親和性細胞腫、粘膜神経腫、腸神経節神経腫、過形成角膜神経腫、マルファン症候群様体質腫瘍、ウィルム腫瘍、セミノーマ、卵巣腫瘍、平滑筋腫瘍、子宮頸部形成異常及び前記部位に発生するがん、神経芽腫、網膜芽腫、軟組織肉腫、悪性類癌腫、局所性皮膚病巣、菌状息肉腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、骨原性及び他の肉腫、腎細胞腫、腺癌、多発性グリア芽細胞腫、悪性メラノーマ及び類表皮がんから成る群から選択される。
本発明で使用される適切な医薬組成物には、活性成分が有効な量で、すなわち治療される症状で、治療的及び/又は予防的目的を達成するために有効な量で存在する組成物が含まれる。
本発明で使用される医薬組成物は、経口投与用剤形として提供される。本明細書において提供される医薬組成物は、経口投与のために、固形、半固形、又は液状投与剤形で提供され得る。本明細書で用いられる場合、経口投与には、頬、舌及び舌下投与も含まれる。適切な経口投与剤形には、錠剤、カプセル、丸剤、トローチ、薬用キャンディー、芳香製剤、カシェ剤、ペレット剤、薬物添加チューインガム、顆粒剤、原末、発泡製剤、又は非発泡粉末若しくは顆粒剤、溶液、エマルション、懸濁液、溶液、ウェハ、スプリンクル(sprinkles)、エリキシル剤、及びシロップ剤が含まれるが、これらに限定されない。活性成分に加え、医薬組成物は、結合剤、充填材、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色素遊走阻止剤、甘味剤及び 香味料を含むが、これらに限定されない1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含んでもよい。
医薬組成物又は剤形内の本発明の式(I)で表わす化合物の量は、例えば、約1mg〜約2,000mg、約10mg〜約2,000mg、約20mg〜約2,000mg、約50mg〜約1,000mg、約100mg〜約500mg、約150mg〜約500mg、又は約150mg〜約250mgの範囲であってもよい。
本発明の化合物を抗がん剤として用いる場合、その有効投与量は、がんの性質、がんの進行程度、治療方針、転移の程度、腫瘍の量、体重、年齢、性別及び患者の(遺伝的)人種的背景等に依存して適宜選択できるが、薬学的有効量は一般に、臨床上観察される症状、がんの進行度合い等の要因に基づいて決定される。一日あたりの投与量は、例えば、ヒトに投与する場合は、約0.01mg/kg〜約10mg/kg(体重60kgの成人では、約0.5mg〜約500mg)、好ましくは約0.05mg/kg〜約5mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約2mg/kgである。投与は、1回で投与しても複数回に分けて投与してもよい。
実施例
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
以下の実施例において、室温は、約15〜30℃を意味する。H−NMRと13C−NMRは、日本電子JNM−ECZ 400Rを用いて測定し、CDCl、DMSO−d、CDODを溶媒として用い、内部標準のテトラメチルシランからのケミカルシフトδ(ppm)を示した。その他の本明細書中の記号は、以下の意味を示す。s :シングレットd :ダブレットt :トリプレットm :マルチプレットbr :ブロードbr s:ブロードシングレットJ :結合定数 また、各化合物のMassは、Yamazen Smart Flash MS system装置を用いて測定した値である。
5−アザシチジン類のオキシ塩化リンによる活性化及びそれに続くベンジルアルコール類との縮合
5−アザシチジン 122mgを室温にてトリエチル燐酸エステル約1mLに懸濁させ、これにオキシ塩化リン 93μL(原料5−アザシチジンに対して約2倍モル)を0℃冷却下にて添加し、約1時間撹拌した。次いで、この溶液に対応するベンジルアルコール 約0.5mL(約10倍モル)とピリジン 約0.4mL(約10倍モル)を加えて、0℃冷却下にて更に1時間撹拌した。其の反応液を酢酸エチル−水混液に注ぎ、希炭酸水素ナトリウム溶液で中和した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を除いた抽出液を減圧乾固して得られた油状の残留物をシリカゲルパックカラム(Yamazen Smart Flash MS system装置)にて分離精製することにより、目的とする5−アザシチジンの5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体を得た。なお、以後は、これを合成法Aと称する。
5−アザシチジン類とクロロ燐酸ジベンジルエステル誘導体との縮合
5−アザシチジン 122mgを室温にて無水ピリジン 1.0mLに懸濁させ、対応するクロロ燐酸ジベンジルエステル誘導体 約0.25mL(約1.2倍モル)を0℃冷却下にて添加し、約1時間撹拌した。其の反応液を酢酸エチル−水混液に注ぎ、希炭酸水素ナトリウム溶液で中和した後、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を除いた抽出液を減圧乾固して得られた油状の残留物をシリカゲルパックカラム(Yamazen Smart Flash MS system装置)にて分離精製して、目的とする5−アザシチジンの5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体を得た。なお、以後は、これを合成法Bと称する。
以下に、上記合成法A又は合成法Bにより、合成した5−アザシチジン類の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル化合物(A)〜(E)に関するシリカゲルカラム分離系、単離収率、機器データ、分配係数を示す。
化合物(A)5−アザシチジル酸 O,O’−ジベンジルエステル (O,O’-Dibenzyl 5-Azacytidylate)(式(I)中、R= OH, R1= R2= Benzyl):(合成法A)、シリカゲルカラム展開系:クロロホルム−メタノール系、白色粉末:収率=13%
Mass= 505.3 (M++1): calcd. for C22H25N4O8P (MW= 504.14).
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.32 (1H, s), 8.04 (1H, br.), 7.24 (10H, br s), 7.07 (1H, br.), 5.75 (1H, br.), 4.98 and 4.96 (each 2H, each s), 4.83 (1H, br s), and 4.40-4.05 (5H, m) ppm. 13C-NMR (CDCl3) δ: 165.6, 155.7, 154.5, 137.9, 135.4, 128.6, 128.4, 128.2, 128.0, 127.3, 91.5, 82.2, 74.6, 69.7(J= 4.7Hz), 69.2, 67.4, and 66.6 ppm.
分配係数Log P= 0.83 (n-Octanol/PBS)
化合物(B)5−アザ−2’−デオキシシチジル酸 O,O’−ジベンジルエステル (O,O’-Dibenzyl 5-Aza-2’-deoxycytidylate)(式(I)中、R= H, R1= R2= Benzyl):(合成法Aと合成法B)、シリカゲルカラム展開系:クロロホルム−メタノール系、白色粉末:収率=26%(A法)、60%(B法)
Mass= 489.3 (M++1): calcd. for C22H25N4O7P (MW= 488.15).
1H-NMR (CD3OD) δ: 8.33 (1H, s), 7.34 (10H, br s), 6.05 (1H, t, J= 6.4Hz), 5.06 and 5.03 (each 2H, each br s), 4.31-4.27 (1H, m), 4.21-4.17 (2H, m), 4.10-4.05 (1H, m), 2.41-2.36 (1H, m), and 2.15-2.06 (1H, m) ppm. 13C-NMR (CD3OD) δ: 167.7, 156.9, 156.0, 139.5, 137.0(d, J= 6.7Hz), 129.8, 129.3, 129.2, 128.7, 128.4, 88.2, 86.7(d, J= 7.7Hz), 71.6, 71.0(d, J= 5.8Hz), 68.3(d, J= 5.8Hz), and 41.7 ppm.
分配係数Log P= 1.15 (n-Octanol/PBS)
化合物(C)5−アザ−2’−デオキシシチジル酸 O,O’−ジ(4−メチル)ベンジルエステル (O,O’-Di(4-methyl)benzyl 5-Aza-2’-deoxycytidylate)(式(I)中、R= H, R1= R2= 4-Methylbenzyl):(合成法A)、シリカゲルカラム展開系:クロロホルム−メタノール系、白色粉末:収率=22%
Mass= 517.3 (M++1): calcd. for C24H29N4O7P (MW= 516.18).
1H-NMR (CD3OD) δ: 8.31 (1H, s), 7.24-7.15 (8H, m), 6.03 (1H, t, J= 6.0Hz), 5.04 and 4.99 (each 2H, each br s), 4.24-4.22 (1H, m), 4.16-4.10 (2H, m), 4.10-4.05 (1H, m), 2.36-2.32 (1H, m), 2.30 (6H, br s), and 2.06-1.99 (1H, m) ppm. 13C-NMR (CD3OD) δ: 167.3, 156.4, 155.6, 139.4, 138.0, 133.4 (d, J= 5.8Hz), 129.8, 129.4, 128.9, 128.1, 87.7, 86.3(d, J= 7.7Hz), 71.3, 70.5(d, J= 5.8Hz), 67.7(d, J= 5.8Hz), 41.2, and 20.7 ppm.
化合物(D)5−アザ−2’−デオキシシチジル酸 O,O’−ジ(4−フルオロ)ベンジルエステル (O,O’-Di(4-fluoro)benzyl 5-Aza-2’-deoxycytidylate)(式(I)中、R= H, R1= R2= 4-Fluorobenzyl):(合成法A)、シリカゲルカラム展開系:クロロホルム−メタノール系、白色粉末:収率=24%
Mass= 525.2 (M++1): calcd. for C22H23F2N4O7P (MW= 524.13).
1H-NMR (CD3OD) δ: 8.35 (1H, s), 7.39-7.01 (8H, m), 6.07 (1H, t, J= 6.4Hz), 5.06 and 5.03 (each 2H, each br s), 4.33-4.29 (1H, m), 4.28-4.17 (2H, m), 4.10-4.05 (1H, m), 2.45-2.38 (1H,m), and 2.23-2.18 (1H, m) ppm. 13C-NMR (CD3OD) δ: 167.9, 157.1, 156.1, 133.1, 131.6(d, J= 7.7Hz), 130.5, 116.6, 116.4, 116.1, 116.0, 88.4, 86.8 (d, J= 6.8Hz), 71.6, 70.3(d, J= 5.8Hz), 68.4(d, J= 5.8Hz), 67.7, and 41.7 ppm.
分配係数Log P= 1.40 (n-Octanol/PBS)
化合物(E)5−アザ−2’−デオキシシチジル酸 O,O’−ジ(4−クロロ)ベンジルエステル (O,O’-Di(4-chloro)benzyl 5-Aza-2’-deoxycytidylate)(式(I)中、R= H, R1= R2= 4-Chlorobenzyl):(合成法A)、シリカゲルカラム展開系:クロロホルム−メタノール系、白色粉末:収率=20%
Mass= 557.1 (M++1): calcd. for C22H23Cl2N4O7P (MW= 556.07).
1H-NMR (CD3OD) δ: 8.34 (1H, s), 7.33 (8H, br.), 6.07 (1H, t, J= 6.4Hz), 5.06 and 5.04 (each 2H, each br s), 4.35-4.30 (1H, m), 4.28-4.17 (2H, m), 4.12-4.05 (1H, m), 2.45-2.34 (1H, m), and 2.25-2.15 (1H, m) ppm. 13C-NMR (CD3OD) δ: 166.5, 155.8, 154.8, 137.0(d, J= 7.7Hz), 134.4, 133.1, 129.5, 128.7, 128.6, 128.1, 87.1, 85.4(d, J= 6.8Hz), 70.2, 68.9(d, J= 5.8Hz), 67.2(d, J= 5.8Hz), 66.3, and 40.3 ppm.
分配係数Log P= 2.44 (n-Octanol/PBS)
試験例1
5−アザシチジル酸ジベンジルエステル誘導体のシチジンデアミナーゼに対する安定性
得られた5−アザシチジル酸類のジベンジルエステル誘導体(式(I)を参照)約1mgをアセトニトリル1mLに溶解し、其の10μLをPBS1mLに添加し、この溶液にシチジンデアミナーゼのPBS溶液10μLを加えて、37℃にて約30分間〜1時間撹拌した。得られた反応液にアセトニトリル1mLを加えて遠心分離し、其の上澄液をHPLC分析した。例えば、Cytidine,DecitabineとO,O’-Di(4-fluoro)benzyl 5-Aza-2’-deoxycytidylate(化合物D)の分析結果を表1に示す。
シチジンデアミナーゼ:CDA(1-146aa), Human, His-tagged, Recombinant cytidine deaminase (ATGen社)
HPLC測定条件:
カラム:CAPCELL PAK ADME
4.6mmx150mm、粒子サイズ:3μm
溶出: 溶出液A=10mM蟻酸アンモニウム含有精製水
溶出液B=アセトニトリル
A:B=99:1→5:95、30分間のグラジエントモード
流出速度:1.0mL/分 オーブン温度:40℃
検出器:UV240nm
このように、本発明に係る5−アザシチジル酸類のジベンジルエステル誘導体は、シチジンデアミナーゼに対して非常に安定であることが確認できた。一方、シチジンや5−アザ−2’−デオキシシチジン(Decitabine)はいずれも、上記した反応条件下で不安定であり、完全に消失した。
試験例2
in vitro 評価
5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体のために用いたDNMT阻害活性評価スクリーニング系とは、最近、我々が開発した評価系(Epigenetics, 2016, Dec 9:0: Establishment of a high-throughput detection system for DNA demethylating agents, E. Okochi-Takada, N. Hattori et al.)である。本評価系では、内在性プロモーターCpGアイランド領域の下流に、分泌型ルシフェラーゼ遺伝子を連結したベクターを大腸がん細胞へ導入した。DNAメチル基転移酵素(DNMT)の阻害、もしくは、その他のDNAメチル化維持機構の阻害が起きると、プロモーターCpGアイランドのC-メチル化が減少し、分泌型ルシフェラーゼが発現する。ルシフェラーゼが分泌型であるため、細胞上清を回収し、基質ルシフェリンを加えることで簡便に評価できるDNMT阻害活性スクリーニング系である。
即ち、試料添加の前日に遺伝子改変した大腸がん細胞HML58-3を96-well細胞培養プレートに播種し、それぞれに10 μMの各試料を加えて4日間培養した。5日目で細胞上清を回収し、ルシフェラーゼ活性を測定した。また、各試料につき細胞数をWST-8法により測定した。
その結果、5−アザ−2’−デオキシシチジンの5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体(上記の図において、Hは化合物(B)であり、Fは化合物(D)であり、Clは化合物(E)であり、Meは化合物(C)である。)はいずれも、非常に強いルシフェラーゼ活性が認められ、DNMT阻害を誘発していることが示され(上左図を参照)、且つ、それらの化合物の細胞毒性は低い(上右図を参照)ことが明らかとなった。
試験例3
in vivo 評価
5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体の5’位モノ燐酸ジベンジルエステル誘導体の抗腫瘍効果を検討するために、ヒト大腸がん由来HCT116細胞移植マウスモデルを用いた。ヌードマウス(雌、5週齢)を馴化飼育の後、右側側腹部皮下に5x106個の細胞を移植し、群分け日から週2回の頻度で計6回、各種濃度の試料(DMSO溶液)を腹腔内投与した。観察は群分け後28日目まで行い、その間、週1回の頻度で体重及び腫瘍径を測定した。
その結果、腫瘍体積については媒体(DMSO)投与群と比較して試料濃度依存的な増加抑制を示した。なお、体重推移については、全ての群において体重減少が認められたが、その程度は軽度であった。
それ故、例えば、5−アザ−2’−デオキシシチジンの5’位モノ燐酸ジ(4−フルオロ)ベンジルエステル誘導体(化合物D)(投与量:5.5mg/kg、11mg/kg、22mg/kg)は、移植した大腸がん細胞に対して投与量依存的な抗腫瘍活性を有し、且つ、安全性が高いことが明らかとなった(下記の図を参照)。

本発明によれば、現在、臨床使用されている5−アザシチジンまたは其の2’−デオキシ体に代わり得る薬剤を、高リスクな骨髄異形成症候群や急性骨髄白血病治療薬として医療現場に提供することができ、且つ、DNMTによって惹起される様々な固形がんの治療もしくは予防薬として医療現場に提供することができる。

Claims (7)

  1. 式(I):
    (式中、Rは水酸基又は水素原子であり、R及びRはそれぞれ同一又は異なって、置換基を有していてもよいベンジル基である。)で表される化合物又は其の塩を含有する固形がんの予防・治療剤。
  2. 及びRがそれぞれ置換基としてアルキル又はハロゲン原子を有していてもよいベンジル基である、請求項1に記載の固形がんの予防・治療剤。
  3. アルキルがC1〜C6アルキル基である、請求項2に記載の固形がんの予防・治療剤。
  4. アルキルがメチル基又はエチル基である、請求項2に記載の固形がんの予防・治療剤。
  5. ハロゲン原子がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である、請求項2に記載の固形がんの予防・治療剤。
  6. 及びRがベンジル基である、請求項1に記載の固形がんの予防・治療剤。
  7. 固形がんが、DNMTによって惹起される進行性固形がんである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固形がんの予防・治療剤。

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