JPWO2018194176A1 - 電池用包装材料、その製造方法、及び電池 - Google Patents

電池用包装材料、その製造方法、及び電池 Download PDF

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Abstract

電池又は電池用包装材料を製造する工程において、電池用包装材料の外側表面の特性劣化を効果的に抑制することができる電池用包装材料を提供する。本発明の電池用包装材料は、少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、前記接合層は、ポリエステル樹脂を含み、前記樹脂層は、水性液体を用いて前記積層体から剥離可能である。

Description

本発明は、電池用包装材料、その製造方法、及び電池に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されている。これらの電池において、電極、電解質などにより構成される電池素子は、包装材料などにより封止される必要がある。電池用包装材料としては、金属製の包装材料が多用されている。
近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パーソナルコンピュータ、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、多様な形状を有する電池が求められている。また、電池には、薄型化、軽量化なども求められている。しかしながら、従来多用されている金属製の包装材料では、電池形状の多様化に追従することが困難である。また、金属製であるため、包装材料の軽量化にも限界がある。
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材層/バリア層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている。
このようなフィルム状の電池用包装材料においては、一般的に、成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの電池素子を配し、熱融着性樹脂層同士を熱融着させることにより、電池用包装材料の内部に電池素子が収容された電池が得られる。
このようなフィルム状の積層体によって形成された電池用包装材料を製造する工程や、当該電池用包装材料を用いて電池を製造する工程においては、電池が完成するまでの間に、搬送時の傷付きや、熱融着時の加熱劣化、電解液を封入する際の電解液の付着など、基材層側の表面特性が劣化することがある。基材層側の表面は、電池の外側に位置することになるため、これらの特性劣化は、可能な限り回避することが求められる。
例えば、特許文献1には、金属箔に保護層と熱融着層を積層した3層構造のラミネートフィルムに対して、あらかじめ加熱や紫外線照射などにより接着力がほとんどなくなることを特徴とする保護フィルムを貼り付けてから電池の製造を行い、最後に加熱又は紫外線を当てることで粘着力が小さくなった保護フィルムを剥がす方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、加熱又は紫外線照射によって、保護フィルムの下に位置する層などが劣化するという問題がある。また、加熱温度や紫外線の波長の設定が必要であり、これらの設定値が変化することで、保護フィルムの粘着力が一定にならないという問題もある。
特開2009−43442号公報
本発明は、従来技術のこのような問題に鑑みなされた発明である。すなわち、電池又は電池用包装材料を製造する工程において、電池用包装材料の外側表面の特性劣化を効果的に抑制することができる電池用包装材料を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該電池用包装材料の製造方法、当該電池用包装材料を用いた電池、及び当該電池の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、接合層がポリエステル樹脂を含み、樹脂層が水性液体を用いて積層体から剥離可能である電池用包装材料は、特許文献1のような電池用包装材料の外側表面の特性を劣化させる加熱や紫外線照射などが不要であり、電池又は電池用包装材料を製造する工程における、電池用包装材料の外側表面の特性劣化を効果的に抑制することができることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、
前記接合層は、ポリエステル樹脂を含み、
前記樹脂層は、水性液体を用いて前記積層体から剥離可能である、電池用包装材料。
項2. 温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧の環境における、前記接合層に水を付着させない状態で前記積層体から前記樹脂層を剥離する場合の剥離強度が、2.0N/15mm以上であり、かつ、
温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧の環境における、前記水性液体を用いて前記積層体から前記樹脂層を剥離する場合の剥離強度が、1.0N/15mm以下であり、
前記水性液体は水である、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記積層体の前記樹脂層側の表面に滑剤が存在している、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記樹脂層、接合層、及び基材層の少なくとも1層に、紫外線吸収剤が含まれている、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、項4に記載の電池用包装材料。
項6. 前記樹脂層、接合層、及び基材層の少なくとも1層に、光安定剤が含まれている、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤である、項6に記載の電池用包装材料。
項8. 少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とがこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
前記接合層がポリエステル樹脂を含んでおり、前記樹脂層が水性液体を用いて前記積層体から剥離可能なものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
項9. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
項10. 少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体の電池用包装材料への使用であって、
前記接合層は、ポリエステル樹脂を含み、
前記樹脂層は、水性液体を用いて前記積層体から剥離可能である、前記積層体の電池用包装材料への使用。
本発明によれば、電池又は電池用包装材料を製造する工程における電池用包装材料の外側表面の特性劣化を効果的に抑制することができる電池用包装材料を提供することができる。また、本発明によれば、当該電池用包装材料の製造方法、当該電池用包装材料を用いた電池、及び当該電池の製造方法を提供することもできる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。 剥離強度の測定方法を説明するための模式図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、接合層は、ポリエステル樹脂を含み、樹脂層は、水性液体を用いて積層体から剥離可能であることを特徴とする。以下、図1から図3を参照しながら、本発明の電池用包装材料、当該電池用包装材料を用いた電池、及びこれらの製造方法について、詳述する。
なお、本明細書において、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
1.電池用包装材料の積層構造と物性
本発明の電池用包装材料は、例えば図1〜図3に示すように、少なくとも、樹脂層1a、接合層1b、基材層2、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に有する積層体から構成されている。本発明の電池用包装材料において、樹脂層1aが最外層になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱融着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
図1〜図3には、樹脂層1aと、ポリエステル樹脂を含む接合層1bとの積層体が保護層1を構成している態様を示している。接合層1bは、樹脂層1aを、他の層に接合(より具体的には、粘着)させるために設けられている。接合層1bは、粘着層ということができる。
本発明の電池用包装材料10には、図2及び図3に示すように、基材層2とバリア層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層5が設けられていてもよい。また、本発明の電池用包装材料10には、図3に示すように、バリア層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層6が設けられていてもよい。また、図示を省略するが、接合層1bと基材層2との間には、表面被覆層が設けられていてもよい。
後述の通り、樹脂層1aは、水性液体を用いて、電池用包装材料10を構成する積層体から剥離可能である。これは、接合層1bが、ポリエステル樹脂による粘着性を有しているためである。本発明の電池用包装材料において、樹脂層1aは、水性液体を用いて、電池用包装材料10を構成する積層体から容易に剥離可能である。また、水性液体を用いた剥離は、基材層2や表面被覆層への影響が少なく、基材層2などが吸湿しても、乾燥すればよいため、剥離の際の特性劣化などの影響を抑制することができる。
なお、本発明において、粘着又は粘着性とは、複数の物体同士を接合する性質を意味し、広義の接着に含まれる概念であり、粘りつく性質(タック性)である。また、水性液体としては、水を含む液体であれば、特に制限されないが、水性液体の具体例としては、水、含水極性有機溶媒などが挙げられる。含水極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル、ジメチルエーテルなどの極性有機溶媒の水溶液が挙げられる。アルコールの水溶液(含水アルコール)としては、例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコールなどの水溶液が挙げられる。含水極性有機溶媒中の水と極性溶媒との質量比(水:極性溶媒)としては、100:1〜100:100程度が挙げられる。水性液体は、1種類の液体によって構成されていてもよいし、2種類以上の液体によって構成されていてもよい。
また、本発明において、樹脂層1aが積層体から剥離可能とは、樹脂層1aを接合層1bと接面している層から剥離できることを意味する。接合層1bは、樹脂層1aと共に基材層2側の表面から剥離されてもよく、接合層1bの成分が、基材層2側の表面に残っていてもよい。
温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧(1atm)の環境において、接合層1bに水を付着させた場合の樹脂層1aの剥離強度(A)の上限としては、好ましくは約1.0N/15mm以下、より好ましくは約0.5N/15mm以下が挙げられ、下限としては特にないが、好ましくは約0.0N/15mm以上、より好ましくは約0.01N/15mm以上、さらに好ましくは約0.1N/15mm以上が挙げられる。当該剥離強度(A)の範囲としては、好ましくは、0.0〜1.0N/15mm程度、0.0〜0.5N/15mm程度、0.01〜1.0N/15mm程度、0.01〜0.5N/15mm程度、0.1〜1.0N/15mm程度、0.1〜0.5N/15mm程度が挙げられる。本発明において、「水性液体を用いて積層体から剥離可能」とは、例えば、水性液体を用いて樹脂層1aを積層体から簡単に手で剥離できることを意味し、具体例としては、前記剥離強度(A)が前記値を充足することである。
また、温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧(1atm)の環境において、接合層1bに水を付着させない場合の樹脂層1aの剥離強度(B)の下限としては、好ましくは約2.0N/15mm以上、より好ましくは約2.2N/15mm以上が挙げられ、上限としては特にないが、好ましくは約30.0N/15mm以下が挙げられる。当該剥離強度(B)の範囲としては、好ましくは2.0〜30.0N/15mm程度、より好ましくは2.2〜30.0N/15mm程度が挙げられる。
本発明の電池用包装材料においては、接合層1bに水を付着させない場合の樹脂層1aの前記剥離強度(B)が約2.0N/15mm以上であり、かつ、接合層1bに水を付着させた場合の樹脂層1aの前記剥離強度(A)が約1.0N/15mm以下であることが好ましく、前記剥離強度(B)が約2.2N/15mm以上であり、かつ、前記剥離強度(A)が約0.5N/15mm以下であることがより好ましい。
本発明の電池用包装材料においては、接合層1bに水が付着する前までは、樹脂層1aが高い剥離強度を有しており、電池用包装材料を構成する積層体の最外層として、電池用包装材料の特性劣化を好適に抑制しており、所望のタイミングにおいて、接合層1bに水性液体を付着させることにより、樹脂層1aの剥離強度が低下する。より具体的には、接合層1bに水が付着すると、樹脂層1a、接合層1b、及び基材層2の少なくとも1つの層に水分が浸透し、接合層1bの粘着力が低下して、樹脂層1aの剥離強度が低下する。これにより、樹脂層1aを好適に積層体から剥離することができる。例えば、電池の外側には、電池の識別性などの観点から、印字が施されることがある。本発明の電池用包装材料においては、印字が施されるまでは、電池用包装材料の基材層2側の表面の特性劣化を効果的に抑制し、印字を施す際に、水性液体を用いて樹脂層1aを積層体から剥離することにより、印字面となる電池用包装材料の基材層2側の表面を容易に露出させることができ、基材層2や表面被覆層の表面にインクによる印刷が施される用途にも好適に適用可能となる。また、樹脂層1aを備える本発明の電池用包装材料を金型による成形に供してから、水性液体を用いて樹脂層1aを積層体から剥離することにより、樹脂層1aがバリア層3のピンホールを抑制する効果や、基材層2や表面被覆層の表面が金型によって傷つけられることを抑制する効果があり、成形性向上効果を好適に享受することができる。また、樹脂層1aを備える本発明の電池用包装材料を用いて熱融着性樹脂層4を熱融着させた場合、高温・高圧による基材層2や表面被覆層の劣化を、樹脂層1aによる保護によって、効果的に抑制することができる。また、放熱性が求められる電池に使用される場合や、薄さが求められる電池に使用される場合には、樹脂層1aを剥離して使用することができる。なお、樹脂層1aを剥離するタイミング及び目的は、これらに限定されない。
温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧(1atm)の環境における、樹脂層1aの剥離強度の測定方法は、具体的には、以下の通りである。
<水を付着させた状態での剥離強度の測定方法>
電池用包装材料を100mm(MD:Machine Direction)×15mm(TD:Transverse Direction)の矩形状に裁断して、試験サンプルとする。温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧(1atm)の環境において、まず、試験サンプルの樹脂層1a及び接合層1bの端部に35%塩酸を付着させて、図4の模式図に示されるように、MDの方向に30mm程度、樹脂層1aを剥離する。試験サンプルに付着した塩酸を拭き取り、そのまま乾燥させる。次に、樹脂層1aが剥離した部分(樹脂層1aと基材層2側表面との間の接合層1b)に、スポイトを用いて水(W)を付着させる。このとき、樹脂層1aと基材層2側表面の境界部分において、TDの方向の全体にわたって、水(W)を付着させる。水は、当該境界部分においてTDの方向の全体にわたって水が十分に付着する量を用いる。次に、引張試験機(例えば、島津製作所製のオートグラフ)を用い、チャック間距離50mm、剥離速度50mm/min、剥離角180°の測定条件で、樹脂層1aを基材層2側表面から剥離させて、チャック間距離が57mmに至った際の剥離強度を、水を付着させた状態での剥離強度(N/15mm)とする。
<水を付着させない状態での剥離強度の測定>
樹脂層1aが剥離した部分(樹脂層1aと基材層2側表面との間の接合層1b)に、スポイトを用いて水を付着させないこと以外は、上記の<水を付着させた状態での剥離強度の測定方法>と同じ測定条件で樹脂層1aを基材層2側表面から剥離させて、チャック間距離が57mmに至った際の剥離強度を、水を付着させない状態での剥離強度(N/15mm)とする。
本発明の電池用包装材料10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、電池用包装材料の厚みを薄くして電池のエネルギー密度を高めつつ、成形性に優れた電池用包装材料とする観点からは、例えば180μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは60〜180μm程度、さらに好ましくは60〜150μm程度が挙げられる。
2.電池用包装材料を形成する各層
[樹脂層1a及び接合層1b]
本発明の電池用包装材料において、樹脂層1aは、電池用包装材料の最外層に位置しており、所望のタイミングで、水性液体を用いて電池用包装材料を構成する積層体から剥離可能な層である。
樹脂層1aは、図1〜図3の模式図に示されるように、1層の接合層1bと積層されて2層構成の保護層1を構成していることが好ましい。
接合層1bは、基材層2(後述の表面被覆層が存在する場合には、表面被覆層)と粘着している。また、樹脂層1aは、最外層側に位置する。
前述の通り、電池が完成するまでの間には、電池用包装材料又は電池の搬送時の傷付きや、熱融着時の加熱劣化、電解液を封入する際の電解液の付着など、電池用包装材料の基材層2側の表面特性が劣化することがあり、このような特性劣化は、可能な限り回避することが求められている。
本発明の電池用包装材料においては、剥離可能な前記特定の樹脂層1aと接合層1bを備えているため、電池又は電池用包装材料を製造する工程において、特許文献1のような電池用包装材料の外側表面の特性を劣化させる加熱や紫外線照射などが不要であり、電池用包装材料の外側表面の特性劣化を効果的に抑制することができる。
接合層1bは、ポリエステル樹脂を含んでいる。また、接合層1bは、熱可塑性樹脂であることが好ましい。接合層1bが熱可塑性樹脂であることは、例えば、熱機械分析を用いたプローブの変位量測定において、電池用包装材料(積層体)の端部の接合層1b表面にプローブを設置し、測定開始時の前記プローブのディフレクションの設定値は−4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から250℃まで加熱した際に、プローブの位置が初期値よりも低下することにより確認することができる。熱機械分析を用いたプローブの変位量測定の詳細については、後述の樹脂層1aで説明した方法と同様である。また、接合層1bがポリエステル樹脂を含んでいることは、例えば赤外分光法で確認することができる。
接合層1bに含まれるポリエステル樹脂としては、接合層1bが水性液体と接触することにより、接合層1bに隣接する層と剥離可能に粘着できるものであれば、特に制限されない。接合層1bが水性液体と接触するまでは、接合層1bに隣接する層と強固に粘着し、かつ、接合層1bが水性液体と接触することにより、接合層1bに隣接する層と容易に剥離可能とする観点から、ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、ポリエステル系エラストマーが挙げられる。ポリエステル系エラストマーは、ポリエステル系であるため、耐熱性が良好である。また、ポリエステル系エラストマーは、ポリエステル系であるため、極性が高く水性液体の濡れ性が良好であり、水性液体を用いて剥離しやすい。また、エラストマーは低分子量成分が多く、剥離しやすい。また、樹脂層がポリエステル樹脂を含んでいる場合、ポリエステル系エラストマーはポリエステル基材と密着性がよいため、樹脂層を剥離したときに、接合層が樹脂層と共に剥離され、基材層2側に接合層の成分が残りにくい点から好ましい。ポリエステル系エラストマーとしては、特に制限されないが、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーであることがより好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントである芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントであるポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体が好ましい。さらに、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、(i)炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、(ii)芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステル及び/又は脂肪族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルと、(iii)ポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが好ましい。なお、接合層1bがエラストマーを含んでいることは、例えば、常温でタック性(粘性)を有することにより確認することができる。
炭素原子数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、例えば、ポリエステルの原料、特にポリエステル系エラストマーの原料として一般に用いられるものを用いることができる。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらの中では、1,4−ブタンジオール又はエチレングリコールが好ましく、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。これらのジオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特にポリエステル系エラストマーの原料として一般的に用いられているものを用いることができる。具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸が好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルやジエチルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、ジメチルテレフタレート及び2,6−ジメチルナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸などが好ましく、そのアルキルエステルとしては、ジメチルエステルやジエチルエステルなどが好ましい。また、上記の成分以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸又はそのエステルを少量共重合させてもよく、さらに、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルを共重合成分として用いてもよい。
ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び/又は1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール系化合物、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール系化合物などが挙げられる。これらの中でも、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール系化合物が好ましい。なお、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール系化合物は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール及びその類縁化合物を含む。また、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール系化合物は、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール及びその類縁化合物を含む。
ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量の好ましい下限は約400以上、好ましい上限は約6000以下である。下限を約400以上とすることで、共重合体のブロック性が高くなり、上限を約6000以下とすることで、系内での相分離が起こり難く、ポリマー物性が発現しやすくなる。より好ましい下限は約500以上、より好ましい上限は約4000以下、さらに好ましい下限は約600以上、さらに好ましい上限は約3000以下が挙げられる。
なお、本明細書において、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものをいう。なお、GPCによる数平均分子量の測定は、標準ポリマー(ポリスチレン)換算分子量である。
ポリエステル系エラストマーとして、ポリエステルとポリアルキレンエーテルグリコールとからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体を用いる場合、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量としては、下限は、好ましくは約5質量%以上、より好ましくは約30質量%以上、さらに好ましくは約55質量%以上が挙げられ、上限は、好ましくは約90質量%以下、より好ましくは約80質量%以下が挙げられる。なお、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は核磁気共鳴分光法(H1−NMR測定)を用い、水素原子の化学シフトとその積分値に基づいて算出することができる。
ポリエステル系エラストマーは、変性剤により変性された、変性ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。変性ポリエステル系エラストマーを得るための変性反応は、例えば、ポリエステル系エラストマーに、変性剤としてのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を反応させることによって行われる。変性反応に際しては、ラジカル発生剤を使用することが好ましい。変性反応においては、ポリエステル系エラストマーにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸やその誘導体が付加するグラフト反応が主として起こるが、分解反応も起こる。その結果、変性ポリエステル系エラストマーは、分子量が低下して溶融粘度が低くなる場合がある。また、変性反応においては、通常、他の反応として、エステル交換反応なども起こるものと考えられ、得られる反応物は、一般的には、未反応原料などを含む組成物となる。このような場合、得られる反応物中の変性ポリエステル系エラストマーの含有率は約10質量%以上、より好ましくは約30質量%以上、変性ポリエステル系エラストマーの含有率が約100質量%であることがさらに好ましい。
変性剤として使用されるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの不飽和カルボン酸;コハク酸2−オクテン−1−イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。これらの中でも、反応性が高いことから、酸無水物が好ましい。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、変性すべきポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する共重合体や変性条件に応じて適宜選択することができ、また、2種以上を併用してもよい。なお、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、有機溶剤などに溶解して使用することもできる。
ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化カリウム、過酸化水素などの有機及び無機の過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ−t−ブタンなどのアゾ化合物、ジクミルなどの炭素ラジカル発生剤などが挙げられる。
ラジカル発生剤は、変性反応に使用するポリエステル系エラストマーの種類、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の種類及び変性条件に応じて適宜選択することができ、また、2種以上を併用してもよい。さらに、ラジカル発生剤は有機溶剤などに溶解して使用することもできる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の配合量の好ましい下限は、ポリエステル系エラストマー100質量部に対して約0.01質量部以上、好ましい上限は約30.0質量部以下である。約0.01質量部以上とすることで、変性反応を充分に行うことができ、約30.0質量部以下とすることで、経済的に有利なものとなる。より好ましい下限は約0.05質量部以上、より好ましい上限は約5.0質量部以下、さらに好ましい下限は約0.10質量部以上、さらに好ましい上限は約1.0質量部以下である。
ラジカル発生剤の配合量の好ましい下限は、ポリエステル系エラストマー100質量部に対して約0.001質量部以上、好ましい上限は約3.00質量部以下である。約0.001質量部以上とすることで、変性反応が起きやすくなり、約3.00質量部以下とすることで、変性時の低分子量化(粘度低下)による材料強度の低下が起こりにくくなる。より好ましい下限は約0.005質量部以上、より好ましい上限は約0.50質量部以下、さらに好ましい下限は約0.010質量部以上、さらに好ましい上限は約0.20質量部以下であり、特に好ましい上限は約0.10質量部以下である。
上記変性ポリエステル系エラストマーを得るための変性反応としては、溶融混練反応法、溶液反応法、懸濁分散反応などの公知の反応方法を使用することができるが、通常は安価であることから溶融混練反応法が好ましい。
溶融混練反応法による方法では、上述した各成分を所定の配合比にて均一に混合した後、溶融混練を行う。各成分の混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダーなどを使用することができ、溶融混練には、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸などの多軸混練押出機などを使用することができる。
溶融混練を行う場合の混練温度の好ましい下限は約100℃以上、好ましい上限は約300℃以下である。上記範囲内とすることで、樹脂の熱劣化を防止することができる。より好ましい下限は約120℃以上、より好ましい上限は約280℃以下、さらに好ましい下限は約150℃以上、さらに好ましい上限は約250℃以下である。
変性ポリエステル系エラストマーの変性率(グラフト量)の好ましい下限は約0.01質量%以上、好ましい上限は約10.0質量%以下である。約0.01質量%以上であることで、ポリエステルとの親和性が高くなり、約10.0質量%以下であることで、変性時の分子劣化による強度低下を小さくすることができる。より好ましい下限は約0.03質量%以上、より好ましい上限は約7.0質量%以下であり、さらに好ましい下限は約0.05質量%以上、さらに好ましい上限は約5.0質量%以下である。
変性ポリエステル系エラストマーの変性率(グラフト量)は、H1−NMR測定により得られるスペクトルから求めることができる。
樹脂層1aを構成する素材としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられ、好ましくは熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、電池用包装材料の基材層2側の表面特性の劣化を抑制する観点からは、好ましくは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられ、これらの中でも、ポリエステル樹脂がより好ましい。特に、樹脂層1aの機械的強度を高めて、樹脂層1aを好適に剥離する観点から、樹脂層1aは、2軸延伸ポリエステルフィルムにより構成されていることが好ましい。2軸延伸ポリエステルフィルムは、配向性が高められており、成形性、引張強度、突刺し強度に優れている。なお、樹脂層1aを構成する樹脂は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
ポリエステル樹脂としては、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどが挙げられる。ポリエステル樹脂は、1種類のみで構成されていてもよいし、2種類以上により構成されていてもよい。ポリエステル樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分(含有量が例えば90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上など)とし、ポリブチレンテレフタレートが副成分として含まれていてもよい。
また、樹脂層1aを構成している樹脂は、基材層2を構成している樹脂よりも融点が高いことが好ましい。樹脂層1aを構成している樹脂の融点が高いことにより、電池用包装材料の熱融着性樹脂層4を熱融着させる際の高温・高圧による基材層2の劣化を、樹脂層1aによる保護によって、効果的に抑制することができる。樹脂層1aによる基材層2の劣化抑制効果を特に有効に発揮させる態様としては、樹脂層1aがポリエステル樹脂により構成されており、基材層2がポリアミドより構成されている態様が挙げられる。
本発明において、樹脂層1aは、熱機械分析を用いたプローブの変位量測定において、電池用包装材料(積層体)の端部の樹脂層1a表面にプローブを設置し、測定開始時の前記プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は−4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、プローブの位置が初期値よりも低下しないことが好ましい。これにより、電池用包装材料の熱融着性樹脂層4を熱融着させる際の高温・高圧による基材層2の劣化を、樹脂層1aによる保護によって、効果的に抑制することができる。
プローブの変位量測定においては、まず、電池用包装材料(積層体)の端部の樹脂層1aの表面にプローブを設置する。このときの端部は、電池用包装材料の中心部を通るように厚み方向に切断して得られた、樹脂層1aの断面が露出した部分である。切断は、市販品の回転式ミクロトームなどを用いて行うことができる。なお、電解質などが封入された電池に使用されている電池用包装材料について、変位量測定を行う場合には、電池用包装材料の熱融着性樹脂層が互いに熱融着されている部分について、測定を行う。加熱機構付きのカンチレバーを取り付けられる原子間力顕微鏡としては、例えば、ANASIS INSTRUMENTS社製のafm plusシステムを用い、プローブとしてはANASYS INSTRUMENTS社製カンチレバーThermaLever AN2−200(ばね定数0.5〜3N/m)を使用することができる。プローブの先端半径は30nm以下、プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は−4V、昇温速度5℃/分とする。次に、この状態でプローブを加熱すると、プローブからの熱により、樹脂層1a表面が膨張して、プローブが押し上げられ、プローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも上昇する。さらに加熱温度が上昇すると、樹脂層1aが軟化し、プローブが樹脂層1aに突き刺さり、プローブの位置が下がる。なお、加熱機構付きのカンチレバーから構成されたナノサーマル顕微鏡を備える原子間力顕微鏡を用いたプローブの変位量測定においては、測定対象となる電池用包装材料は室温(25℃)環境にあり、40℃に加熱されたプローブを樹脂層1a表面に設置して、測定を開始する。
本発明の電池用包装材料においては、絶縁性及び耐久性をより一層高める観点から、測定開始時の前記プローブのディフレクション(Deflection)の設定値は−4V、昇温速度5℃/分の条件で、プローブを40℃から220℃まで加熱した際に、樹脂層1a表面に設置したプローブの位置が初期値(プローブの温度が40℃である時の位置)よりも低下せず、さらに、160℃から200℃まで加熱した際に、樹脂層1a表面に設置したプローブの位置が低下しないことがより好ましい。電池用包装材料の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして電池素子を封止する工程は、通常、160℃から200℃程度に加熱して行われる。このため、プローブを160℃から200℃まで加熱した際に、樹脂層1a表面に設置したプローブの位置が低下しない電池用包装材料は、特に高い耐熱性を発揮することができる。耐熱性をより一層高める観点から、プローブを40℃から250℃まで加熱した際に、樹脂層1a表面に設置したプローブの位置が初期値よりも低下せず、さらに、160℃から200℃まで加熱した際に、樹脂層1a表面に設置したプローブの位置が低下しないことがさらに好ましい。
樹脂層1aの厚みとしては、特に制限されないが、電池用包装材料の基材層2側の表面特性の劣化を抑制する観点からは、好ましくは2〜50μm程度、より好ましくは2〜20μm程度、さらに好ましくは2〜10μm程度が挙げられる。
同様の観点から、接合層1bの厚みは、好ましくは0.2〜10μm程度、より好ましくは0.2〜5μm程度、さらに好ましくは0.2〜3μm程度が挙げられる。同様の観点から、樹脂層1aと接合層1bとの合計厚みとしては、好ましくは2〜50μm程度、より好ましくは2〜20μm程度、さらに好ましくは2〜10μm程度が挙げられる。
樹脂層1aの表面には、滑剤が存在していてもよい。樹脂層1aの表面には、滑剤が存在していることにより、電池用包装材料の成形性を高めることができる。滑剤の種類としては、特に制限されず、例えば、後述の熱融着性樹脂層で例示する滑剤と同じものが挙げられる。好ましい滑剤としては、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドであり、より好ましい滑剤はエルカ酸アミドである。樹脂層1aの表面における滑剤の存在量としては、好ましくは2〜20g/m2程度、より好ましくは3〜17g/m2程度、さらに好ましくは3〜8g/m2程度が挙げられる。樹脂層1aの表面に存在する滑剤は、樹脂層1aの内部から滲出させたものであってもよいし、樹脂層1aの表面に塗布したものでもよい。なお、樹脂層1aの表面に存在する滑剤量は、以下の測定方法により確認することができる。
(滑剤量の測定)
電池用包装材料をA4サイズ(ISO216)に裁断してサンプルを作製する。次に、各サンプルの樹脂層表面を、アセトンで洗浄し、回収したアセトンを窒素ブローにて揮発・乾燥させて固形物を得る。次に、固形物にクロロホルム10mlを加えて、固形物を再溶解し、ガスクロマトグラフ(GC、例えば、島津製作所製のGC−2010、カラム:UltraALLOY−1(MS/HT)、検出器:FID、定量法:絶対検量線法)を用いて、樹脂層表面の滑剤量を測定する。
[基材層2]
本発明の電池用包装材料において、樹脂層1aを剥離した後は、基材層2は最外層側に位置する層となる。樹脂層1aと基材層2との間に他の層(例えば、後述の表面被覆層など)を設けない場合には、基材層2は接合層1bに隣接する層である。
基材層2を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層2を形成する素材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物などの樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられ、より好ましくは2軸延伸ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6とナイロン66との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などが挙げられる。ポリアミド樹脂は、1種類のみで構成されていてもよいし、2種類以上により構成されていてもよい。ポリアミド樹脂は、例えば、ナイロン6とポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)とを含んでいてもよい。
基材層2は、1層の樹脂フィルムから形成されていてもよいが、耐ピンホール性や絶縁性を向上させるために、2層以上の樹脂フィルムで形成されていてもよい。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造、ナイロンフィルムを複数層積層させた多層構造、ポリエステルフィルムを複数層積層させた多層構造などが挙げられる。基材層2が多層構造である場合、2軸延伸ナイロンフィルムと2軸延伸ポリエステルフィルムの積層体、2軸延伸ナイロンフィルムを複数積層させた積層体、2軸延伸ポリエステルフィルムを複数積層させた積層体が好ましい。例えば、基材層2を2層の樹脂フィルムから形成する場合、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂を積層する構成、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成、又はポリエステル樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成にすることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを積層する構成、ナイロンとナイロンを積層する構成、又はポリエチレンテレフタレートとナイロンを積層する構成にすることがより好ましい。基材層2を多層構造とする場合、各層の厚みとして、好ましくは2〜25μm程度が挙げられる。
基材層2を多層の樹脂フィルムで形成する場合、2以上の樹脂フィルムは、接着剤又は接着性樹脂などの接着成分を介して積層させればよく、使用される接着成分の種類や量などについては、後述する接着剤層5の場合と同様である。なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネート法、サンドイッチラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。ドライラミネート法により積層させる場合には、接着層としてウレタン系接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着層の厚みとしては、例えば2〜5μm程度が挙げられる。
基材層2の厚みについては、基材層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、3〜50μm程度、好ましくは10〜35μm程度が挙げられる。
[接着剤層5]
本発明の電池用包装材料10において、接着剤層5は、基材層2とバリア層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着剤層5は、基材層2とバリア層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層5の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。さらに、接着剤層5の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型などのいずれであってもよい。
接着剤層5の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂などのアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム;シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着剤層5の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。
本発明の電池用包装材料のバリア層3よりも外側の層(好ましくは、樹脂層1a、接合層1b、基材層2、及び接着剤層5のうち少なくとも1層)に、紫外線吸収剤、光安定剤、及び酸化防止剤のうち少なくとも1成分を含んでいることが好ましい。これらのうち1成分が含まれていることにより、バリア層3の外側において、層間のデラミネーションが効果的に抑制される。
なお、本発明において、電池用包装材料のバリア層3よりも外側の層のデラミネーションとは、主に、これらの層間の剥離を意味している。
本発明の電池用包装材料のバリア層3よりも外側の層にこれらの成分が含まれることは、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて分析することができる。微量でありGC/MSでは検出されない場合、例えば、液体クロマトグラフ(HPLC)で分析することができる。前処理は、以下のようにして行う。
基材層(樹脂層と接合層が積層されている)とバリア層との間を、溶剤を使わずに物理的に剥離させる。次に、樹脂層、接合層、及び基材層の積層体について、各層中の添加剤成分の抽出効率を高めるために、各層間の密着が小さくなるようにステンレス製メッシュと共に巻き、抽出を行う。次に、抽出溶媒にクロロホルムを用い、ソックスレー抽出を10時間行い、添加剤成分を抽出する。溶媒を留去した後、測定溶媒に溶解し分析に供する。
本発明の電池用包装材料のバリア層3よりも外側の層(好ましくは、樹脂層1a、接合層1b、基材層2、及び接着剤層5のうち少なくとも1層)に含まれる紫外線吸収剤の合計含有量としては、層間の接着安定性の観点から、好ましくは10〜500ppm、より好ましくは30〜100ppm程度、特に好ましくは40〜80ppm程度が挙げられる。また、光安定剤の合計含有量としては、層間の接着安定性の観点から、好ましくは10〜500ppm、より好ましくは100〜200ppm程度、特に好ましくは120〜180ppmが挙げられる。また、酸化防止剤の合計含有量としては、層間の接着安定性の観点から、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは200〜800ppm程度、特に好ましくは420〜600ppm程度が挙げられる。
紫外線吸収剤の種類としては、特に制限されないが、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩、又は金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、又はキレート類等が挙げられる。紫外線吸収剤の市販品としては、BASF社製のTINUVIN571、TINUVIN460、TINUVIN213、TINUVIN234、TINUVIN329、TINUVIN326などが挙げられ、これらの中でも、特に、TINUVIN326(2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)が有効である。
紫外線吸収剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
光安定剤の種類としては、特に制限されないが、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。光安定剤の具体例としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート等が挙げられる。これらの中でも、ピペリジンの1位の位置と連結するものが、N−オキシアルキル又はN−メチルである化合物が好ましい。また、光安定剤の市販品としては、BASF社製のTINUVIN765、TINUVIN770、TINUVIN780、TINUVIN144、TINUVIN622LDが挙げられ、特にTINUVIN770(セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル))が有効である。
光安定剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、酸化防止剤の種類としては、特に制限されないが、好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、Irganox1330(2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン)、Irganox1098(N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド])、Irganox1010(テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール)が挙げられる。酸化防止剤として、Irganox1330が含まれる場合、層間の接着安定性の観点から、本発明の電池用包装材料のバリア層3よりも外側の層(好ましくは、樹脂層1a、接合層1b、基材層2、及び接着剤層5のうち少なくとも1層)に含まれるIrganox1330の合計含有量としては、好ましくは10〜500ppm程度、より好ましくは90〜200ppm程度、特に好ましくは110〜170ppm程度が挙げられる。
酸化防止剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
[バリア層3]
電池用包装材料において、バリア層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層3は、金属層、すなわち、金属で形成されている層であることが好ましい。バリア層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層3は、例えば、金属箔や金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム合金箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、バリア層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H−O、JIS H4160:1994 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)など軟質アルミニウム合金箔により形成することがより好ましい。
バリア層3の厚みは、水蒸気などのバリア層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、電池用包装材料の厚みを薄くする観点からは、好ましくは約100μm以下、より好ましくは10〜100μm程度、さらに好ましくは10〜80μm程度が挙げられる。
また、バリア層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、バリア層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム化合物を用いたクロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
一般式(1)〜(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一又は異なって、ヒドロキシ基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500〜100万程度であることが好ましく、1000〜2万程度であることがより好ましい。
また、バリア層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、バリア層3の表面に耐酸性皮膜を形成する方法が挙げられる。また、耐酸性皮膜の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン又はその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、耐酸性皮膜を具体的に設ける方法としては、たとえば、一つの例として、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法などの周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面にリン酸クロム塩、リン酸チタン塩、リン酸ジルコニウム塩、リン酸亜鉛塩などのリン酸金属塩及びこれらの金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、リン酸非金属塩及びこれらの非金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、これらとアクリル系樹脂ないしフェノール系樹脂ないしウレタン系樹脂などの水系合成樹脂との混合物からなる処理液(水溶液)をロールコート法、グラビア印刷法、浸漬法などの周知の塗工法で塗工することにより、耐酸性皮膜を形成することができる。たとえば、リン酸クロム塩系処理液で処理した場合は、リン酸クロム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、フッ化アルミニウムなどからなる耐酸性皮膜となり、リン酸亜鉛塩系処理液で処理した場合は、リン酸亜鉛水和物、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、フッ化アルミニウムなどからなる耐酸性皮膜となる。
また、耐酸性皮膜を設ける具体的方法の他の例としては、たとえば、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法などの周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面に周知の陽極酸化処理を施すことにより、耐酸性皮膜を形成することができる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン酸塩系、クロム酸系の皮膜が挙げられる。リン酸塩系としては、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、リン酸クロムなどが挙げられ、クロム酸系としては、クロム酸クロムなどが挙げられる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物などの耐酸性皮膜を形成することによって、エンボス成形時のアルミニウムと基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止、エンボスタイプにおいてはプレス成形時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止の効果を示す。耐酸性皮膜を形成する物質のなかでも、フェノール樹脂、フッ化クロム(III)化合物、リン酸の3成分から構成された水溶液をアルミニウム表面に塗布し、乾燥焼付けの処理が良好である。
また、耐酸性皮膜は、酸化セリウムと、リン酸又はリン酸塩と、アニオン性ポリマーと、該アニオン性ポリマーを架橋させる架橋剤とを有する層を含み、前記リン酸又はリン酸塩が、前記酸化セリウム100質量部に対して、1〜100質量部程度配合されていてもよい。耐酸性皮膜が、カチオン性ポリマー及び該カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を有する層をさらに含む多層構造であることが好ましい。
さらに、前記アニオン性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、あるいは(メタ)アクリル酸又はその塩を主成分とする共重合体であることが好ましい。また、前記架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記リン酸又は前記リン酸塩が、縮合リン酸又は縮合リン酸塩であることが好ましい。
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロム酸クロメート処理や、クロム化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせた化成処理などが好ましい。クロム化合物の中でも、クロム酸化合物が好ましい。
耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、及びトリアジンチオールのうち少なくとも1種を含むものが挙げられる。また、セリウム化合物を含む耐酸性皮膜も好ましい。セリウム化合物としては、酸化セリウムが好ましい。
また、耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩系皮膜、クロム酸塩系皮膜、フッ化物系皮膜、トリアジンチオール化合物皮膜なども挙げられる。耐酸性皮膜としては、これらのうち1種類であってもよいし、複数種類の組み合わせであってもよい。さらに、耐酸性皮膜としては、アルミニウム合金箔の化成処理面を脱脂処理した後に、リン酸金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液、又はリン酸非金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液で形成されたものであってもよい。
なお、耐酸性皮膜の組成の分析は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いて行うことができる。飛行時間型2次イオン質量分析法を用いた耐酸性皮膜の組成の分析により、例えば、Ce+及びCr+の少なくとも一方に由来するピークが検出される。
アルミニウム合金箔の表面に、リン、クロム及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む耐酸性皮膜を備えていることが好ましい。なお、電池用包装材料のアルミニウム合金箔の表面の耐酸性被膜中に、リン、クロム及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素が含まれることは、X線光電子分光を用いて確認することができる。具体的には、まず、電池用包装材料において、アルミニウム合金箔に積層されている熱融着性樹脂層、接着剤層などを物理的に剥離する。次に、アルミニウム合金箔を電気炉に入れ、約300℃、約30分間で、アルミニウム合金箔の表面に存在している有機成分を除去する。その後、アルミニウム合金箔の表面のX線光電子分光を用いて、これら元素が含まれることを確認する。
化成処理においてバリア層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、バリア層3の表面1m2当たり、クロム化合物がクロム換算で0.5〜50mg程度、好ましくは1.0〜40mg程度、リン化合物がリン換算で0.5〜50mg程度、好ましくは1.0〜40mg程度、及びアミノ化フェノール重合体が1.0〜200mg程度、好ましくは5.0〜150mg程度の割合で含有されていることが望ましい。
耐酸性皮膜の厚みとしては、特に制限されないが、皮膜の凝集力や、アルミニウム合金箔や熱融着性樹脂層との密着力の観点から、好ましくは1nm〜10μm程度、より好ましくは1〜100nm程度、さらに好ましくは1〜50nm程度が挙げられる。なお、耐酸性皮膜の厚みは、透過電子顕微鏡による観察、又は、透過電子顕微鏡による観察と、エネルギー分散型X線分光法もしくは電子線エネルギー損失分光法との組み合わせによって測定することができる。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、バリア層の表面に塗布した後に、バリア層の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層に化成処理を施す前に、予めバリア層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、バリア層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する層である。
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。すなわち、熱融着性樹脂層4は、ポリオレフィン骨格を含んでいてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。熱融着性樹脂層4がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などのポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマーなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネンなどの環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエンなどの環状ジエンなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸などの酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
前記酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記ポリオレフィンの変性に使用される酸成分と同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン;さらに好ましくはポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
本発明において、電池用包装材料の成形性を高める観点からは、熱融着性樹脂層の表面には、滑剤が付着していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドの具体例としては、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
熱融着性樹脂層4の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、温度24℃、相対湿度60%の環境において、好ましくは約3mg/m2以上、より好ましくは4〜15mg/m2程度、さらに好ましくは5〜14mg/m2程度が挙げられる。
熱融着性樹脂層4の中には、滑剤が含まれていてもよい。また、熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤は、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、接着層5の有無や、接着層5の厚みなどに応じて設定することができ、熱融着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、上限については、例えば約100μm以下、好ましくは約85μm以下、より好ましくは60μm以下が挙げられ、下限については、例えば約15μm以上、好ましくは20μm以上が挙げられ、好ましい範囲としては、15〜100μm程度、15〜85μm程度、15〜60μm程度、20〜100μm程度、20〜85μm程度、20〜60μm程度、15〜40μm程度が挙げられる。とりわけ、例えば、後述の接着層5の厚みが10μm以上である場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、上限については、好ましくは約85μm以下、より好ましくは約60μm以下が挙げられ、下限については、例えば約15μm以上、好ましくは20μm以上が挙げられ、好ましい範囲としては、15〜85μm程度、15〜60μm程度、20〜85μm程度、20〜60μm程度が挙げられる。また、例えば後述の接着層5の厚みが10μm未満である場合や接着層5が設けられていない場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、好ましくは約20μm以上、より好ましくは35〜85μm程度が挙げられる。
[接着層6]
本発明の電池用包装材料において、接着層6は、バリア層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層6は、バリア層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層6の形成に使用される樹脂としては、その接着機構、接着剤成分の種類などは、接着剤層5で例示した接着剤と同様のものが使用できる。また、接着層6の形成に使用される樹脂としては、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂も使用できる。バリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性に優れる観点から、ポリオレフィンとしては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。すなわち、接着層6は、ポリオレフィン骨格を含んでいてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。接着層6がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
さらに、電池用包装材料の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れた電池用包装材料とする観点からは、接着層6は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であってもよい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、熱融着性樹脂層4で例示したカルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンと同じものが例示できる。
また、硬化剤としては、酸変性ポリオレフィンを硬化させるものであれば、特に限定されない。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、多官能イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤などが挙げられる。
エポキシ系硬化剤は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。
多官能イソシアネート系硬化剤は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド系硬化剤としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。
オキサゾリン系硬化剤は、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン系硬化剤としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層6によるバリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
接着層6を形成する樹脂組成物における硬化剤の含有量は、0.1〜50質量%程度の範囲にあることが好ましく、0.1〜30質量%程度の範囲にあることがより好ましく、0.1〜10質量%程度の範囲にあることがさらに好ましい。
接着層6の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、接着剤層5で例示した接着剤を用いる場合であれば、好ましくは1〜10μm程度、より好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2〜50μm程度、より好ましくは10〜40μm程度が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合であれば、好ましくは約30μm以下、より好ましくは0.1〜20μm程度、さらに好ましくは0.5〜5μm程度が挙げられる。なお、接着層6が酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、当該樹脂組成物を塗布し、加熱などにより硬化させることにより、接着層6を形成することができる。
[表面被覆層]
本発明の電池用包装材料においては、意匠性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層2の外側(基材層2のバリア層3とは反対側)に、表面被覆層を設けてもよい。表面被覆層を設ける場合、表面被覆層は、接合層1bと基材層2との間に位置する。
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。表面被覆層は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層には、添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。添加剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物などが挙げられる。また、添加剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状などが挙げられる。添加剤として、具体的には、タルク、シリカ、グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケルなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコストなどの観点から、好ましくはシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理などの各種表面処理を施しておいてもよい。
表面被覆層中の添加剤の含有量としては、特に制限されないが、好ましくは0.05〜1.0質量%程度、より好ましくは0.1〜0.5質量%程度が挙げられる。
表面被覆層を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂を基材層2の外側の表面に塗布する方法が挙げられる。添加剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂に添加剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
表面被覆層の厚みとしては、表面被覆層としての上記の機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、0.5〜10μm程度、好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、樹脂層1aと、接合層1bと、基材層2と、バリア層3と、熱融着性樹脂層4とをこの順に積層する工程を備えており、接合層1bがポリエステル樹脂を含んでおり、樹脂層1aが水性液体を用いて基材層2から剥離可能なものを用いる方法が挙げられる。
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、樹脂層1a、接合層1b、基材層2、接着剤層5、バリア層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、まず、樹脂層1aと接合層1bと基材層2とを共押出しラミネート法などの方法により積層する。この際、前述のように、例えば樹脂層1aと接合層1bとの積層構造とし、前述の接合層1bを介して、樹脂層1aと基材層2とが粘着するようにして、樹脂層1aと接合層1bと基材層2との積層体を形成することができる。また、それぞれ、フィルム状の樹脂層1aに積層された接合層1bの粘着性表面側と、フィルム状の基材層2とを圧着させて積層体を得てもよい。
次に、樹脂層1a、接合層1b、及び基材層2の積層体と、バリア層3とを積層する。この積層は、例えば、基材層2又は必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3に、接着剤層5の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該バリア層3又は基材層2を積層させて接着剤層5を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。以上の工程により、樹脂層1a、接合層1b、基材層2、接着剤層5、バリア層3が順に積層された積層体Aが得られる。
次いで、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4を積層させる。バリア層3上に熱融着性樹脂層4を直接積層させる場合には、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法などの方法により塗布すればよい。また、バリア層3と熱融着性樹脂層4の間に接着層6を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aのバリア層3上に、接着層6及び熱融着性樹脂層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネート法)、(2)別途、接着層6と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのバリア層3上にサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aのバリア層3上に、接着層6を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングし、高温で乾燥さらには焼き付ける方法などにより積層させ、この接着層6上に予めシート(フィルム)状に製膜した熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法により積層する方法、(4)積層体Aのバリア層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層6を流し込みながら、接着層6を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)などが挙げられる。
なお、樹脂層1a及び接合層1bを積層する順序は、特に制限されず、例えば、基材層2とバリア層3とを積層させてから、基材層2側の表面に接合層1bと樹脂層1aを積層してもよい。また、熱融着性樹脂層4などを積層した後、最後に基材層2側に接合層1bと樹脂層1aを積層して、電池用包装材料を得てもよい。
表面被覆層を設ける場合には、例えば、基材層2のバリア層3とは反対側の表面に、表面被覆層を積層してから、接合層1b及び樹脂層1aを表面被覆層の上に積層する。表面被覆層は、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂を基材層2の表面に塗布することにより形成することができる。なお、基材層2の表面にバリア層3を積層する工程と、基材層2の表面に表面被覆層を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層2の表面に表面被覆層を形成した後、基材層2の表面被覆層とは反対側の表面にバリア層3を形成してもよい。
上記のようにして、樹脂層1a/接合層1b/必要に応じて設けられる表面被覆層/基材層2/必要に応じて設けられる接着剤層5/必要に応じて片方又は両方の表面が化成処理されたバリア層3/必要に応じて設けられる接着層6/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成される。必要に応じて設けられる接着剤層5及び接着層6の接着性を強固にするために、さらに、熱ロール接触式、熱風式、近赤外線式又は遠赤外線式などの加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃で1〜5分間が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性などを向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施していてもよい。例えば、基材層の少なくとも一方の表面にコロナ処理を施すことにより、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工適性などを向上又は安定化させ得る。
また、本発明においては、樹脂層1a及び接合層1bを備える前述の電池用包装材料を用意し、水性液体を用いて、樹脂層1aを積層体から剥離する剥離工程を行うことにより、樹脂層1aが剥離された電池用包装材料を製造することができる。積層体から樹脂層1aを剥離する方法については、前述のように、水性液体を接合層1bに付着させればよい。
さらに、本発明の電池用包装材料の製造方法においては、当該剥離工程の後、電池用包装材料を構成している積層体の基材層2側の表面に、インクによる印刷を施す印刷工程をさらに備えていてもよい。これにより、基材層2側の表面に印刷が施された電池用包装材料を好適に製造することができる。すなわち、本発明の電池用包装材料は、水性液体を用いて樹脂層1aを剥離し、基材層2側の表面にインクによる印刷が施される用途に好適に用いることができる。
なお、後述の通り、電池用包装材料からの樹脂層1aの剥離工程、さらに印刷工程は、電池用包装材料を用いた電池の製造工程において行ってもよい。樹脂層1a及び接合層1bを備える本発明の電池用包装材料を金型による成形に供してから、当該剥離工程や印刷工程を行うことにより、樹脂層1a及び接合層1bによる成形性向上効果を好適に享受することができる。例えば、電池の外側には、電池の識別性などの観点から、印字が施されることがある。本発明の電池用包装材料においては、印字が施されるまでは、電池用包装材料の基材層2側の表面の特性劣化を効果的に抑制し、印字を施す際に、水性液体を用いて樹脂層1aを積層体から剥離することにより、印字面となる電池用包装材料の基材層2側の表面を容易に露出させることができ、基材層2や表面被覆層の表面にインクによる印刷が施される用途にも好適に適用可能となる。また、樹脂層1a及び接合層1bを備える本発明の電池用包装材料を金型による成形に供してから、水性液体を用いて樹脂層1aを積層体から剥離することにより、樹脂層1aがバリア層3のピンホールを抑制する効果や、基材層2や表面被覆層の表面が金型によって傷つけられることを抑制する効果があり、成形性向上効果を好適に享受することができる。また、樹脂層1a及び接合層1bを備える本発明の電池用包装材料を用いて熱融着性樹脂層4を熱融着させた場合、高温・高圧による基材層2や表面被覆層の劣化を、樹脂層1aによる保護によって、効果的に抑制することができる。なお、樹脂層1aを剥離するタイミング及び目的は、これらに限定されない。
インクによる印刷法としては、特に制限されず、例えば、パッド印刷、インクジェット印刷などが好適である。なお、パッド印刷とは、次のような印刷方法である。まず、印字したいパターンがエッチングされた平板の凹部にインクを流し込む。次に、当該凹部の上からシリコンパッドを押し当てて、シリコンパッドにインクを転移させる。次に、シリコンパッド表面に転移されたインクを印刷対象物に転写して、印刷対象物に印字を形成する。このようなパッド印刷は、弾性のあるシリコンパッドなどを用いてインクが印刷対象物に転写されるため、成形後の電池用包装材料の表面にも印刷しやすく、電池素子を電池用包装材料で封止した後に、電池に印字することができるという利点を有する。また、インクジェット印刷においても同様の利点を有する。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質などの電池素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本発明の電池用包装材料によって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容して、電池とすることができる。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料の熱融着性樹脂部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。樹脂層1a及び接合層1bを備える本発明の電池用包装材料を用いて熱融着性樹脂層4を熱融着させた場合、高温・高圧による基材層2や表面被覆層の劣化を、樹脂層1aによる保護によって、効果的に抑制することができる。本発明の電池用包装材料においては、熱融着性樹脂層4を熱融着させた後に、樹脂層1aを剥離することができる。
本発明の電池用包装材料によって形成される包装体は、1枚の電池用包装材料を折り曲げて、対向する熱融着性樹脂層の縁部をヒートシールすることによって形成することもできるし、2枚の電池用包装材料を熱融着性樹脂層同士が対向するように重ねて、縁部をヒートシールすることによって形成することもできる。また、2枚の電池用包装材料を用いる場合、一方にのみ本発明の電池用包装材料を使用してもよいし、両方に本発明の電池用包装材料を使用してもよい。さらに、基材層2側表面を保護したい所望のタイミングに応じて、一方の電池用包装材料から先に樹脂層1aを剥離してもよいし、両方の電池用包装材料から同じタイミングで樹脂層1aを剥離してもよい。
さらに、本発明の電池は、樹脂層1aが剥離されたものであってもよい。このような電池は、例えば、本発明の電池用包装材料により形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容する工程と、水性液体を用いて、前記樹脂層1aを包装体から剥離する剥離工程とを備える方法によって製造することができる。樹脂層1aを積層体から剥離する方法の具体例については、前述の方法と同様である。
さらに、本発明の電池の製造方法においては、剥離工程の後、電池用包装材料を構成している包装体の基材層2側の表面に、インクによる印刷を施す印刷工程をさらに備えていてもよい。これにより、電池の外側に印刷が施された電池を好適に製造することができる。特に、電池の製造工程において、剥離工程の直後に、印刷工程を設けることにより、電池及び電池用包装材料を製造する際の印刷工程直前まで、樹脂層1aによって、外側表面(樹脂層1aを剥離した後に電池の外側表面となる、基材層2や表面被覆層の表面)の特性劣化が効果的に抑制された電池に対して、好適に印刷を施すことが可能となる。
本発明においては、樹脂層1aは剥離可能ではあるが、樹脂層1aが剥離されていない電池として、そのまま利用してもよい。
樹脂層1a及び接合層1bを備える電池から樹脂層1aを剥離する場合、所望のタイミングで樹脂層1aを剥離することができる。樹脂層1aを電池から剥離することにより、放熱性が向上するため、電池の放熱性の向上が求められる場合には、樹脂層1aを剥離して放熱性を向上した電池として好適に使用することができる。また、樹脂層1aを電池から剥離することにより、電池の厚さを薄くすることができるため、電池を薄くすることが求められる場合には、樹脂層1aを剥離して厚みを低減した電池として好適に使用することができる。樹脂層1aを電池から剥離するタイミング及び目的については、これらに限定されない。また、電池から樹脂層1aを剥離する方法については、前述のように、水性液体を接合層1bに付着させればよい。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシターなどが挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<電池用包装材料の製造>
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムとが共押出しにより積層され、2軸延伸した積層フィルムを用意した。当該積層フィルムにおいて、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ5μm)と2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ20μm)との間は、ポリエステル樹脂(ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール系樹脂)により構成された接合層(厚さ1μm)により接着されている。当該積層フィルムは、樹脂層/接合層/基材層が順に積層された積層体であり、樹脂層/接合層/基材層の3層共押出し後に、2軸延伸されたものである。また、当該積層フィルム中には、紫外線吸収剤(TINUVIN326)、光安定剤(TINUVIN770)、及び酸化防止剤(Irganox1330、Irganox1098、Irganox1010)が配合されている。次に、基材層の表面に、バリア層としてのアルミニウム合金箔(厚さ40μm)をドライラミネート法により積層させた。具体的には、耐酸性皮膜が表面に形成されたアルミニウム合金箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、アルミニウム合金箔の表面に接着剤層(厚さ3μm)を形成した。次いで、バリア層上の接着剤層と基材層をドライラミネート法で積層した後、エージング処理を実施することにより、樹脂層/接合層/基材層/接着剤層/バリア層が順に積層された積層体を作製した。なお、バリア層として使用したアルミニウム箔は、酸化セリウムとリン酸塩を含む耐酸性皮膜を備える。
次に、得られた積層体のバリア層の上(耐酸性皮膜の表面)に、カルボキシル基を有する非結晶性ポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物からなる接着剤(硬化後の厚みが2μm)を塗布し、乾燥させ、得られた積層体のバリア層側と、未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み80μm)とを熱ロール間を通過させ接着することにより、バリア層上に接着層/熱融着性樹脂層を積層させた。次に、得られた積層体をエージングすることにより、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(5μm)/接合層(1μm)/2軸延伸ナイロンフィルム(20μm)/接着剤層(3μm)/バリア層(40μm)/接着層(2μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(80μm)がこの順に積層された電池用包装材料を得た。電池用包装材料の層構成を表1に示す。
(比較例1)
樹脂層、接合層及び基材層の積層体として、樹脂層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)と、基材層としての延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)とが2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物、厚さ3μm)により接着されたものを用意した。次に、実施例1と同様にして、基材層の表面に、バリア層としてのアルミニウム合金箔(厚さ40μm)をドライラミネート法により積層させて、樹脂層/接合層/基材層/接着剤層/バリア層が順に積層された積層体を作製した。アルミニウム合金箔の表面に形成された耐酸性皮膜は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥質量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム合金箔の両面に塗布し、焼付けすることにより形成されたものである。次に、接着層としての酸変性ポリプロピレン(厚さ40μm)及び熱融着性樹脂層としてのポリプロピレン(厚さ40μm)を共押出しラミネート法により積層することにより、樹脂層/接合層/基材層/接着剤層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。具体的な積層構成は表1に示す。
(比較例2)
樹脂層、接合層、及び基材層の積層体として、樹脂層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)と、基材層としての延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)とが2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物、厚さ3μm)により接着されたものを用意した。次に、実施例1と同様にして、基材層の表面に、バリア層としてのアルミニウム合金箔(厚さ40μm)をドライラミネート法により積層させて、樹脂層/接合層/基材層/接着剤層/バリア層が順に積層された積層体を作製した。アルミニウム合金箔の表面に形成された耐酸性皮膜は、比較例1と同様である。次に、得られた積層体のバリア層の上(耐酸性皮膜の表面)に、カルボキシル基を有する非結晶性ポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物からなる接着剤(硬化後の厚みが3μm)を塗布し、乾燥させ、得られた積層体のバリア層側と、未延伸のランダムポリプロピレンフィルム(厚み80μm)とを熱ロール間を通過させ接着することにより、樹脂層/接合層/基材層/接着剤層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。具体的な積層構成は表1に示す。
(比較例3)
基材層としての延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)の表面に、バリア層としてのアルミニウム合金箔(厚さ40μm)をドライラミネート法により積層させて、基材層/接着剤層/バリア層が順に積層された積層体を作製した。アルミニウム合金箔の表面に形成された耐酸性皮膜は、比較例1と同様である。次に、比較例1と同様にして、接着層としての酸変性ポリプロピレン(厚さ23μm)及び熱融着性樹脂層としてのポリプロピレン(厚さ23μm)を共押出しラミネート法により積層した。次に、樹脂層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)とシリコーン樹脂(シリコーン系エラストマー)により構成された接合層(厚さ1μm)を積層した樹脂層の接合層側と、上記で作成した積層体の基材層側を貼り合せて、樹脂層/接合層/基材層/接着剤層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。具体的な積層構成は表1に示す。
(比較例4)
比較例3において、基材層に樹脂層及び接合層を積層しなかったこと以外は、比較例3と同様にして、基材層/接着剤層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。具体的な積層構成は表1に示す。
<紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤の分析>
実施例1の電池用包装材料の基材層とバリア層との間を、溶剤を使わずに物理的に10gほど剥離させた。次に、樹脂層、接合層、及び基材層の積層体について、各層中の添加剤成分の抽出効率を高めるために、各層間の密着が小さくなるようにステンレス製メッシュと共に巻き、抽出を行った。次に、抽出溶媒にクロロホルムを用い、ソックスレー抽出を10時間行い、添加剤成分を抽出する。溶媒を留去した後、測定溶媒に溶解し分析に供した。GC/MSで、Irganox1330、Irganox1098、TINUVIN326、TINUVIN770が検出された。HPLCでIrganox1010が検出された。
[GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析)による分析]
(装置、測定条件)
装置 :株式会社島津製作所製ガスクロマトグラフ GC/MS−QP2010 Ultra
カラム:フロンティア・ラボ製UltraALLOY+−1(MS/HT)、df=0.15μm、0.25mmI.D.×15m
カラム温度:80〜390℃ 11℃/min hold
キャリアー:He 1.1mL/min
注入法:スプリット法
注入量:1μL
イオン化法:EI法 70eV
試料調整:2mLのクロロホルム/メタノール(1/1;v/v)混合溶媒に溶解
[HPLC(液体クロマトグラフ)による分析]
(装置、測定条件)
装置 :日本分光製HPLC PU−2085型
カラム:UnisonUK−C18 3μm、4.6mmI.D.×100mm
カラム温度:80〜390℃ 11℃/min hold
キャリアー:He 1.1mL/min
注入法:スプリット法 1:12
注入量:1μL
定量法:絶対検量線法
測定試料:2mLのクロロホルム/メタノール(1/1;v/v)混合溶媒に溶解
<紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤の含有量の測定>
実施例1の電池用包装材料について、前記の<紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤の分析>と同様にして、樹脂層、接合層、及び基材層の積層体から、添加剤成分を抽出し、測定溶媒に溶解したサンプルを用意した。得られたサンプルについて、以下のガスクロマトグラフ(GC)及び液体クロマトグラフ(HPLC)により、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤の含有量を測定した。その結果、HPLCによって、Irganox1098が370ppm、TINUVIN326が60ppm、Irganox1010が30ppm、Irganox1330が130ppm含まれていることが確認された。また、GCよって、TINUVIN770が140ppm含まれていることが確認された。
[GC(ガスクロマトグラフ)による含有量の測定]
(装置、測定条件)
装置 :株式会社島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−2010
カラム:株式会社島津製作所製MXT−1、df=0.15μm、0.25mmI.D.×15m
カラム温度:80〜390℃ 11℃/min hold
キャリアー:He 1.1mL/min
注入法:スプリット法 1:12
注入量:1μL
定量法:絶対検量線法
測定試料:2mLのクロロホルム/メタノール(1/1;v/v)混合溶媒に溶解
[HPLC(液体クロマトグラフ)による含有量の測定]
(装置、測定条件)
装置 :日本分光製HPLC PU−2085型
カラム:UnisonUK−C18 3μm、4.6mmI.D.×100mm
カラム温度:80〜390℃ 11℃/min hold
キャリアー:He 1.1mL/min
注入法:スプリット法 1:12
注入量:1μL
定量法:絶対検量線法
測定試料:2mLのクロロホルム/メタノール(1/1;v/v)混合溶媒に溶解
<水を付着させた状態での剥離強度の測定>
実施例1及び比較例1〜3で得られた各電池用包装材料について、最表面に位置するポリエチレンテレフタレートフィルムの基材層側表面に水を付着させた状態における、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度を、以下の測定方法によって測定した。電池用包装材料を100mm(MD)×15mm(TD)の矩形状に裁断して、試験サンプルとした。温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧(1atm)の環境において、まず、試験サンプルの樹脂層と接合層の端部に35%塩酸を付着させて、図4の模式図に示すように、MDの方向に30mm程度、樹脂層を剥離した。試験サンプルに付着した塩酸を拭き取り、そのまま乾燥させた。次に、樹脂層が剥離した部分(樹脂層と基材層側表面との間の接合層1b)に、スポイトを用いて蒸留水(W)を付着させた。このとき、樹脂層と基材層側表面の境界部分において、TDの方向の全体にわたって、蒸留水(W)を付着させた。次に、引張試験機(島津製作所製のオートグラフ)を用い、チャック間距離50mm、剥離速度50mm/min、剥離角180°の測定条件で、樹脂層1aを基材層の表面から剥離させて、チャック間距離が57mmに至った際の剥離強度を、蒸留水を付着させた状態での剥離強度(N/15mm)とした。結果を表1に示す。なお、剥離強度の測定に用いた引張試験機の検出限界値の下限は、0.3N/15mmである。
<水を付着させない状態での剥離強度の測定>
樹脂層が剥離した部分(樹脂層と基材層側表面との間の接合層1b)に、スポイトを用いて蒸留水を付着させないこと以外は、上記の<水を付着させた状態での剥離強度の測定>と同じ測定条件で樹脂層を基材層の表面から剥離させて、チャック間距離が57mmに至った際の剥離強度を、水を付着させない状態での剥離強度(N/15mm)とした。結果を表1に示す。
<成形性の評価>
上記で得られた各電池用包装材料を裁断して、150mm(TD)×100mm(MD)の短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。なお、電池用包装材料のMDが、アルミニウム合金箔の圧延方向に対応し、電池用包装材料のTDが、アルミニウム合金箔のTDに対応する。アルミニウム合金箔の圧延方向は、アルミニウム合金箔の圧延痕によって確認することができる。金型は、30mm(MD)×50mm(TD)の矩形状の雄型(表面は、JIS B 0659−1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmである)、この雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型(表面は、JIS B 0659−1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである)からなるストレート金型を用いた。雄型側に熱融着性樹脂層側が位置するように、雌型上に上記試験サンプルを載置した。それぞれ、成形深さ5.0mmとなるように、当該試験サンプルを0.1MPaの面圧で押えて、冷間成形(引き込み1段成形)した。実施例1及び比較例1〜3の試験サンプルは、樹脂層及び接合層が積層された状態で成形されている。冷間成形後のサンプルについて、成形部に皺が形成されているか否かを目視で確認した。結果を表1に示す。
<基材層表面への印字性評価>
前記の<水を付着させた状態での剥離強度の測定>で樹脂層を剥離した試験サンプルの基材層の表面にパッド印刷で図柄を印刷した。なお、比較例4においては、樹脂層及び接合層を設けていないため、そのまま基材層の表面にパッド印刷で図柄を印刷した。パッド印刷機は、ミシマ株式会社製SPACE PAD 6GXを使用し、インキはナビタス株式会社製のUVインキPJU−A黒色を使用した。また、アズワン製のハンディーUVランプ SUV−4で紫外線波長:254nmにて10cmの距離からUVを30秒間照射してインキを硬化させた。以下の基準により印字性を評価した。なお、印字適性測定は24℃で相対湿度50%の環境にて行った。結果を表1に示す。
A:印字の抜けが2.5%以下である
B 印字の抜けが2.5%より多く5%以下である
C:印字の抜けが2.5%より大きい
<熱融着時の基材層の劣化の評価>
実施例1及び比較例1〜4で得られた各電池用包装材料について、それぞれ、熱融着性樹脂層同士を対向するように2つ折りにし、加熱されたシールバー(金属板)を用いて基材層側から挟み込み、熱融着性樹脂層同士を熱融着させた。熱融着の条件は、シールバーの加熱温度が220℃、面圧が1.0MPa、時間1秒間の条件とした。熱融着後の各電池用包装材料の樹脂層の上から基材層を観察して、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
A:基材層に溶融、変形、変色、発泡などが見られない
C:基材層に溶融、変形、変色、発泡などが見られる
<熱融着後の樹脂層の剥離性の評価>
前記の<熱融着時の基材層の劣化の評価>で得られた熱融着後の各電池用包装材料を試験サンプルとし、前記の<水を付着させた状態での剥離強度の測定>と同様にして、温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧(1atm)の環境において、まず、試験サンプルの樹脂層と接合層の端部に35%塩酸を付着させて、MDの方向に30mm程度、樹脂層を剥離した。試験サンプルに付着した塩酸を拭き取り、そのまま乾燥させた。次に、樹脂層が剥離した部分(樹脂層と基材層側表面との間の接合層1b)に、スポイトを用いて蒸留水(W)を付着させた。このとき、樹脂層と基材層側表面の境界部分において、TDの方向の全体にわたって、蒸留水(W)を付着させた。次に、それぞれの試験サンプルについて、指で樹脂層をつまんで、樹脂層を基材層から剥離可能であった否かを表1に示す。
<熱融着前の樹脂層の剥離性の評価>
熱融着させる前の各電池用包装材料を試験サンプルとしたこと以外は、前記の<熱融着後の樹脂層の剥離性の評価>と同様にして、熱融着前の樹脂層の剥離性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示す積層構成において、PETはポリエチレンテレフタレート層、Nyはナイロン層、ADは接合層、DLはドライラミネート法によって形成された接着剤層、ALMはアルミニウム合金箔、PPaは酸変性ポリプロピレン層、CPPは未延伸ポリプロピレン層、PPはポリプロピレン層を意味する。また、積層構成の各層の後ろに記載された数値は、厚さ(μm)を意味し、例えは、「PET(12)」は、「厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート層」を意味する。また、剥離強度が0.3N/15mm以下との結果は、剥離強度が検出限界値以下であったことを意味している。
樹脂層にポリエステル樹脂を含む接合層を設けた実施例1は、水を付着させない状態での剥離強度が高く、水を付着させた状態での剥離強度は非常に低かった。そのため、水を付着させた状態では容易に樹脂層を剥離することができた。また、樹脂層と接合層を積層させた状態で成形しても成形後の皴が無く、外観が良好であった。さらに、樹脂層と接合層を積層させた状態で熱融着を行っても、基材層に劣化が観られず、熱融着前後に樹脂層と接合層の端面に水を付着させることにより、樹脂層を容易に剥離することができた。この結果から、水性液体を用いて積層体から樹脂層を剥離する場合の剥離強度が1.0N/15mm以下であれば、樹脂層を好適に剥離することができ、0.5N/15mm以下であれば、樹脂層をより好適に剥離することができるといえる。
一方、接合層としてウレタン樹脂を用いた比較例1,2は、水を付着させない状態での剥離強度も水を付着させた状態での剥離強度も高かった。そのため、水を付着させた状態でも樹脂層を剥離することが困難であった。また、樹脂層と接合層を積層させた状態で成形しても成形後の皴が無く、熱融着を行っても劣化が観られなかったものの、熱融着前後に樹脂層と接合層の端面に水を付着させても樹脂層を剥離することができなかった。これは、熱融着の熱により、ウレタン樹脂の剥離強度がさらに高くなり、より剥離しにくくなったものと考えられる。
接合層としてシリコーン樹脂を用いた比較例3は、水を付着させない状態での剥離強度も水を付着させた状態での剥離強度も低かった。そのため、水を付着させない状態でも容易に樹脂層を剥離でき、保護層を積層させた状態で成形すると皴が有り、外観が不良であった。
保護層を設けなかった比較例4は、熱融着を行うことにより、基材層が溶けて熱融着に用いたシールバーにナイロン樹脂が付着してしまった。
1…保護層
1a…樹脂層
1b…接合層
2…基材層
3…バリア層
4…熱融着性樹脂層
5…接着剤層
6…接着層
10…電池用包装材料
W…水

Claims (9)

  1. 少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、
    前記接合層は、ポリエステル樹脂を含み、
    前記樹脂層は、水性液体を用いて前記積層体から剥離可能である、電池用包装材料。
  2. 温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧の環境における、前記接合層に水を付着させない状態で前記積層体から前記樹脂層を剥離する場合の剥離強度が、2.0N/15mm以上であり、かつ、
    温度25℃、相対湿度50%、及び大気圧の環境における、前記水性液体を用いて前記積層体から前記樹脂層を剥離する場合の剥離強度が、1.0N/15mm以下であり、
    前記水性液体は水である、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記積層体の前記樹脂層側の表面に滑剤が存在している、請求項1又は2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記樹脂層、接合層、及び基材層の少なくとも1層に、紫外線吸収剤が含まれている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、請求項4に記載の電池用包装材料。
  6. 前記樹脂層、接合層、及び基材層の少なくとも1層に、光安定剤が含まれている、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 前記光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤である、請求項6に記載の電池用包装材料。
  8. 少なくとも、樹脂層と、接合層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とがこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
    前記接合層がポリエステル樹脂を含んでおり、前記樹脂層が水性液体を用いて前記積層体から剥離可能なものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
  9. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
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