JPWO2018189861A1 - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

空気調和装置は、圧縮機及び冷媒ポンプを含む冷媒回路と、空調対象空間の室内温度を計測する室内温度検出手段と、外気温度を計測する外気温度検出手段と、運転停止から運転再開までの停止時間を計時する停止時間計時手段と、冷房運転の際、圧縮機及び冷媒ポンプを切り換えて運転を制御する制御部と、を有し、制御部は、冷媒ポンプを運転して空調対象空間を冷却する場合の能力であるポンプ能力を室内温度及び外気温度を用いて算出するポンプ能力演算手段と、空調対象空間の冷却に必要な冷凍能力である要求能力を室内温度及び設定温度を用いて算出する要求能力演算手段と、運転再開の際、圧縮機及び冷媒ポンプのうち、いずれを起動させるか、室内温度、外気温度、停止時間、ポンプ能力及び要求能力を用いて決定する制御決定手段と、を有する。

Description

本発明は、冷房運転を行う際、冷媒回路に冷媒を循環させる機器として、圧縮機及び冷媒ポンプを有する空気調和装置に関する。
近年、情報通信の高速化及び大容量化などによりデータセンターの電力需要が急増しており、電算室用の空気調和装置の省エネルギー性が重要視されている。
このような状況において、近年、データセンター等の電算室では、省エネルギー性向上を目的に、外気温度に応じて、圧縮機による冷房運転と冷媒ポンプによる冷房運転とを自動的に切り替える空気調和装置が採用され始めている。外気温度が高いときには圧縮機の運転による通常の空気調和を行い、外気温度が低いときには圧縮機の運転を停止して冷媒ポンプの運転による空気調和を行う。冷媒ポンプは圧縮機に比べて消費電力が小さいので、このような空気調和装置では年間消費電力を大幅に低減することができる。
上記電算室では、停電などが原因で外部からの電力供給が停止しても、電算室に収納されているIT(Information Technology)装置には無停電電源装置から電力が供給される。空気調和装置の運転が停止しても、IT装置は稼働し続けるため、IT装置から発熱が継続する。空気調和装置の運転が停止した状態で、IT装置からの発熱が継続することに伴って室温が上昇する。そのため、給電が再開したとき、空気調和装置は、起動時に早急に空気調和を図る運転制御を行う必要がある。従来の空気調和装置では、給電が再開すると、冷凍能力の確保を優先するため、冷媒ポンプではなく圧縮機を起動し、圧縮機及び室内送風機を最大出力で増速運転させ、室温を設定温度に早急に近づけることが考えられる。
冷媒ポンプを有するものではないが、従来の空気調和装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された空気調和装置は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器が環状に連結された冷媒回路と、給電及び停電を検知する給電検出手段と、停電開始から給電再開までの停電時間を計時する停電時間計時手段と、運転制御手段とを有する。運転制御手段は、計時された停電時間が予め設定された所定停電時間を上回る場合、圧縮機の運転周波数の最大値を通常の運転時に設定された値よりも大きな値に変更する。特許文献1には、このような制御を行うことで、停電発生後の給電再開時に、室内を停電発生前の空調状態に迅速に回復できる旨、記載されている。
また、特許文献1には、消費電力を抑えるために、同一の空調対象空間を空気調和する複数の空気調和装置のうち、圧縮機の運転周波数の最大値の変更対象となる空気調和装置の台数を、利用者が設定できることが開示されている。
特開2011−163701号公報
特許文献1では、空気調和装置が、給電再開時に冷凍能力の確保を最優先とし、圧縮機の運転周波数を最大値まで大きくする増速制御を行うことが想定されている。そのため、冷房負荷の度合の大小に関わらず、起動時の単位時間あたりの冷凍能力は同じになると考えられる。特許文献1には、複数の空気調和装置を有するシステムにおいて、圧縮機の運転周波数の最大値の変更対象となる空気調和装置を設定できることが開示されているが、利用者が冷房負荷を考慮して、変更対象の空気調和装置を設定する必要がある。
従来の空気調和装置では、冷房負荷が小さい場合にも圧縮機の増速制御を行ってしまうと、起動時の冷凍能力が過剰になる。この場合、室内温度が低温側にオーバーシュートする。室内の過剰低温を適正にする制御が行われると、今度は室内温度が設定温度を超えて高温になる。その結果、室内温度が不適正に低下及び上昇を繰り返し、室内温度の制御が安定しないハンチング現象が発生してしまうことがある。ハンチング現象により、室内温度が所望の設定温度に至るまでに長い時間かかってしまうことになる。室内温度が設定温度に収束するまでの時間が長くなることで、消費電力量が多くなり、省エネルギー効果を期待できない。この問題は、停電が発生した後、給電が再開したときに限らず、空気調和装置がユーザの操作にしたがって運転を停止した後、ユーザの操作にしたがって運転を再開する場合にも当てはまる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、運転停止後の起動時において、室内温度の制御におけるハンチング現象の発生を抑制し、室内温度を所望の設定温度に円滑に収束させる空気調和装置を提供するものである。
本発明に係る空気調和装置は、圧縮機及び冷媒ポンプを含む冷媒回路と、空調対象空間の室内温度を計測する室内温度検出手段と、外気温度を計測する外気温度検出手段と、運転停止から運転再開までの停止時間を計時する停止時間計時手段と、冷房運転の際、前記圧縮機及び前記冷媒ポンプを切り換えて運転を制御する制御部と、を有し、上記制御部は、前記冷媒ポンプを運転して前記空調対象空間を冷却する場合の能力であるポンプ能力を、前記室内温度及び前記外気温度を用いて算出するポンプ能力演算手段と、前記空調対象空間の冷却に必要な冷凍能力である要求能力を前記室内温度及び設定温度を用いて算出する要求能力演算手段と、前記運転再開の際、前記圧縮機及び前記冷媒ポンプのうち、いずれを起動させるか、前記室内温度、前記外気温度、前記停止時間、前記ポンプ能力及び前記要求能力を用いて決定する制御決定手段と、を有するものである。
本発明は、運転再開の際、空調対象空間の冷房負荷に関する値として、外気温度、室内温度、停電時間、ポンプ能力及び要求能力に基づいて、起動する機器として、冷媒ポンプ及び圧縮機のうち、いずれが適切であるかを決定するため、温度環境に応じた適正に空調運転を行うことができ、短時間で室内温度が設定温度に収束し、省エネルギー運転を実現できる。
本発明の実施の形態1における空気調和装置の一構成例を示す冷媒回路図である。 図1に示した室内機制御部の一構成例を示すブロック図である。 図1に示した室外機制御部の一構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における空気調和装置の動作手順を示すフローチャートである。 図4に示したステップS8の判定条件を説明するためのグラフである。 図4に示したステップS8の判定条件を説明するためのグラフである。 図4に示したステップS8の判定条件を説明するためのグラフである。 本発明の実施の形態2における空気調和装置の動作手順を示すフローチャートである。
実施の形態1.
本実施の形態1の空気調和装置の構成の概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における空気調和装置の一構成例を示す冷媒回路図である。図1に示すように、空気調和装置100は、室内を冷却する室内機1と、室内機1で吸収された、室内の熱を室外へ放出する室外機2とを有する。本実施の形態1では、空調対象空間を電算室とする。室内機1は、電源29と電力供給線52で接続されている。室外機2は、渡り配線30で室内機1と接続されている。電源29が、オフ状態からオン状態に切り替わると、電力供給線52を介して室内機1に電力を供給し、室内機1から渡り配線30を経由して室外機2に電力を供給する。室内機1と室外機2とは、互いに情報を送受信するための通信手段32で接続されている。本実施の形態1では、通信手段32が有線の場合で説明するが、通信手段32は無線であってもよい。図1の室内機1及び室外機2では、電力供給線52及び渡り配線30の接続先と、通信手段32の接続先とを示すことを省略している。
室内機1は、圧縮機3と、利用側熱交換器6と、膨張弁5とを有する。また、室内機1には、利用側熱交換器6の冷媒出口と圧縮機3の冷媒吐出口とを結ぶバイパス回路38が設けられている。室内機1には、室内から空気を吸い込んで利用側熱交換器6に供給する室内側送風機9が設けられている。室内機1には、圧縮機3、膨張弁5、及び室内側送風機9を制御する室内機制御部15が設けられている。
室外機2は、熱源側熱交換器4と、冷媒ポンプ35とを有する。また、室外機2には、冷媒ポンプ35の冷媒入口と冷媒出口とを結ぶバイパス回路39が設けられている。室外機2には、室外から空気を吸い込んで熱源側熱交換器4に供給する室外側送風機25が設けられている。室外機2には、冷媒ポンプ35、及び室外側送風機25を制御する室外機制御部27が設けられている。
図1に示すように、電力供給線52には、電源29から室内機1及び室外機2に電力が供給されているか否かを示す給電状態を検出する給電検出手段17が設けられている。さらに、空気調和装置100には、空気調和装置100の運転の停止時間を計時する停止時間計時手段44が設けられている。
圧縮機3、熱源側熱交換器4、冷媒ポンプ35、膨張弁5及び利用側熱交換器6が順次冷媒配管51を介して環状に接続される冷媒回路が構成される。これら複数の機器を含む冷媒回路を冷媒が循環することで冷凍サイクルが形成され、室内が冷却される。
次に、図1に示した空気調和装置100の各構成を詳しく説明する。はじめに、図1を参照して、室内機1に設けられた構成を説明する。
圧縮機3は、容量が可変な圧縮機である。圧縮機3は、吸入する冷媒を圧縮して吐出し、冷媒を冷媒配管51に循環させる。利用側熱交換器6は、空気調和装置100の冷房運転時に蒸発器として機能し、室内の空気から吸熱して空気を冷却する。膨張弁5は、室外機2から流入する冷媒を膨張させる。室内側送風機9は、利用側熱交換器6において冷媒と熱交換した後の空気を室内に吹き出す。バイパス回路38には、逆止弁37aが設けられている。逆止弁37aは、圧縮機3の冷媒吐出口から利用側熱交換器6の冷媒出口への冷媒の流れを阻止し、冷媒ポンプ35の運転時に、利用側熱交換器6から流出する冷媒に圧縮機3を迂回させた後、冷媒を冷媒配管51に戻す役目を果たす。
膨張弁5と利用側熱交換器6との間の冷媒配管51に、液温度検出手段7が設けられている。液温度検出手段7は、利用側熱交換器6の冷媒流入側の冷媒の温度を計測する。利用側熱交換器6の冷媒流出側の冷媒配管51に、ガス温度検出手段8が設けられている。ガス温度検出手段8は、利用側熱交換器6の冷媒流出側の冷媒の温度を計測する。室内機1において、室内から空気を吸い込む吸込口の近傍に室内温度検出手段10が設けられている。室内温度検出手段10は、室温を計測する。室内機1において、室内に空気を吹き出す吹出口の近傍に、冷気温度検出手段11が設けられている。冷気温度検出手段11は、利用側熱交換器6において冷媒と熱交換した後の空気の温度を計測する。以下では、利用側熱交換器6において、冷却された空気の温度を冷却空気温度と称する。
圧縮機3の冷媒吸入口の冷媒配管51には、低圧圧力検出手段12が設けられている。低圧圧力検出手段12は、圧縮機3が吸入する冷媒の圧力を計測する。圧縮機3の冷媒吐出口の冷媒配管51には、高圧圧力検出手段13及び吐出ガス温度検出手段14が設けられている。高圧圧力検出手段13は、圧縮機3が吐出する冷媒の圧力を計測する。吐出ガス温度検出手段14は、圧縮機3が吐出する冷媒の温度を計測する。
室内機制御部15は、圧縮機3、膨張弁5、室内側送風機9、液温度検出手段7、ガス温度検出手段8、室内温度検出手段10、冷気温度検出手段11、低圧圧力検出手段12及び高圧圧力検出手段13と信号線を介して接続されている。液温度検出手段7、ガス温度検出手段8、室内温度検出手段10及び冷気温度検出手段11は、一定の時間毎に温度を計測し、計測値を室内機制御部15に出力する。低圧圧力検出手段12及び高圧圧力検出手段13は、一定の時間毎に圧力を計測し、計測値を室内機制御部15に出力する。以下では、液温度検出手段7、ガス温度検出手段8、室内温度検出手段10、冷気温度検出手段11、低圧圧力検出手段12及び高圧圧力検出手段13を含むグループを、検出手段グループ16Aと称する。検出手段グループ16Aは、空気調和装置100の運転状態に関して、室内機1における冷媒及び空気に関する情報を室内機制御部15に提供する。
次に、図1に示す室外機2に設けられた構成について説明する。冷媒ポンプ35は、容量が可変なポンプである。冷媒ポンプ35は、圧縮機3の運転停止時に、冷媒を冷媒配管51に循環させる。冷媒ポンプ35は圧縮機3に比べて消費電力が小さい。熱源側熱交換器4は、空気調和装置100の冷房運転時に凝縮器として機能し、室外の空気と冷媒との間で熱交換を行って冷媒を液化する。室外側送風機25は、熱源側熱交換器4において冷媒と熱交換した空気を室外に吹き出す。バイパス回路39には、逆止弁37bが設けられている。逆止弁37bは、冷媒ポンプ35の出口側から入口側への冷媒の流通を阻止し、圧縮機3の運転時に、熱源側熱交換器4から流出する冷媒に冷媒ポンプ35を迂回させた後、冷媒を冷媒配管51に戻す役目を果たす。
室外機2において、室外から空気を吸い込む吸込口の近傍に外気温度検出手段26が設けられている。外気温度検出手段26は、外気温を計測する。冷媒ポンプ35の冷媒流入側の冷媒配管51には、冷媒温度検出手段40及び冷媒圧力検出手段41が設けられている。冷媒温度検出手段40は、冷媒ポンプ35に流入する冷媒の温度を計測する。冷媒圧力検出手段41は、冷媒ポンプ35に流入する冷媒の圧力を計測する。
室外機制御部27は、冷媒ポンプ35、室外側送風機25、外気温度検出手段26、冷媒温度検出手段40及び冷媒圧力検出手段41と信号線を介して接続されている。外気温度検出手段26及び冷媒温度検出手段40は、一定の時間毎に温度を計測し、計測値を室外機制御部27に出力する。冷媒圧力検出手段41は、一定の時間毎に圧力を計測し、計測値を室外機制御部27に出力する。以下では、外気温度検出手段26、冷媒温度検出手段40及び冷媒圧力検出手段41を含むグループを、検出手段グループ16Bと称する。検出手段グループ16Bは、空気調和装置100の運転状態に関して、室外機2における冷媒及び空気に関する情報を室外機制御部27に提供する。
次に、給電検出手段17について説明する。給電検出手段17は電力供給線52で給電状態を検出する。給電状態を検出する方法として、例えば、電力供給線52に流れる電流によって電力供給線52の周囲に発生する磁場を検出する方法がある。給電検出手段17は、室内機制御部15及び室外機制御部27と信号線を介して接続される。給電検出手段17は、給電状態を示す信号を、室内機制御部15及び室外機制御部27に出力する。給電検出手段17は、室内機1及び室外機2に給電がされている場合、予め決められた基準電圧よりも高い電圧の信号HVを出力し、室内機1及び室外機2に給電がされていない場合、基準電圧以下の電圧の信号LVを出力する。停電が発生した場合、室内機1及び室外機2に給電がされないので、給電検出手段17は、検出する磁場が0となり、信号LVを室内機制御部15及び室外機制御部27に出力する。信号LVの電圧は、例えば、接地電位である。
続いて、停止時間計時手段44について説明する。停止時間計時手段44は室内機制御部15と信号線を介して接続される。停止時間計時手段44は、図に示さない、タイマー及び電池を有している。停電などが原因で電源29から室内機1及び室外機2への電力供給が停止すると、停止時間計時手段44のタイマーは電池から供給される電力で停止時間を計時する。そして、室内機1及び室外機2への電力供給が再開すると、停止時間計時手段44は、計時した停止時間を室内機制御部15に出力する。例えば、停止時間計時手段44と給電検出手段17とが信号線で接続され、停止時間計時手段44は、室内機1及び室外機2への電力供給の有無の判定を、給電検出手段17から入力される信号の変化で行う。停電発生の場合、停止時間計時手段44が計時する停止時間は、停電発生から給電再開までの停電時間に相当する。なお、図1では信号線を図に示すことを省略している。
ここで、室内を冷却する原理となる冷凍サイクルについて、図1を参照して簡単に説明する。電算室内の冷却は、室内機1と室外機2とを接続する冷媒配管51内を冷媒が循環することで行われる。
はじめに、冷媒ポンプ35が停止状態で、圧縮機3が動作する場合について説明する。室内機1内の圧縮機3の動作によって圧縮された冷媒は、圧縮機3から吐出すると、冷媒配管51を通り、室外機2内の熱源側熱交換器4に流れ込む。熱源側熱交換器4において、熱源側熱交換器4を流れる冷媒は、室外側送風機25の送風により外気と熱交換し、外気に放熱する。その後、冷媒は、バイパス回路39を経由して、冷媒配管51を通って室内機1側の膨張弁5に到達する。冷媒は膨張弁5により減圧され膨張した後、利用側熱交換器6に流入する。利用側熱交換器6においては、熱源側熱交換器4と同様に、利用側熱交換器6を流れる冷媒は、室内側送風機9の送風により室内空気と熱交換し、室内空気から吸熱する。利用側熱交換器6から流出した冷媒は冷媒配管51を通って圧縮機3に吸い込まれる。このようにして、圧縮機3が冷媒を冷媒配管51に循環させることで、冷凍サイクルが形成され、電算室内が冷却される。
続いて、圧縮機3が停止状態で、冷媒ポンプ35が動作する場合について説明する。室外機2内の冷媒ポンプ35の動作によって冷媒ポンプ35から吐出した冷媒は、冷媒配管51を通って膨張弁5に到達する。膨張弁5を流通した冷媒は、利用側熱交換器6に流入する。室内側送風機9の送風により利用側熱交換器6を流れる冷媒は、室内空気と熱交換し、室内空気から吸熱する。利用側熱交換器6から流出した冷媒は、バイパス回路38及び冷媒配管51を通って、室外機2内の熱源側熱交換器4に流れ込む。熱源側熱交換器4においては、利用側熱交換器6と同様に、熱源側熱交換器4を流れる冷媒は、室外側送風機25の送風により外気と熱交換し、外気に放熱する。このようにして、冷媒ポンプ35が冷媒を冷媒配管51に循環させることで、冷凍サイクルが形成され、電算室内が冷却される。
ここまで、図1を参照して、冷凍サイクルに関係する機器の構成について詳しく説明した。続いて、冷凍サイクルに関係する機器の動作を制御する制御部として、室内機制御部15及び室外機制御部27の構成を説明する。図2は、図1に示した室内機制御部の一構成例を示すブロック図である。図3は、図1に示した室外機制御部の一構成例を示すブロック図である。図2に示す室内機制御部15及び図3に示す室外機制御部27において、対応関係のある構成の符号に異なるローマ字を付している。
室内機制御部15及び室外機制御部27は、通信手段32で接続される。室内機制御部15及び室外機制御部27は、通信手段32を介して情報を送受信する。室内機1及び室外機2は、空気調和装置100の運転状態に関する情報を、通信手段32を用いて共有する。例えば、室外機制御部27は、室内機制御部15に通信手段32を介して、室外機2の情報を送信する。室内機制御部15が、室外機制御部27に通信手段32を介して、室内機1の情報を送信してもよい。仮に室内機1及び室外機2に含まれる複数の構成のうち、いずれかの構成の運転状態が変更された場合、この変更の情報が、通信手段32を介して、室内機1と室外機2との間で共有される。
図2を参照して、室内機制御部15の構成を説明する。室内機制御部15は、室内機1及び室外機2に設けられた複数の機器の制御に関する値を算出する演算装置としての機能と、演算装置が算出した値にしたがって複数の機器を制御する制御装置としての機能とを有する。室内機制御部15は、例えば、マイクロコンピュータである。室内機制御部15は、プログラムを記憶する記憶手段34Aと、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)33Aとを有する。
記憶手段34Aは、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶手段34Aは、空気調和装置100の運転状態に関する情報を記憶する運転状態記憶手段24を有する。運転状態記憶手段24は、検出手段グループ16Aから取得する情報と、圧縮機3、室内側送風機9及び膨張弁5の運転状態に関する情報とを記憶する。運転状態記憶手段24は、室外機制御部27から通信手段32を介して受信する情報を記憶する。運転状態記憶手段24は、これらの情報を記憶することで、圧縮機3及び冷媒ポンプ35のうち、いずれが動作しているかを記憶することになる。記憶手段34Aは、室内の温度に関する設定温度を記憶する。設定温度は、記憶手段34Aに予め設定されていてもよく、ユーザの操作によって入力されてもよい。さらに、記憶手段34Aは、後述する制御決定条件の判定基準値を記憶する。
CPU33Aは、検出手段グループ16Aから取得する値を、記憶手段34Aの運転状態記憶手段24に格納する。CPU33Aは、圧縮機3の運転状態として、容量及び運転周波数の情報を運転状態記憶手段24に格納する。CPU33Aは、膨張弁5の運転状態として開度の情報を運転状態記憶手段24に格納する。CPU33Aは、室内側送風機9の運転状態として送風量の情報を運転状態記憶手段24に格納する。CPU33Aは、給電検出手段17から入力される信号が信号LVから信号HVに切り替わることをトリガーとして、停止時間計時手段44から受信する停電時間を記憶手段34Aに格納する。
CPU33Aは、ポンプ能力演算手段42、要求能力演算手段43、制御決定手段20及び機器制御手段18Aを有する。記憶手段34Aが記憶するプログラムをCPU33Aが実行することで、ポンプ能力演算手段42、要求能力演算手段43、制御決定手段20及び機器制御手段18Aが空気調和装置100に構成される。
機器制御手段18Aは、室内温度が決められた範囲で設定温度と一致するように、圧縮機3、膨張弁5及び室内側送風機9の運転を制御する。また、機器制御手段18Aは、室内温度が決められた範囲で設定温度と一致するように、冷媒ポンプ35及び室外側送風機25の運転に関する制御信号を室外機制御部27に送信する。機器制御手段18Aは、上記トリガーが発生したとき、制御決定手段20からの指示にしたがって、圧縮機3、膨張弁5及び室内側送風機9の運転を制御する。
機器制御手段18Aは、圧縮機制御手段21、膨張弁制御手段22及び送風機制御手段23を有する。圧縮機制御手段21は、圧縮機3の容量及び運転周波数のうち、いずれか一方又は両方を制御する。膨張弁制御手段22は膨張弁5の開度を制御する。送風機制御手段23は室内側送風機9の運転周波数を制御する。
ポンプ能力演算手段42は、上記トリガーが発生したとき、室内温度検出手段10から取得した室内温度と外気温度検出手段26から取得した外気温度とを用いて、冷媒ポンプ35を運転して室内を冷却する場合の能力であるポンプ能力を計算する。例えば、室内温度をTrとし、外気温度をToとし、冷媒ポンプ35の冷凍能力の係数をq1とすると、ポンプ能力Qpは、簡易的にQp=q1×(Tr−To)[W]と表される。ポンプ能力演算手段42は算出結果を制御決定手段20に渡す。
要求能力演算手段43は、上記トリガーが発生したとき、室内温度検出手段10から取得した室内温度と記憶手段34Aが記憶する設定温度とを用いて、室内の冷却に必要な冷凍能力である要求能力を計算する。例えば、室内温度をTrとし、設定温度をTsとし、排出熱量の係数をq2とすると、要求能力Qrは、簡易的にQr=q2×(Tr−Ts)[W]と表される。要求能力演算手段43は算出結果を制御決定手段20に渡す。
制御決定手段20は、上記トリガーが発生すると、停電発生前の運転状態の情報を記憶手段34Aから読み出す。制御決定手段20は、読み出した運転状態の情報と複数の条件との判定により、圧縮機3及び冷媒ポンプ35のうち、いずれを起動するかを決定する。複数の条件とは、例えば、時間条件、温度条件及び能力条件である。時間条件は、停止時間計時手段44から受信する停電時間が決められた時間以下であるという条件である。温度条件は、室内温度から外気温度を減算した値が決められた温度より大きいという条件である。能力条件は、ポンプ能力演算手段42が算出したポンプ能力が要求能力演算手段43が算出した要求能力よりも大きいという条件である。
また、制御決定手段20は、上記トリガーが発生すると、停電発生前の運転状態の情報に基づいて、膨張弁5、室内側送風機9及び室外側送風機25の運転に関する制御内容を決定する。そして、制御決定手段20は、圧縮機3、膨張弁5及び室内側送風機9に関して、決定した制御内容を機器制御手段18Aに通知する。制御決定手段20は、冷媒ポンプ35及び室外側送風機25に関して、決定した制御内容を示す制御信号を室外機制御部27に送信する。
次に、図3を参照して、室外機制御部27の構成を説明する。室外機制御部27は、室内機制御部15からの指示にしたがって、室外機2に設けられた複数の機器を制御する。室外機制御部27は、室外機2に設けられた複数の機器の制御に関する値を算出する演算装置としての機能と、演算装置が算出した値にしたがって複数の機器を制御する制御装置としての機能とを有する。室外機制御部27は、例えば、マイクロコンピュータである。室外機制御部27は、プログラムを記憶する記憶手段34Bと、プログラムにしたがって処理を実行するCPU33Bとを有する。記憶手段34Bは、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。
CPU33Bは、検出手段グループ16Bから取得する値を、通信手段32及びCPU33Aを介して、記憶手段34Aの運転状態記憶手段24に格納する。CPU33Bは、冷媒ポンプ35の運転状態として、容量及び運転周波数の情報を運転状態記憶手段24に格納する。CPU33Bは、室外側送風機25の運転状態として送風量の情報を運転状態記憶手段24に格納する。
CPU33Bは、冷媒ポンプ35及び室外側送風機25の運転を制御する機器制御手段18Bを有する。記憶手段34Bが記憶するプログラムをCPU33Bが実行することで、機器制御手段18Bが空気調和装置100に構成される。
機器制御手段18Bは、機器制御手段18Aから通信手段32を介して受信する制御信号にしたがって、冷媒ポンプ35及び室外側送風機25を制御する。また、機器制御手段18Bは、上記トリガーが発生したとき、制御決定手段20から通信手段32を介して受信する制御信号にしたがって、冷媒ポンプ35及び室外側送風機25を制御する。
機器制御手段18Bは、ポンプ制御手段36及び送風機制御手段28を有する。ポンプ制御手段36は、冷媒ポンプ35の容量及び運転周波数のうち、いずれか一方又は両方を制御する。送風機制御手段28は、室外側送風機25の運転周波数を制御する。
ここで、室内機制御部15と室外機制御部27との連携動作を、図2及び図3を参照して説明する。本実施の形態1では、圧縮機3及び冷媒ポンプ35が同時に運転することはないことが前提となる。
室内機制御部15は、空気調和装置100の運転中に、空気調和装置100の運転状態に関して、運転状態記憶手段24が記憶する各種情報を一定時間毎に更新する。室内機1に設けられた複数の機器について、運転状態記憶手段24が記憶する各種情報とは、圧縮機3に設定された圧縮機容量、膨張弁5に設定された開度、及び室内側送風機9に設定された送風量である。また、検出手段グループ16Aのうち、温度検出手段について、運転状態記憶手段24が記憶する各種情報とは、液温度検出手段7が計測する冷媒温度、ガス温度検出手段8が計測する冷媒温度、室内温度検出手段10が計測する室内温度、冷気温度検出手段11が計測する冷却空気温度、及び吐出ガス温度検出手段14が計測する冷媒温度である。検出手段グループ16Aのうち、圧力検出手段について、運転状態記憶手段24が記憶する各種情報とは、低圧圧力検出手段12が計測する冷媒圧力及び高圧圧力検出手段13が計測する冷媒圧力である。
また、室外機制御部27は、空気調和装置100の運転中に、室外機2に設けられた複数の機器及び検出手段グループ16Bから一定時間毎に各種情報を取得し、取得した各種情報を、通信手段32を介して記憶手段34Aの運転状態記憶手段24に格納する。室外機2に設けられた複数の機器について、運転状態記憶手段24が記憶する各種情報とは、冷媒ポンプ35に設定されたポンプ容量及び室外側送風機25に設定された送風量である。検出手段グループ16Bについて、運転状態記憶手段24が記憶する各種情報とは、外気温度検出手段26が計測する外気温度、冷媒温度検出手段40が計測する冷媒温度、及び冷媒圧力検出手段41が計測する冷媒圧力である。運転状態記憶手段24には、室内機1及び室外機2に設けられた複数の機器の運転状態に関係する各種情報が最新の状態に更新され続けることになる。
圧縮機制御手段21は運転状態記憶手段24が記憶する情報を基に圧縮機3を制御する。膨張弁制御手段22は運転状態記憶手段24が記憶する情報を基に膨張弁5を制御する。送風機制御手段23は運転状態記憶手段24が記憶する情報を基に室内側送風機9を制御する。ポンプ制御手段36は運転状態記憶手段24が記憶する情報を基に冷媒ポンプ35を制御する。送風機制御手段28は運転状態記憶手段24が記憶する情報を基に室外側送風機25を制御する。これらの制御によって運転状態に変更が生じると、運転状態記憶手段24が記憶する情報にその変更が反映される。空気調和装置100の運転中に停電が発生しても、記憶手段34Aに停電発生前の運転状態に関する各種情報が保存されているため、給電が再開したとき、CPU33Aは、停電発生前の運転状態の情報を記憶手段34Aから読み出せる。
仮に、停電の発生等により電源29から空気調和装置100への電力供給が停止したものとする。このとき、給電検出手段17は、電源29からの給電が停止したことを検出し、信号LVを出力する。その後、給電が再開すると、給電検出手段17は、室内機1及び室外機2に出力する信号を信号LVから信号HVに切り替え、室内機1及び室外機2に運転の再開を促す。制御決定手段20は、運転再開時に、室内温度及び外気温度と、設定温度と、ポンプ能力演算手段42が算出したポンプ能力と、要求能力演算手段43が算出した要求能力と、停止時間計時手段44が計時した停電時間と、運転状態記憶手段24が記憶する停電発生前の運転状態とを用いて、空気調和装置100に設けられた各機器の制御内容を決定する。
なお、本実施の形態1では、空気調和装置100の制御部について、室内機制御部15と室外機制御部27とに分けて説明したが、制御部は1つであってもよい。例えば、室内機制御部15が室外機制御部27の機能を備えていてもよい。
次に、本実施の形態1における空気調和装置100の動作を説明する。図4は、本発明の実施の形態1における空気調和装置の動作手順を示すフローチャートである。図4は、空気調和装置100について、停電が発生する前から給電が再開して、起動するまでの制御動作のフローを示す。
停電発生前の空気調和装置100の状態について説明する。電源29から電力の供給が室内機1に開始されると、電力が、室内機1における、圧縮機3、膨張弁5、液温度検出手段7、ガス温度検出手段8、室内側送風機9、室内温度検出手段10、冷気温度検出手段11、低圧圧力検出手段12、高圧圧力検出手段13、吐出ガス温度検出手段14及び室内機制御部15のそれぞれに供給される。室外機2へは、室内機1から渡り配線30を介して電力が供給される。電力が、室外機2における、冷媒ポンプ35、室外側送風機25、外気温度検出手段26、冷媒温度検出手段40、冷媒圧力検出手段41及び室外機制御部27のそれぞれに供給される。給電検出手段17にも、図に示さない電力供給線を介して電力が供給される。また、室内機制御部15及び室外機制御部27は、通信手段32を介して、空気調和装置100の運転状態に関する各種情報を共有している。
上述したように、電源29が室内機1及び室外機2に電力を供給することで、空気調和装置100は、室内温度が設定温度と決められた範囲で一致するように、冷房運転を行う。CPU33Bは、室外機2における複数の機器の運転状態に関係する情報を、室内機制御部15に通信手段32を介して送信する。図4のステップS1に示すように、CPU33Aは、室外機2から受信する情報と室内機1における複数の機器の運転状態に関係する情報とを合わせて、空気調和装置100の運転状態として、運転状態記憶手段24に格納する。
CPU33Aは、一定時間毎に、給電検出手段17が停電の発生を検出したか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定の結果、停電が発生していない場合、CPU33Aは、ステップS1に戻り、室内機1及び室外機2における複数の機器の運転状態に関係する情報を保存する。これにより、運転状態記憶手段24が記憶する情報が更新される。一方、ステップS2の判定の結果、停電が発生した場合、停電の間、空気調和装置100は運転を停止する。
その後、給電が再開すると(ステップS3)、給電検出手段17が出力する信号が信号LVから信号HVに切り替わり、これをトリガーとして、CPU33Aは、停電発生前の運転状態を運転状態記憶手段24から読み出す(ステップS4)。CPU33Aは、読み出した運転状態の情報を基に停電発生前に冷媒ポンプ35が運転していたか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定の結果、停電発生前に圧縮機3が運転していた場合、CPU33Aは、圧縮機3を起動する(ステップS10)。ステップS5の判定の結果、停電発生前に冷媒ポンプ35が運転していた場合、CPU33Aは、ステップS6の処理に進む。ステップS6において、CPU33Aは、室内温度検出手段10から室内温度Trを取得し、外気温度検出手段26から外気温度Toを取得し、停止時間計時手段44から停電時間tdを受信し、記憶手段34Aから設定温度Tsを読み出す。
ステップS6でCPU33Aが各種情報を読み込むと、ポンプ能力演算手段42は、室内温度Tr及び外気温度Toを用いて冷媒ポンプ35の冷凍ポンプ能力を算出する(ステップS7)。また、要求能力演算手段43は、室内温度Tr及び設定温度Tsを用いて要求能力を算出する(ステップS7)。
次に、制御決定手段20は、室内温度Tr、外気温度To及び停電時間tdと、冷凍ポンプ能力及び要求能力とを用いて、時間条件、温度条件及び能力条件からなる制御決定条件を満たすか否かを判定する(ステップS8)。時間条件は、例えば、停電時間td≦20秒である。温度条件は、例えば、室内温度Tr−外気温度To>12℃である。能力条件は、ポンプ能力>要求能力である。
時間条件の判定基準値となる20秒及び温度条件の判定基準値となる12℃は、記憶手段34Aに格納されている。これらの判定基準値は、一例であり、空調対象空間となる電算室の容積と、電算室に収容されたIT装置の発熱量と、電算室の天井、壁及び床の熱伝導と、換気装置の有無などによって異なる。
ステップS8の判定の結果、制御決定条件を満たす場合、制御決定手段20は、冷媒ポンプ35を起動する(ステップS9)。ステップS9の処理の後、CPU33Aは、ステップS1に戻る。一方、ステップS8の判定の結果、3つの条件のうち、いずれかの条件を満たさない場合、制御決定手段20は、ステップS10の処理に進み、圧縮機3を起動する。
ステップS10において、制御決定手段20が圧縮機3を起動すると、圧縮機制御手段21は、圧縮機3の運転周波数を増速させる制御を行う(ステップS11)。例えば、圧縮機制御手段21は、圧縮機3を最大周波数Fmaxまで増速させる。CPU33Aは、ステップS11の処理の後、ステップS1に戻る。
なお、図4に示すフローチャートにおいて、ステップS3の給電再開後、制御決定手段20は、膨張弁5、室内側送風機9及び室外側送風機25の起動時の制御について、停電発生前の運転状態を基に決定してもよい。また、制御決定手段20は、膨張弁5、室内側送風機9及び室外側送風機25の起動時の制御について、停電時間td、室内温度Trと外気温度Toとの温度差、ポンプ能力及び要求能力のうち、いずれかの情報を停電発生前の運転状態に反映させて決定してもよい。
さらに、図4に示すフローチャートにおいて、CPU33Aは、ステップS3で給電が再開した後、ステップS8の判定を行って、ステップS9又はステップS10、S11の処理を行った後、ステップS1→ステップS2→ステップS8〜S11の処理を繰り返してもよい。
図4に示したステップS8における判定条件について説明する。図5A〜図5Cは、図4に示したステップS8の判定条件を説明するためのグラフである。図5A〜図5Cの縦軸は熱量を示し、横軸は時間を示す。給電再開時を時刻t=0としている。
説明を簡単にするために、電算室の天井、壁及び床での熱伝導及び図に示さない換気装置による放熱等を考慮せず、空気調和装置100の冷房負荷は顕熱負荷として電算室内のIT装置の発生熱とする。電算室のIT装置の発熱量をQx[W]とする。また、室内温度をTr、外気温度をTo、設定温度をTsとすると、ポンプ能力Qpは、上述したように、簡易的にQp=q1×(Tr−To)[W]と表される。また、要求能力Qrは、簡易的にQr=q2×(Tr−Ts)[W]と表される。q1、q2を係数とする。
停電が発生する前は、圧縮機3又は冷媒ポンプ35が運転することで、室内温度Trと設定温度Tsの関係は、Tr≒Tsになっている。停電発生前は電算室内における発熱量と吸熱量とが釣り合っていると考える。ここで、停電が発生すると、給電が再開するまでの停電中に電算室に蓄積された熱量は、簡易的にK0=Qx×td[J]と表される。
給電が再開された後、仮に空気調和装置100が運転しない場合、電算室から排出すべき熱量Kxは、図5Aに示すように、Kx=Qx×t+K0[J]と表される。停電中に蓄積した熱量K0を考慮すると、要求能力Qrは、Qr>Qxであることが必要である。給電が再開したときに、ポンプ能力Qpが、Qp>Qr>Qxでなければ、冷媒ポンプ35を運転しても、電算室の発熱量に冷媒ポンプ35による排熱量が追いつかないことになる。このことを図5Aのグラフを用いて説明する。
Qp=Qxである場合の冷媒ポンプ35の排熱量Kp2=Qp×t[J]を、図5Aに示す。Kp2の傾きQpはKxの傾きQxと等しいので、KxのグラフとKpのグラフは平行になり、時間が経過しても交差しない。また、Qp<Qxである場合、冷媒ポンプ35の排熱量Kp3は、図5Aに示すようになる。Kp3の傾きQpはKxの傾きQxよりも小さいので、時間が経過すると、その差は拡大してしまう。
一方、Qp>Qxである場合、冷媒ポンプ35の排熱量Kp1は、図5Aに示すようになる。Kp1の傾きQpはKxの傾きQxよりも大きいので、時間が経過すると、その差が徐々に小さくなる。実際には、冷媒ポンプ35が運転すると、室内温度Trが変化するので、図5Aに示すKp1〜Kp3のグラフは単純な一次関数の式で表されない。
図5Bは、Qp>Qxである場合の冷媒ポンプ35の排熱量Kp1の一例を示すグラフである。ここでは、時刻t=0のとき、室内機制御部15は、圧縮機3及び冷媒ポンプ35のうち、起動する機器を冷媒ポンプ35に決定し、冷媒ポンプ35を起動したものとする。図5Bでは、図5Aに示したKp1を破線で示し、室内温度Trの変化を考慮した場合のKp1を実線で示している。冷媒ポンプ35が運転を開始すると、時間経過に伴って室内温度Trが下がり、Kp1の傾きQpがKxの傾きQxに近づく。その理由を説明する。冷媒ポンプ35が冷媒を冷媒配管51に循環させると、冷媒は利用側熱交換器6で温められて膨張し、熱源側熱交換器4で冷却されて収縮する。このサイクルで冷媒が電算室の熱を室外に排出するので、室内温度Trと外気温度Toとの温度差がポンプ能力Qpの冷凍能力を左右する。室内温度Trと外気温度Toとの温度差が小さいほど、ポンプ能力Qpが小さくなる。
図5Bでは、時刻t=t1のとき、Qp=Qxになったことを示す。ここでは、室内機制御部15が、ステップS1の処理に戻って運転状態を保存した後、ステップS2の判定で停電が発生していないため、ステップS8の処理に進んだ場合で説明する。この場合、ステップS8において、3つの条件のうち、Qp>Qrの条件が満たされないので、室内機制御部15は、冷媒ポンプ35の運転を停止し、圧縮機3の運転を開始する。図5Cは、時刻t=t1で、冷媒ポンプ35から圧縮機3に運転が切り替わった場合を示す。
図5Cは、圧縮機3の運転による排熱量をKcで示す。図5Cに示すように、排出対象の熱量Kxと排熱量Kp1との差が小さくなった時刻t1から圧縮機3が運転を開始している。この場合、圧縮機3が排出すべき熱量が少なくてすむため、圧縮機3は、容量及び運転周波数をはじめから大きくする必要がない。そのため、給電再開時にはじめから圧縮機3に最大容量及び最大周波数で運転させることでオーバーシュートが発生してしまうことを抑制できる。また、空調環境を有効に活用し、時刻t1までは、圧縮機3よりも消費電力の小さい冷媒ポンプ35が運転しているため、電力消費量を低減できる。
図5A〜図5Cを参照して説明した内容をまとめると、次の通りである。冷媒ポンプ35が単位時間あたりに室内から室外に汲み出せる熱量は室内温度Trと外気温度Toとの温度差に関係する。停電中に室内に蓄積した熱量K0は停電時間tdに関係する。要求能力Qrは室内温度Trと設定温度Tsとの温度差に関係する。要求能力Qrは、停電中に室内に蓄積した熱量K0と、室内の発熱量Qxとに関係する。室内機制御部15は、これらの値を基に、給電再開の際、起動する機器として、圧縮機3及び冷媒ポンプ35のうち、いずれかを選択する。
例えば、停電中に室内に蓄積した熱量K0がある程度の大きさであっても、室内温度Trと外気温度Toとの温度差が大きければ、冷媒ポンプ35が単位時間あたりに室内から室外に汲み出せる熱量が大きくなり、ポンプ能力Qpが要求能力Qrよりも大きくなる。この場合、室内機制御部15は、給電再開の際、起動する機器として冷媒ポンプ35を選択する。一方、停電時間tdが短くても、室内温度Trと外気温度Toとの温度差が小さければ、冷媒ポンプ35が単位時間あたりに室内から室外に汲み出せる熱量が小さくなり、ポンプ能力Qpが要求能力Qrよりも小さくなる。この場合、室内機制御部15は、給電再開の際、起動する機器として圧縮機3を選択する。
図4を参照して説明した一連の制御により、給電検出手段17が給電再開を検出した後、空気調和装置100は、起動時の冷房負荷に応じた起動制御を行うことができる。給電再開時に圧縮機を最大周波数に設定して運転する従来の空気調和装置では、能力過剰による室内温度が必要以上に低下し、ハンチングなどの現象が発生してしまうおそれがある。これに対して、図4に示した制御では、ハンチング現象を抑制し、空調対象空間を所定の温度環境により迅速に回復し、かつ省エネルギー運転を実現できる。
本実施の形態1の空気調和装置100は、圧縮機3及び冷媒ポンプ35を含む冷媒回路と、空調対象空間の室内温度を計測する室内温度検出手段10と、外気温度を計測する外気温度検出手段26と、停電発生から給電再開までの停電時間を計時する停止時間計時手段44と、室内機制御部15とを有し、室内機制御部15は、室内温度及び外気温度を用いてポンプ能力を算出するポンプ能力演算手段42と、室内温度及び設定温度を用いて要求能力を算出する要求能力演算手段43と、給電再開の際に圧縮機3及び冷媒ポンプ35のうち、いずれを起動させるか、室内温度、外気温度、停電時間、ポンプ能力及び要求能力を用いて決定する制御決定手段20と、を有するものである。
本実施の形態1によれば、室内機制御部15は、給電再開の際、空調対象空間の冷房負荷に関する値として、外気温度、室内温度、停電時間、ポンプ能力及び要求能力に基づいて、冷媒回路に冷媒を循環させる機器として、冷媒ポンプ35及び圧縮機3のうち、いずれが適切であるかを決定する。そのため、室内及び室外を含む温度環境に応じた適正な空調運転を行うことができ、過剰冷却によるオーバーシュートの発生を抑制できる。その結果、制御が安定するまでの時間が長くなるハンチング現象が抑制され、より短時間で室内温度が設定温度に収束する。室内温度が設定温度に収束するまでの時間が従来よりも短くなることで、冷房運転が円滑に行われ、電力消費量が低減し、省エネルギー運転を実現できる。
本実施の形態1の空気調和装置100は、空調対象空間が、例えば、電算室のように、停電発生時にも無停電電源装置から供給される電力で稼働する装置が設置された部屋であっても、有効である。空気調和装置100は、給電再開の際、停電時間及び外気温度等の情報を用いて、起動する機器を決定することで、室内の冷房負荷などの運転環境に応じた冷房運転を適切に行い、室内を所定の温度環境に移行させる。その結果、空気調和装置100は、従来に比べて省エネルギー運転を行うことができる。
本実施の形態1の空気調和装置100では、制御決定手段20は、給電再開の際、室内温度から外気温度を減算した値が決められた温度より大きい温度条件、ポンプ能力が要求能力より大きい能力条件、及び停電時間が決められた時間以下である時間条件からなる3つの条件を満たすか否かを判定し、3つの条件全てを満たす場合、冷媒ポンプ35を起動し、3つの条件のうち、いずれかの条件を満たさない場合、圧縮機3を起動する。
例えば、停電中に室内に蓄積した熱量がある程度の大きさであっても、室内温度と外気温度との温度差が大きければ、冷媒ポンプ35が単位時間あたりに室内から室外に汲み出せる熱量が大きくなり、ポンプ能力Qpが要求能力Qrよりも大きくなる。上記3つの条件が満たされる場合、室内機制御部15は、起動する機器として冷媒ポンプ35を選択する。一方、停電時間tdが短くても、室内温度Trと外気温度Toとの温度差が小さければ、冷媒ポンプ35が単位時間あたりに室内から室外に汲み出せる熱量が小さくなり、ポンプ能力Qpが要求能力Qrよりも小さくなる。上記3つの条件のうち、いずれかの条件が満たされない場合、室内機制御部15は、起動する機器として圧縮機3を選択する。このようにして、室内機制御部15は、給電が再開されたとき、室内を所定の温度環境に設定する際、制御決定条件にしたがって、圧縮機3の起動と冷媒ポンプ35の起動とを使い分ける。空気調和装置100は、短時間に室内を所定の温度環境に収束させる円滑な冷房運転を行い、省エネルギー運転を実現できる。
本実施の形態1の空気調和装置100は運転停止前の運転状態を記憶する記憶手段34Aを有し、制御決定手段20は、運転再開の際に記憶手段34Aから運転停止前の運転状態を読み出し、運転停止前に圧縮機3が運転していた場合、冷媒ポンプ35よりも圧縮機3を優先的に起動する。室内機制御部15は、記憶手段34Aが記憶する情報を読み出すことで、運転停止前の空気調和装置100の運転状態を把握することができる。例えば、停電発生前に圧縮機3が運転していた場合、停電発生前の空調対象空間の冷房負荷が、冷媒ポンプ35では冷凍能力が不十分だったと考えられる。この場合、制御決定手段20は、給電再開の際、起動する機器として圧縮機3を優先的に選択する。これにより、室内温度がより早く設定温度に収束する。
さらに、室内機制御部15は、記憶手段34Aが記憶する情報を参照することで、膨張弁5、室内側送風機9及び室外側送風機25についても、停電発生前の運転状態を確認できる。そのため、室内機制御部15は、給電再開の際、これらの機器を停電発生前の運転状態で起動することもできる。
実施の形態2.
実施の形態1では、空気調和装置100が停電発生の後、給電再開の際に自動起動する場合で説明したが、実施の形態1で説明した制御方法は、停電から給電再開時の場合に限らず、ユーザの操作などによる通常の起動の場合でも有効である。本実施の形態2は、ユーザの操作による空気調和装置100の運転停止及び運転再開の場合である。
本実施の形態2における空気調和装置100の構成を、図1〜図3を参照して説明する。本実施の形態2においては、実施の形態1で説明した構成と同様な構成についての詳細な説明を省略し、実施の形態1と異なる点を詳しく説明する。本実施の形態2の空気調和装置100では、図1に示した給電検出手段17が設けられていなくてもよい。
空気調和装置100の運転停止の指示が入力されると、室内機制御部15は運転停止信号を停止時間計時手段44及び室外機制御部27に送信し、機器制御手段18Aは室内側送風機9の運転を停止する。このとき、圧縮機3が運転していれば、機器制御手段18Aは圧縮機3の運転を停止する。室外機制御部27が室内機制御部15から運転停止信号を受信すると、機器制御手段18Bは室外側送風機25の運転を停止する。このとき、冷媒ポンプ35が運転していれば、機器制御手段18Bは冷媒ポンプ35の運転を停止する。室内機制御部15に空気調和装置100の運転再開の指示が入力されると、室内機制御部15及び室外機制御部27は、実施の形態1において給電が再開した場合と同様に動作する。
停止時間計時手段44は、電力供給線52を介して電力が供給される。停止時間計時手段44は、運転停止信号を室内機制御部15から受信すると、図に示さないタイマーが計時を開始する。停止時間計時手段44は、運転再開信号を室内機制御部15から受信すると、運転停止信号の受信から運転再開信号の受信までに計時した時間を、停止時間として室内機制御部15に送信する。
次に、本実施の形態2における空気調和装置100の動作を説明する。図6は、本発明の実施の形態2における空気調和装置の動作手順を示すフローチャートである。図6は、空気調和装置100における通常起動時の制御動作のフローを示す。
ここでは、図4を参照して説明した処理と同様な処理についての詳細な説明を省略する。具体的には、図6に示すステップS101、S107、S109〜S111は図4に示したステップS1、S7、S9〜S11と同様なため、その詳細な説明を省略する。本実施の形態2では、図6に示すステップS102〜S106、S108の処理について、詳細に説明する。
実施の形態1で説明したように、電源29が室内機1及び室外機2に電力を供給することで、空気調和装置100は、室内温度が設定温度と決められた範囲で一致するように、冷房運転を行う。図6に示すステップS101において、CPU33Aは、室内機1及び室外機2における複数の機器の運転状態に関係する情報を、空気調和装置100の運転状態として、運転状態記憶手段24に格納する。
CPU33Aは、一定時間毎に、運転停止の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102の判定の結果、運転停止の指示が入力されない場合、CPU33Aは、ステップS101に戻り、室内機1及び室外機2における複数の機器の運転状態に関係する情報を保存する。これにより、運転状態記憶手段24が記憶する情報が更新される。一方、ステップS102の判定の結果、運転停止の指示が入力されると、CPU33Aは、室内機1及び室外機2に設けられた複数の機器の運転を停止する。
その後、空気調和装置100の運転を再開する旨の指示が入力されると(ステップS103)、CPU33Aは、運転停止前の運転状態を運転状態記憶手段24から読み出す(ステップS104)。CPU33Aは、読み出した運転状態の情報を基に、停止前に冷媒ポンプ35が運転していたか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105の判定の結果、停止前に圧縮機3が運転していた場合、CPU33Aは、圧縮機3を起動する(ステップS110)。ステップS105の判定の結果、停止前に冷媒ポンプ35が運転していた場合、CPU33Aは、ステップS106の処理に進む。ステップS106において、CPU33Aは、室内温度検出手段10から室内温度Trを取得し、外気温度検出手段26から外気温度Toを取得し、停止時間計時手段44から停止時間tdを受信し、記憶手段34Aから設定温度Tsを読み出す。
ステップS106でCPU33Aが各種情報を読み込むと、ポンプ能力演算手段42が冷凍ポンプ能力を算出し、要求能力演算手段43が要求能力を算出する(ステップS107)。続いて、制御決定手段20は、室内温度Tr、外気温度To及び停止時間tdと、冷凍ポンプ能力及び要求能力とを用いて、時間条件、温度条件及び能力条件からなる制御決定条件を満たすか否かを判定する(ステップS108)。時間条件は、例えば、停止時間td≦20秒である。温度条件は、例えば、室内温度Tr−外気温度To>12℃である。能力条件は、ポンプ能力>要求能力である。
ステップS108の判定の結果、3つの条件を満たす場合、制御決定手段20は、冷媒ポンプ35を起動する(ステップS109)。ステップS109の処理の後、CPU33Aは、ステップS101に戻る。一方、ステップS108の判定の結果、3つの条件のうち、いずれかの条件を満たさない場合、制御決定手段20は、ステップS110の処理に進み、圧縮機3を起動する。ステップS110の処理の後、圧縮機制御手段21は、圧縮機3の運転周波数を増速させる制御を行う(ステップS111)。ステップS111の処理の後、CPU33Aは、ステップS101に戻る。
空気調和装置100は、運転を一旦停止した後、再度、起動すると、図6を参照して説明した一連の制御により、室内の冷房負荷特性に関する演算結果に基づいて、効率的に室内を所定の温度環境にまで回復させることができる。
本実施の形態2の空気調和装置100は、圧縮機3及び冷媒ポンプ35を含む冷媒回路と、空調対象空間の室内温度を計測する室内温度検出手段10と、外気温度を計測する外気温度検出手段26と、運転停止から運転再開までの停止時間を計時する停止時間計時手段44と、室内機制御部15とを有し、室内機制御部15は、室内温度及び外気温度を用いてポンプ能力を算出するポンプ能力演算手段42と、室内温度及び設定温度を用いて要求能力を算出する要求能力演算手段43と、給電再開時に圧縮機3及び冷媒ポンプ35のうち、いずれを起動させるかを、室内温度、外気温度、停止時間、ポンプ能力及び要求能力を用いて決定する制御決定手段20と、を有するものである。
本実施の形態2によれば、室内機制御部15は、通常の起動の際、空調対象空間の冷房負荷に関する値として、外気温度、室内温度、停電時間、ポンプ能力及び要求能力を参照することで、冷媒回路に冷媒を循環させる機器として、冷媒ポンプ35及び圧縮機3のうち、いずれが適切であるかを決定する。そのため、通常起動時においても、室内及び室外を含む温度環境に応じた適正な空調運転を行うことができ、過剰冷却によるオーバーシュートの発生を抑制できる。その結果、実施の形態1と同様に、短時間、かつ円滑な冷房運転が行われ、電力消費量が低減し、省エネルギー運転を実現できる。
以上のように、空気調和装置100について、実施の形態1では、停電からの給電回復時に伴う復旧動作を説明し、実施の形態2では、通常の起動時の動作について説明した。実施の形態1及び2で説明した、停電からの復旧動作であるか、通常起動時の動作であるかを問わず、本発明は、冷房運転の起動時に室内の温度を所望の設定温度に到達させる際、圧縮機運転による起動と冷媒ポンプ運転による起動を組み合わせる制御を行うことで、室内温度を迅速に回復する温度制御、かつ省エネルギー運転を実現できる。
なお、上述の実施の形態1及び2では、室内機1に1台の圧縮機3が設けられている場合で説明したが、1つの冷媒回路に複数の圧縮機3が設けられていてもよい。また、上述の実施の形態1及び2では、圧縮機3及び膨張弁5が室内機1に設けられている場合で説明したが、これらの機器が室外機2に設けられていてもよい。1つの冷媒回路に容量可変な圧縮機3が少なくとも1台設けられていればよく、圧縮機3の台数及びその設置位置は限定されない。
発明の主旨を逸脱しない範囲において、実施の形態1及び実施の形態2のそれぞれに開示された技術を適宜組み合わせてもよい。
1 室内機、2 室外機、3 圧縮機、4 熱源側熱交換器、5 膨張弁、6 利用側熱交換器、7 液温度検出手段、8 ガス温度検出手段、9 室内側送風機、10 室内温度検出手段、11 冷気温度検出手段、12 低圧圧力検出手段、13 高圧圧力検出手段、14 吐出ガス温度検出手段、15 室内機制御部、16A、16B 検出手段グループ、17 給電検出手段、18A、18B 機器制御手段、20 制御決定手段、21 圧縮機制御手段、22 膨張弁制御手段、23 送風機制御手段、24 運転状態記憶手段、25 室外側送風機、26 外気温度検出手段、27 室外機制御部、28 送風機制御手段、29 電源、30 渡り配線、32 通信手段、33A、33B CPU、34A、34B 記憶手段、35 冷媒ポンプ、36 ポンプ制御手段、37a、37b 逆止弁、38、39 バイパス回路、40 冷媒温度検出手段、41 冷媒圧力検出手段、42 ポンプ能力演算手段、43 要求能力演算手段、44 停止時間計時手段、51 冷媒配管、52 電力供給線、100 空気調和装置。

Claims (4)

  1. 圧縮機及び冷媒ポンプを含む冷媒回路と、
    空調対象空間の室内温度を計測する室内温度検出手段と、
    外気温度を計測する外気温度検出手段と、
    運転停止から運転再開までの停止時間を計時する停止時間計時手段と、
    冷房運転の際、前記圧縮機及び前記冷媒ポンプを切り換えて運転を制御する制御部と、を有し、
    上記制御部は、
    前記冷媒ポンプを運転して前記空調対象空間を冷却する場合の能力であるポンプ能力を、前記室内温度及び前記外気温度を用いて算出するポンプ能力演算手段と、
    前記空調対象空間の冷却に必要な冷凍能力である要求能力を前記室内温度及び設定温度を用いて算出する要求能力演算手段と、
    前記運転再開の際、前記圧縮機及び前記冷媒ポンプのうち、いずれを起動させるか、前記室内温度、前記外気温度、前記停止時間、前記ポンプ能力及び前記要求能力を用いて決定する制御決定手段と、
    を有する空気調和装置。
  2. 前記制御決定手段は、
    前記運転再開の際、前記室内温度から前記外気温度を減算した値が決められた温度より大きい温度条件、前記ポンプ能力が前記要求能力より大きい能力条件、及び前記停止時間が決められた時間以下である時間条件を満たすか否かを判定し、該温度条件、該能力条件及び該時間条件からなる3つの条件全てを満たす場合、前記冷媒ポンプを起動し、該3つの条件のうち、いずれかの条件を満たさない場合、前記圧縮機を起動する、請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記制御部は、前記運転停止前の運転状態を記憶する記憶手段をさらに有し、
    前記制御決定手段は、
    前記運転再開の際に前記記憶手段から前記運転停止前の運転状態を読み出し、該運転停止前に前記圧縮機が運転していた場合、前記冷媒ポンプよりも該圧縮機を優先的に起動する、請求項1又は2に記載の空気調和装置。
  4. 前記運転停止の原因が停電であり、
    前記停止時間は停電発生から給電再開までの停電時間である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
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