JPWO2018180155A1 - 真空脱脂焼結炉 - Google Patents

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Abstract

樹脂を含む被焼結体の脱脂処理及び焼成処理を行う真空脱脂焼結炉であって、炉体と、前記炉体の内側に配置され、前記被焼結体を加熱する加熱室と、前記加熱室の内部雰囲気を前記炉体の外側に排出する排出経路部と、前記脱脂処理によって前記被焼結体から排出された樹脂を回収する回収部と、を備える。前記排出経路部は、前記加熱室と前記回収部とを接続する主経路部と、前記炉体の内側において、前記主経路部から分岐されて排出口へと接続する分岐経路部と、を有する。

Description

本発明は、真空脱脂焼結炉に関するものである。
例えば、下記特許文献1に示すように、脱脂処理と焼結処理とを一つの炉で行う真空脱脂焼結炉が提案されている。この真空脱脂焼結炉は、被焼結体を加熱することで脱脂処理又は焼結処理を行う加熱室と、加熱室の内部雰囲気を排出する排出管とを備えている。
特開平6−41610号公報
ところで、焼結処理時において、排出管内を流れる排気は非常に高温となる。高温の排気が脱脂処理時に排出管内に付着した樹脂に接触すると分解ガスが発生してしまう。これにより、加熱室内に分解ガスが逆流することで焼結処理中の材料を炭化させるという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、脱脂処理及び焼結処理を一つの炉内で行う場合において、被焼結体の炭化を防止できる真空脱脂焼結炉を提供することを目的とする。
本願の真空脱脂焼結炉の例示的な一実施形態は、樹脂を含む被焼結体の脱脂処理及び焼成処理を行う真空脱脂焼結炉であって、炉体と、前記炉体の内側に配置され、前記被焼結体を加熱する加熱室と、前記加熱室の内部雰囲気を前記炉体の外側に排出する排出経路部と、前記脱脂処理によって前記被焼結体から排出された樹脂を回収する回収部と、を備える。前記排出経路部は、前記加熱室と前記回収部とを接続する主経路部と、前記炉体の内側において、前記主経路部から分岐されて排出口へと接続する分岐経路部と、を有する。
本発明によれば、脱脂処理及び焼結処理を一つの炉内で行う場合でも被焼結体の炭化を防止できる真空脱脂焼結炉が提供される。
図1は、第一実施形態に係る真空脱脂焼結炉の概略構成を示す断面図である。 図2は、排出経路部の要部構成を示す断面図である。 図3は、第二実施形態に係る真空脱脂焼結炉の概略構成を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の真空脱脂焼結炉の一実施形態について説明する。本実施形態の真空脱脂焼結炉は、被焼結体の脱脂処理及び焼成処理を一つの炉体で連続的に行うことを可能にしたものである。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
(第一実施形態) 図1は、本実施形態の真空脱脂焼結炉1の概略構成を示す断面図である。 図1に示すように、本実施形態の真空脱脂焼結炉1は、炉体2と、加熱室3と、回収部4と、排出経路部5とを備える。炉体2は、本体部2aと、本体部2aに対して開閉可能な扉部2bとを有する。炉体2は、扉部2bおよび本体部2aで形成される内側の空間(炉内)Sに加熱室3を収容する。なお、炉体2において、本体部2a及び扉部2bは、冷却機構(不図示)によって冷却される。これにより、炉体2は、加熱室3の熱によって高温となる空間Sの温度が炉体2の表面側に伝わらないようにしている。
加熱室3は、外側ケース3aと、ヒーター3bと、タイトボックス(収容ケース)3cとを含む。外側ケース3aは、加熱室3の本体を構成するものである。ヒーター3bは、外側ケース3aとタイトボックス3cとの間に設けられる。タイトボックス3cは、被焼結体10を内部に密閉した状態で収容する。このような構成に基づき、加熱室3は、脱脂処理時に発生する分解ガスによってヒーター3bや外側ケース3aが汚染されるのを防止できる。
加熱室3は、ヒーター3bを駆動することで、タイトボックス3c内に収容される被焼結体10を加熱する。ヒーター3bの熱は外側ケース3aにも伝わる。そのため、加熱室3(外側ケース3a)は、炉体2内に熱を放出するようになっている。
本実施形態において、被焼結体10としては、金属粉末やセラミックス粉末等にバインダーとして樹脂を混入した被焼結材料を用いる。加熱室3は、被焼結体10を加熱することで、該被焼結体10の脱脂処理或いは焼結処理を行う。
加熱室3は、脱脂処理において、被焼結体10に含まれる樹脂を気化或いは溶融させる温度域まで加熱する。加熱室3は、脱脂処理を行う際、不活性ガス(キャリアガス)、還元ガスあるいは酸化性ガスをタイトボックス3c内に所定の流量で流しつつ、該タイトボックス3cの内部圧力を減圧状態とする。
また、加熱室3は、焼結処理において、脱脂処理後の被焼結体10を焼結させる温度域まで加熱する。加熱室3は、焼結処理を行う際、不活性ガス(キャリアガス)、還元ガスあるいは酸化性ガスをタイトボックス3c内に所定の流量で流しつつ、内部圧力を減圧あるいは常圧状態とする。
排出経路部5は、加熱室3(タイトボックス3c)の内部雰囲気(排気)を炉体2の外側に排出するものである。本実施形態において、排出経路部5は、主経路部6と、分岐経路部7とを有する。
主経路部6は、加熱室3と排気装置15とを接続する排気経路をなす配管から構成される。具体的に、主経路部6は、タイトボックス3cから下方に延びることで外側ケース3a及び炉体2を貫通した状態に設けられる。主経路部6による排気は排気装置15の作動により行われる。排気装置15は、例えば真空ポンプ等から構成される。主経路部6による排気は、排気装置15に接続される排出口9を介して外部に排出される。このような構成に基づき、タイトボックス3c内の雰囲気は、主経路部6を介して外部に排出されるようになっている。
分岐経路部7は、炉体2の内側において主経路部6から分岐され、加熱室3(タイトボックス3c)と排気装置15とを接続する排出経路をなす配管から構成される。分岐経路部7は、加熱室3(外側ケース3a)の底板に沿って一方に延びた後、下方に約90度、折れ曲がることで炉体2を貫通した状態に設けられる。分岐経路部7による排気は、排気装置15の作動により行われる。分岐経路部7による排気は、排気装置15に接続される排出口9を介して外部に排出される。
主経路部6および分岐経路部7の一部は炉体2の内側に配置されている。分岐経路部7のうち炉体2の内側に設けられた部分は、加熱室3(外側ケース3a)から放出される熱により加温される。分岐経路部7の内部温度は、加熱室3から受け取る熱量、すなわち、加熱室3との距離に応じて決まる。本実施形態において、分岐経路部7と加熱室3との距離は、少なくとも焼成処理を開始した時の加熱室3により加温されることで、炉体2の内側に配置された分岐経路部7の内部温度が被焼結体10に含まれる樹脂の気化温度よりも高くなるように、設定されている。
ここで、加熱室3(タイトボックス3c)から排出された排気の温度は、排出経路部5の下流に行くほど低下する。すなわち、排気の温度は、排出経路部5において配管内を流れる距離が長くなるほど低くなる。本実施形態において、分岐経路部7のうち炉体2の内側に配置される経路は、主経路部6のうち炉体2の内側に配置される経路よりも長くなっている。そのため、炉体2の外側に到達した際の排気温度は、主経路部6を経由する場合に比べて、分岐経路部7を経由する場合の方が低くなる。
分岐経路部7のうち炉体2の内側に配置される経路の長さは、例えば、炉体2の内側に形成される空間Sの半分程度に設定するのが望ましい。このようにすれば、分岐経路部7を流れる排気の温度を十分に低下させることができる。
図2は排出経路部5の要部構成を示す断面図である。図2は図1の二点鎖線で囲まれる領域Aに対応する断面図である。 図2に示すように、分岐経路部7における第1の内径D1は、主経路部6における第2の内径D2よりも小さい。すなわち、本実施形態において、分岐経路部7の流路面積は、主経路部6の流路面積よりも小さくなっている。これにより、主経路部6を流れる排気の流速は、分岐経路部7を流れる排気の流速よりも早くなるので、排気を分岐経路部7側に積極的に吸い込ませる吸い込み力を発生させることができる。
なお、分岐経路部7を流れる排気の流速は、第1の内径D1及び第2の内径D2の比率に応じて調整可能である。分岐経路部7を流れる排気の流速を早くするには、上記比率を小さくすればよい。しかしながら、比率が小さくなりすぎる(例えば、1/10よりも小さくする)と、流速が早くなり過ぎて圧損が生じる。一方、上記比率を大きくしすぎる(例えば、1/2よりも大きくする)と、分岐経路部7を流れる排気の流速が遅くなって、上記吸い込み力を十分に発生させることができない。
これに対し、本実施形態の排出経路部5では、第1の内径D1及び第2の内径D2の比率を、1/10以上1/2としている。本実施形態の排出経路部5は、例えば、分岐経路部7の内径(第1の内径D1)が25mm、主経路部6の内径(第2の内径D2)が100mmとなるものを用いた。
このような比率に設定することで、主経路部6及び分岐経路部7における流速差が適切に調整される。よって、分岐経路部7における圧損の発生を抑制しつつ、排気を分岐経路部7側に積極的に吸い込ませる吸い込み力を発生させることができる。
本実施形態において、回収部4は、主経路部6の途中に設けられている。すなわち、回収部4は、主経路部6を介して加熱室3と接続される。回収部4は、脱脂処理により被焼結体10から排出された樹脂30を回収するためのものである。
本実施形態の真空脱脂焼結炉1は、加熱室3(タイトボックス3c)の内部雰囲気の排出経路を主経路部6と分岐経路部7との間で切り替える経路切替部8と、制御部12とをさらに備えている。これにより、真空脱脂焼結炉1は、脱脂処理を行う場合に主経路部6を用いて加熱室3(タイトボックス3c)の排気を行い、焼成処理を行う場合に分岐経路部7を用いて加熱室3(タイトボックス3c)の排気を行うことが可能となっている。
経路切替部8は、第1バルブ8aと、第2バルブ8bとを有する。第1バルブ8a(開閉部材)は、主経路部6における炉体2の外側に設けられ、主経路部6を開閉可能である。一方、第2バルブ8bは、分岐経路部7における炉体2の外側に設けられ、分岐経路部7を開閉可能である。第1バルブ8aおよび第2バルブ8bは炉体2の外側に配置されるため、高温度に曝されることによる故障等が防止されている。
本実施形態において、第1バルブ8aは、主経路部6の経路のうち、回収部4よりも炉体2に近い位置に配置されている。すなわち、第1バルブ8aは、炉体2の近傍に配置されている。これにより、主経路部6において炉体2から第1バルブ8aまでの間に位置する部分(以下、外側部分16と称す)を短くできる。
本実施形態において、第2バルブ8bは炉体2の近傍に配置されている。これにより、分岐経路部7において炉体2から第2バルブ8bまでの間に位置する部分(以下、外側部分17と称す)を短くできる。
制御部12は、経路切替部8に電気的に接続され、第1バルブ8aおよび第2バルブ8bの開閉を制御する。
本実施形態の真空脱脂焼結炉1は、脱脂処理を行う際、排出経路部5として主経路部6を利用する。すなわち、制御部12は、脱脂処理を行う際、第1バルブ8aを開いた状態とし、第2バルブ8bを閉じた状態とする指令を経路切替部8に送信する。経路切替部8は、制御部12から送信される信号に基づき、第1バルブ8aを開いた状態とし、第2バルブ8
bを閉じた状態とするように経路切替部8を制御する。これにより、排出経路部5による加熱室3(タイトボックス3c)からの排出経路として主経路部6が利用可能となる。
本実施形態の真空脱脂焼結炉1は、焼結処理を行う際、排出経路部5として分岐経路部7を利用する。すなわち、制御部12は、焼結処理を行う際、第1バルブ8aを閉じた状態とし、第2バルブ8bを開いた状態とする切り替え指令を経路切替部8に送信する。経路切替部8は、制御部12から送信される信号に基づき、第1バルブ8aを閉じた状態とし、第2バルブ8bを開いた状態とするように経路切替部8を制御する。これにより、排出経路部5による加熱室3(タイトボックス3c)からの排出経路として分岐経路部7が利用可能となる。
続いて、本実施形態の真空脱脂焼結炉1の動作について説明する。 まず、真空脱脂焼結炉1は脱脂処理を行う。作業者は、炉体2の扉部2bを開くことで加熱室3にアクセスする。そして、被焼結体10をタイトボックス3c内に密閉状態で収容した後、扉部2bを閉じる。そして、加熱室3(タイトボックス3c)内を所定の温度、圧力条件に設定する。
真空脱脂焼結炉1は、制御部12により、主経路部6を開き、分岐経路部7を閉じるように第1バルブ8aおよび第2バルブ8bを制御する。そして、排気装置15を作動させることで、タイトボックス3c内の被焼結体10中のバインダー(樹脂)より発生した分解ガスを吸引して、タイトボックス3c(加熱室3)内から主経路部6により排出する。 なお、脱脂処理を行う場合、タイトボックス3c内は、例えば、比較的低温(例えば、400℃)に保持されるとともに、所定量の不活性ガス(キャリアガス)が供給される。なお、タイトボックス3c内の圧力は減圧状態とされる。
脱脂処理によって被焼結体10に含まれる樹脂から発生した分解ガスは、キャリアガスとともに主経路部6を介して炉体2の外側に配置された回収部4内に到達する。分解ガスは回収部4内において冷やされることで固まり、樹脂30として付着する。このようにして、被焼結体10から樹脂を排出する脱脂処理が行われる。なお、回収部4において樹脂として回収されなかった分解ガスの一部はキャリアガスとともに排気装置15を介して排出口9に導入され、排出口9に設けられた補足部材(例えば、フィルター等)により回収される。
主経路部6の内面には、脱脂処理によって被焼結体10から分離された樹脂が付着する。特に、主経路部6のうち温度低下が大きくなる部分(例えば、炉体2の外側に位置する外側部分16)には樹脂が多く付着した状態となる。
分岐経路部7のうち第2バルブ8bよりも上流側は脱脂処理時に流路を閉じないため、内部に分解ガスが流れ込む。そのため、分岐経路部7のうち第2バルブ8bよりも上流の部分には、脱脂処理によって内面に樹脂が付着する。特に、分岐経路部7のうち温度低下が大きくなる部分(炉体2の外側に位置する外側部分17)には樹脂が多く付着した状態となる。
以上のようにして、真空脱脂焼結炉1による脱脂処理が終了する。続いて、真空脱脂焼結炉1は焼結処理を行う。焼結処理を行う際、タイトボックス3c内は、高温(例えば、1400℃)に設定され、かつ不活性ガスを流しながら圧力を減圧或いは常圧状態とされる。そのため、脱脂処理の終了後、焼結処理を開始する前までにタイトボックス3c内の温度を上昇させるための時間を要する。
脱脂処理の終了後、真空脱脂焼結炉1は、主経路部6を閉じ、分岐経路部7を開くように排出経路部5を切り替える。具体的に、真空脱脂焼結炉1は、制御部12により、第1バルブ8aを閉じた状態とし、第2バルブ8bを開いた状態とする切り替え指令を経路切替部8に送信する。経路切替部8は、制御部12から送信される信号に基づき、第1バルブ8aを閉じた状態とし、第2バルブ8bを開いた状態とするように経路切替部8を制御する。 なお、排出経路部5の切り替えは、少なくとも焼結処理の開始する前であればいずれのタイミングであってもよい。
主経路部6を閉じ、分岐経路部7を開いた後、制御部12は排気装置15を作動させる。これにより、加熱室3(タイトボックス3c)内の雰囲気が分岐経路部7により排出されるようになる。
焼結処理を開始する前まで、加熱室3内の温度が上昇していく。分岐経路部7のうち炉体2の内側に設けられた部分は、加熱室3(タイトボックス3c)の温度上昇に伴って該加熱室3(外側ケース3a)の周囲に放出される熱により加温される。そのため、分岐経路部7の内部温度が上昇する。これにより、分岐経路部7の内面に付着した樹脂が分解して分解ガスを発生させる。この分解ガスはキャリアガスとともに排気装置15を介して排出口9に導入され、排出口9に設けられた補足部材(例えば、フィルター等)により回収される。
本実施形態では、少なくとも焼成処理を開始する時に、炉体2の内側に配置された分岐経路部7の内部温度を被焼結体10に含まれる樹脂の気化温度よりも高くしている。これにより、焼成処理を開始するまでに、炉体2の内側に配置された分岐経路部7の内面に付着している樹脂を分解してガス化することで概ね除去できる。しかし、分岐経路部7のうち炉体2の外側に位置する外側部分17は加温されないため、内面に樹脂が付着した状態のままとなる。
本実施形態の真空脱脂焼結炉1では、分岐経路部7のうち炉体2の内側に配置される経路を長くとることで、焼結処理時に加熱室3から排出された排気の温度を外側部分17に到達させるまでの間に低下させることができる。よって、外側部分17に高温の排気が流れ込むことによる分解ガスの発生が防止され、加熱室3への分解ガスの逆流を防止することができる。
一方、主経路部6のうち炉体2の内側に設けられた部分は、加熱室3(タイトボックス3c)の温度上昇に伴って該加熱室3(外側ケース3a)の周囲に放出される熱により加温される。そのため、主経路部6の内部温度が上昇する。これにより、主経路部6の内面に付着した樹脂が分解して分解ガスを発生させる。この分解ガスはキャリアガスとともに排気装置15を介して排出口9に導入され、排出口9に設けられた補足部材(例えば、フィルター等)により回収される。
このように、焼成処理を開始するまでに、炉体2の内側に配置された主経路部6の内面に付着した樹脂を分解してガス化することで概ね除去できる。しかし、主経路部6のうち炉体2の外側に位置する外側部分16は加温されないため、内面に樹脂が付着した状態のままとなる。
本実施形態の真空脱脂焼結炉1においては、焼成処理時に加熱室3からの高温の排気が外側部分16に流れ込むおそれがある。この場合、外側部分16の内側に付着した樹脂が分解されて分解ガスR1(図2参照)を発生させることがある。
本実施形態では、図2に示したように、主経路部6における流速よりも分岐経路部7における流速を速くすることで排気を分岐経路部7側に積極的に吸い込ませる吸い込み力を発生させることができる。そのため、主経路部6と分岐経路部7との接続部の近傍に到達した分解ガスR1は、分岐経路部7の内側に吸い込まれる。よって、外側部分16の内側に付着した樹脂が分解した分解ガスR1が発生した場合でも、分岐経路部7側に積極的に引き込むことで加熱室3側に逆流するのを防止できる。
本実施形態の真空脱脂焼結炉1は、第1バルブ8aを炉体2の近傍に配置することで、主経路部6のうち炉体2の外側に位置する外側部分16を短くしている。これにより、焼成処理時に、外側部分16による分解ガスR1の発生量自体を少なくできる。
以上述べたように、本実施形態の真空脱脂焼結炉1によれば、脱脂処理に続けて焼結処理を行う場合であっても、高温となる排気経路として、炉体2の内側で主経路部6から分岐させた分岐経路部7を利用することができる。また、真空脱脂焼結炉1は、焼結処理を行う際、第1バルブ8aによって回収部4の上流側で主経路部6を閉じるため、回収部4への高温の排気の流れ込みを確実に防止できる。
これにより、焼結処理を行う際、回収部4に高温の排気が流れないため、回収部4に回収された樹脂から分解ガスが生成されるのを防止できる。よって、加熱室3(タイトボックス3c)内への分解ガスの逆流による被焼結体10の炭化を防止できる。したがって、本実施形態の真空脱脂焼結炉1によれば、脱脂処理及び焼結処理を一つの炉内で行う場合でも被焼結体10の炭化を防止できる。
(第二実施形態) 続いて、第二実施形態に係る真空脱脂焼結炉の構成について説明する。本実施形態と第一実施形態との違いは分岐経路部の形状である。そのため、第一実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、その説明については省略若しくは簡略化する。
図3は本実施形態の真空脱脂焼結炉1Aの概略構成を示す断面図である。 図3に示すように、本実施形態の真空脱脂焼結炉1Aは、炉体2と、加熱室3と、回収部4と、排出経路部5と、経路切替部8と、制御部12と、排気装置15とを備える。
本実施形態において、排出経路部5は、主経路部6と、分岐経路部27とを有する。 分岐経路部27は、加熱室3(外側ケース3a)の底板に沿って直線状に延びた後、斜め下方に折れ曲がることで炉体2を貫通した状態に設けられる。すなわち、分岐経路部27は、主経路部6に接続される上流側から下流側に向かうに従って加熱室3(外側ケース3a)の底面から離れる下流側流路部28を有している。
本実施形態の真空脱脂焼結炉1Aによれば、分岐経路部27内を流れる排気の温度が下流側に向かうにつれて加熱室3(外側ケース3a)による熱の影響を受け難くなる。そのため、分岐経路部7内を流れる排気の温度を効率良く低下させることができる。よって、炉体2の内側に配置される分岐経路部27の長さが、第一実施形態に比べて短くできる。
なお、本発明は上記実施形態の内容に限定されることはなく、発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
1,1A…真空脱脂焼結炉、2…炉体、3…加熱室、3a…外側ケースと、3b…ヒーター、3c…タイトボックス(収容ケース)、4…回収部、5…排出経路部、6…主経路部、7,27…分岐経路部、8…経路切替部、9…排出口、10…被焼結体、12…制御部、28…下流側流路部、D1…第1の内径、D2…第2の内径。

Claims (10)

  1. 樹脂を含む被焼結体の脱脂処理及び焼成処理を行う真空脱脂焼結炉であって、 炉体と、 前記炉体の内側に配置され、前記被焼結体を加熱する加熱室と、 前記加熱室の内部雰囲気を前記炉体の外側に排出する排出経路部と、 前記脱脂処理によって前記被焼結体から排出された樹脂を回収する回収部と、 を備え、 前記排出経路部は、 前記加熱室と前記回収部とを接続する主経路部と、 前記炉体の内側において、前記主経路部から分岐されて排出口へと接続する分岐経路部と、 を有する、真空脱脂焼結炉。
  2. 前記分岐経路部の流路面積は、前記主経路部の流路面積よりも小さい、請求項1に記載の真空脱脂焼結炉。
  3. 前記分岐経路部における第1の内径は、前記主経路部における第2の内径よりも小さく、 前記第1の内径及び前記第2の内径の比率は、1/10以上1/2である、請求項2に記載の真空脱脂焼結炉。
  4. 前記分岐経路部のうち前記炉体の内側に配置される経路は、前記主経路部のうち前記炉体の内側に配置される経路よりも長い、請求項1又は2に記載の真空脱脂焼結炉。
  5. 前記加熱室の内部雰囲気の排出経路を前記主経路部と前記分岐経路部との間で切り替える経路切替部をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空脱脂焼結炉。
  6. 前記経路切替部は、前記主経路部
    を開閉する開閉部材を含み、 前記開閉部材は、前記主経路部の経路のうち、前記回収部よりも前記炉体に近い位置に配置される、請求項5に記載の真空脱脂焼結炉。
  7. 前記脱脂処理の終了後、前記排出経路部を前記主経路部から前記分岐経路部へと切り替える、切り替え指令を前記経路切替部に送信する制御部をさらに備える、請求項5又は6に記載の真空脱脂焼結炉。
  8. 少なくとも前記焼成処理を開始した時、前記炉体の内側に配置された前記分岐経路部の内部温度は、前記樹脂の気化温度よりも高い、請求項1から7のいずれか一項に記載の真空脱脂焼結炉。
  9. 前記分岐経路部は、前記主経路部に接続される上流側から下流側に向かうに従って前記加熱室から離れる下流側流路部を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の真空脱脂焼結炉。
  10. 前記加熱室は、外側ケースと、前記外側ケースの内側に配置され、前記被焼結体を収容する収容ケースと、前記外側ケースと前記収容ケースとの間に設けられるヒーターと、を含み、 前記排出経路部は、前記収容ケースの内部雰囲気を前記炉体の外側に排出する、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空脱脂焼結炉。
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