JPWO2018179983A1 - イムノクロマトグラフ用血球分離膜及びイムノクロマトグラフ用ストリップ - Google Patents
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Abstract
x1<x2<5μm 式(1)
Description
[1] 平均流量孔径が0.06μm超1μm未満であり、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜からなる第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一部に重ねて連結され、前記第1の基材の平均流量孔径をx1としたときに下記式(1)を満たす平均流量孔径x2を有し、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜からなる第2の基材と、を備えた、イムノクロマトグラフ用血球分離膜。
x1<x2<5μm 式(1)
[2] 前記第1の基材に水を滴下した場合、滴下1秒後の表面の接触角が0〜30度である、上記[1]に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
[3] 前記第2の基材に水を滴下した場合、滴下1秒後の表面の接触角が0〜30度である、上記[1]または[2]に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
[4] 前記第1の基材と第2の基材の重なる部分の短手方向の長さが1mm以上5mm以下である、上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
[5] 前記第2の基材の少なくとも一部に重ねて連結され、親水性繊維系シートからなる第3の基材をさらに備えた、上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
[6] 前記第3の基材と第2の基材の重なる部分の短手方向の長さが1mm以上5mm以下である、上記[5]に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
[7] 前記第1の基材の膜厚が1μm以上150μm未満であり、空孔率が50%以上95%未満である、上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
[8] 上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜を含む、イムノクロマトグラフ用ストリップ。
本発明の一実施形態は、平均流量孔径が0.06μm超1μm未満であり、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜からなる第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一部に重ねて連結され、前記第1の基材の平均流量孔径をx1としたときに下記式(1)を満たす平均流量孔径x2を有し、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜からなる第2の基材と、を備えた、イムノクロマトグラフ用血球分離膜である。
x1<x2<5μm 式(1)
本発明の一実施形態において、第1の基材は平均流量孔径が0.06μm超1μm未満であり、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜である。ここで、当該ポリオレフィン微多孔膜は、多数のフィブリル状のポリオレフィンが互いに連結して三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜である。また、第1の基材は親水性のポリオレフィン微多孔膜であるが、ポリオレフィン自体は疎水性の樹脂であるため、後述する親水化処理方法により化学的あるいは物理的に膜の表面及び/または内部に親水性機能を付与している。
本発明の一実施形態において、第1の基材の平均流量孔径は0.06μm超1μm未満であることが重要である。第1の基材の平均流量孔径が0.06μm以下である場合、分離後の血漿成分の展開が良くないため、十分に検査を行うことができない。このような観点では、第1の基材の平均流量孔径は0.08μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。第1の基材の平均流量孔径が1μm以上である場合、第1の基材と第2の基材の界面での血球分離が難しくなるため、第1の基材まで血球が浸透してしまい、分離性能が良くない。このような観点では、第1の基材の平均流量孔径は0.9μm以下がより好ましく、0.8μm以下がさらに好ましい。
本発明の一実施形態において、第1の基材の膜厚は1〜150μmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜130μmであり、特に好ましくは20〜110μmである。ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が150μm以下である場合、ベッドボリュームが少ないため多くの血漿が得られるため好ましい。一方、膜厚が1μm以上である場合、十分な力学強度が得られやすくなり、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリング性も良好になるため好ましい。
本発明の一実施形態において、第1の基材の空孔率は50〜95%であることが好ましく、より好ましくは60%〜90%である。空孔率が50%以上である場合、液の展開性が良好なものとなるため好ましい。一方、空孔率が95%以下である場合、膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。ここで、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率(ε)は、ポリオレフィン微多孔膜の目付け(g/m2)、真密度(g/cm3)、膜厚(μm)より、下記式(2)により算出する。
ε(%)={1−Ws/(ds・t)}×100 式(2)
Ws:目付け(g/m2)
ds:ポリオレフィンの真密度(g/cm3)
t:膜厚(μm)
本発明の一実施形態において、第1の基材の1マイクロメートル厚みあたりのガーレ値(100cc空気透過時間)は0.01〜1秒/100cc/μmであることが好ましく、0.01〜0.6秒/100cc/μmであることがさらに好ましく、0.01〜0.3秒/100cc/μmであることが特に好ましい。当該ガーレ値が1.0秒/100cc/μm以下である場合、液の展開性が良好なものとなる点で好ましい。一方、当該ガーレ値が0.01秒/100cc/μm以上である場合、膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。
本発明の一実施形態において、第1の基材を水平面に設置し、その表面に水を滴下した場合に、滴下1秒後の液滴の表面接触角が0〜30度であることが好ましく、0〜20度であることがさらに好ましい。該1秒後の接触角が30度以下である場合、液の展開性が良好なものとなる点で好ましい。
本発明の一実施形態において、ポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィン組成物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレンとポリエチレンとの共重合体などが挙げられる。特に、ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレンや、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンの混合物等が好適である。
本発明の一実施形態において、ポリオレフィン微多孔膜は、下記に示す方法で好ましく製造することができる。即ち、(I)ポリエチレンを含むポリオレフィン組成物と大気圧における沸点が210℃未満の揮発性の溶剤とを含む溶液を調整する工程、(II)これを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却固化してゲル状成形物を得る工程、(III)ゲル状成形物を少なくとも一方向に延伸(一次延伸)および溶剤の乾燥を行いゲル状成形物の延伸物を得る工程、(IV)ゲル状成形物の延伸物を少なくとも一方向に延伸(二次延伸)する工程により好ましく製造することができる。
本発明の一実施形態において、親水化処理方法は、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理、および、親水性材料のコーティング、親水性モノマーのグラフト重合からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法であることが好ましい。孔の内部まで親水効果を満たすためには、プラズマ処理、親水性材料のコーティング、親水性モノマーのグラフト重合が好ましい。親水性材料とは、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレン-ポリビニルアルコール共重合体、ポリウレタン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。親水性モノマーとは、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコール、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルスルホン酸等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、第2の基材は第1の基材の少なくとも一部に重ねて連結され、第1の基材の平均流量孔径をx1としたときに上記式(1)を満たす平均流量孔径x2を有し、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜からなる。「微多孔膜」および「親水性」の定義は第1の基材と同様である。第2の基材を第1の基材の少なくとも一部に重ねて連結する態様としては、図1に例示するように、血球分離膜100において第1の基材10の最も大きい表面積を有する表面の一辺と、第2の基材11の最も大きい表面積を有する表面の一辺とが、長さを揃えて平行になるように第1の基材と第2の基材を重ねて連結する態様を含む。また、図2に示すように、血球分離膜200において第1の基材20と第2の基材21の幅方向長さが異なるものを重ねた場合でも良い。ただし、第1の基材及び第2の基材の形状及び連結態様はこれらに限定されるものではなく、例えば第1の基材と第2の基材とが全面に亘り重なった態様等も含む。また、本開示において基材同士が「連結」した状態とは、単純に2枚の基材同士が互いに重なり合って配置された状態(接着されていない)であってもよく、あるいは接着剤やホットプレスにより基材同士が接着された状態であってもよい。尚、本開示においては、イムノクロマトグラフにおいてサンプルを添加する側を上流、又は上流側、クロマトグラフが展開して行く方向を下流又は下流側とする。本発明の一実施形態に係るイムノクロマトグラフ用ストリップにおいて、第2の基材は第1の基材の上流側に連結される。
第2の基材は第1の基材の平均流量孔径をx1としたときに上記式(1)を満たす平均流量孔径x2を有することが重要である。このような第2の基材は、全血中から大部分の血球を分離するとともに、第1の基材における血漿の展開均一性を向上させる。第2の基材の孔径x2が第1の基材の孔径x1より大きいことで、大部分の血球を分離できる。このような観点では、第2の基材の孔径x2は第1の基材の孔径x1よりも0.01μm以上大きいことが好ましく、0.1μm以上大きいことがより好ましく、1μm以上大きいことがさらに好ましく、2.2μm以上大きいことが特に好ましい。一方、第2の基材の孔径x2が5μm未満であると、血球の分離性能が向上する。このような観点では、第2の基材の孔径x2は4.5μm以下が好ましく、4μm以下がさらに好ましい。なお、平均流量孔径の測定法は第1の基材と同じである。
本発明の一実施形態において、第2の基材の膜厚は10〜190μmであることが好ましく、さらに好ましくは20〜170μmであり、特に好ましくは30〜150μmである。第2の基材の膜厚が190μm以下である場合、ベッドボリュームが少ないため多くの血漿が得られるため好ましい。一方、第2の基材の膜厚が10μm以上である場合、十分な力学強度が得られやすくなり、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリング性も良好になるため好ましい。
本発明の一実施形態において、第2の基材の空孔率は50〜95%であることが好ましく、より好ましくは60%〜95%である。第2の基材の空孔率が50%以上である場合、液の展開性が良好なものとなるため好ましい。一方、第2の基材の空孔率が95%以下である場合、膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。なお、空孔率の測定法は第1の基材と同じである。
本発明の一実施形態において、第2の基材の1マイクロメートル厚みあたりのガーレ値(100cc空気透過時間)は0.001〜0.01秒/100cc/μmであることが好ましく、0.001〜0.006秒/100cc/μmであることがさらに好ましく、0.001〜0.004秒/100cc/μmであることが特に好ましい。当該ガーレ値が0.01秒/100cc/μm以下である場合、液の展開性が良好なものとなる点で好ましい。一方、当該ガーレ値が0.001秒/100cc/μm以上である場合、膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。
本発明の一実施形態において、第2の基材を水平面に設置し、その表面に水を滴下した場合に、滴下1秒後の液滴の表面接触角が0〜30度であることが好ましく、0〜20度であることがさらに好ましい。該1秒後の接触角が30度以下である場合、液の展開性が良好なものとなる点で好ましい。
本発明の一実施形態の血球分離膜においては、第2の基材の少なくとも一部に重ねて連結され、親水性繊維系シートからなる第3の基材をさらに備えることが好ましい。第3の基材を第2の基材の少なくとも一部に重ねて連結する態様は、第2の基材を第1の基材の少なくとも一部に重ねて連結する態様と同様である。一例として、第3の基材を備える血球分離膜300を図3に示す。血球分離膜300は、第1の基材30、第2の基材31及び第3の基材32を含む。また、本発明の一実施形態のイムノクロマトグラフ用ストリップにおいて、第3の基材は第2の基材の上流側に連結される。第3の基材は、第2の基材において目詰まりを発生させるような粗大成分を取り除くことができ、第2の基材の目詰まりを低減することができる。親水性繊維系シートとは、親水性繊維あるいは親水化処理された疎水性繊維からなる、不織布、紙、織布等の繊維を含むシートであり、特に不織布が好ましい。親水性繊維とは、セルロース、PVA、CMC、綿、麻等が挙げられる。疎水性繊維とは、ガラス繊維、PET、ポリエステル、ナイロン等が挙げられる。親水化処理に関しては上記第1の基材と同様の手法を用いることができる。
本発明の一実施形態において、第3の基材の膜厚は100〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは150〜400μmであり、特に好ましくは200〜300μmである。第3の基材の膜厚が500μm以下である場合、ベッドボリュームが少ないため多くの血漿が得られるため好ましい。一方、膜厚が100μm以上である場合、十分な力学強度が得られやすくなり、加工時等におけるハンドリング性も良好になるため好ましい。
本発明の一実施形態において、第3の基材の空孔率は50〜95%であることが好ましく、さらに好ましくは60%〜93%であり、特に好ましくは70〜90%である。空孔率が50%以上である場合、液の展開性が良好なものとなるため好ましい。一方、空孔率が95%以下である場合、膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。なお、空孔率の測定法は以下の実施例で示した方法と同じである。
本発明の一実施形態において、第3の基材の目付は30〜80g/m2であることが好ましく、さらに好ましくは40〜70g/m2、特に好ましくは50〜60g/m2である。目付が80g/m2以下である場合、液の展開性が良好なものとなるため好ましい。一方、目付が30g/m2以上である場合、膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。
本発明の一実施形態のイムノクロマトグラフ用ストリップは、被検出物質を含有する可能性のある液体状のサンプルを検査するためのイムノクロマトグラフ用ストリップであって、本発明の一実施形態のイムノクロマトグラフ用血球分離膜を含む。本発明の一実施形態のイムノクロマトグラフ用ストリップは、血球分離膜のほかに、サンプルを添加するためのサンプルパッドと、前記被検出物質と特異的に結合する標識物質を含有するコンジュゲートパッドと、前記被検出物質と特異的に結合する検出試薬を固定化した、クロマトグラフィー媒体と、を備えていてもよい。尚、ストリップの幅、形状に関しては、特に限定されるものでもなく、操作しやすい幅、形状であれば問題ない。
本発明において、イムノクロマトグラフ用ストリップで分析できるサンプルとしては、血球および被検出物質を含む可能性のあるサンプルである限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液等が挙げられる。
サンプルパッドは、例えばセルロース、ガラス、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、ポリオレフィン及び綿等の各種繊維の1種あるいは2種以上からなる不織布、紙状体、織布あるいは微多孔膜を用いることができるが、これらに限定されるものではない。サンプルパッドは、添加された被検出物質を含むサンプルを受入れるだけでなく、サンプル中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる。また、検査の際、サンプル中の被検出物質がサンプルパッドの材質に非特異的に吸着し、検査精度を低下させることを防止するため、サンプルパッドを構成する材料は、予め非特異的吸着防止処理して用いても良い。サンプルパッドは単独のシートのみならず、必要に応じて不織布等の他のシートと重ねて併用することもできる。
本発明の一実施形態及び他の一実施形態におけるイムノクロマトグラフ用血球分離膜について説明する。例えば、図1に示す分離膜100は、第1の基材10と、その上流側となる側に連結された第2の基材11とを有している。図2に示す分離膜200は、第1の基材20と、その上流側となる側に連結された第2の基材21とを有している。また、図3に示す分離膜300は、第1の基材30と、その上流側となる側に連結された第2の基材31と、さらにその上流側となる側に連結された第3の基材32とを有している。
コンジュゲートパッドは、例えばセルロース、ガラス、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、ポリオレフィン、及び綿等の各種繊維の1種あるいは2種以上からなる不織布、紙状体、織布あるいは微多孔膜を用いることができるが、これらに限定されるものではない。コンジュゲートパッドは、標識物質を含む懸濁液を一定量含浸させ、乾燥させて作製できる。
本発明の一実施形態において、標識物質は、被検出物質と特異的に結合する結合部と、判定するための標識部を有している。標識部としては不溶性担体や酵素等を用いることができるが、目視で判定しやすい点で不溶性担体が好ましい。不溶性担体を用いる場合は、結合部を不溶性担体に感作することにより調製することができる。結合部は対象とする被検出物質に応じて適宜選定すれば良い。
クロマトグラフィー媒体は、クロマトグラフィー媒体用基材と、この基材の少なくとも一部に形成され、かつ、被検出物質と特異的に結合する検出試薬が固定化された検出部と、を備えている。検出部は、被検出物質と特異的に結合する検出試薬が固定化された領域である。具体的に、図4に示したように、検出部17はクロマトグラフィー媒体用基材の任意の位置において、当該基材の幅方向に沿って直線状に形成されていることが好ましいが、これに限定されず、例えば、円形のスポット、数字、文字や+、−などの記号等でもよい。被検出物質が複数ある場合はそれぞれに対応した検出試薬を固定化して、クロマトグラフィー媒体上に複数の検出部を形成しても良い。
吸収パッドは、最終的に流れ着いたサンプルを吸収するものである。このような吸収パッドとしては、例えばセルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加されたサンプルの展開先端部(流れているサンプルの最先端部)が吸収パッドに届いてからの展開速度は、吸収パッドの材質、大きさなどにより異なるので、その選定により被検出物質の測定に合った速度を設定することができる。
以下、本発明の一実施形態に関する実施例で用いた測定方法について説明する。
サンプルの膜厚は、接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用いた。測定圧は0.1Nとした。
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の重量がWa、Wb、Wc…、Wn(g/cm2)であり、それぞれの真密度がxa、xb、xc…、xn(g/cm3)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式(3)より求めた。
ε={1−(Wa/xa+Wb/xb+Wc/xc+…+Wn/xn)/t}×100 式(3)
1マイクロメートル厚みあたりの100cc空気透過時間τは以下のように求めた。JIS P8117に従って、面積642mm2のサンプルの空気透過時間(秒/100cc)Tを測定した。上記の空気透過時間と膜厚みから下記式(4)により1マイクロメートル厚みあたりの100cc空気透過時間を求めた。
τ = T/t 式(4)
T:JIS P8117に従い測定した空気透過時間(秒/100cc)
t:膜厚(μm)
ポリオレフィン微多孔膜の平均流量孔径は、PMI社のパームポロメーター(型式:CFP−1200−AEXL)を用い、浸液にPMI社製のガルウィック(表面張力=15.9dynes/cm)を用いて、ASTM E1294−89に規定するハーフドライ法に基づき、平均流量孔径(μm)を求めた。なお、測定温度は25℃であり、測定圧力は0〜150psiの範囲で変化させた。
測定装置として、協和界面科学株式会社製 全自動接触角計 DMo-701FEおよびInterface Measurement and Analysis System FAMASを使い、静的接触角を測定した。親水化処理を施したポリオレフィン微多孔膜に対して、2μLの純水を試料上に滴下し、大気中常圧下、24℃、相対湿度60%における滴下1秒後の接触角を測定した。測定には、SUS(ステンレス鋼)製の18G針を使用するシリンジを用いた。
以下の実施例及び比較例で作製した分離膜について、血球分離性能を次の通り確認した。
A:第1の基材と第2の基材の界面で血球が分離され、第1の基材へは血漿のみ展開する。
B:第1の基材へ血液が展開し、第1の基材中で血球が分離される。
C:第1の基材へ血液は展開するが、血球が分離されない。
D:第1の基材へ血液が展開しない。
血球分離性能の確認と同様の試験を実施し、第1の基材の下流側において溶血の有無を目視により判定した。評価基準としては以下のA、B、C、Dである。
A:完全に溶血なし
B:極僅かに赤く見えるが、実用上問題ない
C:少し溶血が確認され、実用上不十分
D:鮮明な溶血あり
血球分離性能の確認と同様の試験を実施し、分離後の血漿部分の面積より得られた血漿量を評価した。評価基準としては、比較例1の血漿部分の面積を100とした場合に、各実施例及び比較例における血漿部分の面積を比較例1の血漿部分の面積で除算した面積比率をもとめ、以下のA、B、C、Dで評価した。
A:面積比率が200%以上
B:面積比率が150%以上200%未満
C:面積比率が100%以上150%未満
D:面積比率が100%未満
血球分離性能の確認と同様の試験を実施し、血漿が基材中を移動し停止するまでの時間を目視により測定した。評価基準としては、比較例1の分離時間を100とした場合に、各実施例及び比較例における分離時間を比較例1の分離時間で除算して分離時間比率をもとめ、以下のA、B、C、Dで評価した。
A:分離時間比率が100%未満
B:分離時間比率が100%以上150%未満
C:分離時間比率が150%以上200%未満
D:分離時間比率が200%以上
基材を塩化メチレンに所定の時間浸漬した後に、基材を取り除き、浸漬後の塩化メチレン溶液の重量を計測した。これとは別に前述した計測した重量と継続同重量の新品の塩化メチレンを準備し、各々から塩化メチレンを蒸発させて完全に溶媒を除去した(乾固)後に、各々の重量を測定した。新品の塩化メチレンを完全に除去した後の重量増分を基準として、ポリオレフィン微多孔膜を浸漬した後の塩化メチレン溶液を乾固させた後の重量増分の比を算出した。評価基準としては以下のA、B、C、Dである。
A:1.01倍以下
B:1.01倍超、1.05倍以下
C:1.05倍超
D:測定不可
第1の基材は次の通り作製した。ポリオレフィン樹脂として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン3.8重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン21.2重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第1の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン5.8重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン17.2重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が23重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第1の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン7.5重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン17.5重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第2の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン1.3重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン23.7重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第3の基材として、PET不織布にプラズマ処理を施し、第3の基材と第2の基材の重なる部分の短手方向の長さが1mmになるように積層した(接着なし)。
第3の基材として、平均流量孔径の異なる2種類のPET不織布A及びBにプラズマ処理を施し、PET不織布Aの上流側にPET不織布Bを重ね、各不織布の重なる部分の短手方向の長さが1mmになるように積層し(接着なし)、これを第3の基材とした。そして、不織布Aと第2の基材の重なる部分の短手方向の長さが1mmになるように積層した(接着なし)。
第1の基材と第2の基材の重なる部分の短手方向の長さを表1の通り変更した以外は、実施例1と同様にして本発明の一実施形態のイムノクロマトグラフ用血球分離膜を作製した。
第1、第2の基材として、親水化処理としてプラズマ処理を施した平均流量孔径8μmのポリエチレン微多孔膜を用いた。
第1、第2の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン1.3重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン23.7重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第1の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン1.3重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン23.7重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第1の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン1.3重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン23.7重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第1の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン1.3重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン23.7重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
第1の基材として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン6.0重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン24.0重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が30重量%となるようにして流動パラフィン67.5重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)2.5重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
第2の基材として、イムノクロマトグラフ用グラスファイバーを用いた。
第2の基材として、セルロース繊維から成る親水性不織布を用いた。
第2の基材として、親水化処理としてプラズマ処理を施したPET不織布を用いた。
Claims (8)
- 平均流量孔径が0.06μm超1μm未満であり、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜からなる第1の基材と、
前記第1の基材の少なくとも一部に重ねて連結され、前記第1の基材の平均流量孔径をx1としたときに下記式(1)を満たす平均流量孔径x2を有し、かつ、親水性のポリオレフィン微多孔膜からなる第2の基材と、を備えた、イムノクロマトグラフ用血球分離膜。
x1<x2<5μm 式(1) - 前記第1の基材に水を滴下した場合、滴下1秒後の表面の接触角が0〜30度である、請求項1に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
- 前記第2の基材に水を滴下した場合、滴下1秒後の表面の接触角が0〜30度である、請求項1または請求項2に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
- 前記第1の基材と第2の基材の重なる部分の短手方向の長さが1mm以上5mm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
- 前記第2の基材の少なくとも一部に重ねて連結され、親水性繊維系シートからなる第3の基材をさらに備えた、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
- 前記第3の基材と第2の基材の重なる部分の短手方向の長さが1mm以上5mm以下である、請求項5に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
- 前記第1の基材の膜厚が1μm以上150μm未満であり、空孔率が50%以上95%未満である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフ用血球分離膜を含む、イムノクロマトグラフ用ストリップ。
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