以下に、図面を参照して、開示の情報処理システム、情報処理装置、および情報処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態にかかる情報処理方法の一実施例)
図1は、実施の形態にかかる情報処理方法の一実施例を示す説明図である。情報処理装置100は、計測対象によって運動が行われた運動期間を特定するコンピュータである。計測対象は、生体である。計測対象は、機械、例えば、2足歩行する自律ロボットであってもよい。
生体の代表的な例は、人間である。例えば、医療機関による検査対象になる対象者である。具体的には、医師などの医療関係者による診断や治療、リハビリ指導などを受ける患者であってもよい。また、他にも、スポーツインストラクターによる運動指導を受ける被指導者であってもよい。さらに、自ら健康管理を行う個人であってもよい。なお、生体は人間に限らず、動物であってもよい。
ここで、生体によって所定の運動が行われた運動期間では、その生体に装着したセンサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンが現れる傾向がある。所定の運動は、例えば、歩行運動である。所定の運動は、例えば、立位維持運動、階段昇降運動、サイクリング運動などであってもよい。時系列データは、例えば、一定期間における生体の上下方向の加速度が、時系列に並べられたデータである。以下の説明では、上下方向の加速度を「上下加速度」と表記する場合がある。
特徴的なパターンは、例えば、生体によって歩行運動が行われた運動期間であれば、その生体の加速度から抽出される上下振動成分のゼロクロス点が周期的に出現するというパターン、または、その生体の上下加速度のピーク振幅が周期的に出現するというパターンなどである。ゼロクロス点は、対象信号の信号値がゼロになった時点を示す。
このため、所定の運動に対応する特徴的なパターンを予め記憶しておき、一定期間のうち、生体に装着したセンサ装置から得られる時系列データに、その特徴的なパターンと合致するパターンが現れた期間を、その生体の運動期間として特定する場合が考えられる。しかしながら、この場合、生体の運動期間を特定することが難しいことがある。
例えば、生体が歩行運動中にバランスを崩すと、その生体に装着されたセンサ装置から得られる時系列データに、不規則な乱れが生じることがある。そして、生体がバランスを崩していた期間では、その生体に装着されたセンサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致するパターンが現れず、その期間については、その生体の運動期間として特定することができない。
これに対し、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を、特徴的なパターンが発生した時点の前後に広げることにより、センサ装置から得られる時系列データに不規則な乱れが生じていても、その特徴的なパターンと合致するパターンを検知しようとする場合が考えられる。このように、生体の運動期間を精度よく特定しようとする場合がある。しかしながら、この場合でも、生体の運動期間を特定することが難しいことがある。
例えば、生体が歩行運動中にバランスを大きく崩すと、センサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を広げたとしても、例えば、ふらついた故に動きの特徴が急変する場合など、その特徴的なパターンと合致すると判定することが難しいパターンが現れることがある。このため、依然として、生体がバランスを崩していた期間では、その生体に装着されたセンサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンが現れず、その期間については、その生体の運動期間として特定することができない。
一方で、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を広げたため、生体によって所定の運動が行われていない期間についても、その生体の運動期間として誤って特定されてしまう可能性がある。このように、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を広げると、生体の運動期間を特定する精度の低下を招いてしまう可能性がある。
また、生体がバランスを崩していた期間などを、その生体の運動期間として特定することができないため、その運動期間における生体の運動の特徴を解析することが難しく、医師などの医療関係者が把握することが難しい。例えば、生体がふらついた後に歩き方が復帰するまでに要する時間、または、生体がふらついた時に生体の身体が動揺した程度などを解析することができない。
そこで、本実施の形態では、ある期間に特徴的なパターンと合致するパターンが現れなくても、その期間と運動期間として既に検知された期間とについて比較することにより、運動期間を特定する精度の向上を図ることができる情報処理方法について説明する。
図1の例では、生体は患者であるとする。図1の例では、患者は、少なくとも時点t1〜t5までの期間p1において、歩行運動を行っている。患者は、時点t1から、安定した姿勢で歩行運動を行っている。患者は、時点t2において、バランスを崩している。患者は、時点t3から、バランスを持ち直しつつあり、姿勢を安定させ始めている。患者は、時点t4から、再び安定した姿勢で歩行運動を行っている。
図1の例では、情報処理装置100は、計測機101と通信することができる。計測機101は、計測対象uとなる生体の動きに関する計測情報を計測する。計測機101は、計測対象uとなる生体に装着される。計測機101は、例えば、患者に装着される。計測機101は、具体的には、患者の腰に装着され、上下加速度を計測する加速度センサを有するセンサ装置である。
(1−1)情報処理装置100は、計測機101から計測情報を取得する。計測情報は、例えば、計測機101の加速度センサが期間p1に計測した上下加速度を、時系列に並べた時系列データである。時系列データは、例えば、波形データである。
(1−2)情報処理装置100は、取得した計測情報に基づいて、患者によって所定の運動が行われた第1の運動期間と、患者によって所定の運動が行われた第2の運動期間とを検知する。第1の運動期間と第2の運動期間とは、例えば、患者によって歩行運動が行われた歩行期間である。第1の運動期間は、例えば、第2の運動期間より前である。
情報処理装置100は、例えば、期間p1のうち、時系列データに歩行運動に対応する特徴的なパターンが現れる時点t1〜t2までの歩行期間p1−beforeを検知する。また、情報処理装置100は、例えば、期間p1のうち、時系列データに歩行運動に対応する特徴的なパターンが現れる時点t4〜t5までの歩行期間p1−afterを検知する。
ここで、歩行期間p1−beforeと歩行期間p1−afterとの間にある、時点t2〜t4までの境界期間p1−centerのうち、時点t2〜t3までの前半期間p1−center−firstでは、患者がバランスを崩している。このため、その境界期間p1−centerは、運動期間として検知されづらい。
そこで、情報処理装置100は、境界期間p1−centerが、運動期間として検知されづらい場合でも、その境界期間p1−centerが、運動期間であるか否かを判定する処理をさらに実行することにより、運動期間を特定する精度の向上を図る。
(1−3)情報処理装置100は、取得した計測情報に基づいて、検知した第1の運動期間と第2の運動期間との間にある境界期間における、第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出する。
1以上の特徴量は、例えば、計測対象の加速度、角速度、位置、および地磁気の少なくともいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値の少なくともいずれかを含む。
図1の例では、情報処理装置100は、取得した計測情報に基づいて、検知した第1の運動期間と第2の運動期間との間にある境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出する。
第1の特徴量は、例えば、上下加速度のピーク振幅である。ピーク振幅は、例えば、極大値である。ピーク振幅は、例えば、極小値、または極大値と極小値の差分などであってもよい。第2の特徴量は、例えば、上下加速度のピーク間隔である。ピーク間隔は、例えば、極大値になった時点の間隔である。ピーク間隔は、例えば、極小値になった時点の間隔であってもよい。
情報処理装置100は、例えば、境界期間p1−centerにおける、歩行期間p1−beforeとの上下加速度のピーク振幅の非類似度と、歩行期間p1−afterとの上下加速度のピーク間隔の類似度とを算出する。
情報処理装置100は、具体的には、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク振幅の代表値と、歩行期間p1−beforeの上下加速度のピーク振幅の代表値との比率が大きいほど非類似度が大きくなるように、その非類似度を算出する。代表値は、例えば、最大値である。また、代表値は、例えば、平均値、中央値、最小値などであってもよい。
情報処理装置100は、具体的には、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク間隔の代表値と、歩行期間p1−afterの上下加速度のピーク間隔の代表値との比率が小さいほど類似度が大きくなるように、その類似度を算出する。代表値は、例えば、最大値である。また、代表値は、例えば、平均値、中央値、最小値などであってもよい。
ここで、境界期間に、歩行運動に関連する異常運動が行われた場合、その異常運動の種類によっては、例えば、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。このような異常運動は、例えば、患者が歩行運動中にふらつくなどして、バランスを崩すという例外的な運動である。
情報処理装置100は、この性質を利用し、非類似度と類似度とに基づいて、境界期間が、患者によって異常運動が行われた運動期間であるか否かを判定することが可能になる。以下の説明では、患者によって異常運動が行われた運動期間を「異常運動期間」と表記する場合がある。
例えば、患者がバランスを崩した場合、患者の身体のいずれかの部位の動きが速くなる傾向があり、さらにその後に強い衝撃を受ける傾向がある。例えば、患者が歩行運動中にバランスを崩した場合、その患者の足または腰の動きが速くなり、次に足が着地した際にその患者の足に床から反発を受ける傾向がある。他には、例えば、患者が立位維持運動中にバランスを崩した場合、その患者の手または腰の動きが速くなり、その患者の手が強く壁に付けられ、その患者の手が壁から反発を受けることがある。
このため、境界期間p1−centerは、患者がバランスを崩していれば、歩行期間p1−beforeに比べて、所定の特徴量、例えば上下加速度のピーク振幅に、高振幅かつ高周波な成分が含まれやすく、その特徴量の代表値が大きくなりやすい。特に、前半期間p1−center−firstに、患者がバランスを崩している可能性が大きく、前半期間p1−center−firstは、その特徴量に高振幅かつ高周波な成分が含まれやすくなる。
これにより、境界期間p1−centerに、患者がバランスを崩していると、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク振幅の代表値と、歩行期間p1−beforeの上下加速度のピーク振幅の代表値との非類似度は大きくなりやすい。したがって、非類似度は、境界期間p1−centerに、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさ、例えば、患者がバランスを崩した可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。
また、患者がバランスを崩した後、バランスを持ち直していく傾向がある。このとき、患者の身体のいずれかの部位の動きは、患者が慎重になるため、バランスを崩す前より遅くなりやすく、バランスを崩す前の動きに徐々に戻っていく傾向がある。
このため、境界期間p1−centerは、患者がバランスを崩した後、バランスを持ち直していくと、所定の特徴量、例えば上下加速度のピーク間隔の代表値が、歩行期間p1−afterと類似しやすくなる。特に、後半期間p1−center−latterに、患者がバランスを持ち直していく可能性が大きく、後半期間p1−center−latterは、所定の特徴量、例えば上下加速度のピーク間隔の代表値が、歩行期間p1−afterと類似しやすくなる。
これにより、境界期間p1−centerに、患者がバランスを持ち直していると、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク間隔の代表値と、歩行期間p1−afterの上下加速度のピーク間隔の代表値との類似度が大きくなりやすい。したがって、類似度は、境界期間p1−centerに、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさ、例えば、患者がバランスを崩した後、バランスを持ち直した可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。
(1−4)情報処理装置100は、算出した非類似度と類似度とに基づいて、境界期間が、患者によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定する。第3の運動期間は、異常運動期間である。第3の運動期間は、例えば、患者によって歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間である。第3の運動期間は、具体的には、患者が歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間である。
情報処理装置100は、例えば、非類似度と類似度とに基づいて、異常運動期間としての尤度を算出し、その尤度に基づいて、境界期間p1−centerが、異常運動期間であるか否かを判定する。
情報処理装置100は、具体的には、非類似度が大きいほど尤度が大きくなるように、かつ、類似度が大きいほど尤度が大きくなるように、尤度を算出する。そして、情報処理装置100は、算出した尤度が第1の閾値以上である場合、境界期間p1−centerが異常運動期間であると判定する。一方で、情報処理装置100は、算出した尤度が第1の閾値以上ではない場合、境界期間p1−centerが異常運動期間ではないと判定する。
また、情報処理装置100は、例えば、非類似度が第2の閾値以上であるか否かを判定した結果と、類似度が第3の閾値以上であるか否かを判定した結果とに基づいて、境界期間p1−centerが異常運動期間であるか否かを判定してもよい。
情報処理装置100は、具体的には、非類似度が第2の閾値以上であると判定し、かつ、類似度が第3の閾値以上であると判定した場合、境界期間p1−centerが異常運動期間であると判定する。一方で、情報処理装置100は、非類似度が第2の閾値以上ではないと判定した場合、または、類似度が第3の閾値以上ではないと判定した場合、境界期間p1−centerが異常運動期間ではないと判定する。
これにより、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われ、患者に装着された計測機101から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致するパターンが現れない期間があっても、その期間を異常運動期間であると判定することができる。また、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われていない期間を異常運動期間であると判定せず、運動期間が誤って特定されることを抑制することができる。このため、情報処理装置100は、異常運動期間を含む種々の運動期間を特定する精度の向上を図ることができる。
その後、情報処理装置100は、検知した運動期間、その運動期間における所定の特徴量、特定した異常運動期間、その異常運動期間における所定の特徴量、その異常運動期間に行われた異常運動の内容などを出力してもよい。情報処理装置100は、例えば、検知した運動期間、その運動期間における所定の特徴量、特定した異常運動期間、その異常運動期間における所定の特徴量などを、患者、または医師などの医療関係者に提供する。所定の特徴量は、例えば、生体の加速度、角速度、位置、および地磁気のいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値のいずれかである。
これにより、情報処理装置100は、医師などの医療関係者が、患者によって異常運動が行われた異常運動期間と、その異常運動期間における特徴量と、その異常運動の内容などに基づいて、患者の状態を精度よく把握できる。そして、情報処理装置100は、その医療関係者の業務を支援できる。また、情報処理装置100は、患者、または医師などの医療関係者が、患者の、ある疾病につながる可能性のある異常運動特徴を精度よく把握することを可能にする。結果として、情報処理装置100は、患者の健康管理などが効果的に行われるようにすることができる。
医療関係者は、例えば、患者の状態を定量化しやすくなる。また、医療関係者は、例えば、異常運動期間が特定されない場合に比べ、患者の状態を精度よく把握しやすくなる。医療関係者は、具体的には、従来のように異常運動期間が特定されない場合では、患者がバランスを崩していない運動期間だけを参照することになり、患者の体性感覚などの状態異常の有無を把握することが難しい。これに対し、医療関係者は、情報処理装置100から異常運動期間に関する情報を提供され、患者がバランスを崩した長さや頻度を把握し、患者の体性感覚などの状態異常の有無などを把握することができる。
ここでは、計測機101が、患者の腰に装着される場合について説明したが、これに限らない。例えば、計測機101が、患者の腰以外の部位に装着される場合があってもよい。具体的には、計測機101が、患者の手首や足首などに装着される場合があってもよい。
ここでは、計測機101が、患者に装着される場合について説明したが、これに限らない。例えば、計測機101が、患者が歩行する床に埋め込まれ、患者から床にかかる圧力を計測する場合があってもよい。また、例えば、計測機101が、患者を撮影可能な場所に設置され、患者を撮影した画像に基づいて、患者の動きに関する計測情報を計測する場合があってもよい。
ここでは、計測機101が、上下加速度を計測する場合について説明したが、これに限らない。例えば、計測機101が、左右方向の加速度を計測する場合があってもよい。また、例えば、計測機101が、前後方向の加速度を計測する場合があってもよい。また、例えば、計測機101が、上下加速度、左右方向の加速度、前後方向の加速度のうち、2つ以上の加速度を計測する場合があってもよい。また、計測信号の種類として、加速度のみに限らず、例えば角速度や地磁気、位置を計測する場合があってもよい。以下の説明では、左右方向の加速度を「左右加速度」と表記する場合がある。以下の説明では、前後方向の加速度を「前後加速度」と表記する場合がある。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の非類似度とを算出する場合があってもよい。この場合、情報処理装置100は、類似度が大きいほど尤度が小さくなるように、かつ、非類似度が大きいほど尤度が小さくなるように、尤度を算出する。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度を算出する場合について説明したが、これに限らない。上述したように、境界期間の前半期間において、高振幅かつ高周波な成分が含まれやすい傾向がある。したがって、例えば、情報処理装置100が、境界期間の前半期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度を算出する場合があってもよい。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間における、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度を算出する場合について説明したが、これに限らない。上述したように、境界期間の後半期間において、第2の特徴量が第2の運動期間と類似しやすい傾向がある。したがって、情報処理装置100が、境界期間の後半期間における、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度を算出する場合があってもよい。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間が、患者が歩行運動中にバランスを崩すという、1つの異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、境界期間が、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合があってもよい。この場合、情報処理装置100は、異常運動ごとに異なる第1の特徴量と第2の特徴量とを用いる。
複数の異常運動は、例えば、上述した歩行運動中にバランスを崩すという異常運動のほか、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動などを含む。
ここでは、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の類似度は大きくなりやすい性質がある、異常運動の種類について説明したが、これに限らない。
例えば、異常運動の種類によって、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。
また、例えば、異常運動の種類によって、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の非類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。
例えば、異常運動の種類によって、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の非類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。
例えば、歩行運動中において、一時的に頭痛が起こった故にバランスを崩し、その後に頭痛が回復した後は元の歩行に戻る場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、例えば、1歩あたりのステップ時間、すなわち着地の間隔は、前半期間と後半期間ともに、第1の運動期間と第2の運動期間と比べて大きくなるが、その違いは比較的微小である傾向がある。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量、第2の特徴量に共に、着地の間隔を用いることにより、このような異常運動の運動期間を判定することができる。情報処理装置100は、例えば、前半期間では第1の運動期間と比べ第1の特徴量は類似し、また後半期間においても第2の運動期間と比べ第2の特徴量は類似する場合、境界期間が、このような異常運動の運動期間であると判定することができる。
また、例えば、歩行運動中において、足が何物かに躓いた後、大きく崩れたバランスを立て直して、元の歩行に戻る場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、例えば、腰の加速度の振幅特徴は、躓いた直後、すなわち前半期間は第1の運動期間と比べて非類似になり、大きく崩れたバランスを立て直しているとき、すなわち後半期間においても第2の運動期間と比べて非類似になる傾向がある。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量、第2の特徴量に共に、腰の加速度の振幅を用いることにより、このような異常運動の運動期間を判定することができる。情報処理装置100は、例えば、前半期間では第1の運動期間と比べ第1の特徴量は非類似し、また後半期間においても第2の運動期間と比べ第2の特徴量は非類似する場合、境界期間が、このような異常運動の運動期間であると判定することができる。
また、例えば、片足で身体を支持する静止運動中において、一度僅かにバランスを崩すと、その後に、加速的にバランスを崩し、さらにその後に元の安定した姿勢に戻る場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、例えば、腰の加速度の振幅特徴は、第1の運動期間と前半期間、すなわち僅かにバランスを崩した直後の期間で類似するが、第2の運動期間と後半期間、すなわち加速的にバランスを崩している期間で非類似になる傾向がある。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量、第2の特徴量に共に、腰の加速度の振幅を用いることにより、このような異常運動の運動期間を判定することができる。情報処理装置100は、例えば、前半期間では第1の運動期間と比べ第1の特徴量は類似し、また後半期間では第2の運動期間と比べ第2の特徴量は非類似する場合、境界期間が、このような異常運動の運動期間であると判定することができる。このように、情報処理装置100は、境界期間が、様々な異常運動の運動期間のいずれであるかを特定することができる。
ここでは、主に、情報処理装置100が、第1の運動期間と前半期間との第1の特徴量を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100は、上述したように、第1の運動期間と前半期間との1以上の特徴量を用いてもよい。
例えば、横から押されて、僅かにふらついたが殆どそのまま歩き続けたような場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、前半期間では、第1の運動期間と比べ、横方向の腰加速度の振幅特徴は非類似になるが、着地の間隔は類似する傾向がある。そこで、情報処理装置100は、横方向の腰加速度の振幅特徴の非類似度、着地の間隔の類似度を用いることにより、判定精度を向上することができる。
ここでは、主に、情報処理装置100が、第2の運動期間と後半期間との第2の特徴量を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100は、上述したように、第2の運動期間と後半期間との1以上の特徴量を用いてもよい。
例えば、後ろから押されて、数歩ふらついた後に踏みとどまってそのまま歩き続けたような場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、後半期間では、第2の運動期間と比べ、上下方向の腰加速度の振幅特徴は非類似になるが、着地の間隔は類似する傾向がある。そこで、情報処理装置100は、上下方向の腰加速度の振幅特徴の非類似度と、着地の間隔とを用いることにより、判定精度を向上することができる。
ここでは、第1の運動期間と第2の運動期間が同じ運動が行われた運動期間である場合について説明したが、これに限らない。例えば、第1の運動期間と、第2の運動期間とは、それぞれ異なる運動が行われた運動期間であってもよい。
(情報処理システム200の一例)
次に、図2を用いて、図1に示した情報処理装置100を適用した、情報処理システム200の一例について説明する。
図2は、情報処理システム200の一例を示す説明図である。図2において、情報処理システム200は、情報処理装置100と、1以上の計測機101とを含む。情報処理システム200において、情報処理装置100と計測機101とは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。
情報処理装置100は、計測機101から計測情報を取得し、患者によって運動が行われた運動期間を検知し、患者によって異常運動が行われた異常運動期間を特定するコンピュータである。情報処理装置100は、例えば、サーバ、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末などである。
計測機101は、計測対象uとなる生体に装着されるコンピュータである。計測機101は、計測情報を計測し、情報処理装置100に送信する。計測機101は、例えば、図4に示すセンサ部を有し、そのセンサ部の計測値と、そのセンサ部の計測値が得られた計測時刻とを対応付けた時系列データを、計測情報として作成し、情報処理装置100に送信する。計測機101は、例えば、センサ装置である。計測機101は、例えば、スマートフォン、ウェアラブル端末などであってもよい。
ここでは、計測機101が、時系列データを作成する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、計測機101から、計測機101のセンサ部の計測値と、そのセンサ部の計測値が得られた計測時刻とを対応付けた対応情報を順次受信し、その対応情報をまとめた時系列データを作成する場合があってもよい。
ここでは、情報処理装置100と計測機101とが異なる装置である場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、計測機101と一体である場合があってもよい。ここでは、生体に、計測機101が1つ装着される場合について説明したが、これに限らない。例えば、生体に、複数の計測機101が装着される場合があってもよい。
情報処理システム200は、例えば、患者の状態を把握する遠隔見守りサービスや健康状態モニタリングを実現する場合に適用されたり、PHR(Personal Health Record)向けのサービスを実現する場合に適用されたりする。
(情報処理装置100のハードウェア構成例)
次に、図3を用いて、図2に示した情報処理システム200に含まれる情報処理装置100のハードウェア構成例について説明する。
図3は、情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ネットワークI/F(Interface)303と、記録媒体I/F304と、記録媒体305とを有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU301は、情報処理装置100の全体の制御を司る。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
ネットワークI/F303は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、ネットワークI/F303は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワークI/F303は、例えば、モデムやLANアダプタなどである。
記録媒体I/F304は、CPU301の制御にしたがって記録媒体305に対するデータのリード/ライトを制御する。記録媒体I/F304は、例えば、ディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)ポートなどである。記録媒体305は、記録媒体I/F304の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発メモリである。記録媒体305は、例えば、ディスク、半導体メモリ、USBメモリなどである。記録媒体305は、情報処理装置100から着脱可能であってもよい。
情報処理装置100は、上述した構成部のほか、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー、タッチパネルなどを有してもよい。また、情報処理装置100は、記録媒体I/F304や記録媒体305を有していなくてもよい。
(計測機101のハードウェア構成例)
次に、図4を用いて、図2に示した情報処理システム200に含まれる計測機101のハードウェア構成例について説明する。
図4は、計測機101のハードウェア構成例を示すブロック図である。図4において、計測機101は、CPU401と、メモリ402と、ネットワークI/F403と、センサ部404と、タイマー部405とを有する。また、各構成部は、バス400によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU401は、計測機101の全体の制御を司る。メモリ402は、例えば、ROM、RAMおよびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU401のワークエリアとして使用される。メモリ402に記憶されるプログラムは、CPU401にロードされることで、コーディングされている処理をCPU401に実行させる。
ネットワークI/F403は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、ネットワークI/F403は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワークI/F403は、例えば、Wi−Fi(登録商標)に対応する通信回路、Bluetooth(登録商標)に対応する通信回路などである。ネットワークI/F403は、例えば、3G(3rd Generation)に対応する通信回路であってもよい。
センサ部404は、計測機101の状態を計測する。センサ部404は、例えば、計測機101の位置、動き、および向きのうち少なくともいずれかを計測する。センサ部404は、具体的には、加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサ、光センサ、振動センサなどの少なくともいずれかを有する。また、センサ部404は、GPS(Global Positioning Systems)受信機を有し、計測機101のGPS座標を検出してもよい。タイマー部405は、現在の時刻を計測する。
計測機101は、上述した構成部のほか、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー、タッチパネルなどを有してもよい。また、計測機101は、上述した構成部のほか、記録媒体I/Fや記録媒体を有してもよい。この記録媒体は、計測機101から着脱可能であってもよい。
(情報処理装置100の機能的構成例)
次に、図5を用いて、情報処理装置100の機能的構成例について説明する。
図5は、情報処理装置100の機能的構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、記憶部500と、取得部501と、検知部502と、算出部503と、判定部504と、出力部505とを含む。
記憶部500は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域によって実現される。取得部501〜出力部505は、制御部となる機能である。取得部501〜出力部505は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、ネットワークI/F303により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶される。
記憶部500は、複数の運動のそれぞれの運動の検知パターンを記憶する。運動は、例えば、歩行運動、立位維持運動、階段昇降運動、サイクリング運動などである。運動の検知パターンは、例えば、その運動が行われた運動期間を検知する検知条件を規定する。検知条件は、例えば、所定の特徴量について特徴的なパターンが現れることを条件として示す。検知条件は、具体的には、3軸の加速度から抽出される上下振動成分についてゼロクロス点が周期的に出現するという特徴的なパターンが現れることを条件として示す。これにより、記憶部500は、それぞれの運動に対応する検知パターンを検知部502が参照可能にすることができる。
記憶部500は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動の判定パターンを記憶する。複数の異常運動は、例えば、生体が歩行運動中にバランスを崩すという異常運動、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動などである。異常運動の判定パターンは、例えば、その異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する判定条件を規定する。また、異常運動の判定パターンは、例えば、判定条件に用いられる第1の特徴量と第2の特徴量とを規定する。判定条件は、例えば、第1の特徴量と第2の特徴量とに基づき算出した異常運動期間としての尤度が閾値以上であることを条件として示す。
第1の特徴量は、例えば、生体の合成加速度の分散値である。第1の特徴量は、例えば、生体の上下加速度のピーク振幅である。第1の特徴量は、例えば、生体の前後加速度のピーク振幅である。第1の特徴量は、生体の左右加速度のピーク振幅である。第2の特徴量は、例えば、生体の合成加速度の分散値である。第2の特徴量は、例えば、生体の上下加速度のピーク間隔である。第2の特徴量は、例えば、生体の前後加速度のピーク間隔である。第2の特徴量は、生体の左右加速度の分散値である。これにより、記憶部500は、それぞれの異常運動に対応する判定パターンを判定部504が参照可能にすることができる。
記憶部500は、生体の動きに関する計測情報を記憶する。記憶部500は、例えば、計測機101のセンサ部の計測値と、その計測値が得られた計測時刻とを対応付けて、時系列に並べた時系列データを記憶する。計測値は、例えば、上下加速度、左右加速度、前後加速度の少なくともいずれかである。計測値は、例えば、角速度、振動の大きさ、位置などであってもよい。これにより、記憶部500は、生体によって運動が行われた運動期間を検知するために、その生体についての時系列データを検知部502が参照可能にすることができる。また、記憶部500は、生体についての時系列データを算出部503が参照可能にすることができる。
取得部501は、計測情報を取得する。取得部501は、例えば、計測機101が作成した計測情報として、その計測機101のセンサ部の計測値と、その計測値が得られた計測時刻とを対応付けた時系列データを、計測機101から受信して記憶部500に記憶する。取得部501は、例えば、計測機101のセンサ部の計測値と、その計測値が得られた計測時刻とを対応付けた対応情報を計測機101から順次受信し、その対応情報をまとめた時系列データを作成して記憶部500に記憶してもよい。これにより、取得部501は、生体についての時系列データを検知部502や算出部503が参照可能なように、記憶部500に記憶することができる。
検知部502は、取得部501が取得した計測情報に基づいて、生体によって運動が行われた運動期間を検知する。検知部502は、例えば、記憶部500に記憶された検知パターンを参照し、検知条件を満たす複数の期間のそれぞれの期間を、運動期間として検知する。検知部502は、具体的には、3軸の加速度から抽出される上下振動成分についてゼロクロス点が周期的に出現する特徴的なパターンが現れる複数の期間のそれぞれの期間を、運動期間として検知する。これにより、検知部502は、境界期間を特定する際に用いられる運動期間を、算出部503に通知することができる。
算出部503は、検知部502が検知した複数の運動期間から、第1の運動期間と第2の運動期間とを選択し、第1の運動期間と第2の運動期間との間にある境界期間を特定する。第1の運動期間は、例えば、第2の運動期間より前である。第1の運動期間と第2の運動期間とは、第1の運動期間と第2の運動期間との間に他の運動期間を挟まないことが好ましい。これにより、算出部503は、異常運動期間である可能性がある境界期間を特定することができる。
次に、算出部503は、取得部501が取得した計測情報に基づいて、特定した境界期間における、第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出する。
1以上の特徴量は、例えば、計測対象の加速度、角速度、位置、および地磁気の少なくともいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値の少なくともいずれかを含む。これにより、算出部503は、例えば、加速度に加えて、角速度、位置、地磁気などを利用することができ、ピーク振幅やピーク間隔に加えて、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、分散値などを利用することができる。
算出部503は、取得部501が取得した計測情報に基づいて、特定した境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出してもよい。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第1の特徴量を特定し、境界期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、境界期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値との比率が大きいほど、非類似度が大きくなるように、非類似度を算出する。算出部503は、境界期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値との比率が1に近いほど、非類似度が小さくなるように、非類似度を算出してもよい。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出することができる。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第2の特徴量を特定し、境界期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、境界期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値との比率が小さいほど、類似度が大きくなるように、類似度を算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出することができる。
また、算出部503は、境界期間の前半期間と第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、境界期間の後半期間と第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出してもよい。境界期間の前半期間と後半期間とは、その境界期間を2分割した前半部分と後半部分とである。境界期間の前半期間と後半期間とは、例えば、その境界期間を2等分割した前半部分と後半部分とであってもよい。
算出部503は、例えば、境界期間を前半期間と後半期間とに分割する分割時点の複数の候補時点のうち、前半期間と後半期間との第3の特徴量の比率が最大になる候補時点を用いて境界期間を2分割する。第3の特徴量は、例えば、上下加速度の分散値である。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第1の特徴量を特定し、前半期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、前半期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値との比率が大きいほど、非類似度が大きくなるように、非類似度を算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第2の特徴量を特定し、後半期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、後半期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値との比率が小さいほど、類似度が大きくなるように、類似度を算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、第1の運動期間から前半期間までの第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いを示す値を算出し、その値が大きいほど非類似度の値が大きくなるように、非類似度を算出してもよい。所定方向は、例えば、増加方向である。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、後半期間から第2の運動期間までの第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いを示す値を算出し、その値が大きいほど類似度の値が大きくなるように、類似度を算出してもよい。所定方向は、例えば、減少方向である。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、境界期間において第1の特徴量が所定値を超えた回数が多いほど、非類似度の値が大きくなるように、非類似度を算出してもよい。所定値は、第1の運動期間における第1の特徴量の代表値に基づいて設定される。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
そして、算出部503は、第3の運動期間としての尤度を算出する。第3の運動期間は、異常運動期間である。第3の運動期間は、例えば、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動である。算出部503は、例えば、非類似度が大きいほど尤度が大きくなり、類似度が大きいほど尤度が大きくなるように算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさに対応する尤度を算出することができる。
算出部503は、例えば、第1の運動期間と第2の運動期間とにおける、第1の特徴量または第2の特徴量の代表値の差分に基づいて、尤度を算出してもよい。算出部503は、具体的には、第1の運動期間における第1の特徴量の代表値が、第2の運動期間における第1の特徴量の代表値よりも大きいほど、尤度が大きくなるように、尤度を算出する。これにより、算出部503は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、境界期間の一部期間における、第1の運動期間に行われた運動や第2の運動期間に行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値に基づいて、尤度を算出してもよい。算出部503は、具体的には、指標値が大きいほど、尤度が小さくなるように、尤度を算出する。これにより、算出部503は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、境界期間の長さに基づいて、尤度を算出してもよい。算出部503は、具体的には、境界期間が長いほど、尤度が小さくなるように、尤度を算出してもよい。これにより、算出部503は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
判定部504は、算出部503が算出した結果に基づいて、特定した境界期間が、生体によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定する。これにより、判定部504は、動作特徴量として、加速度に加えて、または加速度に代えて、角速度、位置、地磁気などを利用して、第3の運動期間であるか否かを判定することができる。
例えば、歩行運動中にバランスを崩したときに足の捻りを伴った場合には、上半身または下半身に異常な回転運動が現れる傾向がある。この場合に、判定部504は、角速度の振幅を用いることで、判定精度を高めることができる。また、例えば、バランスを崩したときに歩幅が顕著に乱れる場合があり得る。この場合に、判定部504は、位置情報から算出される1歩ごとの歩幅を用いることで、判定精度を高めることができる。
また、判定部504は、時間的特徴量として、ピーク振幅やピーク間隔に加えて、またはピーク振幅やピーク間隔に代えて、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、分散値などを利用して、第3の運動期間であるか否かを判定することができる。
例えば、歩行運動中にバランスを崩したときに足の引きずりを伴った場合には、1歩あたりに加速度のピークが複数発生し得る。この場合に、判定部504は、時間的特徴量として加速度のピーク間隔を用いても、着地間隔を評価することが難しい。そこで、判定部504は、加速度のピーク間隔の代わりに、加速度から抽出される上下振動成分のゼロクロス点の間隔を用いることで、着地間隔を精度よく評価することができる。そして、判定部504は、着地間隔を評価した結果に基づいて、判定精度を高めることができる。
また、例えば、歩行運動中にバランスを崩したときに上半身動揺を伴った場合には、着地時点の間の腰加速度がばらつく傾向がある。この場合に、判定部504は、動作特徴量として加速度ピークの振幅を用いても、上半身動揺を評価することが難しい。そこで、判定部504は、加速度ピークの振幅の代わりに、ピーク点の間の加速度の分散値を用いることで上半身動揺を精度よく評価することができる。そして、判定部504は、上半身動揺を評価した結果に基づいて、判定精度を高めることができる。
判定部504は、算出部503が算出した非類似度と類似度とに基づいて、特定した境界期間が、生体によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定してもよい。判定部504は、例えば、尤度が閾値以上である場合に、境界期間が第3の運動期間であると判定する。判定部504は、具体的には、尤度が閾値以上である場合に、境界期間が異常運動期間であると判定する。これにより、判定部504は、境界期間が異常運動期間であり、生体の運動期間に含まれるか否かを判定することができる。
出力部505は、算出部503が算出した非類似度や類似度、算出部503が算出した尤度、判定部504が判定した結果などを出力する。出力部505は、第3の運動期間であると判定された境界期間に対応付けて、境界期間の一部期間における第1の運動期間と第2の運動期間とに行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値、第1の運動期間から境界期間の前半期間までの第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いの大きさ、境界期間の後半期間から第2の運動期間までの第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いの大きさ、および境界期間において第1の特徴量が所定値を超えた回数の少なくともいずれかを出力してもよい。
出力形式は、例えば、ディスプレイへの表示、プリンタへの印刷出力、ネットワークI/F303による外部装置への送信、または、メモリ302や記録媒体305などの記憶領域への記憶などである。これにより、出力部505は、算出部503が算出した非類似度や類似度、算出部503が算出した尤度、判定部504が判定した結果などを、患者、または医師などの医療関係者に提供することができる。
出力部505は、検知部502が検知した第1の運動期間や第2の運動期間についての情報を出力してもよい。出力部505は、例えば、第1の運動期間の長さ、第2の運動期間の長さなどを出力する。出力部505は、例えば、第1の運動期間における所定の特徴量の代表値、第2の運動期間における所定の特徴量の代表値などを出力する。所定の特徴量は、例えば、生体の加速度、角速度、位置、および地磁気のいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値のいずれかである。所定の特徴量は、例えば、上下加速度のピーク振幅、上下加速度のピーク間隔、上下加速度の分散値などである。これにより、出力部505は、運動期間についての情報を、患者、または医師などの医療関係者に提供することができる。
出力部505は、判定部504によって第3の運動期間であると判定された境界期間についての情報を出力してもよい。出力部505は、例えば、異常運動期間の長さを出力する。出力部505は、例えば、異常運動期間における第1の特徴量の代表値や第2の特徴量の代表値を出力する。出力部505は、例えば、第1の運動期間から異常運動期間までの第1の特徴量の変化率や単調変化率、異常運動期間から第2の運動期間までの第2の特徴量の変化率や単調変化率などを出力する。変化率は、例えば、2つの期間の特徴量の平均値の比率である。単調変化率は、例えば、2つの期間の特徴量の変化を示す近似直線の傾きである。これにより、出力部505は、異常運動期間についての情報を、患者、または医師などの医療関係者に提供することができる。
(情報処理装置100の動作の流れの一例)
次に、図6〜図9を用いて、情報処理装置100の動作の流れの一例について説明する。
図6は、情報処理装置100が取得する時系列データ600の一例を示す説明図である。図6の例では、計測機101は、患者の腰に装着される。計測機101は、センサ部404を用いて、上下加速度、左右加速度、前後加速度を計測する。計測機101は、タイマー部405を用いて、計測した上下加速度、左右加速度、前後加速度を、それらの加速度を計測した時点に対応付けて蓄積する。
計測機101は、一定期間、計測した上下加速度、左右加速度、前後加速度を、それらの加速度を計測した時点に対応付けて蓄積した結果、図6に示した時系列データ600を作成することができる。計測機101は、図6に示した時系列データ600を作成すると、その時系列データ600を、情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、図6に示した時系列データ600を、計測機101から受信する。次に、図7の説明に移行する。
図7は、情報処理装置100が歩行期間を検知する一例を示す説明図である。図7において、情報処理装置100は、図6に示した時系列データ600において、上下加速度、左右加速度、または前後加速度について、これらから抽出される上下振動成分のゼロクロス点が周期的に出現する特徴的なパターンが現れている歩行期間701〜704を検知する。歩行期間の検知は、例えば、特開2008−171347号公報などを参照することができる。次に、図8の説明に移行する。
図8は、情報処理装置100が境界期間を特定する一例を示す説明図である。図8において、情報処理装置100は、特定した歩行期間701〜704の2つに挟まれた境界期間801〜803を、異常運動期間である可能性がある期間として特定する。情報処理装置100は、境界期間801〜803に、それぞれ、境界期間番号「No1〜No3」を割り当てておく。次に、図9の説明に移行する。
図9は、情報処理装置100が異常運動期間であるか否かを判定する一例を示す説明図である。図9において、情報処理装置100は、特定した境界期間801〜803について、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出し、その尤度に基づいて境界期間801〜803が異常運動期間であるか否かを判定する。
尤度を算出する具体例については、図10〜図33を用いて後述する。情報処理装置100は、算出した尤度や判定した結果を、図9に示した判定情報テーブル900に記憶する。
判定情報テーブル900は、例えば、図3に示した情報処理装置100のメモリ302や記録媒体305などの記憶領域により実現される。判定情報テーブル900は、境界期間番号と、異常運動期間の尤度と、判定結果とのフィールドを有する。判定情報テーブル900は、境界期間ごとに各フィールドに情報を設定することにより、判定情報がレコードとして記憶される。
境界期間番号のフィールドは、異常運動期間であるか否かを判定する対象になる境界期間に割り当てられた境界期間番号が設定される。異常運動期間の尤度のフィールドは、その境界期間について算出した、複数の異常運動のいずれかの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度が設定される。判定結果のフィールドは、尤度が閾値以上であるか否かが設定される。判定結果は、例えば、「○」であれば、尤度が閾値以上であることを示し、異常運動期間であると判定したことを示す。
図9の例では、情報処理装置100は、境界期間801の異常運動期間としての尤度「0.89」を算出する。情報処理装置100は、算出した尤度「0.89」を閾値「0.5」と比較する。情報処理装置100は、閾値以上であるため、境界期間801を異常運動期間であると判定する。このため、情報処理装置100は、境界期間801について、境界期間番号「No1」と、異常運動期間の尤度「0.89」と、判定結果「○」とを対応付けたレコードを作成し、判定情報テーブル900に記憶する。
情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出し、境界期間801が、複数の異常運動のいずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを判定してもよい。これにより、情報処理装置100は、それぞれの異常運動が行われた異常運動期間を特定する精度の向上を図ることができる。
ここで、例えば、患者によって立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰のいずれかの方向の加速度に急変化が生じると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることが好ましい。また、情報処理装置100は、この場合、第2の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることが好ましい。
また、例えば、患者によって階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰の上下加速度に急変化が生じると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク振幅を用いることが好ましい。また、情報処理装置100は、この場合、第2の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク間隔を用いることが好ましい。
また、例えば、患者によって歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰の上下加速度に急変化が生じたり、患者の腰の前後加速度に急変化が生じたりすると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク振幅を用いてもよい。また、情報処理装置100は、この場合、第2の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク間隔を用いてもよい。
また、例えば、患者によってサイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰の左右加速度に急変化が生じると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の左右方向の加速度のピーク振幅を用いることが好ましい。情報処理装置100は、第2の特徴量に、生体の左右方向の加速度の分散値を用いることが好ましい。
情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する際、それぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を比較することができる。このため、情報処理装置100は、複数の異常運動のいずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを判定することができる。
情報処理装置100は、境界期間801の前後の運動期間で行われた運動に基づき、境界期間801が、その運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定してもよい。これにより、情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出する場合に比べて、処理量を低減することができる。
(情報処理装置100が尤度を算出する具体例)
次に、図10〜図26を用いて、情報処理装置100が尤度を算出する具体例について説明する。
図10は、尤度を算出する対象になる境界期間の一例を示す説明図である。図10のグラフ1000は、時刻ごとに、その時刻の上下加速度を示したグラフであり、上下加速度の時系列データに対応する。図10のグラフ1000の横軸は時刻である。図10のグラフ1000の縦軸は上下加速度である。上下加速度は、正の値であれば上方向の加速度であり、負の値であれば下方向の加速度である。
図10のグラフ1000の前側には、前歩行期間1010が検知されている。同様に、図10のグラフ1000の後側には、後歩行期間1020が検知されている。また、図10のグラフ1000の中央には、検知された前歩行期間1010と後歩行期間1020とに挟まれた境界期間1030が特定されている。情報処理装置100は、この境界期間1030を、尤度を算出する対象として選択する。
ここで、境界期間1030において、もし患者が異常運動を行っていれば、境界期間1030の前側で、患者の身体のいずれかの部位の動きが速くなり、その部位の上下加速度のピーク振幅の代表値が大きくなりやすいという性質がある。この性質によれば、境界期間1030と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。特に、境界期間1030の前半期間1031と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準の一つになりうる。
また、境界期間1030において、もし患者が異常運動を行っていれば、境界期間1030の後側で、患者が異常運動を行う前の動きに徐々に戻っていく傾向があり、患者の身体のいずれかの部位の動きは遅くなりやすいという性質がある。この性質によれば、境界期間1030と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。特に、境界期間1030の後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準の一つになりうる。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度と第2の特徴量の類似度とを算出する前には、境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割することが好ましい。境界期間1030を分割する具体例については、図11を用いて後述する。
そして、情報処理装置100は、その前半期間1031と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度と、その後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度とを算出する。第1の特徴量の非類似度を算出する具体例については、図12〜図17を用いて後述する。第2の特徴量の類似度を算出する具体例については、図18〜図21を用いて後述する。
これにより、情報処理装置100は、算出する第1の特徴量の非類似度や第2の特徴量の類似度が、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準になるようにすることができる。このため、情報処理装置100は、その基準に基づいて、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
図11は、情報処理装置100が境界期間1030を分割する具体例を示す説明図である。図11において、情報処理装置100は、境界期間1030の長さに合わせて、その境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割する分割時点について、N個の候補時点T1、T2・・・Tnを用意する。
情報処理装置100は、用意したN個の候補時点T1、T2・・・Tnのうち前半期間1031と後半期間1032との第3の特徴量の比率が最大になる候補時点を選択する。情報処理装置100は、具体的には、前半期間1031と後半期間1032との上下加速度の分散値の比率が最大になる候補時点を選択する。
そして、情報処理装置100は、選択した候補時点で境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割する。これにより、情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度や第2の特徴量の類似度が、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準になるように、境界期間1030を分割することができる。
〈第1の特徴量の非類似度を算出する具体例〉
図12〜図14は、第1の特徴量の非類似度を算出する第1の例を示す説明図である。ここで、情報処理装置100は、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動の判定パターンを参照し、第1の特徴量として上下加速度のピーク振幅を用いることにする。
図12において、情報処理装置100は、前歩行期間1010の上下加速度のピークを検出し、前歩行期間1010の上下加速度のピーク振幅1201〜1203を算出する。ピークは、上下加速度が極大または極小になった時点である。ピーク振幅1201〜1203は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3が割り当てられ、値が3.2と2.8と2.9とである。
また、情報処理装置100は、前半期間1031の上下加速度のピークを検出し、前半期間1031の上下加速度のピーク振幅1204,1205を算出する。ピーク振幅1204,1205は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1,2が割り当てられ、値が7.4と1.6とである。これにより、情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度を算出する準備を行うことができる。次に、図13の説明に移行する。
図13のグラフ1300は、前歩行期間1010の上下加速度のピーク振幅1201〜1203の最大値と、前半期間1031の上下加速度のピーク振幅1204,1205の最大値との比率に対する、ピーク振幅の非類似度を示したグラフである。図13のグラフ1300は、下記式(1)によって示される。
ここで、xは、前歩行期間1010と前半期間1031との第1の特徴量の代表値の比率である。xは、例えば、前歩行期間1010と前半期間1031とのピーク振幅の最大値の比率である。f(x)は、前歩行期間1010と前半期間1031との第1の特徴量の非類似度である。α1,α2は、関数の形状を決めるパラメータである。α1は、負である。情報処理装置100は、図13のグラフ1300を用いることによりピーク振幅の非類似度を算出可能になる。次に、図14の説明に移行する。
図14において、情報処理装置100は、前歩行期間1010の上下加速度のピーク振幅の最大値3.2と、前半期間1031の上下加速度のピーク振幅の最大値7.4との比率2.3を算出し、上記式(1)に代入する。情報処理装置100は、上記式(1)によって、非類似度0.87を算出して記憶する。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
図15は、第1の特徴量の非類似度を算出する第2の例を示す説明図である。図15のグラフ1500は、時刻ごとに、その時刻の第1の特徴量を示したグラフである。図15のグラフ1500の横軸は時刻である。図15のグラフ1500の縦軸は第1の特徴量であり、例えば、上下加速度のピーク振幅である。図15のグラフ1500上で、それぞれの時刻での第1の特徴量は「○」を用いて示される。
ここで、境界期間の前半期間において、もし患者が異常運動を行っていれば、前歩行期間から前半期間にかけて、患者の身体のいずれかの部位の上下加速度のピーク振幅が大きくなっていく傾向がある。このため、前歩行期間と前半期間との上下加速度のピーク振幅が類似しにくいという性質がある。この性質によれば、前半期間と前歩行期間との第1の特徴量の非類似度は、前歩行期間から前半期間までの上下加速度のピーク振幅の増加度合いによっても表現可能である。
このため、情報処理装置100は、前歩行期間1501から前半期間1502までの第1の特徴量の単調増加の度合いを示す値を、前歩行期間1501と前半期間1502との第1の特徴量の非類似度として算出する。情報処理装置100は、例えば、前歩行期間1501から前半期間1502までの上下加速度のピーク振幅の近似直線1510の傾きを、前歩行期間1501と前半期間1502との上下加速度のピーク振幅の非類似度として算出する。これにより、情報処理装置100は、境界期間に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
ここで、境界期間の前半期間において、患者が異常運動を開始した直後までは、患者の身体のいずれかの部位の上下加速度のピーク振幅が大きくなるが、患者が異常運動を開始した直後よりも後には小さくなってしまう可能性がある。これによれば、前半期間と前歩行期間との第1の特徴量の非類似度は、前歩行期間から、前半期間のうち上下加速度のピーク振幅が最大になった時点までの、上下加速度のピーク振幅の増加度合いによって表現することが好ましい場合がある。
このため、情報処理装置100は、前半期間1502において上下加速度のピーク振幅が最大になった後にあるピーク振幅を、近似直線1510を求める際に用いないようにしてもよい。情報処理装置100は、例えば、ピーク振幅1520を用いないようにする。これにより、情報処理装置100は、境界期間に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つをより精度よく算出することができる。
図16は、第1の特徴量の非類似度を算出する第1の例と第2の例とを使い分ける一例を示す説明図である。情報処理装置100は、例えば、前歩行期間の長さに応じて、第1の特徴量の非類似度を算出する、上述した第1の例と第2の例とを使い分ける場合があってもよい。
情報処理装置100は、具体的には、患者、または医師などの医療関係者によって設定された、前歩行期間について推定される長さに応じて、第1の例と第2の例とのいずれかを用いるようにする。また、情報処理装置100は、具体的には、検知した前歩行期間の長さに応じて、第1の例と第2の例とを使い分けてもよい。
ここで、図16のグラフ1610のように、前半期間1612に比べて前歩行期間1611の長さが比較的短い場合がある。この場合には、前歩行期間1611の第1の特徴量にも異常運動が開始された影響が現れやすい傾向があり、第1の特徴量が単調増加しやすい傾向があると考えられる。このため、情報処理装置100は、前歩行期間1611の長さが比較的短い場合には、上述した第2の例を用いることが好ましく、非類似度として近似直線1620の傾きを算出することが好ましい。これにより、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つをより精度よく算出することができる。
一方で、図16のグラフ1630のように、前半期間1632に比べて前歩行期間1631の長さが比較的長い場合がある。この場合には、前歩行期間1631の第1の特徴量には異常運動が開始された影響が現れにくい傾向があり、第1の特徴量が単調増加しにくい傾向があると考えられる。このため、情報処理装置100は、前歩行期間1631の長さが比較的長い場合には、上述した第1の例を用いることが好ましい。これにより、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つをより精度よく算出することができる。
図17は、第1の特徴量の非類似度を算出する第3の例を示す説明図である。図17の例では、図10のグラフ1000とは異なるグラフを用いる。図17のグラフ1700は、時刻ごとに、その時刻の上下加速度を示したグラフであり、上下加速度の時系列データに対応する。図17のグラフ1700の横軸は時刻である。図17のグラフ1700の縦軸は上下加速度である。
図17のグラフ1700の前側には、前歩行期間1710が検知されている。同様に、図17のグラフ1700の後側には、後歩行期間1720が検知されている。また、図17のグラフ1700の中央には、検知された前歩行期間1710と後歩行期間1720とに挟まれた境界期間1730が特定されている。情報処理装置100は、この境界期間1730を、尤度を算出する対象として選択する。
ここで、境界期間1730において、もし患者が異常運動を行っていれば、境界期間1730の上下加速度のピーク振幅は、前歩行期間1710の上下加速度のピーク振幅よりも大きくなりやすいという性質がある。この性質によれば、境界期間1730と前歩行期間1710との第1の特徴量の非類似度は、境界期間1730の上下加速度のピーク振幅のうち、前歩行期間1710の上下加速度のピーク振幅に基づく閾値以上であるピーク振幅の数によっても表現可能である。
このため、情報処理装置100は、前歩行期間1710の上下加速度のピーク振幅の平均値4.0を閾値となる所定値Fthとして算出する。情報処理装置100は、境界期間1730の上下加速度のピーク振幅1731〜1733などを算出する。ピーク振幅1731〜1733などは、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3などが割り当てられ、値が5.4と6.8と7.0となどである。
情報処理装置100は、算出した境界期間1730の上下加速度のピーク振幅のうち、所定値Fth以上であるピーク振幅が連続した回数を算出する。情報処理装置100は、連続した回数、または連続した回数に基づく値を、前歩行期間1710と境界期間1730との上下加速度のピーク振幅の非類似度として算出して記憶する。これにより、情報処理装置100は、境界期間1730に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得することができる。
情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度を算出する、上述した第1の例と第2の例と第3の例との少なくとも2以上の例を組み合わせて、第1の特徴量の非類似度を算出する場合があってもよい。
〈第2の特徴量の類似度を算出する具体例〉
図18〜図20は、第2の特徴量の類似度を算出する第1の例を示す説明図である。ここで、情報処理装置100は、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動の判定パターンを参照し、第2の特徴量として上下加速度のピーク間隔を用いることにする。
図18において、情報処理装置100は、後半期間1032の上下加速度のピーク間隔1801〜1803を算出する。ピーク間隔1801〜1803は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3が割り当てられ、値が0.85と0.68と0.65とである。
また、情報処理装置100は、後歩行期間1020の上下加速度のピーク間隔1804〜1806を算出する。ピーク間隔1804〜1806は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3が割り当てられ、値が0.65と0.63と0.61とである。これにより、情報処理装置100は、第2の特徴量の類似度を算出する準備を行うことができる。次に、図19の説明に移行する。
図19のグラフ1900は、後半期間1032の上下加速度のピーク間隔1801〜1803の最大値と、後歩行期間1020の上下加速度のピーク間隔1804〜1806の最大値との比率に対する、ピーク間隔の類似度を示したグラフである。図19のグラフ1900は、下記式(2)によって示される。
ここで、xは、後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の代表値の比率である。xは、例えば、後半期間1032と後歩行期間1020とのピーク間隔の最大値の比率である。g(x)は、後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度である。β1,β2は、関数の形状を決めるパラメータである。β1は、正である。情報処理装置100は、図19のグラフ1900を用いることによりピーク間隔の類似度を算出可能になる。次に、図20の説明に移行する。
図20において、情報処理装置100は、後半期間1032の上下加速度のピーク間隔の最大値0.63と、後歩行期間1020の上下加速度のピーク間隔の最大値0.73との比率0.86を算出し、上記式(2)に代入する。情報処理装置100は、上記式(2)によって、類似度0.78を算出して記憶する。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
図21は、第2の特徴量の類似度を算出する第2の例を示す説明図である。図21のグラフ2100は、時刻ごとに、その時刻の第2の特徴量を示したグラフである。図21のグラフ2100の横軸は時刻である。図21のグラフ2100の縦軸は第2の特徴量であり、例えば、上下加速度のピーク間隔である。図21のグラフ2100上で、それぞれの時刻での第2の特徴量は「○」を用いて示される。
ここで、境界期間の後半期間において、もし患者が異常運動から徐々に復帰していれば、後半期間から後歩行期間にかけて、患者の身体のいずれかの部位の上下加速度のピーク間隔が徐々に大きい値から小さい値に安定していく性質がある。このため、後半期間と後歩行期間との上下加速度のピーク間隔が類似しやすいという性質がある。この性質によれば、後半期間と後歩行期間との第2の特徴量の類似度は、後半期間から後歩行期間までの上下加速度のピーク間隔の減少度合いによっても表現可能である。
このため、情報処理装置100は、後半期間2101から後歩行期間2102までの第2の特徴量の単調減少の度合いを示す値を、後半期間2101と後歩行期間2102との第2の特徴量の類似度として算出する。情報処理装置100は、例えば、後半期間2101から後歩行期間2102までの上下加速度のピーク間隔の近似直線2110の傾きを、後歩行期間2102と後半期間2101との上下加速度のピーク間隔の類似度として算出する。これにより、情報処理装置100は、境界期間に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
〈尤度を算出する具体例〉
次に、情報処理装置100が、算出した第1の特徴量の非類似度や第2の特徴量の類似度に基づいて、境界期間1030について、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出する第1の例について説明する。
情報処理装置100は、例えば、第1の特徴量の非類似度D1と、第2の特徴量の類似度D2とを乗算した値を、尤度として算出する。これにより、情報処理装置100は、非類似度D1が大きいほど尤度が大きくなり、かつ、類似度D2が大きいほど尤度が大きくなるように、尤度を算出することができる。そして、情報処理装置100は、異常運動期間としての尤もらしさを評価することができる。次に、図22の説明に移行する。
図22および図23は、尤度を算出する第2の例を示す説明図である。ここで、患者は、境界期間1030に異常運動を行ってしまうと、後歩行期間1020では、前歩行期間1010よりも慎重に運動を行う傾向がある。このため、前歩行期間1010と後歩行期間1020との第1の特徴量または第2の特徴量の代表値の差分は、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。
ここで、具体的には、患者が慎重に運動を行うと、患者の動きは遅くなり、患者の歩幅は大きめになることが考えられる。このため、具体的には、患者が慎重に運動を行うと、ピーク振幅は小さくなり、ピーク間隔は大きくなることが考えられる。
図22において、情報処理装置100は、前歩行期間1010のピーク振幅2201とピーク間隔2202とを算出する。また、情報処理装置100は、後歩行期間1020のピーク振幅2203とピーク間隔2204とを算出する。
情報処理装置100は、前歩行期間1010のピーク振幅2201と、後歩行期間1020のピーク振幅2203との差分を算出する。また、情報処理装置100は、前歩行期間1010のピーク間隔2202と、後歩行期間1020のピーク間隔2204との差分を算出する。そして、情報処理装置100は、算出した差分に基づいて下記式(3)により尤度を算出する。
ここで、wAは、算出した差分に基づいて設定される重みである。wAを設定する具体例については、図23を用いて後述する。D1は、第1の特徴量の非類似度である。D2は、第2の特徴量の類似度である。次に、図23の説明に移行する。
図23のグラフ2300は、算出した差分に対する重みを示したグラフである。図23のグラフ2300は、下記式(4)によって示される。
ここで、rは、算出した比率である。λ1,λ2は、関数の形状を決めるパラメータである。λ1は、負である。情報処理装置100は、図23のグラフ2300を用いて、算出した比率に対応する重みwAを設定し、尤度を算出する。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
図24は、尤度を算出する第3の例を示す説明図である。図24の例では、図10のグラフ1000とは異なるグラフを用いる。図24のグラフ2400は、時刻ごとに、その時刻の上下加速度を示したグラフであり、上下加速度の時系列データに対応する。図24のグラフ2400の横軸は時刻である。図24のグラフ2400の縦軸は上下加速度である。
図24のグラフ2400の前側には、前歩行期間2410が検知されている。同様に、図24のグラフ2400の後側には、後歩行期間2420が検知されている。また、図24のグラフ2400の中央には、検知された前歩行期間2410と後歩行期間2420とに挟まれた境界期間2430が特定されている。
情報処理装置100は、歩行期間のほか、患者が着席した着席期間2440や患者が起立した起立期間2450などを検知しているとする。情報処理装置100は、例えば、ある期間の所定の特徴量が、患者の着席や起立に対応する条件を満たすか否かに基づいて、着席期間2440や起立期間2450などを検知する。
図24の例では、検知した着席期間2440や起立期間2450などは、境界期間2430に含まれている。着席期間や起立期間の検知は、例えば、非特許文献SVM−based posture identification with a single waist−located triaxial accelerometerなどを参照することができる。
ここで、前歩行期間2410と、後歩行期間2420とに挟まれた境界期間2430では、歩行運動以外の運動が行われている場合、歩行運動に関連する異常運動が行われている可能性が低くなる性質がある。この性質によれば、境界期間2430に、着席期間2440や起立期間2450などが含まれている場合、尤度を小さくすることが好ましいと考えられる。
このため、情報処理装置100は、検知した着席期間2440や起立期間2450などが、境界期間2430に含まれているため、尤度が小さくなるように、尤度を算出する。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
図25および図26は、尤度を算出する第4の例を示す説明図である。ここで、異常運動は、例外的な、危険が大きい運動であるため、患者は、異常運動が長く続かないようにする傾向があり、境界期間は、短くなる傾向がある。このため、境界期間の長さは、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。そして、情報処理装置100は、境界期間の長さに基づいて下記式(5)により尤度を算出する。
ここで、wBは、境界期間の長さに基づいて設定される重みである。例えば、図25のグラフ2510のように、前歩行期間2511と後歩行期間2512とに挟まれた境界期間2513の長さが比較的長い場合には、重みwBを小さく設定して、尤度を小さくすることが好ましい。
一方で、図25のグラフ2520のように、前歩行期間2521と後歩行期間2522とに挟まれた境界期間2523の長さが比較的短い場合には、重みwBを大きく設定して、尤度を大きくすることが好ましい。wBを設定する具体例については、図26を用いて後述する。D1は、第1の特徴量の非類似度である。D2は、第2の特徴量の類似度である。次に、図26の説明に移行する。
図26のグラフ2600は、境界期間の長さに対する重みを示したグラフである。図26のグラフ2600は、下記式(6)によって示される。
ここで、tは、境界期間の長さである。ε1,ε2は、関数の形状を決めるパラメータである。ε1は、負である。情報処理装置100は、図26のグラフ2600を用いて、境界期間の長さに対応する重みwBを設定し、尤度を算出する。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
(異常運動期間であるか否かを判定した結果の一例)
図27〜図33は、情報処理装置100が異常運動期間であるか否かを判定した結果の一例を示す説明図である。
図27のグラフ2700は、患者が歩行運動を行っていた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸2710は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸2720は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸2710上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸2710上に丸印で囲まれた期間は、患者が一時的にバランスを崩したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、時間軸2720上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間を判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が一時的にバランスを崩していても、異常運動期間を含む運動期間を精度よく特定することができる。次に、図28の説明に移行する。
図28のグラフ2800は、患者が歩行運動を行っていた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸2810は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸2820は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸2810上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸2810上に丸印で囲まれた期間は、患者が一定期間バランスを崩したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、時間軸2820上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間を判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が一定期間バランスを崩していても、異常運動期間を含む運動期間を精度よく特定することができる。次に、図29の説明に移行する。
図29のグラフ2900は、患者が長期間歩行運動を行っていた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸2910は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸2920は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸2910上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸2910上に丸印で囲まれた期間は、患者が一時的にバランスを崩したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、時間軸2920上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間を判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が長期間歩行運動を行っていて、一時的にバランスを崩していても、異常運動期間を含む運動期間を精度よく特定することができる。次に、図30の説明に移行する。
図30のグラフ3000は、患者が歩行運動を行っている途中に静止していた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3010は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3020は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3010上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3010上に丸印で囲まれた期間は、患者が静止していたため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図30の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3020上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が歩行運動を行っている途中に静止していた期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。次に、図31の説明に移行する。
図31のグラフ3100は、患者が歩行運動を行っている途中に静止した後に回転した場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3110は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3120は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3110上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3110上に丸印で囲まれた期間は、患者が静止し、静止した後に回転したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図31の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3120上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が歩行運動を行っている途中に静止し、静止した後に回転した期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。次に、図32の説明に移行する。
図32のグラフ3200は、患者が歩行運動を行っている途中に計測機101の装着位置がずれた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3210は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3220は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3210上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3210上に丸印で囲まれた期間は、計測機101の装着位置がずれたため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図32の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3220上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、計測機101の装着位置がずれていた期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。次に、図33の説明に移行する。
図33のグラフ3300は、患者が歩行運動を行っている途中に静止して屈んだ場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3310は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3320は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3310上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3310上に丸印で囲まれた期間は、患者が静止して屈んだため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図33の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3320上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が静止して屈んでいた期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。
このように、情報処理装置100は、運動期間として検知されなかった境界期間について、運動期間に含まれる異常運動期間であるかを精度よく判定することができる。このため、情報処理装置100は、運動期間を特定する精度の向上を図り、患者、または医師などの医療関係者を支援することができる。
(解析処理手順の一例)
次に、図34を用いて、情報処理装置100が実行する解析処理手順の一例について説明する。
図34は、解析処理手順の一例を示すフローチャートである。図34において、情報処理装置100は、一定期間の時系列データを計測機101から取得する(ステップS3401)。
次に、情報処理装置100は、取得した時系列データに基づいて、一定期間のうちの運動期間を検知する(ステップS3402)。そして、情報処理装置100は、検知した運動期間に基づいて、一定期間のうちの運動期間に挟まれた境界期間を特定する(ステップS3403)。
次に、情報処理装置100は、特定した境界期間のいずれかを選択する(ステップS3404)。そして、情報処理装置100は、選択した境界期間を2分割し、境界期間の前半期間と、境界期間の後半期間とを特定する(ステップS3405)。
その後、情報処理装置100は、複数の異常運動のうち、いずれかの異常運動を選択する(ステップS3406)。
次に、情報処理装置100は、選択した異常運動の判定パターンにしたがって、特定した境界期間の前半期間と、その境界期間の直前の運動期間とのそれぞれについて、第1の特徴量を抽出する(ステップS3407)。そして、情報処理装置100は、境界期間の前半期間について抽出した第1の特徴量と、その境界期間の直前の運動期間について抽出した第1の特徴量との非類似度を算出する(ステップS3408)。
次に、情報処理装置100は、選択した異常運動の判定パターンにしたがって、特定した境界期間の後半期間と、その境界期間の直後の運動期間とのそれぞれについて、第2の特徴量を抽出する(ステップS3409)。そして、情報処理装置100は、境界期間の後半期間について抽出した第2の特徴量と、その境界期間の直後の運動期間について抽出した第2の特徴量との類似度を算出する(ステップS3410)。
その後、情報処理装置100は、算出した非類似度と類似度とに基づいて、選択した異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出する(ステップS3411)。
次に、情報処理装置100は、複数の異常運動をすべて選択したか否かを判定する(ステップS3412)。ここで、選択していない異常運動がある場合(ステップS3412:No)、情報処理装置100は、ステップS3406の処理に戻る。
一方で、複数の異常運動をすべて選択している場合(ステップS3412:Yes)、情報処理装置100は、ステップS3413の処理に移行する。ステップS3413の処理に移行すると、情報処理装置100は、それぞれの異常運動について算出した尤度に基づいて、選択した境界期間が、複数の異常運動のいずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを決定する(ステップS3413)。
次に、情報処理装置100は、特定した境界期間をすべて選択したか否かを判定する(ステップS3414)。ここで、選択していない境界期間がある場合(ステップS3414:No)、情報処理装置100は、ステップS3404の処理に戻る。
一方で、境界期間をすべて選択している場合(ステップS3414:Yes)、情報処理装置100は、検知した運動期間やいずれかの異常運動が行われた異常運動期間について所定の特徴量を抽出する(ステップS3415)。
次に、情報処理装置100は、抽出した所定の特徴量を出力する(ステップS3416)。そして、情報処理装置100は、解析処理を終了する。これにより、情報処理装置100は、運動期間を精度よく特定し、その運動期間についての解析結果を患者、または医師などの医療関係者に通知し、患者の状態を把握しやすくすることができる。
以上説明したように、情報処理装置100によれば、生体の動きに関する計測情報に基づいて、生体によって運動が行われた前歩行期間1010と、生体によって運動が行われた後歩行期間1020とを検知することができる。情報処理装置100によれば、計測情報に基づいて、前歩行期間1010と後歩行期間1020との間にある境界期間1030における、前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度と、後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度とを算出することができる。情報処理装置100によれば、算出した非類似度と類似度とに基づいて、境界期間1030が、生体によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030を運動期間として検知することが難しくても、その境界期間1030が第3の運動期間であると判定することができ、種々の運動期間を特定する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、前歩行期間1010に、境界期間1030よりも前の運動期間を用いることができる。情報処理装置100によれば、後歩行期間1020に、境界期間1030よりも後の運動期間を用いることができる。情報処理装置100によれば、計測情報に基づいて、境界期間1030の前半期間1031と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度と、境界期間1030の後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度とを算出することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つとして非類似度や類似度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割する分割時点の複数の候補時点を用意することができる。情報処理装置100によれば、複数の候補時点のうち、前半期間1031と後半期間1032との第3の特徴量の比率が最大になる候補時点を用いて境界期間1030を2分割することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つとして非類似度や類似度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、第3の運動期間としての尤度を、非類似度が大きいほど尤度が大きくなり、類似度が大きいほど尤度が大きくなるように算出することができる。情報処理装置100によれば、尤度が閾値以上である場合に、境界期間1030が第3の運動期間であると判定することができる。これにより、情報処理装置100は、非類似度と類似度とを尤度にまとめることができ、非類似度と類似度との大きさの関係性を考慮して、境界期間1030が、第3の運動期間であるか否かを判定することができる。また、情報処理装置100は、非類似度と類似度とのほかに、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準になる要素があっても、その要素を尤度にまとめることができる。
また、情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間を、第3の運動期間として用いる場合にも適用することができる。情報処理装置100は、それぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を比較することができ、境界期間1030が、いずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを判定することができる。
また、情報処理装置100によれば、前歩行期間1010と後歩行期間1020とにおける、第1の特徴量または第2の特徴量の代表値の差分に基づいて、尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030の一部期間における前歩行期間1010と後歩行期間1020とに行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値が大きいほど尤度が小さくなるように尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030が長いほど尤度が小さくなるように尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、前歩行期間1010から前半期間1031までの第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いが大きいほど非類似度の値が大きくなるように非類似度を算出することができる。情報処理装置100によれば、後半期間1032から後歩行期間1020までの第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いが大きいほど類似度の値が大きくなるように類似度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030において第1の特徴量が所定値を超えた回数が多いほど非類似度の値が大きくなるように非類似度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、所定値を、前歩行期間1010における第1の特徴量の代表値に基づいて設定することができる。これにより、情報処理装置100は、前歩行期間1010と、境界期間1030とにおける第1の特徴量の関係を考慮して、その境界期間1030に、生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出することができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク振幅を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク間隔を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク振幅を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク間隔を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の左右方向の加速度のピーク振幅を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の左右方向の加速度の分散値を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
なお、本実施の形態で説明した情報処理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本実施の形態で説明した情報処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本実施の形態で説明した情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
以下に、図面を参照して、開示の情報処理システム、情報処理装置、および情報処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態にかかる情報処理方法の一実施例)
図1は、実施の形態にかかる情報処理方法の一実施例を示す説明図である。情報処理装置100は、計測対象によって運動が行われた運動期間を特定するコンピュータである。計測対象は、生体である。計測対象は、機械、例えば、2足歩行する自律ロボットであってもよい。
生体の代表的な例は、人間である。例えば、医療機関による検査対象になる対象者である。具体的には、医師などの医療関係者による診断や治療、リハビリ指導などを受ける患者であってもよい。また、他にも、スポーツインストラクターによる運動指導を受ける被指導者であってもよい。さらに、自ら健康管理を行う個人であってもよい。なお、生体は人間に限らず、動物であってもよい。
ここで、生体によって所定の運動が行われた運動期間では、その生体に装着したセンサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンが現れる傾向がある。所定の運動は、例えば、歩行運動である。所定の運動は、例えば、立位維持運動、階段昇降運動、サイクリング運動などであってもよい。時系列データは、例えば、一定期間における生体の上下方向の加速度が、時系列に並べられたデータである。以下の説明では、上下方向の加速度を「上下加速度」と表記する場合がある。
特徴的なパターンは、例えば、生体によって歩行運動が行われた運動期間であれば、その生体の加速度から抽出される上下振動成分のゼロクロス点が周期的に出現するというパターン、または、その生体の上下加速度のピーク振幅が周期的に出現するというパターンなどである。ゼロクロス点は、対象信号の信号値がゼロになった時点を示す。
このため、所定の運動に対応する特徴的なパターンを予め記憶しておき、一定期間のうち、生体に装着したセンサ装置から得られる時系列データに、その特徴的なパターンと合致するパターンが現れた期間を、その生体の運動期間として特定する場合が考えられる。しかしながら、この場合、生体の運動期間を特定することが難しいことがある。
例えば、生体が歩行運動中にバランスを崩すと、その生体に装着されたセンサ装置から得られる時系列データに、不規則な乱れが生じることがある。そして、生体がバランスを崩していた期間では、その生体に装着されたセンサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致するパターンが現れず、その期間については、その生体の運動期間として特定することができない。
これに対し、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を、特徴的なパターンが発生した時点の前後に広げることにより、センサ装置から得られる時系列データに不規則な乱れが生じていても、その特徴的なパターンと合致するパターンを検知しようとする場合が考えられる。このように、生体の運動期間を精度よく特定しようとする場合がある。しかしながら、この場合でも、生体の運動期間を特定することが難しいことがある。
例えば、生体が歩行運動中にバランスを大きく崩すと、センサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を広げたとしても、例えば、ふらついた故に動きの特徴が急変する場合など、その特徴的なパターンと合致すると判定することが難しいパターンが現れることがある。このため、依然として、生体がバランスを崩していた期間では、その生体に装着されたセンサ装置から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンが現れず、その期間については、その生体の運動期間として特定することができない。
一方で、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を広げたため、生体によって所定の運動が行われていない期間についても、その生体の運動期間として誤って特定されてしまう可能性がある。このように、特徴的なパターンと合致すると判定されるパターンの範囲を広げると、生体の運動期間を特定する精度の低下を招いてしまう可能性がある。
また、生体がバランスを崩していた期間などを、その生体の運動期間として特定することができないため、その運動期間における生体の運動の特徴を解析することが難しく、医師などの医療関係者が把握することが難しい。例えば、生体がふらついた後に歩き方が復帰するまでに要する時間、または、生体がふらついた時に生体の身体が動揺した程度などを解析することができない。
そこで、本実施の形態では、ある期間に特徴的なパターンと合致するパターンが現れなくても、その期間と運動期間として既に検知された期間とについて比較することにより、運動期間を特定する精度の向上を図ることができる情報処理方法について説明する。
図1の例では、生体は患者であるとする。図1の例では、患者は、少なくとも時点t1〜t5までの期間p1において、歩行運動を行っている。患者は、時点t1から、安定した姿勢で歩行運動を行っている。患者は、時点t2において、バランスを崩している。患者は、時点t3から、バランスを持ち直しつつあり、姿勢を安定させ始めている。患者は、時点t4から、再び安定した姿勢で歩行運動を行っている。
図1の例では、情報処理装置100は、計測機101と通信することができる。計測機101は、計測対象uとなる生体の動きに関する計測情報を計測する。計測機101は、計測対象uとなる生体に装着される。計測機101は、例えば、患者に装着される。計測機101は、具体的には、患者の腰に装着され、上下加速度を計測する加速度センサを有するセンサ装置である。
(1−1)情報処理装置100は、計測機101から計測情報を取得する。計測情報は、例えば、計測機101の加速度センサが期間p1に計測した上下加速度を、時系列に並べた時系列データである。時系列データは、例えば、波形データである。
(1−2)情報処理装置100は、取得した計測情報に基づいて、患者によって所定の運動が行われた第1の運動期間と、患者によって所定の運動が行われた第2の運動期間とを検知する。第1の運動期間と第2の運動期間とは、例えば、患者によって歩行運動が行われた歩行期間である。第1の運動期間は、例えば、第2の運動期間より前である。
情報処理装置100は、例えば、期間p1のうち、時系列データに歩行運動に対応する特徴的なパターンが現れる時点t1〜t2までの歩行期間p1−beforeを検知する。また、情報処理装置100は、例えば、期間p1のうち、時系列データに歩行運動に対応する特徴的なパターンが現れる時点t4〜t5までの歩行期間p1−afterを検知する。
ここで、歩行期間p1−beforeと歩行期間p1−afterとの間にある、時点t2〜t4までの境界期間p1−centerのうち、時点t2〜t3までの前半期間p1−center−firstでは、患者がバランスを崩している。このため、その境界期間p1−centerは、運動期間として検知されづらい。
そこで、情報処理装置100は、境界期間p1−centerが、運動期間として検知されづらい場合でも、その境界期間p1−centerが、運動期間であるか否かを判定する処理をさらに実行することにより、運動期間を特定する精度の向上を図る。
(1−3)情報処理装置100は、取得した計測情報に基づいて、検知した第1の運動期間と第2の運動期間との間にある境界期間における、第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出する。
1以上の特徴量は、例えば、計測対象の加速度、角速度、位置、および地磁気の少なくともいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値の少なくともいずれかを含む。
図1の例では、情報処理装置100は、取得した計測情報に基づいて、検知した第1の運動期間と第2の運動期間との間にある境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出する。
第1の特徴量は、例えば、上下加速度のピーク振幅である。ピーク振幅は、例えば、極大値である。ピーク振幅は、例えば、極小値、または極大値と極小値の差分などであってもよい。第2の特徴量は、例えば、上下加速度のピーク間隔である。ピーク間隔は、例えば、極大値になった時点の間隔である。ピーク間隔は、例えば、極小値になった時点の間隔であってもよい。
情報処理装置100は、例えば、境界期間p1−centerにおける、歩行期間p1−beforeとの上下加速度のピーク振幅の非類似度と、歩行期間p1−afterとの上下加速度のピーク間隔の類似度とを算出する。
情報処理装置100は、具体的には、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク振幅の代表値と、歩行期間p1−beforeの上下加速度のピーク振幅の代表値との比率が大きいほど非類似度が大きくなるように、その非類似度を算出する。代表値は、例えば、最大値である。また、代表値は、例えば、平均値、中央値、最小値などであってもよい。
情報処理装置100は、具体的には、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク間隔の代表値と、歩行期間p1−afterの上下加速度のピーク間隔の代表値との比率が小さいほど類似度が大きくなるように、その類似度を算出する。代表値は、例えば、最大値である。また、代表値は、例えば、平均値、中央値、最小値などであってもよい。
ここで、境界期間に、歩行運動に関連する異常運動が行われた場合、その異常運動の種類によっては、例えば、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。このような異常運動は、例えば、患者が歩行運動中にふらつくなどして、バランスを崩すという例外的な運動である。
情報処理装置100は、この性質を利用し、非類似度と類似度とに基づいて、境界期間が、患者によって異常運動が行われた運動期間であるか否かを判定することが可能になる。以下の説明では、患者によって異常運動が行われた運動期間を「異常運動期間」と表記する場合がある。
例えば、患者がバランスを崩した場合、患者の身体のいずれかの部位の動きが速くなる傾向があり、さらにその後に強い衝撃を受ける傾向がある。例えば、患者が歩行運動中にバランスを崩した場合、その患者の足または腰の動きが速くなり、次に足が着地した際にその患者の足に床から反発を受ける傾向がある。他には、例えば、患者が立位維持運動中にバランスを崩した場合、その患者の手または腰の動きが速くなり、その患者の手が強く壁に付けられ、その患者の手が壁から反発を受けることがある。
このため、境界期間p1−centerは、患者がバランスを崩していれば、歩行期間p1−beforeに比べて、所定の特徴量、例えば上下加速度のピーク振幅に、高振幅かつ高周波な成分が含まれやすく、その特徴量の代表値が大きくなりやすい。特に、前半期間p1−center−firstに、患者がバランスを崩している可能性が大きく、前半期間p1−center−firstは、その特徴量に高振幅かつ高周波な成分が含まれやすくなる。
これにより、境界期間p1−centerに、患者がバランスを崩していると、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク振幅の代表値と、歩行期間p1−beforeの上下加速度のピーク振幅の代表値との非類似度は大きくなりやすい。したがって、非類似度は、境界期間p1−centerに、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさ、例えば、患者がバランスを崩した可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。
また、患者がバランスを崩した後、バランスを持ち直していく傾向がある。このとき、患者の身体のいずれかの部位の動きは、患者が慎重になるため、バランスを崩す前より遅くなりやすく、バランスを崩す前の動きに徐々に戻っていく傾向がある。
このため、境界期間p1−centerは、患者がバランスを崩した後、バランスを持ち直していくと、所定の特徴量、例えば上下加速度のピーク間隔の代表値が、歩行期間p1−afterと類似しやすくなる。特に、後半期間p1−center−latterに、患者がバランスを持ち直していく可能性が大きく、後半期間p1−center−latterは、所定の特徴量、例えば上下加速度のピーク間隔の代表値が、歩行期間p1−afterと類似しやすくなる。
これにより、境界期間p1−centerに、患者がバランスを持ち直していると、境界期間p1−centerの上下加速度のピーク間隔の代表値と、歩行期間p1−afterの上下加速度のピーク間隔の代表値との類似度が大きくなりやすい。したがって、類似度は、境界期間p1−centerに、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさ、例えば、患者がバランスを崩した後、バランスを持ち直した可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。
(1−4)情報処理装置100は、算出した非類似度と類似度とに基づいて、境界期間が、患者によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定する。第3の運動期間は、異常運動期間である。第3の運動期間は、例えば、患者によって歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間である。第3の運動期間は、具体的には、患者が歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間である。
情報処理装置100は、例えば、非類似度と類似度とに基づいて、異常運動期間としての尤度を算出し、その尤度に基づいて、境界期間p1−centerが、異常運動期間であるか否かを判定する。
情報処理装置100は、具体的には、非類似度が大きいほど尤度が大きくなるように、かつ、類似度が大きいほど尤度が大きくなるように、尤度を算出する。そして、情報処理装置100は、算出した尤度が第1の閾値以上である場合、境界期間p1−centerが異常運動期間であると判定する。一方で、情報処理装置100は、算出した尤度が第1の閾値以上ではない場合、境界期間p1−centerが異常運動期間ではないと判定する。
また、情報処理装置100は、例えば、非類似度が第2の閾値以上であるか否かを判定した結果と、類似度が第3の閾値以上であるか否かを判定した結果とに基づいて、境界期間p1−centerが異常運動期間であるか否かを判定してもよい。
情報処理装置100は、具体的には、非類似度が第2の閾値以上であると判定し、かつ、類似度が第3の閾値以上であると判定した場合、境界期間p1−centerが異常運動期間であると判定する。一方で、情報処理装置100は、非類似度が第2の閾値以上ではないと判定した場合、または、類似度が第3の閾値以上ではないと判定した場合、境界期間p1−centerが異常運動期間ではないと判定する。
これにより、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われ、患者に装着された計測機101から得られる時系列データに、特徴的なパターンと合致するパターンが現れない期間があっても、その期間を異常運動期間であると判定することができる。また、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われていない期間を異常運動期間であると判定せず、運動期間が誤って特定されることを抑制することができる。このため、情報処理装置100は、異常運動期間を含む種々の運動期間を特定する精度の向上を図ることができる。
その後、情報処理装置100は、検知した運動期間、その運動期間における所定の特徴量、特定した異常運動期間、その異常運動期間における所定の特徴量、その異常運動期間に行われた異常運動の内容などを出力してもよい。情報処理装置100は、例えば、検知した運動期間、その運動期間における所定の特徴量、特定した異常運動期間、その異常運動期間における所定の特徴量などを、患者、または医師などの医療関係者に提供する。所定の特徴量は、例えば、生体の加速度、角速度、位置、および地磁気のいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値のいずれかである。
これにより、情報処理装置100は、医師などの医療関係者が、患者によって異常運動が行われた異常運動期間と、その異常運動期間における特徴量と、その異常運動の内容などに基づいて、患者の状態を精度よく把握できる。そして、情報処理装置100は、その医療関係者の業務を支援できる。また、情報処理装置100は、患者、または医師などの医療関係者が、患者の、ある疾病につながる可能性のある異常運動特徴を精度よく把握することを可能にする。結果として、情報処理装置100は、患者の健康管理などが効果的に行われるようにすることができる。
医療関係者は、例えば、患者の状態を定量化しやすくなる。また、医療関係者は、例えば、異常運動期間が特定されない場合に比べ、患者の状態を精度よく把握しやすくなる。医療関係者は、具体的には、従来のように異常運動期間が特定されない場合では、患者がバランスを崩していない運動期間だけを参照することになり、患者の体性感覚などの状態異常の有無を把握することが難しい。これに対し、医療関係者は、情報処理装置100から異常運動期間に関する情報を提供され、患者がバランスを崩した長さや頻度を把握し、患者の体性感覚などの状態異常の有無などを把握することができる。
ここでは、計測機101が、患者の腰に装着される場合について説明したが、これに限らない。例えば、計測機101が、患者の腰以外の部位に装着される場合があってもよい。具体的には、計測機101が、患者の手首や足首などに装着される場合があってもよい。
ここでは、計測機101が、患者に装着される場合について説明したが、これに限らない。例えば、計測機101が、患者が歩行する床に埋め込まれ、患者から床にかかる圧力を計測する場合があってもよい。また、例えば、計測機101が、患者を撮影可能な場所に設置され、患者を撮影した画像に基づいて、患者の動きに関する計測情報を計測する場合があってもよい。
ここでは、計測機101が、上下加速度を計測する場合について説明したが、これに限らない。例えば、計測機101が、左右方向の加速度を計測する場合があってもよい。また、例えば、計測機101が、前後方向の加速度を計測する場合があってもよい。また、例えば、計測機101が、上下加速度、左右方向の加速度、前後方向の加速度のうち、2つ以上の加速度を計測する場合があってもよい。また、計測信号の種類として、加速度のみに限らず、例えば角速度や地磁気、位置を計測する場合があってもよい。以下の説明では、左右方向の加速度を「左右加速度」と表記する場合がある。以下の説明では、前後方向の加速度を「前後加速度」と表記する場合がある。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の非類似度とを算出する場合があってもよい。この場合、情報処理装置100は、類似度が大きいほど尤度が小さくなるように、かつ、非類似度が大きいほど尤度が小さくなるように、尤度を算出する。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度を算出する場合について説明したが、これに限らない。上述したように、境界期間の前半期間において、高振幅かつ高周波な成分が含まれやすい傾向がある。したがって、例えば、情報処理装置100が、境界期間の前半期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度を算出する場合があってもよい。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間における、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度を算出する場合について説明したが、これに限らない。上述したように、境界期間の後半期間において、第2の特徴量が第2の運動期間と類似しやすい傾向がある。したがって、情報処理装置100が、境界期間の後半期間における、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度を算出する場合があってもよい。
ここでは、情報処理装置100が、境界期間が、患者が歩行運動中にバランスを崩すという、1つの異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、境界期間が、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合があってもよい。この場合、情報処理装置100は、異常運動ごとに異なる第1の特徴量と第2の特徴量とを用いる。
複数の異常運動は、例えば、上述した歩行運動中にバランスを崩すという異常運動のほか、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動などを含む。
ここでは、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の類似度は大きくなりやすい性質がある、異常運動の種類について説明したが、これに限らない。
例えば、異常運動の種類によって、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。
また、例えば、異常運動の種類によって、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の非類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。
例えば、異常運動の種類によって、境界期間における第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度は大きくなりやすく、かつ、境界期間における第2の運動期間との第2の特徴量の非類似度は大きくなりやすい性質がある場合がある。
例えば、歩行運動中において、一時的に頭痛が起こった故にバランスを崩し、その後に頭痛が回復した後は元の歩行に戻る場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、例えば、1歩あたりのステップ時間、すなわち着地の間隔は、前半期間と後半期間ともに、第1の運動期間と第2の運動期間と比べて大きくなるが、その違いは比較的微小である傾向がある。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量、第2の特徴量に共に、着地の間隔を用いることにより、このような異常運動の運動期間を判定することができる。情報処理装置100は、例えば、前半期間では第1の運動期間と比べ第1の特徴量は類似し、また後半期間においても第2の運動期間と比べ第2の特徴量は類似する場合、境界期間が、このような異常運動の運動期間であると判定することができる。
また、例えば、歩行運動中において、足が何物かに躓いた後、大きく崩れたバランスを立て直して、元の歩行に戻る場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、例えば、腰の加速度の振幅特徴は、躓いた直後、すなわち前半期間は第1の運動期間と比べて非類似になり、大きく崩れたバランスを立て直しているとき、すなわち後半期間においても第2の運動期間と比べて非類似になる傾向がある。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量、第2の特徴量に共に、腰の加速度の振幅を用いることにより、このような異常運動の運動期間を判定することができる。情報処理装置100は、例えば、前半期間では第1の運動期間と比べ第1の特徴量は非類似し、また後半期間においても第2の運動期間と比べ第2の特徴量は非類似する場合、境界期間が、このような異常運動の運動期間であると判定することができる。
また、例えば、片足で身体を支持する静止運動中において、一度僅かにバランスを崩すと、その後に、加速的にバランスを崩し、さらにその後に元の安定した姿勢に戻る場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、例えば、腰の加速度の振幅特徴は、第1の運動期間と前半期間、すなわち僅かにバランスを崩した直後の期間で類似するが、第2の運動期間と後半期間、すなわち加速的にバランスを崩している期間で非類似になる傾向がある。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量、第2の特徴量に共に、腰の加速度の振幅を用いることにより、このような異常運動の運動期間を判定することができる。情報処理装置100は、例えば、前半期間では第1の運動期間と比べ第1の特徴量は類似し、また後半期間では第2の運動期間と比べ第2の特徴量は非類似する場合、境界期間が、このような異常運動の運動期間であると判定することができる。このように、情報処理装置100は、境界期間が、様々な異常運動の運動期間のいずれであるかを特定することができる。
ここでは、主に、情報処理装置100が、第1の運動期間と前半期間との第1の特徴量を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100は、上述したように、第1の運動期間と前半期間との1以上の特徴量を用いてもよい。
例えば、横から押されて、僅かにふらついたが殆どそのまま歩き続けたような場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、前半期間では、第1の運動期間と比べ、横方向の腰加速度の振幅特徴は非類似になるが、着地の間隔は類似する傾向がある。そこで、情報処理装置100は、横方向の腰加速度の振幅特徴の非類似度、着地の間隔の類似度を用いることにより、判定精度を向上することができる。
ここでは、主に、情報処理装置100が、第2の運動期間と後半期間との第2の特徴量を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100は、上述したように、第2の運動期間と後半期間との1以上の特徴量を用いてもよい。
例えば、後ろから押されて、数歩ふらついた後に踏みとどまってそのまま歩き続けたような場合があり、このような異常運動の運動期間を判定対象とし、その運動期間の特徴量を定量化することが望まれる場合がある。このような場合において、後半期間では、第2の運動期間と比べ、上下方向の腰加速度の振幅特徴は非類似になるが、着地の間隔は類似する傾向がある。そこで、情報処理装置100は、上下方向の腰加速度の振幅特徴の非類似度と、着地の間隔とを用いることにより、判定精度を向上することができる。
ここでは、第1の運動期間と第2の運動期間が同じ運動が行われた運動期間である場合について説明したが、これに限らない。例えば、第1の運動期間と、第2の運動期間とは、それぞれ異なる運動が行われた運動期間であってもよい。
(情報処理システム200の一例)
次に、図2を用いて、図1に示した情報処理装置100を適用した、情報処理システム200の一例について説明する。
図2は、情報処理システム200の一例を示す説明図である。図2において、情報処理システム200は、情報処理装置100と、1以上の計測機101とを含む。情報処理システム200において、情報処理装置100と計測機101とは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。
情報処理装置100は、計測機101から計測情報を取得し、患者によって運動が行われた運動期間を検知し、患者によって異常運動が行われた異常運動期間を特定するコンピュータである。情報処理装置100は、例えば、サーバ、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末などである。
計測機101は、計測対象uとなる生体に装着されるコンピュータである。計測機101は、計測情報を計測し、情報処理装置100に送信する。計測機101は、例えば、図4に示すセンサ部を有し、そのセンサ部の計測値と、そのセンサ部の計測値が得られた計測時刻とを対応付けた時系列データを、計測情報として作成し、情報処理装置100に送信する。計測機101は、例えば、センサ装置である。計測機101は、例えば、スマートフォン、ウェアラブル端末などであってもよい。
ここでは、計測機101が、時系列データを作成する場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、計測機101から、計測機101のセンサ部の計測値と、そのセンサ部の計測値が得られた計測時刻とを対応付けた対応情報を順次受信し、その対応情報をまとめた時系列データを作成する場合があってもよい。
ここでは、情報処理装置100と計測機101とが異なる装置である場合について説明したが、これに限らない。例えば、情報処理装置100が、計測機101と一体である場合があってもよい。ここでは、生体に、計測機101が1つ装着される場合について説明したが、これに限らない。例えば、生体に、複数の計測機101が装着される場合があってもよい。
情報処理システム200は、例えば、患者の状態を把握する遠隔見守りサービスや健康状態モニタリングを実現する場合に適用されたり、PHR(Personal Health Record)向けのサービスを実現する場合に適用されたりする。
(情報処理装置100のハードウェア構成例)
次に、図3を用いて、図2に示した情報処理システム200に含まれる情報処理装置100のハードウェア構成例について説明する。
図3は、情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ネットワークI/F(Interface)303と、記録媒体I/F304と、記録媒体305とを有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU301は、情報処理装置100の全体の制御を司る。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
ネットワークI/F303は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、ネットワークI/F303は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワークI/F303は、例えば、モデムやLANアダプタなどである。
記録媒体I/F304は、CPU301の制御にしたがって記録媒体305に対するデータのリード/ライトを制御する。記録媒体I/F304は、例えば、ディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)ポートなどである。記録媒体305は、記録媒体I/F304の制御で書き込まれたデータを記憶する不揮発メモリである。記録媒体305は、例えば、ディスク、半導体メモリ、USBメモリなどである。記録媒体305は、情報処理装置100から着脱可能であってもよい。
情報処理装置100は、上述した構成部のほか、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー、タッチパネルなどを有してもよい。また、情報処理装置100は、記録媒体I/F304や記録媒体305を有していなくてもよい。
(計測機101のハードウェア構成例)
次に、図4を用いて、図2に示した情報処理システム200に含まれる計測機101のハードウェア構成例について説明する。
図4は、計測機101のハードウェア構成例を示すブロック図である。図4において、計測機101は、CPU401と、メモリ402と、ネットワークI/F403と、センサ部404と、タイマー部405とを有する。また、各構成部は、バス400によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU401は、計測機101の全体の制御を司る。メモリ402は、例えば、ROM、RAMおよびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU401のワークエリアとして使用される。メモリ402に記憶されるプログラムは、CPU401にロードされることで、コーディングされている処理をCPU401に実行させる。
ネットワークI/F403は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、ネットワークI/F403は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。ネットワークI/F403は、例えば、Wi−Fi(登録商標)に対応する通信回路、Bluetooth(登録商標)に対応する通信回路などである。ネットワークI/F403は、例えば、3G(3rd Generation)に対応する通信回路であってもよい。
センサ部404は、計測機101の状態を計測する。センサ部404は、例えば、計測機101の位置、動き、および向きのうち少なくともいずれかを計測する。センサ部404は、具体的には、加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサ、光センサ、振動センサなどの少なくともいずれかを有する。また、センサ部404は、GPS(Global Positioning Systems)受信機を有し、計測機101のGPS座標を検出してもよい。タイマー部405は、現在の時刻を計測する。
計測機101は、上述した構成部のほか、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー、タッチパネルなどを有してもよい。また、計測機101は、上述した構成部のほか、記録媒体I/Fや記録媒体を有してもよい。この記録媒体は、計測機101から着脱可能であってもよい。
(情報処理装置100の機能的構成例)
次に、図5を用いて、情報処理装置100の機能的構成例について説明する。
図5は、情報処理装置100の機能的構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、記憶部500と、取得部501と、検知部502と、算出部503と、判定部504と、出力部505とを含む。
記憶部500は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域によって実現される。取得部501〜出力部505は、制御部となる機能である。取得部501〜出力部505は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、ネットワークI/F303により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、図3に示したメモリ302や記録媒体305などの記憶領域に記憶される。
記憶部500は、複数の運動のそれぞれの運動の検知パターンを記憶する。運動は、例えば、歩行運動、立位維持運動、階段昇降運動、サイクリング運動などである。運動の検知パターンは、例えば、その運動が行われた運動期間を検知する検知条件を規定する。検知条件は、例えば、所定の特徴量について特徴的なパターンが現れることを条件として示す。検知条件は、具体的には、3軸の加速度から抽出される上下振動成分についてゼロクロス点が周期的に出現するという特徴的なパターンが現れることを条件として示す。これにより、記憶部500は、それぞれの運動に対応する検知パターンを検知部502が参照可能にすることができる。
記憶部500は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動の判定パターンを記憶する。複数の異常運動は、例えば、生体が歩行運動中にバランスを崩すという異常運動、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動などである。異常運動の判定パターンは、例えば、その異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する判定条件を規定する。また、異常運動の判定パターンは、例えば、判定条件に用いられる第1の特徴量と第2の特徴量とを規定する。判定条件は、例えば、第1の特徴量と第2の特徴量とに基づき算出した異常運動期間としての尤度が閾値以上であることを条件として示す。
第1の特徴量は、例えば、生体の合成加速度の分散値である。第1の特徴量は、例えば、生体の上下加速度のピーク振幅である。第1の特徴量は、例えば、生体の前後加速度のピーク振幅である。第1の特徴量は、生体の左右加速度のピーク振幅である。第2の特徴量は、例えば、生体の合成加速度の分散値である。第2の特徴量は、例えば、生体の上下加速度のピーク間隔である。第2の特徴量は、例えば、生体の前後加速度のピーク間隔である。第2の特徴量は、生体の左右加速度の分散値である。これにより、記憶部500は、それぞれの異常運動に対応する判定パターンを判定部504が参照可能にすることができる。
記憶部500は、生体の動きに関する計測情報を記憶する。記憶部500は、例えば、計測機101のセンサ部の計測値と、その計測値が得られた計測時刻とを対応付けて、時系列に並べた時系列データを記憶する。計測値は、例えば、上下加速度、左右加速度、前後加速度の少なくともいずれかである。計測値は、例えば、角速度、振動の大きさ、位置などであってもよい。これにより、記憶部500は、生体によって運動が行われた運動期間を検知するために、その生体についての時系列データを検知部502が参照可能にすることができる。また、記憶部500は、生体についての時系列データを算出部503が参照可能にすることができる。
取得部501は、計測情報を取得する。取得部501は、例えば、計測機101が作成した計測情報として、その計測機101のセンサ部の計測値と、その計測値が得られた計測時刻とを対応付けた時系列データを、計測機101から受信して記憶部500に記憶する。取得部501は、例えば、計測機101のセンサ部の計測値と、その計測値が得られた計測時刻とを対応付けた対応情報を計測機101から順次受信し、その対応情報をまとめた時系列データを作成して記憶部500に記憶してもよい。これにより、取得部501は、生体についての時系列データを検知部502や算出部503が参照可能なように、記憶部500に記憶することができる。
検知部502は、取得部501が取得した計測情報に基づいて、生体によって運動が行われた運動期間を検知する。検知部502は、例えば、記憶部500に記憶された検知パターンを参照し、検知条件を満たす複数の期間のそれぞれの期間を、運動期間として検知する。検知部502は、具体的には、3軸の加速度から抽出される上下振動成分についてゼロクロス点が周期的に出現する特徴的なパターンが現れる複数の期間のそれぞれの期間を、運動期間として検知する。これにより、検知部502は、境界期間を特定する際に用いられる運動期間を、算出部503に通知することができる。
算出部503は、検知部502が検知した複数の運動期間から、第1の運動期間と第2の運動期間とを選択し、第1の運動期間と第2の運動期間との間にある境界期間を特定する。第1の運動期間は、例えば、第2の運動期間より前である。第1の運動期間と第2の運動期間とは、第1の運動期間と第2の運動期間との間に他の運動期間を挟まないことが好ましい。これにより、算出部503は、異常運動期間である可能性がある境界期間を特定することができる。
次に、算出部503は、取得部501が取得した計測情報に基づいて、特定した境界期間における、第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出する。
1以上の特徴量は、例えば、計測対象の加速度、角速度、位置、および地磁気の少なくともいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値の少なくともいずれかを含む。これにより、算出部503は、例えば、加速度に加えて、角速度、位置、地磁気などを利用することができ、ピーク振幅やピーク間隔に加えて、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、分散値などを利用することができる。
算出部503は、取得部501が取得した計測情報に基づいて、特定した境界期間における、第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出してもよい。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第1の特徴量を特定し、境界期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、境界期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値との比率が大きいほど、非類似度が大きくなるように、非類似度を算出する。算出部503は、境界期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値との比率が1に近いほど、非類似度が小さくなるように、非類似度を算出してもよい。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出することができる。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第2の特徴量を特定し、境界期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、境界期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値との比率が小さいほど、類似度が大きくなるように、類似度を算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出することができる。
また、算出部503は、境界期間の前半期間と第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、境界期間の後半期間と第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出してもよい。境界期間の前半期間と後半期間とは、その境界期間を2分割した前半部分と後半部分とである。境界期間の前半期間と後半期間とは、例えば、その境界期間を2等分割した前半部分と後半部分とであってもよい。
算出部503は、例えば、境界期間を前半期間と後半期間とに分割する分割時点の複数の候補時点のうち、前半期間と後半期間との第3の特徴量の比率が最大になる候補時点を用いて境界期間を2分割する。第3の特徴量は、例えば、上下加速度の分散値である。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第1の特徴量を特定し、前半期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、前半期間における第1の特徴量の代表値と、第1の運動期間とにおける第1の特徴量の代表値との比率が大きいほど、非類似度が大きくなるように、非類似度を算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、異常運動の判定パターンを参照し、判定条件に用いられる第2の特徴量を特定し、後半期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値とを算出する。算出部503は、後半期間における第2の特徴量の代表値と、第2の運動期間とにおける第2の特徴量の代表値との比率が小さいほど、類似度が大きくなるように、類似度を算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、第1の運動期間から前半期間までの第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いを示す値を算出し、その値が大きいほど非類似度の値が大きくなるように、非類似度を算出してもよい。所定方向は、例えば、増加方向である。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、後半期間から第2の運動期間までの第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いを示す値を算出し、その値が大きいほど類似度の値が大きくなるように、類似度を算出してもよい。所定方向は、例えば、減少方向である。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、境界期間において第1の特徴量が所定値を超えた回数が多いほど、非類似度の値が大きくなるように、非類似度を算出してもよい。所定値は、第1の運動期間における第1の特徴量の代表値に基づいて設定される。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
そして、算出部503は、第3の運動期間としての尤度を算出する。第3の運動期間は、異常運動期間である。第3の運動期間は、例えば、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動である。算出部503は、例えば、非類似度が大きいほど尤度が大きくなり、類似度が大きいほど尤度が大きくなるように算出する。これにより、算出部503は、境界期間に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさに対応する尤度を算出することができる。
算出部503は、例えば、第1の運動期間と第2の運動期間とにおける、第1の特徴量または第2の特徴量の代表値の差分に基づいて、尤度を算出してもよい。算出部503は、具体的には、第1の運動期間における第1の特徴量の代表値が、第2の運動期間における第1の特徴量の代表値よりも大きいほど、尤度が大きくなるように、尤度を算出する。これにより、算出部503は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、境界期間の一部期間における、第1の運動期間に行われた運動や第2の運動期間に行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値に基づいて、尤度を算出してもよい。算出部503は、具体的には、指標値が大きいほど、尤度が小さくなるように、尤度を算出する。これにより、算出部503は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
算出部503は、例えば、境界期間の長さに基づいて、尤度を算出してもよい。算出部503は、具体的には、境界期間が長いほど、尤度が小さくなるように、尤度を算出してもよい。これにより、算出部503は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
判定部504は、算出部503が算出した結果に基づいて、特定した境界期間が、生体によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定する。これにより、判定部504は、動作特徴量として、加速度に加えて、または加速度に代えて、角速度、位置、地磁気などを利用して、第3の運動期間であるか否かを判定することができる。
例えば、歩行運動中にバランスを崩したときに足の捻りを伴った場合には、上半身または下半身に異常な回転運動が現れる傾向がある。この場合に、判定部504は、角速度の振幅を用いることで、判定精度を高めることができる。また、例えば、バランスを崩したときに歩幅が顕著に乱れる場合があり得る。この場合に、判定部504は、位置情報から算出される1歩ごとの歩幅を用いることで、判定精度を高めることができる。
また、判定部504は、時間的特徴量として、ピーク振幅やピーク間隔に加えて、またはピーク振幅やピーク間隔に代えて、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、分散値などを利用して、第3の運動期間であるか否かを判定することができる。
例えば、歩行運動中にバランスを崩したときに足の引きずりを伴った場合には、1歩あたりに加速度のピークが複数発生し得る。この場合に、判定部504は、時間的特徴量として加速度のピーク間隔を用いても、着地間隔を評価することが難しい。そこで、判定部504は、加速度のピーク間隔の代わりに、加速度から抽出される上下振動成分のゼロクロス点の間隔を用いることで、着地間隔を精度よく評価することができる。そして、判定部504は、着地間隔を評価した結果に基づいて、判定精度を高めることができる。
また、例えば、歩行運動中にバランスを崩したときに上半身動揺を伴った場合には、着地時点の間の腰加速度がばらつく傾向がある。この場合に、判定部504は、動作特徴量として加速度ピークの振幅を用いても、上半身動揺を評価することが難しい。そこで、判定部504は、加速度ピークの振幅の代わりに、ピーク点の間の加速度の分散値を用いることで上半身動揺を精度よく評価することができる。そして、判定部504は、上半身動揺を評価した結果に基づいて、判定精度を高めることができる。
判定部504は、算出部503が算出した非類似度と類似度とに基づいて、特定した境界期間が、生体によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定してもよい。判定部504は、例えば、尤度が閾値以上である場合に、境界期間が第3の運動期間であると判定する。判定部504は、具体的には、尤度が閾値以上である場合に、境界期間が異常運動期間であると判定する。これにより、判定部504は、境界期間が異常運動期間であり、生体の運動期間に含まれるか否かを判定することができる。
出力部505は、算出部503が算出した非類似度や類似度、算出部503が算出した尤度、判定部504が判定した結果などを出力する。出力部505は、第3の運動期間であると判定された境界期間に対応付けて、境界期間の一部期間における第1の運動期間と第2の運動期間とに行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値、第1の運動期間から境界期間の前半期間までの第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いの大きさ、境界期間の後半期間から第2の運動期間までの第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いの大きさ、および境界期間において第1の特徴量が所定値を超えた回数の少なくともいずれかを出力してもよい。
出力形式は、例えば、ディスプレイへの表示、プリンタへの印刷出力、ネットワークI/F303による外部装置への送信、または、メモリ302や記録媒体305などの記憶領域への記憶などである。これにより、出力部505は、算出部503が算出した非類似度や類似度、算出部503が算出した尤度、判定部504が判定した結果などを、患者、または医師などの医療関係者に提供することができる。
出力部505は、検知部502が検知した第1の運動期間や第2の運動期間についての情報を出力してもよい。出力部505は、例えば、第1の運動期間の長さ、第2の運動期間の長さなどを出力する。出力部505は、例えば、第1の運動期間における所定の特徴量の代表値、第2の運動期間における所定の特徴量の代表値などを出力する。所定の特徴量は、例えば、生体の加速度、角速度、位置、および地磁気のいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値のいずれかである。所定の特徴量は、例えば、上下加速度のピーク振幅、上下加速度のピーク間隔、上下加速度の分散値などである。これにより、出力部505は、運動期間についての情報を、患者、または医師などの医療関係者に提供することができる。
出力部505は、判定部504によって第3の運動期間であると判定された境界期間についての情報を出力してもよい。出力部505は、例えば、異常運動期間の長さを出力する。出力部505は、例えば、異常運動期間における第1の特徴量の代表値や第2の特徴量の代表値を出力する。出力部505は、例えば、第1の運動期間から異常運動期間までの第1の特徴量の変化率や単調変化率、異常運動期間から第2の運動期間までの第2の特徴量の変化率や単調変化率などを出力する。変化率は、例えば、2つの期間の特徴量の平均値の比率である。単調変化率は、例えば、2つの期間の特徴量の変化を示す近似直線の傾きである。これにより、出力部505は、異常運動期間についての情報を、患者、または医師などの医療関係者に提供することができる。
(情報処理装置100の動作の流れの一例)
次に、図6〜図9を用いて、情報処理装置100の動作の流れの一例について説明する。
図6は、情報処理装置100が取得する時系列データ600の一例を示す説明図である。図6の例では、計測機101は、患者の腰に装着される。計測機101は、センサ部404を用いて、上下加速度、左右加速度、前後加速度を計測する。計測機101は、タイマー部405を用いて、計測した上下加速度、左右加速度、前後加速度を、それらの加速度を計測した時点に対応付けて蓄積する。
計測機101は、一定期間、計測した上下加速度、左右加速度、前後加速度を、それらの加速度を計測した時点に対応付けて蓄積した結果、図6に示した時系列データ600を作成することができる。計測機101は、図6に示した時系列データ600を作成すると、その時系列データ600を、情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、図6に示した時系列データ600を、計測機101から受信する。次に、図7の説明に移行する。
図7は、情報処理装置100が歩行期間を検知する一例を示す説明図である。図7において、情報処理装置100は、図6に示した時系列データ600において、上下加速度、左右加速度、または前後加速度について、これらから抽出される上下振動成分のゼロクロス点が周期的に出現する特徴的なパターンが現れている歩行期間701〜704を検知する。歩行期間の検知は、例えば、特開2008−171347号公報などを参照することができる。次に、図8の説明に移行する。
図8は、情報処理装置100が境界期間を特定する一例を示す説明図である。図8において、情報処理装置100は、特定した歩行期間701〜704の2つに挟まれた境界期間801〜803を、異常運動期間である可能性がある期間として特定する。情報処理装置100は、境界期間801〜803に、それぞれ、境界期間番号「No1〜No3」を割り当てておく。次に、図9の説明に移行する。
図9は、情報処理装置100が異常運動期間であるか否かを判定する一例を示す説明図である。図9において、情報処理装置100は、特定した境界期間801〜803について、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出し、その尤度に基づいて境界期間801〜803が異常運動期間であるか否かを判定する。
尤度を算出する具体例については、図10〜図33を用いて後述する。情報処理装置100は、算出した尤度や判定した結果を、図9に示した判定情報テーブル900に記憶する。
判定情報テーブル900は、例えば、図3に示した情報処理装置100のメモリ302や記録媒体305などの記憶領域により実現される。判定情報テーブル900は、境界期間番号と、異常運動期間の尤度と、判定結果とのフィールドを有する。判定情報テーブル900は、境界期間ごとに各フィールドに情報を設定することにより、判定情報がレコードとして記憶される。
境界期間番号のフィールドは、異常運動期間であるか否かを判定する対象になる境界期間に割り当てられた境界期間番号が設定される。異常運動期間の尤度のフィールドは、その境界期間について算出した、複数の異常運動のいずれかの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度が設定される。判定結果のフィールドは、尤度が閾値以上であるか否かが設定される。判定結果は、例えば、「○」であれば、尤度が閾値以上であることを示し、異常運動期間であると判定したことを示す。
図9の例では、情報処理装置100は、境界期間801の異常運動期間としての尤度「0.89」を算出する。情報処理装置100は、算出した尤度「0.89」を閾値「0.5」と比較する。情報処理装置100は、閾値以上であるため、境界期間801を異常運動期間であると判定する。このため、情報処理装置100は、境界期間801について、境界期間番号「No1」と、異常運動期間の尤度「0.89」と、判定結果「○」とを対応付けたレコードを作成し、判定情報テーブル900に記憶する。
情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出し、境界期間801が、複数の異常運動のいずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを判定してもよい。これにより、情報処理装置100は、それぞれの異常運動が行われた異常運動期間を特定する精度の向上を図ることができる。
ここで、例えば、患者によって立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰のいずれかの方向の加速度に急変化が生じると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることが好ましい。また、情報処理装置100は、この場合、第2の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることが好ましい。
また、例えば、患者によって階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰の上下加速度に急変化が生じると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク振幅を用いることが好ましい。また、情報処理装置100は、この場合、第2の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク間隔を用いることが好ましい。
また、例えば、患者によって歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰の上下加速度に急変化が生じたり、患者の腰の前後加速度に急変化が生じたりすると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク振幅を用いてもよい。また、情報処理装置100は、この場合、第2の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク間隔を用いてもよい。
また、例えば、患者によってサイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた場合、患者の腰の左右加速度に急変化が生じると考えられる。このため、情報処理装置100は、境界期間801が、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する場合、第1の特徴量に、生体の左右方向の加速度のピーク振幅を用いることが好ましい。情報処理装置100は、第2の特徴量に、生体の左右方向の加速度の分散値を用いることが好ましい。
情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定する際、それぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を比較することができる。このため、情報処理装置100は、複数の異常運動のいずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを判定することができる。
情報処理装置100は、境界期間801の前後の運動期間で行われた運動に基づき、境界期間801が、その運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間であるか否かを判定してもよい。これにより、情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出する場合に比べて、処理量を低減することができる。
(情報処理装置100が尤度を算出する具体例)
次に、図10〜図26を用いて、情報処理装置100が尤度を算出する具体例について説明する。
図10は、尤度を算出する対象になる境界期間の一例を示す説明図である。図10のグラフ1000は、時刻ごとに、その時刻の上下加速度を示したグラフであり、上下加速度の時系列データに対応する。図10のグラフ1000の横軸は時刻である。図10のグラフ1000の縦軸は上下加速度である。上下加速度は、正の値であれば上方向の加速度であり、負の値であれば下方向の加速度である。
図10のグラフ1000の前側には、前歩行期間1010が検知されている。同様に、図10のグラフ1000の後側には、後歩行期間1020が検知されている。また、図10のグラフ1000の中央には、検知された前歩行期間1010と後歩行期間1020とに挟まれた境界期間1030が特定されている。情報処理装置100は、この境界期間1030を、尤度を算出する対象として選択する。
ここで、境界期間1030において、もし患者が異常運動を行っていれば、境界期間1030の前側で、患者の身体のいずれかの部位の動きが速くなり、その部位の上下加速度のピーク振幅の代表値が大きくなりやすいという性質がある。この性質によれば、境界期間1030と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。特に、境界期間1030の前半期間1031と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準の一つになりうる。
また、境界期間1030において、もし患者が異常運動を行っていれば、境界期間1030の後側で、患者が異常運動を行う前の動きに徐々に戻っていく傾向があり、患者の身体のいずれかの部位の動きは遅くなりやすいという性質がある。この性質によれば、境界期間1030と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。特に、境界期間1030の後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準の一つになりうる。
したがって、情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度と第2の特徴量の類似度とを算出する前には、境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割することが好ましい。境界期間1030を分割する具体例については、図11を用いて後述する。
そして、情報処理装置100は、その前半期間1031と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度と、その後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度とを算出する。第1の特徴量の非類似度を算出する具体例については、図12〜図17を用いて後述する。第2の特徴量の類似度を算出する具体例については、図18〜図21を用いて後述する。
これにより、情報処理装置100は、算出する第1の特徴量の非類似度や第2の特徴量の類似度が、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準になるようにすることができる。このため、情報処理装置100は、その基準に基づいて、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
図11は、情報処理装置100が境界期間1030を分割する具体例を示す説明図である。図11において、情報処理装置100は、境界期間1030の長さに合わせて、その境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割する分割時点について、N個の候補時点T1、T2・・・Tnを用意する。
情報処理装置100は、用意したN個の候補時点T1、T2・・・Tnのうち前半期間1031と後半期間1032との第3の特徴量の比率が最大になる候補時点を選択する。情報処理装置100は、具体的には、前半期間1031と後半期間1032との上下加速度の分散値の比率が最大になる候補時点を選択する。
そして、情報処理装置100は、選択した候補時点で境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割する。これにより、情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度や第2の特徴量の類似度が、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさをより精度よく評価する基準になるように、境界期間1030を分割することができる。
〈第1の特徴量の非類似度を算出する具体例〉
図12〜図14は、第1の特徴量の非類似度を算出する第1の例を示す説明図である。ここで、情報処理装置100は、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動の判定パターンを参照し、第1の特徴量として上下加速度のピーク振幅を用いることにする。
図12において、情報処理装置100は、前歩行期間1010の上下加速度のピークを検出し、前歩行期間1010の上下加速度のピーク振幅1201〜1203を算出する。ピークは、上下加速度が極大または極小になった時点である。ピーク振幅1201〜1203は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3が割り当てられ、値が3.2と2.8と2.9とである。
また、情報処理装置100は、前半期間1031の上下加速度のピークを検出し、前半期間1031の上下加速度のピーク振幅1204,1205を算出する。ピーク振幅1204,1205は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1,2が割り当てられ、値が7.4と1.6とである。これにより、情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度を算出する準備を行うことができる。次に、図13の説明に移行する。
図13のグラフ1300は、前歩行期間1010の上下加速度のピーク振幅1201〜1203の最大値と、前半期間1031の上下加速度のピーク振幅1204,1205の最大値との比率に対する、ピーク振幅の非類似度を示したグラフである。図13のグラフ1300は、下記式(1)によって示される。
ここで、xは、前歩行期間1010と前半期間1031との第1の特徴量の代表値の比率である。xは、例えば、前歩行期間1010と前半期間1031とのピーク振幅の最大値の比率である。f(x)は、前歩行期間1010と前半期間1031との第1の特徴量の非類似度である。α1,α2は、関数の形状を決めるパラメータである。α1は、負である。情報処理装置100は、図13のグラフ1300を用いることによりピーク振幅の非類似度を算出可能になる。次に、図14の説明に移行する。
図14において、情報処理装置100は、前歩行期間1010の上下加速度のピーク振幅の最大値3.2と、前半期間1031の上下加速度のピーク振幅の最大値7.4との比率2.3を算出し、上記式(1)に代入する。情報処理装置100は、上記式(1)によって、非類似度0.87を算出して記憶する。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
図15は、第1の特徴量の非類似度を算出する第2の例を示す説明図である。図15のグラフ1500は、時刻ごとに、その時刻の第1の特徴量を示したグラフである。図15のグラフ1500の横軸は時刻である。図15のグラフ1500の縦軸は第1の特徴量であり、例えば、上下加速度のピーク振幅である。図15のグラフ1500上で、それぞれの時刻での第1の特徴量は「○」を用いて示される。
ここで、境界期間の前半期間において、もし患者が異常運動を行っていれば、前歩行期間から前半期間にかけて、患者の身体のいずれかの部位の上下加速度のピーク振幅が大きくなっていく傾向がある。このため、前歩行期間と前半期間との上下加速度のピーク振幅が類似しにくいという性質がある。この性質によれば、前半期間と前歩行期間との第1の特徴量の非類似度は、前歩行期間から前半期間までの上下加速度のピーク振幅の増加度合いによっても表現可能である。
このため、情報処理装置100は、前歩行期間1501から前半期間1502までの第1の特徴量の単調増加の度合いを示す値を、前歩行期間1501と前半期間1502との第1の特徴量の非類似度として算出する。情報処理装置100は、例えば、前歩行期間1501から前半期間1502までの上下加速度のピーク振幅の近似直線1510の傾きを、前歩行期間1501と前半期間1502との上下加速度のピーク振幅の非類似度として算出する。これにより、情報処理装置100は、境界期間に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
ここで、境界期間の前半期間において、患者が異常運動を開始した直後までは、患者の身体のいずれかの部位の上下加速度のピーク振幅が大きくなるが、患者が異常運動を開始した直後よりも後には小さくなってしまう可能性がある。これによれば、前半期間と前歩行期間との第1の特徴量の非類似度は、前歩行期間から、前半期間のうち上下加速度のピーク振幅が最大になった時点までの、上下加速度のピーク振幅の増加度合いによって表現することが好ましい場合がある。
このため、情報処理装置100は、前半期間1502において上下加速度のピーク振幅が最大になった後にあるピーク振幅を、近似直線1510を求める際に用いないようにしてもよい。情報処理装置100は、例えば、ピーク振幅1520を用いないようにする。これにより、情報処理装置100は、境界期間に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つをより精度よく算出することができる。
図16は、第1の特徴量の非類似度を算出する第1の例と第2の例とを使い分ける一例を示す説明図である。情報処理装置100は、例えば、前歩行期間の長さに応じて、第1の特徴量の非類似度を算出する、上述した第1の例と第2の例とを使い分ける場合があってもよい。
情報処理装置100は、具体的には、患者、または医師などの医療関係者によって設定された、前歩行期間について推定される長さに応じて、第1の例と第2の例とのいずれかを用いるようにする。また、情報処理装置100は、具体的には、検知した前歩行期間の長さに応じて、第1の例と第2の例とを使い分けてもよい。
ここで、図16のグラフ1610のように、前半期間1612に比べて前歩行期間1611の長さが比較的短い場合がある。この場合には、前歩行期間1611の第1の特徴量にも異常運動が開始された影響が現れやすい傾向があり、第1の特徴量が単調増加しやすい傾向があると考えられる。このため、情報処理装置100は、前歩行期間1611の長さが比較的短い場合には、上述した第2の例を用いることが好ましく、非類似度として近似直線1620の傾きを算出することが好ましい。これにより、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つをより精度よく算出することができる。
一方で、図16のグラフ1630のように、前半期間1632に比べて前歩行期間1631の長さが比較的長い場合がある。この場合には、前歩行期間1631の第1の特徴量には異常運動が開始された影響が現れにくい傾向があり、第1の特徴量が単調増加しにくい傾向があると考えられる。このため、情報処理装置100は、前歩行期間1631の長さが比較的長い場合には、上述した第1の例を用いることが好ましい。これにより、情報処理装置100は、患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つをより精度よく算出することができる。
図17は、第1の特徴量の非類似度を算出する第3の例を示す説明図である。図17の例では、図10のグラフ1000とは異なるグラフを用いる。図17のグラフ1700は、時刻ごとに、その時刻の上下加速度を示したグラフであり、上下加速度の時系列データに対応する。図17のグラフ1700の横軸は時刻である。図17のグラフ1700の縦軸は上下加速度である。
図17のグラフ1700の前側には、前歩行期間1710が検知されている。同様に、図17のグラフ1700の後側には、後歩行期間1720が検知されている。また、図17のグラフ1700の中央には、検知された前歩行期間1710と後歩行期間1720とに挟まれた境界期間1730が特定されている。情報処理装置100は、この境界期間1730を、尤度を算出する対象として選択する。
ここで、境界期間1730において、もし患者が異常運動を行っていれば、境界期間1730の上下加速度のピーク振幅は、前歩行期間1710の上下加速度のピーク振幅よりも大きくなりやすいという性質がある。この性質によれば、境界期間1730と前歩行期間1710との第1の特徴量の非類似度は、境界期間1730の上下加速度のピーク振幅のうち、前歩行期間1710の上下加速度のピーク振幅に基づく閾値以上であるピーク振幅の数によっても表現可能である。
このため、情報処理装置100は、前歩行期間1710の上下加速度のピーク振幅の平均値4.0を閾値となる所定値Fthとして算出する。情報処理装置100は、境界期間1730の上下加速度のピーク振幅1731〜1733などを算出する。ピーク振幅1731〜1733などは、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3などが割り当てられ、値が5.4と6.8と7.0となどである。
情報処理装置100は、算出した境界期間1730の上下加速度のピーク振幅のうち、所定値Fth以上であるピーク振幅が連続した回数を算出する。情報処理装置100は、連続した回数、または連続した回数に基づく値を、前歩行期間1710と境界期間1730との上下加速度のピーク振幅の非類似度として算出して記憶する。これにより、情報処理装置100は、境界期間1730に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得することができる。
情報処理装置100は、第1の特徴量の非類似度を算出する、上述した第1の例と第2の例と第3の例との少なくとも2以上の例を組み合わせて、第1の特徴量の非類似度を算出する場合があってもよい。
〈第2の特徴量の類似度を算出する具体例〉
図18〜図20は、第2の特徴量の類似度を算出する第1の例を示す説明図である。ここで、情報処理装置100は、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動の判定パターンを参照し、第2の特徴量として上下加速度のピーク間隔を用いることにする。
図18において、情報処理装置100は、後半期間1032の上下加速度のピーク間隔1801〜1803を算出する。ピーク間隔1801〜1803は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3が割り当てられ、値が0.85と0.68と0.65とである。
また、情報処理装置100は、後歩行期間1020の上下加速度のピーク間隔1804〜1806を算出する。ピーク間隔1804〜1806は、具体的には、それぞれ、ピーク番号1〜3が割り当てられ、値が0.65と0.63と0.61とである。これにより、情報処理装置100は、第2の特徴量の類似度を算出する準備を行うことができる。次に、図19の説明に移行する。
図19のグラフ1900は、後半期間1032の上下加速度のピーク間隔1801〜1803の最大値と、後歩行期間1020の上下加速度のピーク間隔1804〜1806の最大値との比率に対する、ピーク間隔の類似度を示したグラフである。図19のグラフ1900は、下記式(2)によって示される。
ここで、xは、後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の代表値の比率である。xは、例えば、後半期間1032と後歩行期間1020とのピーク間隔の最大値の比率である。g(x)は、後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度である。β1,β2は、関数の形状を決めるパラメータである。β1は、正である。情報処理装置100は、図19のグラフ1900を用いることによりピーク間隔の類似度を算出可能になる。次に、図20の説明に移行する。
図20において、情報処理装置100は、後半期間1032の上下加速度のピーク間隔の最大値0.63と、後歩行期間1020の上下加速度のピーク間隔の最大値0.73との比率0.86を算出し、上記式(2)に代入する。情報処理装置100は、上記式(2)によって、類似度0.78を算出して記憶する。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
図21は、第2の特徴量の類似度を算出する第2の例を示す説明図である。図21のグラフ2100は、時刻ごとに、その時刻の第2の特徴量を示したグラフである。図21のグラフ2100の横軸は時刻である。図21のグラフ2100の縦軸は第2の特徴量であり、例えば、上下加速度のピーク間隔である。図21のグラフ2100上で、それぞれの時刻での第2の特徴量は「○」を用いて示される。
ここで、境界期間の後半期間において、もし患者が異常運動から徐々に復帰していれば、後半期間から後歩行期間にかけて、患者の身体のいずれかの部位の上下加速度のピーク間隔が徐々に大きい値から小さい値に安定していく性質がある。このため、後半期間と後歩行期間との上下加速度のピーク間隔が類似しやすいという性質がある。この性質によれば、後半期間と後歩行期間との第2の特徴量の類似度は、後半期間から後歩行期間までの上下加速度のピーク間隔の減少度合いによっても表現可能である。
このため、情報処理装置100は、後半期間2101から後歩行期間2102までの第2の特徴量の単調減少の度合いを示す値を、後半期間2101と後歩行期間2102との第2の特徴量の類似度として算出する。情報処理装置100は、例えば、後半期間2101から後歩行期間2102までの上下加速度のピーク間隔の近似直線2110の傾きを、後歩行期間2102と後半期間2101との上下加速度のピーク間隔の類似度として算出する。これにより、情報処理装置100は、境界期間に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを取得し、尤度を算出する際に用いることができる。
〈尤度を算出する具体例〉
次に、情報処理装置100が、算出した第1の特徴量の非類似度や第2の特徴量の類似度に基づいて、境界期間1030について、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出する第1の例について説明する。
情報処理装置100は、例えば、第1の特徴量の非類似度D1と、第2の特徴量の類似度D2とを乗算した値を、尤度として算出する。これにより、情報処理装置100は、非類似度D1が大きいほど尤度が大きくなり、かつ、類似度D2が大きいほど尤度が大きくなるように、尤度を算出することができる。そして、情報処理装置100は、異常運動期間としての尤もらしさを評価することができる。次に、図22の説明に移行する。
図22および図23は、尤度を算出する第2の例を示す説明図である。ここで、患者は、境界期間1030に異常運動を行ってしまうと、後歩行期間1020では、前歩行期間1010よりも慎重に運動を行う傾向がある。このため、前歩行期間1010と後歩行期間1020との第1の特徴量または第2の特徴量の代表値の差分は、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。
ここで、具体的には、患者が慎重に運動を行うと、患者の動きは遅くなり、患者の歩幅は大きめになることが考えられる。このため、具体的には、患者が慎重に運動を行うと、ピーク振幅は小さくなり、ピーク間隔は大きくなることが考えられる。
図22において、情報処理装置100は、前歩行期間1010のピーク振幅2201とピーク間隔2202とを算出する。また、情報処理装置100は、後歩行期間1020のピーク振幅2203とピーク間隔2204とを算出する。
情報処理装置100は、前歩行期間1010のピーク振幅2201と、後歩行期間1020のピーク振幅2203との差分を算出する。また、情報処理装置100は、前歩行期間1010のピーク間隔2202と、後歩行期間1020のピーク間隔2204との差分を算出する。そして、情報処理装置100は、算出した差分に基づいて下記式(3)により尤度を算出する。
ここで、wAは、算出した差分に基づいて設定される重みである。wAを設定する具体例については、図23を用いて後述する。D1は、第1の特徴量の非類似度である。D2は、第2の特徴量の類似度である。次に、図23の説明に移行する。
図23のグラフ2300は、算出した差分に対する重みを示したグラフである。図23のグラフ2300は、下記式(4)によって示される。
ここで、rは、算出した比率である。λ1,λ2は、関数の形状を決めるパラメータである。λ1は、負である。情報処理装置100は、図23のグラフ2300を用いて、算出した比率に対応する重みwAを設定し、尤度を算出する。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
図24は、尤度を算出する第3の例を示す説明図である。図24の例では、図10のグラフ1000とは異なるグラフを用いる。図24のグラフ2400は、時刻ごとに、その時刻の上下加速度を示したグラフであり、上下加速度の時系列データに対応する。図24のグラフ2400の横軸は時刻である。図24のグラフ2400の縦軸は上下加速度である。
図24のグラフ2400の前側には、前歩行期間2410が検知されている。同様に、図24のグラフ2400の後側には、後歩行期間2420が検知されている。また、図24のグラフ2400の中央には、検知された前歩行期間2410と後歩行期間2420とに挟まれた境界期間2430が特定されている。
情報処理装置100は、歩行期間のほか、患者が着席した着席期間2440や患者が起立した起立期間2450などを検知しているとする。情報処理装置100は、例えば、ある期間の所定の特徴量が、患者の着席や起立に対応する条件を満たすか否かに基づいて、着席期間2440や起立期間2450などを検知する。
図24の例では、検知した着席期間2440や起立期間2450などは、境界期間2430に含まれている。着席期間や起立期間の検知は、例えば、非特許文献SVM−based posture identification with a single waist−located triaxial accelerometerなどを参照することができる。
ここで、前歩行期間2410と、後歩行期間2420とに挟まれた境界期間2430では、歩行運動以外の運動が行われている場合、歩行運動に関連する異常運動が行われている可能性が低くなる性質がある。この性質によれば、境界期間2430に、着席期間2440や起立期間2450などが含まれている場合、尤度を小さくすることが好ましいと考えられる。
このため、情報処理装置100は、検知した着席期間2440や起立期間2450などが、境界期間2430に含まれているため、尤度が小さくなるように、尤度を算出する。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
図25および図26は、尤度を算出する第4の例を示す説明図である。ここで、異常運動は、例外的な、危険が大きい運動であるため、患者は、異常運動が長く続かないようにする傾向があり、境界期間は、短くなる傾向がある。このため、境界期間の長さは、境界期間1030に患者によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つになりうる。そして、情報処理装置100は、境界期間の長さに基づいて下記式(5)により尤度を算出する。
ここで、wBは、境界期間の長さに基づいて設定される重みである。例えば、図25のグラフ2510のように、前歩行期間2511と後歩行期間2512とに挟まれた境界期間2513の長さが比較的長い場合には、重みwBを小さく設定して、尤度を小さくすることが好ましい。
一方で、図25のグラフ2520のように、前歩行期間2521と後歩行期間2522とに挟まれた境界期間2523の長さが比較的短い場合には、重みwBを大きく設定して、尤度を大きくすることが好ましい。wBを設定する具体例については、図26を用いて後述する。D1は、第1の特徴量の非類似度である。D2は、第2の特徴量の類似度である。次に、図26の説明に移行する。
図26のグラフ2600は、境界期間の長さに対する重みを示したグラフである。図26のグラフ2600は、下記式(6)によって示される。
ここで、tは、境界期間の長さである。ε1,ε2は、関数の形状を決めるパラメータである。ε1は、負である。情報処理装置100は、図26のグラフ2600を用いて、境界期間の長さに対応する重みwBを設定し、尤度を算出する。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
(異常運動期間であるか否かを判定した結果の一例)
図27〜図33は、情報処理装置100が異常運動期間であるか否かを判定した結果の一例を示す説明図である。
図27のグラフ2700は、患者が歩行運動を行っていた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸2710は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸2720は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸2710上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸2710上に丸印で囲まれた期間は、患者が一時的にバランスを崩したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、時間軸2720上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間を判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が一時的にバランスを崩していても、異常運動期間を含む運動期間を精度よく特定することができる。次に、図28の説明に移行する。
図28のグラフ2800は、患者が歩行運動を行っていた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸2810は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸2820は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸2810上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸2810上に丸印で囲まれた期間は、患者が一定期間バランスを崩したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、時間軸2820上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間を判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が一定期間バランスを崩していても、異常運動期間を含む運動期間を精度よく特定することができる。次に、図29の説明に移行する。
図29のグラフ2900は、患者が長期間歩行運動を行っていた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸2910は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸2920は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸2910上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸2910上に丸印で囲まれた期間は、患者が一時的にバランスを崩したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、時間軸2920上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間を判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が長期間歩行運動を行っていて、一時的にバランスを崩していても、異常運動期間を含む運動期間を精度よく特定することができる。次に、図30の説明に移行する。
図30のグラフ3000は、患者が歩行運動を行っている途中に静止していた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3010は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3020は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3010上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3010上に丸印で囲まれた期間は、患者が静止していたため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図30の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3020上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が歩行運動を行っている途中に静止していた期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。次に、図31の説明に移行する。
図31のグラフ3100は、患者が歩行運動を行っている途中に静止した後に回転した場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3110は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3120は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3110上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3110上に丸印で囲まれた期間は、患者が静止し、静止した後に回転したため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図31の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3120上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が歩行運動を行っている途中に静止し、静止した後に回転した期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。次に、図32の説明に移行する。
図32のグラフ3200は、患者が歩行運動を行っている途中に計測機101の装着位置がずれた場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3210は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3220は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3210上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3210上に丸印で囲まれた期間は、計測機101の装着位置がずれたため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図32の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3220上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、計測機101の装着位置がずれていた期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。次に、図33の説明に移行する。
図33のグラフ3300は、患者が歩行運動を行っている途中に静止して屈んだ場合に対応する時系列データの一例である。この時系列データは、上下加速度、左右加速度、前後加速度を含む。時間軸3310は、歩行期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。時間軸3320は、異常運動期間として検知された期間を、角丸の四角形で示す。
情報処理装置100は、この時系列データに基づいて、時間軸3310上に角丸の四角形で示す期間を、歩行期間として検知することができる。一方で、時間軸3310上に丸印で囲まれた期間は、患者が静止して屈んだため、歩行期間として検知されていない。
これに対し、情報処理装置100は、図10〜図26と同様に、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出することができる。図33の例では、尤度は閾値よりも小さくなる。これにより、情報処理装置100は、時間軸3320上に示すように、歩行運動に関連する異常運動が行われた異常運動期間は存在しないと判定することができる。このため、情報処理装置100は、患者が静止して屈んでいた期間を、誤って運動期間として特定することを防止することができる。
このように、情報処理装置100は、運動期間として検知されなかった境界期間について、運動期間に含まれる異常運動期間であるかを精度よく判定することができる。このため、情報処理装置100は、運動期間を特定する精度の向上を図り、患者、または医師などの医療関係者を支援することができる。
(解析処理手順の一例)
次に、図34を用いて、情報処理装置100が実行する解析処理手順の一例について説明する。
図34は、解析処理手順の一例を示すフローチャートである。図34において、情報処理装置100は、一定期間の時系列データを計測機101から取得する(ステップS3401)。
次に、情報処理装置100は、取得した時系列データに基づいて、一定期間のうちの運動期間を検知する(ステップS3402)。そして、情報処理装置100は、検知した運動期間に基づいて、一定期間のうちの運動期間に挟まれた境界期間を特定する(ステップS3403)。
次に、情報処理装置100は、特定した境界期間のいずれかを選択する(ステップS3404)。そして、情報処理装置100は、選択した境界期間を2分割し、境界期間の前半期間と、境界期間の後半期間とを特定する(ステップS3405)。
その後、情報処理装置100は、複数の異常運動のうち、いずれかの異常運動を選択する(ステップS3406)。
次に、情報処理装置100は、選択した異常運動の判定パターンにしたがって、特定した境界期間の前半期間と、その境界期間の直前の運動期間とのそれぞれについて、第1の特徴量を抽出する(ステップS3407)。そして、情報処理装置100は、境界期間の前半期間について抽出した第1の特徴量と、その境界期間の直前の運動期間について抽出した第1の特徴量との非類似度を算出する(ステップS3408)。
次に、情報処理装置100は、選択した異常運動の判定パターンにしたがって、特定した境界期間の後半期間と、その境界期間の直後の運動期間とのそれぞれについて、第2の特徴量を抽出する(ステップS3409)。そして、情報処理装置100は、境界期間の後半期間について抽出した第2の特徴量と、その境界期間の直後の運動期間について抽出した第2の特徴量との類似度を算出する(ステップS3410)。
その後、情報処理装置100は、算出した非類似度と類似度とに基づいて、選択した異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を算出する(ステップS3411)。
次に、情報処理装置100は、複数の異常運動をすべて選択したか否かを判定する(ステップS3412)。ここで、選択していない異常運動がある場合(ステップS3412:No)、情報処理装置100は、ステップS3406の処理に戻る。
一方で、複数の異常運動をすべて選択している場合(ステップS3412:Yes)、情報処理装置100は、ステップS3413の処理に移行する。ステップS3413の処理に移行すると、情報処理装置100は、それぞれの異常運動について算出した尤度に基づいて、選択した境界期間が、複数の異常運動のいずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを決定する(ステップS3413)。
次に、情報処理装置100は、特定した境界期間をすべて選択したか否かを判定する(ステップS3414)。ここで、選択していない境界期間がある場合(ステップS3414:No)、情報処理装置100は、ステップS3404の処理に戻る。
一方で、境界期間をすべて選択している場合(ステップS3414:Yes)、情報処理装置100は、検知した運動期間やいずれかの異常運動が行われた異常運動期間について所定の特徴量を抽出する(ステップS3415)。
次に、情報処理装置100は、抽出した所定の特徴量を出力する(ステップS3416)。そして、情報処理装置100は、解析処理を終了する。これにより、情報処理装置100は、運動期間を精度よく特定し、その運動期間についての解析結果を患者、または医師などの医療関係者に通知し、患者の状態を把握しやすくすることができる。
以上説明したように、情報処理装置100によれば、生体の動きに関する計測情報に基づいて、生体によって運動が行われた前歩行期間1010と、生体によって運動が行われた後歩行期間1020とを検知することができる。情報処理装置100によれば、計測情報に基づいて、前歩行期間1010と後歩行期間1020との間にある境界期間1030における、前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度と、後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度とを算出することができる。情報処理装置100によれば、算出した非類似度と類似度とに基づいて、境界期間1030が、生体によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030を運動期間として検知することが難しくても、その境界期間1030が第3の運動期間であると判定することができ、種々の運動期間を特定する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、前歩行期間1010に、境界期間1030よりも前の運動期間を用いることができる。情報処理装置100によれば、後歩行期間1020に、境界期間1030よりも後の運動期間を用いることができる。情報処理装置100によれば、計測情報に基づいて、境界期間1030の前半期間1031と前歩行期間1010との第1の特徴量の非類似度と、境界期間1030の後半期間1032と後歩行期間1020との第2の特徴量の類似度とを算出することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つとして非類似度や類似度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030を前半期間1031と後半期間1032とに分割する分割時点の複数の候補時点を用意することができる。情報処理装置100によれば、複数の候補時点のうち、前半期間1031と後半期間1032との第3の特徴量の比率が最大になる候補時点を用いて境界期間1030を2分割することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つとして非類似度や類似度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、第3の運動期間としての尤度を、非類似度が大きいほど尤度が大きくなり、類似度が大きいほど尤度が大きくなるように算出することができる。情報処理装置100によれば、尤度が閾値以上である場合に、境界期間1030が第3の運動期間であると判定することができる。これにより、情報処理装置100は、非類似度と類似度とを尤度にまとめることができ、非類似度と類似度との大きさの関係性を考慮して、境界期間1030が、第3の運動期間であるか否かを判定することができる。また、情報処理装置100は、非類似度と類似度とのほかに、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準になる要素があっても、その要素を尤度にまとめることができる。
また、情報処理装置100は、複数の異常運動のそれぞれの異常運動が行われた異常運動期間を、第3の運動期間として用いる場合にも適用することができる。情報処理装置100は、それぞれの異常運動が行われた異常運動期間としての尤度を比較することができ、境界期間1030が、いずれの異常運動が行われた異常運動期間であるかを判定することができる。
また、情報処理装置100によれば、前歩行期間1010と後歩行期間1020とにおける、第1の特徴量または第2の特徴量の代表値の差分に基づいて、尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030の一部期間における前歩行期間1010と後歩行期間1020とに行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値が大きいほど尤度が小さくなるように尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030が長いほど尤度が小さくなるように尤度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、尤度を算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、前歩行期間1010から前半期間1031までの第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いが大きいほど非類似度の値が大きくなるように非類似度を算出することができる。情報処理装置100によれば、後半期間1032から後歩行期間1020までの第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いが大きいほど類似度の値が大きくなるように類似度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、境界期間1030において第1の特徴量が所定値を超えた回数が多いほど非類似度の値が大きくなるように非類似度を算出することができる。これにより、情報処理装置100は、境界期間1030に生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出する精度の向上を図ることができる。
また、情報処理装置100によれば、所定値を、前歩行期間1010における第1の特徴量の代表値に基づいて設定することができる。これにより、情報処理装置100は、前歩行期間1010と、境界期間1030とにおける第1の特徴量の関係を考慮して、その境界期間1030に、生体によって異常運動が行われた可能性の大きさを評価する基準の一つを算出することができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の合成加速度の分散値を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、立位維持運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク振幅を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の上下方向の加速度のピーク間隔を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、階段昇降運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク振幅を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の前後方向の加速度のピーク間隔を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、歩行運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
また、情報処理装置100によれば、第1の特徴量に、生体の左右方向の加速度のピーク振幅を用いることができる。情報処理装置100によれば、第2の特徴量に、生体の左右方向の加速度の分散値を用いることができる。これにより、情報処理装置100は、第3の運動期間として、サイクリング運動中にバランスを崩すという異常運動が行われた異常運動期間を用いることができる。
なお、本実施の形態で説明した情報処理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本実施の形態で説明した情報処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本実施の形態で説明した情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)計測機と、前記計測機と通信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記計測機は、
計測対象の動きに関する計測情報を計測し、
前記情報処理装置は、
前記計測機から前記計測情報を取得し、
取得した前記計測情報に基づいて、前記計測対象によって運動が行われた第1の運動期間と、前記計測対象によって運動が行われた第2の運動期間とを検知し、
取得した前記計測情報に基づいて、検知した前記第1の運動期間と前記第2の運動期間との間にある境界期間における、前記第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、前記第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出し、
算出した結果に基づいて、前記境界期間が、前記計測対象によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理システム。
(付記2)前記第1の運動期間は、前記境界期間よりも前の運動期間であり、
前記第2の運動期間は、前記境界期間よりも後の運動期間であり、
前記情報処理装置は、
前記計測情報に基づいて、前記境界期間の前半期間と前記第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、前記境界期間の後半期間と前記第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出する、ことを特徴とする付記1に記載の情報処理システム。
(付記3)前記情報処理装置は、
前記境界期間を前記前半期間と前記後半期間とに分割する分割時点の複数の候補時点のうち、前記前半期間と前記後半期間との第3の特徴量の比率が最大になる候補時点を用いて前記境界期間を2分割する、ことを特徴とする付記2に記載の情報処理システム。
(付記4)前記情報処理装置は、
前記境界期間における、前記第1の運動期間との第1の特徴量の非類似度と、前記第2の運動期間との第2の特徴量の類似度とを算出する、ことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記5)前記情報処理装置は、
前記第3の運動期間としての尤度を、前記非類似度が大きいほど前記尤度が大きくなり、前記類似度が大きいほど前記尤度が大きくなるように算出し、前記尤度が閾値以上である場合に、前記境界期間が前記第3の運動期間であると判定する、ことを特徴とする付記4に記載の情報処理システム。
(付記6)前記情報処理装置は、
前記第1の運動期間と前記第2の運動期間とにおける、前記第1の特徴量または前記第2の特徴量の代表値の差分に基づいて、前記尤度を算出する、ことを特徴とする付記5に記載の情報処理システム。
(付記7)前記情報処理装置は、
前記境界期間の一部期間における前記第1の運動期間と前記第2の運動期間とに行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値が大きいほど前記尤度が小さくなるように前記尤度を算出する、ことを特徴とする付記5または6に記載の情報処理システム。
(付記8)前記情報処理装置は、
前記境界期間が長いほど前記尤度が小さくなるように前記尤度を算出する、ことを特徴とする付記5〜7のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記9)前記情報処理装置は、
前記第1の運動期間から前記境界期間の前半期間までの前記第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いが大きいほど前記非類似度の値が大きくなるように前記非類似度を算出し、前記境界期間の後半期間から前記第2の運動期間までの前記第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いが大きいほど前記類似度の値が大きくなるように前記類似度を算出する、ことを特徴とする付記4〜8のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記10)前記情報処理装置は、
前記境界期間において前記第1の特徴量が所定値を超えた回数が多いほど前記非類似度の値が大きくなるように前記非類似度を算出する、ことを特徴とする付記4〜8のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記11)前記所定値は、前記第1の運動期間における前記第1の特徴量の代表値に基づいて設定される、ことを特徴とする付記10に記載の情報処理システム。
(付記12)前記1以上の特徴量は、前記計測対象の加速度、角速度、位置、および地磁気の少なくともいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記13)前記第1の特徴量は、前記計測対象の合成加速度の分散値であり、
前記第2の特徴量は、前記計測対象の合成加速度の分散値である、ことを特徴とする付記4〜11のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記14)前記第1の特徴量は、前記計測対象の上下方向の加速度のピーク振幅であり、
前記第2の特徴量は、前記計測対象の上下方向の加速度のピーク間隔である、ことを特徴とする付記4〜11のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記15)前記第1の特徴量は、前記計測対象の前後方向の加速度のピーク振幅であり、
前記第2の特徴量は、前記計測対象の前後方向の加速度のピーク間隔である、ことを特徴とする付記4〜11のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記16)前記第1の特徴量は、前記計測対象の左右方向の加速度のピーク振幅であり、
前記第2の特徴量は、前記計測対象の左右方向の加速度の分散値である、ことを特徴とする付記4〜11のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記17)前記情報処理装置は、
前記第3の運動期間であると判定された前記境界期間に対応付けて、前記境界期間の一部期間における前記第1の運動期間と前記第2の運動期間とに行われた運動とは異なる運動が行われた可能性の大きさを示す指標値、前記境界期間の長さ、前記第1の運動期間から前記境界期間の前半期間までの前記第1の特徴量が所定方向に単調変化する度合いの大きさ、前記境界期間の後半期間から前記第2の運動期間までの前記第2の特徴量が所定方向に単調変化する度合いの大きさ、および前記境界期間において前記第1の特徴量が所定値を超えた回数の少なくともいずれかを出力する、ことを特徴とする付記4〜11のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記18)前記情報処理装置は、
前記第3の運動期間であると判定された前記境界期間に対応付けて、前記第3の運動期間であると判定された前記境界期間における所定の特徴量を出力する、ことを特徴とする付記1〜17のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記19)前記情報処理装置は、
前記第1の運動期間および前記第2の運動期間に対応付けて、前記第1の運動期間および前記第2の運動期間における所定の特徴量を出力する、ことを特徴とする付記1〜18のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記20)前記所定の特徴量は、前記計測対象の加速度、角速度、位置、および地磁気のいずれかについての、ピーク振幅、ピーク間隔、ゼロクロス点の時間間隔、積分値、および分散値のいずれかである、ことを特徴とする付記18または19に記載の情報処理システム。
(付記21)前記情報処理装置は、
前記第3の運動期間であると判定された前記境界期間に対応付けて、算出した結果および判定した結果の少なくともいずれかを出力する、ことを特徴とする付記1〜20のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(付記22)計測対象の動きに関する計測情報を取得し、
取得した前記計測情報に基づいて、前記計測対象によって運動が行われた第1の運動期間と、前記計測対象によって運動が行われた第2の運動期間とを検知し、
取得した前記計測情報に基づいて、検知した前記第1の運動期間と前記第2の運動期間との間にある境界期間における、前記第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、前記第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出し、
算出した結果に基づいて、前記境界期間が、前記計測対象によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定する、
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
(付記23)コンピュータが、
計測対象の動きに関する計測情報を取得し、
取得した前記計測情報に基づいて、前記計測対象によって運動が行われた第1の運動期間と、前記計測対象によって運動が行われた第2の運動期間とを検知し、
取得した前記計測情報に基づいて、検知した前記第1の運動期間と前記第2の運動期間との間にある境界期間における、前記第1の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度と、前記第2の運動期間との1以上の特徴量それぞれの類似度または非類似度とを算出し、
算出した結果に基づいて、前記境界期間が、前記計測対象によって運動が行われた第3の運動期間であるか否かを判定する、
処理を実行することを特徴とする情報処理方法。