JPWO2018179199A1 - シームレスカプセル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

カプセル皮膜を備えたシームレスカプセルであって、前記カプセル皮膜は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有する、シームレスカプセル。

Description

本発明は、シームレスカプセルおよびその製造方法に関する。
従来、種々の医薬品、食品といった経口的に使用される製品として、カプセルが用いられている。
このようなカプセルとして、シームレスカプセルが用いられている。かかるシームレスカプセルは、カプセル皮膜を備え、該カプセル皮膜が、その内部または皮膜自身に有効成分などの内容物を収容する容器として機能するように構成されている。
この種のシームレスカプセルとして、カプセル皮膜がアルギン酸ナトリウムとカルシウム塩とを含有してなるシームレスカプセルが提案されている(特許文献1参照)。
また、カプセル皮膜が、多層の構成皮膜を有するシームレスカプセルが提案されている(特許文献2参照)。
一方、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分的分解物と、ポリフェノールとを含有することによって、増粘、ゲル化作用を発揮し得る組成物が提案されている(特許文献3参照)。
日本国特開平1−313421号公報 日本国特開2006−232760号公報 日本国特開2000−354460号公報
しかし、特許文献1の技術では、カプセル皮膜を形成するために、カルシウム塩、すなわち金属イオンが必要とされる。よって、内容物として、金属イオンと反応するような成分を添加することが困難となり、その結果、内容物の種類が限定されるおそれがある。しかも、内容物が金属イオンを含んでいると、その分、カプセル皮膜が不溶化され、その結果、カプセル皮膜の崩壊や溶出が不要に遅延するおそれもある。
また、特許文献1の技術では、アルギン酸ナトリウムをカプセル状に形成した後、さらにカルシウムでその表面を架橋する必要があるため、その分、高い技術力や特別な機器が必要となり、製造が煩雑になるおそれがある。
また、特許文献2の技術でも、複数の構成皮膜を形成する必要があるため、その分、高い技術力や特別な機器が必要となり、製造が煩雑になるおそれがある。
一方、特許文献3では、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物とポリフェノールとを用いることによってシームレスカプセルのカプセル皮膜を形成し得ることは、何ら開示されていない。
上記事情に鑑み、本発明は、従来よりも幅広い内容物を充填でき、しかも簡便に製造可能なシームレスカプセル及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物(以下、単に「ガラクトース部分分解物」という場合がある。)とポリフェノールとの反応性について鋭意研究した。
すると、驚くべきことに、ガラクトース部分分解物の水溶液をポリフェノールの水溶液に滴下すると、ガラクトース部分分解物水溶液の液滴の表面がポリフェノールと瞬時に反応してゲル化が生じ、これによって液滴の表面が皮膜で覆われることを見出した。すなわち、シームレスカプセルのカプセル皮膜が簡便に形成されることを見出した。
また、ガラクトース部分分解物水溶液の液滴をポリフェノール水溶液中に保持する時間や、ポリフェノール水溶液の濃度に応じて、カプセル皮膜の厚みが変化することを見出した。さらに、上記時間や濃度に応じてポリフェノールがより液滴の内部に浸透することで、最終的には液滴全体をもゲル化することも可能であることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るシームレスカプセルは、
カプセル皮膜を備えたシームレスカプセルであって、
前記カプセル皮膜は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有する。
かかる構成によれば、カプセル皮膜がガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有することによって、従来よりも幅広い内容物を充填でき、しかも簡便に製造可能なシームレスカプセルとなる。
上記構成のシームレスカプセルにおいては、
前記ガラクトース部分分解物は、ガラクトースが30〜55%分解されてなることが好ましい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物が、ガラクトースが30〜55%分解されてなることによって、ポリフェノールとの反応性が向上するため、比較的短時間で比較的均一な皮膜が形成され得る。
よって、より強度の高いカプセル皮膜を有するシームレスカプセルが、より短時間で製造され得る。
上記構成のシームレスカプセルにおいては、
前記ポリフェノールが、茶抽出物であることが好ましい。
かかる構成によれば、ポリフェノールが茶抽出物であることによって、ガラクトース部分分解物との反応性が向上するため、より強度の高いカプセル皮膜を有するシームレスカプセルが、より短時間で製造され得る。
本発明に係るシームレスカプセルの製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と水とを含有する第1の水溶液を、ポリフェノールと水とを含有する第2の水溶液に滴下することによって、前記ガラクトース部分分解物と前記ポリフェノールとを含有するカプセル皮膜を有するシームレスカプセルを形成する工程を備えた方法である。
かかる構成によれば、第1の水溶液を第2の水溶液中に滴下するだけでカプセル皮膜が形成されるため、簡便にシームレスカプセルを製造し得る。
また、上記の通り、得られたシームレスカプセルは、従来よりも幅広い内容物を収容できる。
従って、従来よりも幅広い内容物を充填できるシームレスカプセルを、簡便に製造し得る。
上記構成のシームレスカプセルの製造方法においては、
前記第1の水溶液における前記ガラクトース部分分解物の濃度を、0.5〜3.0質量%とすることが好ましい。
かかる構成によれば、第1の水溶液におけるガラクトース部分分解物の濃度を0.5〜3.0質量%とすることによって、第1の水溶液が滴下に適した粘度となり、また、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性を向上させることができるため、より強度の高いシームレスカプセルを、簡便に、より短時間で製造し得る。
上記構成のシームレスカプセルの製造方法においては、
前記第2の水溶液における前記ポリフェノールの濃度を、0.25〜10質量%とすることが好ましい。
かかる構成によれば、第2の水溶液におけるポリフェノールの濃度を0.25〜10質量%とすることによって、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性を向上させることができるため、より強度の高いシームレスカプセルを、より短時間で製造し得る。
上記構成のシームレスカプセルの製造方法においては、
前記ポリフェノールとして、茶抽出物を用いることが好ましい。
かかる構成によれば、ポリフェノールとして茶抽出物を用いることによって、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性が向上するため、より強度の高いシームレスカプセルを、より短時間で製造し得る。
本発明の一実施形態の、各形状を有するシームレスカプセルの写真 本実施形態の各形状のシームレスカプセルの最大径の一例を示す写真
以下に、本発明に係るシームレスカプセル及びその製造方法の実施形態について、説明する。
本実施形態のシームレスカプセルは、カプセル皮膜を備えたシームレスカプセルであって、前記カプセル皮膜は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有する。
前記ガラクトキシログルカンは、双子葉、単子葉植物など高等植物の細胞壁(一次壁)の構成成分であり、また、一部の植物種子の貯蔵多糖類として存在する非イオン性の高分子多糖類である。
このガラクトキシログルカンは、グルコース、キシロースおよびガラクトースを構成糖として有しており、主鎖としてβ−1,4結合してなるグルコースを有し、側鎖としてキシロースを有し、そのキシロースにさらに結合されたガラクトースを有する。
ガラクトキシログルカンは、いかなる植物由来のガラクトキシログルカンでもよく、例えばタマリンド、ジャトバ、ナスタチウムの種子、大豆、緑豆、インゲンマメ、イネ、オオムギなどの穀物またはリンゴなどの果実の表皮から入手できる。最も入手し易く、含有量も多いことを考慮すると、好ましくは、豆科植物タマリンド種子由来のガラクトキシログルカンである。かかるガラクトキシログルカンとしては、市販のものを採用し得る。市販品としては、例えば、グリロイド(登録商標、DSP五協フード&ケミカル(株)製)等が挙げられる。
前記ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物は、ガラクトキシログルカンの側鎖ガラクトースが、部分分解されて除去されてなる物質である。
なお、本実施形態においてガラクトキシログルカンとは、側鎖ガラクトースが後述する酵素処理による部分分解によって除去されていないガラクトキシログルカン(完全ガラクトキシログルカン)を意味する。また、かかる完全ガラクトキシログルカンは、ネイティブガラクトキシログルカンとも称される場合がある。
上記部分分解には酵素が用いられる。酵素としては、例えば、β−ガラクトシダーゼが挙げられる。
前記β−ガラクトシダーゼは、ガラクトキシログルカンに含まれるガラクトースとキシロースの結合を加水分解してガラクトースを遊離する酵素である。β−ガラクトシダーゼとしては、植物由来のものおよび微生物由来のもののいずれでもよいが、微生物Aspergillus oryzaeまたはBacillus circulans由来の酵素、または、ガラクトキシログルカン含有種子中の酵素が好ましい。かかるβ−ガラクトシダーゼとしては、市販のものを採用し得る。
このβ−ガラクトシダーゼによる酵素反応では、反応の進行につれて側鎖ガラクトースが部分的に除去され、その除去率が30%付近になると反応液は急激に増粘しゲル化する。ガラクトースの除去率が30〜55%の範囲では、加熱によってゲル化し冷却によってゾル化する可逆的熱応答ゲル化性を有するものとなる。ガラクトース除去率が30%未満ではポリフェノールとの反応性が低下し、また、55%を越えるとガラクトース部分分解物の水への溶解性が低下し、均一なガラクトース部分分解物水溶液を調製しにくく、不均一な皮膜が形成される傾向にある。
この点を考慮すれば、ガラクトースが30〜55%部分分解されてなる上記ガラクトース部分分解物を用いることが好ましい。ガラクトース部分分解物が、ガラクトースが30〜55%部分分解されてなることによって、ポリフェノールと反応させると、比較的短時間で比較的均一な皮膜が形成され得る。よって、より強度の高いカプセル皮膜を有するシームレスカプセルが、より短時間で製造され得る。
ガラクトキシログルカンは、通常、側鎖キシロースを約37%、側鎖ガラクトースを約17%含有している(Gidleyら、カーボハイドレート リサーチ(Carbohydrate Research)、214(1991)219−314頁参照)。よって、ガラクトースが30〜55%部分分解されてなるガラクトース部分分解物は、側鎖キシロースを39〜41%、側鎖ガラクトースを8〜12%含有していると算出される。
なお、ガラクトースの部分分解率(すなわち、ガラクトースの除去率)は、得られた部分分解物がセルラーゼ分解されることによって生成されるガラクトキシログルカンオリゴ糖量を、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと称する。)(アミノカラム)で測定することにより算出することができる。
前記ポリフェノールとしては、化学合成品であるポリフェノール、植物由来のポリフェノール(植物ポリフェノール)が挙げられ、これらのうち、好ましくは植物ポリフェノールである。
植物ポリフェノールは、緑茶(抹茶煎茶など)、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶(黒茶)、マテ茶等の茶葉、白色野菜、柑橘類の果皮や種子、ブドウの果皮や種子(赤ワイン、赤ブドウ果汁など)、リンゴ、柿、桃、なし、タマネギの皮、栗、ゴボウ、コーヒー豆、カカオ豆等から、温水等で抽出される抽出物(固体状及び液状状の抽出物を含む)である。この抽出物には、モノマーポリフェノールやポリマーポリフェノールが多く含まれている。
上記モノマーポリフェノールとしては、フラボノイド類、クロロゲン酸、没食子酸や、エラグ酸等が挙げられる。
上記フラボノイド類としては、カテキン類、ケルセチン、ルチン、アントシアニン等が挙げられる。
上記カテキン類としては、(+)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、及び、これらの没食子酸エステル等が挙げられる。これらのうち、カテキン類としては、(−)−エピガロカテキンの没食子酸エステル(エピガロカテキンガレート)が好ましい。
上記ポリマーポリフェノールとしては、縮合型及び加水分解型のタンニン等が挙げられる。
上記縮合型のタンニンとしては、プロアントシアニジン類等が挙げられ、該プロアントシアニジン類としては、テアルビジンやプロデルフィニジン等が挙げられる。
上記加水分解型のタンニンとしては、タンニン酸、ガロタンニンや、エラグタンニン等が挙げられる。
上記植物ポリフェノールが使用される場合、上述の抽出物それ自体が使用されてもよいし、また、その抽出物から有効成分であるポリフェノールを濃縮(抽出)したものでもよいし、さらに、その抽出物から有効成分のポリフェノールを精製(分離)したものでもよい。これらの抽出物のうち、茶葉から抽出された抽出物である茶抽出物が、好ましい。
なお、上記植物ポリフェノールは、上記のものに特に限定されるものではなく、ポリフェノールを含有する植物から得られるものであれば、いずれでもよい。
なお、ポリフェノールは、1種又は複数種の混合物として用いられてもよい。
前記カプセル皮膜は、ガラクトース部分分解物と、ポリフェノールと、さらに水を含有する。
かかるカプセル皮膜は、ゲル状であっても、フィルム状であってもよい。ガラクトース部分分解物と、ポリフェノールと、水とを混合することによってゲル状のカプセル皮膜が得られ、得られた混合物の水分量を乾燥等によって低減させることによって、フィルム状のカプセル皮膜が得られる。
カプセル皮膜中のガラクトース部分分解物の含有量は、所望のカプセル皮膜の強度に応じて適宜設定されればよく、特に限定されない。
カプセル皮膜中のポリフェノールの含有量は、ガラクトース部分分解物がゲル化し得る程度、及び、カプセル皮膜の厚み方向におけるゲル化の程度に応じて、すなわち、所望のカプセル皮膜の厚みに応じて適宜設定されればよく、特に限定されない。
シームレスカプセルの大きさ(すなわちカプセル皮膜の大きさ)は、特に限定されないが、例えば、図2に示すように、シームレスカプセルの中心を通り、該シームレスカプセルの両端(中心を通る仮想直線がシームレスカプセルの表面と交わる2つの交点)を結ぶ最大の長さ(最大径)が2〜10mmとされ得る。なお、最大径は、シームレスカプセルが球状の場合には、直径に相当する。また、涙形の場合には、その球状部分の最大径に相当する。
カプセル皮膜の厚みは、特に限定されないが、例えば、その最大径に対して3〜40%程度の値であることが好ましい。かかる厚みの比率は、後述する実施例に記載された方法によって、皮膜率として測定され得る。
カプセル皮膜の厚みが3%以上であることによって、皮膜の強度がより十分なものとなり、40%以下であることによって、皮膜の内部に他の成分を収容し得る体積を確保することができる。
なお、カプセル皮膜は、皮膜の内側にゲル化されていない部分を有していても、皮膜の表面から中心まで全てゲル化されている中実の状態であってもよい。カプセル皮膜が内側にゲル化されていない部分を有する場合には、その内側には、通常、ガラクトース部分分解物水溶液が存在している。
本実施形態のカプセル皮膜は、必要に応じて、通常、カプセル皮膜に添加される各種添加剤を含有してもよい。かかる添加剤としては、例えば、可塑剤、防腐剤、水分活性低下剤、pH調整剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。上記の他、添加剤として、皮膜用賦形剤が挙げられ、該賦形剤としては、例えば、各種デンプン類(修飾デンプン、加工デンプン、デンプン、デンプン分解物等を含む)等の各種多糖類が挙げられる。
本実施形態のシームレスカプセルには、カプセル皮膜の内部(すなわちガラクトース部分分解物水溶液内)、または、カプセル皮膜(自身の)内に、内容物が収容され得る。
内容物は、特に限定されない。内容物としては、例えば、オリーブ油やキャノーラ油などの油剤が挙げられる。また、かかる油剤に有効成分が分散又は溶解されたもの等も挙げられる。なお、上記油剤は、ポリフェノール水溶液に滴下される前に、ガラクトース部分分解物と混合され、乳化され、この状態で、ガラクトース部分分解物と共にポリフェノール水溶液に滴下されてもよい。この場合には、油剤は、ガラクトース部分分解物水溶液と乳化された状態で、カプセル皮膜及びカプセル皮膜内部に収容される。
シームレスカプセル全体の体積に対する内容物の体積の比は、20〜93体積%であることが好ましい。なお、この場合において、カプセル皮膜の上記皮膜率が、3〜40%であることが好ましい。
次いで、本実施形態のシームレスカプセルの製造方法について、説明する。
本実施形態のシームレスカプセルの製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と水とを含有する第1の水溶液を、ポリフェノールと水とを含有する第2の水溶液に滴下することによって、前記ガラクトース部分分解物と前記ポリフェノールとを含有するカプセル皮膜を有するシームレスカプセルを形成する工程を備えた方法である。
具体的には、本実施形態のシームレスカプセルの製造方法では、ガラクトース部分分解物を水に溶解させて第1の水溶液を調製し、ポリフェノールを水に溶解させて第2の水溶液を調製し、第1の水溶液を第2の水溶液に滴下させる。第1の水溶液の液滴が第2の水溶液と接触すると、滴下した瞬間から液滴の表面側からゲル化し、時間の経過に伴って第2の水溶液が液滴内に浸透し、液滴の表面側から中心に向かってゲル化が進む。これによって、カプセル皮膜が形成される。
第1の水溶液におけるガラクトース部分分解物の濃度は、特に限定されず、カプセル皮膜が形成され得るように適宜設定され得る。例えば、ガラクトース部分分解物の濃度が高い程、ポリフェノールとの反応性が高くなる一方、濃度が高くなり過ぎると、粘度が過度に高くなって滴下が困難になる傾向にある。
従って、例えば、かかる観点を考慮して、第1の水溶液におけるガラクトース部分分解物の濃度を0.25〜5.0質量%とすることが好ましく、0.5〜3.0質量%とすることがより好ましい。
第1の水溶液におけるガラクトース部分分解物の濃度を0.25〜5.0質量%とすることによって、第1の水溶液が滴下に適した粘度となり、また、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性を向上させることができるため、より強度の高いシームレスカプセルを、簡便に、より短時間で製造し得る。
第2の水溶液におけるポリフェノールの濃度は、特に限定されず、カプセル皮膜が形成され得るように適宜設定され得る。例えば、ポリフェノールの濃度が高い程、ガラクトース部分分解物との反応性が高くなる一方、濃度が高くなり過ぎると、形成されたシームレスカプセルが口腔内に含まれた際、苦味が感じられる傾向にある。
従って、例えば、かかる観点を考慮して、第2の水溶液におけるポリフェノールの濃度は、0.1〜20質量%が好ましく、0.25〜10質量%であることがより好ましい。
第2の水溶液におけるポリフェノールの濃度を0.25〜10質量%とすることによって、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性を向上させることができるため、より強度の高いシームレスカプセルを、より短時間で製造し得る。また、服用された際の苦みの発生が抑制され得る。
滴下時の第1の水溶液及び第2の水溶液の温度は、特に限定されず、適宜設定され得る。例えば、滴下時にこれら水溶液の温度が高いと、カプセル皮膜を形成し難くなる傾向にある。
従って、例えば、かかる観点を考慮すれば、滴下時の第1の水溶液及び第2の水溶液の温度は、5〜25℃が好ましい。
滴下後における第2の溶液中での第1の水溶液の保持時間は、特に限定されず、適宜設定され得る。例えば、保持時間が長くなる程、ポリフェノールが液滴の内部に浸透してゲル化し、その結果、皮膜が厚くなる傾向にある。また、保持時間がさらに長くなると、最終的に、カプセル皮膜全体がゲル化された状態となる傾向にある。
従って、例えば、かかる観点を考慮して、滴下後の保持時間を10秒〜2時間とすることが好ましい。
なお、液滴を第2の水溶液から取り出すことによって、液滴への第2の水溶液の供給が停止される。液滴中で未反応の(未だゲル化に関与していない)第2の水溶液が残っている場合には、取り出し後においても、その分だけ、内部へのポリフェノールの拡散、及び、ゲル化が進行し、一方、第2の水溶液が反応に関与できなくなると、ゲル化が停止する。
第2の液中に第1の液を滴下する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の滴下方法が採用され得る。かかる滴下方法としては、例えば、先端に開口を有する筒状部材を用いた方法が挙げられる。このような筒状部材としては、ノズル、ピペット等が挙げられる。
また、第1の液の内部に、該第1の液及び第2の液とは異なる第3の液を収容しながら、第2の液中に滴下する方法も挙げられる。このような方法として、例えば、外側のノズルの内部に内側のノズルが配された二重ノズルを用いて、外側のノズルから第1の液、内側のノズルから第3の液を、第1の液滴内に第3の液滴が収容されるように、第2の液に滴下することが挙げられる。この他、一方のノズルの外側に、該一方のノズルよりも口径が小さい他方のノズルが配されてなる2つのノズルを用いて、上記一方のノズルから第1の液滴を、上記他方のノズルから第3の液滴を、第1の液滴内に第3の液滴が収容されるように、第2の液に滴下することも挙げられる。
なお、第1の液滴の内部に、2種類以上の液滴を収容してもよい。
また、第1の液に、液滴よりもさらに小さいカプセル等を分散し、この分散液を第2の液に滴下してカプセル皮膜の内部に上記カプセルが収容されたシームレスカプセルを製造してもよい。
シームレスカプセルの大きさ(最大径)は、例えば、上記筒状部材の先端の口径(直径)を変化させることによって、変化させ得る。
以上の通り、本実施形態のシームレスカプセルは、
カプセル皮膜を備えたシームレスカプセルであって、
前記カプセル皮膜は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有する。
本実施形態のシームレスカプセルによれば、カプセル皮膜がガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有することによって、従来よりも幅広い内容物を充填でき、しかも簡便に製造可能なシームレスカプセルとなる。
加えて、本実施形態のシームレスカプセルは、カプセル皮膜がガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有することによって、耐酸性を有する。
さらに、本実施形態のシームレスカプセルは、カプセル皮膜がガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有することによって、セルラーゼによって分解され得る(セルラーゼ分解性)。
よって、本実施形態のシームレスカプセルは、耐酸性が要望される用途や、セルラーゼ分解性が要望される用途に好適である。
特に、耐酸性とセルラーゼ分解性との双方を有することから、本実施形態のシームレスカプセルは、腸溶性のシームレスカプセルとして有用である。
また、本実施形態のシームレスカプセルは、ポリフェノールを有することによって、ポリフェノールに由来する作用効果も発揮し得る。例えば、抗菌性を発揮し得る。
本実施形態のシームレスカプセルにおいては、
前記ガラクトース部分分解物は、ガラクトースが30〜55%分解されてなることが好ましい。
かかる構成によれば、ガラクトース部分分解物が、ガラクトースが30〜55%分解されてなることによって、ポリフェノールとの反応性が向上するため、比較的短時間で比較的均一な皮膜が形成され得る。
よって、より強度の高いカプセル皮膜を有するシームレスカプセルが、より短時間で製造され得る。
本実施形態のシームレスカプセルにおいては、
前記ポリフェノールが、茶抽出物であることが好ましい。
かかる構成によれば、ポリフェノールが茶抽出物であることによって、ガラクトース部分分解物との反応性が向上するため、より強度の高いカプセル皮膜を有するシームレスカプセルが、より短時間で製造され得る。
本実施形態のシームレスカプセルの製造方法は、
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と水とを含有する第1の水溶液を、ポリフェノールと水とを含有する第2の水溶液に滴下することによって、前記ガラクトース部分分解物と前記ポリフェノールとを含有するカプセル皮膜を有するシームレスカプセルを形成する工程を備えた方法である。
本実施形態のシームレスカプセルの製造方法によれば、第1の水溶液を第2の水溶液中に滴下するだけでカプセル皮膜が形成されるため、簡便にシームレスカプセルを製造し得る。
また、上記の通り、得られたシームレスカプセルは、従来よりも幅広い内容物を収容できる。
従って、従来よりも幅広い内容物を充填できるシームレスカプセルを、簡便に製造し得る。
本実施形態のシームレスカプセルの製造方法においては、
前記第1の水溶液における前記ガラクトース部分分解物の濃度を、0.5〜3.0質量%とすることが好ましい。
かかる構成によれば、第1の水溶液におけるガラクトース部分分解物の濃度を0.5〜3.0質量%とすることによって、第1の水溶液が滴下に適した粘度となり、また、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性を向上させることができるため、より強度の高いシームレスカプセルを、簡便に、より短時間で製造し得る。
本実施形態のシームレスカプセルの製造方法においては、
前記第2の水溶液における前記ポリフェノールの濃度を、0.25〜10質量%とすることが好ましい。
かかる構成によれば、第2の水溶液におけるポリフェノールの濃度を0.25〜10質量%とすることによって、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性を向上させることができるため、より強度の高いシームレスカプセルを、より短時間で製造し得る。
本実施形態のシームレスカプセルの製造方法においては、
前記ポリフェノールとして、茶抽出物を用いることが好ましい。
かかる構成によれば、ポリフェノールとして茶抽出物を用いることによって、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとの反応性が向上するため、より強度の高いシームレスカプセルを、より短時間で製造し得る。
以上の通り、本実施形態によれば、従来よりも幅広い内容物を充填でき、しかも簡便に製造可能なシームレスカプセル及びその製造方法が提供される。
なお、本実施形態のシームレスカプセルは、耐酸性に優れ、腸内細菌由来のセルラーゼによって分解されることから、食品、医薬品、化粧品、工業用途に幅広く使用することができ、特に食品に使用されることが有用である。さらに、乳酸菌をカプセル中に内包させた場合等においては、耐酸性を示すカプセル皮膜によって胃液から乳酸菌を保護し、腸内に移動した後に酵素によってカプセルが分解され、乳酸菌が放出されるため、乳酸菌を死滅させずに腸内まで送達させ、その後、腸内で溶解させる腸溶性カプセルとして使用できるという点で有用である。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
以下、本発明について、実施例を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)ガラクトース部分分解物の製造
ガラクトキシログルカン(DSP五協フード&ケミカル(株)製、グリロイド(登録商標))1gを水99gに添加し、75℃で15分撹拌し、基質を1質量%含有する1質量%ガラクトキシログルカン水溶液を得た。精製酵素β−ガラクトシダーゼを用い、1質量%ガラクトキシログルカン水溶液を、酵素濃度2.4×10−5質量%、pH5.6、50℃で反応させた後、100℃で20分間加熱することにより、反応を停止させた。反応溶液は、反応開始後約15時間でゲル化し、これにより、ゲル状の組成物を得た。得られたゲル状の組成物におけるガラクトース除去率を、以下の方法で算出した。
ゲル状の組成物(1質量%水溶液)7gにセルラーゼオノズカRS(ヤクルト薬品工業(株))0.15質量%溶液(50mM酢酸緩衝液、pH4.0)を1mL加え、50℃、オーバーナイトで反応させた。前述で調製した1質量%ガラクトキシログルカン水溶液も同様の方法で反応させ、対照とした。反応後、反応液を98℃で30分間加熱することによって酵素を失活させて、試料を得た。その後、得られた試料を前処理カートリッジ(東ソー(株)製、IC−SP)および0.45μmのセルロースアセテート製メンブレンフィルターにかけ、得られたろ液10μLを、アセトニトリル:水=60:40(v/v)を0.6mL/分で流しているHPLCのアミノカラムにアプライし、ガラクトキシログルカンのオリゴ糖(7糖(ガラクトース0個)、8糖(ガラクトース1個)、9糖(ガラクトース2個))の溶出面積を示差屈折率計で検出した。次いで、1ユニット(7糖)あたりのガラクトース量を、(8糖の面積+(9糖の面積×2))/(7糖の面積+8糖の面積+9糖の面積)により算出した。上記式を用いてゲル状の組成物について算出されたガラクトース量の、対照のガラクトキシログルカンについて算出されたガラクトース量からの減少率をガラクトース除去率(%)としてさらに算出したところ、約45%であった。
そして、前述で得られたゲル状の組成物を送風乾燥した後、粉砕し、篩過して、粉状のガラクトース部分分解物を得た。
(試験例1)
<ガラクトース部分分解物の濃度とポリフェノールの濃度との関係>
(ガラクトース部分分解物水溶液(第1の水溶液)の調製)
容量300mLのステンレスビーカーに脱イオン水195.0gを入れ、製造例1で得られたガラクトース部分分解物5.0gを加えて室温で混合し、ガラクトース部分分解物の2.50質量%分散液を調製した。分散液を−20℃に2時間静置した後、室温で30分間静置して解凍し、その後、解凍物を攪拌機で1時間撹拌して均一化した。得られたガラクトース部分分解物の2.50質量%水溶液を脱イオン水で希釈して、0.25、0.50、0.75、1.00、1.25、1.50、2.00、2.50質量%のガラクトース部分分解物水溶液を調製した。
(ガラクトキシログルカン水溶液(比較例)の調製)
比較例として、容量300mLのステンレスビーカーに脱イオン水197.5gを入れ、ガラクトキシログルカン(ガラクトースが部分分解されていないガラクトキシログルカン)を2.5g加えて室温で1時間攪拌することによって、ガラクトキシログルカンの1.25質量%水溶液を調製した。
(ポリフェノール水溶液(第2の水溶液)の調製)
容量200mLのガラスビーカーに脱イオン水97.5gを入れ、ポリフェノールとしてサンフェノン90−S(茶抽出物、カテキン類70%以上含有、太陽化学(株)製)2.5gを加えて混合し、サンフェノン90−Sの2.50質量%水溶液を調製した。得られたサンフェノン90−S2.50質量%水溶液を脱イオン水で希釈し、0.25、0.50、0.75、1.00、1.25、1.50、2.00、2.50質量%水溶液を調製した。
容量10mLのガラスビーカーに各濃度のサンフェノン90−S水溶液を10g入れ、各濃度のガラクトース部分分解物水溶液およびガラクトキシログルカン水溶液をスポイト(口径1mm)で滴下した。滴下してから1〜2分後に、滴下したガラクトース部分分解物水溶液及びガラクトキシログルカン水溶液の様子を肉眼で観察し、シームレスカプセルが形成されるか否かを評価し、形成された場合にはその形状を、下記の判定基準によって評価した。
また、シームレスカプセルが形成された場合には、得られたシームレスカプセルを回収し、水洗した後に、その強度(破断応力)をクリープメーター(型式:RE2−33005S、(株)山電社製)を用いて測定した。(40mmプランジャー、1mm/secの速度、単位:Pa)。3回の測定を行い、得られた測定値の平均値を、シームレスカプセルの強度とした。
結果を表1に示す。また、シームレスカプセルの形状を、図1に示す。
(判定基準)
・シームレスカプセルが形成されるか否か(形成性)の判定基準
○:シームレスカプセルが形成され、その強度は、薬さじで掬い上げて上記クリープメーターによる強度の測定に供することが可能な程度に高かった。
△:シームレスカプセルは形成されたが、薬さじで掬い上げると皮膜が破れた。すなわち、その強度は、上記クリープメーターによる強度の測定に供することが不可能な程度に低かった。
×:シームレスカプセルが形成されなかった。
・シームレスカプセルの形状の判定基準
球:球状のシームレスカプセル
涙:涙形のシームレスカプセル
歪球:球状だが歪んだ形状のシームレスカプセル
扁平:扁平な形状のシームレスカプセル
Figure 2018179199
表1に示したように、ガラクトース部分分解物の濃度が0.50質量%以上であれば、シームレスカプセルが形成され得ることがわかった。また、該濃度が0.75質量%以上であれば、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有するシームレスカプセルが形成され、1.00〜1.50質量%以上であれば、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有する球状のシームレスカプセルが形成され得ることがわかった。
一方、ポリフェノールの濃度が0.25質量%以上であれば、シームレスカプセルが形成され得ることがわかった。また、該濃度が0.50質量%以上であれば、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有する球状のシームレスカプセルが形成され得ることがわかった。
シームレスカプセルの形状については、ガラクトース部分分解物の濃度が0.75質量%程度の比較的低濃度であると、ガラクトース部分分解物水溶液を滴下したときに、ポリフェノール水溶液中に落下する際に液滴に加えられる衝撃力によってカプセル皮膜の形状が上記した扁平または歪球になり易い傾向にあった。一方、該濃度が1.00〜1.50質量%の場合には、十分な粘度(表面張力)によって上記衝撃力が加えられても液滴の形状が維持され、球状になり易い傾向にあった。さらに、2.00質量%以上の高濃度になると、粘度が高くなり過ぎて、滴下時に糸を引きながら滴下され、そのまま固定されるため、涙形のシームレスカプセルとなる傾向にあった。
(試験例2)
<その他のポリフェノール水溶液の影響>
(ポリフェノール水溶液(第2の水溶液)の調製)
ポリフェノール水溶液として、下記のポリフェノール含有飲料水を用いた。
すなわち、煎茶(商品名:「おーいお茶」(株)伊藤園製)、煎茶(濃)(商品名:「おーいお茶濃い茶」(株)伊藤園製)、ウーロン茶(商品名:「烏龍茶」サントリー(株)製)、紅茶(商品名:「午後の紅茶(クリアストレート)」キリンビバレッジ(株)製)及びコーヒー(商品名:「プレミアムボスブラック」サントリー(株)製)、グレープジュース(商品名:「ウェルチグレープ100」アサヒ飲料(株)製)を用いた。
また、ポリフェノール水溶液として、テアビゴ(エピガロカテキンガレート94%以上含有、太陽化学(株)製)の0.25、0.50、1.00、1.50質量%水溶液も用いた。
さらに、ポリフェノール水溶液として、タンニン酸(ナカライテスク(株)製)の0.25、0.50、1.00、1.50質量%水溶液も用いた。
容量10mLのガラスビーカーに、ポリフェノール水溶液を10g入れ、該ポリフェノール水溶液に、試験例1で調製した各濃度のガラクトース部分分解物水溶液及びガラクトキシログルカン水溶液をスポイト(口径1mm)で滴下した。滴下してから1〜2分後に、滴下したガラクトース部分分解物水溶液及びガラクトキシログルカン水溶液の様子を肉眼で観察し、前述した判定基準を用いて、シームレスカプセルが形成される否かを評価し、形成された場合にはその形状を、前述した判定基準で評価した。
また、シームレスカプセルが形成された場合には、前述した測定方法で、その強度(単位:Pa)を評価した。
結果を表2に示す。
Figure 2018179199
表2に示すように、ポリフェノール含有飲料では、滴下してから1〜2分後に、シームレスカプセルが形成されなかった。この原因は、ポリフェノールの濃度が低いことによるものと推察される。
ただし、煎茶(濃)、紅茶、グレープジュースにガラクトース部分分解物水溶液を滴下し、液滴を1時間保持すると、シームレスカプセルが形成されていた。
このことから、ガラクトース部分分解物水溶液の液滴をポリフェノール含有飲料(比較的濃度が低いポリフェノール水溶液)に滴下した場合であっても、長時間保持することによってシームレスカプセルを作製し得ることがわかった。
また、テアビゴ(エピガロカテキンガレート)を用いた場合には、0.25質量%の低濃度溶液であっても、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有する球状のシームレスカプセルが形成され得ることがわかった。
さらに、タンニン酸を用いた場合には、皮膜の強度がテアビゴよりもやや弱いものの球状のシームレスカプセルが形成され易い傾向にあった。
(試験例3)
<カプセル皮膜のゲル化速度>
試験例1で調製したガラクトース部分分解物の1.25質量%水溶液を、サンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液にスポイト(口径1mm)で滴下した。滴下してから、10秒、30秒、1分、5分、10分、30分、60分、120分間静置したときのカプセル皮膜の状態を目視及び触感で確認し、また、カプセル皮膜の皮膜率及び強度を測定した。
結果を表3に示す。
・カプセル皮膜の状態の判定基準
A:皮膜が形成され、指で押圧すると潰れて内部から液で出てくる。
B:皮膜が形成されるが、指で押圧しても潰れ難く(高い強度を有する)、内部から液が少量出てくる。
C:皮膜が形成され、中心部分までゲル化し、指で押圧しても潰れ難く(より高い強度を有する)、内部から液が出てこない。
・カプセルの皮膜率(厚みの指標)の測定方法
ガラクトース部分分解物水溶液をポリフェノール水溶液に滴下した後、そのまま、10秒、30秒、1、5、10、30、60、120分間浸漬させたシームレスカプセルを回収し、ハサミを用いて中央で二等分し、皮膜をポリエチレン/ナイロン製のフィルム上に優しく押し広げ、フィルムと共に皮膜の厚み(フィルムの厚み+皮膜の厚み)を、デジタル外側マイクロメータ(型式:MCD130−25、新潟精機(株)製)で測定した。各浸漬時間ごとに3回測定し、平均値を算出し、平均値からフィルムの厚み(3回測定値の平均値)を差し引いて、皮膜の厚みを算出した。
さらに、上記のように滴下し、10分間経過した(そのまま10分間浸漬させた)後、シームレスカプセルを取り出し、その10個の最も大きな厚みを、デジタル外側マイクロメータを用いて測定し、その平均値を算出し、この平均値をシームレスカプセルの最大径とした。
そして、皮膜の厚みとシームレスカプセルの最大径とから、以下の式により皮膜率を算出した。
皮膜率(%)={(皮膜の厚み)×2/(シームレスカプセルの最大径)}×100
本試験例では、上記した皮膜率の測定において、10分経過後のカプセル皮膜は球形であり、その最大径(直径)は、4.0mmであった。よって、この最大径を用いて皮膜率を算出した。
Figure 2018179199
表3に示すように、ガラクトース部分分解物の液滴をポリフェノール水溶液に10秒程度の短時間保持しただけでも、カプセル皮膜が形成された。このカプセル皮膜は、ポリフェノール水溶液から取り出しても潰れないことから、取り出して種々の用途に向けて取り扱うことが可能であることがわかった。
また、保持時間が長くなるほど皮膜の厚みが増し、皮膜が強固になった。
さらに、60〜120分間保持した場合、液滴の中心部までゲル化し得ることがわかった。
なお、ガラクトース部分分解物水溶液をポリフェノール水溶液に滴下した後、1分間、及び、5分間浸漬させて得られた各シームレスカプセルを取り出し、脱イオン水に浸漬させたところ、24時間経過後に、皮膜率がほぼ100%になった。このことから、ポリフェノール水溶液から取り出した後においても、皮膜に残存するポリフェノールが少しずつ内部に向かって浸透してゲルを形成し、これによって皮膜が厚くなっていったものと推察される。
(試験例4)
<シームレスカプセルの大きさ>
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の1.25質量%水溶液を、サンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液に、下記表4に示す各種器具で各10回ずつ滴下し、滴下してから1分後に各液滴を回収し、脱イオン水で洗った後、脱イオン水内に収容して、各10個のシームレスカプセルを得た。得られたシームレスカプセルは、いずれも球状であった。用いた器具ごとに、得られたシームレスカプセル(カプセル皮膜)の最大径を上記デジタル外側マイクロメータによって測定し、10個のシームレスカプセルの平均値を算出した。なお、図2に示すように、シームレスカプセルの最大径として、図2の各形状において矢印で示す長さを、上記デジタル外側マイクロメータで測定した。
結果を表4に示す。
Figure 2018179199
表4に示すように、使用器具によって得られるシームレスカプセルの大きさが異なる傾向にあるものの、いずれの器具を使用しても、最大径2.0〜9.0mm程度の範囲でシームレスカプセルが製造され得ることがわかった。
(試験例5)
<シームレスカプセルの耐酸性>
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の1.25質量%水溶液をサンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液にスポイト(口径1mm)で滴下し、滴下から1分後に回収、脱イオン水で洗った後、脱イオン水内に収容して、シームレスカプセルを得た。
各pHを有する水溶液(酸性側は塩酸、アルカリ性側は水酸化ナトリウムを脱イオン水に添加して水溶液を調製した)に、得られたシームレスカプセルを入れ、1、5、10、30、60、120、180、240分、1日後の様子を、目視で観察し、下記の判定基準で耐酸性を評価した。
・耐酸性の判断基準
○:シームレスカプセルに変化なし。
△:シームレスカプセルが溶解しつつあって、小さくなる。
×:シームレスカプセルが溶解し、消失する。
Figure 2018179199
表5に示したように、得られたシームレスカプセルはpH1.0の強酸に晒されてもその形状を維持し、溶解することはなかった。一方、pH11.0以上のアルカリ溶液には溶解した。この結果、本実施形態のシームレスカプセルは耐酸性に優れていることが判明した。
(試験例6)
<ゼラチンをカプセル皮膜に含有するシームレスカプセルの耐酸性>
ゼラチン(森永製菓(株)製)0.3gを脱イオン水9.7gに添加し、95℃で1分間加熱しながら撹拌して、ゼラチンを脱イオン水に溶解させて、3.0質量%ゼラチン水溶液を得た。得られたゼラチン水溶液を40℃以上に保ちながら、氷水で5℃以下に冷却したシリコーンオイル(KF−96−10CS、信越化学(株)製)に滴下した。滴下してから10分間経過した後に滴下物を回収し、表面に付着している余剰のシリコーンオイルをキムワイプで軽く拭き取ることによって、ゼラチンをカプセル皮膜に含有するシームレスカプセルを得た。
pH1.0の塩酸水溶液、及び、pH7.3の水道水に、得られたシームレスカプセルを入れ、1、5、10、30、60、120、180、240分、1日後の様子を、目視で観察した。
その結果、水道水中では、1日経過した後においてもシームレスカプセルはその形状を維持し、溶解することはなかった。一方、pH1.0という強酸の水溶液中では、10分経過後に、薬さじで掬い上げようとするとシームレスカプセルが壊れ、このことから、シームレスカプセルが溶解したことがわかった。
これらの結果、ガラクトース部分分解物とポリフェノールとをカプセル皮膜に含有するシームレスカプセルは、ゼラチンをカプセル皮膜に含有するシームレスカプセルよりも、耐酸性に優れていることが判明した。
なお、ゼラチンは、動物性原料であり、BSEや宗教上の問題から利用が制限されるおそれがあるのに対し、ガラクトース部分分解物及びポリフェノールは、植物性原料であり、このような利用制限が回避され得る。また、ゼラチンを用いた場合には、ゼラチンを水に溶解させるために加熱する必要があるため、熱安定性の低い内容物を収容し難く、内容物の選択の幅が狭まるのに対し、ガラクトース部分分解物及びポリフェノールを用いた場合には、加熱する必要がないため、熱安定性の低い内容物を収容することが可能となり、ゼラチンを用いた場合よりも、内容物の選択の幅が広がる。
(試験例7)
<セルラーゼによるシームレスカプセルの溶解>
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の1.25質量%水溶液を、サンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液にスポイト(口径1mm)で滴下し、滴下から1分間経過後に回収、脱イオン水で洗った後、脱イオン水内に収容して、シームレスカプセルを得た。
セルラーゼオノズカRS(ヤクルト薬品工業(株)製)0.015質量%水溶液(pH4.0)に、得られたシームレスカプセルを入れ、室温もしくは40℃の水浴に静置し、静置から1、5、10、30、60、120、180、240分、1日後の様子を目視で観察し、下記の判定基準で、セルラーゼによる溶解性を評価した。
結果を表6に示す。
・セルラーゼによる溶解性の判断基準
○:シームレスカプセルに変化なし。
△:シームレスカプセルが溶解しつつあって、小さくなる。
×:シームレスカプセルが溶解し、消失する。
Figure 2018179199
表6に示すように、シームレスカプセルはセルラーゼによって溶解した。また、40℃の温度では、室温よりも早く溶解した。
ここで、セルラーゼは、腸内細菌によって腸内で産生されることが知られている。
従って、上記の結果、シームレスカプセルが服用されると、腸内細菌が産生するセルラーゼによって、シームレスカプセルが腸内で崩壊・溶解することが期待される。
なお、文献A discrete genetic locus confers xyloglucan metabolism in select human gut Bacteroidetes、Nature. 2014 February 27; 506(7489): 498-502 には、ヒトの腸内細菌がキシログルカン類を資化することが示されている。
本実施形態のシームレスカプセルの皮膜は、タマリンド由来のガラクトキシログルカン、すなわち、キシログルカン類によって形成されていることから、ヒトの腸内細菌でシームレスカプセルが崩壊・溶解することは十分に考えられる。
上記の結果から明らかなように、ガラクトース部分分解物水溶液をポリフェノール水溶液に滴下するという簡便な方法によって、耐酸性を有し、さらに腸内で崩壊・溶解するシームレスカプセルが得られ得ることがわかった。よって、腸溶性カプセルに有用であることがわかった。
(試験例8)
<キサンタンガム水溶液をカプセル皮膜の内部に包含したシームレスカプセル>
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の1.5質量%水溶液、サンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液、及び、ケルデント(キサンタンガム、DSP五協フード&ケミカル(株)製)2.0質量%水溶液を用いた。
ガラクトース部分分解物水溶液をピペット(口径8mm)でサンフェノン90−S水溶液に滴下する際に、ガラクトース部分分解物水溶液の液滴の内部にケルデント水溶液をスポイト(口径1mm)で注入しながら滴下した。滴下した後、4時間経過後に滴下物を回収し、脱イオン水で洗った後、脱イオン水内に収容して、シームレスカプセルを得た。
得られたシームレスカプセルは、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有していたが、指で押圧するとカプセル皮膜が潰れ、内部から液が出てきた。得られたシームレスカプセルの皮膜率を上記の測定方法で測定すると、18%であった。
ここで、ガラクトース部分分解物の1.5質量%水溶液のみをサンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液に滴下した場合には、滴下から4時間経過後に中心までゲル化していた。このことを考慮すると、ケルデント水溶液を内包したシームレスカプセルでは、ケルデント水溶液が存在している部分以外の部分(ガラクトース部分分解物が存在している外側の部分)がゲル化し、ケルデント水溶液はゾルの状態のままカプセル皮膜の内部に保持されることがわかった。
なお、ケルデントの2.0質量%水溶液の粘度をB形粘度計(型式:TVB−25L、東機産業(株)製)で測定したところ、3192mPa・s(25℃、30rpm)であり、ケルデントの2.0質量%水溶液は、水よりも粘度が高い液であった。
(試験例9)
<グリセリンをカプセル皮膜の内部に包含したシームレスカプセル>
試験例8において、ケルデント2.0質量%水溶液に代えて化粧品用濃グリセリン(グリセリン、花王(株)製)を用いた。それ以外は、試験例8と同様にして、シームレスカプセルを得た。
得られたシームレスカプセルは、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有していたが、指で押圧するとカプセル皮膜が潰れ、内部から液が出てきた。得られたシームレスカプセルの皮膜率を上記の測定方法で測定すると、37%であった。
この結果、試験例8のケルデント水溶液の場合と同様、グリセリン(水よりも比重が大きい)はゾルの状態のままカプセル皮膜の内部に保持されることがわかった。
(試験例10)
<オリーブ油をカプセル皮膜の内部に包含したシームレスカプセル>
試験例8において、ガラクトース部分分解物水溶液を、ピペット(口径8mm)に代えてスポイト(口径4mm)で滴下し、ガラクトース部分分解物の液滴にケルデント2.0質量%水溶液をスポイト(口径1mm)で注入することに代えてオリーブ油リファインド(DSP五協フード&ケミカル(株)製)をパスツールピペット(口径1mm)で注入した。それ以外は、試験例8と同様にして、シームレスカプセルを得た。
得られたシームレスカプセルは、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有していたが、指で押圧するとカプセル皮膜が潰れ、内部から液が出てきた。得られたシームレスカプセルの皮膜率を上記の測定方法で測定すると、30%であった。
この結果、試験例8のケルデント水溶液、及び、試験例9のグリセリンの場合と同様、オリーブ油はゾルの状態のままカプセル皮膜の内部に保持されることがわかった。
(試験例11)
<乳化されたオリーブ油をカプセル皮膜の内部に包含したシームレスカプセル>
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の2.5質量%水溶液25gにオリーブ油リファインド(DSP五協フード&ケミカル(株)製)15g、脱イオン水10gを加え、ホモジナイザー(型式:M2−f、プライミクス(株)製)を用いて5000rpmで30分撹拌して混合し、乳液を調製した。
得られた乳液をスポイト(口径1mm)でサンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液に滴下した。滴下した後、3時間経過後に滴下物を回収し、脱イオン水で洗った後、脱イオン水内に収容して、シームレスカプセルを得た。
得られたシームレスカプセルは、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有していた。また、指で押圧してもカプセル皮膜が潰れず、内部から液が出てこなかった。得られたシームレスカプセルの皮膜率を上記の測定方法で測定すると、100%であった。
この結果、オリーブ油が均一に分散されたまま液滴全体がゲル化し、オリーブ油がカプセル皮膜全体に保持されると考えられる。
(試験例12)
<ルチンをカプセル皮膜の内部に包含したシームレスカプセル>
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の2.5質量%水溶液12.5gにルチン(ナカライテスク(株)製)2.5g、脱イオン水10gを加え、撹拌棒で撹拌して混合し、ガラクトース部分分解物水溶液にルチンが分散されてなる分散液を得た。
得られた分散液をスポイト(口径1mm)でサンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液に滴下した。滴下した後、3時間経過後に回収し、脱イオン水で洗った後、脱イオン水内に収容して、シームレスカプセルを得た。
得られたシームレスカプセルは、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有していた。また、指で押圧してもカプセル皮膜が潰れず、内部から液が出てこなかった。得られたシームレスカプセルの皮膜率を上記の測定方法で測定すると、100%であった。
この結果、固体のルチンが均一に分散されたまま液滴全体がゲル化し、ルチンがカプセル皮膜全体に保持されると考えられる。
(試験例13)
<オリーブ油をカプセル皮膜の内部に包含した状態で乾燥されたシームレスカプセル>
ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物の2.5質量%水溶液12.5gに濃グリセリン0.25g、脱イオン水12.25gを加え、撹拌棒で撹拌して混合し、ガラクトース部分分解物1.25質量%とグリセリン1.0質量%との混合水溶液を得た。
得られた混合水溶液をスポイト(口径4mm)でサンフェノン90−Sの1.25質量%水溶液に滴下する際に、混合水溶液の液滴の内部にオリーブ油リファインド(DSP五協フード&ケミカル(株)製)をパスツールピペット(口径1mm)で注入しながら滴下した。滴下した後、1時間経過後に滴下物を回収し、送風乾燥機(型式:SPH−201、エスペック社製)内に静置して50℃で2時間乾燥し、シームレスカプセルを得た。
得られたシームレスカプセルは、薬さじで掬い上げることができる程度の強度を有していたが、指で押圧するとカプセル皮膜が潰れ、内部から液が出てきた。かかるカプセル皮膜は、フィルム状であった。得られたシームレスカプセルの皮膜率を上記の測定方法で測定すると、13%であった。
この結果、カプセル皮膜がフィルム状であっても、試験例10、11と同様、オリーブ油はゾルの状態のままカプセル皮膜の内部に保持されることがわかった。
試験例8〜13の結果、本実施形態のシームレスカプセルには、水よりも粘性の高い溶液や比重の大きい溶液、油剤、水不溶性の粉末等を内容物として添加することが可能であることがわかった。
また、前述した表5、表6に示すように、試験例8〜13のシームレスカプセルは、セルラーゼによって分解されると、各内容物が外部に放出されると推察される。
なお、ガラクトース部分分解物として、製造例1で得られたガラクトース部分分解物をさらに精製したものを用いた場合であっても、上記試験例1〜5、7〜13と同様の結果が得られ、結果に影響を及ぼさない。
よって、本実施形態のシームレスカプセル及びその製造方法は、乳酸菌を生きたまま腸内まで届けるシームレスカプセルや、腸内で有効成分が放出、発揮される医薬品や動物薬、サプリメント等に有効である。
また、そのカプセル皮膜には従来の腸溶性シームレスカプセルに含まれる金属イオンが必要ないため、金属イオンに反応する薬剤や有効成分を内包させることが可能であり、内容物の選択の幅が広がることが期待される。
さらに、カプセル皮膜にポリフェノールが含まれることにより、その抗菌作用や抗酸化作用が期待され、より長期間のカプセルの保存が可能になると考えられる。
以上のことより、本実施形態のシームレスカプセルは食品、化粧品、医薬品等の幅広い分野で有用であり、特に食品、医薬品分野でより有用である。

Claims (7)

  1. カプセル皮膜を備えたシームレスカプセルであって、
    前記カプセル皮膜は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有する、シームレスカプセル。
  2. 前記ガラクトース部分分解物は、ガラクトースが30〜55%分解されてなる、請求項1に記載のシームレスカプセル。
  3. 前記ポリフェノールが、茶抽出物である、請求項1または2に記載のシームレスカプセル。
  4. ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物と水とを含有する第1の水溶液を、ポリフェノールと水とを含有する第2の水溶液に滴下することによって、前記ガラクトース部分分解物と前記ポリフェノールとを含有するカプセル皮膜を有するシームレスカプセルを形成する工程を備えた、シームレスカプセルの製造方法。
  5. 前記第1の水溶液における前記ガラクトース部分分解物の濃度を、0.5〜3.0質量%とする、請求項4に記載のシームレスカプセルの製造方法。
  6. 前記第2の水溶液における前記ポリフェノールの濃度を、0.25〜10質量%とする、請求項4または5に記載のシームレスカプセルの製造方法。
  7. 前記ポリフェノールとして、茶抽出物を用いる、請求項4〜6のいずれかに記載のシームレスカプセルの製造方法。
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