JPWO2018173505A1 - プラズマcvd成膜装置 - Google Patents

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JPWO2018173505A1
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Abstract

成膜レート及びバリア性が高く、パーティクルの発生量も少ないプラズマCVD成膜装置を提供する。本発明に係るプラズマCVD成膜装置(1)は、一対の成膜ロール(23)、(26)と、一対の成膜ロール(23)、(26)の間の対向空間に原料ガスを供給する供給口(11)と、一対の成膜ロール(23)、(26)と近接した位置で対向空間に向けて開口する開口部(121)及び開口部(121)から供給口(11)までを覆う壁部(122)を有する隔壁(12)と、を有し、一対の成膜ロール(23)、(26)の軸間距離をX、開口部(121)の開口寸法をY、隔壁(12)のうち、供給口(11)と近接した位置で一対の成膜ロール(23)、(26)と対向する対向壁部(123)の形成寸法をZとしたとき、一対の成膜ロール(23)、(26)と隔壁(12)が、X>Z、及び、Y≧Zを同時に満たす。

Description

本発明は、プラズマCVD成膜装置に関する。
長尺帯状の樹脂フィルムなどの基材の表面にガスバリア層などの被膜を気相成長させて連続的に成膜するために、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)成膜装置が用いられている。
プラズマCVD成膜装置は、一般的に、被膜の原料となる原料ガスが充填された真空チャンバと、この真空チャンバの内部に配備された金属製の一対の成膜ロールとを備えている。そして、プラズマCVD成膜装置は、この一対の成膜ロールにそれぞれ備えられた電極と、この電極と接続された電源と、前記一対の成膜ロールの内部にそれぞれ設けられた磁場発生手段とを備えている。当該プラズマCVD成膜装置は、一対の成膜ロールの間に放電することで原料ガスをプラズマ化させることができるようになっている。そして、プラズマ化した原料ガスは基材の表面に蒸着して被膜を形成する。このような構成のプラズマCVD成膜装置が、例えば、特許文献1、2に記載されている。
特許文献1に記載のプラズマCVD成膜装置は、前記した一般的な構成に加えて、原料ガス供給部材の開口を一対のロール電極の間に臨ませて(近接させて)設置している。
また、特許文献2に記載のプラズマCVD成膜装置は、前記した一般的な構成に加えて、真空チャンバの内部に隔壁を設け、真空チャンバを低圧室と高圧室とに区画している。そして、一対の成膜ロールは低圧室に配されており、低圧室を成膜エリアとし、高圧室を非成膜エリアとしている。
特開2003−49273号公報 特開2015−200011号公報
プラズマCVD成膜装置で成膜を行うと、堆積膜の形成中に副生成物としてパーティクル(異物粒子などとも呼称されている)が発生する。成膜エリア内でこのパーティクルが膜面に付着するとバリア欠陥となり、性能や膜面品質が低下するという問題があった。
また、真空下で連続成膜すると、プラズマCVD成膜装置の内壁や部材の表面などに原料ガス由来の物質が付着し、堆積していく。堆積物が剥がれ落ちて膜面に付着するとバリア欠陥となり、性能や膜面品質が低下するという問題があった。
特許文献1、2に記載のプラズマCVD成膜装置は共に前記要望を一部満たし得るものであるが、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1に記載のプラズマCVD成膜装置には、原料ガス供給部材の開口を一対のロール電極の間に臨ませて設置しているため、放電の有効領域を有効に活用できていないおそれがあった。そのため、特許文献1に記載のプラズマCVD成膜装置には、成膜速度(成膜レート)が低く、バリア性も不十分であるという問題があった。
また、特許文献2に記載のプラズマCVD成膜装置には、真空チャンバの内部に隔壁を設けているが、隔壁の形状が適切ではなく、隔壁内にデッドスペースが生じるため、放電空間内で分解された原料ガスが隔壁内のデッドスペースに滞留してパーティクルが発生していた。そのため、特許文献2に記載のプラズマCVD成膜装置には、成膜レートはやや高いが、バリア性が不十分であるという問題があった。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、成膜レート及びバリア性が高く、パーティクルの発生量も少ないプラズマCVD成膜装置を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究開発した結果、真空チャンバを、原料ガスを供給する供給口からよどみなく原料ガスや反応ガスなどを成膜空間(一対の成膜ロールの間の対向空間)に誘導できるような形状とすることによって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る前記課題は以下の手段により解決される。
(1)真空チャンバの内部で対向配置された一対の成膜ロールと、前記一対の成膜ロールから離間して設けられ、前記一対の成膜ロールの間の対向空間に原料ガスを供給する供給口と、前記一対の成膜ロールと近接した位置で前記対向空間に向けて開口する開口部、及び前記開口部から前記供給口までを覆う壁部を有する隔壁と、を有し、前記一対の成膜ロールの軸間距離をX、前記開口部の開口寸法をY、前記隔壁のうち、前記供給口と近接した位置で前記一対の成膜ロールと対向する対向壁部の形成寸法をZとしたとき、前記一対の成膜ロールと前記隔壁が、X>Z、及び、Y≧Zを同時に満たすプラズマCVD成膜装置。
(2)前記軸間距離と、前記開口部から前記対向壁部までの第1寸法と、前記成膜ロールの中心軸に沿った前記開口部の第2寸法とから算出される体積に対する前記隔壁の内部の体積の比率が30〜75体積%である前記(1)に記載のプラズマCVD成膜装置。
(3)前記対向壁部から前記開口部に向けて壁間寸法が大きくなる部分を有する前記(1)又は前記(2)に記載のプラズマCVD成膜装置。
(4)前記対向壁部から前記開口部の間に壁間寸法が等しくなる部分を少なくとも一部に有する前記(1)から前記(3)のうちのいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
(5)前記Xと前記Yが、X>Yを満たす前記(1)から前記(4)のいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
(6)前記供給口から供給されて前記対向空間を経た前記原料ガスを前記真空チャンバの外部に排気する排気部を有しており、前記排気部は前記Xよりも開口寸法が小さい排気ガイドを有している前記(1)から前記(5)のいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
(7)前記供給口が、前記一対の成膜ロールのそれぞれの中心軸から等距離で、前記対向壁部に近接又は密接させて設けられている前記(1)から前記(6)のいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
本発明によれば、成膜レート及びバリア性が高く、パーティクルの発生量も少ないプラズマCVD成膜装置を提供することができる。
本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置の全体構成を説明する概略図である。 隔壁と一対の成膜ロールの一態様を示す概略図である。 隔壁と一対の成膜ロールの一態様を示す概略図である。 隔壁と一対の成膜ロールの一態様を示す概略図である。 隔壁と一対の成膜ロールの一態様を示す概略図である。 隔壁と一対の成膜ロールの一態様を示す概略図である。 排気ガイドを有する本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置の全体構成を説明する概略図である。 防着板を有する本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置の全体構成を説明する概略図である。
(プラズマCVD成膜装置)
以下、適宜図面を参照して本発明に係るプラズマCVD成膜装置(以下、「本装置」ということがある)の一実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置1の全体構成を説明する概略図である。
図1に示すように、本装置1は、長尺帯状の基材2を一対の成膜ロール23、26のそれぞれに巻き掛けながら搬送しつつ、当該成膜ロール23、26の間に成膜ガス(原料ガス及び反応ガス)を供給してプラズマ放電を行うことで、基材2上に被膜3を気相成長させて連続的に成膜するために用いられる。
本装置1の構成について具体的に説明する前に、前記した基材2及び被膜3について説明する。
(基材)
基材2は、被膜3が形成される土台となるものである。本実施形態における基材2としては、ロールツーロール方式で搬送することから、フレキシブル性を有する樹脂フィルム、金属フィルム、薄膜ガラスなどを用いる。なお、樹脂フィルムや薄膜ガラスには透明性を有しているものがあり、基材2側から光を取り出す場合にはこれを用いると好適である。
前記した樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレートなどのセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル、ポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)及びアペル(商品名三井化学社製)などのシクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。
なお、不透明な樹脂フィルムでよい場合は、前記で例示した素材であって不透明な素材で形成したものを用いることができる。
前記した金属フィルムとしては、例えば、アルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。金属フィルムは、不透明なフレキシブル基板として好適に用いることができる。
前記した薄膜ガラスとしては、例えば、ケイ酸塩ガラスが用いられ、好ましくはシリカガラス、ホウ珪酸ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリガラスが用いられる。また、薄膜ガラスは、フレキシブル性を具備するように、例えば、オーバーフローダウンドロー法により長尺形状で肉薄(例えば、厚さが200μm程度)に成形されたものを用いることができる。薄膜ガラスは、透明なフレキシブル基板として好適に用いることができる。
(被膜)
本実施形態における被膜3は、基材2の上にプラズマCVD法によって形成される所定の機能を有する薄膜(層と呼称されることもある)である。被膜3としては、例えば、シリコン酸化膜などの水分や酸素の透過を妨げるガスバリア層を挙げることができる。
被膜3の厚さは、5〜3000nmの範囲内であることが好ましく、10〜2000nmの範囲内であることがより好ましく、100〜1000nmの範囲内であることが特に好ましい。被膜3の厚さが前記範囲内であれば、被膜3がガスバリア層の場合であれば酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性などのガスバリア性に優れるだけでなく、屈曲させた場合でもガスバリア性が低下し難い。
被膜3は、単一の組成でなる単層であってもよいし、同一の又は異なる組成の層を複数積層した複数層であってもよい。複数層とする場合は、トータルの厚さが前記範囲内となるようにするのが好ましい。
ガスバリア層を備えた基材2のガスバリア性としては、例えば、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(温度:38±0.5℃、相対湿度(RH):90±2%)が1×10−2g/(m・24h)以下であり、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−2mL/m・24h・atm以下であることが挙げられる。
ガスバリア層は、少なくともケイ素を含有する有機ケイ素化合物を含有する原料ガスと反応ガスを成膜ガスとして用いたものであり、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含むものであるのが好ましい。
原料ガスとして適用可能な有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状シロキサンや、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取扱い及び得られるガスバリア層のガスバリア性などの観点から、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
反応ガスとしては、前記原料ガスと反応して酸化物、窒化物などの無機化合物を形成できるガスであれば適宜使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素やオゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素やアンモニアを用いることができる。
これらの反応ガスは、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。例えば、酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと、窒化物を形成するための反応ガスを組み合わせて使用することができる。
なお、前記成膜ガスには、前記原料ガスを真空チャンバの内部に供給するために、必要に応じてキャリアガスを含めることができる。
さらに、前記成膜ガスには、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて放電用ガスを含めることができる。
このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノンなどの希ガスや水素ガスなどの適宜公知のものを使用することができる。
なお、本実施形態における被膜3としては前記したガスバリア層に限定されるものではなく、例えば、半導体メモリやLSI(Large Scale Integration)などの多層構造体における層間の絶縁を図る層間絶縁膜を挙げることができる。層間絶縁膜は、前記と同様の原料、手法及び条件により、窒化シリコン(SiN)膜や酸化シリコン(SiO)膜などとして形成することができる。
なお、基材2の被膜3を形成する面には、ラジカル反応性不飽和結合を有する樹脂、無機粒子、光重合開始剤、溶媒及び反応性希釈剤を用いた平滑化層を形成するのが好ましい。なお、平滑化層は、反応性希釈剤を平滑化層中の含有比率として0.1〜10質量%含む構成であることが好ましい。
ラジカル反応性不飽和結合を有する樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)樹脂などが挙げられる。これらを用いることにより、樹脂組成物の光透過性をより高めることができる。特に、前記樹脂群の中でも、ラジカル反応性不飽和結合を有する光硬化型又は熱硬化型樹脂タイプが好ましいが、その中でも、生産性、得られる膜硬度、平滑性、透明性などの観点から、特に紫外線硬化型樹脂が好ましい。
無機粒子としては、乾式シリカ、湿式シリカなどのシリカ微粒子、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化セリウム、酸化アンチモン、インジウムスズ混合酸化物及びアンチモンスズ混合酸化物などの金属酸化物微粒子、アクリル、スチレンなどの有機微粒子などが挙げられる。本実施形態においては、透明性、硬度の観点から10〜50nmの範囲のシリカ微粒子を有機溶媒に分散させたナノ分散シリカ微粒子が好適である。
無機粒子は、平滑化層を構成する硬化性樹脂100質量部に対し、5〜50質量部の範囲で配合されることが好ましく、特に10〜40質量部の範囲で配合されることが好ましい。
光重合開始剤としては、イルガキュア(登録商標)184(BASFジャパン社製)などの公知のものを使用することができ、1種又は2種以上の組合せで使用することができる。
溶媒としては、公知のアルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒などの従来公知の有機溶媒より適宜選択して使用することができる。中でもMEK(メチルエチルケトン)などは好適に使用できる。
反応性希釈剤としては、例えば、極性基や疎水性基を有することが好ましい。極性基としては、エポキシ基、エチレンオキサイド基、カルボニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、リン酸基、又は一級、二級若しくは三級アミノ基などを挙げることができ、疎水性基としては、メチレン基、イソボニル基、ペンテニオル基などを挙げることができる。
反応性希釈剤の添加量は、例えば、平滑化層に対する質量比率として0.1〜10質量%とすることが好ましく、1〜5質量%とするのがより好ましい。
反応性希釈剤の具体例としては、AGCセイミケミカル株式会社製のフッ素オリゴマー:サーフロンS−651、ヒドロキシエチルメタクリレート、FA−512M(ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成(株)製))、リン酸アクリレート:ライトアクリレートP−1A(共栄社化学(株))、GMA(ライトエステルG グリシジルメタクリレート(共栄社化学(株)))、及びイソボニルメタクリレート:ライトエステルIB−X(共栄社化学)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
平滑化層は、上述した原料を含む組成物(平滑化層形成液)を、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法、インクジェット法、ディスペンサー法などにより塗布し、必要に応じて硬化剤を加え、加熱や紫外線照射して樹脂組成物を硬化することで形成できる。
(本装置の構成)
次に、本装置1の構成について説明する。
図1に示すように、本装置1は、真空チャンバ10を備えており、この内部でプラズマCVDによる成膜が行われる。
そして、本装置1は、この真空チャンバ10の内部に少なくとも一対の成膜ロール23、26と、供給口11と、隔壁12を有している。また、本装置1は、供給口11から供給され、一対の成膜ロール23、26の間の対向空間を経た原料ガスを真空チャンバ10の外部に排気する排気部13を有している。排気部13は、真空チャンバ10に設けられた排気口14と、この排気口14に設けられた真空ポンプ15で構成されている。つまり、真空チャンバ10は、排気口14を介して真空ポンプ15を作動させて内部を真空状態にする。プラズマCVDによる成膜時における真空度は任意に設定することができるが、0.5〜100Paの範囲とすることが好ましい。
さらに、図1に示すように、本装置1は、基材2がロール状に巻かれた送り出しロール21、任意の搬送ロール22、24、25、27、被膜3が成膜された基材2を巻き取る巻取りロール28を真空チャンバ10の内部に有している。このうち、搬送ロール22、24、25、27は、公知のロールを適宜選択して用いることができる。基材2は、送り出しロール21から所定の張力を掛けつつ矢印で示す方向に送り出される(搬送される)。
基材2の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ10内の圧力などに応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲内とすることが好ましく、1〜60m/minの範囲内とすることがより好ましい。ライン速度が前記範囲内であれば、基材2の熱に起因する皺も発生し難く、形成される被膜3の厚さも十分に制御可能となる。
図1に示す例では、送り出しロール21と巻取りロール28の間に、搬送方向の上流側から下流側に向かって、搬送ロール22、成膜ロール23、搬送ロール24、25、成膜ロール26、搬送ロール27、巻取りロール28の順に設けられている。
(一対の成膜ロール)
一対の成膜ロール23、26は、それぞれ任意の金属で円筒状に形成されており、回転の中心軸同士が平行となるように配置されている。また、一対の成膜ロール23、26は、互いに対向する対向面が所定の距離離間するように配置されており、これらの間に対向空間(放電空間H)が形成されている。一対の成膜ロール23、26はこのような構成とすることで、搬送されつつ自身に巻き掛けられた基材2を、放電空間Hを介して対向できるようになっている。
また、一対の成膜ロール23、26は、それぞれプラズマ発生用電源16に接続されており、一対の対向電極として機能するようになっている。このプラズマ発生用電源16は、電力の供給によって成膜ロール23と成膜ロール26の間の放電空間Hに放電を行わせ、プラズマを発生させることができるようになっている。
プラズマ発生用電源16としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができるものの、より効率良くCVD法を実施する観点からは、交流電源のように成膜ロール23、26の極性を交互に反転させることが可能なものを利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源16としては、より効率良くCVD法を実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、且つ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、本実施形態においては、直流パルス電源を用いることもできる。
なお、このように成膜ロール23、26を電極としても利用する場合には、その材質や設計を適宜変更すればよい。電極として利用可能な成膜ロール23、26としては、適宜公知のロールを用いることができる。ただし、成膜ロール23、26としては、より効率良く薄膜を形成するという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、成膜ロール23、26の直径としては、放電条件、後述する真空チャンバ10のスペースなどの観点から、直径が100〜1000mmφの範囲、特に100〜700mmφの範囲が好ましい。直径が100mmφ以上であれば、放電空間Hが小さくなることがないため生産性の低下もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が基材2にかかることを回避でき、さらに、残留応力が大きくなり難くなるので好ましい。一方、1000mmφ以下であれば、放電空間Hの均一性なども含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
前記したように、一対の成膜ロール23、26は、中心軸同士が平行となるようにして配置されている。このようにして一対の成膜ロール23、26を配置することにより、成膜レートを倍にできる。
成膜ロール23及び成膜ロール26の内部には、それぞれ磁場発生装置231及び磁場発生装置261がそれぞれ設けられており、成膜ロール23、26の回転に追従して自身が回転しないように固定された状態となっている。
磁場発生装置231、261は、一方の成膜ロール23に設けられた磁場発生装置231と、他方の成膜ロール26に設けられた磁場発生装置261の間で磁力線が跨らず、それぞれの磁場発生装置231、261がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極が配置されることが好ましい。
このような磁場発生装置231、261を設けることにより、各成膜ロール23、26の周面のうち放電空間Hに面する領域付近に、磁力線が膨らんだ磁場を発生させることができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、被膜3の成膜効率を向上させることができる。
また、これらの磁場発生装置231、261は、それぞれ成膜ロール23、26の軸方向に長いレーストラック状の磁極を備えている。一方の磁場発生装置231と他方の磁場発生装置261とは向かい合う磁極が同一極性となるように配置されることが好ましい。このような磁場発生装置231、261を設けることにより、それぞれの磁場発生装置231、261について、対向する成膜ロール23、26側の磁場発生装置231、261に磁力線が跨ることなく、成膜ロール23、26の軸方向に沿って、放電空間Hに面したロール表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができるため、ロール幅方向に沿って巻き掛けられた基材2の表面に対し、蒸着膜である被膜3を効率的に形成することができる。
なお、このような磁場発生装置231、261としては、例えば、永久磁石や電磁石など、適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
(供給口)
供給口11は、真空チャンバ10の内部において、一対の成膜ロール23、26から離間して設けられ、この一対の成膜ロール23、26の間の対向空間(放電空間H)に前述した原料ガスを供給する。供給口11は、成膜ロール23、26のそれぞれの中心軸から等距離で、後述する対向壁部123に近接又は密接させて設けられているのが好ましい。このようにすると、原料ガスが放電空間に均一に供給されるので、良好な膜質の被膜3を得ることができる。
また、本装置1においては、前述した排気部13は、成膜ロール23、26のそれぞれの中心軸から等距離で、放電空間Hを挟んで供給口11と対向するように設けられている。これにより、供給口11から供給される原料ガスは成膜ロール23、26の間の放電空間Hを通過して排気部13から排出されるようになっている。
供給口11からの原料ガスの吹き出し方向は、放電空間Hに直接向かうように設定するのが好ましい。
また、供給口11以外の供給口から反応ガス、キャリアガス及び放電用ガス(「反応ガスなど」ということもある)を供給する場合、原料ガスの吹き出し方向と、反応ガスなどの吹き出し方向とが共に放電空間Hに直接向かうように、平行に設定するのが好ましい。原料ガスの吹き出し方向と、反応ガスなどの吹き出し方向を放電空間Hに直接向かうように平行に設定すると、放電空間H内におけるガスの流れがより均一になり、パーティクルの発生をより抑制できる。そのため、バリア性(例えば、ガスバリア性や層間絶縁性)が高くなる。
なお、本実施形態においては、供給口11以外の供給口から反応ガスなどを供給する場合は、反応ガスなどの吹き出し方向を隔壁12の壁部122に向けて設定することも可能である。
なお、本実施形態においては、供給口11から供給できるものは原料ガスに限定されない。すなわち、原料ガスと、反応ガス、キャリアガス及び放電用ガスのうちの少なくとも一種とを供給前に事前に混合して混合ガスを生成し、当該混合ガスを供給口11から供給することができる。このようにすると、放電空間H内におけるガスの流れがさらに均一になり、パーティクルの発生をさらに抑制できる。そのため、バリア性がより高くなる。
(隔壁、及び隔壁と一対の成膜ロールの態様)
隔壁12は、真空チャンバ10の内部において、一対の成膜ロール23、26と近接した位置で放電空間H(対向空間)に向けて開口する開口部121と、この開口部121から供給口11までを覆う壁部122を有する。つまり、図1に示すように、隔壁12は有底の箱型の形状を呈しており、底となる壁部(後記する対向壁部123)に供給口11が近接又は密接するようにして真空チャンバ10の内部に設けられている。開口部121は、成膜ロール23、26に巻き掛けながら搬送される基材2とは接触しない程度の間隔をもって成膜ロール23及び成膜ロール26に近接して設けられている。隔壁12は、このような構成を採用しているため、放電空間の端部A(図2参照)に直接的且つスムーズに原料ガスを供給することができる。従って、成膜レートを高くすることができると共に、パーティクルの発生量を少なくすることができ、バリア性も高くすることができる。
特に、本実施形態における隔壁12と一対の成膜ロール23、26は、次の所定の条件を満たす態様で設けられている。なお、図2から図6は、隔壁12と一対の成膜ロール23、26の一態様を説明する概略図である。
つまり、図2から図6に示すように、隔壁12と一対の成膜ロール23、26は、一対の成膜ロール23、26の軸間距離を“X”、開口部121の開口寸法を“Y”、隔壁12のうち、供給口11と近接した位置で一対の成膜ロール23、26と対向する対向壁部123(有底の箱型の隔壁12の底となる壁部)の形成寸法を“Z”としたとき、一対の成膜ロール23、26と隔壁12とが、X>Z、及び、Y≧Zを同時に満たす態様で設けられている。このようにすると、供給口11からよどみなく原料ガスや反応ガスなどを成膜空間(一対の成膜ロールの間の対向空間(放電空間H))に誘導できる。そのため、パーティクルの発生を抑制でき、バリア性が確実に高くなる。
一対の成膜ロール23、26と隔壁12とが、X≦Zとなったり、Y<Zとなったりすると、いずれにおいても供給口11からよどみなく原料ガスや反応ガスなどを放電空間Hに誘導することができない。そのため、パーティクルが発生し、バリア性が低下する。
なお、一対の成膜ロール23、26と隔壁12は、前記Xと前記Yが、X>Yを満たす態様で設けられているのが好ましい。このようにすると、供給口11から原料ガスや反応ガスなどを放電空間Hに効率良く誘導できる。そのため、パーティクルの発生をより抑制でき、バリア性がより高くなる。
本実施形態においては、軸間距離Xと、開口部121から対向壁部123までの第1寸法(つまり、隔壁12の高さ)と、成膜ロール23、26の中心軸に沿った開口部121の第2寸法(例えば、図2の紙面に対して垂直な方向における開口部121の寸法)とから算出される体積に対する、隔壁12の内部の体積(以下、「有効空間124」ということがある)の比率が、30〜75体積%であるのが好ましい。有効空間124の比率をこの範囲とすると、供給口11から原料ガスや反応ガスなどを放電空間Hに効率良く誘導できるので、成膜レートが高くなる。なお、同様の観点から、有効空間124の比率は40〜60体積%とするのがより好ましい。
本実施形態においては、隔壁12は、図3から図6に示すように、対向壁部123から開口部121に向けて壁間寸法が大きくなる部分を有しているのが好ましい。ここで、壁間寸法とは、対向壁部123を挟んで設けられる壁部122と壁部122の間の寸法をいう。
なお、この態様において、隔壁12の壁部122の断面形状は、図2〜4、6に示すように直線状だけでなく、図5に示すように、円弧状(断面形状が凸状曲線となる形状)とすることができる。つまり、壁部122は、図2〜4、6に示すように開口部121に向かって直線状に延出するだけでなく、図5に示すように、曲線状に延出させることができる。
また、本実施形態においては、隔壁12は、図2及び図6に示すように、対向壁部123から開口部121の間に壁間寸法が等しくなる部分を少なくとも一部に有していてもよい。
このように、本実施形態では、一対の成膜ロール23、26と隔壁12が、X>Z、及び、Y≧Zを同時に満たす限りにおいて、様々な形状とすることができる。
前記した隔壁12は、成膜に影響を与えない材料、例えば、絶縁処理を施したステンレス、銅、アルミニウムなどの金属材料や、SiO2、Al23、B23、CaO、MgOなどの非金属材料、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレンといった合成樹脂材料などで形成することができる。
ここで、プラズマCVDによる成膜時に、隔壁12の表面に原料ガス由来のパーティクルが堆積し、膜が形成されることがある。この膜は、プラズマ反応時に生じる光の輻射熱によってガスを放出することがあり、放出されたガスが被膜3の原子組成を変化させ、バリア性を変動させることがある。
このような変動を抑制するため、本実施形態においては、隔壁12の表面にフィルム(図1〜6及び後述する図7、8において図示せず)を設けてもよい。このようにすると、フィルムの表面に前記した膜が形成されることになるが、フィルムを除くことにより前記した膜を除くことができるので、被膜3のバリア性の変動を抑制できる。このようなフィルムとしては、例えば、特開2016−006210号公報に記載されているものを好適に用いることができる。
なお、同様の観点から、真空チャンバ10の内壁や前記した各種ロール21〜28、供給口11、後記する排気ガイド17(図7参照)、防着板18(図8参照)の表面にも前記したフィルムを設けてもよい。
(排気ガイド)
図7は、排気ガイド17を有する本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置1の全体構成を説明する概略図である。図7に示す本装置1に関して、既に説明した構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本装置1は、前述したように、供給口11から供給されて放電空間Hを経た原料ガスを真空チャンバ10の外部に排気する排気部13を有している。そして、この排気部13は、図7に示すように、前記Xよりも開口寸法が小さい排気ガイド17を有している。具体的には、この排気ガイド17は、放電空間Hから原料ガスを排気口14に誘導するため、一対の成膜ロール23、26から真空ポンプ15の隙間を埋めるようにして設けられている。このようにすると、原料ガスの排気をスムーズに行うことができるので、パーティクルの発生を抑制できる。そのため、被膜3のバリア性がより高くなる。排気ガイド17は、隔壁12と同様の材料で形成することができる。
(防着板)
図8は、防着板18(シールド)を有する本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置1の全体構成を説明する概略図である。図8に示す本装置1に関して、既に説明した構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本装置1は、排気部13と一対の成膜ロール23、26の間に、成膜ロール23、26のそれぞれに近接させて防着板18、18を設けているのが好ましい。この防着板18は、隔壁12と同様の材料で形成することができる。このような防着板18を設けているので、本装置1は、成膜ロール23、26下部でのパーティクルの付着を抑制できる。防着板18と成膜ロール23、26のクリアランスを例えば0.5〜1mmとすると、異常放電の発生と原料ガスの回り込みを防止できる。そのため、パーティクルの発生をさらに抑制でき、被膜3のバリア性がより高くなる。
防着板18は、前記した排気ガイド17と併用するとパーティクルの発生抑制と被膜3のバリア性をより高めることができるので、好ましい。
(プラズマCVD成膜装置の使用方法)
次に、図1を参照して、本装置1の使用方法について説明する。
図1に示すように、真空チャンバ10の内部の所定の箇所に成膜前の基材2がロール状に巻かれた送り出しロール21をセットする。
送り出しロール21から基材2を引き出し、搬送ロール22、成膜ロール23、搬送ロール24、25、成膜ロール26、搬送ロール27、巻取りロール28の順に巻き掛ける。
そして、真空ポンプ15で真空チャンバ10の内圧を下げて真空状態とする。この状態で成膜ロール23、26などを回転させて送り出しロール21から巻取りロール28へ基材2を搬送しつつ、供給口11から原料ガスを供給する。
そして、プラズマ発生用電源16から成膜ロール23、26に電力を供給すると共に、磁場発生装置231、261で磁場を発生させて放電空間Hにプラズマを発生させ、基材2の表面に被膜3を成膜させる。
被膜3が成膜された基材2を巻取りロール28でロール状に巻き取る。
基材2に対して予め設定されていた分量(長さ)の被膜3の成膜が終了したらプラズマ発生用電源16からの電力の停止と、原料ガスの供給の停止と、磁場発生装置231、261による磁場の発生の停止とを行い、ロールの回転を止める。次いで、真空ポンプ15を停止して真空チャンバ10の内部を大気圧に戻す。
そして、真空チャンバ10の内部から被膜3が成膜された基材2が巻かれている巻取りロール28を取り出して成膜の操作を終了する。
次のロットの成膜を行う場合は、冒頭に説明したように、真空チャンバ10の内部の所定の箇所に送り出しロール21をセットし、同様の操作を順次行う。
以上に説明した本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置1は、前記した隔壁12を有しているので、供給口11からよどみなく原料ガスや反応ガスなどを放電空間Hに誘導できる。そのため、本実施形態に係るプラズマCVD成膜装置1は、被膜3のバリア性を高くでき、成膜時のパーティクルの発生量も少なくできる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
プラズマCVD成膜装置の真空チャンバの内部に種々の形状の隔壁を取り付けて、隔壁と一対の成膜ロールを表1〜3のNo.1〜15に示すX、Y、Zの関係となるようにして基材上に被膜(ガスバリア層)を成膜した。
なお、表1〜3において、“X”は、一対の成膜ロールの軸間距離であり、“Y”は、隔壁の開口部の開口寸法であり、“Z”は、隔壁のうち、供給口と近接した位置で一対の成膜ロールと対向する対向壁部の形成寸法である。
基材は、きもと社製KBフィルム(G1SBF)(厚さ125μm)を使用した。
プラズマCVDの成膜条件は次のとおりである。
<成膜条件>
・原料ガス:HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)
・原料ガスの供給量:50sccm(standard cubic centimeter per minute)
・Oの供給量:450sccm
・圧力:1.5Pa
・電力:1kW
・周波数:80kHz
・搬送速度:1m/min
なお、表2のNo.10は、SUS304製の排気ガイドを排気口に設けて成膜を行った。また、No.11は、前記排気ガイドに加えてSUS304製の防着板を設けて成膜を行った。
このようにしてガスバリア層を成膜した基材に対して、成膜レート(Deposition Rate;DR)、水蒸気透過度(Water Vapor Transmission Rate;WVTR)、及びパーティクル抑制性を評価した。これらの評価は次のようにして行った。
(DR)
DRは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)で膜厚を測定することにより評価した。具体的には、ガスバリア層を成膜した基材のTEM用試料を下記集束イオン(Focused Ion Beam;FIB)装置を用いて下記条件で作製し、この試料を下記TEM装置にセットして下記条件でその断面を観察した。そして、ガスバリア層の表面から基材の表面までの距離を測定した。この測定をフィルム面上の位置が異なる10点について行い、各測定値の平均値をガスバリア層の層厚(nm)として決定した。
そして、このようにして決定されたガスバリア層の層厚と搬送速度とからDRを算出した。DRが、60nm/min未満のものを評価点「1」、60nm/min以上100nm/min未満を評価点「2」、100nm/min以上120nm/min未満を評価点「3」、120nm/min以上140nm/min未満を評価点「4」、140nm/min以上を評価点「5」とした。評価点が高いほど評価が良く、評価点3以上が合格である。
(TEM)
装置:JEM2000FX(日本電子社製)
加速電圧:200kV
(FIB装置)
装置:SMI2050(セイコーインスツル社製)
加工イオン:Ga(30kV)
試料の厚さ:100〜200nm
(WVTR)
WVTRは、MOCON水蒸気透過率測定装置AQUATRAN(MOCON社製)を用いて、ガスバリア層を成膜した基材の水蒸気透過度[g/(m・24h)]を温度38℃、湿度90%RHの条件で測定した。
WVTRが0.5以上のものを評価点「1」、0.1以上0.5未満のものを評価点「2」、0.01以上0.1未満のものを評価点「3」、0.005以上0.01未満のものを評価点「4」、0.005未満のものを評価点「5」とした。評価点が高いほど評価が良く、評価点3以上が合格である。
(パーティクル抑制性)
パーティクル抑制性は、ガスバリア層を成膜した基材の膜面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて1cm中のパーティクルをカウントした。これを1つの試料につき50箇所行い、平均値を求めた。
このようにして求めた平均値が150個以上であるものを評価点「1」、100個以上150個未満であるものを評価点「2」、80個以上100個未満であるものを評価点「3」、50個以上80個未満であるものを評価点「4」、50個未満であるものを評価点「5」とした。評価点が高いほど評価が良く、評価点3以上が合格である。
表1〜3に、X、Y、Zの関係とその模式図、軸間距離と、開口部から対向壁部までの第1寸法と、成膜ロールの中心軸に沿った開口部の第2寸法とから算出される体積に対する、隔壁の内部の体積(有効空間)の比率(表1では「有効空間の比率(体積%)」と表示)、隔壁の壁部の断面形状、排気ガイドの有無、防着板の有無、原料の供給形態を示すと共に、DR、WVTR、パーティクル抑制性の各評価点を示す。
なお、前記した軸間距離と、開口部から対向壁部までの第1寸法と、成膜ロールの中心軸に沿った開口部の第2寸法とから算出される体積と、No.12に示す隔壁の内部の体積は同じであるので、これを100体積%と表示している。表1〜3には、No.1〜11、13〜15に示す隔壁の内部の体積をNo.12に示す隔壁の内部の体積を基準とした体積比で表している。
また、表1〜3における原料の供給形態について、A〜Cは以下のとおりである。
A:原料ガスと反応ガスを別々の供給口から供給するものであり、原料ガスの吹き出し方向を放電空間に向けているのに対し、反応ガスの吹き出し方向を原料ガスの吹き出し方向に対して垂直に、つまり、隔壁に向かうように設定した。
B:原料ガスと反応ガスを別々の供給口から供給するものであり、原料ガスの吹き出し方向と反応ガスの吹き出し方向を平行に、且つ放電空間に向かうように設定した。
C:原料ガスと反応ガスを事前に混合して混合ガスを生成し、混合ガスの吹き出し方向を放電空間に向かうように設定した。
Figure 2018173505
Figure 2018173505
Figure 2018173505
表1及び表2に示すように、No.1〜11に係る試料は、一対の成膜ロールと隔壁が、X>Z、及び、Y≧Zを同時に満たしていたので、DR、WVTR及びパーティクル抑制性の評価が評価点3以上となり、合格となった(実施例)。
これらの中でも、No.3〜11に係る試料は、有効空間の比率が30〜75体積%であったので、DRが良好であった。
また、No.5〜11に係る試料は、一対の成膜ロールと隔壁が、X>Yを満たしていたので、WVTRが良好であった。
No.10に係る試料は、排気ガイドを有していたのでWVTRがより良好であった。
No.11に係る試料は、排気ガイドに加えて防着板を設けていたので、パーティクル抑制性及びWVTRがさらに良好であった。
これに対し、No.12〜15に係る試料は、一対の成膜ロールと隔壁が、X>Z、及び、Y≧Zを同時に満たしていなかったので、DR、WVTR及びパーティクル抑制性の評価が共に評価点2以下となり、不合格となった(比較例)。
以上、本発明のプラズマCVD成膜装置について、実施形態及び実施例により具体的に説明したが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 プラズマCVD成膜装置(本装置)
10 真空チャンバ
23 成膜ロール
26 成膜ロール
11 供給口
12 隔壁
121 開口部
122 壁部
123 対向壁部
13 排気部
17 排気ガイド

Claims (7)

  1. 真空チャンバの内部で対向配置された一対の成膜ロールと、
    前記一対の成膜ロールから離間して設けられ、前記一対の成膜ロールの間の対向空間に原料ガスを供給する供給口と、
    前記一対の成膜ロールと近接した位置で前記対向空間に向けて開口する開口部、及び前記開口部から前記供給口までを覆う壁部を有する隔壁と、を有し、
    前記一対の成膜ロールの軸間距離をX、
    前記開口部の開口寸法をY、
    前記隔壁のうち、前記供給口と近接した位置で前記一対の成膜ロールと対向する対向壁部の形成寸法をZとしたとき、
    前記一対の成膜ロールと前記隔壁が、X>Z、及び、Y≧Zを同時に満たすプラズマCVD成膜装置。
  2. 前記軸間距離と、前記開口部から前記対向壁部までの第1寸法と、前記成膜ロールの中心軸に沿った前記開口部の第2寸法とから算出される体積に対する前記隔壁の内部の体積の比率が30〜75体積%である請求項1に記載のプラズマCVD成膜装置。
  3. 前記対向壁部から前記開口部に向けて壁間寸法が大きくなる部分を有する請求項1又は請求項2に記載のプラズマCVD成膜装置。
  4. 前記対向壁部から前記開口部の間に壁間寸法が等しくなる部分を少なくとも一部に有する請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
  5. 前記Xと前記Yが、X>Yを満たす請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
  6. 前記供給口から供給されて前記対向空間を経た前記原料ガスを前記真空チャンバの外部に排気する排気部を有しており、前記排気部は前記Xよりも開口寸法が小さい排気ガイドを有している請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
  7. 前記供給口が、前記一対の成膜ロールのそれぞれの中心軸から等距離で、前記対向壁部に近接又は密接させて設けられている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
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