JPWO2018168983A1 - シート状細胞培養物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、機械的強度が高いシート状細胞培養物、およびその製造方法の提供を目的とする。(i)筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率を調整するステップ、(ii)ステップ(i)で得た細胞集団を培養基材に播種するステップ、(iii)ステップ(ii)で播種された細胞集団を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成するステップ、および(iv)ステップ(iii)で形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップを含み、ステップ(ii)における細胞集団の播種密度が、培養基材への播種後、細胞が培養基材上に沈降した直後に、培養基材上で互いに接する細胞の割合が全細胞の90%以上となる密度である、シート状細胞培養物の製造方法を提供することにより、上記課題が解決された。

Description

本開示は、筋芽細胞と線維芽細胞とを含むシート状細胞培養物の製造方法、当該製造方法で製造されたシート状細胞培養物、当該シート状細胞培養物を含む組成物、移植片および医療製品、当該シート状細胞培養物を用いた疾患の処置方法、当該シート状細胞培養物を製造するためのキットなどに関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、ES細胞、iPS細胞等の利用が試みられている(非特許文献1)。
このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた(特許文献1)。
しかしながら、細胞シートは一般に脆弱であり、培養基材からの単離時やその後の操作中に皺や破れなどを生じやすく、移送、保存、移植などの操作には相当の熟練が必要であった。
特表2007-528755号公報
Haraguchi et al., Stem Cells Transl Med. 2012;1(2):136-41
本開示は、筋芽細胞と線維芽細胞とを含むシート状細胞培養物の製造方法、当該製造方法で製造されたシート状細胞培養物、当該シート状細胞培養物を含む組成物、移植片および医療製品、当該シート状細胞培養物を用いた疾患の処置方法、当該シート状細胞培養物を製造するためのキットなどの提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進める中、筋芽細胞と線維芽細胞とを含むシート状細胞培養物を製造する際に、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率を調整するステップを設けることで、機械的強度が高いなどの好ましい性質を有するシート状細胞培養物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本開示の一部の態様は以下に関する。
<1>(i)筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率を調整するステップ、
(ii)ステップ(i)で得た細胞集団を培養基材に播種するステップ、
(iii)ステップ(ii)で播種された細胞集団を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成するステップ、および
(iv)ステップ(iii)で形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップ
を含み、ステップ(ii)における細胞集団の播種密度が、培養基材への播種後、細胞が培養基材上に沈降した直後に、培養基材上で互いに接する細胞の割合が全細胞の90%以上となる密度である、シート状細胞培養物の製造方法。
<2>細胞培養液が同種血清を含む、上記<1>に記載の製造方法。
<3>培養基材が血清で被覆されている、上記<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>培養基材が、温度応答性材料で被覆されている、上記<1>〜<3>のいずれか一つに記載の製造方法。
<5>ステップ(i)において、細胞集団が、細胞数ベースで、筋芽細胞を60%〜99%、線維芽細胞を1%〜40%含むように調整される、上記<1>〜<5>のいずれか一つに記載の製造方法。
<6>ステップ(i)において、細胞集団が、筋芽細胞:線維芽細胞の細胞数の比率として、1.5:1〜99:1の筋芽細胞と線維芽細胞とを含むように調整される、上記<1>〜<5>のいずれか一つに記載の製造方法。
<7>細胞集団の播種密度が7.5×10個/cm〜3.0×10個/cmである、上記<1>〜<6>のいずれか一つに記載の製造方法。
<8>上記<1>〜<7>のいずれか一つに記載の製造方法で製造されたシート状細胞培養物。
<9>培養基材と、血清と、細胞数ベースで、筋芽細胞を60%〜99%、線維芽細胞を1%〜40%含む細胞集団とを含み、前記細胞集団の細胞数が、培養基材への播種後、細胞が培養基材上に沈降した直後に、培養基材上で互いに接する細胞の割合が全細胞の90%以上となる密度をもたらす数である、上記<1>〜<7>のいずれか一つに記載の製造方法に用いるためのキット。
<10>シート状細胞培養物の適用により改善される疾患を処置する方法であって、有効量の上記<8>に記載のシート状細胞培養物を、それを必要とする対象に適用するステップを含む、前記方法。
本開示の方法で製造されたシート状細胞培養物は、機械的強度が高く、一体的にハンドリングしやすい、ちぎれにくい、破れにくい、縁が欠けにくいなどの利点がある。したがって、本開示のシート状細胞培養物は、操作性に優れ、作業者の熟練度による操作上の差も小さいため、シート状細胞培養物の培養基材からの剥離、移送、保管、さらには移植などの操作が容易となり、疾患の確実な処置が可能となるばかりでなく、当該シート状細胞培養物を用いた再生医療等の普及拡大が期待できる。
また、本開示のシート状細胞培養物に含まれる筋芽細胞と線維芽細胞とは、その大きさや性状が異なるため、互いに細胞間の隙間を埋め合うことができ、本開示のシート状細胞培養物においては、筋芽細胞のみまたは線維芽細胞のみで構成されたシート状細胞培養物に比べ、細胞間の隙間が小さくなり、それにより適度な摺動性を有する面が形成される。このため、シート状細胞培養物を患部に適用する場合、一旦患部に適用した後の位置の調整が容易であり、また、患部に適用した後にシート状細胞培養物が滑り落ちにくいなどの利点がある。
さらに、筋芽細胞と線維芽細胞とでは接着力が異なるため、本開示のシート状細胞培養物は、単一の種類の細胞で形成したシート状細胞培養物に比べ、培養基材から剥離した後に伸展しやすく、丸まりにくいという利点がある。
培養基材に骨格筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団を播種後、10分経過後の状態を示した写真図である。矢頭は骨格筋芽細胞を、矢印は線維芽細胞をそれぞれ示す。スケールバーの長さは30μmである。 血球計算盤上に播種した、伸展していない骨格筋芽細胞および線維芽細胞のサイズを示した写真図である。矢頭は骨格筋芽細胞を、矢印は線維芽細胞をそれぞれ示す。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願および他の出版物は、その全体を参照により本明細書に援用する。
本開示の一側面は、(i)筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率を調整するステップ、
(ii)ステップ(i)で得た細胞集団を培養基材に播種するステップ、
(iii)ステップ(ii)で播種された細胞集団を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成するステップ、および
(iv)ステップ(iii)で形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップ
を含み、ステップ(ii)における細胞集団の播種密度が、培養基材への播種後、細胞が培養基材上に沈降した直後に、培養基材上で互いに接する細胞の割合が全細胞の90%以上となる密度である 、シート状細胞培養物の製造方法(以下、「本開示の製造方法」と称することがある)に関する。
筋芽細胞は、横紋筋細胞の前駆細胞であり、骨格筋芽細胞および心筋芽細胞を含む。
骨格筋芽細胞は、骨格筋に存在する筋芽細胞を意味する。骨格筋芽細胞は当該技術分野でよく知られており、骨格筋から任意の既知の方法(例えば、特開2007−89442号公報に記載の方法など)により調製することもできるし、商業的に入手することもできる(例えば、Lonza、Cat# CC-2580)。骨格筋芽細胞は、限定されずに、例えば、CD56、α7インテグリン、ミオシン重鎖IIa、ミオシン重鎖IIb、ミオシン重鎖IId(IIx)、MyoD、Myf5、Myf6、ミオゲニン、デスミン、PAX3などのマーカーにより同定することができる。特定の態様において、骨格筋芽細胞はCD56陽性である。さらに特定の態様において、骨格筋芽細胞はCD56陽性およびデスミン陽性である。骨格筋芽細胞は、骨格筋を有する任意の生物、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの哺乳動物に由来してもよい。一態様において、骨格筋芽細胞は哺乳動物の骨格筋芽細胞である。特定の態様において、骨格筋芽細胞はヒト骨格筋芽細胞である。
心筋芽細胞は、心筋に存在する筋芽細胞を意味する。心筋芽細胞は当該技術分野でよく知られており、Isl1などのマーカーにより同定することができる。心筋芽細胞は、心筋を有する任意の生物、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの哺乳動物に由来してもよい。一態様において、心筋芽細胞は哺乳動物の心筋芽細胞である。特定の態様において、心筋芽細胞はヒト心筋芽細胞である。
線維芽細胞も当該技術分野でよく知られており、TE−7(例えば、Rosendaal et al., J Cell Sci. 1994;107 (Pt 1):29-37、Goodpaster et al., J Histochem Cytochem. 2008;56(4):347-58など参照)などのマーカーにより同定することができる。線維芽細胞は、各種組織に存在しており、本開示においては、任意の組織に由来する線維芽細胞を用いることができる。特定の態様において、線維芽細胞は、筋組織に由来する。さらに特定の態様において、線維芽細胞は、骨格筋組織に由来する。
細胞集団に含まれる筋芽細胞と線維芽細胞は、同一の組織に由来するものであっても、同種の組織に由来するものであっても、異種の組織に由来するものであってもよい。ここで、同一の組織とは、組織学的にも、部位的にも同じ組織を意味し、同種の組織とは、組織学的に同じ種類とみなされる組織を意味し、異種の組織とは、組織学的に異なる種類とみなされる組織を意味する。例えば、右大腿四頭筋と左上腕二頭筋は、骨格筋という同種の組織に属するが、部位が異なるため、同一の組織ではない。一方、右大腿四頭筋と大腿前面の皮膚は、異種の組織である。したがって、本開示においては、例えば、筋芽細胞と線維芽細胞の両方が横紋筋組織、特に骨格筋組織に由来するものであってもよいし、筋芽細胞は横紋筋組織(例えば、骨格筋組織)に由来し、線維芽細胞は、皮膚組織などの横紋筋組織以外の組織に由来するものであってもよい。特定の態様において、筋芽細胞と線維芽細胞は、骨格筋組織に由来する。さらに特定の態様において、筋芽細胞と線維芽細胞は、同一の骨格筋組織に由来する。
筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率の調整は、筋芽細胞数および線維芽細胞数の一方または両方を増減させることによって行うことができる。細胞数の増減は、例えば、両細胞種の細胞を同時に培養することによって行うことができる。線維芽細胞より筋芽細胞の方が倍加時間が長いため、両細胞を同時に培養することにより、線維芽細胞の比率を高めることができる。筋芽細胞はコンフルエントになると接触阻害により増殖が実質的に停止するが、線維芽細胞はコンフルエントになっても、増殖速度は低下するものの、なお増殖することができるため、倍加時間の差はコンフルエント状態での培養でより大きくなる。
筋芽細胞数および/または線維芽細胞数の増減は、既知の任意の細胞純化方法、例えば、細胞表面マーカーを用いたフローサイトメトリー法、アフィニティー分離法(例えば、アフィニティーカラム法、磁気細胞分離法、イムノパニング等)、細胞の大きさの違いを利用した、フィルター(例えば、ナイロンメッシュフィルター)やマイクロ流路などによるろ過、遠心分離、フローサイトメトリー法などにより行うことができる。また、線維芽細胞は、凍結・解凍後の生存率が筋芽細胞よりも低くなる傾向があるため、凍結・解凍操作により線維芽細胞の比率を低下させることができる(特定の理論に捉われることは望まないが、線維芽細胞の方が筋芽細胞より細胞サイズが大きく、凍結保護剤による効果が得られにくいことが考えられる)。凍結・解凍操作の非限定例は、下記に記してある。シート状細胞培養物を移植に用いる場合、抗体などの製造工程由来不純物が細胞に付着しない手法が好ましい。
筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率は、既知の任意の手法、例えば、顕微鏡下でのカウント、細胞マーカーに対する抗体(例えば、抗CD56抗体等)を用いたフローサイトメトリー法などにより決定することができる。筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率の決定は、ステップ(i)の前、ステップ(i)の最中、または、ステップ(i)の前とステップ(i)の最中の両方で行うことができる。ステップ(i)に供する細胞集団の品質が安定しており、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率の変動が少ないような場合は、ステップ(i)の最中のみの決定で所望の比率が得られることがあるし、筋芽細胞数および/または線維芽細胞数の増減手法により、細胞数がどの程度変動するのかが安定して予測できる場合は、ステップ(i)の前のみの決定で所望の比率が得られることがある。ステップ(i)の最中で細胞数の比率を決定した結果、所望の比率が得られなかった場合は、当該細胞集団に筋芽細胞数および/または線維芽細胞数の増減手法を、所望の比率が得られるまで1回以上さらに適用してもよい。また、細胞集団に、筋芽細胞および線維芽細胞以外の細胞が含まれていないか、含まれていたとしても、その比率が無視し得る程度(例えば、1%未満、0.5%未満、0.3%未満など)である場合や、そうであることが合理的に推測できる場合は、筋芽細胞および線維芽細胞のいずれか一方のみの細胞数の比率を決定し、他方の細胞の細胞数の比率はその残余とみなしてもよい。この場合、例えば、筋芽細胞数の全細胞数に対する比率が70%であれば、線維芽細胞数の全細胞数に対する比率は30%とみなすことができる。さらに、筋芽細胞および線維芽細胞のいずれか一方のみの細胞数の比率を決定し、他方の細胞の細胞数の比率は決定しないことも可能である。特定の態様において、筋芽細胞のみの細胞数の比率が決定され、線維芽細胞の細胞数の比率は決定されない。
筋芽細胞数の全細胞数に対する比率は、例えば、約51〜約99%、約55〜約99%、約60〜約99%、約65〜約99%、約70〜約99%、約75〜約99%、約80〜約99%、約85〜約99%、約90〜約99%または約95〜約99%などの範囲であってよく、線維芽細胞数の全細胞数に対する比率は、例えば、約1〜約49%、約1〜約45%、約1〜約40%、約1〜約35%、約1〜約30%、1〜約25%、約1〜約20%、約1〜約15%、約1〜約10%または約1〜約5%などの範囲であってよく、筋芽細胞数と線維芽細胞数との比率は、筋芽細胞数:線維芽細胞数として、例えば、51:49〜99:1、55:45〜99:1、60:40〜99:1、65:35〜99:1、70:30〜99:1、75:25〜99:1、80:20〜99:1、85:15〜99:1、90:10〜99:1または95:5〜99:1などの範囲であってよい。
線維芽細胞の方が筋芽細胞よりラミニンなどの細胞外マトリックスの産生能が高く、線維芽細胞をより多く含む細胞集団は、細胞外マトリックスの産生能力がより高くなる傾向にある。
本開示において、「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、シート状細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの(積層(多層)、例えば、2層、3層、4層、5層、6層など)であってもよい。また、シート状細胞培養物は、細胞が明確な層構造を示すことなく、細胞1個分の厚みを超える厚みを有する3次元構造を有してもよい。例えば、シート状細胞培養物の垂直断面において、細胞が水平方向に均一に整列することなく、不均一に(例えば、モザイク状に)配置された状態で存在していてもよい。
本開示のシート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールド(支持体)を含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、シート状細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本開示のシート状細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができる。また、本開示のシート状細胞培養物は、好ましくは、シート状細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
細胞は異種由来細胞であっても同種由来細胞であってもよい。ここで「異種由来細胞」は、シート状細胞培養物が移植に用いられる場合、そのレシピエントとは異なる種の生物に由来する細胞を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、サルやブタに由来する細胞などが異種由来細胞に該当する。また、「同種由来細胞」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する細胞を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト細胞が同種由来細胞に該当する。同種由来細胞は、自己由来細胞(自己細胞または自家細胞ともいう)、すなわち、レシピエントに由来する細胞と、同種非自己由来細胞(他家細胞ともいう)を含む。自己由来細胞は、移植しても拒絶反応が生じないため、本開示においては好ましい。しかしながら、異種由来細胞や同種非自己由来細胞を利用することも可能である。異種由来細胞や同種非自己由来細胞を利用する場合は、拒絶反応を抑制するため、免疫抑制処置が必要となることがある。なお、本明細書中で、自己由来細胞以外の細胞、すなわち、異種由来細胞と同種非自己由来細胞を非自己由来細胞と総称することもある。本開示の一態様において、細胞は自家細胞または他家細胞である。本開示の一態様において、細胞は自家細胞である。本開示の別の態様において、細胞は他家細胞である。
培養基材は、細胞がその上で細胞培養物を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、種々の材質の容器、容器中の固形もしくは半固形の表面などを含む。容器は、培養液などの液体を透過させない構造・材料が好ましい。かかる材料としては、限定することなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられる。また、容器は、少なくとも1つの平坦な面を有することが好ましい。かかる容器の例としては、限定することなく、例えば、細胞培養物の形成が可能な培養基材で構成された底面と、液体不透過性の側面とを備えた培養容器が挙げられる。かかる培養容器の特定の例としては、限定されずに、細胞培養皿、細胞培養ボトルなどが挙げられる。容器の底面は透明であっても不透明であってもよい。容器の底面が透明であると、容器の裏側から細胞の観察、計数などが可能となる。また、容器は、その内部に固形もしくは半固形の表面を有してもよい。固形の表面としては、上記のごとき種々の材料のプレートや容器などが、半固形の表面としては、ゲル、軟質のポリマーマトリックスなどが挙げられる。培養基材は、上記材料を用いて作製してもよいし、市販のものを利用してもよい。好ましい培養基材としては、限定することなく、例えば、シート状細胞培養物の形成に適した、接着性の表面を有する基材が挙げられる。具体的には、親水性の表面を有する基材、例えば、コロナ放電処理したポリスチレン、コラーゲンゲルや親水性ポリマーなどの親水性化合物を該表面にコーティングした基材、さらには、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスや、カドヘリンファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーなどの細胞接着因子などを表面にコーティングした基材などが挙げられる。また、かかる基材は市販されている(例えば、Corning(R) TC-Treated Culture Dish、Corningなど)。培養基材は全体または部分が透明であっても不透明であってもよい。
培養基材は、刺激、例えば、温度や光に応答して物性が変化する材料で表面が被覆されていてもよい。かかる材料としては、限定されずに、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド等)、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等)、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)−モルホリン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−モルホリン等)、またはビニルエーテル誘導体(例えば、メチルビニルエーテル)のホモポリマーまたはコポリマーからなる温度応答性材料、アゾベンゼン基を有する光吸収性高分子、トリフェニルメタンロイコハイドロオキシドのビニル誘導体とアクリルアミド系単量体との共重合体、および、スピロベンゾピランを含むN−イソプロピルアクリルアミドゲル等の光応答性材料などの公知のものを用いることができる(例えば、特開平2-211865、特開2003-33177参照)。これらの材料に所定の刺激を与えることによりその物性、例えば、親水性や疎水性を変化させ、同材料上に付着した細胞培養物の剥離を促進することができる。温度応答性材料で被覆された培養皿は市販されており(例えば、CellSeed Inc.のUpCell(R))、これらを本開示の製造方法に使用することができる。
上記培養基材は、種々の形状であってもよいが、平坦であることが好ましい。また、その面積は特に限定されないが、例えば、約1cm〜約200cm、約2cm〜約100cm、約3cm〜約50cmなどであってよい。
培養基材は血清でコート(被覆またはコーティング)されていてもよい。血清でコートされた培養基材を用いることにより、より高密度のシート状細胞培養物を形成することができる。「血清でコートされている」とは、培養基材の表面に血清成分が付着している状態を意味する。かかる状態は、限定されずに、例えば、培養基材を血清で処理することにより得ることができる。血清による処理は、血清を培養基材に接触させること、および、必要に応じて所定期間インキュベートすることを含む。
血清としては、異種血清および/または同種血清を用いることができる。異種血清は、シート状細胞培養物を移植に用いる場合、そのレシピエントとは異なる種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ウシやウマに由来する血清、例えば、ウシ胎仔血清(FBS、FCS)、仔ウシ血清(CS)、ウマ血清(HS)などが異種血清に該当する。また、「同種血清」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト血清が同種血清に該当する。同種血清は、自己血清(自家血清ともいう)、すなわち、レシピエントに由来する血清、およびレシピエント以外の同種個体に由来する同種他家血清を含む。なお、本明細書中で、自己血清以外の血清、すなわち、異種血清と同種他家血清を非自己血清と総称することもある。
培養基材をコートするための血清は、市販されているか、または、所望の生物から採取した血液から定法により調製することができる。具体的には、例えば、採取した血液を室温で約20分〜約60分程度放置して凝固させ、これを約1000×g〜約1200×g程度で遠心分離し、上清を採取する方法などが挙げられる。
培養基材上でインキュベートする場合、血清は原液で用いても、希釈して用いてもよい。希釈は、任意の媒体、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7など)等で行うことができる。希釈濃度は、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、約0.5%〜約100%(v/v)、好ましくは約1%〜約60%(v/v)、より好ましくは約5%〜約40%(v/v)である。
インキュベート時間も、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、約1時間〜約72時間、好ましくは約4時間〜約48時間、より好ましくは約5時間〜約24時間、さらに好ましくは約6時間〜約24時間である。インキュベート温度も、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、約0℃〜約60℃、好ましくは約4℃〜約45℃、より好ましくは室温〜約40℃である。
インキュベート後に血清を廃棄してもよい。血清の廃棄手法としては、ピペットなどによる吸引や、デカンテーションなどの慣用の液体廃棄手法を用いることができる。本開示の好ましい態様においては、血清廃棄後に、培養基材を無血清洗浄液で洗浄してもよい。無血清洗浄液としては、血清を含まず、培養基材に付着した血清成分に悪影響を与えない液体媒体であれば特に限定されず、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7など)等で行うことができる。洗浄手法としては、慣用の培養基材洗浄手法、例えば、限定することなく、培養基材上に無血清洗浄液を加えて所定時間(例えば、約5秒〜約60秒間)撹拌後、廃棄する手法などを用いることができる。
本開示において、培養基材を、成長因子でコートしてもよい。ここで、「成長因子」は、細胞の増殖を、それがない場合に比べて促進する任意の物質を意味し、例えば、上皮細胞成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)などを含む。成長因子による培養基材のコート手法、廃棄手法および洗浄手法は、インキュベーション時の希釈濃度が、例えば、約0.0001μg/mL〜約1μg/mL、好ましくは約0.0005μg/mL〜約0.05μg/mL、より好ましくは約0.001μg/mL〜約0.01μg/mLである以外は、基本的に血清と同じである。
本開示において、培養基材を、ステロイド剤でコートしてもよい。ここで「ステロイド剤」は、ステロイド核を有する化合物のうち、生体に、副腎皮質機能不全、クッシング症候群などの悪影響を及ぼし得るものをいう。かかる化合物としては、限定されずに、例えば、コルチゾール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等が含まれる。ステロイド剤による培養基材のコート手法、廃棄手法および洗浄手法は、インキュベーション時の希釈濃度が、デキサメタゾンとして、例えば、約0.1μg/mL〜約100μg/mL、好ましくは約0.4μg/mL〜約40μg/mL、より好ましくは約1μg/mL〜約10μg/mLである以外は、基本的に血清と同じである。
培養基材は、血清、成長因子およびステロイド剤のいずれか1つでコートしても、これらの任意の組合わせ、すなわち、血清と成長因子、血清とステロイド剤、血清と成長因子とステロイド剤、または、成長因子とステロイド剤の組合わせでコートしてもよい。複数の成分でコートする場合、これらの成分を混合して同時にコートしてもよいし、別々のステップでコートしてもよい。
培養基材は、血清等でコートした後直ちに細胞を播種してもよいし、コートした後に保存しておき、その後細胞を播種することもできる。コートした基材は、例えば約4℃以下、好ましくは約−20℃以下、より好ましくは約−80℃以下に保つことにより長期間保存することができる。
培養基材への細胞の播種は、既知の任意の手法および条件で行うことができる。培養基材への細胞の播種は、例えば、細胞を培養液に懸濁した細胞懸濁液を培養基材(培養容器)に注入することにより行ってもよい。細胞懸濁液の注入には、スポイトやピペットなど、細胞懸濁液の注入操作に適した器具を用いることができる。
一態様において、播種は、培養基材(例えば培養容器)への播種後、細胞が培養基材上に(培養容器内で)沈降した直後に、培養基材表面(例えば培養容器底面)上で互いに接する細胞の割合が全細胞の約90%以上となる密度で行われる。「細胞が培養基材上に沈降した」とは、細胞が、培養基材上(例えば、培養容器内)に存在する液性媒体中を重力の作用により下降していき、培養基材表面(培養容器底面)に接触したり、他の細胞に接触したりして、それ以上下降できなくなった状態を意味する。播種密度が低い場合は、沈降した細胞の殆どは培養基材表面(培養容器底面)に接触した状態となるが、播種密度が高い場合、沈降した細胞が培養基材表面(培養容器底面)とは接触することなく、他の細胞に接触した状態となることがあり得る。細胞が培養基材上に沈降するのに要する時間は、培養基材上に存在する細胞培養液などの液性媒体の深さや粘度にも依存するが、例えば、通常の培養条件である、1.5〜3mmの深さの細胞培養液が培養基材上に存在する場合は約5〜10分である。したがって、培養基材上で互いに接する細胞の割合は、細胞培養液中に懸濁した細胞集団を培養基材に播種してから約5〜10分後に、培養基材上の細胞を顕微鏡などで観察することにより決定することができる。細胞が互いに接しているか否かは、ある細胞の輪郭と他の細胞の輪郭との関係に基づいて決定することができる。例えば、ある細胞の輪郭の少なくとも一部が他の細胞の輪郭と接しているかまたは重なっている場合、細胞が互いに接していると決定することができる。また、ある細胞の輪郭の全周が、他の細胞の輪郭から離れている場合、細胞は互いに接していないと決定することができる。互いに接する細胞の割合は、例えば、1視野に含まれる全細胞数に占める互いに接する細胞の割合として算出することができる。この場合、視野ごとのばらつきによる影響を軽減するために、複数の視野(例えば、3〜5視野)における平均値をとることができる。また、計数する細胞の数を増やすことによっても、視野ごとのばらつきによる影響を軽減することができる。計数する細胞数は、拡大倍率を調節することで変更することができる。典型的には、例えば、200倍の拡大倍率で約10個以上(例えば、約10〜20個)を計数することにより、良好な計数結果を得ることができる。細胞の計数は手動で行っても、画像処理ソフトウェアなどを用いて機械的に行ってもよい。特定の態様において、培養基材上で互いに接する細胞の割合は、例えば、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上または約100%であってもよい。なお、培養基材上で互いに接する細胞の割合は、特段の記載がない限り、筋芽細胞と線維芽細胞とを区別せずに求めることとする。
別の態様において、播種は、培養基材(例えば培養容器)への播種後、細胞が培養基材上に(培養容器内で)沈降した直後に、約70%以上の細胞が培養基材表面(培養容器底面)に接触しない密度で行われる。培養基材表面に接触しない細胞の割合は、上記のように細胞の沈降速度を考慮すると、細胞培養液中に懸濁した細胞集団を培養基材に播種してから約5〜10分後に、培養基材上の細胞を顕微鏡などで観察することにより決定することができる。細胞が培養基材表面に接触しているか否かは、例えば、倒立顕微鏡や位相差顕微鏡による観察や、焦点深度を浅くした顕微鏡による観察、ファイバースコープによる観察などに基づいて決定することができる。倒立顕微鏡を用いる場合、培養基材表面に接触している細胞の数を直接計数し、全播種細胞数に対する割合を求めることができる。焦点深度を浅くした顕微鏡を用いる場合、焦点距離を調節することで、所定の距離より近くにある細胞を培養基材表面に接触していない細胞として、および/または、所定の距離より遠くにある細胞を培養基材表面に接触している細胞として計数することができ、培養基材表面に接触しない細胞の割合は、所定の距離より近くにある細胞の数と所定の距離より遠くにある細胞の数との和に対する、所定の距離より近くにある細胞の数の割合として求めることができる。焦点距離は、例えば、培養基材表面から、筋芽細胞または線維芽細胞1個の厚みだけ近くに設定することで、培養基材表面に接触していない細胞と接触している細胞とを区別することができる。焦点深度は、例えば、筋芽細胞または線維芽細胞1個の厚みと等しいか、これに近い値(例えば、厚み±1〜2μm)に設定することができる。ファイバースコープを用いる場合、ファイバースコープを細胞が存在する液体媒体中に入れ、播種後の細胞を培養基材表面に対して斜め上方から、または、水平方向に観察することで、培養基材表面に接触していない細胞、および/または、培養基材表面に接触している細胞を計数することができる。培養基材表面に接触しない細胞の割合は、例えば、培養基材表面に接触していない細胞の数と培養基材表面に接触している細胞の数に対する培養基材表面に接触していない細胞の数の割合として求めることができる。なお、培養基材表面に接触しない細胞の割合は、特段の記載がない限り、筋芽細胞と線維芽細胞とを区別せずに求めることとする。
さらに別の態様において、播種は、約7.1×10個/cm〜約3.0×10個/cm、約7.3×10個/cm〜約2.8×10個/cm、約7.5×10個/cm〜約2.5×10個/cm、約7.8×10個/cm〜約2.3×10個/cm、約8.0×10個/cm〜約2.0×10個/cm、約8.5×10個/cm〜約1.8×10個/cm、約9.0×10個/cm〜約1.6×10個 /cmなどの密度で行うことができる。なお、これらの密度は、特段の記載がない限り、筋芽細胞と線維芽細胞との合計密度であることとする。
さらに別の態様において、播種は、成長因子を実質的に含まない細胞培養液において、筋芽細胞が実質的に増殖せず、線維芽細胞が増殖抑制を受けながらも、増殖可能な密度で行うことができる。
筋芽細胞と線維芽細胞とでは、培養基材表面への接着のしやすさが異なっている。播種後、培養基材表面に接触しておらず、上下が他の細胞に囲まれている細胞は、重力方向に伸展する傾向がある。播種後、筋芽細胞は変形しやすい傾向があり、培養基材表面に付着すると多角形となる傾向がある。また、筋芽細胞はコンフルエント状態になると、接触阻害により増殖が抑制される。一方、線維芽細胞は、播種後、一方向に直線的に伸展する傾向があり、筋芽細胞より重く、培養基材表面に付着する確率が高い傾向にある。また、線維芽細胞は、コンフルエント状態になって接触阻害がかかり増殖が抑制されても、増殖を続けることができる。したがって、上記のような高密度で筋芽細胞と線維芽細胞とを播種した場合、筋芽細胞はほとんど増殖しないが、線維芽細胞は増殖するため、倍加時間が異なってくる。
播種した細胞をシート化するステップは、既知の任意の手法および条件で行うことができる。かかる手法の非限定例は、例えば、特許文献1、WO 2014/185517などに記載されている。細胞のシート化は、細胞同士が接着分子や、細胞外マトリックスなどの細胞間接着機構を介して互いに接着することにより達成されると考えられている。したがって、播種した細胞をシート化するステップは、例えば、細胞を、細胞間接着を形成する条件下で培養することにより達成することができる。かかる条件は、細胞間接着を形成することができればいかなるものであってもよいが、通常は一般的な細胞培養条件と同様の条件であれば細胞間接着を形成することができる。かかる条件としては、例えば、約37℃、5%COでの培養が挙げられる。また、培養は通常の圧力下(大気圧下、非加圧下)で行うことができる。培養は任意の大きさおよび形状の容器で行うことができる。シート状細胞培養物の大きさや形状は、培養容器の細胞付着面の大きさ・形状を調整すること、または、培養容器の細胞付着面に、所望の大きさ・形状の型枠を設置し、その内部で細胞を培養することなどにより任意に調節することができる。本明細書において、播種した細胞をシート化するための培養を、「シート化培養」と称することもある。シート化培養により、培養基材上(培養容器内)のシート状細胞培養物の厚みは減少する。すなわち、播種後、細胞が沈降した後、その後のシート化により培養基材上で細胞層の厚みは減少するが、シート状細胞培養物は培養基材からの剥離により収縮し、再び厚みを増す。シート化による厚みの減少は、播種直後の細胞層の厚みを100%とすると、約90%〜約70%程度である。
本開示の一態様において、細胞の培養は、所定の期間内、好ましくは、筋芽細胞が分化に移行しない期間内に行われる。したがって、この態様において、筋芽細胞は、培養期間中、未分化の状態に維持される。筋芽細胞の分化への移行は、当業者に知られた任意の方法で評価することができる。例えば、骨格筋芽細胞の場合は、MHCの発現、クレアチンキナーゼ(CK)活性、細胞の多核化、筋管の形成などを分化の指標とすることができる。培養期間は、例えば、約48時間以内、約40時間以内、約36時間以内、約30時間以内、約26時間以内、約12時間以内とすることができる。特定の態様において、培養期間は約2時間〜約36時間、約2時間〜約30時間、約2時間〜約26時間、約2時間〜約12時間などであってよい。
培養に用いる細胞培養液(単に「培養液」もしくは「培地」と称することもある)は、細胞の生存を維持できるものであれば特に限定されないが、典型的には、アミノ酸、ビタミン類、電解質を主成分としたものが利用できる。本開示の一態様において、培養液は、細胞培養用の基礎培地をベースにしたものである。かかる基礎培地には、限定されずに、例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7などが含まれる。これらの基礎培地の多くは市販されており、その組成も公知となっている。
基礎培地は、標準的な組成のまま(例えば、市販されたままの状態で)用いてもよいし、細胞種や細胞条件に応じてその組成を適宜変更してもよい。したがって、本開示に用いる基礎培地は、公知の組成のものに限定されず、1または2以上の成分が追加、除去、増量もしくは減量されたものを含む。
基礎培地に含まれるアミノ酸としては、限定されずに、例えば、L−アルギニン、L−シスチン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリンなどが、ビタミン類としては、限定されずに、例えば、D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、リボフラビン、チアミン、ピリドキシン、ビオチン、リポ酸、ビタミンB12、アデニン、チミジンなどが、そして、電解質としては、限定されずに、例えば、CaCl、KCl、MgSO、NaCl、NaHPO、NaHCO、Fe(NO、FeSO、CuSO、MnSO、NaSiO、(NHMo24、NaVO、NiCl、ZnSOなどがそれぞれ含まれる。基礎培地には、これらの成分のほか、D−グルコースなどの糖類、ピルビン酸ナトリウム、フェノールレッドなどのpH指示薬、プトレシンなどを含んでもよい。
本開示の一態様において、基礎培地に含まれるアミノ酸の濃度は、L−アルギニン:約63.2mg/L〜約84mg/L、L−シスチン:約35mg/L〜約63mg/L、L−グルタミン:約4.4mg/L〜約584mg/L、グリシン:約2.3mg/L〜約30mg/L、L−ヒスチジン:約42mg/L、L−イソロイシン:約66mg/L〜約105mg/L、L−ロイシン:約105mg/L〜約131mg/L、L−リジン:約146mg/L〜約182mg/L、L−メチオニン:約15mg/L〜約30mg/L、L−フェニルアラニン:約33mg/L〜約66mg/L、L−セリン:約32mg/L〜約42mg/L、L−トレオニン:約12mg/L〜約95mg/L、L−トリプトファン:約4.1mg/L〜約16mg/L、L−チロシン:約18.1mg/L〜約104mg/L、L−バリン:約94mg/L〜約117mg/Lである。
また、本開示の一態様において、基礎培地に含まれるビタミン剤の濃度は、D−パントテン酸カルシウム:約4mg/L〜約12mg/L、塩化コリン:約4mg/L〜約14mg/L、葉酸:約0.6mg/L〜約4mg/L、i−イノシトール:約7.2mg/L、ナイアシンアミド:約4mg/L〜約6.1mg/L、リボフラビン:約0.0038mg/L〜約0.4mg/L、チアミン:約3.4mg/L〜約4mg/L、ピリドキシン:約2.1mg/L〜約4mg/Lである。
細胞培養液は、上記のほか、血清、成長因子、ステロイド剤成分、セレン成分などの1種または2種以上の添加物を含んでもよい。しかし、これらの成分が自己由来のものではない場合は、臨床においてはレシピエントに対するアナフィラキシーショック等の副作用要因となり得ることが否定できない製造工程由来不純物となり得るため、臨床への適用にあたってはかかる非自己由来成分を排除することが望ましい場合がある。したがって、本開示の好ましい態様において、細胞培養液は、これらの非自己由来の添加物の少なくとも1種の有効量を含まない。また、本開示のより好ましい態様において、細胞培養液は、これらの非自己由来の添加物の少なくとも1種を実質的に含まない。さらに、本開示の特に好ましい態様において、細胞培養液は、非自己由来の添加物を実質的に含まない。一態様において、細胞培養液は、基礎培地のみを含んでもよい。
本開示の一態様において、細胞培養液は血清を実質的に含まない。血清を実質的に含まない細胞培養液のことを、本明細書中で「無血清培地」と呼ぶこともある。ここで、「血清を実質的に含まない」とは、培養液における血清の含量が、シート状細胞培養物を生体に適用した場合に悪影響を及ぼさない程度(例えば、シート状細胞培養物中の血清アルブミン含量が約50ng未満となる量)であること、好ましくは、培養液にこれらの物質を積極的に添加しないことを意味する。本開示においては、移植時の副作用を回避するために、細胞培養液は異種血清を実質的に含まないことが好ましく、非自己血清を実質的に含まないことがさらに好ましい。
本開示の一態様において、細胞培養液は血清を含む。血清は、同種血清であっても異種血清であってもよい。特定の態様において、細胞培養液は自己血清を含む。血清でコートされた培養基材上で細胞を培養する場合、細胞培養液に含まれる血清(細胞の培養に用いる血清)は、培養基材をコートするために用いる血清と同じであっても異なってもよい。一態様において、細胞培養液に含まれる血清は、培養基材をコートするために用いる血清と同一であり、特定の態様において、該血清は自己血清である。血清は、本開示の製造方法に用いるためのものであってもよい。例えば、血清は、細胞の培養に用いるためのものであっても、培養基材をコートするためのものであってもよい。
本開示の一態様において、細胞培養液は有効量の成長因子を含まない。ここで、「有効量の成長因子」とは、細胞の増殖を、成長因子がない場合に比べて、有意に促進する成長因子の量、または、便宜的に、当該技術分野において細胞の増殖を目的として通常添加する量を意味する。細胞増殖促進の有意性は、例えば、当該技術分野で知られた任意の統計学的手法、例えば、t検定などにより適宜評価することができ、また、通常の添加量は当該技術分野の種々の公知文献から知ることができる。具体的には、細胞培養におけるEGFの有効量は、例えば約0.005μg/mL以上である。
したがって、「有効量の成長因子を含まない」とは、本開示における培養液における成長因子の濃度がかかる有効量未満であることを意味する。例えば、細胞培養におけるEGFの培養液中の濃度は、好ましくは約0.005μg/mL未満、より好ましくは約0.001μg/mL未満である。本開示の好ましい態様においては、培養液における成長因子の濃度は、生体における通常の濃度未満である。かかる態様においては、例えば、細胞培養におけるEGFの培養液中の濃度は、好ましくは約5.5ng/mL未満、より好ましくは約1.3ng/mL未満、さらに好ましくは、約0.5ng/mL未満である。さらに好ましい態様において、本開示における培養液は、成長因子を実質的に含まない。ここで、実質的に含まないとは、培養液中の成長因子の含量が、シート状細胞培養物を生体に適用した場合に悪影響を及ぼさない程度であること、好ましくは、培養液に成長因子を積極的に添加しないことを意味する。したがって、この態様においては、培養液は、その中の他の成分、例えば血清などに含まれる以上の濃度の成長因子を含まない。
本開示の一態様において、細胞培養液は、ステロイド剤成分を実質的に含まない。ここで「ステロイド剤成分」は、ステロイド核を有する化合物のうち、生体に、副腎皮質機能不全、クッシング症候群などの悪影響を及ぼし得るものをいう。かかる化合物としては、限定されずに、例えば、コルチゾール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等が含まれる。したがって、「ステロイド剤成分を実質的に含まない」とは、培養液におけるこれらの化合物の含量が、シート状細胞培養物を生体に適用した場合に悪影響を及ぼさない程度であること、好ましくは、培養液にこれらの化合物を積極的に添加しないこと、すなわち、培養液が、その中の他の成分、例えば血清などに含まれる以上の濃度のステロイド剤成分を含まないことを意味する。
本開示の一態様において、細胞培養液は、セレン成分を実質的に含まない。ここで「セレン成分」は、セレン分子、およびセレン含有化合物、特に、生体内でセレン分子を遊離し得るセレン含有化合物、例えば、亜セレン酸などを含む。したがって、「セレン成分を実質的に含まない」とは、培養液におけるこれらの物質の含量が、シート状細胞培養物を生体に適用した場合に悪影響を及ぼさない程度であること、好ましくは、培養液にこれらの物質を積極的に添加しないこと、すなわち、培養液が、その中の他の成分、例えば血清などに含まれる以上の濃度のセレン成分を含まないことを意味する。具体的には、例えば、ヒトの場合、培養液中のセレン濃度は、ヒト血清中の正常値(例えば、10.6μg/dL〜17.4μg/dL)に、培地中に含まれるヒト血清の割合を乗じた値よりも低い(すなわち、ヒト血清の含量が約10%であれば、セレン濃度は、例えば、約1.0μg/dL〜約1.7μg/dL未満である)。
本開示の上記好ましい態様においては、生体に適用する細胞培養物を作製する場合に従来必要であった、成長因子、ステロイド剤成分、異種血清成分などの製造工程由来不純物を、洗浄などにより除去するステップが不要となる。したがって、本開示の方法の一態様は、この製造工程由来不純物を除去するステップを含まない。
ここで、「製造工程由来不純物」とは、典型的には、製造各工程に由来する以下に列挙するものが含まれる。すなわち、細胞基材に由来するもの(例えば、宿主細胞由来タンパク質、宿主細胞由来DNA)、細胞培養液に由来するもの(例えば、インデューサー、抗生物質、培地成分)、あるいは細胞培養以降の工程である目的物質の抽出、分離、加工、精製工程に由来するものなどである(例えば、医薬審発第571号参照)。
シート状細胞培養物の培養基材からの剥離は、シート状細胞培養物が少なくとも部分的に、シート構造を保ったまま、足場となっている培養基材から遊離(剥離)できれば特に限定されず、例えば、タンパク質分解酵素(例えばトリプシンなど)による酵素処理および/またはピペッティングなどの機械的処理によって行うことができる。また、細胞を、刺激、例えば、温度や光に応答して物性が変化する材料で表面を被覆した培養基材上で培養して細胞培養物を形成した場合には、所定の刺激を加えることで、非酵素的に遊離することもできる。
例えば、細胞を温度応答性培養皿で培養して細胞培養物を形成した場合には、温度を温度応答性材料の水に対する下限臨界溶液温度(LCST)以下または上限臨界溶液温度(UCST)以上とする温度処理により、シート状細胞培養物を非酵素的に遊離することができる。かかる温度処理は、限定されずに、例えば、形成されたシート状細胞培養物が付着した培養基材を、LCSTより高い温度の培養環境(例えば、約37℃の温度のインキュベーター内など)から、LCST以下の環境(例えば、インキュベーター外の室温環境など)に移行させることなどにより達成することができる。LCST以下の環境への移行は、限定されずに、例えば、形成されたシート状細胞培養物が存在するLCSTより高い温度の培養液を、LCST以下の温度の媒体(例えば、緩衝液(PBS、HBSS等)や、培養液などの液体等)に置換することなどにより達成することができる。したがって、上記緩衝液等の媒体は、本開示の製造方法において、シート状細胞培養物を培養基材から非酵素的に遊離するために用いることができる。
本開示の製造方法は、筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率を調整するステップと細胞集団を培養基材に播種するステップの間に、細胞(細胞集団)を凍結するステップと凍結細胞を解凍するステップとを含んでもよい。細胞の凍結は、既知の任意の手法により行うことができる。かかる手法としては、限定されずに、例えば、容器内の細胞を、凍結手段、例えば、フリーザー、ディープフリーザー、低温の媒体(例えば、液体窒素等)に供することなどが挙げられる。凍結手段の温度は、容器内の細胞集団の一部、好ましくは全体を凍結させ得る温度であれば特に限定されないが、典型的には約0℃以下、好ましくは約−20℃以下、より好ましくは約−40℃以下、さらに好ましくは約−80℃以下である。また、凍結操作における冷却速度は、凍結解凍後の細胞の生存率や機能を大きく損なうものでなければ特に限定されないが、典型的には4℃から冷却を始めて約−80℃に達するまで約1時間〜約5時間、好ましくは約2時間〜約4時間、特に約3時間かける程度の冷却速度である。具体的には、例えば、約0.46℃/分の速度で冷却することができる。かかる冷却速度は、所望の温度に設定した凍結手段に、細胞を含む容器を直接、または、凍結処理容器に収容して供することにより達成することができる。凍結処理容器は、容器内の温度の下降速度を所定の速度に制御する機能を有していてもよい。かかる凍結処理容器としては、既知の任意のもの、例えば、BICELL(R)(日本フリーザー)、プログラムフリーザーなどを用いることができる。
凍結操作は、細胞を培養液や生理緩衝液などに浸漬させたまま行ってもよいが、細胞を凍結・解凍操作から保護するための凍結保護剤を培養液に加えたり、培養液を凍結保護剤を含む凍結保存液と置換するなどの処理を施したうえで行ってもよい。したがって、凍結ステップを含む本開示の製造方法は、培養液に凍結保護剤を添加するステップ、または、培養液を凍結保存液に置換するステップをさらに含んでもよい。培養液を凍結保存液に置換する場合、凍結時に細胞が浸漬している液に有効濃度の凍結保護剤が含まれていれば、培養液を実質的に全て除去してから凍結保存液を添加しても、培養液を一部残したまま凍結保存液を添加してもよい。ここで、「有効濃度」とは、凍結保護剤が、毒性を示すことなく、凍結保護効果、例えば、凍結保護剤を用いない場合と比べた、凍結解凍後の細胞の生存率、活力、機能などの低下抑制効果を示す濃度を意味する。かかる濃度は当業者に知られているか、ルーチンの実験などにより適宜決定することができる。
凍結保護剤は、細胞に対して凍結保護作用を示すものであれば特に限定されずに、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セリシン、プロパンジオール、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルデンプン、コンドロイチン硫酸、ポリエチレングリコール、ホルムアミド、アセトアミド、アドニトール、ペルセイトール、ラフィノース、ラクトース、トレハロース、スクロース、マンニトールなどを含む。凍結保護剤は、単独で用いても、2種または3種以上を組み合わせて用いてもよい。
培養液への凍結保護剤の添加濃度、または、凍結保存液中の凍結保護剤の濃度は、上記で定義した有効濃度であれば特に限定されず、典型的には、例えば、培養液または凍結保存液全体に対して約2%〜約20%(v/v)である。しかしながら、この濃度範囲からは外れるが、それぞれの凍結保護剤について知られているか、実験的に決定した代替的な使用濃度を採用することもでき、かかる濃度も本開示の範囲内である。
凍結した細胞を解凍するステップは、既知の任意の細胞解凍手法により行うことができ、典型的には、例えば、凍結した細胞を、解凍手段、例えば、凍結温度より高い温度の固形、液状もしくはガス状の媒体(例えば、水)、ウォーターバス、インキュベーター、恒温器などに供したり、または、凍結した細胞を、凍結温度より高い温度の媒体(例えば、培養液)で浸漬することにより達成されるが、これに限定されない。解凍手段または浸漬媒体の温度は、細胞を所望の時間内に解凍できる温度であれば特に限定されないが、典型的には約4℃〜約50℃、好ましくは約30℃〜約40℃、より好ましくは約36℃〜約38℃である。また、解凍時間は、解凍後の細胞の生存率や機能を大きく損なうものでなければ特に限定されないが、典型的には約2分以内であり、特に約20秒以内とすることで生存率の低下を大幅に抑制することができる。解凍時間は、例えば、解凍手段または浸漬媒体の温度、凍結時の培養液または凍結保存液の容量もしくは組成などを変化させて調節することができる。凍結した細胞は、任意の手法により凍結させた細胞を含み、その非限定例としては、例えば、上記の細胞を凍結するステップにより凍結された細胞などが挙げられる。一態様において、凍結した細胞は、凍結保護剤の存在下で凍結された細胞である。一態様において、凍結した細胞は、本開示の製造方法に用いるためのものである。
本開示の製造方法は、凍結した細胞を解凍するステップの後、かつ、シート状細胞培養物を形成するステップの前に、細胞を洗浄するステップを含んでいてもよい。細胞の洗浄は、既知の任意の手法により行うことができ、典型的には、例えば、細胞を洗浄液(例えば、血清や血清成分(血清アルブミンなど)を含むもしくは含まない、培養液(例えば、培地等)または生理緩衝液(例えば、PBS、HBSS等)など)に懸濁し、遠心分離し、上清を廃棄し、沈殿した細胞を回収することにより達成されるが、これに限定されない。細胞を洗浄するステップにおいては、かかる懸濁、遠心分離、回収のサイクルを1回または複数回(例えば、2、3、4、5回など)行ってもよい。本開示の一態様において、細胞を洗浄するステップは、凍結した細胞を解凍するステップの直後に行われる。
本開示の製造方法は、筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率を調整するステップの前に、細胞を増殖させるステップをさらに含んでもよい。細胞を増殖させるステップは、既知の任意の手法で行ってもよく、当業者は各種細胞の増殖に適した培養条件に精通している。
一態様において、本開示の製造方法は、細胞に遺伝子を導入するステップを含まない。別の態様において、本開示の製造方法は、細胞に遺伝子を導入するステップを含む。導入する遺伝子は、対象とする疾患の処置に有用なものであれば特に限定されず、例えば、HGF、VEGFなどのサイトカインであってもよい。遺伝子の導入は、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、超音波導入法、電気穿孔法、パーティクルガン法、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクター利用する方法、マイクロインジェクション法などの既知の任意の方法を用いて行うことができる。細胞への遺伝子の導入は、限定されずに、例えば、細胞を凍結するステップの前に行うことができる。
本開示の製造方法により得られるシート状細胞培養物は、筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率を調整するステップを含まない以外は本開示の製造方法と同じ方法により製造されたシート状細胞培養物(以下、対照シート状細胞培養物と称することがある)より機械的強度が高い。ここで、機械的強度が高いとは、対照シート状細胞培養物の機械的強度を基準として、限定されずに、例えば、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上または約100%以上、機械的強度が高いことを意味する。シート状細胞培養物の機械的強度は種々の手法を用いて定量化することができる。シート状細胞培養物の機械的強度の測定方法は、例えば、特開2012-159408、特開2013-200234、特開2014-149214、特開2016-052272などに記載されている。
一態様において、本開示の製造方法はその全ステップがin vitroで行われる。別の態様において、本開示の製造方法は、in vivoで行われるステップ、限定されずに、例えば、対象から細胞または細胞の給源となる組織(例えば、横紋筋組織、特に骨格筋組織)を採取するステップを含む。一態様において、本開示の製造方法はその全ステップが無菌条件下で行われる。一態様において、本開示の製造方法は、最終的に得られるシート状細胞培養物が実質的に無菌となるように行われる。一態様において、本開示の製造方法は、最終的に得られるシート状細胞培養物が無菌となるように行われる。
本開示の別の側面は、本開示の製造方法により製造されたシート状細胞培養物に関する。本開示のシート状細胞培養物は、対照シート状細胞培養物より機械的強度が高いなどの好ましい特性を有することを特徴とする。機械的強度の高さに関する詳細については上述のとおりである。
本開示のシート状細胞培養物は、シート状細胞培養物の適用により改善される疾患、例えば、組織の異常に関連する種々の疾患の処置に有用である。したがって、一態様において、本開示のシート状細胞培養物は、シート状細胞培養物の適用により改善される疾患、特に、組織の異常に関連する疾患の処置に用いるためのものである。本開示のシート状細胞培養物は、従来のシート状細胞培養物に比べて高い機械的強度を有する以外は、これと同様の構成細胞固有の性質を有しているため、少なくとも従来の筋芽細胞または線維芽細胞を含むシート状細胞培養物による処置が可能な組織や疾患に適用することができる。処置の対象となる組織としては、限定されずに、例えば、心筋、食道、皮膚、膵臓、骨格筋などが挙げられる。また、処置の対象となる疾患としては、限定されずに、例えば、心疾患(例えば、心筋傷害(心筋梗塞、心外傷)、心筋症など)、食道疾患(例えば、食道手術(食道ガン除去)後の食道の炎症・狭窄の予防など)、皮膚疾患(例えば、皮膚損傷(外傷、熱傷)など)、膵臓疾患(例えば、膵液瘻など)、筋疾患(例えば、筋損傷、筋炎など)が挙げられる。本開示のシート状細胞培養物が上記疾患に有用であることは、例えば、特許文献1、非特許文献1、Tanaka et al., J Gastroenterol. 2013;48(9):1081-9.などに記載されている。本開示のシート状細胞培養物は、注射可能な大きさに断片化し、これを処置が必要な部位に注射することで、単細胞懸濁液による注射よりも高い効果を得ることもできる(Wang et al., Cardiovasc Res. 2008;77(3):515-24)。したがって、本開示のシート状細胞培養物についても、このような利用法が可能である。
一態様において、本開示のシート状細胞培養物は実質的に無菌である。一態様において、本開示のシート状細胞培養物は無菌である。一態様において、本開示のシート状細胞培養物は、遺伝子操作されていない。別の態様において、本開示のシート状細胞培養物は、遺伝子操作されたものである。遺伝子操作は、限定されずに、例えば、シート状細胞培養物の生存性、生着能、機能などを高める遺伝子、および/または、疾患の治療に有用な遺伝子の導入を含む。導入される遺伝子としては、限定されずに、例えば、HGF遺伝子、VEGF遺伝子などのサイトカイン遺伝子が挙げられる。
本開示の別の側面は、本開示のシート状細胞培養物を含む、組成物(例えば、医薬組成物等)、移植片および医療製品など(以下、「組成物等」と総称することがある)に関する。
本開示の組成物等は、本開示のシート状細胞培養物に加えて、種々の追加成分、例えば、薬学的に許容し得る担体や、シート状細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などを含んでいてもよい。かかる追加成分としては、既知の任意のものを使用することができ、当業者はこれらの追加成分について精通している。また、本開示の組成物等は、シート状細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分や、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などと併用することができる。一態様において、本開示の組成物等は、シート状細胞培養物の適用により改善される疾患(例えば、組織の異常に関連する疾患など)の処置に用いるためのものである。処置の対象となる組織や疾患は、本開示のシート状細胞培養物について上記したとおりである。
本開示の別の側面は、対象においてシート状細胞培養物の適用により改善される疾患(例えば、組織の異常に関連する疾患など)を処置する方法であって、本開示のシート状細胞培養物または組成物等の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法に関する(以下、「本開示の処置方法」と称することがある)。本開示の処置方法の対象となる組織や疾患は、本開示のシート状細胞培養物について上記したとおりである。また、本開示の処置方法においては、シート状細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分や、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などを、本開示のシート状細胞培養物または組成物等と併用することができる。
本開示の処置方法は、本開示の製造方法に従って、シート状細胞培養物を製造するステップをさらに含んでもよい。本開示の処置方法は、シート状細胞培養物を製造するステップの前に、対象からシート状細胞培養物を製造するための細胞または細胞の給源となる組織を採取するステップをさらに含んでもよい。一態様において、細胞または細胞の給源となる組織を採取する対象は、シート状細胞培養物または組成物等の投与を受ける対象と同一の個体である。別の態様において、細胞または細胞の給源となる組織を採取する対象は、シート状細胞培養物または組成物等の投与を受ける対象とは同種の別個体である。別の態様において、細胞または細胞の給源となる組織を採取する対象は、シート状細胞培養物または組成物等の投与を受ける対象とは異種の個体である。
本開示において、用語「対象」は、任意の生物個体、好ましくは動物、さらに好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体を意味する。本開示において、対象は健常であっても、何らかの疾患に罹患していてもよいものとするが、シート状細胞培養物の適用により改善される疾患(例えば、組織の異常に関連する疾患など)の処置が企図される場合には、典型的には当該疾患に罹患しているか、罹患するリスクを有する対象を意味する。
また、用語「処置」は、疾患の治癒、一時的寛解または予防などを目的とする医学的に許容される全ての種類の予防的および/または治療的介入を包含するものとする。例えば、「処置」の用語は、シート状細胞培養物の適用により改善される疾患(例えば、組織の異常に関連する疾患など)の進行の遅延または停止、病変の退縮または消失、当該疾患発症の予防または再発の防止などを含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。
本開示において、有効量とは、例えば、疾患の発症や再発を抑制し、症状を軽減し、または進行を遅延もしくは停止し得る量(例えば、シート状細胞培養物のサイズや重量、枚数など)であり、好ましくは、当該疾患の発症および再発を予防し、または当該疾患を治癒する量である。また、投与による利益を超える悪影響が生じない量が好ましい。かかる量は、例えば、マウス、ラット、イヌまたはブタなどの実験動物や疾患モデル動物における試験などにより適宜決定することができ、このような試験法は当業者によく知られている。また、処置の対象となる組織病変の大きさは、有効量決定のための重要な指標となり得る。
投与方法としては、典型的には組織への直接的な適用が挙げられるが、シート状細胞培養物の断片を用いる場合には、注射による投与が可能な種々の経路、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、局所、動脈内、門脈内、心室内、腹腔内等の経路から投与してもよい。
投与頻度は、典型的には1回の処置につき1回であるが、所望の効果が得られない場合には、複数回投与することも可能である。
本開示の別の側面は、筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団と血清とを含む、シート状細胞培養物を製造するためのキット(セットまたはパック)に関する(以下、「本開示の製造キット」と称することがある)。本明細書において、用語「セット」および「パック」は「キット」と互換可能に用いられ、本明細書における「キット」に関する記載は「セット」および「パック」にも適用されるものとする。本開示のキットによるシート状細胞培養物の製造は、上述の本開示のシート状細胞培養物の製造方法の、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率が調整された細胞集団を培養基材に播種するステップ以降のステップにより行ってもよい。したがって、本開示のキットは、シート状細胞培養物を、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率が調整された細胞集団を培養基材に播種するステップ、播種された細胞集団を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成するステップ、および、形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップを含む、シート状細胞培養物の製造方法により製造するためのものであってもよい。培養基材に播種するステップ以降の各ステップの詳細は、本開示のシート状細胞培養物の製造方法について上記したとおりである。
本開示の製造キットに含まれる細胞集団は凍結されていてもよい。凍結細胞集団は、シート状細胞培養物の製造に使用する細胞集団を凍結させたものである。シート状細胞培養物の製造に使用する細胞集団の非限定例は、本開示の製造方法について上記したとおりである。細胞集団を構成する細胞は同種由来細胞であっても異種由来細胞であってもよい。一態様において、細胞は自己由来細胞である。凍結細胞集団は任意の既知の手法で凍結させたものであってもよい。細胞集団の凍結方法の非限定例は、本開示の製造方法について上記したとおりである。一態様において、本開示のキットにおける凍結細胞集団は、凍結保護剤の存在下で凍結される。凍結保護剤の非限定例は、本開示の製造方法について上記したとおりである。一態様において、細胞集団は、凍結操作に適した容器内で凍結され、本開示のキットにおける凍結細胞集団は、当該容器内に収容された状態で提供される。容器は密閉可能なものであってよい。凍結細胞集団を収容する容器(凍結保存容器)は、凍結操作に適したものであれば特に限定されず、例えば、チューブ、バイアル、ボトル、バッグ等であってよい。材質も凍結操作に適したものであれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック等であってよい。
細胞集団(凍結または非凍結)は、1または2以上の容器に収容されていてもよい。1キットあたりの総細胞数(筋芽細胞と線維芽細胞とを含む)は、シート状細胞培養物の製造に適したものであれば特に限定されず、例えば、1×10〜1×1011個、3×10〜3×1010個、5×10〜1×1010個、1×10〜5×10個、3×10〜3×10個等であってよい。一態様において、細胞は無菌操作により得る。一態様において、細胞は実質的に無菌である。一態様において、細胞は無菌である。
血清は、細胞培養液の成分として、また、培養基材のコーティングなどに用いられる。血清は同種血清であっても異種血清であってもよい。また、血清は、細胞と同じ生物種由来のものであっても、異なる生物種由来のものであってもよい。一態様において、血清は自己血清である。血清は、他の媒体(例えば、水、生理食塩水、生理緩衝液、細胞培養液など)と混合されていても、混合されていなくてもよい。細胞培養液については、本開示の製造方法について上記したとおりである。血清または血清と他の媒体との混合物は種々の保存状態で存在してもよく、例えば、液状であっても、凍結状態であっても、凍結乾燥状態であってもよい。一態様において、血清は細胞培養液、特に血清不含培地と混合された状態で存在する。特定の態様において、血清は基礎培地と混合された液体の状態で存在する。一態様において、血清または血清と他の媒体との混合物は滅菌されている。
本開示のキットは、シート状細胞培養物を製造するために有用なさらなる構成要素を含んでいてもよい。かかる構成要素としては、限定されずに、例えば、培養基材、細胞培養液、洗浄液、緩衝液、包装材料、器具類、シート状細胞培養物の製造および/または使用(例えば、シート状細胞培養物の適用により改善される疾患の処置等)に関する指示などが挙げられる。一態様において、本開示の製造キットは、細胞集団および血清に加え、培養基材、細胞培養液、洗浄液、緩衝液、包装材料、器具類、および、シート状細胞培養物の製造および/または使用に関する指示からなる群から選択される構成要素をさらに含んでもよい。特定の態様において、本開示のキットは、細胞集団、血清、培養基材、細胞培養液、洗浄液、緩衝液、包装材料および器具類を含む。上記各態様において、血清と細胞培養液とは混合された状態で存在してもよい。
培養基材は、シート状細胞培養物を形成するために用いられる。培養基材は、本開示の製造方法について上記したとおり、種々の材質、形態、コーティングを有していてもよい。一態様において、培養基材は、温度応答性材料で被覆された温度応答性培養皿(ディッシュ)である。培養皿は着脱可能な蓋を有していてもよい。培養基材のサイズは、シート状細胞培養物の製造に適したものであれば特に限定されず、例えば、約0.2cm〜約200cm、約0.5cm〜約150cm、約1cm〜約120cm、約3cm〜約100cm、約8cm〜約80cm、約20cm〜約70cm等であってよい。培養基材のサイズの非限定例としては、96ウェルプレート、48ウェルプレート、24ウェルプレート、12ウェルプレート、6ウェルプレート、35mmディッシュ、60mmディッシュ、100mmディッシュなどが挙げられる。培養基材は市販のものであっても、既知の手法によって作製されたものであってもよい。一態様において、培養基材は滅菌されている。
洗浄液は、解凍した細胞の洗浄などに用いられる。洗浄液としては、細胞の洗浄に使用できるものであれば特に限定されず、生理食塩水、生理緩衝液(例えば、PBS、HBSSなど)、培地などが挙げられる。培地については、本開示の製造方法に関して上記したとおりである。HBSSは、カチオン(Ca2+およびMg2+)を含むHBSS(+)であっても、カチオンを含まないHBSS(−)であってもよい。一態様において、本開示のキットにおける緩衝液はHBSS(−)である。洗浄液は、細胞の洗浄に有用な他の成分、例えば、血清アルブミンなどを含んでいてもよい。上記成分は、洗浄液に含まれた状態で提供されても、洗浄液と混合されずに提供され、使用時に混合されてもよい。一態様において、洗浄液は滅菌されている。
緩衝液は、シート状細胞培養物の洗浄、シート状細胞培養物の培養基材からの剥離、シート状細胞培養物の保存などに用いられる。緩衝液としては、上記用途に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、PBS、HBSSなどの生理緩衝液が挙げられる。HBSSは、HBSS(+)であっても、HBSS(−)であってもよい。一態様において、本開示のキットにおける緩衝液はHBSS(+)である。一態様において、緩衝液は滅菌されている。
包装材料は、完成したシート状細胞培養物などを包装するために用いる。包装材料は、シート状細胞培養物を製造する場所と、対象に適用する場所とが離れており、培養基材から剥離された、完成したシート状細胞培養物の移動が必要な場合などに有用である。包装材料の非限定例としては、完成したシート状細胞培養物を収容した培養基材を密封するためのパッキン、キャップ、フィルムなどのシール材、完成したシート状細胞培養物を収容する容器(例えば、密封可能なプラスチック製バッグ等)、培養基材が着脱可能な蓋を有する場合は、蓋を培養基材に固定するための固定具(例えば、クリップ、バンド、ワイヤー等)、シート状細胞培養物を収容した培養基材またはシート状細胞培養物を収容する容器を収容する袋(例えば、プラスチック袋等)などが挙げられる。シール材の材質は、培養基材を密閉し得るものであれば特に限定されず、例えば、シリコーン、プラスチック、ゴムなどであってよい。一態様において、包装材料は、培養皿の蓋に嵌合するパッキンを含む。パッキンはシリコーン製、例えばシリコーンゴム製であってよい。一態様において、包装材料は滅菌されている。この態様における包装材料は、パッキンが装着された培養皿の蓋を培養皿に固定するためのクリップおよび/またはシート状細胞培養物を収容した培養基材を収容する袋を含んでもよい。
器具類は、シート状細胞培養物の製造に係る、洗浄、細胞の再懸濁や播種、シート状細胞培養物の剥離、整形、移動などの種々の操作に用いる。したがって、器具類は、シート状細胞培養物の製造に用いる器具類を含む。器具類としては、上記操作に使用できるものであれば特に限定されず、ピペット、ピンセット、ヘラ(例えば腸ベラ等)などが挙げられる。一態様において、器具類はディスポーザブルである。一態様において、器具類は滅菌されている。
シート状細胞培養物の製造および/または使用に関する指示は、シート状細胞培養物の製造および/または使用に関する指示もしくは当該指示が閲覧できるURLなどを記録した任意の媒体を含む。かかる媒体としては、限定されずに、例えば、説明書などの表示媒体や、フレキシブルディスク、CD、DVD、ブルーレイディスク、メモリーカード、USBメモリー等の電子記録媒体などが挙げられる。
本開示のキットの各構成要素は、個別に包装されていても、2個以上の構成要素がまとめて包装されていてもよい。例えば、低温に保つことが必要な凍結細胞と、それ以外の構成要素を異なる包装としてもよい。
一態様において、本開示のキットは実質的に無菌である。一態様において、本開示のキットは無菌である。一態様において、本開示のキットの構成要素は実質的に無菌もしくは無菌であるか、滅菌されている。
特定の態様において、本開示のキットは、細胞集団、培養基材(蓋付き温度応答性培養皿)、血清含有細胞培養液、洗浄液、緩衝液、包装材料(パッキン、クリップ、プラスチック袋)および器具類(ピペット、チューブ)を含む。
特定の態様において、本開示のキットは、凍結細胞集団、培養基材(蓋付き温度応答性培養皿)、血清含有細胞培養液、洗浄液、緩衝液、包装材料(パッキン、クリップ、プラスチック袋)および器具類(ピペット、チューブ)を含む。以下に、本開示のキットの使用方法を、この特定の態様に基づいて説明するが、これは本開示のキットの使用方法を限定するものではない。
本開示の別の側面は、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率が調整された細胞集団を培養基材に播種するステップ、播種された細胞集団を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成するステップ、および、形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップ、本開示の製造キットを用いてシート状細胞培養物を製造する方法に関する。本開示の製造キットを用いた製造方法は、本開示の製造方法の、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率が調整された細胞集団を培養基材に播種するステップ以降のステップを利用するものであり、その詳細は、本開示の製造方法において上記したとおりである。一態様において、本開示の製造キットを用いた製造方法は、シート状細胞培養物を形成するステップの前に、培養基材を血清でコートするステップをさらに含む。凍結細胞集団を含む本開示の製造キットを用いた製造方法は、凍結した細胞を解凍するステップを含む。一態様において、凍結細胞集団を含む本開示の製造キットを用いた製造方法は、凍結した細胞を解凍するステップと、シート状細胞培養物を形成するステップとの間に細胞を増殖させるステップを含まない。一態様において、本開示の製造キットを用いた製造方法は、凍結した細胞を解凍するステップの後、かつ、シート状細胞培養物を形成するステップの前に、細胞を洗浄するステップをさらに含む。一態様において、本開示の製造キットを用いた製造方法は、シート状細胞培養物を形成するステップの後に、形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップをさらに含む。
一態様において、本開示の製造キットを用いた製造方法は、形成されたシート状細胞培養物を包装するステップをさらに含む。形成されたシート状細胞培養物を包装するステップは、本開示の製造キットに含まれる包装材料を用いて行ってもよい。例えば、包装材料が完成したシート状細胞培養物を収容した培養基材を密封するためのシール材であれば、包装するステップは、当該培養基材をシール材で密封することなどにより行ってもよく、包装材料が、完成したシート状細胞培養物を収容する容器であれば、包装するステップは、完成したシート状細胞培養物を容器に収容することなどにより行ってもよい。形成されたシート状細胞培養物を包装することにより、シート状細胞培養物の移送が容易となる。したがって、本開示はまた、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率が調整された細胞集団を培養基材に播種するステップ、播種された細胞集団を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成するステップ、形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップ、および、培養基材から剥離したシート状細胞培養物を包装するステップを含む、本開示の製造キットを用いてシート状細胞培養物を包装する方法にも関する。
本開示の別の側面は、シート状細胞培養物によりシート状細胞培養物の適用により改善される疾患(例えば、組織の異常に関連する疾患など)を処置するためのキットであって、該キットが、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率が調整された細胞集団と血清とを含む、前記キット(以下、「本開示の処置キット」と称することがある)に関する。本開示の処置キットの構成要素は、本開示の製造キットと同様である。したがって、細胞集団および血清に加え、培養基材、細胞培養液、洗浄液、緩衝液、包装材料、器具類、および、シート状細胞培養物の製造および/または使用に関する指示からなる群から選択される構成要素をさらに含んでもよい。好ましい態様において、本開示の処置キットは、シート状細胞培養物による処置に用いる器具類(例えば、シート状細胞培養物を患部に適用するための移送具(例えば、腸ベラ等のヘラ等)など)を含む。本開示の処置キットにおけるシート状細胞培養物の適用により改善される疾患は、本開示のシート状細胞培養物について上記したとおりである。
本開示の別の側面は、本開示の製造キットまたは処置キットを用いて、シート状細胞培養物を製造するステップ、および、製造したシート状細胞培養物の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、シート状細胞培養物の適用により改善される疾患(例えば、組織の異常に関連する疾患)を処置するための方法(以下、「本開示のキットを用いた処置方法」と称することがある)に関する。本開示のキットを用いた処置方法における各ステップの詳細は、本開示の製造キットを用いたシート状細胞培養物の製造方法、および本開示の処置方法について上記したとおりである。一態様において、製造したシート状細胞培養物の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップは、本開示のキットに含まれる、シート状細胞培養物の移動またはシート状細胞培養物による処置に用いる器具類(例えば、腸ベラ等のヘラ)を用いて行われる。
本開示を以下の例を参照してより詳細に説明するが、これは本開示の特定の具体例を示すものであり、本開示はこれらに限定されるものではない。
例1 シート状細胞培養物の製造
(1)細胞集団の調製
成人大腿部から無菌的に採取した骨格筋組織から得られた細胞を培養フラスコに播種し、筋芽細胞数と線維芽細胞数の比率を調整するために、20%FBSを含有するMCDB131培地中で増殖させた。増殖させた細胞をタンパク質分解酵素液で培養フラスコから剥離させ、回収後、遠心分離により濃縮した。
(2)筋芽細胞純度の検討
得られた細胞の一部を用い、抗CD56抗体によるフローサイトメトリーにて、得られた細胞に含まれる筋芽細胞の純度を調査した。遠心分離によりペレット化した細胞に、0.5%BSA含PBS液を加えリンスした後、0.5%BSA含PBS液で10倍希釈した抗ヒトCD56抗体を添加し混和した。対照として0.5%BSA含PBS液で10倍希釈した陰性コントロール用抗体(isotype control)を添加混和したものを用意した。各抗体を混和した後、直ちに冷暗所で約1時間反応させ0.5%BSA含PBS液を加え細胞をリンスした後、0.5%BSA含PBS液を加え解析に供した。解析はフローサイトメーターを用い、各抗体を混和した細胞に含まれる抗体陽性細胞(筋芽細胞)の割合を計測した。計測にあたっては、陰性コントロールの陽性率の補正を行い、細胞数5,000〜10,000個を解析した。解析後、各抗体を混和した細胞の陽性細胞率の割合の差から筋芽細胞の純度を求めたところ、平均97±2%であった。
(3)シート状細胞培養物の作製
20%ヒト血清を含有するMCDB131培地2mLあたり細胞を3.0×10〜3.1×10個懸濁し、φ3.5cm温度応答性培養皿(UpCell(R)、セルシード製)に播種した。播種の10分後に上方より顕微鏡で細胞の状態を観察した。代表的な写真を図1に示す。図1から明らかなとおり、沈降した細胞は全て互いに接していた。また、位相差顕微鏡で培養皿の底面から播種後の細胞を観察したところ、播種した細胞の約70%は、培養基材表面に接触していない状態にあることが明らかとなった。さらに、この時点における細胞層の厚さは約30μmであった。観察終了後、培養基材に播種した細胞を、37℃、5%COの条件で培養し26時間後に状態を確認したところ、シート状細胞培養物が形成されていた。培養基材からシート状細胞培養物を剥離したところ、丸まることなく、平坦なシート形状を保ったまま収縮した。この時点でのシート状細胞培養物の厚さは約30μmであった。これは、シート化により培養皿上で細胞層の厚みは減少するが、培養皿からの剥離によりシート状細胞培養物が収縮した結果、播種後の細胞層と同程度の厚みになったものと考えられる。
(4)細胞サイズの計測
(1)で得られた細胞の一部で調製した細胞懸濁液を血球計算盤に注入し、顕微鏡下で観察した。図2に示すとおり、骨格筋芽細胞の直径は約10μm、線維芽細胞の直径は約30μmであった。
例2 機械的強度の測定
例1と同様の手法で、総細胞数に占める筋芽細胞数の割合が55%、60%、70%、80%、90%または95%である細胞集団を調製し、これを1×10個/cmの密度で、血清を被覆した温度応答性培養皿(UpCell(R)、セルシード製)に播種する。播種後、37℃、5%COの条件で培養を行い、40時間後に温度処理によりシート状細胞培養物を剥離する。
シート状細胞培養物を液中で伸展させた状態で、ステンレス製の腸べら(幅45mm)ですくい上げ、シート状細胞培養物が腸べらの表面に付着した状態で液外に配置した。針付き縫合糸(6−0プロリン)を、シート状細胞培養物と腸べらの間に差し込み、シート状細胞培養物の下面から上面に貫通させる。糸の両端を結び合わせて環状にし、これをゲージ(汎用形デジタルフォースゲージ、FGC-1B、日本電産シンポ社製)につなぐ。シート状細胞培養物に係止した糸を、ゲージを介して水平方向に引っ張り、シート状細胞培養物破断時までの最大荷重(引張破断荷重)を測定する。
本明細書に記載された本開示の種々の特徴は様々に組み合わせることができ、そのような組合せにより得られる態様は、本明細書に具体的に記載されていない組合せも含め、すべて本開示の範囲内である。また、当業者は、本開示の精神から逸脱しない多数の様々な改変が可能であることを理解しており、かかる改変を含む均等物も本開示の範囲に含まれる。したがって、本明細書に記載された態様は例示にすぎず、これらが本開示の範囲を制限する意図をもって記載されたものではないことを理解すべきである。

Claims (10)

  1. (i)筋芽細胞と線維芽細胞とを含む細胞集団における両細胞種の細胞数の比率を調整するステップ、
    (ii)ステップ(i)で得た細胞集団を培養基材に播種するステップ、
    (iii)ステップ(ii)で播種された細胞集団を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成するステップ、および
    (iv)ステップ(iii)で形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップ
    を含み、ステップ(ii)における細胞集団の播種密度が、培養基材への播種後、細胞が培養基材上に沈降した直後に、培養基材上で互いに接する細胞の割合が全細胞の90%以上となる密度である、シート状細胞培養物の製造方法。
  2. 細胞培養液が同種血清を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 培養基材が血清で被覆されている、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 培養基材が、温度応答性材料で被覆されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. ステップ(i)において、細胞集団が、細胞数ベースで、筋芽細胞を60%〜99%、線維芽細胞を1%〜40%含むように調整される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. ステップ(i)において、細胞集団が、筋芽細胞:線維芽細胞の細胞数の比率として、1.5:1〜99:1の筋芽細胞と線維芽細胞とを含むように調整される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 細胞集団の播種密度が7.5×10個/cm〜3.0×10個/cmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたシート状細胞培養物。
  9. 培養基材と、血清と、細胞数ベースで、筋芽細胞を60%〜99%、線維芽細胞を1%〜40%含む細胞集団とを含み、前記細胞集団の細胞数が、培養基材への播種後、細胞が培養基材上に沈降した直後に、培養基材上で互いに接する細胞の割合が全細胞の90%以上となる密度をもたらす数である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法に用いるためのキット。
  10. シート状細胞培養物の適用により改善される疾患を処置する方法であって、有効量の請求項8に記載のシート状細胞培養物を、それを必要とする対象に適用するステップを含む、前記方法。
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