JPWO2018155650A1 - キシラナーゼ変異体、及びバイオマス分解用酵素組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 配列番号1のアミノ酸配列での位置78に相当する位置のアミノ酸残基がアラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、[1]のキシラナーゼ変異体。
[3] 配列番号1のアミノ酸配列での位置80に相当する位置のアミノ酸残基がアラニン、グリシン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、[1]のキシラナーゼ変異体。
[4] 配列番号1のアミノ酸配列での位置117に相当する位置のアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、又はアスパラギンに置換されているアミノ酸配列を含む、[1]のキシラナーゼ変異体。
[5] 配列番号1のアミノ酸配列での位置155に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、[1]のキシラナーゼ変異体。
[6] 配列番号1のアミノ酸配列での位置169に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、[1]のキシラナーゼ変異体。
[7] 配列番号1のアミノ酸配列での位置203に相当する位置のアミノ酸残基が、トリプトファン、フェニルアラニン、又はチロシンに置換されているアミノ酸配列を含む、[1]のキシラナーゼ変異体。
[8] 配列番号1のアミノ酸配列での位置78に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニンに置換されており、かつ、配列番号1のアミノ酸配列での位置155に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニンに置換されているアミノ酸配列を含む、[1]又は[2]又は[5]のいずれかのキシラナーゼ変異体。
[9] 前記元のキシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼファミリー11に属する糸状菌由来のキシラナーゼである、[1]〜[8]のいずれかに記載のキシラナーゼ変異体。
[10] 以下の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列を含み、かつキシラナーゼ活性を有する、[1]のキシラナーゼ変異体:
(a)配列番号3〜9、89、及び90で示されるいずれかのアミノ酸配列;
(b)配列番号3〜9、89、及び90で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列での位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸以外のアミノ酸位置において、1から数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列;又は
(c)配列番号3〜9、89、及び90で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列での位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸を除いて、該いずれかのアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列。
[11] さらに、配列番号1のアミノ酸配列での、位置35、位置44、位置61、位置62、位置63、位置65、位置66、位置101、及び位置102に相当する位置のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置換されている、[1]〜[10]のいずれかのキシラナーゼ変異体。
[12] 配列番号1のアミノ酸配列での位置35に相当する位置のアミノ酸残基がシステインに、配列番号1のアミノ酸配列での位置44に相当する位置のアミノ酸残基がヒスチジンに、配列番号1のアミノ酸配列での位置61に相当する位置のアミノ酸残基がメチオニンに、配列番号1のアミノ酸配列での位置62に相当する位置のアミノ酸残基がシステインに、配列番号1のアミノ酸配列での位置63に相当する位置のアミノ酸残基がロイシンに、配列番号1のアミノ酸配列での位置65に相当する位置のアミノ酸残基がプロリンに、配列番号1のアミノ酸配列での位置66に相当する位置のアミノ酸残基がグリシンに、配列番号1のアミノ酸配列での位置101に相当する位置のアミノ酸残基がプロリンに、かつ配列番号1のアミノ酸配列での位置102に相当する位置のアミノ酸残基がアスパラギンに、それぞれ置換されている、[11]のキシラナーゼ変異体。
[13] 以下の(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を含み、かつキシラナーゼ活性を有する、[12]のキシラナーゼ変異体:
(d)配列番号18〜20で示されるいずれかのアミノ酸配列;
(e)配列番号18〜20で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列での位置35、位置44、位置61、位置62、位置63、位置65、位置66、位置78、位置80、位置101、位置102、及び位置155に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸以外のアミノ酸位置において、1から数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列;又は
(f)配列番号18〜20で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列での位置35、位置44、位置61、位置62、位置63、位置65、位置66、位置78、位置80、位置101、位置102、及び位置155、に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸を除いて、該いずれかのアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列。
[14] [1]〜[13]のいずれかのキシラナーゼ変異体を含む酵素組成物。
(1)キシラナーゼ変異体
本発明において「キシラナーゼ」とは、β−1,4結合したキシロース主鎖に作用することでヘミセルロースを加水分解する活性(キシラナーゼ活性)を有する酵素であり、EC番号3.2.1.8に分類される酵素である。キシラナーゼは、グリコシドヒドロラーゼ(Glycoside Hydrolase)ファミリー10(GH10)とグリコシドヒドロラーゼファミリー11(GH11)の2種に分類され、GH11に分類される酵素は、β−ジェリーロール構造を保有する。「キシラナーゼ活性」の測定は、β−1,4結合したD-キシロースを基質として、好ましくは、試薬として販売されているバーチウッドキシラン(Birchwood xylan)を基質として、使用して行うことができる。基質であるキシランが分解されたか否かは、反応後の反応液に含まれる還元糖量を測定することで確認することができる。還元糖量は、ジニトロサリチル酸法(DNS法)を使用することで測定することができ、Baileyら“Interlaboratory testing of methods for assay of xylanase activity”J.Biotechnol.23,257−270に記載の方法が好ましく使用できる。活性を測定する条件は、前述した方法で、キシラナーゼの活性を測定できれば特に限定はされない。活性測定のための、好ましい温度条件としては20℃〜90℃の範囲、好ましくは、40℃〜75℃の範囲、pHは4〜9の範囲が好ましく、さらに好ましくはpH5〜7、反応時間は、1秒から600分であることが好ましく、最も好ましくは1分から60分である。また活性測定時に基質として使用するキシランは、0.1重量%〜10重量%の範囲が好ましく、最も好ましくは0.5重量%〜2重量%の範囲である。
配列番号1のアミノ酸配列での位置78に相当する位置:アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシン、好ましくはアラニン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置80に相当する位置:アラニン、グリシン、ロイシン、又はイソロイシン、好ましくはアラニン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置117に相当する位置:セリン、トレオニン、又はアスパラギン、好ましくはアスパラギン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置155に相当する位置:アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシン、好ましくはアラニン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置169に相当する位置:アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシン、好ましくはアラニン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置203に相当する位置:トリプトファン、フェニルアラニン、又はチロシン、好ましくはトリプトファン。
配列番号1のアミノ酸配列において、位置78のアスパラギン酸がアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号3のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置80のトレオニンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号4のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置117のロイシンがアスパラギンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号5のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置155のアルギニンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号6のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置169のグルタミンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号7のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置203のアスパラギンがトリプトファンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号8のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置78及び位置155の両方の位置のアミノ酸がいずれもアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号9のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない)。
配列番号87のアミノ酸配列において、配列番号1アミノ酸配列での位置80に相当する位置のバリンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号90のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号90のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
本発明のキシラナーゼ変異体又はその一部には、そのアミノ酸配列において、上記の配列番号1のアミノ酸配列での位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203に相当する位置における置換されたアミノ酸(存在する場合)は変異せず、1もしくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を有し、かつキシラナーゼ活性を有するタンパク質も含まれる。ここで「1もしくは数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、10個以内、さらに好ましくは5個以内、特に好ましくは4個以内、あるいは1個又は2個である。また、上記の配列番号1のアミノ酸配列での位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203に相当する位置における置換されたアミノ酸(存在する場合)以外のアミノ酸の置換は、例えば保存的アミノ酸置換であってよい。「保存的アミノ酸置換」とは、電荷、側鎖、極性、芳香族性等の性質が類似するアミノ酸間の置換をいい、例えば、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、ヒスチジン)を元とは別の塩基性アミノ酸に置換すること、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)を元とは別の酸性アミノ酸に置換すること、無電荷極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン)を元とは別の無電荷極性アミノ酸に置換すること、無極性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン)を元とは別の無極性アミノ酸に置換すること、分枝鎖アミノ酸(ロイシン、バリン、イソロイシン)を元とは別の分枝鎖アミノ酸に置換すること、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン)を元とは別の芳香族アミノ酸に置換することができる。
配列番号1のアミノ酸配列での位置44に相当する位置:ヒスチジン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置61に相当する位置:メチオニン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置62に相当する位置:システイン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置63に相当する位置:ロイシン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置65に相当する位置:プロリン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置66に相当する位置:グリシン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置101に相当する位置:プロリン;
配列番号1のアミノ酸配列での位置102に相当する位置:アスパラギン。
配列番号1のアミノ酸配列において、位置78のアスパラギン酸がアラニンに置換された変異を含み、かつ位置35のセリンがシステインに置換された変異、位置44のアスパラギンがヒスチジンに置換された変異、位置61のチロシンがメチオニンに置換された変異、位置62のトレオニンがシステインに置換された変異、位置63のアスパラギンがロイシンに置換された変異、位置65のアスパラギン酸がプロリンに置換された変異、位置66のアスパラギンがグリシンに置換された変異、位置101のトレオニンがプロリンに置換された変異、及び位置102のセリンがアスパラギンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号18のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置80のトレオニンがアラニンに置換された変異を含み、かつ位置35のセリンがシステインに置換された変異、位置44のアスパラギンがヒスチジンに置換された変異、位置61のチロシンがメチオニンに置換された変異、位置62のトレオニンがシステインに置換された変異、位置63のアスパラギンがロイシンに置換された変異、位置65のアスパラギン酸がプロリンに置換された変異、位置66のアスパラギンがグリシンに置換された変異、位置101のトレオニンがプロリンに置換された変異、及び位置102のセリンがアスパラギンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号19のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置78及び位置155の両方の位置のアミノ酸がいずれもアラニンに置換された変異を含み、かつ位置35のセリンがシステインに置換、位置44のアスパラギンがヒスチジンに置換、位置61のチロシンがメチオニンに置換、位置62のトレオニンがシステインに置換、位置63のアスパラギンがロイシンに置換、位置65のアスパラギン酸がプロリンに置換、位置66のアスパラギンがグリシンに置換、位置101のトレオニンがプロリンに置換、及び位置102のセリンがアスパラギンに置換を含むキシラナーゼ変異体であり、配列番号20のアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる(なお、配列番号20のアミノ酸配列には、上記シグナルペプチドの領域が含まれていない)。
本発明のキシラナーゼ変異体は、例えば前記(1)で述べたキシラナーゼ変異体又はその一部のアミノ酸配列をコードするDNAを調製し、これを発現ベクターに連結し、発現ベクターを宿主に導入し、異種あるいは同種タンパク質として生産し、単離及び精製することで製造することができる。アミノ酸配列をコードするコドン使用頻度は、キシラナーゼが由来とする糸状菌、例えばアクレモニウム・セルロリチカス又はトリコデルマ・リーセイと同じものでもあってもよいし、宿主のコドン使用頻度に合わせて変更してもよい。
配列番号1のアミノ酸配列において、位置78のアスパラギン酸がアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号69の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドのが領域をコードしていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置80のトレオニンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号70のが塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置117のロイシンがアスパラギンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号71の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置155のアルギニンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号72の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置169のグルタミンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号73の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置203のアスパラギンがトリプトファンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号74の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置78及び位置155の両方のアミノ酸がいずれもアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号75の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない)。
配列番号87のアミノ酸配列において、配列番号1での位置78に相当するアスパラギン酸がアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号93の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない);
配列番号87のアミノ酸配列において、配列番号1での位置80に相当するバリンがアラニンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号94の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(当該DNAは、上記シグナルペプチドの領域をコードしていない);
また別の態様において、本発明のキシラナーゼ変異体をコードするDNAは、配列番号1のアミノ酸配列において、前述したアミノ酸位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203から選択される1又は2以上の位置におけるアミノ酸の置換に加えて、位置35、位置44、位置61、位置62、位置63、位置65、位置66、位置101、及び、位置102におけるアミノ酸が置換されたアミノ酸配列又はその一部を有し、かつキシラナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むか、当該DNAからなる。
配列番号1のアミノ酸配列において、
位置80のトレオニンがアラニンに置換された変異を含み、かつ位置35のセリンがシステインに置換された変異、位置44のアスパラギンがヒスチジンに置換された変異、位置61のチロシンがメチオニンに置換された変異、位置62のトレオニンがシステインに置換された変異、位置63のアスパラギンがロイシンに置換された変異、位置65のアスパラギン酸がプロリンに置換された変異、位置66のアスパラギンがグリシンに置換された変異、位置101のトレオニンがプロリンに置換された変異、及び位置102のセリンがアスパラギンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号85の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(なお、配列番号85の塩基配列には、上記シグナルペプチドをコードする領域は含まれない);
配列番号1のアミノ酸配列において、位置78及び位置155の両方のアミノ酸がいずれもアラニンに置換された変異を含み、かつ位置35のセリンがシステインに置換された変異、位置44のアスパラギンがヒスチジンに置換された変異、位置61のチロシンがメチオニンに置換された変異、位置62のトレオニンがシステインに置換された変異、位置63のアスパラギンがロイシンに置換された変異、位置65のアスパラギン酸がプロリンに置換された変異、位置66のアスパラギンがグリシンに置換された変異、位置101のトレオニンがプロリンに置換された変異、及び位置102のセリンがアスパラギンに置換された変異を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAであり、配列番号86の塩基配列を含むか、当該塩基配列からなる(なお、配列番号86の塩基配列には、上記シグナルペプチドをコードする領域は含まれない)。
上記キシラナーゼ変異体をコードするDNAの塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された塩基配列。例えば、配列番号1に表される塩基配列において、1〜100個の塩基、好ましくは1〜50個の塩基、より好ましくは1〜10個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された塩基配列(なお、当該塩基の置換は、保存的アミノ酸置換を生じる置換であってもよい);
上記キシラナーゼ変異体をコードするDNAの塩基配列と80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは91%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは93%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の塩基同一性を有する塩基配列。塩基配列の比較は公知の手法によって行うことができ、例えば、BLAST等を例えば、デフォルトの設定で用いて実施できる;
上記塩基配列と相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列。「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、2〜6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)及び0.1〜0.5%SDSを含有する溶液中42〜55℃にてハイブリダイズを行い、0.1〜0.2×SSC及び0.1〜0.5%SDSを含有する溶液中55〜65℃にて洗浄を行う条件をいう。
本発明のバイオマス酵素組成物は、少なくとも本発明のキシラナーゼ変異体を、バイオマスを加水分解するための有効成分として含み、バイオマスを分解する用途に使用される酵素組成物である。ここで、バイオマスとは、生物系の植物体のことを指し、草本系植物、木質系植物、藻類、海草類、製糖作物、資源作物、穀物、などが例示される。これらのバイオマスは、いずれも、2糖以上の多糖類を含んでおり、本発明のバイオマス分解用酵素組成物による多糖類の加水分解を行うことができる。特に好ましく使用できるのは、セルロース含有バイオマスである。セルロース含有バイオマスは、セルロース成分を含む生物資源である。具体的には、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー、コーンハル、稲藁、麦藁、小麦ふすまなどの草本系バイオマス、あるいは樹木、廃建材などの木質系バイオマス、さらに藻類、海草、など水生環境由来のバイオマスのことを指す。こうしたセルロース系バイオマスには、セルロース及びヘミセルロース(以下、セルロースとヘミセルロースの総称として「セルロース」という。)の他に芳香族高分子であるリグニン等を含有している。
本発明で使用したキシラナーゼ及びキシラナーゼ変異体のタンパク質濃度は、BCA法にて測定した。キシラナーゼ又はキシラナーゼ変異体を含む溶液25μLを200μLのBCA試薬と混合し、37℃で30分反応させることで発色させた。タンパク質濃度は、牛血清アルブミンを標準品として、570nmの吸光度を測定、比色定量することで決定した。
トリコデルマ由来セルラーゼは以下の方法で調製した。
キシロトリオース、キシロースは、日立高速液体クロマトグラフ LaCh rom Eite(HITACHl)を用いて、キシロトリオース、及びキシロースの標品で作製した検量線をもとに、定量分析した。分析の条件は以下のとおりである。
・カラム:KS802、KS803(Shodex)
・移動相:水
・検出方法:RI
・流速:0.5mL/min
・温度:75℃
コーンスティップリカー5%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)、酒石酸アンモニウム0.37%(w/vol)、硫酸アンモニウム0.14%(w/vol)、リン酸二水素カリウム0.2%(w/vol)、塩化カルシウム二水和物0.03%(w/vol)、硫酸マグネシウム七水和物0.03%(w/vol)、塩化亜鉛0.02%(w/vol)、塩化鉄(III)六水和物0.01%(w/vol)、硫酸銅(II)五水和物0.004%(w/vol)、塩化マンガン四水和物0.0008%(w/vol)、ホウ酸0.0006%(w/vol)、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.0026%(w/vol)となるよう蒸留水に添加し、100mLを500mLバッフル付き三角フラスコに張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。放冷後、これとは別にそれぞれ121℃で15分間オートクレーブ滅菌したPE−MとTween80をそれぞれ0.01%(w/vol)添加した。この前培養培地にトリコデルマ・リーセイATCC66589(ATCCより分譲)を1×105個/mLになるように植菌し、28℃、72時間、180rpmで振とう培養し、前培養とした(振とう装置:TAITEC社製 BIO−SHAKER BR−40LF)。
コーンスティップリカー5%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)、セルロース(アビセル)10%(w/vol)、酒石酸アンモニウム0.37%(w/vol)、硫酸アンモニウム0.14%(w/vol)、リン酸二水素カリウム0.2%(w/vol)、塩化カルシウム二水和物0.03%(w/vol)、硫酸マグネシウム七水和物0.03%(w/vol)、塩化亜鉛0.02%(w/vol)、塩化鉄(III)六水和物0.01%(w/vol)、硫酸銅(II)五水和物0.004%(w/vol)、塩化マンガン四水和物0.0008%(w/vol)、ホウ酸0.0006%(w/vol)、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.0026%(w/vol)となるよう蒸留水に添加し、2.5Lを5L容撹拌ジャー(ABLE社製 DPC−2A)容器に張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。放冷後、これとは別にそれぞれ121℃で15分間オートクレーブ滅菌したPE−MとTween80をそれぞれ0.1%添加し、あらかじめ前記の方法にて液体培地で前培養したトリコデルマ・リーセイPC3−7を250mL接種した。その後、28℃、87時間、300rpm、通気量1vvmにて培養を行い、遠心分離後、上清を膜濾過(ミリポア社製 ステリカップ−GV 材質:PVDF)した。この前述条件で調製した培養液に対し、βグルコシダーゼ(Novozyme188)をタンパク質重量比として、1/100量添加し、これをトリコデルマ由来セルラーゼとして、以下、実施例に使用した。
配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型キシラナーゼをコードするDNAは、アクレモニウム・セルロリチカス(Acremonium cellulolyticus)CF株よりRT−PCRで単離し、pET11a(Novagen)のNdeI部位、BamHI部位に、野生型キシラナーゼよりシグナルペプチド領域を除去したタンパク質をコードする、配列番号68の塩基配列を有するDNAのクローニングを実施した。pET11aのNdeI部位の塩基配列CATATGにおける、“ATG”は、メチオニンコドンとして翻訳開始点として使用し、3’末端にはストップコドン“TAG”を含んでいる。
実施例として、位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、位置203のいずれか1つの置換を含むキシラナーゼ変異体をコードするDNAの作製を以下手順にて実施した。
実施例1にて作製した、位置78に変異を導入したキシラナーゼ変異体(配列番号3)をコードするDNAを含むpET11aに対して、さらに、位置155に変異を導入するプライマー対(配列番号27及び配列番号28)を使用して、位置78と位置155においてそれぞれアラニンへの2つの置換を有するキシラナーゼ変異体をコードするDNA(配列番号75)を作製した。本変異導入に使用したプライマー対は表2に示す2種である。作製したキシラナーゼ変異体をコードするDNAの塩基配列を配列番号9に示す。得られたキシラナーゼ変異体をコードするDNAは実施例1の手順に準じてpET11aにクローニングした。次いで、当該キシラナーゼ変異体をコードするDNAを含むpET11aを用いて、比較例1の手順に準じて、タンパク質の発現及び精製を行い、実施例2のキシラナーゼ変異体(配列番号9)を得た。
比較例として位置48、位置112、位置121、位置123、位置128、位置167、位置171、位置212のいずれか1つの置換を含むキシラナーゼ変異体を作製した。配列番号2で示すキシラナーゼの塩基配列を含むpET11aを鋳型として、表3に記載のプライマー対(Fw:フォワードプライマー、Rv:リバースプライマー)を使用して、PCRを行うことで、各キシラナーゼ変異体をコードするDNAを作製した。PCRにはPrimeSTAR Max(タカラバイオ株式会社)を用いた。使用したプライマー対と得られたキシラナーゼ変異体をコードするDNAの塩基配列を配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、に示す(表3)。またそれぞれのキシラナーゼ変異体のアミノ酸配列を、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、に示す(開始メチオニンを除く)。得られたキシラナーゼ変異体をコードするDNAは実施例1の手順に準じてpET11aにクローニングした。次いで、当該キシラナーゼ変異体をコードするDNAを含むpET11aは、実施例1の手順に準じて、タンパク質の発現及び精製を行い、比較例2の変異体を得た。
実施例1、及び実施例2にて作製した、位置78においてアラニンへの置換を有するキシラナーゼ変異体をコードするDNA(配列番号69)を含むpET11、位置80においてアラニンへの置換を有するキシラナーゼ変異体をコードするDNA(配列番号70)を含むpET11、位置78と位置155においてそれぞれアラニンへの2つの置換を有するキシラナーゼ変異体をコードするDNA(配列番号75)を含むpET11に対して、さらに、位置35、位置44、位置62、位置63、位置101、位置102、位置61、位置65、位置66に変異を導入するプライマー対を使用して、各位置に置換を有するキシラナーゼ変異体をコードするDNAを作製した。本変異導入に使用したプライマー対は表4に示す9種である。作製したキシラナーゼ変異体をコードするDNAの塩基配列を配列番号84、配列番号85、配列番号86、に示す。また当該キシラナーゼ変異体のアミノ酸配列を配列番号18、配列番号19、配列番号20に示す。得られたキシラナーゼ変異体をコードするDNAは実施例1の手順に準じてpET11aにクローニングした。次いで、キシラナーゼ変異体をコードするDNAを含むpET11aは、実施例1の手順に準じて、タンパク質の発現及び精製を行い、実施例3のキシラナーゼ変異体(配列番号18、配列番号19、配列番号20)を得た。
バーチウッドキシラン(シグマアルドリッチ社)を基質として、オリゴ糖液製造を試みた。キシラナーゼとしては、各種キシラナーゼ変異体(実施例1、実施例2、実施例3)及び野生型キシラナーゼ(比較例1)、キシラナーゼ変異体(比較例2)を使用した。基質を0.5gずつ2mLチューブに秤量し、バイオマスの終濃度が5%(w/w)となるように加水後、希釈塩酸を用いてpH5に調整した。pHを調整した本組成物に、野生型キシラナーゼもしくはキシラナーゼ変異体を乾燥バイオマス1gあたり0.8mg添加し、サーモブロック回転器(日伸理化製 SN−48BN)を用いて24時間反応させた。タンパク質濃度は参考例1に準じて濃度測定を行い調整した。実施例3のキシラナーゼ変異体は50℃で、それ以外のキシラナーゼ変異体については40℃で反応を行った。反応後の上清における糖組成を参考例3に従って分析し、表5にまとめた。
サトウキビ搾汁後の残渣であるバガスを原料にして、オリゴ糖液製造を試みた。キシラナーゼとしては、比較例1の野生型キシラナーゼもしくは実施例3の配列番号20のアミノ酸配列を持つキシラナーゼ変異体を使用した。前処理として、バイオマス重量が30%(w/w)となるように1N苛性ソーダ水溶液中で6日間浸漬処理した。前処理物を0.05gずつ2mLチューブに秤量し、バイオマスの終濃度が5%(w/w)となるように加水後、希釈塩酸を用いてpH5に調整した。pHを調整した本組成物に、野生型キシラナーゼもしくはキシラナーゼ変異体を乾燥バイオマス1gあたり0.8mg添加し、サーモブロック回転器(日伸理化製 SN−48BN)を用いて50℃で24時間反応させた。反応後の上清における糖組成を参考例3に従って分析し、表6に示す。野生型キシラナーゼと比較して、キシラナーゼ変異体の方がキシロオリゴ糖であるキシロトリオースを多く得ることができた。
実施例5にて得られた反応後の上清50μlを、VIVASPIN500(PES、分画分子量10,000)(ザルトリウス社)を用いて限外濾過し、比較例1の野生型キシラナーゼもしくは実施例3のキシラナーゼ変異体を回収した。回収した比較例1の野生型キシラナーゼもしくは実施例3の配列番号20のアミノ酸配列を持つキシラナーゼ変異体と、キシラン分解時の濃度(40mg/l)に希釈した比較例1の野生型キシラナーゼ、実施例3の配列番号20のアミノ酸配列を持つキシラナーゼ変異体のキシラナーゼ活性を測定した。キシラナーゼ活性は、1%のバーチウッドキシラン(シグマアルドリッチ社)を基質として使用して、測定を行った。キシラナーゼによるバーチウッドキシランが加水分解され、生成した還元糖の量は、ジニトロサリチル酸法(DNS)法でキシロースを標品として使用して測定した。回収キシラナーゼもしくは希釈キシラナーゼを反応液の1/10量添加し、50℃において、10分間保温することでバーチウッドキシランの分解を実施した。反応後、還元糖量を測定するためDNS溶液を0.75mL添加することで開始し、5分煮沸することで反応を停止した。反応停止後の反応液は、540nmの吸光度を測定することで還元糖量を測定した。1unitのキシラナーゼ活性は、50℃・1分間において、1μmolのキシロースをバーチウッドキシランより生成するために必要な酵素量と定義しユニット数を算出した。希釈した比較例1の野生型キシラナーゼ、実施例3のキシラナーゼ変異体の活性値をそれぞれ基準(100%)として、回収した比較例1の野生型キシラナーゼ、実施例3のキシラナーゼ変異体の相対的な活性値を残存活性とした。表7に回収後の残存活性を示す。キシラナーゼ変異体ではキシラン分解後も活性が高く残っており、キシラン分解に有意に再利用出来ることが確認できた。
トリコデルマ・リーセイ由来の野生型キシラナーゼよりシグナルペプチド領域を除去したタンパク質の塩基配列を有するDNA断片(配列番号92)を合成し、実施例1の手順に準じてpET11aにクローニングした。次いで、当該キシラナーゼ変異体をコードするDNAを含むpET11aを用いて、比較例1の手順に準じて、タンパク質の発現及び精製を行い、野生型キシラナーゼ(配列番号88)を得た。さらに、実施例4の手順に準じて糖液の製造を行い、反応後の上清における糖組成を表8に示す。
トリコデルマ・リーセイ由来の野生型キシラナーゼ(配列番号87)と配列番号1とでアミノ酸のアライメント操作を実施し、配列番号87の配列番号1の位置78,80に相当する位置を決定した。アライメント操作は、上述の手順1)〜3)に従い、ClustalWに含まれるプログラムGenetyxのParallel Editor(Multiple Allignment)を用い、デフォルトのパラメータを用いて行った。トリコデルマ・リーセイ由来のキシラナーゼ変異体よりシグナルペプチド領域を除去したタンパク質で、位置78においてアスパラギン酸からアラニンへの置換を有するキシラナーゼをコードする配列番号93と、位置80においてバリンからアラニンへの置換を有するキシラナーゼをコードする配列番号94の塩基配列を有するDNA断片を合成し、比較例3と同様にクローニング、タンパクの発現及び精製を行い、キシラナーゼ変異体(配列番号89,90)を得た。置換箇所と置換残基との関係を表9に示す。さらに、実施例4の手順に準じて糖液の製造を行い、反応後の上清における糖組成を表8に示す。野生型キシラナーゼと比較して、キシラナーゼ変異体の方がキシロオリゴ糖であるキシロトリオースを多く得ることができた。
Claims (14)
- 配列番号1のアミノ酸配列での、位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203に相当する位置から選択される一以上のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置換されているアミノ酸配列を含み、かつ、当該アミノ酸残基が置換されていない元のキシラナーゼと比較してキシランからのキシロトリオースの生産性が向上したキシラナーゼ活性を有する、糸状菌由来のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1のアミノ酸配列での位置78に相当する位置のアミノ酸残基がアラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1のアミノ酸配列での位置80に相当する位置のアミノ酸残基がアラニン、グリシン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1のアミノ酸配列での位置117に相当する位置のアミノ酸残基が、セリン、トレオニン、又はアスパラギンに置換されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1のアミノ酸配列での位置155に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1のアミノ酸配列での位置169に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、又はイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1のアミノ酸配列での位置203に相当する位置のアミノ酸残基が、トリプトファン、フェニルアラニン、又はチロシンに置換されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1のアミノ酸配列での位置78に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニンに置換されており、かつ、配列番号1のアミノ酸配列での位置155に相当する位置のアミノ酸残基が、アラニンに置換されているアミノ酸配列を含む、請求項1、2又は5に記載のキシラナーゼ変異体。
- 前記元のキシラナーゼが、グリコシドヒドロラーゼ(Glycoside Hydrolase)ファミリー11に属する糸状菌由来のキシラナーゼである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のキシラナーゼ変異体。
- 以下の(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列を含み、かつキシラナーゼ活性を有する、請求項1に記載のキシラナーゼ変異体:
(a)配列番号3〜9、89、及び90で示されるいずれかのアミノ酸配列;
(b)配列番号3〜9、89、及び90で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列での位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸以外のアミノ酸位置において、1から数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列;又は
(c)配列番号3〜9、89、及び90で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列での位置78、位置80、位置117、位置155、位置169、及び位置203に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸を除いて、該いずれかのアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列。 - さらに、配列番号1のアミノ酸配列での位置35、位置44、位置61、位置62、位置63、位置65、位置66、位置101、及び位置102に相当する位置のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置換されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のキシラナーゼ変異体。
- 配列番号1の位置35に相当する位置のアミノ酸残基がシステインに、
配列番号1の位置44に相当する位置のアミノ酸残基がヒスチジンに、
配列番号1の位置61に相当する位置のアミノ酸残基がメチオニンに、
配列番号1の位置62に相当する位置のアミノ酸残基がシステインに、
配列番号1の位置63に相当する位置のアミノ酸残基がロイシンに、
配列番号1の位置65に相当する位置のアミノ酸残基がプロリンに、
配列番号1の位置66に相当する位置のアミノ酸残基がグリシンに、
配列番号1の位置101に相当する位置のアミノ酸残基がプロリンに、かつ
配列番号1の位置102に相当する位置のアミノ酸残基がアスパラギンに、
それぞれ置換されている、請求項11に記載のキシラナーゼ変異体。 - 以下の(d)〜(f)のいずれかのアミノ酸配列を含み、かつキシラナーゼ活性を有する、請求項11に記載のキシラナーゼ変異体:
(d)配列番号18〜20で示されるいずれかのアミノ酸配列;
(e)配列番号18〜20で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列での位置35、位置44、位置61、位置62、位置63、位置65、位置66、位置78、位置80、位置101、位置102、及び位置155に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸以外のアミノ酸位置において、1から数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列;又は
(f)配列番号18〜20で示されるいずれかのアミノ酸配列において、配列番号1でのアミノ酸配列での位置35、位置44、位置61、位置62、位置63、位置65、位置66、位置78、位置80、位置101、位置102、及び位置155に相当する位置における置換されたアミノ酸は変異せず、該アミノ酸を除いて、該いずれかのアミノ酸配列と90%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキシラナーゼ変異体を含む酵素組成物。
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