JP2017532967A - ベータ−グルコシダーゼに関連する組成物および方法 - Google Patents

ベータ−グルコシダーゼに関連する組成物および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017532967A
JP2017532967A JP2017522932A JP2017522932A JP2017532967A JP 2017532967 A JP2017532967 A JP 2017532967A JP 2017522932 A JP2017522932 A JP 2017522932A JP 2017522932 A JP2017522932 A JP 2017522932A JP 2017532967 A JP2017532967 A JP 2017532967A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
beta
ggr3a
glucosidase
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017522932A
Other languages
English (en)
Inventor
バウワー、ベンジャミン・エス
チャン、ジミー
フジダラ、メレディス・ケー
ケイパー、ティイス
ランツ、スザンヌ・イー
クロッティー、キルスティン・ワイ ノセ
クロッティー、キルスティン・ワイ ノセ
トポザダ、アムル・アール
Original Assignee
ダニスコ・ユーエス・インク
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ダニスコ・ユーエス・インク filed Critical ダニスコ・ユーエス・インク
Publication of JP2017532967A publication Critical patent/JP2017532967A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/14Preparation of compounds containing saccharide radicals produced by the action of a carbohydrase (EC 3.2.x), e.g. by alpha-amylase, e.g. by cellulase, hemicellulase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/24Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2)
    • C12N9/2402Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2) hydrolysing O- and S- glycosyl compounds (3.2.1)
    • C12N9/2405Glucanases
    • C12N9/2434Glucanases acting on beta-1,4-glucosidic bonds
    • C12N9/2445Beta-glucosidase (3.2.1.21)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/02Monosaccharides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y302/00Hydrolases acting on glycosyl compounds, i.e. glycosylases (3.2)
    • C12Y302/01Glycosidases, i.e. enzymes hydrolysing O- and S-glycosyl compounds (3.2.1)
    • C12Y302/01021Beta-glucosidase (3.2.1.21)

Abstract

本組成物および本方法は、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のベータ−グルコシダーゼ、そのベータ−グルコシダーゼをコードするポリヌクレオチド、ならびに、その作製方法および/またはその使用に関する。ベータ−グルコシダーゼを含む製剤は、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解での使用に好適であり得る。【選択図】図7

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年10月27日に出願された米国仮特許出願第62/069,120号明細書の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本組成物および本方法は、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)から得られるベータ−グルコシダーゼポリペプチド、ベータ−グルコシダーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびに、その製造方法および使用方法に関する。ベータ−グルコシダーゼポリペプチドを含む製剤および組成物は、例えば、リグノセルロース系バイオマスの分解または加水分解に有用であり得る。
電子的に提出された配列リストの参照
本出願と同時にASCIIテキストファイルで電子的に提出された配列リスト(名称:NB40751WOPCT_Sequence Listing_ST25.txt;サイズ:78,606バイト、および作成日:2015年10月22日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
セルロース及びヘミセルロースは光合成により産生される最も豊富な植物性原料である。これらは、高分子基質を単糖へと加水分解することのできる細胞外酵素を産生する多数の微生物(例えば、細菌、酵母および真菌)により分解して、エネルギー源として使用することができる(Aro et al.,J.Biol.Chem.,276:24309−24314,2001)。再生不能資源の制限が近付くにつれて、セルロースが主要な再生可能なエネルギー源になる可能性は非常に高い(Krishna et al.,Bioresource Tech.,77:193−196,2001)。生物学的過程を介してセルロースを有効利用することは、食物不足、食餌不足および燃料不足を克服する1つのアプローチになる(Ohmiya et al.,Biotechnol.Gen.Engineer Rev.,14:365−414,1997)。
セルラーゼはセルロース(ベータ−1,4−グルカンまたはベータD−グルコシド結合を含む)を加水分解して、グルコース、セロビオース、セロオリゴ糖などを産生する酵素である。セルラーゼは、慣習的に3つの主要な部類:エンドグルカナーゼ(EC 3.2.1.4)(「EG」)、エキソグルカナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ(EC 3.2.1.91)(「CBH」)、ならびにベータ−グルコシダーゼ([beta]−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ;EC 3.2.1.21)(「BG」)に分類されている(Knowles et al.,TIBTECH 5:255−261,1987; and Schulein,Methods Enzymol.,160:234−243,1988)。エンドグルカナーゼが主にセルロース繊維の非晶質部に作用する一方で、セロビオヒドロラーゼは結晶質セルロースも分解することができる(Nevalainen and Penttila,Mycota,303−319,1995)。したがって、結晶質セルロースを効率的に可溶化するには、セルラーゼ系にセロビオヒドロラーゼを存在させることが必要である(Suurnakki et al.,Cellulose,7:189−209,2000)。ベータ−グルコシダーゼは、セロビオース、セロオリゴ糖、および他のグルコシドからD−グルコース単位を遊離させるよう作用する(Freer,J.Biol.Chem.,268:9337−9342,1993)。
セルラーゼが、多数の細菌、酵母および真菌により産生されることは知られている。特定の真菌は、結晶質形態のセルロースを分解することができる完全セルラーゼ系を産生する。これらの真菌は、発酵により一連のセルラーゼまたはセルラーゼ混合物を産生することができる。同真菌および他の真菌はまた、特定のセルラーゼを産生または過剰産生して、異なる型のセルラーゼを含む、または異なる割合でセルラーゼを含むセルラーゼの混合物を産生するよう遺伝子操作することができる。これらの真菌はまた、発酵により様々なセルラーゼを大量に産生するよう遺伝子操作することができる。多くの酵母、例えばサッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)は、天然状態ではセルロースに対する加水分解能を欠くことから、糸状菌は特別の役割を果たす(例えば、Wood et al.,Methods in Enzymology,160:87−116,1988を参照)。
CBH、EGおよびBGの真菌セルラーゼ分類は、それぞれに分類される多数の成分を包含するようさらに拡大することができる。例えば、2つのCBH、すなわちCBH I(「CBH1」)およびCBH II(「CBH2」)、少なくとも8つのEG、すなわち、EG I、EG II、EG III、EGIV、EGV、EGVI、EGVIIおよびEGVIII、ならびに少なくとも5つのBG、すなわちBG1、BG2、BG3、BG4、BG5およびBG7に関する既知の遺伝子を含有する、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)(ヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)とも呼ばれる)などの様々な真菌源より、多数のCBH、EGおよびBGが単離されている(Foreman et al.(2003),J.Biol.Chem.278(34):31988−31997)。EGIV、EGVIおよびEGVIIIはまたキシログルカナーゼ活性も有する。
結晶質セルロースを効率的にグルコースへと変換させるためには、結晶質セルロースの加水分解活性が低い成分を単離するために、CBH、EGおよびBGのそれぞれの部類の成分を含む、完全セルラーゼ系が必要である((Filho et al.,Can.J.Microbiol.,42:1−5,1996)。エンド−1,4−ベータ−グルカナーゼ(EG)およびエキソ−セロビオヒドロラーゼ(CBH)は、セルロースのセロオリゴ糖(主生成物はセロビオース)への加水分解を触媒し、一方、ベータ−グルコシダーゼ(BGL)はオリゴ糖をグルコースへと変換する。異なる分類に由来するセルラーゼ成分間の相乗的な関係が観察されている。特に、EG型セルラーゼおよびCBH型セルラーゼは、相乗的に作用してセルロースを効率的に分解する。ベータ−グルコシダーゼは、セロビオースなどのセロオリゴ糖に由来するグルコースを遊離するのに有用な役割を果たし、それは、糖を発酵させてエタノールに変えるために使用される微生物、例えば、酵母などに対し毒性があり、また、それは、エンドグルカナーゼおよびセロビオヒドラーゼの活性を抑制し、それらの結晶質セルロースのさらなる加水分解を無効にする。
セルロース材料の分解または変換に果たすベーターグルコシダーゼの重要な役割を考慮すると、セルロース原料に対する加水分解効率または加水分解能が向上したベーターグルコシダーゼホモログの発見、特性評価、製造および適用が要望され、かつ有益でもある。
グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)から得られるベータ−グルコシダーゼおよびその使用
セルロースの酵素加水分解は依然として、リグノセルロース系バイオマス原料からの物質(これは、セルロース糖および/または下流生成物であり得る)の生物学的生産の主な律速工程の一つである。ベーターグルコシダーゼは、そのようなプロセスの最後の工程を触媒し、抑制セロビオースからグルコースを放出するのに重要な役割を果たしており、したがって、その活性および有効性は、リグノセルロース系バイオマスの酵素変換の全体的な有効性に直接寄与し、ひいては、酵素溶液の使用に伴う費用に寄与する。したがって、新規で、かつより有効なベータ−グルコシダーゼを見出し、製造し、かつ使用することに大きな関心が集まっている。
トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)またはヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)由来のベータ−グルコシダーゼ、Bgl1、Bgl3、Bgl5,Bgl7Biofuels 3:3−3(2010))フミコーラ・グリセア変種セルモイデア(Humicola grisea var.thermoidea)由来のベータ−グルコシダーゼ;(Nascimento,C.V.et al.,J.Microbiol.48,53−62(2010))スポロトリウム・プルウェルレンツム(Sporotrichum pulverulentum)由来のベータ−グルコシダーゼ;(Deshpande V.et al.,Methods Enzymol.,160:415−424(1988));アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)のベータ−グルコシダーゼ(Fukuda T.et al,Appl.Microbiol.Biotechnol.76:1027−1033(2007);タラロミケス・テルモフィルス(Talaromyces thermophilus)CBS 236.58由来のベータ−グルコシダーゼ(Nakkharat P.et al.,J.Biotechnol.,123:304−313(2006));タラロマイセス・エメルソニイイ(Talaromyces emersonii)由来のベータ−グルコシダーゼ(Murray P.,et al,Protein Expr.Purif.38:248−257(2004))など、多くのベータ−グルコシダーゼが知られているが、これまでのところ、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)ベータ−グルコシダーゼBgl1、およびアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)ベータ−グルコシダーゼSP188が、他のベータ−グルコシダーゼの活性および性能を評価する上で、基準のベータ−グルコシダーゼと見なされている。トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1がアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)ベータ−グルコシダーゼSP188より高い比活性を有するが、分泌が少ないことがあり、一方、後者はグルコース抑制に対する感受性がより高いことが報告されている(Chauve,M.et al.,Biotechnol.Biofuels,3(1):3(2010))。
本発明の組成物および方法の一態様は、リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する、真菌種グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)(アナモルフ:コレトトリクム・グラミニコラ(Colletotrichum graminicola))から単離された高活性ベータ−グルコシダーゼの適用もしくは使用である。トウモロコシの炭疽菌茎腐病や葉枯病の原因物質であるグロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)のゲノムの塩基配列が、コレトトリクム(Colletotrichum)配列決定プロジェクト、Broad Institute Harvard and MIT(http://www.broadinstitute.org/)によって決定された。本明細書に記載の配列番号2の配列は、National Center for Biotechnology Information,U.S.National Library of Medicine(NCBI)により、アクセッション番号EFQ32803.1を付して発表され、GH3ファミリーのベータ−グルコシダーゼに指定された。
この酵素はこれまで遺伝子組換え形態で作られておらず、またリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解に有用な酵素組成物に含まれていない。また、酵素も、そのような酵素を含む組成物も、リグノセルロース系バイオマス基質に対し、そのような基質を酵素により加水分化するのに適した方法では適用されていない。さらに、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)のベータ−グルコシダーゼは、これまで遺伝子組換えによる微生物によっては発現されていない。またそれは、1種以上のセルラーゼ遺伝子および/または1種以上のヘミセルラーゼ遺伝子で同時発現されていない。何年にも亘る開発を通して、遺伝的手段の蓄積の助けを得て、異種タンパク質および異種酵素を非常に効果的に、かつ効率よく産生するものとなった好適な微生物で発現させることにより、非遺伝子組換え微生物において内因的に発現するより、または植物で発現するより、実質的により大量にこれらの有用なベータ−グルコシダーゼを発現させることが可能になる。
全てではないまでも、殆どのベータ−グルコシダーゼが好適な条件下でセロビオースの加水分解を触媒することができるとはいえ、ベータ−グルコシダーゼとして分類される酵素は、その由来だけでなく、リグノセルロース基質に対する活性も様々である。例えば、セロビオースだけでなく長鎖のオリゴ糖にも活性を有するものがある一方、セロビオースにのみ活性を示すものもある。類似の基質選択性を有するベータ−グルコシダーゼであるとしても、なかには、それらの触媒活性および触媒効率をより高め、したがって、酵素を触媒とした加水分解に長くとも数日を超える日数をかけるわけにはいかない工業用途での有用性をより高める酵素動力学的プロファイルを有するものがある。
さらに、リグノセルロース系バイオマスの酵素加水分解から得られたセルロース性糖を変換することができる発酵性微生物またはエタノール生産微生物で、ここでのGgr3Aポリペプチドなどのグロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のベーターグルコシダーゼを発現するように遺伝子操作されたものはない。エタノール生産微生物におけるベータ−グルコシダーゼの発現は、酵素による糖化によって完全には変換されていない残ったセロビオースからD−グルコースをさらに遊離させる重要な機会を提供する。そこでは、こうして生成されたD−グルコースは直ちに消費されるか、またはエタノール生産微生物によってジャストインタイムで発酵され得る。
本発明の組成物および方法の一態様は、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のグリコシルヒドロダーゼファミリー3のベーターグルコシダーゼポリペプチド(本明細書中、「Ggr3A」または「Ggr3Aポリペプチド」と呼ぶ)、それをコードする核酸、それを含む組成物、ならびに、そのベータ−グルコシダーゼポリペプチド、およびそれを含む組成物を、製造する方法、およびリグノセルロース系バイオマスの可溶性の発酵性糖への加水分解または変換に適用する方法に関する。そうした発酵性糖は、その後、セルロース性エタノール、燃料、ならびに他の生化学物質および有用な製品に変換することができる。ある特定の実施形態においては、Ggr3Aベータ−グルコシダーゼポリペプチドは、既知の高フィデリティベータ−グルコシダーゼである基準のトリコデルマ・レーセイ(Trichderma reesei)Bgl1と比較して、より高いベータ−グルコシダーゼ活性を有し、かつ/または所与のリグノセルロース系バイオマス基質に対しより高い加水分解能を示す。(Chauve,M.et al.,Biotechnol.Biofuels,3(1):3(2010)).
いくつかの実施形態では、好適なバイオマス基質を加水分解または分解するため、Ggr3Aポリペプチドは、酵素組成物中に1種以上の他のセルダーゼとともに、またはその存在下で適用される。1種以上の他のセルダーゼは、例えば、他のベーターグルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、および/またはエンドグルカナーゼであり得る。例えば、酵素組成物は、Ggr3Aポリペプチド、セロビオヒドロラーゼおよびエンドグルカナーゼを含み得る。いくつかの実施形態では、Ggr3Aポリペプチドは、酵素組成物中に1種以上の他のヘミセルダーゼとともに、またはその存在下で適用される。1種以上の他のヘミセルダーゼは、例えば、キシラナーゼ、ベータ−キシロシダーゼおよび/またはL−アラビノフラノシダーゼであり得る。さらなる実施形態においては、Ggr3Aポリペプチドは、酵素組成物中に1種以上のセルダーゼおよび1種以上のヘミセルダーゼとともに、またはそれらの存在下で適用される。例えば、酵素組成物は、Ggr3Aポリペプチド、0、1もしくは2種の他のベーターグルコシダーゼ、1種以上のセロビオヒドロラーゼ、および1種以上のエンドグルカナーゼと;任意選択的に、0もしくは1種以上のキシラナーゼ、0もしくは1種以上のベータ−キシロシダーゼ、および0もしくは1種以上のL−アラビノフラノシダーゼとを含む。
ある特定の実施形態では、Ggr3Aポリペプチド、またはGgr3Aポリペプチドを含む組成物は、リグノセルロース系バイオマス基質を酵素により加水分解することによって生成される可溶性の発酵性糖を代謝し、そのような糖をエタノール、生化学物質、または他の有用な物質に変換することができるエタノール産生微生物の存在下で、リグノセルロース系バイオマス基質、または一部加水分解されたリグノセルロース系バイオマス基質に対し適用される。そのようなプロセスは、加水分解工程が発酵工程前に起こる完全な逐次プロセスであり得る。あるいは、そのようなプロセスは、加水分解工程がまず始まるが、ある期間は、その後に開始する発酵工程と重なるハイブリッドプロセスであり得る。さらなる代替として、そのようなプロセスは、バイオマス基質の酵素加水分解が起こり、同時にその酵素加水分解によって生成した糖のエタノロゲン(ethanologen)による発酵が進む、加水分解・発酵同時プロセスであり得る。
例えば、Ggr3Aポリペプチドは、酵素組成物の一部であり得、酵素加水分解プロセスおよびセロビオースなどのオリゴ糖からのD−グルコースの遊離に寄与する。ある特定の実施形態では、Ggr3Aポリペプチドは、一般に、エタノール産生微生物がそのようなベーターグルコシダーゼ活性を発現および/または分泌するように、エタノロゲン中で発現するよう遺伝子操作し得る。さらに、Ggr3Aポリペプチドは、酵素組成物の一部であり、同時にまた、エタノロゲンによって発現および/または分泌され、それによって、加水分解性酵素組成物によるリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解によって生成した可溶性の発酵性糖が、Ggr3Aポリペプチドもまた発現および/または分泌するエタノール産生微生物によってエタノールへ代謝および/または変換される。加水分解酵素組成物は、1種以上の他のセルラーゼおよび/または1種以上のヘミセルラーゼに加えて、Ggr3Aポリペプチドを含み得る。エタノロゲンは、Ggr3Aポリペプチド、1種以上の他のセルラーゼ、1種以上の他のヘミセルラーゼ、またはこれらの酵素の組み合わせが発現するように遺伝子操作することができる。1種以上のベーターグルコシダーゼが、加水分解酵素組成物中に含まれ、エタノロゲンによって発現および/または分泌され得る。例えば、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解は、Ggr3Aポリペプチドを含む酵素組成物を用いて行うことができ、その後、加水分解で生成した糖を、Ggr3Aポリペプチドを発現するよう遺伝子操作された微生物で発酵させることができる。あるいは、第1のベーターグルコシダーゼを含む酵素組成物が加水分解工程に関与し、第1のベーターグルコシダーゼと異なる第2のベーターグルコシダーゼがエタノロゲンによってによって発現および/または分泌される。例えば、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解を、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む加水分解酵素組成物を用いて行い、加水分解によって生じた発酵性糖を、Ggr3Aポリペプチドを発現および/または分泌するエタノール産生微生物によって発酵させることができ、その逆もまた同様である。
本明細書に示したように、Ggr3Aポリペプチド、およびGgr3Aポリペプチドを含む組成物は、リグノセルロース系バイオマスの糖化および分解が起こる条件での効果を増大させた。Ggr3Aポリペプチドを含む酵素組成物の効果の増大は、所与のバイオマス基質に対する加水分解能を、他の方法で比較可能なトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む酵素組成物との比較で示される。
ある特定の実施形態においては、ベーターグルコシダーゼ活性の改善もしくは増大は、Ggr3Aポリペプチドのセロビアーゼ活性の改善もしくは増大に反映される。セロビアーゼ活性は、基質としてセロビオースを用い、約30℃〜約65℃の温度(例えば、約35℃〜約60℃、約40℃〜約55℃、約45℃〜約55℃、約48℃〜約52℃、約40℃、約45℃、約50℃および約55℃など)で測定される。いくつかの実施形態では、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較したときのGgr3Aポリペプチドのベーターグルコシダーゼ活性の増大は、リン酸膨張セルロース(PASC)、例えば、Walseth,TAPPI 1971,35:228およびWood,Biochem.J.1971,121:353−362の採用したプロトコルを用いて前処理を行った、前処理済みのAvicelの加水分解に、ベーターグルコシダーゼポリペプチドを使用することによって観察される。いくつかの実施形態では、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較したときのGgr3Aポリペプチドのベーターグルコシダーゼ活性の増大は、希アンモニア水で前処理したトウモロコシ茎葉、例えば、国際公開された特許出願:国際公開第2006/110891号パンフレット、同2006/110899号パンフレット、同2006/110900号パンフレット、同第2006/110901号パンフレットおよび同第2006/110902号パンフレット;米国特許第7,998,713号明細書、同第7,932,063号明細書に記載のものの加水分解に、ベーターグルコシダーゼポリペプチドを使用することによって観察される。
いくつかの態様においては、Ggr3Aポリペプチド、および/またはリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する酵素組成物もしくは方法において適用されるGgr3Aポリペプチドは、(a)グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)から誘導され、得られ、もしくは産生され;(b)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)一致しているアミノ酸配列を含む組み換えポリペプチドであり;(c)配列番号3の触媒ドメイン、すなわちアミノ酸残基20〜876と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)一致しているアミノ酸配列を含む組み換えポリペプチドである;(d)配列番号3のアミノ酸配列の成熟形態、すなわち配列番号2のアミノ酸残基20〜876と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)一致しているアミノ酸配列を含む組み換えポリペプチドであり;または(e)ベーターグルコシダーゼ活性を有する(a)、(b)、(c)もしくは(d)のフラグメントである。ある特定の実施形態では、配列番号2または配列番号3の1個以上のアミノ酸残基の置換、除去および/または挿入を含む、ベーターグルコシダーゼ活性を有する変異ポリペプチドが提供される。
いくつかの態様においては、Ggr3Aポリペプチド、および/またはリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する酵素組成物または方法において適用されるGgr3Aポリペプチドは、(a)配列番号1に対し少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の配列相同性を有する核酸配列によってコードされるポリペプチド、あるいは(b)配列番号1、少なくとも100個の連続するヌクレオチドからなる配列番号1の部分列、またはその相補的配列に、中程度のストリンジェンシー条件、高いストリンジェンシー条件または非常に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするもの(但し、ポリペプチドはベーターグルコシダーゼ活性を有する)である。いくつかの実施形態では、Ggr3Aポリペプチド、および/またはリグノセルロース系バイオマス基質を加水分解する酵素組成物または方法において適用されるGgr3Aポリペプチドは、遺伝子コードの縮重により、配列番号1、または少なくとも100個の連続するヌクレオチドからなる配列番号1の部分列に、中程度のストリンジェンシー条件、高いストリンジェンシー条件または非常に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズしないが、それにもかかわらず、ベーターグルコシダーゼを有するポリペプチドをコードし、かつ配列番号2、または配列番号3の成熟ベーターグルコシダーゼ配列と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)一致しているアミノ酸配列を含むものである。核酸配列は合成されたものであってよく、必ずしもグロメレラ・グラミニコラ由来のものである必要はないが、核酸配列はベーターグルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードし、かつ配列番号2または配列番号3と少なくとも75%一致しているアミノ酸配列を含む。
いくつかの好ましい実施形態においては、Ggr3Aポリペプチド、またはGgr3Aポリペプチドを含む組成物は、野生型トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1(配列番号4)、またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む酵素組成物に比べ、高いベーターグルコシダーゼ活性を有する。例えば、本明細書に記載の組成物および方法のGgr3Aポリペプチドのベーターグルコシダーゼ活性は、セロビオース加水分解アッセイによる測定で、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1より、少なくとも約10%高い(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、例えば、少なくとも約87%高い)。セロビオース加水分解アッセイは、本明細書の実施例3に記載されている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法のGgr3Aポリペプチドは、実質的に高い(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、例えば、少なくとも約87%高い)セロビオース加水分解活性を有する。
ある特定の態様では、本発明のGgr3Aポリペプチド、およびGgr3Aポリペプチドを含む組成物は、野生型トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1(配列番号4)に比べ、リグノセルロース系バイオマス基質に対し、より高い加水分解能を有する。いくつかの実施形態では、Ggr3AポリペプチドまたはGgr3Aポリペプチドを含む組成物の加水分解能の向上は、ある特定の方法で前処理した所与のリグノセルロース系バイオマス基質から生成されるグルコースの量が、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1、またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む同じ酵素組成物によって生成されるグルコースの量より多いことによって観察することができる。例えば、バイオマス基質中のグルカン1gを加水分解するために、0〜10mg(例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg)のベーターグルコシダーゼ(Ggr3Aポリペプチドまたはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1)を使用した場合、Ggr3Aポリペプチド、またはGgr3Aポリペプチドを含む酵素組成物によって生成されるグルコース量は、(Ggr3Aポリペプチドでなく)トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1、またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む他の同一酵素組成物によって生成されるグルコースの量より、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%または少なくとも約25%)多い。
いくつかの態様では、Ggr3Aポリペプチド、またはGgr3Aポリペプチドを含む組成物の加水分解能の向上は、ある特定の方法で前処理した所与のリグノセルロース系バイオマス基質のグルカン転換率%が、同じ糖化条件下で、同じ方法で前処理した同じバイオマス基質の、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1、またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む他の同じ酵素組成物によるグルカン転換率%と比較して増大することによって観察することができる。例えば、バイオマス基質中のグルカン1gを加水分解するために、0〜10mg(例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg)のベーターグルコシダーゼ(Ggr3Aポリペプチドまたはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1)を使用した場合、Ggr3Aポリペプチド、またはGgr3Aポリペプチドを含む酵素組成物によるグルカン変換率%は、(Ggr3Aポリペプチドでなく)トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1、またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む他の同一酵素組成物によるグルカン変換率%より、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%または少なくとも約15%)高い。
Ggr3Aポリペプチド、およびGgr3Aポリペプチドを含む組成物の加水分解能の向上は、ある特定の方法で前処理した所与のリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解におけるセロビアーゼ活性の増大、および/または生成混合物中のセロビオース残存量の減少(同じバイオマス基質を、同じ糖化条件下で、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1、またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む他の同じ酵素組成物によって加水分解したときのセロビオース残存量との比較において)によって観察することができる。例えば、ある特定の方法で前処理した所与のリグノセルロース系バイオマス基質の、Ggr3Aポリペプチド、またはGgr3Aポリペプチドを含む組成物による加水分解によって生成した生成混合物中のセロビオース残存量が、同じ方法で前処理した同じバイオマス基質に対し、同じ糖化条件で、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1、またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む他の同じ酵素組成物により加水分解することによって生成した生成混合物中のセロビオース残存量より、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、またはさらに少なくとも約20%)少ない。これは、バイオマス基質中のグルカン1gを加水分解するために、0〜10mg(例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg)のベーターグルコシダーゼ(例えば、Ggr3Aポリペプチドまたはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1)を使用した場合である。
本発明の組成物および方法の態様は、上で詳述したような組み換えGgr3Aポリペプチドおよびリグノセルロース系バイオマスを含む組成物を含む。好適なリグノセルロース系バイオマスは、例えば、農産物、食物もしくは食餌生産の副生物、リグノセルロース廃棄物、例えば草残渣などの植物残渣、または廃棄紙もしくは廃棄紙製品由来のものであり得る。ある特定の実施形態では、リグノセルロース系バイオマスに対し、キシラン、ヘミセルロース、セルロースおよび/またはリグニン物質の酵素への到達性、または酵素に対する感受性を高め、それによって酵素加水分解をより受けやすくするために、1工程以上の前処理工程が施された。好適な前処理方法としては、例えば、反応容器内で、強酸の希釈溶液および金属塩を含む触媒にバイオマス材料をさらす方法がある。例えば、米国特許第6,660,506号明細書、同第6,423,145号明細書を参照されたい。あるいは、好適な前処理方法として、例えば、米国特許第5,536,325号明細書に記載の多段プロセスがある。ある特定の実施形態では、バイオマス材料に対し、米国特許第6,409,841号明細書の開示にしたがい、一段以上の、約0.4%〜約2%の強酸を用いる希酸による加水分解が行われ得る。前処理方法のさらなる実施形態としては、例えば、米国特許第5,705,369号明細書;Gould,Biotech.& Bioengr.,26:46−52(1984); in Teixeira et al.,Appl.Biochem & Biotech.,77−79:19−34(1999);国際公開された特許出願、国際公開第2004/081185号パンフレット、または米国特許出願公開第2007/031918号明細書、もしくは、国際公開された特許出願、国際公開第06/110901号パンフレットに記載の方法が挙げられる。
本発明はまた、ベーターグルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドであって、
(1)配列番号2または配列番号3と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド;
(2)配列番号1と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の相同性を有するか、または配列番号1、もしくはその相補的配列に、中程度のストリンジェンシー条件、高いストリンジェンシー条件または非常に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする単離ポリヌクレオチドから選択される単離ポリヌクレオチドに関する。
本組成物および本方法の態様は、配列番号2のアミノ酸配列または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)アミノ酸配列を含む組み換えポリペプチドをコードする単離核酸配列を用いて、べーターグルコシダーゼ活性を有するGgr3Aポリペプチドを製造または産生する方法を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、さらに、産生されるGgr3Aポリペプチドが宿主微生物によって分泌されるように、天然または非天然シグナルペプチドを含み、例えば、シグナルペプチドは配列番号11(トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1のシグナル配列)と少なくとも90%一致している配列を含む。ある特定の実施形態では、単離核酸は、配列番号1と少なくとも75%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)一致している配列を含む。ある特定の実施形態では、単離核酸は、さらに、シグナルペプチド配列をコードする核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、シグナルペプチド配列は配列番号11〜40から選ばれる1つであり得る。ある特定の実施形態では、配列番号11のシグナルペプチド配列をコードする核酸配列は、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)においてGgr3Aポリペプチドを発現させるために使用される。
本組成物および本方法の態様は、上記のような単離核酸を、制御配列と作動可能に組み合わされて含む。
本組成物および本方法の態様は、発現ベクターを含む宿主細胞を含む。ある特定の実施形態では、宿主細胞は細菌細胞または真菌細胞である。ある特定の実施形態では、発現ベクターを含む宿主細胞は、リグノセルロース系バイオマスの加水分解(この加水分解は化学プロセスおよび/または酵素プロセスの結果である)によって生成された可溶性の糖を代謝することができるエタノール産生微生物である。
本組成物および本方法の態様は、上記宿主細胞および培地を含む組成物を含む。本組成物および本方法の態様は、ベーターグルコシダーゼの産生に好適な条件下で、上記宿主細胞を培地で培養することを含む、Ggr3Aポリペプチドの産生方法を含む。
本組成物および本方法の態様は、上記のようなベーターグルコシダーゼを産生する方法にしたがって産生された培地の上清中のGgr3Aポリペプチドを含む組成物を含む。
いくつかの態様では、本発明は、上記およびここに記載の、核酸構成物、組み換え発現ベクター、上記およびここに記載のベーターグルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリペプチドを含む遺伝子操作された宿主細胞に関する。さらなる態様では、本発明は、本発明のベーターグルコシダーゼポリペプチド、またはそのようなベーターグルコシダーゼポリペプチドを、核酸構成物、組み換え発現ベクター、および/または遺伝子操作された宿主細胞を用いて調製または産生する方法に関する。特に、本発明は、例えば、配列番号2または配列番号3の成熟配列と少なくとも75%一致しているか、あるいは配列番号1と少なくとも75%一致しているポリヌクレオチドでコードされるベーターグルコシダーゼの成熟配列に操作可能に結合した好適なシグナルペプチドを含む核酸構成物、単離ポリヌクレオチド、核酸構成物、組み換え発現ベクター、またはそのような核酸構成物を含む遺伝子操作された宿主細胞に関する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドおよびベーターグルコシダーゼの配列は、異なる微生物から誘導される。
単離核酸を、制御配列と操作可能に組み合わされて含む発現ベクターもまた提供される。さらに、そのような発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。さらに他の実施形態においては、宿主細胞および培地を含む組成物が提供される。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は細菌細胞または真菌細胞である。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解によって生成された可溶性糖を代謝することができるエタノール産生微生物であり、その加水分解は、化学的加水分解、酵素加水分解、またはこれらのプロセスの組み合わせによるものであり得るが、宿主細胞はまた、異種酵素もまた発現することができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞またはジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞であり、それらは、本発明のGgr3Aポリペプチドなどの異種ポリペプチドを発現することができるだけでなく、糖をエタノールおよび/または下流生成物へ発酵させることができる。ある特定の実施形態では、ベーターグルコシダーゼを発現するサッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞またはジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞は、1種以上のベーターグルコシダーゼを含む酵素組成物によりリグノセルロース系バイオマスから製造された糖を発酵させることができる。1種以上のベーターグルコシダーゼを含む酵素組成物は、同種のベーターグルコシダーゼを含んでもよく、1種以上の異種のベーターグルコシダーゼを含んでもよい。ある特定の実施形態では、1種以上のベーターグルコシダーゼを含む酵素組成物は、遺伝子操作された宿主細胞によって産生された酵素混合物であり得、その遺伝子操作された宿主細胞は、細菌細胞または真菌細胞であり得る。サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞またはジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞が本開示のGgr3Aポリペプチドを発現する場合、Ggr3Aポリペプチドは発現されるが、分泌はされない。したがって、ベーターグルコシダーゼGgr3AポリペプチドにD−グルコース遊離を触媒させるためには、そのような宿主細胞にセロビオースを導入、または「トランスポート」する必要がある。したがって、ある特定の実施形態では、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞またはジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)細胞を、Ggr3Aポリペプチドをコードする遺伝子に加え、セロビオーストランスポータ遺伝子でトランスフォームする。例えば、 Ha et al.,PNAS,108(2):504−509(2011)サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisia)において、生成された微生物がセロビオースを発酵できるように、セロビオーストランスポータおよびベーターグルコシダーゼが発現している。例えば、米国特許出願公開第2011/0262983号明細書では、ピキア(Pichia)酵母において、他のセロビオーストランスポータが発現している。例えば、Sekar et al.,Applied Environmental Microbiology,78(5):1611−1614(2012)では、セロビオーストランスポータがエケリキア・コリ(E.coli)へ導入されている。
さらなる実施形態においては、宿主細胞によって、Ggr3Aポリペプチドが異種発現される。例えば、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)ではない遺伝子操作された微生物によって、Ggr3Aポリペプチドが発現される。いくつかの実施形態においては、1種以上の異なるセルラーゼ遺伝子によりGgr3Aポリペプチドが共発現される。いくつかの実施形態においては、1種以上のヘミセルラーゼ遺伝子によりGgr3Aポリペプチドが共発現される。
いくつかの態様においては、前段落の組み換えGgr3Aポリペプチドを含む組成物、およびそのような組成物を調製する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、組成物は、1種以上の他のセルラーゼを含み、その場合、1種以上の他のセルラーゼがGgr3Aポリペプチドと共に宿主細胞によって共発現される。例えば、1種以上の他のセルラーゼは、0もしくは1種以上の他のベータ−グルコシダーゼ、1種以上のセロビオヒドラーゼ、および/または1種以上のエンドグルカナーゼから選択することができる。そのような他のベータ−グルコシダーゼ、セロビオヒドラーゼ、および/またはエンドグルカナーゼが含まれる場合、それらは、単一の宿主細胞によって、Ggr3Aポリペプチドと共発現され得る。2種以上のセルラーゼの少なくとも2つは、互いに異種であってもよく、異なる有機体由来のものであってもよい。例えば、組成物は、第1のベータ−グルコシダーゼがGgr3Aポリペプチドで、第2のベータ−グルコシダーゼがグロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のものではない、2種のベータ−グルコシダーゼを含んでいてもよい。例えば、組成物は、少なくとも1種のセロビオヒドラーゼ、1種のエンドグルカナーゼ、またはグロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のものではない1種のベータ−グルコシダーゼを含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、1種以上のセルラーゼは宿主細胞に内在的であるが、宿主細胞で天然に発生するレベルとは異なるレベルで過剰発現または発現する。1種以上のセルラーゼは、例えば、トリコデルマ・リーセイ(Trichderma reesei)CBH1および/またはCBH2であり得る。それらは、トリコデルマ・リーセイ(Trichderma reesei)宿主細胞で天然に産生されるが、それらがトリコデルマ・リーセイ(Trichderma reesei)宿主細胞でGgr3Aポリペプチドと共発現する場合は、CBH1およびCBH2のいずれか、またはその両方が、過剰または過少発現する。
ある特定の実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドを含む組成物は1種以上のヘミセルラーゼをさらに含み得、その場合、1種以上のヘミセルラーゼは宿主細胞によりGgr3Aポリペプチドと共発現する。例えば、1種以上のヘミセルラーゼは、1種以上のキシラナーゼ、1種以上のベータ−キシロシダーゼおよび/または1種以上のL−アラビノフラノシダーゼから選択され得る。そのような他のキシラナーゼ、ベータ−キシロシダーゼおよびL−アラビノフラノシダーゼが含まれる場合、それらは、単一の宿主細胞によって、Ggr3Aポリペプチドと共発現され得る。いくつかの実施形態においては、組成物は、少なくとも1種の、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のものではないベータ−キシロシダーゼ、キシラナーゼまたはアラビノフラノシダーゼを含み得る。
さらなる態様においては、組み換えGgr3Aポリペプチドを含む組成物は、1種以上の他のセルラーゼおよび1種以上のヘミセルラーゼをさらに含み得、その場合、1種以上の他のセルラーゼおよび/または1種以上のヘミセルラーゼは宿主細胞によりGgr3Aポリペプチドと共発現する。例えば、Ggr3Aポリペプチドは、同じ宿主細胞中に、他の非セルダーゼ、非ヘミセルラーゼの酵素またはタンパク質に加えて、1種以上の他のベータ−グルコシダーゼ、1種以上のセロビオヒドラーゼ、1種以上のエンドグルカナーゼ、1種以上のエンド−キシラナーゼ、1種以上のベータ−キシロシダーゼおよび1種以上のL−アラビノフラノシダーゼと共発現させ得る。したがって、本組成物および本方法の態様は、Ggr3Aポリペプチドおよび培地に加えて、多くの酵素を共発現する上記宿主細胞を含む組成物を含む。したがって、本組成物および本方法の態様は、Ggr3A含有酵素組成物を製造する方法であって、培地中、好適な条件下で、上記の多くの酵素をGgr3Aポリペプチドと共発現する宿主細胞を培養して、Ggr3Aおよび他の酵素を産生させることを含む方法を含む。また、本明細書に記載の方法にしたがって産生されたGgr3Aポリペプチドおよび他の酵素を培地の上清中に含む組成物を提供する。そのような培地の上清は、そのまま、最小限の製造後処理を行うか、または製造後処理を行わずに使用することができる。そのような処理には、通常、細胞片を除去するための濾過、細胞死滅処理、および/あるいは限外濾過または含有酵素を富化もしくは濃縮する他の手段が含まれる。そのような上清は「全培養液」または「全セルラーゼ培養液」と呼ばれる。
さらなる態様においては、本発明は、セルロース材料の分解または変換に、またセルロース材料から物質を製造するのに適した条件下で、上記組成物を適用または使用する方法に関する。
さらなる態様においては、セルロース材料を発酵性糖へと分解または変換する方法であって、セルロース材料、好ましくは、既に1工程以上の前処理工程が行われたセルロース材料を、Ggr3Aポリペプチド、または先の段落の1つに記載された、そのようなポリペプチドを含む組成物と接触させて、発酵性糖を得ることを含む方法が提供される。
Ggr3Aポリペプチドおよび方法のこれらの態様および他の態様は、以下の説明により明らかになるであろう。
図1は、pENTR/D−TOPO−Bgl1(943/942)プラスミドのマップを示す。 図2は、pTrex3g943/942プラスミドのマップを示す。 図3は、pTTT−pyr2プラスミド(配列番号41)のマップを示す。 図4は、pTTT−pyr2−Ggr3Aプラスミド(配列番号42)のマップを示す。 図5は、pSC11プラスミドのマップを示す。 図6は、pZC11プラスミドのマップを示す。 図7は、いずれもSpezyme CP酵素をバックグラウンドとした、PASC基質に対する、Ggr3A対トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1の用量曲線の比較である。左側のパネルは酵素用量の変化に対するグルコース収量を示し、一方、右側のパネルは酵素用量の変化に対するセロビオースの残量濃度を示す。 図8は、実施例8にしたがってセロビオース100mM濃度の基質で測定した、Ggr3A対トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1のセロビオース加水分解動態の比較である。 図9A〜9Bは、いずれもSpezyme CP酵素をバックグラウンドとした、whPCS基質に対する、Ggr3A対トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1の用量曲線の比較を示す。図9Aは、基質からのグルコース収量の用量曲線を示す。図9Bは、セロビオース残量濃度を示す。
グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のグリコシルヒドラーゼファミリー3に属する組換えベータ−グルコシダーゼに関する組成物および方法がここに記載されている。本組成物および本方法は、一つには、組み換えGgr3Aポリペプチドが、例えば、既知の基準の高フィデリティベータ−グルコシダーゼであるトリコデルマ・リーセイ(Trichderma reesei)Bgl1より、より高いセルラーゼ活性を有し、かつ組成物がリグノセルロース系バイオマス材料または原料の加水分解に使用された場合に、酵素組成物としてより安定しているという観察に基づいている。Ggr3Aポリペプチドのこれらの特徴が、Ggr3Aポリペプチドまたはその変異体を、多くのプロセス、例えば、リグノセルロース系バイオマス原料の変換または加水分解などでの使用に適したものにしている。
本組成物および本方法をより詳細に説明する前に、本組成物および本方法が、それらの特定の実施形態に限定されないことは、そうした実施形態は当然ながら変わり得るため、理解されなければならない。また、本組成物および本方法の範囲が添付の特許請求に範囲によってのみ限定されることから、本明細書で使用されている用語が、特定の実施形態を説明することを単に目的としたものであって、限定することを意図したものでないことも理解されなければならない。
数値範囲が示されている場合、それぞれ、その範囲の上限と下限の間にある、明らかに別段の規定がされていない限り、下限値の単位の10分の1までの数値、およびその記載された範囲の他に示されるか、その間にある任意の数値は本組成物および本方法に包含されると理解される。これらの狭い範囲の上限値および下限値は、独立して、この狭い範囲に含まれ、また、この示された範囲において特に除外された限界値の存在を前提として、本組成物および本方法に包含される。示された範囲が1方の限界または両方の限界を含む場合、それらの含まれた限界の一方または両方を除く範囲もまた本組成物および本方法に包含される。
本明細書中においては、ある特定の範囲が、「約」という用語が前に付された数値で示されている。「約」という用語は、本明細書中では、それが前に付されている数そのものに対し、文字上のサポート、およびその用語が先行する数に近いか略同じ数を提供するために使用されている。ある数が特定した数に近いか否か、または略同じであるか否かの決定においては、その近いか略同じと記載されていない数が、それが示されている文脈において、その特定の数と実質的に等価なものを提供する数であり得る。例えば、数値に関して、「約」という用語は、別段の定義がされていない限り、その数値の−10%〜+10%の範囲を指す。他の例では、「約6のpH値」という句は、pH値が別段特に定義されていなければ、5.4〜6.6のpH値を指す。
本組成物および本方法の各種態様または実施形態を限定するものではない。したがって、以下で直接定義されている用語は、明細書全体を参照することにより、より十分に定義される。
本明細書は読みやすくするために数多くの項で構成されている。しかしながら、読者は1つの項での記載が他の項にも適用されることは認識していよう。このように、開示の異なる項で使用されている項目は、限定するものとして解釈されるべきではない。
本組成物および本方法が属する技術分野において通常の技術を有する者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものに類似しているかまたは同じである方法および材料もまた、本組成物および本方法の実施または試験に使用することができるが、代表的な事例的方法および材料を以下に記載する。
本明細書に引用されている全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が、具体的にかつ個別に、参照により組み込まれ、それらの刊行物が関連して引用している方法および/または材料を開示し記載するよう指示されているごとく、参照により本明細書に組み込まれる。あらゆる刊行物の引用は、出願日前の開示のためであり、先行発明のために、本組成物および本方法がその公開に先行する権利がないと認めたものであると解釈されるべきではない。さらに、示された公開日は、実際の公開日と異なる可能性があり、それらは独立して確認する必要があり得る。
この詳細な説明においては、以下の略語および定義が適用される。明らかに別段の記載がされていない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数の対象を包含することに留意されたい。したがって、例えば、「酵素(an enzyme)」との言及は、複数の酵素を含み、「用量(the dosage)」との言及は、1種以上の用量および当業者に知られたその同等物を含む。
さらに、特許請求の範囲が任意選択による要素を排除することを選択し得ることに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の構成要素の列挙に関連した「唯一(solely)」、「ただ〜のみ(only)」などの排他的用語を使用するための、または「負」の限定を使用するための先行文として機能することが意図されている。
「組み換え」という用語は、対象細胞、核酸、ポリペプチド/酵素、またはベクターに関連して使用する場合、対象が天然の状態から改変されていることを示している。したがって、例えば、組み換え細胞は、天然(非組み換え)の形態の細胞にはない遺伝子を発現するか、あるいは、天然とは異なる量または条件下で天然遺伝子を発現する。組み換え核酸は、1つ以上のヌクレオチドにより天然の配列と異なっており、かつ/またはベクター中に、異種配列、例えば異種プロモーター、分泌を可能にするシグナル配列などに操作可能に結合していることがあり得る。組み換えポリペプチド/酵素は、1つ以上のアミノ酸により天然の配列と異なっており、かつ/または異種配列と融合していることがあり得る。ベータ−グルコシダーゼをコードする核酸を含むベクターは、組み換えベクターであり得る。
さらに、「実質的に〜からなる(consisting essentially of)」という用語は、本明細書で使用されるとき、その用語の後の成分が、組成物の全重量の30重量%未満の量で他の既知の成分の存在下で含まれ、その成分の作用または活性に寄与または阻害することがない組成物を指すことに留意されたい。
さらに、「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるとき、「含む(comprising)」という用語の後の成分を含むが、それに限定されないことを意味することに留意されたい。「含む(comprising)」という用語の後の成分は、必要または必須であるが、その成分を含む組成物は、他の非必須成分または任意選択の成分をさらに含んでもよい。
また、「〜からなる(consisting of)」という用語は、本明細書で使用されるとき、「〜からなる(consisting of)」という用語の後の成分を含み、かつそれに限定されることを意味することに留意されたい。「〜からなる(consisting of)」という用語の後の成分は、したがって、必要または必須であり、かつ組成物中に他の成分は含まれない。
この開示を読んだ際、当業者なら明らかであろうが、本明細書に記載され説明されている個々の実施形態はそれぞれ個別の成分および特徴を有し、それらは、本明細書に記載の本組成物および本方法の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と容易に分離または組み合わせることができる。ここに挙げられた方法はいずれも、挙げられた事項の順で、論理的に可能な他の任意の順序で実施することができる。
「ベータ−グルコシダーゼ」は、E.C.3.2.1.21のベータ−グルコシド グルコヒドラーゼを指す。したがって、「ベータ−グルコシダーゼ」という用語は、ベータ−D−グルコースまたはセロビオースの加水分解を触媒してD−グルコースを遊離する能力を指す。ベータ−グルコシダーゼ活性は、例えば、本開示の実施例2Cに記載されるような、セロビオース基質の加水分解を触媒してD−グルコースを得る酵素の能力を測定するセロビアーゼアッセイにより測定することができる。
本明細書で使用されるとき、「Ggr3A」または「Ggr3Aポリペプチド」は、基準のベータ−グルコシダーゼである、配列番号4のアミノ酸配列を有する野生型トリコデルマ・リーセイ(Trichderma reesei)Bgl1ポリペプチドと比較して、リグノセルロース系バイオマス基質に対する加水分解能がより高い、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)由来のグリコシルヒドロダーゼファミリー3に属するベーターグルコシダーゼ(例えば、組み換えベータ−グルコシダーゼ)を指す。本組成物および本方法の態様においては、Ggr3Aポリペプチドは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、および、配列番号2のアミノ酸配列、配列番号2の成熟配列、または配列番号2の少なくとも100個の残基からなるフラグメントに少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列相同性を有する誘導体または変異体ポリペプチドを含み、それらのGgr3Aポリペプチドは、ベータ−グルコシダーゼ活性を有し、かつセロビオースのD−グルコースへの変換を触媒することができるだけでなく、セロビオースのD−グルコースへの変換を触媒する能力がトリコデルマ・リーセイ(Trichderma reesei)Bgl1より高い。
本開示の組成物および方法で使用されるGgr3Aポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列のポリペプチド、配列番号2の残基20〜876からなるポリペプチド、または配列番号3の成熟配列の少なくとも5%、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より一層好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より一層好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも100%もしくはそれ以上のベータ−グルコシダーゼ活性を有する。
「ファミリー3グリコシルヒドラーゼ」または「GH3」は、Henrissat,Biochem.J.280:309−316(1991),and by Henrissat & Cairoch,Biochemによる分類のグリコシルヒドラーゼファミリー3のポリペプチドを指す。J.,316:695−696(1996).
本組成物および本方法のGgr3Aポリペプチドは、単離または精製される。生成または単離とは、天然で関連する、天然で存在する構成要素のうちのいくつかまたはすべてからそのGgr3Aを分離することによって、Ggr3Aポリペプチドを天然状態から改変することをいう。そのような単離または精製は、当該技術分野において認められている分離技術、例えば、全細胞、細胞片、不純物、外来タンパク質、または最終組成物中に不要な酵素を除去するためのイオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、疎水性分離、透析、プロテアーゼ処理、硫安沈澱もしくは他のタンパク質塩沈澱、サイズ排除クロマトグラフィー、濾過、精密濾過、ゲル電気泳動または勾配分離などによって行われる。さらに、その後、Ggr3A含有組成物に、さらなる有益な効果を付与する成分、例えば、活性化剤、抗阻害剤、望ましいイオン、pHを調節する化合物、または他の酵素もしくは化学物質を加えることも可能である。
本明細書で使用されるとき、「微生物」は、細菌、真菌、ウイルス、原生動物、および他の微少な生物を指す。
本明細書で使用されるとき、ポリペプチドの「誘導体」または「変異体」は、C−末端およびN−末端のいずれかもしくは両方への1つ以上のアミノ酸の付加、アミノ酸配列内の1ヶ所もしくは複数ヶ所の部位での1つ以上のアミノ酸の置換、ポリペプチドの末端のいずれか一方もしくは両方、またはアミノ酸配列内の1ヶ所以上の部位での1つ以上のアミノ酸の欠失、あるいはアミノ酸配列内の1ヶ所以上の部位での1つ以上のアミノ酸の挿入から誘導されるポリペプチドを指す。Ggr3A誘導体または変異体は、任意の都合の良い方法、例えば、天然ポリペプチドをコードするDNA配列の改変、そうしたDNA配列の好適な宿主へのトランスフォーム、および改変したDNA配列を発現させて、誘導体/変異体Ggr3Aを生成することによって調製することができる。誘導体または変異体は、化学的な改変、例えばグリコシル化、またはGgr3Aポリペプチドの特性の変化などが行われたGgr3Aポリペプチドを含むことができる。Ggr3Aの誘導体および変異体が本組成物および本方法に包含される一方、そのような誘導体および変異体は、同じリグノセルロース系バイオマス基質に対する加水分解条件下での、配列番号4の野生型トリコデルマ・リーセイ(Trichderma reesei)Bgl1との比較で、より高いベータ−グルコシダーゼ活性を示す。
ある特定の態様においては、本明細書中の組成物および方法のGgr3Aポリペプチドはまた、親ポリペプチドから誘導される、ベータ−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドの機能的フラグメントまたはポリペプチドフラグメントを包含する。親ポリペプチドは、配列番号2を含むか、配列番号2からなる、または配列番号3を含むか、配列番号3からなる成熟配列を含むか、そのような成熟配列からなる完全長のポリペプチドであり得る。機能的ポリペプチドは、N−末端領域およびC−末端領域のいずれかの領域、または両領域が切断されて、親ポリペプチドのフラグメントが生成されていてもよい。本開示の目的のためには、機能的フラグメントは、親ポリペプチドの少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、40%。50%、好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、より一層好ましくは、少なくとも90%のベータ−グルコシダーゼ活性を有していなければならない。
ある特定の態様においては、Ggr3A誘導体/変異体は、常に、配列番号2のアミノ酸配列または配列番号3の成熟配列と75%〜99%(もしくはそれ以上)、例えば、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列相同性を有している。いくつかの実施形態においては、アミノ酸置換は、1つのアミノ酸が1つの他の生物学的に類似したアミノ酸で置換される、L−アミノ酸による「保存的アミノ酸置換」である。保存的アミノ酸置換は、全体の電荷、疎水性/親水性、および/または置換されるアミノ酸の立体容積を保存する置換である。保存的置換の例として、以下の群の間の置換が挙げられる:Gly/Ala,Val/Ile/Leu,Lys/Arg,Asn/Gln,Glu/Asp,Ser/Cys/Thr,and Phe/Trp/Tyr。例えば、誘導体は、1〜10個のアミノ酸残基、例えば、6〜10個、5個、4個、3個、2個、または、1個のアミノ酸残基が異なり得る。いくつかの実施形態では、Ggr3A誘導体は、N−末端および/またはC−末端の欠失を有し得る。この欠失した末端部分を除いたGgr3A誘導体は、配列番号2または配列番号3の連続する部分領域と一致している。
本明細書で使用されるとき、本明細書で特定されているアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に関する「〜パーセント(%)の配列相同性」とは、配列同一性の最大パーセントを得るため、必要ならば、配列および導入ギャップを整列させた後の、Ggr3A配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドと一致している候補配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドの割合と定義され、保存的置換は配列相同性の一部とは見なさない。
「ホモログ」は、対象のアミノ酸配列および対象のヌクレオチド配列と特定の割合の相同性を持った実在物である。相同配列は、従来の配列アライメントツール(例えば、Clustal、BLASTなど)で、対象配列と少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%一致しているアミノ酸配列を含むとされている。一般に、ホモログは、別に指定されていない限り、同じ活性部位残基を含む。
配列アライメントを行い、配列相同性を決定する方法は、当業者には知られており、不要な実験をせずに行うことができ、相同性値を明確に算出することができる。例えば、Ausubel et al.,eds.(1995)Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 19(Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York);およびALIGNプログラム(Dayhoff(1978)in Atlas of Protein Sequence and Structure 5:Suppl.3(National Biomedical Research Foundation,Washington,D.C.)を参照されたい。配列をアライメントし、配列相同性を決定する多くのアルゴリズムが入手可能であり、例えば、Needleman et al.(1970)J.Mol.Biol.48:443のホモロジーアライメントアルゴリズム;Smith et al.(1981)Adv.Appl.Math.2:482のローカルホモロジーアルゴリズム;Pearson et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444の類似性検索法;Smith−Watermanアルゴリズム(Meth.Mol.Biol.70:173−187(1997);ならびに、BLASTPアルゴリズム、BLASTNアルゴリズムおよびBLASTXアルゴリズム(Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410を参照)が挙げられる。
これらのアルゴリズムを用いたコンピュータープログラムもまた入手可能であり、限定はされないが、ALIGNもしくはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア、またはWU−BLAST−2(Altschul et al.,Meth.Enzym.,266:460−480(1996));あるいはGAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTA(Genetics Computing Group(GCG)パッケージ、Version 8として入手可能、Madison,Wisconsin,USA);ならびにIntelligenetics,Mountain View,CaliforniaによるPC/GeneプログラムのCLUSTALが挙げられる。当業者であれば、比較される配列の全長に亘る最大アライメントに必要なアルゴリズムを含む、アライメントの測定に適したパラメーターを決定することができる。配列相同性は、プログラムにより決定されたデフォルトパラメーターを使用して測定することが好ましい。具体的には、配列相同性は、以下のデフォルトパラメータを有するClustal W(Thompson J.D.et al.(1994)Nucleic Acids Res.22:4673−4680)を用いて求めることができる。
Gap opening penalty:10.0
Gap extension penalty:0.05
Protein weight matrix:BLOSUM series
DNA weight matrix:IUB
Delay divergent sequences %:40
Gap separation distance:8
DNA transitions weight:0.50
List hydrophilic residues:GPSNDQEKR
Use negative matrix:OFF
Toggle Residue specific penalties:ON
Toggle hydrophilic penalties:ON
Toggle end gap separation penaltyOFF
「発現ベクター」は、好適な宿主内でのDNA発現に影響を及ぼし得る好適な制御配列に操作可能に結合するDNA配列を含むDNA構成物を意味する。そのような制御配列としては、転写に影響するプロモーター、転写を制御する任意選択のオペレーター配列、mRNAのリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の終了を制御する配列を挙げ得る。異なる発現ベクターを有する異なる細胞型を使用し得る。バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)で使用されるプロモーターの例はAprEプロモーターであり、ストレプトミケス・リビダンス(Streptomyces lividans)で使用されるプロモーターの例はA4プロモーター(アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)由来)であり;エケリキア・コリ(E.coli)で使用されるプロモーターの例はLacプロモーターであり:サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)で使用されるプロモーターの例はPGK1であり、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)で使用されるプロモーターの例はglaAであり、そしてトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)のプロモーターの例はcbhIである。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、または単に潜在的なゲノムの挿入であってよい。好適な宿主にトランスフォームされたなら、ベクターは宿主ゲノムからは独立して複製し機能するか、または、好適な条件下では、ゲノム自身と一体化する。本明細書においては、プラスミドまたはベクターは、時に互換的に使用される。しかしながら、本組成物および本方法は、同等の機能を持ち、かつ、当該技術分野で知られているか、または知られるようになる他の形態の発現ベクターを含むことが意図されている。したがって、多種多様な宿主/発現ベクターが、本明細書に記載のDNA配列の発現に使用され得る。有用な発現ベクターは、例えば、SV40の既知の各種誘導体および既知の各種細菌のプラスミド(例えば、col E1、pCR1、pBR322、pMb9、pUC 19、それらの誘導体などのE.coli由来のプラスミド、広宿主域プラスミド、例えば、RP4、ファージDNA、例えば、ファージλの多くの誘導体(例えば、NM989)、および他のDNAファージ(例えば、M13および線状1本鎖DNAファージ)、酵母プラスミド、例えば、2μプラスミドまたはその誘導体、真核細胞に有用なベクター、例えば、動物に有用なベクター、ならびに、プラスミドおよびファージDNAの組合せから誘導されるベクター、例えば、ファージDNAまたは他の発現制御配列を使用するために改変されたプラスミドなどの、染色体配列、非染色体配列および合成DNA配列のセグメントからなり得る。本組成物および本方法の発現ベクターによる発現手法は、当該技術分野では知られており、概ね、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Press(1989)に記載されている。そのような本明細書に記載のDNA配列を含む発現ベクターは、多くの場合、組込みイベントを介した特定の種のゲノムへの直接挿入によって単細胞の宿主へトランスフォームされる(例えば、Bennett & Lasure,More Gene Manipulations in Fungi,Academic Press,San Diego,pp.70−76(1991)および、真菌宿主における対象ゲノムの挿入が記載されている、本明細書に引用された論文を参照)。
本明細書で使用されるとき、「宿主株」または「宿主細胞」は、本組成物および本方法のDNAを含む発現ベクターに好適な宿主を意味する。本組成物および本方法に有用な宿主細胞は、一般に、原核生物宿主または真核生物宿主であり、例えば、発現を行わせることができるトランスフォーム可能な微生物が挙げられる。具体的には、宿主株は、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)、ストレプトミケス・リビダンス(Streptomyces lividans)、エケリキア・コリ(Escherichia coli)、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)またはアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)であり得る。ある特定の実施形態においては、宿主細胞はエタノール産生微生物であり得、エタノール産生微生物は、例えば、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母、またはジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)などの細菌エタノロゲンであり得る。サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)またはジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)が宿主細胞として使用され、かつベータ−グルコシダーゼ遺伝子が宿主細胞から分泌するよう作られておらず、細胞内で発現するなら、細胞内で発現したベータ−グルコシダーゼがセロビオース基質に作用し、グルコースを遊離するよう、宿主細胞にセロビオーストランスポータ遺伝子を導入することができる。グルコースは、その後直ちに、または時間を経て、微生物によって代謝され、エタノールに変換される。
宿主細胞は、組み換えDNA技術によって作られたベクターによりトランスフォームまたはトランスフェクトされる。そのようなトランスフォームされた宿主細胞は、Ggr3A(および、その誘導体または変異体(variant)(変異体(mutant)))をコードするベクターの複製、および所望のペプチド生成物の発現の一方または両方を行い得る。本組成物および本方法の特定の実施形態では、「宿主細胞」は、トリコデルマ(Trichoderma)細胞から作られた細胞およびプロトプラストの両方を意味する。
細胞に関して使用される「トランスフォームされた」「安定にトランスフォームされた」および「遺伝子導入の」という用語は、細胞が、ゲノムに組み込まれるか、または複数の世代に亘って保持されるエピソームとして導入された非天然の(例えば、異種の)核酸配列を含むこと意味する。
「導入された」という用語は、当業者に知られているような「トランスフェクト」、「トランスフォーム」または「トランスダクト」を意味する。
「宿主株」または「宿主細胞」は、対象とするポリペプチド(例えば、ベータ−グルコシダーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター、ファージ、ウイルスまたは他のDNA構成物が導入された有機体である。宿主株の例としては、対象とするポリペプチドを発現することができる微生物細胞(例えば、細菌、糸状菌および酵母)がある。「宿主細胞」という用語には、細胞から作られたプロトプラストが含まれる。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関連した「異種の」という用語は、宿主細胞において天然には産生しないポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関連した「内在の」という用語は、宿主細胞において天然に産生するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。
「発現」という用語は、ポリペプチドが核酸配列に基づいて生成されるプロセスを指す。このプロセスには、転写および翻訳の両方が含まれる。
したがって、リグノセルロース系バイオマス基質をエタノールに変換するプロセスは、いくつかの実施形態においては、2つのベータ−グルコシダーゼ活性を有する。例えば、第1のベータ−グルコシダーゼ活性は、糖化または加水分解の工程中、リグノセルロース系バイオマス基質に適用され、第2のベータ−グルコシダーゼ活性は、糖化または加水分解工程によって生成された単糖または発酵性糖を代謝する発酵工程において、エタノール産生微生物の一部として適用され得る。第1および第2のベータ−グルコシダーゼ活性は、いくつかの実施形態においては、同じベータ−グルコシダーゼポリペプチドの存在から生じる。例えば、糖化における第1のベータ−グルコシダーゼ活性が本発明のGgr3Aポリペプチドの存在から生じ、一方、第2のベータ−グルコシダーゼ活性が、エタノール産生微生物による異なるベータ−グルコシダーゼの発現から生じる。他の例では、第1および第2のベータ−グルコシダーゼ活性が、糖化または加水分解工程および発酵工程において、同じポリペプチドの存在から生じ得る。例えば、いくつかの実施形態においては、同じ本発明のGgr3Aポリペプチドが、加水分解または糖化工程と発酵工程の両方でベータ−グルコシダーゼ活性を示す。
ある特定の他の実施形態では、リグノセルロース系バイオマス基質のエタノールへの変換プロセスは、2つのベータ−グルコシダーゼ活性を含むが、糖化または加水分解工程と発酵工程は同時に、例えば同じタンクで起こる。2種以上のベータ−グルコシダーゼポリペプチドが、ベータ−グルコシダーゼ活性に寄与してもよく、その中の1種が本発明のGgr3Aポリペプチドであってよい。
ある特定のさらなる実施形態では、リグノセルロース系バイオマスをエタノールに変換するプロセスは、単一のベータ−グルコシダーゼ活性を含み得るが、糖化または加水分解工程と発酵工程のいずれか(両工程ではない)にはベータ−グルコシダーゼが関与する。例えば、本発明のGgr3Aポリペプチド、またはGgr3Aポリペプチドを含む組成物は、糖化工程で使用させることができる。他の例では、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解に使用される酵素組成物はベータ−グルコシダーゼ活性を含まないが、エタノール産生微生物はベータ−グルコシダーゼポリペプチド、例えば、本発明のGgr3Aポリペプチドを発現する。
本明細書で使用されるとき、「シグナル配列」は、ポリペプチドのN−末端部に結合し、細胞外のそのポリペプチドの成熟形態の分泌を促進するアミノ酸配列を意味する。シグナル配列のこの定義は、機能的定義である。細胞外ポリペプチドの成熟形態はシグナル配列を欠失しており、それは分泌プロセス中に切除される。Ggr3Aの天然シグナル配列は、本組成物および本方法の態様において使用され得る一方、他の非天然シグナル配列も使用され得る(例えば、配列番号11)。本明細書において、ポリペプチドに関するときの「成熟した」という用語は、翻訳および翻訳後の改変を行った後の最終形態のポリペプチドを意味する。例えば、本発明のGgr3Aポリペプチドは、1つ以上の成熟形態を有し、その少なくとも1つは配列番号3のアミノ酸配列を有する。
本発明のベータ−グルコシダーゼポリペプチドは、「前駆体」、「未成熟の」または「完全長の」と表現され得、その場合、それらにはシグナル配列が含まれ、あるいは、それらは「成熟の」と表現され得、その場合、それらにはシグナル配列が含まれ、あるいは、それらはそれらにはシグナル配列が欠失している。ポリペプチドの成熟形態が、一般に、最も有用である。別に規定されていない限り、本明細書で使用されるアミノ酸残基の計数は、それぞれのアミラーゼのポリペプチドの成熟形態を指す。本発明のベータ−グルコシダーゼポリペプチドはまた、得られるポリペプチドにベータ−グルコシダーゼ活性が残っている限り、N−末端またはC−末端を切除してもよい。
本発明のベータ−グルコシダーゼポリペプチドはまた、第1のベータ−グルコシダーゼポリペプチドの少なくとも一部と、第2のベータ−グルコシダーゼポリペプチドの少なくとも一部とを含む、「キメラの」または「ハイブリッドの」ポリペプチドであってもよい(そのようなキメラベータ−グルコシダーゼポリペプチドは、例えば、第1および第2のベータ−グルコシダーゼから、各ベータ−グルコシダーゼ上のドメインを交換するなどの既知の技術を用いて誘導することができる)。本発明のベータ−グルコシダーゼポリペプチドは、さらに、異種のシグナル配列、トラッキングまたは精製を可能にするエピトープなどを含んでもよい。「異種の」という用語がシグナル配列、対象とするポリペプチドの発現に使用されるシグナル配列に関連して使用されている場合、それは、シグナル配列が、例えば、対象のポリペプチドと異なる微生物に由来したものであることを意味する。本発明のGgr3Aポリペプチドを発現する好適な異種シグナル配列の例としては、例えば、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)由来のもの、例えば、配列番号11、12、13、14または15のいずれか1つを挙げることができる。
本明細書で使用されるとき、「機能的に付いた」または「操作可能に結合した」は、既知の、または所望する活性を有する制御領域または機能ドメイン、例えば、プロモーター、ターミネーター、シグナル配列またはエンハンサー領域がターゲット(例えば、遺伝子またはポリペプチド)に、制御領域または機能ドメインが、その既知のまたは所望の活性により、ターゲットの発現、分泌または機能を調節するように付くか、または結合することを意味する。
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」および「酵素」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって結合したアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指す。本明細書においては、アミノ酸残基に対し、従来の1文字コードまたは3文字コードが使用される。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、また、非アミノ酸で中断されていてもよい。これらの用語はまた、天然に、または介入により、例えば、ジスルフィド結合生成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または他の任意の操作もしくは改質、例えば標識成分の結合などにより、改質されたアミノ酸ポリマーを包含する。また、定義には、例えば、アミノ酸の1種以上のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などが挙げられる)を含むポリペプチドや、当該技術分野で知られる他の改質が含まれる
本明細書で使用されるとき、「野生型」および「天然」の遺伝子、酵素または株は、天然に見出されるものである。
ポリペプチドに関連した「野生型」、「親」または「参照」という用語は、1つ以上のアミノ酸の位置での人の手による置換、挿入または欠失を含まない、天然に発生したポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関連した「野生型」、「親」または「参照」という用語は、人の手によるヌクレオシドの変化を含まない、天然に発生したポリヌクレオチドを指す。しかしながら、野生型、親または参照のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然に発生したポリヌクレオチドに限らず、むしろ、野生型、親または参照のポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドを包含する。
本明細書で使用されるとき、「変異体ポリペプチド」は、1つ以上のアミノ酸の置換、付加または欠失によって(通常、組み換えDNA技術による)、親(参照)ポリペプチドから誘導されるポリペプチドを指す。変異体ポリペプチドは、少数のアミノ酸残基が親ポリペプチドと異なるものであってよい。それらは、アミノ酸の一次配列の親ポリペプチドとの同一性(homology)/相同性(identity)のレベルによって定義することができる。好適には、変異体ポリペプチドは、親ポリペプチドと、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列相同性を有する。
本明細書で使用されるとき、「変異体ポリヌクレオチド」は、変異体ポリペプチドをコードするか、親ポリヌクレオチドと所定の割合の相同性(homology)/相同性(identity)を有するか、または、親ポリヌクレオチドもしくはその相補体と、厳しい条件下で、ハイブリダイズする。好適には、変異体ポリヌクレオチドは、親ポリヌクレオチドまたは親ポリヌクレオチドの相補体と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のヌクレオチド配列相同性を有する。相同性パーセントを決定する方法は、当該技術分野で知られており、上述されている。
「〜から誘導される(derived from)」という用語は、「〜から起こる(originated from)」、「〜から得られる(obtained from)」、「〜から得ることができる(obtainable from)」、「〜から単離される(isolated from)」および「〜から作られる(created from)」という用語を包含し、一般に、1つの特定の物質の起源が他の特定の物質にあるか、またはその他の特定の物質に関して記載し得る特徴を有することを示している。
本明細書で使用されるとき、「ハイブリダイズ条件」という用語は、ハイブリダイズ反応が行われる条件を指す。これらの条件は、通常、条件の「ストリンジェンシー」の程度によって分類される。ストリンジェンシーの程度は、例えば、核酸結合複合体またはプローブの融点(Tm)を基準にすることができる。例えば、「最大ストリンジェンシー」は、通常、約Tm−5℃(プローブのTm下、5℃);「高ストリンジェンシー」は、Tm下、約5〜10℃;「中程度ストリンジェンシー」は、プローブのTm下、約10〜20℃;および「低ストリンジェンシー」は、Tm下、約20〜25℃で起こる。あるいは、またはさらに、ハイブリダイズ条件は、ハイブリダイズの塩もしくはイオン強度条件を基準に、および/または1回以上の厳密な洗浄を基準に(例えば、6×SSC=非常に低いストリンジェンシー;3×SSC=低〜中程度のストリンジェンシー;1×SSC=中程度のストリンジェンシー;および0.5×SSC=高いストリンジェンシー)することができる。機能的には、最大ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な相同性を有するか、または厳密に近い相同性を有する核酸配列の同定に使用され得るが、高ストリンジェンシー条件は、プローブと約80%以上の配列相同性を有する核酸配列の同定に使用される。高い選択性が要求される用途では、一般に、比較的高いストリンジェンシー条件を使用して、ハイブリッドを形成することが望ましい(例えば、比較的低濃度の塩および/または高い温度の条件が使用される)。
本明細書で使用されるとき、「ハイブリダイゼーション」という用語は、当該技術分野で知られているように、核酸鎖がその相補鎖と塩基対を形成するによって結合するプロセスを指す。より具体的には、「ハイブリダイゼーション」は、ブロットハイブリダイゼーション技術およびPCR技術で起こるような、核酸の一本鎖が、相補鎖と二本鎖、すなわち塩基対を形成するプロセスを指す。核酸配列と参照核酸配列の2つの配列が中程度から高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件および洗浄条件で特異的に互いにハイブリダイズするなら、核酸配列は参照核酸配列と「選択的にハイブリダイズすることができる」と見なされる。ハイブリダイゼーション条件は、核酸結合複合体またはプローブの融点(Tm)に基づく。例えば、「最大ストリンジェンシー」は、通常、約Tm−5℃(プローブのTm下、5℃);「高ストリンジェンシー」は、Tm下、約5〜10℃;「中程度ストリンジェンシー」は、プローブのTm下、約10〜20℃;および「低ストリンジェンシー」は、Tm下、約20〜25℃で起こる。機能的には、最大ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な相同性を有するか、または厳密に近い相同性を有する配列の同定に使用され得るが、中程度ストリンジェンシーまたは低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチド配列ホモログの同定または検出に使用され得る。
中程度ストリンジェンシーおよび高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野ではよく知られている。例えば、中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl,15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト溶液、10%デキストラン硫酸および20mg/ml変性した断片処理済みサケ精子DNAを含む溶液中、37℃で終夜インキュベーションし、次いで、約37〜50℃でフィルターを1×SSC中で洗浄することによって行うことができる。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、65℃および0.1×SSC(1×SSC=0.15M NaCl,0.015M クエン酸Na pH 7.0)によるハイブリダイゼーションであり得る。あるいは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5% SDS、および100μg/mlの変性した断片処理済みサケ精子DNA中、42℃で、次いで、室温で2×SSCおよび0.5%SDSにより2回洗浄し、さらに、42℃で0.1×SSCおよび0.5%SDSにより2回洗浄することによって行うことができる。また、非常に高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、68℃および0.1×SSCによるハイブリダイゼーションであり得る。当業者は、プローブの長さなどの因子を適合させるため、必用に応じて温度、イオン強度などを調節する方法を知っている。
変異体ベータ−グルコシダーゼをコードする核酸は、配列番号1のヌクレオチドとそれと相同の相補体間で形成される2本鎖に比べ、1℃〜3℃もしくはそれ以上低いTを有し得る。
少なくとも2つの核酸またはポリペプチドに関連した「実質的に類似した」または「実質的に同一の」という句は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、親または参照配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%一致した配列を含むことを意味するか、または、機能を加えることなく、この記載を回避するためにのみなされるアミノ酸の置換、挿入または修飾を含まないことを意味する。
本明細書で使用されるとき、「発現ベクター」は、特定のポリペプチドをコードするか、または、好適な宿主内でポリペプチドを発現させることができる好適な制御配列に操作可能に結合しているDNA配列を含むDNA構成物を指す。そのような制御配列は、転写を行わせるプロモーター、そのような転写を制御する任意選択のオペレーター配列、好適なmRNAのリボソーム結合部位をコードする配列、および/または転写および翻訳の終了を制御する配列を含み得る。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、または潜在的なゲノムの挿入であってよい。好適な宿主にトランスフォームされたなら、ベクターは宿主ゲノムからは独立して複製し機能するか、または、いくつかの例では、宿主ゲノムへ統合される。
「組み換え」という用語は、例えば、コード配列を変異させて改変ポリペプチドを産生させる、コード配列を他の遺伝子のそれに融合させる、異なるプロモーターの制御下に遺伝子を置く、異種微生物内で遺伝子を発現させる、遺伝子の発現レベルを増大または減少させる、条件的に、または構成的に天然の発現プロファイルと異なる方法で遺伝子を発現させるなどの方法で改質して、その配列または発現特性を変化させた遺伝子材料(すなわち、核酸、それらがコードするポリペプチド、ならびに、ベクターおよびそのようなポリヌクレオチドを含む細胞)を指す。一般に、組み換え核酸、組み換えポリペプチド、およびそれに基づく組み換え細胞は、天然に見出される関連する核酸、ポリペプチドおよび細胞と同じにならないよう人によって操作されてきている。
「シグナル配列」は、ポリペプチドのN−末端部に結合したアミノ酸配列を指し、それは、ポリペプチドの成熟形態の細胞からの分泌を促進する。細胞外ポリペプチドの成熟形態はシグナル配列を欠失しており、それは分泌プロセス中に切除される。
「選択マーカー」または「選択可能なマーカー」という用語は、導入された核酸またはベクターを含む宿主の選択を容易にする、宿主細胞内で発現することができる遺伝子を指す。選択可能なマーカーの例としては、限定はされないが、抗微生物物質(例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、またはクロラムフェニコール)および/または宿主細胞に栄養上の有利性などの代謝の有利性を与える遺伝子が挙げられる。
「調節エレメント」という用語は、核酸配列発現の態様を調節する遺伝子要素を指す。例えば、プロモーターは、操作可能に結合したコード領域の転写の開始を促進する。さらなる調節エレメントとしては、スプライシングシグナル、ポリアデ二ル化シグナル、およびターミネーションシグナルが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「宿主細胞」は、一般に、当該技術分野で知られている組み換えDNA技術により作られたベクターでトランスフォームまたはトランスフェクトされる原核生物宿主または真核生物宿主の細胞である。トランスフォームされた宿主細胞は、ポリペプチド変異体をコードするベクター、または所望のポリペプチド変異体を発現させるベクターを複製することができる。ポリペプチド変異体のプレ形態またはプロ形態をコードするベクターの場合、そのような変異体は、通常、宿主細胞から宿主細胞培地へ分泌される。
核酸配列の細胞への挿入に関連する「導入された」という用語は、トランスフォーメーション、トランスダクション、またはトランスフェクションを意味する。トランスフォーメーションの手段としては、当該技術分野で知られているプロトプラストトランスフォーメーション法、塩化カルシウム沈澱法、エレクトロポレーション法、ネイキッドDNA法などが挙げられる。(Chang and Cohen Mol.Gen.Genet.168:111−115,1979; Smith et al.Appl.Env.Microbiol.51:634,1986; およびハリウッドのFerrariらによる総説論文Bacillus,Plenum Publishing Corporation,pp.57−72,1989を参照)。
「融合」ポリペプチド配列は、2つの対象ポリペプチド配列間がペプチド結合により接続、すなわち、操作可能に結合されている。
「糸状菌」という用語は、エウミコチナ(Eumycotina)亜門の全ての糸状形態、特に、ペジゾミコチナ(Pezizomycotina)種を指す。
「エタノール産生微生物」は、糖またはオリゴ糖をエタノールに変換する能力を有する微生物を指す。
他の技術分野において通常の技術を有する者により一般に理解される意味と技術用語および科学用語は、本開示が関係する技術分野において通常の技術を有する者により一般に理解される意味と同じ意味を有する(例えば、Singleton and Sainsbury,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2d Ed.,John Wiley and Sons,NY 1994; and Hale and Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY 1991を参照)。
ベータ−グルコシダーゼポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
Ggr3Aポリペプチド
一態様において、本組成物および本方法は、ベータ−グルコシダーゼ活性を有する、組み換えGgr3Aベータ−グルコシダーゼポリペプチド、そのフラグメント、またはその変異体。組み換えベータ−グルコシダーゼポリペプチドの一例は、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)から単離された。成熟Ggr3Aポリペプチドは、配列番号3に示したアミノ酸配列を有する。(予想されるシグナル配列を配列番号45に示す。)同様に、実質的に類似したGgr3Aポリペプチドが天然に、例えば、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)の他の株または分離株で生じる。これらの、および他の組み換えGgr3Aポリペプチドは、本組成物および本方法に包含される。
いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドは、例示したGgr3Aポリペプチドと特定の割合のアミノ酸配列相同性を有する、例えば、配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号3の成熟配列と、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の配列相同性を有する変異体Ggr3Aポリペプチドである。配列相同性は、アミノ酸配列アライメントにより、例えば、本明細書に記載したようなBLAST、ALIGN、またはCLUSTALなどのプログラムを使用して決定することができる。
ある特定の実施形態では、組み換えGgr3Aポリペプチドは、微生物、例えば、細菌または真菌宿主有機体において組み換えで生成されるが、他の例では、Ggr3Aポリペプチドは合成により生成され、または、天然源(例えば、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola))から精製される。
ある特定の実施形態では、組み換えGgr3Aポリペプチドは、ポリペプチドの構造および/または機能に実質的に影響を及ぼさない置換を含む。これらの置換の例としては、表1に要約したような保護的変異が挙げられる。
Figure 2017532967
アミノ酸の天然の発生を含む置換は、一般に、組み換えGgr3Aポリペプチドをコードする核酸の突然変異、およびその後の微生物中の変異体ポリペプチドの発現によってなされる。アミノ酸の非天然の発生、すなわちアミノ酸への化学的修飾を含む置換は、一般に、Ggr3Aポリペプチドが微生物中で合成された後、それを化学的に修飾することによってなされる。
いくつかの実施形態では、変異体組み換えGgr3Aポリペプチドは配列番号2または配列番号3と実質的に相同であるが、これは、変異体組み換えGgr3Aポリペプチドが、ポリペプチドの構造、機能または発現に大きく影響しないアミノ酸の置換、挿入または欠失を含んでいないことを意味する。そのような変異体組み換えGgr3Aポリペプチドは、本開示を回避するように設計されたポリペプチドを含むであろう。いくつかの実施形態では、変異体組み換えGgr3Aポリペプチド、これらの変異体を含む組成物および方法は、配列番号2または配列番号3と実質的に相同ではなく、配列番号2または配列番号3のポリペプチドと比較して、例えば、リグノセルロース基質の加水分解に対する特異的活性の改善、望ましい宿主有機体における発現の改善、熱安定性の改善、pH安定性などの特性の改善を達成できるように、ある環境下で本明細書に記載のポリペプチドの構造、機能または発現に実質的に影響を及ぼすようなアミノ酸の置換、挿入または欠失をむしろ含んでいる。
いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチド(その変異体を含む)はベータ−グルコシダーゼ活性を有する。ベータ−グルコシダーゼ活性は、本明細書に記載のアッセイ、例えば、実施例2に記載のアッセイにより、または当該技術分野で知られている他のアッセイにより、決定し測定することができる。
組み換えGgr3Aポリペプチドは、ベータ−グルコシダーゼ活性が保持されている、「完全長」Ggr3Aポリペプチドのフラグメントを含む。好ましくは、それらの機能的フラグメント(すなわち、ベータ−グルコシダーゼ活性が保持されているフラグメント)は、少なくとも100個のアミノ酸残基長(例えば、少なくとも100個のアミノ酸残基長、少なくとも120個のアミノ酸残基長、少なくとも140個のアミノ酸残基長、少なくとも160個のアミノ酸残基長、少なくとも180個のアミノ酸残基長、少なくとも200個のアミノ酸残基長、少なくとも250個のアミノ酸残基長、少なくとも3000個のアミノ酸残基長、少なくとも350個のアミノ酸残基長、少なくとも400個のアミノ酸残基長、少なくとも450個のアミノ酸残基長、少なくとも500個のアミノ酸残基長、または少なくとも600個のアミノ酸残基長もしくはそれ以上)を有する。そのようなフラグメントは、完全長のプレカーサ―ポリペプチドまたは完全長の成熟ポリペプチドの活性部位を保持していることが好適であるが、重要ではないアミノ酸残基の欠失があってもよい。フラグメントの活性は、本明細書に記載のアッセイ、例えば、実施例2に記載のアッセイにより、または当該技術分野で知られている他のアッセイにより、容易に決定することができる。
いくつかの実施形態においては、Ggr3Aアミノ酸配列およびその誘導体は、例えば、抽出、検出および/または精製を助けるため、ならびに/あるいはGgr3Aポリペプチドに機能特性を付加するため、N−末端および/またはC末端融合タンパク質として生成される。融合タンパク質のパートナーの例としては、限定はされないが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6XHis、GAL4(DNA結合および/または転写活性ドメイン)、FLAG−タグ、MYC−タグまたは当該技術分野で知られている他のタグが挙げられる。いくつかの実施形態においては、融合配列を除去するため、融合タンパク質パートナーと対象のポリペプチド配列との間にタンパク質分解切断部位を設ける。融合タンパク質は組み換えGgr3Aポリペプチドの活性を阻害しないことが好ましい。いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドはリーダーペプチド、プロペプチド、結合ドメインおよび/または触媒ドメインを含む機能ドメインに融合される。融合タンパク質は、任意選択により、Ggr3Aポリペプチドと融合ドメインとをそれらのいずれの要素の特性に対しても大きな影響を及ぼさずに接合するリンカー配列によって、組み換えGgr3Aポリペプチドに結合される。リンカーは、任意選択により、所期の用途に機能的に寄与する。
本開示は、本開示の1種以上のGgr3Aポリペプチドを発現するよう改変された宿主細胞を提供する。好適な宿主細胞としては、任意の微生物細胞(例えば、細菌、原生生物、藻、真菌(例えば、酵母、糸状菌)または他の微生物の細胞)が挙げられ、好ましくは、細菌、酵母または糸状菌の細胞である。
細菌属の好適な宿主細胞としては、限定はされないが、エケリキア(Escherichia)、バチルス(Bacillus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、プセウドモナス(Pseudomonas)およびストレプトミケス(Streptomyces)の細胞が挙げられる。細菌種の好適な細胞としては、限定はされないが、エケリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、プセウドモナス・アエルノギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)およびストレプトミケス・リビダンス(Streptomyces lividans)の細胞が挙げられる。
酵母属の好適な宿主細胞としては、限定はされないが、サッカロミケス(Saccharomyces)、シゾサッカロミケス(Schizosaccharomyces)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、ピキア(Pichia)、クルイウェロミケス(Kluyveromyces)およびパフィア(Phaffia)の細胞が挙げられる。酵母種の好適な細胞としては、限定はされないが、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミケス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ハンセヌラ・ポリモルパ(Hansenula polymorpha)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・カナデンシス(P.canadensis)、クルイウェロミケス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)およびパフィア・ロドジイマ(Phaffia rhodozyma)の細胞が挙げられる。
糸状菌類の好適な宿主細胞としては、エウミコチナ(Eumycotina)亜門の中の糸状形態のもの全てが挙げられる。糸状菌属の好適な細胞としては、限定はされないが、アクレモモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、ビィエルカンデラ(Bjerkandera)、ケリポリオプシシ(Ceriporiopsis)、クリソポリウム(Chrysoporium)コプリヌス(Coprinus)、コリオルス(Coriolus)、コリナスクス(Corynascus)、カエルトミウム(Chaertomium)クリプトコックス(Cryptococcus)、フィロバシジウム(Filobasidium)、フサリウム(Fusarium)、ギベレラ(Gibberella,)、フミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、ミケリオフトラ(Myceliophthora)、ムコール(Mucor)、ネオカリマスティックス(Neocallimastix)、ネイロスポラ(Neurospora)、パエキロミケス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ファネロカエテ(Phanerochaete)、フレビア(Phlebia)、ピロミケス(Piromyces)、プレウロツス(Pleurotus)、スキタルジウム(Scytaldium)、スキゾフィルム(Schizophyllum)、スポロトリクム(Sporotrichum)、タラロミケス(Talaromyces)、テルモアスクス(Thermoascus,)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トラメテス(Trametes)およびトリコデルマ(Trichoderma)の細胞が挙げられる。
糸状菌種の好適な細胞としては、限定はされないが、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フォエチドゥス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ヤポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、クリソスポリウム・ラックノウエンセ(Chrysosporium lucknowense)、フサリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クルックウェレンス(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フサリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・レティクラツム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フサリウム・サムブキヌム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フサリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フサリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、ブエルカンデラ・アデュスタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベスセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、コプリヌス・キネレウス(Coprinus cinereus)、コリオルス・ヒルスツス(Coriolus hirsutus)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミケリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ネウロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ネウロスポラ・インテルメディア(Neurospora intermedia)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ペニシリウム・カネセンス(Penicillium canescens)、ペニシリウム・ソリツム(Penicillium solitum)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanechaete chrysosporium)、フレビア・ラジアーテ(Phlebia radiate)、プレウロツス・エリンギイ(Pleurotus eryngii)、タラロミケス・フラブス(Talaromyces flavus)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコロル(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)およびトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)の細胞が挙げられる。
核酸をこれらの有機体トランスフォームする方法は、当該技術分野で知られている。例えば、アスペルギルス(Aspergillus)宿主細胞にトランスフォームする好適な手順は、欧州特許第238023号明細書に記載されている。
いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドはシグナルペプチドに融合されて、例えば、組み換えGgr3Aポリペプチドの細胞外分泌を促進する。例えば、ある特定の実施形態においては、シグナルペプチドは、配列番号11〜40から選択される配列によってコードされる。特定の実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドは、異種有機体内で分泌ポリペプチドとして発現する。本明細書に記載の組成物および方法は、したがって、Ggr3Aポリペプチドを異種有機体内で分泌ポリペプチドとして発現させる方法を包含する。いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリ例えば、異種有機体がサッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)またはジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)などのエタノール産生微生物の場合、組み換えGgr3Aポリペプチドは異種有機体の細胞内で発現する。その場合、Ggr3Aポリペプチドが有機体内でセロビオース基質に作用して、セロビオースをD−グルコースに変換するように、遺伝子工学ツールを用いて、セロビオーストランスポータ遺伝子を有機体に導入することができる。D−グルコースはその後代謝されるか、または有機体によってエタノールに変換される。
本開示はまた、上記核酸を含む発現カセットおよび/またはベクターを提供する。好適には、Ggr3Aポリペプチドをコードする核酸をプロモーターに操作可能に結合させる。プロモーターは、当該技術分野ではよく知られている。宿主細胞内で機能するプロモーターはいずれも、ベータ−グルコシダーゼおよび/または本開示の他の任意の核酸の発現に使用することができる。ベータ−グルコシダーゼ、核酸および/または本開示の他の核酸の様々な宿主細胞での発現の駆動に有用である開始制御領域またはプロモーターは数多くあり、当業者にはよく知られている(国際公開第2004/033646号パンフレットおよび底に引用されている参考文献を参照)。事実上、これらの核酸を駆動可能なプロモーターは全て使用することができる。
具体的には、糸状菌宿主内での組み換え発現が望ましい場合、プロモーターは、糸状菌のプロモーターであり得る。核酸は、例えば、異種プロモーターの制御下に置くことができる。核酸はまた、構成型または誘導型プロモーターの生後下で発現させることができる。使用可能なプロモーターの例としては、限定はされないが、セルラーゼプロモーター、キシラナーゼプロモーター、1818プロモーター(以前に、ESTマッピングトリコデルマ(Trichoderma)から高度に発現したタンパク質と認定されている)が挙げられる。例えば、プロモーターは、好適には、セロビオヒドロラーゼプロモーター、エンドグルカナーゼプロモーター、またはベータ−グルコシダーゼプロモーターであり得る。特に好適なプロモーターは、例えば、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)のセロビオヒドロラーゼプロモーター、エンドグルカナーゼプロモーター、またはベータ−グルコシダーゼプロモーターであり得る。例えば、プロモーターは、セロビオヒドロラーゼI(cbh1)プロモーターである。プロモーターの非限定的な例としては、cbh1、cbh2、egl1、egl2、egl3、egl4、egl5、pki1、gpd1、xyn1、またはxyn2プロモーターが挙げられる。プロモーターのさらなる非限定的な例としては、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)のcbh1、cbh2、egl1、egl2、egl3、egl4、egl5、pki1、gpd1、xyn1、またはxyn2プロモーターが挙げられる。
本明細書に記載のGgr3Aポリペプチドをコードする核酸は、ベクターに含まれ得る。いくつかの態様では、ベクターは、発現制御配列の制御下、Ggr3Aポリペプチドをコードする核酸配列を含む。いくつかの態様では、発現制御配列は、天然発現制御配列である。いくつかの態様では、発現制御配列は、非天然発現制御配列である。いくつかの態様では、ベクターは選択マーカーまたは選択可能なマーカーを含む。いくつかの態様では、Ggr3Aポリペプチドをコードする核酸配列は、選択マーカーなしで宿主細胞の染色体に統合される。
好適なベクターは、使用する宿主細胞に適合するベクターである。好適なベクターは、細菌、ウイルス(バクテリオファージT7またはM−13誘導ファージなど)、コスミド、酵母または植物にから誘導することができる。好適なベクターは、宿主細胞内で少数の、中程度のまたは多数のコピー数で維持することができる。そのようなベクターを得るためのプロトコル、および使用するためのプロトコルは、当業者には知られている(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor,1989を参照)。
いくつかの態様では、発現ベクターはまた、ターミネーション配列を含む。ターミネーション制御領域はまた、宿主細胞が天然に有する各種遺伝子から誘導することができる。いくつかの態様では、ターミネーション配列およびプロモーター配列は、同じ供給源から誘導される。
Ggr3Aポリペプチドをコードする核酸配列は、発現ベクターなどのベクターに標準的な手法を用いて導入することができる(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,1982)。
いくつかの態様では、Ggr3Aポリペプチドおよび/または1種以上の本開示に記載の他の任意の核酸を、天然発生細胞で現在見出されるよりはるかに高レベルで過剰発現させることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、内在するベータ−グルコシダーゼおよび/または1種以上の本開示に記載の他の任意の核酸を、天然発生細胞で現在見出されるよりはるかに低レベルで過少発現させることが望ましい場合がある。
ggr3aポリヌクレオチド
本明細書に記載の組成物および方法の他の態様は、ベータ−グルコシダーゼ活性を有する組み換えGgr3Aポリペプチド(その変異体およびフラグメントを含む)をコードするポリヌクレオチドまたは核酸配列である。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、本明細書で特定されたもののような、異種有機体内でGgr3Aポリペプチドを発現する発現ベクターとの関連で提供される。組み換えGgr3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、制御エレメント(例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなど)に操作可能に結合して、コードされたポリペプチドの発現を促進させることができる。
組み換えGgr3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の一例は、配列番号1のヌクレオチド配列を有する。組み換えGgr3Aポリペプチドおよび変異体コードする類似の(実質的な相同を含む)ポリヌクレオチドは、天然に、例えば、グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola)の他の株もしくは分離株、またはグロメレラ(Glomerella)種で発生し得る。遺伝子コードの縮退を考慮すると、異なるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドが同じGgr3Aポリペプチド、変異体またはフラグメントをコードし得ることがわかるであろう。
いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、Ggr3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの例示と、特定の割合のアミノ酸配列相同性を、例えば、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列相同性を有する。相同性は、アミノ酸配列アライメントにより、例えば、本明細書に記載したようなBLAST、ALIGN、またはCLUSTALなどのプログラムを使用して決定することができる。
いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、組み換えGgr3Aポリペプチドの細胞外分泌を指示するシグナルペプチドの後(すなわち、下流)でインフレーム融合される。本明細書に記載のように、「異種の」という用語は、対象のポリペプチドを発現させるために使用されるシグナル配列に関して使用されるとき、シグナル配列と対象ポリペプチドが異なる有機体に由来していることを意味する。異種シグナル配列としては、例えば、配列番号11のトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1のシグナル配列などの他の真菌セルラーゼ遺伝子からのものが挙げられる。組み換えGgr3Aポリペプチドを発現させるのに好適な、または発現ベクターを好適な宿主細胞に導入する前に、発現ベクターを増殖させるのに好適な異種宿主細胞に、発現ベクターを供給し得る。いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、特定のハイブリダイゼーション条件下、配列番号1のポリヌクレオチド(または、その相補体)にハイブリダイズする。条件としては、本明細書に記載の、中程度のストリンジェンシー条件、高ストリンジェンシー条件および非常にストリンジェンシー条件が例示される。
ポリヌクレオチドは、天然または合成で(すなわち、人工的に)生成し、異なる宿主で発現させるためにコドンを最適化し、変異させてクローニング部位に導入するか、または改変して機能を加えることができる。
Ggr3Aベクターおよび宿主細胞
開示した組み換えGgr3Aポリペプチドを産生するために、ポリペプチドをコードするDNAを公表されている配列から化学的に合成するか、または遺伝子を持つ宿主細胞から直接得ることができる(例えば、cDNAライブラリースクリーニングまたはPCR増幅により)。いくつかの実施形態においては、ggr3aポリヌクレオチドは、発現カセットに含まれ、かつ/または標準的な分子クローニング技術によって好適な発現ベクターに導入する。そのような発現カセットまたはベクターは転写の開始および終了を助ける配列(例えば、プロモーターおよびターミネーター)を含み、また、一般に、1つ以上の選択マーカーを含み得る。
発現カセットまたはベクターは、好適な宿主細胞に導入され、宿主細胞は、その後、対応するggr3aポリヌクレオチドを発現する。好適な発現宿主は、細菌または真菌微生物であり得る。細菌発現宿主は、例えば、エケリキア(Escherichia)(例えば、エケリキア・コリ(Escherichia coli))、プセウドモナス(Pseudomonas)(例えば、プセウドモナス・フルオレセンス(P.fluorescens)またはプセウドモナス・スツッツェリ(P.stutzerei)、プロテウス(Proteus)(例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis))、ラルストニア(Ralstonia)(例えば、ラルストニア・エウトロファ(Ralstonia eutropha))、ストレプトミケス(Streptomyces)、スタフィロコックス(Staphylococcus)(例えば、スタフィロコックス・カルノスス(S.carnosus))、ラクトコックス(Lactococcus)(例えば、ラクトコックス・ラクティス(L.lactis))またはバチルス(Bacillus)(例えば、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)など)であり得る。真菌発現宿主は、例えば、酵母があり、それはエタノロゲンとしても作用することができる。酵母発現宿主は、例えば、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミケス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、ハンセヌラ・ポリモルパ(Hansenula polymorpha)、クルイウェロミケス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)であり得る。真菌発現宿主は、また、例えば、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、クリソスポリウム・ラックノウエンセ(Chrysosporium lucknowense)、ミケリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)、アスペルギルス(Aspergillus)(例えば、アスペルギルス・オリザエ(A.oryzae)、アスペルギルス・ニゲル(A.niger)、アスペルギルス・ニデュランス(A.nidulans)など)またはトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)などの糸状菌宿主細胞であり得る。マウス(例えば、NS0)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、またはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株などの哺乳動物発現宿主もまた適している。昆虫細胞またはウイルス発現系(例えば、M13、T7ファージもしくはラムダなどのバクテリオファージ、またはバキュロウイルスなどのウイルス)などの他の真核宿主もまたGgr3Aポリペプチドの産生に適している。
対象の特定の宿主の分泌タンパク質に関係するプロモーターおよび/またはシグナル配列は、その宿主または他の宿主における異種産生および分泌で使用する候補である。糸状菌系の一例としては、セロビオヒドラーゼI(cbh1)、グルコアミラーゼA(glaA)、TAKA−アミラーゼ(amyA)、キシラナーゼ(exlA)、gpd−プロモーター cbh1、cbhll、エンドグルカナーゼ遺伝子eg1−eg5、Cel61B、Cel74A、gpd プロモーター、Pgk1、pki1、EF−1アルファ、tef1、cDNA1およびhex1の遺伝子を駆動させるプロモーターが適しており、多くの異なる有機体(例えば、アスペルギルス・ニゲル(A.niger)、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)、アスペルギルス・オリザエ(A.oryzae)、アスペルギルス・アワモリ(A.awamori)、アスペルギルス・ニデュランス(A.nidulans))から誘導することができる。
いくつかの実施形態においては、ggr3aポリヌクレオチドは、組み換えGgr3Aポリペプチドを細胞外(または周辺質)腔へ分泌させ、それにより、細胞の上清(または周辺質腔もしくはライセート)での酵素活性の直接検出を可能にする、好適な相同または異種のシグナル配列をコードするポリペプチドと組み換えで関連している。エケリキア・コリ(Escherichia coli)、他のグラム陰性菌および当該技術分野で知られている他の有機体に好適なシグナル配列としては、HlyA、DsbA、Pbp、PhoA、PelB、OmpA、OmpTまたはM13ファージGill遺伝子の発現を駆動するものが挙げられる。さらに、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)、グラム陽性菌および当該技術分野で知られている他の有機体に好適なシグナル配列としては、AprE、NprB、Mpr、AmyA、AmyE、Blac、SacBが挙げられ、また、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(S.cerevisiae)または他の酵母では、キラートキシン、Bar1、Suc2、Mating factor alpha、Inu1AまたはGgplpシグナル配列が挙げられる。シグナル配列は、多くのシグナルペプチダーゼによって切断し、それにより、発現タンパク質の残部からそれらの配列を除去することができる。真菌発現シグナル配列は、例えば、本明細書中の配列番号13〜37から選択されるものであり得る。酵母発現シグナル配列は、例えば、配列番号36〜38から選択されるものであり得る。ジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)において本発明のGgr3Aポリペプチドの発現の使用に適したシグナル配列は、例えば、配列番号39〜40から選択されるものが挙げられる(それぞれ、配列番号43〜44でコードされる;Linger J.G.et al.,Appl.Environ.Microbiol.76(19):6360−6369(2010))。
いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドは、単独で、またはN−末端またはC−末端に位置する他のペプチド、タグまたはタンパク質(例えば、6XHis、HAまたはFLAGタグ)と融合して発現する。好適な融合体としては、親和性精製または検出を促進するタグ、ペプチドまたはタンパク質(例えば、6XHis、HA、キチン結合タンパク質、チオレドキシンまたはFLAGタグ)、および標的ベータ−グルコシダーゼの発現、分泌または処理を促進するものが挙げられる。好適な処理部位としては、インビボもしくはインビトロで切断する、エンテロキナーゼ、STE13、Kex2または他のプロテアーゼによる切断部位が挙げられる。
Ggr3a ポリヌクレオチドは、多くの形質転換法、例えば、限定はされないが、エレクトロポレーション、脂質アシストトランスフォーメーションもしくはトランスフェクション(「リポフェクション」)、化学的に媒介したトランスフォーメーション(例えば、CaClおよび/またはCaP)、酢酸リチウム媒介トランスフォーメーション(例えば、宿主細胞プロトプラストの)、微粒子銃「遺伝子銃」トランスフォーメーション、PEG媒介トランスフォーメーション(例えば、宿主細胞プロトプラストの)、プロトプラスト融合(例えば、細菌プロトプラストまたは真核プロトプラストによる)、リポソーム媒介トランスフォーメーション、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アデノウィルスまたは他のウイルスもしくはファージトランスフォーメーションもしくはトランスダクションによって、発現宿主細胞に導入される。
細胞培地
一般に、微生物は、本明細書に記載のGgr3Aポリペプチドの産生に好適な培地で培養される。培養は、炭素および窒素源と、無機塩とを含む好適な栄養培地で、当該技術分野で知られている手法およびその変法によって行われる。増殖およびセルラーゼの産生に好適な培地、温度範囲、およびその他の条件は、当該技術分野で知られている。非限定的な例として、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)によるセルラーゼ産生の温度範囲は、通常、24℃〜37℃、例えば、25℃〜30℃である。
細胞培養条件
真菌培養の維持および増殖に好適な材料および方法は、当該技術分野で知られている。いくつかの態様では、細胞は、宿主細胞に挿入された核酸によって発現したコードされた1種以上のベータ−グルコシダーゼポリペプチドを発現させる条件下の培地で培養される。標準的な細胞培養条件を、細胞の培養に使用することができる。いくつかの態様では、細胞は、適切な温度、気体混合物およびpHで増殖され維持される。いくつかの態様では、細胞は、適切な細胞培地で増殖される。
Ggr3Aの活性
本明細書に開示の組み換えGgr3Aポリペプチドは、ベータ−グルコシダーゼ活性、またはセロビオースを加水分解し、それからD−グルコースを遊離する能力を有する。高フィデリティベータ−グルコシダーゼであるトリコデルマ・レーセイ(Trichderma reesei)Bgl1より、より高いベータ−グルコシダーゼ活性と、より改善もしくは増大したセロビオースからのD−グルコースの遊離能力を有すし得る。いくつかの実施形態においては、本明細書に記載のGgr3Aポリペプチドは、他の基準のベータ−グルコシダーゼのアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)B−glu Yより、より高いベータ−グルコシダーゼ活性、および/またはより改善もしくは増大したセロビオースからのD−グルコースの遊離能力を有し得る。
本明細書に開示の組み換えGgr3Aポリペプチドは、トリコデルマ・レーセイ(Trichderma reesei)Bgl1と比べて劇的に改善または増大した、例えば、少なくとも約20%高い、より好ましくは少なくとも約25%高い、好ましくは少なくとも約30%高い、より好ましくは少なくとも約35%高い、より好ましくは少なくとも約40%高い、より一層好ましくは少なくとも約45%高い、好ましくは少なくとも約50%高い、より好ましくは少なくとも約55%高い、最も好ましくは少なくとも約60%高いセロビアーゼ活性を有し得る。このセロビアーゼ活性は、セロビオースの加水分解し、D−グルコースを遊離する酵素の触媒能を測定するものである。いくつかの実施形態においては、組み換えGgr3Aポリペプチドは、約1/2、約1/3、約1/4、約1/5、または約1/6の、セロビオースを加水分解し、D−グルコースを遊離する触媒能を有する。
実施例6に示すように、組み換えGgr3Aポリペプチドは、トリコデルマ・レーセイ(Trichderma reesei)Bgl1と比較して、リン酸膨張セルロース基質からより多くのグルコースを産生する一方、より低レベルの残留セロビオースを達成し(しかし、可溶性糖の総量はほぼ同じである)、これにより、同じ基質の可溶性糖へのバイオマス加水分解/変換を同程度とするのに必要なバックグラウンドセルラーゼ酵素混合物Spezyme(登録商標)CP(Genencor)上のタンパク質用量は全体としてより少ない結果となった。
実施例7に示すように、組み換えGgr3Aポリペプチドの、バッファーで測定した見かけのTは、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較して、より低かった。
実施例8に示すように、組み換えGgr3Aポリペプチドのセロビオース加水分解動態を、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比較した。組み換えGgr3Aポリペプチドが、高温糖化のストレスに対する耐性が、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1に比べ、明らかに著しく乏しいことがわかった。
実施例9に示すように、組み換えGgr3Aポリペプチドはまた、トリコデルマ・レーセイ(Trichderma reesei)Bgl1と比較して、希酸で前処理したトウモロコシ茎葉基質からより多くのグルコースを産生する一方、より低レベルの残留セロビオースを達成し(しかし、可溶性糖の総量はほぼ同じである)、これにより、同じ基質の可溶性糖へのバイオマス加水分解/変換を同程度とするのに必要なバックグラウンドセルラーゼ酵素混合物Spezyme(登録商標)CP(Genencor)上のタンパク質用量は全体としてより少ない結果となった。
組み換えベータ−グルコシダーゼGgr3Aポリペプチドを含む組成物
本開示は、組み換えGgr3Aポリペプチド.遺伝子工学的酵素組成物(例えば、セルラーゼ組成物)、または組み換えGgr3Aポリペプチドを豊富に含む発酵培養液を提供する。いくつかの態様では、組成物はセルダーゼ組成物である。セルダーゼ組成物は、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)セルラーゼ組成物などの糸状菌セルダーゼ組成物であり得る。いくつかの態様では、組成物は、1種以上のセルラーゼポリペプチドをコードする1種以上の核酸を含む細胞である。いくつかの態様では、組成物は、セルダーゼ活性を含む発酵培養液であって、バイオマスサンプルに含まれるセルロースの約50重量%超を糖に変換することができる培養液である。本明細書で使用されるとき、「発酵培養液」および「全培養液」という用語は、発酵後の回復および/または精製を全く受けないか最小である遺伝子操作された微生物の発酵によって産生した酵素調製物を指す。発酵培養液は、糸状菌の発酵培養液、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)、フミコラ(Humicola)、フサリウム(Fusarium)、アスペルギルス(Aspergillus)、ネウロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、アクリャ(Achlya)、ポドスポラ(Podospora)、エンドチア(Endothia)、ムコール(Mucor)、コクリオボルス(Cochliobolus)、ピリクラリア(Pyricularia)、ミケリオフトラ(Myceliophthora)またはクリソスポリウム(Chrysosporium)の発酵培養液であり得る。特に、発酵培養液は、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)などのトリコデルマ(Trichoderma)属の培養液、またはペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)などのペニシリウム(Penicillium)属の培養液であり得る。培養液はまた、細胞を含まない発酵培養液であり得る。一態様では、本発明のセルラーゼ、細胞または発酵培養液組成物は、さらに、1種以上のヘミセルラーゼを含み得る。
いくつかの態様では、全培養液組成物は、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)またはその遺伝子操作株において発現する。トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)宿主細胞のゲノムに組み込まれた、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)の組込み型の菌株で発現する。いくつかの態様では、組み込み型トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)株において発現したポリペプチドの1種以上の要素は除かれている。
いくつかの態様では、全培養液組成物はアスペルギルス・ニゲル(A.niger)またはその遺伝子操作株において発現する。
あるいは、組み換えGgr3Aポリペプチドは細胞内で発現し得る。任意選択により、酵素変異体の細胞内発現、または上述したようなシグナル配列による周辺質腔への分泌を、上清への組み換えGgr3Aポリペプチドの放出に使用することができる。超音波、加圧処理(フレンチプレス)、キャビテーションなどの機械的手段によって、またはリゾチームなどの膜消化酵素もしくは酵素混合物の使用によって、膜障壁の破壊が行われる。この実施形態の変形には、エタノール産生微生物の細胞内における組み換えGgr3Aポリペプチドの発現が含まれる。例えば、リグノセルロース系バイオマスの加水分解から生じたセロビオースがエタノール産生微生物にトランスポートされ、そこで加水分解されてD−グルコースに変わるように、セロビオーストランスポータを遺伝子操作によって同じエタノール産生微生物に導入することができる。D−グルコースは次いでエタノロゲンによって代謝され得る。
いくつかの態様では、組み換えGgr3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、好適な細胞非含有の発現系により発現される。細胞非含有系では、対象のポリヌクレオチドが、通常、プロモーターによって転写されるが、環状発現ベクターを形成するライゲーションは任意選択である。いくつかの実施形態においては、RNAが、外因的に転写によらずに添加もしくは生成され、細胞非含有系で翻訳される。
リグノセルロース系バイオマス基質を加水分解するためのGgr3Aポリペプチドの使用
いくつかの態様では、リグノセルロース系バイオマスを糖に変換させる方法であって、バイオマス基質を、バイオマス基質を発酵性糖に変換するのに有効な量のGgr3Aポリペプチドを含む本明細書に記載の組成物と接触させることを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、この方法は、バイオマスを酸および/もしくは塩基で、ならびに/または機械的もしくは他の物理的手段によって前処理することをさらに含む。いくつかの態様では、リン酸を含む。いくつかの態様では、塩基は、水酸化ナトリウムまたはアンモニアを含む。いくつかの態様では、機械的手段は、例えば、引張り、加圧、圧砕、粉砕、その他のリグノセルロース系バイオマスをより細かい物理的形態に物理的に破壊する手段を含み得る。他の物理的手段には、また、例えば、酵素のセルロースおよびヘミセルロースへの到達度を高めるため、リグノセルロース系バイオマスを「ほぐす」ような、水蒸気、または他の加圧ガスもしくは加圧蒸気が含まれ得る。ある特定の実施形態においては、前処理方法はまた、バイオマスを加水分解する酵素組成物の酵素のセルロースおよびヘミセルロースへの到達度を高めるように、リグノセルロース系バイオマス基質のリグニンを分解することができる酵素を含み得る。
バイオマス:本開示は、Ggr3Aポリペプチドを含む本開示の酵素組成物を使用してバイオマスを糖化する方法およびプロセスを提供する。本明細書で使用されるとき、「バイオマス」という用語は、セルロースおよび/またはヘミセルロース(任意選択により、また、リグノセルロース系バイオマス中のリグニン)を含む組成物を指す。本明細書で使用されるとき、バイオマスとしては、限定はされないが、種子、穀類、塊茎、廃棄植物(例えば、ヤシの空の果房、もしくはヤシの線維廃棄物)、または食品加工もしくは工業加工の副産物(例えば、柄)、トウモロコシ(例えば、穂軸、マグサなどを)、草(例えば、ソルガストルム・ヌタンス(Sorghastrum nutans)などのベアグラス、またはスイッチグラス、例えば、パニクム・ウィルガツム(Panicum virgatum)などのパニクム(Panicum)種)、ペレニアルケイン(perennial cane)(例えば、ダンチク)、木(例えば、ウッドチップ、加工廃棄物など)、紙、パルプ、およびリサイクル紙(例えば、新聞紙、印刷紙など)が挙げられる。他のバイオマス材料としては、限定はされないが、ジャガイモ、ダイズ(例えば、菜種)、大麦、ライ麦、カラス麦、小麦、ビート、およびサトウキビバガスが挙げられる。
したがって、本開示は、バイオマス材料、例えば、キシラン、ヘミセルロース、セルロースおよび/または発酵性糖を含む材料を含む組成物を、本開示のGgr3Aポリペプチド、または本開示の核酸またはポリヌクレオチドによってコードされたGgr3Aポリペプチド、あるいは、Ggr3Aポリペプチドを含むセルラーゼもしくは非天然生成ヘミセルラーゼ組成物、または本開示の製造物のいずれか1つと接触させることを含む糖化方法を提供する。
糖化バイオマス(例えば、本開示の酵素で処理したセルロース材料)は、例えば、微生物発酵および/または化学合成などの加工を経て、多くのバイオ製品を作ることができる。本明細書で使用されるとき、「微生物発酵」は、好適な条件下、発酵微生物を増殖させ、かつ生産するプロセスを指す。発酵微生物は、バイオ製品を製造するための所望の発酵プロセスでの使用に適した任意の微生物であり得る。好適な発酵微生物としては、限定はされないが、糸状菌、酵母および細菌が挙げられる。例えば、糖化バイオマスは、燃料(例えば、バイオエタノール、バイオブタノール、バイオメタノール、バイオプロパノール、バイオディーゼル、ジェット燃料などのバイオ燃料)を作ることができる。糖化バイオマスはまた、それから、発酵および/または化学合成により、例えば、コモディティケミカル(例えば、アスコルビン酸、イソプレン、1,3−プロパンジオール)、脂質、アミノ酸、ポリペプチドおよび酵素を作ることができる。
前処理:糖化もしくは酵素加水分解、および/または糖化により得られた発酵性糖の発酵を行う前に、キシラン、ヘミセルロース、セルロースおよび/またはリグニン物質の、酵素組成物(例えば、Ggr3Aポリペプチドを含む本発明の酵素組成物)中の酵素への到達性、または酵素に対する感受性を高め、それによって酵素および/または酵素組成物による加水分解をより受けやすくするために、バイオマス(例えば、リグノセルロース材料)に、1工程以上の前処理工程を行うことが好ましい。
いくつかの態様では、好適な前処理方法は、例えば、反応容器内で、強酸の希釈溶液および金属塩を含む触媒にバイオマス材料をさらすことを含む。バイオマス材料は、例えば、生の材料または乾燥した材料であり得る。この前処理により、セルロース加水分解の活性エネルギーまたは温度を低下させ、ひいては発酵性糖の収量を高めることができる。例えば、米国特許第6,660,506号明細書、同第6,423,145号明細書を参照されたい。
いくつかの態様では、好適な前処理方法は、バイオマス材料に、水性媒体中、ヘミセルロースの一次脱重合が起こり、セルロースのグルコースへの脱重合が大きく進むことがないように選択された温度および圧力で第1の加水分解工程に供することを含み得る。この工程で、液状の水相に、ヘミセルロースから生じた単糖類を溶解した状態で含むスラリーと、セルロースおよびリグニンを含む固相とが得られる。スラリーに対し、その後、セルロースの主要部を脱重合させ、セルロースの溶解した/可溶性の脱重合生成物を含む液状の水相が得られるような条件下、第2の加水分解工程を行う。例えば、米国特許第5,536,325号明細書を参照されたい。
さらなる態様では、好適な前処理方法は、バイオマス材料に、約0.4%〜約2%の強酸を用いて、1段以上の希酸加水分解処理を行い、次いで、酸加水分解処理した材料の未反応の固体リグノセルロース成分に対し、アルカリによる脱リグニン処理を行うことを含み得る。例えば、米国特許第6,409,841号明細書を参照されたい。
さらなる態様では、好適な前処理方法は、予備加水分解容器においてバイオマス(例えば、リグノセルロース材料)に予備加水分解処理を行い;酸性液を固体リグノセルロース材料に加えて混合物とし;この混合物を反応温度にまで加熱し;リグノセルロース材料を、リグノセルロース材料由来のリグニンの少なくとも約20%含む可溶化部分と、セルロースを含む固体フラクションとに分画し得るだけの十分な時間、その反応温度を維持し;反応温度固体フラクションから可溶化部分を分離して、その可溶化部分を除き、その間、反応温度またはその近傍の温度を維持し、そして、その可溶化部分を回収することを含み得る。固体フラクションのセルロースは、酵素により、より消化されやすくなる。例えば、米国特許第5,705,369号明細書を参照されたい。この態様の変形においては、予備加水分解に代えて、あるいは予備加水分解に加えて、例えば、リグノセルロース系バイオマス材料のリグニンを分解することができる酵素を使用するして予備加水分解を含むことができる。
またさらなる態様においては、好適な前処理は、過酸化水素Hの使用を含み得る。Gould,1984,Biotech,and Bioengr.26:46−52を参照されたい。
他の態様においては、前処理はまた、バイオマス材料を、化学量論量の非常に低濃度の水酸化ナトリウムおよび水酸化アンモニウムと接触させることを含み得る。Teixeira et al.,1999,Appl.Biochem.and Biotech.77−79:19−34を参照されたい。
いくつかの実施形態においては、前処理は、リグノセルロースを、pH約9〜約14の化学物質(例えば、炭酸ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基)と、穏やかな温度、圧力およびpHで接触させることを含み得る。公開された国際出願、国際公開第2004/081185号パンフレットを参照されたい。好ましい前処理法では、例えば、アンモニアが使用される。そのような前処理方法は、バイオマス材料を、高固体条件下、低濃度のアンモニアに曝露することを含む。例えば、米国特許出願公開第2007/0031918号明細書、および公開された国際出願、国際公開第06/110901号パンフレットを参照されたい。
糖化方法
いくつかの態様では、バイオマスを、ポリペプチドを含む酵素組成物で処理することを含む糖化方法であって、ポリペプチドがベータ−グルコシダーゼ活性を有し、かつババイオマスを発酵性糖へ少なくとも約50重量%(例えば、少なくとも、約55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%または80重量%)変換させる方法が、ここで提供される。いくつかの態様では、バイオマスはリグニンを含む。いくつかの態様では、バイオマスはセルロースを含む。いくつかの態様では、バイオマスはヘミセルロースを含む。いくつかの態様では、セルロースを含むバイオますは、キシラン、ガラクタンまたはアラビナンの1種以上を含む。いくつかの態様では、バイオマスは、限定はされないが、種子、穀類、塊茎、廃棄植物(例えば、ヤシの空の果房、もしくはヤシの線維廃棄物)、または食品加工もしくは工業加工の副産物(例えば、柄)、トウモロコシ(例えば、穂軸、マグサなどを)、草(例えば、ソルガストルム・ヌタンス(Sorghastrum nutans)などのベアグラス、またはスイッチグラス、例えば、パニクム・ウィルガツム(Panicum virgatum)などのパニクム(Panicum)種)、ペレニアルケイン(perennial cane)(例えば、ダンチク)、木(例えば、ウッドチップ、加工廃棄物など)、紙、パルプ、およびリサイクル紙(例えば、新聞紙、印刷紙など)、ジャガイモ、ダイズ(例えば、菜種)、大麦、ライ麦、カラス麦、小麦、ビート、およびサトウキビバガスが挙げられる。いくつかの態様では、バイオマスを含む材料に対し、ポリペプチドにより処理に先立って、1つ以上の前処理方法/工程が行われる。いくつかの態様では、糖化または酵素加水分解は、さらに、バイオマスを本発明のGgr3Aポリペプチドを含む酵素組成物で処理することを含む。例えば、酵素組成物は、Ggr3Aポリペプチドに加えて、1種以上の他のセルラーゼを含み得る。あるいは、酵素組成物は、1種以上の他のヘミセルラーゼを含み得る。ある特定の実施形態においては、酵素組成物は、本発明のGgr3Aポリペプチド、1種以上の他のセルラーゼ、1種以上の他のヘミセルラーゼを含む。いくつかの実施形態においては、酵素組成物は、全培養液組成物である。
いくつかの態様では、リグノセルロース系バイオマス材料を、ポリペプチドを含む組成物で処理する糖化方法であって、ポリペプチドは配列番号2と少なくとも約75%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列相同性を有し、かつバイオマスを発酵性糖へと少なくとも約50重量%(例えば、少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%)変換させる方法が提供される。いくつかの態様では、リグノセルロース系バイオマス材料に対し、本明細書に記載の前処理方法/工程が1つ以上行われる。
本組成物および本方法の他の態様および実施形態は、ここまでの説明と、以下の実施例から明らかであろう。
本開示の好ましい実施形態および態様を示し、説明するために以下の実施例を提示するが、限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
基準のトリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1およびグロメレラ・グラミニコラ(G.graminicola)Ggr3Aの遺伝子発現のクローニングおよび発現
A.トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)bgl1発現ベクターの構築
天然のトリコデルマ・レーセイ(T.reesei)グルコシダーゼ遺伝子β−bgl1のN−末端部のコドンを最適化した(DNA 2.0、Menlo Park、CA)。この合成部は、この酵素のコドン領域の最初の447塩基を含んだ。次いで、このフラグメントを、プライマーSK943およびSK941(下記)を用いてPCRにより増幅した。天然bgl1遺伝子の残りの領域を、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)RL−P37株(Sheir−Neiss,G et al.Appl.Microbiol.Biotechnol.1984,20:46−53)から抽出したゲノムDNAサンプルから、プライマーSK940およびSK942(下記)を用いて、PCRにより増幅した。これらの2種のbgl1遺伝子のPCRフラグメントを、プライマーSK943およびSK942を用いて、融合PCR反応により融合した。
フォワードプライマーSK943:(5’- CACCATGAGATATAGAACAGCTGCCGCT−3’)(配列番号5)
リバースプライマーSK941:(5’−CGACCGCCCTGCGGAGTCTTGCCCAGTGGTCCCGCGACAG−3’)(配列番号6)
フォワードプライマー(SK940):(5’−CTGTCGCGGGACCACTGGGCAAGACTCCGCAGGGCGGTCG−3’)(配列番号7)
リバースプライマー(SK942):(5’- CCTACGCTACCGACAGAGTG−3’)(配列番号8)
得られた融合PCRフラグメントをGateway(登録商標)Entry ベクターpENTR(商標)/D−TOPO(登録商標)にクローン化し、E.coli One Shot(登録商標)TOP10 Chemically Competent細胞(Invitrogen)にトランスフォームして、中間体ベクターpENTR TOPO−Bgl1(943/942)(図1)を得た。挿入されたDNAのヌクレオチド配列を決定した。正しいbgl1配列を含むpENTR−943/942ベクターを、LR clonase(登録商標)反応を用いてpTrex3gと組み換えた(Invitrogenにより概説されたプロトコルを参照)。LR clonase反応混合物をE.coli One Shot(登録商標)TOP10 Chemically Competent cell(Invitrogen)へトランスフォームして、発現ベクターpTrex3g 943/942(図2)を得た。ベクターはまた、acetamidaseをコードするアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS遺伝子を、トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)のトランスフォーメーションの選択可能なマーカーとして含んだ。発現カセットをプライマーSK745およびSK771を用いてPCRにより増幅してトランスフォーメーション用産生物を生成した。
フォワードプライマー SK771:(5’ - GTCTAGACTGGAAACGCAAC −3’)(配列番号9)
SK745:リバースプライ(5’ - GAGTTGTGAAGTCGGTAATCC −3’)(配列番号10)
B.ggr3a発現ベクターの構築
オープンリーディングフレームをBionexusにより合成し、pTTT−pyr2ベクター(図3、配列番号41)へGatewayテクノロジーを用いてクローン化した。Ggr3Aコード配列はCBHIプロモーターおよびCBHIターミネーターで挟まれ、選択マーカーとしてacetamidase(amdS)を有した。得られたベクターpTTT−pyr2−Ggr3A(図4、配列番号42)をトリコデルマ(Trichoderma)のトランスフォーメーションに使用した。
国際公開第2010/141779号パンフレットに基づいて、Δ(cbh1、cbh2、egl1、egl2、egl3、egl4、egl5、egl6、man1、bgl1A)が欠失したトリコデルマ・レーセイ(T.reesei)株を発現ベクターまたは発現カセットのPCR産生物でトランスフォームした。
トランスフォーメーションは、下記に示すように僅かに改変したPEG媒介プロトプラスト法により行った。プロトプラストを作成するために、20g/Lのグルコース、15g/LのKHPO、pH 4.5、5g/Lの(NHSO、0.6g/LのMgSO・7HO、0.6g/LのCaCl・2HO、1mLの1000×トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)微量元素溶液(5g/LFeSO7HO、1.4g/LZnSO・7HO、1.6g/LMnSO・HO、3.7g/LCoCl・6HOを含有)を含むトリコデルマ(Trichoderma)最少培地MM中、24℃で、培地を150rpmで浸透させながら、芽胞を16〜24時間増殖させた。増殖した芽胞を遠心分離で集め、50mg/mLのGlucanex G200(Novozymes AG)溶液で処理して、真菌細胞壁を溶解した。さらに、Penttilau et al.Gene 61(1987)155−164に記載の方法にしたがってプロトプラストを作成した。全体積200μL中に1μgのDNAおよび1〜5×10個のプロトプラストを含有するトランスフォーメーション混合物をそれぞれ、2mLの25% PEG溶液で処理し、1.2Mソルビトール/10mMトリス、pH7.5、10mMCaClの2体積で希釈し、5mMのウリジンおよび20mMのアセトアミドを含有する3%選択トップアガロースMMを混合した。得られた混合物を、ウリジンおよびアセトアミドを含有する2%選択アガロースプレートに注いだ。プレートをさらに28℃で7日間インキュベートし、その後、単一のトランスフォーマントをウリジンおよびアセトアミドを含有する新しいMMプレートに採取した。独立したクローンから採取した芽胞を振盪フラスコ内の発酵培地に植菌した。
発酵培地は、250mL Thomson Ultra Yieldフラスコ(Thomson Instrument Co.,Oceanside,CA)に入れた2g/Lのウリジン(6.0g/Lグリシン;4.7g/L(NHSO;5.0g/LKHPO;1.0g/LMgSO・7HO;33.0g/LPIPPS;pH 5.5)で、炭素源として約2%の10mL/Lの100g/LのCaClグルコース/、2.5mL/Lのトリコデルマ・レーセイ(T.reesei)微量元素(400×):175g/Lの無水クエン酸;200g/L FeSO・7HO;16g/L ZnSO・7HO;3.2g/LCuSO・5HO;1.4g/LMnSO・HO;0.8g/LHBOの無菌後添加を伴う培地であった。
C.酵母シャトルベクターpSC11(Prophetic)の構築
酵母シャトルベクターは、図5のベクターマップにしたがって構築することができる。このベクターは、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)の細胞内において、Ggr3Aポリペプチドを発現させるために使用することができる。例えば、Ha et al.,in PNAS,108(2):504−509(2011)に記載されるような既知の方法を用いて、セロビオーストランスポータを同じシャトルベクターまたは異なるシャトルベクターで、サッカロミケス・ケレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)に導入することができる。
発現カセットのトランスフォーメーションは、酵母EZ−トランスフォーメーションキットを用いて行うことができる。トランスフォーマントは、20g/Lのセロビオースを含むYSC培地を用いて選択することができる。発現カセットの酵母への導入が良好に行われるかは、特異的プライマーを用いるコロニーPCRによって確認することができる。
酵母株は、既知の方法およびプロトコルによって培養することができる。例えば、酵母種は、グルコースを加えたYP培地(10g/L酵母抽出物、20g/Lバクトペプトン)中、30℃で培養することができる。アミノ酸栄養要求性マーカーを用いてトランスフォーマントを選択するために、6.7g/Lのyeast nitrogen base plus、20g/Lのグルコース、20g/Lの寒天、および核酸およびアミノ酸を供給するCSM−Leu−Trp−Ura glucoseを含むYSC(yeast synthetic complete)培地を使用することができる。
D.ジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)組込み型ベクターpZC11の構築(Prophetic)
ジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)組込み型ベクターpZC11は、図6のベクターマップにしたがって構築することができる。このベクターは、ジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)の細胞内において、Ggr3Aポリペプチドを発現させるために使用することができる。例えば、Sekar et al.,Appl.Environ.Microbiol.(22 December 2011)に記載されるセロビオーストランスポータを同じ組込み型シャトルベクターまたは異なる組込み型ベクターで、ジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)に導入することができる。
セロビオーストランスポータ遺伝子の導入が良好に行われるかは、既知の種々の方法、例えば、この目的のために特に設計された確認プライマーを用いるPCRによって確認することができる。
ジイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)株は、既知の方法、例えば、米国特許第7,741,119号明細書に記載の方法にしたがって培養し発酵させることができる。
実施例2
方法
A.UPLCにより測定したタンパク質濃度
Waters社製ACQUITY UPLC C4BEH300カラム(1.7μm、1×50mm)を用い、AGILENT社製HPLC1290 Infinity systemを使用した。アセトニトリル(Sigma−Aldrich)の5%から33%への初期勾配で0.5分間、続いて33%から48%への勾配で4.5分間、その後90%アセトニトリルへの階段状勾配で行う6分間のプログラムを使用した。Ggr3Aポリペプチドの定量には、精製トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1に基づくタンパク質標準曲線を使用した。
B.トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1およびGgr3Aの精製
トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1は、トリコデルマ・レーセイ宿主株の醗酵培養液中で過剰発現させ、その醗酵培養液から精製した(例えば、国際公開第2010/141779号パンフレットを参照)。濃縮培養液をG25 SECカラム(GE Healthcase Bio−Sciences)に流し、pH5.0の50mM酢酸ナトリウムに対してバッファー交換を行った。その後、バッファー交換したトリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1を、アミノベンジル−S−グルコピラノシルセファロースアフィニティマトリックスを充填した25mLのカラムに流した。250mM塩化ナトリウムの50mM酢酸ナトリウム溶液(pH5.0)により十分に洗浄すると、100mMグルコースとともに結合画分が50mM酢酸ナトリウムおよび250mM塩化ナトリウム溶液(pH5.0)中に溶出した。クロロ−ニトロ−フェニルグルコシド(CNPG)活性に対して試験結果が陽性の溶出画分は、プールして濃縮した。SDS−PAGEでトリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1の分子量(これは質量分析法により確認されている)に対応する単一バンドが現れたことは、溶出Bgl1の純度を実証するものであった。最終のストック濃度は、280nmでの吸収により2.2mg/mLと決定された。
上記トリコデルマ・レーセイにより発現させ、醗酵培養液から精製した。Ggr3Aの培養液をpH5.5の50mM酢酸ナトリウムで10倍に希釈し、その後、硫酸アンモニウム濃度が1Mとなるよう硫酸アンモニウムと混合した。この試料を平衡化(pH5.5の50mM酢酸ナトリウム、1M硫酸アンモニウムバッファーにより)フェニルセファロースカラム(GE Healthcare部品番号17−1086−01)に流し、この同じバッファーで洗浄した。標的タンパク質は、pH5.5の50mM酢酸ナトリウム、1M硫酸アンモニウムバッファーから50mM酢酸ナトリウム、pH5.5バッファーへの勾配を用いて溶出させた。その後、タンパク質をプールし、脱塩して10mM、pH8.0のTrisバッファーに加え、平衡化Resource Qカラム(GE Healthcare部品番号17−0947−01)に流した。一度、カラムに流し10mM、pH8.0のTrisバッファーで洗浄すると、その後、標的タンパク質は10mM、pH8.0のTrisからpH5の50mM酢酸ナトリウムおよび1M塩化ナトリウムバッファーへの勾配で溶出した。その後、Ggr3A含有画分をプールし、濃縮し、バッファー交換して、試験のためにpH6.0、50mMのMES、100mM塩化ナトリウムバッファーに加えた。280ナノメートルの吸収測定により、全タンパク質濃度を決定した。
C.グルコース測定のためのABTS法
酵素試料と同じバッファー中で一連のグルコース標準溶液を調製した。ABTS法にかける前に、グルコース標準を等容量のグリシンクエンチバッファーに加えた。2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジ−アンモニウム塩(ABTS)を2.88mg/Lで、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を0.11U/mLで、およびグルコースオキシダーゼ(OxyGO HP 5000L、Danisco US,Inc)を1.05U/mLで含むABTSストック溶液を水中で調製した。95(95)LのABTSストック溶液をピペットに取り、分離した3つのCostar平底マイクロタイタープレートのウェルに加えた。クエンチしたセロビオース活性プレートから5(5)μLをピペットに取り、ABTS溶液を含む反応プレートに加えた。読み取り間隔を9秒、遅延時間を60秒とする、405nmにおける3分間の速度論的読み取りのために、プレートを分光光度計装置にかけた。混合とウェル中の気泡を除去するために、速度論インキュベーションの前に、素早い5秒間の振盪工程を加えた。同梱のグルコース標準曲線を使用して各プレートについてABTSの全反応を解析し、グルコースの生成を計算した。
D.リン酸膨張セルロース(PASC)の調製
Walseth,TAPPI 1971,35:228 and Wood,Biochem.J.1971,121:353−362により適用された手順を用いて、Avicelからリン酸膨張セルロース(PASC)を調製した。手短に言えば、Avicel PH−101を濃リン酸中で可溶化し、その後、冷脱イオン水を用いて沈殿させた。セルロースを回収しpHを中和するためにより多くの水で洗浄した。pH5、50mMの酢酸ナトリウム中、固形分1%にまで希釈した。
E.希釈酸で前処理したトウモロコシ茎葉基質の調製(whPCS)
Schell et al.,J Appl Biochem Biotechnol,105:69−86,2003に記載の方法にしたがって、National Renewable Energy Laboratory(NREL,Golden,CO)により希釈酸前処理トウモロコシ茎葉が調製された。
20gのwhPCS(固形分32.7%)にpH5.0の50mM酢酸ナトリウムバッファー40mLを加えることにより基質を希釈した。液体は少量の一定分量で加えられ、完全に混合するよう手で撹拌した。5%のアジ化ナトリウム60(60)μLを抗菌剤として加えた。基質にカバーをかけ、終夜、室温で穏やかに撹拌して平衡化した。その後、1M水酸化ナトリウム溶液により基質のpHをpH5に調節した。最終の固形分は10.2%であった。
実施例3
セロビオース(または、セロトリオースもしくはソホロース)加水分解法
Ghose,T.K.Pure&Applied Chemistry,1987,59(2),257−268の方法に基づき、50℃でセロビオース(または、セロトリオースもしくはソホロース)加水分解活性を決定した。8.33mMセロビオース(または、セロトリオースもしくはソホロース)ストック溶液は検定バッファー(50mM Na−クエン酸塩バッファー、pH5.3+0.005%Tween−80)。この検定法は、96穴マイクロタイターフォーマットで行った。セロビオースストック(90μL)をピペットに取り、Costar平底マイクロタイタープレートに加えた。
酵素希釈シリーズを調製し、ピペットに取り(10μL)、セロビオース溶液を含む3つの反応プレートに加えた。プレートをアルミニウム封止剤で封止し(Nunc)、50℃で振盪(1150rpm、iEMSインキュベーター)しながら30分間インキュベートした。反応プレートはpH10.0で100μLの100mMグリシンバッファーによりクエンチした。グルコース濃度は、ABTS法を用いて決定した。セロビオース単位(Ghoseに記載の通りに導いた)は、0.0926を、検定条件下で0.1mgのグルコースを放出させるのに必要な酵素の量で除した値として定義される。セロビオース法の標準誤差は10%と決定された。セロビオース活性法は、投与量曲線を作成するために、5種の酵素希釈水準で3通り実施した。
データの両軸逆数プロットにおいて、15%未満および85%超のものを切り捨てると直線関係が得られ、R値は試験した全ての酵素について0.99より大であった。トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1(コントロール)の傾きを試料のそれで除すことにより、所与の試料の性能指数(PI)を計算した。
セロトリオースおよびソホロースのPIは、単一濃度の酵素に基づくものとした(これは全ての酵素を非逆数セロビオース投与量/応答曲線の直線部分に配置させるような共通の希釈度を用いて得られた)。これらのPIは、(変異体に対する比活性)/(トリコデルマ・レーセイ(T.reesei)Bgl1に対する比活性)として計算され、(比活性)は(生成物への基質のモル基準転換率%)/(UPLCで決定された変異体の濃度)である。
Bgl1に対するGgr3AのPIは、セロビオース、セロトリオースおよびソホロースに対して>1であり、3種の全基質に対しより高い活性を有することを示唆した(表2)。
Figure 2017532967
実施例4
セロビオース熱活性法
セロビオース法(上記実施例3のような)を実施し、ABTS法を用いてグルコースを決定した。
ABTS反応のVmaxをmMグルコースに変換し、グルコースの理論収率で除すことにより、収率パーセントを決定した。
収率パーセントを反応中の酵素のppmで除すことにより比収率を決定した。Ggr3Aによるセロビオースの加水分解は、試験した温度全てでTr Bgl1より大であった。2種のベータ−グルコシダーゼの活性の差は50℃で最大であり、69℃で最小であった(表3)。
Figure 2017532967
実施例5
セロビオース残留活性(熱ストレス)
ストレスプレートを調製するために、BioRadハードシェル96穴PCRプレートに適量の酵素を分注し、シリコーンマットで封止した。65℃で3分間、次いでランプ状に25℃まで下げるようプログラムしたサーモサイクラーにプレートを入れた。
ストレスを加えていない酵素試料と平行に、ストレスを加えた酵素試料をセロビオース活性法(本明細書の実施例3に記載)で検定し、熱ストレス後の残留活性を決定した。結果は、これらの条件下で、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1の残留活性57.4%と比較して、Ggr3Aは42.8%の残留活性を有すること、見かけTを示した(実施例7のように)。この高温ストレス耐性が明らかにより低いことから見ると、リグノセルロース系バイオマス基質の加水分解が、本明細書で提示しているように、比較的低いGgr3A投与量しか要求しないことはやや驚きである。
実施例6
PASC活性の投与量応答
基質中のmgタンパク質/gグルカン基準で精製酵素を加えた。酵素の希釈は、pH5.0の50mM酢酸ナトリウムに加えることで行った。検定プレートの1ウェル当たり20Lの酵素溶液に、固形分0.5%の冷PASC150(150)μLを加えた。検定における最終の固形分水準は0.44%であった。
アルミニウムプレート封止剤でプレートにカバーをかけ、1分間、激しく混合し、50℃、200rpmのInnovaインキュベータ/振盪器内に2時間置いた。pH10の100mMグリシン100μLで反応をクエンチし、Milliporeフィルタープレートに移した。フィルタープレートをAgilent製HPLCプレートの上にサンドイッチ状に乗せ、5分間遠心分離して分離体を回収した。その後、Agilent製HPLCプレート中の100μLのMillipore水に20(20)μLの分離体を加えた。HPLCにより可溶性の糖類が測定された。
グルカン転換率パーセントは、(mgグルコース+mgセロビオース)/mg基質中セルロースで定義される。結果を図7に示す。
実施例7
見かけのTm測定
精製酵素試料をpH5.0の50mM酢酸ナトリウムバッファーに加えて100ppmに希釈した。SYPROオレンジ染料を同じバッファーに加えて1000倍に希釈した。100ppmの酵素25(25)μLおよび希釈SYPRO オレンジ(Invitrogen Molecular Probes、#S6650)8μLをLightCycler 480 96穴プレートに加えた。液体の全てがウェルの底に来るようプレートを短時間回転させ、その後、ベンチトップ振盪機で混合した。LightCycler 480 Roche)の中でプレートを反応させた。
プログラムは37℃における5分間のプレインキュベートおよびランプ速度4.4℃/sで開始された。溶融曲線のターゲットはランプ速度0.2℃/sで97℃であった。検出フォーマット「Bodipy」を選択(498〜580nmの蛍光)し、収集モードは連続とした。
結果を下記表4に示す。
Figure 2017532967
実施例8
セロビオース加水分解の速度論
精製トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1およびGgr3Aを開始セロビアーゼ活性と同じに希釈し、その後、連続的に8回希釈した。
100mMセロビオース溶液を調製し、3つの非結合検定プレート(Costar #3641)の最上段列に加えた。その後、マイクロタイタープレートの下方に向かって基質を連続的に希釈し、8種の異なる基質濃度とした。その後、検定プレート中の50μLの基質溶液に酵素溶液50(50)μLを加えた。検定プレートにカバーをかけ、50℃、200rpmのInnova44インキュベーター/振盪機中に(1)30分間、(2)60分間または(3)90分間置いた。pH10のバッファーである100mMグリシン100μLで各プレートをクエンチした。若干変更を加えたABTS法(96穴MTP中の100μLのABTS+10μLの試料、混合し、プレートリーダーに5分間セットした。速度論的な読み取りを420nmで実施した)を用いてグルコース濃度を測定した。
結果を図8にプロットした。これらのプロットの縦軸は放出されたグルコースであり、検出された最大グルコースに合わせて目盛りが付けられている。横軸は酵素濃度とインキュベーション時間の積である。この横軸の使用により、同一プロット上の両酵素に対して、全ての時刻と投与値の直接比較が可能になる。反応に使用した各セロビオース濃度に対する別のプロットが示されている。ベータ−グルコシダーゼトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1を含む反応は黒丸で、示されておりGgr3Aを含む反応は、
実施例9
希釈酸で調製したトウモロコシ茎葉(whPCS)の糖化
精製ベータ−グルコシダーゼトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1およびGgr3Aを、全タンパク質1%でSpezyme(登録商標)CPセルラーゼ混合物(Genencor)とブレンドした。
酵素混合物に0〜20mgタンパク質/gグルカンを加え、96穴MTP(Nunc、#269787)中でpH5.0、固形分7%を含む、50mM酢酸バッファー中のwhPCSを50℃で2日間かけて糖化するために使用した。各酵素ブレンド体について4つの検定複製物を作った。1mLのエッペンドルフチップを有するリピーターピペットを用いて基質を検定プレートに加えた。最終全固形分を7%とするために、70mgの基質に、1ウェル当たりの固形分10%で酵素溶液30(30)μLを加えた。アルミニウムプレート封止剤(E&K Scientific #EK−46909)でプレートをカバーし、1分間混合して50℃、200rpmのInnova 44インキュベーター/振盪機内に2日間置いた。
反応をクエンチし、マルチチャンネルピペットを用いてフィルタープレート(Millipore、#MAHVN4550)に移した。HPLCプレート(Agilent、#5042−1385)の上にフィルタープレートをサンドイッチ状に乗せ、遠心分離機内で5分間回転させて濾過した。Agilent HPLCプレート中のMillipore水100μLに上澄み液10(10)μLを加えた。HPLCにより可溶性糖類が測定された。
グルカン転換パーセントは、(mgグルコース+mgセロビオース)/mg基質中セルロースで定義される。
結果を図9A〜9Bに示す。
Ggr3Aはより多くのグルコースを生成し、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1より残留セロビオースが少ないので、同じ基質をほぼ同程度に加水分解するために要求される全体のタンパク質投与量は1.4×減少することになる。

Claims (16)

  1. 配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも75%同じアミノ酸配列を含む組み換えポリペプチドであって、ベータ−グルコシダーゼ活性を有する組み換えポリペプチド。
  2. 前記組み換えポリペプチドとトリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1をリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解に使用したとき、前記ポリペプチドが前記トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)Bgl1と比べてより高いベータ−グルコシダーゼ活性を有する請求項1に記載の組み換えポリペプチド。
  3. 前記より高いベータ−グルコシダーゼ活性は、セロビオース活性の増大、または同じ糖化条件下でのリグノセルロース系バイオマスからのグルコース収量の増大である請求項1または2に記載の組み換えポリペプチド。
  4. 配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%同じアミノ酸配列を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチド。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチドを含み、さらに、1種以上の他のベータ−グルコシダーゼ、1種以上のセロビオヒドラーゼおよび1種以上のエンドグルカナーゼを含む組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチドを含み、さらに、1種以上のキシラナーゼ、1種以上のベータ−キシロシダーゼおよび1種以上のL−アラビノフラノシダーゼから選ばれる1種以上のヘミセルラーゼを含む組成物。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチドをコードする単離核酸。
  8. 前記ペプチドは異種シグナルペプチド配列をさらに含む請求項7に記載の単離核酸。
  9. 前記シグナルペプチド配列は、配列番号11〜40からなる群から選択される請求項8に記載の単離核酸。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の単離核酸を、制御配列を作動可能に組み合わされて含む発現ベクター。
  11. 請求項10の発現ベクターを含む宿主細胞。
  12. 細菌細胞または真菌細胞である請求項11に記載の宿主細胞。
  13. 請求項11または12の宿主細胞、および培地を含む組成物。
  14. 請求項11または12の宿主細胞を、安定した条件下、培地で培養して、ベータ−グルコシダーゼを製造することを含むベータ−グルコシダーゼの製造方法。
  15. 前記培地の上清中に、請求項14に記載の方法にしたがって製造されたベータ−グルコシダーゼを含む組成物。
  16. リグノセルロース系バイオマスを請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド、または請求項5、6または15に記載の組成物と接触させて、グルコースまたは他の糖を得るリグノセルロース系バイオマス基質の加水分解方法。
JP2017522932A 2014-10-27 2015-10-27 ベータ−グルコシダーゼに関連する組成物および方法 Pending JP2017532967A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201462069120P 2014-10-27 2014-10-27
US62/069,120 2014-10-27
PCT/US2015/057487 WO2016069541A1 (en) 2014-10-27 2015-10-27 Compositions and methods related to beta-glucosidase

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017532967A true JP2017532967A (ja) 2017-11-09

Family

ID=54478983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017522932A Pending JP2017532967A (ja) 2014-10-27 2015-10-27 ベータ−グルコシダーゼに関連する組成物および方法

Country Status (8)

Country Link
US (2) US20170349922A1 (ja)
EP (1) EP3212776B1 (ja)
JP (1) JP2017532967A (ja)
CN (1) CN107109386A (ja)
AR (1) AR102445A1 (ja)
BR (1) BR112017008595A2 (ja)
DK (1) DK3212776T3 (ja)
WO (1) WO2016069541A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3320106A1 (en) 2015-07-07 2018-05-16 Danisco US Inc. Induction of gene expression using a high concentration sugar mixture
WO2018053058A1 (en) 2016-09-14 2018-03-22 Danisco Us Inc. Lignocellulosic biomass fermentation-based processes
WO2018067599A1 (en) 2016-10-04 2018-04-12 Danisco Us Inc. Protein production in filamentous fungal cells in the absence of inducing substrates
CN110381746B (zh) 2016-12-21 2023-12-01 杜邦营养生物科学有限公司 使用热稳定丝氨酸蛋白酶的方法
WO2019074828A1 (en) 2017-10-09 2019-04-18 Danisco Us Inc CELLOBIOSE DEHYDROGENASE VARIANTS AND METHODS OF USE
KR102015116B1 (ko) * 2018-05-04 2019-10-21 (주)메디톡스 표적 단백질을 코딩하는 폴리뉴클레오티드를 포함하는 재조합 미생물로부터 유래한 세포외 소낭 및 그의 용도
US20210395702A1 (en) * 2018-10-29 2021-12-23 Roberto BASSI Transgenic microalgae for the production of plant cell wall degrading enzymes having heat-stable cellulolytic activity
CN114555778A (zh) * 2019-08-29 2022-05-27 丹尼斯科美国公司 在酵母中表达β-葡糖苷酶以提高乙醇生产
CN111690629B (zh) * 2020-05-29 2022-04-19 浙江工业大学 一种内切葡聚糖苷酶突变体、基因、工程菌及其应用
CN111876434B (zh) * 2020-07-23 2023-05-16 江西省科学院微生物研究所 密码子优化的β-葡萄糖苷酶基因及其表达载体

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5366558A (en) 1979-03-23 1994-11-22 Brink David L Method of treating biomass material
DK122686D0 (da) 1986-03-17 1986-03-17 Novo Industri As Fremstilling af proteiner
US5705369A (en) 1994-12-27 1998-01-06 Midwest Research Institute Prehydrolysis of lignocellulose
US6409841B1 (en) 1999-11-02 2002-06-25 Waste Energy Integrated Systems, Llc. Process for the production of organic products from diverse biomass sources
US6423145B1 (en) 2000-08-09 2002-07-23 Midwest Research Institute Dilute acid/metal salt hydrolysis of lignocellulosics
AU2003287028B2 (en) 2002-10-04 2008-09-04 E.I. Du Pont De Nemours And Company Process for the biological production of 1,3-propanediol with high yield
US20040231060A1 (en) 2003-03-07 2004-11-25 Athenix Corporation Methods to enhance the activity of lignocellulose-degrading enzymes
EP1885840B1 (en) 2005-04-12 2012-02-29 E.I. Du Pont De Nemours And Company System and process for biomass treatment
NZ571087A (en) * 2006-02-10 2012-04-27 Verenium Corp Cellulolytic enzymes, nucleic acids encoding them and methods for making and using them
US7741119B2 (en) 2006-09-28 2010-06-22 E. I. Du Pont De Nemours And Company Xylitol synthesis mutant of xylose-utilizing zymomonas for ethanol production
RU2011154243A (ru) 2009-06-03 2013-07-20 ДАНИСКО ЮЭс ИНК. Целлюлазные варианты с улучшенной экспрессией, активностью и/или стабильностью и их применение
EP2507430A4 (en) * 2009-12-04 2014-04-02 Georgia Tech Res Inst IMPROVED METHODS FOR TREATING BIOMASS FOR ENZYMATIC HYDROLYSIS
WO2011123715A1 (en) 2010-03-31 2011-10-06 The United States Of America As Represented By The Secretary Of Agriculture Metabolically engineered yeasts for the production of ethanol and other products from xylose and cellobiose
WO2013177714A1 (en) * 2012-05-31 2013-12-05 Iogen Energy Corporation Cellulose-degrading enzyme composition comprising gh16

Also Published As

Publication number Publication date
EP3212776B1 (en) 2020-04-22
WO2016069541A1 (en) 2016-05-06
BR112017008595A2 (pt) 2017-12-19
AR102445A1 (es) 2017-03-01
CN107109386A (zh) 2017-08-29
US20200056216A1 (en) 2020-02-20
US20170349922A1 (en) 2017-12-07
DK3212776T3 (da) 2020-08-03
EP3212776A1 (en) 2017-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200056216A1 (en) Compositions and methods related to beta-glucosidase
US20150252343A1 (en) Beta-glucosidase from magnaporthe grisea
US20150252340A1 (en) Compositions and methods of us
US20150252344A1 (en) Beta-glucosidase from neurospora crassa
US20160298157A1 (en) Compositions comprising a beta-glucosidase polypeptide and methods of use
EP3201332A1 (en) Compositions comprising beta-mannanase and methods of use
CA2891519A1 (en) Compositions and methods of use
EP2929022A1 (en) Compositions and methods of use
US20150344923A1 (en) Compositions and methods of use
US20170211052A1 (en) Compositions comprising beta mannanase and methods of use
WO2016054185A1 (en) Compositions comprising beta-mannanase and methods of use
US20170233707A1 (en) Compositions comprising beta-mannanase and methods of use
EP3201331A1 (en) Compositions comprising beta mannanase and methods of use
EP3201330A1 (en) Compositions comprising beta mannanase and methods of use

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170731