JPWO2018147130A1 - 磁性体粒子操作用デバイス及び磁性体粒子操作用装置 - Google Patents

磁性体粒子操作用デバイス及び磁性体粒子操作用装置 Download PDF

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Abstract

デバイス1の容器20は、少なくともゲル状媒体層が装填された部分の外周面の長手方向に直交する断面形状が中心に対して非対称な形状となっている。デバイス1は、容器20を容器保持部110に固定する際に、容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合には容器20を固定でき、容器保持部110に容器20が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には容器20を固定できないように規制する規制部24を備える。

Description

本発明は、管状の容器内に、ゲル状媒体層と液体層とが前記容器の長手方向に交互に重層されるとともに磁性体粒子が装填される磁性体粒子操作用デバイス、及び、これが適用される磁性体粒子操作用装置に関するものである。
医学的検査、食品安全衛生上の管理、環境保全のためのモニタリング等では、多種多様な夾雑物を含む試料から、目的物質を抽出して、検出や反応に供することが求められる。例えば、医学的検査では、動植物から分離取得される血液、血清、細胞、尿、糞便等に含まれる、核酸、タンパク質、糖、脂質、細菌、ウィルス、放射性物質等を検出、同定、定量する必要がある。これらの検査に際しては、夾雑物に起因するバックグランド等の悪影響を排除するために、目的物質を分離・精製することが必要となる場合がある。
試料中の目的物質を分離・精製するために、粒径が0.5μm〜十数μm程度の磁性体の表面に、目的物質との化学的な親和力や分子認識機能を持たせた磁性体粒子を用いる方法が開発され、実用化されている。この方法では、磁性体粒子の表面に目的物質を固定させた後、磁場操作により磁性体粒子を液相から分離・回収し、必要に応じて、回収された磁性体粒子を洗浄液等の液相に分散させ、液相から磁性体粒子を分離・回収する工程が繰り返し行われる。その後、磁性体粒子が溶出液中に分散されることにより、磁性体粒子に固定されていた目的物質が溶出液中に遊離し、溶出液中の目的物質が回収される。磁性体粒子を用いることにより、磁石による目的物質の回収が可能となるため、化学抽出・精製の自動化に有利な特徴を持つ。
目的物質を選択的に固定可能な磁性体粒子は、分離・精製キットの一部として市販されている。キットは複数の試薬が別々の容器に入れられており、使用時はユーザーがピペット等で試薬を分取、分注する。これらのピペット操作や磁場操作を自動化するための装置も市販されている(特許文献1)。一方、ピペット操作に代えて、キャピラリー等の管状容器内に、溶解/固定液、洗浄液、溶出液等の液体層と、ゲル状媒体層とが交互に重層された管状デバイスを用い、このデバイス内で磁性体粒子を容器の長手方向に沿って移動させることにより、目的物質を分離・精製する方法が提案されている(特許文献2)。
上記のような管状デバイスとしては、断面形状が円形状の容器が一般的に用いられている。しかし、磁性体粒子を容器内で良好に移動させる観点から、容器の断面形状を円形状のような対称な形状ではなく、中心に対して非対称な断面形状を有する構成も提案されている(特許文献3)。
WO97/44671号国際公開パンフレット WO2012/086243号国際公開パンフレット WO2016/113883号国際公開パンフレット
容器の断面形状が非対称な形状からなる管状デバイスを用いた場合には、その管状デバイスを容器保持部に固定する際に、容器を所定の向きとして固定する必要がある。容器保持部は、例えば磁性体粒子操作用装置の本体の前面に形成された凹部からなる。管状デバイスの容器の断面形状は、その中心を通り本体の前面に直交する面(前後方向に延びる面)に対しては対称(左右対称)であるが、上記中心を通り本体の前面に平行な面(横方向に延びる面)に対しては非対称(前後非対称)である。容器保持部は、容器の前後方向の寸法に合うように設計されているため、容器を前後反対で容器保持部に挿入した場合、すなわち上記中心に対して180°回転させた状態で容器保持部に挿入した場合でも、容器は容器保持部内に保持することができ、その結果、容器が前後反対であることにユーザが気付かないまま操作を行ってしまうおそれがある。容器の断面形状が円形状のような対称な形状の場合とは異なり、上記のような非対称(前後非対称)な断面形状の場合には、容器を所定の向きとは異なる向きで誤って固定したときに、磁性体粒子を容器内で良好に移動させることができず、目的物質の抽出効果に大きな影響を与えてしまうという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、非対称な断面形状を有する容器を所定の向きで確実に固定することができる磁性体粒子操作用デバイス及び磁性体粒子操作用装置を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る磁性体粒子操作用デバイスは、ゲル状媒体層と液体層とが長手方向に交互に重層されるとともに磁性体粒子が装填される管状の容器を備え、容器保持部に前記容器を固定した状態で使用される。前記容器は、少なくともゲル状媒体層が装填された部分の外周面の前記長手方向に直交する断面形状が中心に対して非対称な形状となっている。前記磁性体粒子操作用デバイスは、前記容器を前記容器保持部に固定する際に、前記容器保持部に前記容器が所定の向きで保持されている場合には当該容器を固定でき、前記容器保持部に前記容器が前記所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には当該容器を固定できないように規制する規制部を備える。
このような構成によれば、容器保持部に容器が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には、規制部の規制により容器を固定することができない。したがって、非対称な断面形状を有する容器を所定の向きで確実に固定することができるため、所定の向きとは異なる向きで容器が誤って固定された状態のまま、磁性体粒子を容器内で移動させる動作が行われることを防止できる。
前記容器内には、磁性体粒子が前記長手方向に沿って移動する磁性体粒子移動部が形成されていてもよい。この場合、前記容器の断面形状は、その中心と前記磁性体粒子移動部とを結ぶ第1基準面に対して対称であり、前記第1基準面に直交する第2基準面に対して非対称であってもよい。
(2)前記規制部は、前記容器の外周面に形成された凸部により構成されていてもよい。
このような構成によれば、容器保持部に容器が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合に、容器の外周面に形成された凸部により、容器が固定できないように規制することができる。したがって、容器の外周面に凸部を形成するだけの簡単な構成で、非対称な断面形状を有する容器を所定の向きで確実に固定することができる。
(3)前記規制部には、前記容器内の内容物に関する情報が表示されていてもよい。
このような構成によれば、容器の外周面に形成された凸部により構成される規制部を利用して、当該規制部に容器内の内容物に関する情報を表示することができるため、分析者が容器内の内容物を容易に識別することができる。
(4)本発明に係る磁性体粒子操作用装置は、前記磁性体粒子操作用デバイスと、前記容器を保持する前記容器保持部と、前記容器保持部に保持されている前記容器を押圧して固定する容器押圧部と、磁場を変化させることにより前記容器内の磁性体粒子を移動させる磁場印加部とを備える。
このような構成によれば、容器保持部に容器が所定の向きで保持されている場合にのみ、容器押圧部で容器を押圧して固定することができるため、非対称な断面形状を有する容器を所定の向きで確実に固定することができる。
(5)前記容器保持部は、前記容器を収容して保持する凹部により構成されていてもよい。この場合、前記容器保持部には、当該容器保持部内に前記容器を前記所定の向きとは異なる向きで収容しようとした場合に前記規制部に接触する接触部が形成されていてもよい。
このような構成によれば、容器保持部内に容器を所定の向きとは異なる向きで収容しようとした場合には、容器保持部に形成された接触部が規制部に接触するため、容器保持部内に容器を収容することができない。すなわち、容器収容部内に容器が所定の向きで収容されている場合にのみ容器を固定することができるため、非対称な断面形状を有する容器を所定の向きで確実に固定することができる。
(6)前記容器押圧部における前記容器との当接面は、前記容器保持部に前記容器が前記所定の向きとは異なる向きで保持されている状態で前記容器押圧部により前記容器を押圧しようとした場合に前記規制部に接触してもよい。
このような構成によれば、容器保持部に容器が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には、容器押圧部の当接面が規制部に接触するため、容器押圧部により容器を押圧して固定することができない。すなわち、容器保持部に容器が所定の向きで保持されている場合にのみ容器を固定することができるため、非対称な断面形状を有する容器を所定の向きで確実に固定することができる。
本発明によれば、非対称な断面形状を有する容器を所定の向きで確実に固定することができるため、所定の向きとは異なる向きで容器が誤って固定された状態のまま、磁性体粒子を容器内で移動させる動作が行われることを防止できる。
本発明の一実施形態に係る磁性体粒子操作用デバイスの構成例を示した正面図である。 図1の磁性体粒子操作用デバイスのA−A断面図である。 本発明の一実施形態に係る磁性体粒子操作用装置の構成例を示した正面図である。 図3の磁性体粒子操作用装置のB−B断面図である。 磁性体粒子を操作する際の態様について説明するための模式図である。 磁性体粒子操作用デバイスの断面形状の変形例を示した断面図である。 磁性体粒子操作用デバイスの断面形状の変形例を示した断面図である。 磁性体粒子操作用デバイスの断面形状の変形例を示した断面図である。 磁性体粒子操作用デバイスを固定する際の態様について説明するための正面図であり、容器が所定の向きで保持されている場合を示している。 磁性体粒子操作用デバイスを固定する際の態様について説明するための正面図であり、容器が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合を示している。 規制部の第1変形例を示した磁性体粒子操作用デバイスの背面図である。 規制部の第2変形例を示した磁性体粒子操作用デバイスの正面図である。 規制部の第3変形例を示した磁性体粒子操作用デバイスの正面図である。
1.磁性体粒子操作用デバイス
図1は、本発明の一実施形態に係る磁性体粒子操作用デバイスの構成例を示した正面図である。図2は、図1の磁性体粒子操作用デバイスのA−A断面図である。この磁性体粒子操作用デバイス1(以下、「デバイス1」という。)は、液体試料から目的物質を抽出・精製するためのものであり、一直線上に延びる管状の容器20を備えている。
容器20内には、複数の液体層11と複数のゲル状媒体層12が形成されている。具体的には、容器20の最下部に液体層11が形成され、上方に向かって長手方向にゲル状媒体層12と液体層11とが交互に重層されている。この例では、4つの液体層11と3つのゲル状媒体層12が長手方向に交互に形成された構成となっているが、これに限られるものではなく、液体層11及びゲル状媒体層12の数は任意に設定可能である。
容器20の最上部の液体層11は、目的物質を含む液体試料であり、多数の磁性体粒子13が装填されている。容器20の最下部の液体層11は、液体試料中の目的物質を溶出させるための溶出液である。容器20の中間部の1つ又は複数(この例では2つ)の液体層11は、液体試料に含まれる夾雑物を除去するための洗浄液である。これらの各液体層11は、ゲル状媒体層12によって互いに分離されている。液体試料に含まれる目的物質は、磁性体粒子13に固定された上で、磁場を変化させることによって容器20の最上部から最下部まで移動させる操作(粒子操作)が行われ、その間に洗浄液によって洗浄された上で最下部の抽出液に抽出される。
磁性体粒子13は、その表面又は内部に、核酸や抗原等の目的物質を特異的に固定可能な粒子である。容器20の最上部の液体層11中で磁性体粒子13を分散させることにより、この液体層11中に含まれる目的物質が磁性体粒子13に選択的に固定される。
磁性体粒子13への目的物質の固定方法は特に限定されず、物理吸着、化学吸着等の各種公知の固定化メカニズムが適用可能である。例えば、ファンデルワールス力、水素結合、疎水相互作用、イオン間相互作用、π−πスタッキング等の種々の分子間力により、磁性体粒子13の表面あるいは内部に目的物質が固定される。
磁性体粒子13の粒径は1mm以下が好ましく、0.1μm〜500μmがより好ましく、3〜5μmがさらに好ましい。磁性体粒子13の形状は、粒径が揃った球形が望ましいが、粒子操作が可能である限りにおいて、不規則な形状で、ある程度の粒径分布を持っていてもよい。磁性体粒子13の構成成分は単一物質でもよく、複数の成分からなるものでもよい。
磁性体粒子13は、磁性体のみからなるものでもよいが、磁性体の表面に目的物質を特異的に固定するためのコーティングが施されたものが好ましく用いられる。磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル、ならびにそれらの化合物、酸化物及び合金等が挙げられる。具体的には、マグネタイト(Fe)、ヘマタイト(Fe又はαFe)、マグヘマイト(γFe)、チタノマグネタイト(xFeTiO・(1−x)Fe)、イルメノヘマタイト(xFeTiO・(1−x)Fe)、ピロタイト(Fe1−xS(x=0〜0.13)‥Fe(x〜0.13))、グレイガイト(Fe)、ゲータイト(αFeOOH)、酸化クロム(CrO)、パーマロイ、アルコニ磁石、ステンレス、サマリウム磁石、ネオジム磁石、バリウム磁石が挙げられる。
磁性体粒子13に選択的に固定される目的物質としては、例えば核酸、タンパク質、糖、脂質、抗体、受容体、抗原、リガンド等の生体由来物質や細胞自身が挙げられる。目的物質が生体由来物質である場合は、分子認識等により、磁性体粒子13の内部あるいは粒子表面に目的物質が固定されてもよい。例えば、目的物質が核酸である場合は、磁性体粒子13として、表面にシリカコーティングが施された磁性体粒子等が好ましく用いられる。目的物質が、抗体(例えば、標識抗体)、受容体、抗原及びリガンド等である場合、磁性体粒子13の表面のアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、アピジン、ピオチン、ジゴキシゲニン、プロテインA、プロテインG等により、目的物質を粒子表面に選択的に固定できる。特定の目的物質を選択的に固定可能な磁性体粒子13として、例えば、ライフテクノロジーズから販売されているDynabeads(登録商標)や、東洋紡から販売されているMagExtractor(登録商標)等の市販品を用いることもできる。
目的物質が核酸である場合、洗浄液は、核酸が磁性体粒子13の表面に固定された状態を保持したまま、液体試料中に含まれる核酸以外の成分(例えばタンパク質、糖質等)や、核酸抽出等の処理に用いられた試薬等を洗浄液中に遊離させ得るものであればよい。洗浄液としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム等の高塩濃度水溶液、エタノール、イソプロパノール等のアルコール水溶液等が挙げられる。
核酸を溶出するための溶出液(核酸溶出液)としては、水又は低濃度の塩を含む緩衝液を用いることができる。具体的には、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、蒸留水等を用いることができ、pH7〜9に調整された5〜20mMトリス緩衝液を用いることが一般的である。核酸が固定された磁性体粒子13を溶出液中で分散させることにより、核酸溶出液中に核酸を遊離溶出させることができる。回収された核酸は、必要に応じて濃縮や乾固等の操作を行った後、分析や反応等に供することができる。
ゲル状媒体層12は、粒子操作前においてゲル状、若しくはペースト状である。ゲル状媒体層12は、隣接する液体層11に対して不溶性又は難溶性であり、化学的に不活性な物質からなることが好ましい。ここで、液体に不溶性又は難溶性であるとは、25℃における液体に対する溶解度が概ね100ppm以下であることを意味する。化学的に不活性な物質とは、液体層11との接触や磁性体粒子13の操作(すなわち、ゲル状媒体層12中で磁性体粒子13を移動させる操作)において、液体層11、磁性体粒子13や磁性体粒子13に固定された物質に、化学的な影響を及ぼさない物質を指す。
ゲル状媒体層12の材料や組成等は、特に限定されず、物理ゲルであってもよいし、化学ゲルであってもよい。例えば、WO2012/086243号に記載されているように、非水溶性又は難水溶性の液体物質を加熱し、加熱された当該液体物質にゲル化剤を添加し、ゲル化剤を完全に溶解させた後、ゾル・ゲル転移温度以下に冷却することで、物理ゲルが形成される。
容器20内への液体層11及びゲル状媒体層12の装填は、適宜の方法により行い得る。本実施形態のように管状の容器20が用いられる場合、装填に先立って容器20の一端(例えば下端)の開口が封止され、他端(例えば上端)の開口部から液体層11及びゲル状媒体層12が順次装填されることが好ましい。
容器20内に装填される液体層11及びゲル状媒体層12の容量は、操作対象となる磁性体粒子13の量や、操作の種類等に応じて適宜に設定され得る。本実施形態のように容器20内に複数の液体層11及びゲル状媒体層12が設けられる場合、各層の容量は同一でもよいし、異なっていてもよい。各層の厚みも適宜に設定され得る。操作性等を考慮した場合、各層の厚みは、例えば2mm〜20mm程度が好ましい。
容器20の最上部は、他の部分よりも内径及び外径が大きい膨出部21となっている。膨出部21の上面は開口部となっており、膨出部21に対して着脱可能なキャップ30により当該開口部を封止することができる。キャップ30を取り外した状態で、膨出部21内に液体試料が注入されることにより、容器20の最上部の液体層11が形成される。
容器20における膨出部21よりも下方の部分は、長手方向に直交する断面形状が図2に示すような一定形状である直線部22となっている。膨出部21及び直線部22は、膨出部21側から直線部22側に向かって先細りするテーパ部23により接続されている。直線部22の下端(容器20の底面)には、開口が形成されており、当該開口がフィルム部材40により封止されている。容器20の最下部の液体層11である溶出液中に抽出された目的物質は、フィルム部材40を貫通させるようにしてピペットを溶出液中に挿入することにより、当該ピペット内に吸い出すことができる。フィルム部材40は、例えばアルミなどにより形成されるが、これに限られるものではない。
容器20の材料は、容器20内で磁性体粒子13を移動可能であり、液体層11及びゲル状媒体層12を保持できるものであれば、特に限定されない。容器20外から磁場を変化させる操作(磁場操作)を行うことにより容器20内の磁性体粒子13を移動させるためには、プラスチック等の透磁性材料が好ましく、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、テトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等の樹脂材料が挙げられる。容器20の材質としては、上述の素材の他、セラミック、ガラス、シリコーン、非磁性金属等も用いられ得る。容器20の内壁面の撥水性を高めるために、フッ素系樹脂やシリコーン等によるコーティングが行われてもよい。
容器20の形状としては、図2に示すように、容器20における膨出部21よりも下方の直線部22の断面形状(長手方向に直交する断面形状)が、中心Cに対して非対称な形状となっている。具体的には、直線部22の正面側の外周面が平坦面221となっており、中心Cを挟んで反対側である背面側の外周面が凸湾曲面222となっている。容器20についてのさらに具体的な形状については後述する。
2.磁性体粒子操作用装置
図3は、本発明の一実施形態に係る磁性体粒子操作用装置の構成例を示した正面図である。図4は、図3の磁性体粒子操作用装置のB−B断面図である。この磁性体粒子操作用装置100(以下、「装置100」という。)は、図1及び図2に示すデバイス1が固定された状態で使用され、デバイス1の容器20内の液体試料に含まれる目的物質に対して粒子操作を行うためのものである。
装置100には、デバイス1を保持する容器保持部110が形成された本体101と、容器保持部110に保持されているデバイス1の容器20を押圧して固定するための容器押圧部102とを備えている。この例では、容器押圧部102が、本体101に対してヒンジ(図示せず)により回動可能に取り付けられた扉により構成されている。ただし、容器押圧部102は、容器保持部110に保持されているデバイス1を固定可能な構成であれば、本体101に対して回動可能な構成に限らず、本体101に対してスライド可能な構成や、本体101に対して着脱可能な構成などであってもよい。
容器保持部110は、本体101の前面120に形成された凹部により構成されている。容器保持部110は、デバイス1の容器20における膨出部21を収容する第1収容部111と、直線部22を収容する第2収容部112とが、上下方向D1に連続して延びるように形成されている。また、容器保持部110は、直線部22が延びる方向(上下方向D1)に対して直交し、本体101の前面120に平行な方向である横方向D2の幅が、デバイス1に対応する幅となっている。
具体的には、第1収容部111の横方向D2の幅W1は、容器20の膨出部21の幅よりも若干大きい。一方、第2収容部112の横方向D2の幅W2は、容器20の直線部22の幅よりも若干大きく、膨出部21の幅よりも小さい。また、第1収容部111及び第2収容部112は、容器20のテーパ部23に対応する角度で傾斜した絞り部113により接続されている。これにより、容器保持部110内に容器20を収容した状態では、容器20のテーパ部23が容器保持部110の絞り部113に引っ掛かり、吊り下げられた状態で保持されるようになっている。
図4に示すように、容器20は、平坦面221が横方向D2に延び、凸湾曲面222が平坦面221よりも背面側に位置するようにして、容器保持部110内に収容される。容器保持部110の第2収容部112の内面には、横方向D2の両側から内側に向かって突出する段差部114が形成されている。この段差部114における第1収容部111の横方向D2の幅W3は、前面120側における幅W2よりも小さく、容器20の直線部22の横方向D2の幅よりも小さい。
したがって、前面120側から容器保持部110内に収容される容器20の直線部22は、その凸湾曲面222側が段差部114に当接した状態となる。このとき、容器20の平坦面221は、容器保持部110から本体101の前面120よりも前方に張り出した状態となる。この状態で、容器押圧部102を構成する扉を閉じることにより、図4に示すように、本体101の前面120に対向する当接面121を容器20の平坦面221に当接させ、背面側に押圧することができる。これにより、当接面121と段差部114との間で容器20の直線部22を挟み込み、直線部22の反りを解消した状態で強固に固定することができる。
容器保持部110の背面側は開口しており、容器保持部110に対向するように永久磁石130が配置されている。この永久磁石130は、上下方向D1に沿ってスライド可能に保持されている。永久磁石130は、容器20内の磁性体粒子13を磁力で引き付ける。これにより、図4に示すように凸湾曲面222側に磁性体粒子13が集められる。このようにして磁性体粒子13を永久磁石130側に引き付けた状態で、永久磁石130を上下方向D1に移動させることにより、容器20内の磁性体粒子13を上下方向D1に移動させることができる。
このように、永久磁石130は、磁場を変化させることにより容器20内の磁性体粒子13を移動させる磁場印加部を構成している。永久磁石130は、モータ等の駆動手段によりスライドさせてもよいし、手動でスライドさせてもよい。図4の例では、永久磁石130における容器20側の面が、凹湾曲面131により構成されている。凹湾曲面131は、容器20の凸湾曲面222に対応する曲率半径を有している。ただし、永久磁石130は、磁性体粒子13の操作が可能であれば、その形状や大きさ、材質は特に限定されない。磁場印加部が有する磁力源としては、永久磁石130を用いる以外に電磁石を用いることも可能である。また、磁場印加部は、複数の磁力源を有してもよい。
3.磁性体粒子の操作
図5は、磁性体粒子13を操作する際の態様について説明するための模式図である。図5では、説明を分かりやすくするために、デバイス1の形状を簡略化して示している。図5Aにおいて、容器20の最上部の液体層11には、多数の磁性体粒子13が含まれている。このように、磁性体粒子13を液体層11中で分散させることにより、液体層11中に含まれる目的物質が磁性体粒子13に選択的に固定される。
その後、図5Bに示すように、容器20の外周面に、磁力源である永久磁石130を近付けると、目的物質が固定された磁性体粒子13が、磁場の作用により、容器20内の永久磁石130側(凸湾曲面222側)に集められる。そして、図5Cに示すように、永久磁石130を容器20の外周面に沿って容器20の長手方向(上下方向)に移動させると、磁場の変化に追随して、磁性体粒子13も容器20の長手方向に沿って移動し、交互に重層された液体層11及びゲル状媒体層12を順次移動する。
磁性体粒子13の周囲に液滴として物理的に付着している液体の大半は、磁性体粒子13がゲル状媒体層12の内部に進入する際に、磁性体粒子13の表面から脱離する。ゲル状媒体層12内への磁性体粒子13の進入及び移動により、ゲル状媒体層12が穿孔されるが、ゲルの復元力による自己修復作用により、ゲル状媒体層12の孔は直ちに塞がれる。そのため、磁性体粒子13による貫通孔を介したゲル状媒体層12への液体の流入は、ほとんど生じない。
液体層11内で磁性体粒子13を分散させ、磁性体粒子13を液体層11内の液体と接触させることにより、磁性体粒子13への目的物質の固定、磁性体粒子13の表面に付着している夾雑物を除去するための洗浄操作、磁性体粒子13に固定されている目的物質の反応、磁性体粒子13に固定されている目的物質の液体中への溶出等の操作が行われる。
4.磁性体粒子操作用デバイスの断面形状
図4に示すように、デバイス1の直線部22の背面側に凸湾曲面222が形成された構成の場合には、容器20の外周面に永久磁石130を近付けたときに、目的物質が固定された磁性体粒子13が凸湾曲面222に沿うように球状に集められる。その後、永久磁石130を容器20の長手方向に沿って移動させることで、磁性体粒子13は、凸湾曲面222の近傍に球状に集められた状態で長手方向に沿って移動する。したがって、磁性体粒子13は、棒状の塊となって容器20の長手方向に移動し、ゲル状媒体層12を通過する。このように、容器20内における凸湾曲面222の近傍の領域は、長手方向に沿って延びる磁性体粒子移動部を構成している。
上記のように、磁性体粒子13を棒状の塊として容器20の長手方向に移動させることで、磁性体粒子13が通過する際のゲル状媒体層12の孔の径を小さくできる。したがって、直線部22の断面形状が円形である場合に比べて、磁性体粒子13の通過後にゲル状媒体層12の孔を速やかに塞ぐことができるため、液体層11の液体が別の液体層11に混入することを防止できる。
一方で、直線部22の正面側の外周面には平坦面221が形成されているため、直線部22の断面形状が円形である場合に比べて、直線部22の断面積を確保しつつ、永久磁石130からの距離が近い範囲内に直線部22全体を配置することができる。したがって、直線部22内の磁性体粒子13に対して、永久磁石130による磁力を確実に作用させることができる。
このような観点から、本実施形態における容器20(直線部22)は、長手方向に直交する断面形状が中心Cに対して非対称な形状となっている。すなわち、中心Cを通る横方向D2に平行な直線に対して、正面側と背面側とで線対称ではない断面形状となっている。より具体的には、容器20(直線部22)の断面形状は、その中心Cと磁性体粒子移動部(凸湾曲面222の内壁の頂点)とを結ぶ第1基準面(前後方向に延びる面)に対して対称(左右対称)であり、中心Cを通り上記第1基準面に直交する第2基準面(横方向D2に延びる面)に対して非対称(前後非対称)である。特に、容器20の正面側に平坦面221が形成されていることにより、容器押圧部102の当接面121から平坦面221に対して均等に押圧力を作用させることができるため、安定して容器20を固定することができる。
ただし、容器20(直線部22)の断面形状は、上記のような形状に限られるものではなく、長手方向に直交する断面形状が中心に対して非対称な形状であれば、他の任意の形状を採用することができる。また、少なくともゲル状媒体層12が装填された部分の外周面において断面形状が非対称であればよいが、磁性体粒子13をスムーズに移動させるという観点からは、直線部22の断面形状は上端部から下端部まで一定であることが好ましい。また、容器20は、膨出部21を備えた構成に限らず、直線部22のみからなる構成であってもよい。
直線部22の背面側の断面形状としては、凸湾曲面222を有する形状に限らず、凸屈曲面を有する形状(角形状)も考えられるが、この場合、磁性体粒子13との摩擦が大きくなり、磁性体粒子13の移動が妨げられるため、磁性体粒子13が詰まりやすくなる。そのため、直線部22の背面側の断面形状は、凸湾曲面222を有する形状であることが好ましい。
また、容器20(直線部22)の肉厚は特に限定されるものではないが、永久磁石130と対向する側において肉厚が一定であれば、永久磁石130と容器20の内周面との距離を一定に保つことができるため、磁性体粒子13をスムーズに移動できる。そのため、永久磁石130と対向する側において、容器20の肉厚は、少なくともゲル状媒体層12が装填された部分で一定であることが好ましく、直線部22の上端部から下端部まで一定であることがより好ましい。容器20(直線部22)の長さは特に限定されず、一例として、50mm〜200mm程度でよい。
図6A〜図6Cは、磁性体粒子操作用デバイスの断面形状の変形例を示した断面図である。これらの変形例では、いずれも容器20(直線部22)の長手方向に直交する断面形状が、中心Cに対して非対称な形状となっている。
図6Aの例では、直線部22の背面側の断面形状が、上記実施形態と同様に凸湾曲面222を有する形状となっているが、正面側に平坦面223が2つ形成されている点が異なっている。この場合、2つの平坦面223を容器押圧部で押圧するような構成であってもよい。ただし、平坦面223は2つに限らず、3つ以上形成されていてもよい。
図6Bの例では、直線部22の背面側の断面形状が、上記実施形態と同様に凸湾曲面222を有する形状となっているが、正面側に平坦面223ではなく凸湾曲面224が形成されている点が異なっている。この場合、凸湾曲面224を容器押圧部で押圧するような構成であってもよい。正面側の凸湾曲面224の曲率半径は、背面側の凸湾曲面222の曲率半径よりも大きいことが好ましい。
図6Cの例では、直線部22の背面側の断面形状が、上記実施形態と同様に凸湾曲面222を有する形状となっているが、その他の部分が円形状となっている点が異なっている。このように、直線部22の長手方向に直交する断面形状としては、中心Cに対して非対称な形状であれば、任意の形状を採用することができる。
5.磁性体粒子操作用デバイスの固定
図7A及び図7Bは、磁性体粒子操作用デバイスを固定する際の態様について説明するための正面図である。図7Aは、容器20が予め定められた所定の向き(正規の向き)で保持されている場合を示しており、図7Bは、容器20が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合を示している。
容器20の膨出部21には、その外周面に形成された凸部により構成される規制部24が形成されている。規制部24は、例えば容器20の長手方向(上下方向D1)に沿って延びる板状の部材であり、平坦面221よりも正面側に突出しないように横方向D2に突出している。一方、容器保持部110の第1収容部111には、図7Aのように容器20が所定の向きで挿入される場合に規制部24を受け入れる凹部115が形成されている。凹部115の形状は、規制部24の形状に対応しており、規制部24の外形よりも若干大きく窪むように形成されている。
図7Aのように、容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合には、規制部24が凹部115内に収容されるため、規制部24が容器保持部110内から前方に突出しない。この場合、図4に示すように容器押圧部102の当接面121で容器20を押圧する際に、容器押圧部102が規制部24に接触しない。そのため、容器押圧部102の当接面121を本体101の前面120に対して平行な状態として、容器20を背面側に真っ直ぐ押圧し、容器20を固定することができる。ここで、「容器20を固定することができる」とは、容器20を容器保持部110内でがたつきなく正常に固定できることを意味している。したがって、容器保持部110に容器20を所定の向きで挿入したときに、上記のように規制部24が凹部115内に収容されるような構成に限られるものではなく、例えば規制部24は容器保持部110側に収容されず、規制部24が容器押圧部102の当接面121に形成された凹部(図示せず)に収容されることにより、規制部24が当接面121に接触することなく容器20が正常に固定される場合も、「容器20を固定することができる」状態に含まれる。
一方、図7Bのように、容器保持部110に容器20が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には、規制部24が凹部115内に収容されない。具体的には、容器20を容器保持部110に収容しようとしたときに、第1収容部111の内周面の一部(接触部116)が規制部24に接触する。この場合、容器20全体を容器保持部110内に収容することができず、規制部24が容器保持部110内から前方に突出した状態となるため、この状態で容器押圧部102の当接面121で容器20を押圧すると、当接面121が規制部24に接触する。したがって、容器押圧部102の当接面121を本体101の前面120に対して平行な状態とすることができず、容器20を背面側に真っ直ぐ押圧することができないため、容器20を固定することができない。ここで、「容器20を固定することができない」とは、容器20を容器保持部110内でがたつきなく正常に固定できないことを意味している。したがって、容器保持部110に容器20を所定の向きとは異なる向きで挿入したときに、上記のように規制部24が第1収容部111の接触部116に接触するような構成に限られるものではなく、例えば規制部24は容器保持部110側に接触せず、規制部24が容器押圧部102の当接面121に接触して容器押圧部102で正常に押圧することができないために、容器20が正常に固定できないような場合も、「容器20を固定することができない」状態に含まれる。
本実施形態では、図7Bのように容器保持部110に容器20が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には、規制部24の規制により容器20を固定することができない。したがって、図7Aのような状態でのみ、非対称な断面形状を有する容器20を所定の向きで確実に固定することができるため、所定の向きとは異なる向きで容器20が誤って固定された状態のまま、磁性体粒子13を容器20内で移動させる動作が行われることを防止できる。特に、容器20の外周面に凸部からなる規制部24を形成するだけの簡単な構成で、非対称な断面形状を有する容器20を所定の向きで確実に固定することができる。
図7Aに示すように、規制部24には、容器20内の内容物に関する情報25が表示されている。上記情報25としては、目的物質に関する情報、磁性体粒子13に関する情報、液体層11に関する情報、ゲル状媒体層12に関する情報などが含まれていてもよい。また、上記情報25は、文字又は記号などにより表示されていてもよいし、バーコード又は2次元コードなどのコード情報として表示されていてもよい。
この場合、容器20の外周面に形成された凸部により構成される規制部24を利用して、当該規制部24に容器20内の内容物に関する情報を表示することができるため、分析者が容器20内の内容物を容易に識別することができる。より多くの情報25を規制部24に表示する観点からは、規制部24の表面積が大きいことが好ましく、本実施形態のように板状の部材で規制部24を構成すれば、規制部24に情報25を表示する領域を十分に確保することができる。ただし、規制部24は板状の部材に限らず、他の任意の形状で形成することができる。
6.規制部の変形例
図8は、規制部24の第1変形例を示した磁性体粒子操作用デバイスの背面図である。この変形例では、規制部24が、例えば柱状の突起により構成されており、容器20の背面側(凸湾曲面222側)から突出している。
容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合には、規制部24が容器保持部110内の背面側に位置するため、規制部24が容器保持部110内から前方に突出しない。一方、図8のように、容器保持部110に容器20が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合、より具体的には180°反対向きに保持されている場合、規制部24が正面側に位置し、規制部24が容器保持部110から前方に向かって突出する。
このように規制部24が容器保持部110から前方に向かって突出した状態では、容器押圧部102の当接面121で容器20を押圧しようとしたときに、当接面121が規制部24に接触する。したがって、容器押圧部102の当接面121を本体101の前面120に対して平行な状態とすることができず、容器20を背面側に真っ直ぐ押圧することができないため、容器20を固定することができない。すなわち、容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合にのみ容器20を固定することができるため、非対称な断面形状を有する容器20を所定の向きで確実に固定することができる。
図9は、規制部24の第2変形例を示した磁性体粒子操作用デバイスの正面図である。この変形例では、規制部24が、容器20の膨出部21ではなく、直線部22の外周面に形成された凸部により構成されている。
この場合、容器保持部110の第2収容部112には、図9のように容器20が所定の向きで挿入される場合に規制部24を受け入れる凹部117が形成されている。凹部117の形状は、規制部24の形状に対応しており、規制部24の外形よりも若干大きく窪むように形成されている。
図9のように、容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合には、規制部24が凹部117内に収容されるため、規制部24が容器保持部110内から前方に突出しない。一方、容器保持部110に容器20が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には、規制部24が凹部117内に収容されない。具体的には、容器20を容器保持部110に収容しようとしたときに、第2収容部112の内周面の一部(接触部118)が規制部24に接触する。
この場合、容器20全体を容器保持部110内に収容することができず、規制部24が容器保持部110内から前方に突出した状態となるため、この状態で容器押圧部102の当接面121で容器20を押圧すると、当接面121が規制部24に接触する。したがって、容器押圧部102の当接面121を本体101の前面120に対して平行な状態とすることができず、容器20を背面側に真っ直ぐ押圧することができないため、容器20を固定することができない。すなわち、容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合にのみ容器20を固定することができるため、非対称な断面形状を有する容器20を所定の向きで確実に固定することができる。
規制部24には、図7Aの場合と同様に、容器20内の内容物に関する情報25が表示されていてもよい。このように規制部24に情報25を表示させる場合には、より多くの情報25を規制部24に表示する観点から、規制部24の表面積が大きいことが好ましく、図9のように板状の部材で規制部24が構成されていることが好ましい。
図10は、規制部24の第3変形例を示した磁性体粒子操作用デバイスの正面図である。上記実施形態及び変形例では、規制部24が凸部により構成される場合について説明したが、この変形例では、容器保持部110に凸部からなる接触部119が形成されており、この接触部119を受け入れる凹部26が容器20に形成されている。凹部26の形状は、接触部119の形状に対応しており、接触部119の外形よりも若干大きく窪むように形成されている。
図10のように、容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合には、接触部119が凹部26内に収容される。一方、容器保持部110に容器20が所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には、接触部119が凹部26内に収容されない。具体的には、容器20を容器保持部110に収容しようとしたときに、容器20の外周面の一部(規制部24)が接触部119に接触する。
この場合、容器20全体を容器保持部110内に収容することができず、規制部24が容器保持部110内から前方に突出した状態となるため、この状態で容器押圧部102の当接面121で容器20を押圧すると、当接面121が規制部24に接触する。したがって、容器押圧部102の当接面121を本体101の前面120に対して平行な状態とすることができず、容器20を背面側に真っ直ぐ押圧することができないため、容器20を固定することができない。すなわち、容器保持部110に容器20が所定の向きで保持されている場合にのみ容器20を固定することができるため、非対称な断面形状を有する容器20を所定の向きで確実に固定することができる。
凹部26は、図10のように容器20の膨出部21に形成された構成に限らず、直線部22に形成された構成であってもよいが、膨出部21であればより大きい凹部26を形成することができる。ただし、容器20内で磁性体粒子13をスムーズに移動させるとう観点からは、容器20に凹部26が形成された構成よりも、凸部により規制部24が構成されていることが好ましい。
1 磁性体粒子操作用デバイス
11 液体層
12 ゲル状媒体層
13 磁性体粒子
20 容器
21 膨出部
22 直線部
23 テーパ部
24 規制部
25 情報
26 凹部
100 磁性体粒子操作用装置
101 本体
102 容器押圧部
110 容器保持部
111 第1収容部
112 第2収容部
113 絞り部
114 段差部
115 凹部
116 接触部
117 凹部
118 接触部
119 接触部
120 前面
121 当接面
130 永久磁石
221 平坦面
222 凸湾曲面
223 平坦面
224 凸湾曲面

Claims (7)

  1. ゲル状媒体層と液体層とが長手方向に交互に重層されるとともに磁性体粒子が装填される管状の容器を備え、容器保持部に前記容器を固定した状態で使用される磁性体粒子操作用デバイスであって、
    前記容器は、少なくともゲル状媒体層が装填された部分の外周面の前記長手方向に直交する断面形状が中心に対して非対称な形状となっており、
    前記容器を前記容器保持部に固定する際に、前記容器保持部に前記容器が所定の向きで保持されている場合には当該容器を固定でき、前記容器保持部に前記容器が前記所定の向きとは異なる向きで保持されている場合には当該容器を固定できないように規制する規制部を備えることを特徴とする磁性体粒子操作用デバイス。
  2. 前記容器内には、磁性体粒子が前記長手方向に沿って移動する磁性体粒子移動部が形成されており、
    前記容器の断面形状は、その中心と前記磁性体粒子移動部とを結ぶ第1基準面に対して対称であり、前記第1基準面に直交する第2基準面に対して非対称であることを特徴とする請求項1に記載の磁性体粒子操作用デバイス。
  3. 前記規制部は、前記容器の外周面に形成された凸部により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性体粒子操作用デバイス。
  4. 前記規制部には、前記容器内の内容物に関する情報が表示されていることを特徴とする請求項3に記載の磁性体粒子操作用デバイス。
  5. 請求項1に記載の磁性体粒子操作用デバイスと、
    前記容器を保持する前記容器保持部と、
    前記容器保持部に保持されている前記容器を押圧して固定する容器押圧部と、
    磁場を変化させることにより前記容器内の磁性体粒子を移動させる磁場印加部とを備えることを特徴とする磁性体粒子操作用装置。
  6. 前記容器保持部は、前記容器を収容して保持する凹部により構成されており、
    前記容器保持部には、当該容器保持部内に前記容器を前記所定の向きとは異なる向きで収容しようとした場合に前記規制部に接触する接触部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の磁性体粒子操作用装置。
  7. 前記容器押圧部における前記容器との当接面は、前記容器保持部に前記容器が前記所定の向きとは異なる向きで保持されている状態で前記容器押圧部により前記容器を押圧しようとした場合に前記規制部に接触することを特徴とする請求項5に記載の磁性体粒子操作用装置。
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