JPWO2018124153A1 - 抗vegfr−2抗体医薬品の治療効果を予測するバイオマーカー、検査方法、及び検査キット - Google Patents

抗vegfr−2抗体医薬品の治療効果を予測するバイオマーカー、検査方法、及び検査キット Download PDF

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Abstract

VEGF−A、VEGF−D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1を測定することにより、抗VEGFR-2抗体医薬品、特にラムシルマブ投与による治療効果、予後予測を行うことができる。抗VEGFR-2抗体医薬品、特にラムシルマブ投与による効果を予測するためのバイオマーカー、該マーカーを使用した検査方法、検査キットを提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は抗VEGFR−2(vascular endothelial growth factor receptor−2、血管内皮増殖因子受容体−2)抗体医薬品の治療効果を予測するマーカー、及び治療効果を予測する検査方法、及び検査キットに関する。
がんが増殖、転移する際には、増殖能を維持するための栄養補給経路として血管新生と言われる栄養血管の新生が起こる。その血管新生を誘導する因子のひとつに血管内皮増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)がある。VEGFの受容体であるVEGFRは、受容体型チロシンキナーゼの一種であり、そのリガンドであるVEGFとともに、血管内皮細胞の増殖、遊走の促進など、血管新生において重要な役割を担っている。VEGFRのファミリーには、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3の3種類に加えて、可溶性VEGFRが知られている。VEGFRファミリーは類似した構造をとり、血小板由来成長因子(PDGF)受容体や幹細胞因子受容体(SCFR、c−kit)等の分子とも相同性を有するとされている。
VEGFR-1とVEGFR-2は43%の相同性を有し、細胞内領域のチロシンキナーゼドメイン内に存在するキナーゼ挿入配列は最もよく保存されている。VEGFR−2はVEGFR−1と比較してリガンドに対する結合能は弱いものの、チロシンキナーゼ活性は強く、総合的に見て細胞内シグナル伝達に対する寄与が大きく、血管新生の過程に大きく関与していると考えられている。VEGFR−2はVEGF−A、C、DおよびEとの結合能を有しており、3種のVEGFRのうち、VEGFによって誘発される腫瘍血管新生と最も密接に関連しているといわれる受容体である。
がんの増殖、及び転移に関わる血管新生において重要な作用をするVEGFR−2に対する抗体医薬品が開発されつつあり、その代表的な抗体医薬品であるラムシルマブ(Ramucirumab、商品名「サイラムザ」、イーライ・リリー社製)は、VEGFR−2に対する遺伝子組換えヒト免疫グロブリンG1(IgG1)のヒト型モノクローナル抗体である。
ラムシルマブはVEGFR−2に特異的に結合することによって、VEGFリガンドであるVEGF−A、VEGF−C、VEGF−DとVEGFR−2との結合を阻害し、VEGFR−2とその下流のシグナル伝達系の活性化を阻害する。その結果、血管内皮細胞の増殖、遊走を阻害し、腫瘍血管の新生を阻害して抗腫瘍効果を発揮する。
罹患率の高い胃がん、肺がん、大腸がんを含むいくつかのがん種においてVEGFR−2とリガンドとの相互作用によって腫瘍血管の新生が生じることが示されており、ラムシルマブは日本では、切除不能な進行・再発胃がん、結腸、直腸がん、非小細胞肺がんの治療薬として承認されている。
中でも胃がんは本邦において罹患率第1位、死亡率第2位のがんであり、患者数の非常に多いがんである。切除不能な進行・再発胃がんの平均予後は13−14か月であり、依然として予後不良であることから、適切な治療薬、治療方法が求められている。
胃がん既治療例を対象としたラムシルマブとパクリタキセルとの併用投与と、プラセボとパクリタキセルの併用投与を比較した国際共同第III相臨床試験(RAINBOW試験)において、ラムシルマブとパクリタキセルとの併用投与は全生存期間の有意な延長効果を認めた(非特許文献1)。また、プラセボ投与群との比較を行った国際共同第III相臨床試験(REGARD試験)でも、ラムシルマブ単独投与群は、全生存期間の有意な延長効果を認め(非特許文献2)、ラムシルマブは切除不能の進行・再発胃がん治療法の主要な選択肢となっている。
しかしながら、ラムシルマブは、副作用も少なく胃がんで効果が認められる患者が多い一方で、さほど治療効果が得られない患者もいる。こうした治療上のベネフィットが少ない患者に対しては、ラムシルマブの治療開始前、あるいは治療開始早期に治療効果予測を行うことができれば、治療効果が期待できない患者に対して無駄な治療を行うことなく、代替の治療を行うことができる。そのため、医薬品の適正使用の観点からもこれを可能とする適切な治療効果予測のバイオマーカーの開発が望まれる。
ラムシルマブの治療効果予測については、VEGFR-2シグナル伝達系の腫瘍血管新生に主として関わるVEGF−C、VEGF−Dや、可溶性VEGFRであるsVEGFR-1(soluble VEGFR−1)、sVEGFR-2、VEGFファミリーに属する増殖因子の一つである胎盤増殖因子(PlGF:placental growth factor)について解析が行われたが、いずれも相関がないという結果が報告されている(非特許文献3、4)。がん組織を免疫組織染色により解析した結果によれば、VEGFR−2の内皮細胞での発現が高発現の群では低発現の群に比べて無増悪生存期間(PFS:Progression‐Free Survival)が短いという傾向があるものの、治療後の予後予測、あるいは治療効果を示す結果は今までに得られていない。すなわち、ラムシルマブの治療効果予測マーカーが求められているにもかかわらず、現在まで、その治療効果予測に関する確立したバイオマーカーはない。
ただし、抗VEGFR−2抗体医薬品に特異的な治療効果予測法ではないが、ラムシルマブを含む血管新生抑制剤の治療効果を予測する方法はいくつか開示されている。特許文献1、及び2には、患者の抗血管新生治療薬に対する応答性を予測する方法が開示されている。これらの方法は、患者がん組織の全RNAの発現シグネチャから患者が抗血管新生治療薬に応答するか否かを判断するものであり、抗血管新生治療薬としてラムシルマブだけではなく、ベバシズマブ(抗VEGF抗体薬品)のほか、イマチニブ(マルチチロシンキナーゼ阻害薬)、ゲフィチニブ(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)、エルロチニブ(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)など作用点の異なる化合物も治療薬として含まれている。そのため、これら文献に開示されているマーカーは、ラムシルマブの治療効果について特異的な予測ができるものではない。また、特許文献1、及び2に開示されている方法は、がん組織の全RNAを解析することが必要である。切除不能の再発胃がんを対象とする場合には、通常、バイオプシーによる臨床検体を得ることができないことから、特許文献1や2に記載されている方法では実際は解析を行うことができない。
Wilke, H. et al., 2014, Lancet Oncol., Vol.15, p.1224-1235. Fuchs, C.S. et al., 2014, Lancet, Vol.383, p.31-39. Van Cutsem,E. et al., 2016, Ann. Oncol. Vol. 27(Issue suppl_2)ii120 Fuchs, C.S. et al., 2016, Br. J. Cancer, Vol.115, p.974-982. Zhu, A. X, et al., 2013, Clin Cancer Research, Vol 19,p6614-6623. Ohtsu, A.et al., 2011, J. Clin. Oncol., Vol.29, p.3968-3976.
特表2014−516552号公報 特表2015−536667号公報
本発明は、抗VEGFR-2抗体医薬品、特にラムシルマブの治療効果を予測するバイオマーカーを探索し、実臨床での検査・治療に役立てることを課題とする。治療開始前、あるいは治療開始早期に抗VEGFR-2抗体医薬品に対する応答性を判定することができれば、効果が期待できる患者のみに抗VEGFR-2抗体医薬品を投与し、治療効果が期待できない患者に対して無駄な治療を行わず、適正な治療を選択することができる。本発明は抗VEGFR-2抗体医薬品を適用するに際し、適正な治療を選択するための検査方法を提供することを課題とする。
上述のように、現在、抗血管新生治療薬の応答性の検査方法において、試料としてがん組織を用いることが開示されている。しかしながら、進行・再発がんを対象とする場合には、バイオプシーによるがん組織を得ることが実臨床の上では困難であることが多く、がん組織を用いる従来の技術を適用することができない。そのため、新たな検査技術が求められている。本発明は、血液試料中のバイオマーカーを探索し、当該マーカーを用いる検査方法を開発することを課題とする。さらに当該マーカーを用いた検査キットを提供することを課題とする。
本発明は、抗VEGFR-2抗体医薬品、特にラムシルマブの治療効果の予測、及び予後予測に関するバイオマーカー、検査方法、及び検査キットに関する。
(1)抗VEGFR-2抗体医薬品投与による治療効果予測及び/又は予後予測の検査方法であって、患者より採取された治療開始前、及び治療開始後早期の試料中のVEGF−A濃度を測定することを特徴とする検査方法。
(2)(1)記載の検査方法であって、さらに、VEGF−D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1の少なくとも1つ以上の濃度を測定することを特徴とする検査方法。
(3)(2)記載の検査方法であって、VEGF−A、及びVEGF-D濃度を測定することを特徴とする検査方法。
(4)(1)〜(3)いずれか1つ記載の検査方法であって、前記抗VEGFR-2抗体医薬品がラムシルマブであることを特徴とする検査方法。
(5)(1)〜(4)いずれか1つ記載の検査方法であって、前記試料が血液、血漿、又は血清であることを特徴とする検査方法。
(6)抗VEGFR-2抗体医薬品投与による治療効果予測及び/又は予後予測を検査するためのキットであって、患者試料中のVEGF−A濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする検査キット。
(7)(6)記載のキットであって、さらに、VEGF−D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1の少なくとも1つ以上の濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする検査キット。
(8)(7)記載のキットであって、VEGF−A、及びVEGF-D濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とするキット。
(9)(6)〜(8)いずれか1つ記載の検査キットであって、前記抗VEGFR-2抗体医薬品がラムシルマブであることを特徴とする検査キット。
(10)VEGF−A、VEGF-D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1のいずれかであることを特徴とする抗VEGFR-2抗体医薬品投与による治療効果予測及び/又は予後予測のためのバイオマーカー。
(11)前記抗VEGFR-2抗体医薬品がラムシルマブであることを特徴とする(10)記載のバイオマーカー。
本発明により抗VEGFR-2抗体医薬品、特にラムシルマブの治療効果を予測できるバイオマーカーが得られたことで、実臨床における治療法の開発に役立てることができる。具体的には、ラムシルマブの治療開始早期の段階で治療効果及び予後を予測することが可能となる。その結果、ラムシルマブ投与の判断の補助情報を提供することができる。
治療薬投与、及び採血のスケジュールを示す図。 解析したタンパク質の典型的な動向を示す図。 VEGF−AとPFS、全生存期間(OS:Overall Survival)との相関を示す図。 ラムシルマブ治療開始8日目のVEGF−AとPFS、OSとの相関を示す図。 ラムシルマブ治療開始8日目のVEGF−DとPFS、OSとの相関を示す図。 ラムシルマブ治療開始8日目のVEGF−A低値、かつVEGF−D高値群と他の群間とのPFS、OSとの相関を示す図。 ラムシルマブ治療開始8日目のVEGF−AとVEGF−Dの比とPFS、OSとの相関を示す図。 ラムシルマブ投与群、あるいはパクリタキセル単独投与群における、VEGF−A、VEGF−Dの治療開始前、治療開始後8日目の変動を示す図。 sVEGFR-2とPFSとの相関を示す図。 SDF−1αとPFS、OSとの相関を示す図。 cNRP1とPFS、OSとの相関を示す図。
本発明で、予後予測因子、治療効果予測因子とは以下のように定義される。一般に治療の種類にかかわらず症例の予後に影響を及ぼす因子を予後予測因子といい、予後予測はカプランマイヤー法により推定することができる。カプランマイヤー法は、全観察対象を死亡または打ち切り時間の小さい順に並べ、死亡発生ごとに生存率を計算し、階段状のグラフ曲線を描くことによって、生存率を推定する方法である。たとえば、評価対象の因子の高値群と低値群の2群間でカプランマイヤー曲線を描き、両群間で明らかに差があれば、評価対象因子の存在レベルによって生存率が変わることを示している。その結果、このような評価対象因子は、予後を左右する予後予測因子であると規定できる。また、特定の治療薬を使用した場合にのみ治療効果と相関する因子は治療効果予測因子といい、分子標的薬の治療開始時において治療戦略上の重要な情報となる。
本発明で開示されるバイオマーカーは、単独でも用いることができるが、複数組み合わせて使用することができる。複数のマーカーを組み合わせることによって、より精度高く、治療効果予測、予後予測を行うことができる。
上述のように、進行・再発がんでは、バイオプシーによってがん組織を得ることが実臨床上困難である。したがって、本発明では、予後予測因子、治療効果予測因子は血中のバイオマーカーとして規定している。本実施例では試料として、血漿試料を用いているが、血漿試料の他に、血液、血清を使用することができる。血液、血漿、血清であれば、切除不能な進行・再発がんであっても患者から試料を得て検査を行うことができるだけではなく、患者の身体的負担も少なくてすむ。さらに、治療開始前、治療開始早期、さらに、病状に変化が生じた際にも試料を得ることができるため、より精度の高い検査結果を得ることができる。
本発明は胃がんを対象として解析を行っているが、胃がんに限らずラムシルマブを適用する治療の対象となっている結腸・直腸がん、非小細胞肺がん、さらに今後適用が期待される肝がん、その他のがんについても適用することが可能である。
また、ラムシルマブに限らず、作用機序が同様であると考えられるVEGFR-2を標的とする抗体医薬品の利用に広く適用することができる。さらに、抗体医薬品と同様の作用機序を有するVEGFR−2を標的とする低分子化合物の治療効果予測、予後予測、治療法の開発に利用できる可能性がある。
また、以下の実施例では、ベースラインとしては、治療開始直前の試料を、治療開始後早期の試料としては、ラムシルマブ初回投与後8日目の試料を用いている。ただし、治療開始後早期の試料としては、ラムシルマブ初回投与後8日目の試料に限らず、4日目〜10日目の試料であれば同様の傾向を示すと考えられるのでこの期間の試料を用いて解析すればよい。
以下の実施例で示すバイオマーカーと、ラムシルマブ治療の予後、治療効果との相関は、どのような測定方法であっても同様の結果が得られることは言うまでもない。したがって、ここではELISAによって、患者試料の検討を行ったが、試料中のバイオマーカーのタンパク質濃度を測定することができれば、どのような測定方法であってもよい。測定感度が高く、検査が比較的簡便に行えることから、イムノアッセイによって測定することが好ましい。イムノアッセイには、ELISA以外にも、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、化学発光イムノアッセイ(CLIA)等があるが、いずれの方法を用いてもよい。また、サンプルチューブ、マイクロタイタープレート、 マイクロアレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)チップなど、どのような形態の検査機器であっても適用することができる。しかしながら、カットオフ値、中央値等の個々の値については、使用するキットや、患者数などによって多少変化する。そのため、カットオフ値などの個々の数値に関しては、特定のキットを用い、より多くの母集団によって個別に定める方が良い。
本発明のキットには、本発明で見出されたバイオマーカーであるVEGF−A、VEFG−D、SDF−1α、cNRP1を検出するための抗体、及びこれを検出するための試薬等を含むことができる。検出試薬としては、二次抗体、基質剤、標識物質(例えば、蛍光色素、酵素)が含まれる。また、これらの要素は、必要に応じてあらかじめ混合しておくこともできる。さらに、マイクロタイタープレートなどの固相、反応容器や、洗浄液や抗体を希釈するための緩衝液、陽性対照、陰性対照、プロトコールを記載した指示書などを含むことができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
公益財団法人がん研究会有明病院でインフォームドコンセントが得られた患者を対象とし、以下の基準にしたがって、解析対象を選択した。
選択基準
以下の条件を満たす症例を対象とする。
1)病理組織学的に切除不能進行再発胃癌の診断がついている。
2)2次治療以降にラムシルマブ併用化学療法、ラムシルマブ単剤療法およびタキサン(パクリタキセル)単独療法が施行される症例。
3)腫瘍臓器機能が保たれている症例。
4)重篤な出血、血栓症、蛋白尿および高血圧症等が合併していない症例。
5)書面にて同意が得られている症例。
除外基準
1)本人からの同意が得らない症例。
2)本研究への参加が不適切と判断された症例。
2016年1月から11月までに解析した登録患者のうちコンピューター断層撮影法(CT)を用い臨床効果を判定可能であった39名を本解析の対象とした。表1に解析を行った39名の症例についてまとめた。なお、Age欄のかっこ内の数値は、解析を行った患者の最年少者と最年長者の年齢を示す。
[治療法]
図1に示すように、ラムシルマブ(rum)とパクリタキセル(Pac)併用、あるいはラムシルマブ単独で投与を行った。パクリタキセル/ラムシルマブ併用療法はパクリタキセル(4週を1サイクルとして80mg/m(体表面積)を1日目、8日目、15日目)に加えて2週おきにラムシルマブ8mg/kgを投与する。ラムシルマブ単独で投与する場合には2週おきにラムシルマブ8mg/kgを投与する。治療は原病増悪もしくは用量調節困難な重篤な有害事象が発現するまで継続する。
[検査法]
ラムシルマブの初回治療開始前、初回治療開始後8日目(以下、D8と記載する場合もある。)、病状増悪期(PD:Progressive Disease)に約5mLの血液を採取し、血漿を分離して−80℃で保存する。候補としたサイトカインをELISAで測定した。
血管新生に関与していることが知られているVEGF−A、VEGF-C、VEGF-D、PlGF、SDF-1α、アンジオポエチン1(angiopoietin 1)、sVEGFR-1、sVEGFR-2、cNRP1(circulating Neuropilin 1)を解析対象として選択し解析を行った。上記タンパク質の血漿中での濃度をサイトカイン測定ELISAキット Quantikine(登録商標、R&D Systems社製)を用いて測定し、患者の無増悪生存期間、全生存期間、部分奏効率(PR:Partial Rresponse)及び重篤な有害事象発症について解析を行った。
解析を行ったタンパク質の治療開始前、及び治療開始8日後の増減の典型的なパターンを図2に示す。図2はVEGF−A、SDF−1αの各患者血漿中の濃度を示した図である。各ラインは個々の患者の治療開始前、治療開始8日目、患者によっては病状増悪期のVEGF−A、あるいはSDF−1αの濃度を示す。解析したマーカーはVEGF−Aのように治療開始前は低濃度であったものが、治療開始後早期には血中濃度の著しい増加が見られるパターンと、SDF−1αのように、治療開始前の濃度も治療開始後の増減も一定の傾向が見られないものと大きく2つのパターンがあった。非特許文献5には、VEGF−A及びPlGFのD8における上昇が報告されているが、これらタンパク質については本解析においても同様の結果が確認され、解析系の妥当性が示された。
測定した各タンパク質のベースライン(pre、治療開始前のタンパク質濃度)、D8とベースラインの差(D8−pre)、及び比(D8/pre)の中央値、及び四分位を表2に示す。
PlGF、VEGF−A、VEGF−D、sVEGFR−2は、ラムシルマブ投与開始8日後(D8)にベースライン(治療開始前、Pre)よりも上昇しているのが観察された。また、sVEGFR−1、cNRP1は治療開始前よりも濃度が低下しているのが観察された。その他のタンパク質は明らかな傾向を認めなかった。なお、表中、mは中央値を示し、m−Preは治療開始前(Pre)の中央値、m−D8−Preは、ラムシルマブ投与開始8日後(D8)の測定値から治療開始前の測定値を引いた値の中央値、m−D8/Preは、D8のPreに対する比の中央値を示す。
これらバイオマーカーの血中濃度の推移と治療効果について検討を行った。増減が認められたタンパク質について、無増悪生存期間、全生存期間と相関があるか解析を行った。その結果、VEGF−A、VEGF−D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1の発現と治療効果、予後との相関がみられた。
VEGF−Aに関し、ベースラインとD8の差において中央値より高いもの、すなわちD8の上昇がより高いものは、そうでないものと比較して有意に予後(PFS)が不良であった(図3上)。D8のVEGF−A値から治療開始前のVEGF−A値を引いた値が中央値よりも低い群ではPFSが6.3月であるのに対し、高い群では2.6月(すべての患者の平均値は5.6月)と有意な差が見られた。ベースラインとD8の比においても同様に、比が高い方が治療効果は有意に悪かった(図3中央)。また、D8にVEGF−Aが上昇する現象は他の医薬品の投与では観察されておらず、ラムシルマブに特異的な変化である。したがって、VEGF−Aはラムシルマブの治療効果予測因子である。
さらに、VEGF−Aでは、OSについても、同様の結果が見られた。すなわち、ベースラインとD8の差において中央値より高いもの、すなわちD8の上昇がより高いものは、低いものと比較すると有意に全生存率(OS)が不良であった(図3下)。したがって、VEGF−Aは、治療効果の予測、及び予後予測のバイオマーカーとして有用であることが示された。
さらに、観察期間を延長して解析を行い(平均観察期間9.8か月)、VEGF−Aについてさらに検討を行った。解析を行った41名の患者背景を表3に示す。なお、患者は表1に示した患者と重複した患者を含む。また、かっこ内の数値は、Median Age欄は、解析を行った患者の最年少者と最年長者の年齢を示すが、それ以外はその群に含まれる患者の割合(%)を示す。
ラムシルマブ治療開始後、8日目のVEGF−A値は、予後と強い相関があった(図4)。PFSは、治療開始後8日目の血漿中のVEGF−A値が456pg/ml以上である場合には、平均が1.8月、95%信頼区間(Confidence Interval、CI)が0.5〜3.1月であるのに対し、456pg/ml未満の場合には、PFSの平均は6.3月、95%CIが5.1〜7.5月であった。また、OSに関しては、治療開始後8日目のVEGF−A値が、456pg/ml以上である場合には、平均が4.0月、95%CIが2.9〜5.1月であるのに対し、456pg/ml未満の場合には、平均11.3月、95%CIが9.4〜13.2月であった。
さらに、観察期間を延長した解析の結果、VEGF−Aとともに、VEGF−Dがラムシルマブ治療において、有効な予後予測因子、治療効果予測因子であることが明らかとなった。ラムシルマブ治療開始後、8日目の血漿中のVEGF−Dが高値であれば予後が良好であった(図5)。PFSは、治療開始後8日目のVEGF−D値が822pg/ml以上である場合には、平均が6.4月、95%CIが4.3〜8.5月であるのに対し、822pg/ml未満の場合には、平均は2.2月、95%CIが1.6〜2.8月であった。また、OSに関しては、治療開始後8日目のVEGF−D値が、822pg/ml以上である場合には、平均が10.6月、95%信頼区間が8.9〜12.4月であるのに対し、822pg/ml未満の場合には、平均は4.6月、95%CIが3.3〜5.9月であった。
以上の結果から、ラムシルマブ治療開始後8日目のVEGF−Aが低値、かつVEGF−D値が高値であれば予後が良好であるといえる。そこで、これら2つのマーカーを組み合わせて、予後予測を行った(図6)。治療開始後8日目のVEGF−A、VEGF−D値で4群に分け、VEGF−A低値、すなわち456pg/ml未満、かつVEGF−D高値、すなわち822pg/ml以上の群と、それ以外の3群とで比較を行った(図6)。
VEGF−Aが低値、かつVEGF−D値が高値の患者群(図中、VEGF−A low、VEGF−D high)は、PFS、OSともに、その他の群と比較して明らかに予後が良好であった。PFSは、VEGF−Aが低値、かつVEGF−D値が高値の群では、平均6.7月(95%CI、5.1〜8.3月)であるのに対し、その他群では平均2.2月(95%CI、1.1〜3.3月)、有意確率0.006で有意差があった。また、OSは、VEGF−Aが低値、かつVEGF−D値が高値の群では、平均11.3月(95%CI、9.7〜12.9月)、その他群では平均4.5月(95%CI、3.8〜5.2月)、有意確率0.118であった。
さらに、VEGF−AとVEGF−D値の比とPFS、OSの相関を解析したところ、比(VEGF−A/VEGF−D)が低い方が予後良好である傾向が見られた。そこで、指摘カットオフ値を求め、さらに解析を行った。0.5296をカットオフ値とし、PFS、OSを求めた(図7)。PFSは、カットオフ値である0.5296以上の場合には平均1.8月(95%CI、0.7〜2.9月)、0.5296未満の場合には、平均6.4月(95%CI,5.1〜7.7月)であった。OSは、カットオフ値以上の場合には、平均4.0月(95%CI、3.3〜4.7月)、カットオフ値未満の場合には、平均11.3月(95%CI、9.4〜13.2月)であった。したがって、両者の比をとることによっても、ラムシルマブの予後予測、治療効果予測を行うことができる。
上記のように、ラムシルマブ治療開始後早期の患者血液試料中のVEGF−A、及び/又はVEGF−Dを測定することによって、ラムシルマブ治療による治療効果予測、予後予測を行うことができる。すなわち、これらマーカーを使用すれば、ラムシルマブ治療開始早期に予後予測を行うことが可能となり、治療効果が期待できない患者に対しては、異なる治療薬を選択することが可能となる。上記で示したカットオフ値等は推定値であり、今後さらに長期にわたり、また、患者数を増やして解析することにより、より精度の高い値とすることができる。
胃がん治療において、抗VEGF−A抗体であるベバシズマブ(Bevacizmab、製品名アバスチン)を化学療法と併用すると、PFSは延長するももののOSは延長しないという結果が報告されている。この試験のバイオマーカー研究によれば、VEGF−Aベースライン高値は、予後不良因子かつアバスチンの治療効果が奏効する治療効果予測因子であると報告されている(非特許文献6)。
このように、リガンドであるVEGF−Aに対する抗体医薬の予後予測因子、治療効果予測因子についての報告はあるものの、受容体であるVEGFRに対する医薬の予後予測因子、治療効果予測因子に関する報告はなかった。抗VEGFR-2抗体医薬品の予後予測因子、治療効果予測因子については、今回はじめて解析されたものである。今回の解析によって、治療早期のVEGF−Aの変動が、抗VEGFR-2抗体医薬品の治療効果予測因子として有用であることが初めて示された。また、VEGF−Aが抗VEGFR-2抗体医薬品において治療効果予測因子であることは、従来知られているものではなく予想外の効果であった。すなわち、抗VEGF−A抗体であるアバスチン使用後はVEGF−Aは濃度が低下する中、ラムシルマブでは上昇するという全く逆の反応が見られ、それが治療効果に影響することが明らかとなった。
また、ラムシルマブ投与開始後8日目のVEGF−A、VEGF−Dの変動は、ラムシルマブ投与に特徴的なものである。このような変動は、他の化学療法剤治療による治療を行った際には見ることができない。図8には、ラムシルマブを併用投与した患者群、パクリタキセル単独投与群の患者におけるVEGF−A(図8上)と、VEGF−D(図8下)の投与開始前、及び投与開始後8日目の血中濃度の変化を表したものである。ラムシルマブ投与群では、VEGF−A濃度は、投与開始前に比べて、投与開始後8日目には、明らかな増加が認められる。また、VEGF−D濃度は、さほど変化が見られない患者もいるものの、多くの患者では、明らかな増加が認められる。これに対し、パクリタキセル単独投与群では、VEGF−A、VEGF−D濃度ともに、大きな変化は認められない。
次に、表1で示した39症例において相関が見られたマーカーについて示す。まず、sVEGFR−2とPFSとの関係について示す(図9)。sVEGFR−2は先行研究では治療効果予測因子ではなかった(非特許文献3)。しかしながら、今回の解析では、ベースラインのsVEGFR−2が高い方がPFSは短い傾向がある。sVEGFR−2の治療前の値が中央値よりも低い群ではPFSは5.7月であるのに対し、高い群では2.6月である。反応例の層別解析などの結果などから、sVEGFR−2も予後因子として機能する可能性がある。
次に、SDF−1αの解析結果について示す(図10)。SDF−1αは解析初期の少人数での解析の段階からベースラインの値で治療効果に差が認められており有望なバイオマーカーである。PFSについての解析を見ると(図10上)、ベースラインが中央値より低値の患者群ではPFSが6.3月であるのに対し、高値の患者群では2.4月であり有意な差が認められる。また、OSについても同様の傾向が見られ、ベースラインが中央値より低値の患者群でラムシルマブの高い治療効果が得られている(図10下)。SDF−1αは予後因子として有用であるが、今後の解析により治療効果予測因子としても機能することが示唆される。
cNRP1は、血管新生のシグナルを伝達し、がんの悪性化に関与し、VEGFR−2と密接な関係があることが知られており、治療に及ぼす影響が期待されている。今回の解析結果では現時点ではcNRP1のベースラインが高いとPFS、OSともに短い傾向が見られるものの有意差は認められていない。しかし、今後のデータ及び症例の蓄積により、治療効果予測因子、予後予測因子となり得ることが推測される(図11)。
血管新生に関わるVEGFには複数種のファミリーが存在し、またそれらの受容体であるVEGFRにも3種が存在し、さらに阻害薬の作用点はリガンド、受容体、受容体下流のチロシンキナーゼの阻害というように、複数の作用機序が存在する。したがって、VEGF系の制御という治療戦略を立てても、複数の薬剤の適用が考えられる。しかし、どの薬剤が患者に対して最適であるかについては現在のところ不明であることが多い。実際に適用する薬剤の妥当性は、個別の検証がなされたバイオマーカーによって判断されるべきである。
本発明者らは、抗VEGFR-2抗体医薬品、特にラムシルマブによく反応する患者を選択することができるバイオマーカーを見出した。その結果、治療の有効な患者を選択しながら治療を行うことができる。同時に、効果を期待することができない患者に対し不要な治療を行わず、代替治療を選択することが可能となる。
また、本発明によって、血中のVEGF−A、VEGF−D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1がVEGFR−2を阻害する抗体医薬品の治療反応性のバイオマーカーとして利用できることが示された。中でも、治療開始早期、特に8日目のVEGF−A、及びVEGF−Dの血中の濃度は、ラムシルマブ特異的な反応であり、予後予測因子、治療効果予測因子として有用なマーカーであると考えられる。したがって、本発明はラムシルマブのみならず、同様の作用機序を有する抗VEGFR-2抗体医薬品や低分子VEGFR-2キナーゼ阻害薬の予後予測に利用することができる。
本発明の実施により、治療を受ける患者には利益の高い治療方法を選択する情報を提供することができるだけではなく、医薬品の適正使用および医療経済のうえでも好ましい効果をもたらす。
また、今後、治療効果予測、予後予測マーカーの解析から、他の治療薬との併用方法など新たな治療方法の開発を行うことが可能となる。抗VEGFR-2抗体医薬品単独で十分な治療効果が上がらない患者群に対して、血管新生ががんの進展に大きく関わる病態を検査し、他の薬剤を併用投与することによって、より高い治療効果が得られることが期待できる。
図3、4に示すように、D8においてVEGF−A低値の患者群ではラムシルマブが有効であり、高値の患者に対しては効果がない。D8の著増したVEGF−A濃度がラムシルマブの治療抵抗性と高い相関があることから、VEGF−Aの中和抗体であるベバシズマブと併用することによって、VEGF−Aの濃度を実質的に低下させ、ラムシルマブが有効ではないVEGF−A高値群に対しても有効性を発揮する可能性がある。ラムシルマブとベバシズマブの併用効果については今後の解析が必要であるが、ラムシルマブ投与によって有効な効果が得られなかった群にも治療効果を示す可能性がある。

Claims (11)

  1. 抗VEGFR-2抗体医薬品投与による治療効果予測及び/又は予後予測の検査方法であって、
    患者より採取された治療開始前、及び治療開始後早期の試料中のVEGF−A濃度を測定することを特徴とする検査方法。
  2. 請求項1記載の検査方法であって、
    さらに、VEGF−D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1の少なくとも1つ以上の濃度を測定することを特徴とする検査方法。
  3. 請求項2記載の検査方法であって、
    VEGF−A、及びVEGF-D濃度を測定することを特徴とする検査方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載の検査方法であって、
    前記抗VEGFR-2抗体医薬品がラムシルマブであることを特徴とする検査方法。
  5. 請求項1〜4いずれか1項記載の検査方法であって、
    前記試料が血液、血漿、又は血清であることを特徴とする検査方法。
  6. 抗VEGFR-2抗体医薬品投与による治療効果予測及び/又は予後予測を検査するためのキットであって、
    患者試料中のVEGF−A濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする検査キット。
  7. 請求項6記載のキットであって、
    さらに、VEGF−D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1の少なくとも1つ以上の濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とする検査キット。
  8. 請求項7記載のキットであって、
    VEGF−A、及びVEGF-D濃度を測定するための試薬を含むことを特徴とするキット。
  9. 請求項6〜8いずれか1項記載の検査キットであって、
    前記抗VEGFR-2抗体医薬品がラムシルマブであることを特徴とする検査キット。
  10. VEGF−A、VEGF-D、sVEGFR−2、SDF−1α、cNRP1のいずれかであることを特徴とする抗VEGFR-2抗体医薬品投与による治療効果予測及び/又は予後予測のためのバイオマーカー。
  11. 前記抗VEGFR-2抗体医薬品がラムシルマブであることを特徴とする請求項10記載のバイオマーカー。
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