JPWO2018116811A1 - 洗浄液及びインクジェット記録装置の洗浄方法 - Google Patents

洗浄液及びインクジェット記録装置の洗浄方法 Download PDF

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Abstract

本発明が解決しようとする課題は、例えばインク由来の残存物等の、インクジェット記録装置が備えるインク流路内の汚れを効率よく除去可能なレベルの洗浄性に優れた洗浄液及び洗浄方法を提供することである。本発明は、水、水に不溶または難溶の有機溶剤、及び、界面活性剤を含有するpH7〜10の洗浄液であって、前記有機溶剤が前記水中で液滴を形成しており、前記液滴の体積平均径が9nm以上であり、かつ、インクジェット記録装置の洗浄用途で使用することを特徴とする洗浄液に関するものである。

Description

本発明は、例えばインクジェット記録装置を構成するインク吐出ヘッド等の洗浄に使用可能な洗浄液に関するものである。
インクジェット記録用水性顔料インクは、オンデマンド印刷に使用可能で、耐光性に優れた印刷物の製造に使用でき、かつ、有機溶剤系インクのような火災や変異原性などの危険性を低減できる等の利点を有している。そのため、インクジェット記録用水性顔料インクは、普通紙、コート紙、アート紙、塩化ビニルやポリエステル等のプラスチックフィルム、金属または布帛等の様々な被記録媒体への印刷に適しているか検討されている。
とりわけ、近年は、プリントオンデマンド市場の飛躍的な成長に伴って、インクジェット記録用水性顔料インクを用いて得られた印刷物に対して、平版印刷法で得られた印刷物に匹敵するレベルの耐水性や耐擦過性等の印刷特性が求められている。
前記耐水性及び耐擦過性に優れた印刷物を形成可能なインクジェット記録用水性顔料インクとしては、例えば顔料と顔料分散樹脂のほかに、さらにバインダー樹脂を含有する水性顔料インクが知られている。
しかし、前記水性顔料インクは、前記バインダー樹脂や顔料分散樹脂等の樹脂成分の含有量の増加に伴って、インク吐出ヘッド内で粘度上昇や乾燥固化しやすい場合があるため、インクジェット記録装置を用いた印刷の際にインクの不吐出や吐出方向の異常(インク吐出不良)を引き起こす場合があった。
前記インク吐出不良を防止する方法としては、インクジェット記録装置が備えるインク吐出ヘッド内のインク流路に洗浄液を供給することで、前記インク流路内に残存するインク成分を除去する方法が知られている。
前記洗浄液としては、例えば、少なくとも水と、水に不溶あるいは難溶であって全質量に対して8質量%以上の有機溶剤とを含むインクジェット記録用メンテナンス液が知られている(例えば特許文献1参照。)。
しかし、前記メンテナンス液では、インク流路内に残存する前記バインダー樹脂の固化物や増粘成分を、効率よく除去できない場合があった。
ところで、インクジェット記録法は、普通紙だけでなく、インクに含まれる溶媒を吸収しにくいコート紙や樹脂フィルム等の非吸収性被記録媒体への印刷場面での適用が検討されている。前記非吸収性被記録媒体の表面に着弾したインクは、乾燥しにくいため、例えばハロゲンランプ等を用いた加熱工程や送風工程を経ることによって乾燥速度をはやめ、印刷物の生産効率を向上させる場合がある。
しかし、前記加熱工程や送風工程は、インク吐出ヘッドのノズル面に付着したインクの乾燥速度も早める場合がある。そのため、前記コート紙等への印刷は、普通紙への印刷場面と比較して、ノズル面に前記固化物等が付着しやすく、その結果、インク吐出ノズルの詰まりやインクの吐出方向の異常を引き起こしやすい場合があった。
特開2010−137458号公報
本発明が解決しようとする課題は、例えばインクジェット記録装置をはじめとする印刷装置が備えるインク流路内の汚れやノズル面の汚れ(例えばインク由来の乾燥固化物等の残存物)を効率よく除去可能なレベルの洗浄性を備えた洗浄液及び洗浄方法を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、バインダー樹脂を含有する水性顔料インク用のインクジェット記録装置が備えるインク流路内の汚れやノズル面の汚れ(例えば前記インクに含まれるバインダー樹脂や分散樹脂由来の乾燥固化物等の残存物)を効率よく除去可能なレベルの洗浄性を備えた洗浄液及び洗浄方法を提供することである。
前記洗浄液には、前記インクの増粘物または固化物を膨潤または溶解(再分散)させることで、インク流路内及びノズル面から除去する機能が求められる。特に、バインダー樹脂や顔料分散樹脂等の樹脂成分を含有するインクは、乾燥すると比較的強固な被膜(固化物)を形成するため、従来の洗浄液でそれを除去することは困難である。
前記バインダー樹脂を含むインクの固化物を膨潤または溶解させて前記インクを洗浄液に再分散させやすくするためには、前記樹脂成分の溶解力が高い有機溶剤を使用することが求められる。しかし、前記溶解力の高い有機溶剤はインクと接した際にインクの分散安定性を破壊する恐れがあり、また、インク吐出ヘッドを構成する部材にも悪影響を及ぼす可能性が高いため、有機溶剤を大量に使用することは好ましくない。
一方、前記インク吐出ヘッドを構成する部材への悪影響等を避けるために、有機溶剤の使用量を過度に低減した洗浄液では、前記インクの固化物や増粘物を十分に除去することができない場合がある。
また、インク流路から前記固化物や増粘物を剥離させるためには、界面活性剤を含む洗浄液を使用することが効果的である。
しかし、前記界面活性剤は、前記有機溶剤を含む洗浄液に溶解してしまい、その機能を十分に発揮できない場合があった。
そこで、本発明者は、以上のような課題に対し鋭意検討を行い、インクに含まれる樹脂成分の溶解力が高い特定の有機溶剤を界面活性剤で水中に分散させた洗浄液であれば、前記バインダー樹脂や顔料分散樹脂等に起因したインクの増粘物や固化物を容易に除去できることを見出した。
すなわち、本発明は、水、水に不溶または難溶の有機溶剤、及び、界面活性剤を含有するpH7〜10の洗浄液であって、前記有機溶剤が前記水中で液滴を形成しており、前記液滴の体積平均径が9nm以上であることを特徴とする洗浄液に関するものである。
本発明の洗浄液及び洗浄方法であれば、例えばインクジェット記録装置が備えるインク流路内の汚れを効率よく除去することが可能である。
本発明の洗浄液は、水、水に不溶または難溶の有機溶剤、及び、界面活性剤を含有するpH7〜10の洗浄液であって、前記有機溶剤が前記水中で液滴を形成しており、前記液滴の体積平均径が9nm以上の洗浄液であり、各種インクを用いた記録装置の洗浄に使用するものである。
本発明の洗浄液は、前記記録装置のうち、インクジェット記録装置の洗浄に使用することが好ましく、前記インクジェット記録装置が備えるインク吐出ヘッドのノズル面やインク流路内の洗浄に好適に使用することができる。
前記洗浄液の具体的な態様としては、水に不溶または難溶の有機溶剤の一部もしくは全部が、界面活性剤を含む成分によって形成されるミセルに内包され液滴を形成したもの、または、前記有機溶剤が水中で液滴を形成した、いわゆるO/Wエマルジョンが挙げられる。
本発明の洗浄液は、水に不溶または難溶の有機溶剤がインクの固化物等を溶解または膨潤させ、前記界面活性剤が、例えばインク流路等から前記固化物等を剥離、または、前記固化物等を吸着して前記洗浄液中に再分散させることができるため、もっぱらインクジェット記録装置が備えるヘッドやインクの流路の洗浄に使用することができる。
そのため、本発明の洗浄液は、前記固化物等に起因したノズルの目詰まりやインクの吐出不良等を引き起こしやすいバインダー樹脂を含有する水性インク用のインクジェット記録装置の洗浄に好適に使用することができる。
また、前記有機溶剤の一部または全部は、前記したとおり、界面活性剤を含む成分によって形成されるミセルに内包され液滴を形成した状態、または、前記有機溶剤が水中で液滴を形成した、いわゆるO/Wエマルジョンの状態で洗浄液中に存在する。前記有機溶剤は、前記固化物等を効率的に膨潤または溶解することができる。また、前記有機溶剤は前記したとおり水で希釈されないため、少量であっても前記固化物等を効率的に膨潤または溶解することができ、かつ、インクと接触した場合のインクの分散安定性を破壊したり、ヘッド部材を劣化させたりするなどの悪影響を最小限に抑えることができる。
また、本発明の洗浄液は、pHが7〜10の範囲のものである。インクには、顔料分散樹脂やバインダー樹脂等として酸基を有する樹脂が含まれる場合がある。そのため、本発明の洗浄液としては、pHが高い(中性〜アルカリ性)に調整されたものを使用することが、前記樹脂の固化物等の除去性をより一層向上させるうえで重要であり、アルカリ性に調整されたものを使用することが好ましい。
前記洗浄液としては、前記除去性と、前記インク吐出ヘッドを構成する部材の劣化の抑制とを両立するうえでpH8〜9のものを使用することが特に好ましい。
本発明の洗浄液に含まれる前記液滴は、界面活性剤を含む成分によって形成されるミセルに内包され液滴を形成した状態、または、前記有機溶剤が水中で液滴を形成した、いわゆるO/Wエマルジョンの状態で洗浄液中に存在するものである。すなわち、前記有機溶剤の一部または全部は、水に可溶化または乳化された状態で洗浄液中に存在する。
前記液滴の体積平均径は、内包する前記有機溶剤の量によって大きく変化する。発明者は、体積平均径が9nm以上の液滴を含有する洗浄液であれば、前記固化物等の除去性能を著しく高めることができると見出した。
体積平均径が9nm以上の液滴を含有する洗浄液が効果的に前記固化物等を除去できる理由は定かでないが、以下のように推察する。
前記体積平均径が9nm以上である液滴は、前記したとおり、より多くの有機溶剤によって形成される。前記有機溶剤をより多く含む界面活性剤は、前記有機溶剤に対して親和性が高いものであるといえる。前記親和性の高い界面活性剤は、前記有機溶剤と同様に水に不溶または難溶のインク固化物等に対する親和性も高いと考えられる。そのため、体積平均径が9nm以上の液滴を含有する洗浄液は、前記固化物等を吸着しやすいと推測する。
前記固化物等に吸着しやすい前記体積平均径が9nm以上である液滴を含む洗浄液は、前記吸着後、前記液滴に内包された多くの有機溶剤が前記固化物等に移動し、前記固化物等を膨潤または溶解させると推定される。
前記液滴の体積平均径は、13nm以上であることが好ましく、15nm以上であることが前記固化物等の除去性能をより一層高めるうえでより好ましく、その上限は、100nmであることが好ましく、50nmであることがより好ましい。
なお、前記ミセルの体積平均径は、日機装(株)製のNanoTrack Waveを用い動的光散乱法(DLS法)によって測定した値を指す。
また、本発明の洗浄液がO/Wエマルションであって、水相とその他の相とに速やかに分離する場合、水相に存在する液滴の体積平均径を上記と同様の方法で測定した値を、本発明でいう液滴の体積平均径とした。
(水に不溶または難溶の有機溶剤)
本発明で使用する水に不溶または難溶の有機溶剤とは、20℃の水100gに対する溶解量が10g以下の有機溶剤であり、好ましくは前記溶解量が7g以下の有機溶剤である。
水に不溶または難溶の有機溶剤を使用することによって、前記固化物等の除去性能に優れた洗浄液を得ることができる。
前記有機溶剤は、そのすべてが前記ミセルに内包されてもよく、前記O/Wエマルションとして、界面活性剤によって安定化された液滴の状態で水中に分散してもよい。
前記有機溶剤の含有量としては、本発明の洗浄液の全量に対して4.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以上15質量%以下であることが、細幅のインク流路の洗浄に適用可能なレベルにまで洗浄液の粘度を低くすることができ、かつ、前記インクの固化物等の除去性能をより一層向上でき、また、インクと接触した際にもインクの分散安定性を破壊しにくいため好ましい。
前記有機溶剤としては、例えばエーテル類、アルコール類等を単独または2種以上組合せ使用することができる。
前記エーテル類としては、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジヘキシルエーテル、フラン、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルなどを使用することができる。前記アルコール類としては、例えばブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール等を使用することができる。
なかでも、前記有機溶剤としては、前記ヘッド部材への悪影響を低減し、かつ、前記固化物等の洗浄性をより一層向上させるうえで、モノアルキレングリコールアルキルエーテルまたはジアルキレングリコールアルキルエーテルを使用することが好ましく、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルを使用することがより好ましい。
(界面活性剤)
前記界面活性剤は、水に不溶または難溶の有機溶剤を内包するミセルを形成するために、または、いわゆるO/Wのエマルションの液滴を形成するために使用する。
前記界面活性剤としては、水溶性が比較的高く、具体的にはHLBが10以上の界面活性剤を使用することが好ましい。HLBが10以上の界面活性剤を使用することによって水中でミセル、または、いわゆるO/Wのエマルションの液滴を形成した洗浄液を得ることができる。
前記界面活性剤としては、HLBが10以上14以下のものを使用することが、前記インクの固化物等の除去性能をより一層向上可能な洗浄液を得るうえで好ましい。
前記界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤を用いることができる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えばオレイン酸メチルタウリンナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルポコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルポコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えばアセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物等のアセチレンジオール誘導体、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ポリエーテル偏性シロキサンコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
なかでも、前記界面活性剤としては、アセチレンジオール系界面活性剤を使用することが、インク固化物等に対する洗浄液の浸透性が向上し、前記固化物の洗浄液への再分散性を向上させるうえで好ましい。
前記界面活性剤の含有量は、前記水に不溶または難溶の有機溶剤の全量に対して25質量%〜110質量%であることが好ましく、25質量%〜100質量%であることが、前記有機溶剤が可溶化または乳化された状態(前記O/Wエマルションの状態)を安定して維持できるため、前記有機溶剤が直接、インクジェット記録装置のインク吐出ヘッド部材等に接触しにくくなり、かつ、インクの固化物等の除去性能をより一層向上でき、さらにインクと接触した際にもインクの分散安定性を破壊しにくいため好ましい。
(水)
本発明で使用する水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。水は、前記洗浄液の全量に対し40〜95質量%含有することが好ましい。水が40質量%以上の場合は、洗浄液の粘度を比較的低くすることができ、洗浄効率に優れる。
(pH調整剤)
本発明の洗浄液は、前記したとおり、pHが7〜10の範囲であり、pH8〜9のものを使用することがさらに好ましい。前記洗浄液のpHは、例えばpH調整剤を用いて調整することができる。前記pH調整剤としては、特に限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、4級アンモニウムの水酸化物、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、水酸化アンモニウム、4級ホスホニウム等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。なかでも、前記pH調整剤は、洗浄液を弱アルカリ性に保つうえで、ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンなどの弱塩基を使用することが好ましい。
本発明の洗浄液としては、本発明の効果を損なわない範囲で、従来知られた消泡剤や防腐剤等の添加剤を含有するものを使用することができる。
(消泡剤)
前記消泡剤は、洗浄液の泡立ちを抑えるために使用することができる。前記消泡剤としては、一般的に利用されている消泡剤が使用可能であり、例えばシリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。前記消泡剤としては、消泡効果に優れシリコーン系消泡剤を使用することが好ましい。
前記消泡剤は一般に水に溶解しにくい傾向にあるため、消泡剤の過剰な使用は消泡剤の析出を引き起こすおそれがある。そのため、前記消泡剤は、本発明の洗浄液の効果を損なわない範囲で最小限の量を使用することが好ましい。
(洗浄方法)
本発明の洗浄液は、インクを用いた記録装置(印刷装置)の洗浄に使用することができ、好ましくはインクジェット記録装置の洗浄に好適に使用することができ、より好ましくは、インクジェット記録装置が備えるインクの流路の洗浄に使用することができる。
前記洗浄方法としては、特に限定されないが、例えばインクジェット記録装置のインク吐出ヘッドを構成するノズル面(撥水面)と、前記洗浄液とを接触させる工程[1]を有する洗浄方法が挙げられる。前記接触は、前記ノズル面に前記洗浄液を噴霧する方法、ローラーを用いて前記洗浄液を前記ノズル面に塗付する方法、または、前記洗浄液を湛えたキャップや前記洗浄液を含浸させた布ワイパーを前記ノズル面に押し当てる方法等が挙げられる。
前記接触は、数分以上(具体的には15分〜1時間)程度行うことが好ましい。前記接触の際、ゴムブレードや、前記洗浄液で湿らせた布ワイパー等を用いて前記ノズル面をワイプ(清拭)ことが、洗浄効果を高めるうえで好ましい。
また、前記洗浄方法としては、例えば、洗浄液をインク流路内に供給し排出する工程を繰り返す方法等が挙げられる。
具体的には、前記洗浄方法としては、例えばインクジェット記録装置が備えるインク吐出ヘッドに、前記洗浄液を供給する工程[2]、前記インク吐出ヘッドのノズル面に洗浄液を接触させた後に前記ノズル面をワイプする工程[3]、及び、洗浄液をノズルから除去する工程[4]を有する方法が挙げられる。
前記工程[2]において、前記洗浄液を前記インク吐出ヘッド等のインク流路に供給する際には、加圧または吸引してもよい。また、前記洗浄液を前記インク流路に供給する際には、予め、前記インク流路に水を供給することで、前記インク流路を予備洗浄した後、前記洗浄液を供給することが、洗浄効果をよりいっそう高めるうえで好ましい。
前記工程[3]は、例えばゴムブレードや洗浄液で湿らせた布ワイパーでノズル面を清拭する方法が挙げられる。
前記工程[4]において、前記洗浄液を除去する方法としては、例えば洗浄液を加圧あるいは吸引して、水と置き換える方法が挙げられる。
前記洗浄方法としては、前記洗浄液が前記インク吐出ヘッドのインク流路内に充填された状態で、前記インク吐出ヘッドを微駆動させることで洗浄液を前記流路内で振動させたり、超音波振動させたりしてもよい。
また、前記洗浄の際には、前記洗浄液が前記インク吐出ヘッド等のインク流路内に充填された状態で数時間〜数日放置してもよい。
以上の洗浄方法によれば、例えばインクジェット記録装置が備えるインク流路内、特にインクジェットヘッドのインク流路内の洗浄を十分に行うことができる。
本発明の洗浄液は、もっぱらインクジェット記録用水性インクの洗浄に好適に使用できるが、特にバインダー樹脂や顔料分散樹脂等の樹脂成分を含むインクジェット記録用水性インクやその固形物または増粘物等の洗浄に好適に使用することができる。
前記インクジェット記録用水性インクとしては、例えば後述するバインダー樹脂、顔料、顔料分散樹脂、必要に応じて溶媒等を含有する混合物を使用することができる。
前記バインダー樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシエステル系樹脂、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を1種または複数以上組み合わせて使用することができる。本発明の洗浄液は、特にバインダー樹脂として使用されるアクリル系樹脂やウレタン系樹脂やエポキシエステル系樹脂を含有する水性インクの洗浄に効果を発揮する。
インクジェット記録用水性インクに含まれるバインダー樹脂の量は、特に限定されないが、印刷物の光沢や耐擦過性、耐水性等の特性を十分に向上させるうえで、2質量%〜15質量%(固形分)含有されていることが多い。バインダー樹脂の含有量が2質量%以上であれば、十分な印刷物の光沢や耐擦過性、耐水性等の特性が得られ、15質量%以下であれば、インクの粘度が高くなりすぎず吐出不良となるおそれが少ない。
本発明の洗浄液であれば、前記したようなバインダー樹脂の量が固形分で2〜15質量%含有するインクやその固化物または増粘物の洗浄を効率よく行うことができる。
前記バインダー樹脂としては、数平均分子量及び重量平均分子量が高いものを使用することが、光沢、耐擦過性、耐水性等に優れた印刷物を形成可能なインクジェット記録用インクを得るうえで好ましい。
数平均分子量や重量平均分子量の高いバインダー樹脂は、一般に有機溶剤に溶解しにくい。本発明の洗浄液は、比較的、樹脂溶解性の高い有機溶剤を、希釈されない状態で使用することができるため、前記高分子量のバインダー樹脂を含むインクを使用したインクジェット記録装置等の洗浄にも好適に使用することができる。また、エマルションやディスパージョンタイプのバインダー樹脂は、インク中に分散して存在する。本発明の洗浄液は、従来の洗浄液と比較すると、溶剤が界面活性剤に内包されていることから、インクと接触した際のバインダー粒子の分散安定性の低下をある程度抑制できると考えられる。
本発明の洗浄液は、水性インクと接触した場合でも、水性インクの顔料分散安定性を破壊しにくい。
顔料は、水性インク中で安定して存在するために、通常、水溶性溶媒や水に良好に分散させる手段が講じられていることが多い。例えば、顔料は、高分子分散剤や、界面活性剤、顔料誘導体などの汎用の顔料分散樹脂と共に水中に分散させる方法や、顔料表面に分散性付与基(親水性官能基および/またはその塩)を直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させ、汎用の顔料分散樹脂なしで水溶性溶媒及び/または水中に分散及び/または溶解する自己分散型顔料として加工され、水溶性溶媒及び/または水中に分散させる方法により、良好な分散安定性を保っている。
しかし、なんらかの刺激でこのようなインクの顔料分散安定性が破壊されると、顔料同士が凝集し粗大粒子が析出しやすく、その結果、インクの吐出不良を起こす傾向がある。
本発明の洗浄液は、従来の洗浄液と比較すると、溶剤が界面活性剤に内包されていることから、前記洗浄性能を損なうことなく、インクと接触した際の顔料分散安定性の低下をある程度抑制できると考えられる。
顔料は、特に限定されずインクジェット記録用水性インクに通常使用される有機顔料または無機顔料を使用することができる。また、前記顔料としては、未処理顔料、処理顔料のいずれでも使用することができる。
具体的には、水や水溶性有機溶剤に分散可能であり、公知の無機顔料や有機顔料が使用できる。
無機顔料としては、例えば、酸化鉄、カーボンブラックが挙げられる。前記カーボンブラックとしては、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックが挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
例えば、ブラックインクに使用される顔料としては、カーボンブラックとして、三菱化学社製のNo.2300、No.2200B、No.900、No.960、 No.980、No.33、No.40、No,45、No.45L、No.52、HCF88、MA7、MA8、MA100、等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Mogul 700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400等が、デグサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同1400U、Special Black 6、同5、同4、同4A、NIPEX150、NIPEX160、NIPEX170、NIPEX180等が挙げられる。
また、イエローインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、269、282等、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
また、シアンインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
また、白インクに使用される顔料の具体例としては、アルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、微粉ケイ酸、合成珪酸塩、等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。また、前記無機白色顔料が各種表面処理方法で表面処理されていてもよい。
前記顔料の分散に使用可能な顔料分散樹脂は、特に限定はなく公知の高分子分散剤や界面活性剤、顔料誘導体を使用することができる。
前記顔料分散樹脂としては、ポリマー型の顔料分散樹脂を使用すること好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
前記顔料分散樹脂としては、500〜50000の重量平均分子量を有するものを使用することができる。前記顔料分散樹脂としては、5000〜40000の比較的高分子量のものを使用する場合、立体障害等による分散安定化効果が期待されるものの、前記したとおり水性インクやその固化物等がインクジェット記録装置等のインク吐出ノズルの詰まり等を引き起こしやすくなる場合がある。本発明の洗浄液であれば、前記した比較的高分子量の顔料分散樹脂を使用した水性インクやその固化物等の洗浄にも高い効果を発揮する。
前記顔料分散樹脂としては、味の素ファインテクノ(株)製品のアジスパーPBシリーズ、ビックケミー・ジャパン(株)のDisperbykシリーズ、BASF社製のEFKAシリーズ、日本ルーブリゾール株式会社製のSOLSPERSEシリーズ、エボニック社製のTEGOシリーズ等の市販品を使用することができる。
前記顔料としては、前記したものの他に、顔料に物理的処理または化学的処理を施し、分散性付与基または分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造された自己分散型顔料を使用することもできる。
前記自己分散型顔料としては、例えば、真空プラズマ処理、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、またはオゾンによる酸化処理等や、水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法によって得られたものを使用することができる。
前記自己分散型顔料として市販品を利用することも可能であり、そのような市販品としては、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(以上、商品名;キヤボット社製)が挙げられる。
前記溶媒としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水等の水、水溶性溶剤、水と水溶性溶剤を含有する混合溶媒を使用することができ、水や前記混合溶媒を使用することが好ましい。
前記水溶性溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらと同族のジオールなどのジオール類;ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシルの各エーテル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコールなどのアルコール類;あるいは、スルホラン;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類;グリセリンおよびその誘導体などを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
インクジェット記録用水性インクとしては、前記した成分のほかに、必要に応じて
湿潤剤(乾燥抑止剤)、浸透剤、界面活性剤、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のその他の添加剤を含むものを使用することができる。
前記湿潤剤は、インクの乾燥防止を目的として使用することができる。
前記湿潤剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等を使用することができ、なかでもトリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールを使用することが、水との混和性が高くインクジェット記録装置のインク吐出ヘッドの目詰まり防止効果をより一層向上できるため好ましい。
前記湿潤剤は、前記インクの全量に対して3質量%〜50質量%の範囲で使用することが好ましい。
前記浸透剤としては、被記録媒体への浸透性改良や被記録媒体上でのドット径調整を目的として使用することができる。
浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。前記浸透剤は、前記インクの全量に対して0.01〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
前記界面活性剤は、表面張力等のインキ特性を調整するために使用することができる。界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
前記界面活性剤は、上記したものを単独または2種類以上組合せ使用することができる。前記界面活性剤としては、HLBが4〜20の範囲のものを使用することがインクの保存安定性と、被記録媒体に対するインクの良好な濡れ性とを両立するうえで好ましい。前記界面活性剤は、前記インクの全質量に対し0.001質量%〜2質量%の範囲で使用することが好ましく、0.001質量%〜1.5質量%の範囲で使用することがより好ましく、0.01質量%〜1質量%の範囲であることが、インクの保存安定性と、被記録媒体に対するインクの良好な濡れ性とを両立するうえでさらに好ましい。
前記水性インクとしては、前記水性インクの全量に対する顔料と顔料分散樹脂と及びバインダーとの合計質量が、好ましくは5質量%〜40質量%、より好ましくは5〜20質量%の範囲であるインクを使用することができる。本発明の洗浄液であれば、固形分が前記したとおり比較的大きい水性インクを用いた記録装置の洗浄場面でも、優れた洗浄力を発揮することができる。
(被記録媒体)
前記インクジェット記録用水性インクの被記録媒体として使用される被記録媒体は特に限定はなく、吸収性の被記録媒体、インクの吸収層を有する被記録媒体、インクの吸収性を有しない非吸水性の被記録媒体、インクの吸水性の低い低吸収性の被記録媒体などがある。
吸収性の被記録媒体の例としては、例えば、複写機で一般的に使用されているコピー用紙(PPC紙)、普通紙、布帛、ダンボール、木材等があげられる。また吸収層を有する被記録媒体の例としては、インクジェット専用紙等があげられ、この具体例としては、例えば、株式会社ピクトリコのピクトリコプロ・フォトペーパー等が挙げられる。
非吸水性の被記録媒体の例には、プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。例えば食品用の包装材料に使用されているもの等を使用することができ、公知のプラスチックフィルムが使用できる。具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ナイロン等のポリアミド系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリ乳酸フィルム等が挙げられる。特にポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミド系フィルムが好ましく、さらにポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロンが好ましい。またバリア性を付与するためのポリ塩化ビニリデン等のコーティングをした上記フィルムでもよいし、必要に応じて金、銀、銅、アルミニウム等の金属、あるいはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムを併用してもよい。
前記プラスチックフィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、1軸もしくは2軸方向に延伸されたものでも良い。さらにフィルムの表面は、未処理であってもよいが、コロナ放電処理、オゾン処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理等、接着性を向上させるための各種処理を施したものが好ましい。
前記プラスチックフィルムの膜厚は用途に応じて適宜変更されるが、例えば軟包装用途である場合は、柔軟性と耐久性、耐カール性を有しているものとして、膜厚が10μm〜100μmであることが好ましい。より好ましくは10μm〜30μmである。この具体例としては、東洋紡株式会社のパイレン(登録商標)などが挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にインクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。
前記塗工紙としては、具体的には、表面に塗料を塗布し、美感や平滑さを高めた紙で、経済産業省の「生産動態統計分類」で印刷用塗工紙に分類されるものが挙げられる。
塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、印刷本紙などのアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などが使用できる。
前記低吸収性被記録媒体としては、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。
(実施例)
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
(インクジェット記録水性インクの調製方法)
(製造例1 顔料分散樹脂Aの合成方法)
3つのT字型マイクロミキサーM1、M2及びM3を有するマイクロリアクターを使用し、リビングアニオン重合型のブロック共重合体を合成した。
はじめに、第一のT字型マイクロミキサーM1に、重合開始剤としてブチルリチウム(BuLi)と第一のモノマーとしてスチレン(St)とを、それぞれT字型マイクロミキサーM1に繋がるチューブリアクターP1及びP2から導入し、リビングアニオン重合させることによって重合体を得た。
次に、得られた重合体を、T字型マイクロミキサーM1とT字型マイクロミキサーM2とを繋ぐチューブリアクターR1を通じてT字型マイクロミキサーM2に移動させ、該重合体の成長末端を、T字型マイクロミキサーM2につながるチューブリアクターP3から導入した反応調整剤(α−メチルスチレン(α−MeSt))によりトラップした。
次に、第二のモノマーとしてメタクリル酸tert−ブチルエステル(t−BMA)をT字型マイクロミキサーM3に繋がるチューブリアクターP4からT字型マイクロミキサーM3に導入し、T字型マイクロミキサーM2とT字型マイクロミキサーM3とを繋ぐチューブリアクターR2を通じて移動させた前記重合体と、連続的なリビングアニオン重合反応を行った。その後メタノールで反応をクエンチしてブロック共重合体(PA−1)を製造した。
マイクロリアクター全体は恒温槽に埋没させることで、反応温度を24℃に設定した。また、マイクロリアクターに導入するモノマーおよび反応調整剤はテトラヒドロフラン(THF)で溶解し、BuLiは、市販の2.6Mヘキサン溶液をヘキサンで希釈し、その希釈濃度及び導入速度により、ブロック共重合体(PA−1)のモル比をBuLi/St/α−MeSt/tBMA=1/12/20/8.1に調整した。
得られたブロック共重合体(PA−1)は、陽イオン交換樹脂で処理することで加水分解させ、反応溶液を減圧下で留去し、得られた固体を粉砕して、スチレン−メタクリル酸系ブロック共重合体である顔料分散樹脂Aを得た。
(製造例2 顔料分散樹脂Bの合成方法)
撹拌装置、滴下装置及び還流装置を有する反応容器にメチルエチルケトン100質量部を仕込み、撹拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保った状態で加温しメチルエチルケトンの還流状態とした後、滴下装置からスチレン74質量部、アクリル酸11質量部、メタクリル酸15質量部および重合開始剤(和光純薬工業(株)製/「V−75」)8質量部の混合液を、反応容器内に2時間かけて滴下した。
なお、滴下の途中より反応系の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃でさらに25時間反応を続けた。なお、反応の途中において、原料の消費状況を確認しながら、適宜、重合開始剤を追加した。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下で留去し、得られた固体を粉砕することによって顔料分散樹脂Bを得た。
(製造例3 水性顔料分散体(MD−1)の製造方法)
顔料としてピグメントレッド122を150g、顔料分散樹脂Aを30g、水溶性溶剤としてトリエチレングリコールを150g、34質量%水酸化カリウム水溶液20gを、1.0Lのインテンシブミキサー(日本アイリッヒ株式会社)に仕込み、ローター周速2.94m/s、パン周速1m/sで、25分間混練を行う工程1を行った。
続いて、インテンシブミキサー容器内の混練物に、撹拌を継続しながらイオン交換水450gを徐々に加えた後、イオン交換水185gを加え混合する工程2を行い、顔料濃度は15.0質量%の水性顔料分散体(MD−1)を得た。
(製造例4 水性顔料分散体(BKD−2)の製造方法)
水性顔料分散体(BKD−2)として、市販品であるキャボットジャパン社製「CAB−O−JET300」を使用した。
(製造例5 水性顔料分散体(CY−3)の製造方法)
顔料としてフタロシアニン系顔料ファストゲンブルーPigment(DIC(株)製:C.I.ピグメント15:3)120質量部、顔料分散樹脂B36質量部を0.2Lの常圧ニーダー(株式会社アドバンス製)に仕込み、ジャケット温度を80℃(羽回転数:40rpm)で混合した。次に、ジエチレングリコール52質量部、34質量%水酸化カリウム水溶液20質量部を添加し、1時間混練した。
次に、前記常圧ニーダー内の混練物に、撹拌を継続しながら、分散媒(i)としてイオン交換水360質量部を徐々に加えた後、分散媒(ii)としてジエチレングリコール68質量部、イオン交換水144質量部の混合液を加え混合することによって、顔料濃度15質量%の水性顔料分散体(CY−3)を得た。
(インクジェット記録用水性インクの調製)
洗浄液の評価のために、製造例3〜5の水性顔料分散体を用いて、インクジェット記録用水性インクを作製した。
(調製例1)
水性顔料分散体(MD−1)33.3gに、ボンコートCM-8430(DIC(株)製、アクリル系樹脂)20.5g、蒸留水15.9g、3−メトキシ−1−ブタノール6.0g、プロピレングリコール13.0g、グリセリン10.0g、ACTICIDE B−20(ソー・ジャパン(株)社製防腐剤)0.1g、トリエタノールアミン0.2g、及びSURFYNOL440(エアープロダクツ社製界面活性剤)1.0gを加えて攪拌することによってマゼンタ水性インク(X1)を調製した。
(調製例2〜5)
水性インクの組成を表1に記載の組成に変更したこと以外は、調製例1と同様の方法で水性インク(X2)〜(X6)を得た。
Figure 2018116811
表1中、略語は以下の通りである。
PG:プロピレングリコール(旭硝子(株)製)
3MB:3−メトキシ−1−ブタノール((株)ダイセル製)
GLY:グリセリン(花王(株)製)
TEG:トリエチレングリコール(日本触媒(株)製)
TEA:トリエタノールアミン(三井化学(株)製)
B−20:ACTICIDE B−20(ソー・ジャパン(株)製防腐剤)
SF440:サーフィノール440(エアープロダクツジャパン(株)製界面活性剤)
KL245:TEGO−WET KL245(エボニック(株)製界面活性剤)
CM−8430:ボンコート CM−8430(DIC(株)製アクリル樹脂)
WLS−213:ハイドラン WLS−213(DIC(株)製ウレタン樹脂)
EFD−5530:ウォーターゾール EFD−5530(DIC(株)製エポキシエステル樹脂)
S−725P:ウォーターゾール S−725P(DIC(株)製アクリル樹脂)
表1中の「インク固形分」は、水性インクの全量に対する顔料と顔料分散樹脂とバインダー樹脂との合計質量の割合を指す。
(実施例 洗浄液の調製方法)
(実施例1)
蒸留水84.1g、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル9.3g、ノイゲンEA−157(第一工業製薬(株)製)6.5g及びトリエタノールアミン0.1gを加えて攪拌し、洗浄液(F01)を調製した。
(実施例2〜14)
洗浄剤の組成を表2及び3に記載したとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で洗浄液(F02)〜(F14)を得た。
(比較例1〜9)
洗浄剤の組成を表4に記載したとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で洗浄液(H01)〜(H10)を得た。
Figure 2018116811
Figure 2018116811
Figure 2018116811
Figure 2018116811
表2〜5中、略語は以下の通りである。
DPMBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
PMBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
TPMBE:トリプロピレングリコールモノブチルエーテル
2−HEP:2−ヘプタノール
3MB:3−メトキシブタノール(水溶性溶剤)
DPME:ジプロピレングリコールメチルエーテル(水溶性溶剤)
HEPTAN:ヘプタン
NaHCO:炭酸水素ナトリウム(重曹)
TEA:トリエタノールアミン
EA-157:ノイゲンEA−157(第一工業製薬(株)製)
KL245:TEGO WET KL245(エボニックジャパン(株)製)
SF465:サーフィノール465(エアープロダクツジャパン(株)製)
O4300:オルフィン4300(日信化学工業(株)製)
E147:エマルゲン147(花王(株)製)
GLYN:NIKKOL DECAGLYN 1−L(日光ケミカルズ(株)製)
END:サンデットEND(三洋化成工業(株)製)
TDS−200:ノイゲンTDS−200D(第一工業製薬(株)製)
SLS:ラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ(株)製)
(洗浄液のpH測定方法)
洗浄液(F01)〜(F14)及び(H01)〜(H10)のpHを、pHメーター(東亜ディーケーケー(株)製 MM−60R)で測定した。
(洗浄液に含まれる液滴の体積平均径の測定方法)
洗浄液に含まれる液滴の体積平均径は、日機装株式会社製の動的光散乱式粒子径測定装置「NanoTrack Wave」を用いて測定した。洗浄液は水で希釈せず、25℃にてそのまま測定した。洗浄液がO/Wエマルションであって、水相とその他の相とに速やかに分離する場合、分離後の水相部分を分取して測定した。
(洗浄液に含まれる液滴の体積平均径の測定に必要な物性の評価方法)
洗浄液に含まれる溶媒の粘度は、水に、洗浄液に含まれる有機溶剤と同一の有機溶剤を、分離するまで添加した後、水相を分取して25℃にてC型粘度計(東機産業製TV−25)で測定された値を指す。前記溶媒の屈折率としては水の屈折率を使用した。
また、洗浄液に含まれる液滴(有機溶剤を含んだミセルまたはエマルション粒子)の屈折率及び密度には、有機溶剤の屈折率及び密度を使用した。
前記体積平均径の測定時間は30秒とした。測定は3回実施し、その平均値を表に示した。
(洗浄液の評価方法)
洗浄液(F01)〜(F14)及び(H01)〜(H10)の特性の評価は以下のように行った。結果は表6〜表8に記載した。
[インクの固化物の洗浄性(再分散性)]
上記水性インクを剥離紙上に1マイクロリットルずつマイクロピペットで垂らし、120℃のホットプレートで完全乾燥させることによってインク固化物(インク1マイクロリットル分)をそれぞれ得た。
次に、実施例及び比較例の洗浄液2gが入った各バイアルビンに、前記インク固化物1粒(インク1マイクロリットル分)を同時に添加し、時折、振とうしつつ放置した。
実施例及び比較例の洗浄液のうち、最初に前記インク固化物を溶解した洗浄液を「5」と評価した。
前記「5」と評価された洗浄液がインク固化物を溶解した時(基準時)における洗浄液の色やインク固化物の状態を目視で観察し、下記「1」〜「4」で評価した。
4:前記基準時において洗浄液が色づき、インク固化物が細かく分裂していた。
3:前記基準時において洗浄液が色づいたが、インク固化物は評価4より大きな粒で残っていた。
2:前記基準時において洗浄液の色づきの程度は、評価3と比較して薄く、インク固化物は初期状態からほぼ変化なかった。
1:前記基準時において洗浄液に色が付かず、本評価で使用したインク固化物1粒(インク1マイクロリットル分)が変化することなく洗浄液中に存在した。
上記評価を水性インク4種で実施し、各水性インクの固化物に対する各洗浄液の洗浄性を評価した。上記した評価点(1〜5)の合計を下記表に示した。
[インク流路の洗浄性(インク吸着物の洗浄性)]
インク流路を模したSUS430の板上に、SUS430への吸着がもっとも強いインク(X2)をバーコーターNo.2で塗付して120℃のホットプレートで5分乾燥させた後、その表面を水で洗浄することによって、SU430の表面にインクが吸着した試験片を得た。
次に、前記試験片を縦20mm及び横7mmの長方形にカットしたものをサンプルとし、2gの洗浄液の入ったバイアルビンに入れ5分放置した。
前記放置後、バイアルビンから前記サンプルを取り出し、前記SUS430の表面のインク吸着物の有無や洗浄液の色を目視で観察し、下記基準に従って評価した。
3:SUS430の表面にインクの吸着物が残存せず、SUS430はインクが吸着する前の本来の色に戻っており、洗浄液はインクの色がついていた。
2:SUS430の表面にインクの吸着物が残存していたが、洗浄液にインクの色がついていた。
1:SUS430の表面にインクの吸着物が残存しており、洗浄液は透明であった。
Figure 2018116811
Figure 2018116811
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液滴径の比較的大きな洗浄液は、顔料分散体及びバインダーによらず、インクの固化物を再分散させる能力に優れていた。また、界面活性剤の不足により有機溶剤が完全に可溶化せず乳化状態である場合(例えば実施例8や12)にも、優れた特性を示した。界面活性剤を複数組み合わせた場合(例えば実施例3,5,9,10)も、液滴径が大きければ良好な洗浄性を発揮した。
一方、液滴径が大きくともpHが調整されていない洗浄液は、インクの固化物を再分散させることができなかった。さらに、液滴径が比較的小さな洗浄液は、固化物を再分散させる能力に劣っていた。
[インクの接触安定性]
水性インクを吐出した直後のインク吐出ヘッドを水で洗浄する際、前記ヘッド内に残存する水性インクと前記水とが接触すると、前記水性インク中の顔料やバインダー等の分散安定性が低下し凝集することで、インク吐出ノズルの詰まりを引き起こす場合がある。そのため、洗浄液には、水性インクと接触した場合に水性インクの分散安定性を低下させない特性(インクの接触安定性)が求められる。インクの接触安定性は、以下の方法により評価した。
はじめに、水性インク(X1)の体積平均径(x0)と、洗浄液(F10)または洗浄液(H07)の体積平均径とを、日機装株式会社製動的光散乱式粒子径測定装置「マイクロトラック粒度分布計UPA−ST150」を用いて測定した。
次に、前記水性インク(X1)を水で50倍希釈したもの0.1gと、1.9gの洗浄液(F10)または洗浄液(H07)をそれぞれバイアルビンに入れ室温で1週間保管した。
前記保管後の各バイアルビン内の液の体積平均径(x1)を、日機装株式会社製動的光散乱式粒子径測定装置「マイクロトラック粒度分布計UPA−ST150」にて測定した。
前記体積平均径(x1)と、前記体積平均径(x0)との差が10nmを超えていたものを「NG」と評価し、差が10nm以内であったものを「OK」と評価した。
[インク吐出ヘッドの洗浄性(吐出不良改善性1)]
インク吐出ヘッドの洗浄性を、印刷物の白スジの数に基づき評価した。白スジはインク固化物や増粘物がインク流路やノズル面に付着してインク吐出ヘッドのノズルの詰まりが生じることによって発生する。
2556個のノズルのうち、約17%が、水性インク(X1)の固化物で詰った状態のインクジェット吐出ヘッドを2個用意した。
次に、水性インク(X1)をそれぞれのインクジェット吐出ヘッドに充填し、シングルパスにて王子製紙製A2コート紙であるOKトップコート+に10cm×2cmのベタ印刷をそれぞれ行うことによって、2個の印刷物を得た。前記2個の印刷物が有する白スジの数を、後述する画像処理ソフトImageJを用いた方法で算出したところ、同数であった。
次に、前記2個のインクジェット吐出ヘッドのノズル面及びインク流路内に水を供給した。
次に、前記2個のインクジェット吐出ヘッドに0.45μmのシリンジフィルターでろ過した洗浄液(F10)または洗浄液(H07)をそれぞれ充填し、15分放置した。
次に、前記インクジェット吐出ヘッドのノズル面を、前記洗浄液で十分湿らせた布ワイパー(日本製紙クレシア製テクノパワークロスレイ)でワイプした。
次に、前記インクジェット吐出ヘッドのノズル面及びインク流路に水を供給し、前記洗浄液をよく洗い流した。
次に、前記インクジェット吐出ヘッドに水性インク(X1)を充填し、シングルパスにて王子製紙製A2コート紙であるOKトップコート+に10cm×2cmのベタ印刷をそれぞれ行うことによって、2個の印刷物を得た。前記2個の印刷物が有する白スジの数を、後述する画像処理ソフトImageJを用いた方法で算出した。
前記洗浄前に得た印刷物の白スジの数と、前記洗浄後に得た印刷物の白スジの数とを比較した。
前記印刷物の白スジの数は、画像処理ソフトImageJによる画像処理にて算出した。具体的には、印刷物を600dpiでスキャニングし、画像を2値化した後、前記印刷物の長辺方向の直線(10cm)における輝度プロファイル(PlotProfile)を得た。白(255)となったピクセル数を白スジ数として算出した。
[インク吐出ヘッドの洗浄性(吐出不良改善性2)]
ノズル面にインクの拭き残りまたはインクの乾燥物といったインク汚れの付着したインクジェットヘッドを、前記洗浄液で十分湿らせた布ワイパー上に、ノズル面とワイパーが接する状態で置き、15分放置した。
次に、前記インクジェットヘッドのノズル面を前記洗浄液で湿らせた布ワイパーでワイプした。
その後、ノズル面を水で洗い流し、ノズル面のインク汚れが消えているかを目視で確認した。
Figure 2018116811
本発明の洗浄液(F10)は希釈されたインクと接触してもインクの凝集を引き起こさず、インク流路及びノズル面のインク固化物または増粘物を再分散させることができ、結果としてインク詰まりなどの吐出不良を改善することができた。一方、本発明でない洗浄液(H07)は、希釈されたインクの凝集は引き起こさないが、固化物または増粘物を再分散させる能力に乏しく、吐出不良を改善できなかった。

Claims (8)

  1. 水、水に不溶または難溶の有機溶剤、及び、界面活性剤を含有するpH7〜10の洗浄液であって、前記有機溶剤が前記水中で液滴を形成しており、前記液滴の体積平均径が9nm以上であることを特徴とする洗浄液。
  2. 前記有機溶剤が、モノアルキレングリコールアルキルエーテルまたはジアルキレングリコールアルキルエーテルである請求項1に記載の洗浄液。
  3. 前記液滴の体積平均径が12〜50nmの範囲である請求項1または2に記載の洗浄液。
  4. 顔料、顔料分散樹脂及びバインダー樹脂を含有する水性インクの乾燥物の洗浄に使用する請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄液。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄液を用いたインクジェット記録装置の洗浄方法。
  6. インクジェット記録装置が備えるインク吐出ヘッドを構成するノズル面と、請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄液とを接触させる工程[1]を有することを特徴とするインクジェット記録装置の洗浄方法。
  7. インクジェット記録装置が備えるインク吐出ヘッドに、請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄液を供給する工程[2]、前記ヘッドのノズル面に洗浄液を接触させた後に前記ノズル面をワイプする工程[3]、及び、洗浄液をノズルから除去する工程[4]を有することを特徴とするインクジェット記録装置の洗浄方法。
  8. 前記インクジェット記録装置が、顔料、顔料分散樹脂及びバインダー樹脂を含有する水性インク用のインクジェット記録装置である請求項6に記載の洗浄方法。
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