JPWO2018079758A1 - 発酵乳製品の製造方法及び酵素含有組成物 - Google Patents

発酵乳製品の製造方法及び酵素含有組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 発酵乳製品中において、簡便な方法でビフィズス菌の生菌数を増大・維持させることができる酵素含有組成物及び発酵乳製品の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 中性ラクターゼと、κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼと、を含む酵素含有組成物であって、上記中性ラクターゼの活性1単位(NLU)あたりの上記プロテアーゼの活性が0.01以上100単位(PU)以下であることを特徴とする酵素含有組成物。前記プロテアーゼの活性が0.01PU/g以上であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、乳酸菌と、ビフィズス菌と、を使用した発酵乳製品の製造方法及びそれに好ましく使用することができる酵素含有組成物に関する。
ヒトの腸内菌叢を構成する乳酸菌やビフィズス菌は、腸内で有益な作用を奏することが知られている。しかし、乳酸菌やビフィズス菌の増殖速度は、腸内菌叢を構成する他の細菌に比べて遅い。そこで、腸内で乳酸菌やビフィズス菌を選択的に増殖させる発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特にビフィズス菌は増殖速度が遅く、ビフィズス菌を特異的に増殖させる発明も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
腸内菌叢を構成する乳酸菌やビフィズス菌の割合を増やす方法として、生きた状態の乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵乳製品を摂取することも考えられる。しかしながら、ビフィズス菌は乳酸菌に比べて酸素に弱く、増殖速度も遅いことから、乳酸菌とビフィズス菌を含む発酵乳製品を製造する場合において、ビフィズス菌を増殖させることは難しい。ビフィズス菌の種類によっては、乳酸菌との共存下において、ほとんど増殖せず死滅するものも存在する。そこで、乳酸菌とビフィズス菌を含む発酵乳製品を製造する場合、ビフィズス菌の添加量を多くするか、特許文献2に記載のガラクトオリゴ糖を添加する必要があった。
特許第2722110号 特開2009−189374号公報
しかしながら、乳酸菌とビフィズス菌を含む発酵乳製品を製造するために、ビフィズス菌の添加量を多くする場合、事前に大量のビフィズス菌を培養する必要が生じることと、原料乳に大量のビフィズス菌を添加する必要が生じることから、製造コストが増大する問題があった。特許文献2に記載のガラクトオリゴ糖を得るには、別途の工程が必要になるため、製造コストが増大する問題があった。
本発明は、発酵乳製品中において、簡便な方法でビフィズス菌の生菌数を増大・維持させることができる酵素含有組成物及び発酵乳製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の技術的構成を有することにより、本発明の課題を解決した。
(1)中性ラクターゼと、κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼと、を含む酵素含有組成物であって、上記中性ラクターゼの活性1単位(NLU)あたりの上記プロテアーゼの活性が0.01以上100単位(PU)以下であることを特徴とする酵素含有組成物。
(2)前記プロテアーゼの活性が0.01PU/g以上であることを特徴とする(1)に記載の酵素含有組成物。
(3)前記中性ラクターゼの活性が0.1NLU/g以上であることを特徴とする(1)に記載の酵素含有組成物。
(4)前記プロテアーゼが、ペニバチルス属由来のプロテアーゼであることを特徴とする(1)または(2)に記載の酵素含有組成物。
(5)pHが5.0〜8.5の範囲内にあることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の酵素含有組成物。
(6)凝集阻害剤を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酵素含有組成物。
(7)原料乳と、乳酸菌と、ビフィズス菌と、を混合する第1工程と、原料乳を発酵させる第2工程と、を順次行う発酵乳製品の製造方法であって、上記第2工程が終了する前に、原料乳に、κ−カゼインを分解するプロテアーゼを添加する工程(プロテアーゼ添加工程)及び中性ラクターゼを添加する工程(ラクターゼ添加工程)を行い、上記中性ラクターゼの活性1単位(NLU)あたりの上記プロテアーゼの活性が0.01以上100単位(PU)以下であることを特徴とする発酵乳製品の製造方法。
(8)前記プロテアーゼ添加工程における前記プロテアーゼの活性が終濃度で0.01PU/g以上であることを特徴とする(7)に記載の発酵乳製品の製造方法。(9)前記ラクターゼ添加工程における前記中性ラクターゼの活性が終濃度で0.1NLU/g以上であることを特徴とする(8)に記載の発酵乳製品の製造方法。
本発明によれば、発酵乳製品中において、簡便な方法でビフィズス菌の生菌数を増大・維持させることができる酵素含有組成物及び発酵乳製品の製造方法を提供することができる。
参考例4における発酵中のpHの推移を示した図である。 参考例4における発酵中の電気泳動パターンを示した図である。
<発酵乳製品の製造方法に係る発明>
本発明は、原料乳と、乳酸菌と、ビフィズス菌と、を混合する第1工程と、
原料乳を発酵させる第2工程と、
を順次行う発酵乳製品の製造方法であって、
上記第2工程が終了する前に、原料乳にκ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼを添加する工程(プロテアーゼ添加工程)を行うことを特徴とする発酵乳製品の製造方法である。
第2工程が終了する前に、プロテアーゼ添加工程を行うことで、原料乳に含まれるκ−カゼインを酵素反応によって低分子化することが可能になる。プロテアーゼ添加工程によって、原料乳に含まれるκ−カゼイン量が減少し、κ−カゼイン分解物であるペプチド又は遊離アミノ酸が増大する。乳酸菌とビフィズス菌は、κ−カゼインを分解する能力に乏しいため、その発酵中にκ−カゼインを構成するアミノ酸を取り込むことが難しいが、κ−カゼイン分解物であるペプチド又は遊離アミノ酸を取り込むことが可能である。第2工程が終了する前にプロテアーゼ添加工程を行うことで、乳酸菌とビフィズス菌がκ−カゼインに由来するペプチド又は遊離アミノ酸を取り込みやすい環境にすることができ、乳酸菌とビフィズス菌の細胞数が増大する。その結果、乳酸や酢酸の分泌量も増大しpHが低下する。第2工程が終了とは、発酵工程が終了と同義である。
第1工程は、原料乳と、乳酸菌と、ビフィズス菌と、を混合するものであればよく、加える順序は制限されない。原料乳を主にする場合、原料乳に乳酸菌と、ビフィズス菌と、を加えればよい。
原料乳と、乳酸菌と、ビフィズス菌と、を混合する方法は特に限定されない。原料乳中に、乳酸菌とビフィズス菌が略均一に分布するようにわずかな時間だけ混合させる程度でもよい。略均一に分布させた後は、原料乳を満たした容器の底面に、乳酸菌とビフィズス菌が分布した状態であってもよい。
ビフィズス菌は酸素耐性が高くないため、混合する時間は短くすることが好ましい。混合速度を遅くすると、原料乳中の溶存酸素量を低くすることができるため好ましい。原料乳の温度を高くすると溶存酸素量を低くすることが可能である。また、撹拌時に泡立てないように注意することも重要である。また、溶存酸素低減、除去の為に脱気操作や窒素などの不活性ガスによる曝気操作も効果的である。
第2工程は、原料乳を、乳酸菌とビフィズス菌で発酵させる工程である。
第2工程における発酵温度は、乳酸菌及びビフィズス菌が生育する温度であればよい。
使用する乳酸菌及びビフィズス菌によって発酵温度は異なるが、20℃〜50℃の範囲にすることが好ましく、25℃〜45℃にすることがより好ましい。
下限値未満であると、発酵が遅延しやすくなり、経済性に優れた発酵乳製品を得にくくなるおそれがある。
上限値超であると、乳酸菌及びビフィズス菌、又はビフィズス菌の死滅の問題がある。
第2工程における発酵時間は、使用する乳酸菌及びビフィズス菌の種類並びにその発酵温度によるが、1時間〜48時間の範囲にすることが好ましい。発酵時間は1時間〜24時間にすることがより好ましく、1時間〜10時間にすることがさらに好ましい。発酵が進むにつれて、原料乳のpHが低下するので、これを指標にすることもできる。本発明による発酵乳製品は、(1)カゼイン(等電点4.6)の等電点沈殿と、(2)κ−カゼイン分解によるα−カゼイン及びβ−カゼインの凝乳作用の2つを伴う。通常発酵乳製品は(1)カゼインの等電点沈殿を利用するため、pH5.5程度から固まり始め、pH5.0以下になると固まる。発酵時間は5時間以上要することが通常である。本発明による発酵乳は上記(1)(2)の2つを伴うため、pH6.0で固まり始め、pH5.5で固まる。本発明による発酵乳は、通常の発酵乳に比べ、発酵時間の短縮化を達成することができる。
発酵時間が下限値未満であると発酵が十分に進行せず、所望の発酵乳を得にくくなるおそれがある。
発酵時間が上限値超であると製造コストの増加や出来上がった発酵乳の品質が悪化するおそれがある。
プロテアーゼ添加工程は、第1工程の前、第1工程と略同時又は第1工程の後から選択される1つ以上のタイミングで、行うことが好ましい。2以上のタイミングで行うことも可能である。プロテアーゼ添加工程後に、原料乳に含まれるκ−カゼインが分解する(プロテアーゼ反応)。
簡便性の点とビフィズス菌の増殖効果を得る点からは、第1工程の前又は第1工程と略同時にプロテアーゼ添加工程を行うことが好ましい。κ−カゼインの分解によって生成したペプチド又は遊離アミノ酸を前記乳酸菌又は前記ビフィズス菌に取り込みやすくさせることが可能になる。
ビフィズス菌の増殖効果をさらに高める点からは、第1工程と略同時にプロテアーゼ添加工程を行うことがより好ましい。発酵が進むにつれて、前記原料乳に含まれるκ−カゼインの分解速度を緩やかにすることが可能となる結果、ビフィズス菌と乳酸菌の共存化において、ビフィズス菌が資化しやすい環境を整えることができ、ビフィズス菌の増殖効果を高めることができる。
前記プロテアーゼとして中性プロテアーゼを使用することが好ましい。発酵乳製品を製造する場合に中性プロテアーゼを使用すると、発酵の進行に伴うpH低下によって徐々に中性プロテアーゼが失活する。すなわち、中性プロテアーゼによる原料乳に含まれるκ−カゼインの分解速度は、発酵の進行に伴い、漸減することになる。このような中性プロテアーゼの作用は、乳酸菌とビフィズス菌の共存化において、ビフィズス菌が原料乳中のκ−カゼインに由来するペプチド又は遊離アミノ酸を取り込みやすくさせる環境を提供することができ、発酵乳製品中のビフィズス菌数を増大させるものである。加えて、プロテアーゼを失活させることによって、プロテアーゼによる過剰な反応を抑えることで、発酵終了後の発酵乳製品の品質低下を防ぐことが可能となる。
本発明において、略同時とは、使用する乳酸菌及びビフィズス菌の生育速度によって変化する相対的なものであって、使用する乳酸菌又はビフィズス菌の少なくとも一方が誘導期に該当することを意味する。ビフィズス菌の増殖効果を増大させるには、使用する乳酸菌及びビフィズス菌のいずれもが誘導期に該当する時期にプロテアーゼ添加工程を行うことが好ましい。
原料乳に対するプロテアーゼ反応の温度は0℃〜60℃であることが好ましく、5〜55℃であることがより好ましい。
プロテアーゼ反応の温度が下限値未満であるとκ−カゼインの分解が不足しやすくなるおそれがある。これを解消するには、プロテアーゼの反応時間を長くする必要が生じるため、発酵乳製品を効率的に製造することが難しい。
プロテアーゼ反応の温度が上限値超であると、プロテアーゼが失活しやすくなり、κ−カゼインの分解が不十分な状態になるおそれがある。乳酸菌とビフィズス菌の共存化において、ビフィズス菌を増大させにくくなる。
原料乳に対するプロテアーゼ反応の時間は0.5時間〜48時間であることが好ましく、1時間〜40時間であることがより好ましい。プロテアーゼとして中性プロテアーゼを使用する場合、第2工程において、原料乳のpH低下に伴い徐々に中性プロテアーゼが失活するため、そのプロテアーゼ反応の時間は第2工程よりも短いものになる。
プロテアーゼ反応の時間が下限値未満であると、κ−カゼインの分解が不足しやすくなるおそれがある。
プロテアーゼ反応の時間が上限値超であると、製造コストの増加の問題がある。
原料乳に対するプロテアーゼ反応のpHは2.0〜10.0であることが好ましく、pH2.5〜9.0であることがより好ましく、pH3.0〜8.0であることが特に好ましい。中性プロテアーゼを使用する場合におけるプロテアーゼ反応のpHは、5.0〜8.0であることが好ましい。
下限値未満、もしくは上限値以上であると、プロテアーゼが失活しやすくなり、κ−カゼインの分解が不十分な状態になるおそれがある。
発酵が進むにつれて、原料乳のpHが低下する。プロテアーゼが中性プロテアーゼである場合、原料乳のpHの低下に伴い、失活する。
本発明に係る発酵乳製品は、乳酸菌と、ビフィズス菌と、プロテアーゼと、を含有する発酵乳製品であって、当該乳酸菌の数が1mLあたり1×10の4乗〜1×10の10乗個の範囲にあり、当該ビフィズス菌の数が1mLあたり1×10の4乗〜1×10の12乗個の範囲にあることを特徴とする。
上述した発酵乳製品の製造方法を経ることによって、発酵乳製品に含まれる乳酸菌の数及びビフィズス菌の数を上記の範囲にすることができる。当該発酵乳製品に含まれる乳酸菌及びビフィズス菌の数は生菌数を意味する。
発酵乳製品中に含まれるプロテアーゼの少なくとも一部は、中性プロテアーゼであることが好ましい。当該中性プロテアーゼは、発酵乳製品中において失活した状態で存在することが好ましい。
中性プロテアーゼが失活した場合においても、そのタンパク質構造は維持されている。したがって、発酵乳製品自体又は発酵乳製品を濃縮したものについて電気泳動を行うことで、発酵乳製品中に中性プロテアーゼが存在するか確認することができる。電気泳動を行った後、得られた特定のバンドからアミノ酸配列を推定することも可能である。当該中性プロテアーゼの配列はその由来によって異なるが、既知であるため、電気泳動結果及びそのアミノ酸配列から、プロテアーゼの存在を確認することが可能である。同様に、発酵乳製品自体又は発酵乳製品を濃縮したものについて電気泳動を行うことで、発酵乳製品中に酸性プロテアーゼが存在するか確認することも可能である。アミノ酸配列の推定も同様である。
発酵乳製品中に含まれるプロテアーゼが失活しているとは、各pH条件下で後述するプロテアーゼの活性測定方法を行い、検出下限値以下となることをいう。プロテアーゼ以外の酵素を組み合わせることも可能である。組み合わせる酵素としては、中性ラクターゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、イヌリナーゼ、ラッカーゼ、パーオキシダーゼから選ばれる1種、または複数種が好ましい。
発酵乳製品のpHは6.0以下にあることが好ましく、pH5.0以下であることがより好ましい。発酵乳製品のpHの下限値は、3.0以上であることが好ましく、3.5以上であることがより好ましい。
発酵乳製品のpHが上限値超であると凝乳が不十分となる問題がある。発酵乳製品のpHが低すぎると酸味が強くなりすぎ、味のバランスを損ないやすくなる。
発酵乳製品のκ−カゼイン分解率は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。上限値は限定されないが、例えば100%である。κ−カゼイン分解率は、発酵前のκ−カゼイン量を発酵後のκ−カゼイン量で除した値に100を乗じた値で示される。κ−カゼイン分解率は、κ−カゼイン量の減少量であるので、(1)添加するプロテアーゼによるκ−カゼイン分解量と、(2)乳酸菌及びビフィズス菌が有するプロテアーゼによるκ−カゼイン分解量と、(3)乳酸菌及びビフィズス菌によるκ−カゼインの取り込み量、の合計である。プロテアーゼ添加工程を経ない発酵乳製品(乳酸菌及びビフィズス菌を含む)のκ−カゼイン分解率は、上記(2)と(3)の合計になるが、乳酸菌及びビフィズス菌は(2)及び(3)をほとんど示さないことから、ほぼゼロ%である。
プロテアーゼ添加工程を第1工程の前又は第1工程と略同時に行うことで、プロテアーゼによる発酵乳製品のκ−カゼイン分解率を高めることができる。
κ−カゼイン分解率が下限値未満であると、乳酸菌とビフィズス菌を含む発酵乳製品において、ビフィズス菌が十分に増殖しないおそれがある。
κ−カゼイン量は、原料乳又は発酵乳製品の電気泳動を行い、κ−カゼインのバンドの濃淡を取り込むことで算出することができる。
プロテアーゼ添加工程を経た発酵乳に含まれるκ−カゼインは、後述する方法にて電気泳動に供した際に、κ−カゼインのバンドが実質的に消失していることが好ましい。すなわち、得られた発酵乳製品を超純水で20倍希釈し、SDS-PAGE用サンプルバッファーと1:1で混合し、5分間煮沸することにより調製したものをレーンあたり10μLアプライすればよい。プロテアーゼ添加工程を経ない発酵乳製品にはκ−カゼインを検出することができる。したがって、電気泳動で発酵乳製品に含まれるκ−カゼインを確認することにより、プロテアーゼ添加工程を行ったか否かを推定することができる。
発酵乳製品に含まれるκ−カゼインが検出することができると、乳酸菌とビフィズス菌を含む発酵乳製品において、ビフィズス菌が十分に増殖しないおそれがある。
発酵乳製品中に含まれるプロテアーゼが失活しているとは、各醗酵時点において後述するプロテアーゼの活性測定方法を行い、検出下限値以下となることをいう。
第2工程が終了する前に、原料乳に中性ラクターゼを添加する工程(ラクターゼ添加工程)を行うことが好ましい。
ラクターゼ添加工程は、第1工程の前、第1工程と略同時又は第1工程の後から選択される1つ以上のタイミングで、行うことが好ましい。2以上のタイミングで行うことも可能である。ラクターゼ添加工程後に、原料乳に含まれる乳糖の分解が行われることになる(ラクターゼ反応)。
簡便性の点とビフィズス菌の増殖効果を得る点からは、第1工程の前又は第1工程と略同時にラクターゼ添加工程を行うことが好ましい。乳糖の分解によって生成したグルコース及びガラクトースを前記乳酸菌又は前記ビフィズス菌に資化させることが可能になる。第1工程の前又は第1工程と略同時にラクターゼを添加することによって、発酵途中における乳酸菌の生育が抑えられ、ビフィズス菌の増殖効果が高められる。ラクターゼを添加した場合に、発酵途中において乳酸菌の生育が抑えられることは、原料乳のpHが下がりにくくなることから確認することができる。
ビフィズス菌の増殖効果をさらに高める点からは、第1工程と略同時にラクターゼ添加工程を行うことがより好ましい。発酵が進むにつれて、前記原料乳に含まれる乳糖の分解速度を緩やかにすることが可能となる結果、ビフィズス菌と乳酸菌の共存化において、ビフィズス菌が資化しやすい環境を整えることができ、ビフィズス菌の増殖効果を高めることができる。
前記ラクターゼとして中性ラクターゼを使用することが好ましい。発酵乳製品を製造する場合に中性ラクターゼを使用すると、発酵の進行に伴うpH低下によって徐々に中性ラクターゼが失活する。すなわち、中性ラクターゼによる原料乳に含まれる乳糖の分解速度は、発酵の進行に伴い、漸減することになる。このような中性ラクターゼの作用は、乳酸菌とビフィズス菌の共存化において、ビフィズス菌が原料乳中の糖類を資化させやすくなる環境を提供することができ、発酵乳製品中のビフィズス菌数を増大させるものである。
発酵乳製品中に含まれる中性ラクターゼが失活しているとは、各醗酵時点において後述するラクターゼの活性測定方法を行い、検出下限値以下となることをいう。
プロテアーゼ反応とラクターゼ反応は異なる化学反応であるから、原料乳にプロテアーゼ反応とラクターゼ反応を行うことで、ビフィズス菌の増殖効果をより増大させることができる。プロテアーゼ反応とラクターゼ反応はいずれも略同時に行うことが好ましい。
中性ラクターゼの活性(NLU/g)とプロテアーゼの活性(PU/g)の比が0.01〜100の範囲内であることが好ましく、0.05〜80の範囲内であることがより好ましく、0.1〜50の範囲内であることがさらに好ましい。このように酵素活性の比を採用したのは、製造時及び使用時において各酵素の活性は異なるが、比であれば一定であるからである。
この比が下限値未満であると、プロテアーゼ反応が十分行われなくなるおそれがあるため、ビフィズス菌の増殖効果を十分に得にくくなる。
この比が上限値超であると、プロテアーゼが中性ラクターゼを分解するおそれが生じやすくなり好ましくない。
前記プロテアーゼの活性が原料乳に加えるときの終濃度で0.01〜100PU/gの範囲内にあることが好ましい。
下限値未満であると、プロテアーゼ反応が十分行われなくなるおそれがあるため、上記の系において、ビフィズス菌の増殖効果を十分に得にくくなる。
上限値超であっても、ビフィズス菌の増殖効果は変わらないため経済的ではない。
前記中性ラクターゼの活性が原料乳に加えるときの終濃度で0.1〜50NLU/gの範囲内にあることが好ましい。
下限値未満であると、ラクターゼ反応が十分行われなくなるおそれがあるため、上記の系において、ビフィズス菌の増殖効果を十分に得にくくなる。
上限値超であると、中性ラクターゼ反応による乳糖分解量はあまり変化せず、ビフィズス菌増殖効果も増大しないため、経済的ではない。
<酵素含有組成物に係る発明>
本発明に係る酵素含有組成物は、本発明に係る発酵乳製品の製造方法に好ましく使用することができる。原料乳と、乳酸菌と、ビフィズス菌とを含む系に、本発明に係る酵素含有組成物を加えることによって、ビフィズス菌の増殖効果を高めることができる。
本発明(酵素含有組成物)は、κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼと、中性ラクターゼと、を含む酵素含有組成物であって、
上記中性ラクターゼの活性(NLU/g)とプロテアーゼの活性(PU/g)の比が0.01〜100の範囲内にあることを特徴とする。当該比は、0.05〜80の範囲内であることがより好ましく、0.1〜50の範囲内であることがさらに好ましい。このように酵素活性の比を採用したのは、製造時及び使用時において各酵素の活性は異なるが、比であれば一定であるからである。
この比が下限値未満であると、ラクターゼ反応が十分行われなくなるおそれやプロテアーゼが中性ラクターゼを分解するおそれが生じやすくなるため、上記の系において、ビフィズス菌の増殖効果を十分に得にくくなる。
この比が上限値超であると、プロテアーゼ反応が十分行われなくおそれが生じやすくなり好ましくない。
本発明の酵素含有組成物中におけるプロテアーゼの活性は、0.01〜13000000PU/gの範囲内にあることが好ましい。上限値は、7000000PU/gであることがより好ましく、5000000PU/gであることがさらに好ましい。固体状のプロテアーゼであれば、活性が高い状態で維持しやすい。酵素含有組成物中のプロテアーゼ活性は、乳に添加するときに、各種溶媒に溶解し希釈することで用事調製すればよい。
下限値未満であると、原料乳に添加した後のプロテアーゼ反応が十分行われなくなるおそれがあるため、上記の系において、ビフィズス菌の増殖効果を十分に得にくくなる。
原料乳に添加するときの酵素含有組成物中におけるプロテアーゼの活性は、終濃度で0.01〜100PU/gの範囲内にあることが好ましい。上限値超であっても、ビフィズス菌の増殖効果は変わらないため経済的ではない。
本発明の酵素含有組成物中における中性ラクターゼの活性は、乳中の終濃度以上であればよく、0.1〜50000NLU/gの範囲内にあることが好ましい。上限値は、10000NLU/gであることがより好ましく、5000NLU/gであることがさらに好ましい。酵素含有組成物中の中性ラクターゼ活性は、乳に添加するときに用事調製すればよい。
下限値未満であると、原料乳に添加した後のラクターゼ反応が十分行われなくなるおそれがあるため、上記の系において、ビフィズス菌の増殖効果を十分に得にくくなる。
原料乳に加えるときの酵素含有組成物中における中性ラクターゼの活性は、終濃度で0.1〜50NLU/gの範囲内にあることが好ましい。上限値超であると、中性ラクターゼ反応による乳糖分解量はあまり変化せず、ビフィズス菌増殖効果も増大しないため、経済的ではない。
本発明の酵素含有組成物は固体であっても液体であってもよい。取り扱い性を考慮すると液体であることが好ましい。酵素含有組成物は、あらかじめプロテアーゼとラクターゼを混合しておいてもよいし、使用時にプロテアーゼとラクターゼを混合してもよい。原料乳中でプロテアーゼとラクターゼを混合したものであっても、ビフィズス菌増殖効果が得られることから、これも酵素含有組成物に含める。
本発明の酵素含有組成物のpHは5.0〜8.5の範囲内にあることが好ましい。このpHの範囲内であれば、プロテアーゼ及び中性ラクターゼの両方が活性状態にある。
<発酵乳製品に係る発明>
本発明は、乳酸菌と、ビフィズス菌と、κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼと、中性ラクターゼとを含有する発酵乳製品であって、
前記プロテアーゼと前記中性ラクターゼが失活していることを特徴とする発酵乳製品である。
発酵乳製品とは、乳原料を乳酸菌等で発酵する発酵工程を経るものであればよい。例えば、発酵乳、サワークリーム、クワルク、発酵乳飲料、チーズ、フレッシュチーズ等が挙げられる。発酵乳は、ハードタイプ、ソフトタイプ、ドリンクタイプのいずれであっても良い。本発明は、特に発酵乳に好ましく使用することができる。
以下、本発明を構成する材料について説明する。
<原料乳>
原料乳としては、乳糖を含有するものであればよく、例えば、牛乳、羊乳もしくは山羊乳等の獣乳、母乳又はこれらを乾燥させた粉乳等を単独又は混合したものを使用することができる。本発明においては、これらにさらに乳糖及び水を加えたものも原料乳である。
発酵乳製品を100質量%としたときの原料乳は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、発酵が完了するまでの乳を原料乳といい、発酵が完了した後の乳を発酵乳または発酵乳製品という。
原料乳の殺菌方法は、原料乳及び後述するその他の成分に存在する微生物を殺菌できる条件であればよく、その殺菌方法は限定されない。殺菌方法としては、超高温で短時間(数秒間)行う方法、高温で比較的短時間(数分)行う方法、低温(数十度)で長時間(数分〜数十分)行う方法等が挙げられる。
<乳酸菌>
乳酸菌としては、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する微生物を例示できる。
例えば、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)が挙げられる。これらの乳酸菌は単独で使用しても良いし、2以上を組み合わせて使用しても良い。
なお、上記の乳酸菌のうち、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)及びストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)を使用したものが狭義のヨーグルトである。
原料乳への乳酸菌の添加量は、1mLあたり1×10の4乗〜1×10の10乗個であることが好ましい。
下限値未満であると発酵速度低下の問題がある。
上限値超であると製造コストの増加の問題がある。
<ビフィズス菌>
ビフィズス菌としては、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する微生物を例示できる。
例えば、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・エスエスピー・インファンティス(Bifidobacterium longum ssp. infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・エスエスピー・ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp. lactis)である。これらのビフィズス菌は単独で使用しても良いし、2以上を組み合わせて使用しても良い。
このうち、ビフィドバクテリウム・アニマリス・エスエスピー・ラクティス(Bifidobacterium animalis ssp. lactis)のBB−12株(クリスチャンハンセン社製)は耐酸性を有することから好ましい。また、当該BB−12株は酸素耐性もある程度有することから、発酵乳製品の製造において使用しやすい。
原料乳へのビフィズス菌の添加量は、1mLあたり1×10の4乗〜1×10の12乗個であることが好ましい。
下限値未満であると菌数不足の問題がある。
上限値超であると製造コスト増加の問題がある。
原料乳に添加するビフィズス菌数と乳酸菌数の比率は、0.01〜100000の範囲内にあることが好ましく、0.1〜10000の範囲内にあることがより好ましく、1〜1000の範囲にあることがさらに好ましい。
下限値未満であると、発酵後のビフィズス菌数が増えにくくなる恐れがある。
上限値超であると、発酵後のビフィズス菌数は増えるものの、製造コストが増大する傾向にあり、好ましくない。
<κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼ>
κ−カゼインを特異的に分解するとは、原料乳にプロテアーゼを添加したときに、当該原料乳に含まれるα−カゼイン、β−カゼイン及びκ−カゼインのうち、κ−カゼインを最も多く分解することをいう。各カゼインの分解量はSDS−PAGE後の各バンドを定量的に読み取ればよい。α−カゼイン及びβ−カゼインが分解されると、低分子化された水溶性のペプチド又は遊離アミノ酸量が増え、発酵乳製品の収量が少なくなることに加え、凝乳しにくくなることにより発酵時間が増大する傾向にあり好ましくない。
κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼは中性プロテアーゼであることが好ましい。中性プロテアーゼであれば、発酵の進行に伴うpHの低下により、中性プロテアーゼが徐々に失活し、発酵乳製品中の中性プロテアーゼは失活しているから、発酵乳製品製造後の性質を一定に保ちやすくなる。
中性プロテアーゼの作用pHは5.5〜9.0であることが好ましい。
κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼは、エンド型でもエキソ型でもどちらであってもよい。好ましくは、エンド型のプロテアーゼである。
κ−カゼインを特異的に分解するエンド型のプロテアーゼとしては、例えば、ペニバチルス属由来中性プロテアーゼ、がある。エンド型のプロテアーゼは、κ−カゼイン分子の内側からアミノ酸を分解するため、苦味を呈するペプチドが生じにくい。κ−カゼインをエンド型のプロテアーゼで大まかに分解することで、その分解物は、乳酸菌やビフィズス菌が有するプロテアーゼ(プロティナーゼ、エンドペプチダーゼ及びエキソプロテアーゼ)によってさらに小分子化され、乳酸菌やビフィズス菌に取り込まれやすくなる。その結果、乳酸菌及びビフィズス菌を増殖させやすくなる。乳酸菌やビフィズス菌が有するプロテアーゼはκ−カゼインを分解する力が弱いため、本発明の効果を得るには、κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼを添加することが必要である。なお、キモシンはエンド型のプロテアーゼであるが、仔牛由来であることから高価であり、好ましくない。
本発明の効果を得ることができるペニバチルス属由来中性プロテアーゼは、以下の性質を有する。
(1)ペニバチルス属に属する細菌により産生され、
(2)中性範囲でκ−カゼイン、ヘモグロビンを分解し、
(3)至適pHは7.0〜8.0であり、
(4)pH5.5〜9.0で安定である中性プロテアーゼであり、
(5)20〜75℃で作用し、至適温度が55℃であり、
(6)電気泳動法による分子量が32,000〜34,000Daと推定される。
ペニバチルス属は旧来バチルス属に分類されていたが、近年再分類され、新たな属として提案された。上記の性質を有するプロテアーゼは、バチルス・ポリミキサから再同定されたペニバチルス・ポリミキサ或いはペニバチルス・エスピーを含む別の種から得ることができる。文献等によっては、バチルス・ポリミキサと表示されている場合があるが、同義である。
上記のペニバチルス属由来中性プロテアーゼは、詳細には、次の性質を有する。
(a)作用
中性プロテアーゼとしての一般的性質を示し、pHの中性範囲でカゼイン、ヘモグロビンなどの蛋白質を分解してペプチド乃至遊離のアミノ酸を生成する。
酸化インシュリンのB鎖に対してはPha(1)−Val(2)、His(5)−Leu(6)、His(10)−Leu(11)、Glu(13)−Ala(14)、Ala(14)−Ler(15)、Ler(15)−Tyr(16)、Tyr(16)−Leu(17)、Leu(17)−Val(18)、Gly(23)−Phe(24)、Phe(24)−Phe(25)、Phe(25)−Tyr(26)及びLys(29)−Ala(30)の12ヶ所のペプチド結合を切断することが確認されている。
(b)基質特異性
κ−カゼインに対し、pHの中性範囲において温和な蛋白分解作用を示す。α−カゼイン及びβ−カゼインに対しては、pHの中性範囲においても蛋白分解作用をほとんど示さない。
(c)至適pH及び安定pH範囲
イ 至適pH:κ−カゼインに対する蛋白分解作用の至適pHは、7.0〜8.0である。
ロ 安定のpH範囲:5.5〜9.0の範囲で極めて安定である。
(d)作用適温の範囲
20℃〜75℃の範囲で作用し、至適温度は50〜60℃である。最適温度は55℃である。
(e)pH、温度などによる失活の条件
pH3.0以下及びpH10.0以上では、活性は完全になくなる。また、65℃、10分間の加熱処理により、完全に失活する。
(f)阻害、活性化及び安定化
エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、クエン酸、0−フェナンスロリン、2,2−ジピリジル、フッ化ソーダのごとき、金属キレート剤、及びN−ブロモサクシニイミド(NBS)、沃素のごとき酸化剤によって阻害される。
カルシウムイオンにより安定化され、活性には亜鉛イオンが必要である。
(g)分子量
電気泳動法による分子量は、32,000〜34,000Daと推定される。
プロテアーゼの添加量は原料乳に加える終濃度として、0.001〜100protease unit/gの範囲にするのが好ましく、0.005〜50protease unit/gとするのがより好ましい。0.01〜20protease unit/gとすることがさらに好ましく、0.1〜10protease unit/gとすることが特に好ましい。本発明においては、「protease unit」を「PU」と略す場合がある。
下限値未満では十分なκ−カゼイン由来のペプチド及び遊離アミノ酸が得られず、ビフィズス菌を増大させる効果が得られにくくなる。
上限値超であっても、κ−カゼイン量は限定的であるため、効果は得られない。
<中性ラクターゼ>
中性ラクターゼは、乳糖をガラクトースとグルコースに分解する作用を有する。中性ラクターゼは、β−ガラクトシダーゼと呼ばれることもある。中性ラクターゼは細菌由来のものと酵母由来のものとカビ由来のものがある。これらのうち、中性に至適pHがある中性ラクターゼを使用することができる。
中性ラクターゼは単独で使用しても良いし、2以上を組み合わせて使用しても良い。
中性ラクターゼとしては、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)由来の中性ラクターゼ又はクルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロマイセス・マーキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)由来の中性ラクターゼが好ましい。クルイベロマイセス由来の中性ラクターゼは,クルイベロマイセスの菌そのもののほか,クルイベロマイセス・ラクチスから派生した中性ラクターゼが含まれる。活性の至適pHとして6.0〜7.5かつ失活pH5.5〜4.0があげられる。発酵乳製品のpHは5.0以下であるため、中性ラクターゼを使用する場合、発酵乳製品に含まれる中性ラクターゼは失活した状態である。
中性ラクターゼの添加量は原料乳に加える終濃度として、0.001〜100unit/gの範囲にするのが好ましく、0.01〜50unit/gとするのがより好ましい。
0.05〜40unit/gとすることがさらに好ましく、0.1〜30unit/gとすることが特に好ましい。本発明においては、「unit」を「NLU」と略す場合がある。
下限値未満では十分な乳糖分解が得られず、ビフィズス菌を増大させる効果が得られにくくなる。
上限値超では乳糖分解が急速に進むため、ビフィズス菌を増大させる効果が得られにくくなる。
<その他>
原料乳又は発酵乳製品に乳糖以外のグルコース及びガラクトース等の糖類、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー類等を添加することもできる。
これらの材料を添加する場合、事前に殺菌処理を行ってから添加しても良いし、原料乳に添加後に殺菌処理を行っても良い。
<凝集阻害剤>
本発明の酵素含有組成物は、タンパク質の凝集を防ぐ凝集阻害剤を含むことが好ましい。凝集阻害剤としては、(1)界面活性剤、(2)タンパク質の表面を覆う作用を有する保護剤、(3)塩溶効果を有する金属イオン又はその塩、を使用することができる。これらの凝集阻害剤は単独で使用してもよく、異なる種の凝集阻害剤を組み合わせて使用してもよい。
<酵素含有組成物の任意成分>
本発明の酵素含有組成物は、必要に応じ、各種成分を含有していてもよい。具体例としては、ラクターゼやプロテアーゼの安定化に寄与する金属塩類、各種糖類、アスコルビン酸、グリセリン等、使い勝手をよくするための賦形剤である澱粉、デキストリン、緩衝作用を有する無機塩類等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
以下の実施例において、中性ラクターゼは、断りの無い場合には合同酒精社製のGODO−YNL2を用いた。ビフィズス菌は、断りのない場合にはクリスチャンハンセン社製のBifidobacterium animalis ssp. lactis BB12株を用いた。
以下の実施例において使用した、ペニバチルス属由来の中性プロテアーゼ(中性金属プロテアーゼ)は、以下の方法で調製した。Paenibacillus polymyxa NBRC 15309株をDifco社製ニュートリエント液体培地に植菌し、30℃で2日間培養した培養液を10000gで10分間遠心した上清を限外濾過によって脱塩濃縮して用いた。尚、当該中性プロテアーゼは、前述の(a)〜(g)の性質を有するものであった。
<評価方法>
(プロテアーゼ活性の測定方法)
上記の中性金属プロテアーゼの添加量(酵素量)は、以下の方法により定義される酵素量1.0PUに基づいて酵素重量当たりの酵素活性として算出することができる。0.6%カゼイン水溶液(pH7.5、2mM酢酸カルシウム含有50mMトリス塩酸緩衝液)に酵素希釈液1mLを添加し、30℃で10分間反応後、トリクロロ酢酸試薬(pH4.0、1.8%無水酢酸ナトリウム、1.8%トリクロロ酢酸、1.98%酢酸)5mLを加えて反応を停止し、更に30℃で30分静置し、濾過後、275nmの吸光度を測定する。この条件下で1分間に1μgのチロシンに相当するアミノ酸を遊離する酵素量(酵素活性)を1PU(Protease Unit)と定義する。
(中性ラクターゼ活性の測定方法)
中性ラクターゼ活性は、FCC、第4版、1996年7月1日、第801〜802頁/ラクターゼ(中性)(β-ガラクトシダーゼ)活性で、公表されたものを用いて測定した。
(乳酸菌数の測定方法)
乳酸菌数の測定は、発酵前の原料乳と、調製した発酵乳を生理食塩水で適宜希釈した0.1mLを、栄研化学社製BCP加プレートカウント寒天培地‘栄研’で混釈して37℃で2日間の培養後の菌数を測定した。
(ビフィズス菌数の測定方法)
ビフィズス菌数の測定は、発酵前の原料乳と、調製した発酵乳を生理食塩水で適宜希釈した0.1mLを、栄研化学社製TOSプロピオン酸寒天培地で混釈して37℃で2日間の嫌気培養後の菌数を測定した。
[参考例1〜3]
市販のスキムミルク(森永乳業社製)を2質量部、市販の牛乳(明治乳業社製)を98質量部で混合、溶解して100℃で5分の殺菌処理を行った。殺菌処理後に原料乳を43℃まで冷却し、終濃度0.1〜4.0PU/gの中性プロテアーゼおよび乳酸菌(YF−L812株:Streptococcus thermophilus及びLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricusのミクスチャー、クリスチャンハンセン社製)0.1mg/原料乳1mLとビフィズス菌(Bifidobacterium animalis ssp. lactis BB12、クリスチャンハンセン社製)0.05mg/原料乳1mLをそれぞれ添加して43℃で4時間発酵させ、参考例1〜3の発酵乳を得た。
[比較例1]
参考例1と同時に、以下のようにして中性プロテアーゼ処理を行わない発酵乳を得た。
市販のスキムミルク(森永乳業社製)を2質量部、市販の牛乳(明治乳業社製)を98質量部で混合、溶解して100℃で5分の殺菌処理を行った。殺菌処理後に原料乳を43℃まで冷却し、乳酸菌とビフィズス菌を参考例1と同様に添加して43℃で4時間発酵させ、比較例1の発酵乳を得た。
<評価>YF−L812株と中性プロテアーゼ同時添加醗酵乳におけるBB−12株の増殖効果
表1に示したように、中性プロテアーゼ処理を行った参考例1〜3において、発酵中にBB−12株が良好な増殖を示した。発酵終了時点での参考例1と比較例1との差はおよそ40%((参考例または実施例のビフィズス菌数の増加割合−その参考例または実施例と同時に行った比較例のビフィズス菌数の増加割合)、参考例2と比較例1との差はおよそ236%、参考例3と比較例1との差はおよそ327%、であった。参考例1〜3の発酵後のpHは比較例1と比較して低くなっており、発酵乳の製造が速くなった。発酵後のpHは、中性プロテアーゼ添加量が多いほど低くなった。
Figure 2018079758
[参考例4]
発酵乳を製造するまでの牛乳中タンパク質変化をSDS-PAGEで検討した(参考例4)。スターターとしてYF-L812を使用し、100 mg/mLとなるように滅菌水で懸濁した。原料乳として、牛乳(明治おいしい牛乳)を使用した。牛乳は100 mL三角フラスコに100 gを2本分注し、滅菌済みスターラーバーを投入し、43℃でプレインキュベートした。ペニバチルス属由来の中性プロテアーゼ添加量は、2,500 PU/mL希釈液で40μL(終濃度として1 PU/g相当)とした。スターターは100 mgを1,000μLの滅菌水に懸濁し、三角フラスコに対して100μL(Final 10 mg/100 g)添加した。スターターおよび酵素添加後は43℃に保温したまま数分間撹拌し、各三角フラスコより約13 mL/15 mL遠沈管6本に分注し、43℃で醗酵した。遠沈管は経時的にサンプリングし、pH測定およびSDS-PAGE用サンプル調製を行った。SDS-PAGE用サンプルは、得られた発酵乳を超純水で20倍希釈し、SDS-PAGE用サンプルバッファーと1:1で混合し、5分間煮沸することにより調製した。SDS-PAGEは12.5%アクリルアミドゲルを用い、定法に従い行った。なお、サンプルは1レーンあたり10μLアプライした。醗酵中pHの推移は図1に示した。マーカーは図1中に「M」で示しており、その単位はkDaである。中性プロテアーゼ添加醗酵により醗酵が加速する現象が再現した。SDS-PAGEの結果は図2に示した。牛乳中のタンパク質は、酵素無添加の醗酵においては、醗酵開始時より5時間目まで全く変化がなく、カゼイン蛋白の凝固により発酵乳ができるが、タンパク質そのものの分解はほとんど生じていないことが明らかとなった。一方、中性プロテアーゼ添加醗酵の場合、醗酵開始30分後にはκカゼイン(25kDa強のバンド)が消失していることがわかった。
[参考例5]
中性プロテアーゼの終濃度を0.5PU/gとした以外は参考例1と同様にして、参考例5の発酵乳を得た。
[比較例2]
参考例5と同時に行った以外は比較例1と同様にして、中性プロテアーゼ処理を行わない比較例2の発酵乳を得た。中性プロテアーゼ処理を行った参考例5において、発酵中にBB−12株が良好な増殖を示した。発酵終了時点での参考例5と比較例2との差はおよそ75%であった。
参考例5及び比較例2の発酵乳について得られた結果を表2に示した。
Figure 2018079758
[実施例1〜3]
市販のスキムミルク(森永乳業社製)を2質量部、市販の牛乳(明治乳業社製)を98質量部で混合、溶解して100℃で5分の殺菌処理を行った。殺菌処理後に原料乳を43℃まで冷却し、終濃度0.1〜4.0PU/g)の中性プロテアーゼと0.05質量部(終濃度2.5NLU/g)の中性ラクターゼと乳酸菌(YF−L812株)0.1mg/原料乳1mLとビフィズス菌0.05mg/原料乳1mLを添加して43℃で4時間発酵させ、実施例1〜3の発酵乳を得た(中性プロテアーゼ、中性ラクターゼ同時添加)。
図示していないが、中性ラクターゼを終濃度で0.5NLU/g〜10NLU/gにしたとき、ほぼ濃度依存的なビフィズス菌増殖効果を確認できた。中性ラクターゼと中性プロテアーゼの併用効果を確認しやすくするために、実施例1〜4では中性ラクターゼを終濃度で2.5NLU/gとして試験を行った。
[比較例3]
実施例1〜3と同時にした以外は、比較例1と同様にして中性プロテアーゼ処理及び中性ラクターゼ処理を行わない比較例3の発酵乳を得た。
表3に示したように、中性プロテアーゼ処理及び中性ラクターゼ処理を行った実施例2〜3において、発酵中にBB−12株が良好な増殖を示した。発酵終了時点での実施例2と比較例3との差はおよそ298%であり、実施例3と比較例3との差は598%であった。中性プロテアーゼ添加濃度を増すにつれ、ビフィズス菌の数は増大する結果となった。発酵後のpHは中性プロテアーゼを増やすにつれて、低下する傾向にあったことから、本発明によって発酵時間を短くできることが示唆された。
Figure 2018079758
[実施例4]
終濃度が0.5PU/gになるよう中性プロテアーゼを添加した以外は実施例1と同様にして、実施例4の発酵乳を得た(中性プロテアーゼ、中性ラクターゼ同時添加)。
[比較例4]
実施例4と同時にした以外は、比較例1と同様にして中性プロテアーゼ処理及び中性ラクターゼ処理を行わない比較例4の発酵乳を得た。
表4に示したように、プロテアーゼ処理及び中性ラクターゼ処理を行った実施例4において、発酵中にBB−12株が良好な増殖を示した。発酵終了時点での実施例4と比較例4との差はおよそ219%であった。
Figure 2018079758
各実施例の発酵乳について、プロテアーゼ活性及びラクターゼ活性は認められなかった。添加したプロテアーゼ及びラクターゼは、いずれも発酵過程において失活し、発酵乳中において失活していることが示唆された。各実施例の発酵乳はいずれも苦味は生じず、食用に適した味であった。
中性ラクターゼと中性プロテアーゼが乳に作用する構成成分は異なる。すなわち中性ラクターゼは乳糖をグルコースとガラクトースに分解し、本実施例において使用した中性プロテアーゼはκ−カゼインを特異的に分解する。ビフィズス菌は乳酸菌に比べて乳糖を含めた糖類の資化力が遅く、乳酸菌の資化力以上にグルコース及びガラクトースを供給することによってビフィズス菌が増殖しやすくなる環境になるものと推測される。ビフィズス菌及び乳酸菌はκ−カゼインの分解力がほとんどないが、本実施例において使用した中性プロテアーゼのようにκ−カゼインをある程度分解することで、直接または間接的に細胞内にアミノ酸やペプチドを取り込みやすくなる結果、細胞増殖に寄与するものと思われる。
このように、中性ラクターゼと中性プロテアーゼによる乳中の分解物質とそれによるビフィズス菌の増殖効果は異なることから、中性ラクターゼと中性プロテアーゼを併用することで、さらにビフィズス菌が増殖しやすい環境にすることができるものと推測される。
本実施例では中性ラクターゼを1つの濃度でしか検討していないが、中性ラクターゼと中性プロテアーゼの作用メカニズムの違いと、中性ラクターゼ単独では0.5NLU/g〜10NLU/gにしたとき、ほぼ濃度依存的なビフィズス菌増殖効果を確認できたことから、中性ラクターゼを0.5NLU/g〜10NLU/gに設定し中性プロテアーゼを添加すれば、それらの添加濃度によってビフィズス菌増殖効果が得られるものと期待される。

Claims (9)

  1. 中性ラクターゼと、κ−カゼインを特異的に分解するプロテアーゼと、を含む酵素含有組成物であって、
    上記中性ラクターゼの活性1単位(NLU)あたりの上記プロテアーゼの活性が0.01以上100単位(PU)以下であることを特徴とする酵素含有組成物。
  2. 前記プロテアーゼの活性が0.01PU/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の酵素含有組成物。
  3. 前記中性ラクターゼの活性が0.1NLU/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の酵素含有組成物。
  4. 前記プロテアーゼが、ペニバチルス属由来の中性プロテアーゼであることを特徴とする請求項1または2に記載の酵素含有組成物。
  5. pHが5.0〜8.5の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵素含有組成物。
  6. 凝集阻害剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の酵素含有組成物。
  7. 原料乳と、乳酸菌と、ビフィズス菌と、を混合する第1工程と、
    原料乳を発酵させる第2工程と、
    を順次行う発酵乳製品の製造方法であって、
    上記第2工程が終了する前に、原料乳に、κ−カゼインを分解するプロテアーゼを添加する工程(プロテアーゼ添加工程)及び中性ラクターゼを添加する工程(ラクターゼ添加工程)を行い、
    上記中性ラクターゼの活性1単位(NLU)あたりの上記プロテアーゼの活性が0.01以上100単位(PU)以下であることを特徴とする発酵乳製品の製造方法。
  8. 前記プロテアーゼ添加工程における前記プロテアーゼの活性が終濃度で0.01PU/g以上であることを特徴とする請求項7に記載の発酵乳製品の製造方法。
  9. 前記ラクターゼ添加工程における前記中性ラクターゼの活性が終濃度で0.1NLU/g以上であることを特徴とする請求項8に記載の発酵乳製品の製造方法。
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