JPWO2018074031A1 - 原子発振器および電子機器 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、得られるEIT信号の線幅がより細く、精度の高い原子発振器および原子発振器を備える電子機器を提供する。本発明は、光源(1)と、アルカリ金属原子が封入された内部空間(2a)を有するガスセル(2)と、光源(1)から出射され、ガスセル(2)を透過した光を検出する光検出器(3)とを備える原子発振器(100)である。原子発振器(100)は、光源(1)に対するガスセル(2)の遠方端(ガスセル(2)の出射側)において、光源(1)の照射領域(光源(1)のスポット径(W2)に基づく面積)が内部空間(2a)の断面積(内径(R1)に基づく面積)より広い。

Description

本発明は、原子発振器および原子発振器を備える電子機器に関する。
原子発振器は、ルビジウム、セシウム等の原子を気密封入したガスセルに2種類の波長の異なるレーザ光を照射することで、量子干渉効果(Coherent Population Trapping(CPT))を利用して共鳴周波数を得ることができる。ガスセル中の原子はレーザ光を吸収し、2種類の光の周波数差に応じて光吸収特性(透過率)が変化することが知られている。特に、原子発振器は、2種類の光のいずれも吸収されずに透過する現象(Electromagnetically Induced Transparency(EIT))を利用して、原子に吸収されず透過する透過光スペクトルをEIT信号として検出している。具体的な原子発振器の構成については、例えば特許文献1(特開2009−164331号公報)に開示されている。
特開2009−164331号公報
検出されるEIT信号は、特定の周波数においてローレンツ関数的な信号となり、線幅が細いほど良好な信号であり、精度の高い原子発振器となる。しかし、ガスセルに入射される光の強度によりEIT信号が影響を受けることが知られており、従来の原子発振器では、当該影響によりEIT信号の線幅が太くなってしまう問題があった。
具体的に、原子発振器の信号源として用いられる水晶発振器は温度などの環境変化により発振する周波数が変動するが、当該変動を補正するために原子発振器の量子部におけるEIT信号を利用している。原子発振器は、水晶発振器で発振する周波数を検知して補正しているが、EIT信号の線幅が太いと大きな周波数変動が生じないと補正が行われず、精度の高い発振器を実現することができない。
そこで、本発明の目的は、得られるEIT信号の線幅がより細く、精度の高い原子発振器および原子発振器を備える電子機器を提供する。
本発明の一形態に係る原子発振器は、光源と、アルカリ金属原子が封入された内部空間を有するガスセルと、光源から出射され、ガスセルを透過した光を検出する光検出部とを備え、光源に対するガスセルの遠方端において、光源の照射領域が内部空間の断面積より広い。
本発明の別の一形態に係る原子発振器は、光源と、アルカリ金属原子が封入された内部空間を有するガスセルと、光源から出射され、ガスセルを透過した光を検出する光検出部とを備え、光源に対する近方端において光源から出射された光の一部をガスセルに入射させる。
本発明の一形態に係る電子機器は、上記に記載の原子発振器を備える。
本発明によれば、光源に対するガスセルの遠方端において、光源の照射領域が内部空間の断面積より広くなるように、または光源に対する近方端において光源から出射された光の一部をガスセルに入射させるようにすることで、線幅がより細いEIT信号が得られ、精度を向上させることができる。
本発明の実施の形態1に係る原子発振器の構成を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態1に係る原子発振器の機能を説明するためのブロック図である。 光源のスポット径に対する相対的光強度と位置との関係を説明するための図である。 光源のスポット径とEIT信号の線幅との関係を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の変形例に係る原子発振器の構成を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態1の変形例に係る内部空間の形状と光源のスポット径との関係を説明するための概略図である。 アライメントずれ量とEIT信号の線幅との関係を説明するための図である。 本発明の実施の形態2に係る原子発振器の構成を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態3に係る原子発振器の構成を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態3に係る原子発振器の装置構成を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態3に係る原子発振器の別の装置構成を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態3に係る原子発振器の変形例の構成を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態4に係る原子発振器の構成を説明するための概略図である。 原子発振器の構成による光強度の密度の違いを説明するための概略図である。 本発明の実施の形態5に係る原子発振器の構成を説明するための概略図である。
以下に、本発明の実施の形態に係る原子発振器について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1に係る原子発振器について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る原子発振器100の構成を説明するための概略図である。図1では、原子発振器100の構成のうち、光源から光検出器までは量子部について図示してある。原子発振器は、量子部以外に、後述する光源波長制御回路および周波数制御回路の構成(図2参照)や、特に図示していないが信号源となる水晶発振器および量子部からの出力信号を水晶発振器にフィードバックするフィードバック回路などの構成を含んでいる。本願明細書では、説明を簡単にするために原子発振器の量子部について説明する。また、以下の記載において、原子発振器の量子部を単に原子発振器と記載する場合がある。
図1に示す原子発振器100は、光源1、ガスセル2、光検出器3、波長板4およびND(Neutral Density)フィルタ5で構成されている。原子発振器100は、光源1からの光1Aを波長板4およびNDフィルタ5を介してガスセル2に入射し、ガスセル2を透過した光を光検出器3で検出してEIT信号を得ている。
図2は、本発明の実施の形態1に係る原子発振器100の機能を説明するためのブロック図である。図2に示す原子発振器100では、図1に示した原子発振器100の量子部の構成以外に、駆動するために必要な温度コントロール回路6,9、光源波長制御回路7、および周波数制御回路8も図示している。
さらに、図1および図2に示した原子発振器100の構成要素について詳しく説明する。光源1は、例えばシングルモードのVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)を用いる。具体的には、光の波長が894.6nmのCs−D1線のVCSELを光源1に用いる。なお、光源1には、光の波長が852.3nmのCs−D2線のVCSEL、795.0nmのRb−D1線のVCSEL、780.2nmのRb−D2線のVCSELなどを用いてもよい。また、光源1は、VCSELに限定されずDFB(Distributed Feedback)レーザやDBR(Distributed Bragg Reflector)レーザなどを用いてもよい。
光源1にVCSELを用いる場合、VCSELの個体差により光の波長がばらつくため、温度コントロール回路6を用いて894.6nmの波長の光が出力できるように調整している。温度コントロール回路6は、光源1の近傍に設けたサーミスタや熱電対で測定した温度に基づき、光源1に設けたヒータで温度を調節する。なお、VCSELから出力される光の波長を制御する方法として、温度を調整する以外に動作電流を調整する方法もある。
光源1からの光は、ガスセル2に入射されるまでに、波長板4およびNDフィルタ5を通過する。波長板4は、光源1からの光の偏光を変えるために用いる。光源1から出た光は、一般的に直線偏光である。直線偏光を用いたEIT信号は、外部磁場により大きく変動するエネルギー準位を使用するため周波数変動が生じやすい。そのため、通常、原子発振器では、外部磁場による周波数変動の小さい準位を用いるため、波長板4を用いて光源1からの直線偏光の光を波長板4で円偏光の光に変えてガスセル2に入射している。なお、波長板4で変換した円偏光は、右回り円偏光でも左回り円偏光でもよい。
NDフィルタ5は、光源1からの光の強度を減衰させるための光学部品である。原子発振器では、ガスセルに入射する光の強度が強すぎるとEIT信号の線幅が太くなるパワーブロードニング効果が知られている。そのため、光源1に数mW以下のVCSELを用いる場合でも、良好なEIT信号(EIT信号の線幅が細い)を得るために透過率30%以下程度のNDフィルタ5を用いる。なお、NDフィルタ5でガスセル2に入射する光の強度を減衰させすぎるとEIT信号自体が観測できなくなるので、EIT信号の検出限界を踏まえて最適のND値を設定する必要がある。NDフィルタ5には、ガラス基板に金属膜を蒸着し光を反射する反射型や素材自体が光を吸収する吸収型がある。
ガスセル2は、K,Na,Cs,Rbなどのアルカリ金属ガス(原子)を気密封入した密封容器である。ガスセル2は、光源1に対する近方端に光を入射する入射窓(入射側)と、遠方端に光を出射する出射窓(出射側)と、入射窓と出射窓とを保持する側壁(側面)とで構成されている。原子発振器のガスセルでは、Cs,Rbのアルカリ金属ガスが気密封入されている。ガスセル2のサイズが10mm以下の場合、内部空間2a内のアルカリ金属ガスを増やすため、ヒータ等を温度コントロール回路9で調節してガスセル2を温めている。例えば、原子発振器に用いるガスセルであれば、使用温度として30℃〜125℃程度である。温度コントロール回路9は、ガスセル2の近傍に設けたサーミスタや熱電対で測定した温度に基づき、ガスセル2に設けたヒータで温度を調節する。
ガスセル2で必要とされるアルカリ金属ガスの量は、飽和蒸気圧の量である。しかし、アルカリ金属ガスはガスセル2の容器と反応する等により徐々に消費されるため、ガスセル2には飽和蒸気圧の量よりも多くのアルカリ金属ガスが封入されている。具体的に、一辺の長さが数mm程度のガスセルであれば数μg程度のアルカリ金属がガスセル2に封入してある。なお、飽和蒸気圧の量よりも多く封入したアルカリ金属は固体または液体の状態で内部空間2a内に留まることになる。
ガスセル2は、光源1からの光を入射するため、少なくとも光経路上において透明であることが必要である。そのため、ガスセル2の入出射窓には、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスなどのガラスが用いられる。なお、ガスセル2の側面には、ガラスやガラスと陽極接合が可能なSiが用いられる。
ガスセル2の容器サイズは、光軸方向および光軸に対して垂直方向のいずれの方向においても大きい方が良好なEIT信号を得ることができる。これは、ガスセル2内でアルカリ金属ガスに光が当たる領域が広くなり、アルカリ金属ガスに光が当たる時間が長くなるためである。ただし、小型の原子発振器が望まれており、ガスセルの容器サイズは、一辺の長さが1mm〜10mm程度である。
ガスセル2には、アルカリ金属ガス以外にバッファガスが封入されている。ガスセル内にアルカリ金属ガスのみであると、容器壁面にアルカリ金属原子が短時間で衝突して観測する時間が短くなる問題があった。そこで、観測する時間を延ばすためにバッファガスと呼ばれる不活性ガスをアルカリ金属ガスと共にガスセル内に封入する。これにより、アルカリ金属ガスがバッファガスと衝突することで移動速度を低減して容器壁面に衝突するまでの時間を長くして、観測する時間を延ばしている。封入する不活性ガスは、He,N,Ne,Ar,Kr,Xeがある。ガスセルには、300Torr以下程度の不活性ガスを封入する。なお、バッファガスの温度特性によるEIT信号への影響を抑えるため、温度特性の異なる不活性ガスを同時に封入する。例えば、ガスセルにマイナスの温度特性を持つArとプラスの温度特性を持つNとを同時に封入する。
ガスセル2では、アルカリ金属ガスとしてCs、バッファガスとしてArとNeとの混合ガス(ArとNeとの比率は7:3で合計圧力75Torr)を封入している。また、ガスセル2の動作温度は70℃で、ガスセル2の容器サイズは光軸方向の長さが2mmである。
ガスセル2に外部磁場が加わるとアルカリ金属のエネルギー準位がゼーマン分裂し、複数のEIT信号が得られることが知られている。そこで、ガスセル2は、外部磁場の影響を低減するために、磁気シールド2bおよびバイアス磁場2cを加える構成を採用している。磁気シールド2bは、電磁軟鉄、珪素鋼、パーマロイ、アモルファス等の磁性材料が用いられる。バイアス磁場2cは、3軸のヘルムホルツコイル(図示せず)を用いて光軸方向に加えている。なお、ガスセル2にバイアス磁場2cを印加する構成は、ヘルムホルツコイルに限定されない。
光検出器3には、PD(photo diode)を用いている。PDは、光を電流に変換する素子で、例えば近赤外波長に吸収帯を持つSiのPINフォトダイオードである。PINフォトダイオードは、逆バイアス電圧を印加することで高速な応答が可能となるが、原子発振器に用いる場合は特に高速な応答を必要としないため逆バイアス電圧は印加していない。
光検出器3は、PDで得た信号からEIT信号のピーク位置と吸収線のピーク位置を検出する。良好なEIT信号を得るためには吸収線のピーク位置でCPTを生じさせる必要があり、吸収線のピーク位置が光源1からの光の波長に相当する。
光源波長制御回路7は、光源1からの光の波長を制御している。具体的に、光源波長制御回路7は、光検出器3で得た吸収線のピーク位置に応じてDC電源(図示せず)の電流(または電圧)を補正して、吸収線のピーク位置で光源1からの光の波長が安定するように制御している。
周波数制御回路8は、光検出器3から得た信号に応じて光源1の駆動電流に重畳させるRF信号を生成し、ガスセル2内がCPT状態となるようにRF信号の周波数を制御している。具体的に、周波数制御回路8は、光源1に入力する4.596315885kHzのRF信号を、温度補償水晶発振器(TCXO)の信号(10MHz)を基に電圧制御発振器(VCO)および位相同期回路(PLL)を用いて生成している。なお、周波数制御回路8は、EIT信号のピーク位置および吸収線のピーク位置を光検出器3で検出できるように、RF信号の周波数を変調(例えば、10kHz)して光源1からの光の波長を掃引している。
本実施の形態1に係る原子発振器100では、前述した構成のうち光源1とガスセル2との位置関係を見直してガスセル2に入射する光源1からの光の強度が均一になるように構成している。
光源1に用いるVCSELのようなレーザ光では、光の強度が中心部に近づくほど強くなり、光軸に対して垂直な方向において光の強度がガウス分布となっている。そのため、光源1は、スポット径(照射領域)を大きくするほど光源1の中心部から一定の距離(例えば、中心部から1mm)にある周辺部における光の強度差が小さくなる特性を有している。当該特性を利用して、本実施の形態1に係る原子発振器100では、ガスセル2に入射する光源1のスポット径を大きくして光の強度の均一化を図っている。
ここで、ガスセル2に入射する光の強度が均一でない場合、EIT信号の線幅が太くなる理由について説明する。まず、パワーブロードニングが理由の一つと考えられる。パワーブロードニングは、Cs等のアルカリ金属ガスに入射する光の強度密度が大きいほどEIT信号の線幅が太くなる現象である。そのため、光の強度が均一でない場合、光の強度密度が大きい領域においてパワーブロードニングが生じてEIT信号の線幅が太くなり、全体の領域におけるEIT信号の線幅に影響を与える。
次に、ライトシフトが理由の一つと考えられる。ライトシフトは、アルカリ金属ガスに光が入射した場合、当該光の影響でアルカリ金属ガスが持つ固有のエネルギー準位が変化する現象である。ライトシフトによるエネルギー準位の変化量は、光の強度によって異なる。そのため、光の強度が均一でない場合、光の強度が強い領域と、光の強度が弱い領域とでライトシフトによるエネルギー準位の変化量が異なり、EIT信号の線幅に影響を与える。
具体的に、本実施の形態1に係る原子発振器100では、光の強度の均一化を図るために、ガスセル2の容器サイズに対する光源1のスポット径の大きさを見直している。図1に示す原子発振器100では、ガスセル2の内径R1が2mm、ガスセル2の幅R2が4mmである場合に、ガスセル2の入射側での光源1のスポット径W1が4mmより大きくなっている。つまり、ガスセル2の入射側での光源1のスポット径W1は、ガスセル2の内径R1およびガスセル2の幅R2よりも大きい。なお、ガスセル2の断面形状は正方形であり、その外形の一辺の長さがガスセル2の幅R2である。光源1のスポット径は光軸方向に広がるため、ガスセル2の出射側での光源1のスポット径W2は、スポット径W1よりさらに大きくなっている。
ここで、光源1のスポット径と光の強度との関係についてさらに説明する。図3は、光源1のスポット径に対する相対的光強度と位置との関係を説明するための図である。図3には、光源1のスポット径が2mmの場合のグラフA、光源1のスポット径が3mmの場合のグラフB、光源1のスポット径が4mmの場合のグラフCがそれぞれ図示されている。グラフAの場合、光源1の中心部(位置0.0mm)で相対的光強度が1.0であるのに対して、光源1の周辺部(位置±1.0mm)で相対的光強度が約0.1と大幅に変化している。しかし、グラフBの場合、光源1の中心部(位置0.0mm)で相対的光強度が約0.25であるのに対して、光源1の周辺部(位置±1.0mm)で相対的光強度が約0.15と変化が小さい。また、グラフCの場合、光源1の中心部(位置0.0mm)で相対的光強度が約0.1であるのに対して、光源1の周辺部(位置±1.0mm)で相対的光強度が約0.1とさらに変化が小さい。
そのため、原子発振器100は、ガスセル2の入射側での光のスポット径を大きくすることでガスセル2内での光の強度を均一化して良好なEIT信号を得ることができる。具体的に、図4は、光源1のスポット径とEIT信号の線幅との関係を説明するための図である。図4には、光源1のスポット径が2mm、3mm、4mmにおいてEIT信号の線幅を測定した結果が示されている。なお、図4の測定では、ガスセル2に形成された内部空間2aに照射される光源1からの光量が、スポット径を2mm、3mm、4mmと変化させても同じになるように調整してある。光源1のスポット径が2mmの場合、EIT信号の線幅が約1kHzであるのに対して、光源1のスポット径が3mmの場合、EIT信号の線幅が約0.7kHzと細くなっている。また、光源1のスポット径が4mmの場合、EIT信号の線幅が約0.7kHzと細くなっている。従って、光源1のスポット径は、ガスセル2の内部空間2aの内径R1よりも1.5倍以上にすることが好ましい。
原子発振器100では、ガスセル2の入射側での光源1のスポット径を大きくするために、光源1とガスセル2との間の距離を変えることで調整している。なお、光源1のスポット径は、ピークの光強度に対して1/eの光強度となる範囲とする一般的な定義を用いている。
図1に示した原子発振器100では、ガスセル2の入射側での光源1のスポット径W1がガスセル2の幅R2より大きくなる例を示しているが、これに限定されない。原子発振器は、少なくともガスセルの出射側での光源のスポット径がガスセルの幅より大きくなればよく、ガスセルの入射側で光源のスポット径がガスセルの幅より小さくてもよい。具体的に、図5は、本発明の実施の形態1の変形例に係る原子発振器100aの構成を説明するための概略図である。原子発振器100aでは、ガスセル2の出射側での光源1のスポット径W4がガスセル2の幅R2より大きくなる。しかし、原子発振器100aでは、ガスセル2の入射側での光源1のスポット径W3がガスセル2の幅R2より小さくなっている。なお、ガスセル2の容器には厚みが有り、ガスセル2に形成された内部空間2aのサイズは容器サイズより小さい。つまり、ガスセル2の幅R2に対してガスセル2の内径R1は小さい。そのため、厳密に規定するならば、原子発振器100aは、ガスセル2の出射側での光源1のスポット径W4がガスセル2の内径R1より大きければよい。なお、内部空間2aは、直方体のガスセル2の内側に円柱状に形成されており、内部空間2aの断面形状は内径R1の円形である。
以上のように、本実施の形態1に係る原子発振器100,100aでは、少なくともガスセル2の出射側での光源1のスポット径W2,W4がガスセル2の内径R1より大きければ、良好なEIT信号を得ることができる。つまり、原子発振器100,100aは、光源1に対するガスセル2の遠方端(ガスセル2の出射側)において、光源1の照射領域(光源1のスポット径W2,W4に基づく面積)が内部空間2aの断面積(内径R1に基づく面積)より広い。そのため、本実施の形態1に係る原子発振器100,100aでは、得られるEIT信号の線幅がより細く、精度の高い原子発振器となる。
図1および図5に示すように、原子発振器100,100aでは、光源1に対する近方端(ガスセル2の入射側)において光源1から出射された光の一部のみをガスセル2に入射させている。すなわち、ガスセル2は、光源1から出射された光において中央部を入射させているが、周辺部を入射させていない。本来、光源1からの光を有効に利用するのであれば、ガスセル2の入射側においてガスセル2の内径R1よりも光源1のスポット径を小さくする必要がある。しかし、本実施の形態1に係る原子発振器100,100aでは、光の強度を均一化させるために光を有効に利用せず、あえて光源1から出射された光の一部のみをガスセル2に入射させている。そのため、原子発振器100,100aでは、EIT信号の線幅が細くなり、良好なEIT信号を得ることができる。
なお、ガスセル2の形状が幅R2の直方体で、内部空間2aの形状が内径R1の円柱状であると説明したが、これに限定されない。例えば、ガスセル2の形状が円柱状であっても、内部空間2aの形状が直方体であってもよい。原子発振器100,100aは、内部空間2aの形状が直方体の場合であっても、光源1に対するガスセル2の遠方端(ガスセル2の出射側)において、光源1の照射領域が内部空間2aの断面積より広ければよい。ここで、内部空間2aの形状が直方体とした場合に、一部に光が入射しない部分があってもよい。具体的に、図6は、本発明の実施の形態1の変形例に係る内部空間2aの形状と光源1のスポット径との関係を説明するための概略図である。図6(a)では、内部空間2aの形状が円柱状とした場合の内部空間2aの断面と光源1のスポット1aとの関係を示しており、光源1のスポット1aが内部空間2aの断面を全て覆っている。一方、図6(b)では、内部空間2aの形状が直方体とした場合の内部空間2aの断面と光源1のスポット1aとの関係を示しており、光源1のスポット1aが内部空間2aの断面を全て覆うことができず一部に光が入射しない部分が残っている。しかし、光源1のスポット1aの面積(光源1の照射領域)は、内部空間2aの断面積より広くなっている。
(実施の形態2)
図3で示したように、光源1のスポット径が小さいと光源1の中心部から少しずれても光の強度が大きく変化するが、光源1のスポット径を大きくすると光源1の中心部から少しずれても光の強度の変化が小さい。このことは、原子発振器において、光源の光軸がガスセルの中心軸からずれてもガスセルに入射される光の強度が変化しないことを意味しており、光軸のずれ(アライメントずれ)に対する耐性が大きくなることを示している。
図7は、アライメントずれ量とEIT信号の線幅との関係を説明するための図である。図7には、光源1のスポット径が2mmの場合のアライメントずれ量とEIT信号の線幅との変化を測定した結果を点Aで示している。同様に、図7には、光源1のスポット径が3mm、4mmの場合のアライメントずれ量とEIT信号の線幅との変化を測定した結果を点B、点Cでそれぞれ示している。具体的に、光源1のスポット径が2mmの場合(点A)、光源の光軸がガスセルの中心軸と一致しているとき(アライメントずれ量0mm)にEIT信号の線幅が約1kHzである。しかし、アライメントずれ量が−1mmのときEIT信号の線幅が約1.08kHzに、アライメントずれ量が1mmのときEIT信号の線幅が約1.12kHzに、それぞれ大きく変化している。一方、光源1のスポット径が3mmの場合(点B)、アライメントずれ量0mmのときも±1mmのときもEIT信号の線幅が約0.7kHzとほぼ一定である。同様に、光源1のスポット径が4mmの場合(点C)、アライメントずれ量0mmのときも±1mmのときもEIT信号の線幅が約0.7kHzとほぼ一定である。なお、アライメントずれ量±2mmのとき、EIT信号の線幅への影響が最も小さいのが光源1のスポット径が4mmの場合(点C)である。
前述のように、ガスセルに光源からの光を均一化して入射することで、アライメントずれに対する耐性が大きくなることを利用して、原子発振器において、あえて光源の光軸をガスセルの中心軸からずらした構成を採用してもよい。図8は、本発明の実施の形態2に係る原子発振器100bの構成を説明するための概略図である。原子発振器100bは、光源1の光軸1Bがガスセル2の中心軸からずれた構成である。なお、原子発振器100bにおいて、図1に示す原子発振器100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
原子発振器100bでは、光源1の光軸1Bとガスセル2の中心軸とのズレ量をDとしている。ズレ量Dが1mmの場合であっても、原子発振器100bでは、少なくともガスセル2の出射側での光源1のスポット径をガスセル2の内径より大きくしていれば、図7で示したように良好なEIT信号を得ることができる。
(実施の形態3)
実施の形態1に係る原子発振器100,100aでは、光源1に対する近方端(ガスセル2の入射側)において光源1から出射された光の一部をガスセル2に入射させている。そのため、光源1から出射された光のうちガスセル2の内部空間2aに入射しない光が存在し、当該光が光検出器3で検出される可能性がある。光検出器3で検出された当該光は、EIT信号のノイズ成分となる。そこで、内部空間に入射しない光を光検出器で検出しない構成の原子発振器について説明する。図9は、本発明の実施の形態3に係る原子発振器100cの構成を説明するための概略図である。なお、原子発振器100cにおいて、図1に示す原子発振器100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
原子発振器100cでは、ガスセル2の側壁(側面)に遮光部2dを設けた。遮光部2dは、内部空間2aに入射しない光をガスセル2の外側へ透過させないことで、光検出器3に至る光路を遮断している。なお、遮光部2dは、光を吸収する部材、光を反射する部材のどちらでもよい。具体的に、遮光部2dの部材として、例えばSiや金属膜などが考えられる。
例えば、Siを遮光部2dの部材として用いた場合、光の波長が894nmのとき吸収係数αが300〜400cm−1である。ここで、吸収係数αを用いて、遮光部2dに入射した光(光の強度I0)が遮光部2dの中をxcm進んだときの光の強度I(x)を、I(x)=I0exp(−αx)と表すことができる。遮光部2dは、設計上90%以上の吸収量が望ましく、遮光部2dの厚みを1mmとした場合少なくとも吸収係数αが23cm−1以上であればよい。
次に、原子発振器100cを具体的な装置として構成した場合について説明する。図10は、本発明の実施の形態3に係る原子発振器の装置構成を説明するための断面図である。なお、図10に示す原子発振器100cにおいて、図1に示す原子発振器100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。まず、原子発振器100cは、プリント基板1bに設けた光源1を回路基板10の上に載せ、図中上向きに光を照射してガスセル2に光を入射させる構成である。プリント基板1bは、光源1としてVCSELを実装してあり、当該VCSELの温度を調節するためのヒータ6aとサーミスタ6bとを接続するための配線パターンが形成してある。ヒータ6aおよびサーミスタ6bは、温度コントロール回路6に接続されている。
光を上向きに照射してガスセル2に光を入射させる構成であるため、ガスセル2は、スペーサ11を介して光源1の上側に設けられている。スペーサ11は、ガスセル2を保持し光源1との光軸位置、距離を一定にする機能を有している。そのため、光源1のスポット径は、スペーサ11の高さにより調整することができる。
ガスセル2の出射側には、プリント基板3aに設けた光検出器3が配置されている。プリント基板3aは、光検出器3としてPDを実装してあり、ガスセル2の温度を調節するためのヒータ9aとサーミスタ9bとを接続するための配線パターンが形成してある。ヒータ9aおよびサーミスタ9bは、温度コントロール回路9に接続されている。
原子発振器100cは、光源1、ガスセル2および光検出器3などをセラミック部材12で1つにパッケージされている。セラミック部材12は、プリント基板1b,3aと導通しており、回路基板10の配線と接続してある。プリント基板3aと回路基板10とは、ワイヤ配線3bを介して接続されている。セラミック部材12でパッケージした内部は、ヒータ6a,9aの効率を高めるために真空封止してもよい。
次に、図10に示した原子発振器100cにおいて、遮光部2dがどのように機能しているかについて説明する。説明を分かりやすくするために、遮光部2dを設けない別の装置構成を図示する。図11は、本発明の実施の形態3に係る原子発振器100dの別の装置構成を説明するための断面図である。図11に示す原子発振器100dは、ガスセル2が遮光部2dを有していない以外、同じ構成である。
まず、原子発振器100dは、光源1から出射した光がガスセル2の内部空間2aを透過し光検出器3に至る光路1CによりEIT信号を得ることができる。しかし、原子発振器100dでは、遮光部2dを有していないため、光源1から出射した光がセラミック部材12で反射してガスセル2の側面から入射し、ガスセル2の内部空間2aを透過し光検出器3に至る光路1Dが存在する。光路1Dのようにガスセル2の内部空間2aを上手く透過しないで光検出器3で検出される光は、EIT信号のノイズ成分となり、原子発振器100dは、良好なEIT信号を得ることができない。そこで、図10に示した原子発振器100cは、ガスセル2に遮光部2dを設けることで光路1Dのような光が光検出器3で検出されないようにして、良好なEIT信号を得ている。
また、原子発振器100dは、遮光部2dを有していないため、光源1から出射した光がガスセル2の側面を通過しサーミスタ9bに至る光路1Eが存在する。原子発振器100dでは、図11に示すようにガスセル2付近に温度をセンシングのためのサーミスタ9bが配置されており、当該サーミスタ9bに不要な光が当たると正確な温度測定ができない虞がある。そこで、図10に示した原子発振器100cは、ガスセル2に遮光部2dを設けることで光路1Eのような光がサーミスタ9bに当たらないようにして、サーミスタ9bの誤動作を防止している。特に、図10に示すように、ガスセル2の入射側で光源1のスポット径をガスセルの幅より小さくさせることで、ガスセル外に向かう光が存在しなくなり、さらにガスセル2に照射された光が遮光部2dを設けることで、サーミスタ9bの誤動作を防止できる。例えば、ガスセル2の幅R2が3mm〜5mm程度であれば、ガスセル2の入射側で光源1のスポット径を3mm〜5mm程度以下にする。
以上のように、本実施の形態に係る原子発振器100cは、ガスセル2の側壁に光を吸収する部材または光を反射する部材で構成された遮光部2dを設けているので、ガスセル2の内部空間2aを上手く透過しないで光検出器3に至る光を取り除き、EIT信号のノイズ成分を低減して良好なEIT信号を得ることができる。なお、遮光部2dは、光の吸収係数が23cm−1以上であることが望ましい。
なお、原子発振器100cでは、ガスセル2の側壁に遮光部2dを設ける構成について説明したが、これに限定されない。例えば、原子発振器は、光源から出射された光の一部がガスセルに入射されないように遮光する遮光部材を光源とガスセルとの間に設けてもよい。具体的に、図12は、本発明の実施の形態3に係る原子発振器100eの変形例の構成を説明するための概略図である。なお、原子発振器100eにおいて、図1に示す原子発振器100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図12に示す原子発振器100eでは、ガスセル2の入射側に遮光部材25を配置している。遮光部材25は、光源1から出射された光の一部をガスセル2に入射させないように遮光することで、ガスセル2の内部空間2aを上手く透過しないで光検出器3に至る光を遮光している。遮光部材25は、光源1とガスセル2との間に配置されれば、いずれの位置であってもよい。例えば、NDフィルタ5に光源1から出射された光の一部を遮光するように遮光機能を持たせることで遮光部材25として用いてもよい。つまり、NDフィルタ5は、ガスセル2の内部空間2aを上手く透過して光検出器3に至る光の強度を調節するとともに、ガスセル2の内部空間2aを上手く透過しないで光検出器3に至る光を遮光する。
(実施の形態4)
前述の原子発振器では、光源から出た光が検出器に至るまで広がる光であると説明したが、本実施の形態に係る原子発振器では、光源から出た広がる光を平行光にしてガスセルを透過させる構成について説明する。図13は、本発明の実施の形態4に係る原子発振器100fの構成を説明するための概略図である。なお、原子発振器100fにおいて、図1に示す原子発振器100と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
原子発振器100fは、光源1とガスセル2の間に平行光にするレンズ等の光学部材13を配置してある。平行光にするレンズ等の光学部材13として、例えばコリメータレンズなどが考えられる。原子発振器100fでは、光学部材13で平行光になった光がガスセル2を透過して光検出器3に至る。なお、原子発振器100fでは、波長板4およびNDフィルタ5を配置していないが、必要に応じて波長板4およびNDフィルタ5を配置してもよい。
ガスセル2を透過する光が平行光である場合と、平行光でない場合との違いについてさらに詳しく説明する。図14は、原子発振器の構成による光強度の密度の違いを説明するための概略図である。図14(a)には原子発振器100が図示されており、光源1から出た光1Aは光検出器3に至るまで広がる光である。そのため、ガスセル2の入射側での光強度の密度1Gとガスセル2の出射側での光強度の密度1Hとを比較すると、光強度の密度1Hの方が低くなる。よって、ガスセル2の内部空間2aを透過する光は、光軸方向に光強度の密度が連続的に変化することになり、ガスセル2の位置によって光強度の密度が異なることになる。
一方、図14(b)には原子発振器100fが図示されており、光源1から出た光1Aが光学部材13で平行光1Fに変換され光検出器3に至る。そのため、ガスセル2の入射側での光強度の密度1Iとガスセル2の出射側での光強度の密度1Jとを比較すると、同じ光強度の密度である。よって、ガスセル2の内部空間2aを透過する光は、光軸方向に光強度の密度が一定となり、ガスセル2の位置によって光強度の密度が変化しない。ガスセル2の内部空間2aを透過する光強度の密度が一定の方が、EIT信号の線幅が細くなり良好なEIT信号を得ることができる。
以上のように、本実施の形態に係る原子発振器100fは、光源1とガスセル2との間に、光源1から出射され光を光軸に沿った平行光にする光学部材13をさらに備えるので、良好なEIT信号を得ることができる。なお、光学部材13に広がる光を平行光にする機能に加えて、光の強度を均一化する機能を付加するのであればフライアイレンズを用いてもよい。
(実施の形態5)
実施の形態1に係る原子発振器100では、光源1からの光の強度を均一化する手段として光源1のスポット径を大きくする構成について説明した。本実施の形態に係る原子発振器では、拡散板を用いて光源1からの光の強度を均一化する手段について説明する。図15は、本発明の実施の形態5に係る原子発振器100gの構成を説明するための概略図である。なお、原子発振器100gにおいて、図9に示す原子発振器100cと同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
原子発振器100gは、光源1とガスセル2の間に、光源1から出射され光を拡散させる拡散部材14を配置してある。拡散部材14として、例えばポリカーボネート板などが考えられる。原子発振器100gでは、光源1からの光1Aを拡散部材14で光を拡散して拡散光1Kに変換する。拡散光1Kは、光1Aに比べて光の強度が均一化されている。なお、原子発振器100gでは、波長板4およびNDフィルタ5を配置していないが、必要に応じて波長板4およびNDフィルタ5を配置してもよい。
以上のように、原子発振器100gでは、拡散部材14で光源1からの光1Aの強度が均一化されているので、EIT信号の線幅が細くなり、良好なEIT信号を得ることができる。また、原子発振器100gでは、拡散部材14で光の強度の均一化を図っているので、光源1のスポット径を大きくすることを抑制することができる。光源1のスポット径を大きくすると光源1とガスセル2との距離を確保する必要があるが、拡散部材14で光の強度の均一化を図ることで光源1とガスセル2との距離を短くして原子発振器100gを小型化することが可能となる。
(変形例)
前述の実施の形態に係る原子発振器では、量子干渉効果(CPT)を利用して共鳴周波数を得る構成について説明したが、これに限られない。原子発振器の動作原理には、光とマイクロ波を利用した二重共鳴法と呼ばれる方法があり、前述の実施の形態に係る原子発振器は、二重共鳴法にも同様に適用することができる。
前述の実施の形態に係る原子発振器は、原子時計の基準発振器として使用することができると共に、基準発振器を必要とする携帯電話基地局の電子機器、携帯電話(スマートフォン)、カーナビケーションシステムのようなGPSシステムを利用した位置情報を必要とする受信機などの電子機器に用いることができる。また、前述の実施の形態に係る原子発振器の量子部は、磁気センサ等の各種センサとしても使用することが可能であり、センサとして原子発振器の量子部を組み込む電子機器にも用いることができる。
前述の実施の形態に係る原子発振器は、特に制限がない限り、それぞれの実施の形態を自由に組み合わせてよい。例えば、実施の形態1に係る原子発振器100に記載の構成と、実施の形態5に係る原子発振器100gに記載の構成とを組み合わせてもよい。また、実施の形態1の変形例に係る原子発振器100bに記載の構成と、実施の形態4に係る原子発振器100fに記載の構成とを組み合わせてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 光源、1b,3a プリント基板、2 ガスセル、2a 内部空間、2b 磁気シールド、2c バイアス磁場、2d 遮光部、3 光検出器、3b ワイヤ配線、4 波長板、5 NDフィルタ、6,9 温度コントロール回路、6a,9a ヒータ、6b,9b サーミスタ、7 光源波長制御回路、8 周波数制御回路、10 回路基板、11 スペーサ、12 セラミック部材、13 光学部材、14 拡散部材、25 遮光部材、100,100a〜100g 原子発振器。

Claims (10)

  1. 光源と、
    アルカリ金属原子が封入された内部空間を有するガスセルと、
    前記光源から出射され、前記ガスセルを透過した光を検出する光検出部とを備え、
    前記光源に対する前記ガスセルの遠方端において、前記光源の照射領域が前記内部空間の断面積より広い、原子発振器。
  2. 前記光源の照射領域は、前記内部空間内において前記光検出部に近づくにつれて広くなる、請求項1に記載の原子発振器。
  3. 前記ガスセルは、
    前記光源に対する前記ガスセルの近方端に、前記光源からの光を入射する入射窓と、
    前記ガスセルの前記遠方端に、前記内部空間を透過した光を前記光検出部に出射する出射窓と、
    前記入射窓と前記出射窓とを保持する側壁とを備え、
    前記側壁は、光を吸収する部材で構成された遮光部を有する請求項1または請求項2に記載の原子発振器。
  4. 前記遮光部は、光の吸収係数が23cm−1以上である請求項3に記載の原子発振器。
  5. 前記光源と前記ガスセルとの間に、前記光源から出射された光の一部が前記ガスセルに入射されないように遮光する遮光部材をさらに備える、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の原子発振器。
  6. 前記光源と前記ガスセルとの間に、前記光源から出射された光を光軸に沿った平行光にする光学部材をさらに備える、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の原子発振器。
  7. 前記光源と前記ガスセルとの間に、前記光源から出射された光を拡散させる拡散部材を備える、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の原子発振器。
  8. 前記光源の光軸が、前記ガスセルの中心軸からずれている、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の原子発振器。
  9. 光源と、
    アルカリ金属原子が封入された内部空間を有するガスセルと、
    前記光源から出射され、前記ガスセルを透過した光を検出する光検出部とを備え、
    前記光源に対する近方端において前記光源から出射された光の一部を前記ガスセルに入射させる、原子発振器。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の前記原子発振器を備える、電子機器。
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