JPWO2018061152A1 - 太陽電池モジュールの固定構造 - Google Patents

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Abstract

太陽電池モジュールを設置面に固定具を介して固定する作業が、より容易である固定構造を提供する。隣接している太陽電池モジュール(10)の一方のスリット(24)に、一つの固定具(1)の第一延出部(51)を挿入させると共に、他方の太陽電池モジュールのスリットに、同じ固定具の第二延出部52を挿入させた状態で、それぞれの太陽電池モジュールの下当接面(26)を固定具の上面部41に載置させる。固定具には、立壁部(45)から第二延出部と同方向に離隔した位置で、上面部から突起部(44)を突出させる。突起部と第二延出部の端部との間の距離は、スリットの開口縁の下端と下当接面との間の距離より大きく設定され、全面が上面部に当接している下当接面より内方で突起部が上面部から突出している状態で、第二延出部の少なくとも一部をスリットの内部に挿入させる。

Description

本発明は、太陽電池モジュールを屋根面等の設置面に固定具を介して固定する太陽電池モジュールの固定構造に関するものである。
太陽電池パネルの周縁がフレームで保持された太陽電池モジュールを、設置面に固定具を介して固定するための固定構造として、出願人は過去に、フレームに対してスライド可能に取り付けられる固定具を使用した構造を提案している(例えば、特許文献1,2参照)。これらの固定構造では、四角形の太陽電池パネルを保持する二対のフレームのうち、一対のフレームはそれぞれ長手方向に延びるスリットを側面部に有しており、このスリットに挿入される部分を固定具が有している。
これにより、太陽電池モジュールに対する固定具の取り付けピッチに合わせて、予め固定具を設置面上で位置決めして固定しておく作業を必要とすることなく、フレームのスリットに沿って固定具をスライドさせて、固定具の取り付け位置を定めることができる。また、フレームのスリットに沿って固定具をスライドさせることにより、固定具の位置を容易に調整することができるため、固定具を屋根面に固定するビスや釘等の締結部材が、屋根を支持する垂木などの構造部材に打ち込まれるよう容易に調整することができる。従って、固定具を介して太陽電池モジュールを構造部材に支持させることができ、太陽電池モジュールの固定構造を高強度なものとすることができる。
加えて、固定具においてスリットに挿入される部分は、スリットの延びる方向に直交する横方向からスリットに挿入することができる。そのため、設置面において一方向に、太陽電池モジュールを順次固定していくことができる。例えば、傾斜している屋根面を設置面とする場合、軒から棟に向かう一方向に、太陽電池モジュールを順次固定していくことができる。
しかしながら、上記の従来技術では、太陽電池モジュールを設置面に固定する作業において、次のような問題があった。すなわち、ある太陽電池モジュールの一対のフレームのうち、一方のフレームは固定具によって設置面に固定されているが、他方のフレームは未だ固定具によって設置面に固定されていない段階では、作業の途中で太陽電池モジュールが、スリットの延びる方向だけではなく、これに直交する方向にも動いてしまうことがある。そのため、設置面に固定済みの固定具から太陽電池モジュールが外れてしまい、太陽電池モジュールの固定作業がし難い場合があった。
特開2007−165499号公報 特許第4365450号公報
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、太陽電池モジュールを設置面に固定具を介して固定する作業が、より容易である太陽電池モジュールの固定構造の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる太陽電池モジュールの固定構造(以下、単に「固定構造」と称することがある)は、
「四角形の太陽電池パネルの二対の辺のうちの一対が、一対の第一フレームで保持されている太陽電池モジュールが、固定具を介して設置面に固定される太陽電池モジュールの固定構造であって、
前記第一フレームは、
前記太陽電池パネルの上面に当接している上当接面と、
該上当接面の一端から直角をなして下方に延出している側面部と、
該側面部の中途高さから前記上当接面に平行に延出しており、前記太陽電池パネルを載置して前記上当接面との間に保持している載置面と、
該載置面より下方の前記側面部の中途高さで開口し、前記第一フレームの長手方向に延びているスリットと、
前記側面部の下端から前記上当接面と平行に延出している下当接面と、を具備しており、
前記固定具は、
前記設置面に固定されるベース部と、
該ベース部の上面部から上方に延出していると共に、前記第一フレームの長手方向に延出している立壁部と、
該立壁部の上端から、前記長手方向に直交する両方向にそれぞれ延出している第一延出部及び第二延出部からなる側方延出部と、
前記立壁部から前記第二延出部と同方向に離隔した位置で、前記ベース部の前記上面部から突出している突起部と、を具備しており、
隣接している前記太陽電池モジュールの一方の前記スリットに、一つの前記固定具の前記第一延出部が挿入されると共に、他方の前記太陽電池モジュールの前記スリットに、同じ前記固定具の前記第二延出部が挿入された状態で、それぞれの前記太陽電池モジュールの前記下当接面は前記上面部に載置されるものであり、
前記突起部と前記第二延出部の端部との間の距離は、前記スリットの開口縁の下端と前記下当接面との間の距離より大きく、
全面が前記上面部に当接している前記下当接面より内方で前記突起部が前記上面部から突出している状態では、前記第二延出部の少なくとも一部が前記スリットの内部に挿入されている」ものである。
「設置面」は、傾斜している屋根面や水平な屋根面とすることができる。この場合、屋根は、スレート屋根、金属屋根、瓦屋根とすることができる。また、「設置面」は屋根面に限定されず、太陽電池モジュールを設置するための専用の傾斜面や水平面であっても良い。
本構成の固定構造では、隣接する太陽電池モジュールが、その間に配置された固定具によって設置面に固定される。すなわち、隣接する太陽電池モジュールの一方の第一フレームのスリットに固定具の第一延出部が挿入され、他方の太陽電池モジュールの第一フレームのスリットに、同じ固定具の第二延出部が挿入された状態で、その固定具が設置面に固定されることにより、隣接する太陽電池モジュールが設置面に固定される。
固定具の上面部には、立壁部に対する片側において、つまり第二延出部が延びている側の上面部において、突起部が形成されている。そして、本構成の固定構造では、下当接面の全面が上面部に当接している状態では、その下当接面より内方で突起部が上面部から突出する。従って、固定具の上面部に載置された状態にある第一フレームは、長手方向にはスライド可能であるが、長手方向に直交する方向への移動は突起部によって制限される。加えて、下当接面の全面が上面部に当接しており、その下当接面より内方で突起部が上面部から突出している状態では、第二延出部の少なくとも一部が第一フレームのスリットに挿入されている。そのため、固定具の上面部に載置された状態にある第一フレームに対して、上方に向かう力が作用しても、スリットと第二延出部とが干渉してその移動の妨げとなる。つまり、本構成では、固定具の上面部に載置された状態にある第一フレームについて、長手方向に直行する方向、及び上方への移動の双方が制限される。
従って、固定具を介した太陽電池モジュールの設置面への固定を、第二延出部が延出している一方向に順次進めて行くことにより、意図しない太陽電池モジュールの移動によって第一フレームのスリットから固定具が相対的に外れてしまうことが、突起部の存在によって有効に防止されるため、作業性良く固定構造を構築することができる。
一方、固定具の上面部からは突起部が突出しているものの、突起部と第二延出部の端部との間の距離は、スリットの開口縁の下端と下当接面との間の距離より大きく設定されている。そのため、第二延出部が延出している方向に向かって高くなるように太陽電池モジュールを意図的に傾ければ、第一フレームのスリットに固定具の第二延出部を挿入しつつ、第一フレームの下当接部を固定具の上面部に載置し、第一フレームを固定具によって支持させることができる。
本発明にかかる太陽電池モジュールの固定構造は、上記構成に加えて、
「前記第一フレームは、前記下当接面と前記載置面とを、前記側面部より内方で連結している連結部と、前記スリットより下方で、前記連結部から外方に向かって突出している第一係合片とを有していると共に、該第一係合片への外方からのアクセスを許容する空隙が前記側面部に形成されており、
前記固定具は、前記第一延出部より下方で、前記立壁部から前記第一延出部と同方向に突出している第二係合片を有しており、
前記第一延出部が前記スリットに挿入されている状態で、前記第一係合片は前記第二係合片と係合する」ものとすることができる。
上記構成では、第二延出部からスリットが外れる方向に、第一フレームが固定具から相対的に外れることが抑制されていた。これに加え、本構成では、スリットから第一延出部が外れる方向に、第一フレームから固定具が相対的に外れることが、第一フレームの第一係合片と固定具の第二係合片との係合によって抑制されている。従って、固定具に対する太陽電池モジュールの意図しない移動が、第一フレームの長手方向に直交する両方向で抑制されているため、より一層高い作業性で、設置面に太陽電池モジュールを固定することができる。
以上のように、本発明の効果として、太陽電池モジュールを設置面に固定具を介して固定する作業が、より容易である太陽電池モジュールの固定構造を、提供することができる。
本発明の一実施形態である固定構造に使用される固定具の斜視図である。 図1の固定具と第一フレームとの関係を示す断面図である。 太陽電池モジュールの分解断面図である。 化粧カバーの断面図である。 図5(a)〜図5(c)は、図1の固定具を使用して化粧カバーを設置面へ固定する手順の説明図である。 図6(d)〜図6(f)は、図1の固定具を使用して太陽電池モジュールを設置面へ固定する手順の説明図である。 図7(g)〜図7(i)は、図6(d)〜図6(f)に引き続き、図1の固定具を使用して太陽電池モジュールを設置面へ固定する手順の説明図である。 図8(j),図8(k)は、図7(g)〜図7(i)に引き続き、図1の固定具を使用して太陽電池モジュールを設置面へ固定する手順の説明図であり、図8(l)は、構築された固定構造の断面図である。 設置面に固定される複数の太陽電池モジュールと固定具との関係を例示する平面図である。
以下、本発明の一実施形態である太陽電池モジュールの固定構造について、図1乃至図9を用いて説明する。ここでは、傾斜している屋根面を設置面5とする場合を例示する。いくつかの図における矢印Fは、設置面5の降下方向を示している。
本実施形態の固定構造は、複数の太陽電池モジュール10が複数の固定具1を介して、設置面5の傾斜方向に複数列で固定されると共に、傾斜方向に直交する方向に複数列で固定される固定構造である。
太陽電池モジュール10は、平面視で長方形の太陽電池パネル19と、太陽電池パネル19の一対の長辺を保持する一対の第一フレーム11a,11bと、太陽電池パネル19の一対の短辺を保持する一対の第二フレーム12とを備えている。一対の第一フレーム11a,11bは、長手方向に直交する断面の形状が、太陽電池パネル19に対して対称である。ここでは、一対の第一フレーム11a,11bのうち、軒側を第一フレーム11aと称し、棟側を第一フレーム11bと称して区別する。また、一対の第二フレーム12も、長手方向に直交する断面の形状が、太陽電池パネル19に対して対称である。なお、第一フレーム11a,11b及び第二フレーム12は、アルミニウム等の金属で形成された押出型材であり、それぞれ長手方向に直交する断面形状は単一である。
第一フレーム11a,11bは、主に図3に示すように、太陽電池パネル19の上面に当接している上当接面21と、上当接面21の一端から直角をなして下方に延出している側面部23と、側面部23の中途高さから上当接面21に平行に延出しており、太陽電池パネル19を載置して上当接面21との間に保持している載置面22と、載置面22より下方の側面部23の中途高さで開口し、第一フレーム11a,11bの長手方向に延びているスリット24と、側面部23の下端から上当接面21と平行に延出している下当接面26と、下当接面26と載置面22とを側面部23より内方で連結している連結部27と、を具備している。更に、第一フレーム11a,11bは、スリット24より低い高さで連結部27から外方に向かって突出している第一係合片28を備えており、第一係合片28の先端は上方に屈曲した鉤状である。そして、側面部23には、第一係合片28とほぼ同じ高さに、第一係合片28への外方からのアクセスを許容する空隙25が形成されている。
上記の「内方」及び「外方」は、太陽電池モジュール10において、一対の第一フレーム11a,11b及び一対の第二フレーム12で囲まれる空間に対する「内方」及び「外方」である。
ここでは、側面部23において、スリット24より上の部分を側面上部23aと称し、スリット24と空隙25との間の部分を側面中間部23bと称し、空隙25より下の部分を側面下部23cと称する。本実施形態では、側面中間部23bは側面上部23aと平行ではあるが同一面上にはなく、側面中間部23bの方が側面上部23aより内方に位置している。一方、側面下部23cは、側面中間部23bと同一面上にある。また、連結部27は、側面部23と平行な部分を主体としており、上部は上方に向かうほど外方に傾斜して載置面22に至っていると共に、下部は下方に向かうほど外方に傾斜して下当接面26に至っている。
一対の第二フレーム12は、一対の第一フレーム11a,11bと同一の構成とすることができる。これにより、太陽電池モジュール10の構成部品の種類が少なくシンプルな構成となると共に、固定具1を介して一対の第二フレーム12を設置面5に固定することも可能となる。或いは、第二フレーム12を、固定具1を取り付けないことを前提とした構成とすることもできる。この場合の第二フレーム12は、第一フレーム11a,11bと同様の上当接面、載置面、側面部、下当接面、及び連結部を有するが、第一フレーム11a,11bとは異なり、側面部にスリットは開口していないと共に、連結部から第一係合片は突出しておらず、当然ながら第一フレーム11a,11bの空隙25に相当する構成を有していない構成となる。
固定具1は、主に図1及び図2に示すように、設置面5に固定されるベース部40と、ベース部40の上面部41から上方に延出していると共に、第一フレーム11a,11bの長手方向に延出している立壁部45と、立壁部45の上端から、長手方向に直交する両方向にそれぞれ延出している第一延出部51及び第二延出部52からなる側方延出部50と、立壁部45から第二延出部52と同方向に離隔した位置で、ベース部40の上面部41から突出している突起部44と、を具備している。
より具体的には、ベース部40は一対の側壁部43と、それぞれの側壁部43の上端を連結する上面部41と、それぞれの側壁部43の下端を連結する底面部42とからなる角筒状であり、上面部41及び底面部42は、それぞれ側壁部43との境界である辺が長辺の長方形である。立壁部45は、上面部41の一対の長辺と平行であり、一対の長辺の一方から立壁部45までの距離は、一対の長辺の他方から立壁部45までの距離より長い。換言すれば、立壁部45は、ベース部40において長手方向に直交する方向に偏って位置している。
第一延出部51及び第二延出部52は、上面部41からの高さが同一であり、立壁部45と共にT字形をなしている。第一延出部51及び第二延出部52では、上面部41の一対の長辺のうち立壁部45からの距離が小さい長辺の方向に向かって延出している方が、第一延出部51である。
ベース部40の底面部42には、長手方向に直交する方向において第二延出部52が延出している方向に偏った位置に、締結用孔部47が貫設されている。締結用孔部47は、ビス61のネジ部より大径で、その頭部より小径である。また、ベース部40の上面部41には、締結用孔部47の直上で、ビス61の頭部より大径の作業用孔部46が貫設されている。ここで、締結用孔部47は、平面視で第二延出部52の端辺と重ならない位置に、立壁部45から離れて設けられている。
突起部44は、立壁部45と平行で、且つ、作業用孔部46の中央を通る突条であり、上面部41からの高さは1mm〜5mmである。また、図2に示すように、突起部44と第二延出部52の端部との距離L1は、第一フレーム11a,11bにおけるスリット24の開口縁の下端と下当接面26との間の距離L2より大きく設定されている。
固定具1は、更に、第一延出部51より下方で、立壁部45から第一延出部51と同方向に突出している第二係合片58を備えており、第二係合片58の先端は下方に屈曲した鉤状である。加えて、固定具1は、立壁部45から数mm離隔した位置で第二延出部52から下方に突出している突出壁55と、突出壁55の直下でベース部40の上面部41から上方に突出している第二突出壁56とを、備えている。突出壁55及び第二突出壁56は、立壁部4と平行な面である。また、立壁部45から突出壁55までの距離(立壁部45から第二突出壁56までの距離と等しい)は、小ビス62の頭部の高さより若干大きく設定されている。また、立壁部45から突出壁55までの距離は、側壁上部23aの延長面と側壁中間部23bとの距離の2倍より、2mm〜5mm大きく設定されている。
また、固定具1は、第二係合片58が突出している位置より高い位置で、立壁部45を貫通する小孔部48を有している。小孔部48は、小ビス62のネジ部より大径で、その頭部より小径である。
上記構成の固定具1を介して太陽電池モジュール10が設置面5に固定される固定構造の構築について、以下、説明する。ここでは、最も軒側の列に属する太陽電池モジュール10の軒側の端辺に、化粧カバー13が取り付けられる場合を示す。
化粧カバー13は、主に図4に示すように、長手方向に直交する方向の断面形状の一部が第一フレーム11a,11bと共通である。共通している部分は、側面部23(側面上部23a、側面中間部23b、側面下部23c)、スリット24、空隙25、下当接面26である。化粧カバー13は、第一フレーム11a,11bの上当接面21と同一の高さとなるように、側面部23の上端から延出しているカバー部31を備えており、カバー部31の断面形状は、側面部23から離れるほど下降する略円弧状である。また、カバー部31とスリット24とを連結している部分を複数有しており、そのうち側面部23に平行な部分である縦連結部37からは、第一フレーム11a,11bにおける第一係合片28と同様の構成の第一係合片38が突出している。化粧カバー13は、第一フレーム11a,11b及び第二フレーム12と同様にアルミニウム等の金属で形成された押出型材であり、長手方向に直交する断面の形状が単一である。
このような化粧カバー13を最も軒側の太陽電池モジュール10に取り付ける場合、まず、化粧カバー13のスリット24に固定具1の第一延出部51を挿入する(図5(a)参照)。化粧カバー13をバランスよく支持できると共に、固定具1を垂木などの構造部材に対して留め付けることができる位置まで、スリット24に沿って固定具1をスライドさせる。例えば、図9に示すように、一つの化粧カバー13に二つの固定具1を取り付ければ、この二つの固定具1を間にして、化粧カバー13と一つの太陽電池モジュール10の軒側の第一フレーム11aとが設置面5に固定される。
スリット24に沿ってスライドさせて固定具1の位置決めが済んだら、化粧カバー13の側面中間部23b及び側面下部23cを固定具1の立壁部45に当接させ、化粧カバー13の下当接面26を固定具1の上面部41に載置する。これにより、化粧カバー13の第一係合片38の鉤状の先端と、固定具1の第二係合片58の鉤状の先端とが係合する。この状態で、締結用孔部47にビス61を挿通し、設置面5に留め付ける。これにより、立壁部45より軒側で化粧カバー13を支持している固定具1が、設置面5に固定される(図5(b)参照)。ここで、締結用孔部47は平面視で第二延出部52と重なることなく、第二延出部52の端辺より棟側に位置しており、ベース部40の上面部41には締結用孔部47より大径の作業用孔部46が設けられている。そのため、工具を使用してビス61を留め付ける作業が行い易いものとなっている。なお、固定具1を設置面5に固定するにあたり、固定具1の底面部42と設置面5との間に、防水材70を介在させる。
更に、化粧カバー13の側面中間部23bと固定具1の立壁部45とを、小孔部48に挿通した小ビス62で留め付ける(図5(c)参照)。これにより、固定具1に対する化粧カバー13の長手方向でのスライドが防止される。また、設置面5が傾斜面である場合、化粧カバー13には自重によって固定具1から離隔させる方向の外力が作用するが、小ビス62によって固定具1と化粧カバー13とが留め付けられていることにより、第一係合片38と第二係合片58との係合のみによってこの外力に抗する場合に比べて、より安定的に化粧カバー13を固定具1によって支持することができる。
固定具1による化粧カバー13の固定が済んだら、化粧カバー13を固定している同じ固定具1の棟側において、太陽電池モジュール10を支持させる。具体的には、太陽電池モジュール10の一対の第一フレーム11a,11bのうち軒側の第一フレーム11aのスリット24に固定具1の第二延出部52を挿通しながら、その第一フレーム11aの下当接面26を固定具1の上面部41に載置する。固定具1の上面部41からは、第二延出部52と同じ側で突起部44が突出しているが、上述のように距離L1は距離L2より大きく設定されている(図2参照)。そのため、棟に向かうほど高くなるように太陽電池モジュール10を傾けることにより、第二延出部52をスリット24に挿入することが可能であり(図6(d),図6(e)参照)、第一フレーム11aにおいてスリット24の開口縁の下端より下方の部分を、第二延出部52より下方の空間に位置させ、下当接面26の全面を、上面部41に当接させることができる(図6(f)参照)。
このとき、軒側の第一フレーム11aの側面中間部23b及び側面下部23cが、それぞれ固定具1の突出壁55及び第二突出壁56に当接している状態が、第一フレーム11aが化粧カバー13に最も接近した状態である(図7(g)参照)。すなわち、小ビス62の頭部のためのスペースが、立壁部45と突出壁55との間に確保されている。加えて、上述のように、立壁部45から突出壁55までの距離は、側壁上部23aの延長面と側壁中間部23bとの距離の2倍より大きく設定されているため、第一フレーム11aが化粧カバー13に最も接近した状態で、第一フレーム11aと化粧カバー13との間に隙間が形成される。これより、気温の変化等によって金属製の第一フレーム11a及び化粧カバー13が熱膨張した場合でも、両者の接触が抑制されていると共に、設置面5が傾斜を有する場合であっても、太陽電池モジュール10の荷重が化粧カバー13にかかることが防止されている。
軒側の第一フレーム11aの固定が済んだら、次に、同じ太陽電池モジュール10の棟側の第一フレーム11bを固定する。そのためには、棟側の第一フレーム11bのスリット24に、新たな固定具1の第一延出部51を挿入し(図7(h)参照)、固定に適した位置まで固定具1をスリット24に沿ってスライドさせる。図9に示すように、化粧カバー13の場合と同様に、一つの第一フレーム11bに二つの固定具1を取り付ければ、一つの太陽電池モジュール10の棟側の第一フレーム11bと、これと隣接する太陽電池モジュール10の軒側の第一フレーム11aとが、両者間に配置された二つの固定具1を介して設置面5に固定される。
なお、先に図6(d)を用いて述べた段階、すなわち、軒側の第一フレーム11aを固定具1に支持させる段階で、同じ太陽電池モジュール10の棟側の第一フレーム11bに固定具1をスライド可能に取り付けておいても良い。
棟側の第一フレーム11bにおける固定具1の位置決めが済んだら、第一フレーム11bの側面中間部23b及び側面下部23cを固定具1の立壁部45に当接させ、第一フレーム11bの下当接面26を固定具1の上面部41に載置する。これにより、第一フレーム11bの第一係合片28と、固定具1の第二係合片58とが係合する。この状態で、締結用孔部47にビス61を挿通し、設置面5に留め付けると共に(図7(i)参照)、第一フレーム11bの側面中間部23bと固定具1の立壁部45とを、小ビス62で留め付ける(図8(j)参照)。
これにより、立壁部45より軒側で第一列の太陽電池モジュール10の棟側の第一フレーム11bを支持している固定具1が、設置面5に固定された状態となる。そこで次に、同じ固定具1の棟側に、次の列(第二列)の太陽電池モジュール10の軒側の第一フレーム11aを支持させる(図8(k)参照)その際、図4(d),図4(e)を用いて上述したように、棟に向かうほど高くなるように太陽電池モジュール10を傾ける。以下、上記と同様の作業を繰り返すことにより、軒から棟に向かう一方向に、太陽電池モジュール10を順次取り付けることができ、次の構成の固定構造が形成される。すなわち、隣接している太陽電池モジュール10の一方の棟側の第一フレーム11bのスリット24に、一つの固定具1の第一延出部51が挿入されていると共に、他方の太陽電池モジュール10の軒側の第一フレーム11aのスリット24に、同じ固定具1の第二延出部52が挿入されており、棟側の第一フレーム11bの下当接面26がベース部40において立壁部45より軒側の上面部41に当接していると共に、軒側の第一フレーム11aの下当接面26がベース部40において立壁部45より棟側の上面部41に当接しており、棟側の第一フレーム11bの第一係合片28が固定具1の第二係合片58と係合している固定構造である(図8(l)参照)。
この固定構造では、軒側の第一フレーム11aの下当接面26の全面が上面部41に当接しており、その下当接面26より更に内方で、上面部41から突起部44が突出している。従って、固定具1の上面部41に載置された状態にある軒側の第一フレーム11aは、長手方向にはスライド可能であるが、長手方向に直交する方向への移動は突起部44によって制限されている。加えて、下当接面26の全面が上面部41に当接しており、その下当接面26より内方で突起部44が上面部41から突出している状態で、第二延出部52の少なくとも一部が第一フレーム11aのスリット24に挿入されている。そのため、固定具1の上面部41に載置された状態にある第一フレーム11aに対して、上方に向かう力が作用しても、スリット24と第二延出部52とが干渉して上方への移動が妨げられる。
つまり、この固定構造では、固定具1の上面部41に載置された状態にある第一フレーム11aについて、長手方向に直行する方向の移動も、上方へ向かう移動も制限されている。従って、固定具1を介した太陽電池モジュール10の設置面5への固定を、軒から棟に向う一方向に順次進めて行くことにより、意図しない太陽電池モジュール10の移動によって第一フレーム11aのスリット24から固定具1が相対的に外れてしまうことが、突起部44の存在によって有効に防止され、作業性良く固定構造を構築することができる。
一方、固定具1の上面部41からは突起部44が突出しているものの、突起部44と第二延出部52の端部との間の距離L1は、スリット24の開口縁の下端と下当接面26との間の距離L2より大きく設定されているため、棟に向かうほど高くなるように太陽電池モジュール10を意図的に傾ければ、第一フレーム11aのスリット24に固定具1の第二延出部52を挿入しつつ、第一フレーム11aの下当接部26を固定具1の上面部41に載置させ、第一フレーム11aを固定具1によって支持させることができる。
加えて、固定具1における立壁部45から突出壁55までの距離は、第一フレーム11,11bそれぞれにおける側壁上部23aの延長面と側壁中間部23bとの距離の2倍より大きく設定されている。そのため、隣接している太陽電池モジュール10の一方の第一フレーム11bと他方の陽電池モジュール10の第一フレーム11aとが最も接近した状態で、第一フレーム11a,11b間に隙間が形成される。これより、気温の変化に伴い金属製の第一フレーム11a,11bが熱膨張した場合でも、両者の接触が抑制されていると共に、設置面5が傾斜を有する場合であっても、上段の太陽電池モジュール10の荷重が下段の太陽電池モジュール10にかかることが防止されている。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、最も軒側に配される固定具1の軒側で化粧カバー13を支持させ、その固定具1の棟側で太陽電池モジュール10の軒側の第一フレーム11aを支持させる場合を例示した。これに限定されず、化粧カバー13を使用することなく、最も軒側に配される固定具1には、太陽電池モジュール10の軒側の第一フレーム11aのみを支持させても良い。その場合は、軒側の第一フレーム11aのスリット24に、固定具1の第二延出部52を挿入した状態で、固定具1をスリット24に沿ってスライドさせ、位置決めをする。
また、上記の実施形態では、第一フレーム11a,11bにおいて側面部23の全面が同一面上にはなく、同一面上にある側面中間部23b及び側面下部23cが、側面上部23aより内方に位置する場合を例示した。これに限定されず、第一フレーム11a,11bそれぞれにおいて、側面部23の全体が同一面上にある構成とすることができる。この場合、隣接する太陽電池モジュール10の第一フレーム11a,11b同士の間には、固定具1の立壁部45と突出壁55との間の距離に相当する隙間が形成される。

Claims (2)

  1. 四角形の太陽電池パネルの二対の辺のうちの一対が、一対の第一フレームで保持されている太陽電池モジュールが、固定具を介して設置面に固定される太陽電池モジュールの固定構造であって、
    前記第一フレームは、
    前記太陽電池パネルの上面に当接している上当接面と、
    該上当接面の一端から直角をなして下方に延出している側面部と、
    該側面部の中途高さから前記上当接面に平行に延出しており、前記太陽電池パネルを載置して前記上当接面との間に保持している載置面と、
    該載置面より下方の前記側面部の中途高さで開口し、前記第一フレームの長手方向に延びているスリットと、
    前記側面部の下端から前記上当接面と平行に延出している下当接面と、を具備しており、
    前記固定具は、
    前記設置面に固定されるベース部と、
    該ベース部の上面部から上方に延出していると共に、前記第一フレームの長手方向に延出している立壁部と、
    該立壁部の上端から、前記長手方向に直交する両方向にそれぞれ延出している第一延出部及び第二延出部からなる側方延出部と、
    前記立壁部から前記第二延出部と同方向に離隔した位置で、前記ベース部の前記上面部から突出している突起部と、を具備しており、
    隣接している前記太陽電池モジュールの一方の前記スリットに、一つの前記固定具の前記第一延出部が挿入されると共に、他方の前記太陽電池モジュールの前記スリットに、同じ前記固定具の前記第二延出部が挿入された状態で、それぞれの前記太陽電池モジュールの前記下当接面は前記上面部に載置されるものであり、
    前記突起部と前記第二延出部の端部との間の距離は、前記スリットの開口縁の下端と前記下当接面との間の距離より大きく、
    全面が前記上面部に当接している前記下当接面より内方で前記突起部が前記上面部から突出している状態では、前記第二延出部の少なくとも一部が前記スリットの内部に挿入されている
    ことを特徴とする太陽電池モジュールの固定構造。
  2. 前記第一フレームは、前記下当接面と前記載置面とを、前記側面部より内方で連結している連結部と、前記スリットより下方で、前記連結部から外方に向かって突出している第一係合片とを有していると共に、該第一係合片への外方からのアクセスを許容する空隙が前記側面部に形成されており、
    前記固定具は、前記第一延出部より下方で、前記立壁部から前記第一延出部と同方向に突出している第二係合片を有しており、
    前記第一延出部が前記スリットに挿入されている状態で、前記第一係合片は前記第二係合片と係合する
    ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの固定構造。
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