本出願は、2016年9月20日に出願された特願2016−182683号に対して、優先権の利益を主張するものであり、それを参照することにより、その内容の全てを本書に含めるものである。
以下の開示は、生物の呼吸数を取得するための技術に関する。
従来から、生物の呼吸数を取得するための技術が知られている。例えば、特開昭62−22627号公報(特許文献1)には、呼吸数測定装置が開示されている。特許文献1によると、脈拍間隔を検出し、脈拍間隔の変化周期を検出し、変化周期の逆数から単位時間内の呼吸数を算出する。
また、特開2014−133049号公報(特許文献2)には、生体情報管理モジュール、睡眠計、制御装置が開示されている。特許文献2によると、生体情報管理モジュールは第1の取得部と判別部と生成部とを有する。第1の取得部は種類の異なる複数の就床時の生体情報を生体情報群として取得する。判別部は生体情報群に基づいて生体の状態を判別する。生成部は生体の状態が所定の状態であると判別部が判別するときに実行指令を生成する。実行指令は第1の機器に所定の動作を実行させる。第1の機器は生体に対して所定の動作を実行する。
特開昭62−22627号公報
特開2014−133049号公報
従来よりも効率的に生物の単位時間当たりの呼吸数を取得することができる技術が求められている。本発明の一態様は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来よりも効率的に生物の単位時間当たりの呼吸数を取得することができるコンピュータ、呼吸数の取得方法、および情報処理システムを提供することにある。
この発明のある態様に従うと、生物の脈拍または心拍を示すデータを取得するためのインターフェイスと、生物の脈拍または心拍を示すデータに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断し、所定の条件が満たされている期間の呼吸数を算出するためのプロセッサと、を備える、コンピュータが提供される。
好ましくは、プロセッサは、生物の脈拍または心拍のデータから呼吸数を算出する。
好ましくは、プロセッサは、生物の脈拍または心拍のデータを逐次処理し、所定の条件が満たされている期間の生物の脈拍または心拍のデータから呼吸数を計算する。
好ましくは、プロセッサは、生物の脈拍または心拍のデータから拍動間隔を計算し、拍動間隔に基づいて呼吸数を算出する。
好ましくは、プロセッサは、拍動間隔のパワースペクトルを作成し、パワースペクトルに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断し、パワースペクトルに基づいて呼吸数を取得する。
好ましくは、プロセッサは、拍動間隔のポアンカレプロットに基づいて、所定の条件が満たされているか否かを判断する。
この発明の別の局面に従うと、プロセッサを有するコンピュータにおける生物の呼吸数の取得方法が提供される。取得方法は、生物の脈拍または心拍を示すデータを取得するステップと、生物の脈拍または心拍を示すデータに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断するステップと、所定の条件が満たされている期間の呼吸数を取得するステップと、を備える。
この発明の別の局面に従うと、出力装置と、生物の拍動を検知するためのセンサと、センサからの生物の脈拍または心拍を示すデータに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断し、所定の条件が満たされている期間の呼吸数を算出し、出力装置に出力させるためのコンピュータと、を備える情報処理システムが提供される。
以上のように、本発明の一態様によれば、従来よりも効率的に生物の単位時間当たりの呼吸数を取得することができるコンピュータ、呼吸数の取得方法、および情報処理システムが提供される。
第1の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第1の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第1の実施の形態にかかる信号処理装置500のハードウェア構成を示す図である。
第1の実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
第1の実施の形態にかかる心電データと拍動間隔との例である。
第1の実施の形態にかかる拍動検出タイミングと拍動間隔との関係の例である。
第1の実施の形態にかかるパワースペクトル分布の例である。
第1の実施の形態にかかる犬の安静時におけるスプライン補間後のRRI変動とパワースペクトル分布との例である。
第1の実施の形態にかかる犬の興奮時におけるスプライン補間後のRRI変動とパワースペクトル分布との例である。
第1の実施の形態による呼吸数の取得方法の効果の例である。
第3の実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
第3の実施の形態にかかる拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブルの例である。
第3の実施の形態にかかる拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321AからY=X方向とそれに垂直な方向の軸への変換の例である。
第3の実施の形態にかかる犬の状態毎の、Y=X軸に関する標準偏差と、Y=−Xに関する標準偏差との目安を示す表である。
第3の実施の形態にかかる犬の安静状態におけるポアンカレプロットの例である。
第3の実施の形態にかかる犬の興奮状態におけるポアンカレプロットの例である。
第3の実施の形態にかかる拍動間隔の時系列変化の例である。
第4の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第4の実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
第5の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第6の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第7の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第7の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第8の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第9の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第9の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第9の実施の形態にかかる通信端末300のハードウェア構成を示す図である。
第10の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第10の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第10の実施の形態にかかるサーバ100のハードウェア構成を示す図である。
第10の実施の形態にかかる情報処理システム1の別の全体構成の例である。
第3の実施の形態にかかる犬の興奮状態におけるポアンカレプロット図である。
第3の実施の形態にかかる犬の通常状態で呼吸が安定している状態におけるポアンカレプロット図である。
第3の実施の形態にかかる犬の通常状態におけるポアンカレプロット図である。
第3の実施の形態にかかる犬の安静状態におけるポアンカレプロット図である。
実験例1および比較例1のそれぞれで測定した4頭の被験体の1分当たりの呼吸数をプロットした図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
<情報処理システムの全体構成>
まず、図1を参照して、情報処理システム1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
情報処理システム1は、主に、生物の胸部に取り付けられる心電取得用の電極400と、心電信号を処理して呼吸数を算出するための信号処理装置500とを含む。情報処理システム1は、犬などの被験体にベスト型の測定装置を装着するものであって、電極400が生物の左右の腋窩部分に取り付けられ、信号処理装置500等は背側に設けられる。なお、装置形態はこれに限らない。
<情報処理システムの機能構成と処理手順>
次に、図2から図4を参照して、本実施の形態にかかる情報処理システム1の構成と処理手順とについて説明する。図2は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。図3は、本実施の形態にかかる信号処理装置500のハードウェア構成の例である。図4は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
まず、情報処理システム1の信号処理装置500は、信号取得部561と、信号解析部511と、状態判別部512と、生体情報検出部513と、出力部531とを含む。
信号取得部561は、心電計や通信インターフェイス560やフィルタや増幅器などを含む。信号取得部561は、逐次、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得して、信号解析部511に受け渡す(ステップS102)。
信号解析部511は、CPU(Central Processing Unit)510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。信号解析部511は、逐次、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する(ステップS104)。
さらに、信号解析部511は、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する(ステップS106)。より詳細には、信号解析部511は、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、信号解析部511は、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う(ステップS108)。
状態判別部512では、CPU510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。状態判別部512は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大のピークを特定する(ステップS110)。状態判別部512は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別する。
より詳細には、例えば、屋内の静かな部屋でリラックスしている状態の犬のスプライン補間後のRRI変動は、図8(a)に示すようなものとなる。この場合のパワースペクトル分布は、図8(b)に示すようなものとなり、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有するため、状態判別部512は、「測定可能状態」と判別する。
逆に、例えば、屋外の騒がしい環境で落ち着きがない状態の犬のスプライン補間後のRRI変動は、図9(a)に示すようなものとなる。この場合のパワースペクトル分布は、図9(b)に示すようなものとなり、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有さないため、状態判別部512は、「測定不可能状態」と判別する。
状態判別部512が、「測定不可能状態」と判別した場合は、別のタイミングに関して、信号取得部561が既に取得している拍動間隔に基づいて、ステップS106からの処理を繰り返す。
生体情報検出部513は、CPU510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。生体情報検出部513は、状態判別部512において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。生体情報検出部513は、状態判別部512において行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数として、逆数を計算することによって呼吸数を算出する。
出力部531は、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などを含む。出力部531は、単位時間当たりの呼吸数を表示したり、音声出力したり、外部のデータベースに蓄積したりする。
本実施の形態においては、生体情報検出部513は、状態判別部512において行われた周波数解析における最大ピークの周波数を呼吸の周波数として、当該周波数の逆数を計算することによって呼吸数を算出する。図10は60分間の呼吸数測定の結果である。状態判別をしなかった場合には、図10(a)のように測定結果が毎分出力可能であるが、様々な状態での測定結果を含み、また、精度を担保することが困難である。一方、「測定不可能状態」と判別した時間のデータは算出しないことにより、図10(b)に示すような呼吸数を算出することが可能になり、適切な状態下における呼吸数のみを得ることができる。
より詳細には、バイタルデータを蓄積することは医学的に重要な意義を持つが、一定の環境下(例えば安静時)において測定されたデータを比較・解析することが必要である。特に、長期的にデータを比較する場合や、被測定者が自ら一定の状態を維持することができない場合には、信頼性をもってバイタルデータを記録するためには、測定時の被測定者の状態を判別することが必要である。特に呼吸数は、随意的に変動するため被測定者が意識的に測定可能な状態を作り出すことが困難であり、現在では、自動的に測定可能かどうかを判別する手段が確立されていない。
しかしながら、測定データ(例えば心電信号)を解析することで被測定者の状態判別を行い、状態の判別結果に基づいて、バイタルデータ(例えば、心電信号から導かれる呼吸数など)を算出し、記録しておくことができる。特に、状態判別の手段としては、「測定中の一定時間(例えば1分間)にわたって、適切な状態を保っていたかどうか」の判別を行う。そして、「適切な状態を保っていたかどうか」の判別基準は、例えば、心拍変動解析を用いて、呼吸による変動周期から定義する。犬などの動物は、動作が見られない場合にも心拍や呼吸数の変化があり、本判別基準は加速度センサ等を用いて動作を解析するよりも高精度に適切な状態を判別できる。また、状態判定とバイタルデータ検出の両方を、心電信号等の単一の測定データから行うことによって、測定装置を小型かつ簡便にすることができる。そして、装置やシステムを小型化することにより、測定者側へのストレスや負荷を減らし、より自然な状態での測定が可能となる。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態においては、パワースペクトルを利用して対象の生物が安静状態であるか否かについて判断するものであった。そして、図4のステップS110において、状態判別部512は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)における最大のピークを特定するものであった。そして、状態判別部512は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別するものであった。
しかしながら、本実施の形態として、図4のステップS110において、状態判別部512は、信号解析部511における周波数解析で得られたパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05Hz〜0.5Hzの間)において、パワースペクトルの最大ピークを探し、当該ピークからその半値幅までのパワースペクトルの積分値の、全体に占める割合が設定された閾値以上の場合に、呼吸数の測定可能状態と判別してもよい。
なお、状態判別部512は、パワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)における最大のピークが、他のパワースペクトルと比較して突出しているか否かを判別できればよく、他の方法によって「測定可能状態」と判別してもよい。
<第3の実施の形態>
第1および第2の実施の形態においては、パワースペクトルを利用して対象の生物が安静状態にあるか否かについて判断するものであった。しかしながら、通信端末300が、拍動間隔のポアンカレプロットに基づいて、対象の生物が安静状態にあるか否かを判断してもよい。以下では、図2・図11を参照して、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成と処理手順とについて説明する。なお、図11は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
まず、信号取得部561が、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する(ステップS302)。
信号解析部511は、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する(ステップS304)。信号解析部511は、拍動間隔を拍動間隔テーブルとして逐次メモリ520に蓄積していく(ステップS306)。
状態判別部512は、一定時間単位、例えば、1分、10分、1時間など状態を判定するために必要な時間単位で、メモリ520から拍動間隔データを読み出して、図12に示すような、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321Aを作成する(ステップS308)。
状態判別部512は、図13に示すように、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との関係テーブルからY=X方向とそれに垂直な方向の軸への変換を行う(ステップS310)。
状態判別部512は、軸の変換を行った後のそれぞれの軸に関する標準偏差を算出する(ステップS312)。なお、状態判別部512は、Y=X軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、Y=−Xの軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、両方を算出してもよいし、両者の積を算出してもよい。そして、状態判別部512は、算出結果に基づいて、対象の生物が測定可能状態であるか否かを判断する(ステップS312)。
参考に、図14は、犬の状態毎の、Y=X軸に関する標準偏差と、Y=−Xに関する標準偏差と、標準偏差の積と、標準偏差の比との目安を示す表である。
換言すれば、本実施の形態においては、状態判別部512は、信号解析部511において得られた拍動間隔について、横軸にN番目のRRIを、縦軸にN+1番目のRRIをとり、プロットしたグラフにおいて、そのプロットのばらつきを数値化する。そして、犬のような呼吸性の不整脈を有する生物は、当該プロットの分布の大きさと形状により測定可能状態であるかどうか判断できる。
例えば、静かな環境でリラックスしている状態の犬のポアンカレプロットは、図15に示すようなものとなる。この場合のポアンカレプロットは、プロットが全体的にばらついており、中心部にプロットが少ない。このような場合に、状態判別部512は、「測定可能状態」と判別する。
逆に、例えば、騒がしい環境で落ち着きがない状態の犬のポアンカレプロットは、図16に示すようなものとなる。この場合のポアンカレプロットは、プロットが全体的に密集しており、中心部にもプロットがある。このような場合に、状態判別部512は、「測定不可能状態」と判別する。
以下、より詳細にポアンカレプロット図に関して説明する。図32は、犬の興奮状態におけるポアンカレプロット図である。図33は、犬の通常状態で呼吸が安定している状態におけるポアンカレプロット図である。図34は、犬の通常状態におけるポアンカレプロット図である。図35は、犬の安静状態におけるポアンカレプロット図である。
まず、例えば犬などの呼吸性の不整脈を有する生物の場合、図32のような興奮状態においては、心拍数が上昇し(拍動間隔は短くなる)、揺らぎは小さくなり、プロットが一定の場所に集まるような状態になる。
そして、図33のような呼吸が安定している通常の状態においては、心拍数が安静状態ほどは少なくないが、グラフの中心にプロットが少ない(穴の空白)領域が存在する。このような形状になるのは、犬の心拍が呼吸の影響を大きく受けるため、拍動変動が周期的に変化することが原因と考えられる(呼吸性不整脈)。そのため、リラックスした緩やかな拍動ではないが、呼吸が安定して行われているため、空白の存在する状態になると考えられる。
そして、図34のような通常状態においては、拍動に揺らぎがみられ、ばらつきは大きくなるが、プロット点が散乱している状態となる。
そして、図35の安静状態においては、犬がリラックスしているために拍動の間隔が大きくなり、さらに呼吸性不整脈の影響を大きく受けるために、円形や四角形に近い形状や、三角形に近い形状となる。そのいずれの形状においても、安静状態ではポアンカレプロットの中心部に空白部分が見られる形状となる。
図2に戻って、生体情報検出部513は、状態判別部512において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。本実施の形態においては、生体情報検出部513は、「測定可能状態」において、図17に示すように、拍動間隔の時系列変化における極大(または極小)点の数を呼吸数として算出する。
本実施の形態においては、状態判別部512が、「測定不可能状態」と判別した場合は、別のタイミングに関して、信号取得部561が既に取得している拍動間隔に基づいて、ステップS308からの処理を繰り返す。ただし、状態判別部512が、逐次、「測定不可能状態」であるか否かの判断まで実行し、「測定可能状態」のときだけ、ステップS314が実行されるものであってもよい。
出力部531は、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などを含む。出力部531は、単位時間当たりの呼吸数を表示したり、音声出力したり、外部のデータベースに蓄積したりする。
<第4の実施の形態>
第1および第2の実施の形態においては、パワースペクトルを利用して対象の生物が安静状態にあるか否かについて判断するものであった。そして、第3の実施の形態においては、拍動間隔のポアンカレプロットに基づいて、対象の生物が安静状態にあるか否かについて判断するものであった。しかしながら、両者を利用して、対象の生物が安静状態にあるか否かを判断することも可能である。
以下では、図18および図19を参照して、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成と処理手順とについて説明する。なお、図18は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成の例である。図19は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
まず、情報処理システム1の信号処理装置500の構成について説明する。信号処理装置500は、信号取得部561と、第1の信号解析部511Aと、第1の状態判別部512Aと、第1の生体情報検出部513Aと、第2の信号解析部511Bと、第2の状態判別部512Bと、第2の生体情報検出部513Bと、生体情報蓄積部521と、出力部531とを含む。
そして、信号取得部561は、例えば図3の通信インターフェイス560や心電計やフィルタや増幅器などによって実現される。第1の信号解析部511Aと、第1の状態判別部512Aと、第1の生体情報検出部513Aと、第2の信号解析部511Bと、第2の状態判別部512Bと、第2の生体情報検出部513Bとは、例えば図3のCPU510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。生体情報蓄積部521は、例えば、図3のメモリ520によって実現される。出力部531は、図3のディスプレイ530またはスピーカ570または通信インターフェイス560などによって実現される。
信号取得部561は、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する(ステップS402)。
第1の信号解析部511Aは、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔とを算出する(ステップS404)。第1の信号解析部511Aは、拍動間隔を拍動間隔テーブルとして逐次メモリ520に蓄積していく(ステップS406)。
第1の状態判別部512Aは、一定時間単位、例えば、1分、10分、1時間など、状態を判定するために必要な時間単位で、メモリ520から拍動間隔データを読み出して、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321Aを作成する(ステップS408)。
第1の状態判別部512Aは、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321AからY=X方向とそれに垂直な方向の軸への変換を行う(ステップS410)。
第1の状態判別部512Aは、軸の変換を行った後のそれぞれの軸に関する標準偏差を算出する(ステップS412)。なお、第1の状態判別部512Aは、Y=X軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、Y=−Xの軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、両方を算出してもよいし、両者の積を算出してもよい。そして、第1の状態判別部512Aは、算出結果に基づいて、対象の生物が測定可能状態であるか否かを判断する(ステップS412)。
換言すれば、第1の状態判別部512Aは、第1の信号解析部511Aにおいて得られた拍動間隔について、横軸にN番目のRRIを、縦軸にN+1番目のRRIをとり、プロットしたグラフにおいて、そのプロットのばらつきを数値化する。そして、犬のような呼吸性の不整脈を有する生物は、当該プロットの分布の大きさと形状により測定可能状態であると判断できる。
第1の生体情報検出部513Aは、第1の状態判別部512Aにおいて「測定可能状態」と判別された場合(ステップS412にてOKである場合)、図17に示すように、信号解析部511で得られた拍動間隔の時系列変化における極大(または極小)点の数を単位時間当たりの呼吸数として算出する。
そして、生体情報蓄積部521が当該呼吸数を蓄積したり、出力部531が、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などに呼吸数を出力させたりする(ステップS434)。
一方、第1の状態判別部512Aにおいて「測定可能状態」と判別されなかった場合(ステップS412にてNGである場合)、第2の信号解析部511Bが、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する(ステップS422)。より詳細には、第2の信号解析部511Bは、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、第2の信号解析部511Bは、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う(ステップS424)。
第2の状態判別部512Bは、第2の信号解析部511Bにおける周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大ピークが最大のピークを特定する(ステップS426)。
第2の状態判別部512Bは、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有するか否かに応じて、「測定可能状態」であるか否かを判断する(ステップS428)。
第2の状態判別部512Bにおいて、「測定可能状態」と判別された場合に(ステップS428にてOKである場合)、第2の生体情報検出部513Bは、第2の状態判別部512Bにおいて行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数とし、当該周波数の逆数を計算することによって単位時間当たりの呼吸数を算出する(ステップS432)。
そして、生体情報蓄積部521が当該呼吸数を蓄積したり、出力部531が、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などに呼吸数を出力させたりする(ステップS434)。
なお、第2の状態判別部512Bにおいて、「測定可能状態」と判別されなかった場合には(ステップS428にてNGである場合)、出力部531が、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などを介して、「呼吸数検出付加」という旨のエラーメッセージを出力させる(ステップS430)。ただし、CPU510は、「測定可能状態」と判別されなかった場合には(ステップS428にてNGである場合)、別のタイミングに関して、ステップS408からの処理を繰り返すものであってもよい。
本実施の形態においては、先にポアンカレプロットに基づいて測定可能か否かを判断しているため、ヒストグラムによる判断よりも計算量を低減することが可能である。ただし、先にヒストグラムによる判断をし、測定不可能と判断された際にポアンカレプロットに基づいて測定可能か否かを判断する形態であってもよい。
<第5の実施の形態>
第1〜第4の実施の形態においては、犬の胸部に取り付けられる心電取得用の電極400を利用するものであった。しかしながら、電極の取り付け位置は、このような形態には限られない。
例えば、図20に示すように、脚の裏などに心電測定用の電極400Bを装着し、当該心電信号が生体情報モニター500Bに送信されてもよい。なお、その後の信号解析、状態判別、生体情報検出は、他の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。より詳細には、生体情報モニター500Bが第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載してもよいし、生体情報モニター500Bが有線または無線のネットワークを介して第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載する他の装置に心電データを提供するものであってもよい。
<第6の実施の形態>
第1〜第4の実施の形態においては、犬の胸部に取り付けられる心電取得用の電極400を利用するものであった。しかしながら、このような形態には限られない。
例えば、図21に示すように、光電脈波方式の脈波計400Cによって脈波信号を取得し、当該脈波信号が生体情報モニター500Cに送信されてもよい。この場合は、脈波の測定部位は、舌、耳などをはじめとした皮膚が露出した部位であることが好ましい。なお、その後の信号解析、状態判別、生体情報検出は、第1〜第4の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。より詳細には、生体情報モニター500Bが第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載してもよいし、生体情報モニター500Bが有線または無線のネットワークを介して第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載する他の装置に心電データを提供するものであってもよい。
<第7の実施の形態>
あるいは、図22に示すように、マイクロ波ドップラーセンサ等の脈波取得センサを利用して、脈拍を検出してもよい。例えば、マイクロ波発信装置500Dが天井等に設置されており、非接触で犬などの生物からの脈波を取得する形態が考えられる。より詳細には、マイクロ波ドップラーセンサの生データから心拍のみを検出するような信号処理を行う。その後の信号解析、状態判別、生体情報検出は、第1〜第4の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
より詳細には、図23に示すように、マイクロ波発信装置500Dが、第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能とマイクロ波発信部580とを搭載してもよい。なお、この場合は、信号取得部561が、マイクロ波の反射波を検知できる必要がある。
当然に、マイクロ波発信装置500Dが、第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載する他の装置と別体であってもよい。
本実施例においては、非接触での測定が可能となり、被験体への負荷をより軽減する効果がある。
<第8の実施の形態>
第1〜第7の実施の形態にかかる情報処理システム1は、電極400からの心電信号に基づいて信号処理装置500が測定可能状態であるか否かを判断し、呼吸数を算出したり出力したりするものであった。しかしながら、それらの装置のいずれかの全部または一部の役割が、別の装置によって担われてもよいし、複数の装置によって分担されてもよい。逆に、それら複数の装置の全部または一部の役割を、1つの装置が担ってもよいし、別の装置が担ってもよい。
例えば、図24に示すように、信号処理装置500Eが電極400などのセンサを一体的に搭載するものであってもよい。
<第9の実施の形態>
あるいは、図25に示すように、信号処理装置500の役割の一部を信号処理装置500Fと通信可能な通信端末300Fが担ってもよい。
より詳細には、図26に示すように、本実施の形態にかかる信号処理装置500Fは、主に、信号取得部561と、信号解析部511と、送信部562の機能を有する。なお、なお、信号取得部561は、心電計や図3の通信インターフェイス560やフィルタや増幅器などを含む。送信部562は、図3に示す通信インターフェイス560などによって実現される。信号解析部511は、図3に示すCPU510がメモリ520に格納されているプログラムを実行することによって実現される。
そして、図26に示すように、通信端末300は、送受信部361と、状態判別部312と、生体情報検出部313と、出力部331とを有する。なお、送受信部361は、図27に示す通信インターフェイス360によって実現される。状態判別部312と、生体情報検出部313とは、図27に示すCPU310がメモリ320に格納されているプログラムを実行することによって実現される。出力部331は、ディスプレイ330、スピーカ370、外部へデータを送信するための通信インターフェイス360などによって実現される。
そして、信号取得部561は、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する。信号解析部511は、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する。
さらに、信号解析部511は、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する。より詳細には、信号解析部511は、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、信号解析部511は、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う。送信部562は、周波数解析の結果を通信端末300に送信する。
通信端末300の送受信部361は、信号処理装置500からのデータを受信する。状態判別部312は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大ピークが最大のピークを特定する。状態判別部312は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別する。
生体情報検出部313は、状態判別部312において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。生体情報検出部313は、状態判別部312において行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数として、逆数を計算することによって呼吸数を算出する。
出力部331は、ディスプレイ330、スピーカ370、外部へデータを送信するための通信インターフェイス360を介して、単位時間当たりの呼吸数を表示したり、音声出力したり、データベースに蓄積したりする。
なお、信号処理装置500Fと通信端末300Fとの役割分担は、このようなものに限らず、信号解析部511の機能の一部を通信端末300Fが担ってもよいし、状態判別部312や生体情報検出部313や出力部331の機能の一部を信号処理装置500Fが担ってもよい。
<第10の実施の形態>
あるいは、図28に示すように、信号処理装置500の役割の一部を信号処理装置500Fと通信可能な通信端末300が通信可能なサーバ100が担ってもよい。
より詳細には、図29に示すように、信号処理装置500Gは、主に、信号取得部561と、信号解析部511と、送信部562の機能を有する。なお、信号取得部561は、心電計や図3の通信インターフェイス560やフィルタや増幅器などを含む。送信部562は、図3に示す通信インターフェイス560などによって実現される。信号解析部511は、図3に示すCPU510がメモリ520に格納されているプログラムを実行することによって実現される。
そして、図29に示すように、通信端末300は、送受信部361と、出力部331とを有する。なお、送受信部361は、図27に示す通信インターフェイス360によって実現される。出力部331は、ディスプレイ330やスピーカ370などによって実現される。
そして、図29に示すように、サーバ100は、送受信部161と、状態判別部112と、生体情報検出部113とを有する。なお、送受信部161は、図30に示す通信インターフェイス160によって実現される。状態判別部112と、生体情報検出部113とは、図30に示すCPU110がメモリ120に格納されているプログラムを実行することによって実現される。
そして、信号取得部561は、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する。信号解析部511は、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する。
さらに、信号解析部511は、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する。より詳細には、信号解析部511は、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、信号解析部511は、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う。送信部562は、周波数解析の結果を通信端末300に送信する。
通信端末300の送受信部361は、信号処理装置500からのデータを受信して、サーバ100に送信する。
サーバ100の送受信部161は、通信端末300からのデータを受信する。状態判別部112は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大ピークが最大のピークを特定する。状態判別部112は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別する。
生体情報検出部113は、状態判別部112において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。生体情報検出部113は、状態判別部112において行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数として、逆数を計算することによって呼吸数を算出する。
サーバ100の送受信部161は、呼吸数などのデータを通信端末300に送信する。通信端末300の送受信部361は、サーバ100からのデータを受信する。そして、出力部331は、ディスプレイ330、スピーカ370、外部へデータを送信するための通信インターフェイス360などを介して、単位時間当たりの呼吸数を出力する。
なお、信号処理装置500Fと通信端末300Fとサーバ100との役割分担は、このようなものに限らず、例えば、信号解析部511の機能の一部を通信端末300Fやサーバ100が担ってもよいし、状態判別部312や生体情報検出部313の機能の一部を通信端末300や信号処理装置500Fが担ってもよい。そして、出力部331の機能の一部は、サーバ100や通信端末300や信号処理装置500と通信可能な、他のスマートフォンやタブレットやパーソナルコンピュータが担ってもよい。
なお、当然ながら、図31に示すように、信号処理装置500Fがルータやインターネットなどを介してサーバ100Fと通信可能であって、通信端末300Fがインターネットやキャリア網を介してサーバ100Fと通信可能であってもよい。
<その他の応用例>
本発明の一態様は、システム或いは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることはいうまでもない。そして、本発明の一態様を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体(あるいはメモリ)を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の一態様の効果を享受することが可能となる。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明の一態様を構成することになる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる他の記憶媒体に書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
<実験例と比較例>
ここで、実施の形態1の情報処理システムが、被験体の呼吸数をどれだけ精度よく測定できるかを調べるために、以下の実験例1および比較例1を準備した。
実験例1では、被験体である4頭のビーグル犬(最小体重9.1kg、最大体重13.3kg、最年少11カ月、最年長19カ月)にベスト型の測定装置を装着させ、本実施の形態の情報処理システムにより、上記被験体の呼吸数を測定した。呼吸数の測定中において、被験体は60×72×55cmのゲージ内を動くことが可能にした。また、測定開始の30分前から被験体に測定装置を装着させ、実験環境に十分に馴化させてから測定を開始した。被験体4頭の合計測定時間は526分であった。
比較例1では、実施例1と同じ被験体の鼻腔にサーモパイル(MLX90613DAA、Melexis Technology, NV)を取り付け、実験例1と並行して、サーモパイルで検出された呼気吸気の温度変化により上記被験体の呼吸数を測定した。
図36は、実験例1および比較例1のそれぞれで測定した4頭の被験体の1分当たりの呼吸数をプロットした図である。図36の横軸は実験例1で測定された呼吸数[回/分]を示し、図36の縦軸は比較例1で測定された呼吸数[回/分]を示す。
実験例1における被験体4頭分の合計測定時間526分中、4頭の被験体の呼吸数が「測定可能状態」と判別された時間の合計は388分(合計測定期間の74%)であった。この「測定可能状態」における実施例1と比較例1の残差は±2.6回/分であった。この残差は、実施の形態1に開示された情報処理システム1による呼吸数の測定方法が十分な精度を有することを示した。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 :情報処理システム
100G :コンピュータ(サーバ)
110 :プロセッサ(CPU)
112 :状態判別部
113 :生体情報検出部
120 :メモリ
130 :ディスプレイ
140 :操作部
160 :通信インターフェイス(出力装置)
161 :送受信部
300F :コンピュータ(通信端末)
300G :コンピュータ(通信端末)
310 :プロセッサ(CPU)
312 :状態判別部
313 :生体情報検出部
320 :メモリ
321A :対応関係テーブル
330 :ディスプレイ(出力装置)
331 :出力部
340 :操作部
360 :インターフェイス(出力装置)
361 :送受信部
370 :スピーカ
400 :センサ(電極)
400B :電極
400C :脈波計
500 :コンピュータ(信号処理装置)
500B :生体情報モニター
500C :生体情報モニター
500D :マイクロ波発信装置
500E :信号処理装置
500F :信号処理装置
500G :信号処理装置
510 :プロセッサ(CPU)
511 :信号解析部
511A :第1の信号解析部
511B :第2の信号解析部
512 :状態判別部
512A :第1の状態判別部
512B :第2の状態判別部
513 :生体情報検出部
513A :第1の生体情報検出部
513B :第2の生体情報検出部
520 :メモリ
521 :生体情報蓄積部
530 :ディスプレイ(出力装置)
531 :出力部
540 :操作部
560 :インターフェイス(出力装置)
561 :信号取得部
562 :送信部
570 :スピーカ
580 :マイクロ波発信部
本出願は、2016年9月20日に出願された特願2016−182683号に対して、優先権の利益を主張するものであり、それを参照することにより、その内容の全てを本書に含めるものである。
以下の開示は、生物の呼吸数を取得するための技術に関する。
従来から、生物の呼吸数を取得するための技術が知られている。例えば、特開昭62−22627号公報(特許文献1)には、呼吸数測定装置が開示されている。特許文献1によると、脈拍間隔を検出し、脈拍間隔の変化周期を検出し、変化周期の逆数から単位時間内の呼吸数を算出する。
また、特開2014−133049号公報(特許文献2)には、生体情報管理モジュール、睡眠計、制御装置が開示されている。特許文献2によると、生体情報管理モジュールは第1の取得部と判別部と生成部とを有する。第1の取得部は種類の異なる複数の就床時の生体情報を生体情報群として取得する。判別部は生体情報群に基づいて生体の状態を判別する。生成部は生体の状態が所定の状態であると判別部が判別するときに実行指令を生成する。実行指令は第1の機器に所定の動作を実行させる。第1の機器は生体に対して所定の動作を実行する。
特開昭62−22627号公報
特開2014−133049号公報
従来よりも効率的に生物の単位時間当たりの呼吸数を取得することができる技術が求められている。本発明の一態様は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来よりも効率的に生物の単位時間当たりの呼吸数を取得することができるコンピュータ、呼吸数の取得方法、および情報処理システムを提供することにある。
この発明のある態様に従うと、生物の脈拍または心拍を示すデータを取得するためのインターフェイスと、生物の脈拍または心拍を示すデータに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断し、所定の条件が満たされている期間の呼吸数を算出するためのプロセッサと、を備える、コンピュータが提供される。
好ましくは、プロセッサは、生物の脈拍または心拍のデータから呼吸数を算出する。
好ましくは、プロセッサは、生物の脈拍または心拍のデータを逐次処理し、所定の条件が満たされている期間の生物の脈拍または心拍のデータから呼吸数を計算する。
好ましくは、プロセッサは、生物の脈拍または心拍のデータから拍動間隔を計算し、拍動間隔に基づいて呼吸数を算出する。
好ましくは、プロセッサは、拍動間隔のパワースペクトルを作成し、パワースペクトルに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断し、パワースペクトルに基づいて呼吸数を取得する。
好ましくは、プロセッサは、拍動間隔のポアンカレプロットに基づいて、所定の条件が満たされているか否かを判断する。
この発明の別の局面に従うと、プロセッサを有するコンピュータにおける生物の呼吸数の取得方法が提供される。取得方法は、生物の脈拍または心拍を示すデータを取得するステップと、生物の脈拍または心拍を示すデータに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断するステップと、所定の条件が満たされている期間の呼吸数を取得するステップと、を備える。
この発明の別の局面に従うと、出力装置と、生物の拍動を検知するためのセンサと、センサからの生物の脈拍または心拍を示すデータに基づいて所定の条件が満たされているか否かを判断し、所定の条件が満たされている期間の呼吸数を算出し、出力装置に出力させるためのコンピュータと、を備える情報処理システムが提供される。
以上のように、本発明の一態様によれば、従来よりも効率的に生物の単位時間当たりの呼吸数を取得することができるコンピュータ、呼吸数の取得方法、および情報処理システムが提供される。
第1の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第1の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第1の実施の形態にかかる信号処理装置500のハードウェア構成を示す図である。
第1の実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
第1の実施の形態にかかる心電データと拍動間隔との例である。
第1の実施の形態にかかる拍動検出タイミングと拍動間隔との関係の例である。
第1の実施の形態にかかるパワースペクトル分布の例である。
第1の実施の形態にかかる犬の安静時におけるスプライン補間後のRRI変動とパワースペクトル分布との例である。
第1の実施の形態にかかる犬の興奮時におけるスプライン補間後のRRI変動とパワースペクトル分布との例である。
第1の実施の形態による呼吸数の取得方法の効果の例である。
第3の実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
第3の実施の形態にかかる拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブルの例である。
第3の実施の形態にかかる拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321AからY=X方向とそれに垂直な方向の軸への変換の例である。
第3の実施の形態にかかる犬の状態毎の、Y=X軸に関する標準偏差と、Y=−Xに関する標準偏差との目安を示す表である。
第3の実施の形態にかかる犬の安静状態におけるポアンカレプロットの例である。
第3の実施の形態にかかる犬の興奮状態におけるポアンカレプロットの例である。
第3の実施の形態にかかる拍動間隔の時系列変化の例である。
第4の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第4の実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
第5の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第6の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第7の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第7の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第8の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第9の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第9の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第9の実施の形態にかかる通信端末300Fのハードウェア構成を示す図である。
第10の実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
第10の実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。
第10の実施の形態にかかるサーバ100Gのハードウェア構成を示す図である。
第10の実施の形態にかかる情報処理システム1の別の全体構成の例である。
第3の実施の形態にかかる犬の興奮状態におけるポアンカレプロット図である。
第3の実施の形態にかかる犬の通常状態で呼吸が安定している状態におけるポアンカレプロット図である。
第3の実施の形態にかかる犬の通常状態におけるポアンカレプロット図である。
第3の実施の形態にかかる犬の安静状態におけるポアンカレプロット図である。
実験例1および比較例1のそれぞれで測定した4頭の被験体の1分当たりの呼吸数をプロットした図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
<情報処理システムの全体構成>
まず、図1を参照して、情報処理システム1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の全体構成の例である。
情報処理システム1は、主に、生物の胸部に取り付けられる心電取得用の電極400と、心電信号を処理して呼吸数を算出するための信号処理装置500とを含む。情報処理システム1は、犬などの被験体にベスト型の測定装置を装着するものであって、電極400が生物の左右の腋窩部分に取り付けられ、信号処理装置500等は背側に設けられる。なお、装置形態はこれに限らない。
<情報処理システムの機能構成と処理手順>
次に、図2から図4を参照して、本実施の形態にかかる情報処理システム1の構成と処理手順とについて説明する。図2は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成を示す図である。図3は、本実施の形態にかかる信号処理装置500のハードウェア構成の例である。図4は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
まず、情報処理システム1の信号処理装置500は、信号取得部561と、信号解析部511と、状態判別部512と、生体情報検出部513と、出力部531とを含む。
信号取得部561は、心電計や通信インターフェイス560やフィルタや増幅器などを含む。信号取得部561は、逐次、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得して、信号解析部511に受け渡す(ステップS102)。
信号解析部511は、CPU(Central Processing Unit)510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。信号解析部511は、逐次、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する(ステップS104)。
さらに、信号解析部511は、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する(ステップS106)。より詳細には、信号解析部511は、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、信号解析部511は、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う(ステップS108)。
状態判別部512では、CPU510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。状態判別部512は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大のピークを特定する(ステップS110)。状態判別部512は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別する。
より詳細には、例えば、屋内の静かな部屋でリラックスしている状態の犬のスプライン補間後のRRI変動は、図8(a)に示すようなものとなる。この場合のパワースペクトル分布は、図8(b)に示すようなものとなり、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有するため、状態判別部512は、「測定可能状態」と判別する。
逆に、例えば、屋外の騒がしい環境で落ち着きがない状態の犬のスプライン補間後のRRI変動は、図9(a)に示すようなものとなる。この場合のパワースペクトル分布は、図9(b)に示すようなものとなり、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有さないため、状態判別部512は、「測定不可能状態」と判別する。
状態判別部512が、「測定不可能状態」と判別した場合は、別のタイミングに関して、信号取得部561が既に取得している拍動間隔に基づいて、ステップS106からの処理を繰り返す。
生体情報検出部513は、CPU510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。生体情報検出部513は、状態判別部512において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。生体情報検出部513は、状態判別部512において行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数として、逆数を計算することによって呼吸数を算出する。
出力部531は、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などを含む。出力部531は、単位時間当たりの呼吸数を表示したり、音声出力したり、外部のデータベースに蓄積したりする。
本実施の形態においては、生体情報検出部513は、状態判別部512において行われた周波数解析における最大ピークの周波数を呼吸の周波数として、当該周波数の逆数を計算することによって呼吸数を算出する。図10は60分間の呼吸数測定の結果である。状態判別をしなかった場合には、図10(a)のように測定結果が毎分出力可能であるが、様々な状態での測定結果を含み、また、精度を担保することが困難である。一方、「測定不可能状態」と判別した時間のデータは算出しないことにより、図10(b)に示すような呼吸数を算出することが可能になり、適切な状態下における呼吸数のみを得ることができる。
より詳細には、バイタルデータを蓄積することは医学的に重要な意義を持つが、一定の環境下(例えば安静時)において測定されたデータを比較・解析することが必要である。特に、長期的にデータを比較する場合や、被測定者が自ら一定の状態を維持することができない場合には、信頼性をもってバイタルデータを記録するためには、測定時の被測定者の状態を判別することが必要である。特に呼吸数は、随意的に変動するため被測定者が意識的に測定可能な状態を作り出すことが困難であり、現在では、自動的に測定可能かどうかを判別する手段が確立されていない。
しかしながら、測定データ(例えば心電信号)を解析することで被測定者の状態判別を行い、状態の判別結果に基づいて、バイタルデータ(例えば、心電信号から導かれる呼吸数など)を算出し、記録しておくことができる。特に、状態判別の手段としては、「測定中の一定時間(例えば1分間)にわたって、適切な状態を保っていたかどうか」の判別を行う。そして、「適切な状態を保っていたかどうか」の判別基準は、例えば、心拍変動解析を用いて、呼吸による変動周期から定義する。犬などの動物は、動作が見られない場合にも心拍や呼吸数の変化があり、本判別基準は加速度センサ等を用いて動作を解析するよりも高精度に適切な状態を判別できる。また、状態判定とバイタルデータ検出の両方を、心電信号等の単一の測定データから行うことによって、測定装置を小型かつ簡便にすることができる。そして、装置やシステムを小型化することにより、被測定者側へのストレスや負荷を減らし、より自然な状態での測定が可能となる。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態においては、パワースペクトルを利用して対象の生物が安静状態であるか否かについて判断するものであった。そして、図4のステップS110において、状態判別部512は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)における最大のピークを特定するものであった。そして、状態判別部512は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別するものであった。
しかしながら、本実施の形態として、図4のステップS110において、状態判別部512は、信号解析部511における周波数解析で得られたパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05Hz〜0.5Hzの間)において、パワースペクトルの最大ピークを探し、当該ピークからその半値幅までのパワースペクトルの積分値の、全体に占める割合が設定された閾値以上の場合に、呼吸数の測定可能状態と判別してもよい。
なお、状態判別部512は、パワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)における最大のピークが、他のパワースペクトルと比較して突出しているか否かを判別できればよく、他の方法によって「測定可能状態」と判別してもよい。
<第3の実施の形態>
第1および第2の実施の形態においては、パワースペクトルを利用して対象の生物が安静状態にあるか否かについて判断するものであった。しかしながら、信号処理装置500が、拍動間隔のポアンカレプロットに基づいて、対象の生物が安静状態にあるか否かを判断してもよい。以下では、図2・図11を参照して、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成と処理手順とについて説明する。なお、図11は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
まず、信号取得部561が、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する(ステップS302)。
信号解析部511は、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する(ステップS304)。信号解析部511は、拍動間隔を拍動間隔テーブルとして逐次メモリ520に蓄積していく(ステップS306)。
状態判別部512は、一定時間単位、例えば、1分、10分、1時間など状態を判定するために必要な時間単位で、メモリ520から拍動間隔データを読み出して、図12に示すような、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321Aを作成する(ステップS308)。
状態判別部512は、図13に示すように、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との関係テーブルからY=X方向とそれに垂直な方向の軸への変換を行う(ステップS310)。
状態判別部512は、軸の変換を行った後のそれぞれの軸に関する標準偏差を算出する(ステップS312)。なお、状態判別部512は、Y=X軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、Y=−Xの軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、両方を算出してもよいし、両者の積を算出してもよい。そして、状態判別部512は、算出結果に基づいて、対象の生物が測定可能状態であるか否かを判断する(ステップS312)。
参考に、図14は、犬の状態毎の、Y=X軸に関する標準偏差と、Y=−Xに関する標準偏差の目安を示す表である。
換言すれば、本実施の形態においては、状態判別部512は、信号解析部511において得られた拍動間隔について、横軸にN番目のRRIを、縦軸にN+1番目のRRIをとり、プロットしたグラフにおいて、そのプロットのばらつきを数値化する。そして、犬のような呼吸性の不整脈を有する生物は、当該プロットの分布の大きさと形状により測定可能状態であるかどうか判断できる。
例えば、静かな環境でリラックスしている状態の犬のポアンカレプロットは、図15に示すようなものとなる。この場合のポアンカレプロットは、プロットが全体的にばらついており、中心部にプロットが少ない。このような場合に、状態判別部512は、「測定可能状態」と判別する。
逆に、例えば、騒がしい環境で落ち着きがない状態の犬のポアンカレプロットは、図16に示すようなものとなる。この場合のポアンカレプロットは、プロットが全体的に密集しており、中心部にもプロットがある。このような場合に、状態判別部512は、「測定不可能状態」と判別する。
以下、より詳細にポアンカレプロット図に関して説明する。図32は、犬の興奮状態におけるポアンカレプロット図である。図33は、犬の通常状態で呼吸が安定している状態におけるポアンカレプロット図である。図34は、犬の通常状態におけるポアンカレプロット図である。図35は、犬の安静状態におけるポアンカレプロット図である。
まず、例えば犬などの呼吸性の不整脈を有する生物の場合、図32のような興奮状態においては、心拍数が上昇し(拍動間隔は短くなる)、揺らぎは小さくなり、プロットが一定の場所に集まるような状態になる。
そして、図33のような呼吸が安定している通常の状態においては、心拍数が安静状態ほどは少なくないが、グラフの中心にプロットが少ない(穴の空白)領域が存在する。このような形状になるのは、犬の心拍が呼吸の影響を大きく受けるため、拍動変動が周期的に変化することが原因と考えられる(呼吸性不整脈)。そのため、リラックスした緩やかな拍動ではないが、呼吸が安定して行われているため、空白の存在する状態になると考えられる。
そして、図34のような通常状態においては、拍動に揺らぎがみられ、ばらつきは大きくなるが、プロット点が散乱している状態となる。
そして、図35の安静状態においては、犬がリラックスしているために拍動の間隔が大きくなり、さらに呼吸性不整脈の影響を大きく受けるために、円形や四角形に近い形状や、三角形に近い形状となる。そのいずれの形状においても、安静状態ではポアンカレプロットの中心部に空白部分が見られる形状となる。
図2に戻って、生体情報検出部513は、状態判別部512において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。本実施の形態においては、生体情報検出部513は、「測定可能状態」において、図17に示すように、拍動間隔の時系列変化における極大(または極小)点の数を呼吸数として算出する。
本実施の形態においては、状態判別部512が、「測定不可能状態」と判別した場合は、別のタイミングに関して、信号取得部561が既に取得している拍動間隔に基づいて、ステップS308からの処理を繰り返す。ただし、状態判別部512が、逐次、「測定不可能状態」であるか否かの判断まで実行し、「測定可能状態」のときだけ、ステップS314が実行されるものであってもよい。
出力部531は、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などを含む。出力部531は、単位時間当たりの呼吸数を表示したり、音声出力したり、外部のデータベースに蓄積したりする。
<第4の実施の形態>
第1および第2の実施の形態においては、パワースペクトルを利用して対象の生物が安静状態にあるか否かについて判断するものであった。そして、第3の実施の形態においては、拍動間隔のポアンカレプロットに基づいて、対象の生物が安静状態にあるか否かについて判断するものであった。しかしながら、両者を利用して、対象の生物が安静状態にあるか否かを判断することも可能である。
以下では、図18および図19を参照して、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成と処理手順とについて説明する。なお、図18は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の機能構成の例である。図19は、本実施の形態にかかる情報処理システム1の処理手順を示すフローチャートである。
まず、情報処理システム1の信号処理装置500Aの構成について説明する。信号処理装置500は、信号取得部561と、第1の信号解析部511Aと、第1の状態判別部512Aと、第1の生体情報検出部513Aと、第2の信号解析部511Bと、第2の状態判別部512Bと、第2の生体情報検出部513Bと、生体情報蓄積部521と、出力部531とを含む。
そして、信号取得部561は、例えば図3の通信インターフェイス560や心電計やフィルタや増幅器などによって実現される。第1の信号解析部511Aと、第1の状態判別部512Aと、第1の生体情報検出部513Aと、第2の信号解析部511Bと、第2の状態判別部512Bと、第2の生体情報検出部513Bとは、例えば図3のCPU510がメモリ520のプログラムを実行することによって実現される。生体情報蓄積部521は、例えば、図3のメモリ520によって実現される。出力部531は、図3のディスプレイ530またはスピーカ570または通信インターフェイス560などによって実現される。
信号取得部561は、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する(ステップS402)。
第1の信号解析部511Aは、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔とを算出する(ステップS404)。第1の信号解析部511Aは、拍動間隔を拍動間隔テーブルとして逐次メモリ520に蓄積していく(ステップS406)。
第1の状態判別部512Aは、一定時間単位、例えば、1分、10分、1時間など、状態を判定するために必要な時間単位で、メモリ520から拍動間隔データを読み出して、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321Aを作成する(ステップS408)。
第1の状態判別部512Aは、拍動間隔R−R(n)とその次の拍動間隔R−R(n+1)との対応関係テーブル321AからY=X方向とそれに垂直な方向の軸への変換を行う(ステップS410)。
第1の状態判別部512Aは、軸の変換を行った後のそれぞれの軸に関する標準偏差を算出する(ステップS412)。なお、第1の状態判別部512Aは、Y=X軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、Y=−Xの軸に関する標準偏差だけを算出してもよいし、両方を算出してもよいし、両者の積を算出してもよい。そして、第1の状態判別部512Aは、算出結果に基づいて、対象の生物が測定可能状態であるか否かを判断する(ステップS412)。
換言すれば、第1の状態判別部512Aは、第1の信号解析部511Aにおいて得られた拍動間隔について、横軸にN番目のRRIを、縦軸にN+1番目のRRIをとり、プロットしたグラフにおいて、そのプロットのばらつきを数値化する。そして、犬のような呼吸性の不整脈を有する生物は、当該プロットの分布の大きさと形状により測定可能状態であると判断できる。
第1の生体情報検出部513Aは、第1の状態判別部512Aにおいて「測定可能状態」と判別された場合(ステップS412にてOKである場合)、図17に示すように、信号解析部511で得られた拍動間隔の時系列変化における極大(または極小)点の数を単位時間当たりの呼吸数として算出する。
そして、生体情報蓄積部521が当該呼吸数を蓄積したり、出力部531が、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などに呼吸数を出力させたりする(ステップS434)。
一方、第1の状態判別部512Aにおいて「測定可能状態」と判別されなかった場合(ステップS412にてNGである場合)、第2の信号解析部511Bが、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する(ステップS422)。より詳細には、第2の信号解析部511Bは、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、第2の信号解析部511Bは、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う(ステップS424)。
第2の状態判別部512Bは、第2の信号解析部511Bにおける周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大ピークが最大のピークを特定する(ステップS426)。
第2の状態判別部512Bは、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有するか否かに応じて、「測定可能状態」であるか否かを判断する(ステップS428)。
第2の状態判別部512Bにおいて、「測定可能状態」と判別された場合に(ステップS428にてOKである場合)、第2の生体情報検出部513Bは、第2の状態判別部512Bにおいて行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数とし、当該周波数の逆数を計算することによって単位時間当たりの呼吸数を算出する(ステップS432)。
そして、生体情報蓄積部521が当該呼吸数を蓄積したり、出力部531が、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などに呼吸数を出力させたりする(ステップS434)。
なお、第2の状態判別部512Bにおいて、「測定可能状態」と判別されなかった場合には(ステップS428にてNGである場合)、出力部531が、ディスプレイ530、スピーカ570、外部へデータを送信するための通信インターフェイス560などを介して、「呼吸数検出不可」という旨のエラーメッセージを出力させる(ステップS430)。ただし、CPU510は、「測定可能状態」と判別されなかった場合には(ステップS428にてNGである場合)、別のタイミングに関して、ステップS408からの処理を繰り返すものであってもよい。
本実施の形態においては、先にポアンカレプロットに基づいて測定可能か否かを判断しているため、ヒストグラムによる判断よりも計算量を低減することが可能である。ただし、先にヒストグラムによる判断をし、測定不可能と判断された際にポアンカレプロットに基づいて測定可能か否かを判断する形態であってもよい。
<第5の実施の形態>
第1〜第4の実施の形態においては、犬の胸部に取り付けられる心電取得用の電極400を利用するものであった。しかしながら、電極の取り付け位置は、このような形態には限られない。
例えば、図20に示すように、脚の裏などに心電測定用の電極400Bを装着し、当該心電信号が生体情報モニター500Bに送信されてもよい。なお、その後の信号解析、状態判別、生体情報検出は、他の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。より詳細には、生体情報モニター500Bが第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載してもよいし、生体情報モニター500Bが有線または無線のネットワークを介して第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載する他の装置に心電データを提供するものであってもよい。
<第6の実施の形態>
第1〜第4の実施の形態においては、犬の胸部に取り付けられる心電取得用の電極400を利用するものであった。しかしながら、このような形態には限られない。
例えば、図21に示すように、光電脈波方式の脈波計400Cによって脈波信号を取得し、当該脈波信号が生体情報モニター500Cに送信されてもよい。この場合は、脈波の測定部位は、舌、耳などをはじめとした皮膚が露出した部位であることが好ましい。なお、その後の信号解析、状態判別、生体情報検出は、第1〜第4の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。より詳細には、生体情報モニター500Cが第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載してもよいし、生体情報モニター500Bが有線または無線のネットワークを介して第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載する他の装置に心電データを提供するものであってもよい。
<第7の実施の形態>
あるいは、図22に示すように、マイクロ波ドップラーセンサ等の脈波取得センサを利用して、脈拍を検出してもよい。例えば、マイクロ波発振装置500Dが天井等に設置されており、非接触で犬などの生物からの脈波を取得する形態が考えられる。より詳細には、マイクロ波ドップラーセンサの生データから心拍のみを検出するような信号処理を行う。その後の信号解析、状態判別、生体情報検出は、第1〜第4の実施の形態と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
より詳細には、図23に示すように、マイクロ波発振装置500Dが、第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能とマイクロ波発振部580とを搭載してもよい。なお、この場合は、信号取得部561が、マイクロ波の反射波を検知できる必要がある。
当然に、マイクロ波発振装置500Dが、第1〜第4の実施の形態にかかる信号処理装置500の機能を搭載する他の装置と別体であってもよい。
本実施例においては、非接触での測定が可能となり、被験体への負荷をより軽減する効果がある。
<第8の実施の形態>
第1〜第7の実施の形態にかかる情報処理システム1は、電極400からの心電信号に基づいて信号処理装置500が測定可能状態であるか否かを判断し、呼吸数を算出したり出力したりするものであった。しかしながら、それらの装置のいずれかの全部または一部の役割が、別の装置によって担われてもよいし、複数の装置によって分担されてもよい。逆に、それら複数の装置の全部または一部の役割を、1つの装置が担ってもよいし、別の装置が担ってもよい。
例えば、図24に示すように、信号処理装置500Eが電極400などのセンサを一体的に搭載するものであってもよい。
<第9の実施の形態>
あるいは、図25に示すように、信号処理装置500の役割の一部を信号処理装置500Fと通信可能な通信端末300Fが担ってもよい。
より詳細には、図26に示すように、本実施の形態にかかる信号処理装置500Fは、主に、信号取得部561と、信号解析部511と、送信部562の機能を有する。なお、なお、信号取得部561は、心電計や図3の通信インターフェイス560やフィルタや増幅器などを含む。送信部562は、図3に示す通信インターフェイス560などによって実現される。信号解析部511は、図3に示すCPU510がメモリ520に格納されているプログラムを実行することによって実現される。
そして、図26に示すように、通信端末300Fは、送受信部361と、状態判別部312と、生体情報検出部313と、出力部331とを有する。なお、送受信部361は、図27に示す通信インターフェイス360によって実現される。状態判別部312と、生体情報検出部313とは、図27に示すCPU310がメモリ320に格納されているプログラムを実行することによって実現される。出力部331は、ディスプレイ330、スピーカ370、外部へデータを送信するための通信インターフェイス360などによって実現される。
そして、信号取得部561は、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する。信号解析部511は、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する。
さらに、信号解析部511は、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する。より詳細には、信号解析部511は、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、信号解析部511は、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う。送信部562は、周波数解析の結果を通信端末300Fに送信する。
通信端末300Fの送受信部361は、信号処理装置500からのデータを受信する。状態判別部312は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大ピークが最大のピークを特定する。状態判別部312は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別する。
生体情報検出部313は、状態判別部312において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。生体情報検出部313は、状態判別部312において行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数として、逆数を計算することによって呼吸数を算出する。
出力部331は、ディスプレイ330、スピーカ370、外部へデータを送信するための通信インターフェイス360を介して、単位時間当たりの呼吸数を表示したり、音声出力したり、データベースに蓄積したりする。
なお、信号処理装置500Fと通信端末300Fとの役割分担は、このようなものに限らず、信号解析部511の機能の一部を通信端末300Fが担ってもよいし、状態判別部312や生体情報検出部313や出力部331の機能の一部を信号処理装置500Fが担ってもよい。
<第10の実施の形態>
あるいは、図28に示すように、信号処理装置500Gの役割の一部を信号処理装置500Fと通信可能な通信端末300Gが通信可能なサーバ100Gが担ってもよい。
より詳細には、図29に示すように、信号処理装置500Gは、主に、信号取得部561と、信号解析部511と、送信部562の機能を有する。なお、信号取得部561は、心電計や図3の通信インターフェイス560やフィルタや増幅器などを含む。送信部562は、図3に示す通信インターフェイス560などによって実現される。信号解析部511は、図3に示すCPU510がメモリ520に格納されているプログラムを実行することによって実現される。
そして、図29に示すように、通信端末300Gは、送受信部361と、出力部331とを有する。なお、送受信部361は、図27に示す通信インターフェイス360によって実現される。出力部331は、ディスプレイ330やスピーカ370などによって実現される。
そして、図29に示すように、サーバ100Gは、送受信部161と、状態判別部112と、生体情報検出部113とを有する。なお、送受信部161は、図30に示す通信インターフェイス160によって実現される。状態判別部112と、生体情報検出部113とは、図30に示すCPU110がメモリ120に格納されているプログラムを実行することによって実現される。
そして、信号取得部561は、図5に示すように、例えば100Hzで心電信号を取得する。信号解析部511は、信号取得部561で得られた心電信号から、拍動検出時刻と図5に示すような拍動間隔を算出する。
さらに、信号解析部511は、例えば、図6に示すように、1分間の拍動検出時刻と拍動間隔の関係を数学的に補間(例えばスプライン補間)する。より詳細には、信号解析部511は、閾値検出などの方法により、心電のピーク信号(R波)を検出し、各心電のピークの間隔(時間)を算出する。拍動間隔の算出方法として、上記の他に、自己相関関数を用いた周期の導出や矩形波相関トリガを用いる方法などで行ってもよい。
そして、信号解析部511は、図7に示すように、得られた関数の周波数解析を行う。送信部562は、周波数解析の結果を通信端末300Gに送信する。
通信端末300Gの送受信部361は、信号処理装置500Gからのデータを受信して、サーバ100Gに送信する。
サーバ100Gの送受信部161は、通信端末300Gからのデータを受信する。状態判別部112は、信号解析部511における周波数解析で得られた図7のようなパワースペクトル分布のなかで、任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの間)においてパワースペクトルの最大ピークが最大のピークを特定する。状態判別部112は、2番目に大きいピークに比べた最大のピークの割合が、任意の閾値以上の大きさ(例えば3倍)を有する場合には、「測定可能状態」と判別する。
生体情報検出部113は、状態判別部112において、「測定可能状態」と判別された場合に、生体情報を検出する。生体情報検出部113は、状態判別部112において行われた周波数解析における任意の周波数範囲(例えば0.05〜0.5Hzの範囲)における最大ピークを呼吸の周波数として、逆数を計算することによって呼吸数を算出する。
サーバ100Gの送受信部161は、呼吸数などのデータを通信端末300Gに送信する。通信端末300Gの送受信部361は、サーバ100Gからのデータを受信する。そして、出力部331は、ディスプレイ330、スピーカ370、外部へデータを送信するための通信インターフェイス360などを介して、単位時間当たりの呼吸数を出力する。
なお、信号処理装置500Gと通信端末300Gとサーバ100Gとの役割分担は、このようなものに限らず、例えば、信号解析部511の機能の一部を通信端末300Gやサーバ100Gが担ってもよいし、状態判別部312や生体情報検出部313の機能の一部を通信端末300Gや信号処理装置500Gが担ってもよい。そして、出力部331の機能の一部は、サーバ100Gや通信端末300Gや信号処理装置500Gと通信可能な、他のスマートフォンやタブレットやパーソナルコンピュータが担ってもよい。
なお、当然ながら、図31に示すように、信号処理装置500Gがルータやインターネットなどを介してサーバ100Gと通信可能であって、通信端末300Gがインターネットやキャリア網を介してサーバ100Gと通信可能であってもよい。
<その他の応用例>
本発明の一態様は、システム或いは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることはいうまでもない。そして、本発明の一態様を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体(あるいはメモリ)を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の一態様の効果を享受することが可能となる。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明の一態様を構成することになる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる他の記憶媒体に書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
<実験例と比較例>
ここで、実施の形態1の情報処理システムが、被験体の呼吸数をどれだけ精度よく測定できるかを調べるために、以下の実験例1および比較例1を準備した。
実験例1では、被験体である4頭のビーグル犬(最小体重9.1kg、最大体重13.3kg、最年少11カ月、最年長19カ月)にベスト型の測定装置を装着させ、本実施の形態の情報処理システムにより、上記被験体の呼吸数を測定した。呼吸数の測定中において、被験体は60×72×55cmのケージ内を動くことが可能にした。また、測定開始の30分前から被験体に測定装置を装着させ、実験環境に十分に馴化させてから測定を開始した。被験体4頭の合計測定時間は526分であった。
比較例1では、実験例1と同じ被験体の鼻腔にサーモパイル(MLX90613DAA、Melexis Technology, NV)を取り付け、実験例1と並行して、サーモパイルで検出された呼気吸気の温度変化により上記被験体の呼吸数を測定した。
図36は、実験例1および比較例1のそれぞれで測定した4頭の被験体の1分当たりの呼吸数をプロットした図である。図36の横軸は実験例1で測定された呼吸数[回/分]を示し、図36の縦軸は比較例1で測定された呼吸数[回/分]を示す。
実験例1における被験体4頭分の合計測定時間526分中、4頭の被験体の呼吸数が「測定可能状態」と判別された時間の合計は388分(合計測定期間の74%)であった。この「測定可能状態」における実験例1と比較例1の残差は±2.6回/分であった。この残差は、実施の形態1に開示された情報処理システム1による呼吸数の測定方法が十分な精度を有することを示した。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 :情報処理システム
100G :コンピュータ(サーバ)
110 :プロセッサ(CPU)
112 :状態判別部
113 :生体情報検出部
120 :メモリ
130 :ディスプレイ
140 :操作部
160 :通信インターフェイス(出力装置)
161 :送受信部
300F :コンピュータ(通信端末)
300G :コンピュータ(通信端末)
310 :プロセッサ(CPU)
312 :状態判別部
313 :生体情報検出部
320 :メモリ
321A :対応関係テーブル
330 :ディスプレイ(出力装置)
331 :出力部
340 :操作部
360 :インターフェイス(出力装置)
361 :送受信部
370 :スピーカ
400 :センサ(電極)
400B :電極
400C :脈波計
500 :コンピュータ(信号処理装置)
500B :生体情報モニター
500C :生体情報モニター
500D :マイクロ波発振装置
500E :信号処理装置
500F :信号処理装置
500G :信号処理装置
510 :プロセッサ(CPU)
511 :信号解析部
511A :第1の信号解析部
511B :第2の信号解析部
512 :状態判別部
512A :第1の状態判別部
512B :第2の状態判別部
513 :生体情報検出部
513A :第1の生体情報検出部
513B :第2の生体情報検出部
520 :メモリ
521 :生体情報蓄積部
530 :ディスプレイ(出力装置)
531 :出力部
540 :操作部
560 :インターフェイス(出力装置)
561 :信号取得部
562 :送信部
570 :スピーカ
580 :マイクロ波発振部