JPWO2018052039A1 - 貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】貼付時の薬物の皮膚透過速度が適正な範囲であって適用早期に薬物が枯渇することなく、長期間、持続的な薬物透過を可能とし、また貼付剤の剥離時に角質剥離量が少なく、保存安定性が良好である、非水性貼付剤の提供を課題とする。【解決手段】少なくとも支持体とその上方の粘着剤層とからなり、該粘着剤層に局所麻酔薬を含有する非水性貼付剤であって、前記粘着剤層は、粘着剤全質量を100質量%としたとき、エラストマーを20乃至40質量%、軟化剤を20乃至35質量%、樹脂を20乃至40質量%、局所麻酔薬を3.0乃至7.0質量%、及び有機酸を0.3乃至4質量%の割合にて含有してなり、前記粘着剤層は、その単位面積あたりの質量が100乃至200g/m2である、非水性貼付剤。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤層に局所麻酔薬を含有する非水性貼付剤であって、角質剥離量が少なく、リドカイン等の局所麻酔薬の皮膚透過性を制御可能な非水性貼付剤に関する。
局所麻酔薬の一種であるリドカインは、神経を一時的に麻痺させて、痛みを感じさせなくする表面麻酔剤として、種々の部位の局所麻酔に使用されている。例えばリドカインは、軟膏、ゼリー、スプレー等の形態の外用剤にて、帯状疱疹後神経痛などの表面麻酔剤として使用されている。しかしながら、これら軟膏やゼリー、スプレー形態の外用剤は、長期間安定して効果を持続しながら使用できるものではなく、長期の痛みを軽減するものとして、局所麻酔薬であるリドカインを含む貼付剤が開発されてきている。これらの貼付剤には、水性貼付剤と非水性貼付剤がある。
リドカインを含有する水性貼付剤としては、米国のエンドーファーマシューティカルズ社のLIDODERM(登録商標)がよく知られ、帯状疱疹後神経痛などの表面麻酔や各種筋肉の疼痛緩和に使用されている。しかしながら、水性貼付剤の場合、水分を含んでいるために皮膚へのなじみが悪く、また粘着力が弱いため、長時間の貼付に耐えられないという問題がある。また、水性貼付剤の場合には、使用後の貼付剤に約95%ものリドカインが残存するとされ、リドカインの放出性・経皮吸収性にも問題があるとされている。
リドカインを含有する非水性貼付剤としては、マルホ株式会社のペンレス(登録商標)がよく知られ、静脈留置針穿刺時の疼痛緩和、伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和や皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和に使用されている。用法としては、静脈留置針穿刺予定部位に30分程度ペンレスを貼付後、剥離して直ちに静脈留置針の処置等を行うことが添付文書に示されている。また、伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和および皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和に対する用法としては、約1時間程度処置する部位に貼付後、処置を行うことが記載されている。ペンレス(登録商標)は、局所部位における速やかな局所麻酔効果が期待された製剤であり、皮膚に長時間貼付することを目的としていない。
リドカインを含有する非水性貼付剤の特許文献としては、例えば粘着剤層に熱可塑性エラストマー、流動パラフィン及び粘着付与剤に加え、有機酸を含有させることにより、経皮吸収性の制御を図った経皮吸収製剤が提案されている(特許文献1)。
しかし特許文献1の経皮吸収製剤は、粘着剤層の単位面積あたりの質量が1000g/mと該層が厚いものとなっており、その結果、単位面積あたりのリドカイン質量、すなわち薬物含有量が多い製剤となり、コスト面で問題が生じ得る。
またリドカインを含有する別の非水性貼付剤として、粘着剤層に2種のアクリル系共重合体と、これら共重合体の架橋を促進させる有機酸とを配合した経皮吸収製剤の提案がある(特許文献2)。
またリドカイン、乳酸、熱可塑性エラストマー及び流動パラフィンを含有する経皮吸収製剤が開示されている(特許文献3)。
国際公開第2012/029097号 国際公開第2011/027786号 特開2016−3196号公報
本発明は粘着剤層に局所麻酔薬が含有された非水性貼付剤であって、貼付時の薬物の皮膚透過速度が適正な範囲であって適用早期に薬物が枯渇することなく、長期間、持続的な薬物透過を可能とし、また貼付剤の剥離時に角質剥離量が少なく、保存安定性が良好である、非水性貼付剤の提供を課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決することを鋭意研究した結果、非水性貼付剤の粘着剤層を構成するエラストマー、軟化剤、樹脂、局所麻酔薬、さらには有機酸の配合組成を十分に検討し、さらに、粘着剤層の質量(厚み)を所定範囲とすることで、局所麻酔薬の配合量を高濃度としなくとも、持続的な薬物の皮膚透過性が可能となり、また、剥離時の角質剥離量を低減し、且つ、保存安定性が良好となる貼付剤となることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、実施の態様として以下の貼付剤を提供する。
(1)少なくとも支持体とその上方の粘着剤層とからなり、該粘着剤層に局所麻酔薬を含有する非水性貼付剤であって、
前記粘着剤層は、粘着剤全質量を100質量%としたとき
エラストマーを20乃至40質量%、
軟化剤を 20乃至35質量%、
樹脂を 20乃至40質量%、
局所麻酔薬を 3.0乃至7.0質量%、及び
2価又は3価の有機酸を0.3乃至4.0質量%
の割合にて含有してなり、
前記粘着剤層は、その単位面積あたりの質量が100乃至200g/mである、
非水性貼付剤。
特に本発明は、以下の貼付剤を提供する。
(2)前記有機酸が、クエン酸又は酒石酸である、(1)記載の非水性貼付剤。
(3)前記粘着剤層が、軟化剤を25乃至35質量%、樹脂を30乃至40質量%で含む、(1)又は(2)に記載の非水性貼付剤。
(4)前記貼付剤は、適用から12時間経過後までの累積透過量が120乃至200μg/cmとなる量の局所麻酔薬を含有してなる、(1)乃至(3)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
(5)前記貼付剤は、適用から12時間経過後までの累積透過量が150乃至200μg/cmとなる量の局所麻酔薬を含有してなる、(1)乃至(3)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
(6)前記局所麻酔薬が、リドカインである、(1)乃至(5)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
(7)前記樹脂が、水素添加ロジングリセリンエステルである、(1)乃至(6)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
(8)前記粘着剤層が、抗酸化剤及び経皮吸収促進剤を含まない、(1)乃至(7)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
(9)帯状疱疹後神経痛に使用する、(1)乃至(8)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
(10)前記支持体がポリエステル編布である、(1)乃至(9)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
(11)前記有機酸が、非水性貼付剤1製剤当たり10〜84mg配合されてなる、(1)乃至(10)のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
本発明によれば、持続的な局所麻酔薬の皮膚透過を実現でき、また弱酸性の粘着剤層を実現するとともに角質剥離量を抑制して皮膚刺激を減少でき、さらに、保存安定性の良好な非水性貼付剤を提供できる。
局所麻酔薬含有貼付剤(例えば上述のリドカイン含有製剤)は、貼付剤として従来より求められる基本的な性能(皮膚への付着性や皮膚刺激性の抑制)は勿論のこと、投与時の安全性の観点から、貼付初期の薬物の皮膚透過速度が適切であること、具体的には、適用個所(損傷皮膚等)において、薬物の異常な透過や血中濃度の急上昇といった副作用リスクが少ないことが重要である。またその製剤の性質上、想定される適用期間(貼付期間)において、適用期間の終期までに薬物が枯渇することがなく、持続的に且つ適切な量の薬物が皮膚に透過(浸透)することが重要となる。また適用後の貼付剤においては、残存する薬物量が少ないこと(薬物効率の向上)も望まれる。
これまでにも、薬物(局所麻酔薬)の皮膚透過速度を適切なものとするべく、例えば有機酸や多価アルコール等の溶解剤を配合した提案はあるものの、これらは多量に配合した場合に皮膚障害を惹起する虞や、貼付剤の粘着特性に影響を与える虞があること、更に通常想定され得る程度の配合量であっても、その配合処方によっては、皮膚透過の制御が過剰なものとなり、薬物透過が大きく抑制される、あるいは薬物透過が過剰となる虞がある。
さらに、局所麻酔薬含有貼付剤は、少なくともある一定期間、患部に繰返し貼付する適用が想定されることから、貼付時の皮膚刺激はできるだけ少ないこと、さらに剥離時及び剥離後の刺激性、例えば角質剥離もできるだけ少ないことが求められる。
そして実際の使用環境を想定した場合、適用期間中における製剤の安定性は勿論、ある程度過酷な保管環境下においても製剤の劣化が生じ難い(保存安定性が良好である)ことも求められる。
本発明者らは、上記局所麻酔薬含有貼付剤に求められる種々の性能、すなわち基本的な貼付剤としての性能(付着性等)、適用初期から終期までの適切な薬物皮膚透過量の実現、薬物効率の向上、適用時及び適用後における皮膚刺激の抑制、保存安定性の向上、を図るために鋭意検討し、まず粘着剤層を構成する各成分の配合量について厳密に検討した。そして特に、樹脂、軟化剤さらには有機酸(例えばクエン酸)を所定の配合量範囲にて組み合わせることにより、持続的に且つ適切な量の薬物の皮膚透過が実現するとともに、角質剥離等の皮膚刺激の抑制を実現できることを初めて見出した。
そして特に、適用12時間経過後までの薬物の累積透過量を所定範囲:120乃至200μg/cm前後、好適には150乃至200μg/cm前後に設定した配合処方とすることで、所定時間経過後においても薬物の皮膚透過性能に過不足がなく、また、初期の薬物透過量が大きすぎること(血中濃度の急激な上昇)による副作用リスクや皮膚刺激の発生、適用終期における薬物の枯渇の発生といった不利益を抑制できることを見出した。なお、リドカインを含有する水性貼付剤(LIDODERM(登録商標))の適用12時間経過後の累積透過量は、150乃至200μg/cm前後である。
そして上記の構成を採用することにより、LIDODERM(登録商標)の製剤では面積あたり30×10−5モル/cm程度、従来技術(特許文献1)では2×10−5モル/cm程度必要としていたリドカインの含有量を、それより一桁少ない量、例えば0.3×10−5モル/cm程度、さらには、0.25×10−5モル/cm程度にまで減らした場合においても、同程度の必要十分な薬物透過量を実現でき、薬物利用効率が向上できる製剤となることを見出した。
以下、本発明を構成する各成分について詳述する。
<貼付剤>
本発明は、少なくとも支持体とその上方の粘着剤層とからなり、該粘着剤層に局所麻酔薬を含有する、非水性貼付剤である。
<粘着剤層>
[ゴム系エラストマー]
本発明の非水性貼付剤の粘着剤層には、基剤成分としてゴム系エラストマーが用いられる。該ゴム系エラストマーとしては、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(以下、「SIS」ということがある。)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(以下、「SBS」ということがある。)、または、これらの水素添加物、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(以下、「SEPS」ということがある。)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(以下、「SEBS」ということがある。)等の熱可塑性ブロック共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体といった種々の熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、液状ゴムなどが適用可能である。これらゴム系エラストマーは一種を単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明が対象とする非水性貼付剤において、エラストマー(全体)の含有量は、特に制限はないが、粘着剤層の全質量を100質量%とするとき、一般に15〜50質量%、好ましくは20〜40質量%であり、例えば25〜40質量%、25〜35質量%、30〜35質量%、あるいは30〜40質量%、35〜40質量%とすることができる。
《スチレン系熱可塑性エラストマー》
上記ゴム系エラストマーのうち、SIS、SBS、SEPS、SEBS等の熱可塑性ブロック共重合体であるスチレン系熱可塑性エラストマーは、粘着性や凝集性が優れていることから好適に使用される。
特に、SISは、粘着剤層(膏体層)に弾性や粘着性を付与するとともに、各成分を粘着剤層に保持し、他成分を溶解または分散させる役割を担うことができ、本発明が対象とする非水性貼付剤の粘着剤層への適用に特に適する。
なお、本発明で使用するSISは、特に限定されないが、通常、スチレンとイソプレンの質量比(スチレン/イソプレン)は、スチレンとイソプレンの合計質量を100質量部としたとき、10/90〜30/70であってよいが、好ましくは、20/80〜25/75である。このように、イソプレン質量比が大きいSISブロック共重合体を用いることにより、ゴム系粘着剤の作製が容易となる。
SISは、市販のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を使用し得、例えば高ジブロック率共重合体の具体例としては、クインタック3520(日本ゼオン(株))、低ジブロック率共重合体の具体例としてはJSR SIS 5002(JSR(株))や、JSR SIS 5008(JSR(株))を挙げることができる。
エラストマーとして二種以上を組み合わせて用いる場合、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の含有量は、特に制限はないが、粘着剤層の全質量を100質量%とするとき、例えば10〜30質量%、あるいは15〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%、あるいは20〜30質量%とすることができる。
《ポリイソブチレン》
上記ゴム系エラストマーのうち前記ポリイソブチレンは、製造過程における粘着剤層の相溶性、低分子量の高分子化合物を膏体中に保持する目的で使用することができる。
上記ポリイソブチレンとして市販のポリイソブチレンを使用し得、たとえば中分子量ポリイソブチレンとしては、オパノールB−30、同B−30SF、同B−50、同B−80(以上、BASFジャパン(株))等を挙げることができる。また、低分子量ポリイソブチレンとしては、オパノールB−10,同B−12、同B−12N、同B−12SFN、同B−15(以上、BASFジャパン(株))、ビスタネックスLM−MS、同LM−MH、同LM−H(以上、エクソン社)、ハイモール4H、同5H、同5.5H、同6H、テトラックス3T、同4T、同5T、同6T(以上、JX日鉱日石エネルギー(株))等を挙げることができる。
《その他ゴム系エラストマー》
エラストマー成分として、例えば前述のSISとポリイソブチレンとを併用する場合、その相溶性を改善するために液状ゴムを用いることができる。液状ゴムとしては、例えば、ポリブテン、ハイシスポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴム等が挙げられる。これら液状ゴムの中でもハイシスポリイソプレンゴムまたは液状ポリイソプレンゴムが好ましい。また、これらの液状ゴムは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら液状ゴムが用いられる場合、その使用量は、粘着剤層の全質量を100質量%とするとき0.1〜5質量%、例えば0.3〜3質量%である。
[局所麻酔薬]
本発明の粘着剤層に含有させる局所麻酔薬としては、リドカイン、ブピバカイン、メピバカイン、ロビバカイン、レボブビバカイン、プロカイン、ジプカイン、テトラカイン及びそれらの塩等が挙げられ、中でもリドカインが副作用などの面から好ましい。本発明において、特に断りのない場合は、リドカイン及びこれらの薬理学的に許容される塩を示す。これらの局所麻酔薬の含有量は、粘着剤層の全質量に対して一般に1.5〜10.0質量%である。局所麻酔薬としての効果と副作用リスク、並びに薬物効率の点から、好ましくは3.0〜7.0質量%、例えば3.5〜6.0質量%、あるいは4.0〜6.0質量%、4.0〜5.0質量%とすることができる。
[樹脂]
本発明の非水性貼付剤の粘着剤層には、好適な付着性を制御するために樹脂が配合され得る。
上記樹脂とは、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂及びその他のロジン誘導体の樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂ジシクロペンタジエン樹脂等がある。中でも水素添加ロジングリセリンエステル、テルペン樹脂が好ましく使用され、市販品としてパインクリスタルKE−311(荒川化学社製)等、YSレジン(ヤスハラケミカル株式会社製)等が挙げられ、組み合わせて配合することも可能である。
また、樹脂の含有量は、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき一般に10〜50質量%の範囲、例えば15〜40質量%の範囲である。樹脂の含有量が過少であると皮膚接着性に劣るものとなり、一方過多となると皮膚刺激が大きくなる虞があるため注意を要する。好ましくは粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、樹脂の含有量を20〜40質量%の範囲とすることができ、例えば25〜35質量%、27〜33質量%、あるいは30〜40質量%の範囲とすることができる。
[軟化剤]
本発明の非水性貼付剤の粘着剤層には、粘着剤の取り扱い性をよくするために軟化剤が使用され得る。
軟化剤(可塑剤)としては、流動パラフィンなどの石油系軟化剤;液状ポリイソプレン、ポリブテンなどの液状ゴム系軟化剤;フタル酸エステル、アジピン酸エステル等の二塩基酸エステル系可塑剤;ポリエチレングリコール、クエン酸エステル等のその他の可塑剤;などが挙げられる。中でも流動パラフィンは、エラストマー系粘着剤との相溶性に優れ、かつ、その凝集力を低下させる虞がないため、好ましく使用され得、例えば市販品として、ハイコール(登録商標、カネダ株式会社製の流動パラフィン)Mシリーズ等が挙げられる。
粘着性の点から、これらの軟化剤の含有量は、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、一般に20〜50質量%の範囲であり、好ましくは25〜35質量%、例えば27〜33質量%、あるいは26〜35質量%、26〜32質量%などとすることができる。軟化剤の配合量が過多となると、例えば支持体が編布であった場合など、粘着剤層が裏抜けするなどの安定性に劣る虞があり、過少である場合、皮膚刺激性が高まる虞があるため注意を要する。
[有機酸]
本発明の非水性貼付剤の粘着剤層には、皮膚刺激を低減し、また局所麻酔薬の皮膚への透過量を適切なものに制御するべく、有機酸が使用される。
有機酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、イソクエン酸、安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、桂皮酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸を挙げることができる。
これらの中でも好ましい有機酸としては、取り扱いや入手のしやすさ、リドカインの経皮吸収性の制御のしやすさ、粘着特性や皮膚刺激性低減などの観点から、2乃至3価の有機酸を用いることが好ましく、中でもクエン酸又は酒石酸を用いることが好ましい。
有機酸の配合量は特に制限するものではないが、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、一般に0.3〜10質量の範囲であり、例えば0.3〜4.0質量%、0.5〜2.0質量%などとすることができる。特に酒石酸の場合の配合量は、好ましくは0.3〜0.8質量%、例えば0.4〜0.7質量%、あるいは0.4〜0.6質量%にて配合することができる。また、本発明の非水性貼付剤の大きさ(面積)にもよるが、通常、1製剤あたりの有機酸の配合量は、好ましくは10〜84mg、より好ましくは12〜42mg、14〜42mg、さらに好ましくは12〜25mg、15〜23mgとすることができる。
有機酸を適切量にて配合することで、粘着剤層を弱酸性とすることができ、皮膚刺激の抑制につながるだけでなく、薬物の過度な皮膚透過を抑制することができるが、その配合量を過多とすると、薬物の皮膚透過が過剰に抑制されて、貼付剤として薬効効率が低いものとなり得るために注意を要する。
また局所麻酔薬(例えばリドカイン)1.0モルに対して、有機酸を0.01〜5.0モル、好ましくは0.01〜3.0モル、より好ましくは0.1〜0.95モル、あるいは0.15〜0.37モルにて配合することができる。
[その他の添加剤]
本発明の非水性貼付剤の粘着剤層には、必要に応じて、さらに、酸化防止剤(抗酸化剤)、充填剤、顔料、薬物安定化剤、薬物溶解性向上剤、薬物溶解性抑制剤など、通常、経皮吸収製剤の粘着剤層に配合される添加剤を、好ましくは抗酸化剤及び経皮吸収促進剤を除く添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができるが、皮膚透過性の他、残存率が高くならないように考慮する必要がある。例えば界面活性剤は皮膚刺激や残存率の観点から添加しないことが好ましい。
なお通常用いられる経皮吸収促進剤には、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、アルコールアミン、多価アルコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリド(すなわち、グリセリンの脂肪酸エステル)、多価アルコール中鎖脂肪酸エステル、乳酸アルキルエステル、二塩基酸アルキルエステル、アシル化アミノ酸、ピロリドン類等がある。これらの経皮吸収促進剤は、通常、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用されているが、前述の通り、本発明では、これらの経皮吸収促進剤は用いないことが好ましい。
本発明の非水性粘着剤層の組成物の構成の一例としては、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、ゴム系エラストマーを20〜40質量%、樹脂を20〜40質量%、軟化剤を20〜35質量%、薬物(特にリドカインの場合)を3.0〜7.0質量%、有機酸を0.5〜4.0質量%にて配合する。
例えば粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、ゴム系エラストマーを25〜40質量%、樹脂を25〜35質量%、軟化剤を25〜35質量%、薬物(特にリドカインの場合)を3.5〜6.0質量%、さらに有機酸を0.5〜4.0質量%にて配合する態様が挙げられる。
好ましい一例として、例えば粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、ゴム系エラストマーを25〜35質量%、樹脂を30〜40質量%、軟化剤を25〜35質量%、薬物(特にリドカインの場合)を3.5〜6.0質量%、さらに有機酸を0.5〜4.0質量%にて配合する態様が挙げられる。
ある一態様において、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、ゴム系エラストマーを30〜35質量%、樹脂を27〜33質量%、軟化剤を27〜33質量%、薬物(特にリドカインの場合)を4.0〜6.0質量%にて、さらに有機酸を0.7〜2.0質量%にて配合し得る。
また別の態様において、粘着剤層の全質量を100質量%としたとき、ゴム系エラストマーを35〜40質量%、樹脂を27〜33質量%、軟化剤を26〜32質量%、薬物(特にリドカインの場合)を4.0〜6.0質量%にて、さらに有機酸を0.6〜2.0質量%にて配合し得る。
<支持体>
本発明が対象とする貼付剤に用いる支持体としては、例えば、含浸紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、和紙、グラシン紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、セロハンフィルムなどのプラスチックフィルム;発泡体;不織布、織布、編布等の布帛類;これら2種以上の積層体;などが挙げられる。不織布、織布、編布等の布帛類の材質としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
本発明が対象とする貼付剤では、例えば不織布、織布及び編布からなる群から選択される布帛類を好ましく用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル及びポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも一種の材料からなる支持体を好ましく用いることができる。
中でも、粘着剤層に含まれる局所麻酔薬の吸着がなく、かつ、支持体側から局所麻酔薬が放出されないこと、そして皮膚に密着することができ、かつ、皮膚の動きに追随することができる程度の柔軟な材質、さらには長時間貼付後において皮膚のかぶれ等の発生を抑制できる材質が好ましい。このように薬物の吸着等がなく、貼付下の皮膚面の動きに対する追随性に優れるなどの点において、編布等が好ましく、特に、ポリエステル製編布が好ましい。
支持体は、着色剤により肌色などの色調に着色することにより、貼付時に肌の色との相違を少なくできる。例えば着色剤としては、顔料、有機顔料、天然色素などが挙げられる。
支持体の厚みは、伸び、引張り強さ、作業性などの物理的性質や貼付時の感触や患部の密閉性、薬物の支持体への移行等を考慮して適宜選択可能であるが、通常5μmから1mmである。
支持体が布帛類である場合、その厚みは、好ましくは50μm〜1mm、より好ましくは100〜800μm、更に好ましくは200〜700μmであり、目付けは皮膚への追従性の点から300g/m以下が好ましく、より好ましくは200g/m以下が好ましく、更に好ましくは150g/m以下である。
また支持体は、帯電防止剤、紫外線防止剤などの添加剤を本発明の効果を阻害しない程度含むことができる。帯電防止剤としては、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤)等が挙げられる。帯電防止剤により、支持体の投錨性や工程上の不具合を解消することができる。
<セパレータ層>
本発明の非水性貼付剤は、少なくとも支持体とその上方の粘着剤層とを有するが、必要に応じて、セパレーター層を設けてもよい。通常、貼付剤は、支持体/粘着剤層/セパレーター層の層構成をとることが多い。
セパレーター層とは、非水性貼付剤を皮膚に貼付するまで、粘着剤層、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー粘着剤層を保護し、変質を防止し、非水性貼付剤を皮膚に貼付する際に、粘着剤層から剥離される層(剥離層、剥離ライナーとも称する)を意味し、非水性貼付剤において慣用されるものである。セパレーター層は、粘着剤層中の局所麻酔薬を吸収または吸着しにくい材質であることが好ましく、さらに粘着剤層からの剥離性や柔軟性などを考慮して、適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルムや、合成樹脂、合成紙、合成繊維等にシリコーン加工したシリコーン加工紙、アルミ箔、クラフト紙にポリエチレン等をラミネートしたラミネート加工紙等の無色又は着色したシートをセパレーター層として用いることができる。特に、シリコーン処理PETフィルム、シリコーン処理ポリプロピレンフィルム、シリコーン処理ポリエチレンフィルム、フッ素樹脂被覆PETフィルム、フッ素樹脂被覆ポリプロピレンフィルム、フッ素樹脂被覆ポリエチレンフィルム等の離型処理した樹脂フィルムがセパレーター層として好ましく用いられ、これらの離型処理した樹脂フィルムと紙とのラミネート、アルミニウムを蒸着させた樹脂フィルム、シリコーンオイル等を塗布した紙などを用いてもよい。なお、セパレーター層の離型処理は、粘着剤層面だけでなく、粘着剤層と反対側の面にも施すことができる。また、非水性貼付剤を包材から取り出しやすくするために、セパレーター層の片面または両面に凹凸形状を設けてもよい。またセパレーター層の形状は方形、矩形、円形等とすることができ、所望により角を丸くした形状とすることができる。その大きさは、前記貼付剤における支持体の大きさと同形状か、やや大きめとする。セパレーター層は1枚または分割されて複数枚から構成されてもよく、その切れ目は直線、波線、ミシン線状で構成されてもよく、セパレーター層同士の一部が重なる状態としてもよい。セパレーター層の厚みは、特に限定されないが、通常10μm〜1mm、好ましくは20〜500μm、より好ましくは40〜200μmの範囲である。
<粘着剤層の厚み>
本発明の非水性貼付剤における粘着剤層の厚みは、通常20〜500μm、好ましくは30〜400μm、より好ましくは35〜300μm、更に好ましくは40〜200μmの範囲である。
粘着剤層の厚みが小さすぎると皮膚粘着性が不足したり、局所麻酔薬含有量(絶対量)が少なくなり、その皮膚吸収の持続性が不十分となる。一方、粘着剤層の厚みが大きすぎると、剥離時に皮膚に粘着剤が多量に残留することや取り扱い性が低下することがあり、また、貼付剤の製造において溶展法(溶展塗工法ともいう)により粘着剤層を塗工して作製する場合には、粘着剤層の厚みが大きいと溶媒が残留する虞があり、それにより皮膚刺激性が高まる等の虞がある。
また粘着剤層を単位面積あたりの質量にて表した場合、通常10〜1000g/m、好ましくは50〜500g/m、例えば100〜300g/m、あるいは100〜200g/mとすることができる。
本発明の非水性貼付剤にあっては、従来提案された非水性粘着剤を使用した局所麻酔薬含有貼付剤における粘着剤層と比べ、その厚みをより薄いものとすることができる。
そのため、単位面積あたり(ひいては1製剤あたり)の各成分の配合量、特に局所麻酔薬並びに有機酸の配合量を従来よりも極めて少なくすることができる。
<累積透過量>
本発明の非水性貼付剤は、その製剤の性質上、想定される適用期間(貼付期間)において、適用期間の終期までに薬物が枯渇することがなく、持続的に且つ適切な量の薬物が皮膚に透過(浸透)することが求められる。
従って、適用から12時間経過後までの薬物累積透過量は、本貼付剤の目的を考慮すると、薬物、特にリドカインの12時間経過後までの薬物累積透過量を50〜210μg/cmの範囲、例えば120〜200μg/cm前後の範囲、中でも150〜200μg/cmの範囲とすることが好ましい。
<貼付剤の製造方法>
本発明が対象とする非水性貼付剤はその製造方法は特に限定されず、例えば一般的な貼付剤の製造方法であるホットメルト法や、カレンダー法や溶展法などを採用することができる。なお、本発明の非水性貼付剤における非水性とは、製造工程上、意図的に水分を粘着剤層(膏体)に加えないことを指す。
一例として、ホットメルト法にて貼付剤を製造する方法を挙げると、まず加熱制御可能な高速回転ミキサーで、最初にゴム系エラストマー、樹脂、軟化剤及びその他の添加剤等を、窒素雰囲気下、100〜200℃の粘着剤(膏体)温度で20〜100分間加熱高速撹拌して溶融物とする。その後、局所麻酔薬と有機酸を前記溶融物中に添加し、さらに100〜150℃の膏体温度で5〜30分間加熱高速撹拌して各成分が均一となった粘着剤を得る。なお上記の撹拌時の温度及び時間は、例を挙げて説明したものであり、これらの範囲に限定されるものではない。
前記方法にて得られた粘着剤(膏体)を、ホットメルト塗工機にて、100〜150℃に温度制御したダイヘッド部分から押し出してセパレーター層上に塗布量が例えば100〜300g/mとなるよう展延した後、これに、支持体をラミネートして所定の形状に裁断することにより、貼付剤を作製する。
非水性貼付剤の形状は特に限定されず、方形(正方形、長方形等)、四角形(台形、菱形等)、多角形、円形、楕円形、半円形、三角形、三日月形、並びにこれらを組み合わせた形状等、貼付箇所に合わせて種々の形状を選択できる。
なお貼付剤の面積は適宜決定することができるが、薬物の投与目的及び投与量や、薬物が包材内で揮散して支持体に付着する量をできるだけ少なくし、かつ貼付しやすさを考慮すると、例えば40cm〜240cm程度とすることができ、好ましくは70または140cmである。前述した1製剤あたりの有機酸の配合量は、上記数値範囲内の面積を有する1製剤あたりの配合量とすることができる。
なお、上述の如く作製された本発明の非水性貼付剤は、密封性や遮光性の高い包装材料で作製した包装体内に収容し、使用の直前まで保存することが好ましい。
前記の包装体に用いられる密封性や遮光性の高い包装材料は、一般的に貼付剤の包装に用いられる材料を用いることができる。密封性の高い包装材料としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム;環状ポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、アイオノマーフィルム等のビニル系樹脂フィルム;エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム;ナイロンフィルム等のポリアミド系樹脂フィルム;セロファン等のセルロース系樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム、およびこれらの積層フィルムが上げられる。また密封性に加え、遮光性を高めるのであれば、上述の樹脂フィルム及びそれらの積層フィルム等とアルミニウムの積層フィルムや、上述の樹脂フィルムにおいて黒色顔料等を添加した顔料添加樹脂フィルム等の包装材料が挙げられ、これら樹脂フィルム、積層フィルム等は種々組み合わせて(積層して)用いることができる。
前記の包装材料により製造された包装体に非水性貼付剤を収容し、必要であれば包装内の窒素置換を行なったり、包装内の気体を減少させる工程を経て、ヒートシール等の公知の方法により密封し、保存することができる。
[投与方法]
本発明の非水性貼付剤の投与回数は、例えば1日3枚まで、あるいは1日に1〜2回投与することができる。投与時間は、例えば最長12時間と設定することができる。朝から夜までの任意の時間について必要に応じて皮膚に適用することができる。例えば朝7時に貼付後に夜7時に剥離することや、入浴後の夜8時に貼付して翌日朝8時に剥離することができる。
特に本発明の非水性貼付剤は、帯状疱疹後神経痛に好適に適用され得る。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[貼付剤の製造方法]に記載のホットメルト法にて、表1に示す配合処方に従い、局所麻酔医薬としてリドカインを5.0質量%、有機酸として、クエン酸を0.5質量%、エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラスストマー(SIS):SIS 5002〔スチレン含有量22質量%、ジブロック率:15質量%、JSR(株)製〕を22.0質量%及びポリイソブチレン(PIB):オパノールB−12SFN〔BASFジャパン(株)製〕を10.0質量%、樹脂としてパインクリスタル KE−311〔水素添加ロジングリセリンエステル、荒川化学(株)製〕を31.5質量%、軟化剤としてハイコール(登録商標)M−352〔流動パラフィン、カネダ(株)製〕を31.5質量%の配合処方(数値(質量%)は、粘着剤層の全質量を100質量%にしたときの数値である、以下同じ)で加熱撹拌を行い、均一な粘着剤組成物を調製した。なお、加熱撹拌は、リドカインと有機酸以外の上記材料をヘンシェルミキサ内で窒素雰囲気下、温度170℃、回転数600rpmの条件で混合し、均一な状態となった後、温度を140℃に設定し、リドカインと有機酸を投入後、回転数200rpmの条件で15分撹拌した。
次いで、該粘着剤組成物をシリコーン処理したポリエステルフィルム(厚さ75μm、剥離フィルム)上に、膏体質量150g/mの厚さに展延して、粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に支持体としてポリエステル系編布(丸編み、目付け約100g/m、厚さ約500μm)をラミネートし、140cmに裁断して貼付剤を作製した。
[実施例2乃至実施例12]
表1に示す配合処方に従い、上記実施例1と同様の手順にて、貼付剤を作製した。
[比較例1乃至比較例7]
表2に示す配合処方に従い、上記実施例1と同様の手順にて、貼付剤を作製した。
なおこれら実施例及び比較例では、上記各成分の他に、樹脂としてYSレジンPX1150N〔テルペン樹脂、ヤスハラケミカル(株)製〕、有機酸として酒石酸も使用した。
<非水性貼付剤の性能評価>
実施例1乃至実施例12及び比較例1乃至比較例7にて作製した貼付剤(試験製剤と称する)を下記(1)〜(3)に示す手法にて、それぞれ性能を評価した。得られた結果を表1及び表2に示す。
(1)皮膚透過量の評価
局所麻酔薬であるリドカインの皮膚透過量について、in vitroでの透過試験を実施した。
ヘアレスマウス(雄、7週齢)の腹部皮膚を、直径20mmφの10mL容量の横型拡散セルに装着した。2重構造のセルに32℃の温水を循環させ、セル内部を一定の温度条件に保ち、皮膚の角質層側には、15mmφに打ち抜いた各試験製剤を貼付した。レシーバー側には精製水を約10mL充満させ、撹拌子で撹拌しながら、経時的に2時間毎の12時間経過時点まで0.5mLずつサンプリングした。サンプリングした各試料にメタノールを各0.5mL加え、撹拌後、遠心分離し、除蛋白した溶液をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)にて定量して、薬物濃度を測定することにより、リドカインの皮膚透過量を求めた。サンプリングした後のレシーバー溶液には、同量の精製水を補充した。なお、n=3の平均値を求めた。
上記試験製剤として、製造から常温(20℃±5℃)にて経過後一週間以内のものについて実施した、透過試験開始から2時間後及び12時間経過後の累積透過量を表1及び表2に示す。
また製造後、60℃にて2週間保存後の試験製剤について、透過試験開始から12時間経過後の累積透過量を表1及び表2にあわせて示す。
(2)角質剥離量の測定
上記試験製剤をそれぞれ10×30mmに打ち抜き試験片とし、この試験片を被験者全員(20代〜60代の男女計8名)の前腕内側の皮膚に12時間貼付した後、剥離し、剥離した試験片を以下の染色液に4時間浸漬して角質細胞の染色を行い、その後試験片を蒸留水で洗浄した。剥離後の試験片の粘着面に移行した角質量(染色部分)を光学顕微鏡にて観察し、角質細胞の剥離量を全体に占める面積(%)で計測し、平均値を求めた。得られた結果を表1及び表2に示す。
なお角質剥離量が100%の場合は、角質細胞が粘着剤全面に付着していることを示す。
染色液組成:
Gentian Violet 1.0%
Brilliant Green 0.5%
蒸留水 98.5%
(3)pH値の判定
各実施例及び比較例の貼付剤の粘着剤層(膏体層)の上にpH試験紙を配置し、該pH試験紙の上から蒸留水を1滴滴下後、pH試験紙の色変化よりpH値を判定した。
得られた結果を表1及び表2に示す。
Figure 2018052039
Figure 2018052039
表1に示すように、実施例1乃至実施例12の貼付剤にあっては、12時間後の累積透過量、並びに60℃2週間保管後における12時間後の累積透過量のいずれもが120〜200μg/cm前後、特に実施例2乃至実施例5並びに実施例9乃至実施例11の貼付剤は150〜200μg/cmの範囲となり、局所麻酔薬の持続的な投与が可能であるとともに、保存安定性に優れる貼付剤であることが確認された。またこれら貼付剤の角質剥離量(面積)は5%〜10%と少なく、該貼付剤の粘着剤層のpH値も6(弱酸性)を示し、皮膚刺激が低減される貼付剤となることが確認された。
一方、有機酸を加えなかった比較例1は、12時間経過後の局所麻酔薬の累積透過量が大きすぎるものとなり、また樹脂の配合量を40質量%以上とした比較例2乃至4及び6は角質剥離量(面積)が60%超と非常に大きく、剥離時の皮膚刺激が高くなる結果となった。特に比較例6は角質剥離が85%と非常に大きく、粘着力が高まりすぎた貼付剤となり、皮膚透過量を評価するまでもなく実使用に不適格な貼付剤であることが確認された。さらに、有機酸を過剰に配合した比較例5では局所麻酔薬の透過量が大きく抑制される結果となった。そして軟化剤を過剰に配合した比較例7では、60℃2週間保管後における12時間後の累積透過量が大きく低下し、保存安定性に劣るとする結果となった。

Claims (11)

  1. 少なくとも支持体とその上方の粘着剤層とからなり、該粘着剤層に局所麻酔薬を含有する非水性貼付剤であって、
    前記粘着剤層は、粘着剤全質量を100質量%としたとき
    エラストマーを20乃至40質量%、
    軟化剤を 20乃至35質量%、
    樹脂を 20乃至40質量%、
    局所麻酔薬を 3.0乃至7.0質量%、及び
    2価又は3価の有機酸を0.3乃至4.0質量%
    の割合にて含有してなり、
    前記粘着剤層は、その単位面積あたりの質量が100乃至200g/mである、
    非水性貼付剤。
  2. 前記有機酸が、クエン酸又は酒石酸である、請求項1に記載の非水性貼付剤。
  3. 前記粘着剤層が、軟化剤を25乃至35質量%、樹脂を30乃至40質量%で含む、請求項1又は請求項2に記載の非水性貼付剤。
  4. 前記貼付剤は、適用から12時間経過後までの累積透過量が120乃至200μg/cmとなる量の局所麻酔薬を含有してなる、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
  5. 前記貼付剤は、適用から12時間経過後までの累積透過量が150乃至200μg/cmとなる量の局所麻酔薬を含有してなる、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
  6. 前記局所麻酔薬が、リドカインである、請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
  7. 前記樹脂が、水素添加ロジングリセリンエステルである、請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
  8. 前記粘着剤層が、抗酸化剤及び経皮吸収促進剤を含まない、請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
  9. 帯状疱疹後神経痛に使用する、請求項1乃至請求項8のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
  10. 前記支持体がポリエステル編布である、請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
  11. 前記有機酸が、非水性貼付剤1製剤当たり10〜84mg配合されてなる、請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の非水性貼付剤。
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