JPWO2018003982A1 - 逆止弁 - Google Patents

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Abstract

シール部材の破損を抑制しながら、極低圧時及び高圧時に封止することができる逆止弁を提供する。本発明に係る逆止弁は、高圧時には、ポペット弁体3が弁座21側に移動し、シール部材352、354が弁座21により圧縮変形されると共に弁体シール面351及びシール部材352、354が弁座21に接触する一方で、極低圧時には、ポペット弁体3が弁座21側に移動し、シール部材352、354及び弁体シール面351のうちシール部材352、354のみが弁座21に接触することにより流体流路Pが封止される。

Description

本発明は、逆止弁に関する。
流体を扱う各種の装置においては、流体の流れを一方向のみに規制する逆止弁が用いられている。
逆止弁は、一般的に、一次側流路と二次側流路とを連通する流体流路内に設けられた弁座と、その弁座に対して離接する弁体とが設けられ、弁体がスプリングによって弁座方向に付勢される基本構造とされている。
この種の逆止弁として、例えば下記特許文献1がある。下記特許文献1では、弁体のシール面(弁座と接触する面)にOリングを設け、スプリングによりこのOリングが弁座に押し付けられて弁座を閉塞し、流体が逆流しないようになっている。
ところで、近年では、燃料電池自動車に燃料ガスを充填するための水素ステーションの供給インフラが普及しつつある。この水素ステーションの配管設備には、通常、流量制御用のバルブなどとともにインラインチャッキである逆止弁が用いられる。この場合、水素ステーションでは、高圧(例えば99MPa)の水素が流れることもあるため、逆止弁も高圧流体に耐え得ることが重要である。
そこで、下記特許文献2では、高圧時でも逆止め性能を確実に発揮することを意図した逆止弁が提案されている。詳細には、弁体のOリング(以下、シール部材とも称する)と密着可能な屈曲部が弁座に形成され、この屈曲部を起点として第1傾斜部及び第2傾斜部が形成されている。閉弁時には、このように形成された弁座にシール部材が接触されるため、シール部材と弁座との接触面積が大きくなり、高圧時においてもシール部材が破損することなく確実な密封ができる、とされている。
特開平5−302680号公報 特開2007−205406号公報
上記のように、従来では様々な逆止弁の構造が提案されているが、高圧時及び極低圧時(例えば0.1MPa以下)の両方において、弁体と弁座との封止を十分に確保した構成について何ら検討されていなかった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シール部材の破損を抑制しながら、極低圧時及び高圧時に封止することができる逆止弁を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る逆止弁は、流体流路を内部に有する本体部と、流体流路の途中に設けられる弁座と、弁座に離接して流体流路を開閉する弁体と、を有する逆止弁であって、弁体における弁座に接触可能な弁体シール面に、弁体よりも軟質のシール部材が設けられ、シール部材は、弁体シール面から弁座側に突出され、高圧時には、弁体が弁座側に移動し、シール部材が弁座により圧縮変形されると共に弁体シール面及びシール部材を弁座に接触させ、極低圧時には、弁体が弁座側に移動し、シール部材及び弁体シール面のうちシール部材のみを弁座に接触させることにより流体流路を封止する。
極低圧時(例えば0.1MPa以下)でも封止できるようにするためには、弁体よりも軟質のシール部材(例えばシートやO−リング等の樹脂材料)を弁座に接触させて封止する必要がある。これを考慮して、例えば、シール部材及び弁体シール面の両方を弁座に接触させて封止する構成とした場合、高圧時には弁体よりも軟質のシール部材が弁座に強く押圧されて塑性変形するが、変形したシールではその後、十分に封止できなくなるおそれがある。これに対し、本発明では、高圧時には、シール部材が弁体により圧縮変形することで弁体シール面が弁座に接触する一方で、極低圧時には、弁体シール面及びシール部材のうちシール部材のみが弁座に接触して流体流路を封止している。このように構成することにより、極低圧時にはシール部材で封止する構成としながら、高圧時には、弁体シール面を弁座に接触させてシール部材の変形を抑えることができる。その結果、シール部材の破損を抑制しながら、極低圧でも高圧でも封止性能を維持することが可能となる。
また本発明に係る逆止弁は、弁体の弁体シール面は、外周側に向かうに従い弁座から離れる方向に傾斜していることも好ましい。
かかる構成によれば、高圧時に弁体が弁座側に移動した際に、弁体シール面全面が弁座に接触せずに弁体シール面のうちの一部が弁座に接触するので、弁体シール面と弁座との接触面積をより小さくすることができる。つまり、弁体シール面と弁座とが線接触して流体流路を封止するので、面接触で封止する構成と比較して、接触部分の押圧力を大きくすることができ、高圧時における封止性能をより高めることができる。
また本発明に係る逆止弁は、弁座のうちシール部材と接触する部位が、弁体側へ盛り上がるように形成されていることも好ましい。
かかる構成によれば、弁座が平面である場合と比較して、シール部材が弁座に接触するときの接触面積がより小さくなり、シール部材と弁座とを線接触させることができる。線接触させることにより、面接触で流体流路を封止する場合と比較して接触部分の押圧力を大きくすることができ、封止性能を高めることができる。
また本発明に係る逆止弁では、シール部材は、樹脂材料により構成されるシートであり、シートは、弁体の弁体シール面側に形成された雌ねじ部に螺合されるねじによって弁体に固定され、ねじの円筒部の周囲には、シートの底面からねじの軸方向へシートの厚さ以上に延在してねじの頭部座面を支持するガイド部材が設けられていることも好ましい。
かかる構成によれば、シートを弁体に固定するためのねじを締め付ける際に、ガイド部材によってねじの頭部座面が支持され、ねじの締め過ぎが防止される。つまり、ねじの締め過ぎによってねじの頭部座面でシートが強く押圧されることを防ぐことができるので、シートが変形することを抑制することができる。
また本発明に係る逆止弁では、ガイド部材は、シート表面のうちねじの中心軸側を覆う延出部を更に備え、弁体におけるシートに接触する接触面のうちのねじの中心軸側に、接触面から延出部側に突出する凸部が設けられていることも好ましい。
かかる構成によれば、シートが弁座に押圧されて潰れた場合(すなわち、シートが塑性変形した場合)でも、ガイド部材の延出部と凸部によりシートは常に押圧された状態となっているので、シートが弁座に接触したときの該接触部分に、十分な面圧を加えることができる。その結果、シートが潰れて塑性変形したとしても、十分な封止性能を維持することができる。
また本発明に係る逆止弁では、シール部材は、弁体における弁座に接触可能な部分のうちシール部材を除いた部分よりも外周側に設けられていることも好ましい。
かかる構成によれば、例えば高圧時に弁体が弁座に接触するときに、シール部材よりも内側において弁体と弁座が接触する部分が存在することとなる。この高圧時には、特に封止直前直後に弁座付近において二次側から一次側に引き込まれる力が急激に加わるが、シール部材の内側に、弁座と接触する弁体の一部分が存在するので(言い換えれば、弁体における弁座に接触する部分のうち外側部分(外周側)にシール部材が設けられているので)、シール部材が一次側に引き込まれて外れてしまうことを防ぐことができる。
また本発明に係る逆止弁では、弁体は同一材質で一体的に形成されていることも好ましい。
弁体における弁体シール面は高圧時に弁座に接触するが、かかる構成によれば、この弁体シール面は弁体として一体的に形成されているので、高圧時にシール部として機能する箇所(すなわち弁体シール面)は、弁体から脱離することはない。このため、高圧時にも確実に封止を行うことができる。
また本発明に係る逆止弁を高圧水素の供給ラインに用いた水素ステーションとすることも好ましい。
本発明によれば、シール部材の破損を抑制しながら、極低圧時及び高圧時に封止することができる逆止弁を提供することができる。
本実施形態における逆止弁の概略構成を示す縦断面図である。 図1のスリーブを示す縦断面図である。 図1のポペット弁体を示す縦断面図である。 図1の逆止弁の弁開状態を示す縦断面図である。 (A)極低圧時のシール状態を表す縦断面図である。(B)高圧時のシール状態を表す縦断面図である。 図5に示す円Eの拡大断面図である。 ポペット弁体の第1変形例における、シート周辺の概略構成を示す拡大断面図である。 ポペット弁体の第2変形例における、シート周辺の概略構成を示す拡大断面図である。 ポペット弁体の第3変形例における、シート周辺の概略構成を示す拡大断面図である。 第4変形例のポペット弁体を、弁体シール面側からみたときの概略構成を示す斜視図である。 (A)第5変形例における極低圧時のシール状態を表す縦断面図である。(B)第5変形例における高圧時のシール状態を表す縦断面図である。 図11に示すポペット弁体の変形例(第6変形例)における、Oリング周辺の概略構成を示す拡大断面図である。 第7変形例におけるポペット弁体周辺の概略構成を示す縦断面図である。 (A)図13に示すポペット弁体の概略斜視図である。(B)図13に示すポペット弁体の概略断面図である。 高圧時の封止直前に生じる弁座付近の流体の流れを説明するための図である。 水素ステーションを示すブロック図である。 図16に示す圧縮機の構成を説明するための図である。
以下添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
まず、本実施形態における逆止弁の構成について説明する。図1は、逆止弁の概略構成を示す縦断面図である。図2は、図1に示すスリーブの縦断面図である。図3は、図1に示すポペット弁体の縦断面図である。
逆止弁は、一次側から二次側への流体の流動を可能とすると共に、逆方向の流動を制止する機能を有する。本実施形態における逆止弁は、図1に示すように、ボデー1、キャップ体2、ポペット弁体3(弁体)、ガスケット4、スプリング5を有する。
ボデー1は、略筒状に形成され、その内部に流体を流通させることが可能な流体流路Pを有する。ボデー1は、例えばステンレス合金から成る金属材料で構成される。
ボデー1の一端側(図1では右側)には、雌ねじ部からなる管接合部10が形成され、この管接合部10には外部継手の雄ねじ部90を螺合可能になっている。この管接合部10に続けて縮径穴11が形成され、この縮径穴11と連通して縮径穴11よりも拡径した弁体収容部12が設けられている。更に、弁体収容部12に続いて雌ねじ部13が形成されている。弁体収容部12内には、ポペット弁体3が配設され、雌ねじ部13には、以下で説明するキャップ17が接続される。なお、ボデー1の弁体収容部12よりも開口側には開口側端面14が形成され、この開口側端面14にはガスケット4を装着可能になっている。また、ボデー1における管接合部10と縮径穴11との間には、気密検査用の検査孔26が設けられている。
ボデー1の他端側(図1では左側)にはキャップ体2が接続され、このキャップ体2は、スリーブ16と、キャップ17とからなる。
(スリーブ)
スリーブ16は、図2に示すように、筒部18とこの筒部18よりも拡径した段部面19とを有し、内部にはボデー1の弁体収容部12と連通する流路20を有する。スリーブ16のポペット弁体3との対向面である先端側には弁座21が形成されている。この弁座21よりも外径側には先端面23が位置し、当該先端面23は、スリーブ16がボデー1に取り付けられるときに、ガスケット4を介してボデー1の開口側端面14と対向する。なお、スリーブ16は、金属材料により形成され、本実施形態ではステンレス合金により設けられている。
(キャップ)
キャップ17は、例えば、ボデー1と同じステンレス合金からなり、このキャップ17の内部には挿入穴部30が形成され、この挿入穴部30に続けて雌ねじ部からなる管接合部31が形成されている。管接合部31には、ボデー1の雌ねじと同様に、外部継手の雄ねじ部91を螺合可能になっている。キャップ17のボデー取付け側には雌ねじ部13に螺合可能な雄ねじ部32が形成され、この雄ねじ部32を介してキャップ17がボデー1に螺合して取付けられる。キャップ17のスリーブ16側には、このスリーブ押圧用の端部面33が形成されている。キャップ17における管接合部31と挿入穴部30との間には、気密検査用の検査孔27が設けられている。
キャップ体2をボデー1に取付けるときには、スリーブ16の段部面19をキャップ17の端部面33で押圧するように、キャップ17をボデー1にガスケット4を介して結合する。スリーブ16は、筒部18が挿入穴部30に挿入されるようにキャップ17に取付けられる。
ボデー1の開口側端面14とスリーブ16の先端面23との間には、前述したようにガスケット4が介在され、ボデー1の雌ねじ部13とスリーブ16の雄ねじ部32との結合によりこのガスケット4が挟着される。ガスケット4は、ボデー1とスリーブ16との間の漏れを防止する機能を有し、例えば、銅又は銅合金などで構成される。
(ポペット弁体)
続いて、ポペット弁体3の構成について説明する。図3は、ポペット弁体3の縦断面図である。ポペット弁体3は、図1に示したボデー1の弁体収容部12内にスプリング5を介して装着されている。
ポペット弁体3は、ボデー1の弁体収容部12に往復動可能に設けられ、その先端側が弁座21に離接して流体流路Pを開閉する。ポペット弁体3は、スプリング5の弾発力によりスリーブ16の方向に付勢され、ポペット弁体3の先端部(後述するシート又は弁体シール面)が弁座21に当接されると、流体流路Pが封止される。本実施形態では、図3に示すように、ポペット弁体3は、ヘッド部35と、円筒部37とを有する。
円筒部37は、ヘッド部35の軸方向に連続して設けられ、その内外を連通する流路穴36を有する。流路穴36は、ポペット弁体3の内外を連通するように径方向90°毎に4つ配置され、弁開時にはこの流路穴36を介して一次側流路(図1では、流体流路Pのうち、弁座21よりも上流側に形成される流路(スリーブ16側の流路))と二次側流路(図1では、流体流路Pのうち、弁座21よりも下流側に形成される流路(弁体収容部12側の流路))とが連通可能となる。
ヘッド部35は、その先端側に、スリーブ16の弁座21に当接可能な弁体シール面351を有する。弁体シール面351は、その一部が弁座21に離接して弁座21を閉塞又は開放するものである。本実施形態では、弁体シール面351は、高圧時に、ポペット弁体3が一次側(図1では左側)に移動したときに、弁座21に接触する。弁体シール面351は、平面としても良いが、外周側に向かうに従い、弁座21から離れる方向(図1では右側)に傾斜していることが好ましい。言い換えれば、弁体シール面351は、外周側に向かうに従い、一次側から二次側に向かう方向に傾斜していることが好ましい。これにより、弁体シール面351が弁座21に接触するときに、両者の接触面積をより小さくすることができる(言い換えれば、線接触により流体流路Pにおける逆流を防止することができる)。このため、面接触して封止する構成と比較して、封止性能を高めることができる。なお、ヘッド部35の外径D3と円筒部37の外径D4とは、外径D3<外径D4の関係に設定されている。本実施形態におけるヘッド部35と円筒部37との間に位置する連結部(谷部)は、ヘッド部35の外径D3よりも小径に設定されている。これにより、ポペット弁体3の外周38には凹部が形成され、流体が効率的に案内される。
なお、本実施形態における「弁体シール面351が弁座21に接触する」とは、弁体シール面351全面が接触することに限定されず、弁体シール面351の一部が弁座21に接触することも含まれる。
(シート)
ヘッド部35の弁体シール面351には、その表面から窪んだシート収容部351aが形成され、このシート収容部351aにシート352(シール部材)が設けられている。シート352は、ポペット弁体3の移動により、弁座21に離接して弁座21を閉塞又は開放するものである。本実施形態では、シート352は、その先端側が弁体シール面351よりも弁座21側に所定量(図6に示す距離D)突出するように設けられている。このようにシート352が所定量突出しているため、高圧時にはシート352が弁座21に押圧されて圧縮変形するものの、やがてポペット弁体3が弁座21に当接してそれ以上の圧縮変形が防がれるため、それによってシート352の不可逆な変形(塑性変形)が生じず、その結果、繰り返し動作しても極低差圧(例えば0.1MPa以下)及び高圧のいずれの場合のシール性が十分に維持される。本実施形態におけるシート352の突出量Dは、0.3mm以上〜0.5mm以下であることが好ましい。
なお、シート352は、ポペット弁体3の材料よりも低硬度の材料(軟質材料)で形成されており、本実施形態では、例えば樹脂製の材料から成る。また、シート352の形状は、本実施形態では、その先端を平面形状としているが、図示した例に限定されるわけではなく、弁座21に離接して弁座21を閉塞又は開放する機能を有するものであれば、その形状や大きさ等は適宜選択されるものである。
また、シート352は、ポペット弁体3の弁体シール面351側に形成された雌ねじ部356に螺合されるねじ358によって、ポペット弁体3に固定される。ねじ358の円筒部358bの周囲には、ガイド部材Wが設けられている。
(ガイド部材)
ガイド部材Wは、ねじ358の締め過ぎによるシート352の潰れを抑制する機能を有する。ガイド部材Wは、内部にねじ358を挿通可能なように略円筒状に形成される。詳細には、図3に示すように、ガイド部材Wは、円筒状の胴部Wbと、該胴部Wbの上端側(頭部座面358aa側)から外側(ねじ358から離れる方向)に略直角に屈曲する延出部Waとを有する。
胴部Wbは、ねじ358の円筒部358bの周囲を覆うように円筒状に形成される。胴部Wbは、その下端がポペット弁体3とシート352との接触面Sに当接すると共に、その上端が頭部座面358aaに当接するように、ねじ358の軸方向に沿って設けられている。言い換えれば、胴部Wbは、ポペット弁体3とシート352との接触面S(すなわちシート352の底面に対応する位置)からねじ358の軸方向へシート352の厚さ(図3ではシート352の左右方向の幅)以上に延在してねじ358の頭部座面358aaを支持するように設けられている。
胴部Wbの上端側には延出部Waが設けられている。延出部Waは、シート352表面と頭部座面358aaとの間に設けられ、頭部座面358aaを支持するように設けられている。詳細には、延出部Waは、シート352表面のうちねじ358の中心軸側の部分を覆うように、平面視略環状に形成されている。なお、延出部Waは、ねじ358の頭部座面358aaを支持する機能を有するものであれば、図示した形状等に限定されず、適宜その形状を変形することができる。
このようにガイド部材Wがねじ358の周囲に設けられることにより、ねじ358を締め付ける際に、ねじ358の締付方向への移動がガイド部材Wにより規制され、ねじ358の頭部358aがシート352に強く押し付けられることを防ぐことができる。その結果、ねじ358の締め過ぎによってねじ358の頭部358aがシート352表面に強く押し付けられてシート352が変形することを抑制することができる。
なお、ガイド部材Wの形状や大きさは図示した例に限定されず、ねじ358の締め過ぎによるシート352の潰れを抑制する機能を有していれば、他の形状等に変形することができる。
(凸部)
ポペット弁体3とシート352との接触面Sのうちねじ358側の部分には、接触面Sから弁座21側(図3では左側)に突出する凸部Prが設けられている。凸部Prとガイド部材Wの延出部Waとの間の間隔(軸方向の距離)は、シート352の厚さよりも小さくなっているため、シート352が凸部Prとガイド部材Wの延出部Waとの間に配置されることにより、シート352が押圧された状態を維持することができる。これにより、シート352が弁座21に押圧されて潰れた場合(すなわち、シート352が塑性変形した場合)でも、凸部Prを設けていることにより、シート352が弁座21に当接した場合の当該当接部分に十分な面圧を加えることができる。その結果、シート352が塑性変形したとしても、十分な封止性能を維持することができる。
なお、凸部Prの形状や大きさは、図示した例に限定されず、シート352が押圧される機能を有していれば、他の形状等に変形することができる。
続いて、上述した構成を備える逆止弁の動作を説明する。図4は、逆止弁の弁開状態を示している。
図4に示すように、左方から高圧流体が流れると、その流体圧によってポペット弁体3がスプリング5の弾発力に抗して右方向に押圧される。そうすると、スリーブ16の弁座21が開口した状態になり、矢印に示すように流体が流路20から弁体収容部12に流れ、流路穴36を介してポペット弁体3内部に案内され、このポペット弁体3を介して縮径穴11よりボデー1の外部へと流れる。
図1において、流体が逆流しようとしたときには、ポペット弁体3がその流体圧によって左方向に押され、弁座21にヘッド部35が押圧される。その際、逆止圧力の大きさに応じて(言い換えれば、上流側と下流側との圧力差に応じて)、ポペット弁体3と弁座21との当接状態が変化する。以下、詳細に説明する。
図5(A)は、極低圧時のシール状態を表す縦断面図である。図5(B)は、高圧時のシール状態を表す縦断面図である。図6は、図5(A)に示す円Eの拡大図である。
(極低圧時)
図5(A)に示すように、極低圧時においては、ポペット弁体3がスリーブ16側に押される力が弱くなっているため、弁体シール面351が弁座21に当接しない一方で、シート352が弁座21に当接する。言い換えれば、極低圧時においては、弁体シール面351とシート352のうちのシート352のみが弁座21に当接して封止される。本実施形態の逆止弁により封止可能な逆圧について測定したところ、シート352としてPTFEからなるものを用いた場合、0.25〜0.26MPaであり、EPDMからなるものを用いた場合、0.14〜0.15MPaであった。これに対し、シート352を用いず、ポペット弁体3自体を弁座21に当接させて封止する場合、おおよそ9Ma以上の逆圧が必要であった。なお、この封止可能な逆圧は、逆止弁にかける逆圧(二次側から一次側への圧力)を徐々に変化させていき、一次側で許容漏れ量を超える圧力が検知されるかどうかを測定する試験を行うことで測定した。この試験で漏れが検知されなかった最大の圧力を、この封止可能な逆圧とした。
(高圧時)
一方、高圧時のときには、図5(B)に示すように、ポペット弁体3がスリーブ16側に押される力が強くなっているため、シート352が弁座21に接触して圧縮変形することにより弁体シール面351及びシート352が弁座21に当接して封止される。
このように、高圧時には、シート352よりも高硬度な弁体シール面351が弁座21に当接することによって、高圧時にシート352が弁座21によって圧縮変形される量を抑えることができる。言い換えれば、シート352の変形量を抑える機能を、高圧時に弁体シール面351を弁座21に当接させることで実現している。これにより、高圧時にシート352が弁座21に強く押圧されて塑性変形することを防ぐことができ、その結果、極低圧時でも高圧時でも封止性能を維持することが可能となる。
なお、本実施形態では、図6に示すように、弁座21のうちシート352と接触する部位21aがポペット弁体3側へ盛り上がるように形成されている。これにより、弁座21が平面である構成(図6の破線H)と比較して、シート352が弁座21に接触するときの接触面積がより小さくなり、シート352と弁座21とを線接触させることができる。線接触させることにより、面接触で流体流路を封止する場合と比較して、接触部分の押圧力を大きくすることができ、封止性能を高めることができる。
続いて、図1〜図6で示したポペット弁体の変形例について説明する。以下で説明する変形例は、ポペット弁体の一部の構造を変化させたもので、それ以外の構成や機能は上述したポペット弁体と同じである。したがって、上述したポペット弁体と同じ部分については、その説明を省略する。
(第1変形例)
図7は、ポペット弁体の第1変形例における、シート周辺の概略構成を示す拡大断面図である。
図7に示す第1変形例では、シート352の外周側に面取り352aを施している。この面取り352aする位置としては、シート352のうち弁座21と接触する部位よりも外周側(図7では下側)を面取りすることが好適である。このようにシート352に面取り352aを施してテーパ面とすることで、シート352と弁座21とがより線状に接触して面圧が向上し、極低圧時でもより確実に封止することができる。
(第2変形例)
図8は、ポペット弁体の第2変形例における、シート周辺の概略構成を示す拡大断面図である。
図8に示す第2変形例では、シート352のうち弁座21と接触する部位を盛り上げる。具体的には、シート352のうち弁座21と接触する部位に、その表面から弁座21側に突出させた、断面視山型形状の凸部352bを形成する。このようにシート352表面の形状を変化させることによっても、シート352と弁座21とがより線状に接触して面圧を向上させることができる。なお、図8に示す例では、凸部352bが断面視凸湾曲面を有する形状であるが、この例に限定されず、シート352を弁座21により線状に接触させて面圧を向上させる機能を有していれば、その形状等を適宜変形することができる。
(第3変形例)
図9は、ポペット弁体の第3変形例における、シート周辺の概略構成を示す拡大断面図である。
第3変形例では、ポペット弁体3のうちシート352と接触する接触面S(言い換えれば、シート収容部351aの底面)に、弁座21側(図9では左方向)に突出する突起Cを設けている。特に高圧時では、圧力がシート352の裏側に回り込み、シート352が流路に飛び出してしまうおそれがあるが、これを防止するため、第3変形例では突起Cを設けてシート352が引っ掛かるようにしている。このように突起Cを設けることにより、シート352の位置ずれを抑えてシート352の脱落を防止することができる。なお、突起Cの形状としては、図示の例に限定されるわけではなく、シート352が引っ掛かる機能を有していれば、その形状や大きさ等を適宜変形することができる。
また第3変形例において、図9に示すように、シート352の外周側には間隙Gaが設けられている。詳細には、シート352の外端352eとシート収容部351aの側面(ポペット弁体3の内壁)との間に間隙Gaが設けられている。間隙Gaの大きさは任意に設定されるが、例えばシート352の寸法誤差+0.5mm程度に設定される。このようにシート352の外周側に間隙Gaが設けられることにより、高圧時にシート352が弁座21に圧接されて押しつぶされた際に、シート352が外周側に逃げることが可能となり、高圧時においてもポペット弁体3が弁座21に確実に接触できるようにすることができる。
また第3変形例では、図9に示すように、ポペット弁体3のうち、ねじ358の雄ねじ部(図示略)が螺合される部分(雌ねじ部356)を、ねじ358の軸方向に沿って延長した延設部35aを設ける。これにより、ポペット弁体3に対してねじ358が掛かる部分の長さを延長することができ、高圧時にねじ358が脱落することを防止することができる。なお、図9に示す延設部35aを有する場合、ガイド部材Wは、延設部35a上面とねじ358の頭部座面358aaとの間に位置すると共に、シート352表面のうちねじ358軸側を覆うように設けられている。このようなガイド部材Wによっても、図6等を参照しながら説明したガイド部材Wの機能と同様の機能を有する。
なお、ポペット弁体3の材質として、例えばポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)を用いるが、好適には、ステンレス鋼材(例えばSUS316等)を用いることが好ましい。ステンレス鋼材を用いることで、ポペット弁体3の強度を向上させることができ、ねじ358の脱落をより一層防止することができる。
(第4変形例)
図10は、第4変形例のポペット弁体を、弁体シール面側からみたときの概略構成を示す斜視図である。
第4変形例では、図10に示すように、ガイド部材Wのうち、ねじ358の頭部座面358aa(図5等参照)に当接する面(図10の上面Wt)に、複数の溝Grを設けている。この溝Grは、高圧時にねじ358が抜ける方向(図10では左方向)にかかる圧力を逃がす圧力逃がし穴として機能する。本実施形態では、溝Grは、上面Wtのうちのねじ358の軸側から外側の方向へスリット状に複数形成されている。しかしながらこの例に限定されず、本実施形態における溝Grは、例えば1ヶ所のみでも良く、圧力逃がし穴として機能するものであれば、その形状や個数や表裏の位置を変更することができる。
(第5変形例)
続いて、ポペット弁体の第5変形例について説明する。図11(A)は、第5変形例における極低圧時のシール状態を表す縦断面図である。図11(B)は、第5変形例における高圧時のシール状態を表す縦断面図である。図11に示すポペット弁体3は、図5等で示したポペット弁体3におけるシート352をОリング354に変えたもので、それ以外の構成及び機能は、図5等で示したポペット弁体3と同じである。したがって、図5等で示したポペット弁体3と同じ部分については、その説明を省略する。
(極低圧時)
図11(A)に示すように、極低圧時において、弁体シール面351が弁座21に当接しない一方で、ポペット弁体3の先端側に設けられたОリング354が弁座21に当接する。言い換えれば、極低圧時においては、弁体シール面351及びОリング354のうちのОリング354のみが弁座21に当接して封止される。
(高圧時)
一方、高圧時において、図11(B)に示すように、Оリング354が弁座21に接触して圧縮変形することにより弁体シール面351及びОリング354が弁座21に当接する。これにより、図5等を参照しながら説明したポペット弁体3にシート352を設けた構成と同様の効果を奏する。すなわち、Оリング354が塑性変形することを防ぐことができ、極低圧時にも高圧時でも封止性能を維持することが可能となる。
(第6変形例)
図12は、図11に示したポペット弁体の変形例(第6変形例)における、Oリング周辺の概略構成を示す拡大断面図である。
第6変形例では、図12に示すように、Оリング354部分に加わった圧力を抜くための孔Fを設ける。この孔Fは、Оリング354を収容するOリング収容部354aと外部(弁体収容部12)とを連通するようにヘッド部35に形成されるものであり、この孔Fを介してOリング収容部354a内の流体が外部に流出される。これにより、Oリング収容部354a内の圧力が低下し、Оリング354が外れる方向にかかる圧力を抑えられ、Оリング354の脱落を防止することができる。なお、孔Fの形状としては、図示の形状に限定されるわけではなく、Оリング354が外れる方向にかかる圧力を抑えられる機能を有していれば、その形状等を変形することができる。
(第7変形例)
続いて、ポペット弁体の第7変形例について図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、第7変形例のポペット弁体周辺の構成を示す縦断面図である。図14(A)は、第7変形例のポペット弁体の概略斜視図であり、図14(B)は、図14(A)に示すポペット弁体の概略断面図である。第7変形例におけるポペット弁体3は、図5等で示したポペット弁体3におけるヘッド部側の構造を変化させたもので、それ以外の構成及び機能は、図5等で示したポペット弁体3と同じである。したがって、図5等で示したポペット弁体3と同じ部分については、その説明を省略する。
第7変形例において、図13及び図14に示すシート352bは、弁体シール面351から弁座21側に突出してポペット弁体3に圧着成形されると共に、平面視略円形の外形を有する弁体シール面351の外周側を覆うように設けられている。シート352bの位置について詳細には、シート352bは、ポペット弁体3における弁座21に接触可能な部分のうちシート352bを除いた部分よりも外周側(すなわち、ポペット弁体3のうち高圧時のみ接触する部分(弁体シール面351の一部)よりも外周側)に設けられている。言い換えれば、ポペット弁体3の先端側(すなわち弁体シール面351)が弁座21に接触するときに、当該弁体シール面351が弁座21に接触する箇所よりも外周側の箇所にシート352bが接触するように設けられている。
なお、シート352bの圧着成形は、ポペット弁体3の一部を型として利用することで、このポペット弁体3のシート352bを形成すべき位置において直接シート352bを成形するものである。例えば、ポペット弁体3のシート352bの形成部位に圧着成形用の接着剤を塗布し、これに別の型を組み合わせた後、シート352bの形成部位に原料を供給することによって行うことができる。なお、シート352bは、必ずしも圧着成形によって形成しなくても良く、インサート成形により形成しても良く、別の方法で成形してから接着剤等でポペット弁体3に固定しても良い。ただし、シート352bは、圧着成形により形成する方がポペット弁体3に対して強固に固定され、他の方法に比べて高圧時の脱離が生じにくい傾向にある。
ところで、高圧時において、封止直前直後(すなわち、ポペット弁体3が弁座21に当接する直前)には弁座21付近で二次側(ボデー1(図1参照)内部に形成される流体流路のうち弁体収容部12内の流路側)から一次側(ボデー1内部に形成される流体流路のうちスリーブ16内の流路側)に引き込まれる力(例えば、図15に示す矢印FL)が急激に加わることとなる。この場合、例えば図15(C)に示す構造のポペット弁体400においては、その先端側に取り付けられたシール部材410a、410bのうち高圧時のみ弁座21に接触するシール部材410bよりも内側にシール部材410aが位置しているため、上記した高圧時の封止直前直後に生じる二次側から一次側に引き込まれる力により、シール部材410aが一次側に引き込まれてシール部材410aが脱離するおそれがある。
なお、図15(C)に示すポペット弁体400は、そのヘッド部435の先端に、ヘッド部435とは別体の部材としてシール部材410a、410bを設けたものであって、当該シール部材410a、410bが弁座21に離接して流体流路を開閉する構成を備えたものである。
上記した図15(C)に示すポペット弁体400に対し、本実施形態(例えば図15(B)に示すポペット弁体3)では、シート352bは、ポペット弁体3における弁座21に接触可能な部分のうちシート352bを除いた部分(言い換えれば、ポペット弁体3のうち高圧時のみ接触する部分)よりも外周側に設けられている。この構成によれば、高圧時にポペット弁体3が弁座21に接触するときに、シート352bよりも内側においてポペット弁体3と弁座21とが接触する部分が存在し、この部分がシール部として機能する。高圧時には、封止直前から弁座21付近において二次側から一次側に引き込まれる力(図15(B)に示す矢印FL)が大きくなるが、特に封止直後、ポペット弁体3と弁座21とのシール部の内側において、一次側に引き込まれる力が急激に発生する。このとき、シート352bはこのシール部よりも外側(外周側)に存在しているため、一次側に引き込まれる力を受けることがなく、ポペット弁体3からの脱離等を生じ難い。また、封止直前の矢印FLで示される力に対しても、シート352bの内側に、弁座21に接触するポペット弁体3の一部分が存在するので(言い換えれば、弁体における弁座に接触する部分のうち外側部分(外周側)にシート352bが設けられているので)、この部分でシート352bの引き込みが阻害され、ポペット弁体3からの脱離を防ぐことができる。
一方、図15(A)に示すポペット弁体3では、シート352は、ポペット弁体3における弁座21に接触可能な部分のうちシート352を除いた部分(すなわち、高圧時のみ弁座21に接触する弁体シール面351)よりも内側に設けられているため、高圧時の封止直前直後には、シート352に対して一次側に引き込まれる力が加わることとなる。しかしながら、図15(A)に示すポペット弁体3では、シート352がねじ358及びガイド部材Wにより固定されているので、高圧時におけるシート352の脱離を防止することができる。
このように、本実施形態におけるポペット弁体3は、高圧時におけるシート352、352bの脱離を防止しながら、低圧時にはシート352、352bが弁座21に接触する一方、高圧時にはシート352、352b及び弁体シール面351が弁座21に接触することにより、低圧時及び高圧時の両方で流体流路を確実に封止することができる。
特に、図15(A)や図15(B)に示す例のように、ポペット弁体3が同一材質で一体的に形成されたものであると、高圧時にシール部として機能する弁体シール面351が、ポペット弁体3から脱離することがないため、例えば水素ステーションで想定されるような高圧(99MPa)でも確実なシールを行うことが可能である。これに対し、図15(C)で示す例のように、シール部材410a、410bがポペット弁体400と別体のものであると、ポペット弁体400の封止直前直後でなくてもシール部材410a、410bがポペット弁体400から脱離するおそれがあり、特に高圧時には、上述した封止直前の矢印FLで示される力によりシール部材410aの脱離が発生し易く、高圧時には十分な封止性能を発揮できない可能性がある。
そして、図15(A)に示す例においては、ポペット弁体3が高圧時にシール部として機能する弁体シール面351と一体的に形成されていることで、このポペット弁体3に対するねじ358の固定も容易である。ねじ358がポペット弁体3に対して強固に固定されていることで、高圧時でもねじ358が抜け落ちることがなく、シート352を保持することができる。また、図15(B)に示す例においても、ポペット弁体3が、高圧時にシール部として機能する弁体シール面351と同一材質で一体的に形成されていることから、シート352bを圧着成形する際の型としても好適であり、圧着成形によるシート352bの形成にも有利となる。
以上説明した本実施形態のポペット弁体3を用いた際の封止性能(高圧封止性能及び低圧封止性能)を検証するための試験を実施した。高圧封止性能試験として、一次側流路と二次側流路との差圧を99[MPa]近傍に設定して、ポペット弁体により流体流路を封止した際の漏れ量を測定した。低圧封止性能試験として、一次側流路と二次側流路との差圧を0.1[MPa] 近傍に設定して、ポペット弁体により流体流路を封止した際の漏れ量を測定した。
図1〜図10を参照しながら説明したポペット弁体3(シート352をねじ358及びガイド部材Wによってヘッド部35に固定した構成を有するポペット弁体3)を用いて高圧封止性能試験(差圧を99[MPa]に設定)及び低圧封止性能試験(差圧を0.10[MPa] に設定)を実施した結果、水上置換法により測定した漏れ量が0.0[cc/min]であることが確認された。また図13〜15を参照しながら説明したポペット弁体3(シート352bを弁体シール面351の外周側に圧着成形した構成を有するポペット弁体3)を用いて高圧封止性能試験(差圧を99.08 [MPa]又は99.95[MPa] に設定)及び低圧封止性能試験(差圧を0.09 [MPa]又は0.1[MPa] に設定)を実施した結果、水上置換法により測定した漏れ量が0.0[cc/min]であることが確認された。つまり、本実施形態におけるポペット弁体3は、約0.1[MPa]から100[MPa]まで(すなわち超低圧から超高圧まで)の幅広い差圧で十分な封止性能を確保できることが検証された。
また本実施形態のポペット弁体3において、差圧0.1[MPa]以下の封止性能を検証するための試験(以下、最低圧力封止試験と称する)を実施した。この最低圧力封止試験は、ボデー1(図1)内に形成される流体流路のうち二次側を徐々に加圧し、ポペット弁体3により封止可能となる最低の圧力値を測定するものである。図1〜図10を参照しながら説明したポペット弁体3(シート352をねじ358及びガイド部材Wによってヘッド部35に固定した構成を有するポペット弁体3)を用いて最低圧力封止試験を数回実施した結果、測定値0.06[MPa]、0.08[MPa] であることが確認された。また、図13〜15を参照しながら説明したポペット弁体3(シート352bを弁体シール面351の外周側に圧着成形した構成を有するポペット弁体3)を用いて最低圧力封止試験を数回実施した結果、測定値0.04[MPa]、0.06[MPa] であることが確認された。すなわち、本実施形態のポペット弁体3は、一次側流路と二次側流路との差圧が0.1[MPa]より小さい差圧でも封止可能であることが検証された。
比較例として、図5等に示したシート352(シール部材)を用いない構造のポペット弁体(すなわち、比較例のポペット弁体は、低圧時及び高圧時においてもポペット弁体のうちの同じ材質の部分(弁体シール面)が弁座に当接して流体流路を封止する構造の弁体)の低圧封止性能試験を行った。この低圧封止性能試験(差圧を6.06 [MPa]又は7.90 [MPa]に設定)を実施した結果、漏れ量が0.55[cc/min]、0.13[cc/min]であることが確認された。つまり、比較例として検証した、シール部材を用いない構造のポペット弁体においては、低圧時における流体の逆流を防止できないことが確認できた。
(水素ステーション)
続いて、本実施形態に係る逆止弁を水素ステーションに適用した例を説明する。図16は、水素ステーションのブロック図である。図17は、図17に示した水素ステーションにおける圧縮機の構成を説明するための図である。
図16に示すように、水素ステーションは、例えば、蓄圧器70、圧縮機71、ディスペンサ72、プレクール熱交換器73、迅速継手74、充填ホース75、充填ノズル76、車載タンク77を有し、これらは高圧水素の供給ライン78としてシステムを構成している。
本実施形態に係る逆止弁85は、例えば、インラインチャッキとしてディスペンサ72の二次側に設けられ、或は、その他の供給ラインに設けられる。この逆止弁85により一次側への水素漏れが防がれて優れた逆止め性能が発揮されると共に、弁開時の大流量を確保し、耐久性やシール性も向上する。
なお、水素ステーションの各ユニットの接続部位には手動弁81が設けられ、各ユニットの一次側又は二次側に適宜に自動弁80が設けられている。蓄圧器70の内部は、複数のタンクに分かれている。それぞれのタンクと圧縮機71とを接続するバルブ80、及びそれぞれのタンクとディスペンサ72とを接続するバルブ80を適宜切り替えることにより、所定圧に至ったタンクから水素をディスペンサ72に供給する。一方で、所定の下限値圧を下回ったタンクには、ガス供給源(図示略)から供給された水素を段階的に昇圧するように構成された圧縮機71(図17参照)から水素を前記所定圧に至るまで充填する。圧縮機71で所定の圧力まで段階的に昇圧された水素ガスは、一旦、蓄圧器内のいずれかのタンクに貯蔵され、所定圧まで昇圧された水素ガスが車両に供給される。なお、圧縮機71の内部は、図17に示すように、複数のタンクに分かれているが、この複数のタンクを用いて段階的に昇圧する過程において、タンク間を連結する充填ライン(配管)で、上流側と下流側で差圧が小さくなる部分(例えば差圧が0.1MPa以下の部分)が生じることがある。また、この差圧が小さくなる現象は、段階的に昇圧する過程においてその発生する頻度が多いことが知られている。このため、この段階的に昇圧する過程において漏れを防止する(逆流を防止する)ことが必要となっており、本実施形態に係る逆止弁を図17に示した段階的に昇圧するライン(配管)に配設すると、特に効果的である。
なお、図16においては、水素ステーションに本実施形態に係る逆止弁を搭載した例が示されているが、この例に限定されず、例えば、車両(車載タンク)側に本実施形態に係る逆止弁を搭載することも可能である。より具体的には、本実施形態に係る逆止弁は、車両における水素供給口から車載タンクまでのラインにおいて、水素供給口からの水素の逆流を防止するための逆止弁や、車載タンクからの水素の逆流を防止するための逆止弁、その途中に配置される逆止弁等として適用できる。或いは、車載タンクから燃料電池に水素を供給するラインにて逆流を防止するための逆止弁として適用することもできる。また、図16では、ディスペンサ72の二次側に、本実施形態に係る逆止弁85を設けた例が示されているが、その他の供給ライン(例えば、圧縮機71側や蓄圧器70側)に逆止弁85を設けることも可能である。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。例えば、本発明における「シール部材」は、上述したシート352、352bと、Оリング354とを含むものであるが、弁座21に当接してシールする機能を有するものであれば、その他の弾性材料から形成されるものも含まれる。その他、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
1:ボデー
2:キャップ体
3:ポペット弁体(弁体)
4:ガスケット
5:スプリング
10:管接合部
11:縮径穴
12:弁体収容部
16:スリーブ
17:キャップ
20:流路
21:弁座
23:先端面
30:挿入穴部
31:管接合部
35:ヘッド部
36:流路穴
37:円筒部
70:蓄圧器
71:圧縮機
76:充填ノズル
77:車載タンク
78:供給ライン
351:弁体シール面
352:シート(シール部材)
354:Oリング(シール部材)
356:雌ねじ部
P:流体流路
Pr:凸部
S:接触面
W:ガイド部材
Wa:延出部

Claims (8)

  1. 流体流路を内部に有する本体部と、
    前記流体流路の途中に設けられる弁座と、
    前記弁座に離接して前記流体流路を開閉する弁体と、を有する逆止弁であって、
    前記弁体における前記弁座に接触可能な弁体シール面に、前記弁体よりも軟質のシール部材が設けられ、
    前記シール部材は、前記弁体シール面から前記弁座側に突出され、
    高圧時には、前記弁体が前記弁座側に移動し、前記シール部材が前記弁座により圧縮変形されると共に前記弁体シール面及び前記シール部材を前記弁座に接触させ、
    極低圧時には、前記弁体が前記弁座側に移動し、前記シール部材及び前記弁体シール面のうち前記シール部材のみを前記弁座に接触させることにより前記流体流路を封止する逆止弁。
  2. 前記弁体の前記弁体シール面は、外周側に向かうに従い前記弁座から離れる方向に傾斜している請求項1に記載の逆止弁。
  3. 前記弁座のうち前記シール部材と接触する部位が、前記弁体側へ盛り上がるように形成されている請求項1又は2に記載の逆止弁。
  4. 前記シール部材は、樹脂材料により構成されるシートであり、
    前記シートは、前記弁体の前記弁体シール面側に形成された雌ねじ部に螺合されるねじによって前記弁体に固定され、
    前記ねじの円筒部の周囲には、前記シートの底面に対応する位置から前記ねじの軸方向へ前記シートの厚さ以上に延在して前記ねじの頭部座面を支持するガイド部材が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の逆止弁。
  5. 前記ガイド部材は、前記シート表面のうち前記ねじの中心軸側を覆う延出部を更に備え、
    前記弁体における前記シートに接触する接触面のうち前記ねじの中心軸側に、前記接触面から前記延出部側に突出する凸部が設けられている請求項4に記載の逆止弁。
  6. 前記シール部材は、前記弁体における前記弁座に接触可能な部分のうち前記シール部材を除いた部分よりも外周側に設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の逆止弁。
  7. 前記弁体は同一材質で一体的に形成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の逆止弁。
  8. 高圧水素の供給ラインに請求項1乃至7のいずれか1項に記載の逆止弁を用いたことを特徴とする水素ステーション。
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