JPWO2018003882A1 - スプルブッシュ - Google Patents
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Abstract
原料樹脂流路内の溶融樹脂原料を全体として好適に冷却可能なスプルブッシュを提供するために、本発明の一実施形態では、原料樹脂流路および原料樹脂流路の周囲に設けられた冷却媒体流路を備えたスプルブッシュであって、スプルブッシュの下流側末端面に向かうにつれて原料樹脂流路の幅寸法が漸次大きくなっており、スプルブッシュの下流側末端面が伝熱面となっている、スプルブッシュが提供される。
Description
本発明は、スプルブッシュに関する。より詳細には、本発明は、金型に使用されるスプルブッシュに関する。
日本の「ものづくり」産業を支えてきた技術の一つに、金型を用いた成形技術がある。かかる成形技術としては、加圧成形法、射出成形法および押出成形法などが挙げられる。これら成形法のうち、射出成形法は、射出成形用金型を用いて溶融樹脂原料から成形品を得る方法である。
射出成形法においては、射出成形用金型200’の一方の金型(コア側金型)201’と他方の金型(キャビティ側金型)202’とから構成された金型キャビティ203’内に溶融樹脂原料が射出される(図8参照)。射出された溶融樹脂原料は金型キャビティ203’で冷却固化に付され、成形品となる。金型キャビティ203’内への溶融樹脂原料の射出は、一般にスプルブッシュ100’を介して行われる。
図8に示すように、射出成形用金型200’に用いられるスプルブッシュ100’には原料樹脂流路10’が設けられている。かかる原料樹脂流路10’は、溶融樹脂原料が導入される上流側始端10a’から金型キャビティ203’内へと通じる下流側末端10b’にまで延在している。
原料樹脂流路10’には、成形品を取り出し易くするためにテーパが付けられている。具体的には、原料樹脂流路10’は、上流側始端10a’から下流側末端10b’へと延在するにつれて幅寸法W’が漸次大きくなっている。図8に示すように、原料樹脂流路10’の上流側10α’の幅寸法W1’は相対的に小さいのに対して、原料樹脂流路10’の下流側10β’の幅寸法W2’は相対的に大きくなっている。
テーパが付けられた原料樹脂流路10’は、成形品の取出しの点で好ましいものの、溶融樹脂原料の冷却固化の点からは必ずしも好ましいといえない。例えばテーパが付けられた原料樹脂流路10’が長くなると、それに伴って相対的に大きい幅寸法W’の下流側の影響が大きくなり、溶融樹脂原料が冷却固化しにくくなる。溶融樹脂原料が冷却固化しにくいと、溶融原料樹脂の射出から成形品の取出しまでに要する時間が増し、結果として成形サイクルが長くなってしまう。それゆえ、図8に示されるように原料樹脂流路10’の周囲に直管形態の冷却媒体流路20’が供されることがある。
しかしながら、直管形態の冷却媒体流路20’を内部に備えたスプルブッシュ100’では、以下の問題が依然として生じ得る。
具体的には、図8に示すように、テーパが付けられた原料樹脂流路10’は下流側に向かうにつれて幅寸法W’が漸次大きくなり得る。そのため、それに起因して相対的に幅寸法が小さな箇所の表面積よりも相対的に幅寸法が大きな箇所の表面積が大きくなる。表面積が大きくなると、相対的に幅寸法が大きな箇所内の溶融樹脂原料を冷却固化するために必要な冷却熱を伝えるための領域が大きくなる。そのため、直管形態の冷却媒体流路20’では、その形態に起因して当該冷却媒体流路20’を通じる冷却媒体の冷却熱が相対的に幅寸法の大きな箇所内の溶融樹脂原料に十分に伝わらないおそれがある。
特に、原料樹脂流路10’の下流側末端10b’では、当該幅寸法W’が最も大きくなり得る。そのため、これに起因して原料樹脂流路10’の下流側末端10b’の表面積は原料樹脂流路10’の他の部分と比べて最も大きくなり得る。表面積が大きいと、溶融樹脂原料を冷却固化するために必要な冷却熱を伝えるための領域が大きくなり得る。しかしながら、原料樹脂流路10’内の溶融樹脂原料を冷却固化するために用いられ得る直管形態の冷却媒体流路20’は、切削工具等を用いてスプルブッシュ100’を切削加工に付すことで形成され得る。そのため、原料樹脂流路10’の下流側末端10b’近傍にまで直管形態の冷却媒体流路20’を設けることは加工精度の観点からも限界があり得る。それ故、直管形態の冷却媒体流路20’では、冷却媒体流路20’を通じる冷却媒体の冷却熱が原料樹脂流路10’の下流側末端10b’内に位置する溶融樹脂原料に十分に伝わらないおそれがある。その結果、原料樹脂流路10’内の溶融樹脂原料を全体として好適に冷却固化できないおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものである。すなわち、本発明の目的は、原料樹脂流路内の溶融樹脂原料を全体として好適に冷却可能なスプルブッシュを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
原料樹脂流路および原料樹脂流路の周囲に設けられた冷却媒体流路を備えたスプルブッシュであって、
スプルブッシュの下流側末端に向かうにつれて原料樹脂流路の幅寸法が漸次大きくなっており、
スプルブッシュの下流側末端面が伝熱面となっている、スプルブッシュが提供される。
原料樹脂流路および原料樹脂流路の周囲に設けられた冷却媒体流路を備えたスプルブッシュであって、
スプルブッシュの下流側末端に向かうにつれて原料樹脂流路の幅寸法が漸次大きくなっており、
スプルブッシュの下流側末端面が伝熱面となっている、スプルブッシュが提供される。
本発明の一実施形態に係るスプルブッシュによれば、原料樹脂流路内の溶融樹脂原料を全体として好適に冷却可能である。
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態をより詳細に説明する。図面における各種要素の形態および寸法は、あくまでも例示にすぎず、実際の形態および寸法を反映するものではない。
本発明の一実施形態に係るスプルブッシュ100は、図1に示すように原料樹脂流路10および原料樹脂流路10の周囲に設けられた冷却媒体流路20を内部に備えている。原料樹脂流路10は、最終的に得られる成形品の取出し易さの観点から、スプルブッシュ100の下流側末端面101に向かうにつれて幅寸法が漸次大きくなるように構成されている。図1に示すように、スプルブッシュ100の上流側領域100Xにおいては、直管形態を成した冷却媒体流路20の上流側が、原料樹脂流路10の上流側の周囲に供されるように構成され得る。一方、スプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいては、冷却媒体流路20の下流側が、原料樹脂流路10の下流側を取り囲むように構成され得る。
ここでいう「スプルブッシュ100の冷却媒体流路20」とは、冷却媒体を流すための流路であって、原料樹脂流路10内の溶融樹脂原料を冷却させるための流路である。つまり、成形時においては冷却媒体流路20を流れる冷却媒体に起因して原料樹脂流路10内の溶融樹脂原料が降温に付されることになる。ここでいう「冷却媒体」とは、原料樹脂流路10内の溶融樹脂原料に対して冷却効果を与えることができる流体のことを指しており、例えば冷却水または冷却ガスなどである。ここでいう「原料樹脂流路10の上流側」とは、溶融樹脂原料が導入される上流側始端10aに対して近位側に位置する部分を指す。一方、ここでいう「原料樹脂流路10の下流側」とは、溶融樹脂原料が導入される上流側始端10aに対して遠位側に位置する部分を指す。原料樹脂流路10の上流側と下流側との境界は、特に限定されるものではないが、例えば本発明のスプルブッシュの高さの2分の1なる部分を指す。より具体的に例示すれば、「原料樹脂流路10の上流側」は、例えば原料樹脂流路10の上流側始端10aから“本発明のスプルブッシュの高さの2分の1なる部分”にまで至る領域に相当する。その一方、「原料樹脂流路10の下流側」は、例えば“本発明のスプルブッシュの高さの2分の1なる部分”から原料樹脂流路10の下流側末端10bにまで至る領域に相当する。また、ここでいう「冷却媒体流路20の上流側」とは、原料樹脂流路10の上流側の周囲に位置する冷却媒体流路20の所定部分を指す。一方、ここでいう「冷却媒体流路20の下流側」とは、原料樹脂流路10の下流側の周囲に位置する冷却媒体流路20の所定部分を指す。
ここでいう「スプルブッシュ100の下流側末端面101」とは、金型(具体的には金型内に形成されたランナー部R)と直接的に接するスプルブッシュ100の端面の実質的に全体を指し、後述する「原料樹脂流路10の下流側末端10b」を含むものである。ここでいう「スプルブッシュ100の下流側末端面101が伝熱面である」とは、スプルブッシュ100の下流側末端面101が被伝熱部材に対して熱エネルギーを伝えるための面として好適に機能し得る状態であることを指す。つまり、ここでいう「スプルブッシュ100の下流側末端面101が伝熱面である」とは、スプルブッシュ100の下流側末端面101が当該下流側末端面101以外の面(原料樹脂流路の延在方向に沿ったスプルブッシュ100の側面等)よりも相対的により熱伝達の効率(すなわち熱貫流率)が高い又は略同一の面として機能し得ることを指す。ここでいう「熱エネルギー」とは、冷却媒体流路20を流れる冷却媒体の冷却熱エネルギーを実質的に指す。ここでいう「被伝熱部材」とは、原料樹脂流路10内の溶融樹脂原料、およびスプルブッシュ100と接する射出成形金型内に形成されるランナー部内の溶融樹脂原料等を指す。なお、本発明では、スプルブッシュ100の下流側末端面101が伝熱面として好適に機能し得ることを述べているが、当該下流側末端面101以外の面が伝熱面として機能することを排除するものではないことを確認的に述べておく。
特に、本発明は、スプルブッシュ100の下流側末端面101が伝熱面として好適に機能し得る点に特徴を有する。通常、冷却媒体流路をスプルブッシュ内部に設けることがある場合、切削工具等を用いてスプルブッシュを切削加工に付すことで冷却媒体流路が形成され得る。そのため、原料樹脂流路の下流側末端近傍にまで直管形態の冷却媒体流路を設けることは加工精度の観点からも限界があり得る。原料樹脂流路はスプルブッシュの下流側末端に向かうにつれて幅寸法が漸次大きくなるように構成されているため、原料樹脂流路の下流側末端の幅寸法が最も大きくなり得る。そのため、かかる幅寸法が最も大きいことに起因して、冷却媒体流路に流す冷却媒体の冷却熱を原料樹脂流路の下流側末端に位置する溶融樹脂原料に好適に伝えることができないおそれがあり得る。つまり、原料樹脂流路10の下流側末端10bはその幅寸法(開口径に相当)が最も大きいことに起因して内部の溶融樹脂原料を最も冷却しにくい箇所であると言える。この点、本発明の一実施形態では、「原料樹脂流路10の下流側末端10bを含むスプルブッシュ100の下流側末端面101」を伝熱面として機能させる。そのため、当該伝熱面が冷却熱を伝えるための面として機能する場合、これに起因して最も冷却しにくい原料樹脂流路10の下流側末端10bに位置する溶融樹脂原料に対しても冷却媒体の冷却熱を好適に伝えることが可能となる。これにより、最も冷却しにくい原料樹脂流路10の下流側末端10bに位置する溶融樹脂原料を好適に冷却固化でき得る。これにより、本発明の一実施形態によれば、原料樹脂流路10内の溶融樹脂原料を全体として好適に冷却することが可能である。従って、これに起因して溶融樹脂原料の射出開始から成形品の取出しまでに要する時間を減じることができ、その結果として成形サイクルを短くすることができる。
本発明の一実施形態では、スプルブッシュ100の下流側末端面101を伝熱面として好適に機能させ得るため、以下の態様を採り得る。
一態様では、スプルブッシュ100の下流側末端面101と冷却媒体流路20の最下流部分20aとの間の離隔距離Mが、原料樹脂流路10と冷却媒体流路20との間の離隔距離Sよりも小さいことが好ましい(図1参照)。
ここでいう「冷却媒体流路20の最下流部分20a」とは、冷却媒体流路20のうち、図1に示すようにスプルブッシュ100の下流側末端面101に最直近で対向する部分を指す。又、ここでいう「離隔距離S」とは、冷却媒体流路20のうち原料樹脂流路10に対して最直近側の部分と、当該最直近側の部分と対向する原料樹脂流路10との間の距離を指す。すなわち、「離隔距離S」とは、原料樹脂流路10と冷却媒体流路20との間の最短の幅寸法を実質的に指す。
本態様は、上述のように、スプルブッシュ100の下流側末端面101と冷却媒体流路20の最下流部分20aとの間の離隔距離Mが原料樹脂流路10と冷却媒体流路20との間の離隔距離Sよりも小さいことを特徴とする。原料樹脂流路10と冷却媒体流路20との間の離隔距離Sは、原料樹脂流路10内の溶融樹脂原料に対して冷却媒体流路20内を流れる冷却媒体の冷却熱を伝え易くするため、概して相対的に小さくなるよう制御され得る。つまり、この事は、冷却媒体流路20が原料樹脂流路10に近接して配置されていることを意味する。これに加え、本態様では、当該離隔距離Sよりも離隔距離Mが更により小さくなるよう構成されている(図1参照)。つまり、この事は、冷却媒体流路20の最下流部分20aがスプルブッシュ100の下流側末端面101に“より”近接して配置されていることを意味する。
冷却媒体流路20の最下流部分20aが下流側末端面101に“より”近接して配置されていると、それに起因して最下流部分20aの位置からスプルブッシュ100の下流側末端面101に対して冷却熱を効果的に伝えることができ得る。下流側末端面101に対して冷却熱を効果的に伝えることができると、それに起因して下流側末端面の領域にある最も冷却しにくい原料樹脂流路10の下流側末端10bに位置する溶融樹脂原料に対しても冷却媒体の冷却熱を効果的に伝えることが可能となる。これにより、最も冷却しにくい原料樹脂流路10の下流側末端10bに位置する溶融樹脂原料を効果的に冷却固化でき得る。
更に、スプルブッシュ100は射出成形用金型に接するように配置され得る。そのため、最下流部分20aの位置からスプルブッシュ100の下流側末端面101に対して効果的に伝えられ得る冷却熱を、スプルブッシュ100と接する射出成形用金型に効果的に伝えることが可能となる。より具体的には、当該冷却熱をスプルブッシュ100と接する射出成形用金型のランナー部Rに効果的に伝えることができ得る。つまり、スプルブッシュ100との接触領域近傍に位置する射出成形用金型内部の溶融樹脂原料も効果的に冷却固化できる。かかる射出成形用金型内部の溶融樹脂原料の効果的な冷却固化は、溶融樹脂原料の射出開始から成形品の取出しまでに要する時間の低減に寄与し得る。
一態様では、図1に示すようにスプルブッシュ100の下流側末端面101と冷却媒体流路20の最下流部分20aとの間の距離Mが0.1mm〜5mm、好ましくは0.5mm〜2mmとなっていてよい。
本態様では、スプルブッシュ100の下流側末端面101と冷却媒体流路20の最下流部分20aとの間の距離Mが0.1mm〜5mmと相対的に小さい値であり得る。そのため、当該距離Mが相対的に小さい値であることに起因して、冷却媒体流路20に流す冷却媒体の冷却熱を、冷却媒体流路20の最下流部分20aの位置からスプルブッシュ100の下流側末端面101に好適に伝えることができ得る。その結果、下流側末端面101の領域にある最も冷却しにくい原料樹脂流路10の下流側末端10bに位置する溶融樹脂原料に対しても冷却媒体の冷却熱を好適に伝えることが可能となる。
一態様では、スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域が、当該形成領域以外の他の領域を構成する材料とは異なる材料を含んで成っていてよい(又は当該異なる材料から構成されていてよい)。なお、ここでいう「スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域」とは、スプルブッシュ100の下流側末端面101と当該下流側末端面101の近傍部分(特に限定されるものではないが、一例としてスプルブッシュ100の下流側末端面101と冷却媒体流路20の最下流部分20aとの間の領域/当該下流側末端面101の面上領域)とを含む領域を指す。
上記では、スプルブッシュ100の下流側末端面101を伝熱面(冷却熱を供するための面)として好適に機能させるための態様として、冷却媒体流路20の最下流部分20aをスプルブッシュ100の下流側末端面101に“より”近接して配置する態様を示した。しかしながら、スプルブッシュ100の下流側末端面101を伝熱面(冷却熱を供するための面)として好適に機能させるための態様はこれに限定されない。例えば、スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域が当該形成領域以外の他の領域を構成する材料とは異なる材料を含む態様が挙げられる。
具体的には、スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域に含まれる材料としては、一例として熱伝導率が相対的に高い材料であるAg、Cu、Al、およびNi等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。この中でも、スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域にAlが含まれることが好ましい。一方、スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域以外の領域に含まれる材料としては、一例としてFeが挙げられる。
上記熱伝導率が相対的に高い材料を含むスプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域は、後述する“粉末焼結積層法”(当該形成領域を含むスプルブッシュ100の造形部を形成するために用いられる方法)にて形成することができる。つまり、“粉末焼結積層法”にて造形部を形成する間にて、造形部の構成要素である「スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域」と成る部分と、「スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域」と成る以外の部分とで用いる材料を変える。なお、これに限定されず、当該形成領域は、スプルブッシュ100の下流側末端面101に対応する面領域上に熱伝導率が相対的に高い材料(Ag、Cu、Al、およびNi等から成る群から選択される少なくとも1種、好ましくはAl)を別途溶接することで供されてもよい。
以上により、熱伝導率が相対的に高い材料が局所的に用いられると、これに起因して、スプルブッシュ100の下流側末端面101の形成領域は、当該形成領域以外の他の領域よりも熱伝導率が相対的に高い“高熱伝導領域”として好適に機能し得る。かかる形成領域が“高熱伝導領域”として好適に機能すると、これに起因して最下流部分20aの位置からスプルブッシュ100の下流側末端面101に対して冷却熱を効果的に伝えることができ得る。下流側末端面101に対して冷却熱を効果的に伝えることができると、それに起因して下流側末端面の領域にある最も冷却しにくい原料樹脂流路10の下流側末端10bに位置する溶融樹脂原料に対しても冷却媒体の冷却熱を効果的に伝えることが可能となる。これにより、最も冷却しにくい原料樹脂流路10の下流側末端10bに位置する溶融樹脂原料を効果的に冷却固化でき得る。又、かかる形成領域が“高熱伝導領域”として好適に機能すると、これに起因して最下流部分20aの位置からスプルブッシュ100の下流側末端面101に対して効果的に伝えられ得る冷却熱を、スプルブッシュ100と接する射出成形用金型に効果的に伝えることが可能となる。より具体的には、当該冷却熱をスプルブッシュ100と接する射出成形用金型のランナー部Rに効果的に伝えることができ得る。つまり、スプルブッシュ100との接触領域近傍に位置する射出成形用金型内部の溶融樹脂原料も効果的に冷却固化できる。
一態様では、図2に示すようにスプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいては、冷却媒体流路20は原料樹脂流路10を取り囲むように構成されていてよい。
具体的には、図2に示すようにスプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいては、冷却媒体流路20の下流側が原料樹脂流路10の下流側を取り囲むように構成されていてよい。特に限定されるものではないが、例えばスプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいては、冷却媒体流路20の下流側は螺旋構造を有していてよい。スプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいて、冷却媒体流路20、具体的には冷却媒体流路20の下流側が原料樹脂流路10を取り囲むように構成されていると、冷却媒体流路20の下流側を流れる冷却媒体の冷却熱を、平面視においていずれの方向(すなわち実質的に全方向)からも原料樹脂流路10の下流側内の溶融樹脂原料に対して供することができ得る。そのため、これに起因して、冷却媒体流路20の下流側を流れる冷却媒体の冷却熱を、原料樹脂流路10の下流側内の相対的に冷却固化しにくい溶融樹脂原料に好適に伝えることができ得る。その結果として、スプルブッシュ100の下流側領域100Y内の原料樹脂流路10の下流側内の溶融樹脂原料を好適に冷却固化でき得る。そのため、成形完了の際に、スプルブッシュ100の原料樹脂流路10内から冷却固化して形成される樹脂部材を好適に取り出し得る。
一態様では、スプルブッシュ100の下流側領域100Yにて冷却媒体流路20が原料樹脂流路10を取り囲むように構成されている場合において、図3に示すようにスプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいて原料樹脂流路10と冷却媒体流路20との離隔距離Sが原料樹脂流路10の長手方向のいずれにおいても略一定となっていてよい。
スプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいて、冷却媒体流路20、具体的には冷却媒体流路20の下流側が原料樹脂流路10を取り囲むように構成されていると、冷却媒体流路20の下流側を流れる冷却媒体の冷却熱を、平面視においていずれの方向からも原料樹脂流路10の下流側内の溶融樹脂原料に対して供することができ得る。この場合において、スプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいて、原料樹脂流路10と、当該原料樹脂流路10を取り囲む冷却媒体流路20との離隔距離Sが原料樹脂流路10の長手方向のいずれにおいても略一定となっていると、平面視で原料樹脂流路10を取り囲むように設けられた冷却媒体流路20の下流側と原料樹脂流路10の下流側との間の距離をいずれのポイントでも略等しくし得る。そのため、これに起因して、原料樹脂流路10の下流側内のいずれのポイントにも冷却媒体流路20の下流側を流れる冷却媒体の冷却熱を均一に伝えることができ得る。これにより、原料樹脂流路10の下流側内の溶融樹脂原料を均一に溶融固化でき得る。
一態様では、スプルブッシュ100の下流側領域100Yにて冷却媒体流路20が原料樹脂流路10を取り囲むように構成されている場合において、図4に示すようにスプルブッシュ100の下流側領域100Yでは断面視における冷却媒体流路20のピッチが、スプルブッシュ100の下流側末端面101に向かうにつれて漸次小さくなっていてよい。
原料樹脂流路10は図4に示すようにスプルブッシュ100の下流側末端101に向かうにつれて幅寸法が漸次大きくなるように構成されているところ、当該幅寸法が大きくなるにつれて、冷却媒体流路20の表面積が大きくなり得る。そのため、それに起因して冷却媒体流路20に流す冷却媒体の冷却熱を溶融樹脂原料に好適に伝えることができにくくなり得る。特に、この事はスプルブッシュ100の下流側末端101、すなわち原料樹脂流路10の下流側末端10bに向かうにつれ顕著となり得る。そこで、スプルブッシュ100の下流側領域100Yでは断面視における冷却媒体流路20のピッチが、スプルブッシュ100の下流側末端面101に向かうにつれて漸次小さくなっていてよい。これにより、図4に示すように冷却媒体の冷却熱を原料樹脂流路10の下流側末端10bおよび下流側末端10bの近傍に集中的に伝えることができ得る。従って、原料樹脂流路10の下流側末端10bおよび下流側末端10bの近傍内の溶融樹脂原料に冷却媒体の冷却熱をより好適に伝えることができ得る。
一態様では、スプルブッシュ100の下流側領域100Yにて冷却媒体流路20が原料樹脂流路10を取り囲むように構成されている場合において、図5に示すようにスプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいて原料樹脂流路10と冷却媒体流路20との離隔距離Sが原料樹脂流路10の長手方向のいずれにおいても略一定となっており、かつスプルブッシュ100の下流側領域100Yでは断面視における冷却媒体流路20のピッチが、スプルブッシュ100の下流側末端面101に向かうにつれて漸次小さくなっていてよい。
スプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいて、冷却媒体流路20、具体的には冷却媒体流路20の下流側が原料樹脂流路10を取り囲むように構成されていると、冷却媒体流路20の下流側を流れる冷却媒体の冷却熱を、平面視においていずれの方向からも原料樹脂流路10の下流側内の溶融樹脂原料に対して供することができ得る。この場合において、スプルブッシュ100の下流側領域100Yにおいて、原料樹脂流路10と、当該原料樹脂流路10を取り囲む冷却媒体流路20との離隔距離Sが原料樹脂流路10の長手方向のいずれにおいても略一定となっていると、平面視で原料樹脂流路10を取り囲むように設けられた冷却媒体流路20の下流側と原料樹脂流路10の下流側との間の距離をいずれのポイントでも略等しくし得る。そのため、これに起因して、原料樹脂流路10の下流側内のいずれのポイントにも冷却媒体流路20の下流側を流れる冷却媒体の冷却熱を均一に伝えることができ得る。これにより、原料樹脂流路10の下流側内の溶融樹脂原料を均一に溶融固化でき得る。また、原料樹脂流路10は図5に示すようにスプルブッシュ100の下流側末端101に向かうにつれて幅寸法が漸次大きくなるように構成されているところ、当該幅寸法が大きくなるにつれて、冷却媒体流路20の表面積が大きくなるため、それに起因して冷却媒体流路20に流す冷却媒体の冷却熱を溶融樹脂原料に好適に伝えることができにくくなり得る。特に、この事はスプルブッシュ100の下流側末端101、すなわち原料樹脂流路10の下流側末端10bに向かうにつれ顕著となり得る。そこで、スプルブッシュ100の下流側領域100Yでは断面視における冷却媒体流路20のピッチがまた、スプルブッシュ100の下流側末端面101に向かうにつれて漸次小さくなっていてよい。かかる「下流側領域100Yにて原料樹脂流路10と冷却媒体流路20との離隔距離Sの略一定性」と、「スプルブッシュ100の下流側末端面101に向かうにつれての冷却媒体流路20のピッチの漸次低減」との組合せに起因して、図5に示すように冷却媒体の冷却熱を原料樹脂流路10の下流側末端10bおよび下流側末端10bの近傍に集中的に伝えることができ得る。従って、原料樹脂流路10の下流側末端10bおよび下流側末端10bの近傍内の溶融樹脂原料に冷却媒体の冷却熱をより好適に伝えることができ得る。
なお、上述のように、図1等に示すようにスプルブッシュ100の上流側領域100Xでは、原料樹脂流路10の上流側の周囲に直管形態を成す冷却媒体流路20が設けられている。一方、スプルブッシュ100の下流側領域100Yでは、冷却媒体流路20が原料樹脂流路10の下流側を取り囲むように構成されている。このような構造を備えた本発明のスプルブッシュ100の製造方法について説明する。
<1.基部の用意>
図6(a)に示すように、一端部10Aaから他端部10Abまで貫通するように延在する原料樹脂流路10Aを内部に備えた基部100Aを用意する。ここでいう「基部100A」とは、既存のスプルブッシュを実質的に指し、上述の本発明のスプルブッシュ100の上流側100Xに相当する。また、原料樹脂流路10Aは、上流側から下流側に向かうにつれ幅寸法が漸次大きくなるように構成されていてよい。
図6(a)に示すように、一端部10Aaから他端部10Abまで貫通するように延在する原料樹脂流路10Aを内部に備えた基部100Aを用意する。ここでいう「基部100A」とは、既存のスプルブッシュを実質的に指し、上述の本発明のスプルブッシュ100の上流側100Xに相当する。また、原料樹脂流路10Aは、上流側から下流側に向かうにつれ幅寸法が漸次大きくなるように構成されていてよい。
次いで、図6(b)に示すように、冷却媒体流路20Aが基部100Aの内部に形成されるように、基部100Aを切削加工に付す。具体的には、基部100Aを切削加工に付して、原料樹脂流路10Aの周囲に位置するように直管形態の冷却媒体流路20Aを内部に形成する。なお、ここでいう「直管形態の冷却媒体流路20A」とは、本発明のスプルブッシュ100の冷却媒体流路20の上流側に相当する。特に限定されるものでないが、基部100Aにおいて、冷却媒体流路20Aに流す冷却媒体の冷却熱を原料樹脂流路10A中の溶融樹脂原料に均一に供する観点から、当該冷却媒体流路20Aを、原料樹脂流路10Aの延在方向に対して略平行に延在するように位置付けてよい。又、特に限定されるものではないが、冷却媒体を流入および/または流出させるための開口部が基部100Aの上流側の側部に供されてよい。つまり、詳細には、冷却媒体流路20Aは、当該開口部から、原料樹脂流路10Aの周囲に配置される直管部分まで連続する構造を採ってよい。切削加工するための切削加工手段としては、例えばエンドミルを用いることができ得る。特に限定されるものではないが、エンドミルとしては、例えば超硬素材の二枚刃ボールエンドミル等を挙げることができ得る。以上により、原料樹脂流路10Aおよび冷却媒体流路20Aを内部に備えた基部100Aを用意する。
<2.造形部の形成>
図6(c)に示すように基部100A上に位置付けるための造形部100Bを形成する。当該造形部100Bは例えば“粉末焼結積層法”で形成することができ得る。ここでいう「造形部100B」とは、本発明のスプルブッシュ100の下流側100Yに相当する。
図6(c)に示すように基部100A上に位置付けるための造形部100Bを形成する。当該造形部100Bは例えば“粉末焼結積層法”で形成することができ得る。ここでいう「造形部100B」とは、本発明のスプルブッシュ100の下流側100Yに相当する。
造形部100Bの形成に用いられる“粉末焼結積層法”とは、光ビームを粉末材料に照射することを通じて三次元形状造形物を製造できる方法である。粉末焼結積層法では、以下の工程(i)および(ii)に基づいて粉末層形成と固化層形成とを交互に繰り返し実施して三次元形状造形物を製造する。
(i)粉末層の所定箇所に光ビームを照射し、かかる所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程。
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、同様に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程。
(i)粉末層の所定箇所に光ビームを照射し、かかる所定箇所の粉末を焼結又は溶融固化させて固化層を形成する工程。
(ii)得られた固化層の上に新たな粉末層を形成し、同様に光ビームを照射して更なる固化層を形成する工程。
このような製造技術に従えば、複雑な三次元形状造形物を短時間で製造することが可能となる。粉末材料として金属粉末を用いる場合、得られる三次元形状造形物を造形部100Bとして用いることができ得る。
粉末焼結積層法で粉末材料として金属粉末を用いて、三次元形状造形物を製造する場合を例にとる。図7に示すように、まず、スキージング・ブレード23を動かして造形プレート21上に所定厚みの粉末層22を形成する(図7(a)参照)。次いで、粉末層22の所定箇所に光ビームLを照射して粉末層22から固化層24を形成する(図7(b)参照)。引き続いて、得られた固化層の上に新たな粉末層を形成して再度光ビームを照射して新たな固化層を形成する。このようにして粉末層形成と固化層形成とを交互に繰り返し実施すると固化層24が積層することになり(図7(c)参照)、最終的には積層化した固化層24から成る三次元形状造形物を得ることができ得る。
図6(c)に示すように、造形部100Bの形成に際しては、原料樹脂流路10Bおよび当該原料樹脂流路10Bを取り囲むように配置される冷却媒体流路20Bがそれぞれ内部に形成されるように、造形部100Bを粉末焼結積層法で形成する。
なお、ここでいう「原料樹脂流路10B」とは、本発明のスプルブッシュ100の原料樹脂流路10の下流側に相当する。また、「冷却媒体流路20B」とは、本発明のスプルブッシュ100の冷却媒体流路20の下流側に相当する。造形部100Bにおいて、冷却媒体流路20Bが原料樹脂流路10Bを取り囲むように構成されていると、冷却媒体流路20Bを流れる冷却媒体の冷却熱を、平面視においていずれの方向からも原料樹脂流路10B内の溶融樹脂原料に対して供することができ得る。そのため、これに起因して、冷却媒体流路20Bを流れる冷却媒体の冷却熱を、原料樹脂流路10B内の相対的に冷却固化しにくい溶融樹脂原料に好適に伝えることができ得る。
上述の原料樹脂流路10B、および当該原料樹脂流路10Bを取り囲むように設けられる冷却媒体流路20Bを形成するために、以下の態様を採り得る。まず、固化層を形成する際に光ビームが部分的に照射されない非照射部を形成する。具体的には、粉末焼結積層法で固化層を形成する際、原料樹脂流路10Bおよび当該原料樹脂流路10Bを取り囲むように設けられる冷却媒体流路20Bとなる所定領域には光ビームを照射しないことで非照射部を形成する。非照射部を形成した後、かかる非照射部に存在し得る粉末を最終的に除去する。これにより、造形部100Bの内部に原料樹脂流路10Bおよび当該原料樹脂流路10Bを取り囲むように設けられる冷却媒体流路20Bが形成され得る。
<3.基部上への造形部の位置付け>
造形部100Bを形成した後、基部100A上に造形部100Bを位置付ける。具体的には、基部100Aの原料樹脂流路10Aと造形部100Bの原料樹脂流路10Bとが相互に連結され、および基部100Aの冷却媒体流路20Aと造形部100Bの冷却媒体流路20Bとが相互に連結されるように基部100A上に造形部100Bを位置付ける。これにより、本発明のスプルブッシュ100が得られ得る。
造形部100Bを形成した後、基部100A上に造形部100Bを位置付ける。具体的には、基部100Aの原料樹脂流路10Aと造形部100Bの原料樹脂流路10Bとが相互に連結され、および基部100Aの冷却媒体流路20Aと造形部100Bの冷却媒体流路20Bとが相互に連結されるように基部100A上に造形部100Bを位置付ける。これにより、本発明のスプルブッシュ100が得られ得る。
なお、基部100A上への造形部100Bの位置付け態様としては、例えば下記の2つの態様が挙げられる。
一例としては、造形部100Bの形成を基部100A上にて実施して、基部100A上に造形部100Bを位置付ける態様が挙げられる。造形部100Bの形成を基部100A上にて実施する場合、基部100A上に位置する粉末層の所定箇所に光ビームLを照射することで固化層(造形部100Bの構成要素)が形成される。この場合、光ビームLの照射により、基部100A上にて金属粉末が溶融固化するため、溶融固化した金属粉末から得られる固化層と基部100Aとの接続強度が向上されるという効果が奏され得る。
一例としては、基部100A上以外の場所で造形部100Bを形成し、形成した造形部100Bを基部100A上に設置する態様が挙げられる。具体的には、造形部100B(冷却媒体流路20Bが原料樹脂流路10Bを取り囲むように構成されたもの)を、基部100A上以外の場所で粉末焼結積層法に従い予め形成しておく。粉末焼結積層法で造形部100Bを形成した後、形成した造形部100Bを基部100A上に位置付ける。具体的には、基部100Aの原料樹脂流路10Aと造形部100Bの原料樹脂流路10Bとが相互に連結され、および基部100Aの冷却媒体流路20Aと造形部100Bの冷却媒体流路20Bとが相互に連結されるように基部100A上に造形部100Bを位置付ける。なお、基部100A上には、形成した造形部100Bをロウ付け等により設置固定することが好ましい。これにより、本発明のスプルブッシュ100が形成され得る。一方、基部100Aにおいては、切削加工を施して原料樹脂流路10Aの周囲に直管形態の冷却媒体流路20Aを内部に形成する必要がある。これにつき、基部100A上以外の場所で造形部100Bを形成する態様では、造形部100Bを独立して形成することから、直管形態の冷却媒体流路20Aの形成と、造形部100Bとの形成を同時併行で行うことができる。かかる同時併行の形成により、全体として本発明のスプルブッシュ100の製造時間を短縮することが可能となり得る。
<4.切削加工の実施>
図6(d)に示すように、最後に、基部100A上に造形部100Bを位置付けることで得られる本発明のスプルブッシュ100の表面、特に造形部100Bに相当する部分の表面領域を切削加工に付すことがよい。
図6(d)に示すように、最後に、基部100A上に造形部100Bを位置付けることで得られる本発明のスプルブッシュ100の表面、特に造形部100Bに相当する部分の表面領域を切削加工に付すことがよい。
粉末焼結積層法で得られる造形部100Bは、比較的粗い表面を有している。例えば、造形部100Bは数百μmRz程度の表面粗さの表面を有している。かかる表面粗さは、造形部100Bを成す固化層の表面に粉末が付着することに起因している。固化層形成の際には光ビームのエネルギーが熱に変換されることによって光ビームが照射される粉末層の所定箇所の粉末が焼結又は溶融固化する。この際、かかる所定箇所の周辺の粉末温度も上昇し得るため、当該周辺の粉末が固化層の表面に付着してしまう。このように付着粉末に起因して造形部100B(三次元形状造形物)に表面粗さがもたらされることになる。従って、基部100A上に造形部100Bを位置付けることで得られる本発明のスプルブッシュ100の表面、特に造形部100Bに相当する部分の表面を切削加工に付すことがよい。
なお、一態様では、基部上に造形部を位置付けるに先立って基部を切削加工に付してよい。
上述のように本発明のスプルブッシュは、基部と基部上に造形部を位置付けることで形成され得る。基部は既存のスプルブッシュを実質的に指すため、基部それ自体に別のパーツ(造形部)を敢えて設けなくとも、基部を射出成形用部品として用いることができ得る。そのため、基部を特に加工することなく、基部上に造形部を位置付けると、全体として最終的に得られる本発明のスプルブッシュの寸法が所望のものと比べて大きくなり得る。そこで、基部として用いる既存のスプルブッシュを切削加工に付して、切削加工前と比べてその寸法が小さくなるように調節することがよい。具体的には、基部、すなわち既存のスプルブッシュは概してフランジ部と当該フランジ部上に設けられた延在部を備えているところ、当該延在部の長手寸法が小さくなるように基部を切削加工に付すことで、基部の寸法を小さくしてよい。基部の寸法をどの程度小さくするかについては、最終的に得られる本発明のスプルブッシュのサイズを考慮の上決定することがよい。これにより、寸法が調節された基部上に造形部を位置付けると、全体として最終的に得られる本発明のスプルブッシュの寸法を所望の寸法にすることができ得る。
以上、本発明の一実施形態に係るスプルブッシュについて説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく、特許請求の範囲に規定される発明の範囲から逸脱することなく種々の変更が当業者によってなされると理解されよう。
なお、上述のような本発明の一実施形態は、次の好適な態様を包含している。
第1態様:
原料樹脂流路および該原料樹脂流路の周囲に設けられた冷却媒体流路を備えたスプルブッシュであって、
前記スプルブッシュの下流側末端面に向かうにつれて前記原料樹脂流路の幅寸法が漸次大きくなっており、
前記スプルブッシュの前記下流側末端面が伝熱面となっている、スプルブッシュ。
第2態様:
上記第1態様において、前記スプルブッシュの前記下流側末端面と前記冷却媒体流路の最下流部分との間の離隔距離が、前記原料樹脂流路と前記冷却媒体流路との間の離隔距離よりも小さい、スプルブッシュ。
第3態様:
上記第1態様又は第2態様において、前記スプルブッシュの前記下流側末端面と前記冷却媒体流路の前記最下流部分との間の前記離隔距離が0.1mm〜5mmとなっている、スプルブッシュ。
第4態様:
上記第1態様〜第3態様のいずれかにおいて、前記スプルブッシュの前記下流側末端面の形成領域が、該形成領域以外の他の領域を構成する材料とは異なる材料を含んで成る、スプルブッシュ。
第5態様:
上記第1態様〜第4態様のいずれかにおいて、前記スプルブッシュの下流側領域において、前記冷却媒体流路は、前記原料樹脂流路を取り囲むように構成されている、スプルブッシュ。
第6態様:
上記第5態様において、前記スプルブッシュの前記下流側領域において、前記原料樹脂流路と前記冷却媒体流路との間の前記離隔距離が前記原料樹脂流路の長手方向のいずれにおいても略一定となっている、スプルブッシュ。
第7態様:
上記第5態様又は第6態様において、前記スプルブッシュの前記下流側領域において、前記スプルブッシュの断面視における前記冷却媒体流路のピッチが前記スプルブッシュの前記下流側末端面に向かうにつれて漸次小さくなっている、スプルブッシュ。
第1態様:
原料樹脂流路および該原料樹脂流路の周囲に設けられた冷却媒体流路を備えたスプルブッシュであって、
前記スプルブッシュの下流側末端面に向かうにつれて前記原料樹脂流路の幅寸法が漸次大きくなっており、
前記スプルブッシュの前記下流側末端面が伝熱面となっている、スプルブッシュ。
第2態様:
上記第1態様において、前記スプルブッシュの前記下流側末端面と前記冷却媒体流路の最下流部分との間の離隔距離が、前記原料樹脂流路と前記冷却媒体流路との間の離隔距離よりも小さい、スプルブッシュ。
第3態様:
上記第1態様又は第2態様において、前記スプルブッシュの前記下流側末端面と前記冷却媒体流路の前記最下流部分との間の前記離隔距離が0.1mm〜5mmとなっている、スプルブッシュ。
第4態様:
上記第1態様〜第3態様のいずれかにおいて、前記スプルブッシュの前記下流側末端面の形成領域が、該形成領域以外の他の領域を構成する材料とは異なる材料を含んで成る、スプルブッシュ。
第5態様:
上記第1態様〜第4態様のいずれかにおいて、前記スプルブッシュの下流側領域において、前記冷却媒体流路は、前記原料樹脂流路を取り囲むように構成されている、スプルブッシュ。
第6態様:
上記第5態様において、前記スプルブッシュの前記下流側領域において、前記原料樹脂流路と前記冷却媒体流路との間の前記離隔距離が前記原料樹脂流路の長手方向のいずれにおいても略一定となっている、スプルブッシュ。
第7態様:
上記第5態様又は第6態様において、前記スプルブッシュの前記下流側領域において、前記スプルブッシュの断面視における前記冷却媒体流路のピッチが前記スプルブッシュの前記下流側末端面に向かうにつれて漸次小さくなっている、スプルブッシュ。
本発明の一実施形態に係るスプルブッシュは、射出成形用金型の一方の金型(コア側金型)と他方の金型(キャビティ側金型)とから構成される金型キャビティ内へ、射出機から射出された溶融樹脂原料を導くために用いられ得る
本出願は、日本国特許出願第2016−129261号(出願日:2016年6月29日、発明の名称:「スプルブッシュ」)に基づくパリ条約上の優先権を主張する。当該出願に開示された内容は全て、この引用により、本明細書に含まれるものとする。
100 スプルブッシュ
100Y スプルブッシュの下流側領域
101 スプルブッシュの下流側末端面
10 原料樹脂流路
20 冷却媒体流路
20a 冷却媒体流路の最下流部分
M 下流側末端面と冷却媒体流路の最下流部分との間の距離
S 原料樹脂流路と冷却媒体流路との間の離隔距離
R ランナー部
100Y スプルブッシュの下流側領域
101 スプルブッシュの下流側末端面
10 原料樹脂流路
20 冷却媒体流路
20a 冷却媒体流路の最下流部分
M 下流側末端面と冷却媒体流路の最下流部分との間の距離
S 原料樹脂流路と冷却媒体流路との間の離隔距離
R ランナー部
Claims (7)
- 原料樹脂流路および該原料樹脂流路の周囲に設けられた冷却媒体流路を備えたスプルブッシュであって、
前記スプルブッシュの下流側末端面に向かうにつれて前記原料樹脂流路の幅寸法が漸次大きくなっており、
前記スプルブッシュの前記下流側末端面が伝熱面となっている、スプルブッシュ。 - 前記スプルブッシュの前記下流側末端面と前記冷却媒体流路の最下流部分との間の離隔距離が、前記原料樹脂流路と前記冷却媒体流路との間の離隔距離よりも小さい、請求項1に記載のスプルブッシュ。
- 前記スプルブッシュの前記下流側末端面と前記冷却媒体流路の前記最下流部分との間の前記離隔距離が0.1mm〜5mmとなっている、請求項2に記載のスプルブッシュ。
- 前記スプルブッシュの前記下流側末端面の形成領域が、該形成領域以外の他の領域を構成する材料とは異なる材料を含んで成る、請求項1に記載のスプルブッシュ。
- 前記スプルブッシュの下流側領域において、前記冷却媒体流路は、前記原料樹脂流路を取り囲むように構成されている、請求項1に記載のスプルブッシュ。
- 前記スプルブッシュの前記下流側領域において、前記原料樹脂流路と前記冷却媒体流路との間の前記離隔距離が前記原料樹脂流路の長手方向のいずれにおいても略一定となっている、請求項5に記載のスプルブッシュ。
- 前記スプルブッシュの前記下流側領域において、前記スプルブッシュの断面視における前記冷却媒体流路のピッチが前記スプルブッシュの前記下流側末端面に向かうにつれて漸次小さくなっている、請求項5に記載のスプルブッシュ。
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