JPWO2017221946A1 - 電動圧縮機 - Google Patents

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秀博 安立
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幸生 風早
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Abstract

【課題】本発明は、回転軸の両端を支持する軸受の保持部を配置するためにハウジングに設けていた空間を不要にして、ハウジングの軸長を短縮することができる電動圧縮機を提供することを目的とする。【解決手段】電動圧縮機1について、圧縮機構8を駆動するモータ11を収容するモータハウジング4と、モータハウジング4の一端側に設けられ圧縮機機構8を収容する圧縮機構ハウジング3と、モータハウジング4の他端側に設けられるインバータハウジング5とを備え、モータ11は、モータハウジング4内に固定されたステータ12と、ステータ12の内径側に配置されたロータ13とを有すると共に、モータハウジング4の他端側の端部5bから一端側に向けて軸方向に沿って突出した支柱6を有し、ロータ13の内径側を支柱6の外径側にて支持し、更に、ロータ13と支柱6との間に圧縮機構8に回転動力を伝達する動力伝達部材14を配置する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば車両用空調装置等の冷凍サイクルにおいて冷媒の圧縮用に用いられる電動圧縮機に関する。
この種の車両用空調装置の冷凍サイクルを構成する電動圧縮機として、例えば特許文献1に示されるように、駆動軸とロータとを一体形成し、前記駆動軸の両端をそれぞれ軸受で支持し、更に前記軸受をハウジングにより保持する構造の電動圧縮機が公知になっている。
特開2015−83780号公報
しかしながら、上記の特許文献1に示される電動圧縮機の構成では、駆動軸の両端を軸受で支持するので、これらの軸受を保持するための軸受保持部を設ける空間を確保する必要がある。このため、電動圧縮機のハウジングは、その軸長が長くなるので、ハウジングひいては電動圧縮機が大型化し、重量の増大を生ずるという不具合を有する。
そこで、本発明は、ハウジングに設けていた回転軸の両端を支持する軸受の保持部を配置するための空間を不要にして、ハウジングの軸長を短縮することができる電動圧縮機を提供することを目的としている。
本発明に係る電動圧縮機は、ハウジングと、前記ハウジングの軸方向一端側に設けられた圧縮機構と、前記ハウジング内に収容されて前記圧縮機構を駆動するモータとを備え、前記モータは、前記ハウジングの内周面に固定されたステータと、前記ステータの内径側に配置されたロータとを有し、前記ロータの中心には軸方向に貫通する貫通孔が設けられている電動圧縮機において、前記ハウジングの軸方向他端側の内壁面には、前記軸方向一端側に向けて前記軸方向に沿って突出した支柱が設けられ、前記支柱を前記ロータの前記貫通孔に挿通することにより前記ロータを回転自在に支持したことを特徴としている(請求項1)。支柱は、ハウジングと一体形成としても、ハウジングと別体としつつリベットやボルト等の固定具でハウジングに固定する構成としても良い。
これにより、ロータの貫通孔に支柱を挿通させることでロータをロータの貫通孔内部にて支柱で支持することができるため、駆動軸の両端を軸受で支持する場合に比べて、駆動軸の両端に設けていた軸受保持部を配置するための空間が不要となり、ハウジングの軸長を短縮することができ、ハウジングの小型化、軽量化を図ることができると共に、ハウジングに対する設計の自由度も向上する。
前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、このモータハウジングの軸方向他端側の開口部を閉塞する他端側ハウジングとを少なくとも有し、前記内壁面は、前記他端側ハウジングにより形成されていることを特徴としている(請求項2)。
このように、モータを収容するモータハウジングと他端側内壁面を構成する他端側ハウジングとを別体に構成しモータハウジングの他端側を開口としたので、モータハウジングの他端側の開口部をステータの組み付けや配線接続に用いることができ、ハウジングのレイアウト設計自由度が増す。
ここで、本発明における電動圧縮機は、前記ロータにて発生する回転動力を前記圧縮機構に伝達する動力伝達部材が、前記ロータの前記貫通孔の内周面に前記ロータと一体に配置されていることを特徴としている(請求項3)。
このような構成の動力伝達部材とすることで、ロータをロータの貫通穴内部にて支柱で支持する構成を変更することなく、ロータの軸長全体に渡ってロータで発生する回転動力を圧縮機構に伝達することができる。
前記圧縮機構は、前記ハウジングの内面に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと噛み合わせた状態で旋回運動を行う揺動スクロールとを有し、前記動力伝達部材は、前記ロータの貫通孔内周面に配置される円筒部と、前記揺動スクロールを軸支して前記揺動スクロールの旋回運動を可能にする偏心軸と、前記円筒部と前記偏心軸とを連結するプレート部とから形成されていることを特徴としている(請求項4)。偏心軸は、プレート部と一体部材であっても、プレート部とは別体部材として、圧入や、ボルト等の固定具によりプレート部に固定されるようにしても良い。
このような構成の動力伝達部材とすることで、ロータをロータの貫通穴内部にて支柱で支持する構成を変更することなく、ロータの回転動力を確実に圧縮機構の揺動スクロールに伝達することができる。
前記圧縮機構は、前記ハウジングの内面に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと噛み合わせた状態で旋回運動を行う揺動スクロールとを有し、前記動力伝達部材は、円筒部材とプレート部材の2部品で構成され、前記各部材には前記ロータの軸方向を固定するためのエンドプレートが一体に形成され、前記プレート部材は、前記圧縮機構に動力を伝達可能にする偏心軸を前記エンドプレートに備えていることを特徴としている(請求項5)。ロータの軸方向の保持は、円筒部材とプレート部材にそれぞれ形成されているエンドプレートによりマグネットを収容するロータコアを軸方向に挟みこみ、リベット等の固定部材で固定することで行う。
ここでも、偏心軸は、プレート部材と一体部材であっても、プレート部材とは別体部材として、圧入や、ボルト等の固定具によりプレート部材に固定されるようにしても良い。
これにより、別部材である円筒部材とプレート部材との双方に対しエンドプレートがそれぞれ一体になっているので、少ない部品点数でロータの軸方向を保持しつつ、ロータの回転動力を確実に圧縮機構に伝達することができる。
前記支柱の外周面には、前記動力伝達部材の円筒部内周を支持するための軸受を配置したことを特徴としている(請求項6)。軸受は、単数であっても、複数であっても良い。更に複数の軸受を用いる場合には、一方の軸受と他方の軸受とが同じ種類のものであっても、異なる種類のものであっても良い。
このように支柱の外周面に軸受を配置することにより、ロータをロータの貫通穴にて支柱で保持する構造を変更することなく、支柱と動力伝達機構間の摺動抵抗を抑制することができる。
以上に述べたように、本発明によれば、ロータの貫通孔に支柱を挿通させることによりロータをロータの貫通穴内部にて支柱で支持することができるため、駆動軸の両端を軸受で支持する場合に比べて、駆動軸の両端に設けていた軸受保持部を配置するための空間を不要とするので、ハウジングの軸長を短縮することができ、ハウジングの小型化、軽量化を図ることができる。また、モータを収容するモータハウジングと他端側内壁面を構成する他端側ハウジングとを別体に形成することでモータハウジングの他端側の開口部をステータの組み付けや配線接続に用いることができ、ハウジングに対する設計の自由度も向上させることが可能となる。
本発明においては特に、動力伝達部材の構造を採用することで、ロータ貫通穴の内径部にて支柱でロータを支持する構成を変えることなく、ロータの回転動力を確実に圧縮機構に伝達することができる。
また、動力伝達部材を円筒部材とプレート部材の2部品にし、双方に対しエンドプレートを形成することで、動力伝達機構の機能を損なうことなく部品点数を削減することもできる。
図1は、本発明の第1の実施形態の構成を説明した断面図である。 図2は、第1の実施形態の動力伝達部材の構成を説明した斜視図である。 図3は、第1の実施形態の組み付け例を示した断面図である。 図4は、第2の実施形態の構成を説明した断面図である。 図5は、第2の実施形態の動力伝達部材を構成する円筒部材についてフランジを有する側とは反対側から見た構成を説明する斜視図である。 図6は、第2の実施形態の動力伝達部材を構成する円筒部材についてフランジを有する側から見た構成を説明する斜視図である。 図7は、第2の実施形態の動力伝達部材を構成するプレート部材について偏心軸を有する側とは反対側から見た構成を説明する斜視図である。 図8は、第2の実施形態の動力伝達部材を構成するプレート部材について偏心軸を有する側から見た構成を説明する斜視図である。
以下、本発明における電動圧縮機の第1の実施形態及び第2の実施形態について添付図面を参照しながらそれぞれ説明する。
第1の実施形態
図1から図3は、本発明の第1の実施形態として示されるもので、冷媒を作動流体とする例えば車両用空調装置の冷凍サイクル等に用いられ、アルミ合金で構成されたハウジング2内に、図中右側において圧縮機構8を配設し、図中左側において圧縮機構8を駆動するモータ11を配設している。なお、図1において、図中左側を圧縮機1の前方、図中右側を圧縮機1の後方としている。
ハウジング2は、圧縮機構8を収容する圧縮機構ハウジング3と、圧縮機構8を駆動するモータ11を収容するモータハウジング4と、モータ11を駆動制御する図示しないインバータ装置を収容するインバータハウジング5とを有している。このように、モータハウジング4とインバータハウジング5を別体とした場合には、インバータハウジング5が他端側ハウジングに該当する。そして、ハウジング2は、これらの圧縮機構ハウジング3、モータハウジング4、インバータハウジング5を図示しない位置決めピンにより軸心が合う様位置決めすると共に図示しない締結ボルトで軸方向に締結することで構成されている。もっとも、下記する支柱6が設けられる内壁面を有するものであれば、図示しないが、モータハウジング4とインバータハウジング5は一体にしたものであっても良い。
圧縮機構ハウジング3は、後述する圧縮機構8の固定スクロール9をその内面において固定し、モータハウジング4と対峙する側が開放された有底の筒状形状に形成されている。モータハウジング4は、モータ11が収容されるモータ収容部4aと、圧縮機構ハウジング3と対峙する側に設けられ、後述する圧縮機構8の揺動スクロール10の軸方向荷重を支持する端部4bとが一体に形成されている。また、インバータハウジング5は、図示しないインバータ装置を収容するインバータ収容壁5aとモータハウジング4と対峙する側に設けられた端部5bとが一体に形成されている。
このモータハウジング4とインバータハウジング5とに形成された端部4b,5bにより、ハウジング2の内部が、後方から、圧縮機構8を収納する圧縮機構収容部3aと、モータ11を収納するモータ収容部4aと、インバータ装置を収容するインバータ収容部5cとに分けられている。
圧縮機構8は、固定スクロール9とこれに対向配置された揺動スクロール10とを有するスクロールタイプのものである。
固定スクロール9は、ハウジング2(圧縮機構ハウジング3)に対して、軸方向の動きが許容されつつ、位置決めピン(図示せず)により径方向への動きが規制されており、円板状の基板9aと、この基板9aの外縁に沿って全周にわたって設けられると共に前方に向かって立設された円筒状の外周壁9cと、その外周壁9cの内側において前記基板9aから前方に向かって延設された渦巻状の渦巻壁9bとにより構成されている。
揺動スクロール10は、円板状の基板10aと、この基板10aから後方に向かって立設された渦巻状の渦巻壁10bとにより構成され、基板10aの背面(渦巻壁10bとは反対側の面)の中央に設けられた嵌合凹部10cにて、玉軸受16を介して後述するカウンターウェイト15が組みつけられた動力伝達部材14に接続されている。これにより、揺動スクロール10は、下記する動力伝達部材14の軸心を中心として旋回運動が可能になっている。
固定スクロール9と揺動スクロール10とは、それぞれの渦巻壁9b、10bを互いに噛み合わせ、固定スクロール9の基板9a及び渦巻壁9bと、揺動スクロール10の基板10a及び渦巻壁10bとで囲まれた空間によって圧縮室8aが形成されている。
固定スクロール9とモータハウジング4の端部4bとは、図示しない位置決めピンにより、径方向の位置が規定されている。
そして、モータハウジングの外周側には、図示しない吸入口が設けられており、ここに流入した冷媒ガスは、図示しない吸入通路を介して、固定スクロール9の外周壁9cと揺動スクロール10の渦巻壁10bの間の吸入室8bに吸入される。吸入室8bに吸入された冷媒ガスは、圧縮室8aで圧縮され、固定スクロール9の基盤9aに形成された吐出孔9dから圧縮機構ハウジング3の吐出室3bに吐出され、吐出口3cを介して外部へ圧送される。
モータハウジング4の端部4bよりも前方の部分に形成されたモータ収容部4aには、モータ11を構成するステータ12とロータ13とが収容されている。ステータ12は、円筒状をなすステータコアとこれに巻回されたコイルとで構成され、ハウジング2(モータハウジング4)の内周面に圧入により固定されている。そして、ステータ12の内側には、円筒状をなす薄板の電磁鋼板が軸方向に積層されたロータコア13aと該内部にマグネット13bを備えたロータ13がハウジング2から軸方向に延びる支柱6の外周側で支持される形で配置され、このロータ13が、ステータ12によって生成される回転磁力により下記する動力伝達部材14と共に回転する。ロータ13の軸方向の両端には積層されたロータコア13aの軸方向保持とロータコア13a内部にマグネット13bを保持するためのエンドプレート13c、13dが配置されており、これらのエンドプレート13c、13dに適宜バランスウェイト13e、13fが設けられている。バランスウェイト13e、13fは、圧縮機構8の動アンバランスを抑制するためのものである。これらロータコア13a、エンドプレート13c、13d、バランスウェイト13e、13fは軸方向の固定のため、リベット等の固定具にて固定されている。
インバータハウジング5は、当該インバータハウジング5の開口側を蓋体7で閉塞し、蓋体7を図示しないリベットやボルト等の固定具によって固定することで、内部に図示しないインバータ装置を収容するインバータ収容部5cが形成されている。インバータ装置は、ステータ12と電気的に接続し、モータ11に対してこのインバータ装置から給電するようになっている。
以上の構成において、ロータ13が動力伝達部材14と一体となって回転すると、圧縮機構8において、揺動スクロール10は偏心軸14dを介して駆動されることで旋回運動する。これにより、図示しない吸入口からモータ収容部4a内に吸引された冷媒は、図示しない冷媒通路を通り、吸入室8bに導かれる。
圧縮機構8の圧縮室8aは、揺動スクロール10の旋回運動に伴い、両スクロール9、10の渦巻壁9b、10bの外周側から中心側へ向かって容積が徐々に小さくなるので、吸入室8bから吸入された冷媒ガスは圧縮室8aで圧縮され、この圧縮された冷媒ガスは、固定スクロール9の基板9aに形成された吐出孔9dを介して吐出室3bに吐出し、吐出口3cを介して外部へ送出される。
ところで、前述してきたロータ13と一体に構成した動力伝達部材14は、第1の実施形態においては、インバータハウジング5の端部5bから圧縮機構8側に向けて軸方向に沿って延びる支柱6に外装される玉軸受17及びすべり軸受18で支持されている。
支柱6は円柱状であり、径寸法が大きく端部5b側に位置する基部6aと、基部6aに対し圧縮機構8側に連接され、すべり軸受18が装着される軸受装着部6bと、軸受装着部6bに対し圧縮機構8側に連接され、玉軸受17が装着される軸受装着部6cとを有して構成されている。このように、基部6aを太くすることで、支柱6の強度が向上し、圧縮機構8の駆動で発生する曲げモーメントによる支柱6の変形や破損を防止できる。
軸受装着部6bは、円柱状であり、基部6aよりも細径になっていると共に、すべり軸受18の端部5b側端面が基部6aとの境界の段差により生じた立面に当接可能になっており、これによってすべり軸受18の軸方向の位置決めをしている。軸受装着部6cは、圧縮機構8側に軸受装着部6bよりも細径の円柱部を有するとともに、円柱部の端部5b側には円柱部に装着された玉軸受17が当接する立面が形成されており、これによって玉軸受17の軸方向の位置決めをしている。尚、すべり軸受18と玉軸受17の内径は等しくても、異なっていても良い。
支柱6は、図1では端部5bと一体成形されている。もっとも、図示しないが、支柱6は、端部5bと別部材として、リベットやボルト等の固定具により連結された構成とすることも可能である。
動力伝達部材14は、図1及び図2に示されるように、ロータ13の貫通孔13gの内径面に設置される円筒部14aと、円筒部14aの圧縮機構8側に配置されて円筒部14aの開口部を閉塞するプレート部14bと、プレート部14bから圧縮機構8側に隆起する円柱状の隆起部14cと、圧縮機構を旋回運動させるための偏心軸14dとが一体に構成されている。尚、偏心軸14dは、動力伝達部材14を形成する一体部材としても、別体の部材としてフランジ部に圧入などで固定しても良い。
円筒部14aは、円筒状のもので、外径側面にロータ13が固定されていると共にその内径は、軸受とがたつきがない様、玉軸受17の外径及びすべり軸受18の外径と略同じ寸法となっている。尚、玉軸受17とすべり軸受18の外径は等しくても異なっていても良い。
プレート部14bは、この第1の実施形態では、円筒部14aと略同じ外径の円盤状部位からなっており、円筒部14aと隆起部14cとを連結している。
隆起部14cは、円盤状のプレート部14cから円柱状に圧縮機構8側に向けて隆起しており、偏心軸14dに組みつけられる後述するカウンターウェイト15が円周方向に回転しない様位置規制を行う。
ここで、プレート部14b及び隆起部14cは、円筒部14aと同一の軸中心になっており、これらのプレート部14b及び状隆起部14cの中心には通孔14eが形成され、潤滑のために潤滑油混合冷媒を軸受17、18に供給できるようになっている。
偏心軸14dは、隆起部14cの中心からずれた位置に形成され、圧縮機構8における揺動スクロール10の旋回運動を可能にしている。
このような動力伝達部材14の構成とすることにより、ロータ13の貫通穴13g内部において軸受17、18を介して、支柱6で動力伝達部材14と一体となったロータ13を支持できると共に、ロータ13に発生する回転動力を、動力伝達部材14を介して圧縮機構8に伝達することができる。すなわち、ロータ13が回転することにより動力伝達部材14の円筒部14aがロータ13と一緒に回転して、この円筒部14aと一体成形されたプレート部14b、隆起部14c及び偏心軸14dも一緒に回転するので、偏心軸14dから揺動スクロール10に回転動力が伝達されて、揺動スクロール10が旋回運動を行う。
ここで、図1に示される電動圧縮機1における組み付けの一例について図3を用いて説明する。まず、インバータハウジング5に設けられた支柱6に軸受17、18を挿入し圧入等により固定する。次に、バランスウェイト13e、13f、エンドプレート13c、13d及び内部にマグネット13bを備えたロータコア13aを一体に構成したロータ13に動力伝達部材14を組み付け、前述の軸受17、18が固定された支柱6に挿入する。次に、ステータ12を内面に固定したモータハウジング4と前述のロータ13を組み付けたインバータハウジング5を軸方向にボルト等の固定具で締結する。その後、カウンターウェイト15、軸受16、圧縮機構8を順次組み付け、最後に圧縮機構ハウジング3とモータハウジング4とを軸方向にボルト等の固定具で締結する。この方式は、従来の回転軸の両端を支持する軸受構造に対して追加工程を必要とせず組み付けが可能である。
第2の実施形態
図4から図8は、本発明における第2の実施形態として示されるもので、図1において第1の実施形態として示される電動圧縮機1の動力伝達部材14の変形例である。ここでは、動力伝達部材14以外の構成については、図1の第1の実施形態と同様であるので、動力伝達部材14以外の構成の説明は図1の第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略し、動力伝達部材14についてのみ以下に説明する。
動力伝達部材14は、図5及び図6に示される円筒部材19と、図7及び図8に示されるプレート部材20とで構成されている。円筒部材19とプレート部材20は別部材であり、ロータコア13aの軸方向両端にて、軸方向を例えばリベットやボルト等の固定具で固定することで、動力伝達部材14がロータ13と一体に構成される。
円筒部材19は、図5及び図6に示されるように、一方の開口端から他方の開口端までの範囲にわたって円筒状の円筒部19aと、端部5b側に形成されるロータコア13aと略同じ外径のフランジ部19bと、フランジ部19bと一体に形成されたバランスウェイト19cとから構成されている。
円筒部19aの外径側面には、マグネット13bを収容した軸方向に積層されたロータコア13aが配置される。円筒部19aの内径は、玉軸受17及びすべり軸受18の外径とほぼ同じ寸法となっている。尚、玉軸受17とすべり軸受18の外径は同じであっても異なっていても良い。
フランジ部19bは、図1で示されるロータ13のエンドプレート13dの機能を有するものであり、フランジ部19bの端部5bと対峙する面にはバランスウェイト19cが一体に形成されている。尚、バランスウェイト19cは、フランジ部19bと別体部品とし、リベット等の固定具で固定しても良い。
プレート部材20は、図7及び図8に示されるように、ロータコア13aと略同じ外径のフランジ部20aと、圧縮機構8側に突出する円盤状のプレート部20bと、このプレート部20bから円柱状に隆起した隆起部20cと、隆起部20cの中心からずれた位置に形成される偏心軸20dと、フランジ部20aに設けられたバランスウェイト20eから構成されている。偏心軸20dは、隆起部20cと一体であっても、別体として圧入やボルト等の固定具により固定しても良い。
フランジ部20aは、図1で示されるロータ13のエンドプレート13cの機能を有するものであり、モータハウジング4の端部4bと対峙するフランジ部20aの面にはバランスウェイト20eが一体に形成されている。尚、バランスウェイト20eは、フランジ部20aと別体とし、リベット等の固定具による固定としても良い。
フランジ部20aには、プレート部29bがモータハウジングの圧縮機構8側に突出している。これは、ロータ13と圧縮機構8の間に働くトルクや曲げモーメントに対し、フランジ部20aと隆起部20c間の強度を補強する役割を持っている。
隆起部20c及び偏心軸20d部には、図1と同様、圧縮機構8の動アンバランスを打ち消すためのカウンターウェイト15が取り付けられ、隆起部は、カウンターウェイト15が円周方向に回転しない様位置規制を行う。
プレート部20b及び隆起部20cの中心は、第1の実施形態と同様、円筒部材19と同一の軸心になっていると共に、これらのプレート部20b及び隆起部20cには中心を通る通孔20fが形成されて潤滑油混合冷媒を潤滑のために軸受17、18に供給できるようになっている。
このような動力伝達部材14の構成としても、ロータ13の貫通孔13gが形成する空間内でロータ13を軸受17、18を介して支柱6にて支持する構成を変えることなく圧縮機構に回転動力を伝達することができる。つまり、ロータ13が回転することにより動力伝達部材14も一緒に回転するので、揺動スクロール10に回転動力が伝達されて、揺動スクロール10が旋回運動を行う。
第1の実施形態及び第2の実施形態において、支柱6は、円柱形状(中実軸)として説明したが、図示しないが、インバータハウジング5から圧縮機構8側に向けて延びる中空軸としても良い。
また、玉軸受17及びすべり軸受18という異なる種類で且つ複数の軸受を用いる態様について説明したが必ずしもこれに限定しない。軸受は、同じ種類の軸受(例えば玉軸受2つ)であっても、単体の軸受(すべり軸受1つ)であっても良く、軸受を介さずに、ロータ13をメッキやコーティングが施された支柱6にて直接支持しても良いことは本発明の適用範囲から外れない。
更に、圧縮機構はスクロール式について説明したが、本発明において圧縮機構はこれに限定されるものではなく、往復式やロータリー式にも適用可能である。
1 電動圧縮機
2 ハウジング
4 モータハウジング
5 インバータハウジング(他端側ハウジング)
5b 端部(内壁面)
6 支柱
8 圧縮機構
9 固定スクロール
10 揺動スクロール
11 モータ
12 ステータ
13 ロータ
13g 貫通孔
14 動力伝達部材
14a 円筒部
14b プレート部
14d、20d 偏心軸
17 玉軸受
18 すべり軸受
19 円筒部材
20 プレート部材
19b、20a フランジ部(エンドプレート)
19c、20e バランスウェイト

Claims (6)

  1. ハウジングと、前記ハウジングの軸方向一端側に設けられた圧縮機構と、前記ハウジング内に収容されて前記圧縮機構を駆動するモータとを備え、
    前記モータは、前記ハウジングの内周面に固定されたステータと、前記ステータの内径側に配置されたロータとを有し、
    前記ロータの中心には軸方向に貫通する貫通孔が設けられている電動圧縮機において、
    前記ハウジングの軸方向他端側の内壁面には、前記軸方向一端側に向けて前記軸方向に沿って突出した支柱が設けられ、
    前記支柱を前記ロータの前記貫通孔に挿通することにより前記ロータを回転自在に支持したことを特徴とする電動圧縮機。
  2. 前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、このモータハウジングの軸方向他端側の開口部を閉塞する他端側ハウジングとを少なくとも有し、
    前記内壁面は、前記他端側ハウジングにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
  3. 前記ロータにて発生する回転動力を前記圧縮機構に伝達する動力伝達部材が、前記ロータの前記貫通孔の内周面に前記ロータと一体に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動圧縮機。
  4. 前記圧縮機構は、前記ハウジングの内面に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと噛み合わせた状態で旋回運動を行う揺動スクロールとを有し、
    前記動力伝達部材は、前記ロータの貫通孔内周面に配置される円筒部と、前記揺動スクロールを軸支して前記揺動スクロールの旋回運動を可能にする偏心軸と、前記円筒部と前記偏心軸とを連結するプレート部とから形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
  5. 前記圧縮機構は、前記ハウジングの内面に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと噛み合わせた状態で旋回運動を行う揺動スクロールとを有し、
    前記動力伝達部材は、円筒部材とプレート部材の2部品で構成され、前記各部材には前記ロータの軸方向を固定するためのエンドプレートが一体に形成され、前記プレート部材は、前記圧縮機構に動力を伝達可能にする偏心軸を前記エンドプレートに備えていることを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
  6. 前記支柱の外周面に、前記動力伝達部材の円筒部内周を支持するための軸受を配置したことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の電動圧縮機。
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