JPWO2017221744A1 - 肺がん検査用の情報を提供する方法、肺がんの検査方法、肺がんの検査装置、肺がんの検査装置のプログラム及び記録媒体、並びに肺がん検査用のmiRNA測定用キット - Google Patents

肺がん検査用の情報を提供する方法、肺がんの検査方法、肺がんの検査装置、肺がんの検査装置のプログラム及び記録媒体、並びに肺がん検査用のmiRNA測定用キット Download PDF

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Abstract

早期ステージであっても被検者が肺がんに罹患しているのか検査ができる肺がん検査用の情報を提供することを課題とする。miRNAの存在量を測定することによる肺がん検査用の情報を提供する方法であって、被検者の血液中の、少なくともhsa−miR−451a(Accession:MIMAT0001631)、hsa−miR−1290(Accession:MIMAT0005880)及びhsa−miR−636(Accession:MIMAT0003306)の存在量を測定する工程、を含む肺がん検査用の情報を提供する方法により、課題を解決できる。

Description

本発明は、肺がん検査用の情報を提供する方法、肺がんの検査方法、肺がんの検査装置、肺がんの検査装置のプログラム及び記録媒体、並びに肺がん検査用のmiRNA測定用キットに関する。
日本を含む殆どの先進諸国において、がんによる部位別死亡者数の中で、肺がんによる死亡は第1位を占めている。肺がんに対しては、様々な治療法の改良及び早期発見用の検査方法の改良が行われているが、日本においては毎年約70,000人の肺がん患者(以下、単に「患者」と記載することがある。)が死亡している。
肺がんの検査についてはいくつかの方法があり、目的に応じて検査内容が異なる。例えば、健康診断などで行われるX線検査(レントゲン)、喀痰細胞診、血液検査(腫瘍マーカー)が知られている。また、健康診断などで異常が認められた場合に、がんの疑いがあるかどうか、又は他の病気ではないかどうかについてより詳しく調べるための検査として、CT検査が知られている。そして、がんの疑いがある場合に病変を直接観察して確かめるための検査として、気管支鏡検査、胸腔鏡検査、経皮肺生検等が知られている。
上記検査方法の中で、血液検査(腫瘍マーカー)とは、がんが作り出す特殊な物質のうち、主として血液中で測定できるもので、がんの性質や広がりの目安を示すものとして使われている。具体的には、最も一般的なマーカーで、腺がんで高値を示すCEA;扁平上皮がんの有無を推測する腫瘍マーカーであるSCC;小細胞肺がんの検査で用いられるマーカーであるNSE;扁平上皮がんで高値を示すマーカーであるCYFRA21−1;小細胞肺がんのマーカーであって、再発・進行時に良く反応する有用なマーカーであるProGRP;腺がんの進行判定に有効なマーカーであるSLX等が知られている。
また、上記に挙げたマーカー以外に、近年、miRNAとがんとの関係が注目され、miRNAの発現パターンをがんの検査に利用する研究が進められている。例えば、小細胞肺がん患者における予後を判定するための検査方法として、miR−153、miR−196a、miR−203、miR−216a又はそれらの前駆体からなる群より選択される少なくとも一種の存在量を測定する、小細胞肺がん患者における予後を判定するための検査方法が知られている(特許文献1参照)。
また、肺腺がんや肺扁平上皮がんでは、hsa−miR−126、has−miR−205及びhas−miR−21の存在量が増加又は減少しており、hsa−miR−155の発現が高い又はhsa−let−7a−2の発現が低い肺腺がん患者は、hsa−miR−155の発現が低い又はhsa−let−7a−2の発現が高い患者よりも予後が悪いことが知られている(特許文献2参照)。
国際公開第2011/125245号 国際公開第2007/081720号
しかしながら、特許文献1及び2に記載されている発明は、肺がんの予後を予測するためのmiRNAマーカーに関する発明である。したがって、特許文献1及び2に記載されている方法は、既に肺がんに罹患した患者が対象となる。健康診断等の際に採取した血液を用いて、早期ステージであっても被検者が肺がんに罹患しているのか検査ができるmiRNAマーカーを用いた検査方法の開発が望まれているが、現在のところ、肺がん検査用のmiRNAマーカーは知られていない。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、被検者の血液中の、少なくともhsa−miR−451a(Accession:MIMAT0001631)、hsa−miR−1290(Accession:MIMAT0005880)及びhsa−miR−636(Accession:MIMAT0003306)の存在量を測定することで、肺がんの検査をするための情報を提供できることを新たに見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の目的は、肺がん検査用の情報を提供する方法、肺がんの検査方法、肺がんの検査装置、肺がんの検査装置のプログラム及び記録媒体、並びに肺がん検査用のmiRNA測定用キットを提供することである。
本発明は、以下に示す、肺がん検査用の情報を提供する方法、肺がんの検査方法、肺がんの検査装置、肺がんの検査装置のプログラム及び記録媒体、並びに肺がん検査用のmiRNA測定用キットに関する。
(1)miRNAの存在量を測定することによる肺がん検査用の情報を提供する方法であって、
被検者の血液中の、少なくともhsa−miR−451a(Accession:MIMAT0001631)、hsa−miR−1290(Accession:MIMAT0005880)及びhsa−miR−636(Accession:MIMAT0003306)の存在量を測定する工程、
を含む、肺がん検査用の情報を提供する方法。
(2)前記存在量を測定する工程が、請求項1に記載のmiRNAに加え、hsa−miR−30c−5p(Accession:MIMAT0000244)、hsa−miR−19b−3p(Accession:MIMAT0000074)、hsa−miR−22−5p(Accession:MIMAT0004495)、hsa−miR−486−5p(Accession:MIMAT0002177)、hsa−miR−20b−5p(Accession:MIMAT0001413)、hsa−miR−93−5p(Accession:MIMAT0000093)、hsa−miR−34b−3p(Accession:MIMAT0004676)、hsa−miR−185−5p(Accession:MIMAT0000455)、hsa−miR−126−5p(Accession:MIMAT0000444)、hsa−miR−93−3p(Accession:MIMAT0004509)、hsa−miR−1274a(Accession:MI0006410)、hsa−miR−142−5p(Accession:MIMAT0000433)、hsa−miR−628−5p(Accession:MIMAT0004809)、hsa−miR−486−3p(Accession:MIMAT0004762)、hsa−miR−425−5p(Accession:MIMAT0003393)、hsa−miR−645(Accession:MIMAT0003315)及びhsa−miR−24−3p(Accession:MIMAT0000080)から選択される少なくとも1種以上のmiRNAの存在量を測定する、
上記(1)に記載の方法。
(3)前記存在量を測定する工程が、請求項1及び請求項2に記載の全てのmiRNAの存在量を測定する、
上記(2)に記載の方法。
(4)上記(1)〜(3)の何れか一に記載のmiRNAの存在量に基づいて、被検者の肺がんの検査を行う検査工程、
を含む、肺がんの検査方法。
(5)前記被検者の肺がんの検査を行う検査工程が、
肺がん患者の血液中で発現している上記(1)〜(3)の何れか一に記載のmiRNAの存在量に基づき予め構築した検査モデルに、上記(1)〜(3)の何れか一に記載のmiRNAの存在量を当てはめる工程、
前記検査モデルに当てはめたmiRNAの存在量からスコアを算出する工程、
を含む上記(4)に記載の検査方法。
(6)肺がん患者の血液中で発現している上記(1)〜(3)の何れか一に記載のmiRNAの存在量に基づき予め構築した検査モデルを少なくとも格納した記憶手段、
被検者の血液に含まれる、上記(1)〜(3)の何れか一に記載のmiRNAの存在量を、前記記憶手段に記憶された検査モデルに当てはめスコアを算出することで被検者の肺がんの検査を行う検査手段、
を含む肺がんの検査装置。
(7)コンピュータを、上記(6)に記載の肺がんの検査装置として機能させるためのプログラム。
(8)上記(7)に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(9)被検者の血液中で発現している少なくともhsa−miR−451a(Accession:MIMAT0001631)、hsa−miR−1290(Accession:MIMAT0005880)及びhsa−miR−636(Accession:MIMAT0003306)の存在量を測定するプローブを含む、
肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
(10)hsa−miR−30c−5p(Accession:MIMAT0000244)、hsa−miR−19b−3p(Accession:MIMAT0000074)、hsa−miR−22−5p(Accession:MIMAT0004495)、hsa−miR−486−5p(Accession:MIMAT0002177)、hsa−miR−20b−5p(Accession:MIMAT0001413)、hsa−miR−93−5p(Accession:MIMAT0000093)、hsa−miR−34b−3p(Accession:MIMAT0004676)、hsa−miR−185−5p(Accession:MIMAT0000455)、hsa−miR−126−5p(Accession:MIMAT0000444)、hsa−miR−93−3p(Accession:MIMAT0004509)、hsa−miR−1274a(Accession:MI0006410)、hsa−miR−142−5p(Accession:MIMAT0000433)、hsa−miR−628−5p(Accession:MIMAT0004809)、hsa−miR−486−3p(Accession:MIMAT0004762)、hsa−miR−425−5p(Accession:MIMAT0003393)、hsa−miR−645(Accession:MIMAT0003315)及びhsa−miR−24−3p(Accession:MIMAT0000080)から選択される少なくとも1種以上のmiRNAの存在量を測定するプローブを更に含む、
上記(9)に記載の肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
(11)上記(9)及び(10)に記載の全てのmiRNAの存在量を測定するプローブを含む、
上記(10)に記載の肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
(12)hsa−miR−223−3p(Accession:MIMAT0000280)、hsa−miR−342−3p(Accession:MIMAT0000753)、hsa−miR−21−5p(Accession:MIMAT0000076)、hsa−miR−320a(Accession:MIMAT0000510)、hsa−miR−106b−5p(Accession:MIMAT0000680)及びhsa−miR−126−3p(Accession:MIMAT0000445)から選択される少なくとも1種以上のmiRNAの存在量を測定するプローブを更に含む、
上記(9)〜(11)の何れか一に記載の肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
なお、上記のmiRNAのAccessionは、全てmiRBase(http://www.mirbase.org)の番号である。以下、Accessionは省略することがある。
本発明は、被検者の血液中の、少なくともhsa−miR−451a、hsa−miR−1290及びhsa−miR−636の存在量を測定することで、肺がんの検査用の情報を提供できる。したがって、健康診断等の際に採取した血液に基づき、肺がんの検査をすることができる。
図1は、検査モデルの作成手順、及び作成した検査モデルの検証手順の概略を示す図である。 図2は、肺がんの検査装置の概略を示す図である。 図3は、本発明の検査装置を用いて、被検者を検査するための工程を示す図である。 図4Aは、内部標準の候補の探索及び決定手順を示す図である。 図4Bは、内部標準の各候補miRNAの安定値(stability value)を示すグラフである。 図4C(a)は、肺腺がん患者(AD)及び健常者(HS)のhsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p、hsa−miR−21−5pのRaw Ct値を示しグラフで、(b)は、hsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p及びhsa−miR−21−5pのRaw Ct値の平均を示すグラフである。 図5Aは、肺がん検査用のmiRNAの探索・決定の手順を示す。 図5Bは、miRNAを1個〜178個まで選択した時のError rateを示すグラフである。 図5C(a)は、作成した検査モデルを用いて教師群の検査を行った結果を示すグラフ、図5C(b)は、AD患者vs健常者(HS)のROC曲線を示すグラフである。 図6Aは、作成した検査モデルを用いて検証群を検査した結果を示すグラフである。 図6B(a)は、検証群のAD患者vs健常者(HS)のROC解析を示すグラフで、図6B(b)は、検証群のAD患者vs非AD患者(HS+BPD)のROC解析を示すグラフである。 図6Cは、表1に示す検証群のAD患者を作成した検査モデルに当てはめて検査した結果を示すグラフである。 図6Dは、AD患者以外のがん患者を作成した検査モデルに当てはめて検査した結果を示すグラフである。
以下に、本発明の肺がん検査用の情報を提供する方法(以下、単に「方法」と記載することがある。)、肺がんの検査方法(以下、単に「検査方法」と記載することがある。)、肺がんの検査装置(以下、単に「検査装置」と記載することがある。)、肺がんの検査装置のプログラム(以下、単に「プログラム」と記載することがある。)及び記録媒体、並びに肺がん検査用のmiRNA測定用キット(以下、単に「キット」と記載することがある。)について詳しく説明する。
先ず、本発明における「肺がん」の種類は、腺がん、扁平上皮がん、腺扁平上皮がん、大細胞がん等の非小細胞肺がん、小細胞がん等の小細胞肺がん、が挙げられる。本発明の方法に用いられるサンプルは、血液である。
図1は、検査モデルの作成手順、及び作成した検査モデルの検証手順の概略を示す図である。先ず、各種がん患者及び健常者(HS)の血液サンプルを集める。左側の“Classifier construction”に示すように、教師群(trainig cohort)に分類された肺腺がん(AD)患者及び健常者(HS)の採取血液から血清(サンプル)を分離し、TaqMan Human MicroRNA Arrays(cards A and B;768種のmiRNAの検出が可能)を用いて、サンプル中で発現している各種miRNAの存在量を測定する。次に、各サンプル間のmiRNAの存在量を標準化するための内部標準(ノーマライザー)となるmiRNAを探索・決定し、決定したノーマライザーで各サンプルのmiRNAの存在量を補正することで、各サンプル間の存在量の誤差を補正する。そして、肺がん検査用のmiRNAの候補を選択し、その中から、肺がん患者を検査するのに好ましいmiRNAを特定する。
次いで、右側の“Classifier validation”において、“Classifier construction”で肺がん検査用として特定したmiRNAの存在量を測定するキットを作製する。次に、検証群(test cohort)に分類された各種がん患者《肺腺がん(lung adenocarcinoma:AD)110人;肺扁平上皮がん(squamous cell lung carcinoma:SQ)27人;肺大細胞がん(large cell lung carcinoma:LC)10人;胃がん(gastric cancer:GC)18人;大腸がん(colorectal cancer:CRC)20人;膵がん(pancreatic cancer:Pan)18人;卵巣がん(ovarian cancer:Ova)20人;乳がん(breast cancer:Br)20人》、肺の良性新生物(benign pulmonary disease:BPD)47人、及び健常者(HS)110人の採取血液から血清(サンプル)を分離し、作製したキットを用いてサンプル中のmiRNAの存在量を測定する。そして、肺がん検査用として特定したmiRNAから作成した検査モデルに測定したmiRNAの存在量を当てはめ、作成した検査モデルの優位性の検証を行う。
後述する実施例で示すように、健常者と比較して肺がん患者に特有なmiRNAとして、少なくともhsa−miR−451a、hsa−miR−1290及びhsa−miR−636の組み合わせ(以下、この組み合わせを「組み合わせ(1)」と記載することがある。)が挙げられる。
本発明の方法を実施する際には、少なくとも組み合わせ(1)の存在量を測定すればよいが、検査方法の精度を向上するためには、組み合わせ(1)の存在量に加え、hsa−miR−30c−5p、hsa−miR−19b−3p、hsa−miR−22−5p、hsa−miR−486−5p、hsa−miR−20b−5p、hsa−miR−93−5p、hsa−miR−34b−3p、hsa−miR−185−5p、hsa−miR−126−5p、hsa−miR−93−3p、hsa−miR−1274a、hsa−miR−142−5p、hsa−miR−628−5p、hsa−miR−486−3p、hsa−miR−425−5p、hsa−miR−645及びhsa−miR−24−3p(以下、この組み合わせを「組み合わせ(2)」と記載することがある。)から選択される少なくとも1種以上のmiRNAの存在量も併せて測定してもよい。
また、組み合わせ(1)及び組み合わせ(2)に記載の全てのmiRNAの存在量を測定してもよい。
図1に示すように、サンプル中のmiRNAの存在量を測定する際には、ノーマライザー用のmiRNAの存在量に基づき、サンプル中のmiRNAの存在量を補正してもよい。ノーマライザーを用いて存在量を補正することで、サンプルの量や濃度が変わっても、サンプル中のmiRNAの存在量を補正することができる。ノーマライザー用のmiRNAは、健常者と肺がん患者の何れの血液中でも発現し、且つ存在量の差が小さいmiRNAであれば特に制限はない。例えば、hsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p、hsa−miR−21−5p、hsa−miR−320a、hsa−miR−106b−5p及びhsa−miR−126−3p(以下、この組み合わせを「組み合わせ(3)」と記載することがある。)等が挙げられる。前記ノーマライザー用のmiRNAは、健常者と肺がん患者の血液中で最も存在量の差が小さいhsa−miR−223−3pを単独で用いてもよいし、複数組み合わせてもよい。
後述する実施例に示すとおり、組み合わせ(1)に示すmiRNAは、健常者と肺がん患者の存在量が異なっている。したがって、少なくとも組み合わせ(1)のmiRNAの存在量を測定することで、肺がん検査用の情報を提供することができる。更に必要に応じて組み合わせ(2)から選択される1種以上のmiRNAの存在量、または組み合わせ(2)の全てのmiRNAの存在量も併せて測定することで、より精度の高い肺がん検査用の情報を提供することができる。
本発明の検査方法は、被検者から採取した血液中で発現している少なくとも組み合わせ(1)に示すmiRNAの存在量に基づいて、被検者が肺がんに罹患しているか否か検査することを特徴としている。検査は、測定した組み合わせ(1)に示すmiRNAの存在量に基づいて、検査できるものであれば特に制限はない。後述する実施例に示すとおり、肺がん患者及び健常者の血液中のmiRNAの存在量の比較定量結果から、統計的手段を用いて検査モデル(判別式)、更に必要に応じて閾値を作成し、測定したmiRNAの存在量を検査モデルに当てはめスコアを算出、必要に応じて閾値と比較することで肺がんに罹患しているか否か検査をすればよい。
また、作成した検査モデルや閾値をコンピュータの記憶手段に記憶しておくことで、コンピュータを検査装置として用いることもできる。
図2は、検査装置の概略を示す図である。検査装置1は、入力手段2、検査モデル、更に必要に応じて閾値を記憶する記憶手段3、検査手段4、制御部5及びプログラムメモリ6を少なくとも含んでいる。
入力手段2は、被検者の血液から測定したmiRNAの存在量の情報を検査装置1に入力できれば特に制限はなく、キーボード、USB等が挙げられる。また、入力手段2はインターネット回線を使用しても良い。例えば、インターネット回線を用いて遠隔地の病院で測定した被検者の血液から測定したmiRNAの存在量の情報を検査装置1に送信・入力し、インターネット回線を通じて検査結果を送付することで、遠隔地の病院の被検者に対しても適切な検査をすることもできる。
記憶手段3には、検査モデル、必要に応じて閾値が記憶されている。検査手段4は、入力手段2により入力された被検者のmiRNAの存在量の情報を記憶手段3に記憶されている検査モデルに当てはめスコアを算出、更に必要に応じて閾値と比較することで、被検者が肺がんに罹患しているか否か検査することができる。プログラムメモリ6には、例えば、図2に示すコンピュータを検査装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。このプログラムが制御部5により読み出され実行されることで、入力手段2、記憶手段3及び検査手段4の動作制御が行われる。プログラムは、予めコンピュータに記憶しておいても良いし、記録媒体に検査モデル又は閾値と共に記録され、インストール手段を用いてプログラムメモリ6に格納されるようにしてもよい。
図3は、本発明の検査装置1を用いて、被検者を検査するための工程を示す図である。プログラムメモリ6に格納されたプログラムが制御部5に読み出されて実行し、先ず、入力手段2により、被検者の血液中の少なくとも組み合わせ(1)に示すmiRNAの存在量を入力する(S100)。なお、血液中のmiRNAの存在量は、検査装置1と接続しているmiRNAの存在量の測定装置の測定結果を直接入力してもよいし、別途測定した測定値を入力してもよい。次に、入力手段2により入力された存在量の情報を、記憶手段3に記憶されている検査モデルに当てはめスコアを算出、必要に応じて閾値と比較する(S110)。そして、得られた検査結果を表示する(S120)。表示方法は、コンピュータの表示手段に表示してもよいし、紙等にプリントアウトしてもよい。
血液中で発現しているmiRNAは、市販されているmiRNAマイクロアレイなどを用いて網羅的に測定できるが、肺がん検査用ではないことから、1つのマイクロアレイなどで測定できるサンプル数に限りがある。本発明では、肺がん患者に特有なmiRNAを新たに見出した。そのため、新たに見出したmiRNAの組み合わせを測定できるプローブのみを用いて、新たなキットを作製することができる。キットの形態は最終的にプローブに対応するmiRNAの存在量が測定できれば特に制限はない。例えば、市販のmiRNAマイクロアレイと同様にプローブをプレートに貼り付けたアレイ状、定量PCR用にプローブを液体に分散した液体状、プローブを貼り付けたビーズ状等が挙げられる。キットを作製することで、多数の被検者の血液サンプルを効率よく測定することができる。
キットに用いるプローブは、組み合わせ(1)に示すmiRNAを測定できるプローブが挙げられる。また、組み合わせ(1)に示すmiRNAを測定できるプローブに加え、組み合わせ(2)から選択される1種以上のmiRNAを測定できるプローブ、または組み合わせ(2)の全てのmiRNAの存在量を測定できるプローブを加えてもよい。組み合わせ(1)及び(2)に示すmiRNAは、市販のmiRNAマイクロアレイで測定できるものであることから、プローブは公知のプローブを用いればよい。または、新たに設計したものでもよい。
また、キットには、ノーマライザー用のmiRNAを測定できるプローブを配置してもよい。ノーマライザー用のプローブとしては、組み合わせ(3)から選択される1種以上のmiRNAを測定できるプローブが挙げられる。ノーマライザー用のプローブも、公知のプローブまたは新たに設計したプローブを用いればよい。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
以下の手順により、肺がんの検査に必要なmiRNAの同定、測定したmiRNAの存在量の補正に必要な内部標準(ノーマライザー)となるmiRNAの同定、及び検査モデルの構築を行った。
<実施例1>
〔血液サンプルからの全RNAの分離〕
先ず、対象者の血液から、定法により血清(サンプル)を分離した。分離した血清から400μlを採取し、miRVana PARISキット(Ambion社製)を用い、プロトコルにしたがって血清中の全RNAを分離した。なお、分離した全RNAには、エクソソーム中のmiRNAも含まれる。また、全RNAの分離の際には、RNA抽出を評価するためのスパイクコントロールとして、合成されたRNAであるath−miR159a(MI0000189)を各々のサンプルに添加した。全RNA濃度は、ナノドロップ2000分光光度計(Thermo Scientific社製)を用いて定量化した。
〔miRNAプロファイルの作成〕
各々のサンプル中のヒトmiRNAは、ath−miR159a、TaqMan Human MicroRNA array Card(A,v2.0,11 and B,v3.0,Life Technologies社製)を用い、プロトコルにしたがってプロファイルされた。具体的には、TaqMan miRNA Reverse Transcription Kit(Life Technologies社製)を用い、6μgの全RNAが、stem−loop Megaplex primers pool set A又はBと一緒に逆転写された。逆転写産物は、TaqMan PreAmp Master Mix and Megaplex PreAmp primers(Life Technologies社製)を用いて、予備増幅され、TaqMan Human MicroRNA arrays and an ABI Prism 7900HT Sequence Detection System(Life Technologies社製)を用い、リアルタイムPCR解析を行った。Ct値(Raw Ct Value)は、RQ manager software v1.2.1(Life Technologies社製)を用いて計算した。
〔解析対象者〕
ath−miR159aの発現が検出されない等、不適切なサンプルを解析対象者から排除し、残りのサンプルを解析した。実施例1で解析対象とした対象者を表1に示す。肺腺がん患者(AD)は253人で、教師群用に143人、検証群用に110人を区分した。また、健常者(HS)は101人で、教師群用に49人、検証群用に52人を区別した。区別した対象者の平均年齢、男性人数、女性人数、肺腺がん患者(AD)のがんのステージI〜IV別人数は、表1に示すとおりである。
〔内部標準の探索・決定〕
図4A〜図4Cは、内部標準の候補の探索及び決定手順を示す図である。図4Aに示すように、先ず、教師群に区分されたAD患者(143人)及び健常者(HS:49人)の中で、Ct値が32未満のmiRNAの中から、35個のmiRNAを候補として選択した。次に真のstability valueを推定する手段として、ブートストラップリサンプリングによる推定を行った。具体的手順は以下のとおりである。
(1)元々のデータ(HS:49人、AD患者:143人)から、192例のデータをランダムに選択するという作業を1万回実施した。この時、同じ症例を重複しても良いものとした。その結果、元々のデータと同じ分布を持つが異なったデータを1万セット用意した。それぞれのデータセットにSet 1〜Set 10,000と名前を付けた。
(2)1万セットそれぞれに対して、miRNAの安定値(stability value)を計算した。なお、安定値(stability value)とは、NormFinderにより定義された遺伝子発現量の安定度を示す指標で、異なる検体間でmiRNAの発現量が一定である程度を示した指標として開発されたものである。計算の具体的手順は、(Andersen,C.L.,Jensen,J.L.&Orntoft,T.F.Normalization of real−time quantitative reverse transcription−PCR data:a model−based variance estimation approach to identify genes suited for normalization,applied to bladder and colon cancer data sets. Cancer Res.64,5245−5250(2004))に記載されている。
(3)miRNA毎に得られた1万個のstability valueの値から中央値を計算した。
次に、候補のmiRNAを、安定値(stability value)の中間値で順に並べた。上から順に、hsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p、hsa−miR−21−5p、hsa−miR−320a、hsa−
miR−106b−5p、hsa−miR−126−3p・・・、が選択された。
図4Bは、各候補miRNAの安定値(stability value)を示しており、各グラフの横線が中央値を示している。
図4Cの(a)は、肺腺がん患者(AD)及び健常者(HS)のhsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p、hsa−miR−21−5pのRaw Ct値はADとHSでほぼ同じであったことから、ADとHSの血液中の各miRNAの存在量がほぼ同じであったことを示している。また、(b)は、hsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p、hsa−miR−21−5pのRaw Ct値の平均を示している。以上の結果より、安定値の低いmiRNAはHS及びADの血液中の存在量の差が低いことから、それぞれ単独でノーマライザーとして用いることもできるが、安定値(stability value)の低いmiRNAを組み合わせて用いることで、精度をより高くできることが明らかとなった。以下の実施例では、hsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p、hsa−miR−21−5pの3種を組み合わせてノーマライザーとして用いた。
〔肺がん検査用のmiRNAの決定〕
図5Aは肺がん検査用のmiRNAの探索・決定の手順を示す。なお、上記〔miRNAプロファイルの作成〕で作成したプロファイルは、TaqMan Micro RNAアレイで測定したCt値である。そのため、肺がん検査用のmiRNAを決定するため、まず、ノーマライザーを用いて、Ct値より各miRNAの存在量に変換した。変換手順は以下のとおりである。
(1)各miRNAのCt値から、ノーマライザーの平均Ct値を引いた(この値を「△Ct値」と記載する。)。
(2)△Ct値を、Zスコアに変換(平均値=0,SD=1となるように変換)した。
肺がん検査用のmiRNAの探索は、得られた各miRNAの存在量を統計処理により行った。具体的手順は次のとおりである。
(1)サンプルを教師群(training cohort)と検証群(test cohort)に分け、教師群を更にランダムにtraining dataとtest dataに分けた。training dataを用いて、複数の変数を用いて分類モデルを構築できる重み付け得票分類(Weighted Voting)による分類モデルの作成を行った。作成した分類モデルは、test dataを利用してError rateに基づいた予測性能の評価を行った。
(2)候補miRNAを一つずつ増やしながら、上記分類モデルの構築を繰り返すことで、候補miRNAの数(m)が異なるセットを作成した。
(3)更に、これらの工程をn回繰り返すことで、候補miRNAの数がmであるセットをn個作成した。作成した候補miRNAの数が異なる判別モデルの精度をError rateを指標に評価を行い、最終分類デル作成に適切な候補miRNA数Mを決定した。候補miRNAの数がMであるセットをn個作成することで、M×n個のmiRNA(重複を含む)が得られ、n個のモデルの中で最も高い頻度で選択されたmiRNAからM番目までのmiRNAをM個選択し、当該選択したmiRNAを用いて重み付け得票分類に基づく最終分類モデルを構築した。
(4)なお、最終分類モデルとは、M×n個の候補miRNA(重複を含む)の中から選択したmiRNA M個に基づいて、教師群の全症例を予測できるように重み付け得票分類を用いて作成したモデルを意味する。本解析ではn=10,000で実施した。
(5)構築した最終分類モデル(検査モデル)は、作成に用いた教師群とは別の検証群のデータを用いて検証を行うことで、作成した最終分類モデル(検査モデル)の信頼性の評価をすることができる。
(6)そして、ADとHSを分類するためには、サンプル中のmiRNAの存在量を測定し、測定した存在量を最終分類モデル(検査モデル)にあてはめ、リスクスコアを算出することで分類すればよい。
以下に、miRNAを1個〜20個に絞り込んだ際に、選択された回数の多いmiRNAを順に示す。
上記表2〜表21に示すように、miRNAを1個まで絞り込んだ時の「hsa−miR−451a」は、表3〜21においても全て選択されていた。また、miRNAを2個まで絞り込んだ時の「hsa−miR−451a」及び「hsa−miR−1290」も表4〜表21の全てで選択され、3個まで絞り込んだ時の「hsa−miR−451a」、「hsa−miR−1290」及び「hsa−miR−636」も表5〜表21の全てで選択され、4個まで絞り込んだ時の「hsa−miR−451a」、「hsa−miR−1290」、「hsa−miR−636」及び「hsa−miR−30c−5p」も表6〜表21の全てで選択された。以下同様に、5、6、7・・・20まで絞り込んだ時のmiRNAの組合せは、当該組合せより多くのmiRNAを組み合わせた時に選択されていた。以上の結果より、選択回数の順位は異なるものの、miRNAの組合せを絞り込んだ際に、選択回数が上位のmiRNAには共通性が見られた。
図5Bは、miRNAを1個〜178個まで選択した時のError rateを示すグラフである。なお、Error rateとは、(不正解だった評価サンプル数の例数)/(評価サンプルの全例数)を意味し、Error rateが低いほど好ましい。また、図5Bに示すError rateは、M(例えば、M=1、M=2、M=3、・・・M=20)毎に作成したn=10,000個のモデルの平均値である。
〔検査モデルの作成〕
上記表2〜21に示すように、本発明の方法では、選択回数が上位のmiRNAに共通性が見られた。したがって、少なくとも「hsa−miR−451a」、更に必要に応じて他のmiRNAを組み合わせて(例えば、表3〜表21に示す組み合わせ。)存在量を測定すればよい。なお、検査の精度を挙げるとの観点からは、例えば、Error rate(不正解だった評価サンプル数の例数/評価サンプルの全例数)が小さい方が好ましい。図5Bに示すグラフでは、表2に示すmiRNA1種の場合のError rateは約19.4%、以下、表3に示す組み合わせの場合は約14.7%、表4に示す組み合わせの場合は約12.7%、表5に示す組み合わせの場合は約12.0%、表6に示す組み合わせの場合は約10.4%、表7に示す組み合わせの場合は約8.0%であった。したがって、例えば、Error rateが約12.7%(正答率が約87.3%)となる表4に示すmiRNA3種を少なくとも組み合わせて存在量を測定し、必要に応じてmiRNAの組み合わせ数を多くしてもよい。Error rateは、表21に示す20個のmiRNAの場合に最も小さな値(約4.98%)を示したので、以下の実施例では、表21に示す組み合わせのmiRNAを用いて検査モデルを作成した。作成した検査モデル(判別式)を以下に示す。
coefficent1×(miRNA1のzスコア−mean1)+coefficent2×(miRNA2のzスコア−mean2)+・・・coefficent19×(miRNA119のzスコア−mean19)+coefficent20×(miRNA20のzスコア−mean20)
なお、上記検査モデル(判別式)の、“coefficent1”及び“mean1”とは、下記表22に示す選択回数の順位が1位のmiRNAであるhsa−miR−1290の“coefficent”及び“mean”の値である“−0.800973407150772”、“−0.258402900946032”である。“coefficent2”及び“mean2”・・・は、順位が2位・・・のmiRNAの“coefficent”及び“mean”の値を示す。また、“miRNA1”、“miRNA2”・・・とは、192サンプル中の個々のサンプル中で発現している“順位1位のmiRNAの存在量”、“順位2位のmiRNAの存在量”・・・を表している。
上記の検査モデル(判別式)に192サンプルを当てはめることで、各々のサンプルのリスクスコアを算出した。miRNAが20個以外の検査モデル(判別式)の場合も、同様に計算をすることでリスクスコアを算出できる。閾値は計算したリスクスコに基づき、適宜設定すればよい。例えば、後述する図5C、図6A及び図6Cに示す例では閾値を0としているが、他の値であってもよい。
なお、上記検査モデルは、Ct値に基づき作成した検査モデルである。例えば、miRNAの存在量を蛍光強度により求めた場合は、蛍光強度値に基づき、上記と同様の統計学処理に基づき検査モデルを作成すればよい。また、表22に示す“coefficent”及び“mean”の値は、Ct値に基づき作成した検査モデルにおける“coefficent”及び“mean”である。したがって、蛍光強度値により検査モデルを作成した場合の“coefficent”及び“mean”は表22とは異なる値となる。また、“coefficent”はリスクスコアを算出する際の重み係数であって、適宜変更が可能な値である。
図5Cは、作成した検査モデルを用いて教師群のAD患者143人及び健常者(HS)49人の検査を行った結果を示している。(a)に示すとおり、検査の結果、Positiveとの検査は、HSが2.0%で、ADが94.4%であったことから、感度(sensitivity)は94.4%、特異性(specificity)は98%で、全体の分類精度(overall classification accuracy)は95.3%であった。また、(b)は、AD患者vs健常者(HS)のROC曲線を示しており、AUC(area under the curve:濃度曲線下面積)は0.991と非常に高い値であった。
<実施例2>
上記のとおり、表21に示す20個のmiRNAで作成した検査モデルの感度及び特異性が高かったことから、表21に示すmiRNA及びノーマライザー(hsa−miR−223−3p、hsa−miR−342−3p及びhsa−miR−21−5p)の存在量を測定できるプローブを形成したキットを、ThermoFisher Scientific社に作製依頼した。実施例2では、カスタムメイドのTaqMan low density arrayを用いて以下の検証を行った。
次に、検証群(test cohort)に分類された各種がん患者《AD110人;SQ27人;LC10人;GC18人;CRC20人;Pan18人;Ova20人;Br20人》、肺の良性新生物(BPD)47人、及び健常者(HS)110人の血清から、カスタムメイドのアレイを用いた以外は、実施例1の〔miRNAプロファイルの作成〕と同様の手順でCt値を求め、次いで、実施例1の〔肺がん検査用のmiRNAの決定〕と同様の手順でmiRNAの存在量を求めた。
次に、測定した各種対象者の内、健常者(HS)、肺の良性新生物患者(BPD)、肺腺がん患者(AD)のmiRNAの存在量を実施例1で作成した検査モデルに当てはめ、検査を行った。図6Aは検査結果を示しており、AD患者で肺がん陽性と検査された者は89.1%、また、健常者(HS)で肺がん陽性と検査された者は0%で、何れも非常に高い正答率であった。なお、肺の良性新生物患者(BPD)で肺がん陽性と検査された者は10.6%であった。
図6B(a)は、検証群のAD患者vs健常者(HS)のROC解析を示しており、AUC値は0.975と非常に高い値であった。また、図6B(b)は、検証群のAD患者vs非AD患者(HS+BPD)のROC解析を示しておりAUC値は0.958と非常に高い値であった。以上の結果より、本発明で作成した検査モデルを用いることで、被検者が肺がんに罹患しているか否かを高い精度で検査できる。
図6Cは、表1に示す検証群のAD患者(StageI:65人、StageII:15人、StageIII:30人)のmiRNAの存在量を、作成した検査モデルに当てはめて検査した結果を示している。図6Cに示すように、StageIでは90.8%、StageIIでは100%、StageIIIでは80%の正答率であった。以上の結果より、本発明の検査モデルを用いて被検者の検査を行うと、早期ステージの肺がんを非常に高精度に検査できることが明らかとなった。ヘリカルCTで肺がんの検査を行う際には、偽陽性が問題となっている。そのため、Ct値と本発明の検査を併用することで、検査精度の向上が期待される。
図6Dは、AD患者以外のがん患者のmiRNAの存在量を、作成した検査モデルに当てはめて検査した結果を示している。肺扁平上皮がん(SQ)では陽性と判断された正答率は70.4%、肺大細胞がん(LC)では陽性と判断された正答率は70.0%であった。一方、肺がん以外のがんで陽性と判断された正答率は、胃がん(GC)では22.2%、大腸がん(CRC)では25.0%、膵がん(Pan)では38.9%、卵巣がん(Ova)では35.0%、乳がん(Br)では0.0%であった。以上の結果より、作成した検査モデルは、肺腺がん(AD)以外の非小細胞肺がん(NSCLC)である肺扁平上皮がん(SQ)及び肺大細胞がん(LC)の検査、つまり、非小細胞肺がん(NSCLC)の特異的な検査に有用であることが明らかとなった。
本発明に係る肺がんの検査をするための情報を提供する方法、肺がんの検査方法、肺がんの検査装置、肺がんの検査装置のプログラム及び記録媒体、並びにmiRNAの存在量測定用キットを用いることで、被検者が肺がんに罹患しているか否かを、早期ステージの段階で正確に検査することができる。そのため、医療機関や大学医学部などの研究機関等における肺がん患者の検査及び研究に有用である。

Claims (12)

  1. miRNAの存在量を測定することによる肺がん検査用の情報を提供する方法であって、
    被検者の血液中の、少なくともhsa−miR−451a(Accession:MIMAT0001631)、hsa−miR−1290(Accession:MIMAT0005880)及びhsa−miR−636(Accession:MIMAT0003306)の存在量を測定する工程、
    を含む、肺がん検査用の情報を提供する方法。
  2. 前記存在量を測定する工程が、請求項1に記載のmiRNAに加え、hsa−miR−30c−5p(Accession:MIMAT0000244)、hsa−miR−19b−3p(Accession:MIMAT0000074)、hsa−miR−22−5p(Accession:MIMAT0004495)、hsa−miR−486−5p(Accession:MIMAT0002177)、hsa−miR−20b−5p(Accession:MIMAT0001413)、hsa−miR−93−5p(Accession:MIMAT0000093)、hsa−miR−34b−3p(Accession:MIMAT0004676)、hsa−miR−185−5p(Accession:MIMAT0000455)、hsa−miR−126−5p(Accession:MIMAT0000444)、hsa−miR−93−3p(Accession:MIMAT0004509)、hsa−miR−1274a(Accession:MI0006410)、hsa−miR−142−5p(Accession:MIMAT0000433)、hsa−miR−628−5p(Accession:MIMAT0004809)、hsa−miR−486−3p(Accession:MIMAT0004762)、hsa−miR−425−5p(Accession:MIMAT0003393)、hsa−miR−645(Accession:MIMAT0003315)及びhsa−miR−24−3p(Accession:MIMAT0000080)から選択される少なくとも1種以上のmiRNAの存在量を測定する、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記存在量を測定する工程が、請求項1及び請求項2に記載の全てのmiRNAの存在量を測定する、
    請求項2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のmiRNAの存在量に基づいて、被検者の肺がんの検査を行う検査工程、
    を含む、肺がんの検査方法。
  5. 前記被検者の肺がんの検査を行う検査工程が、
    肺がん患者の血液中で発現している請求項1〜3の何れか一項に記載のmiRNAの存在量に基づき予め構築した検査モデルに、請求項1〜3の何れか一項に記載のmiRNAの存在量を当てはめる工程、
    前記検査モデルに当てはめたmiRNAの存在量からスコアを算出する工程、
    を含む請求項4に記載の検査方法。
  6. 肺がん患者の血液中で発現している請求項1〜3の何れか一項に記載のmiRNAの存在量に基づき予め構築した検査モデルを少なくとも格納した記憶手段、
    被検者の血液に含まれる、請求項1〜3の何れか一項に記載のmiRNAの存在量を、前記記憶手段に記憶された検査モデルに当てはめスコアを算出することで被検者の肺がんの検査を行う検査手段、
    を含む肺がんの検査装置。
  7. コンピュータを、請求項6に記載の肺がんの検査装置として機能させるためのプログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  9. 被検者の血液中で発現している少なくともhsa−miR−451a(Accession:MIMAT0001631)、hsa−miR−1290(Accession:MIMAT0005880)及びhsa−miR−636(Accession:MIMAT0003306)の存在量を測定するプローブを含む、
    肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
  10. hsa−miR−30c−5p(Accession:MIMAT0000244)、hsa−miR−19b−3p(Accession:MIMAT0000074)、hsa−miR−22−5p(Accession:MIMAT0004495)、hsa−miR−486−5p(Accession:MIMAT0002177)、hsa−miR−20b−5p(Accession:MIMAT0001413)、hsa−miR−93−5p(Accession:MIMAT0000093)、hsa−miR−34b−3p(Accession:MIMAT0004676)、hsa−miR−185−5p(Accession:MIMAT0000455)、hsa−miR−126−5p(Accession:MIMAT0000444)、hsa−miR−93−3p(Accession:MIMAT0004509)、hsa−miR−1274a(Accession:MI0006410)、hsa−miR−142−5p(Accession:MIMAT0000433)、hsa−miR−628−5p(Accession:MIMAT0004809)、hsa−miR−486−3p(Accession:MIMAT0004762)、hsa−miR−425−5p(Accession:MIMAT0003393)、hsa−miR−645(Accession:MIMAT0003315)及びhsa−miR−24−3p(Accession:MIMAT0000080)から選択される少なくとも1種以上のmiRNAの存在量を測定するプローブを更に含む、
    請求項9に記載の肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
  11. 請求項9及び請求項10に記載の全てのmiRNAの存在量を測定するプローブを含む、
    請求項10に記載の肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
  12. hsa−miR−223−3p(Accession:MIMAT0000280)、hsa−miR−342−3p(Accession:MIMAT0000753)、hsa−miR−21−5p(Accession:MIMAT0000076)、hsa−miR−320a(Accession:MIMAT0000510)、hsa−miR−106b−5p(Accession:MIMAT0000680)及びhsa−miR−126−3p(Accession:MIMAT0000445)から選択される少なくとも1種以上のmiRNAの存在量を測定するプローブを更に含む、
    請求項9〜11の何れか一項に記載の肺がん検査用のmiRNA測定用キット。
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