JPWO2017204154A1 - 触媒回収方法 - Google Patents

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Abstract

白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させることで、前記溶液中に含まれる白金族元素を回収する、触媒回収方法を提供する。本発明の触媒回収方法において、前記白金族元素が、パラジウムであることが好ましい。本発明の触媒回収方法において、前記反応混合物が、水素化共役ジエン系重合体を含むものであることが好ましい。

Description

本発明は、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液から、該溶液中に含まれる白金族元素を回収する方法に関する。
医農薬、石油化学製品、ポリマーなどを製造する化学工業において、各種化合物に含まれる炭素−炭素不飽和結合や炭素−窒素不飽和結合を水素化して、対応する飽和結合に変換する水素化反応が広く行われている。
たとえば、ポリマー製造分野では、共役ジエン系重合体の有用な改質手段として、共役ジエン系重合体の炭素−炭素二重結合を選択的にあるいは部分的に水素化する方法が公知であり、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの水素化共役ジエン系重合体が工業的規模で生産されている。
このような水素化共役ジエン系重合体は、たとえば、次の製造プロセスにより、製造される。すなわち、共役ジエンを含む単量体を乳化重合し、乳化重合により得られるラテックスを凝固・乾燥し、次いで、凝固・乾燥により得られた原料重合体を有機溶媒(水素化反応溶媒)に溶解することで、原料重合体の溶液を得て、これに白金族元素含有触媒を添加し、水素化することにより製造される。
上記プロセスで使用する白金族元素含有触媒としては、たとえば、白金族元素や、白金族元素の化合物などが挙げられる。このような白金族元素や、白金族元素の化合物は、たとえば、これを担体に担持させることで、担持型触媒として用いることができる。あるいは、白金族元素の化合物、たとえば、白金族元素の塩を、担体に担持させずに、そのまま水素化触媒として用いることができる。
このような白金族元素含有触媒を用いた場合には、水素化反応により得られた反応混合物を含有する溶液中には、ナノオーダーサイズの白金族元素粒子が遊離の状態(白金族元素がイオン化することで遊離した状態も含む)で存在しており、このような遊離の状態で存在するナノオーダーサイズの白金族元素粒子は、回収することができないという課題があった。すなわち、白金族元素含有触媒として、担持型触媒を使用した場合には、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液から、濾過や遠心分離などにより担持型触媒を分離することにより、白金族元素を含有する担持型触媒自体については回収することができるが、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液中には、ナノオーダーサイズの白金族元素粒子が遊離の状態で残存してしまい、このようなナノオーダーサイズの白金族元素粒子については回収することができなかった。一方、白金族元素含有触媒として、白金族元素の塩を、担体に担持させずに、そのまま用いた場合にも、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液中に、ナノオーダーサイズの白金族元素粒子が遊離の状態で残存してしまい、同様に、このようなナノオーダーサイズの白金族元素粒子については回収することができなかった。
これに対し、特許文献1では、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことにより得られた反応混合物を含有する溶液を、特定の官能基を有するイオン交換樹脂と接触させることによって、溶液中に存在する白金族元素含有触媒を回収する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1の技術においては、白金族元素含有触媒を回収するためには、水素化反応により得られた反応混合物を含有する溶液を、イオン交換樹脂を添加した後に、長時間撹拌する必要があり、白金族元素含有触媒の回収の処理効率が悪いという課題があった。
特開2009−149893号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液から、溶液中に含まれる白金族元素を良好に回収することのできる、触媒回収方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を、表面に特定の官能基を有する多孔質中空糸膜と接触させることで、該溶液中に含まれる白金族元素を良好に回収できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させることで、前記溶液中に含まれる白金族元素を回収する、触媒回収方法が提供される。
本発明において、前記白金族元素が、パラジウムであることが好ましい。
また、本発明において、前記反応混合物が、水素化共役ジエン系重合体を含むものであることが好ましい。
さらに、本発明によれば、有機溶媒中、白金族元素含有触媒の存在下で、共役ジエン系重合体を水素化することで、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を得る水素化反応工程と、前記水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させることで、該溶液中に含まれる白金族元素を回収する触媒回収工程と、を備える水素化共役ジエン系重合体の製造方法が提供される。
本発明の触媒回収方法によれば、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液から、溶液中に含まれる白金族元素を良好に回収することができる。
本発明の触媒回収方法は、医薬、農薬、工業薬品、石油、石油化学製品、ポリマー製品、油脂製品、食用油、潤滑剤、香料などの製造分野において、白金族元素含有触媒を用いて水素化反応を行う場合に広く適用でき、水素化反応により得られた反応混合物を含有する溶液から、白金族元素を良好に回収することができるものである。
本発明の触媒回収方法を適用できる水素化反応により得られる反応混合物としては、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行って得られる反応混合物であれば特に限定されない。このような水素化反応としては、たとえば、アセチレンのエチレンへの水素化、3−ヘキシン−1−オールのシス−3−ヘキセン−1−オールへの水素化などに代表されるアセチレン結合の炭素−炭素二重結合への水素化反応;ガソリンの水素化(ガソリンの品質改善)、ジイソブチレンからイソオクタンの製造、不飽和グリセリドから飽和グリセリドの製造、共役ジエン系重合体から水素化共役ジエン系重合体の製造などに代表される炭素−炭素二重結合の飽和結合への水素化反応;シクロペンタノンやシクロヘキサノンから対応するアルコールを製造するカルボニル基の水素化反応;ニトリル基やアゾメチン基(シッフ塩基)をアミノ基へ変換する水素化反応;などが挙げられる。
これらのなかでも、本発明の触媒回収方法は、共役ジエン系重合体を水素化することにより得られる、水素化共役ジエン系重合体を含有するものに好適に適用することができる。
以下においては、共役ジエン系重合体を水素化することにより得られる、本発明の水素化共役ジエン系重合体の製造方法を例示して、本発明の触媒回収方法について詳細に説明する。ただし、本発明の触媒回収方法は、共役ジエン系重合体を水素化することにより得られる、水素化共役ジエン系重合体を対象とする溶液に限定されるものではない。
本発明の水素化共役ジエン系重合体の製造方法は、
有機溶媒中、白金族元素含有触媒の存在下で、共役ジエン系重合体を水素化することで、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を得る水素化反応工程と、
前記水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させることで、該溶液中に含まれる白金族元素を回収する触媒回収工程と、を備える。
水素化反応工程における水素化とは、共役ジエン系重合体に含まれる炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素添加して飽和結合に変換する反応である。本発明で用いる共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体単独で、もしくは共役ジエン単量体と共重合可能な単量体を該共役ジエン単量体と組み合わせて、従来公知の乳化重合法または溶液重合法により、好ましくは乳化重合法により製造される重合体である。
共役ジエン系重合体を形成するための共役ジエン単量体としては、共役ジエン構造を有する重合性単量体であれば、特に限定されず、たとえば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらの中でも1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、クロトンニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体;アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、メチルメタクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタアクリルアミドなどのα,β−エチレン不飽和カルボン酸アミド;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのビニル芳香族化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;フルオロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;などが挙げられる。
本発明で用いる共役ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体、メタアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メタアクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタアクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。
上記共役ジエン系重合体の中でも、水素化共役ジエン系重合体の製造原料としての実用性や汎用性の観点からは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メタアクリロニトリル−ブタジエン共重合体が好ましく、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体がより好ましい。
共役ジエン系重合体を構成する単量体単位の組成比は特に限定されないが、共役ジエン単量体単位5〜100重量%、これと共重合可能な単量体の単位95〜0重量%であることが好ましく、共役ジエン単量体単位10〜90重量%、これと共重合可能な単量体の単位90〜10重量%であることがより好ましい。また、共役ジエン系重合体の重量平均分子量(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法、標準ポリスチレン換算)も特に限定されないが、通常5,000〜500,000である。
共役ジエン系重合体の好適な調製方法としての乳化重合法は、一般的にラジカル重合開始剤を用いて水系媒体中で重合を行うものであり、乳化重合法において、重合開始剤や分子量調整剤は公知のものを使用すればよい。重合反応は回分式、半回分式、連続式のいずれでもよく、重合温度や圧力も特に制限されない。使用する乳化剤も特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などを使用できるが、アニオン性界面活性剤が好ましい。これらの乳化剤は、それぞれ単独で使用しても2種以上を併用してもよい。その使用量は特に限定されない。
乳化重合により得られる共役ジエン系重合体ラテックスの固形分濃度は特に限定されないが、通常2〜70重量%、好ましくは5〜60重量%である。その固形分濃度はブレンド法、希釈法、濃縮法など公知の方法により適宜調節することができる。
共役ジエン系重合体の水素化反応は、乳化重合により得られるラテックスに対し、ラテックス状態のまま行ってもよいが、触媒活性等の観点より、乳化重合により得られるラテックスを、凝固・乾燥して得られる共役ジエン系重合体ゴムを、適当な有機溶媒に溶解して、重合体溶液の状態で行うことが好ましい。
ラテックスの凝固・乾燥は、公知の方法により行えばよいが、凝固して得られるクラムと塩基性水溶液とを接触させる処理工程を設けることにより、得られる共役ジエン系重合体ゴムをテトラヒドロフラン(THF)に溶解して測定される重合体溶液のpHが7を超えるように改質することが好ましい。THFに溶解して測定される重合体溶液のpHは、好ましくは7.2〜12、より好ましくは7.5〜11.5、最も好ましくは8〜11の範囲である。このクラムと塩基性水溶液との接触処理により、溶液系水素化を速やかに進行させることが可能となる。
水素化反応を行う際の重合体溶液中における、共役ジエン系重合体濃度は、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは2〜20重量%である。有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンセンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル類;酢酸エチルなどのエステル類;などが挙げられる。これらの有機溶媒の中でもケトン類が好ましく用いられ、アセトンが特に好適に用いられる。
本発明において、水素化反応を行う際には、水素化触媒として、白金族元素含有触媒を使用する。白金族元素含有触媒としては、白金族元素、すなわち、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金を含有する触媒であればよく、特に限定されないが、触媒活性や入手容易性の観点からパラジウム化合物、ロジウム化合物が好ましく、パラジウム化合物がより好ましい。また、2種以上の白金族元素化合物を併用してもよいが、その場合もパラジウム化合物を主たる触媒成分とすることが好ましい。
パラジウム化合物は、通常、II価またはIV価のパラジウム化合物が用いられ、その形態は塩や錯塩である。
パラジウム化合物としては、例えば、酢酸パラジウム、シアン化パラジウム、フッ化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウム、水酸化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラシアノパラジウム酸カリウムなどが挙げられる。
これらのパラジウム化合物の中でも、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、へキサクロロパラジウム酸アンモニウムが好ましく、酢酸パラジウム、硝酸パラジウムおよび塩化パラジウムがより好ましい。
ロジウム化合物としては、例えば、塩化ロジウム、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム、硝酸ロジウム、硫酸ロジウム、酢酸ロジウム、蟻酸ロジウム、プロピオン酸ロジウム、酪酸ロジウム、吉草酸ロジウム、ナフテン酸ロジウム、アセチルアセトン酸ロジウム、酸化ロジウム、三水酸化ロジウムなどが挙げられる。
本発明において、白金族元素含有触媒としては、上述したパラジウム化合物やロジウム化合物をそのまま使用してもよいし、あるいは、上述したパラジウム化合物やロジウム化合物などの触媒成分を担体に担持させて、担持型触媒として使用してもよい。
担持型触媒を形成するための担体としては、一般的に金属触媒の担体として用いられているものであればよいが、具体的には、炭素、ケイ素、アルミニウム、マグネシウムなどを含有する無機化合物が好ましく、その中でも、パラジウム化合物やロジウム化合物などの触媒成分の吸着効率がより高まるという観点より、担体の特性として、平均粒子径が10nm〜100nm、比表面積が200〜2000m/gであるものを使用するのが好ましい。
このような担体は、活性炭、活性白土、タルク、クレー、アルミナゲル、シリカ、けいそう土、合成ゼオライトなど公知の触媒用担体の中から適宜に選択する。担体への触媒成分の担持方法としては、たとえば、含浸法、コーティング法、噴霧法、沈殿法などが挙げられる。触媒成分の担持量は、触媒と担体との合計量に対する触媒成分の割合で通常0.5〜80重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%である。触媒成分を担持した担体は、反応器の種類や反応形式などに応じて、例えば球状、円柱状、多角柱状、ハニカム状などに成形することができる。
また、パラジウム化合物やロジウム化合物などの白金族元素の塩を担体に担持させずに、白金族元素含有触媒としてそのまま使用する場合においては、これらの化合物を安定させるための安定化剤を併用することが好ましい。安定化剤を、パラジウム化合物やロジウム化合物などの白金族元素含有触媒を溶解または分散させた媒体中に存在させることにより、共役ジエン系重合体などの水素化対象化合物を高水素添加率で水素化することができる。
このような安定化剤としては、たとえば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリアルキルビニルエーテルなどの側鎖に極性基を有するビニル化合物の重合体;ポリアクリル酸のナトリウム、ポリアクリル酸カリウムなどのポリアクリル酸の金属塩;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリエーテル;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;ゼラチン、アルブミンなどの天然高分子;などが挙げられる。これらの中でも、側鎖に極性基を有するビニル化合物の重合体、またはポリエーテルが好ましい。側鎖に極性基を有するビニル化合物の重合体の中では、ポリビニルピロリドン、ポリアルキルビニルエーテルが好ましく、ポリメチルビニルエーテルがより好ましい。
また、水素化反応に際しては、還元剤を併用してもよく、還元剤としては、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、酢酸ヒドラジン、ヒドラジン硫酸塩、ヒドラジン塩酸塩等のヒドラジン類、またはヒドラジンを遊離する化合物などが挙げられる。
水素化反応の温度は、通常0〜200℃、好ましくは5〜150℃、より好ましくは10〜100℃である。水素化反応の温度を上記範囲とすることにより、副反応を抑えながら、反応速度を十分なものとすることができる。
水素化反応を行う際における、水素の圧力は、通常、0.1〜20MPaであり、好ましくは0.1〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。反応時間は特に限定されないが、通常30分〜50時間である。なお、水素ガスは、先ず窒素などの不活性ガスで反応系を置換し、さらに水素で置換した後に加圧することが好ましい。
そして、白金族元素含有触媒として、担持型触媒を使用した場合には、濾過や遠心分離などにより担持型触媒を分離することにより、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を得ることができる。
次いで、上記のようにして得られた水素化共役ジエン系重合体を含む溶液に対し、溶液中に含まれている、白金族元素、具体的には、溶液中に遊離している、ナノオーダーサイズ(具体的には、数nm〜数十nmのオーダー)の白金族元素粒子(以降、「白金族元素粒子」とは、白金族元素がイオン化することで遊離した状態も含む)を回収するために、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を接触させ、これに、遊離のナノオーダーサイズの白金族元素粒子を吸着させることで、遊離のナノオーダーサイズの白金族元素粒子を回収する。アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜に吸着させるナノオーダーサイズの白金族元素粒子としては、白金族元素粒子が含まれる溶液を、精密粒度分布測定装置を用いて動的光散乱法により測定した場合における、粒子径のピークが、1nm超、90nm以下の範囲にあるものが好ましい。
すなわち、白金族元素含有触媒として、担持型触媒を使用した場合には、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液から、濾過や遠心分離などにより担持型触媒を分離することにより、白金族元素を含有する担持型触媒を回収することができるが、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液中には、ナノオーダーサイズの白金族元素粒子が遊離の状態で存在することとなる。また、白金族元素含有触媒として、白金族元素の塩を、担体に担持させずに、そのまま用いた場合にも、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液中には、ナノオーダーサイズの白金族元素粒子が遊離の状態で存在することとなる。
本発明によれば、ナノオーダーサイズよりも大きな白金族元素粒子はもちろんのこと、このようなナノオーダーサイズの白金族元素粒子が遊離の状態で存在する溶液に対し、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を接触させ、これに、遊離のナノオーダーサイズの白金族元素粒子を吸着させることで、遊離のナノオーダーサイズの白金族元素粒子を回収することができる。
特に、本発明によれば、溶液中で遊離の状態で存在するナノオーダーサイズの白金族元素粒子が、保護剤によって保護され、コロイド状の状態にて存在している場合においても、良好に、白金族元素粒子を吸着させて回収することができる。
保護剤としては、白金族元素粒子を保護することができるものであればよく、特に限定されないが、たとえば、白金族元素粒子が溶液中に遊離した際に、その表面に存在することで、安定化させるような作用がある化合物や高分子(たとえば、水素化反応において用いられる安定化剤)等が挙げられる。
そして、本発明によれば、白金族元素粒子が保護剤によって保護され、コロイド状の状態にて存在している場合においても、白金族元素粒子が遊離の状態で存在する溶液に対し、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を接触させることで、遊離のナノオーダーサイズの白金族元素粒子を適切に吸着させることができ、これにより、遊離のナノオーダーサイズの白金族元素粒子を適切に回収することができる。
白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、上述した水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を、必要に応じて濃度調整した後、ポンプを用いて加圧しながら送液し、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜の内部に送り、多孔質中空糸膜の内面から外面に透過させることで(すなわち、濾過することで)、接触させる方法が挙げられる。このような方法によれば、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を多孔質中空糸膜に接触させる際の空間速度(SV)を高くした場合でも、多孔質中空糸膜による白金族元素粒子の吸着率を高くすることができる。これにより、多孔質中空糸膜による白金族元素粒子の吸着率を高く維持しながら、より速く溶液を濾過することができるようになるため、白金族元素粒子の回収の処理効率を向上させることができる。
白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を、ポンプにより加圧しながら送液して、多孔質中空糸膜に接触させる際には、ポンプにより加圧する圧力は、好ましくは0.001〜2MPa、より好ましくは0.01〜1.8MPa、さらに好ましくは0.01〜1.5MPaである。ポンプにより加圧する圧力を上記範囲とすることにより、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を多孔質中空糸膜に接触させる際の空間速度(SV)を高くした場合でも、多孔質中空糸膜による白金族元素粒子の吸着率を高くすることができる。
水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させる際の、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液中の水素化共役ジエン系重合体の濃度は好ましくは0.001〜20重量%、より好ましくは0.002〜15重量%、特に好ましくは0.005〜10%重量%の範囲である。この範囲であることによって、白金族元素粒子回収の生産性と回収効率の安定性が保たれ好ましい。
本発明で用いるアミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を形成するための多孔質中空糸膜としては、特に限定されず、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に導入することができるものであればよいが、たとえば、セラミック多孔質中空糸膜が挙げられる。
セラミック多孔質中空糸膜を構成するセラミックは、一般的に、無機物を焼き固めた焼結体を示すものであり、金属または非金属を問わず、あらゆる無機化合物の焼結体の成形体、粉末、膜などを含むものである。セラミック多孔質中空糸膜を構成するセラミックとしては、特に限定されないが、たとえば、ガラス、セメント、陶器、磁器などが挙げられる。なかでも、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に導入することにより白金族元素粒子をより高い効率で回収することができるという観点より、シリカやアルミナを用いることが好ましい。
セラミック多孔質中空糸膜としては、セラミックスの成分であり、またガラスの成分でもあるシリカやアルミナを用いて、シリカやアルミナの混合比を変化させた混合物を、焼成させることで調製されるシリカアルミナ膜を使用することができる。セラミック多孔質中空糸膜として、このようなシリカアルミナ膜を使用する場合には、細孔径を自由に精密濾過膜の範囲で制御することが可能である。多孔質中空糸膜は、円管状の形状であり、側面に孔をもつ。多孔質中空糸膜としてシリカアルミナ膜を使用する場合には、シリカアルミナ膜の合成方法を変化させることにより、多孔質中空糸膜の膜厚を所望の範囲に制御することができる。シリカアルミナ膜を使用した多孔質中空糸膜は、ガラス成分で構成されているために、透過圧力に対して強度が高い。本発明においては、多孔質中空糸膜を用いることにより、多孔質中空糸膜の濾過面(溶液を透過させる面)に対して、平行に溶液を流すことができ、これにより、溶液の流れによって剪断応力が発生し、多孔質中空糸膜の孔表面に形成されるケークを除去することができる。このような多孔質中空糸膜は、様々なコロイド粒子や分子の分離材料として使用されている。
本発明で用いるアミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜は、このような多孔質中空糸膜の表面に、アミノ基またはチオール基を含有する基を導入することにより得られる。
尚「アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する」の「表面」とは、中空糸膜を形成する膜自体における、中空糸膜の内壁となる膜表面部分、外壁となる膜表面部分、後述する、中空糸膜の細孔内の壁表面部分等が挙げられる。即ち、吸着対象である白金族元素粒子を含む溶液が接触する前記表面部分の少なくとも一部の表面部分に、アミノ基またはチオール基を有していればよい。その中でも、前述したように、溶液を中空糸膜の内側(内壁側)から外側(外壁側)に通過させて濾過する場合には、少なくとも中空糸膜の内壁となる膜表面部分にアミノ基またはチオール基を有しているのが好ましい。
アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜の細孔径は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10.0μm、より好ましくは0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.2〜2.0μmである。細孔径を上記範囲の下限より大きくすることにより、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を濾過する場合における空間速度(SV)が適切な範囲に制御され、白金族元素粒子の回収の処理効率がより良好に保持される。一方、細孔径を上記範囲の上限より小さくすることにより、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液と、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜との接触面積が適切な範囲に制御され、白金族元素粒子の吸着率がより良好に保持される。
アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10.0mm、より好ましくは0.5〜10.0mm、さらに好ましくは0.5〜5.0mmである。多孔質中空糸膜の厚みを上記範囲の下限より厚くすることにより、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を濾過する場合における、白金族元素粒子の吸着率がより良好に保持される。一方、多孔質中空糸膜の厚みを上記範囲の上限より薄くすることにより、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を濾過する場合における空間速度(SV)が適切な範囲に制御され、白金族元素粒子の回収の処理効率がより良好に保持される。
アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜の形状は、特に限定されず、白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液の処理量や処理効率などに応じて任意に選択すればよいが、たとえば、内径が0.5〜30mm、外径が1.0〜40mm、長さが20〜1,000mmであるものを用いることができる。
白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜により濾過する場合には、空間速度(SV)を、0.1〜5,000(1/hr)の範囲とすることが好ましく、100〜500(1/hr)の範囲とすることがより好ましい。空間速度(SV)を上記範囲の上限より低くすることにより、白金族元素粒子の吸着率がより良好に保持される。一方、空間速度(SV)を上記範囲の下限より高くすることにより、白金族元素粒子の回収の処理効率がより良好に保持される。なお、空間速度(SV)は、上述したアミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜の細孔径、厚み、形状等を調整することにより、制御することができる。
また、本発明において、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜として、アミノ基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を用いる場合には、アミノ基としては、アミノ基を形成する水素原子が、置換されたものであってもよいし、無置換のものであってもよいが、置換されていない無置換のアミノ基、すなわち、「−NH」の形態であるものを用いることが好ましい。たとえば、アルキル基などで置換されている置換アミノ基では、白金族元素粒子の吸着効果が低下してしまう場合がある。
なお、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜としては、アミノ基を含有する基のみを表面に有するものや、チオール基を含有する基のみを表面に有するものを用いてもよいし、あるいは、アミノ基を含有する基と、チオール基を含有する基との両方を表面に有するものを用いてもよい。なかでも、白金族元素粒子の吸着効果により優れるという観点より、少なくともアミノ基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を用いることが好ましい。
アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を形成するアミノ基を含有する基としては、白金族元素粒子の吸着効果をより高めることができるという点より、アミノ基を備える、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、アミノ基を備える、炭素数1〜6の炭化水素基であることがより好ましい。なお、アミノ基を備える炭化水素基としては、炭化水素基の末端がアミノ基であることが好ましい。
アミノ基を備える炭化水素基としては、特に限定されないが、たとえば、置換基を有していてもよい直鎖、分岐の炭化水素基が挙げられる。このようなアミノ基を備える炭化水素基は、ヘテロ原子を含むものであってもよく、ヘテロ原子を含む場合には、ヘテロ原子の数は、特に限定されないが、たとえば、1〜6が好ましい。アミノ基を備える炭化水素基中におけるヘテロ原子の位置としては、特に限定されず、炭化水素基の炭化水素鎖中であってもよい(たとえば、−CH−S−CH−、−CH−O−CH−、−CH−NH−CH−で表される構造を含むものなど。)。
なお、ヘテロ原子とは、周期表15族及び16族の原子をいう。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、砒素原子、セレン原子などが挙げられる。これらの中でも、窒素原子、硫黄原子、および酸素原子が好ましい。
アミノ基を備える炭化水素基としては、末端にアミノ基を有するものであることが好ましい。また、分岐の炭化水素基である場合には、主鎖の末端に加えて、分岐鎖の末端にアミノ基を有するものであってもよい。
また、アミノ基を備える炭化水素基としては、末端に芳香族炭化水素基を有し、かつ、この末端の芳香族炭化水素基の置換基として1または2のアミノ基を備えるものであってもよい。このような芳香族炭化水素基としては、環構造に炭素以外の元素が含まれた複素芳香族化合物であってもよい。
このようなアミノ基を備える炭化水素基の具体例としては、アミノメチル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、5−アミノペンチル基や、下記式(1)〜(7)で表される基などが挙げられる。
Figure 2017204154
上述したアミノ基を備える炭化水素基などを、多孔質中空糸膜に導入する方法としては、特に限定されないが、たとえば、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を構成する多孔質中空糸膜として、ケイ素を含有するものを用いる場合には、多孔質中空糸膜に対して、対応するアミノ基を備える炭化水素基を有するアミノ系シランカップリング剤を用いて、シランカップリング処理を行う方法を用いることができる。
アミノ系シランカップリング剤としては、ケイ素を含有する基と、アミノ基を備える炭化水素基とを有する化合物であればよく、特に限定されないが、たとえば、ケイ素を含有する基と、アミノ基とが、置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基によって連結された構造を有する化合物が挙げられる。このような化合物における、ケイ素を含有する基と、アミノ基とを連結する置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素数3のアルキレン基がさらに好ましい。このようなアミノ系シランカップリング剤の具体例としては、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルメチルジメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルメチルジエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、5−アミノペンチルトリメトキシシラン、5−アミノペンチルメチルジメトキシシラン、5−アミノペンチルトリエトキシシラン、5−アミノペンチルメチルジエトキシシランなどが挙げられ、これらのなかでも、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
また、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を形成するチオール基を含有する基としては、白金族元素粒子の吸着効果をより高めることができるという点より、チオール基を備える、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、チオール基を備える、炭素数1〜6の炭化水素基であることがより好ましい。なお、チオール基を備える炭化水素基としては、炭化水素基の末端がチオール基であることが好ましい。
チオール基を備える炭化水素基としては、特に限定されないが、たとえば、置換基を有していてもよい直鎖、分岐の炭化水素基が挙げられる。このようなチオール基を備える炭化水素基は、ヘテロ原子を含むものであってもよく、ヘテロ原子を含む場合には、ヘテロ原子の数は、特に限定されないが、たとえば、1〜6が好ましい。チオール基を備える炭化水素基中におけるヘテロ原子の位置としては、特に限定されず、炭化水素基の炭化水素鎖中であってもよい(たとえば、−CH−S−CH−、−CH−O−CH−、−CH−NH−CH−で表される構造を含むものなど。)。
チオール基を備える炭化水素基としては、末端にチオール基を有するものであることが好ましい。また、チオール基を備える炭化水素基が分岐の炭化水素基である場合には、主鎖の末端に加えて、分岐鎖の末端にチオール基を有するものであってもよい。
また、チオール基を備える炭化水素基としては、末端に芳香族炭化水素基を有し、かつ、この末端の芳香族炭化水素基の置換基として1または2のチオール基を備えるものであってもよい。このような芳香族炭化水素基としては、環構造に炭素以外の元素が含まれた複素芳香族化合物であってもよい。
このようなチオール基を備える炭化水素基の具体例としては、メルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基、3−メルカプトプロピル基、4−メルカプトブチル基、5−メルカプトペンチル基や、下記式(8)〜(12)で表される基などが挙げられる。
Figure 2017204154
上述したチオール基を備える炭化水素基などを、多孔質中空糸膜に導入する方法としては、特に限定されないが、たとえば、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を構成する多孔質中空糸膜として、ケイ素を含有するものを用いる場合には、多孔質中空糸膜に対して、対応するチオール基を備える炭化水素基を有するチオール系シランカップリング剤を用いて、シランカップリング処理を行う方法を用いることができる。
チオール系シランカップリング剤としては、ケイ素を含有する基と、チオール基を備える炭化水素基とを有する化合物であればよく、特に限定されないが、たとえば、ケイ素を含有する基と、チオール基とが、置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい2価数の炭化水素基によって連結された構造を有する化合物が挙げられる。このような化合物における、ケイ素を含有する基と、チオール基とを連結する置換基および/またはヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素数3のアルキレン基がさらに好ましい。このようなチオール系シランカップリング剤の具体例としては、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルメチルジメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルメチルジエトキシシラン、5−メルカプトペンチルトリメトキシシラン、5−メルカプトペンチルメチルジメトキシシラン、5−メルカプトペンチルトリエトキシシラン、5−メルカプトペンチルメチルジエトキシシランなどが挙げられ、これらのなかでも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましく、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
上述したアミノ系シランカップリング剤やチオール系シランカップリング剤を用いてシランカップリング処理を行う際には、予め、多孔質中空糸膜の表面を活性化させる活性化処理を行うことが好ましい。活性化処理としては、特に限定されないが、たとえば、多孔質中空糸膜を、過酸化水素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を含む水溶液を用いて洗浄する方法が挙げられる。
多孔質中空糸膜を洗浄する場合には、たとえば、多孔質中空糸膜を、過酸化水素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を含む水溶液に浸漬させて、振とう撹拌する方法を用いることが好ましい。振とう撹拌する際における温度条件は、特に限定されないが、好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜80℃である。振とう撹拌する際における撹拌時間は、特に限定されないが、好ましくは20〜300分、より好ましくは60〜150分である。
多孔質中空糸膜の表面を活性化させるための水溶液として、過酸化水素水を含む水溶液を用いる場合には、水溶液中の過酸化水素の濃度は、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは40〜50重量%である。
また、多孔質中空糸膜の表面を活性化させるための水溶液として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびアンモニアを含む水溶液を用いる場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアのうちいずれか一つを含む水溶液を用いてもよいし、二つ以上を含む水溶液を用いてもよいが、水溶液中における水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアの合計の濃度が(すなわち、水溶液中における、水酸化ナトリウムの濃度、水酸化カリウムの濃度、アンモニアの濃度の合計の濃度が)、好ましくは0.01〜10mol/L、より好ましくは0.5〜5mol/Lである。
本発明によれば、水素化反応により得られた反応混合物を含有する溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させることで、溶液中に含まれる白金族元素、より具体的には、溶液中において遊離の状態で存在するナノオーダーサイズの白金族元素粒子を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜に吸着させ、これにより回収するものであり、このような白金族元素を効率的に回収できるものである。特に、本発明によれば、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を用いて、濾過等の方法により、水素化反応により得られた反応混合物を含有する溶液中の白金族元素粒子を吸着して回収することができるため、溶液を処理する際の空間速度(SV)をより高くすることができ、これにより、白金族元素粒子の回収の処理効率をより向上させることができる。また、本発明によれば、本発明で用いる、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜は、水素化反応により得られた反応混合物を含有する溶液を形成する有機溶媒に対して不溶であるため、このような有機溶媒に残存したり、反応したりしてしまうことがないため、このような有機溶媒を好適に再利用することができる。そして、その結果として、生産効率を高めることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下において、特記しない限り「部」は重量基準である。
(白金族元素粒子の粒子径の評価)
水素化反応により得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の溶液を濾過して得た濾液を、精密粒度分布測定装置「DLS8000」(大塚電子社製)を用いて、動的光散乱法により測定することにより、濾液中の白金族元素粒子の粒子径を測定した。ここで、1nm超、90nm以下の範囲に粒子径のピークが観察された濾液については、ナノオーダーサイズの白金族元素粒子が含まれていると判断した。
製造例1
反応器に、オレイン酸カリウム2部、イオン交換水180部、アクリロニトリル37部、およびt−ドデシルメルカプタン0.5部を、この順に仕込んだ。次いで、反応器内部を窒素で置換した後、ブタジエン63部を添加し、反応器を10℃に冷却して、クメンハイドロパーオキサイド0.01部、および硫酸第一鉄0.01部を添加した。次いで、反応器を10℃に保ったまま内容物を16時間攪拌した。その後、反応器内へ10重量%のハイドロキノン水溶液を添加して重合反応を停止させた後、重合反応液から未反応の単量体を除去することで、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスを得た。重合転化率は90%であった。
次いで、上記とは別の反応器に、塩化カルシウム(凝固剤)3部を溶解した凝固水300部を入れ、これを50℃で攪拌しながら、上記にて得られたラテックスを凝固水中へ滴下した。そして、ここへ水酸化カリウム水溶液を加えてpHを11.5に保ちながら重合体クラムを析出させた後、凝固水から重合体クラムを分取して水洗後、50℃で減圧乾燥した。次いで、得られた重合体クラムをアセトンに溶解することで、重合体含量が15重量%のアセトン溶液を調製した。
そして、得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のアセトン溶液にシリカ担持型パラジウム(Pd)触媒(Pd量は「Pd金属/アクリロニトリル−ブタジエン共重合体」の比で1000重量ppm)を加えて、これを攪拌機付オートクレーブに投入し、窒素ガスを10分間流すことで溶存酸素を除去した。次いで、系内を2回水素ガスで置換後、5MPaの水素を加圧し、内容物を50℃に加温して6時間攪拌することで、水素化反応を行った。
水素化反応終了後、反応系を室温に冷却し、系内の水素を窒素で置換した。そして、水素化反応により得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の溶液について、濾過を行うことで、シリカ担持型パラジウム触媒を回収し、濾液を得た。得られた濾液のうち一部を採取し、上述した方法により白金族元素粒子の粒子径の評価を行ったところ、粒子径のピークは18nmであった。次いで、得られた濾液のうち一部を採取し、これを10倍量の水中に投入して、重合体を析出させ、得られた重合体を真空乾燥機で24時間乾燥することで、固形状の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体を得た。得られた固形状の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体について、原子吸光分析により、共重合体中のパラジウム量を測定したところ、パラジウム量は145重量ppmであった。また、得られた水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体のヨウ素価は、7.4であった。
製造例2
内径2.0mm、外径3.0mm、有効長6.0cm、細孔径400nmのシリカアルミナからなる多孔質中空糸膜(A−1)0.1部を、濃度0.10MのNaOH水溶液20mL中で振とう機を用いて1時間浸漬した。次いで、多孔質中空糸膜を、蒸留水で十分に洗浄後、シランカップリング剤としての3−アミノプロピルトリエトキシシラン2部を蒸留水18部で希釈した溶液中にて振とう機を用いて35℃で5時間浸漬することで、シランカップリング処理を行った。次いで、シランカップリング処理後の多孔質中空糸膜をメタノールおよび蒸留水で十分に洗浄して、アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−1)を得た。
製造例3
シランカップリング処理を行う際の浸漬時間を、5時間から24時間に変更した以外は、製造例2と同様にして、アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−2)を得た。
製造例4
多孔質中空糸膜(A−1)に代えて、内径2.0mm、外径3.0mm、有効長6.0cm、細孔径1.2μmのシリカアルミナからなる多孔質中空糸膜(A−2)を使用した以外は、製造例2と同様にして、アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−3)を得た。
製造例5
多孔質中空糸膜(A−1)に代えて、内径2.0mm、外径3.0mm、有効長6.0cm、細孔径2.0μmのシリカアルミナからなる多孔質中空糸膜(A−3)を使用した以外は、製造例2と同様にして、アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−4)を得た。
製造例6
シランカップリング処理剤を3−メルカプトプロピルトリエトキシシランに変更した以外は、製造例2と同様にして、チオール基導入多孔質中空糸膜(C−1)を得た。
製造例7
シランカップリング処理を行う際の浸漬時間を、5時間から24時間に変更した以外は、製造例6と同様にして、チオール基導入多孔質中空糸膜(C−2)を得た。
製造例8
多孔質中空糸膜(A−1)に代えて、内径2.0mm、外径3.0mm、有効長6.0cm、細孔径1.2μmのシリカアルミナからなる多孔質中空糸膜(A−2)を使用した以外は、製造例6と同様にして、チオール基導入多孔質中空糸膜(C−3)を得た。
製造例9
多孔質中空糸膜(A−1)に代えて、内径2.0mm、外径3.0mm、有効長6.0cm、細孔径2.0μmのシリカアルミナからなる多孔質中空糸膜(A−3)を使用した以外は、製造例6と同様にして、チオール基導入多孔質中空糸膜(C−4)を得た。
実施例1
製造例1で得られた濾過後の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の溶液を一部採取し、これをバイアルに移し、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の濃度が0.005重量%となるように、アセトンを添加して濃度調整を行った後、製造例2で得られたアミノ基導入多孔質中空糸膜(B−1)の内面から外面にペリスタポンプを用いて圧力0.02MPaで透過させて濾過した。この際の空間速度(SV)は180(1/hr)であった。アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−1)を透過させた後の溶液を10倍量の水中に投入することで、固形分を析出させ、得られた固形分を真空乾燥機で24時間乾燥することで、固形状の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体を得た。得られた固形状の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体について、原子吸光分析により、含有するパラジウム量を測定し、上述した製造例1で測定した共重合体中のパラジウム量の測定結果との差分に基づいて、アミノ基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量を求めたところ、0.0013mg/cmであった。結果を表1に示す。
実施例2
アミノ基導入多孔質中空糸膜として、アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−1)に代えて、製造例3で得られたアミノ基導入多孔質中空糸膜(B−2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、アミノ基導入多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。アミノ基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0015mg/cmであった。結果を表1に示す。
実施例3
アミノ基導入多孔質中空糸膜として、アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−1)に代えて、製造例4で得られたアミノ基導入多孔質中空糸膜(B−3)を使用した以外は、実施例1と同様にして、アミノ基導入多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。アミノ基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0014mg/cmであった。結果を表1に示す。
実施例4
アミノ基導入多孔質中空糸膜として、アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−1)に代えて、製造例5で得られたアミノ基導入多孔質中空糸膜(B−4)を使用した以外は、実施例1と同様にして、アミノ基導入多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。アミノ基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0011mg/cmであった。結果を表1に示す。
実施例5
製造例1で得られた濾過後の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の溶液を一部採取し、これをバイアルに移し、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の濃度が0.005重量%となるように、アセトンを添加して濃度調整を行った後、製造例6で得られたチオール基導入多孔質中空糸膜(C−1)の内面から外面にペリスタポンプを用いて圧力0.02MPaで透過させて濾過した。この際の空間速度(SV)は191(1/hr)であった。チオール基導入多孔質中空糸膜(C−1)を透過させた後の溶液を10倍量の水中に投入することで、固形分を析出させ、得られた固形分を真空乾燥機で24時間乾燥することで、固形状の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体を得た。得られた固形状の水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体について、原子吸光分析により、含有するパラジウム量を測定し、上述した製造例1で測定した共重合体中のパラジウム量の測定結果との差分に基づいて、アミノ基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量を求めたところ、0.0007mg/cmであった。結果を表1に示す。
実施例6
チオール基導入多孔質中空糸膜として、チオール基導入多孔質中空糸膜(C−1)に代えて、製造例7で得られたチオール基導入多孔質中空糸膜(C−2)を使用した以外は、実施例5と同様にして、チオール基導入多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。チオール基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0009mg/cmであった。結果を表1に示す。
実施例7
チオール基導入多孔質中空糸膜として、チオール基導入多孔質中空糸膜(C−1)に代えて、製造例8で得られたチオール基導入多孔質中空糸膜(C−3)を使用した以外は、実施例5と同様にして、チオール基導入多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。チオール基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0011mg/cmであった。結果を表1に示す。
実施例8
チオール基導入多孔質中空糸膜として、チオール基導入多孔質中空糸膜(C−1)に代えて、製造例9で得られたチオール基導入多孔質中空糸膜(C−4)を使用した以外は、実施例5と同様にして、チオール基導入多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。チオール基導入多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0009mg/cmであった。結果を表1に示す。
比較例1
アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−1)に代えて、シランカップリング処理を行っていない多孔質中空糸膜(A−1)を使用した以外は、実施例1と同様にして、シランカップリング処理を行っていない多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0005mg/cmであった。結果を表1に示す。
比較例2
アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−3)に代えて、シランカップリング処理を行っていない多孔質中空糸膜(A−2)を使用した以外は、実施例3と同様にして、シランカップリング処理を行っていない多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0004mg/cmであった。結果を表1に示す。
比較例3
アミノ基導入多孔質中空糸膜(B−4)に代えて、シランカップリング処理を行っていない多孔質中空糸膜(A−3)を使用した以外は、実施例4と同様にして、シランカップリング処理を行っていない多孔質中空糸膜を用いて濾過を行い、同様に測定を行った。多孔質中空糸膜1cm当りのパラジウム吸着量は、0.0002mg/cmであった。結果を表1に示す。
Figure 2017204154
表1に示すように、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を用いた場合には、パラジウム吸着量が多く、パラジウムを良好に回収できることが確認できる(実施例1,2,3,4,5,6,7,8)。
一方、シランカップリング処理を行わず、アミノ基およびチオール基のいずれも導入されなかった多孔質中空糸膜を使用した場合には、パラジウム吸着量が少なく、パラジウムをほとんど回収できない結果となった(比較例1,2,3)。

Claims (8)

  1. 白金族元素含有触媒の存在下で水素化反応を行うことで得られた反応混合物を含有する溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させることで、前記溶液中に含まれる白金族元素を回収する、触媒回収方法。
  2. 前記白金族元素が、パラジウムである請求項1に記載の触媒回収方法。
  3. 前記反応混合物が、水素化共役ジエン系重合体を含むものである請求項1または2に記載の触媒回収方法。
  4. 前記溶液を、前記アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜により濾過することで、前記溶液を、前記アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させる請求項1〜3のいずれかに記載の触媒回収方法。
  5. 前記アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜の細孔径が、0.1〜10.0μmである請求項1〜4のいずれかに記載の触媒回収方法。
  6. 前記アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜を構成する多孔質中空糸膜が、シリカアルミナからなる請求項1〜5のいずれかに記載の触媒回収方法。
  7. 前記アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜が、ケイ素を含有する多孔質中空糸膜に対して、アミノ系シランカップリング剤またはチオール系シランカップリング剤を用いてシランカップリング処理を行うことで得られたものである請求項1〜6のいずれかに記載の触媒回収方法。
  8. 有機溶媒中、白金族元素含有触媒の存在下で、共役ジエン系重合体を水素化することで、水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を得る水素化反応工程と、
    前記水素化共役ジエン系重合体を含む溶液を、アミノ基またはチオール基を含有する基を表面に有する多孔質中空糸膜と接触させることで、該溶液中に含まれる白金族元素を回収する触媒回収工程と、を備える水素化共役ジエン系重合体の製造方法。
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