JPWO2017179531A1 - 殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜 - Google Patents

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Abstract

合成高分子膜(34A)、(34B)は、複数の凸部(34Ap)、(34Bp)を有する表面を備える合成高分子膜であって、合成高分子膜の法線方向から見たとき、複数の凸部の2次元的な大きさは20nm超500nm未満の範囲内にあり、表面が殺菌効果を有し、ウレタンアクリレート構造を含み、ウレタンアクリレート構造は、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)由来の原子団を含む。

Description

本発明は、殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜、合成高分子膜の表面を用いた殺菌方法、合成高分子膜を製造するための型および型の製造方法に関する。ここでいう「型」は、種々の加工方法(スタンピングやキャスティング)に用いられる型を包含し、スタンパということもある。また、印刷(ナノプリントを含む)にも用いられ得る。
最近、ブラックシリコン、セミやトンボの羽が有するナノ表面構造が殺菌作用を有することが発表された(非特許文献1)。ブラックシリコン、セミやトンボの羽が有するナノピラーの物理的な構造が、殺菌作用を発現するとされている。
非特許文献1によると、グラム陰性菌に対する殺菌作用は、ブラックシリコンが最も強く、トンボの羽、セミの羽の順に弱くなる。ブラックシリコンは、高さが500nmのナノピラーを有し、セミやトンボの羽は、高さが240nmのナノピラーを有している。また、これらの表面の水に対する静的接触角(以下、単に「接触角」ということがある。)は、ブラックシリコンが80°であるのに対し、トンボの羽は153°、セミの羽は159°である。また、ブラックシリコンは主にシリコンから形成され、セミやトンボの羽はキチン質から形成されていると考えられる。非特許文献1によると、ブラックシリコンの表面の組成はほぼ酸化シリコン、セミおよびトンボの羽の表面の組成は脂質である。
特許第4265729号公報 特開2009−166502号公報 国際公開第2011/125486号 国際公開第2013/183576号
Ivanova, E. P. et al., "Bactericidal activity of black silicon", Nat. Commun. 4:2838 doi: 10.1038/ncomms3838(2013).
非特許文献1に記載の結果からは、ナノピラーによって細菌が殺されるメカニズムは明らかではない。さらに、ブラックシリコンがトンボやセミの羽よりも強い殺菌作用を有する理由が、ナノピラーの高さや形状の違いにあるのか、表面自由エネルギー(接触角で評価され得る)の違いにあるのか、ナノピラーを構成する物質にあるのか、表面の化学的性質にあるのか、不明である。
また、ブラックシリコンの殺菌作用を利用するにしても、ブラックシリコンは、量産性に乏しく、また、硬く脆いので、形状加工性が低いという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜、合成高分子膜の表面を用いた殺菌方法、合成高分子膜を製造するための型および型の製造方法を提供することにある。本発明はさらに、耐水性に優れた、殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜を提供することを目的とする。ここで、「耐水性に優れた合成高分子膜」とは、(1)合成高分子膜とベースフィルムとを有するフィルムを一定の時間水と接触させたときに、フィルム全体がカールすることが抑制される、(2)合成高分子膜とベースフィルムとを有するフィルムを一定の時間水と接触させたときに、合成高分子膜がベースフィルムから剥がれることが抑制される、および(3)合成高分子膜を水と接触させたときに、合成高分子膜から溶出される成分が少ない、の内の少なくとも1つの効果を有する合成高分子膜をいう。
本発明の実施形態による合成高分子膜は、複数の凸部を有する表面を備える合成高分子膜であって、前記合成高分子膜の法線方向から見たとき、前記複数の凸部の2次元的な大きさは20nm超500nm未満の範囲内にあり、前記表面が殺菌効果を有し、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の濃度は0.29at%以上であり、1gに含まれるエチレンオキサイド単位のモル数は0.0020超0.0080以下である。
ある実施形態において、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の濃度は、0.33at%以上である。
本発明の他の実施形態による合成高分子膜は、複数の凸部を有する表面を備える合成高分子膜であって、前記合成高分子膜の法線方向から見たとき、前記複数の凸部の2次元的な大きさは20nm超500nm未満の範囲内にあり、前記表面が殺菌効果を有し、ウレタンアクリレート構造を含み、前記ウレタンアクリレート構造は、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)由来の原子団を含む。
ある実施形態において、前記ウレタンアクリレート構造は、エチレンオキサイド単位の繰り返し構造を含む。例えば、前記繰り返し構造の繰り返し数をnとする(nは2以上の整数)と、前記ウレタンアクリレート構造は、nが9の繰り返し構造を含む。
ある実施形態において、前記ウレタンアクリレート構造は、3官能以上のウレタンアクリレートモノマーの重合体を含む。
ある実施形態において、前記ウレタンアクリレートモノマーは、窒素元素を含む複素環を含む。
ある実施形態において、前記複素環は、シアヌル環である。
本発明の実施形態によると、殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜、合成高分子膜の表面を用いた殺菌方法、合成高分子膜を製造するための型および型の製造方法が提供される。本発明の実施形態によると、さらに、耐水性に優れた、殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜が提供される。ここで、「耐水性に優れた合成高分子膜」とは、(1)合成高分子膜とベースフィルムとを有するフィルムを一定の時間水と接触させたときに、フィルム全体がカールすることが抑制される、(2)合成高分子膜とベースフィルムとを有するフィルムを一定の時間水と接触させたときに、合成高分子膜がベースフィルムから剥がれることが抑制される、および(3)合成高分子膜を一定の時間水と接触させたときに、合成高分子膜の殺菌効果(殺菌性および抗菌性を含む)が低下することが抑制される、の内の少なくとも1つの効果を有する合成高分子膜をいう。
(a)および(b)は、それぞれ本発明の実施形態による合成高分子膜34Aおよび34Bの模式的な断面図である。 (a)〜(e)は、モスアイ用型100Aの製造方法およびモスアイ用型100Aの構造を説明するための図である。 (a)〜(c)は、モスアイ用型100Bの製造方法およびモスアイ用型100Bの構造を説明するための図である。 (a)はアルミニウム基材の表面のSEM像を示し、(b)はアルミニウム膜の表面のSEM像を示し、(c)はアルミニウム膜の断面のSEM像を示す。 (a)は型のポーラスアルミナ層の模式的な平面図であり、(b)は模式的な断面図であり、(c)は試作した型のSEM像を示す図である。 モスアイ用型100を用いた合成高分子膜の製造方法を説明するための図である。 (a)および(b)は、モスアイ構造を有する表面で死に至った緑膿菌をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したSEM像を示す図である。 殺菌性の評価結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による、表面が殺菌効果を有する合成高分子膜および合成高分子膜の表面を用いた殺菌方法、さらには、合成高分子膜を製造するための型および型の製造方法を説明する。
なお、本明細書においては、以下の用語を用いることにする。
「殺菌(sterilization(microbicidal))」は、物体や液体といった対象物や、限られた空間に含まれる、増殖可能な微生物(microorganism)の数を、有効数減少させることをいう。
「微生物」は、ウィルス、細菌(バクテリア)、真菌(カビ)を包含する。
「抗菌(antimicrobial)」は、微生物の繁殖を抑制・防止することを広く含み、微生物に起因する黒ずみやぬめりを抑制することを含む。
本出願人は、陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いて、モスアイ構造を有する反射防止膜(反射防止表面)を製造する方法を開発した。陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いることによって、反転されたモスアイ構造を有する型を高い量産性で製造することができる(例えば、特許文献1〜4)。参考のために、特許文献1〜4の開示内容のすべてを本明細書に援用する。
本発明者は、上記の技術を応用することによって、表面が殺菌効果を有する合成高分子膜を開発するに至った。
図1(a)および(b)を参照して、本発明の実施形態による合成高分子膜の構造を説明する。
図1(a)および(b)は、本発明の実施形態による合成高分子膜34Aおよび34Bの模式的な断面図をそれぞれ示す。ここで例示する合成高分子膜34Aおよび34Bは、いずれもベースフィルム42Aおよび42B上にそれぞれ形成されているが、もちろんこれに限られない。合成高分子膜34Aおよび34Bは、任意の物体の表面に直接形成され得る。
図1(a)に示すフィルム50Aは、ベースフィルム42Aと、ベースフィルム42A上に形成された合成高分子膜34Aとを有している。合成高分子膜34Aは、表面に複数の凸部34Apを有しており、複数の凸部34Apは、モスアイ構造を構成している。合成高分子膜34Aの法線方向から見たとき、凸部34Apの2次元的な大きさDpは20nm超500nm未満の範囲内にある。ここで、凸部34Apの「2次元的な大きさ」とは、表面の法線方向から見たときの凸部34Apの面積円相当径を指す。例えば、凸部34Apが円錐形の場合、凸部34Apの2次元的な大きさは、円錐の底面の直径に相当する。また、凸部34Apの典型的な隣接間距離Dintは20nm超1000nm以下である。図1(a)に例示するように、凸部34Apが密に配列されており、隣接する凸部34Ap間に間隙が存在しない(例えば、円錐の底面が部分的に重なる)場合には、凸部34Apの2次元的な大きさDpは隣接間距離Dintと等しい。凸部34Apの典型的な高さDhは、50nm以上500nm未満である。後述するように、凸部34Apの高さDhが150nm以下であっても殺菌作用を発現する。合成高分子膜34Aの厚さtsに特に制限はなく、凸部34Apの高さDhより大きければよい。
図1(a)に示した合成高分子膜34Aは、特許文献1〜4に記載されている反射防止膜と同様のモスアイ構造を有している。反射防止機能を発現させるためには、表面に平坦な部分がなく、凸部34Apが密に配列されていることが好ましい。また、凸部34Apは、空気側からベースフィルム42A側に向かって、断面積(入射光線に直交する面に平行な断面、例えばベースフィルム42Aの面に平行な断面)が増加する形状、例えば、円錐形であることが好ましい。また、光の干渉を抑制するために、凸部34Apを規則性がないように、好ましくはランダムに、配列することが好ましい。しかしながら、合成高分子膜34Aの殺菌作用をもっぱら利用する場合には、これらの特徴は必要ではない。例えば、凸部34Apは密に配列される必要はなく、また、規則的に配列されてもよい。ただし、凸部34Apの形状や配置は、微生物に効果的に作用するように選択されることが好ましい。
図1(b)に示すフィルム50Bは、ベースフィルム42Bと、ベースフィルム42B上に形成された合成高分子膜34Bとを有している。合成高分子膜34Bは、表面に複数の凸部34Bpを有しており、複数の凸部34Bpは、モスアイ構造を構成している。フィルム50Bは、合成高分子膜34Bが有する凸部34Bpの構造が、フィルム50Aの合成高分子膜34Aが有する凸部34Apの構造と異なっている。フィルム50Aと共通の特徴については説明を省略することがある。
合成高分子膜34Bの法線方向から見たとき、凸部34Bpの2次元的な大きさDpは20nm超500nm未満の範囲内にある。また、凸部34Bpの典型的な隣接間距離Dintは20nm超1000nm以下であり、かつ、Dp<Dintである。すなわち、合成高分子膜34Bでは、隣接する凸部34Bpの間に平坦部が存在する。凸部34Bpは、空気側に円錐形の部分を有する円柱状であり、凸部34Bpの典型的な高さDhは、50nm以上500nm未満である。また、凸部34Bpは、規則的に配列されていてもよいし、不規則に配列されていてもよい。凸部34Bpが規則的に配列されている場合、Dintは配列の周期をも表すことになる。このことは、当然ながら、合成高分子膜34Aについても同じである。
なお、本明細書において、「モスアイ構造」は、図1(a)に示した合成高分子膜34Aの凸部34Apの様に、断面積(膜面に平行な断面)が増加する形状の凸部で構成される、優れた反射機能を有するナノ表面構造だけでなく、図1(b)に示した合成高分子膜34Bの凸部34Bpの様に、断面積(膜面に平行な断面)が一定の部分を有する凸部で構成されるナノ表面構造も包含する。なお、微生物の細胞壁および/または細胞膜を破壊するためには、円錐形の部分を有することが好ましい。ただし、円錐形の先端は、ナノ表面構造である必要は必ずしもなく、セミの羽が有するナノ表面構造を構成するナノピラー程度の丸み(約60nm)を有していてもよい。
図1(a)および(b)に例示したようなモスアイ構造を表面に形成するための型(以下、「モスアイ用型」という。)は、モスアイ構造を反転させた、反転されたモスアイ構造を有する。反転されたモスアイ構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナ層をそのまま型として利用すると、モスアイ構造を安価に製造することができる。特に、円筒状のモスアイ用型を用いると、ロール・ツー・ロール方式によりモスアイ構造を効率良く製造することができる。このようなモスアイ用型は、特許文献2〜4に記載されている方法で製造することができる。
図2(a)〜(e)を参照して、合成高分子膜34Aを形成するための、モスアイ用型100Aの製造方法を説明する。
まず、図2(a)に示すように、型基材として、アルミニウム基材12と、アルミニウム基材12の表面に形成された無機材料層16と、無機材料層16の上に堆積されたアルミニウム膜18とを有する型基材10を用意する。
アルミニウム基材12としては、アルミニウムの純度が99.50mass%以上99.99mass%未満である比較的剛性の高いアルミニウム基材を用いる。アルミニウム基材12に含まれる不純物としては、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、スズ(Sn)およびマグネシウム(Mg)からなる群から選択された少なくとも1つの元素を含むことが好ましく、特にMgが好ましい。エッチング工程におけるピット(窪み)が形成されるメカニズムは、局所的な電池反応であるので、理想的にはアルミニウムよりも貴な元素を全く含まず、卑な金属であるMg(標準電極電位が−2.36V)を不純物元素として含むアルミニウム基材12を用いることが好ましい。アルミニウムよりも貴な元素の含有率が10ppm以下であれば、電気化学的な観点からは、当該元素を実質的に含んでいないと言える。Mgの含有率は、全体の0.1mass%以上であることが好ましく、約3.0mass%以下の範囲であることがさらに好ましい。Mgの含有率が0.1mass%未満では十分な剛性が得られない。一方、含有率が大きくなると、Mgの偏析が起こり易くなる。モスアイ用型を形成する表面付近に偏析が生じても電気化学的には問題とならないが、Mgはアルミニウムとは異なる形態の陽極酸化膜を形成するので、不良の原因となる。不純物元素の含有率は、アルミニウム基材12の形状、厚さおよび大きさに応じて、必要とされる剛性に応じて適宜設定すればよい。例えば圧延加工によって板状のアルミニウム基材12を作製する場合には、Mgの含有率は約3.0mass%が適当であるし、押出加工によって円筒などの立体構造を有するアルミニウム基材12を作製する場合には、Mgの含有率は2.0mass%以下であることが好ましい。Mgの含有率が2.0mass%を超えると、一般に押出加工性が低下する。
アルミニウム基材12として、例えば、JIS A1050、Al−Mg系合金(例えばJIS A5052)、またはAl−Mg−Si系合金(例えばJIS A6063)で形成された円筒状のアルミニウム管を用いる。
アルミニウム基材12の表面は、バイト切削が施されていることが好ましい。アルミニウム基材12の表面に、例えば砥粒が残っていると、砥粒が存在する部分において、アルミニウム膜18とアルミニウム基材12との間で導通しやすくなる。砥粒以外にも、凹凸が存在するところでは、アルミニウム膜18とアルミニウム基材12との間で局所的に導通しやすくなる。アルミニウム膜18とアルミニウム基材12との間で局所的に導通すると、アルミニウム基材12内の不純物とアルミニウム膜18との間で局所的に電池反応が起こる可能性がある。
無機材料層16の材料としては、例えば酸化タンタル(Ta25)または二酸化シリコン(SiO2)を用いることができる。無機材料層16は、例えばスパッタ法により形成することができる。無機材料層16として、酸化タンタル層を用いる場合、酸化タンタル層の厚さは、例えば、200nmである。
無機材料層16の厚さは、100nm以上500nm未満であることが好ましい。無機材料層16の厚さが100nm未満であると、アルミニウム膜18に欠陥(主にボイド、すなわち結晶粒間の間隙)が生じることがある。また、無機材料層16の厚さが500nm以上であると、アルミニウム基材12の表面状態によって、アルミニウム基材12とアルミニウム膜18との間が絶縁されやすくなる。アルミニウム基材12側からアルミニウム膜18に電流を供給することによってアルミニウム膜18の陽極酸化を行うためには、アルミニウム基材12とアルミニウム膜18との間に電流が流れる必要がある。円筒状のアルミニウム基材12の内面から電流を供給する構成を採用すると、アルミニウム膜18に電極を設ける必要がないので、アルミニウム膜18を全面にわたって陽極酸化できるとともに、陽極酸化の進行に伴って電流が供給され難くなるという問題も起こらず、アルミニウム膜18を全面にわたって均一に陽極酸化することができる。
また、厚い無機材料層16を形成するためには、一般的には成膜時間を長くする必要がある。成膜時間が長くなると、アルミニウム基材12の表面温度が不必要に上昇し、その結果、アルミニウム膜18の膜質が悪化し、欠陥(主にボイド)が生じることがある。無機材料層16の厚さが500nm未満であれば、このような不具合の発生を抑制することもできる。
アルミニウム膜18は、例えば、特許文献3に記載されているように、純度が99.99mass%以上のアルミニウムで形成された膜(以下、「高純度アルミニウム膜」ということがある。」)である。アルミニウム膜18は、例えば、真空蒸着法またはスパッタ法を用いて形成される。アルミニウム膜18の厚さは、約500nm以上約1500nm以下の範囲にあることが好ましく、例えば、約1μmである。
また、アルミニウム膜18として、高純度アルミニウム膜に代えて、特許文献4に記載されている、アルミニウム合金膜を用いてもよい。特許文献4に記載のアルミニウム合金膜は、アルミニウムと、アルミニウム以外の金属元素と、窒素とを含む。本明細書において、「アルミニウム膜」は、高純度アルミニウム膜だけでなく、特許文献4に記載のアルミニウム合金膜を含むものとする。
上記アルミニウム合金膜を用いると、反射率が80%以上の鏡面を得ることができる。アルミニウム合金膜を構成する結晶粒の、アルミニウム合金膜の法線方向から見たときの平均粒径は、例えば、100nm以下であり、アルミニウム合金膜の最大表面粗さRmaxは60nm以下である。アルミニウム合金膜に含まれる窒素の含有率は、例えば、0.5mass%以上5.7mass%以下である。アルミニウム合金膜に含まれるアルミニウム以外の金属元素の標準電極電位とアルミニウムの標準電極電位との差の絶対値は0.64V以下であり、アルミニウム合金膜中の金属元素の含有率は、1.0mass%以上1.9mass%以下であることが好ましい。金属元素は、例えば、TiまたはNdである。但し、金属元素はこれに限られず、金属元素の標準電極電位とアルミニウムの標準電極電位との差の絶対値が0.64V以下である他の金属元素(例えば、Mn、Mg、Zr、VおよびPb)であってもよい。さらに、金属元素は、Mo、NbまたはHfであってもよい。アルミニウム合金膜は、これらの金属元素を2種類以上含んでもよい。アルミニウム合金膜は、例えば、DCマグネトロンスパッタ法で形成される。アルミニウム合金膜の厚さも約500nm以上約1500nm以下の範囲にあることが好ましく、例えば、約1μmである。
次に、図2(b)に示すように、アルミニウム膜18の表面18sを陽極酸化することによって、複数の凹部(細孔)14pを有するポーラスアルミナ層14を形成する。ポーラスアルミナ層14は、凹部14pを有するポーラス層と、バリア層(凹部(細孔)14pの底部)とを有している。隣接する凹部14pの間隔(中心間距離)は、バリア層の厚さのほぼ2倍に相当し、陽極酸化時の電圧にほぼ比例することが知られている。この関係は、図2(e)に示す最終的なポーラスアルミナ層14についても成立する。
ポーラスアルミナ層14は、例えば、酸性の電解液中で表面18sを陽極酸化することによって形成される。ポーラスアルミナ層14を形成する工程で用いられる電解液は、例えば、蓚酸、酒石酸、燐酸、硫酸、クロム酸、クエン酸、リンゴ酸からなる群から選択される酸を含む水溶液である。例えば、アルミニウム膜18の表面18sを、蓚酸水溶液(濃度0.3mass%、液温10℃)を用いて、印加電圧80Vで55秒間陽極酸化を行うことにより、ポーラスアルミナ層14を形成する。
次に、図2(c)に示すように、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより凹部14pの開口部を拡大する。エッチング液の種類・濃度、およびエッチング時間を調整することによって、エッチング量(すなわち、凹部14pの大きさおよび深さ)を制御することができる。エッチング液としては、例えば10mass%の燐酸や、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸や硫酸の水溶液やクロム酸燐酸混合水溶液を用いることができる。例えば、燐酸水溶液(10mass%、30℃)を用いて20分間エッチングを行う。
次に、図2(d)に示すように、再び、アルミニウム膜18を部分的に陽極酸化することにより、凹部14pを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層14を厚くする。ここで凹部14pの成長は、既に形成されている凹部14pの底部から始まるので、凹部14pの側面は階段状になる。
さらにこの後、必要に応じて、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによってさらにエッチングすることにより凹部14pの孔径をさらに拡大する。エッチング液としては、ここでも上述したエッチング液を用いることが好ましく、現実的には、同じエッチング浴を用いればよい。
このように、上述した陽極酸化工程およびエッチング工程を交互に複数回(例えば5回:陽極酸化を5回とエッチングを4回)繰り返すことによって、図2(e)に示すように、反転されたモスアイ構造を有するポーラスアルミナ層14を有するモスアイ用型100Aが得られる。陽極酸化工程で終わることによって、凹部14pの底部を点にできる。すなわち、先端が尖った凸部を形成することができる型が得られる。
図2(e)に示すポーラスアルミナ層14(厚さtp)は、ポーラス層(厚さは凹部14pの深さDdに相当)とバリア層(厚さtb)とを有する。ポーラスアルミナ層14は、合成高分子膜34Aが有するモスアイ構造を反転した構造を有するので、その大きさを特徴づける対応するパラメータに同じ記号を用いることがある。
ポーラスアルミナ層14が有する凹部14pは、例えば円錐形であり、階段状の側面を有してもよい。凹部14pの二次元的な大きさ(表面の法線方向から見たときの凹部の面積円相当径)Dpは20nm超500nm未満で、深さDdは50nm以上1000nm(1μm)未満程度であることが好ましい。また、凹部14pの底部は尖っている(最底部は点になっている)ことが好ましい。凹部14pは密に充填されている場合、ポーラスアルミナ層14の法線方向から見たときの凹部14pの形状を円と仮定すると、隣接する円は互いに重なり合い、隣接する凹部14pの間に鞍部が形成される。なお、略円錐形の凹部14pが鞍部を形成するように隣接しているときは、凹部14pの二次元的な大きさDpは隣接間距離Dintと等しい。ポーラスアルミナ層14の厚さtpは、例えば、約1μm以下である。
なお、図2(e)に示すポーラスアルミナ層14の下には、アルミニウム膜18のうち、陽極酸化されなかったアルミニウム残存層18rが存在している。必要に応じて、アルミニウム残存層18rが存在しないように、アルミニウム膜18を実質的に完全に陽極酸化してもよい。例えば、無機材料層16が薄い場合には、アルミニウム基材12側から容易に電流を供給することができる。
ここで例示したモスアイ用型の製造方法は、特許文献2〜4に記載の反射防止膜を作製するための型を製造することができる。高精細な表示パネルに用いられる反射防止膜には、高い均一性が要求されるので、上記のようにアルミニウム基材の材料の選択、アルミニウム基材の鏡面加工、アルミニウム膜の純度や成分の制御を行うことが好ましいが、殺菌作用に高い均一性は求められないので、上記の型の製造方法を簡略化することができる。例えば、アルミニウム基材の表面を直接、陽極酸化してもよい。また、このときアルミニウム基材に含まれる不純物の影響でピットが形成されても、最終的に得られる合成高分子膜34Aのモスアイ構造に局所的な構造の乱れが生じるだけで、殺菌作用に与える影響はほとんどないと考えられる。
また、上述の型の製造方法によると、反射防止膜の作製に好適な、凹部の配列の規則性が低い型を製造することができる。モスアイ構造の殺菌性を利用する場合には、凸部の配列の規則性は影響しないと考えられる。規則的に配列された凸部を有するモスアイ構造を形成するための型は、例えば、以下のようにして製造することができる。
例えば厚さが約10μmのポーラスアルミナ層を形成した後、生成されたポーラスアルミナ層をエッチングにより除去してから、上述のポーラスアルミナ層を生成する条件で陽極酸化を行えばよい。厚さが10μmのポーラスアルミナ層は、陽極酸化時間を長くすることによって形成される。このように比較的厚いポーラスアルミナ層を生成し、このポーラスアルミナ層を除去すると、アルミニウム膜またはアルミニウム基材の表面に存在するグレインによる凹凸や加工ひずみの影響を受けることなく、規則的に配列された凹部を有するポーラスアルミナ層を形成することができる。なお、ポーラスアルミナ層の除去には、クロム酸と燐酸との混合液を用いることが好ましい。長時間にわたるエッチングを行うとガルバニック腐食が発生することがあるが、クロム酸と燐酸との混合液はガルバニック腐食を抑制する効果がある。
図1(b)に示した合成高分子膜34Bを形成するためのモスアイ用型も、基本的に、上述した陽極酸化工程とエッチング工程とを組み合わせることによって製造することができる。図3(a)〜(c)を参照して、合成高分子膜34Bを形成するための、モスアイ用型100Bの製造方法を説明する。
まず、図2(a)および(b)を参照して説明したのと同様に、型基材10を用意し、アルミニウム膜18の表面18sを陽極酸化することによって、複数の凹部(細孔)14pを有するポーラスアルミナ層14を形成する。
次に、図3(a)に示すように、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより凹部14pの開口部を拡大する。このとき、図2(c)を参照して説明したエッチング工程よりも、エッチング量を少なくする。すなわち、凹部14pの開口部の大きさを小さくする。例えば、燐酸水溶液(10mass%、30℃)を用いて10分間エッチングを行う。
次に、図3(b)に示すように、再び、アルミニウム膜18を部分的に陽極酸化することにより、凹部14pを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層14を厚くする。このとき、図2(d)を参照して説明した陽極酸化工程よりも、凹部14pを深く成長させる。例えば、蓚酸水溶液(濃度0.3mass%、液温10℃)を用いて、印加電圧80Vで165秒間陽極酸化を行う(図2(d)では55秒間)。
その後、図2(e)を参照して説明したのと同様に、エッチング工程および陽極酸化工程を交互に複数回くり返す。例えば、エッチング工程を3回、陽極酸化工程を3回、交互に繰り返すことによって、図3(c)に示すように、反転されたモスアイ構造を有するポーラスアルミナ層14を有するモスアイ用型100Bが得られる。このとき、凹部14pの二次元的な大きさDpは隣接間距離Dintより小さい(Dp<Dint)。
微生物の大きさはその種類によって異なる。例えば緑膿菌の大きさは約1μmであるが、細菌には、数100nm〜約5μmの大きさのものがあり、真菌は数μm以上である。例えば、2次元的な大きさが約200nmの凸部は、約0.5μm以上の大きさの微生物に対しては殺菌作用を有すると考えられるが、数100nmの大きさの細菌に対しては、凸部が大きすぎるために十分な殺菌作用を発現しない可能性がある。また、ウィルスの大きさは数10nm〜数100nmであり、100nm以下のものも多い。なお、ウィルスは細胞膜を有しないが、ウィルス核酸を取り囲むカプシドと呼ばれるタンパク質の殻を有している。ウィルスは、この殻の外側に膜状のエンベロープを有するウィルスと、エンベロープを有しないウィルスとに分けられる。エンベロープを有するウィルスにおいては、エンベロープは主として脂質からなるので、エンベロープに対して凸部が同様に作用すると考えられる。エンベロープを有するウィルスとして、例えば、インフルエンザウィルスやエボラウィルスが挙げられる。エンベロープを有しないウィルスにおいては、このカプシドと呼ばれるタンパク質の殻に対して凸部が同様に作用すると考えられる。凸部が窒素元素を有すると、アミノ酸から構成されるタンパク質との親和性が強くなり得る。
そこで、数100nm以下の微生物に対しても殺菌作用を発現し得る凸部を有する合成高分子膜の構造およびその製造方法を以下に説明する。
以下では、上記で例示した合成高分子膜が有する、2次元的な大きさが20nm超500nm未満の範囲にある凸部を第1の凸部という。また、第1の凸部に重畳して形成された凸部を第2の凸部といい、第2の凸部の2次元的な大きさは、第1の凸部の2次元的な大きさよりも小さく、かつ、100nmを超えない。なお、第1の凸部の2次元的な大きさが100nm未満、特に50nm未満の場合には、第2の凸部を設ける必要はない。また、第1の凸部に対応する型の凹部を第1の凹部といい、第2の凸部に対応する型の凹部を第2の凹部という。
上述の陽極酸化工程とエッチング工程とを交互に行うことによって、所定の大きさおよび形状の第1の凹部を形成する方法をそのまま適用しても、第2の凹部を形成することができない。
図4(a)にアルミニウム基材(図2中の参照符号12)の表面のSEM像を示し、図4(b)にアルミニウム膜(図2中の参照符号18)の表面のSEM像を示し、図4(c)にアルミニウム膜(図2中の参照符号18)の断面のSEM像を示す。これらのSEM像からわかるように、アルミニウム基材の表面およびアルミニウム膜の表面に、グレイン(結晶粒)が存在している。アルミニウム膜のグレインは、アルミニウム膜の表面に凹凸を形成している。この表面の凹凸は、陽極酸化時の凹部の形成に影響を与えるので、DpまたはDintが100nmよりも小さい第2の凹部の形成を妨げる。
そこで、本発明の実施形態による型の製造方法は、(a)アルミニウム基材または支持体の上に堆積されたアルミニウム膜を用意する工程と、(b)アルミニウム基材またはアルミニウム膜の表面を電解液に接触させた状態で、第1のレベルの電圧を印加することによって、第1の凹部を有するポーラスアルミナ層を形成する陽極酸化工程と、(c)工程(b)の後に、ポーラスアルミナ層をエッチング液に接触させることによって、第1の凹部を拡大させるエッチング工程と、(d)工程(c)の後に、ポーラスアルミナ層を電解液に接触させた状態で、第1のレベルよりも低い第2のレベルの電圧を印加することによって、第1の凹部内に、第2の凹部を形成する工程とを包含する。例えば、第1のレベルは、40V超であり、第2のレベルは、20V以下である。
すなわち、第1のレベルの電圧での陽極酸化工程で、アルミニウム基材またはアルミニウム膜のグレインの影響を受けない大きさを有する第1の凹部を形成し、その後、エッチングによってバリア層の厚さを小さくしてから、第1のレベルよりも低い第2のレベルの電圧での陽極酸化工程で、第1の凹部内に第2の凹部を形成する。このような方法で、第2の凹部を形成すると、グレインによる影響が排除される。
図5を参照して、第1の凹部14paと、第1の凹部14pa内に形成された第2の凹部14pbとを有する型を説明する。図5(a)は型のポーラスアルミナ層の模式的な平面図であり、図5(b)は模式的な断面図であり、図5(c)は試作した型のSEM像を示す。
図5(a)および(b)に示すように、本実施形態による型の表面は、2次元的な大きさは20nm超500nm未満の範囲内にある複数の第1の凹部14paと、複数の第1の凹部14paに重畳して形成された複数の第2の凹部14pbをさらに有している。複数の第2の凹部14pbの2次元的な大きさは、複数の第1の凹部14paの2次元的な大きさよりも小さく、かつ、100nmを超えない。第2の凹部14pbの高さは、例えば、20nm超100nm以下である。第2の凹部14pbも、第1の凹部14paと同様に、略円錐形の部分を含むことが好ましい。
図5(c)に示すポーラスアルミナ層は、以下の様にして製造した。
アルミニウム膜として、Tiを1mass%含むアルミニウム膜を用いた。陽極酸化液には蓚酸水溶液(濃度0.3mass%、温度10℃)を使用して、エッチング液には、燐酸水溶液(濃度10mass%、温度30℃)を使用した。電圧80Vにおける陽極酸化を52秒間行った後、エッチングを25分間、続いて、電圧80Vにおける陽極酸化を52秒間、エッチング25分間を行った。この後、20Vにおける陽極酸化を52秒間、エッチングを5分間、さらに、20Vにおける陽極酸化を52秒間行った。
図5(c)からわかるように、Dpが約200nmの第1の凹部の中に、Dpが約50nmの第2の凹部が形成されている。上記の製造方法において、第1のレベルの電圧を80Vから45Vに変更して、ポーラスアルミナ層を形成したところ、Dpが約100nmの第1の凹部の中に、Dpが約50nmの第2の凹部が形成された。
このような型を用いて合成高分子膜を作製すると、図5(a)および(b)に示した第1の凹部14paおよび第2の凹部14pbの構造を反転した凸部を有する合成高分子膜が得られる。すなわち、複数の第1の凸部に重畳して形成された複数の第2の凸部をさらに有する合成高分子膜が得られる。
このように第1の凸部と、第1の凸部に重畳して形成された第2の凸部を有する合成高分子膜は、100nm程度の比較的小さな微生物から、5μm以上の比較的大きな微生物に対して殺菌作用を有し得る。
もちろん、対象とする微生物の大きさに応じて、2次元的な大きさが20nm超100nm未満の範囲内にある凹部だけを形成してもよい。このような凸部を形成するための型は、例えば、以下の様にして作製することができる。
酒石酸アンモニウム水溶液などの中性塩水溶液(ホウ酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなど)や、イオン解離度の小さい有機酸(マレイン酸、マロン酸、フタル酸、クエン酸、酒石酸など)を用いて陽極酸化を行い、バリア型陽極酸化膜を形成し、バリア型陽極酸化膜をエッチングによって除去した後、所定の電圧(上記の第2のレベルの電圧)で陽極酸化することによって、2次元的な大きさが20nm超100nm未満の範囲内にある凹部を形成することができる。
例えば、アルミニウム膜として、Tiを1mass%含むアルミニウム膜を用い、酒石酸水溶液(濃度0.1mol/l、温度23℃)を用いて、100Vにおいて2分間、陽極酸化を行うことによってバリア型陽極酸化膜を形成する。この後、燐酸水溶液(濃度10mass%、温度30℃)を用いて25分間、エッチングすることによって、バリア型陽極酸化膜を除去する。その後、上記と同様に、陽極酸化液には蓚酸水溶液(濃度0.3mass%、温度10℃)を使用し、20Vにおける陽極酸化を52秒間、上記エッチング液を用いたエッチングを5分間、交互に、陽極酸化を5回、エッチングを4回繰り返すことによって、2次元的な大きさが約50nmの凹部を均一に形成することができる。
上述のようにして、種々のモスアイ構造を形成することができるモスアイ用型を製造することができる。
次に、図6を参照して、モスアイ用型100を用いた合成高分子膜の製造方法を説明する。図6は、ロール・ツー・ロール方式により合成高分子膜を製造する方法を説明するための模式的な断面図である。
まず、円筒状のモスアイ用型100を用意する。なお、円筒状のモスアイ用型100は、例えば図2を参照して説明した製造方法で製造される。
図6に示すように、紫外線硬化樹脂34'が表面に付与されたベースフィルム42を、モスアイ用型100に押し付けた状態で、紫外線硬化樹脂34'に紫外線(UV)を照射することによって紫外線硬化樹脂34'を硬化する。紫外線硬化樹脂34'としては、例えばアクリル系樹脂を用いることができる。ベースフィルム42は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムまたはTAC(トリアセチルセルロース)フィルムである。ベースフィルム42は、図示しない巻き出しローラから巻き出され、その後、表面に、例えばスリットコータ等により紫外線硬化樹脂34'が付与される。ベースフィルム42は、図6に示すように、支持ローラ46および48によって支持されている。支持ローラ46および48は、回転機構を有し、ベースフィルム42を搬送する。また、円筒状のモスアイ用型100は、ベースフィルム42の搬送速度に対応する回転速度で、図6に矢印で示す方向に回転される。
その後、ベースフィルム42からモスアイ用型100を分離することによって、モスアイ用型100の反転されたモスアイ構造が転写された合成高分子膜34がベースフィルム42の表面に形成される。表面に合成高分子膜34が形成されたベースフィルム42は、図示しない巻き取りローラにより巻き取られる。
合成高分子膜34の表面は、モスアイ用型100のナノ表面構造を反転したモスアイ構造を有する。用いるモスアイ用型100のナノ表面構造に応じて、図1(a)および(b)に示した合成高分子膜34Aおよび34Bを作製することができる。合成高分子膜34を形成する材料は、紫外線硬化性樹脂に限られず、可視光で硬化可能な光硬化性樹脂を用いることもできるし、熱硬化性樹脂を用いることもできる。
表面にモスアイ構造を有する合成高分子膜の殺菌性は、合成高分子膜の物理的構造のみならず、合成高分子膜の化学的性質とも相関関係を有する。例えば、本願出願人は、化学的な性質として、合成高分子膜の表面の接触角(特許公報1:特許第5788128号)や表面に含まれる窒素元素の濃度(国際公開公報2:国際公開第2016/080245号)との相関関係を見出した。国際公開公報2に記載されているように、表面における窒素元素の濃度は0.7at%以上であることが好ましい。参考のために、上記特許公報1および国際公開公報2の開示内容の全てを本明細書に援用する。
図7に上記国際公開公報2(図8)に示されているSEM像を示す。図7(a)および(b)は、図1(a)に示したモスアイ構造を有する表面で死に至った緑膿菌をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したSEM像を示す図である。
これらのSEM像を見ると、凸部の先端部分が緑膿菌の細胞壁(外膜)内に侵入している様子が見て取れる。また、図7(a)および図7(b)を見ると、凸部が細胞壁を突き破ったように見えず、凸部が細胞壁に取り込まれたかのように見える。これは、非特許文献1のSupplemental Informationにおいて示唆されているメカニズムで説明されるかもしれない。すなわち、グラム陰性菌の外膜(脂質二重膜)が凸部と近接して変形することによって、脂質二重膜が局所的に1次の相転移に似た転移(自発的な再配向)を起こし、凸部に近接する部分に開口が形成され、この開口に凸部が侵入したのかもしれない。あるいは、細胞が有する、極性を有する物質(栄養源を含む)を取り込む機構(エンドサイトーシス)によって、凸部が取り込まれたのかもしれない。
なお、これまでに、本出願人が製造販売している液晶テレビの表面に配置されている反射防止膜は、親水性を有している。これは、モスアイ構造に付着した指紋などの油脂を拭き取りやすくするためである。モスアイ構造が親水性でないと、水系の洗浄液が、モスアイ構造の凸部の間に効果的に侵入できず、油脂を拭き取ることができない。
本発明者の検討によると、従来の反射防止膜に用いられているような親水性を有する合成高分子膜は、耐水性に問題があることがわかった。例えば、図1(a)に示した構造を有するフィルム50Aを長時間(例えば一昼夜)にわたって水と接触させておくと、フィルム50A全体がカールしたり、あるいは、合成高分子膜34Aがベースフィルム(例えばPETフィルム)42Aから剥がれたりすることがある。また、合成高分子膜を一定の時間水に接触させておくと、合成高分子膜の殺菌効果が低下することがある。
そこで本発明による実施形態では、合成高分子膜34Aを形成する樹脂の組成を変えて、フィルム50Aの耐水性を向上させることを検討した。以下でも、合成高分子膜34Aを形成する材料としてアクリル樹脂(紫外線硬化性を有する)を用いた。
[1]カールおよび/または膜剥がれの抑制
まず、合成高分子膜とベースフィルムとを有するフィルムを一定の時間水と接触させたときに、フィルム全体がカールすること、および/または、合成高分子膜がベースフィルムから剥がれることを抑制することを検討した。
ここでは、アクリル樹脂は、ウレタンアクリレートと、エチレンオキサイド基またはエチレンオキサイド単位(エチレンオキサイドが開環した構造単位を言う。以下、「EO単位」ということがある。)の含有率が異なるアクリル樹脂とを混合し、アクリル樹脂全体に含まれるEO単位の割合を調整した。EO単位が多いと、合成高分子膜34Aは可撓性および親水性に富む膜になるが、EO単位が多過ぎると、親水性が強くなり過ぎることになる。そこで、EO単位を従来の反射防止膜用のフィルムよりも少なくすることによって、フィルムのカールおよび/または膜剥がれの発生を抑制することを検討した。
[合成高分子膜]
図1(a)に示したフィルム50Aと同様の構造を有する試料フィルムを用意した。モスアイ構造を表面に有する合成高分子膜34Aを作製するアクリル樹脂(アクリレートモノマーまたはアクリレートオリゴマー)として、下記の表1に示す樹脂A1〜A5、B、C1〜C2、DおよびEの10種類を用いた。以下、試料フィルムの名称にも樹脂と同じA1〜A5、B、C1〜C2、DおよびEを付して特定することにする。表1に各樹脂の組成を示す(表1中の%は質量%)。アクリル樹脂I〜Vの化学構造式を[化1]〜[化5]にそれぞれ示す。表1には、アクリル樹脂I〜Vのそれぞれの分子量(MW)と1分子中に含まれるEO単位の数を示すとともに、樹脂A1〜A5、B、C1〜C2、DおよびEのそれぞれ1gに含まれるEO単位のモル数を示す。表1は、EO単位のモル数が少ないものから順に記載している。また、表1には、樹脂A1〜A5、B、C1〜C2、DおよびEのそれぞれについて、組成と化学式に基づいて算出した窒素元素at%を示している。表1には、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の窒素元素濃度と、窒素元素全てを含めて(すなわち、第3級アミンを形成する窒素元素も含めて)計算した窒素元素濃度とを併記している。
各樹脂A1〜Eは、MEK(丸善石油化学株式会社製)に溶解し、固形分70質量%の溶液とし、ベースフィルム42A上に付与し、MEKを加熱除去することによって、厚さが約25μm〜50μmの膜を得た(試料フィルムC2だけ厚さ3μm)。なお、ベースフィルム42Aとしては、厚さが50μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製A4300)を用いた。その後、図6を参照して説明したのと同様の方法で、モスアイ用型100Aを用いて、表面にモスアイ構造を有する合成高分子膜34Aを作製した。露光量は約200mJ/cm2とした。各試料フィルムにおけるDpは約200nm、Dintは約200nm、Dhは約150nmであった。
Figure 2017179531
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アクリル樹脂Iは、ウレタンアクリレート(新中村化学株式会社製:商品名UA−7100)であり、窒素元素を含む。[化1]に示した化学式は推定による。アクリル樹脂Iは、EO単位の繰り返し構造(繰り返し数は9)を含む。アクリル樹脂Iは、3官能ウレタンアクリレートである。アクリル樹脂Iは、窒素元素を含む複素環(ヘテロ環)であるシアヌル環を含む。
アクリル樹脂IIは、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(新中村化学株式会社製:商品名A93001CL)で、窒素元素を含む。アクリル樹脂IIは、EO単位を含むが、EO単位の繰り返し構造を含まない。アクリル樹脂IIは、3官能アクリレートである。アクリル樹脂IIは、窒素元素を含む複素環であるシアヌル環を含む。
アクリル樹脂III〜Vは窒素元素を含まない。アクリル樹脂IIIは、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学株式会社製:商品名ATM-35E)、アクリル樹脂IVは4-ヒドロキシブチルアクリレート(新中村化学株式会社製:略称4-HBA)、アクリル樹脂Vは、ペンタエリスリトールトリアクリレート(トリエステル57%)(新中村化学株式会社:A-TMM-3LM-N)である。
アクリル樹脂IIIは、EO単位の繰り返し構造(繰り返し数は35以下)を含む。アクリル樹脂IIIは、4官能アクリレートである。アクリル樹脂IVおよびVは、EO単位を有しない。アクリル樹脂IVは、1官能アクリレートである。アクリル樹脂IVは、1官能アクリレートである。アクリル樹脂Vは、3官能アクリレートである。アクリル樹脂III〜Vは、環状構造を含まない。
アクリル樹脂I〜Vのそれぞれを用いて合成高分子膜34Aを作製する際には、重合開始剤として、BASF社製のIRGACURE819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、分子量418.5)を用いた。
各試料フィルムA〜Eについて、以下の様に評価した。
[殺菌性の評価]
試料フィルムの殺菌性は以下の様にして評価した。
1.冷凍保存された緑膿菌付きのビーズ(独立行政法人 製品評価技術基盤機構から購入)を37℃の培養液中に24時間浸漬することによって解凍
2.遠心分離(3000rpm、10分間)
3.培養液の上澄み液を捨てる
4.滅菌水を入れて撹拌した後、再び遠心分離
5.上記2〜4の操作を3回繰り返すことによって菌原液(菌数は1E+08CFU/mLのオーダー)を得る
6.菌希釈液A(菌数は1E+06CFU/mLのオーダー)を調製
菌希釈液A:菌原液100μL+滅菌水9.9mL
7.菌希釈液Aに、栄養源としてNB培地(栄研化学株式会社製、普通ブイヨン培地E−MC35)を1/500の濃度になるように添加し、10倍に希釈した菌希釈液B(菌数は1E+05CFU/mLのオーダー)を調製(JISZ2801の5.4a)に準拠)
菌希釈液B:菌希釈液A1mL+滅菌水8.98mL+NB培地20μL
8.菌希釈液B(この時の菌希釈液B中の菌数を「初期菌数」ということがある)を各試料フィルム上に400μLを滴下し、菌希釈液B上にカバー(例えばカバーガラス)を配置し、単位面積当たりの菌希釈液Bの量を調整
ここでは、初期菌数を3.5E+05CFU/mLとした。
9.一定時間37℃、相対湿度100%の環境で放置する(放置時間:4時間、24時間)
10.菌希釈液Bが付いた試料フィルム全体と滅菌水9.6mLとを濾過袋に入れ、濾過袋の上から手で揉んで、試料フィルムの菌を十分に洗い流す。濾過袋の中の洗い出し液は、菌希釈液Bが25倍に希釈されたものである。この洗い出し液を菌希釈液B2ということがある。菌希釈液B2は、菌希釈液B中の菌数の増減がない場合は、菌数1E+04CFU/mLのオーダーとなる。
11.菌希釈液B2を10倍希釈して菌希釈液Cを調製する。具体的には、洗い出し液(菌希釈液B2)120μLを滅菌水1.08mLに入れて調製する。菌希釈液Cは、菌希釈液B中の菌数の増減がない場合は、菌数1E+03CFU/mLのオーダーとなる。
12.菌希釈液Cの調製と同じ方法で、菌希釈液Cを10倍希釈して菌希釈液Dを調製する。菌希釈液Dは、菌希釈液B中の菌数の増減がない場合は、菌数1E+02CFU/mLのオーダーとなる。さらに、菌希釈液Dを10倍希釈して菌希釈液Eを調製する。菌希釈液Eは、菌希釈液B中の菌数の増減がない場合は、菌数1E+01CFU/mLのオーダーとなる。
13.菌希釈液B2および菌希釈液C〜Eをペトリフィルム(登録商標)培地(3M社製、製品名:生菌数測定用ACプレート)に1mLを滴下して、37℃、相対湿度100%で培養して48時間後に菌希釈液B2中の菌数をカウントする。
なお、JISZ2801の5.6h)では、希釈液を調製する際にリン酸緩衝生理食塩水を用いるが、ここでは滅菌水を用いた。滅菌水を用いても、試料フィルムの表面の物理的構造および化学的性質による殺菌効果を調べられることを確認している。
[抗菌性の評価]
JIS Z 2801に準拠し、24時間培養後の菌数から求めた抗菌活性値が2.0以上(99%以上の死滅率)で、抗菌効果があるとした。参照フィルムとしては、ベースフィルム(PETフィルム)を用いた。抗菌活性値は、PETフィルムの24時間培養後菌数を各試料フィルムの24時間培養後菌数で除した数の対数値である。
図8は殺菌性の評価結果を示すグラフである。図8において、横軸は放置時間(時間)であり、縦軸は菌希釈液B2中の菌数(CFU/mL)を示す。なお、図8では、見やすさのために、菌数が0(N.D.)の場合は0.1としてプロットしている。また、下記の表2に培養後の菌数と抗菌活性値とを示す。なお、試料フィルムC1の抗菌活性値の算出には、PET2のデータを用い、それ以外の試料フィルムにはPET1のデータを用いた。
図8および表2からわかるように、試料フィルムC1以外は2.0以上の抗菌活性値を有しており、抗菌性を有している。試料フィルムC2、Bの抗菌活性値はそれぞれ2.6と3.2である。試料フィルムA1、A2およびA3の抗菌活性値は6.2であり、殺菌性を有していると言える。ここでは、抗菌活性値が6.0以上のとき、殺菌性を有するということにする。このようにして抗菌性および殺菌性を評価した結果を表1に○/×で示している。○は抗菌性または殺菌性あり、×は抗菌性または殺菌性なしをそれぞれ示す。
Figure 2017179531
[カールおよび膜剥がれの評価]
黒いアクリル板の上に、試料フィルムを置き、その上に純水を400μL滴下する。その上からスプレッダー(3M社製のペトリフィルム用のフタ)でフタをする。これらを純水を含ませた脱脂綿とともにケースに入れ、テープで密閉した。これはケースの中の環境を湿度約100%に保つためである。
恒温槽(ヤマト科学社製 IQ820)を37℃に設定し、恒温槽の中に純水を200mL入れたビーカーをセットする。これにより恒温槽中の相対湿度も約100%となる。この恒温槽の中に上記で用意したケースを4時間放置する。その後、恒温槽のスイッチを切って15時間そのままにする。15時間後に温度を確認すると室温(約20℃)まで温度が下がっていた。
室温に戻ったケース内のフィルムの様子を目視で確認する。
ケース内のフィルムがカールしているか否かおよびその程度を観察する。全くカールが見られないものを「○」、端にだけカールが見られるものを「△」、フタが浮き上がるほどカールしているものを「×」として、評価結果を表1に示す。
また、ケース内のフィルムに膜剥がれがあるか否かおよびその程度を観察する。全く膜剥がれが見られないものを「○」、一部に膜剥がれが見られるものを「△」、全体的に膜剥がれが見られるものを「×」として、評価結果を表1に示す。
表1のカール/膜剥がれの結果と、EO単位モル数との結果を比較すると、EO単位モル数が0.0100以上では、少なくとも一部に膜剥がれが発生しており、かつ、樹脂Eを用いたフィルム以外は端にカールが認められている。逆に、EO単位モル数が0.0080以下では、膜剥がれは生していない。また、樹脂A1を用いたフィルムにおいてのみ端にカールが認められたに過ぎない。これらのことから、EO単位モル数が0.0080以下とすることによって、フィルムのカールおよび/または膜剥がれの発生を抑制することができると言える。
抗菌性および殺菌性については、樹脂C1を用いたフィルム以外は、少なくとも抗菌性を有している。抗菌性の観点からは、EO単位を0.0020超含むことが好ましいと考えられる。なお、樹脂A4、A5、DおよびEについては、今回評価を行っていないが、これまでの同様のまたは類似した組成の樹脂の評価結果から、これらの樹脂はいずれも抗菌性および殺菌性を有していると考えられる。
表1には、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の窒素元素濃度と、窒素元素全てを含めて(すなわち、第3級アミンを形成する窒素元素も含めて)計算した窒素元素濃度とを併記している。抗菌性および殺菌性についての評価結果は、第3級アミンを形成する窒素元素を含めた窒素元素濃度に比べて、第1級アミンまたは第2級アミンを形成する窒素元素の窒素元素濃度と相関関係を有するように見える。この理由は、以下のように考えられる。第3級アミンを形成する窒素元素は、塩基性が低いので、合成高分子膜の殺菌性への寄与は低いと考えられる。また、窒素元素を含むアクリル樹脂IおよびIIにおいて、第3級アミンを形成する窒素元素は、環を形成している。環を形成する窒素元素は、合成高分子膜の表面から比較的遠い位置に存在し、微生物との距離が大きいので、合成高分子膜の殺菌性への寄与は低いと考えられる。
なお、上記国際公開公報2では、殺菌性の観点からは、表面における窒素元素の濃度は0.7at%以上であることが好ましいとしたが、今回、これよりも窒素元素濃度が低い樹脂を用いても殺菌性が得られることがわかった。少なくとも、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の窒素元素濃度が0.293at%以上であれば(樹脂C2)、抗菌性を有し得ると言える。小数点以下3桁目を四捨五入すると、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の窒素元素濃度が0.29at%以上であれば、抗菌性を有し得ると言える。殺菌性を有するためには、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の窒素元素濃度は0.327at%以上であることが好ましい(樹脂A1)。小数点以下3桁目を四捨五入すると、殺菌性を有するためには、第1級アミンを形成する窒素元素および第2級アミンを形成する窒素元素の合計の窒素元素濃度が0.33at%以上であることが好ましい。このとき、樹脂1gに含まれるEO単位のモル数は0.0040以上であることが好ましいと考えられる。
表1中の樹脂A1、C2、A2、B、A3は、少なくとも抗菌性を有し、かつ、カールおよび膜剥がれの発生が抑制されている。特に、アクリル樹脂I(ウレタンアクリレート)と、アクリル樹脂V(3官能アクリレート、EO単位を有しない)とを混合した樹脂A1、A2およびA3は、殺菌性を有する。このうち、樹脂A2およびA3は、耐水試験においてカールの発生もなく、最もバランスが取れている。
樹脂A1、C2、A2、B、A3は、適度な割合でEO単位を含んでいるので、親水性を有しているので、水ぶきで汚れをふき取ることができる。また、柔軟性を備えているので、優れた耐擦傷性を有する。
また、図7のSEM像からわかるように、緑膿菌が付着していない凸部は、合成高分子膜の法線方向にほぼ平行であるのに対し、緑膿菌が付着している凸部には、緑膿菌の方向へ傾いて(しなって)いるものもある。凸部が傾く(しなる)ことによって、より多くの凸部が微生物に接することができる。微生物の方向へ傾く(しなる)ことができる凸部を表面に有する合成高分子膜は、より優れた殺菌効果を有し得ると考えられる。EO単位を適度に含む樹脂は、このしなりによって、殺菌効果を発現している可能性も考えられる。
[2]合成高分子膜から水への溶出の抑制(最適開始剤の選択)
続いて、合成高分子膜の種類によっては、水と接触させたときに、合成高分子膜から一部の成分が溶出されることがあった。また、溶出量が、開始剤の種類によって大きく異なることがあった。そこで、種々の開始剤を用いて、上記のアクリル樹脂I(ウレタンアクリレート(新中村化学株式会社製:商品名UA−7100)を硬化させた試料フィルムD1〜D5を作製し、溶出量を評価した。試料フィルムD1〜D5の作製に用いた樹脂組成物の組成を表3に示す。開始剤としては、BASF社製の下記のIRGACURE(登録商標)を用いた。
IRGACURE 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド
IRGACURE TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド
IRGACURE OXE-01:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]
IRGACURE OXE-02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)
IRGACURE OXE-03:オキシムエステル系、化学構造は不明。
試料フィルムD1〜D5は、以下の様にして作製した。試料フィルムD1〜D5は平坦な表面を有する(モスアイ構造を有しない)。
ベースフィルムとして、厚さが75μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製A4300)を用意した。このPETフィルム上に、各試料フィルム用の樹脂組成物のMEK溶液を滴下し、バーコータで厚さが数十μmとなるようにほぼ均一に延ばした。その後、100℃のオーブンで1分間加熱することによって、MEKを除去した。なお、樹脂組成物のMEK溶液は、100gのアクリル樹脂Iに対してMEK(丸善石油化学株式会社製)を43g加えることによって調製した。
その後、樹脂組成物の層をPETフィルムとガラス板との間に挟み、ローラで押圧することによって、均一な厚さ(例えば、10μm〜40μm)を有する樹脂組成物の層を得た。
窒素雰囲気下で、ガラス板側から紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させた。紫外線照射には、UVランプ(Fusion UV Systems社製:Light Hammer 6 J6P3、最大出力200W/cm)を用い、出力レベル45%(50mW/cm2)で30秒間照射した。露光量は1500mJ/cm2であった。このようにして、試料フィルムD1〜D5を得た。
各試料フィルムD1〜D5の水による溶出物を以下の様にして定量した。
1.アクリル基板上に配置した各試料フィルムD1〜D5の上に純水を2mL滴下し、プラスチック製のフタを被せた。フタは深さが約50μmの凹部を有し、各試料フィルムD1〜D5と凹部との間に形成される空間内に純水が位置するように、フタを被せた。この状態で、各試料フィルムD1〜D5をそれぞれ、相対湿度が90%以上の密閉容器内に配置した。密閉容器内には、純水を十分に含んだ脱脂綿などを配置し、相対湿度を90%以上に保った。
2.各試料フィルムD1〜D5を収容した密閉容器を37℃の恒温槽内に24時間放置した。
3.恒温槽から取り出した密閉容器を空け、上記フタを外し、各試料フィルムD1〜D5上の水を採取した。
4.水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance:QCM)の周波数変化量より、1μLの水に含まれていた蒸発残留物の量を算出した。水100mL当りの溶出物(蒸発残留物)の質量(mg)を算出し、表4に示した。
表4からわかるように、試料フィルムD3は、水によって溶出される成分が最も少なく、水と接触した際の安定性が最も優れていると言える。このことから、開始剤としては、BASF社製のIRGACURE 819よりもIRGACURE OXE-01が好ましいと言える。
また、試料フィルムD3と同じ樹脂組成物を用いて、上記と同様の方法で、図1(a)に示したモスアイ構造を有する合成高分子膜34Aを作製し、試料フィルムD6を得た。試料フィルムD6におけるDpは約200nm、Dintは約200nm、Dhは約150nmであった。得られた試料フィルムD6について、上記と同様にして抗菌活性値を求めたところ、5.8であり、IRGACURE 819を用いて硬化した試料フィルム(表2中の試料フィルムA1、A2およびA3参照)と同等の殺菌性を有することがわかった。
IRGACURE OXE-01は、紫外線照射によって分解し、生成したラジカルがアクリレート基の二重結合に付加する。具体的には、IRGACURE OXE-01は、下記の化6に示すように分解し、2種類のラジカル(原子団Aおよび原子団B)を生成する。この原子団Aおよび原子団Bが、アクリル樹脂I(ウレタンアクリレート)のアクリレート基の二重結合に付加し、ラジカル重合が開始される。
Figure 2017179531
したがって、IRGACURE OXE-01を開始剤として硬化されたアクリレート樹脂は、IRGACURE OXE-01由来の原子団Aおよび原子団B(フラグメント)を含んでいる。ここでは、3官能のウレタンアクリレート(UA−7100)が重合することによって生成されるウレタン構造がIRGACURE OXE-01由来の原子団Aおよび原子団Bを含んでいる。このようなウレタン構造を有することによって、水と接触した際に溶出される成分が少なくなると考えられる。
また、上述のカールおよび膜剥がれの発生を抑制することができるアクリル樹脂組成物において、IRGACURE 819に代えて、IRGACURE OXE-01を用いることによって、カールおよび膜剥がれの発生を抑制しつつ、水と接触した際に溶出される成分が少ない合成高分子膜が得られる。
Figure 2017179531
Figure 2017179531
本発明の実施形態による合成高分子膜は、例えば、水に接触する表面のぬめりの発生を抑制する用途に好適に用いられる。例えば、加湿器や製氷機に用いられる水用の容器の内壁に合成高分子膜を貼り付けることによって、容器の内壁にぬめりが発生することを抑制できる。ぬめりは、内壁等に付着した細菌が分泌する細胞外多糖(EPS)によって形成されるバイオフィルムに起因している。したがって、内壁等へ付着した細菌を殺すことによって、ぬめりの発生を抑制することができる。
上述したように、本発明の実施形態による合成高分子膜の表面に液体を接触させることによって、液体を殺菌することができる。同様に、合成高分子膜の表面に気体を接触させることによって、気体を殺菌することもできる。微生物は一般に栄養源である有機物と接触する確率を増やすために、物体の表面に付着しやすい表面構造を有している。したがって、本発明の実施形態による合成高分子膜の殺菌性を有する表面に、微生物を含む気体や液体を接触させると、微生物は合成高分子膜の表面に付着しようとするので、その際に、殺菌作用を受けることになる。
ここでは、グラム陰性菌である緑膿菌について、本発明の実施形態による合成高分子膜の殺菌作用を説明したが、グラム陰性菌に限られず、グラム陽性菌や他の微生物に対しても殺菌作用を有すると考えられる。グラム陰性菌は、外膜を含む細胞壁を有する点に1つの特徴を有するが、グラム陽性菌や他の微生物(細胞壁を有しないものを含む)も細胞膜を有し、細胞膜もグラム陰性菌の外膜と同様に脂質二重膜で構成されている。したがって、本発明の実施形態による合成高分子膜の表面の凸部と細胞膜との相互作用は、基本的には、外膜との相互作用と同様であると考えられる。
本発明の実施形態による殺菌性表面を有する合成高分子膜は、例えば、水回りの表面を殺菌する用途など、種々の用途に用いられ得る。本発明の実施形態による殺菌性表面を有する合成高分子膜は、安価に製造され得る。
34A、34B 合成高分子膜
34Ap、34Bp 凸部
42A、42B ベースフィルム
50A、50B フィルム
100、100A、100B モスアイ用型

Claims (5)

  1. 複数の凸部を有する表面を備える合成高分子膜であって、
    前記合成高分子膜の法線方向から見たとき、前記複数の凸部の2次元的な大きさは20nm超500nm未満の範囲内にあり、前記表面が殺菌効果を有し、
    ウレタンアクリレート構造を含み、
    前記ウレタンアクリレート構造は、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]由来の原子団を含む、合成高分子膜。
  2. 前記ウレタンアクリレート構造は、エチレンオキサイド単位の繰り返し構造を含む、請求項1に記載の合成高分子膜。
  3. 前記ウレタンアクリレート構造は、3官能以上のウレタンアクリレートモノマーの重合体を含む、請求項1または2に記載の合成高分子膜。
  4. 前記ウレタンアクリレートモノマーは、窒素元素を含む複素環を含む、請求項3に記載の合成高分子膜。
  5. 前記複素環は、シアヌル環である、請求項4に記載の合成高分子膜。
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