JPWO2017169751A1 - 低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法 - Google Patents

低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法 Download PDF

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Abstract

至適増殖温度が50℃以上である好熱菌に、至適増殖温度が50℃以下かつ前記好熱菌の至適増殖温度よりも10℃以上低い温度である低温菌及び中温菌からなる群から選択される少なくとも1種の微生物に由来する酵素をコードするDNAを導入して、形質転換体を得る第1の工程と、50℃以上の培養温度で前記形質転換体を培養して増殖させる第2の工程と、第2の工程の後、培養温度を50℃以下かつ第2の工程の培養温度よりも10℃以上低い温度に変えて前記酵素を発現させる第3の工程と、を含む低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法。

Description

本発明は低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法に関する。
酵素は、低エネルギーで有機物を合成・分解することができ、化学合成のような副生成物を発生させないため、食品、医薬品、化粧品及び機能性材料等の様々な分野において広く用いられている。酵素を製造する方法としては、各種生物体内の酵素を抽出する方法の他、目的とする酵素をコードするDNAを宿主微生物に導入した形質転換体を培養して当該酵素を発現させる方法が知られており、前記宿主微生物としては、大腸菌や酵母菌等が従来から汎用されている。しかしながら、このような宿主微生物を用いた方法では、目的とする酵素に加えて、当該宿主微生物由来の酵素も同時に発現・活性化してしまうため、目的とする酵素の発現を制御して酵素を効率良く製造する方法の開発が望まれている。
形質転換体を用いた酵素の製造方法としては、例えば、特開2011−160778号公報(特許文献1)において、耐熱性酵素をコードしている遺伝子を用いて抗酸菌を形質転換することにより形質転換体を得る工程と前記形質転換体を加熱処理することにより固定化耐熱性酵素を得る工程とを含む製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載されている方法は超高熱菌又は好熱菌に由来する耐熱性酵素の製造方法であり、得られた酵素は高温で反応させる必要があった。
特開2011−160778号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、低温菌及び中温菌に由来する酵素をコードするDNAを導入した形質転換体の増殖段階と前記酵素の発現段階とを分けることができる低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、至適増殖温度が高温(50℃以上)の好熱菌に、至適増殖温度が低い(50℃以下かつ前記好熱菌の至適増殖温度よりも10℃以上低い)低温菌及び中温菌からなる群から選択される少なくとも1種の微生物に由来する酵素(低温菌及び中温菌由来酵素)をコードするDNAを導入して得られた形質転換体を、先ず高温(50℃以上)で培養し、次いで低温(50℃以下かつ前記高温よりも10℃以上低い温度)で培養することによって、前記形質転換体の増殖段階と前記低温菌及び中温菌由来酵素の発現段階とを分けることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法は、
至適増殖温度が50℃以上である好熱菌に、至適増殖温度が50℃以下かつ前記好熱菌の至適増殖温度よりも10℃以上低い温度である低温菌及び中温菌からなる群から選択される少なくとも1種の微生物に由来する酵素をコードするDNAを導入して、形質転換体を得る第1の工程と、
50℃以上の培養温度で前記形質転換体を培養して増殖させる第2の工程と、
第2の工程の後、培養温度を50℃以下かつ第2の工程の培養温度よりも10℃以上低い温度に変えて前記酵素を発現させる第3の工程と、
を含むものである。
本発明の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法においては、第2の工程の培養温度が55〜87℃であることが好ましく、また、第3の工程の培養温度が25〜45℃であることが好ましい。さらに、本発明の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法においては、前記形質転換体を培養する培養液のOD600が1以下であるときに第2の工程の培養温度から第3の工程の培養温度に変えることが好ましい。
本発明の酵素反応方法は、上記本発明の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法で得られた酵素と前記酵素の基質とを接触させて反応せしめるものである。
なお、本発明において、「至適増殖温度」とは、微生物が最も急速に増殖する温度を指し、各温度で微生物を一定時間培養して得られる比増殖速度が最も大きくなる温度をその微生物の至適増殖温度とすることができる。
本発明によれば、低温菌及び中温菌に由来する酵素をコードするDNAを導入した形質転換体の増殖段階と前記酵素の発現段階とを分けることができる低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法を提供することが可能となる。そのため、例えば、低温菌及び中温菌由来酵素が分泌系で発現されるように形質転換体を作製し、高温で増殖させた後に培地を交換してから培養温度を低温に変えることにより、目的の低温菌及び中温菌由来酵素を選択的に培地中に得ることができるため、酵素の回収・精製が容易となる。また、得られる低温菌及び中温菌由来酵素の最適温度付近では、宿主微生物である好熱菌由来の酵素の活性が抑制されるため、形質転換体を含む培養液をそのまま酵素反応に用いることが可能となる。
実施例1〜2及び比較例1において得られた増殖曲線である。 比較例1の第3の工程の培養開始時の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施したときの外観を撮影した写真である。 実施例1〜2及び比較例1の第3の工程の培養開始から3時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施したときの外観を撮影した写真である。 実施例1〜2及び比較例1の第3の工程の培養開始から24時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施したときの外観を撮影した写真である。 実施例3〜4及び比較例2において得られた増殖曲線である。 比較例2の第3の工程の培養開始時の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:1時間)を実施したときの外観を撮影した写真である。 実施例3〜4及び比較例2の第3の工程の培養開始から3時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:1時間)を実施したときの外観を撮影した写真である。 実施例3〜4及び比較例2の第3の工程の培養開始から6時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:1時間)を実施したときの外観を撮影した写真である。 比較例2の第3の工程の培養開始時の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:3時間)を実施したときの外観を撮影した写真である。 実施例3〜4及び比較例2の第3の工程の培養開始から3時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:3時間)を実施したときの外観を撮影した写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法は、
至適増殖温度が50℃以上である好熱菌に、至適増殖温度が50℃以下かつ前記好熱菌の至適増殖温度よりも10℃以上低い温度である低温菌及び中温菌からなる群から選択される少なくとも1種の微生物に由来する酵素(低温菌及び中温菌由来酵素)をコードするDNAを導入して、形質転換体を得る第1の工程と、
50℃以上の培養温度で前記形質転換体を培養して増殖させる第2の工程と、
第2の工程の後、培養温度を50℃以下かつ第2の工程の培養温度よりも10℃以上低い温度に変えて前記酵素を発現させる第3の工程と、
を含む。
本発明において、「好熱菌」とは、至適増殖温度が50℃以上である微生物である。このような好熱菌としては、好熱性真正細菌、超好熱性真正細菌、好熱性古細菌及び超好熱性古細菌が挙げられ、発現が容易である観点からは、宿主微生物として真性細菌を用い、下記の低温菌及び中温菌由来酵素として真正細菌由来酵素を発現させることが好ましいことから、好熱性真正細菌又は超好熱性真正細菌であることがより好ましい。なお、本発明において、好熱性とは、微生物の至適増殖温度が50℃以上80℃未満であることを指し、超好熱性とは、微生物の至適増殖温度が80℃以上であることを指す。
前記好熱性真正細菌及び超好熱性真正細菌としては、公的機関から入手可能であり、形質転換体の作製の実績がある、又は形質転換体の作製が比較的容易である傾向にある観点から、ゲオバチルス属、バチルス属、サーマス属、サーモトガ属、シュードサーモトガ属、サーモデスルフォバクテリウム属、アクウィフェクス属であることが好ましく、ゲオバチルス属、バチルス属、サーマス属、サーモトガ属であることがより好ましく、ゲオバチルス属であることが特に好ましい。
前記ゲオバチルス属としては、ゲオバチルス・サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius、至適増殖温度:55℃)、ゲオバチルス・カウストフィラス(Geobacillus kaustophilus、至適増殖温度:55℃)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus、至適増殖温度:55℃)、ゲオバチルス・サブテラネウス(Geobacillus subterraneus、至適増殖温度:55℃)、ゲオバチルス・ウゼネンシス(Geobacillus uzenensis、至適増殖温度:55℃)、ゲオバチルス・サーモカテニュラタス(Geobacillus thermocatenulatus、至適増殖温度:60℃)、ゲオバチルス・サーモデニトリフィカンス(Geobacillus thermodenitrificans、至適増殖温度:60℃)、ゲオバチルス・サーモレオボランス(Geobacillus thermoleovorans、至適増殖温度:60℃)が挙げられる。
前記バチルス属としては、バチルス・サーマンタルクティカス(Bacillus thermantarcticus、至適増殖温度:55℃)が挙げられ、前記サーマス属としては、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus、至適増殖温度:75℃)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus、至適増殖温度:70℃)が挙げられる。
また、前記サーモトガ属としては、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima 至適増殖温度:80℃)、サーモトガ・ナフトフィラ(Thermotoga naphthophila、至適増殖温度:80℃)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana、至適増殖温度:85℃)、サーモトガ・ペトロフィラ(Thermotoga petrophila、至適増殖温度:80℃)が挙げられ、前記シュードサーモトガ属としては、シュードサーモトガ・レティンガエ(Pseudothermotoga lettingae、至適増殖温度:65℃)が挙げられる。
さらに、前記サーモデスルフォバクテリウム属としては、サーモデスルフォバクテリウム・コムネ(Thermodesulfobacterium commune、至適増殖温度:70℃)が挙げられ、前記アクウィフェクス属としては、アクウィフェクス・アエオリカス(Aquifex aeolicus、至適増殖温度:85℃)、アクウィフェクス・ピロフィラス(Aquifex pyrophilus、至適増殖温度:85℃)が挙げられる。
前記好熱性古細菌及び超好熱性古細菌としては、公的機関から入手可能であり、形質転換体の作製の実績がある、又は形質転換体の作製が比較的容易である傾向にある観点から、アエロパイラム属、アルカエオグロバス属、メタノカルドコッカス属、メタノサーモバクター属、ピロコッカス属、スルフォロバス属であることが好ましい。前記アエロパイラム属としては、アエロパイラム・ペルニクス(Aeropyrum pernix、至適増殖温度:90℃)が挙げられ、前記アルカエオグロバス属としては、アルカエオグロバス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus、至適増殖温度:85℃)が挙げられ、前記メタノカルドコッカス属としては、メタノカルドコッカス・ヤナシ(Methanocaldococcus jannaschii、至適増殖温度:80℃)が挙げられ、前記メタノサーモバクター属としては、メタノサーモバクター・サームオートトロフィカス(Methanothermobacter thermautotrophicus、至適増殖温度:65℃)が挙げられる。
また、前記ピロコッカス属としては、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus、至適増殖温度:97℃)、ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii、至適増殖温度:95℃)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abysii、至適増殖温度:90℃)が挙げられ、前記スルフォロバスとしては、スルフォロバス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus、至適増殖温度:70℃)、スルフォロバス・トコダイ(Sulfolobus tokodaii、至適増殖温度:75℃)が挙げられる。
本発明に係る好熱菌の至適増殖温度としては、50℃以上であることが必要である。好熱菌の至適増殖温度が前記下限未満であると、形質転換体の増殖段階と酵素の発現段階とを分けることが困難となる。また、前記好熱菌の至適増殖温度としては、形質転換体の増殖段階と酵素の発現段階とをより区別することができ、かつ、形質転換体を増殖させるための培養がより容易であるという観点から、55〜87℃であることが好ましく、55〜65℃であることがより好ましい。
本発明において、「低温菌及び中温菌」とは、至適増殖温度が50℃以下である微生物である。また、前記低温菌とは、至適増殖温度が30℃未満である微生物を指し、前記中温菌とは、至適増殖温度が30〜50℃である微生物を指す。このような低温菌及び中温菌としては、真正細菌、古細菌、真核生物が挙げられ、発現が容易である観点からは、宿主微生物として真性細菌を用い、下記の低温菌及び中温菌由来酵素として真正細菌由来酵素を発現させることが好ましいことから、真正細菌であることがより好ましい。
前記低温菌及び中温菌としての真正細菌としては、特に制限されないが、例えば、大腸菌(Escherichia coli、至適増殖温度:37℃)、枯草菌(Bacillus subtilis、至適増殖温度:30℃)、コリネバクテリウム・グルタミウム(Corynebacterium glutamicum、至適増殖温度:28℃)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis、至適増殖温度:30℃)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum、至適増殖温度:37℃)、シュードモナス・メバロニ(Pseudomonas mevalonii、至適増殖温度:30℃)が挙げられる。前記低温菌及び中温菌としての古細菌としても、特に制限されないが、例えば、メタノサルキナ・マゼイ(Methanosarcina mazei、至適増殖温度:37℃)が挙げられる。また、前記低温菌及び中温菌としての真核生物としても、特に制限されないが、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae、至適増殖温度:25℃)が挙げられる。これらの中でも、前記低温菌及び中温菌としては、その微生物由来の酵素の使用実績が多い傾向にある観点から、大腸菌、枯草菌、クロストリジウム・アセトブチリクム、サッカロマイセス・セレビシエが好ましく、大腸菌が特に好ましい。
本発明に係る低温菌及び中温菌の至適増殖温度としては、50℃以下であり、かつ、低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAを導入する宿主細胞として用いる好熱菌の増殖温度よりも10℃以上低いことが必要である。低温菌及び中温菌の至適増殖温度が前記上限を超えると、形質転換体の増殖段階と低温菌及び中温菌由来酵素の発現段階とを分けることが困難となる。また、前記低温菌及び中温菌の至適増殖温度としては、形質転換体の増殖段階と酵素の発現段階とをより区別することができ、かつ、酵素の発現量をより多くすることができる傾向にある観点から、25〜45℃であることが好ましく、25〜40℃であることがより好ましい。
上記の好熱菌、低温菌及び中温菌は、例えば、BGSC(Bacillus Genetic Stock Center)、ATCC(The American Type Culture Collection)、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures))、NPMD(独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター)等の公的な機関や、民間販売会社から入手することができる。
本発明に係る「低温菌及び中温菌由来酵素」は、前記低温菌及び前記中温菌からなる群から選択される少なくとも1種の微生物に由来する酵素である。このような酵素としては、特に限定されないが、例えば、大腸菌由来の糖代謝系酵素、解糖系酵素、非メバロン酸経路酵素、ブタノール発酵酵素、脂肪酸合成酵素;枯草菌由来の解糖系酵素、非メバロン酸経路酵素、ブタノール発酵酵素;コリネバクテリウム・グルタミウム由来のブタノール発酵酵素、シキミ酸経路酵素;ラクトコッカス・ラクチス由来のブタノール発酵酵素;クロストリジウム・アセトブチリクム由来のアセトン−ブタノール−エタノール発酵酵素;シュードモナス・メバロニ由来のメバロン酸経路酵素;メタノサルキナ・マゼイ由来のメバロン酸経路酵素;サッカロマイセス・セレビシエ由来の解糖系酵素、エタノール発酵酵素、メバロン酸経路酵素が挙げられる。
前記大腸菌由来の糖代謝系酵素としては、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)が好ましい。また、前記大腸菌、前記枯草菌又は前記サッカロマイセス・セレビシエ由来の解糖系酵素としては、ヘキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ−1、フルクトース1,6−ビスリン酸アルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、ホスホピルビン酸ヒドラターゼ、ピルビン酸キナーゼが好ましい。
前記大腸菌又は前記枯草菌由来の非メバロン酸経路酵素としては、DOXPシンターゼ、DOXPレダクトイソメラーゼ、4−ジホスホシチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールシンターゼ、4−ジホスホヂチジル−2−C−メチル−D−エリトリトールキナーゼ、2−C−メチル−D−エリトリトール−2,4−シクロ二リン酸シンターゼ、HMB−PPシンターゼ、HMB−PPレダクターゼ、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼが好ましい。
前記大腸菌由来のブタノール発酵酵素としては、ケトール酸レダクトイソメラーゼ、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼが好ましく、前記枯草菌由来のブタノール発酵酵素としては、アセト乳酸合成酵素が好ましく、コリネバクテリウム・グルタミウム由来のブタノール発酵酵素としては、ケトール酸レダクトイソメラーゼ、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ、
アルコール脱水素酵素が好ましく、前記ラクトコッカス・ラクチス由来のブタノール発酵酵素としては、ケト酸デカルボキシラーゼが好ましい。
前記大腸菌由来の脂肪酸合成酵素としては、アセチル−CoAカルボキシラーゼ、ACP−アセチルトランスフェラーゼ、ACP−マロニルトランスフェラーゼ、β−ケトアシル−ACPシンターゼ、β−ケトアシルACPレダクターゼ、3−ヒドロキシアシルACPデヒドラーゼ、エノイルACPレダクターゼが好ましい。
前記コリネバクテリウム・グルタミウム由来のシキミ酸経路酵素としては、7−ホスホ−2−デヒドロ−3−デオキシアラビノヘプトン酸アルドラーゼ、3−デヒドロキナ酸シンターゼ、3−デヒドロキナ酸デヒドラターゼ、シキミ酸デヒドロゲナーゼ、シキミ酸キナーゼ、3−ホスホシキミ酸1−カルボキシビニルトランスフェラーゼ、コリスミ酸シンターゼ、コリスミ酸ムターゼが好ましい。
前記クロストリジウム・アセトブチリクム由来のアセトン−ブタノール−エタノール発酵酵素としては、ピルビン酸シンターゼ、チオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトニルCoAヒドラターゼ、ブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、エタノールデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ブタノールデヒドロゲナーゼ、アセト酢酸デカルボキシラーゼが好ましい。
前記シュードモナス・メバロニ由来のメバロン酸経路酵素としては、HMG−CoAレダクターゼが好ましく、メタノサルキナ・マゼイ又はサッカロマイセス・セレビシエ由来のメバロン酸経路酵素としては、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoA−アセチルトランスフェラーゼ、HMG−CoAシンターゼ、HMG−CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、5−ホスホメバロン酸キナーゼ、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ、イソペンテニル二リン酸Δ−イソメラーゼが好ましい。前記サッカロマイセス・セレビシエ由来のエタノール発酵酵素としては、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼが好ましい。
本発明に係る低温菌及び中温菌由来酵素としては、上記のうちの1種を単独で発現させても2種以上を組み合わせて発現させてもよい。これらの中でも、前記低温菌及び中温菌由来酵素としては、使用実績が多い傾向にある観点から、β−ガラクトシダーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼが好ましく、β−ガラクトシダーゼが特に好ましい。
上記の低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAの配列情報は、公的に利用可能なデータベース、例えば、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)、GenBank、EMBL(European Molecular Biology Laboratory)において入手することができる。
本発明の製造方法に係る第1の工程は、前記好熱菌に、前記低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAを導入して、形質転換体を得る工程である。前記形質転換体を得る方法としては、特に制限されず、公知の方法又は公知の方法に適宜改変を加えた条件を適宜採用することができる。例えば、目的の低温菌及び/又は中温菌から慣行法によって目的の低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAを単離し、単離したDNAを含む自己複製が可能な発現ベクターを調製して前記好熱菌に導入することによって目的の形質転換体を得ることができる。また、単離したDNAを含む発現ベクターを前記高熱菌に導入し、接合伝達等によって該DNAを前記高熱菌のゲノムに組み込むことによっても目的の形質転換体を得ることができる。
前記DNAの単離方法としては、例えば、目的の低温菌及び中温菌由来酵素の塩基配列に基づいて作製したプライマーを用いて、目的の低温菌及び/又は中温菌のゲノムDNAを鋳型としたPCRを実施し、増幅したDNA断片を適当なベクターと連結することによって所望のゲノムDNAを単離する方法;目的の低温菌及び/又は中温菌からゲノムDNA又はmRNAを抽出し、これを基に合成したcDNAを適当なベクターと連結してDNAライブラリー又はcDNAライブラリーを作製し、目的の低温菌及び中温菌由来酵素の塩基配列に基づいて作製したプローブを用いたハイブリダイゼーションによって前記ライブラリーから所望のゲノムDNA又はcDNAを単離する方法;人工的に化学合成する方法が挙げられる。
前記発現ベクターは、そのポリヌクレオチド配列がコードするタンパク質を発現可能な状態で含むベクターであり、前記好熱菌内で複製可能であることが好ましく、例えば、プラスミド、ファージ、コスミドを基本に構築することができる。前記発現ベクターの母体となるプラスミドは、発現ベクターを導入する好熱菌の種類や導入方法に応じて適宜選択することができ、具体的には、例えば、pNW33N(GenBank ID: AY237122.1)、pUB110(GenBank ID: M19465.1)、pSTK1(GenBank ID: D29989.1)、pTB19(GenBank ID: M63891.1)、Hirokazu Suzukiら、Appl Environ Microbiol.、2012年10月、78(20)、p.7376‐7383に記載のpGAM46プラスミド等のプラスミド及びその誘導体が挙げられる。
前記発現ベクターとしては、前記低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAの他に、これを実際に前記好熱菌に導入して前記酵素を発現させるために、その発現を制御するポリヌクレオチド配列や形質転換体を選択するための遺伝子マーカー等をさらに含んでいることが好ましい。また、前記低温菌及び中温菌由来酵素を精製するための精製用タグ配列をさらに含んでいることが好ましく、前記低温菌及び中温菌由来酵素を好熱菌外に分泌させる場合には分泌シグナル配列をさらに含んでいることが好ましい。
前記発現を制御するポリヌクレオチド配列としては、例えば、プロモーター、ターミネーター、又はシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が挙げられる。前記遺伝子マーカーとしては、形質転換体の選択方法に応じて適宜選択することができ、例えば、薬剤耐性をコードする遺伝子や栄養要求性を相補する遺伝子を利用することができる。
前記プロモーターとしては、目的の低温菌及び中温菌由来酵素に応じて適宜選択することができ、例えば、Hirokazu Suzukiら、Appl Environ Microbiol.、2013年9月、79(17)、p.5151‐5158に記載されている、Geobacillus kaustophilusの、Pgk704(推定アミロース代謝遺伝子プロモーター)、Pgk1859(推定セルビオース代謝遺伝子プロモーター)、Pgk1894(ミオイノシトール代謝遺伝子プロモーター)、Pgk1899(ミオイノシトール代謝遺伝子プロモーター)、Pgk1907(推定L−アラビノース代謝遺伝子プロモーター)、Pgk2150(推定D−ガラクトース代謝遺伝子プロモーター)、PsigA(dnaG遺伝子、sigA遺伝子プロモーター);Paul P.Linら、Metab.Eng.、2014年7月、24、p.192‐199に記載されている、Geobacillus thermoglucosidasiusの、Pglk(ヘキソキナーゼ遺伝子プロモーター)、Ppgi(グルコース−6−リン酸イソメラーゼ遺伝子プロモーター)、PpfkA(ホスホフルクトキナーゼ−1遺伝子プロモーター)、Pgap(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター)、Ppgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子プロモーター)、Pgpm(ホスホグリセリン酸ムターゼ遺伝子プロモーター)、Peno(ホスホピルビン酸ヒドラターゼ遺伝子プロモーター)、Pldh(乳酸脱水素酵素遺伝子プロモーター)、PglpD(グリセロール−リン酸脱水素酵素遺伝子プロモーター)やBacillus subtilisのP43が挙げられる。このようなプロモーターは、一般に、前記低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAの上流に位置させる。
本発明においては、前記発現ベクターにおいて、前記低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAがプロモーターに作動可能に連結していることが好ましく、また、前記発現ベクターが導入される好熱菌と、前記プロモーターの由来する微生物とが近縁にあることが好ましい。例えば、前記発現ベクターが導入される好熱菌がゲオバチルス属である場合、前記プロモーターとしては、グラム陽性の真正細菌由来のプロモーターであることが好ましく、ゲオバチルス属に含まれる真正細菌由来のプロモーター及びバチルス属に含まれる枯草菌由来のプロモーターからなる群から選択される少なくとも1種のプロモーターであることがより好ましい。
前記発現ベクターの作製方法は、特に制限されず、公知の方法、又は公知の方法に適宜修飾、改変を加えた方法を適宜採用することができる。例えば、前記プロモーターと前記低温菌及び中温菌由来酵素をコードするDNAと必要に応じて前記ターミネーター等とを連結して発現カセットを作製し、これをベクターに導入することで前記発現ベクターを得ることができれる。また、前記発現ベクターを作製するための酵素や条件についても特に限定されず、市販のものを適宜選択して用いることができる。
前記好熱菌に前記発現ベクターを導入する形質転換方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法、パーティクルガン法、プロトプラスト融合法、接合伝達法、リン酸カルシウム法を用いることができる。また、前記発現ベクターが導入される好熱菌としては、必要に応じて、特定の機能が欠損するように既に形質転換されたものや変異体であってもよい。
本発明に係る第2の工程は、50℃以上の培養温度で前記形質転換体を培養して増殖させる工程である。第2の工程の培養温度が前記下限未満であると、形質転換体の増殖段階と低温菌及び中温菌由来酵素の発現段階とを分けることが困難となる。また、第2の工程の培養温度としては、形質転換体の増殖段階と酵素の発現段階とをより区別することができ、かつ、形質転換体を増殖させるための培養がより容易であるという観点から、55〜87℃であることが好ましく、55〜65℃であることがより好ましい。
本発明に係る第3の工程は、第2の工程の後、培養温度を、50℃以下かつ第2の工程の培養温度よりも10℃以上低い温度に変えて低温菌及び中温菌由来酵素を発現させる工程である。第3の工程の培養温度が前記上限を超えると、形質転換体の増殖段階と低温菌及び中温菌由来酵素の発現段階とを分けることが困難となる。また、第3の工程の培養温度としては、形質転換体の増殖段階と酵素の発現段階とをより区別することができ、かつ、形質転換体の死滅を抑制する観点から、25〜45℃であることが好ましく、30〜45℃であることがより好ましく、40〜45℃であることが更に好ましい。なお、本発明において、第3の工程の培養温度は、発現させる酵素が由来する前記低温菌及び中温菌の至適増殖温度と一致することは必ずしも必要ではなく、本発明の構成において第3の工程の培養温度が上記温度範囲内にあることで低温菌及び中温菌由来酵素を十分に発現させることができる。
また、本発明においては、前記形質転換体が対数増殖期にあるとき、より具体的には前記形質転換体を培養する培養液のOD600が1以下、さらに好ましくは0.1〜0.9であるときに、培養温度を、第2の工程の培養温度から第3の工程の培養温度に変えることが好ましい。培養温度を変えるときのOD600が前記下限未満の場合には、形質転換体の増殖が十分ではないために酵素の発現量が少なくなる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、酵素を発現させることが困難となる傾向にある。なお、本発明において、OD600値とは、形質転換体を培養している培養液(培地、微生物等、培養系に含まれる全成分を含む)の600nmにおける吸光度のことを指す。
また、本発明において、培養温度を第2の工程の温度から第3の工程の温度に変えた後の培養時間、すなわち、第3の工程の培養時間としては、宿主微生物である好熱菌の種類や培養条件にもよるが、例えば、前記好熱菌としてゲオバチルス属(より好ましくはゲオバチルス・サーモグルコシダシウス)を用いた場合には、1〜48時間であることが好ましく、3〜48時間であることがより好ましく、3〜24時間であることが更に好ましく、3〜15時間であることが特に好ましい。温度変更後の培養時間が前記下限未満の場合には、酵素の発現量が少なくなる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、発現速度が低下して酵素の発現量が安定しなくなる傾向にある。
前記第2の工程及び第3の工程において、形質転換体を培養するその他の条件(培地の組成、培地のpH、ガス(酸素、二酸化炭素等)濃度等)としては、特に制限されず、宿主微生物である好熱菌の種類に応じて、公知の培養条件、又は公知の培養条件に適宜修飾、改変を加えた条件から選択することができる。
本発明の製造方法により、前記第3の工程において、前記好熱菌を用いた形質転換体の増殖を抑制しつつ、目的の低温菌及び中温菌由来酵素を優先的に発現させることができる。例えば、前記発現ベクターとして分泌シグナル配列を含むベクターを用いた場合には、第2の工程後に培地を交換し、第3の工程で低温菌及び中温菌由来酵素を発現させることにより、前記酵素を選択的に培地中に得ることができるため、この培地を粗酵素として酵素反応に用いることができる。また、分泌シグナル配列を含むベクターを用いなかった場合でも、得られる低温菌及び中温菌由来酵素の最適温度付近では、宿主微生物である好熱菌由来の酵素の活性が抑制されるため、形質転換体を含む培養液をそのまま粗酵素として酵素反応に用いることができる。さらに前記酵素としては、形質転換体の培養終了後、形質転換体を遠心分離や濾過等によって回収し、細胞を破砕して得られる液を粗酵素として用いることもできる。また、これらの粗酵素を、限外濾過法等によって濃縮し、防腐剤等を加えて濃縮酵素とすることもできる。また、前記粗酵素又は前記濃縮酵素を、例えば、塩析法、有機溶媒沈殿法、膜分離法、クロマト分離法を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることによって精製してもよい。さらに、前記発現ベクターとして精製用タグ配列を含むベクターを用いた場合には、精製用タグを付加した酵素をタグ付きタンパクの精製用カラムを用いて精製してもよい。
本発明の製造方法によって得られた低温菌及び中温菌由来酵素は、前記酵素の種類に応じて、様々な酵素反応に利用することができる。前記酵素反応としては、特に制限されないが、前記酵素と、その基質と、必要に応じて前記酵素の補酵素とを接触させて反応せしめる方法が挙げられる。このような酵素反応における各成分の濃度、溶媒の種類、温度条件、反応温度等については、前記低温菌及び中温菌由来酵素の種類に応じて適宜調整することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<DNA(lacZ)の単離>
先ず、BL21(DE3)(メルク社)から、DNeasy Blood&Tissue Kit(Qiagen社)を用いてゲノムを抽出した。抽出したゲノムを鋳型として、HM48プライマー(配列番号:1に記載のヌクレオチド配列)、HM49プライマー(配列番号:2に記載のヌクレオチド配列)及びPCR酵素(KOD Fx Neo、東洋紡社)を用いて大腸菌β−ガラクトシダーゼをコードする配列(lacZ、配列番号:3に記載のヌクレオチド配列、GeneBank ID:CP001509.3(335840〜332766))を増幅させた。増幅させたPCR産物はQIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製し、精製したPCR産物とpET28a+(メルク社)とを、それぞれ、NcoI(タカラバイオ社)及びNotI(タカラバイオ社)で切断し、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した。
次いで、切断・精製後のPCR産物(68ng)及びpET28a+(233ng)をDNA Ligation Kit(Mighty Mix、タカラバイオ社)を用いて連結し、200μlの大腸菌JM109ケミカルコンピテントセルに導入した。LB培地プレート(25μg/mlカナマイシン)にて形質転換体を選抜し、3mlのLB培地(25μg/mlカナマイシン)に植菌して増殖させた。増殖させた形質転換体からQIAprep spin miniprep kit(Qiagen社)を用いてlacZを含むpESG23プラスミドを抽出した。
<発現ベクターの調製>
先ず、pNW33Nプラスミド(配列番号:4に記載のヌクレオチド配列、Bacillus Genetic Stock Centerより入手)をHindIII(タカラバイオ社)で切断し、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した。また、Kenji Tsugeら、Nucleic Acids Res.、2003年11月、31(21)に記載の合成DNAオリゴマーVsfiKpn−1F及びVsfiKpn−1Rの各5’末端をリン酸化させたオリゴマー(VsfiKpn−1F(5’末端リン酸化)及びVsfiKpn−1R(5’末端リン酸化))を98℃で5分間加熱した後、室温で自然冷却してインサートを作製した。切断・精製後のpNW33Nと前記インサートとを混合し、DNA Ligation Kit(Mighty Mix、タカラバイオ社)を用いて連結し、200μlの大腸菌JM109ケミカルコンピテントセルに導入した。LB培地プレート(25μg/mlクロラムフェニコール)にて形質転換体を選抜し、3mlのLB培地(25μg/mlクロラムフェニコール)に植菌して増殖させた。増殖させた形質転換体からQIAprep spin miniprep kit(Qiagen社)を用いて、SfiI部位を含むpNW(SfiI)プラスミドを抽出した。
また、Paul P.Linら、Metabolic Engineering、2014年7月、24、p.192‐199に記載されているGeobacillus thermodenitrificansの乳酸脱水素酵素遺伝子プロモーター(ldh)を人工的に合成し、これを含むプラスミドを得た。このプラスミドを鋳型として、HM05bプライマー(配列番号:5に記載のヌクレオチド配列)、HM06‐minusプライマー(配列番号:6に記載のヌクレオチド配列)及びPCR酵素(KOD plus ver.2、東洋紡社)を用いてldhを増幅させた(PCR1)。
さらに、上記で得られたlacZを含むpESG23プラスミドを鋳型として、HM51プライマー(配列番号:7に記載のヌクレオチド配列)、HM52Hプライマー(His6タグを付加するプライマー、配列番号:8に記載のヌクレオチド配列)及びPCR酵素(KOD plus ver.2、東洋紡社)を用いてlacZを増幅させた(PCR2)。
PCR1及びPCR2で増幅させたPCR産物はそれぞれアガロースゲル電気泳動をして長さを確認した後、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した。精製後のPCR1産物(100ng)及びPCR2産物(100ng)、HM05bプライマー、HM52Hプライマー、PCR酵素(KOD plus ver.2、東洋紡社)を用いて、Step1:98℃で10秒、Step2:60℃で30秒、Step3:68℃で4分、Step2からStep3への温度上昇速度:0.1℃/秒、35サイクルの条件でフュージョンPCRを行ってldh及びlacZを融合した発現カセットを作製した。
上記で得られたpNW(SfiI)プラスミドをHindIIIで切断して前記発現カセットと混合し、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した後、Gibson Assembly Master Mix(2x)(New England Biolabs社)を用いて連結し、200μlの大腸菌JM109ケミカルコンピテントセルに導入した。LB培地プレート(25μg/mlクロラムフェニコール)にて形質転換体を選抜し、3mlのLB培地(25μg/mlクロラムフェニコール)に植菌して増殖させた。増殖させた形質転換体からQIAprep spin miniprep kit(Qiagen社)を用いてldh及びlacZを含むpESG21Hプラスミド(配列番号:9に記載のヌクレオチド配列)を抽出した。
<形質転換>
宿主微生物として、Bacillus Genetic Stock Centerより取り寄せたゲオバシルス属の好熱菌(Geobacillus thermoglucosidasius DSM 2542、至適増殖温度:55℃)を用いた。好熱菌コンピテントセルの作製及び形質転換は、Mark P.Taylorら、Plasmid、2008年7月、60(1)、p.45−52に記載の方法に従って下記のように行った。
(好熱菌コンピテントセルの作製)
前記好熱菌をTGP培地プレート(トリプトン:17g/l、ソイトン:3g/l、KHPO:2.5g/l、NaCl:5g/l、ピルビン酸ナトリウム:4g/l、グリセロール:4ml/l、寒天(Agar):15g/l)に塗布して60℃で一晩培養後、得られたコロニーを1mlのTGP培地(トリプトン:17g/l、ソイトン:3g/l、KHPO:2.5g/l、NaCl:5g/l、ピルビン酸ナトリウム:4g/l、グリセロール:4ml/l)に植菌して60℃、180rpmで培養し、続いて50mlのTGP培地に植菌してOD600=1.6になるまで培養した後、氷上で10分間冷却した。その後、8000rpmで5分間遠心して集菌し、エレクトロポレーションバッファー(0.5Mソルビトール、0.5Mマンニトール、10%グリセロール)に菌を懸濁し、8000rpmで5分間遠心して集菌する作業を4回繰り返した。その後、1.5mlのエレクトロポレーションバッファーに懸濁し、60μlずつ分注して−80℃で保存した。
(形質転換‐形質転換体の作製‐)
上記で得られた好熱菌コンピテントセル(60μl)とpESG21Hプラスミド(500ng)とを混合し、0.1cmのキュベットに入れ、Gene Pulser Xcell(BioRad社)を用いて、2500V、10μF、600Ωの電気刺激を与えた。その後、1mlのTGP培地を添加して14mlポリプロピレンラウンドボトムチューブ(FALCON社)に移し、60℃で2時間振盪した後、TGP培地プレート(10μg/mlクロラムフェニコール)に塗布して60℃で一晩培養した。得られたコロニー(4コロニー)をそれぞれ3mlのLB培地に植菌し、60℃で一晩培養した後、等量の80%グリセロールを加えて形質転換体のグリセロールストックを作製し、−80℃で保存した。
<形質転換体の培養>
先ず、上記で得られた形質転換体のグリセロールストックの一部をLB培地(25μg/mlクロラムフェニコール)に入れ、一晩培養した。次いで、500ml三角フラスコに120mlのLB培地(25μg/mlクロラムフェニコール)を入れ、一晩培養した培養液1mlを植菌した。培養機(BR−43FL、タイテック社)を用いて60℃、180rpmでOD600=0.785になるまで第2の工程の培養を行った。その後、200ml三角フラスコに培養液を30ml入れ、培養温度を42℃に変えて第3の工程の培養を行った。第3の工程の培養を開始してから(培養温度を42℃に変えてから)0、1.5、3、24時間培養後の培養液のOD600を計測して増殖曲線を得た。
<β‐ガラクトシダーゼ活性評価‐酵素反応‐>
第3の工程の培養を開始してから(培養温度を変えてから)0、3、24時間培養後に、それぞれ、14mlポリプロピレンラウンドボトムチューブに3mlの培養液を採り、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解した2% 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−gal)を50μl添加し、42℃で1時間振盪しながらインキュベートし、β‐ガラクトシダーゼの活性を評価した。評価はインキュベート後の培養液の外観(色)を目視で観察し、以下の基準:
0:橙色(青色が確認されない(X−galを添加しなかったものと同じ培地の色である)
1:黄色(わずかに青色がかっているがX−galを添加しなかったものとほとんど変わらない)
2:黄緑色(青色が確認される)
3:緑色
4:青色
に基づいておこなった。なお、評価の数値が大きいほど、酵素が多く発現していると判断できる。
(実施例2)
形質転換体の培養において、第3の工程の培養温度を37℃としたこと以外は実施例1と同様にして培養した。第3の工程の培養を開始してから(培養温度を37℃に変えてから)0、1.5、3、24時間培養後の培養液のOD600を計測して増殖曲線を得た。また、X−galを添加した後のインキュベート温度を37℃としたこと以外は実施例1と同様にしてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施した。
(比較例1)
形質転換体の培養において、第3の工程の培養温度を第2の工程に引き続き60℃のままとしたこと以外は実施例1と同様にして培養した。また、第2の工程の培養開始時間を−5時間、第3の工程の培養開始時間を0時間として、−3.5、−1、0、1.5、3、24時間培養後のOD600を計測して増殖曲線を得た。さらに、X−galを添加した後のインキュベート温度を60℃としたこと以外は実施例1と同様にしてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施した。
実施例1〜2及び比較例1において得られた増殖曲線を図1に示す。また、β‐ガラクトシダーゼ活性の評価結果を表1に示す。さらに、比較例1の第3の工程の培養開始時(0時間培養後)の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施したときの外観を示す写真を図2Aに、実施例1〜2及び比較例1の第3の工程の培養開始から3時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施したときの外観を示す写真を図2Bに、実施例1〜2及び比較例1の第3の工程の培養開始から24時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施したときの外観を示す写真を図2Cに、それぞれ示す。
(実施例3)
<DNA(lacZ)の単離>
実施例1と同様にして、lacZを含むpESG23プラスミドを得た。
<発現ベクターの調製>
先ず、Hirokazu Suzukiら、Appl Environ Microbiol.、2012年10月、78(20)、p.7376‐7383に記載のpGAM46プラスミドをHindIII(タカラバイオ社)で切断し、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した。また、前記合成DNAオリゴマーVsfiKpn−1F(5’末端リン酸化)及びVsfiKpn−1R(5’末端リン酸化))を98℃で5分間加熱した後、室温で自然冷却してインサートを作製した。切断・精製後のpGAM46と前記インサートとを混合し、DNA Ligation Kit(Mighty Mix、タカラバイオ社)を用いて連結し、200μlの大腸菌JM109ケミカルコンピテントセルに導入した。LB培地プレート(100μg/mlアンピシリン)にて形質転換体を選抜し、3mlのLB培地(100μg/mlアンピシリン)に植菌して増殖させた。増殖させた形質転換体からQIAprep spin miniprep kit(Qiagen社)を用いて、SfiI部位を含むpGAM46(SfiI)プラスミドを抽出した。
また、Geobacillus kaustophilus HTA426ゲノム由来の推定アミロース代謝遺伝子プロモーター(Pgk704プロモーター(Pgk704)、配列番号:10に記載のヌクレオチド配列)を含むプラスミドを鋳型として、HindIII−promoter−fwプライマー(配列番号:11に記載のヌクレオチド配列)、promoter‐rvプライマー(配列番号:12に記載のヌクレオチド配列)及びPCR酵素(KOD Fx Neo、東洋紡社)を用いてPgk704を増幅させた(PCR1)。
さらに、上記で得られたlacZを含むpESG23プラスミドを鋳型として、promoter−bGalE−fwプライマー(配列番号:13に記載のヌクレオチド配列)、HindIII−H6−bGalE−rvプライマー(配列番号:14に記載のヌクレオチド配列)及びPCR酵素(KOD Fx Neo、東洋紡社)を用いてlacZを増幅させた(PCR2)。
PCR1及びPCR2で増幅させたPCR産物はそれぞれアガロースゲル電気泳動をして長さを確認した後、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した。精製後のPCR1産物及びPCR2産物、HindIII−promoter−fwプライマー、HindIII−H6−bGalE−rvプライマー、PCR酵素(KOD Fx Neo、東洋紡社)を用いてフュージョンPCRを行い、Pgk704及びlacZを融合した発現カセットを作製した。
前記pNW(SfiI)プラスミドをHindIIIで切断してCIAP処理(Alkaline Phosphatase(Calf intestine)、タカラバイオ社)を施し、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した後、HindIIIで処理して同様に精製した前記発現カセットと混合して、DNA Ligation Kit(Mighty Mix、タカラバイオ社)を用いて連結し、200μlの大腸菌JM109ケミカルコンピテントセルに導入した。LB培地プレート(34μg/mlクロラムフェニコール)にて形質転換体を選抜し、3mlのLB培地(34μg/mlクロラムフェニコール)に植菌して増殖させた。増殖させた形質転換体からQIAprep spin miniprep kit(Qiagen社)を用いてPgk704及びlacZを含むpESG28プラスミドを抽出した。
次いで、得られたpESG28プラスミドを鋳型として、HM58プライマー(配列番号:15に記載のヌクレオチド配列)、HM60プライマー(配列番号:16に記載のヌクレオチド配列)及びPCR酵素(KOD plus Ver.2、東洋紡社)を用いてPgk704及びlacZが連結された配列を増幅させた(PCR3)。
PCR3で増幅させたPCR3産物はアガロースゲル電気泳動をして長さを確認した後、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した。また、上記で得られたpGAM46(SfiI)プラスミドをHindIIIで切断し、QIAquick Spin Gel Extraction Kit(Qiagen社)を用いて精製した後、同様に精製したPCR3産物と混合して、In−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社)を用いて連結し、200μlの大腸菌JM109ケミカルコンピテントセルに導入した。LB培地プレート(100μg/mlアンピシリン)にて形質転換体を選抜し、3mlのLB培地(100μg/mlアンピシリン)に植菌して増殖させた。増殖させた形質転換体からQIAprep spin miniprep kit(Qiagen社)を用いてPgk704及びlacZを含むpESG32プラスミドを抽出した。
<形質転換>
宿主微生物として、Suzuki Hirokazuら、Appl Environ Microbiol.、2015年1月、81(1)、p.149−158に記載のゲオバシルス属の好熱菌(Geobacillus kaustophilus MK242、至適増殖温度:55℃)を用いた。Geobacillus kaustophilus MK242は、鳥取大学大学院工学研究科鈴木宏和博士より入手した。先ず、Suzuki Hirokazuら、J Microbiol Biotechnol.、2012年9月、22(9)、p.1279−1287に記載の方法に従って大腸菌にpESG32プラスミドを導入した。
すなわち、Suzuki Hirokazuら、J Microbiol Biotechnol.、2012年9月、22(9)、p.1279−1287に記載の大腸菌BR408をLB培地で培養した後、超純水に菌を懸濁・遠心して集菌する作業を3回繰り返した。その後、10%グリセロールに懸濁して大腸菌コンピテントセルを得た。次いで、得られた大腸菌コンピテントセル(60μl)とpESG32プラスミドとを混合し、0.1cmのキュベットに入れ、Gene Pulser Xcell(BioRad社)を用いて、1800V、25μF、200Ωの電気刺激を与えた。その後、1mlのLB培地を添加して37℃で1時間振盪した後、LB培地プレート(100μg/mlアンピシリン、34μg/mlクロラムフェニコール、25μg/mlカナマイシン)に塗布して37℃で一晩培養し、pESG32プラスミドが導入された大腸菌BR408(pESG32)のコロニーを得た。
次いで、Hirokazu Suzukiら、Appl Environ Microbiol.、2012年10月、78(20)、p.7376‐7383に記載の方法に従って、接合伝達により、Geobacillus kaustophilus MK242にpESG32プラスミドを導入した。
すなわち、先ず、前記大腸菌BR408(pESG32)のコロニーをLB培地(100μg/mlアンピシリン、34μg/mlクロラムフェニコール、25μg/mlカナマイシン)で37℃において、Geobacillus kaustophilus MK242をLB培地(抗生物質不添加)で60℃において、それぞれ、OD600=0.6になるまで培養した。次いで、大腸菌BR408(pESG32)とGeobacillus kaustophilus MK242とを2:8(質量比)の割合で混合し、減圧濾過によりメンブレンフィルター(ポアサイズ:0.2μm、Omnipore、メルクミリポア社)に菌を吸着させ、これをLB寒天培地に乗せて37℃で4〜6時間培養した。
その後、これを最少培地(KSO:0.3g/l、NaHPO・12HO:2.5g/l、NHCl:1g/l、Casamino Acids(BD Bacto Casamino Acids、Vitamin Assay):1g/l、MgSO:0.4g/l、MnCl・4HO:3mg/l、CaCl・2HO:5mg/l、FeCl・6HO:7mg/l、Tris−HCl(pH 7.6):10mM、D−glucose:10g/l、Trace Element:0.10%vol/vol(Trace Element:ZnSO・7HO:400mg/l、HBO:10mg/l、CoCl・6HO:50mg/l、CuSO:200mg/l、NiCl・6HO:10mg/l、EDTA:250mg/l))プレートに移し、60℃で一晩培養して、pESG32プラスミド配列がゲノムに組み込まれたGeobacillus kaustophilus MK242(MK242(pESG32))のコロニーを得た。
得られたMK242(pESG32)のコロニーを200mlのLB培地で培養し、培養液200μlを200mlのLB培地に植菌して培養する作業を4回繰り返した後、培養液1mlを遠心して得られた沈殿を超純水1mlに懸濁した。50μl又は250μlの懸濁液を5mlの選択最少培地1(前記最少培地に1μg/mlウラシル、50μg/ml 5−フルオロオロチン酸を添加した培地)で4〜6時間培養した。その後、1μl又は100μlの培養液を選択最少培地2(前記最少培地に10μg/mlウラシル、50μg/ml 5−フルオロオロチン酸を添加した培地)のプレートに塗布し、60℃で約1日間培養してコロニーを得た。得られたコロニーを更に前記選択最少培地のプレート及びLB培地のプレートにそれぞれ塗布し、前記最少選択培地で増殖しなかったコロニーを選択してそれと対応するLB培地のコロニーからグリセロールストックを作製し、下記の形質転換体の培養及びβ‐ガラクトシダーゼ活性評価に用いた。前記最少選択培地で増殖しなかったコロニーは、MK242(pESG32)のうち、pGAM46由来の配列を含まないもの、すなわち、Pgk704及びlacZがゲノムに組み込まれたGeobacillus kaustophilus MK242(MK242(Pgk704/lacZ))である。
<形質転換体の培養>
形質転換体として上記で得られたMK242(Pgk704/lacZ)を用い、第2の工程の培養をOD600=0.425になるまで行ったこと以外は実施例1と同様にして形質転換体の培養を行い、第3の工程の培養を開始してから(培養温度を42℃に変えてから)0、1.5、3、6、24、30時間培養後の培養液のOD600を計測して増殖曲線を得た。
<β‐ガラクトシダーゼ活性評価‐酵素反応‐>
第3の工程の培養を開始してから(培養温度を変えてから)0、3、6時間培養後の培養液をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、β‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施した。また、X−galを添加した後のインキュベート時間を3時間としたものについても同様にβ‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施した。
(実施例4)
第3の工程の培養温度を37℃としたこと以外は実施例3と同様にして形質転換体の培養を行い、増殖曲線を得た。また、X−galを添加した後のインキュベート温度を37℃としたこと以外は実施例3と同様にして、β‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施した。
(比較例2)
形質転換体の培養において、第3の工程の培養温度を第2の工程に引き続き60℃のままとしたこと以外は実施例3と同様にして形質転換体の培養を行い、第2の工程の培養開始時間を−2.5時間、第3の工程の培養開始時間を0時間として、−2.5、−1、0、1.5、3、6、24、30時間培養後のOD600を計測して増殖曲線を得た。さらに、X−galを添加した後のインキュベート温度を60℃としたこと以外は実施例3と同様にして、β‐ガラクトシダーゼ活性評価を実施した。
実施例3〜4及び比較例2において得られた増殖曲線を図3に示す。また、β‐ガラクトシダーゼ活性の評価結果(インキュベート時間:1時間)を表2に示す。さらに、比較例2の第3の工程の培養開始時(0時間培養後)の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:1時間)を実施したときの外観を示す写真を図4Aに、実施例3〜4及び比較例2の第3の工程の培養開始から3時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:1時間)を実施したときの外観を示す写真を図4Bに、実施例3〜4及び比較例2の第3の工程の培養開始から6時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:1時間)を実施したときの外観を示す写真を図4Cに、それぞれ示す。
また、比較例2の第3の工程の培養開始時(0時間培養後)の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:3時間)を実施したときの外観を示す写真を図5Aに、実施例3〜4及び比較例2の第3の工程の培養開始から3時間培養後の培養液についてβ‐ガラクトシダーゼ活性評価(インキュベート時間:3時間)を実施したときの外観を示す写真を図5Bに、それぞれ示す。
以上の結果から明らかなように、本発明の製造方法(実施例1〜4)においては、第3の工程において、低温菌及び中温菌(大腸菌)に由来する酵素(β‐ガラクトシダーゼ)をコードするDNA(lacZ)を導入した形質転換体の増殖が抑制され、かつ、前記酵素が十分に発現することが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、低温菌及び中温菌に由来する酵素をコードするDNAを導入した形質転換体の増殖段階と前記酵素の発現段階とを分けることができる低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法を提供することが可能となる。
配列番号:1
<223> HM48プライマー
配列番号:2
<223> HM49プライマー
配列番号:4
<223> pNW33Nプラスミド
配列番号:5
<223> HM05bプライマー
配列番号:6
<223> HM06‐minusプライマー
配列番号:7
<223> HM51プライマー
配列番号:8
<223> HM52Hプライマー
配列番号:9
<223> pESG21Hプラスミド
配列番号:11
<223> HindIII−promoter−fwプライマー
配列番号:12
<223> promoter‐rvプライマー
配列番号:13
<223> promoter−bGalE−fwプライマー
配列番号:14
<223> HindIII−H6−bGalE−rvプライマー
配列番号:15
<223> HM58プライマー
配列番号:16
<223> HM60プライマー

Claims (5)

  1. 至適増殖温度が50℃以上である好熱菌に、至適増殖温度が50℃以下かつ前記好熱菌の至適増殖温度よりも10℃以上低い温度である低温菌及び中温菌からなる群から選択される少なくとも1種の微生物に由来する酵素をコードするDNAを導入して、形質転換体を得る第1の工程と、
    50℃以上の培養温度で前記形質転換体を培養して増殖させる第2の工程と、
    第2の工程の後、培養温度を50℃以下かつ第2の工程の培養温度よりも10℃以上低い温度に変えて前記酵素を発現させる第3の工程と、
    を含む低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法。
  2. 第2の工程の培養温度が55〜87℃である請求項1に記載の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法。
  3. 第3の工程の培養温度が25〜45℃である請求項1又は2に記載の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法。
  4. 前記形質転換体を培養する培養液のOD600が1以下であるときに第2の工程の培養温度から第3の工程の培養温度に変える請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の低温菌及び中温菌由来酵素の製造方法で得られた酵素と前記酵素の基質とを接触させて反応せしめる、酵素反応方法。
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