図1は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡及び内視鏡システムの一例の構成を示す。
内視鏡システム1は、内視鏡2と、光源ユニット3と、プロセッサユニット4とを備える。内視鏡2は、被検体内に挿入される挿入部6と、挿入部6に連なる操作部7と、操作部7から延びるユニバーサルコード8とを有する。
挿入部6の先端部10には、被写体を照明する照明光を出射する照明窓、及び被写体を撮像する撮像装置を含んで構成される撮像部などが設けられている。
ユニバーサルコード8の末端にはコネクタ9が設けられ、内視鏡2は、コネクタ9を介して、先端部10の照明窓から出射される照明光を生成する光源ユニット3、及び先端部10の撮像装置によって取得される画像信号を処理するプロセッサユニット4と接続される。プロセッサユニット4は、入力された画像信号を処理して被検体の画像データを生成し、生成した画像データをモニタ5に表示させ、また記録する。
挿入部6及び操作部7並びにユニバーサルコード8の内部にはライトガイド及び電線群が設けられている。ライトガイドを介して光源ユニット3にて生成された照明光が先端部10の照明窓に導光され、電線群を介して先端部10の撮像部とプロセッサユニット4との間で信号及び電力が伝送される。
挿入部6は、先端部10に連なる湾曲部11と、湾曲部11と操作部7とを繋ぐ軟性部12とを含む。湾曲部11は挿入部6の長手軸と直交する方向に湾曲可能に構成されており、湾曲部11の湾曲動作は操作部7にて操作される。また、軟性部12は、挿入部6の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に比較的柔軟に構成されている。
操作部7には、先端部10の撮像装置の撮像動作を操作するボタン、及び湾曲部11の湾曲動作を操作する回転ノブなどが設けられている。また、操作部7には、紺子等の処置具が挿入される処置具挿入口13が設けられており、挿入部6の内部には、処置具挿入口13から先端部10に達し、処置具が挿通されるチャネルが設けられている。
図2は、挿入部6の概略構成を示す。
先端部10は、上記の照明窓及び撮像装置などの先端部10に搭載される各種内蔵物が固定される円柱状の先端部本体22と、先端部本体22の先端側に装着され、先端部10の先端面、即ち、挿入部6の先端面を形成するキャップ状の保護カバー23と、先端部本体22の基端側に固定される円筒状の先端スリーブ24とを含む。
湾曲部11は、複数の環状の駒20を含む。これらの駒20が中心軸を揃えて一列に並べられ、金属製の線材が編組みされて形成された網状管などで被覆されることにより、湾曲部11は、上記のライトガイド、電線群、及びチャネルなどを収容可能な管状に形成される。隣り合う二つの駒20は、湾曲部11の長手軸に直交する回動軸上に配置される一対の軸部材21により、回動軸まわりに回動可能に連結されている。隣り合う二つの駒20の個々の回動が合わさることによって、湾曲部11は全体として湾曲する。
図示の例では、隣り合う二つの駒20の回動軸として、湾曲部11の長手軸に直交する第1方向に延びる回動軸Xと、長手軸に直交し且つ第1方向に直交する第2方向に延びる回動軸Yとが交互に設けられている。湾曲部11は、隣り合う二つの駒20の回動軸Xまわりの回動に基づく相反二方向(以下、上下方向という)及び隣り合う二つの駒20の回動軸Yまわりの回動に基づく相反二方向(以下、左右方向という)の計四方向に湾曲可能である。
軟性部12は、上記のライトガイド、電線群、及びチャネルなどを収容する柔軟な管体28を含む。管体28は、例えば金属製の帯板材が螺旋状に巻かれて形成された螺管の外周を、例えば金属製の素線が帯状に束ねられてなる素線束が編組されて形成された網状管などで被覆して構成される。管体28の先端部(湾曲部11側の端部)には、軟性部12と湾曲部11とを接続する先端側接続環29が接合されており、また、管体28の基端部(操作部7側の端部)には、軟性部12と操作部7とを接続する基端側接続環30が接合されている。
湾曲部11に含まれる複数の駒20のうち最も軟性部12側に位置する基端駒20aは、軟性部12の先端側接続環29に連結されている。他方、最も先端部10側に位置する先端駒20bは、先端部10の先端スリーブ24に連結されている。
湾曲部11及び軟性部12の内部には、操作部7における操作に応じて湾曲部11を湾曲させる複数のワイヤが設けられている。湾曲部11が上下方向及び左右方向に湾曲可能に構成されている本例では、上下方向の湾曲に対応する一対のワイヤ25と、左右方向の湾曲に対応する一対のワイヤ26とが設けられている。なお、図には、一対のワイヤ25及び一対のワイヤ26のうち一方のワイヤ26が示されている。
上下方向の湾曲に対応する一対のワイヤ25は操作部7からそれぞれ延びており、ワイヤ25の先端部は、軟性部12及び湾曲部11を経て、先端部10の先端スリーブ24に固定されている。湾曲部11の内部で、一方のワイヤ25は、湾曲部11の長手軸を境に湾曲部11の内部を上下方向に二分した場合の上側領域において湾曲部11の長手軸に沿って整列して複数の駒20に設けられたワイヤガイド27に順に挿通されており、他方のワイヤ25は、下側領域において湾曲部11の長手軸に沿って整列して複数の駒20に設けられたワイヤガイド27に順に挿通されている。
左右方向の湾曲に対応する一対のワイヤ26もまた、操作部7からそれぞれ延びており、ワイヤ26の先端部は、軟性部12及び湾曲部11を経て、先端部10の先端スリーブ24に固定されている。湾曲部11の内部で、一方のワイヤ26は、湾曲部11の長手軸を境に湾曲部11の内部を左右方向に二分した場合の左側領域において湾曲部11の長手軸に沿って整列して複数の駒20に設けられたワイヤガイド27に順に挿通されており、他方のワイヤ26は、右側領域において湾曲部11の長手軸に沿って整列して複数の駒20に設けられたワイヤガイド27に順に挿通されている。
湾曲部11の上下方向の湾曲では、操作部7における操作に伴い、一対のワイヤ25のうち一方のワイヤ25が牽引され、他方のワイヤ25が繰り出され、これにより湾曲部11が上方向又は下方向に湾曲される。湾曲部11の左右方向の湾曲では、操作部7における操作に伴い、一対のワイヤ26のうち一方のワイヤ26が牽引され、他方のワイヤ26が繰り出され、これにより湾曲部11が左方向又は右方向に湾曲される。
以下、挿入部6の各部の構成例を順に説明する。
まず、先端部10の構成例について説明する。
図3は、先端部10を挿入部6の長手軸に沿って切断した縦断面図である。
図3に示すように先端部10は、上記のとおり先端部本体22と、保護カバー23と、先端スリーブ24とを有する。先端スリーブ24は、基端側が湾曲部11の先端駒20bに連結されており、これにより先端部10は湾曲部11に接続される。
ここで、図4には、先端スリーブ24と先端駒20bとが基端側から示されており、図3及び図4に示すように、先端スリーブ24は、先端側の円筒状の本体部40と、本体部40から段差を有して基端側に連設され、本体部40よりも縮径された円筒状の凹部41と、凹部41から段差を有して基端側に連設され、凹部41よりも拡径され、かつ、本体部40よりも縮径された連結部42とからなる。
凹部41の外径は先端駒20bの外径と略一致し、連結部42の内径は先端駒20bの外径と略一致しており、連結部42を先端駒20bの先端部の外周面に嵌合させることにより、先端スリーブ24が先端駒20bに接続される。また、図4に示すように連結部42には外周面から内周面まで貫通する孔43が複数箇所に形成されており、その孔43において連結部42と先端駒20bとの接合部分を半田付けすることにより、先端スリーブ24と先端駒20bとが互いに固着される。
また、図3及び図4に示すように先端スリーブ24の外周面には、周方向のバルーン取付溝44が形成されており、図2に示すようにそのバルーン取付溝44に沿ってバルーン45の先端部がゴム製の固定リング46により外側から押圧されて先端スリーブ24の外周面に密着した状態で固定される。バルーン45は、ゴム等の弾性体により両端部が絞られた略筒状に形成されており、基端部も先端部と同様にして固定リングにより湾曲部11等において固定される。バルーン45の両端部の固定は、固定リングを用いた方法以外であってもよく、例えば、糸を巻回して固定することもできる。
図5は、先端スリーブ24、バルーン45を省略して先端部10及び先端駒20bを示した斜視図であり、同図に示すように、先端部10の内部には、軟性部12及び湾曲部11から延在する電線群47、チャネル48、一対のライトガイド49、送気送水チューブ50、及びバルーン用送気チューブ51の各々の先端部分が配置される。
先端部本体22は、金属などの硬質材料で形成されており、先端部本体22のみを示した図6の斜視図に示すように円柱状に形成される。先端部本体22の中心軸は挿入部6の長手軸と同軸上に配置される。
この先端部本体22には、基端面22aから保護カバー23(図3参照)を介した先端部10の先端面10aまで連通する複数の空間部52〜55が設けられており、空間部52には、図3に示すように電線群47が接続される撮像装置56が一体部品として挿入されて固定される。
図7は、先端面10aを示した正面図であり、同図に示すように先端面10aには、撮像装置56の構成要素である対物光学系のうちの最も対物側(先端側)に位置する観察窓57が配置される。これにより、先端面10aの前方に存在する被観察部位からの被写体光が観察窓57を介して対物光学系に取り込まれ、撮像装置56の構成要素である固体撮像素子58(図3参照)の撮像面に被観察部位の光像が結像される。そして、その光像が固体撮像素子58により光電変換されてその画像信号が撮像装置56に接続された電線群47を介して、ユニバーサルコード8により内視鏡2に接続されたプロセッサユニット4に伝送される。
図6において、空間部52に連通して設けられた空間部53には、チャネル48(図3、図5参照)の先端側が接続されるパイプ59(図3参照)が固定される。図7に示すように先端面10aにはパイプ59の先端が連通する処置具導出口60が設けられる。チャネル48の基端側は、図1に示した処置具挿入口13に接続されており、処置具挿入口13から挿入された鉗子等の処置具は、チャネル48及びパイプ59を介して処置具導出口60から導出される。
図6において、一対の空間部54の各々には、ライトガイド49(図5参照)の各々の先端部が接続される光出射部(不図示)が固定される。図7に示すよう先端面10aには、それらの光出射部の構成要素である一対の照明窓61が配設される。ユニバーサルコード8により内視鏡2に接続された光源ユニット3からの照明光は、ライトガイド49により光出射部まで導光されてライトガイド49から出射され、照明窓61を介して被観察部位に照射される。
図6において、空間部55は、送気送水チャンネルの管路を形成しており、送気送水チューブ50の先端側が接続される。図7に示すように先端面10aには、観察窓57を洗浄するために観察窓57に水又は気体を噴射する送気送水ノズル62が設けられており、その送気送水ノズル62に空間部55が連通する。これにより、ユニバーサルコード8により内視鏡2に接続されたプロセッサユニット4のポンプによって内視鏡2に供給された気体又は水は、送気送水チューブ50及び空間部55を介して送気送水ノズル62から観察窓57に向けて噴射される。
また、先端スリーブ24には、図4の斜視図に示すようにバルーン送気口63が設けられており、そのバルーン送気口63には先端スリーブ24の内周面側においてバルーン用送気チューブ51の先端側が接続される。バルーン用送気チューブ51の基端側は、操作部7の基端部に設置され、操作部7の基端部に接続されたチューブを介してバルーン制御装置に接続される。これにより、バルーン制御装置の制御によりバルーン用送気チューブ51、及びバルーン送気口63を介してバルーン45の内部に対する気体の供給と排出が行われ、バルーン45が膨張又は収縮する。
続いて、先端部本体22と先端スリーブ24とを固定する固定構造について詳説する。
図3に示すように先端部本体22と先端スリーブ24とは、先端部本体22の外周面に先端スリーブ24(本体部40)の先端側が嵌合され、先端スリーブ24の内周面24a側に設けられたネジ螺合部64におけるネジ65により締め付け固定される。
図3及び図6に示すように、先端部本体22には、外周面の近くにおいて基端面22aから先端部本体22の中心軸に沿って延在し、ネジ65が螺合されるネジ孔66が形成される。
一方、先端スリーブ24の内周面24aには、図3のように径方向に突出し、ネジ65が挿通される挿通孔67を有するネジ受け部68が形成される。
ここで、図8に、先端スリーブ24のみを先端側から示した斜視図を示す。同図に示すように、先端スリーブ24は、円筒状に形成され、上述のように直径が異なる本体部40、凹部41、及び連結部42から形成される。そして、本体部40には、内周面24aから径方向に突出したネジ受け部68が形成され、そのネジ受け部68に、ネジ65が挿通される挿通孔67が形成される。
挿通孔67は、ネジ65の軸部の雄ねじが形成される部分であるネジ部の外径より大きく、頭部の外径より小さい内径を有する。また、挿通孔67の中心軸は、先端スリーブ24の中心軸に平行している。
本体部40の内径は先端部本体22の外径と略一致しており、先端部本体22に先端スリーブ24を固定する際には、先端部本体22の外周面に基端側から先端スリーブ24の本体部40の先端側を嵌め込み、図3のようにネジ受け部68を先端部本体22の基端面に当接させる。また、先端部本体22のネジ孔66の位置にネジ受け部68の挿通孔67の位置を合わせる。
これによって、先端部本体22に先端スリーブ24が嵌合して先端部本体22の基端側に先端スリーブ24が配置される。また、先端スリーブ24の中心軸が、挿入部6の長手軸及び先端部本体22の中心軸と同軸上に配置され、かつ、ネジ受け部68の挿通孔67がネジ孔66と同軸上、即ち、挿通孔67の中心軸(図8参照)とネジ孔66の中心軸(図6参照)とが略同軸上に配置される。ネジ受け部68は、図3のように先端部本体22の基端面22aと後述のリブ部69との間に配置される。
また、先端部本体22に先端スリーブ24を嵌合させる際に、事前に、先端部本体22の外周面と先端スリーブ24の内周面24aのうちの少なくとも一方に対して、それらの接合部分となる範囲にシール材を塗布しておく。例えばシール材として常温で硬化する初期状態が液状のシリコーンRTV(room temperature vulcanization)ゴムを使用することができる。
これによって、先端部本体22の外周面と先端スリーブ24の内周面24aと接合部分に生じる隙間がシール材で遮蔽され、先端部本体22と先端スリーブ24との嵌合部の高シール性が確保される。
なお、シール材は、先端部本体22と先端スリーブ24の嵌合後にそれらの接合部分を封止するように塗布してもよい。また、シール材としては、液状のものが塗布後に所定の条件化で硬化するもの又は硬化しないもののいずれであってもよい。また、初期状態が固体状のシール材を用いてもよい。ただし、先端部本体22と先端スリーブ24との嵌合部をシール材で遮蔽する形態でなくてもよい。
このようにして先端部本体22に先端スリーブ24を嵌合させた後、図3のようにネジ受け部68の挿通孔67に挿通させたネジ65の軸部に形成されたネジ部を先端部本体22のネジ孔66に螺合させる。そして、ネジ65を締め込み、ネジ65の頭部で先端部本体22の基端面にネジ受け部68を押圧する。これにより、先端部本体22と先端スリーブ24とがネジ65を介して締め付け固定される。
一方、ネジ螺合部64は、先端スリーブ24を先端部本体22から取り外す際に、ドライバでネジ65を緩める方向に回転させることによって先端部本体22と先端スリーブ24とを離間させ、先端部本体22に対して先端スリーブ24を、又は、先端スリーブ24に対して先端部本体22をジャッキアップさせるジャッキアップ機構を有する。
図3及び図8に示すように、先端スリーブ24の内周面24aには、ネジ受け部68よりも基端側に径方向に沿って両端部を除き略一定の突出量で突出するリブ部69が設けられる。図9は、先端スリーブ24を基端側から示した斜視図であり、リブ部69が基端側から示されている。なお、同図には、ネジ受け部68の挿通孔67に挿通されたネジ65と、先端スリーブ24の本体部40に形成されるバルーン送気口63(図4参照)に接続されるバルーン用送気チューブ51も示されている。
図10は、図3におけるネジ螺合部64を拡大して示した図である。同図は、先端スリーブ24の中心軸とネジ受け部68の挿通孔67の中心軸とを含む平面でネジ螺合部64を切断した断面図であり、同図に示すようにリブ部69は、その平面と交差する位置に設けられ、例えば、その平面に対して対称な形状を有する。言い換えると、リブ部69は、先端スリーブ24の中心軸周りの方向(周方向)に関して、その中心位置が、ネジ受け部68の挿通孔67の中心軸と一致する位置に形成される。なお、先端部本体22と先端スリーブ24とが固定された状態においては挿通孔67の中心軸と、ネジ孔66の中心軸及びネジ孔66に螺合されたネジ65の中心軸とは略同軸上に配置される。
このリブ部69は、先端スリーブ24(本体部40)の内周面24aに対する突出量Hr(径方向の高さ)が、ネジ孔66に螺合したネジ65の頭部65aと先端スリーブ24の内周面24aとの間の隙間の長さHsよりも大きくなるような形状を有する。
したがって、ネジ65をネジ孔66の中心軸の方向に直進移動させたとすると、ネジ65の頭部65aがリブ部69に当接する。
また、ネジ65の軸部65bの雄ねじが形成された部分であるネジ部65cが、図10のようにネジ孔66に第1の位置まで螺合された状態において、ネジ孔66とネジ65のネジ部65cとの螺合長さをLpとし、ネジ65の頭部65aとリブ部69とのネジ孔66の軸方向における距離をLsとしたとき、リブ部69はLp>Lsを満たす位置に設けられている。
即ち、ネジ65を緩む方向(反時計回り方向)に回転させてネジ孔66の中心軸の方向に直進移動させたときに、ネジ孔66とネジ65のネジ部65cとの螺合が完全に解除される前にネジ65の頭部65aが当接する位置にリブ部69が形成される。
ここで、第1の位置とは、ネジ受け部68の先端面が先端部本体22の基端面22aに密着し、かつ、ネジ65の頭部65aがネジ受け部68の基端面に密着した状態となるまでネジ65がネジ孔66に締め込まれた状態、即ち、ネジ孔66とネジ65のネジ部65cとの螺合範囲が最大螺合範囲となるまで螺合させた状態のとき、その螺合範囲のうちネジ部65cの基端位置をいう。
また、螺合長さLpは、ネジ65のネジ部65cがネジ孔66に第1の位置まで螺合された状態において、ネジ孔66とネジ65のネジ部65cとの螺合範囲の長さ、具体的には、ネジ孔66に螺合したネジ65のネジ部65cの先端位置からネジ孔66の開口位置(先端部本体22の基端面22aの位置)までの長さをいう。なお、図10に示すネジ65は軸部65bの全体にネジが形成されているため、軸部65bの全体がネジ部65cとなっている。ただし、ネジ部65cは軸部65bの一部の範囲に形成されたものであってもよい。
かかる構成により、リブ部69を有するネジ螺合部64は、後述のようにドライバによりネジ65を緩める方向に回転させてネジ65の頭部65aがリブ部69に当接した後も同方向に回転させることにより、先端部本体22を先端スリーブ24に対してジャッキアップさせるジャッキ装置を構成する。そして、メンテナンスなどで先端部10を分解する場合に、先端スリーブ24を先端部本体22から容易に取り外すことができるようになっている。
なお、上記構成では、ネジ孔66とネジ65のネジ部65cとの螺合範囲が最大螺合範囲となるまで螺合させたとき、その螺合範囲のうちネジ部65cの基端位置を第1の位置としたが、これに限らず、ネジ孔66とネジ65のネジ部65cとの螺合範囲が最大螺合範囲よりも小さな範囲で螺合させた状態のとき、その螺合範囲のうちネジ部65cの基端位置を第1の位置としてもよい。この場合も、先端部本体22を先端スリーブ24に対してジャッキアップさせるジャッキ装置を構成することができ、メンテナンスなどで先端部10を分解する場合に、先端スリーブ24を先端部本体22から容易に取り外すことが可能となる。
また、リブ部69は、ネジ孔66とネジ65のネジ部65cとの螺合が完全に解除される前にネジ65の頭部65aが当接するものであればよい。したがって、リブ部69の突出量Hrは本実施の形態の上述の条件に限らない。
即ち、リブ部69は、ネジ孔66の軸方向に垂直な平面上にネジ65の頭部65aとリブ部69とを投影したときに頭部65aの少なくとも一部と重なる当接部を有するものであればよい。
次に、湾曲部11の構成例について説明する。
図2に示した湾曲部11では、隣り合う二つの駒20の回動軸として、湾曲部11の長手軸に直交する第1方向に延びる回動軸Xと、長手軸に直交し且つ第1方向に直交する第2方向に延びる回動軸Yとが交互に設けられているものとして説明したが、図11に示すように、回動軸X及び回動軸Yのうち一方の回動軸を局所的に連続して設けることもできる。
図11に示す湾曲部は、四方向駒20A及び二方向駒20Bの二種の駒を含む。
四方向駒20Aは、図12に詳細に示すように、円環状に形成された胴100と、駒の並びにおいて両側に隣り合う駒のうち一方の駒と連結される一対の連結片101と、他方の駒と連結される一対の連結片102と、を有する。
一対の連結片101は、胴100の一方の端部から胴100の軸方向に延出して設けられており、胴100の中心軸を挟んで略対称に配置されている。そして、連結片101は、円環状の胴100に対して外径側に隆起して平板状に形成されており、連結片101と胴100との間には段差が設けられている。以下、胴100に対して外径側に隆起して形成された連結片101を外連結片という。外連結片101には、駒同士を連結する軸部材21が挿通される貫通孔130aが形成されている。
一対の連結片102は、胴100の他方の端部から胴100の軸方向に延出して設けられており、胴100の中心軸を挟んで略対称に、且つ一対の連結片101に対して中心軸まわりに略90度回転した位置に配置されている。そして、連結片102は、円環状の胴100に対して内径側に沈降して平板状に形成されており、連結片102と胴100との間には段差が設けられている。以下、胴100に対して内径側に沈降して形成された連結片102を内連結片という。内連結片102には、駒同士を連結する軸部材21が挿通される貫通孔130bが形成されている。
四方向駒20Aは、上下方向の湾曲に対応する一対のワイヤ25又は左右方向の湾曲に対応する一対のワイヤ26のうち一方のワイヤがそれぞれ挿通される一対のワイヤガイド27をさらに有する。図示の例では、ワイヤガイド27は外連結片101の近傍で胴100の内周面に設けられている。
二方向駒20Bは、図13に詳細に示すように、円環状に形成された胴110と、駒の並びにおいて隣り合う二つの駒のうち一方の駒と連結される一対の連結片111と、他方の駒と連結される一対の連結片112とを有する。
一対の連結片111は、胴110の一方の端部から胴110の軸方向に延出して設けられており、胴110の中心軸を挟んで略対称に配置されている。そして、連結片111は、胴110に対して外径側に隆起して平板状に形成されており、連結片111と胴110との間には段差が設けられている。以下、胴110に対して外径側に隆起して形成された連結片111を外連結片という。外連結片111には、駒同士を連結する軸部材21が挿通される貫通孔130aが形成されている。
一対の連結片112は、胴110の他方の端部から胴110の軸方向に延出して設けられており、胴110の中心軸を挟んで略対称に、且つ一対の連結片111の各々と胴110を挟んで隣り合わせに配置されている。そして、連結片112は、胴110に対して内径側に沈降して平板状に形成されており、連結片112と胴110との間には段差が設けられている。以下、胴110に対して内径側に沈降して形成された連結片112を内連結片という。内連結片112には、駒同士を連結する軸部材21が挿通される貫通孔130bが形成されている。
二方向駒20Bは、上下方向の湾曲に対応する一対のワイヤ25又は左右方向の湾曲に対応する一対のワイヤ26のうち一方のワイヤがそれぞれ挿通される一対のワイヤガイド27をさらに有する。図示の例では、ワイヤガイド27は、隣り合わせに配置されている外連結片111と内連結片112との間で胴110の内周面に設けられている。
四方向駒20A及び二方向駒20Bは、例えば断面円形状の管材から駒の概略形状を有する成形素材をレーザーカット加工等によって切り出し、成形素材において連結片に対応する部位を平板状にプレス成形して作製することができる。ワイヤガイド27は、プレス成形された駒の胴に抵抗溶接等によって個々に接合される。なお、プレス成形の際に、駒の胴の内周面においてワイヤガイド27が接合される箇所に凹状のガイド受部を形成するようにしてもよい。これによれば、接合の際のワイヤガイド27の仮止めが容易となる。また、抵抗溶接にてワイヤガイド27を接合したのち、ロウ付け等でさらに固定してもよい。
四方向駒20Aが連続して並ぶ部位では、隣り合う二つの四方向駒20Aのうち一方の四方向駒20Aの一対の外連結片101の各々の内径側に他方の四方向駒20Aの内連結片102が重ねられ、重ね合された外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bに軸部材21が挿通される。隣り合う二つの四方向駒20Aは一対の軸部材21によって回動可能に連結される。
四方向駒20Aの一対の外連結片101と一対の内連結片102とは胴100の中心軸まわりに略90度回転した位置に配置されていることから、四方向駒20Aが連続して並ぶ部位では、隣り合う二つの駒の回動軸として、湾曲部の長手軸に直交する第1方向に延びる回動軸Xと、長手軸に直交し且つ第1方向に直交する第2方向に延びる回動軸Yとが交互に設けられる。換言すれば、四方向駒20Aは、片側に隣り合う駒と回動軸Xまわりに回動可能に連結され、反対側に隣り合う駒とは回動軸Yまわりに回動可能に連結される。
他方、四方向駒20Aの並びに一つ以上の二方向駒20Bが介装されている部位では、二方向駒20Bの一対の外連結片111の各々の内径側に、外連結片111側に隣り合う四方向駒20Aの内連結片102又は他の二方向駒20Bの内連結片112が重ねられ、重ね合された外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bに軸部材21が挿通される。二方向駒20Bとこの二方向駒20Bの外連結片111側に隣り合う他の駒とは一対の軸部材21によって回動可能に連結される。
また、二方向駒20Bの一対の内連結片112の各々の外径側には、内連結片112側に隣り合う四方向駒20Aの外連結片101又は他の二方向駒20Bの外連結片111が重ねられ、重ね合された外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bに軸部材21がそれぞれ挿通される。二方向駒20Bとこの二方向駒20Bの内連結片112側に隣り合う他の駒とは一対の軸部材21によって回動可能に連結される。
二方向駒20Bの一対の外連結片111と一対の内連結片112とは胴110を挟んで隣り合わせに配置されていることから、四方向駒20Aの並びに一つ以上の二方向駒20Bが介装されている部位では、隣り合う二つの駒の回動軸として、回動軸X及び回動軸Yのうち一方の回動軸が連続して設けられる。すなわち、二方向駒20Bは、両側に隣り合う二つの駒の各々と、回動軸X又は回動軸Yのうち一方の回動軸まわりに回動可能に連結される。
四方向駒20Aの並びに一つ以上の二方向駒20Bを介装し、例えば回動軸Xを連続して設けることにより、隣り合う二つの駒の回動軸Xまわりの回動に基づく相反二方向の湾曲部の湾曲に関して二方向駒20Bが介装された部位における曲率半径を小さくすることができる。これにより、狭所での湾曲部の湾曲動作を容易とすることができる。
二つの駒が軸部材21によって連結されるに際し、上述したとおり、二つの駒の各々の連結片が重なるよう、これら二つの駒は互いに位置決めされる。四方向駒20Aの胴100及び二方向駒20Bの胴110には複数の位置決め孔が設けられている。
四方向駒20Aの胴100には、一対の外連結片101に対して所定の位置に、一組をなす三つの第1の位置決め孔120が設けられており、また、一組をなす三つの第1の位置決め孔120を胴100の中心軸まわりに略90度回転させた位置に、一組をなす三つの第2の位置決め孔121が設けられている。
好ましくは、一組をなす三つの第1の位置決め孔120は胴100の中心軸まわりに等角度おきに配置され、一組をなす三つの第2の位置決め孔121もまた胴100の中心軸まわりに等角度おきに配置される。また、好ましくは、図示の例のように、三つの第1の位置決め孔120の組が胴100の中心軸を挟んで対称に二組(図には、組み毎に添え字“1”又は“2”が付されている)設けられ、三つの第2の位置決め孔121の組もまた胴100の中心軸を挟んで対称に二組(図には、組み毎に添え字“1”又は“2”が付されている)設けられる。
二方向駒20Bの胴110にも、四方向駒20Aの胴100と同様、一対の外連結片111に対して所定の位置に、一組をなす三つの第1の位置決め孔120が設けられており、また、一組をなす三つの第1の位置決め孔120が胴110の中心軸まわりに略90度回転された位置に、一組をなす三つの第2の位置決め孔121が設けられている。
軸部材21としては、リベットが用いられる。図14に示すとおり、重ね合された外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bに、内径側からリベットの軸部131が挿通され、その後に軸部131の先端部が加締められる。重ね合された外連結片及び内連結片はリベットの頭部132と軸部131の加締められた先端部との間に挟み込まれて保持される。
図示の例では、外連結片の貫通孔130aは内連結片の貫通孔130bよりも小径に形成されている。外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bに挿通される軸部131は、頭部132側に設けられた大径部133と、先端部側に設けられた小径部134とを含んで構成され、大径部133は内連結片の貫通孔130bに、小径部134は加締められる先端部を除いて外連結片の貫通孔130aにそれぞれ収容される。
好ましくは、外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bの各々の軸部挿入側開口の縁部はテーパ状に形成され、軸部131の先端部、及び大径部133の肩部もまたテーパ状に形成される。これにより、外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bへの軸部材21の挿通が容易となる。
また、好ましくは、軸部材21は磁性材料によって形成される。内視鏡の種別にもよるが、駒は直径が数ミリ程度の小型の部材であり、駒同士を連結する軸部材21は駒よりも更に小型であるところ、磁性材料からなる軸部材21は磁力によって吸着保持可能であり、外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bへの軸部材21の挿通が容易となる。この場合に、軸部材21を磁力によって吸着保持する治具等に駒が吸着されることがないよう、駒は非磁性材料によって形成されることが好ましい。
図15に示す湾曲部は、四方向駒20Cと、二方向駒20Dとの二種の駒を含む。
四方向駒20Cは、図16に詳細に示すように、胴100に一対の平板部103及び一対の平板部104が設けられている点を除き、上記の四方向駒20Aと同様に構成されている。
平板部103は、外連結片101に隣設されており、外連結片101と同じく円環状の胴100に対して外径側に隆起して平板状に形成されている。そして、平板部103は、外連結片101以上の幅で胴100を軸方向に横断して延びている。外連結片101は、段差なく平板部103から延出している。
平板部104は、内連結片102に隣設されており、内連結片102と同じく円環状の胴100に対して内径側に沈降して平板状に形成されている。そして、平板部104は、内連結片102以上の幅で胴100を軸方向に横断して延びている。内連結片102は、段差なく平板部104から延出している。
四方向駒20Cは、例えば断面円形状の管材から駒の概略形状を有する成形素材を切り出し、成形素材において外連結片101及び外連結片101を支持する平板部103に対応する部位、並びに内連結片102及び内連結片102を支持する平板部104に対応する部位を、部位毎に平板状にプレス成形して作製することができる。この場合に、平板部103及び平板部104での材料の伸縮が胴100の周方向に略揃い、胴100の中心軸に対する外連結片101及び内連結片102の傾きが抑制され、外連結片101及び内連結片102の成形精度が向上する。そして、管材から成形素材をレーザーカット加工によって切り出す場合に、レーザー光源から管材までの距離が一定となり、レーザー光源の焦点深度の調整が不要となる。
また、四方向駒20Cは、胴と同一の断面形状に形成された管材から直接切り出して作製することもできる。これによれば、駒毎のプレス成形が不要となり、生産性が向上する。
ワイヤガイド27は、プレス成形され、あるいは管材から直接切り出された駒の胴100に抵抗溶接等によって個々に接合される。ここで、四方向駒20Cでは、外連結片101に隣設して平板部103が設けられており、ワイヤガイド27は平板部103の内径側の平坦面に設けられる。ワイヤガイド27の接合箇所が平坦面であることにより、接合の際のワイヤガイド27の仮止めがさらに容易となる。なお、四方向駒20Cがプレス成形によって作製される場合には、プレス成形の際に、ワイヤガイド27が接合される平板部103の内径側の平坦面に凹状のガイド受部を形成してもよい。
二方向駒20Dは、図17に詳細に示すように、円環状に形成された胴110と、胴110の一方の端部から胴110の軸方向に延出して設けられ、胴110の中心軸を挟んで略対称に配置された一対の外連結片111aと、胴110の他方の端部から胴110の軸方向に延出して設けられ、胴110の中心軸を挟んで略対称に、且つ一対の外連結片111aの各々と胴110を挟んで隣り合わせに配置された一対の外連結片111bとを有する。
胴110には一対の平板部113が設けられている。平板部113は、隣り合わせに配置されている外連結片111aと外連結片111bとの間に設けられており、外連結片111a及び外連結片111bと同じく円環状の胴110に対して外径側に隆起して平板状に形成されている。そして、平板部113は、外連結片111a及び外連結片111b以上の幅で胴110を軸方向に横断して延びている。外連結片111a及び外連結片111bは、段差なく平板部113から延出している。
二方向駒20Dは、四方向駒20Cと同様、断面円形状の管材から駒の概略形状を有する成形素材を切り出し、成形素材において外連結片及び外連結片を支持する平板部に対応する部位を、部位毎に平板状にプレス成形して作製することができ、この場合に、四方向駒20Cと共通のプレス成形型を用いることができる。また、二方向駒20Dは、四方向駒20Cと同様、各々の胴と同一の断面形状に形成された管材から直接切り出して作製することもできる。
ワイヤガイド27は、プレス成形され、あるいは管材から直接切り出された駒の胴110に抵抗溶接等によって個々に接合される。ここで、二方向駒20Dでは、外連結片111aと外連結片111bとの間に平板部113が設けられており、ワイヤガイド27は平板部113の内径側の平坦面に設けられる。ワイヤガイド27の接合箇所が平坦面であることにより、接合の際のワイヤガイド27の仮止めがさらに容易となる。なお、二方向駒20Dがプレス成形によって作製される場合には、プレス成形の際に、ワイヤガイド27が接合される平板部113の内径側の平坦面に凹状のガイド受部を形成してもよい。
四方向駒20Cの並びに一つの二方向駒20Dが介装される場合に、二方向駒20Dの一対の外連結片111aの各々の内径側に、外連結片111a側に隣り合う四方向駒20Cの内連結片102が重ねられる。また、二方向駒20Dの一対の外連結片111bの各々の内径側に、外連結片111b側に隣り合う四方向駒20Cの内連結片102が重ねられる。重ね合された外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bに軸部材21が挿通され、二方向駒20Dと、外連結片111a側に隣り合う四方向駒20C及び外連結片111b側に隣り合う四方向駒20Cとは回動可能に連結される。
なお、一対の外連結片111a及び一対の外連結片111bが胴110を挟んで隣り合わせに配置された二方向駒20Dに替えて、図18に示すように、一対の内連結片112a及び一対の内連結片112bが胴110を挟んで隣り合わせに配置された二方向駒20Eを用いてもよい。以下、二方向駒20Dを第1の二方向駒といい、二方向駒20Eを第2の二方向駒という。
第2の二方向駒20Eの胴110には一対の平板部114が設けられている。平板部114は、隣り合わせに配置されている内連結片112aと内連結片112bとの間に設けられており、内連結片112a及び内連結片112bと同じく円環状の胴110に対して内径側に沈降して平板状に形成されている。そして、平板部114は、内連結片112a及び内連結片112b以上の幅で胴110を軸方向に横断して延びている。内連結片112a及び内連結片112bは、段差なく平板部114から延出している。ワイヤガイド27は平板部114の内径側の平坦面に設けられている。
四方向駒20Cの並びに一つの第2の二方向駒20Eが介装される場合に、第2の二方向駒20Eの一対の内連結片112aの各々の外径側に、内連結片112a側に隣り合う四方向駒20Cの外連結片101が重ねられる。また、第2の二方向駒20Eの一対の内連結片112bの各々の外径側に、内連結片112b側に隣り合う四方向駒20Cの外連結片101が重ねられる。重ね合された外連結片の貫通孔130a及び内連結片の貫通孔130bに軸部材21が挿通され、第2の二方向駒20Eと、内連結片112a側に隣り合う四方向駒20C及び内連結片112b側に隣り合う四方向駒20Cとは回動可能に連結される。
図19は、上述した第1の二方向駒20Dの変形例を示し、胴110には、内径側に沈降して平板状に形成された一対の平板部114が、胴110の中心軸を挟んで略対称に、且つ一対の平板部113に対して中心軸まわりに略90度回転した位置に設けられている。
また、図20は、上述した第2の二方向駒20Eの変形例を示し、胴110には、外径側に隆起して平板状に形成された一対の平板部113が、胴110の中心軸を挟んで略対称に、且つ一対の平板部114に対して中心軸まわりに略90度回転した位置に設けられている。
以上のように形成された第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eでは、各々の胴110の断面形状が互いに同じとなり、さらに図16に示した四方向駒20Cの胴100の断面形状とも同じとなる。これにより、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20E並びに四方向駒20Cが管材から直接切り出されることによって作製される場合に共通の管材を用いることができ、また、プレス成形によって作製される場合には共通のプレス成形型を用いることができる。
第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eにおける平板部113の幅W1と平板部114の幅W2とは、同じであってもよいし、一方が他方に対して大きくてもよい。同様に、四方向駒20Cにおける平板部103の幅と平板部104の幅とは、同じであってもよいし、一方が他方に対して大きくてもよい。
ここまで、四方向駒20Cのワイヤガイド27は、胴100に対して外径側に隆起した平板部103に設けられるものとして説明したが、胴100に対して内径側に沈降した平板部104に設けられていてもよい。また、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eについても、ワイヤガイド27は、胴110に対して外径側に隆起した平板部113に設けられていてもよいし、内径側に沈降した平板部114に設けられていてもよい。
図21に示す湾曲部は、四方向駒20Cの並びに第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eが交互に且つ偶数個連続して介装されたものである。
例えば図15に示した湾曲部では、四方向駒20Cの並びに一つの第1の二方向駒20Dが介装されているが、この場合に、四方向駒20Cの一対の外連結片101又は一対の内連結片102の向きに着目して、第1の二方向駒20Dを挟んで四方向駒20Cの向きが逆転する。四方向駒20Cの並びに一つの第2の二方向駒20Eが介装される場合にも、同様に第2の二方向駒20Eを挟んで四方向駒20Cの向きが逆転する。
これに対し、図21に示すように、交互に且つ偶数個連続する第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eの並びの一方の端には第1の二方向駒20Dが配置され、他方の端には第2の二方向駒20Eが配置される。この場合に、一方の端に配置された第1の二方向駒20Dと隣り合う四方向駒20Cは、上述したとおり一対の内連結片102で第1の二方向駒20Dに連結される。そして、他方の端に配置された第2の二方向駒20Eと隣り合う四方向駒20Cは、上述したとおり一対の外連結片101で第2の二方向駒20Eと連結され、この四方向駒20Cの一対の内連結片102は、第1の二方向駒20Dに連結された四方向駒20Cの一対の内連結片102と同じ向きに向けられる。
このように、四方向駒20Cの並びに第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eを交互に且つ偶数個連続して介装することで、四方向駒20Cの向きを揃えることができる。これにより、湾曲部の組立ての際に四方向駒20Cの供給が容易となる。
好ましくは、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eの連続した並びは、一つの第1の二方向駒20Dと一つの第2の二方向駒20Eとで構成される。また、好ましくは、第1の二方向駒20Dの軸方向長さL1及び第2の二方向駒20Eの軸方向長さL2は、四方向駒20Cの軸方向長さL3よりも小さくされる。これにより、湾曲部の長さの増加が抑制される。なお、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20E並びに四方向駒20Cの各々の軸方向長さとは、駒の片側に設けられている一対の連結片の貫通孔の中心線から反対側に設けられている一対の連結片の貫通孔の中心線までの距離を言うものとする。
ここで、四方向駒20Cの一対のワイヤガイド27は、典型的には胴100の中心軸を含み回動軸Xに平行な面上に配置され、又は胴100の中心軸を含み回動軸Yに平行な面上に配置され、胴100の中心軸を挟んで対称に配置される。第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eの一対のワイヤガイド27もまた、典型的には胴110の中心軸を含み回動軸Xに平行な面上に配置され、又は胴110の中心軸を含み回動軸Yに平行な面上に配置され、胴110の中心軸を挟んで対称に配置される。
湾曲部の組立ての際の第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eの供給を容易とする観点では、図22に示すように、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eの一対のワイヤガイド27の各々は、胴110の中心軸に直交して胴110を軸方向に等分する面S1を挟んで対称に形成される。
それにより、第1の二方向駒20Dが反転されて一対の外連結片111aと一対の外連結片111bとが入れ替えられ、第2の二方向駒20Eが反転されて一対の内連結片112aと一対の内連結片112bとが入れ替えられた場合にも、両隣りの駒に対する一対のワイヤガイド27の位置関係が変動しない。よって、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eの向きに留意する必要がなくなり、湾曲部の組立ての際の駒の供給が容易となる。
本例の構成は、図15及び図21にそれぞれ示した湾曲部の構成例のいずれにも適用可能である。
一方、上記のライトガイド、電線群、及びチャネルなどの内蔵物を収容する収容空間を確保する観点では、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20E並びに四方向駒20Cにおいて、一対のワイヤガイド27のうち一方のワイヤガイド27を対称位置からずらして配置してもよい。
図23に示す例は、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eにおいて、一対のワイヤガイド27が胴110に対して内径側に沈降した平板部114に設けられている場合を示し、一方のワイヤガイド27は胴110の中心軸を含み回動軸Xに平行な面(又は胴110の中心軸を含み回動軸Yに平行な面)S2上に配置されており、他方のワイヤガイド27は面S2に対して片側に偏倚され、対称位置から外れて配置されているものである。この場合、ワイヤガイド27が偏倚された側とは反対側には、相対的に大きな収容空間が確保される。
一方のワイヤガイド27が偏倚される場合に、図24Aに示すように、偏倚された一方のワイヤガイド27が設けられている平板部114の幅Waを他方のワイヤガイド27が設けられる平板部114の幅Wbよりも大きく形成してもよく、これによれば、ワイヤガイド27を相対的に幅広の平板部114の範囲内でより大きく偏倚させることができる。さらに、胴110の外形が非対称となり、偏倚されたワイヤガイド27が在る側を胴110の外側から容易に判別することができるので、駒を並べる際の作業性が向上する。
また、図24Bに示すように、平板部114に隣接する胴110の円弧部分にワイヤガイド27を設けてもよく、これによっても、ワイヤガイド27をより大きく偏倚させることができる。そして、図24Cに示すように、平板部114に隣接する平板部115を設け、この平板部115にワイヤガイド27を設けてもよく、これによれば、ワイヤガイド27の接合箇所が平坦面となり、接合の際のワイヤガイド27の仮止めが容易となる。
なお、第1の二方向駒20D及び第2の二方向駒20Eにおいて一対のワイヤガイド27が胴110に対して内径側に沈降した平板部114に設けられている場合を例に説明したが、一対のワイヤガイド27が外径側に隆起した平板部113に設けられている場合も、一方のワイヤガイド27を同様に偏倚させることができる。
また、四方向駒20Cにおいても、胴100に対して内径側に沈降した平板部104に設けられ、あるいは外径側に隆起した平板部103に設けられた一対のワイヤガイド27のうち一方のワイヤガイド27を同様に偏倚させることができる。
図23及び図24Aから図24Cにそれぞれ示した構成は、図15及び図21にそれぞれ示した湾曲部の構成例のいずれにも適用可能である。
次に、湾曲部11と軟性部12との接続箇所の構成例について説明する。
図25は、湾曲部11と軟性部12との接続箇所の一例の外観斜視図である。また、図26は、図25の接続箇所の分解斜視図である。
図2に示したとおり、湾曲部11の最も軟性部12側に位置する基端駒20aが、軟性部12の管体28の先端部に設けられた先端側接続環29に連結され、湾曲部11と軟性部12とは接続されている。
図25及び図26に示す例では、基端駒20aの内部に先端側接続環29が挿入されて基端駒20aと先端側接続環29とは互いに嵌合され、先端側接続環29の一方の端部には基端駒20aに内嵌する連結部400が設けられている。また、先端側接続環29の他方の端部には管体28が接合される接合部401が設けられている。管体28は上記のとおり螺管の外周を網状管などで被覆して構成され、接合部401は螺管の先端部に外嵌して螺管と接合される。螺管の先端部が挿入される接合部401の内径は連結部400の内径よりも大きく形成されており、接合部401の外径は、連結部400が挿入される基端駒20aの外径よりも小さく形成されている。
そして、基端駒20aと先端側接続環29とは、連結部材であるクリップ200を用いて互いに連結されている。クリップ200は、弾性変形可能な帯板部210と、帯板部210の両端からそれぞれ延設された一対の係止部211とを有する。
嵌合外側に配置される基端駒20aには、クリップ200の両端の係止部211がそれぞれ挿通される一対の第1の係合孔214が設けられている。図示の例では、嵌合された基端駒20aと先端側接続環29との連結に二つのクリップ200が用いられており、第1の係合孔214の対は基端駒20aの中心軸を挟んで対称に二対設けられている。また、基端駒20aには、基端駒20aの一方の端から基端駒20aの軸方向、すなわち先端側接続環29との嵌合方向に延びる切り欠き217が設けられている。図示の例では、切り欠き217もまた基端駒20aの中心軸を挟んで対称に二つ設けられている。
嵌合内側に配置される先端側接続環29の連結部400には、クリップ200の両端の係止部211がそれぞれ挿通される一対の第2の係合孔216が設けられており、また、連結部400の外周面には突起201が設けられている。突起201は、打ち出し加工などによって先端側接続環29と一体に形成されている。図示の例では、第2の係合孔216の対は先端側接続環29の中心軸を挟んで対称に二対設けられており、突起201もまた先端側接続環29の中心軸を挟んで対称に二つ設けられている。
図27Aから図27B及び図28Aから図28Cは、湾曲部11と軟性部12との接続工程を示す。
まず、図27Aから図27Bに示すように、基端駒20aの内部に先端側接続環29の連結部400が挿入される。連結部400の外周面に設けられた突起201は、基端駒20aの内部への連結部400の挿入に伴い、基端駒20aの切り欠き217に挿し込まれる。
突起201が切り欠き217に挿し込まれ、基端駒20aと先端側接続環29とが嵌合された状態で、基端駒20aの第1の係合孔214の各々と、先端側接続環29の第2の係合孔216の各々とは互いに重なっている。重ね合された二組の第1の係合孔216及び第2の係合孔214の組にクリップ200の係止部211がそれぞれ挿通され、基端駒20a及び先端側接続環29にクリップ200が装着される。
図28Aから図28Cに示すように、クリップ200の装着において、まず、クリップ200の一方の係止部211が、重ね合された二組の第1の係合孔214及び第2の係合孔216の組のうち一方の組に基端駒20aの外側から挿通され、先端側接続環29の内周面に係合する。続いて、クリップ200の帯板部210が弾性変形されながら、他方の係止部211が、重ね合された二組の第1の係合孔214及び第2の係合孔216の組のうち他方の組に挿通され、先端側接続環29の内周面に係合する。基端駒20a及び先端側接続環29は、クリップ200の帯板部210と一対の係止部211との間に綴じ込まれ、互いに連結される。
ここで、図29に示すように、クリップ200の一方の係止部211の延設長Laを他方の係止部211の延設長Lbに比べて小さくしてもよい。上述したクリップ200の装着において、相対的に短い係止部(第1係止部)211を、重ね合された第1の係合孔214及び第2の係合孔216の組に先に挿通させ、その後に相対的に長い係止部(第2係止部)211を、重ね合された第1の係合孔214及び第2の係合孔216の組に挿通させるようにすることにより、湾曲部11及び軟性部12に収容される各種の内蔵物(電線群47、チャネル48、一対のライトガイド49、及び送気送水チューブ50)との干渉を抑制して、クリップ200の装着の作業性を高めることができる。
互いに嵌合された基端駒20a及び先端側接続環29に作用する軸方向の引っ張りに対して、クリップ200が基端駒20aの第1の係合孔214及び先端側接続環29の第2の係合孔216と軸方向に係合し、基端駒20aと先端側接続環29との軸方向の相対移動が阻止される。
また、互いに嵌合された基端駒20a及び先端側接続環29に作用する軸まわりの捩じり対して、先端側接続環29の突起201が基端駒20aの切り欠き217と周方向に係合し、基端駒20aと先端側接続環29との軸まわり相対回転が阻止される。
基端駒20aと先端側接続環29とが分離される際には、係止部211が基端駒20aの第1の係合孔214及び先端側接続環29の第2の係合孔216から抜かれることによって、クリップ200が基端駒20a及び先端側接続環29から取り外される。先端側接続環29の突起201と基端駒20aの切り欠き217との係合は、基端駒20aから脱抜される向きの先端側接続環29の軸方向の移動を規制せず、よって、クリップ200を取り外すだけで基端駒20aと先端側接続環29とを容易に分離することができる。
基端駒20aの切り欠き217と周方向に係合して基端駒20aと先端側接続環29との軸まわり相対回転を阻止する突起201が先端側接続環29と一体に形成されていることにより、突起201が先端側接続環29から分離する虞はなく、軸まわりの捩じり対して基端駒20aと先端側接続環29とを強固に連結することができる。これにより、軸まわりの捩じりがクリップ200に作用することが抑制されるので、クリップ200に所期の接合強度を発揮させることができ、軸方向の引っ張りに対しても基端駒20aと先端側接続環29とを強固に連結することができる。
突起201の高さ、即ち先端側接続環29の連結部400の外周面からの突出量は、基端駒20aの厚み以下であってもよいし、基端駒20aの厚みより大きくてもよい。突起201の高さが基端駒20aの厚み以下である場合には、突起201が基端駒20aの切り欠きに217に挿し込まれた状態で、突起201の頭部が基端駒20aの外周に突出せず、湾曲部11の細径化に寄与する。また、突起201の高さが基端駒20aの厚みより大きい場合には、基端駒20aの切り欠き217との係合部分が増え、軸まわりの捩じり対する基端駒20aと先端側接続環29との連結強度が高まる。
基端駒20aと先端側接続環29との軸まわりの捩じりがクリップ200に作用することが抑制されることから、クリップ200の係止部211が挿通される第1の係合孔214及び第2の係合孔216の各々とクリップ200との間の軸まわりの回転方向のクリアランスを、第1の係合孔214及び第2の係合孔216の各々とクリップ200との間の軸方向のクリアランスよりも大きくしてもよい。それにより、上述したクリップ200の装着において、係止部211の第1の係合孔214及び第2の係合孔216への挿通が容易となる。
このように、互いに嵌合された基端駒20a及び先端側接続環29に作用する軸方向の引っ張りをクリップ200で受け止め、軸まわりの捩じりを突起201で分散して受け止めることにより、湾曲部11と軟性部12とを分離可能に且つ強固に接続することができる。
なお、図25及び図26に示した例では、先端側接続環29の突起201は略円柱状に形成されているが、突起201は略円柱状に限られず、例えば図30に示すように、先端側接続環29の軸方向に延び、切り欠き217に嵌り込むキー形状であってもよい。
次に、軟性部12の構成例について説明する。
図31に示すように、軟性部12は、上記のとおり、ライトガイド、電線群、及びチャネルなどを収容する柔軟な管体28を含み、管体28は、螺管(フレックスともいう。)300と、螺管300の外周面を被覆する網状管(ブレード又はネットともいう。)302と、網状管302の外周面を被覆するエラストマー製の外皮303とから構成される。
螺管300は、帯板材が螺旋状に隙間をあけて一定の直径で巻回され、可撓に形成されている。なお、図示は省略するが、螺管300は2重巻き構造であってもよく、即ち、帯板材が螺旋状に隙間をあけて一定の直径で巻回されてなる第1螺管と、同じく帯板材が螺旋状に隙間をあけて一定の直径で巻回されてなり且つ第1螺管とは螺旋の向きが反対な第2螺管とを有し、第1螺管及び第2螺管が同軸に配置された構造であってもよい。ただし、軟性部12の細径化を図る観点、又は軟性部12の外径を変えずに内部空間の拡大を図る観点では、螺管300は、図31に示す例のように1重巻き構造であることが好ましい。
螺管300を形成する材料としては、管体28が潰れないようにするための機械的強度が確保されるものであれば特に限定はなく、ステンレス等の金属を用いることができ、また金属に替えてポリカーボネイト等のエンジニアリングプラスチック、又はエンジニアリングプラスチックをガラス繊維、カーボン繊維等で強化したものを用いて、射出成形等により螺管として成形してもよい。
網状管302は、螺管300の外周面を被覆し、管体28の剛性を増強する補強材としての役割を果たし、また、軟性部12に収容される電線群に対するシールドとしての役割も果たすものである。網状管302は、複数の素線306が帯状に束ねられてなる素線束305が網状に編組され、可撓に形成されている。
素線306を形成する材料としては、網状管302が補強材としての役割を果たすうえで機械的強度が確保されるものであれば特に限定はなく、例えばステンレス等の金属を用いることができ、また、一部の素線には金属に替えてアラミド等の樹脂を用いることもできるが、網状管302のシールドとしての役割を考慮すれば、ステンレス等の金属のみを用いることが好ましい。
外皮303は、エラストマー製の可撓なチューブであり、網状管302の外周面を被覆し、管体28の内部を保護する役割を果たすものである。
外皮303を形成するエラストマーとしては、内視鏡2を体内に挿入した際に、生体に影響を与えないものであれば特に限定はなく、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル、ナイロン、ポリエステル、テフロン(登録商標)等の合成樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、及び、これらの混合物等が、好適例として挙げられる。
管体28の製造方法の一例について説明すると、螺管300が網状管302に挿入され、網状管302に挿入された螺管300に芯材が挿入されている状態で、溶融されたエラストマーが、公知の押出成形機等によって、網状管302の外周面に均一の厚さに付着され、網状管302の外周面に付着したエラストマーが直後に冷却されることによって、網状管302の外周面に外皮303が直接成形される。網状管302と外皮303とは、例えば、外皮303が成形される前工程において網状管302の外周面に接着剤がスポット状に分散して塗布され、この接着剤によって接合される。
また、管体28の製造方法の他の例として、網状管302に芯材が挿入されている状態で、溶融されたエラストマーが、公知の押出成形機等によって、網状管302の外周面に均一の厚さに付着され、網状管302の外周面に付着したエラストマーが直後に冷却されることによって、網状管302の外周面に外皮303が直接成形される。そして、網状管302に挿入されている芯材が網状管302から抜かれ、芯材が抜かれた網状管302に螺管300が挿入される。網状管302と外皮303とは、例えば、外皮303が成形される前工程において網状管302の外周面に接着剤がスポット状に分散して塗布され、この接着剤によって接合されてもよく、又は、網状管302の内径側から網状管302に係合するアンカー部が外皮303に形成され、このアンカー部によって接合されてもよい。
図32及び図33は、網状管302と外皮303とを接合する外皮303のアンカー部の構成例を示す。
網状管302を構成する複数の素線束305のそれぞれは、一つ以上の素線束305おきに(図示の例では二つの素線束305おきに)、網状管302の内径側及び外径側に交互に位置して他の素線束305と交差している。そして、隣り合って平行して延びる二つ素線束305と、これら二つの素線束305と交差し且つ隣り合って平行して延びる二つの素線束305との四つの素線束305によって隙間Pが囲われている。外皮303には、網状管302の内径側から網状管302に係合するアンカー部310が隙間P毎に設けられている。
アンカー部310は、外皮303を形成するエラストマーが、隙間Pを通して網状管302と網状管302に挿入された芯材との間に浸入し、浸入したエラストマーが固化して外皮303と一体に形成されている。そして、アンカー部310は、隙間Pの各隅部Pcにおいて互いに交差している二つの素線束305のうち網状管302の外径側に位置する素線束305の縁部に重なっており、この縁部に網状管302の内径側から係合している。
アンカー部310と素線束305の縁部との重なり代は、例えば外皮303が押出成形される場合に、エラストマーに印加される圧力によって適宜調整することができる。
このように、網状管302の隙間P毎に設けられ、外皮303と一体に形成された複数のアンカー部310が素線束305の縁部に網状管302の内径側から係合することによって、網状管302と外皮303とは接合される。
図34及び図35は、外皮303のアンカー部の他の構成例を示す。
図34及び図35に示す外皮303のアンカー部311は、図32及び図33に示したアンカー部310と同様に、網状管302の隙間P毎に設けられており、さらに、周囲のアンカー部311とブリッジ312を介して互いに連結されている。ブリッジ312は、このブリッジ312によって互いに連結される二つのアンカー部311に挟まれた素線束305を跨いで形成されている。
ブリッジ312が形成される箇所は、例えば外皮303が押出成形される場合に、エラストマーに印加される圧力によって適宜設定することができる。図34に示した例では、ブリッジ312は、隣り合って平行して延びる二つの素線束305の間で、これら二つの素線束305のいずれもが網状管302の内径側に位置している箇所に形成されているが、さらに、隣り合って平行して延びる二つの素線束305の間で、これら二つの素線束305のうち一方が網状管302の内径側に位置し、他方が網状管302の外径側に位置している箇所に形成することもできる(図34において破線にて示されるブリッジ312参照)。
ブリッジ312に跨れた素線束305が外皮303とブリッジ312との間に挟み込まれることにより、網状管302と外皮303との接合強度が高まる。
図36及び図37は、外皮303のアンカー部の他の構成例を示す。
図36及び図37に示す例では、外皮303のアンカー部313は、図32及び図33に示したアンカー部310と同様に、網状管302の隙間P毎に個別に設けられており、隙間Pを囲っている素線束305の縁部に係合している。そして、素線束305を構成する複数の素線のうち、素線束305の両側の縁部に配置されている一部の素線であって、端から一つ以上の素線306aが中央部の素線306bよりも細径に形成されている。
素線束305の縁部の素線306aが相対的に細径に形成されていることにより、素線306aと網状管302に挿入された芯材との間に隙間が生じ、外皮303を形成するエラストマーが隙間Pを通して素線306aと芯材との間に浸入しやすくなり、アンカー部313の素線束305の縁部との重なり部分がより確実に形成される。さらには、アンカー部313は、隙間Pの各隅部Pcにおいて互いに交差している二つの素線束305のうち網状管302の外径側に位置する素線束305の縁部だけでなく、網状管302の内径側に位置する素線束305の縁部にも重なって形成される。これにより、網状管302と外皮303との接合強度が高まる。
また、素線束305の中央部の素線306bが相対的に太径に形成されていることから、素線306bがアンカー部313よりも網状管302の内径側に突出して配置され、エラストマーからなるアンカー部313と芯材が抜かれた後に網状管302に挿入される螺管300との接触が抑制される。これにより、網状管302及び外皮303と螺管300との間に生じる摩擦を軽減し、軟性部12の柔軟性を高めることができる。
次に、図38及び図39を参照して、軟性部12の管体28と先端側接続環29の接合箇所の構成例について説明する。
上記のとおり、軟性部12は、管体28の先端部に接合された先端側接続環29を介して湾曲部11と接続されている。先端側接続環29は、湾曲部11の基端駒20aと連結される連結部400と、管体28の螺管300と接合される接合部401と、管体28の網状管302が固着される固着部402とを有する。
図示は省略するが、連結部400には、上記のとおり、湾曲部11の基端駒20aとの連結に用いられるクリップ200が挿通される第2の係合孔216(図26参照)と、突起201(図26参照)とが設けられている。
接合部401は螺管300の先端部に外嵌しており、例えば接合部401の内周面と螺管300の外周面とがレーザー溶接又は抵抗溶接などによって溶接され、接合部401は螺管300と接合されている。
網状管302が固着される固着部402は、連結部400と接合部401との間に設けられている。網状管302は、接合部401に内嵌する螺管300の先端部よりも先側に延びており、接合部401を越えて固着部402の外周面に被さっている。固着部402の外周面に被さる網状管302の先端部は、管体28の外皮303によって被覆されずに露出されている。
露出された網状管302の先端部の外周には加締めリング403が装着されている。公知の押出成形機等によって外皮303が網状管302の外周面に直接成形される場合に、加締めリング403は、外皮303が成形される前に網状管302の先端部に装着されてもよく、又は外皮303が成形された後に網状管302の先端部に装着されてもよい。外皮303が成形される前に網状管302の先端部に加締めリング403が装着される場合には、加締めリング403の基端側のエッジを外皮303によって覆うことができる。
網状管302の先端部の外周に装着された加締めリング403が加締められることにより、網状管302の先端部が固着部402及び加締めリング403によって挟持され、網状管302は固着部402に固着されている。固着部402に固着された網状管302は、先端側接続環29を介して螺管300と電気的に接続される。これにより、網状管302のシールドとしての機能が高められる。
加締めリング403が加締め付けられる固着部402は、連結部400及び接合部401よりも小径に形成されており、先端側接続環29の外周面における環状の凹部とされている。そして、接合部401と固着部402との境界部分には、固着部402に向けて縮径するテーパ部404が設けられている。
固着部402の厚みをt1とし、加締めリング403の厚みをt2として、好ましくはt1>t2である。加締めリング403の外径を一定として、t1>t2とすることにより、t1≦t2である場合よりも、加締めリング403の加締めに要する力を小さくでき、且つ加締めリング403の加締めに起因する先端側接続環29の変形も抑制することができる。
また、テーパ部404は、固着部402と加締めリング403との間で挟持される網状管302の先端部に作用するせん断力を軽減し、せん断力によって網状管302を構成する素線が切断されることを抑制するものである。せん断力を軽減する観点から、テーパ部404の傾斜角度(先端側接続環29の中心軸を含む切断面に現れる固着部402の外周面の輪郭線の延長とテーパ部404の外周面の輪郭線とのなす角度)をθとして、好ましくはθ≦45°であり、さらに好ましくはθ≦30°である。
また、先端側接続環29は、柔軟に構成される軟性部12において撓み不能な硬質部分となることから、先端側接続環29の軸方向長さは小さいほど好ましい。そして、先端側接続環29の軸方向長さを小さくする観点から、固着部402の外周面及び加締めリング403の内周面の少なくとも一方に、網状管302の滑りを抑制する滑り止め構造が設けられることが好ましい。滑り止め構造としては、複数の溝又は複数のディンプルからなる凹凸を例示することができる。
固着部402の外周面及び加締めリング403の内周面の少なくとも一方に滑り止め構造を設けることにより、網状管302の固着強度を保って固着部402の軸方向長さを小さくすることができ、結果として先端側接続環29の軸方向長さを小さくすることができる。螺管300を構成する帯板材の幅をW3とし、固着部402の軸方向長さをL4として、網状管302の固着強度が保たれる範囲で、好ましくはL4≦W3×1/2である。
図40は、軟性部12の管体28と先端側接続環29との接合箇所の他の構成例を示し、先端側接続環29は、管体28の螺管300と接合される接合部として、管体28の螺管300と軸方向に突き当てられる接合部405を有する。互いに突き合てられた接合部405の端面と螺管300の端面とが例えば摩擦圧接などによって溶接され、接合部405は螺管300と接合されている。
先端側接続環29を螺管300と軸方向に突き当てて接合することにより、螺管300に外嵌させて接合する場合に比べて、先端側接続環29の軸方向長さを小さくする、即ち、柔軟に構成される軟性部12の硬質部分を短縮することができる。
図41は、軟性部12の管体28と先端側接続環29との接合箇所の他の構成例を示し、先端側接続環29は、管体28の螺管300と接合される接合部として、図40に示した接合部405を有する。そして、加締めリング403が、固着部402及び接合部405並びに螺管300に加締め付けられている。
加締めリング403の一部を螺管300に被せ、網状管302の先端部を固着部402及び接合部405並びに螺管300と加締めリング403との間で挟持することにより、網状管302の固着強度を保って固着部402の軸方向長さを小さくすることができる。これにより、先端側接続環29の軸方向長さを一層小さくする、即ち、柔軟に構成される軟性部12の硬質部分を一層短縮することができる。さらに、軸方向に突き当てられて接合された接合部405及び螺管300の両方に加締めリング403が加締め付けられるので、この加締めリング403によって接合部405と螺管300との接合箇所を補強することもできる。
ここまで、管体28の網状管302は加締めリング403によって先端側接続環29に固着されるものとして説明したが、網状管302の固着方法は加締めリング403に限られない。
図42は、軟性部12の管体28と先端側接続環29との接合箇所の他の構成例を示し、外皮303によって被覆されずに露出された網状管302の先端部302aが、レーザー溶接又は抵抗溶接などによって先端側接続環29の外周面(固着部)に溶接されている。
先端側接続環29及び網状管302の材料同士が融合される溶接によれば、加締めリング403を用いた摩擦に基づく固着によって同一の固着強度を得る場合に比べて、先端側接続環29と網状管302との接触面積を縮小することができ、先端側接続環29の外周面において網状管302が溶接される部分の軸方向長さを短縮することできる。これにより、先端側接続環29の軸方向長さを小さくする、即ち、柔軟に構成される軟性部12の硬質部分を短縮することができる。また、加締めリング403が省かれるので、軟性部12の細径化を図ることもできる。
なお、図42に示す例では、管体28の螺管300と接合される先端側接続環29の接合部が、螺管300の先端部に外嵌する図38に示した接合部401とされているが、螺管300と軸方向に突き当てられる図40に示した接合部405とすることもできる。
次に、軟性部12の管体28と基端側接続環30との接合箇所の構成例について説明する。
図43及び図44は、軟性部12の管体28と基端側接続環30との接合箇所の構成例を示す。
上記のとおり、軟性部12は、管体28の基端部に接合された基端側接続環30を介して、操作部7と接続されている。基端側接続環30は、管体28の螺管300の基端部に差し込まれる内環500と、内環500を収容する外環501とを含む。内環500及び外環501を形成する材料としては、先端側接続環29と同様に、ステンレスなどの金属を用いることができる。
外環501は、螺管300の基端部に差し込まれた内環500との間に、螺管300と、螺管300の外周を被覆している網状管302と、網状管302の外周を被覆している外皮303とを挟み込み、そして、内環500に加締め付けられている。内環500と内環500に加締め付けられた外環501とは、螺管300及び網状管302並びに外皮303を一体に挟持している。これにより、基端側接続環30は管体28に接合されている。
外環501の内周面には、複数の溝又は複数のディンプルからなる凹凸が設けられており、外環501が加締められることにより、外皮303の一部が外環501の内周面の凹部502に食い込み、また、外環501の内周面の凸部503が外皮303に食い込む。これにより、管体28と基端側接続環30との接合強度が高められる。
図45は、軟性部12の管体28と基端側接続環30との接合箇所の他の構成例を示し、内環500及び外環501によって挟持される螺管300の基端部に、外径側、即ち網状管302側に向けて突出した複数の突起504が設けられている。外環501が加締められることにより、複数の突起504が網状管302に刺さり、螺管300と網状管302とが電気的に接続される。これにより、網状管302のシールドとしての機能を高めることができる。突起504は、外環501の内周面の凸部503よりも先鋭に形成されていることが好ましい。
図46は、軟性部12の管体28と基端側接続環30との接合箇所の他の構成例を示し、内環500及び外環501によって挟持される網状管302の基端部の末端302bが、外皮303によって覆われることなく露出している。外環501が加締められることにより、内環500に被さる螺管300と露出した網状管302の基端部の末端302bとが接触し、螺管300と網状管302とが電気的に接続される。これにより、網状管302のシールドとしての機能を高めることができる。