実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
移動端末202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E−UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
基地局203は、eNB207と、Home−eNB206とに分類される。通信システム200は、複数のeNB207を含むeNB群203−1と、複数のHome−eNB206を含むHome−eNB群203−2とを備える。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS−GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
Home−eNB206は、MME部204とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB206とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのMME部204に対して、複数のHome−eNB206が接続される。あるいは、Home−eNB206は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)205を介してMME部204と接続される。Home−eNB206とHeNBGW205とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW205とMME部204とはS1インタフェースを介して接続される。
一つまたは複数のHome−eNB206が一つのHeNBGW205と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW205は、一つまたは複数のMME部204と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
MME部204およびHeNBGW205は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207およびHome−eNB206と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203およびHeNBGW205は、E−UTRAN201を構成する。
さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB206間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home−eNB206間は、X2インタフェースにより接続され、Home−eNB206間で制御情報が通信される。MME部204からは、HeNBGW205はHome−eNB206として見える。Home−eNB206からは、HeNBGW205はMME部204として見える。
Home−eNB206が、HeNBGW205を介してMME部204に接続される場合および直接MME部204に接続される場合のいずれの場合も、Home−eNB206とMME部204との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
図3は、本発明に係る通信端末である図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。図3に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307から基地局203に送信信号が送信される。
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、図3では省略しているが、各部301〜309と接続している。
図4は、本発明に係る基地局である図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。図4に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)、HeNBGW205などとの間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータはEPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、図4では省略しているが、各部401〜410と接続している。
図5は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図5では、前述の図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
HeNBGW通信部504は、HeNBGW205が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME204aとHeNBGW205との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部504から受信した制御データは、HeNBGW通信部504から制御プレイン制御部505へ渡される。制御プレイン制御部505での処理の結果は、PDN GW通信部501経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部505で処理された結果は、基地局通信部502経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局203へ送信され、またHeNBGW通信部504経由で1つあるいは複数のHeNBGW205へ送信される。
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505−1、SAEベアラコントロール部505−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505−3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505−1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505−2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505−3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE−IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるHome−eNB206のCSGの管理、CSG−IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505−3で行われてもよい。
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図6は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST601で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
図7は、マクロeNBとスモールeNBとが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNBによって構成されるマクロセルは、比較的広い範囲のカバレッジ701を有する。スモールeNBによって構成されるスモールセルは、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ701に比べて範囲が小さいカバレッジ702を有する。
複数のeNBが混在する場合、あるeNBによって構成されるセルのカバレッジが、他のeNBによって構成されるセルのカバレッジ内に含まれる場合がある。図7に示すセルの構成では、参照符号「704」または「705」で示されるように、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702が、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合がある。
また、参照符号「705」で示されるように、複数、例えば2つのスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合もある。移動端末(UE)703は、例えばスモールセルのカバレッジ702内に含まれ、スモールセルを介して通信を行う。
また図7に示すセルの構成では、参照符号「706」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが複雑に重複する場合が生じる。
また、参照符号「707」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが重複しない場合も生じる。
さらには、参照符号「708」で示されるように、多数のスモールeNBによって構成される多数のスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロeNBによって構成される1つのマクロセルのカバレッジ701内に構成される場合も生じる。
デュアルコネクティビティ(DC)では、スプリットベアラがサポートされている。スプリットベアラとは、MeNBとUEとの間の直接のパスと、SeNBを介したMeNBとUEとの間のパスとに分割(スプリット(split))されたベアラをいう。
スプリットベアラでは、MeNBだけでなく、SeNBに対しても、SPS(Semi-Persistent Scheduling)がサポートされている(非特許文献6参照)。SPSは、MeNB、SeNBに対して同時、かつ独立に設定可能である。
SPSは、複数のサブフレームの長期間にわたって、無線リソースをUEに準静的に割当てることを可能にするスケジューリング方法である。これによって、eNBは、PDCCHおよびEPDCCHなどの個別制御チャネル上のDL割当情報、あるいはULグラント情報を、各サブフレームでUEに送信することを不要とすることができる。
3GPPにおけるSPSについては、非特許文献9に記載されている。
RRC個別シグナリングで、SPSの間隔、SPS用のC−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)およびULのインプリシットリリース前の空送信回数(以下「リリース前空送信回数」という場合がある)などの設定がUEに通知される。これによって、SPSが実行可能となる。リリース前空送信回数として、「implicitReleaseAfter」というパラメータが用いられる。以下の説明では、リリース前空送信回数を記号「n」で表す場合がある。
また、RRC個別シグナリングによってSPSを無効にする。これによって、対応するDL割当情報あるいはULグラント情報は廃棄される。SPS用のC−RNTIは、SPS C−RNTIと称される場合がある。
SPSは、PDCCHあるいはEPDCCHによって、実行開始(アクティベート)、および実行終了(デアクティベート)される。このPDCCHあるいはEPDCCHのCRCに、SPS C−RNTIがマスクされる。
特に、上りリンクのSPSについては、インプリシットリリース(implicit release)と称されるSPSの実行終了方法が決められている。UEは、上り送信データが無い場合、パディングビットおよびパディングBSRの少なくとも一方を含むMAC PDU(Protocol Data Unit)を送信する。この送信は、空送信またはパディング(padding)送信と称される場合がある。該送信が前述のULのインプリシットリリース前の空送信回数として設定される回数、連続して行われた場合、直ちに上りグラント情報をクリアする。
これによって、eNBにおいても、UEからの該送信を、ULのインプリシットリリース前の空送信回数として設定される回数連続して受信した場合に、上りSPSの設定を無効にする。eNBは、SPSの設定を無効にすることによって、SPSの設定で割当てていた無線リソースを、他のUEに対して使用することが可能となる。
図8は、上りリンクのSPSの動作例を説明する図である。
ステップST801において、eNBは、RRC個別シグナリングで、SPSリソースの構成およびPDCCH受信時に用いるSPS C-RNTIをUEに通知する。
ステップST801でSPSリソースの構成およびSPS C-RNTIを受信したUEは、PDCCHをSPS C-RNTIで検出する。
ステップST802において、eNBは、SPSの実行開始(アクティベート)指示をUEに通知する。ステップST802でSPSの実行開始指示を受信したUEは、最初のスケジューリングを検出した場合、SPSをアクティベート(activate)される。すなわち、SPSの実行が開始される。そして、該スケジューリングは、デアクティベート(deactivate)される、すなわちSPSの実行が終了されるまで継続される。
ステップST803およびステップST804において、eNBとUEとの間で、該スケジューリングされたSPSリソースでSPSが実行される。ステップST803およびステップST804において、UEは、設定されたSPSリソースで、eNBに上りデータの送信を行う。
ステップST805において、UEは、設定されたSPSリソースで送信データが無くなった場合、パディング送信を行う。
ステップST805およびステップST806において、UEは、パディング送信を、リリース前空送信回数として設定される回数連続して行った場合、ステップST807において、SPSをクリアする。ここでは、リリース前空送信回数を2回としている。
ステップST805およびステップST806において、eNBも、UEからのパディング送信を、リリース前空送信回数として設定される回数連続して受信した場合、ステップST807において、上りSPSの設定をリリースする。
前述したように、DCでは、スプリットベアラがサポートされている。3GPPにおいて、上りスプリットベアラを実行しているときのバッファ状態報告(Buffer Status Report;略称:BSR)の送信方法について、二重報告および閾値(Double Reporting And Threshold;略称:DRAT)による方法とすることが提案されている(非特許文献7参照)。
図9および図10は、DRATによる送信方法について説明するための図である。図9は、上りPDCPのデータ量が予め定める閾値(Th)以下の場合を示している。図10は、上りPDCPのデータ量が予め定める閾値(Th)より大きい場合を示している。
図9において、UE905は、MAC(Medium Access Control)907、RLC(Radio Link Control)908、MAC909、RLC910およびPDCP(Packet Data Convergence Protocol)911を含む。MAC907は、MeNB901に対して用いられる。RLC908は、MeNB901に対して用いられる。MAC909は、SeNB902に対して用いられる。RLC910は、SeNB902に対して用いられる。
図10において、UE906は、MAC912、RLC913、MAC914、RLC915およびPDCP916を含む。MAC912は、MeNB903に対して用いられる。RLC913は、MeNB903に対して用いられる。MAC914は、SeNB904に対して用いられる。RLC915は、SeNB904に対して用いられる。
DRATでは、図9に示すように、PDCP911のデータ量が予め定める閾値以下である場合は、一つのeNB、すなわちMeNB901あるいはSeNB902に、バッファ状態(Buffer Status;略称:BS)を報告する。MeNB901およびSeNB902のどちらのeNBにBSを報告するかは、RRCシグナリングによって設定される。BSを報告するeNBとして設定された一つのeNBを「1st−eNB」とする。図9では、MeNB901にBSを報告する場合を示している。
図10に示すように、PDCP916のデータ量が予め定める閾値よりも大きい場合は、両方のeNB、すなわち、1st−eNBおよび2nd−eNBに、同じPDCP916のデータ量のBSを報告する。図10では、1st−eNBをMeNB903とし、2nd−eNBをSeNB904とする。予め定める閾値は、ラジオベアラ(Radio bearer:RB)毎に設定される。
図9を、上りPDCPのデータ量が予め定める閾値(Th)よりも小さい場合とし、図10を、上りPDCPのデータ量が予め定める閾値(Th)以上である場合としてもよい。
さらに、3GPPでは、バッファ状態報告(BSR)のトリガと、データを送信するeNBとは一致させることが提案されている。
これに従うと、DRATでは、送信データのデータ量が閾値以下の場合は、設定された一つのeNB(1st−eNB)にデータを送信する。送信データのデータ量が閾値よりも大きい場合は、両方のeNB(1st−eNB、2nd−eNB)にデータを送信する。
ULスプリットベアラが設定された状態で、2nd−eNBに対してSPSが設定され、実行開始(アクティベート)された場合を考える。DRATによって、UEは、上りデータのデータ量が閾値以下になった場合、2nd−eNBにデータの送信を行わないことになる。
2nd−eNBに対して設定されたSPSリソースにおいて、上りデータのデータ量が閾値以下になり、2nd−eNBにデータの送信を行わないようになった場合の動作については何ら規定が無く、何ら議論もされていない。
したがって、上りデータのデータ量が閾値以下の場合、2nd−eNBにデータの送信が行われないので、設定されたSPSリソースで何も送信されず、パディング送信も行われない可能性が生じる。
パディング送信が行われないと、インプリシットリリースが正常に行われなくなるので、UEは、SPSリソースをクリアして良いか否かの判断ができない。また、eNBは、SPSリソースをリリースして良いか否かの判断ができない。したがって、eNBとUEとの間で不安定な動作が生じ、ひいては誤動作を引き起こす可能性が生じてしまう。
図11は、ULスプリットベアラが設定された場合に、SPSが設定された場合の問題点を説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。図11では、MeNBとSeNBとに、ぞれぞれ、SPSが設定された場合を示している。
ステップST1001において、MeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。UEは、該PDCCHを受信して、上りSPSをアクティベートする。すなわち、上りSPSの実行を開始する。
ステップST1002からステップST1007において、UEは、MeNBに対して設定された上りSPSリソースで、上りデータをMeNBに送信する。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。UEは、該PDCCHを受信して、上りSPSをアクティベートする。
ステップST1009において、UEは、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、上りデータをSeNBに送信する。UEで発生する送信データのデータ量は、DRATにおける閾値以上であるとする。図示はしていないが、UEは、MeNBにもデータを送信する。
したがって、UEで発生した上りデータの一部は、MeNBに送信され、残りの上りデータがSeNBに送信される。
ステップST1010において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、UEで上りデータが発生しなかった場合を考える。この場合、上りデータのデータ量がDRATにおいて閾値以下となるので、UEは、SeNBに上りデータの送信を行わないと判断し、パディング送信も行わない。
ステップST1010およびステップST1011において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、連続してUEで上りデータが発生しない場合、同様に、上りデータのデータ量がDRATにおいて閾値以下となるので、UEは、SeNBに上りデータの送信を行わないと判断し、パディング送信も行わない。
たとえ、リリース前空送信回数(図11では2回とする)連続して上り送信データが発生しなかったとしても、パディング送信が行われない。したがって、ステップST1012において、UEはSPSリソースをクリアして良いか否かの判断ができなくなる。また、eNBもSPSリソースをリリースして良いか否かの判断ができなくなってしまう。
したがって、eNBとUEとの間で不安定な動作が生じ、ひいては誤動作を引き起こす可能性が生じてしまう。
以上のことから、上りスプリットベアラでDRATが実行された場合にSPSを可能とし、高速で安定な通信システムを提供することが求められる。
本実施の形態では、このような問題を解決する方法を開示する。
SPSが設定された場合は、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータを送信する。
このようにする方法として、例えば、SPSが設定された場合は、DRATの閾値を設けない。あるいは、SPSが設定された場合は、設定されたDRATの閾値を無効とする。これらのようにすることによって、SPSが設定された場合に、閾値が無くなり、あるいは閾値が無効となり、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータが送信されることになる。
SPS用のDRATの閾値を設けてもよい。SPS用のDRATの閾値を設けることによって、SPS用のDRATの閾値を、SPSで無い場合のDRATの閾値と異なる値を設定することができ、SPSの場合のDRATの動作を、SPSで無い場合のDRATと動作を異ならせることが可能となる。
両方のeNBに上りデータを送信するようにする他の方法として、例えば、SPS用のDRATの閾値として負の値を設定する。上りデータのデータ量がDRATの閾値よりも大きい場合において両eNBに送信する場合に適用するとよい。
あるいは、SPS用のDRATの閾値として0を設定する。上りデータのデータ量がDRATの閾値以上の場合において両eNBに送信する場合に適用するとよい。
これらのようにすることによって、SPSが設定された場合に、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータが送信されることになる。
これらの方法を用いることによって、SPSが設定された場合、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータが送信されることになるので、パディング送信も可能となる。したがって、インプリシットリリースが可能となる。
SPSが設定された場合は、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータを送信することは、予め規格などで静的に決めておいてもよいし、SPSの設定とともにUEに通知してもよい。あるいは、SPSアクティベートとともにUEに通知してもよい。
例えば、SPSが設定された場合は、DRATの閾値を設けないこと、あるいは、設定されたDRATの閾値を無効とすること、あるいは、DRATの閾値を負の値にすること、あるいは、DRATの閾値を0にすることを予め規格などで静的に決めておく。これによって、eNBとUEとの間で共通の認識を得ることが可能となる。また、これらの情報をシグナリングする必要がなくなるので、シグナリングの負荷を低減することができる。
他の例として、設定されたDRATの閾値を無効とする情報を設け、該情報をSPSの設定とともにUEに通知するとよい。あるいは、DRATの閾値として、負の値、あるいは0を、SPSの設定とともにUEに通知するとよい。
これらの通知は、SPSの設定とは別途UEに通知してもよい。設定されたDRATの閾値を無効とする情報をSPSの設定とともに通知することによって、シグナリングの負荷を低減することができる。また、SPSの設定とタイミングを同じにすることが可能となるので、不安定な動作および誤動作が発生する可能性を低減することができる。これらの通知には、UE個別のRRCシグナリングを用いるとよい。
他の例として、設定されたDRATの閾値を無効とする情報を設け、該情報をSPSアクティベートとともにUEに通知するとよい。あるいは、DRATの閾値として、負の値、あるいは0を、SPSアクティベートとともにUEに通知するとよい。
これらの通知は、SPSアクティベートとは別途UEに通知してもよい。設定されたDRATの閾値を無効とする情報をSPSのアクティベートとともに通知することによって、シグナリングの負荷を低減することができる。また、SPSのアクティベートとタイミングを同じにすることが可能となるので、不安定な動作および誤動作が発生する可能性を低減することができる。これらの通知には、L1/L2制御信号を用いるとよい。
前述のようにして設定された、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータが送信される状態を解除する方法を開示する。
前述と同様に、SPSの設定が解除された場合、該状態を解除することを予め規格などで静的に決めておく。これによって、前述と同様の効果を得ることができる。
あるいは、設定されたDRATの閾値を有効とする情報を設け、該情報を、SPSの設定を無効にするシグナリングに含めてUEに通知するとよい。あるいは、再度設定するDRATの閾値を、SPSの設定を無効にするシグナリングに含めてUEに通知するとよい。あるいは、SPSの設定を無効にするシグナリングによって該状態を解除することとしてもよい。これによって、DRATの閾値を従来の値に戻すことができ、前述と同様の効果を得ることができる。
あるいは、設定されたDRATの閾値を有効とする情報を設け、該情報を、SPSデアクティベートに含めてUEに通知するとよい。あるいは、再度設定するDRATの閾値を、SPSデアクティベートに含めてUEに通知するとよい。あるいは、SPSデアクティベートによって該状態を解除することとしてもよい。これによって、DRATの閾値を従来の値に戻すことができ、前述と同様の効果を得ることができる。
以上に開示した方法を用いることによって、SPSが設定された場合、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータが送信されることになるので、パディング送信も可能となる。したがって、インプリシットリリースが可能となる。
これによって、eNBとUEとの間で不安定な動作が生じ、ひいては誤動作を引き起こす可能性を低減させることができる。
図12は、SPSが設定された場合に、DRATの閾値に0を設定した場合を説明する図である。上りデータのデータ量がDRATの閾値よりも小さい場合には1st−eNBのみに送信し、上りデータのデータ量がDRATの閾値以上の場合には1st−eNBおよび2nd−eNBの両eNBに送信する場合である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。MeNBとSeNBとにそれぞれSPSが設定された場合を示している。
図12は、図11と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
DRATの閾値1103は、0に設定される。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。該アクティベートの通知に、DRATの閾値に0を設定する情報を含ませる。UEは、該PDCCHを受信して、上りSPSをアクティベートするとともに、DRATの閾値を0に設定する。
ステップST1009において、UEは、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、上りデータをSeNBに送信する。DRATの閾値を0としたので、UEで発生した上り送信データは、SeNBに送信することが可能となる。図示はしていないが、MeNBにもデータを送信することが可能となる。したがって、UEで発生した上りデータの一部はMeNBに送信され、残りの上りデータがSeNBに送信される。
ステップST1101において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、UEで上りデータが発生しなかった場合を考える。この場合、DRATの閾値が0であるので、たとえ上りデータの発生が0であったとしても、SeNBに送信することが可能となる。したがって、パディング送信も可能と判断し、SeNBに、パディング送信を行う。このように、SeNBとUEとの間で上り送信データが無いときも、パディング送信が可能となる。
ステップST1101からステップST1102において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、連続してUEで上りデータが発生しない場合、同様に、上りデータのデータ量がDRATの閾値以上となるので、UEは、SeNBに上りデータを送信することが可能となる。したがって、パディング送信が可能と判断し、パディング送信を行う。
リリース前空送信回数として設定される回数連続して上り送信データが発生せず、パディング送信が行われた場合、ステップST1012において、UEは、SPSリソースをクリアし、eNBもSPSリソースをリリースする。
これによって、eNBとUEとの間で、インプリシットリリースが正常に行われる。
以上に開示した方法の場合、SPSリソースが割当てられたタイミングだけでなく、SPSが設定あるいはアクティベートされたタイミングから、解除あるいはデアクティベートまでの間中、両eNBに上りデータの送信が可能となる。データが発生することになる。
したがって、SPSが設定あるいはアクティベートされたタイミングから、解除あるいはデアクティベートまでの間、UEに発生する上り送信データのデータ量が小さい場合でも、常に2nd−eNBにも上りデータの送信を行うことになるので、UEの消費電力は増大してしまう。
このような問題を解決する方法を開示する。
SPSのリソース割当のタイミングのみ、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータを送信する。SPSのリソース割当のタイミングに合わせて、1st−eNBにも、2nd−eNBにも上りデータを送信する。
このようにすることによって、2nd−eNBに対しても上りデータを送信する期間を短縮することができる。したがって、UEの消費電力の増大を抑制することが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、SeNBが、SPSを設定される、すなわち周期的に割り当てられる無線リソースを用いて通信端末装置と通信するように設定されると、送信データのデータ量が閾値Th以下である場合に、送信データがMeNBおよびSeNBに送信されるように、閾値Thが変更される。例えば、本実施の形態のように、閾値Thがゼロ(0)に設定される。
これによって、SeNBにおいても、SPSによる通信を実行することができる。したがって、MeNBおよびSeNBとUEとの間の通信動作を安定して行うことができる通信システムを提供することができる。すなわち、上りスプリットベアラでDRATが実行された場合にSPSを可能とすることができるので、高速で安定な通信システムを提供することができる。
閾値Thの変更は、送信データのデータ量が閾値Th未満である場合に行なわれてもよい。具体的には、SeNBが、SPSを設定される、すなわち周期的に割り当てられる無線リソースを用いて通信端末装置と通信するように設定されると、送信データのデータ量が閾値Th未満である場合に、送信データがMeNBおよびSeNBに送信されるように、閾値Thが変更されるように構成されてもよい。この場合、例えば、本実施の形態のように、閾値Thがゼロ(0)に設定される。
これによって、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、SeNBにおいても、SPSによる通信を実行することができる。したがって、MeNBおよびSeNBとUEとの間の通信動作を安定して行うことができる通信システムを提供することができる。すなわち、上りスプリットベアラでDRATが実行された場合にSPSを可能とすることができるので、高速で安定な通信システムを提供することができる。
実施の形態2.
実施の形態1で開示した方法を用いた場合、DRATの閾値を実質的に設定できないことになる。したがってUEの消費電力が増大することとなる。
また、DRATの閾値は、UEにおいて、PDCPからRLC/MACへの上り送信データの分配時に用いられる。したがって、設定されたSPSのリソース割当タイミングに合わせて両eNBに上りデータを送信するには、上り送信データの分配のときに、SPSのタイミングに合わせた細かい時間管理が必要となる。
このような場合、上り送信データの発生タイミングの変動、およびPDCPの処理時間の変動などによって、誤動作が生じる可能性がある。
したがって、実施の形態1に記載した問題を解決するために、本実施の形態では、実施の形態1で開示した方法とは異なる方法を開示する。
2nd−eNBに対してもインプリシットリリースをサポートする。UEは、2nd−eNBにSPSが設定された場合、2nd−eNBに対してパディング送信を可能とする。UEは、2nd−eNBにSPSが設定された場合、設定されたSPSリソースで、上り送信データのデータ量がDRATの閾値よりも小さい場合でも、2nd−eNBに対してパディング送信を行う。このようにすることによって、インプリシットリリースが可能となる。
パディング送信は、従来のように、パディングビットおよびパディングBSRの少なくとも一方を含むMAC PDUを送信する。このように、従来と同じパディング送信とすることによって、eNBおよびUEにおける制御を簡易にすることができる。
また、UEは、2nd−eNBに、パディング送信を、リリース前空送信回数として設定される回数連続して行った場合、SPSの設定をクリアする。2nd−eNBもまた、UEからパディング送信を、リリース前空送信回数として設定される回数連続して受信した場合、SPSリソースをリリースする。
図13は、2nd−eNBに対してSPSが設定された場合にインプリシットリリースをサポートする方法を説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。MeNB、SeNBともにSPSが設定された場合を示している。図13は、図11および図12と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
DRATの閾値1201は、任意の値Thに設定されている。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。通常のアクティベートでよい。
ステップST1202において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、UEで上りデータが発生しなかった場合を考える。この場合、上りデータのデータ量がDRATの閾値よりも小さくなるが、SeNBに対してSPSが設定されている場合は、SeNBに対してパディング送信が可能であるので、UEは、SeNBにパディング送信を行う。
このようにすることによって、SeNBとUEとの間で上り送信データが無いときも、パディング送信が可能となる。
ステップST1202からステップST1203において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、連続してUEで上りデータが発生しない場合、同様に、上りデータのデータ量がDRATの閾値以上となるので、UEは、SeNBに上りデータの送信が可能となる。したがって、パディング送信が可能と判断し、パディング送信を行う。
リリース前空送信回数として設定される回数連続して上り送信データが発生せず、パディング送信が行われた場合、ステップST1204において、UEは、SPSリソースをクリアし、eNBもSPSリソースをリリースする。
これによって、SeNBとUEとの間で、インプリシットリリースが正常に行われる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、ULスプリットベアラにおいて、2nd−eNBにSPSが設定された場合に、インプリシットリリースをサポートすることが可能となる。
eNBおよびUEは、インプリシットリリースによって、SPSリソースをリリースする判断が可能となり、不安定な動作および誤動作の発生を低減させることができる。
したがって、ULスプリットベアラにおいて2nd−eNBにSPSが設定された場合に、従来のSPS動作が可能となる。
また、実施の形態1の方法とは異なり、2nd−eNBに対するDRATの閾値も任意の値を設定することが可能となる。したがって、SPSが設定されてから無効になるまでの間に、少量の上り送信データが発生したとしても、上りデータのデータ量がDRATの閾値よりも小さい場合は、2nd−eNBに上りデータを送信する必要が無くなる。したがって、UEの消費電力の増大を低減させることが可能となる。
また、DRATの閾値設定において動的に細かい制御が不要になるので、誤動作の発生を抑制することが可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、SeNBが、SPSを設定される、すなわち周期的に割り当てられる無線リソースを用いて通信端末装置と通信するように設定されると、送信データのデータ量が閾値Th以下である場合に、送信データをMeNBに送信するとともに、周期的に割り当てられる無線リソースを用いた通信の終了を表す終了信号をSeNBに送信するように、具体的にはパディング送信を行うように設定される。
これによって、SeNBでは、SPSによる通信を終了することができる。したがって、MeNBおよびSeNBとUEとの間の通信動作を安定して行うことができる通信システムを提供することができる。すなわち、上りスプリットベアラでDRATが実行された場合にSPSを可能とすることができるので、高速で安定な通信システムを提供することができる。
以上のパディング送信を行うような設定は、送信データのデータ量が閾値Th未満である場合に行なわれてもよい。具体的には、SeNBが、SPSを設定される、すなわち周期的に割り当てられる無線リソースを用いて通信端末装置と通信するように設定されると、送信データのデータ量が閾値Th未満である場合に、送信データをMeNBに送信するとともに、周期的に割り当てられる無線リソースを用いた通信の終了を表す終了信号をSeNBに送信するように、具体的にはパディング送信を行うように設定されるように構成されてもよい。
これによって、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、SeNBでは、SPSによる通信を終了することができる。したがって、MeNBおよびSeNBとUEとの間の通信動作を安定して行うことができる通信システムを提供することができる。すなわち、上りスプリットベアラでDRATが実行された場合にSPSを可能とすることができるので、高速で安定な通信システムを提供することができる。
実施の形態2 変形例1.
実施の形態2で示した課題を解決するための他の方法を開示する。送信データが無いことを示す情報を設け、UEからeNBへ、上りL1/L2制御信号を用いて該情報を送信する。上りL1/L2制御信号として、例えば、PUCCHを用いる。UEは、設定されたSPSのタイミングで、送信データが無い場合、送信データが無いことを示す情報をPUCCHにマッピングして、eNBに送信する。eNBは、設定したSPSのタイミングで、UEからのPUCCHを受信し、送信データが無いことを示す情報を得ることによって、上り送信データが無いことを認識する。
UEは、送信データが無いことを示す情報を、リリース前空送信回数として設定される回数連続して送信した場合、SPSリソースをクリアする。eNBは、UEから送信データが無いことを示す情報を、リリース前空送信回数として設定される回数連続して受信した場合、SPSリソースをリリースする。
このようにすることによって、インプリシットリリースをサポートすることが可能となる。
送信データが無いことを示す情報をマッピングするPUCCHの構成は、eNBが設定し、予めUEに通知される。PUCCHの構成として、周波数軸方向のリソース、時間軸方向のリソース、PUCCHに用いるリファレンスシグナル(Reference Signal:RS)に用いるシーケンスなどがある。
周波数軸方向のリソースとしては、例えば、サブキャリア、リソースブロックなどを設定するとよい。最小リソースとしてもよい。最小リソースは、送信における最小単位としてもよい。最小単位は、例えば、1物理リソースブロック(Physical Resource Block;略称:PRB)としてもよい。時間軸方向のリソースとしては、PUCCHを送信するタイミングを設定するとよい。PUCCHを送信するタイミングは任意に設定してもよいが、SPSリソースが設定されたタイミングとしてもよい。これによって、UEおよびeNBにおけるタイミングの制御を簡易にすることが可能となる。
PUCCHに用いるRS用シーケンスとしては、セル毎あるいはビーム毎としてもよい。PUCCHの周波数軸方向のリソースをUE毎に異ならせることによって、同じSPSリソースタイミングで複数のUEのPUCCH送信が発生しても、eNBは受信することが可能となる。あるいは、PUCCHに用いるRS用シーケンスとしては、UE個別としてもよい。複数のUEに対して、周波数軸方向のリソースおよび時間軸方向のリソースが同じPUCCHを共有することができる。同じリソースに複数のUEのPUCCHが存在しても、UE個別のRSを用いることによって、eNBは各UEのPUCCHを受信することが可能となる。
eNBは、PUCCHの構成をSPSの設定に含めてUEに通知してもよい。あるいは、eNBは、PUCCHの構成をSPSアクティベートに含めてUEに通知してもよい。
送信データが無いことを示す情報をマッピングするPUCCHの構成として、従来のPUCCHの構成を用いてもよい。UEは、設定されたSPSリソースタイミングで上り送信データが無い場合、送信データが無いことを示す情報を従来のPUCCH構成を用いてPUCCHにマッピングする。UEは、設定されたSPSリソースのタイミングで該PUCCHを送信する。従来のPUCCHの構成を用いることによって、eNBは、別途送信データが無いことを示す情報をマッピングするPUCCHを設定しなくてもよい。
他の方法として、送信データが無いことを示す情報をPUSCHにマッピングするようにしてもよい。UEは、設定されたSPSのタイミングで、送信データが無い場合、送信データが無いことを示す情報をPUSCHにマッピングして、eNBに送信する。
eNBは、設定したSPSのタイミングで、UEからのPUSCHを受信し、送信データが無いことを示す情報を得ることによって、上り送信データが無いことを認識する。
既にSPSのタイミングにおいてSPSリソースが設定されている。SPSリソースとして、上りデータの送信のためのリソースが設定される。上りデータの送信には、PUSCHが用いられるので、PUSCHのリソースが設定される。
既にUEは、eNBから設定されたSPSのためのPUSCHリソースに対する上りグラントを得ている。したがって、UEは、設定されたSPSのためのPUSCH送信用のリソースを使用することが可能である。
既にSPSのタイミングで設定されているSPSのためのPUSCHリソースを用いることによって、PUCCHの構成を別途設定する必要が無くなる。これによって、リソースの使用効率の向上およびシグナリング負荷の低減が可能となる。
送信データが無いことを示す情報を送信するためのPUSCHのリソースは、SPSのタイミングで設定されているSPSのためのPUSCHリソースの一部または全部であってもよい。
PUSCHに用いるRS用シーケンスは、前述のPUCCHで送信する場合の方法を適用するとよい。
他の方法として、SRS(Sounding Reference Signal)を用いて送信データが無いことを示すようにしてもよい。送信データが無いことを示す特定のSRSリソースを設定する。時間軸上の最小リソースは、1シンボルとしてもよい。eNBは、該SRSリソースの設定をUEに通知する。UEは、設定されたSPSのタイミングで送信データが無い場合、該SRSリソースを用いてSRSを送信する。eNBは、SPSのタイミングにおいて該SRSリソースでUEからのSRSを受信した場合、送信データが無いことを認識できる。
SRSに用いるRS用シーケンスは、前述のPUCCHで送信する場合の方法を適用するとよい。
他の方法として、送信データが無いことを示すRSのシーケンスを設けて、PUCCHあるいはPUSCHあるいはSRSのRSに該シーケンスを用いてもよい。PUCCH、PUSCH、SRSのいずれを使用するかは予め静的に決めておいてもよいし、eNBからUEへ通知してもよい。この場合、該チャネルあるいは信号のためのリソースは、UE個別に設定しておくとよい。
UEは、設定されたSPSのタイミングで送信データが無い場合、該RSシーケンスを用いた予め定めるチャネルあるいは信号を送信する。eNBは、SPSのタイミングにおいて予め定めるチャネルあるいは信号を受信した場合、送信データが無いことを認識できる。
本変形例で開示した方法を用いることによって、送信に必要となる無線リソースを最小限に限定することが可能となる。したがって、最小限のリソースで送信できるので、UEの消費電力の増大をさらに低減することができる。
また、本変形例で開示した方法を、2nd−eNBに設定されたSPSのタイミングにおいて送信データが無い場合のみに用いてもよい。他に設定されたSPSについては、通常のパディング送信を用いるとよい。
実施の形態3.
ULスプリットベアラにおいて、2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上り送信データが発生する場合がある。
実施の形態2あるいは実施の形態2の変形例1で開示した方法を適用した場合、以下のような問題が生じる。
UEにおいて、2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上り送信データが発生する場合、該上り送信データがあるにも関わらず、2nd−eNBに対しては上り送信データが発生しないことになる。したがって、UEは、2nd−eNBに対してパディング送信を行うことになる。このようなパディング送信が、リリース前空送信回数として設定される回数連続して発生すると、インプリシットリリースによって、UEおよび2nd−eNBで、SPSの設定が無効となり、SPSリソースがリリースされてしまう。つまり、設定されたSPSのタイミングで上り送信データがあるにも関わらず、インプリシットリリースによって、SPSリソースがリリースされてしまう場合が発生する。
インプリシットリリースによってSPSリソースがリリースされた後、UEにおいて、2nd−eNBに対して設定されていたSPSのタイミングで、DRATの閾値以上の上り送信データが発生する場合、2nd−eNBに設定されたSPSが適用されなくなってしまう。
UEは、設定されていたSPSのタイミングで上り送信データが発生しても、該SPSリソースを用いて上りデータの送信を行うことができなくなってしまう。
このように、UEは、設定されたSPSのタイミングで上り送信データが発生し、上りデータを送信しているにも関わらず、2nd−eNBに対するSPSリソースがリリースされてしまうので、2nd−eNBに対しては、設定されたSPSリソースを用いて上りデータの送信を行うことができなくなってしまうのである。
図14は、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上り送信データが発生する場合を説明する図である。実施の形態2で開示した、2nd−eNBに対してSPSが設定された場合にインプリシットリリースをサポートする方法を実行した場合について示している。
1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。MeNB、SeNBともにSPSが設定された場合を示している。図14は、図13と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
ステップST1202において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、UEでDRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合を考える。
この場合、ステップST1301において、UEは、MeNBに上りデータを送信する。
SeNBに対しては上り送信データが発生しないので、ステップST1202において、UEは、SeNBに、パディング送信を行うことになる。
ステップST1202からステップST1203において、SeNBに対して設定された上りSPSリソースで、連続してUEでDRAT閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、同様に、ステップST1301からステップST1302において、UEは、MeNBに上りデータの送信を行う。UEは、SeNBに対してはパディング送信を行う。
SeNBに対して、リリース前空送信回数として設定される回数連続して上り送信データが発生せず、パディング送信が行われた場合、インプリシットリリースによって、ステップST1204において、UEは、SPSリソースをクリアし、eNBもSPSリソースをリリースする。
しかし、インプリシットリリース後、ステップST1303において、SeNBに対して設定されていた上りSPSリソースで、UEでDRATの閾値以上のデータ量の上りデータが発生した場合を考える。
この場合、図示はしていないが、UEは、MeNBに上りデータを送信する。
SeNBに対しても上り送信データが発生するので、ステップST1303において、UEは、SeNBに上りデータの送信を行うことになる。しかし、既にSPSリソースはリリースされているので、該上りデータの送信にSPSリソースを用いることができない。
このような場合、UEは、SeNBに対する上り送信データ用のリソースが割り当てられていないので、新たにスケジューリング要求(Scheduling Request:SR)信号の送信から開始しなければならない。UEは、SeNBにSR信号を送信し、SeNBからのULグラントを受信しなければならい。
このことは、UEの消費電力の増大、PDCCHリソースの増大によるリソースの使用効率の低下、およびデータ送信の遅延の増大を引き起こす。本実施の形態では、このような課題を解決する方法を開示する。
上りスプリットベアラが設定されている場合、上りSPSの設定を無効にしない。上りスプリットベアラが設定されている場合、上りSPSリソースをリリースしないとしてもよい。上りスプリットベアラが設定されている場合、インプリシットリリースを行わないとしてもよい。
UEは、上りスプリットベアラが設定されている場合において、2nd−eNBに上りSPSが設定された場合、たとえリリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング送信を行ったとしても、設定されたSPSリソースをクリアしない。2nd−eNBは、たとえリリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング送信を受信したとしても、設定されたSPSリソースをリリースしない。
上りSPSの設定を無効にしないようにする方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)予め規格などで静的に決めておく。
(2)上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報を設けて、eNBからUEに通知する。
前述の(1)の方法では、上りスプリットベアラが設定されている場合は、上りSPSの設定を無効にしないことを、静的に決めておく。これを予め規格などで決めておくことによって、eNBとUEとで認識することが可能となるので、整合のとれた動作が可能となり、誤動作を低減させることができる。
前述の(2)の方法では、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報をeNBからUEに通知することによって、上りスプリットベアラが設定されている場合に上りSPSの設定を無効にしないことを、動的に設定することが可能となる。これによって、通信状況および負荷状況に応じて、柔軟な運用が可能となる。
前述の(2)の方法における上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報として、前述のULのリリース前空送信回数を用いてもよい。リリース前空送信回数として、SPSの設定を無効にしないことを示す値を設ける。あるいは、リリース前空送信回数として、無限大を示す値を設ける。既存の値とは別に新たに設けてもよい。
前述の(2)の方法における上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報は、eNBからUEに通知するとよい。通知するeNBは、1st−eNBであってもよいし、2nd−eNBであってもよい。例えば、2nd−eNBからUEに通知するときに、2nd−eNBから直接UEに通知してもよいし、2nd−eNBから1st−eNBを介してUEに通知してもよい。eNB間の情報の通知には、X2シグナリングを用いてもよい。あるいは、MMEを介してS1シグナリングを用いてもよい。
該情報をeNBからUEに通知するためのシグナリング方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)RRCシグナリング。例えば、SPS構成の設定のためのシグナリングに含めて通知してもよい。
(2)MACシグナリング。例えば、該情報を含むMAC CE(Control Element)を設けて、MACシグナリングによって通知してもよい。
(3)L1/L2シグナリング。例えば、PDCCHあるいはEPDCCH。例えば、SPSアクティベートに含めて通知してもよい。
このような方法で、eNBは、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報を、UEに通知する。該情報を受信したUEは、上りSPSの設定を無効にしない。UEは、上りスプリットベアラが設定されている場合に、2nd−eNBに上りSPSが設定された場合、たとえリリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング送信を行ったとしても、インプリシットリリースを行わず、設定されたSPSリソースをクリアしない。
図15は、上りSPSの設定を無効にしないようにする方法を説明する図である。上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報をSPSアクティベートに含めて通知する方法の場合を示している。
1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。MeNB、SeNBともにSPSが設定された場合を示している。図15は、図14と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。該アクティベートに、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報を含める。
SeNBからSPSのアクティベートを受信したUEは、設定されたリソースでSPSを実行するとともに、上りSPSの設定を無効にしない。たとえ、UEがSeNBに対して予め定める回数パディング送信を行ったとしても、eNB、UEともにインプリシットリリースを行わず、SPSの設定を無効にしないように設定する。
ステップST1202において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合を考える。
この場合、ステップST1301において、UEは、MeNBに上りデータを送信する。
SeNBに対しては上り送信データが発生しないので、ステップST1202において、UEは、SeNBに対して、パディング送信を行うことになる。
ステップST1202からステップST1203において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、連続してUEでDRAT閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生しない場合、同様に、ステップST1301からステップST1302において、UEは、MeNBに上りデータの送信を行う。UEは、SeNBに対しては、パディング送信を行う。
SeNBに対して、リリース前空送信回数として設定される回数連続して上り送信データが発生せず、パディング送信が行われた場合でも、上りSPSの設定を無効にしない設定に従い、ステップST1204において、UEは、SPSリソースをクリアしない。eNBもSPSリソースをリリースしない。ステップST1204において、インプリシットリリースが行われず、SPSリソースがリリースされない。
したがって、SeNBに対して、リリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング送信が行われた後、ステップST1204において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値以上のデータ量の上りデータが発生した場合、ステップST1401において、UEは、SeNBに対して、設定されているSPSリソースで、上りデータの送信を行うことが可能となる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、設定されたSPSのタイミングで上り送信データが発生し、UEが上りデータを送信しているにも関わらず、2nd−eNBに対するSPSリソースがリリースされてしまうということを無くすことができる。したがって、設定されたSPSリソースで上りデータが発生した場合に2nd−eNBに送信を行うことができず、SR信号の送信からの開始を余儀なくされる状況を無くすことが可能となる。
これによって、UEの消費電力の増大、PDCCHリソースの増大によるリソースの使用効率の低下、およびデータ送信の遅延の増大を抑制することが可能となる。
以上のように本実施の形態では、UEは、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報を受信すると、SPSで割り当てられる無線リソースであるSPSリソースのリリースを停止する。上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報は、SPSリソースのリリースを停止することを示すリリース停止情報に相当する。すなわち、UEは、リリース停止情報を受信すると、SPSリソースのリリースを停止する。
これによって、設定されたSPSリソースで上りデータが発生した場合にSeNBに送信を行うことができなくなることを防ぎ、SR信号の送信からの開始を余儀なくされる状況を無くすことができる。したがって、UEの消費電力の増大、PDCCHリソースの増大によるリソースの使用効率の低下、およびデータ送信の遅延の増大を抑制することが可能となる。
実施の形態4.
実施の形態3で開示した方法では、設定されたSPSのタイミングで、実際に送信データが無い場合でも、インプリシットリリースが行われないことになり、SPSリソースはリリースされなくなる。
SPSリソースがリリースされないと、2nd−eNBは、SPSのタイミングでSPSリソースをUEに対して割当て続けることになる。
このように、送信データが無くなったUEに対して、PUSCHリソースを割当て続けることは無駄であり、リソースの使用効率を低下させる。本実施の形態では、このような課題を解決する方法を開示する。
SPSの設定を無効にしない期間のタイマを設ける。eNBは、SPSの設定を無効にしない期間を設定してUEに通知する。
例えば、上りSPSの設定を無効にしない設定が行われた場合に、インプリシットリリースの機能を開始するために、前述のタイマを用いる。eNBは、UEに、SPSの設定を無効にしない期間を、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報とともに通知する。UEは、上りSPSの設定を無効にしないことが設定されると、該タイマを開始して、SPSの設定を無効にしない期間が経過した場合、インプリシットリリースを開始してタイマを停止する。このようにすることによって、パディング送信が、リリース前空送信回数として設定される回数連続して行われた場合に、インプリシットリリースが行われ、上りSPSリソースがリリースされるようになる。
SPSの設定を無効にしない期間としては、時間、無線フレーム数、サブフレーム数、スロット数、およびシンボル数であってもよい。SPSの設定を無効にしない期間は、設定されたSPSのタイミング間隔の正の整数倍としてもよい。SPSの設定を無効にしない期間は、予め規格などで静的に決められてもよい。
他の方法として、パディング送信回数が予め定める回数続いた場合にインプリシットリリースを開始する、としてもよい。本実施の形態で開示したパディング送信の連続する予め定める回数を、従来のリリース前空送信回数と異ならせるとよい。
具体的には、パディング送信の連続する予め定める回数を表すパラメータを「implicitReleaseAfter_B」とし、従来のリリース前空送信回数を表すパラメータを「implicitReleaseAfter」としたとき、implicitReleaseAfter_B>implicitReleaseAfterとするとよい。
あるいは、implicitReleaseAfter_B=n(nは正の整数)×implicitReleaseAfterとしてもよい。
これらのようにすることによって、上り送信データが無い期間に応じて、インプリシットリリースを開始することが可能となる。上り送信データの発生状況に応じて、上りSPSの設定を無効にする期間を設定することが可能となる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、上りSPSの設定を無効にしないことが設定されたまま、常にインプリシットリリースが行われない状態を無くすことができる。
したがって、長期にわたるSPSリソースのリザーブが不要となり、PUSCHリソースの無駄を削減することが可能となる。これによって、リソースの使用効率の向上が可能となる。
実施の形態4 変形例1.
実施の形態4で示した課題を解決する他の方法を開示する。インプリシットリリースを開始することを示す情報を設けて、eNBからUEに通知する。例えば、上りSPSの設定を無効にしないことが設定されている状態において、インプリシットリリースを開始することを示す情報を、eNBからUEに通知する。該情報の通知によって、eNB、UEともに、インプリシットリリースを再開する。このようにすることによって、UEからeNBに、パディング送信が、リリース前空送信回数として設定される回数連続して発生した場合に、インプリシットリリースが実行され、上りSPSの設定が無効になる。
eNBからUEに、インプリシットリリースを開始することを示す情報を通知することによって、任意のタイミングでインプリシットリリースを開始することが可能となる。これによって、通信状況および負荷状況に応じて柔軟な運用が可能となる。
インプリシットリリースを開始することを示す情報として、前述のULのリリース前空送信回数を用いてもよい。リリース前空送信回数として、既存の値を設定するとよい。リリース前空送信回数が設定された場合に、インプリシットリリースを開始する。
インプリシットリリースを開始することを示す情報は、eNBからUEに通知するとよい。通知するeNBは、1st−eNBであってもよいし、2nd−eNBであってもよい。例えば、2nd−eNBからUEに通知するときに、2nd−eNBから直接UEに通知してもよいし、2nd−eNBから1st−eNBを介してUEに通知してもよい。eNB間の情報の通知にはX2シグナリングを用いてもよい。あるいは、MMEを介してS1シグナリングを用いてもよい。
インプリシットリリースを開始することを示す情報をeNBからUEへ通知するためのシグナリング方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)RRCシグナリング。
(2)MACシグナリング。例えば、インプリシットリリースを開始することを示す情報を含むMAC CEを設けて、MACシグナリングによって通知してもよい。
(3)L1/L2シグナリング。例えば、PDCCHあるいはEPDCCHで通知してもよい。
本変形例で開示した方法を用いることによって、実施の形態4で開示した方法と同様の効果を得ることができる。
また、任意のタイミングでインプリシットリリースを開始することが可能となるので、SPSリソースの柔軟な設定が可能となる。したがって、より一層PUSCHリソースの使用効率の向上が可能となる。
以上のように本変形例では、UEは、インプリシットリリースを開始することを示す情報を受信すると、SPSリソースのリリースを再開する。インプリシットリリースを開始することを示す情報は、SPSリリースを再開することを示すリリース再開情報に相当する。すなわち、UEは、リリース再開情報を受信すると、SPSリソースのリリースを再開する。
これによって、実施の形態4と同様の効果を得ることができる。具体的には、上りSPSの設定を無効にしないことが設定されたまま、常にインプリシットリリースが行われない状態を無くすことができる。これによって、長期にわたるSPSリソースのリザーブが不要となるので、PUSCHリソースの無駄を削減することが可能となる。したがって、リソースの使用効率の向上が可能となる。
実施の形態4 変形例2.
実施の形態4で示した課題を解決する他の方法を開示する。上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を設けて、eNBからUEに通知する。例えば、上りSPSの設定を無効にしないことが設定されている状態において、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を、eNBからUEに通知する。eNBは、上りSPSの設定を無効にするか否かを判断する。eNBが上りSPSの設定を無効にすることを決定した場合、eNBは、UEに、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を通知し、上りSPSの設定を無効にする。UEは、eNBから上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を受信することによって、上りSPSの設定を無効にする。このとき、インプリシットリリースを行わずに、上りSPSの設定を無効にする。
eNBからUEに、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を通知することによって、任意のタイミングで上りSPSの設定を無効にすることが可能となる。これによって、通信状況および負荷状況に応じて柔軟な運用が可能となる。
上りSPSの設定を無効にすることを示す情報として、前述のULのリリース前空送信回数を用いてもよい。リリース前空送信回数として、既存の値を設定するとよい。リリース前空送信回数が設定された場合に、上りSPSの設定を無効にすることを示すようにするとよい。
上りSPSの設定を無効にすることを示す情報は、eNBからUEに通知するとよい。通知するeNBは、1st−eNBであってもよいし、2nd−eNBであってもよい。例えば、2nd−eNBからUEに通知するときに、2nd−eNBから直接UEに通知してもよいし、2nd−eNBから1st−eNBを介してUEに通知してもよい。eNB間の情報の通知にはX2シグナリングを用いてもよい。あるいは、MMEを介してS1シグナリングを用いてもよい。
上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をeNBからUEへ通知するためのシグナリング方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)RRCシグナリング。
(2)MACシグナリング。例えば、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を含むMAC CEを設けて、MACシグナリングによって通知してもよい。
(3)L1/L2シグナリング。例えば、PDCCHあるいはEPDCCHで通知してもよい。
図16は、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を用いる方法を説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。MeNB、SeNBともにSPSが設定された場合を示している。図16は、図15と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。該アクティベートに、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報を含める。
ステップST1202からステップST1203において、SeNBに対して、リリース前空送信回数として設定される回数連続して上り送信データが発生せず、パディング送信が行われた場合でも、上りSPSの設定を無効にしない設定に従い、UEは、SPSリソースをクリアしない。eNBもSPSリソースをリリースしない。インプリシットリリースが行われず、SPSリソースがリリースされない。
ステップST1501において、SeNBは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を設定し、UEに通知する。eNBは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報の通知によって、上りSPSの設定を無効にし、UEは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を受信することによって、上りSPSの設定を無効にする。
上りSPSの設定が無効になるので、以降のSPSのタイミングであるステップST1204では、設定されたSPSリソースがリリースされる。これによって、eNBは、該SPSリソースを他のUEに対して割当て可能となる。
eNBが、上りSPSの設定を無効にするか否かを判断する方法の具体例として、以下の(1)〜(6)の6つを開示する。
(1)SPSの設定からの期間。
(2)SPSの設定を無効にしないことを設定してからの期間。
(3)パディング送信の連続受信回数。
(4)自eNBにおける負荷量。
(5)UEとの通信品質。
(6)1st−eNBに対する上り送信データ発生状況。
前述の(1)の方法では、上りSPSの設定から予め定める期間が経過した場合に、上りSPSの設定を無効にすると決定する。予め定める期間としては、時間、無線フレーム数、サブフレーム数、スロット数、およびシンボル数であってもよい。予め定める期間は、設定されたSPSのタイミング間隔の正の整数倍としてもよい。
前述の(2)の方法では、上りSPSの設定を無効にしないことを設定してから予め定める期間が経過した場合に、上りSPSの設定を無効にすると決定する。
前述の(3)の方法では、パディング送信を予め定める回数連続して受信した場合に、上りSPSの設定を無効にすると決定する。パディング送信を受信する予め定める回数としては、前述のリリース前空送信回数であってもよい。あるいは、リリース前空送信回数よりも大きい値であってもよい。
前述の(4)の方法では、自eNBの負荷量を用いて判断する。負荷が予め定める値以上の場合、SPSの設定を無効にすると決定する。負荷が予め定める値よりも低い場合、SPSの設定を無効にしないと決定する。負荷が予め定める値よりも高い場合には、SPS用に割当てたリソースをリリースして、他のUEに割当て可能とすることによって、負荷が高い場合に生じるリソース不足を低減する。
前述の(5)の方法では、UEとの通信品質を用いて判断する。通信品質が予め定める値よりも小さい場合、SPSの設定を無効にすると決定する。通信品質が予め定める値以上の場合、SPSの設定を無効にしないと決定する。通信品質が低い原因が、既に設定したSPS用のリソースの通信品質が悪いためである場合がある。このような場合、SPS用のリソースを再度割当てることによって、通信品質が向上する。したがって、通信品質が低い場合にSPSの設定を無効にして、必要に応じて再度SPSを設定可能とするとよい。これによって、通信品質の向上を図ることができる。また、通信品質の悪いリソースを早期にリリースすることができるので、リソースの使用効率を向上させることができる。
前述の(6)の方法では、2nd−eNBが、1st−eNBに対する上り送信データの発生状況を認識して、上りSPSの設定を無効にするか否かを決定する。
2nd−eNBが、1st−eNBに対する上り送信データの発生状況を認識する方法の具体例として、以下の(6−1),(6−2)の2つを開示する。
(6−1)2nd−eNBは、1st−eNBから、上り送信データの発生に関する情報を取得する。
1st−eNBは、2nd−eNBに、2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングで、自eNB(1st−eNB)への上り送信データが発生したか否かを通知するとよい。
2nd−eNBは、自eNBに対して設定されたSPSのタイミングを予め1st−eNBに通知しておくとよい。これによって、1st−eNBは、2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEからの上り送信データを受信したか否かを認識することができる。1st−eNBは、2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングでUEからの上り送信データを受信した場合、上り送信データの発生が有ると判断する。1st−eNBは、前記UEからの上り送信データを受信しなかった場合は、上り送信データの発生が無いと判断する。
1st−eNBは、自eNBに対する上り送信データの発生の有無を、2nd−eNBに通知する。自eNBに対する上り送信データの発生が無い場合にのみ、あるいは有る場合にのみ通知してもよい。
2nd−eNBは、自eNBに対する上り送信データの発生の有無の情報を受信することによって、1st−eNBに対して上り送信データが存在したか否かを判断することが可能となる。2nd−eNBは、自eNBに対する上り送信データの発生の有無の情報を用いて、上りSPSの設定を無効にするか否かを決定する。
例えば、1st−eNBに対する上り送信データが無い情報を、予め定める回数連続して受信した場合に、上りSPSの設定を無効にすると決定するとよい。
2nd−eNBは、1st−eNBに対して、どのベアラに対して、2nd−eNBでSPSを設定したかを通知してもよい。
1st−eNBは、該ベアラで上り送信データが発生したか否かを判断してもよい。
これによって、特定のベアラに対してSPSが設定されるような場合に、該ベアラを特定することができるので有効である。
1st−eNBは、2nd−eNBに、上り送信データが発生しなかった場合が連続何回続いたかを表す連続回数を通知してもよい。
あるいは、2nd−eNBが1st−eNBに、予め、該連続回数を通知しておいてもよい。1st−eNBは、2nd−eNBに設定されたSPSのタイミングで上り送信データを受信できなかった回数をカウントし、該連続回数になったとき、2nd−eNBに、その旨を通知する。
eNB間で、SPSの設定の無効を要求するメッセージを新たに設けてもよい。例えば、1st−eNBは、2nd−eNBに設定されたSPSのタイミングで上り送信データを受信できなかった回数をカウントし、該連続回数になったとき、2nd−eNBに、SPSの設定の無効を要求するメッセージを通知する。
SPSの設定の無効を要求するメッセージを受信した2nd−eNBは、上りSPSの設定を無効にすると決定してもよい。
前述の情報をeNB間で通知するためには、X2シグナリングあるいはS1シグナリングを用いてもよい。X2シグナリングで通知、あるいはMMEを介してS1シグナリングで通知してもよい。
(6−2)2nd−eNBは、SPSのタイミングの、1st−eNBでの上り電力を測定して検出する。
1st−eNBは、2nd−eNBに、予め、1st−eNBの上りキャリア周波数、帯域幅を通知しておくとよい。2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングで、1st−eNBもSPSを設定している場合、該SPSリソースを2nd−eNBに通知してもよい。
2nd−eNBは、設定したSPSのタイミングにおいて、1st−eNBのキャリア周波数、帯域幅で、上り電力を測定する。前述のように1st−eNBがSPSを設定している場合、該SPSリソースにおける上り電力を測定してもよい。
上り電力としては、受信信号強度(Received Signal Strength Indicator;略称:RSSI)、IoT(Interference over Thermal noise)などを測定するとよい。
測定した上り電力が、予め定める閾値よりも高い場合、1st−eNBでデータが送信されたと判断する。予め定める閾値よりも低い場合、1st−eNBでデータが送信されなかったと判断する。
1st−eNBでデータが送信されなかったと判断した場合、2nd−eNBは、上りSPSの設定を無効にすると決定してもよい。
本変形例で開示した、eNBが、上りSPSの設定を無効にするか否かを判断する方法は、実施の形態4の変形例1で開示した、インプリシットリリースを開始することを判断する方法にも適用することができる。
本変形例で開示した方法を用いることによって、実施の形態4の変形例1で開示した方法と同様の効果を得ることができる。
また、インプリシットリリースを行う必要がなく、即座に、SPSの設定を無効にして、SPSリソースをリリースすることが可能となる。したがって、より一層PUSCHリソースの使用効率の向上が可能となる。
実施の形態5.
実施の形態4で示した課題を解決する他の方法を開示する。設定されたSPSのタイミングで上り送信データが無い場合のパディング送信と、設定されたSPSのタイミングで上り送信データが有る場合のパディング送信とを異ならせる。
UEは、上り送信データが無い場合は、上り送信データが無い場合のパディング送信を行う。UEは、上り送信データが有る場合は、上り送信データが有る場合のパディング送信を行う。eNBは、異なるパディング送信を受信することによって、設定されたSPSのタイミングでUEからの上り送信データの有無を判断する。eNBは、上り送信データが無い場合のパディング送信を受信した場合、上り送信データが無いと判断して、インプリシットリリースを行う。eNBは、上り送信データが有る場合のパディング送信を受信した場合、上り送信データが有ると判断して、上り送信データが無い場合のパディング送信とはカウントしない。あるいは、上りインプリシットリリースを行わないとしてもよい。
図17および図18は、上り送信データが無い場合のパディング送信と、上り送信データが有る場合のパディング送信とを異ならせる方法を説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。上り送信データのデータ量がDRATの閾値(Th)以下の場合を示している。SeNBにSPSが設定された場合を示している。
図17は、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで上り送信データが無い場合を示している。図18は、SeNBに対して設定されたSPSSPSのタイミングで上り送信データが有る場合を示している。上り送信データが無い場合のパディング送信を、「パディング(A)送信」とする。上り送信データが有る場合のパディング送信を、「パディング(B)送信」とする。
図17および図18は、図9と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
図17に示すように、UE905は、SeNB902に対して設定されたSPSのタイミングで、上り送信データが無い場合、矢符「1601」に示すように、SeNB902に対してパディング(A)送信を行う。上り送信データが無いので、UE905からMeNB901に上りデータは送信されない。
図18に示すように、UE905は、SeNB902に対して設定されたSPSのタイミングで、上り送信データが有る場合、矢符「1602」に示すように、SeNB902に対してパディング(B)送信を行う。上り送信データが有るので、矢符「1603」に示すように、UE905からMeNB901に上りデータが送信される。
図19および図20は、上り送信データが無い場合のパディング送信と、上り送信データが有る場合のパディング送信とを異ならせる方法を説明する図である。上り送信データが無い場合のパディング送信を、「パディング(A)送信」とする。上り送信データが有る場合のパディング送信を、「パディング(B)送信」とする。
1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。MeNB、SeNBともにSPSが設定された場合を示している。図19は図13と、図20は図15と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
図19は、上り送信データが無い場合のパディング(A)送信について示している。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。
SeNBからSPSのアクティベートを受信したUEは、設定されたリソースでSPSを実行する。
ステップST1701において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEで上りデータが発生しない場合を考える。
この場合、ステップST1701において、UEは、SeNBに対して、上り送信データが無い場合のパディング(A)送信を行う。
ステップST1701からステップST1702において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、連続してUEで上りデータが発生しない場合、同様に、UEは、SeNBに対してパディング(A)送信を行う。
SeNBに対して、リリース前空送信回数として設定される回数連続して上り送信データが発生せず、パディング(A)送信が行われた場合、インプリシットリリースを行う。
インプリシットリリースによって、ステップST1204において、eNBは、設定されたSPSリソースをリリースする。ステップST1204において、UEは、設定されたSPSリソースをクリアする。
図20は、上り送信データが有る場合のパディング(B)送信について示している。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。
SeNBからSPSのアクティベートを受信したUEは、設定されたリソースでSPSを実行する。
ステップST1801において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEで上りデータが発生する場合を考える。ここで、発生する上りデータがDRATの閾値よりも小さいデータ量のデータであるとする。この場合、MeNBに上りデータが送信されるが、SeNBには上りデータが送信されない。実施の形態3で開示した方法を適用し、SeNBに対して、パディング送信を行うこととする。
ただし、本実施の形態で開示する方法では、ステップST1801において、UEは、SeNBに対して上り送信データが有る場合のパディング(B)送信を行う。
ステップST1801からステップST1802において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、連続してUEで上りデータが発生するが、DRATの閾値よりも小さいデータ量のデータで、SeNBに対して上りデータが送信されない場合、同様に、UEは、SeNBに対してパディング(B)送信を行う。
SeNBに対して、リリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング(B)送信が行われたとしても、インプリシットリリースを行わない。
したがって、ステップST1204において、eNBは、設定されたSPSリソースをリリースせず、ステップST1204において、UEは、設定されたSPSリソースをクリアしない。
したがって、SeNBに対してリリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング(B)送信が行われた後、ステップST1204において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値以上のデータ量の上りデータが発生した場合、ステップST1401において、UEは、SeNBに、設定されているSPSリソースで、上りデータの送信を行うことが可能となる。
このようにすることによって、上り送信データがあるにも関わらず、インプリシットリリースが行われてしまうことを防ぐことができる。UEでDRATの閾値以上の上り送信データが発生した場合に、SeNBで設定されたSPSリソースを該上りデータの送信に用いることが可能となる。
前述のように、上り送信データが無い場合のパディング送信と、上り送信データが有る場合のパディング送信とを異ならせることによって、eNBは、設定されたSPSのタイミングでUEからの上り送信データの有無を判断することが可能となる。
eNBは、上り送信データが無い場合のパディング送信を受信した場合、上り送信データが無いと判断することができる。UEからの上り送信データが無いので、eNBは、インプリシットリリースを行う場合のパディング送信としてカウントすればよい。
eNBは、上り送信データが有る場合のパディング送信を受信した場合、上り送信データが有ると判断することができる。UEからの上り送信データが有るので、eNBは、インプリシットリリースを行う場合のパディング送信としてカウントしないようにする。
UEからの上り送信データが無い場合のパディング送信のみをカウントすることによって、UEからの上り送信データの発生が実際に無い場合のパディング送信が、リリース前空送信回数として設定される回数連続して行われた場合に、インプリシットリリースを行うことが可能となる。
上り送信データが無い場合のパディング送信と、上り送信データが有る場合のパディング送信とを異ならせる方法を開示する。
上り送信データが無い場合のパディング送信については、実施の形態1で示した、従来のパディング送信、すなわち、パディングビットおよびパディングBSRの少なくとも一方を含むMAC PDUを送信する、とするとよい。
上り送信データが有る場合のパディング送信を、従来のパディング送信と異ならせる。
上り送信データが有る場合のパディング送信では、MACレイヤの処理を従来と異ならせるとよい。従来のパディング送信のMAC PDUと異なるMAC PDUの構成方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)新たなMAC CE(Control Element)を設ける。
(2)パディングビットに特定の値を設定する。
(3)ヘッダに特定の値を設定する。
前述の(1)の方法として、上り送信データが有る場合のパディング送信であることを示すMAC CEを設けるとよい。
例えば、送信の有無を示すMAC CEを設ける。従来のパディングビットおよびパディングBSRの少なくとも一方に加えて、送信の有無を示すMAC CEを含めるとよい。送信が有ることを示すMAC CEであってもよい。
あるいは、パディング送信の種類を示すMAC CEを設けてもよい。上り送信データが無い場合のパディング送信か、上り送信データが有る場合のパディング送信かを示すMAC CEとするとよい。
あるいは、インプリシットリリースの有無を示すMAC CEを設けてもよい。このMAC CEが含まれたパディング送信が、インプリシットリリースを行わせるか、インプリシットリリースを行わせないかを示す。
このようにすることによって、従来のパディング送信と異ならせることができる。
前述の(2)の方法として、パディングビットに、上り送信データが有る場合のパディングビットであることを示す特定の値を設定するとよい。従来、パディングビットか否かはヘッダで判断するので、パディングビットは何であってもよかった。ここでは、新たに、上り送信データが有る場合のパディングであることを示す特定の値を設定する。eNBは、パディングビットを復調することによって、上り送信データが有る場合のパディング送信か否かを認識することができる。
前述の(3)の方法として、ヘッダに、上り送信データの有無を示す値を設けるとよい。例えば、パディングビットのヘッダに、特定の値として、上り送信データの有無を示す値を付加する。これによって、送信データが有ることを示すヘッダの場合、上り送信データが有る場合のパディング送信であることを認識することができる。
あるいは、パディングBSRのヘッダに、該特定の値を付加してもよい。これによって、同様の効果を得ることができる。
あるいは、上り送信データが有る場合のパディング送信であることを示すMAC CEのヘッダに、該特定の値を付加してもよい。これによって、MAC CEとヘッダの両方で上り送信データが有るか否かを判断することが可能となる。したがって、誤動作を低減することが可能となる。
このように、上り送信データが有る場合のパディング送信として、MACレイヤの処理を従来と異ならせることによって、従来のパディング送信と異ならせることが可能となる。
他の方法としては、上り送信データが有る場合のパディング送信として、PHYレイヤの処理を従来と異ならせてもよい。
例えば、上り送信データが有る場合のパディング送信を行うPUSCHに用いるリファレンスシグナルを、従来の上り送信データが無い場合のパディング送信を行うPUSCHに用いるリファレンスシグナルと異ならせる。
あるいは、上り送信データが有る場合のパディング送信を行うPUSCHがマッピングされる周波数軸上のリソースおよび時間軸上のリソースの少なくとも一方を、従来の上り送信データが無い場合のパディング送信を行うPUSCHがマッピングされる周波数軸上のリソースおよび時間軸上のリソースの少なくとも一方と異ならせてもよい。
周波数軸上のリソースおよび時間軸上のリソースの少なくとも一方は、SPSリソースとして割当てられた周波数軸上のリソースおよび時間軸上のリソースの少なくとも一方内で、異ならせてもよい。すなわち、上り送信データが有る場合のパディング送信を行うPUSCHがマッピングされる該リソースと、上り送信データが無い場合のパディング送信を行うPUSCHがマッピングされる該リソースとが、どちらも、SPSリソースとして割当てられたリソース内に存在することとなる。これによって、設定されたSPSリソース外のリソースを用いなくて済むので、必要となるリソースの増大を抑制することができる。
SPSリソース内で異ならせる方法としては、時間軸上のリソースで異ならせてもよい。例えば、スロット毎で異ならせる。シンボル毎でもよい。あるいは、周波数軸上のリソースで異ならせてもよい。例えば、サブキャリアで異ならせる。リソースブロック毎でもよい。
SPSリソースとは別に無線リソース(周波数軸上のリソース−時間軸上のリソース)を設けてもよい。例えば、送信データが無い場合は、SPSリソースでパディング送信とする。送信データが有る場合は、別に設定された無線リソースでパディング送信とする。これによって、従来のパディング送信に関しては、メカニズムを変える必要がないので、制御が容易になる。別に設定された無線リソースは、複数のUEで使用してもよい。具体的には、多重するとよい。例えば、時間多重、周波数多重、およびコード多重などを行うとよい。あるいは、衝突ベースの共用でもよい。eNBが、UEが送信したPUSCHのRSを使用してUE毎に分解するとよい。
他の方法としては、上り送信データの有無で、L1/L2制御信号での送信を行うか、パディング送信を行うかを切替えてもよい。例えば、上り送信データが有る場合には、パディング送信の代わりにL1/L2制御信号を用いた送信を行い、上り送信データが無い場合には、従来のパディング送信を行う。eNBは、L1/L2制御信号で受信したか、従来のパディング送信で受信したかによって、上り送信データの有無を認識することが可能となる。上り送信データが有る場合のL1/L2制御信号には、実施の形態2の変形例1で開示した方法を用いてもよい。
このようにすることによって、2nd−eNBが、UEの送信データの有無を認識することが可能となる。2nd−eNBに設定されたSPSのタイミングで上り送信データが無い場合は、インプリシットリリースを実行することが可能となる。2nd−eNBにSPSリソースで上り送信データが有る場合は、インプリシットリリースを実行しないようにすることができる。
したがって、実施の形態3で開示したように、2nd−eNBに設定されたSPSのタイミングで上り送信データが有る場合を考慮してインプリシットリリースを実行しないようにする場合に生じる、長期にわたるSPSリソースのリザーブが不要となる。これによって、PUSCHリソースの使用効率の向上が可能となる。
本実施の形態では、DCが設定されており、2nd−eNBに設定されたSPSのタイミングで上り送信データが有るか無いかによって、パディング送信を異ならせる方法を開示した。これに限らず、一つのeNBに、異なるパディング送信を送るような場合に、本実施の形態で開示した方法を適用してもよい。
例えば、UEは、上り送信データの発生量の時間変化を測定し、その測定結果を用いて、上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率を導出する。言い換えると、UEは、上り送信データの発生量の時間変化の測定結果を用いて、上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率を予測する。上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率を導出するために、統計的処理を行ってもよい。
上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率に応じて、パディング送信を異ならせるようにしてもよい。上り送信データの発生量の時間変化の測定は、ベアラ毎に行ってもよい。あるいは、コンテンツ毎、または、アプリケーション毎に行ってもよい。
UEは、上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率が、予め定める閾値以上か否かを判断する。閾値は、予めシステムとして決められていてもよいし、eNBが設定してeNBから通知されてもよい。上り送信データが発生する確率が、予め定める閾値以上か否かによって、パディング送信を異ならせる。
UEは、設定された上りSPSタイミングにおいて、実際に上り送信データが発生しなかった場合、パディング送信を行うことになる。このとき、上り送信データが発生する確率が閾値以上の場合、パディング(B)送信を行う。上り送信データが発生する確率が閾値以上でない場合、すなわち上り送信データが発生する確率が閾値未満である場合、パディング(A)送信を行う。
eNBは、UEから、リリース前空送信回数として設定される回数、連続してパディング(B)を受信したとしても、SPSリソースをリリースしない。また、UEは、eNBに、リリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング(B)を送信したとしても、設定されたSPSリソースをクリアしない。このようにすることによって、上り送信データが発生する確率が高い場合は、SPSリソースをリリースしないようにすることができる。
例えば、本来は上り送信データが発生するが、何らかの遅延によって偶然、その上り送信タイミングで上り送信データが発生しなかったような場合に、SPSリソースをリリースしないようにすることができる。したがって、まだ上り送信データの発生が続くような場合に、SPSリソースをリリースしないようにすることができ、次のSPSタイミングでSPSリソースを用いて上りデータを送信することが可能となる。
eNBは、UEから、リリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング(A)を受信した場合、SPSリソースをリリースする。また、UEは、eNBに、リリース前空送信回数として設定される回数連続してパディング(A)を送信した場合、設定されたSPSリソースをクリアする。このようにすることによって、上り送信データが発生する確率が低い場合は、SPSリソースをリリースすることができる。
以上のようにすることによって、長期にわたるSPSリソースのリザーブが不要となる。これによって、PUSCHリソースの使用効率の向上が可能となる。
また、以上に開示した方法では、パディング送信を2種類としたが、これに限らず、複数の異なるパディング送信を設けてパディング送信を行うようにしてもよい。eNBは、パディング送信の種類によって動作を変えることが可能となる。
例えば、UEは、下り受信品質に応じて、パディング送信を異ならせる。下り受信品質の閾値を2つ設けて、3つの受信品質状態に分割し、3つの受信品質状態に応じて、各々異なるパディング送信を行うようにしてもよい。このようにすることによって、eNBは、UEの下り受信品質がどの程度かを認識することが可能となる。
また、eNBは、UEにパディング送信を行わせるために、UEからの上りスケジューリング要求が無い場合でも、ULリソースをスケジューリングし、UEに上りグラントを通知してもよい。UEは、上り送信データが無いので、上りグラントで割り当てられた上りリソースでパディング送信を行うことになる。このパディング送信を前述の受信品質状態に応じて異なるパディング送信としてもよい。このようにすることによって、eNBは、適時に、動的に、UEの下り受信品質を認識することができる。以上のようにすることによって、eNBは、UEに対して、多様で柔軟な制御を行うことが可能になる。
実施の形態6.
予め定めるベアラに対してULスプリットベアラが設定された場合、該ベアラのデータの発生状況に応じて、2nd−eNBにおいて上りSPSが設定される。
2nd−eNB側で設定された上りSPSのタイミングにおいて、上り送信データが発生した場合、2nd−eNBに対してSPSリソースで上り送信が行われるだけでなく、ベアラの設定条件によっては、該SPSのタイミングにおいて1st−eNBに対しても上り送信が行われることになる。
該SPSのタイミングにおいて、1st−eNBに対してSPSの設定が行われていないと、1st−eNBに対してSR信号の送信から開始しなければならなくなる。
上り送信において1st−eNBも使えるにも関わらず、1st−eNBに対する遅延が生じ、送信遅延時間の増大を引き起こす。本実施の形態では、このような課題を解決する方法を開示する。
1st−eNBに対して、2nd−eNBに対して行ったSPSの設定と同じSPSの設定を行う。ULスプリットベアラが設定された場合に、1st−eNBに対して、該SPSの設定を行うとしてもよい。
SPSの設定方法を開示する。1st−eNBに対するSPSに、2nd−eNBに対するSPSの設定と同じ設定を行う。各eNBに対して複数のSPSの設定を可能とするとよい。
同じ設定とするパラメータは、全部のパラメータでなくてもよい。同じ設定とするパラメータとしては、SPSの間隔がある。異なる設定とするパラメータとしては、SPS用のC−RNTIがある。ULのリリース前空送信回数は、同じとしてもよいし、異なる設定としてもよい。
1st−eNBにSPSが設定されている場合に、2nd−eNBにSPSが設定された場合、1st−eNBは、既に設定されているSPSの設定に加えて2nd−eNBに対するSPSの設定と同じ設定を行うとよい。1st−eNBで既に設定されているSPSの設定と、2nd−eNBに対するSPSの設定とが同じ場合、例えば、SPSのタイミングが同じ場合も、重複して設定するとよい。
あるいは、1st−eNBで既に設定されているSPSの設定と、2nd−eNBに対するSPSの設定とが同じ場合、例えば、SPSのタイミングが同じ場合、重複して設定せずに、1st−eNBで既に設定されているSPSの設定と、2nd−eNBに対するSPSの設定とを合わせたSPSの設定を行うとよい。
このようにすることによって、1st−eNBで既にSPSが設定されている場合に、既存のSPSの設定を中断することなく、1st−eNBに対して、2nd−eNBに対するSPSの設定と同じ設定を行うことが可能となる。
SPSの設定をUEに通知して設定する方法を開示する。2nd−eNBは、2nd−eNBに対するSPSの設定をUEに通知する。さらに、2nd−eNBは、1st−eNBに、2nd−eNBに対するSPSの設定を通知する。この通知には、X2シグナリングを用いるとよい。あるいは、MMEを介して、S1シグナリングを用いて行ってもよい。これによって、1st−eNBは、2nd−eNBのSPSの設定を認識することが可能となる。1st−eNBは、2nd−eNBのSPSの設定の同じ設定とするパラメータを自eNBのSPSの設定に適用する。同じ設定とするパラメータとしては、SPSの間隔がある。ULのリリース前空送信回数は同じとしてもよいし、異なる設定としてもよい。SPS用のC−RNTIは、自eNBが独立に設定する。1st−eNBは、これらのSPSの設定をUEに通知する。
このようにすることによって、1st−eNBは、2nd−eNBと同じSPSの設定をUEに設定することが可能となる。
他のSPSの設定方法を開示する。1st−eNBに対するSPSに、2nd−eNBに対するSPSの設定と同じ設定を行う。各eNBに対して複数のSPSの設定を可能とするとよい。
同じ設定とするパラメータは、全部のパラメータとする。SPSの間隔、SPS用のC−RNTI、およびULのリリース前空送信回数を同じ設定とする。
該SPSの設定をUEに通知して設定する方法を開示する。2nd−eNBは、2nd−eNBに対するSPSの設定をUEに通知する。さらに、2nd−eNBは、1st−eNBに、2nd−eNBに対するSPSの設定を通知する。この通知には、X2シグナリングを用いるとよい。あるいは、MMEを介して、S1シグナリングを用いて行ってもよい。これによって、1st−eNBは、2nd−eNBのSPSの設定を認識することが可能となる。UEは、2nd−eNBに対するSPSの設定を、1st−eNBに対するSPSの設定に適用する。
このようにすることによって、1st−eNBは、2nd−eNBと同じSPSの設定をUEに設定することが可能となる。
また、このようにすることによって、1st−eNBからUEに、SPSの設定を通知する必要が無くなる。したがって、エアインタフェース上のシグナリング量を削減することが可能となる。
2nd−eNBと1st−eNBとで同じSPS C-RNTIとする方法を開示する。2nd−eNBと1st−eNBとの間で予め協調して同じ値を設定する。例えば、2nd−eNBがSPSを設定する場合、予め、1st−eNBに対して使用するSPS C-RNTIを通知する。
1st−eNBは、通知されたSPS C−RNTIを使用可能な場合、2nd−eNBにAckを通知する。これによって、1st−eNBと2nd−eNBとは、同じSPS C−RNTIを使用することが可能となる。
1st−eNBは、通知されたSPS C−RNTIを使用不可能な場合、2nd−eNBにNackを通知する。この場合、2nd−eNBは、再度他のSPS C−RNTI値を選択し、1st−eNBに通知する。1st−eNBからAckを受信するまで繰り返す。このような方法を行うことによって、2nd−eNBと1st−eNBとで同じSPS C-RNTIを用いることが可能となる。
2nd−eNBと1st−eNBとの間の該情報の通知には、X2シグナリングを用いるとよい。あるいは、MMEを介して、S1シグナリングを用いて行ってもよい。
SPSアクティベートのタイミングが、SPSの開始タイミングを決定する。したがって、両eNBでSPSアクティベートタイミングを合わせる方法が必要となる。
2nd−eNBは、SPSアクティベートをUEに通知することを決定した場合、SPSアクティベートをUEに通知するタイミングを、1st−eNBに通知する。あるいは、SPSアクティベートをUEに通知したタイミングを、1st−eNBに通知する。
タイミング情報としては、無線フレーム番号およびサブフレーム番号の少なくとも一方とするとよい。
1st−eNBは、受信したタイミング情報を用いて、2nd−eNBのSPSの設定がUEに対してアクティベートされるタイミングを導出し、該タイミングに合わせるように、SPSアクティベートをUEに通知する。
2nd−eNBがUEにSPSアクティベートを通知するタイミングに間に合わない場合、以降のSPSの間隔後のタイミングに合わせてUEに通知すればよい。可能な限り早く通知すればよい。
このようにすることによって、両eNBでSPSアクティベートタイミングを合わせることができ、両eNBに対するSPSのタイミングを一致させることが可能となる。
2nd−eNBと1st−eNBとの間の該情報の通知には、X2シグナリングを用いるとよい。あるいは、MMEを介して、S1シグナリングを用いて行ってもよい。
図21は、1st-eNBに対して、2nd-eNBに対して行ったSPSの設定と同じSPSの設定を行う方法について説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。
図21では、DRATの閾値を参照符号「1901」で示す。
SeNBは、SPSの設定を決定する。ステップST1902において、SeNBは、UEに、RRC個別シグナリングで、SPSの間隔、リリース前空送信回数、およびSPS C-RNTIを通知する。
また、ステップST1903において、SeNBは、MeNBに、設定したSPS構成を通知する。設定したSPS構成は、X2シグナリングで通知するとよい。通知するSPS構成としては、SPSの間隔とするとよい。また、リリース前空送信回数も通知してもよい。
MeNBは、受信したSeNB構成と同じ値を、MeNBに対するSPS構成として設定する。SPS C−RNTIは、SeNBと同じ値を用いずに、MeNBが選択する。
ステップST1904において、MeNBは、UEに、RRC個別シグナリングで、MeNBに対するSPS構成およびSPS C-RNTIを通知する。
UEは、SeNBおよびMeNBから通知されたSPS C−RNTIを用いて、PDCCHを検出する。
ステップST1905において、SeNBは、MeNBに、SPSアクティベートのタイミングを通知する。SPSアクティベートのタイミングを受信したMeNBは、SeNBがSPSをアクティベートするタイミングを認識することが可能となる。
ステップST1906およびステップST1907において、SeNBおよびMeNBは、SeNBが決定したアクティベートのタイミングで、ぞれぞれ、UEにSPSアクティベートを送信する。これによって、SeNB、MeNBともに、UEに対して、同じSPSアクティベートのタイミングとすることが可能となる。
ステップST1905におけるSeNBからMeNBへのSPSアクティベートのタイミングの通知と、ステップST1906におけるSeNBからUEへのSPSアクティベートのタイミングの通知との順序は逆になってもよい。
SeNBは、SPSアクティベートをUEに通知したタイミングを、MeNBに通知する。これによって、SeNBで実際にSPSアクティベートを行ったタイミングをMeNBに通知することが可能となる。実際のSPSアクティベートタイミングを通知することによって、SeNBとMeNBとでSPSアクティベートタイミングがずれてしまうような誤動作の発生を低減することが可能となる。
MeNBからのSPSリソースのスケジューリングと、SeNBからのSPSリソースのスケジューリングとは異なっていてもよい。MeNB、SeNBは、それぞれ、個別にスケジューリングしてもよい。
UEは、SPSアクティベートを受信することによって、SeNBとMeNBとに対してSPSがアクティベートされたことを認識する。
ステップST1908およびステップST1909において、UEは、設定されたSPSのタイミングで、SeNBおよびMeNBに、上りデータの送信を行う。
ステップST1910において、UEは、設定されたSPSのタイミングで、UEの上り送信データのデータ量がDRATの閾値よりも小さい場合、SeNBに対してパディング送信を行う。MeNBに対しては上りデータの送信を行う。
SeNBに対して、パディング送信が、リリース前空送信回数として設定される回数連続して行われた場合、ステップST1911において、eNBは、SeNBに対して設定されたSPSリソースをリリースする。UEもSeNBに対して設定されたSPSリソースをクリアする。
MeNBに対しては、上りデータの送信が行われているので、ステップST1911では、MeNBに対して設定されたSPSリソースをリリースしない。上り送信データがある場合は、上りデータの送信を行う。
SPSリソースのリリースについて開示する。インプリシットリリースが生じたeNBは、他のeNBにその旨を通知してもよい。例えば、2nd−eNBで、設定されたSPSに対してインプリシットリリースが生じた場合、2nd−eNBは、インプリシットリリースが生じたことを1st−eNBに通知する。あるいは、インプリシットリリースによってSPSリソースをリリースあるいはSPSの設定を無効にしたことを通知してもよい。
2nd−eNBのSPSリソースのリリースを受信した1st−eNBは、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にしてもよい。また、適宜、1st−eNBは、UEに、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にすることを通知してもよい。UEは、該通知を受信することによって、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にすることが可能となる。
このようにすることによって、1st−eNBは、2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にすることが可能となる。
また、実施の形態4の変形例2で開示した上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知したeNBは、他のeNBにその旨を通知してもよい。あるいは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知するeNBは、予め、他のeNBにその旨を通知してもよい。
例えば、2nd−eNBは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知した場合、1st−eNBに、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知したことを通知する。
あるいは、2nd−eNBは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知する場合、1st−eNBに、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知することを通知する。この場合、上りSPSの設定を無効にするタイミング、あるいは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知するタイミングを、1st−eNBに通知してもよい。
2nd−eNBから、前述した上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を受信した1st−eNBは、上りSPSの設定を無効にすることを示す情報を用いて、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にしてもよい。あるいは、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にしないと判断してもよい。あるいは、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を修正設定してもよい。例えば、先に1st−eNBに対して設定されていたSPSの設定に戻してもよい。1st−eNBは、負荷状況などを考慮して、柔軟に、自eNBに設定しているSPSの設定を変更することが可能となる。
また、適宜、1st−eNBは、UEに、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にすることを通知してもよい。UEは、該通知を受信することによって、1st−eNBで設定していた2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にすることが可能となる。
1st−eNBは、2nd−eNBが上りSPSの設定を無効にすることを示す情報をUEに通知するタイミングに間に合わない場合、次のSPSの間隔後のタイミングでUEに通知してもよい。あるいは、次のSPSの間隔後のタイミングを待たずにUEに通知してもよい。あるいは、即座に通知してもよい。
このようにすることによって、1st−eNBは、2nd−eNBと同じSPSの設定を無効にすることが可能となる。
2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングにおいて、2nd−eNBだけでなく、1st−eNBに対しても上りデータの送信が行わる場合があることを述べた。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、2nd−eNBに対して設定されたSPSのタイミングにおいて、1st−eNBに対してSPSの設定が行わることになる。したがって、UEは、2nd−eNBだけでなく、1st−eNBに対しても、SPSのタイミングにおいて、上りスケジューリング要求を送信することなく、上りデータを送信することが可能となる。これによって、1st−eNBに対する送信遅延時間の削減を図ることができる。
実施の形態7.
ULスプリットベアラにおいて、UEは、上り送信データのデータ量がDRATの閾値以下の場合、2nd−eNBに上りデータを送信しない。
2nd-eNBに対して上りデータの送信が無いにも関わらず、パディング送信を行うことは、UEの消費電力の無駄となる。
特に、パディング送信が予め定める回数連続して発生しても、インプリシットリリースを行わない場合、パディング送信の回数によってインプリシットリリースを判断するわけではないので、パディング送信を行うことは無駄となる。
このような問題を解決するために、インプリシットリリースが行われない場合、パディング送信をしないとするとよい。
UEは、設定されたSPSのタイミングで2nd−eNBに対して上りデータの送信が無い場合、かつ、インプリシットリリースが行われない場合、パディング送信をしない。
図22は、インプリシットリリースが行われない場合にパディング送信をしないようにする方法を説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。MeNB、SeNBともにSPSが設定された場合を示している。図22は、図15と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
ステップST1008において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。該アクティベートに、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報を含める。これによって、UEは、インプリシットリリースを行わず、上りSPSの設定を無効にしないようにすることを認識することができる。
SeNBからSPSのアクティベートを受信したUEは、設定されたリソースでSPSを実行するとともに、インプリシットリリースを行わず、上りSPSの設定を無効にしない。たとえ、UEがSeNBに対して予め定める回数上り送信データが発生しなかったとしても、eNB、UEともにインプリシットリリースを行わず、上りSPSの設定を無効にしないように設定する。
ステップST1301において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合を考える。
この場合、ステップST1301において、UEは、MeNBに上りデータを送信する。SeNBに対しては上り送信データが発生しない。
インプリシットリリースが行われない場合に、上り送信データが発生しない場合は、パディング送信をしないので、ステップST2001において、UEは、SeNBに対して、パディング送信を行わない。
ステップST2001からステップST2002において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生する場合、同様に、ステップST1301からステップST1302において、UEは、MeNBに上りデータの送信を行うが、SeNBに対してはパディング送信を行わない。
SeNBに対して、リリース前空送信回数として設定される回数連続して上り送信データが発生しない場合、UEは、そのSPSリソースでパディング送信は行わない。このような場合、UEは、ステップST1008で受信した、インプリシットリリースを行わない。UEは、上りSPSの設定を無効にしない設定に従い、ステップST1204において、SPSリソースをクリアしない。eNBもSPSリソースをリリースしない。ステップST1204において、インプリシットリリースが行われず、SPSリソースがリリースされない。
ステップST1204において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値以上のデータ量の上りデータが発生した場合、ステップST1401において、UEは、SeNBに、設定されているSPSリソースで、上りデータの送信を行うことが可能となる。
このようにすることによって、インプリシットリリースが行われない場合、SeNBに対して上り送信データが発生しないときに、パディング送信を行わないようにすることが可能となる。UEは、パディング送信を行わないので、UEの消費電力を削減することが可能となる。また、SeNBに対して上り送信データが発生しないときに、パディング送信を行わないようにすることによって、上りリンクにおける干渉を低減することが可能となる。
インプリシットリリースが行われる場合は、パディング送信が行われるようにしてもよい。インプリシットリリースを行う方法は、実施の形態4、実施の形態4の変形例1、および実施の形態4の変形例2において開示した方法を適用するとよい。eNBは、UEに、インプリシットリリースの開始の通知とともに、パディング送信を開始することを示す情報を通知するとよい。
このようにすることによって、インプリシットリリースが行われない場合、2nd−eNBに対して上り送信データが発生しないとき、パディング送信を行わないようにすることが可能となる。また、インプリシットリリースが行われる場合、2nd−eNBに対して上り送信データが発生しないとき、パディング送信を行うようにすることが可能となる。
これによって、インプリシットリリースを正常に動作させることが可能になるとともに、UEの消費電力を削減することが可能となる。
インプリシットリリースが行われない場合、2nd−eNBに対して上り送信データが発生しないとき、パディング送信をしないことを設定する方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)予め規格などで静的に決めておく。
(2)パディング送信をしないことを示す情報を設けて、eNBからUEに通知する。
前述の(1)の方法では、インプリシットリリースが行われない場合、2nd−eNBに対して上り送信データが発生しないとき、パディング送信をしないことを静的に決めておく。これを予め規格などで決めておくことによって、eNBとUEとで認識することが可能となるので、整合のとれた動作が可能となり、誤動作を低減させることができる。
前述の(2)の方法では、パディング送信をしないことを示す情報をeNBからUEに通知することによって、2nd−eNBに対して上り送信データが発生しないとき、パディング送信をしないことを、動的に設定することが可能となる。eNBは、2nd−eNBでインプリシットリリースが行われない場合に、UEに該情報を通知してもよい。UEは、パディング送信をしないことを示す情報を受信すると、2nd−eNBに対して上りデータが発生しない場合に、パディング送信を行わない。
前述の(2)のパディング送信をしないことを示す情報は、eNBからUEに通知するとよい。eNBとしては、1st−eNBであってもよいし、2nd−eNBであってもよい。例えば、2nd−eNBからUEに通知するときに、2nd−eNBから直接UEに通知してもよいし、2nd−eNBから1st−eNBを介してUEに通知してもよい。eNB間の情報の通知には、X2シグナリングを用いてもよい。あるいは、MMEを介してS1シグナリングを用いてもよい。
パディング送信をしないことを示す情報をeNBからUEに通知するためのシグナリング方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)RRCシグナリング。例えば、SPS構成の設定のためのシグナリングに含めて通知してもよい。
(2)MACシグナリング。例えば、パディング送信をしないことを示す情報を含むMAC CEを設けて、MACシグナリングによって通知してもよい。
(3)L1/L2シグナリング。例えば、PDCCHあるいはEPDCCH。例えば、SPSアクティベートに含めて通知してもよい。
パディング送信をしないことを示す情報を設けて、eNBからUEに通知することを開示したが、パディング送信を行うことを示す情報を設けてもよい。パディング送信を行うことを示す情報は、eNBからUEに通知してもよい。これによって、インプリシットリリースが行われない場合に、2nd−eNBに対して上り送信データが発生しない場合、パディング送信の有無を動的に設定することが可能となり、2nd−eNBの通信状況および負荷状況に応じて柔軟な運用が可能となる。
実施の形態8.
実施の形態7では、設定されたSPSのタイミングで上り送信データが無い場合、パディング送信をしない方法を開示した。
パディング送信をしないとした場合、eNBは、実際上りデータが送信されたにも関わらず受信できなかったのか、パディング送信が無かったために受信できなかったのかを識別することができなくなる。本実施の形態では、このような問題を解決する方法を開示する。
パディング送信をしないことが設定された場合でも、HARQを動作させる。eNBは、パディング送信をしないことが設定された場合、HARQを動作させる。UEは、上り送信データがある場合、HARQを行い、上り送信データが無い場合、パディング送信も再送も行わない、とする。
従来、設定されたSPSのタイミングで上り送信データが無い場合に行われるパディング送信は、HARQの対象となる。eNBは、パディング送信を受信することによって、上り送信データが送られたのか否かを判断することができる。したがって、UEは、設定されたSPSのタイミングで上り送信データが無い場合も、パディング送信を行い、eNBから送達受信不成功(受信不成功)信号であるNackを受信した場合は、パディング送信の再送を行うことになる。
本実施の形態で開示した方法では、eNBはHARQを動作させるが、UEは、設定されたSPSのタイミングで上り送信データが無い場合、パディング送信を行わず、たとえeNBから受信不成功信号であるNackを受信したとしても、パディング送信の再送を行わないようにするという点で、従来の方法と異なる。
UEは、パディング送信をしない場合に、eNBからNackを受信したとしても、パディング送信の再送を行わない。したがって、eNBは、UEからの再送が無いので、受信不成功となり、再度Nackを送信する。UEは、eNBから再度Nackを受信することとなる。このNackに対しても、UEは、パディング送信の再送を行わない。UEは、パディング送信もパディング送信の再送も行わないので、このような動作が繰り返されることになる。したがって、eNBは、UEにNackを送信し続けることになる。このような問題を解決する方法を開示する。
eNBは、最大再送回数を設定するとよい。上りSPSリソースで初送が行われた場合のHARQについては、最大再送回数を設定するとよい。
eNBは、受信不成功が続いたとき、最大再送回数だけNackを送信しても受信不成功の場合は、HARQを停止する。
最大再送回数は、予め規格などで静的に決められてもよい。あるいはeNBが決定してもよい。これによって、通信状況および負荷状況に応じて動的に変更することが可能となる。あるいはOAM(operation administration and maintenance)が決定してもよい。これによって、複数のeNBの状況を考慮して決定することができる。あるいはオペレータが決定してもよい。システム設計パラメータの一つとして決定してもよい。
本実施の形態で開示した最大再送回数は、従来HARQに設定されている最大再送回数と異なる設定としてもよい。例えば、本実施の形態で開示した最大再送回数を、従来HARQに設定されている最大再送回数よりも小さくするとよい。本実施の形態で開示した最大再送回数を小さくすることによって、上り送信データが無く、パディング送信が無い場合に、eNBからUEに送信するNackの数を減らすことが可能となる。これによって、Nack用の無線リソースの無駄を低減することが可能となる。
図23は、パディング送信をしない場合のHARQの方法について説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。図23は、SeNBにSPSが設定された場合を示している。インプリシットリリースが行われない場合に、上り送信データが発生しない場合は、パディング送信をしないようにする場合について示している。ステップST2108において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。該アクティベートに、上りSPSの設定を無効にしないことを示す情報を含める。これによって、UEは、インプリシットリリースが行われず、上り送信データが発生しない場合は、パディング送信をしないことを認識することができる。
ステップST2101において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値以上のデータ量の上りデータが発生した場合を考える。この場合、ステップST2101において、UEは、SeNBに対して設定されたSPSリソースで、SeNBに上りデータを送信する。eNBは、UEからの上りデータを受信し、受信成功であったとする。この場合、ステップST2102において、SeNBは、受信成功信号であるAckをUEに送信する。UEは、Ackを受信した場合、上りデータがSeNBに受信されたと判断し、再送を行わない。
次に、ST2103において、UEは、SeNBに、設定されたSPSのタイミングで、上りデータを送信する。SeNBは、UEからの上りデータを受信し、受信不成功であったとする。この場合、ステップST2104において、SeNBは、NackをUEに送信する。
UEは、Nackを受信した場合、上りデータがSeNBに受信されなかったと判断し、ステップST2105において、SeNBに上りデータの再送を行う。このように、UEは、上りデータをSeNBに送信し、SeNBからNackを受信した場合は、上りデータの再送を行う。
ステップST2105において、SeNBは、UEからの上りデータの再送を受信して、受信成功であったとする。この場合、ステップST2109において、SeNBは、AckをUEに送信する。
UEは、Ackを受信した場合、上り再送データがeNBに受信されたと判断し、再送を行わない。
次に、ステップST2106において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値より小さいデータ量の上りデータが発生した場合を考える。この場合、ステップST2110において、UEは、MeNBに上りデータを送信するが、SeNBに対して設定されたSPSリソースで上りデータを送信しない。ステップST2108において、上り送信データが発生しない場合は、パディング送信をしないようにすることを設定されているので、UEは、パディング送信も行わない。
ステップST2106において、SeNBは、UEからのパディング送信が行われないので、受信不成功となる。この場合、ステップST2111において、SeNBは、NackをUEに送信する。
UEは、Nackを受信してもよいし、Nackを受信しなくてもよい。UEは、Nackを受信したとしても、再送を行わない。また、UEは、パディング送信も行わない。
ステップST2107において、SeNBは、UEから何も送信されないので、受信不成功となる。この場合、ステップST2112において、SeNBは、再度NackをUEに送信する。
UEは、同様に、Nackを受信してもよいし、Nackを受信しなくてもよい。UEは、Nackを受信したとしても、再送を行わない。また、UEは、パディング送信も行わない。
eNBは、Nackの送信回数が、最大送信回数に達した場合、HARQを停止する。仮に最大再送回数が設定されていない場合は、Nackの送信が繰り返されることになるが、本実施の形態では最大再送回数が設定されているので、HARQを停止することが可能となる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、UEから上りデータの送信が行われた場合に、HARQが動作することになり、上りデータの受信性能が向上する。
また、UEは、上り送信データが無い場合は、たとえeNBからNackが送信されたとしても、再送することは無く、パディング送信もすることが無い。UEは、上りデータ送信を行ったときのみ、eNBからのNackに従って、再送を行えばよい。したがって、UEの送信は、上りデータの送信が行わる場合に限定されるので、消費電力の増大を低減することが可能となる。
実施の形態8 変形例1.
本変形例では、実施の形態8で示した課題を解決する他の方法を開示する。2nd−eNBは、2nd−eNB向けにデータが発生したか否かを判断する。2nd−eNBは、該結果を用いてHARQを動作させるか否かを判断する。
2nd−eNB向けにデータが発生したか否かを判断する方法を開示する。2nd−eNBは、予め自eNBのSPSの設定を1st−eNBに通知する。SPSの設定としては、SPSのタイミングとするとよい。あるいは、SPSの間隔と、SPSアクティベートとをUEに通知したタイミングであってもよい。
これによって、1st−eNBは、2nd−eNBで設定されたSPSのタイミングを認識することが可能となる。
1st−eNBは、2nd−eNBのSPSのタイミングで、UEから発生した上り送信データのデータ量がDRATの閾値よりも小さいか否かを判断する。1st−eNBは、該判断結果を、2nd−eNBに通知する。2nd−eNBは、1st−eNBから受信した判断結果に基づいて、2nd−eNB自身向けにデータが発生したか否かを判断する。
2nd−eNBは、1st−eNBから通知された判断結果が、DRATの閾値よりも小さい場合、2nd−eNB自身向けにデータが発生していないと判断する。
2nd−eNBは、1st−eNBから通知された判断結果が、DRATの閾値以上の場合、2nd−eNB自身向けにデータが発生していると判断する。
2nd−eNBが、HARQを動作させるか否かを判断する方法を開示する。2nd−eNBは、2nd−eNB自身向けにデータが発生したと判断した場合は、HARQを動作させる。
2nd−eNBは、2nd−eNB自身向けにデータが発生していないと判断した場合は、HARQを停止させる。
このような方法では、1st−eNBから2nd−eNBに情報を通知する必要がある。この場合、X2インタフェースあるいはS1インタフェースなどのバックホールで通信を行うので、時間的に2nd−eNBで行うHARQに即座に対応できない場合が生じる。
しかし、たとえ、即座にHARQに対応できないとしても、バックホール通信などによる遅延の後には対応可能となる。したがって、延々とHARQが続くことを防ぐことができる。これによって、2nd−eNBのリソースの使用効率を向上させることが可能となる。
1st−eNBに送信されたデータが、DRATの閾値よりも小さいにも関わらず、2nd−eNBにもデータが送信される場合がある。例えば、DRATの閾値を超えた場合の1st−eNBと2nd−eNBとのスケジューリング比率が1対2(1:2)と設定された場合などである。この場合、1st−eNBへの送信データのデータ量は、1/3となる。このような場合、DRATの閾値よりも小さくなる可能性がある。
このような場合、2nd−eNB側でHARQが行われなくなってしまう。2nd−eMBにはデータ送信が行われるにも関わらず、HARQが行われなくなるので、問題となる。このような問題を解決する方法を開示する。
1st−eNBは、1st−eNBと2nd−eNBとのスケジューリング比率を取得する。例えば、2nd−eNBが該スケジューリング比率を決定する場合、予め、2nd−eNBから1st−eNBに該スケジューリング比率を通知しておくとよい。1st−eNBが該スケジューリング比率を決定する場合は、通知する必要はない。
1st−eNBは、スケジューリング比率を考慮して、DRATの閾値よりも小さいか否かを判断する。
このようにすることによって、DRATの閾値を超えた場合の1st−eNBと2nd−eNBとのスケジューリング比率によって、1st−eNBに送信されたデータが、DRATの閾値よりも小さいにも関わらず、2nd−eNBにもデータが送信される場合に、HARQが動作しなくなることを防ぐことができる。
したがって、2nd−eNBに対して、UEからの上り送信データが有る場合、該上り送信データの受信性能を向上させることができる。
また、HARQを停止することもできるので、2nd−eNBのリソースの使用効率を向上させることが可能となる。
実施の形態8 変形例2.
実施の形態8で示した課題を解決する他の方法を開示する。2nd−eNBは、2nd−eNB向けに設定されたSPSリソースの上り電力を測定する。2nd−eNBは、上り通信品質を測定してもよい。
2nd−eNBは、上り電力として、受信信号強度(RSSI)、または、IOT(Interference over Thermal noise)、RSRP、信号対干渉雑音電力比(Signal to Interference plus Noise power Ratio;略称:SINR)などを測定するとよい。あるいは、2nd−eNBは、設定されたSPSリソースに用いるPUSCHのリファレンス信号の受信電力を測定してもよい。
2nd−eNBは、上り通信品質として、RSRQを測定するとよい。あるいは、2nd−eNBは、PUSCHのリファレンス信号の受信品質を測定してもよい。
2nd−eNBは、自身に設定されたSPSリソースの上り電力あるいは上り通信品質が予め定める閾値よりも高い場合は、2nd−eNBに上りデータが送信されたと判断する。
2nd−eNBは、自身に設定されたSPSリソースの上り電力あるいは上り通信品質が予め定める閾値よりも低い場合は、2nd−eNBに上りデータが送信されなかったと判断する。
2nd−eNBが、HARQを動作させるか否かを判断する方法を開示する。2nd−eNBは、2nd−eNB自身向けにデータが送信されたと判断した場合は、HARQを動作させる。2nd−eNBは、2nd−eNB自身向けにデータが送信されていないと判断した場合は、HARQを停止させる。
測定を必要とするので、時間的に2nd−eNBで行うHARQに即座に対応できない場合がある。しかし、たとえ、即座にHARQに対応できないとしても、測定などによる遅延の後には対応可能となる。したがって、延々とHARQが続くことを防ぐことができる。これによって、2nd−eNBのリソースの使用効率を向上させることが可能となる。
また、eNB間のシグナリングが不要となり、シグナリング量の増大を抑制することが可能となる。
実施の形態9.
UEは、上り送信データのデータ量がDRATの閾値以下の場合、2nd−eNBに上りデータを送信しない。2nd−eNBに上りデータの送信が無いにも関わらず、パディング送信を行うことは、UEの消費電力の無駄となる。
しかし、インプリシットリリースが動作している場合、パディング送信が行われないと、インプリシットリリースが行われず、設定されたSPSリソースのリリースが行われなくなる。SPSリソースがリリースされないと、該リソースを他のUEに使用させることができず、PUSCHリソースの使用効率が低減する。本実施の形態では、このような課題を解決する方法を開示する。
上り送信データが無い場合のパディング送信の頻度を変える。具体的には、パディング送信を間引く。
以上に開示したパディング送信の方法では、上り送信データのデータ量がDRATの閾値以下の場合、常に2nd−eNBにパディング送信を行う。これに対して、本実施の形態で開示する方法では、上り送信データのデータ量がDRATの閾値以下の場合に、2nd−eNBに送信するパディング送信を間引く。
例えば、パディング送信を2回に1回間引く場合について示す。UEは、1回目のパディング送信の実行タイミングでは、パディング送信を行わない。UEは、2回目のパディング送信の実行タイミングで、パディング送信を行う。
このように何回に1回パディング送信を行うか、すなわちパディング送信を行う頻度を、「パディング送信頻度」という場合がある。前述の例では、パディング送信頻度は、「2」である。
パディング送信頻度は、予め規格などで静的に決められてもよいし、準静的あるいは動的に変更されてもよい。パディング送信頻度は、eNBによって設定され、eNBからUEへ通知されてもよい。eNBからUEへ通知される場合、SPSの設定のメッセージに含めてもよいし、SPSアクティベートに含めてもよい。
図24は、パディング送信を間引いた場合のインプリシットリリース方法を説明する図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。SeNBにSPSが設定された場合を示している。パディング送信頻度が「2」の場合について示している。インプリシットリリースのためのリリース前空送信回数を「3」とする。既にSeNBに対するSPSの設定は行われているものとする。
ステップST2209において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。該アクティベートに、パディング送信頻度の情報を含める。これによって、UEは、パディング送信を間引く回数を認識することができる。
ステップST2201において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値以上のデータ量の上りデータが発生した場合を考える。この場合、ステップST2201において、UEは、SeNBに対して設定されたSPSリソースで、SeNBに上りデータを送信する。
ステップST2202において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、UEは、SeNBに対するパディング送信タイミングが1回目であると判断し、パディング送信を行わない。
ステップST2203において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、UEは、SeNBに対するパディング送信タイミングが2回目であると判断する。UEは、パディング送信頻度が「2」であることから、パディング送信を行う。
UEは、SeNBにパディング送信を行った場合、パディング送信タイミングのカウントをリセットする。
UEは、パディング送信タイミングのカウントをリセットした後、ステップST2204において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、SeNBに対するパディング送信タイミングが1回目であると判断し、パディング送信を行わない。
ステップST2205において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、UEは、SeNBに対するパディング送信タイミングが2回目であると判断する。UEは、パディング送信頻度が「2」であることから、パディング送信を行う。
UEは、SeNBにパディング送信を行った場合、パディング送信タイミングのカウントをリセットする。
同様に、ステップST2206において、UEは、SeNBにパディング送信を行わない。ステップST2207において、UEは、SeNBにパディング送信を行う。そして、UEは、パディング送信タイミングのカウントをリセットする。
ステップST2203において、SeNBは、UEからの1回目のパディング送信を受信する。また、ステップST2205において、SeNBは、UEからの2回目のパディング送信を受信し、ステップST2207において、SeNBは、UEからの3回目のパディング送信を受信する。
ステップST2203からステップST2207において、SeNBは、UEからのパディング送信を受信している間に上りデータを受信せず、パディング送信をリリース前空送信回数、ここでは3回連続で受信したので、インプリシットリリースを行う。そして、ステップST2208において、SeNBは、設定されたSPSリソースをリリースする。SeNBに、パディング送信をリリース前空送信回数、ここでは3回連続で送信した場合、ステップST2208において、UEは、SPSの設定をクリアする。
このようにすることによって、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、上り送信データが無い場合のパディング送信を減らすことが可能となる。パディング送信を減らすことによって、UEの消費電力の低減が可能となる。
また、パディング送信は実行されるので、インプリシットリリースを動作させることは可能となる。したがって、PUSCHリソースの使用効率の低減を抑制することが可能となる。
図24に示す例では、UEは、パディング送信を行った場合、パディング送信タイミングのカウントをリセットするようにした。他の方法として、UEは、パディング送信を行った場合と上りデータの送信を行った場合とに、パディング送信タイミングのカウントをリセットするようにしてもよい。上りデータの送信を行った場合も、パディング送信タイミングのカウントをリセットすることになるので、さらにパディング送信回数を低減することが可能となる。
パディング送信タイミングのカウントをリセットする方法は、予め規格などで静的に決められていてもよいし、eNBからUEに通知してもよい。該通知は、SPSの設定のメッセージに含めてもよいし、SPSアクティベートに含めてもよい。パディング送信頻度とともに通知してもよい。
図25は、パディング送信を間引いた場合のインプリシットリリース方法の他の例を示す図である。1st−eNBをMeNBとし、2nd−eNBをSeNBとする。SeNBにSPSが設定された場合を示している。
図25は、図24と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
図25では、パディング送信頻度が「4」の場合について示している。
インプリシットリリースのためのリリース前空送信回数ではなく、インプリシットリリースのための予め定めるパディング送信タイミング回数を設ける。インプリシットリリースのための予め定めるパディング送信タイミング回数として、「implicitReleaseAfter_T」というパラメータを用いる。以下の説明では、インプリシットリリースのための予め定めるパディング送信タイミング回数を、「リリース前空送信タイミング回数」という場合がある。図25では、リリース前空送信タイミング回数を「8」とする。UEは、パディング送信を行った場合と上りデータの送信を行った場合とに、パディング送信タイミングのカウントをリセットするようにするとよい。
リリース前空送信タイミング回数は、予め規格などで静的に決められてもよいし、eNBからUEへ通知されてもよい。eNBからUEへ通知される場合、SPSの設定のメッセージに含めてもよいし、SPSアクティベートに含めてもよい。
既にSeNBに対するSPSの設定は行われているものとする。ステップST2310において、SeNBは、UEに、PDCCHを用いて、上りSPSの上りグラントでアクティベートを通知する。該アクティベートに、パディング送信頻度の情報を含める。また、リリース前空送信タイミング回数の情報を含める。これによって、UEは、パディング送信を間引く回数と、インプリシットリリースのための予め定めるパディング送信タイミング回数とを認識することができる。
ステップST2311において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、UEでDRATの閾値以上のデータ量の上りデータが発生した場合を考える。この場合、ステップST2311において、UEは、SeNBに対して設定されたSPSリソースで、SeNBに上りデータを送信する。
UEは、上りデータの送信を行った場合、パディング送信タイミングのカウントをリセットする。
ステップST2301において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、UEは、パディング送信タイミングが1回目であると判断し、パディング送信を行わない。
ステップST2302において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、UEは、パディング送信タイミングが2回目であると判断し、パディング送信を行わない。
ステップST2303において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、UEは、パディング送信タイミングが3回目であると判断し、パディング送信を行わない。
ステップST2304において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、UEは、パディング送信タイミングが4回目であると判断し、パディング送信頻度が「4」であることから、パディング送信を行う。
UEは、パディング送信を行った場合、パディング送信タイミングのカウントをリセットする。
UEは、パディング送信タイミングのカウントをリセットした後、ステップST2305において、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、DRATの閾値よりも小さいデータ量の上りデータが発生した場合、パディング送信タイミングが1回目であると判断し、パディング送信を行わない。
同様に、ステップST2306およびステップST2307において、UEは、パディング送信を行わない。ステップST2308において、UEは、パディング送信を行う。そして、UEは、パディング送信タイミングのカウントをリセットする。
ステップST2304において、SeNBは、UEからの1回目のパディング送信を受信する。SeNBは、UEからのパディング送信を1回受信したので、パディング送信頻度が「4」であることを考慮して、パディング送信タイミングが4回以上となったと判断する。リリース前空送信タイミング回数は8以上になっていないので、SeNBは、SPSリソースを維持し、該SPSリソースでUEからの受信を行う。
ステップST2308において、SeNBは、UEからの2回目のパディング送信を受信する。SeNBは、UEからのパディング送信を2回連続で受信したので、リリース前空送信タイミング回数が8以上になったと判断する。
リリース前空送信タイミング回数が8以上になったと判断したSeNBは、インプリシットリリースを行い、ステップST2309において、設定されたSPSリソースをリリースする。
UEは、SeNBに対する、パディング送信タイミングがリリース前空送信タイミング回数連続した場合、SPSの設定をクリアする。あるいは、パディング送信を連続2回行ったので、パディング頻度が「4」であることを考慮して、パディング送信タイミングがリリース前空送信タイミング回数以上連続したと判断し、インプリシットリリースを行う、設定されたSPSリソースをクリアしてもよい。
パディング送信をしない場合のHARQに関しては、実施の形態8から実施の形態8の変形例2で開示した方法を適用してもよい。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、SeNBに対して設定されたSPSのタイミングで、上りデータの送信が無い場合のパディング送信を減らすことが可能となる。パディング送信を減らすことによって、UEの消費電力の低減が可能となる。
また、パディング送信は実行されるので、インプリシットリリースを動作させることは可能となる。したがって、PUSCHリソースの使用効率の低減を抑制することが可能となる。
また、パディング送信頻度を設定可能とすることによって、2nd−eNBに対してSPSが設定されたUE毎あるいはベアラ毎に、該通信の所望の通信品質、許容遅延量、あるいはUEの所望の連続動作時間などの要求に柔軟に応じることが可能となる。
実施の形態10.
実施の形態1から実施の形態9では、ULスプリットベアラの設定時、2nd−eNBにSPSを設定した場合に生じる課題を示し、その解決策を開示した。そもそも、そのような課題が生じる頻度を少なくすることが要求される。本実施の形態では、そのような課題が生じる頻度を少なくする方法を開示する。
複数の通信あるいはベアラでデータの発生周期が異なる場合、短周期で発生するデータが存在する通信あるいはベアラに対するSPSを1st−eNBに設定する。
1st−eNBのSPSの周期が2nd−eNBのSPS周期以下(1st−eNBのSPSの周期≦2nd−eNBのSPS周期)と設定するとよい。
DRATの閾値は、短周期で発生するデータ量の最大値あるいはそれ以上とするとよい。あるいは、DRATの閾値は、長周期で発生するデータ量の最小値以下としてもよい。
このようにすることによって、ULスプリットベアラの設定時、2nd−eNBにSPSを設定した場合に、2nd−eNBで発生するSPSのタイミング回数を少なくすることが可能となる。他方、1st−eNBは、常に上りデータを送信することが可能であるので、通常のSPS処理が可能である。したがって、実施の形態1から実施の形態9で示したような課題が生じる頻度を少なくすることができる。
eNBおよびUEの不安定な動作および誤動作の発生の低減、無線リソースの使用効率の向上、ならびにUEの低消費電力化を図ることが可能となる。
複数の異なる通信容量のデータあるいはベアラが存在した場合、大容量の方が短周期で発生する場合、大容量通信に適するeNBを1st−eNBとしてもよい。1st−eNBは、常に上りデータを送信することが可能であるので、大容量通信に適するeNBを1st−eNBにすることによって、大容量通信に適するSPS処理が可能となる。
実施の形態10 変形例1.
実施の形態10で述べた課題を解決するための他の方法を開示する。一つのUEに対して、一つのeNBが複数のSPSを設定することを可能とするとよい。例えば、一つのUEに対して、一つのeNBが、ベアラ毎にSPSの設定を行う。ベアラの中には、ある程度、ベアラ毎のデータの発生周期およびデータ量を把握できるものがある。ベアラ毎にSPSの設定を行うことによって、ベアラ毎のデータの発生周期およびデータ量に適したSPSの設定を行うことが可能となる。
また、DRATの閾値は、ベアラ毎に設定される。したがって、ベアラ毎にSPSの設定を行うことによって、ベアラ毎のデータの発生周期およびデータ量に適したSPSの設定、ならびにDRATの閾値の設定を行うことが可能となる。これによって、実施の形態1から実施の形態9で示したような課題が生じる頻度を少なくすることができる。また、ベアラ毎の所望の通信品質、許容遅延量などの要求に柔軟に応じることが可能となる。
SPSの設定は、ベアラ毎ではなく、一つ以上のベアラを含むベアラグループ毎としてもよい。例えば、同程度のデータの発生周期およびデータ量を有するベアラを同一グループとすることによって、eNBが一つのUEに対して設定するSPSを少なくすることが可能となり、制御の簡略化を行うことが可能となる。
実施の形態10 変形例2.
実施の形態10で述べた課題を解決するための他の方法を開示する。eNBは、UEからの上り送信データのデータ量の時間変化を測定し、その測定結果を用いて、上り送信データが発生する確率の時間変化を導出する。言い換えると、eNBは、上り送信データのデータ量の時間変化の測定結果を用いて、上り送信データが発生する確率の時間変化を予測する。
上り送信データが発生する確率を導出するために、統計的処理を行ってもよい。導出した上り送信データが発生する確率の時間変化から、どの上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率が高いかを導出する。
eNBは、導出した上り送信データが発生する確率の時間変化に応じて、SPSの設定、SPSリソースのスケジューリング、ならびにSPSのアクティベーションおよびデアクティベーションを行う。このようにすることによって、eNBは、UEからの上り送信データのデータ量の時間変化に適したSPSの設定が可能となる。
上り送信データが発生する確率の時間変化を導出することを開示したが、データの発生量の時間変化についても導出してもよい。これによって、SPSリソースとして、どの程度無線リソースを割り当てたらよいかを導出することが可能となる。したがって、SPSリソースのスケジューリングを精度良く行うことが可能となる。
eNBがUEからの上り送信データのデータ量の時間変化を測定し、その測定結果を用いて、上り送信データが発生する確率の時間変化を導出する方法を開示したが、UEが上り送信データの発生量の時間変化を測定し、その測定結果を用いて、上り送信データが発生する確率の時間変化を導出してもよい。上り送信データが発生する確率を導出するために、統計的処理を行ってもよい。UEは、導出した上り送信データが発生する確率の時間変化から、どの上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率が高いかを導出する。
UEは、導出した上り送信データが発生する確率の時間変化、または、どの上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率が高いかに関する情報を、eNBに通知する。この通知には、RRCシグナリングを用いるとよい。RRCシグナリングを用いることによって、大きい情報量を通知することが可能となる。
MACシグナリング、またはL1/L2制御信号を用いて通知してもよい。MACシグナリング、またはL1/L2制御信号を用いた場合、通知できる情報量は小さくなるが、通知に要する時間を短縮することが可能となる。したがって、導出した値を低遅延で反映できることになる。
eNBは、UEから通知された、導出した上り送信データが発生する確率の時間変化、または、どの上り送信タイミングにおいて上り送信データが発生する確率が高いかに関する情報を用いて、SPSの設定、SPSリソースのスケジューリング、ならびにSPSのアクティベーションおよびデアクティベーションを行う。
このようにすることによって、UEにおいて発生する上り送信データの時間変化をUEが直接測定できるので、電波伝搬環境によらずに、上り送信データが発生する確率の時間変化を導出することが可能となる。
UEが、導出した上り送信データが発生する確率の時間変化に応じて、SPSの設定、SPSリソースのスケジューリングおよびSPSタイミングを導出してもよい。UEは、導出したSPSの設定、SPSリソースのスケジューリングおよびSPSタイミングに関する情報を、eNBに通知する。このようにすることによって、UEからeNBに通知する情報量を低減することが可能となる。
上り送信データのデータ量あるいは上り送信データの発生量の時間変化の測定、および上り送信データが発生する確率の時間変化の導出は、UE毎、またはベアラ毎に行ってもよい。あるいは、コンテンツ毎、または、アプリケーション毎に行ってもよい。これによって、UE毎、ベアラ毎、コンテンツ毎、アプリケーション毎に適したSPSの設定を行うことが可能になる。
上り送信データが発生する確率の時間変化を導出することを開示したが、上り送信データの発生量の時間変化について導出してもよい。または、上りスループットの時間変化について導出してもよい。これらの値を用いることによって、SPSリソースとして、どの程度無線リソースを割り当てたらよいかを導出することが可能となる。したがって、SPSリソースのスケジューリングを精度良く行うことが可能となる。
前述の方法を、2nd−eNBのSPSの設定に適用することによって、2nd−eNBにおいてSPSリソースが割り当てられているにも関わらず、UEで上り送信データが発生しないという状況を低減することが可能となる。また、1st−eNBのSPSの設定に適用してもよい。1st−eNBにおいても、適切なSPSの設定が可能となる。
前述の方法では、上り送信データが発生する確率の時間変化に応じて、SPSの設定、SPSリソースのスケジューリングおよびSPSタイミングを導出することを開示した。他の方法として、DRATの閾値の設定に適用してもよい。上り送信データが発生する確率の時間変化に応じて、DRATの閾値を設定する。
例えば、eNBは、上り送信データが発生する確率の時間変化を導出した結果を、DCを行っている他のeNBに通知してもよい。また、他のeNBは、自eNBへの上り送信データが発生する確率の時間変化を導出してもよい。他のeNBは、これらの情報を用いて、DRATの閾値の設定を行うとよい。他のeNBは、各eNBへの上り送信データが発生する確率の時間変化が判るので、DRATの閾値をどのように設定したら良いかを柔軟に判断することが可能となる。
実施の形態10の変形例1および変形例2で開示した方法は、1st−eNBに適用してもよい。また、適宜、DCが設定された場合に限らず適用してもよい。これによって、実施の形態10の変形例1および変形例2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態11.
3GPPで、一つのセルと接続状態のUEが上り送信を開始する場合の遅延の削減方法として、プレスケジューリングが検討されている。プレスケジューリングの方法として、SPSを用いる方法、ダイナミックスケジューリングを用いる方法がある(非特許文献10参照)。しかし、これらの方法は、UEが一つのセルと接続されている場合の方法であり、デュアルコネクティビティ(DC)が設定されている場合のプレスケジューリングの方法については、何ら議論されていない。
前述のように、3GPPでは、UEが2つのeNBと接続して通信を行うDCが導入されている。DCは、通信容量の増大を図る上で重要な技術である。本実施の形態では、UEにDCが設定されている場合のプレスケジューリングの設定方法を開示する。
プレスケジューリングをサポートするeNBをMeNBのみとする。プレスケジューリングをサポートするeNBは、予め規格などで静的に決めておくとよい。
プレスケジューリングをサポートするeNBを決めておかないと、例えばSeNBが独自にUEにプレスケジューリングを設定するが、UEは、SeNBに対してはプレスケジューリングを対応していない状態が生じる可能性がある。このような場合、誤動作が発生し、DCを実行できなくなってしまう可能性が生じる。したがって、プレスケジューリングをサポートするeNBは、予め静的に決めておくことによって、UEおよびeNB間でDCにおけるプレスケジューリングの設定方法が明確になり、誤動作が生じることを低減することができる。
DCでは、両eNBからデータの送信が可能である。したがって、MeNBのみプレスケジューリングをサポートした場合、ベアラとしての上り送信の遅延の低減量は少ない。
したがって、DCでは、SeNBでプレスケジューリングをサポートするとよい。プレスケジューリングをサポートするeNBを、DCでは、MeNBおよびSeNBにするとよい。MeNBおよびSeNBに対して、同時にプレスケジューリングをサポートするとしてもよい。MeNBおよびSeNBに対するプレスケジューリングの設定は同じとするとよい。
スプリットベアラにおける2nd−eNBのSPSの設定においては、前述の実施の形態で開示した方法を適用してもよい。
このようにすることによって、SeNBに対してもプレスケジューリングの設定が可能となる。したがって、SeNBに対しても上りデータの送信を開始する時間を短縮することが可能となるので、ベアラとしての上り送信の遅延の低減量を増大させることができる。
MeNBでのプレスケジューリングの設定と、SeNBでのプレスケジューリングの設定とを異ならせてもよい。MeNBおよびSeNBの各eNBに対して、プレスケジューリングを別々に、つまり独立に設定可能としてもよい。
DCでは、ベアラ毎にスプリット構成を設定できるので、eNB毎に送信するデータは異なる。例えば、ベアラ#1は、MeNBとSeNBとを用いたスプリットベアラを設定し、ベアラ#2は、MeNBを用いたスプリットベアラではないノンスプリットのベアラを設定することも可能である。したがって、DCで設定するeNB毎に送信するデータは異なってくるので、DCで設定するeNB毎に要求される遅延量も異なる。
以上のように、eNB毎に独立のプレスケジューリングを設定可能とすることによって、ベアラの設定を考慮したプレスケジューリングの設定が可能となる。これによって、DCが設定されたeNB毎に要求される遅延量を満たすことが可能となる。
ベアラ毎に各eNBのプレスケジューリングを独立に設定可能としてもよい。例えば、前述の例では、ベアラ#1のMeNBとSeNBとに対するプレスケジューリングの設定と、ベアラ#2のMeNBに対するプレスケジューリングの設定とを独立に設定可能としてもよい。このように、ベアラ毎に各eNBのプレスケジューリングを独立に設定可能とすることによって、ベアラによって異なる要求遅延量を満たすことが可能となる。
プレスケジューリングを設定する主体、およびプレスケジューリングの設定をUEに通知する方法について開示する。
MeNBがプレスケジューリングの設定を行う。MeNBがMeNBおよびSeNBのプレスケジューリングの設定を行う。MeNBは、SeNBのプレスケジューリングの設定をSeNBに通知する。該設定には設定解除を含んでもよい。SeNBは、MeNBから通知されたプレスケジューリングの設定に対して、可否(許可/不許可)を判断してもよい。SeNBは、MeNBから通知されたプレスケジューリングの設定を許可する場合、MeNBに、許可を示す情報を通知するとよい。SeNBは、MeNBから通知されたプレスケジューリングの設定を不許可にする場合、MeNBに、不許可を示す情報を通知するとよい。
MeNBは、SeNBから不許可の通知を受信した場合、プレスケジューリングの設定を変更して、再度SeNBに通知してもよい。SeNBから許可の通知を受信するまで再設定を繰り返すとよい。
MeNBとSeNBとの間で行われるプレスケジューリングの設定の通知には、X2インタフェースを用いてもよい。SeNBの追加、解除または修正のメッセージに含めて通知してもよい。SeNBとMeNBとの間で行われる許可/不許可を示す情報の通知には、X2インタフェースを用いてもよい。
MeNBは、MeNBおよびSeNBの少なくとも一方に対するプレスケジューリングの設定を、UEに通知する。プレスケジューリングの設定の通知には、Uuインタフェースを用いてもよい。プレスケジューリングの設定は、DCを設定するためのメッセージに含めて通知してもよい。
他の方法として、SeNBが、SeNBのプレスケジューリングの設定を行ってもよい。SeNBは、UEに、プレスケジューリングの設定を通知する。
あるいは、SeNBは、MeNBに、SeNBのプレスケジューリングの設定を通知してもよい。プレスケジューリングの設定は、X2インタフェースを用いて通知してもよい。SeNBから、SeNBのプレスケジューリングの設定を受信したMeNBは、該設定をUEに通知するとよい。
プレスケジューリングの設定は、ベアラの設定に依存するところが大きい。したがって、ベアラに設定された情報を用いてDCを設定するMeNBが、プレスケジューリングの設定を行うことがより好ましい。
本実施の形態で開示する方法を用いることによって、UEに2つのeNBと接続して通信を行うDCが設定されている場合にも、プレスケジューリングを行うことが可能となる。
これによって、通信容量の増大を図るとともに、上り送信の遅延の低減を図ることが可能となり、より短時間に大容量の通信を行うことが可能となる。
本実施の形態では、UEにDCが設定されている場合のプレスケジューリングの設定方法を開示した。UEにDCが設定されている場合ではなく、UEに対してDCを設定する場合に、SeNBに対してプレスケジューリングを設定するようにしてもよい。eNBは、SeNBを追加するときに、SeNBに対するプレスケジューリングを設定してもよい。このプレスケジューリングの設定に、本実施の形態で開示した方法を適宜適用するとよい。
このようにすることによって、SeNBの追加処理において、UEがSeNBに対して従来行っていた、スケジューリング要求処理を省略することが可能となる。これによって、スケジューリング要求にかかる時間を削減することが可能となるので、DCを設定する時間を短縮することが可能となる。また、通信における遅延を低減し、より短時間に大容量の通信を行うことが可能となる。
本実施の形態で開示した方法は、SeNBの追加を行う場合に限らず、SeNBの修正を行う場合にも適用できる。修正後のSeNBに対して、本実施の形態で開示したプレスケジューリング方法を適宜適用するとよい。これによって、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
以上の実施の形態およびその変形例では、デュアルコネクティビティ(DC)でスプリットベアラがサポートされた場合について開示した。DCに限らず、複数のeNBを用いて通信を行うマルチコネクティビティの場合にも適用することができる。マルチコネクティビティでスプリットベアラが行われた場合に、予め決められた規則に従って、マルチコネクティビティを構成するeNBのうちの一つまたは複数のeNBに上りデータが送信されないような場合に適用するとよい。これによって、以上の実施の形態およびその変形例と同様の効果を得ることができる。
以上の実施の形態およびその変形例では、ULスプリットベアラが設定されDRATが用いられた場合において、SPSが設定された場合について開示したが、SPSが設定された場合ではなく、ダイナミックスケジューリングが行われた場合に適用してもよい。DRATが用いられた場合においてSPSが設定された場合のDRATの閾値の設定方法、およびパディング送信に関する方法を、DRATが用いられた場合においてダイナミックスケジューリングが行われた場合に適用してもよい。
例えば、DRATの閾値が設定された場合に置いて、2nd−eNBがUEにダイナミックスケジューリングで上りグラントが通知されたときに、その上りグラントのリソースで、UEで上り送信データが発生しなかった場合に、SPSが設定された場合と同様の問題が生じる。また、DRATの閾値が設定された場合において、2nd−eNBにおいてプレスケジューリングによるダイナミックスケジューリングが行われたときに、プレスケジューリングされたリソースで、UEで上り送信データが発生しなかった場合などにも同様の問題が生じる。
このような問題を解決するために、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態2の変形例1、実施の形態5、実施の形態7、実施の形態8、実施の形態8の変形例1、実施の形態8の変形例2で開示した方法を適宜適用するとよい。DRATが用いられた場合においてダイナミックスケジューリングが行われた場合にも、同様の効果を得ることができる。
実施の形態12.
eNBとUEとが通信を行うときに、eNBが複数のアンテナを用いて、通信対象の端末であるUEの方向にのみビームを形成するビームフォーミングを利用して信号を送る技術がある。ビームフォーミングを用いてeNBのサービスエリアをカバーする方法として、方向が固定されたビームを複数並べる方法がある。この場合、eNBは、UEの移動に合わせて固定ビームを切り替え、適切なビームを使用する。
図26は、多素子アンテナを用いたビームフォーミングを説明する図である。eNBは、図4に示すアンテナ408を、多素子アンテナ2401によって構成する。
eNBは、多素子アンテナ2401の一部または全部の複数のアンテナを用いて、予め定める方向のみにビームを形成し、通信対象となるUE2402との間で通信を行う。図26に示すように、ビームフォーミングを用いて形成する各ビームのカバレッジ2403,2404,2405は、狭カバレッジとなる。eNBは、異なる方向に固定された狭カバレッジを有する複数のビームを形成することによって、サービスエリアをカバーする。
UE2402が第1のビームのカバレッジ2403に存在する場合、eNBは、UE2402と、第1のビームを用いて通信を行う。UE2402が、第2のビームのカバレッジ2404に移動した場合、eNBは、第1のビームから第2のビームに切り替えて、UE2402と通信を行う。以下、切替元のビームを「ソースビーム」といい、切替先のビームを「ターゲットビーム」という場合がある。
ビームフォーミングを用いる場合、eNBによって構成されるサービスエリアは、複数のビームによって構成される狭カバレッジに分割される。したがって、UEのビーム間の移動において高速なビーム切替処理が要求される。
eNBは、セル毎にビームフォーミングを用いて複数のビームを形成してもよい。このような場合、一つのセル内でUEのビーム間移動においてビーム切替処理が生じる。
ビーム切替処理において、UEは、ターゲットビームと同期をとり、eNBは、UEに対してターゲットビームの無線リソースのスケジューリングを行わなければならない。したがって、UEのビーム間の移動においてビーム切替処理の高速化を可能とし、高速で安定な通信システムを提供することが求められる。
ビーム切替処理の高速化を図るためには、このような同期処理および無線リソーススのケジューリング処理に要する時間の短縮が有効となる。
本実施の形態では、ターゲットビームとの同期処理およびターゲットビームにおける無線リソースのスケジューリング処理の時間の短縮方法を開示する。
ターゲットセルとの同期処理に、従来のセルとの同期方法を適用してもよい。UEは、ターゲットビームで送信される同期信号、リファレンスシグナルおよびディスカバリーシグナルの少なくともいずれか1つを受信して、ターゲットビームと同期を行う。例えば、同期信号として、従来のセルで用いられているP−SSおよびS−SSなどの同期信号が用いられる場合、該同期信号を用いて同期を行うようにしてもよい。この場合、同期を行うために、少なくとも6サブフレームの期間が必要となる。
従来のセルで用いられている同期信号は、セル毎のPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。しかし、セル毎のPCIでは、UEは、どのビームと同期を行ったのかを認識することができない。このような問題を解決するために、ビーム毎の識別子を設け、各ビームの同期信号に、ビーム毎の識別子に1対1に対応するコードを割当てるとよい。
このようにすることによって、UEは、どのビームに対して同期を行ったかを認識することが可能となる。ビーム毎の識別子は、セル毎の識別子に重畳されて割当てられてもよい。UEは、どのセルかを認識することが可能となり、さらには、どのビームかを認識することが可能となる。
リファレンスシグナルおよびディスカバリーシグナルにも同様に、ビーム毎の識別子に1対1に対応するコードを割当ててもよい。UEは、リファレンスシグナルまたはディスカバリーシグナルを受信して、ビーム毎の識別子を得ることによって、受信したビームがどのビームかを認識することが可能となる。
しかし、従来のセルとの同期処理を適用した場合、前述のように、例えば同期信号を用いた場合、UEが同期信号を受信するまでに少なくとも6サブフレームの期間が必要となる。UEにおける同期処理に要する時間を考慮すると、従来のセルとの同期処理に要する時間は、さらに増大する。これらの同期処理に要する時間の短縮方法を開示する。
eNBは、同一セル内のビーム間の同期をとる。eNB内のビーム間の同期をとるとしてもよい。さらに具体的には、ビーム間で、サブフレームタイミングの同期、スロットタイミングの同期を行う。また、SFN(System Frame Number)、無線フレームナンバ、およびスロットナンバも同期をとるとよい。
このようにすることによって、UEに対してビーム切替処理が行われたとしても、ターゲットビームに対して同期を行う必要が無くなる。したがって、同期処理に必要とした時間を削減することが可能となる。
ターゲットビームにおける無線リソースのスケジューリングの処理時間の短縮方法を開示する。下りリンクの無線リソースのスケジューリング情報は、下り制御情報(Downlink Control Information:DCI)に含まれる。下り制御情報は、L1/L2制御信号によって、UEに通知される。LTEでは、PDCCHあるいはEPDCCHにマッピングされる。L1/L2制御信号のCRCに、セル毎にUE個別に割当てられた識別子(C−RNTI)がマスクされる。UEは、自身のC−RNTIを検出することによって、自身宛てのL1/L2制御信号を受信して下り制御情報を取得することができ、下りリンクの無線リソースのスケジューリング情報を取得することが可能となる。
セル内のビームにおいて、L1/L2制御信号のCRCにマスクするUE個別の識別子に、同じ識別子を用いるとよい。セル毎にUE個別に割当てられた識別子を用いるとよい。このようにすることによって、UEは、セル内でビーム切替処理が行われたとしても、ソースビームで使用していたC−RNTIを、ターゲットビームでも用いることが可能となる。
したがって、ターゲットビームと同期を行った後、即座にL1/L2制御信号を受信することによって、スケジューリング情報を受信することが可能となる。
セルを跨ぐビーム切替処理においては、予めeNBはUEに、C−RNTIを通知しておくとよい。eNBは、ソースビームを用いてUEにC−RNTIを通知しておくとよい。このようにすることによって、セル間のビーム切替処理においても、ターゲットセルと同期した後、即座にL1/L2制御信号を受信し、スケジューリング情報を受信することが可能となる。
他の方法として、ビーム毎にUE個別に割当てる識別子(B−RNTIとする)を設けてもよい。L1/L2制御信号のCRCに、ビーム毎にUE個別に割当てられた識別子をマスクするとよい。ビーム切替処理において、予めeNBはUEに、B−RNTIを通知しておくとよい。eNBは、ソースビームを用いてUEにB−RNTIを通知しておくとよい。このようにすることによって、ビーム切替処理において、ターゲットセルと同期した後、即座にL1/L2制御信号を受信し、スケジューリング情報を受信することが可能となる。
ビーム毎にUE個別にB−RNTIを割り当てることによって、セル内のビームの切替とセル間のビームの切替とで制御を異ならせる必要が無くなる。したがって、eNBおよびUEにおける制御を容易にすることが可能となる。また、どちらの制御を行うかを判断する必要がなくなるので、判断に要する時間を削減することが可能となる。
上りリンクの無線リソースのスケジューリング情報も、同様に、下り制御情報(Downlink Control Information:DCI)に含まれる。したがって、以上に開示した方法を適用することができる。
上りリンクでは、UEがeNBに対して無線リソースの要求を行う必要がある。従来のセルでは、無線リソースの要求は、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)あるいはPRACHで行われる。ビーム切替処理において、UEがターゲットビームに対して無線リソースの要求を行うことになる。
しかし、SRおよびPRACHは、任意のタイミングで行ってよいわけでなく、eNBによって設定された予め定めるタイミングで行わなくてはならない。したがって、UEは、eNBによって設定された予め定めるタイミングまで待たなくてはならず、遅延が生じることになる。狭カバレッジのビーム切替処理の場合、この遅延は、通信の失敗につながる可能性が高い。
このような問題を解決する方法を開示する。予めeNBは、UEに対して、ターゲットビームでの上りリンクの無線リソースのスケジューリングを行う。予めeNBは、UEに対して、ソースビームを用いて、ターゲットビームでの上りリンクの無線リソースのスケジューリングを行うとよい。
例えば、ターゲットビームの上りリンクの無線リソースのスケジューリング方法として、SPSを用いるとよい。eNBは、UEに、ソースビームを用いて、ターゲットビームでの上りSPSの設定を通知するとよい。上りSPSの設定の通知は、UEがターゲットビームと同期を行う前に行うとよい。ターゲットビームでの上りSPSの設定を受信したUEは、ターゲットビームと同期した後、ターゲットビームで、通知された上りSPSの設定を用いて、上り送信を行う。
SPSの設定として、SPSリソースの時間間隔だけでなく、オフセット、スケジューリング情報を含めてもよい。オフセットとしては、無線フレームナンバ、サブフレームナンバが明示されてもよい。
ターゲットビームでのSPSの設定およびSPSのアクティベーション方法について開示する。SPSリソースの時間間隔の設定は、ソースビームで行うとよい。SPSリソースの時間間隔の設定をソースビームで行うことによって、ビームの切替時にターゲットビームからの設定を不要とし、切替処理にかかる時間を短縮することが可能となる。
SPSリソースのスケジューリング情報の設定は、ソースビームで行ってもよい。SPSリソースのスケジューリング情報の設定をソースビームで行うことによって、ビームの切替時にターゲットビームからの設定を不要とし、切替処理にかかる時間を短縮することが可能となる。
あるいは、SPSリソースのスケジューリング情報の設定は、ターゲットビームで行ってもよい。これによって、ターゲットビームでの負荷状況に応じたリソース割当てなどのスケジューリング情報の設定が可能となる。
SPSのアクティベーションおよびデアクティベーションは、ソースビームで行ってもよい。SPSのアクティベーションおよびデアクティベーションをソースビームで行うことによって、ビームの切替時にターゲットビームからの設定を不要とし、切替処理にかかる時間を短縮することが可能となる。
あるいは、SPSリソースのアクティベーションおよびデアクティベーションは、ターゲットビームで行ってもよい。これによって、ターゲットビームでの負荷状況に応じたアクティベーションおよびデアクティベーションが可能となる。また、予めソースビームで行う場合よりも、リソースの使用効率の向上を図ることができる。これは、予めソースビームで行う場合、対象とするUEに対して、予めソースビームでアクティベーションおよびデアクティベーションを行ってから、ターゲットビームに切替えて実際にSPSを行うまでの期間、SPSリソースを該UEに対して割当て続けなければならず、無線リソースの無駄が生じるためである。
前述の、SPSの設定、ならびにSPSのアクティベーションおよびデアクティベーションを、ソースビームまたはターゲットビームで行う方法を、適宜組み合わせて用いてもよい。これによって、ターゲットビームでの負荷状況および遅延許容量などに応じて設定することが可能となる。
このようにすることによって、UEは、eNBに対して、ビームの切替後のターゲットビームで上りリンクの無線リソース要求を行う必要が無くなるので、遅延を削減することが可能となる。したがって、ビーム切替処理の時間を短縮することが可能となる。
ここでは、ターゲットビームの上りリンクの無線リソースのスケジューリング方法として、上りSPSを用いることを開示したが、ターゲットビームの下りリンクの無線リソースのスケジューリング方法として、下りSPSを用いてもよい。eNBは、UEに、ソースビームを用いて、ターゲットビームでの下りSPSの設定を通知してもよい。このようにすることによって、UEは、ターゲットビームに切替えた後、該下りSPSの設定に従って、設定されたSPSリソースを受信することが可能となる。
ターゲットビームの上りリンクの無線リソースのスケジューリング方法の他の方法として、ダイナミックスケジューリングを用いてもよい。eNBは、UEからのスケジューリング要求を受信しなくても、UEに、ターゲットビームを用いて任意のサブフレームで無線リソースのスケジューリング情報を送信する。UEは、ターゲットビームと同期を行った後、毎サブフレームでL1/L2制御信号を受信することによって、eNBが任意のサブフレームを送信した無線リソースのスケジューリング情報を受信することが可能となる。これによって、UEは、受信した上り無線リソースのスケジューリング情報を用いて、上り送信を行うことが可能となる。
このようにすることによって、UEは、eNBに対して、上りリンクの無線リソース要求を行う必要が無くなるので、遅延を削減することが可能となる。したがって、ビーム切替処理の時間を短縮することが可能となる。
図27は、実施の形態12におけるビーム切替処理の時間短縮方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図27では、ソースビーム(S−Bm)からターゲットビーム(T−Bm)へ切替える場合について示している。
ステップST2501において、eNBは、UEとソースビームを用いて通信を行っている。予めeNBは、ソースビームとターゲットビームとの間で同期を行っておく。ソースビームとターゲットビームとの間で、サブフレームタイミングの同期、およびスロットタイミングの同期を行う。また、SFN(System Frame Number)、無線フレームナンバ、およびスロットナンバも同期をとる。このようにすることによって、ステップST2502において、UEは、ソースビームと同期がとれている場合、ターゲットビームとの同期もとれていることになる。ステップST2502において、UEは、ターゲットビームとの同期もとれていることを示す。
ステップST2503において、eNBは、UEに、ソースビームを用いて、ターゲットビームでの上りスケジューリング情報を通知する。ここでは、ターゲットビームでの上りスケジューリング情報は、ターゲットビームでの上りSPSの設定情報とする。SPSの設定情報としては、SPSリソースの時間間隔だけでなく、オフセットおよびスケジューリング情報を含める。
ターゲットビームでの上りスケジューリング情報とともに、ターゲットビームに関する情報を通知してもよい。ターゲットビームに関する情報としては、例えば、ターゲットビームの識別子などがある。また、ビーム毎にUE個別に割当てる識別子を用いる場合は、該識別子を通知してもよい。ターゲットビームでの上りスケジューリング情報およびターゲットビームに関する情報の通知は、RRCシグナリングを用いるとよい。
ステップST2504において、eNBは、UEに、ソースビームを用いて、ビーム切替指示を通知する。ビーム切替指示情報を設けて、該情報を通知するとしてもよい。ビーム切替指示情報は、ビームの切替のトリガとなる情報である。言い換えると、UEにターゲットビームのL1/L2制御信号を受信させるトリガとなる情報である。ビーム切替指示情報の通知には、RRCシグナリングを用いるとよい。
ビーム切替指示情報を受信したUEは、既にステップST2502においてターゲットビームと同期済みであるので、ステップST2505において、ターゲットビームの下り制御情報を受信する。UEは、毎サブフレームPDCCHあるいはEPDCCHを受信する。UEは、ターゲットビームの下り制御情報を受信することによって、下りスケジューリング情報を得ることができ、該スケジューリング情報に従って、下りデータを受信することが可能となる。
上り送信データが有る場合、ステップST2506において、UEは、eNBに、ターゲットビーム用に設定されたSPSリソースを用いて、上りデータを送信する。
このようにすることによって、ステップST2507において、UEとeNBとの間で、ターゲットビームを用いて通信が可能となる。
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、ビームフォーミングによって狭カバレッジになったビーム間をUEが移動してビームを切替える場合に、同期処理および無線リソースのスケジューリング処理に時間がかかることによる通信品質の劣化および通信の断絶を低減することが可能となる。
ビームを形成する複数のアンテナ素子からなるアンテナの位置が、ビーム毎に同じ場合は、該アンテナからUEへのパスの距離は、ほぼ同じとなる。したがって、上り送信タイミングをソースビームとターゲットビームとで変える必要は無い。しかし、ビーム毎にアンテナの位置が異なるような場合、ターゲットビームにおいて、UEは上りリンクの同期を行う必要がある場合がある。
上りリンクの同期を行う方法を開示する。eNBは、UEに対して、ターゲットビームにおいてランダムアクセス(Random Access:RA)処理を実行する指示を行う。ターゲットビームにおいてRA処理を実行する指示は、ターゲットビーにおけるL1/L2制御信号を用いて行うとよい。あるいは、ターゲットビームにおけるPDCCHまたはEPDCCHを用いて行うとよい。
UEは、ターゲットビームにおいてRA処理を実行する指示を受信した場合、ターゲットビームにおいてRA処理を行うとよい。ターゲットビームにおいてRA処理を行うことによって、eNBは、UEの上り送信タイミングの調整を行うことが可能となる。具体的には、RA処理において、上り送信タイミングをUEに通知する。タイミングアドバンス(Timing Advanced)とも称される。
このようにすることによって、ターゲットビームにおいて、UEは上りリンクの同期を行うことが可能となる。
eNBが、上りリンクの同期を行うか否かを判断する方法を開示する。eNBは、アンテナの位置に関する情報を取得する。例えば、各アンテナは、全地球測位システム(Global Positioning System;略称:GPS)などを用いて自アンテナの位置に関する情報を取得し、eNBに自アンテナの位置に関する情報を通知する。あるいは、オペレータがアンテナの位置に関する情報をeNBに設定する。あるいは、オペレータがアンテナの位置に関する情報をOAMに設定し、OAMがeNBに通知してもよい。
eNBは、取得したアンテナの位置に関する情報を用いて、ターゲットビームを用いた通信の対象となるUEに対して上りリンクの同期が必要か否かを判断する。
eNBは、上りリンクの同期が必要と判断した場合、該UEに対して、ターゲットビームにおいてRA処理を実行する指示を行うとよい。
このようにすることによって、eNBは、必要に応じて、上りリンクの同期を行うか否かを判断することが可能となる。上りリンクの同期が不要な場合は、RA処理を行わずに済ませることが可能となる。また、たとえ上りリンクの同期が必要な場合であったとしても、eNBから指示されて行うRA処理を用いるので、衝突の無いRA処理となり、制御を簡易にすることができる。
図27に示す例では、ターゲットビームでの上りスケジューリング情報と、ターゲットビームへの切替指示を別々のシグナリングで通知した。他の例として、ターゲットビームでの上りスケジューリング情報と、ターゲットビームへの切替指示とを同じシグナリングで通知してもよい。これによって、同様の効果を得ることが可能となる。
実施の形態13.
実施の形態12では、eNBは、UEに、ビームの切替を行わせるためのビーム切替指示を通知することを開示した。例えば、図27のステップST2504の処理を示した。
実施の形態12では、ビーム切替指示情報の通知に、RRCシグナリングを用いることを開示した。しかし、RRCシグナリングを用いた場合、複数のトランスポートブロックに分割されるので、複数の送信時間間隔(Transmission Time Interval:TTI)で送信されることになる。また、トランスポートブロック毎に再送が適用される。したがって、RRCシグナリングの送受信にかかる時間は大きくなってしまう。本実施の形態では、ビーム切替処理において、ビーム切替指示の通知にかかる時間の短縮方法を開示する。
ビーム切替指示をMACシグナリングあるいはL1/L2シグナリングで行う。L1/L2シグナリングとして、個別制御チャネルを用いる。例えば、PDCCHあるいはEPDCCHなどである。MACシグナリングおよびL1/L2シグナリングともに1TTIで行われるので、RRCシグナリングよりもビーム切替指示にかかる時間を短縮することが可能となる。
MACシグナリングの場合、HARQが適用される。したがって、L1/L2シグナリングを用いる場合に比べて、受信誤り率が低くなるという効果を得ることができる。
L1/L2シグナリングの場合、HARQは適用されない。したがって、MACシグナリングを用いる場合に比べて、低遅延でビーム切替指示を通知することが可能となる。
MACシグナリングおよびL1/L2シグナリングのどちらを用いるかは、規格などで静的に決められてもよい。あるいは、両方の方法をサポートしておき、準静的あるいは動的に使い分けてもよい。例えば、電波伝搬環境に応じて、MACシグナリングあるいはL1/L2シグナリングの方法を使い分けてもよい。電波伝搬環境が良好な場合には、L1/L2シグナリングを用い、電波伝搬環境が良好でないような場合には、MACシグナリングを用いるとしてもよい。
ビームの切替を判断する主体について開示する。eNB内のMACプロトコルがビームの切替を判断するとよい。RRCではなく、MACが判断することによって、どのビームを使用するかの判断を、スケジューリングとともに、あるいは、スケジューリングに含ませることが可能となる。各ビームを同一の時間−周波数軸上に構成される無線リソースとして扱うとよい。複数のビームを複数の無線リソースとして扱い、該複数の無線リソースを用いたスケジューリングを行うようにしてもよい。
また、ビームの切替を判断する主体をMACとすることは、ビーム切替指示をMAC以下のシグナリングで通知するのに適している。ビームの切替を判断する主体をMACとすることによって、ビームの切替判断からビーム切替指示の送信までの処理時間を短縮することが可能となる。
ビーム切替指示の他に、UEにビームの切替を実行させる場合に用いる情報の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。以下、UEにビームの切替を実行させる場合に用いる情報を「ビーム切替用関連情報」という場合がある。
(1)どのビームに切替えるかの情報。例えば、ターゲットビームの識別子。
(2)ソースビームの各プロトコルのリセットおよびターゲットビームの各プロトコルの設定の情報。
(3)ターゲットビームで通信を可能にするための情報。
前述の具体例(1)について、さらに具体的に説明する。ネットワークの予め定める範囲毎に割当てられてもよい。例えば、MME毎に割当てられてもよい。あるいは、eNB毎に割当てられてもよい。あるいは、ビームの識別子は、セル毎に割当てられてもよい。あるいは、予めビームの識別子を予め定める数だけ用意してその中から割当てるようにしてもよい。
ネットワークの狭い範囲で割り当てることによって、ビームの識別子に必要となる情報量、例えばビット数を、より少なくすることが可能となる。例えばビームの識別子をセル毎に割当てることによって、ビーム切替関連情報の情報量、例えばビット数を低減することが可能となる。
前述の具体例(2)について、さらに具体的に説明する。同一セル内のビーム間では、同一のPDCPが用いられる。したがって、ビームの切替でPDCPのリセットおよび再設定の少なくとも一方を行うか否かの情報は不要である。予め規格などでリセットも再設定もしないと決めておいてもよい。UEは、同一セル内のビーム切替処理では、ソースビームのPDCPの設定を保持するとよい。
同一セル内のビーム間では、同一のRLCが用いられる。したがって、ビームの切替でRLCのリセットおよび再設定の少なくとも一方を行うか否かの情報は不要である。予め規格などでリセットも再設定もしないと決めておいてもよい。UEは、同一セル内のビーム切替処理では、ソースビームのRLCの設定を保持するとよい。
同一セル内のビームは、MACの一部の設定のみが異なる。したがって、ビームの切替でMACのリセットおよび再設定の少なくとも一方を行うか否かの情報は不要である。すなわち、リセットは不要であり、異なる設定のみを再設定するとよい。予め規格などで異なる設定のみを再設定すると決めておいてもよい。UEは、同一セル内のビーム切替処理では、ソースビームと同一のMACの設定のみを保持するとよい。
同一セル内のビームは、PHYの一部あるいは全部の設定が異なる。PHYのリセットおよび再設定の少なくとも一方を行うか否かの情報が必要となる。
前述の具体例(3)におけるターゲットビームで通信を可能にするための情報の具体例として、以下の(3−1)〜(3−3)の3つを開示する。
(3−1)ターゲットビームでのUE識別子。例えば、C−RNTI、あるいはB−RNTI。
(3−2)ターゲットビームのMACおよびPHYに関する情報。例えば、共通の無線リソース設定、MACの主設定、個別のPHYの設定などがある。共通の無線リソース設定のパラメータとしては、「radioResourceConfigCommon」が用いられる。MACの主設定のパラメータとしては、「mac-MainConfig」が用いられる。個別のPHYの設定のパラメータとしては、「physicalConfigDedicated」が用いられる。
(3−3)ターゲットビームにおけるSCellに関する情報。
前述の(3−1)〜(3−3)の情報は、ソースビームの設定から変更の無いものは省略してもよい。ソースビームの設定から変更のあるもののみを通知するとしてもよい。これによって、情報量を削減することができる。
ビーム切替指示の他に、UEにビームの切替を実行させる場合に用いる情報を、eNBからUEに通知しておくことによって、ビーム切替指示情報を受信したUEは、ターゲットビームを用いた通信を行うことが可能となる。
eNBは、UEに、ビームの切替を実行させるために、ビーム切替用関連情報を通知する。ビーム切替用関連情報の通知方法について開示する。
eNBは、ソースビームを用いて、ビーム切替用関連情報をUEに通知する。ビーム切替用関連情報は、ビーム切替指示を通知する前に通知する。ビーム切替用関連情報は、RRCシグナリングで通知するとよい。ビーム切替用関連情報の通知用に新たなメッセージを新設してもよい。
ビーム測定用の構成情報(以下「ビーム測定用構成情報」という場合がある)を通知するメッセージを設けてもよい。ビーム測定用構成情報としては、CSI測定用の構成情報としてもよい。
UEは、eNBから通知されたビーム測定用構成情報を用いてビームを測定する。UEは、ビーム測定用構成情報に含まれるビームを測定する。UEは、ビームの測定結果をeNBに報告する。報告のための設定もeNBからUEに通知してもよい。ビーム測定用構成情報とともに、あるいは、ビーム測定用構成情報に含めて通知してもよい。eNBは、UEからのビームの測定結果の報告を受信し、該UEに対して使用するビームを決定する。
UEによるビームの測定結果のeNBへの報告方法について開示する。ビームの測定として、ビーム毎に送信されるリファレンスシグナルあるいはディスカバリーシグナルの受信電力を測定する。あるいは受信品質であってもよい。あるいは、干渉電力およびノイズ電力を含んだ量を測定してもよい。例えば、信号対雑音比(Signal to Noise Ratio;略称:SNR)、信号対干渉雑音電力比(Signal to Interference plus Noise power Ratio;略称:SINR)などである。
従来のセルの測定結果の報告は、RRCシグナリングで行われる。RRCシグナリングで行ってもよいが、RRCシグナリングの場合、前述したように、RRCシグナリングの送受信にかかる時間は大きくなってしまう。
他の方法として、MACあるいはL1/L2シグナリングで通知してもよい。MAC CEを用いて通知してもよい。あるいは、PUCCHにマッピングして通知してもよい。あるいは、PUSCHにマッピングして通知してもよい。あるいはCQI報告、あるいはCSI報告を利用してもよい。
このようにすることによって、UEによるビームの測定結果のeNBへの報告を早期に行うことが可能となる。これによって、ビームの測定からビーム切替処理までの期間を短縮することが可能となるので、eNBがより適切なターゲットビームを選択することが可能となる。
図28は、実施の形態13におけるビーム切替処理の時間短縮方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図28では、ソースビーム(S−Bm)からターゲットビーム(T−Bm)へ切替える場合について示している。ソースビームとターゲットビームとの間で同期をとった場合について示している。ターゲットビームでの無線リソースのスケジューリング情報を予めソースビームを用いて通知する場合について示している。図28に示すシーケンスは、図27に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。ここでは、主として異なる部分について説明する。
ステップSTST2601において、eNBは、UEに、ソースビームを用いて、ビーム測定用構成情報を通知する。ビーム測定用構成情報の通知には、RRCシグナリングを用いる。
eNBからビーム測定用構成情報を取得したUEは、ステップST2602において、ビーム測定用構成情報に含まれる測定用のビームについて、ビーム毎に送信されるリファレンスシグナルを測定する。
ステップST2603において、UEは、ステップST2602で得た測定結果を、eNBに、ソースビームを用いて通知する。測定結果の通知には、L1/L2シグナリングを用いるとよい。例えば、上り制御チャネルであるPUCCHを用いて報告する。これによって、シグナリングの高速化を図ることができる。
ステップST2603において、UEは、ステップST2602で得た測定結果を全て報告しなくてもよい。予め定めるクライテリアに従って、報告がトリガされたビームの測定結果のみを報告してもよい。eNBは、これらの設定を、ステップST2601において、ビーム測定用構成情報とともにUEに通知する。
ステップST2603でビームの測定結果の報告を受信したeNBは、ステップST2604において、UEに対してビームの切替を行うか否かを決定する。例えば、ソースビームの受信品質が予め定める閾値以下に劣化し、ソースビームよりも受信品質が良いビームが存在した場合、eNBは、受信品質が良いビームに切替えることを決定する。
ステップST2604においてUEに対してビームの切替を決定したeNBは、ステップST2605において、ソースビームを用いて、ターゲットビームのビーム切替用関連情報をUEに通知する。ビーム切替用関連情報の通知には、RRCシグナリングを用いるとよい。
ステップST2503において、eNBが、ソースビームを用いて、ターゲットビームでの上り無線リソースのスケジューリング情報をUEに通知している場合、該通知と同じシグナリングで通知してもよい。
ステップST2606において、eNBは、ソースビームを用いて、ターゲットビームへのビーム切替指示情報をUEに通知する。ビーム切替指示情報の通知には、MACシグナリングを用いる。これによって、シグナリングの高速化を図ることができる。
ステップST2605において、ターゲットビームのビーム切替用関連情報を受信し、ステップST2606において、ビーム切替指示情報を受信したUEは、ターゲットビームのL1/L2制御信号を受信する。
ステップST2606において、UEにターゲットビームへのビーム切替指示情報を送信したeNBは、ターゲットビームを用いて、UEに対してスケジューリングを行う。
図28に示すシーケンスでは、ビーム切替用関連情報と、ビーム測定用構成情報を通知するメッセージとを別々に通知した。他の方法として、ビーム切替用関連情報を、ビーム測定用構成情報を通知するメッセージに含めて通知してもよい。ビーム測定用構成情報に含まれるビームのビーム切替用関連情報を含めるとよい。この場合、eNBがターゲットビームを決定する前にUEに通知することになる。したがって、ビーム切替用関連情報に含まれるターゲットビームは、まだ決まっていない。そこで、ターゲットビームではなく、ビーム測定用のビームについての情報を含めるとよい。ビーム測定用のビームは、一つであっても複数であってもよい。ソースビームを含めてもよい。
また、例えば、1回目のビーム測定用構成情報でターゲットビームが決まらなかった場合、eNBは、再度他のビーム測定用構成情報をUEに通知するとよい。該ビーム測定用構成情報を通知するメッセージに、ビーム切替用関連情報を含めて通知するとよい。
eNBからUEへのビーム切替用関連情報の通知にRRCシグナリングを用いることを開示したが、他の方法として、MACシグナリングを用いてもよい。MAC CEで通知してもよい。新たなMAC CEを設けてビームの切替を実行させるために必要な情報を含ませてもよい。ビーム切替指示情報とともに通知してもよい。
RRCシグナリングで通知する情報とMACシグナリングで通知する情報とを分けてもよい。例えば、情報量の多い情報をRRCシグナリングで通知し、情報量の少ない情報をMACシグナリングで通知するようにする。前述の具体例(3)のターゲットビームで通信を可能にさせるための設定情報をRRCシグナリングで通知し、前述の具体例(1)のターゲットビームの識別子をMACシグナリングで通知してもよい。情報量の少ない情報をMACシグナリングで通知することによって、ビーム切替指示情報も合わせて1トランスポートブロックでの送信が可能となる。
ビーム切替指示情報をMACシグナリングで通知するようにした場合、MACシグナリングは1TTIで行われることになる。前述のように、RRCシグナリングは、複数のトランスポートブロックに分割されて送信されるので、複数のTTIにわたって行われることになる。さらに再送を考慮したとしても、MACシグナリングを用いることによって、RRCシグナリングを用いる場合に比べて、ビーム切替指示情報の通知にかかる時間を短縮することが可能となる。
したがって、本実施の形態で開示した方法を用いることによって、ビームフォーミングによって狭カバレッジになったビーム間をUEが移動してビームを切替える場合に、シグナリングに時間がかかることによる通信品質の劣化および通信の断絶を低減することが可能となる。
また、ビームの測定結果の報告にL1/L2シグナリングを用いることによって、ビームの測定からビームの切替までの時間を短縮することができる。これによって、より最適なビームに対してビームの切替を行うことが可能となり、通信品質の劣化ならびに切替えの失敗による通信の遅延および通信の断絶を低減することが可能となる。
実施の形態13 変形例1.
実施の形態13では、ビーム切替指示情報の通知にかかる時間の短縮方法を開示した。本変形例では、他の方法を開示する。
eNBは、通信対象のUEに対してターゲットビームの候補となる一つまたは複数のビームを決定する。ターゲットビームの候補にソースビームを入れてもよい。以下、ターゲットビームの候補となるビームを「ターゲット候補ビーム」という場合がある。
eNBは、ターゲット候補ビームのうちの一部または全部のビームのアクティベーション、デアクティベーションを決定する。
eNBは、ターゲット候補ビームのうちの一部または全部のビームのアクティベーション、デアクティベーションの指示をUEに通知する。該通知は、ソースビームを用いて行われる。該通知には、MACシグナリングあるいはL1/L2シグナリングを用いるとよい。
UEは、アクティベーションの指示を受けたビームに対して同期を行い、下り制御情報(DCI)を受信する。L1/L2制御信号を受信するとしてもよい。例えば、PDCCHあるいはEPDCCHを受信する。UEは、PDCCHあるいはEPDCCHを受信し、C−RNTIあるいはB−RNTIで自UE宛てのDCIを検出する。
アクティベーションの指示を受けたビームが複数の場合、UEは、複数のビームの下り制御情報を受信することとなる。
eNBは、UEに対して使用するビームをアクティベーションしたビームの中から決定し、ソースビームから決定したビームに切替える。eNBは、切替えたビームを用いてUEと通信を行う。このとき、eNBは、UEにビーム切替指示情報を通知する必要は無い。UEは、アクティベーションの指示を受けたビームの下り制御情報を受信しているので、どのビームで通信が開始されても、該通信のためのスケジューリング情報を取得することが可能だからである。
このようにすることによって、ビーム切替指示情報の通知を不要とすることができる。eNBは、UEに対するビームの切替を決定した後、即座に、切替えたビームを用いてUEと通信を行うことが可能となる。したがって、ビーム切替処理にかかる時間を短縮することが可能となる。
eNBは、ターゲット候補ビームを決定した後、UEにターゲット候補ビームのビーム切替用関連情報を通知しておくとよい。ビーム切替用関連情報の通知は、実施の形態12で開示した方法を適用することができる。
ターゲット候補ビームの決定は、適宜行われる。ターゲット候補ビームの決定は、周期的に行われてもよいし、UEのビームの測定結果の報告に応じて行われてもよい。ターゲット候補ビームが変更された場合、再度、UEにターゲット候補ビームのビーム切替用関連情報を通知しておくとよい。変更、削除または追加するビームのビーム切替用関連情報のみを通知してもよい。削除するビームに関しては、ビーム識別子だけを通知するとしてもよい。
アクティベーションあるいはアクティベーションするビームの決定は、適宜行われる。アクティベーションあるいはアクティベーションするビームの決定は、周期的に行われてもよいし、UEのビームの測定結果の報告に応じて行われてもよい。アクティベーションあるいはデアクティベーションするビームが変更された場合、再度、UEにビームのアクティベーションあるいはデアクティベーションの指示を通知するとよい。変更するビームのみを通知してもよい。
UEに対して使用するビームの決定は、適宜行われる。UEに対して使用するビームの決定は、周期的に行われてもよいし、UEのビームの測定結果の報告に応じて行われてもよい。これによって、UEに対して使用するビームが変更されても、ビーム切替指示情報の通知を行わなくて済む。
図29および図30は、実施の形態13の変形例1におけるビーム切替処理の時間短縮方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図29と図30とは、境界線BL1の位置で、つながっている。図29および図30では、ソースビーム(S−Bm)から第1のターゲットビーム(T−Bm1)へ切替える場合について示している。また、第1のターゲットビーム(T−Bm1)から第2のターゲットビーム(T−Bm2)へ切替える場合についても示している。また、ソースビームとターゲットビームとの間で同期をとっていない場合について示している。また、ターゲットビームでの無線リソースのスケジューリング情報を予めソースビームを用いて行っていない場合について示している。図29および図30にシーケンスは、図28に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。ここでは、主として異なる部分について説明する。
ステップST2603においてビームの測定結果の報告を受信したeNBは、UEからのビームの測定結果の報告を用いて、ステップST2801において、UEに対してターゲットビームの候補となるビームを決定する。例えば、UEのビームの受信品質の測定結果が予め定める閾値以上となるもので上位2つのビームを選択し、ソースビームと合わせた3つのビームをターゲット候補ビームとして決定する。eNBは、ターゲット候補ビームの決定において、ビームの測定結果の報告のみでなく、他の情報を考慮してもよい。
ステップST2801においてUEに対してターゲット候補ビームを決定したeNBは、ステップST2802において、ソースビームを用いて、UEにターゲット候補ビームのビーム切替用関連情報を通知する。ターゲット候補ビームのビーム切替用関連情報は、例えばRRCシグナリングを用いて通知する。
ステップST2820において、eNBは、ターゲット候補ビームの中から、UEに対してアクティベーションおよびデアクティベーションの少なくとも一方を行うビームを決定する。この決定には、直近に受信したUEからのビームの測定結果の報告を用いてもよい。
ステップST2803において、eNBは、UEに、アクティベーションおよびデアクティベーションの少なくとも一方を行うビームを通知する。アクティベーションおよびデアクティベーションの少なくとも一方を行うビームは、例えばMACシグナリングを用いて通知する。ここでは、アクティベーションするビームを、ソースビーム(S−Bm)、第1のターゲットビーム(T−Bm1)、および第2のターゲットビーム(T−Bm2)とする。
ステップST2803においてアクティベーションおよびデアクティベーションの少なくとも一方を行うビームを受信したUEは、ステップST2804、ステップST2805、およびステップST2806において、アクティベーションするビームと同期を行う。
さらにUEは、ステップST2807、ステップST2808、およびステップST2809において、アクティベーションするビームにおける下り制御情報を受信する。例えば、ソースビーム、第1のターゲットビーム、および第2のターゲットビームのEPDCCHを受信する。これらの受信には、ステップST2802で取得したターゲット候補ビームのビーム切替用関連情報を用いるとよい。
ステップST2810において、eNBは、ビームの切替を決定する。具体的には、ソースビームから第1のターゲットビームへの切替を決定する。この決定には、直近に受信したUEからのビームの測定結果の報告を用いてもよい。
ST2810において、第1のターゲットビームへのビームの切替を決定したeNBは、ステップST2811において、第1のターゲットビームを用いて、UEに対するスケジューリング情報をUEに送信する。スケジューリング情報としては、DCIなどがある。DCIには、下りスケジューリング情報および上りスケジューリング情報の少なくとも一方が含まれる。また、下りスケジューリング情報と同一のサブフレームで、下りデータを送信してもよい。
ステップST2808において第1のターゲットビームの下り制御情報を受信しているUEは、ステップST2811において、第1のターゲットビームを用いて送信されるスケジューリング情報を取得する。
ステップST2811において第1のターゲットビームのスケジューリング情報を取得したUEは、スケジューリング情報に下りスケジューリング情報が含まれている場合、下りスケジューリング情報に従って、下りデータを受信する。
ステップST2811において第1のターゲットビームのスケジューリング情報を取得したUEは、スケジューリング情報に上りスケジューリング情報が含まれている場合、ステップST2812において、上りスケジューリング情報に従って、eNBに上りデータを送信する。あるいは、スケジューリングリクエストを送信してもよい。あるいは、バッファ状態報告(BSR)を送信してもよい。
このようにして、UEとeNBとは、ステップST2813において、第1のターゲットビームを用いて通信可能となる。
図29および図30では、さらにターゲットビームを切替える方法について開示する。ステップST2813においてUEとの通信が第1のターゲットビームを用いて行われている。したがって、UEに対して、第1のターゲットビームがソースビームとなるが、ここでは、引き続き第1のターゲットビームと称することにする。
ステップST2814において、UEは、ビームの測定を行う。このビームの測定には、ステップST2601で通知されたビーム測定用構成情報に含まれるビームの測定設定を用いる。図示はしていないが、第1のターゲットビームを用いて、新たにビームの測定設定が通知された場合は、該ビームの測定設定を用いて測定を行うとよい。
ステップST2814において、ビームの測定を行ったUEは、ステップST2815において、ビームの測定結果をeNBに報告する。該報告には、第1のターゲットビームを用いて行う。該報告には、L1/L2シグナリングを用いるとよい。これによって、シグナリングの高速化を図ることができる。
ST2815においてビームの測定結果の報告を受信したeNBは、ステップST2816において、ビームの切替を決定する。ビームの切替は、ステップST2803においてUEに通知した、アクティベーションするビームの中から行う。
ステップST2816において第2のターゲットビームへのビームの切替を決定したeNBは、ステップST2817において、第2のターゲットビームを用いて、UEに対するスケジューリング情報をUEに送信する。スケジューリング情報としては、DCIなどがある。DCIには、下りスケジューリング情報および上りスケジューリング情報の少なくとも一方が含まれる。また、下りスケジューリング情報と同一のサブフレームで、下りデータを送信してもよい。
ステップST2809において第2のターゲットビームの下り制御情報を受信しているUEは、ステップST2817において、第2のターゲットビームを用いて送信されるスケジューリング情報を取得する。
ST2817において第2のターゲットビームのスケジューリング情報を取得したUEは、スケジューリング情報に下りスケジューリング情報が含まれている場合、下りスケジューリング情報に従って、下りデータを受信する。
ステップST2817において第2のターゲットビームのスケジューリング情報を取得したUEは、スケジューリング情報に上りスケジューリング情報が含まれている場合、ステップST2818において、上りスケジューリング情報に従って、eNBに上りデータを送信する。あるいは、スケジューリングリクエストを送信してもよい。あるいは、バッファステータスレポート(BSR)を送信してもよい。
このようにして、UEとeNBとは、ステップST2819において、第2のターゲットビームを用いて通信可能となる。
このようにすることによって、UEにビーム切替指示情報を通知せずに、ビームを切替えることが可能となる。
したがって、eNBにおけるビームの切替決定から、UEが決定されたビームに切替えて通信可能とするまでの時間を短縮することが可能となる。
これによって、ビームの切替が頻繁に発生するような状況においても、より最適なビームへの切替を短時間で行うことが可能となり、通信品質の劣化ならびに切替え失敗による通信の遅延および通信の断絶を低減することが可能となる。
また、ターゲットビームの候補となるビームをUEに通知することによって、UEは同期をとり制御情報を受信するビームの数を限定することができる。したがって、以上に開示した方法は、UEの処理の負荷を軽減することができ、低消費電力化、小型軽量化、および低価格化を図ることが可能となる。
以上に開示した例では、アクティベーションまたはデアクティベーションするビームを、ターゲット候補ビームのうちの一部または全部のビームとした。
他の方法として、アクティベーションするビームをターゲット候補ビームと同じにしてもよい。この場合、eNBにおけるアクティベーションするビームの決定処理は不要となる。
また、この場合、ターゲット候補ビームの切替用関連情報の通知を、ターゲット候補ビームのアクティベーションの通知としてもよい。
UEは、ターゲット候補ビームの切替用関連情報で通知されたビームを、アクティベートされたビームとして、該ビームと同期を行い、下り制御情報を受信する。
例えば図29および図30におけるステップST2820およびステップST2803の処理が省略される。
このようにすることによって、eNBからUEへのシグナリング量を削減することが可能となる。またeNBとUEとにおける制御を簡易にすることができる。
UEが最大受信可能なビームの数を設定するとよい。UEのケーパビリティ(UE capability)に応じて、最大受信可能なビームの数を決定してもよい。あるいは、UEのケーパビリティのパラメータとして、最大受信可能なビームの数を設けてもよい。
UEが最大受信可能なビームの数を、予めUEからeNBに通知しておくとよい。UEのケーパビリティの通知を用いてもよい。
このようにすることによって、eNBは、ターゲット候補ビーム、あるいは、アクティベーションするビームの数を、UEが最大受信可能なビームの数以下に設定することが可能となる。
あるビームの下り制御情報に、他のビームのスケジューリング情報を含めてもよい。例えば、ソースビームの下り制御情報に、ターゲットビームのスケジューリング情報を含めてもよい。
例えば図29および図30では、eNBは、ステップST2811において、ソースビームを用いて、第1のターゲットビームの下りスケジューリング情報あるいは上りスケジューリング情報を通知する。UEは、ステップST2811において、ソースビームを用いて、第1のターゲットビームの下りスケジューリング情報あるいは上りスケジューリング情報を受信する。第1のターゲットビームのスケジューリング情報であることを認識したUEは、下りスケジューリング情報の場合は、該下りスケジューリング情報に従って、第1のターゲットビームの無線リソースを受信する。あるいは、第1のターゲットビームのスケジューリング情報であることを認識したUEは、上りスケジューリング情報の場合は、該上りスケジューリング情報に従って、第1のターゲットビームの無線リソースで送信する。
このようにすることによって、UEが複数のビームを使用可能な場合、複数のビームの柔軟な使用が可能となる。
例えば、制御情報を送信するビームとデータ通信を行うビームとを異ならせることが可能となる。制御情報は、複数のビームのうちの一方のビームで送信を行い、データ通信は、複数のビームのうちの他方のビームで行うといった運用が可能となる。eNBは、各ビームのカバレッジ、負荷、および電波伝搬状況などを考慮して、各ビームを用いることが可能となる。例えば、制御情報は、広いカバレッジのビームで送信し、データ通信は、狭いカバレッジのビームで送信するとよい。このようにすることによって、各ビームの特性に適したビームの運用が可能となる。
実施の形態13 変形例2.
ソースビームでまだ通信が成功していないときに、UEのビーム間の移動においてビーム切替処理が生じる場合、送達未成功のデータをどのように扱うかが問題となる。
本変形例では、ビーム切替処理時の送達未成功のデータの取り扱い方法について開示する。ソースビームを用いて送達未成功となったデータを、ターゲットビームを用いて送信する。上りリンクおよび下りリンクともに行うとよい。
さらに詳細に開示する。PDCPにおいてソースビームを用いて送達未成功となったデータは破棄し、再度ターゲットセルにおいて送信を行う。このようにすることによって、ビームの切替時のデータの損失を抑制することが可能となる。
ビームフォーミング技術によって形成される狭カバレッジのビーム間をUEが移動する場合、ビームの切替が頻繁に生じる場合がある。このような場合、以上に開示した方法を用いると、PDCPデータの再送が何度も繰り返されることになる。同じPDCPデータの再送が何度も繰り返される場合も生じる。したがって、データの通信に遅延が生じてしまい、要求されるQoSを満たさなくなってしまうなどの問題が生じる。このような問題を解決する方法を開示する。
ビームの切替えにおいては、ソースビームでHARQ処理中のデータからターゲットビームで再送する。UEは、ビームの移動指示を受信したとき、ソースビームでHARQ処理中のデータからターゲットビームで再送を行う。eNBは、UEにビームの移動指示を送信したとき、ソースビームでHARQ処理中のデータからターゲットビームで再送を行う。
ソースビームでHARQ処理中のデータからターゲットビームで再送する方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)HARQ処理中のデータの初送からターゲットビームで行う。
(2)HARQをソースビームとターゲットビームとを用いて行う。
前述の具体例(1)のHARQ処理中のデータの初送からターゲットビームで行う方法についての具体例を開示する。図31は、実施の形態13の変形例2におけるHARQ処理中のデータの初送からターゲットビームで行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。ターゲットビームで上りデータの送信を行うときに、UEがスケジューリングリクエスト(SR)から行う方法を示す。
ステップST2901において、UEは、ソースビームでeNBから下りデータを受信している。
ステップST2902において、UEは、ソースビームでeNBに上りデータを送信している。
ステップST2903において、eNBは、UEに対してビームの切替を決定する。
ステップST2904において、eNBは、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報である未達下りデータ情報を、ターゲットビームに与える。ソースビームとターゲットビームとが同一のeNBの場合は、同一のeNB内で行われる。この場合、HARQ処理中の下りデータに関する情報を、ソースビームからターゲットビームに適用するとしてもよい。
ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報は、ターゲットビームにおいて送信すべきデータを特定可能とする情報であればよい。
ステップST2905において、eNBは、UEに、ソースビームを用いてビーム切替指示情報を通知する。
ビーム切替指示情報を受信したUEは、ステップST2906において、ターゲットビームと同期を行う。
ステップST2907において、eNBは、UEに、ソースビームにおいてHARQ処理中であった下りデータについて、初送からターゲットビームを用いて送信するために、下りスケジューリングを行う。このとき、eNBは、ステップST2904で受信した、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報を用いるとよい。該通知は、ターゲットビームを用いるとよい。
ステップST2907において、データの初送用のターゲットビームにおけるスケジューリング情報をUEに通知したeNBは、該スケジューリング情報に従って、UEに、ターゲットビームを用いて、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータを送信する。
ステップST2907において下りスケジューリング情報を受信したUEは、該スケジューリング情報に従って、ステップST2908において、ターゲットビームで、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータを受信する。
このようにすることによって、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータを、ターゲットビームを用いて通信することが可能となる。
次に、上りデータについて示す。ステップST2905においてビーム切替指示情報を受信したUEは、ステップST2909において、eNBに、ターゲットビームを用いて、スケジューリングリクエスト(SR)を送信する。該SRは、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータを送信するために送信する。
ST2909においてSRを受信したeNBは、上りスケジューリングを決定し、ステップST2910において、UEに、ターゲットビームを用いて上りスケジューリング情報を通知する。
ST2910において上りスケジューリング情報を受信したUEは、ステップST2911において、該スケジューリング情報に従って、eNBにULデータを送信する。ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータの初送から送信する。
このようにすることによって、ソースビームにおいてHARQ処理中のデータを、ターゲットビームを用いて通信することが可能となる。したがって、ターゲットビームにおいてPDCPデータの再送から行う必要がなくなる。これによって、ビームの切替が頻繁に生じる場合でも、PDCPデータの再送が何度も繰り返されるような状態が発生することを低減させることができる。
他の方法を開示する。図32は、実施の形態13の変形例2におけるHARQ処理中のデータの初送からターゲットビームで行う方法に関するシーケンスの他の例を示す図である。図32では、ターゲットビームで上りデータ送信を行うときに、UEがSR送信を不要とする方法のシーケンスを示している。図32に示すシーケンスは、図31に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。ここでは、主として異なる部分について説明する。下りデータに関しては、図31と同様であるので説明を省略し、上りデータに関して説明する。
ステップST2903において、UEに対してビームの切替を決定したeNBは、ステップST3001において、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報を、ターゲットビームに与える。ソースビームとターゲットビームとが同一のeNBの場合は、同一のeNB内で行われる。この場合、HARQ処理中の上りデータに関する情報を、ソースビームからターゲットビームに適用するとしてもよい。
ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報は、ターゲットビームにおいて送信すべきデータを特定可能とする情報であればよい。
ステップST2905においてUEにビーム切替指示情報を送信したeNBは、ステップSTST3002において、UEに、ソースビームにおいてHARQ処理中であった上りデータについて、初送からターゲットビームを用いてUEに送信させるために、上りスケジューリングを行う。このとき、eNBは、ステップST3001において受信した、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報を用いるとよい。該通知は、ターゲットビームを用いるとよい。
ステップST3002において、上りデータの初送用のターゲットビームにおけるスケジューリング情報を受信したUEは、該スケジューリング情報に従って、eNBに、ターゲットビームを用いて、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータの初送から送信する。
このようにすることによって、ターゲットビームにおいてUEからのSRの送信を行わなくても、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータを、ターゲットビームを用いて通信することが可能となる。
UEは、SRの送信を不要とするので、UEの低消費電力化を図ることができる。また、ビームの切替からUEの上りデータの送信までにかかる時間を短縮することが可能となる。
前述の具体例(2)のHARQをソースビームとターゲットビームとを用いて行う方法についての具体例を開示する。図33は、実施の形態13の変形例2におけるHARQ処理中のデータの再送からターゲットビームで行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図33では、ターゲットビームで上りデータの送信を行うときに、UEがSRの送信を行わずに済む方法のシーケンスを示している。図33に示すシーケンスは、図32に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。ここでは、主として異なる部分について説明する。
下りデータについて開示する。ステップST2901において、eNBからの下りデータの受信に失敗したUEは、HARQ処理によって、ステップST3101において、eNBに、ソースビームを用いて、送達失敗(送達未成功)情報であるNackを送信する。
ステップST2903において、eNBは、UEに対してビームの切替を決定する。
ステップST3103において、eNBは、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報である未達下りデータ情報を、ターゲットビームに与える。ソースビームとターゲットビームとが同一eNBの場合は、同一のeNB内で行われる。この場合、HARQ処理中の下りデータに関する情報を、ソースビームからターゲットビームに適用するとしてもよい。
ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報は、ターゲットビームにおいて送信すべきデータを特定可能とする情報であればよい。ここでは、UEからNackを受信しているので、再送のためのデータを特定可能とする情報とするとよい。
ステップST2905において、eNBは、UEに、ソースビームを用いてビーム切替指示情報を通知する。
ビーム切替指示情報を受信したUEは、ステップST2906において、ターゲットビームと同期を行う。
ステップST3105において、eNBは、UEに、ソースビームにおいてHARQ処理中であった下りデータについて、再送からターゲットビームを用いて送信するための下りスケジューリングを行う。このとき、eNBは、ステップST3103において受信した、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報を用いるとよい。該通知は、ターゲットビームを用いるとよい。
ステップST3105において、データの初送用のターゲットビームにおける再送のためのスケジューリング情報をUEに通知したeNBは、該スケジューリング情報に従って、UEに、ターゲットビームを用いて、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータの再送データを送信する。
ステップST3105において下りスケジューリング情報を受信したUEは、該スケジューリング情報に従って、ステップST3106において、ターゲットビームで、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータの再送データを受信する。
このようにすることによって、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータを、ターゲットビームを用いて通信することが可能となる。
図33では、eNBが、下りデータの1回目の再送データを、ターゲットビームで送信する場合について開示したが、1回目に限定されない。何回目であっても同様にすればよい。ソースビームでNackが続くような場合、ビームの切替が実行された時点の再送データをターゲットビームで送信する。
上りデータについて開示する。ステップST2902においてUEからの上りデータの受信に失敗したeNBは、HARQ処理によって、ステップST3102において、UEに、送達失敗(送達未成功)情報であるNackを送信する。このときに、再送データ用の上りスケジューリング情報を通知する。
ステップST2903において、eNBは、UEに対してビームの切替を決定する。
ステップST2903において、UEに対してビームの切替を決定したeNBは、ステップST3104において、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報である未達上りデータ情報を、ターゲットビームに与える。ソースビームとターゲットビームとが同一のeNBの場合は、同一のeNB内で行われる。この場合、HARQ処理中の上りデータに関する情報を、ソースビームからターゲットビームに適用するとしてもよい。
ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報は、ターゲットビームにおいて送信すべきデータを特定可能とする情報であればよい。ここでは、UEに対してNackを送信しているので、上り再送データのためのスケジューリング情報を特定可能とする情報を含めるとよい。
ステップST2905においてeNBからビーム切替指示情報を受信したUEは、ステップST3102においてソースビームを用いて受信した上りデータ再送用のスケジューリング情報に従って、ステップST3107において、ターゲットビームを用いて、eNBに上りデータの再送を行う。
ステップST3102においてeNBがソースビームを用いてUEに通知する再送データ用の上りスケジューリング情報を、ターゲットビームを用いた場合の再送データ用の上りスケジューリング情報としてもよい。
図33に示すシーケンスでは、ステップST3102においてeNBがUEに、ソースビームを用いてNackを送信するとともに、再送データ用の上りスケジューリング情報を通知している。他の方法として、再送データ用の上りスケジューリング情報を、ターゲットビームを用いて通知してもよい。
ステップST2905においてUEにビーム切替指示情報を送信したeNBは、再送データを、ターゲットビームを用いて送信させるために、再送データ用の上りスケジューリング情報を、ターゲットビームを用いてUEに送信する。
このとき、eNBは、ステップST3104において受信した、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報を用いるとよい。
上り再送データ用の上りスケジューリング情報を受信したUEは、ステップST3107において、該スケジューリング情報に従って、eNBに、ターゲットビームを用いて、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータの再送から送信する。
このようにすることによって、ソースビームの受信品質が劣化したような場合に、ターゲットビームを用いて、再送から通信することが可能となる。
したがって、初送からターゲットビームを用いて通信する方法に比べて、さらに早期に通信品質を良好にすることが可能となる。
他の方法を開示する。図34は、実施の形態13の変形例2におけるHARQ処理中のデータの送達成功(Ack)/送達失敗(Nack)からターゲットビームで行う方法に関するシーケンスの一例を示す図である。図34では、ターゲットビームで上りデータの送信を行うときに、UEがSRの送信を行わずに済む方法のシーケンスを示している。図34に示すシーケンスは、図33に示すシーケンスと類似しているので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。ここでは、主として異なる部分について説明する。
下りデータについて開示する。ステップST2901において、eNBは、UEに下りデータを送信する。UEは、この下りデータの受信に失敗したとする。
ステップST2903において、eNBがUEに対してビームの切替を決定する。ステップST3201において、eNBは、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報である未達下りデータ情報を、ターゲットビームに与える。ソースビームとターゲットビームとが同一のeNBの場合は、同一のeNB内で行われる。この場合、HARQ処理中の下りデータに関する情報を、ソースビームからターゲットビームに適用するとしてもよい。
ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報は、ターゲットビームにおいて送信すべきデータを特定可能とする情報であればよい。この後にUEからNackを受信した場合に、再送のためのデータを特定可能とする情報とするとよい。
ステップST2901においてeNBからの下りデータの受信に失敗したUEは、HARQ処理によって、予め定めるタイミングでeNBにAck/Nackを送信する必要があるが、ここでは、Ack/Nackの送信の前に、ステップST2905において、eNBからビーム切替指示情報を受信したとする。
ステップST2905においてビーム切替指示情報を受信したUEは、ステップST2906において、ターゲットビームと同期を行う。
ステップST3203において、UEは、eNBに、ターゲットビームを用いてNackを送信する。ステップST2901において下りデータの受信に成功した場合はAckを送信する。ここでは、受信失敗、すなわち送達失敗であるので、Nackを送信する。Ack/Nackの送信タイミングは、ソースビームでの下りデータの受信タイミングによって決定される、予め定めるタイミングとするとよい。
eNBは、ステップST3201において受信したソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報を用いて、Ack/Nackが送信されるタイミングを導出する。ステップST3203において、eNBは、導出したタイミングで、UEからのNackを受信する。
ステップST3203においてUEからNackを受信したeNBは、ステップST3204において、UEに、ターゲットビームを用いて、ソースビームにおいてHARQ処理中であった下りデータについて、再送からターゲットビームを用いて送信するための下りスケジューリングを行う。このとき、eNBは、ステップST3201において受信した、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータに関する情報を用いるとよい。
ステップST3204において、ターゲットビームにおける再送のためのスケジューリング情報をUEに通知したeNBは、該スケジューリング情報に従って、UEに、ターゲットビームを用いて、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータの再送データを送信する。
ステップST3204において下りスケジューリング情報を受信したUEは、該スケジューリング情報に従って、ステップST3205において、ターゲットビームで、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータの再送データを受信する。
このようにすることによって、ソースビームにおいてHARQ処理中の下りデータを、ターゲットビームを用いて通信することが可能となる。
上りデータについて開示する。ステップST2902において、eNBは、UEからの上りデータの受信に失敗する。
ステップST2903において、eNBは、UEに対してビームの切替を決定する。
ステップST2903において、UEに対してビームの切替を決定したeNBは、ステップST3202において、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報である未達上りデータ情報を、ターゲットビームに与える。ソースビームとターゲットビームとが同一のeNBの場合は、同一のeNB内で行われる。この場合、HARQ処理中の上りデータに関する情報を、ソースビームからターゲットビームに適用するとしてもよい。
ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報は、ターゲットビームにおいて送信すべきデータを特定可能とする情報であればよい。この後にUEにNackを送信する場合に、再送のためのデータを特定可能とする情報とするとよい。
ステップST2902おいてUEからの上りデータの受信に失敗したeNBは、HARQ処理によって、任意のタイミングでUEにAck/Nackを送信する必要があるが、ここでは、Ack/Nackの送信の前に、ステップST2905において、eNBがUEにビーム切替指示情報を送信したとする。
ステップST2905においてビーム切替指示情報を受信したUEは、ステップST2906において、ターゲットビームと同期を行う。
ステップST3206において、eNBは、UEに、ターゲットビームを用いてNackを送信する。ステップST2902において上りデータの受信に成功した場合はAckを送信する。ここでは、受信失敗、すなわち送達失敗であるので、Nackを送信する。Ack/Nackの送信タイミングは、任意のタイミングとするとよい。
ステップST3206において、eNBは、UEに、Nackとともに、ターゲットビームを用いて、ソースビームにおいてHARQ処理中であった上りデータについて、再送からターゲットビームを用いてUEに送信させるための上りスケジューリング情報を送信する。このとき、eNBは、ステップST3202において受信した、ソースビームにおいてHARQ処理中の上りデータに関する情報を用いるとよい。
Nackとともに上りスケジューリング情報を送信することを開示したが、上りスケジューリング情報だけでもよい。上りスケジューリング情報によって、Nackとしてもよい。該スケジューリング情報に再送であることを示す情報を含めておくとよい。
ステップST2905において、eNBからビーム切替指示情報を受信したUEは、ステップST3206においてターゲットビームを用いて受信した上りデータ再送用のスケジューリング情報に従って、ステップST3207において、ターゲットビームを用いて、eNBに上りデータの再送を行う。
このようにすることによって、ソースビームの受信品質が劣化したような場合に、ターゲットビームを用いて、Ack/Nackの送信から通信することが可能となる。
したがって、初送からターゲットビームを用いて通信する方法に比べて、さらに早期に通信品質を良好にすることが可能となる。
本変形例で開示した方法を用いることによって、ソースビームを用いて送達未成功のデータを、ターゲットビームを用いて送信することが可能となる。
以上に開示した方法を適宜組み合わせることによって、初送、再送、あるいはAck/Nackの送信から、ターゲットビームを用いて行うことが可能となる。
ビームの切替の決定タイミングに応じて、これらの方法を適宜組み合わせて用いることによって、ビームの切替を、電波環境などに応じて最適なタイミングで行うことが可能となる。
したがって、ビームの切替が頻繁に発生するような状況においても、より最適なビームへの切替を適切なタイミングで行うことが可能となり、通信品質の劣化ならびに切替え失敗による通信の遅延および通信の断絶を低減することが可能となる。
実施の形態12から実施の形態13の変形例2では、ビームの切替について開示した。ビームの切替として、同一セル内のビーム間でのビームの切替、異なるセルのビーム間でのビームの切替、あるいは異なるeNBのビーム間でのビームの切替にも、前述の実施の形態で開示した方法を適宜組み合わせて適用するとよい。これによって、ビームの切替処理による通信品質の劣化ならびに切替え失敗による通信の遅延および通信の断絶を低減することが可能となる。
前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。